IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベラノ バスキュラー,インコーポレイテッドの特許一覧

特開2022-22310配置された末梢静脈カテーテルによる流体移送デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022310
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】配置された末梢静脈カテーテルによる流体移送デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195665
(22)【出願日】2021-12-01
(62)【分割の表示】P 2018540400の分割
【原出願日】2017-02-03
(31)【優先権主張番号】15/014,834
(32)【優先日】2016-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515249525
【氏名又は名称】ベラノ バスキュラー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デブゴン,ピッタンバー
(72)【発明者】
【氏名】エアエンライク,ケヴィン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンティ,リチャード トーマス
(57)【要約】
【課題】末梢静脈カテーテルによる静脈採血の改善されたシステム及び方法を提供する。
【解決手段】装置は、カテーテル、イントロデューサ及びアクチュエータを含む。イントロデューサの遠位端部は、末梢静脈ラインに結合されるように構成される。イントロデューサは、第2部分によって規定される軸に対して平行でありかつそこからオフセットされる軸を規定する第1部分を有する内部空間を規定する。アクチュエータの第1部分は、内部空間の第1部分内に移動可能に配置される。アクチュエータの第2部分は、内部空間の第2部分内に移動可能に配置され、内部空間の第2部分内に移動可能に配置されたカテーテルに結合される。アクチュエータは、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、カテーテルの少なくとも一部が末梢静脈ライン内に配置される第2位置との間でカテーテルを移動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部及び遠位端部を有し、かつ、前記近位端部及び前記遠位端部を通って延在する内腔を規定するカテーテルと、
近位端部及び遠位端部を有するイントロデューサであって、第1部分及び第2部分を有する内部空間を規定し、前記内部空間が、前記内部空間の前記第1部分によって規定される軸が前記第2部分によって規定される軸に対して平行でありかつそこからオフセットされるように、曲がりくねった断面形状を有し、前記内部空間の前記第2部分が、前記カテーテルを移動可能に受け入れるように構成され、前記イントロデューサの前記遠位端部が、末梢静脈ラインに作動的に結合されるように構成される、イントロデューサと、
前記内部空間の前記第1部分内に移動可能に配置された第1部分と、前記内部空間の前記第2部分内に移動可能に配置された第2部分と、を有するアクチュエータであって、前記アクチュエータの前記第2部分が前記カテーテルに結合され、前記アクチュエータが、前記カテーテルを第1位置と第2位置との間で移動させるように前記イントロデューサに対して移動するように構成され、前記カテーテルが、前記第1位置にあるときに前記イントロデューサ内に配置され、前記カテーテルの前記遠位端部が、前記カテーテルが前記第2位置にあり、かつ前記イントロデューサが前記末梢静脈ラインに結合されているときに、前記カテーテルの少なくとも一部が前記末梢静脈ライン内に配置されるように、前記イントロデューサの前記遠位端部を越えて配置される、アクチュエータと、を備える装置。
【請求項2】
前記イントロデューサが、第1部材及び第2部材を含み、前記第1部材が、まとまって前記イントロデューサを形成するように前記第2部材に結合するように構成され、前記第1部材の内面及び前記第2部材の内面が、前記第1部材が前記第2部材に結合されるときに前記イントロデューサの前記内部空間をまとまって規定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アクチュエータの前記第1部分及び前記アクチュエータの前記第2部分が、まとまって、前記曲がりくねった断面形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記カテーテルが、前記第1位置から前記第2位置に移動する際に前記末梢静脈ライン内の制限を低減させるように構成され、前記カテーテルの前記遠位端部が、前記カテーテルが前記第2位置にあるときに前記末梢静脈ライン内に配置され、それにより、前記カテーテルの前記遠位端部が、本来は制約される前記末梢静脈ラインの一部に対し遠位である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記イントロデューサの前記遠位端部に結合されたロックであって、前記末梢静脈ラインの一部と接触して前記イントロデューサの前記遠位端部を前記末梢静脈ラインに結合するように構成され、内腔を規定し、前記ロックの前記内腔によって規定される軸が、前記内部空間の前記第2部分の前記軸と実質的に同軸であり、前記内腔が、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動する際に前記カテーテルの一部を受け入れるように構成されている、ロックをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記イントロデューサの前記遠位端部と前記末梢静脈ラインとの間に配置されたアダプタであって、前記末梢静脈ラインの内面と接触するように構成された外面を有し、内腔を規定する内面を有し、前記内腔が、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動する際に前記カテーテルの一部を受け入れるように構成され、前記内面が、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動する際に前記カテーテルを案内するように構成されている、アダプタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カテーテルの前記近位端部が、前記カテーテルの前記遠位端部がアクチュエータに対して遠位であるように前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータが、二次カテーテルの遠位端部に、前記二次カテーテルの近位端部が前記アクチュエータに対して近位であるように結合するように構成され、
前記二次カテーテルが、前記カテーテルによって規定される前記内腔と流体連通する内腔を規定し、前記二次カテーテルの前記近位端部が、流体リザーバ、流体源又はシリンジのうちの少なくとも1つと流体的に結合して、前記カテーテルの前記内腔を前記流体リザーバ、前記流体源又は前記シリンジのうちの少なくとも1つと流体連通させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記イントロデューサの前記近位端部が開口部を規定し、前記開口部が、第1サイズを有する第1部分と、前記第1サイズより小さい第2サイズを有する第2部分と、を含み、
前記二次カテーテルの一部が、前記開口部内に移動可能に配置され、前記二次カテーテルが、前記二次カテーテルが前記開口部の前記第1部分内に配置される第1位置と、前記二次カテーテルが前記開口部の前記第2部分内に配置される第2位置と、の間で移動するように構成され、前記二次カテーテルの前記内腔が、前記二次カテーテルが前記第2位置にあるときに実質的に締め付けられる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記イントロデューサが、前記内部空間の前記第1部分と流体連通するスロットを規定し、前記曲がりくねった断面形状の少なくとも一部を形成する前記イントロデューサの内面が、前記スロットと前記内部空間の前記第2部分との間の視線を遮断する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記イントロデューサが、前記内部空間の前記第1部分と流体連通するスロットを規定し、前記曲がりくねった断面形状の少なくとも一部を形成する前記イントロデューサの内面が、前記スロットと前記アクチュエータの前記第2部分に結合された前記カテーテルとの間の視線を遮断する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記イントロデューサが、前記内部空間の前記第1部分と流体連通するスロットを規定し、前記アクチュエータの前記第1部分が、前記内部空間の外側に部分的に配置されるように前記スロットを通って延在するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記イントロデューサの外面が複数のリブを形成し、前記複数のリブからの各リブが、前記イントロデューサの長さに沿って配置され、前記アクチュエータの前記第1部分が、前記アクチュエータが前記イントロデューサに対して移動するときに前記複数のリブに沿って移動するように構成されたタブを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
近位端部及び遠位端部を有し、かつ、前記近位端部及び前記遠位端部を通って延在する内腔を規定するカテーテルと、
近位端部及び遠位端部を有するイントロデューサであって、前記カテーテルを移動可能に受け入れるように構成された内部空間を規定するイントロデューサと、
第1部分及び第2部分を有するアクチュエータであって、前記アクチュエータの前記第1部分が、前記イントロデューサによって規定される前記内部空間の外側に配置され、前記アクチュエータの前記第2部分が、前記イントロデューサによって規定される前記内部空間内に配置されかつ前記カテーテルに結合され、前記アクチュエータが、前記カテーテルを第1位置と第2位置との間で移動させるように前記イントロデューサに対して移動するように構成されている、アクチュエータと、
前記イントロデューサの前記遠位端部に結合されたロックであって、突出部を有しかつ前記突出部を通って延在する内腔を規定し、前記イントロデューサを末梢静脈ラインに結合するように構成され、前記突出部が、前記ロックが前記イントロデューサを前記末梢静脈ラインに結合するときに前記末梢静脈ラインによって規定される内腔を通って延在するように構成され、前記突出部の前記内腔が、前記カテーテルが前記イントロデューサの前記内部空間内に配置される前記第1位置から、前記ロックが前記イントロデューサを前記末梢静脈ラインに結合すると、前記カテーテルの前記遠位端部が前記末梢静脈ラインを越えて延在する前記第2位置まで移動する際、前記カテーテルの一部を受け入れるように構成され、前記突出部の内面が、前記カテーテルが前記第1位置から前記第2位置まで移動する際に前記カテーテルを案内するように構成されている、ロックと、を備える装置。
【請求項14】
前記イントロデューサの前記遠位端部が、前記内部空間内の圧力の変化に応じて閉鎖形態から開放形態まで遷移するように構成されたシールを含み、前記シールが、前記カテーテルが前記第1位置にあるときに前記閉鎖形態にある、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ロックが、前記突出部によって規定された前記内腔内に配置されたシールを含み、前記カテーテルが前記第1位置にあるとき、前記シールが閉鎖形態にあり、前記カテーテルが前記シールに対して近位位置に配置される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記末梢静脈ラインの近位端部がアダプタに結合され、前記アダプタが内腔を規定しかつ前記内腔内に配置されるシールを含み、
前記ロックが、前記イントロデューサを前記末梢静脈ラインに結合するように前記アダプタに結合されるように構成され、前記突出部の一部が、前記アダプタによって規定された前記内腔内に配置され、かつ前記ロックが前記アダプタに結合されると、前記シールを閉鎖形態から開放形態に遷移させるように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記突出部が、前記突出部の外径を規定する外面を有し、前記突出部の前記外面が、前記末梢静脈ラインの少なくとも一部を支持するように、前記末梢静脈ラインの前記内腔の少なくとも一部を規定する内面と選択的に接触するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記ロックが、前記突出部の第1側に配置された第1アームと、前記突出部の前記第1側とは反対側の前記突出部の第2側に配置された第2アームとを含み、前記第1アーム及び前記第2アームが、前記第1アーム及び前記第2アームそれぞれにかけられる力に応じて前記突出部に対して枢動するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記ロックが、前記突出部の第1側に配置された第1アームと、前記突出部の前記第1側とは反対側の前記突出部の第2側に配置された第2アームとを含み、前記第1アームの一部及び前記第2アームの一部が、各々、前記ロックが前記末梢静脈ラインに結合されたときに変形するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項20】
前記ロックが、前記突出部の第1側に配置された第1アームを含み、前記第1アームがタブを含み、前記ロックが、前記突出部の前記第1側とは反対側の前記突出部の第2側に配置された第2アームを含み、前記第2アームがタブを含み、前記第1アームの前記タブと前記第2アームの前記タブとが、各々、前記ロックを前記末梢静脈ラインに結合するように前記末梢静脈ラインと係合するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記突出部が、前記突出部の外径を規定する外面を有し、前記突出部の前記外面が、前記突出部が前記末梢静脈ラインによって規定される前記内腔内に配置されたとき、前記末梢静脈ラインの前記内腔の少なくとも一部を規定する内面と選択的に接触するように構成され、
前記ロックの前記第1アームの前記タブと、前記ロックの前記第2アームの前記タブと、前記突出部の前記外面とが、前記ロックを前記末梢静脈ラインに結合するように動作可能な少なくとも3つの物理的接触点を確立する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記末梢静脈ラインが、第1構成を有する第1末梢静脈ラインであり、前記ロックが、前記第1末梢静脈ライン又は第2末梢静脈ラインのうちの少なくとも一方に結合するように構成され、前記第2末梢静脈ラインが、前記第1構成とは異なる第2構成を有し、
前記ロックが、前記第1末梢静脈ライン又は前記第2末梢静脈ラインのうちの少なくとも一方に結合して、前記第1末梢静脈ライン又は前記第2末梢静脈ラインに対して360度回転することができるように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項23】
近位端部及び遠位端部を有し、かつ、前記近位端部及び前記遠位端部を通って延在する内腔を規定するカテーテルと、
第1部材と前記第1部材に結合された第2部材とを有するイントロデューサであって、前記第2部材が複数のリブを形成する外面を有し、前記第1部材及び前記第2部材が、まとまって、内部空間と、前記内部空間と連通するスロットとを規定し、前記内部空間が前記カテーテルを受け入れるように構成され、前記イントロデューサの遠位端部が末梢静脈ラインに結合されるように構成されている、イントロデューサと、
第1部分及び第2部分を有するアクチュエータであって、前記イントロデューサに作動的に結合され、前記アクチュエータの前記第1部分が前記内部空間の外側に配置され、前記第1部分が、前記第2部材の前記外面と接触する表面を含み、前記アクチュエータの前記第2部分が、前記スロットを通って延在しかつ前記内部空間内に配置され、前記アクチュエータの前記第2部分が前記カテーテルに結合され、前記アクチュエータが、前記イントロデューサに対して移動して、前記カテーテルを、前記カテーテルが前記イントロデューサ内に配置される第1位置と、前記イントロデューサが前記末梢静脈ラインに結合されたときに、前記カテーテルの前記遠位端部が前記末梢静脈ラインの少なくとも一部を越えて配置される第2位置との間で移動させるように構成され、前記アクチュエータの前記第1部分の前記表面が、前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる際に前記複数のリブに沿って移動するように構成され、前記アクチュエータの前記表面及び前記複数のリブが、前記カテーテルの前記遠位端部の位置に関連する触覚出力を術者に提供する、アクチュエータと、を備える装置。
【請求項24】
前記カテーテルの少なくとも一部が可撓性編組材料から形成されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記アクチュエータの前記表面が前記複数のリブに沿って移動するのに応じて生成される前記触覚出力が前記アクチュエータの少なくとも一部の振動である、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記第1部材の内面及び前記第2部材の内面が、まとまって、前記イントロデューサの前記内部空間を規定し、前記内部空間が曲がりくねった断面形状を有する、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記第1部材の前記内面又は前記第2部材の前記内面のうちの少なくとも一方が、前記スロットと前記内部空間内に配置された前記カテーテルとの間の視線を遮断する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第2部材によって形成された前記複数のリブが、第1の複数のリブ及び第2の複数のリブを含み、前記第1の複数のリブからの各リブが第1サイズを有し、前記第2の複数のリブからの各リブが、前記第1サイズとは異なる第2サイズを有する、請求項23に記載の装置。
【請求項29】
前記アクチュエータの前記第1部分の前記表面が、第1組の特徴を有する前記第1の複数のリブに沿って移動するように構成され、前記アクチュエータの前記第1部分の前記表面が、前記第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有する前記第2の複数のリブに沿って移動するように構成されている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記アクチュエータの前記表面と前記第1の複数のリブからの各リブとが、前記アクチュエータの前記表面が前記第1の複数のリブからの各リブに対して移動する際に、まとまって第1触覚出力を生成し、前記アクチュエータの前記表面と前記第2の複数のリブからの各リブとが、まとまって、前記アクチュエータの前記表面が前記第2の複数のリブからの各リブに対して移動する際に第2の触覚出力を生成し、前記第2の触覚出力が前記第1触覚出力とは異なる、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記第1の複数のリブが、前記第2部材の第1長さに沿って均一に配置され、前記第2の複数のリブが、前記第2部材の第2長さに沿って均一に配置され、前記第2部材の前記第1長さが前記第2部材の前記第2長さに対して近位である、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記第1サイズが前記第2サイズより小さい、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記複数のリブが前記第1の複数のリブ、前記第2の複数のリブ及び第3の複数のリブを含み、前記第3の複数のリブが、前記第2部材の第3長さに沿って均一に配置され、前記第2部材の前記第3長さが、前記第2部材の前記第2長さに対して遠位である、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記複数のリブからの各リブのサイズが、前記複数のリブからの各連続したリブごとに、前記複数のリブからの最近位リブの第1サイズから前記複数のリブからの最遠位リブの第2サイズまで増大することができる、請求項23に記載の装置。
【請求項35】
前記複数のリブが第1の複数のリブであり、前記イントロデューサの前記第1部材が、第2の複数のリブを形成する外面を有し、前記第1の複数のリブからの各リブの局所最大部が、前記第2の複数のリブからの各リブの局所最大部から角度をなし、前記第1の複数のリブからの各リブの局所最小部が、前記第2の複数のリブからの各リブの局所最小部から角度をなしている、請求項23に記載の装置。
【請求項36】
前記複数のリブからの各リブが非対称形状を有し、前記アクチュエータの前記第1部分の前記表面が、第1組の特徴を有する前記複数のリブに沿って前記遠位方向に移動するように構成され、前記アクチュエータの前記第1部分の前記表面が、前記第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有する前記複数のリブに沿って前記近位方向に移動するように構成される、請求項23に記載の装置。
【請求項37】
方法であって、
流体移送デバイスのロックを留置末梢静脈ラインに結合することであって、前記流体移送デバイスが、前記ロックに結合された遠位端部を有するイントロデューサと、前記イントロデューサによって規定された内部空間内に移動可能に配置されたカテーテルと、アクチュエータとを含み、前記アクチュエータが、前記アクチュエータの第1部分が前記イントロデューサの前記内部空間の外側にかつ前記イントロデューサの外面と接触するように配置され、前記アクチュエータの第2部分が前記イントロデューサの前記内部空間内に配置されかつ前記カテーテルに結合されるように、前記イントロデューサによって規定されるスロットを通って延在する、結合することと、
前記アクチュエータを前記イントロデューサに対して移動させて、前記カテーテルを、前記カテーテルが前記内部空間又は前記ロックのうちの少なくとも一方の中に配置される第1位置から第2位置に向かって前進させることと、
前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置から前記第2位置に向かって移動させる際に、前記カテーテルの遠位端部の位置に関連する表示を術者に提供することであって、前記表示が、前記アクチュエータの表面が前記イントロデューサの前記外面に含まれる複数のリブに沿って移動していることによって生成される触覚出力の形態である、提供することと、
前記カテーテルの前記遠位端部に関連する前記表示に基づいて前記カテーテルを前記第2位置に配置することであって、前記カテーテルの前記遠位端部が、前記カテーテルが前記第2位置にあるとき、前記末梢静脈ラインの少なくとも一部を越えて配置される、配置することと、を含む方法。
【請求項38】
前記イントロデューサの前記内部空間が曲がりくねった断面形状を有し、前記内部空間の一部を規定する前記イントロデューサの内面が、前記スロットと前記アクチュエータの前記第2部分に結合された前記カテーテルとの間の視線を遮断するように構成される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ロックを前記留置末梢静脈ラインに前記結合することが、前記ロックと前記末梢静脈ラインとの間に複数の接触点を形成することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記ロックがシールを含み、前記方法が、
前記アクチュエータを前記イントロデューサに対して移動させる前に、前記シールの近位端部にかけられる圧力を上昇させて、前記シールを封止形態から開放形態に遷移させることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記触覚出力が、前記アクチュエータの前記表面が前記複数のリブに沿って移動する際の前記アクチュエータの少なくとも一部の振動である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記アクチュエータの少なくとも前記一部の前記振動が、前記カテーテルの少なくとも一部に沿った振動をもたらし、前記カテーテルの前記一部の前記振動が、前記カテーテルが前記第2位置に向かって移動する際に前記カテーテルを1つ又は複数の障害物を通過して前進させるように動作可能である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記触覚出力が、前記カテーテルの遠位面と前記末梢静脈ラインの遠位面との間に規定された距離を示し、前記カテーテルが、前記触覚出力が前記カテーテルの前記遠位面が前記末梢静脈ラインの前記遠位面を所定の距離越えて配置されていることを示すとき、前記第2位置にある、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記カテーテルが、前記カテーテルが前記第1位置から前記第2位置に移動する際に前記末梢静脈ライン内の制限を低減させるように構成され、
前記カテーテルを前記第2部分に配置することが、前記カテーテルの前記遠位端部を前記末梢静脈ライン内に、かつ本来は制限される前記末梢静脈ラインの一部を越えて配置することを含む、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1000] 本国際出願は、2016年2月3日に出願された、「配置された末梢静脈カテーテルによる流体移送デバイス及び方法(Devices and Methods for Fluid Transfer Through a Placed Peripheral Intravenous Catheter)」と題する米国特許出願第15/014,834号の継続出願であり、かつそれに対する優先権を主張する。この出願の開示内容は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
[1001] 本明細書に記載する実施形態は、概して、流体移送医療デバイスに関する。より詳細には、本明細書に記載する実施形態は、配置された末梢静脈カテーテルにより患者の体内に又は患者の体内から流体を移送するデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[1002] 典型的な入院患者は、医師が臨床検査を指示するたびに針が刺される。採血の標準的な処置は、金属針(「バタフライ針」)を用いて患者の腕又は手の静脈に「刺入する(stick)」ことを含む。採血は、用手的な、労力を必要とするプロセスであり、平均的な患者に対して、典型的な入院中に何時間もの直接的な技能労働が必要である。この針の刺入は、痛みを伴いかつ患者の不満の主な原因であるだけでなく、看護師又は専門の採血者(フレボトミスト(採血士)(phlebotomist))は、患者のおよそ10%~15%において静脈を見つけることが困難であることが多く、その結果、複数回の痛みを伴う「刺入」が試行される。これにより、材料コスト及び労働コストが著しく高くなり(針及び管は、各試行の後に廃棄しなければならない)、患者の痛み及び傷が増大する。
【0004】
[1003] 採血に対する現時点でのプロセスは非効率的であり、平均7分間~10分間、10%の患者に対して21分間を超える時間がかかる。これらの10%の患者は、静脈アクセスが困難な(Difficult Intra-Venous Access)患者又はより一般的には「刺入が難しい(tough stick)」患者と呼ばれる。表在静脈が容易に識別できない場合、手首から肘まで腕をマッサージし、人差し指及び中指でその部位を軽くたたき、部位に温かい湿らせたタオルを5分間あてがうことによって、又はベッドわきで腕を下げて静脈に血がたまるようにすることによって、血液を静脈内に送り込むことができる。これらの方法の各々は、時間がかかり、従って、コストがかかる。
【0005】
[1004] 末梢IVカテーテル(PIV)は、大部分の患者に対して入院している間に挿入され、流体及び薬剤を注入するために使用される。しかしながら、PIVは、採血用には設計されていない。PIVが1日を超えて挿入されたままであった場合、吸引の失敗率は20%~50%に達する。PIVから採取された血液は、溶血する(赤血球の破裂及びそれらの内容物の周囲流体への放出として定義される)ことが多く、その結果、サンプルが廃棄され、採血を繰り返すことが必要になる。
【0006】
[1005] PIVからの採血の欠点の原因となる可能性があるいくつかの障害がある。第1に、大部分のカテーテルは軟質の生体反応性(bio-reactive)ポリマーから形成され、この材料を用いることにより、吸引のために負圧がかけられるときに、カテーテルが狭まるか又はつぶれることになる可能性がある。別の障害は、留置時間が長くなると、カテーテルの先端にかつカテーテル及び/又はPIVの内腔内に蓄積する残骸(例えば、フィブリン/血小板血栓)が増加する可能性がある、ということである。同様に、こうした残骸は、PIVが配置される静脈の内腔を少なくとも部分的に閉塞させる可能性がある。場合により、PIVの周囲のこの残骸(フィブリン/血小板血栓)により、挿入されたPIVの周囲の静脈の部分内の(例えば、上流及び下流両方の)血流が低減することになる可能性があり、それにより、吸引が不適切かつ/又は非効率になる。別の障害は、「吸着カップ」効果によるものであり、カテーテルによる吸引によって負圧が生じることと、静脈の経路が湾曲する可能性があることとにより、カテーテルの先端が静脈の壁に付着することになる。負圧が上昇すると、静脈が破れて「静脈を吹き飛ばす(blowing the vein)」結果となる可能性があり、これはフレボトミストにとって、PIVによる吸引中の懸念事項である。
【発明の概要】
【0007】
[1006] 従って、末梢静脈カテーテルによる静脈採血の改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1007] 本明細書では、配置された末梢静脈カテーテルにより患者の体内に又は患者の体内から流体を移送するデバイス及び方法について記載する。いくつかの実施形態では、装置は、カテーテル、イントロデューサ及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部及び遠位端部を有し、近位端部及び遠位端部を通って延在する内腔を規定する。イントロデューサは、近位端部と、末梢静脈ラインに結合されるように構成された遠位端部と、を有する。イントロデューサは、曲がりくねった断面形状を有する内部空間(volume)を規定し、内部空間の第1部分によって規定される軸は、内部空間の第2部分によって規定される軸に対して平行でありかつそこからオフセットされている。内部空間の第2部分はカテーテルを移動可能に受け入れる。アクチュエータは、内部空間の第1部分内に移動可能に配置される第1部分と、内部空間の第2部分内に移動可能に配置される第2部分と、を含む。アクチュエータの第2部分はカテーテルに結合される。アクチュエータは、イントロデューサに対して移動して、カテーテルを、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、イントロデューサが末梢静脈ラインに結合されたときにカテーテルの少なくとも一部が末梢静脈ライン内に配置されるように、カテーテルの遠位端部がイントロデューサの遠位端部を越えて配置される第2位置と、の間で移動させるように、構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態による第1形態にある流体移送デバイスの概略図である。
図2】実施形態による第2形態にある流体移送デバイスの概略図である。
図3】実施形態による第1形態にある流体移送デバイスの斜視図である。
図4図3に示す流体移送デバイスの上面図である。
図5図3に示す流体移送デバイスの組立分解図である。
図6図3の流体移送デバイスに含まれるイントロデューサの第1部材の斜視図である。
図7図3の流体移送デバイスに含まれるイントロデューサの第2部材の斜視図である。
図8図7に示す第2部材の側面図である。
図9図8において領域A1によって識別される第2部材の一部分の拡大図である。
図10図6に示す第1部材を図7に示す第2部材に結合することによって形成されたイントロデューサの背面斜視図である。
図11図10に示すイントロデューサの正面斜視図である。
図12図11の線12-12に沿ったイントロデューサの断面図である。
図13図3の流体移送デバイスに含まれるロックの背面斜視図である。
図14図3の流体移送デバイスに含まれるロックの上面図である。
図15図14の線15-15に沿ったロックの断面図である。
図16図3の流体移送デバイスに含まれるカテーテル、二次カテーテル及びアクチュエータの組立分解斜視図である。
図17図16に示すアクチュエータの斜視図である。
図18図16に示すアクチュエータの側面図である。
図19図16に示すアクチュエータの正面図である。
図20図4において線20-20に沿った流体移送デバイスの断面図である。
図21】第1形態にある図3の流体移送デバイスの側面図である。
図22図3において線22-22に沿った第1形態にある流体移送デバイスの断面図である。
図23図22において領域A2によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大断面図である。
図24図22において領域A3によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大断面図である。
図25図3の流体移送デバイスの、第1形態から第2形態に遷移している際の側面図である。
図26図24において領域A4によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大図である。
図27】第2形態にある図3の流体移送デバイスの側面図である。
図28図3において線22-22に沿った第2形態にある流体移送デバイスの断面図である。
図29図28において領域A5によって識別される流体移送デバイスの一部の拡大断面図である。
図30】実施形態による流体移送デバイスを用いる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1034] 本明細書では、配置された末梢静脈カテーテルにより患者の体内に又は患者の体内から流体を移送するデバイス及び方法について記載する。いくつかの実施形態では、装置は、カテーテル、イントロデューサ及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部及び遠位端部を有し、近位端部及び遠位端部を通って延在する内腔を規定する。イントロデューサは、近位端部と、末梢静脈ラインに結合されるように構成された遠位端部とを有する。イントロデューサは内部空間を規定し、内部空間は、内部空間の第1部分によって規定される軸が内部空間の第2部分によって規定される軸に対して平行でありかつそこからオフセットされるように、曲がりくねった断面形状を有する。内部空間の第2部分は、カテーテルを移動可能に受け入れる。アクチュエータは、内部空間の第1部分内に移動可能に配置された第1部分と、内部空間の第2部分内に移動可能に配置された第2部分と、を有する。アクチュエータの第2部分は、カテーテルに結合される。アクチュエータは、イントロデューサに対して移動して、カテーテルを、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、イントロデューサが末梢静脈ラインに結合されているときに、カテーテルの少なくとも一部が末梢静脈ライン内に配置されるように、カテーテルの遠位端部がイントロデューサの遠位端部を越えて配置される第2位置と、の間で移動させるように構成されている。
【0011】
[1035] いくつかの実施形態では、装置は、カテーテル、イントロデューサ、アクチュエータ及びロックを含む。カテーテルは、近位端部及び遠位端部を有し、近位端部及び遠位端部を通って延在する内腔を規定する。イントロデューサは、近位端部及び遠位端部を有し、カテーテルを移動可能に受け入れる内部空間を規定する。アクチュエータは、内部空間の外側に配置された第1部分と、内部空間内に配置された第2部分と、を有する。アクチュエータの第2部分はカテーテルに結合される。アクチュエータは、カテーテルを第1位置と第2位置との間で移動させるようにイントロデューサに対して移動するように構成されている。ロックは、イントロデューサの遠位端部に結合される。ロックは、突出部(proboscis)を有し、突出部を通って延在する内腔を規定する。ロックは、末梢静脈ラインに結合されるように構成され、突出部は、ロックが末梢静脈ラインに結合されると、末梢静脈ラインによって規定される内腔を通って延在する。突出部の内腔は、カテーテルがイントロデューサの内部空間内に配置される第1位置から、ロックが末梢静脈ラインに結合されるとカテーテルの遠位端部が末梢静脈ラインを越えて延在する第2位置まで移動する際、カテーテルの一部を受け入れる。突出部の内面は、カテーテルが第1位置から第2位置まで移動する際にカテーテルを案内するように構成されている。
【0012】
[1036] いくつかの実施形態では、装置は、カテーテル、イントロデューサ及びアクチュエータを含む。カテーテルは、近位端部及び遠位端部を有し、近位端部及び遠位端部を通って延在する内腔を規定する。イントロデューサは、第1部材と、第1部材に結合された第2部材と、を有する。第2部材は、複数のリブを形成する外面を有する。第1部材及び第2部材は、まとまって、内部空間と、内部空間に連通するスロットと、を規定する。内部空間はカテーテルを受け入れる。末梢静脈ラインに結合されるように構成されたイントロデューサの遠位端部。アクチュエータは、アクチュエータの第1部分が内部空間の外側に配置され、アクチュエータの第2部分が、スロットを通って延在しかつ内部空間内に配置されるように、イントロデューサに作動的に結合される。アクチュエータの第1部分は、第2部材の外面に接触する表面を含む。アクチュエータの第2部分は、カテーテルに結合される。アクチュエータは、イントロデューサに対して移動して、カテーテルを、カテーテルがイントロデューサ内に配置される第1位置と、イントロデューサが末梢静脈ラインに結合されたときに、カテーテルの遠位端部が末梢静脈ラインを越えて配置される第2位置との間で移動させるように構成されている。アクチュエータの第1部分の表面は、アクチュエータがカテーテルを第1位置と第2位置との間で移動させる際に複数のリブに沿って移動して、カテーテルの遠位端部の位置に関連する触覚フィードバックを術者に提供する。
【0013】
[1037] いくつかの実施形態では、方法は、流体移送デバイスのロックを留置末梢静脈ラインに結合することを含む。流体移送デバイスは、ロックに結合された遠位端部を有するイントロデューサと、イントロデューサによって規定された内部空間内に移動可能に配置されたカテーテルと、アクチュエータとを含む。アクチュエータは、アクチュエータの第1部分がイントロデューサの内部空間の外側にかつイントロデューサの外面と接触するように配置され、アクチュエータの第2部分がイントロデューサの内部空間内に配置されかつカテーテルに結合されるように、イントロデューサによって規定されるスロットを通って延在する。アクチュエータは、イントロデューサに対して移動して、カテーテルを、カテーテルが内部空間又はロックのうちの少なくとも一方の中に配置される第1位置から第2位置に向かって前進させる。アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に向かって移動させる際に、カテーテルの遠位端部の位置に関連する表示が術者に提供される。表示は、アクチュエータの表面がイントロデューサの外面に含まれる複数のリブに沿って移動していることによって生成される触覚出力の形態である。カテーテルは、カテーテルの遠位端部に関連する表示に基づいて、第2位置に配置される。カテーテルの遠位端部は、カテーテルが第2位置にあるとき、末梢静脈ラインの少なくとも一部を越えて配置される。
【0014】
[1038] 本明細書で用いる「カテーテル」及び「カニューレ」という用語は、同義で用いられ、第1場所から第2場所まで体液を移動させるための通路(例えば体液を体外へ移動させるための流体通路)を規定するように構成された要素を述べる。カニューレは、患者の体内の空間にカニューレを送達するためにトロカール、ガイドワイヤ又はイントロデューサを受け入れるように構成することができるが、本明細書で言及するカニューレは、トロカール、ガイドワイヤ又はイントロデューサを含むか又は受け入れることは必須ではない。
【0015】
[1039] 本明細書で用いる「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という用語は、2ポートIV拡張セットを指すために用いられる。このように、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という用語は、概して2ポートIV拡張セットの全体的な形状を述べる。例えば、本明細書において用いるYアダプタは、実質的に「Y」字型形状であり、第1端における単一ポート及び第2端における斜めに配置された2つのポートを含む。さらに、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という用語は、限定するためではなく単に例として含まれるものである。例えば、いくつかの実施形態では、装置は、単一ポートIV拡張セット(例えば、単一ポートアダプタ)又は多ポートPIV拡張セット(例えば、3つ以上のポートを有するアダプタ)を含むことができる。
【0016】
[1040] 本明細書で用いる「近位」及び「遠位」という用語は、それぞれ、デバイスを患者に接触させて配置する術者(user)に近付く方向及び術者から離れる方向を指す。従って、例えば、患者の身体に最初に接触するデバイスの端部は遠位端であり、デバイスの反対側の端部(例えば、術者によって操作されているデバイスの端部)はデバイスの近位端である。
【0017】
[1041] 本明細書で用いる「剛性(stiffness)」という用語は、加えられた力による偏向、変形及び/又は変位に対する物体の抵抗に関連する。剛性は、物体に加えられた力の量、並びに、その結果としての、物体の第1部分が物体の第2部分に対して偏向、変形及び/又は変位する距離によって特徴付けることができる。物体の剛性を特徴付ける場合、偏向した距離は、力が直接加えられる物体の部分とは異なる物体の部分の偏向として測定することができる。言い換えれば、物体によっては、偏向の箇所は、力が加えられた箇所とは別個である。
【0018】
[1042] 剛性は、記載されている物体の示量的特性であり、従って、物体を形成している材料及びその物体の何らかの物理的特徴(例えば形状及び境界条件)によって決まる。例えば、物体内に、所望の弾性係数、曲げ係数及び/又は硬度を有する材料を選択的に含めることによって、その物体の剛性を増大させるか又は低減させることができる。弾性係数は、構成材料の示強的特性(すなわち構成材料に固有)であり、加えられた力に応じて弾性的に(すなわち非恒久的に)変形する物体の傾向を記述する。等しい応力が加えられている場合、弾性係数が高い材料は弾性係数が低い材料ほど大きく偏向しない。従って、例えば弾性係数が高い材料を物体に導入し、かつ/又は、その材料で物体を構成することによって、物体の剛性を増大させることができる。
【0019】
[1043] 同様に、材料の硬度は、構成材料の示強的特性であり、力が加えられた場合にさまざまな種類の恒久的な形状変化に対して材料がいかに耐えるかの尺度を記述する。硬度及び結果としてのカテーテルの剛性に対する影響について考察する際、一般的にショアデュロメータ硬さスケール(Shore durometer scale)が用いられる。デュロメータ硬さにはいくつかのスケールがあるが、プラスチック、ポリマー、エラストマー及び/又はゴムを記述する場合、一般的に2つ、すなわちタイプA及びタイプDが用いられ、タイプAは一般に柔らかい材料に用いられ、タイプDは一般に硬い材料に用いられる。材料のショアデュロメータ硬さは0~100の数字によって表され、この数字が大きいほど材料が硬いことを示し、数字の後にスケールのタイプが示される。例えば、第1材料が、40ショアAのショアデュロメータ硬さを有するものとして測定される場合があり、第2材料が、20ショアDのショアデュロメータ硬さを有するものとして測定される場合がある。従って、ショアデュロメータ硬さスケールによれば、第2材料の方が第1材料よりも硬く、従って、剛性が高い。
【0020】
[1044] 図1及び図2は、実施形態による、それぞれ第1形態及び第2形態にある、末梢静脈ライン又はカテーテルによる静脈採血用の流体移送デバイス100の概略図である。流体移送デバイス100(本明細書では、「移送デバイス」とも呼ぶ)は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。本明細書においてさらに詳細に記載するように、移送デバイス100は、留置末梢静脈カテーテル(PIV)105に結合しかつ/又は他の方法で係合して、流体を患者の一部から移送し(例えば、血液の吸引)かつ/又は患者の一部に移送する(例えば、薬物もしくは物質の注入)ように構成されている。
【0021】
[1045] 移送デバイス100は、少なくとも、イントロデューサ110、カテーテル160(又はカニューレ)及びアクチュエータ170を含む。イントロデューサ110は、任意の好適な構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ110は、実質的に円形の断面形状を有する細長い部材であり得る。いくつかの実施形態では、イントロデューサ110の形状及び/又はイントロデューサ110の少なくとも外面の1つ又は複数の特徴もしくは表面仕上げは、移送デバイス100の人間工学的な面を向上させるように配置することができ、それにより、場合により、術者が片手で移送デバイス100を操作するのを可能にすることができる(すなわち、片手使用)。
【0022】
[1046] イントロデューサ110は、近位端部近位端部111及び遠位端部112を有し、内部空間113を規定する。図1及び図2には図示しないが、イントロデューサ110の近位端部111は、カテーテル160の一部を移動可能に受け入れるように構成された開口部又はポートを含むことができる。従って、カテーテル160の第1部分は、内部空間113内に配置することができ、カテーテル160の第2部分は、内部空間113の外側に配置することができる。開口部又はポートは、任意の好適な構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、開口部及び/又はポートは、シール等を含むことができ、それは、内部に配置されたカテーテル160の部分の外面と実質的に流体密封シールを形成するように構成されている。他の実施形態では、開口部及び/又はポートの配置は、本明細書において具体的な実施形態に関してさらに詳細に記載するように、術者が、開口部及び/又はポートを規定する近位端部111の表面と選択的に接触するようにカテーテル160を配置することができ、それにより、近位端部111の表面が、カテーテル160の内腔を選択的に塞ぐようにカテーテル160を締め付けかつ/又ははさみつけることができる、というものであり得る。
【0023】
[1047] イントロデューサ110の遠位端部112は、イントロデューサ110をPIV105に物理的にかつ流体的に結合する(例えば、図2を参照)ように構成されたロックを含みかつ/又はそれに結合される。例えば、いくつかの実施形態では、遠位端部112は、ロックの関連するカプラに物理的にかつ流体的に結合するように構成された、Luer LokTM等のカプラ等を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロックは、PIV105と選択的に係合しかつ/又は接触してそれにイントロデューサ110を結合するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、ロックの形状、サイズ及び/又は構成は、ロックがPIV105と3つの接触点を形成するというものである。いくつかの実施形態では、こうした配置は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ロックの一部(例えば、突出部等)がPIV105の一部に挿入される際に、PIV105に構造的剛性及び/又は支持を提供することができる。
【0024】
[1048] いくつかの実施形態では、イントロデューサ110の遠位端部分112(及び/又はロック)は、シール等を含むことができ、それは、内部空間113の少なくとも一部をロックと流体連通させるように封止形態から実質的開放形態に変形させることができる。いくつかの実施形態では、シールは、一方向弁等の逆流防止機構を含むことができ、それは、例えば、カテーテル160がシールを通って遠位方向に進むのを可能にする一方で、シールを通る近位方向におけるカテーテル160の外側の流体流を制限しかつ/又は実質的に阻止することができる。
【0025】
[1049] 上述したように、イントロデューサ110は、近位端部111と遠位端部112との間に延在する内部空間113を規定する。図1及び図2に示すように、内部空間113は、アクチュエータ170の第1部分171を受け入れるように構成された第1部分114と、カテーテル160及びアクチュエータ172の第2部分175を受け入れるように構成された第2部分115とを有しかつ/又は規定する。より具体的には、内部空間113を規定するイントロデューサ110の内面は、例えば、曲がりくねった断面形状(図1及び図2には図示せず)を有することができ、それにより、内部空間113の第1部分114によって規定される軸は、内部空間113の第2部分115によって規定される軸に対して平行でありかつそこから角度をなす。このように、内部空間113の第1部分114は、内部空間113の第2部分115から流体的に隔離されることなく、間隔を空けて配置することができる。いくつかの実施形態では、内部空間113の第1部分114は、イントロデューサ110の壁を通って延在することができる。言い換えれば、イントロデューサ110は、内部空間113の第1部分114と流体連通するスロット、チャネル、トラック、開口部等を規定することができる。逆に、内部空間113の第2部分115は、イントロデューサ110によって完全に規定されかつ/又は(少なくとも周囲方向において)囲まれ得る。さらに、いくつかの実施形態では、内部空間113の曲がりくねった断面形状により、内部空間113の第1部分114と流体連通しているスロット等を介して第2部分115を見ることができず(例えば、第2部分115は視線外にあり)、それにより、第2部分115内に配置されたカテーテル160の汚染の量を制限しかつ/又は汚染を実質的に防止することができる。
【0026】
[1050] 移送デバイス100のカテーテル160は、近位端部161及び遠位端部162を含み、近位端部161及び遠位端部162を通って延在する内腔163を規定する。カテーテル160は、イントロデューサ110によって規定される内部空間113の第2部分115内に移動可能に配置され、アクチュエータ170に結合される。いくつかの実施形態では、カテーテル160は、(例えば、アクチュエータ170の移動を介して)第1位置と第2位置との間で移動して、移送デバイス100を第1形態と第2形態とのそれぞれの間で遷移させることができる。より具体的には、カテーテル160が第1位置にあるとき、カテーテル160の少なくとも遠位端部162は、内部空間113の第2部分115内に配置され(図1)、カテーテル160が第2位置にあるとき、カテーテル160の少なくとも一部は、カテーテル160の遠位端をPIV105の一部に対して遠位位置に配置するように、PIV105を通って延在する。図1及び図2には図示しないが、いくつかの実施形態では、移送デバイス100は、アクチュエータ170に結合されかつカテーテル160と流体連通する二次カテーテル等を含むことができる。こうした実施形態では、二次カテーテルは、例えば、カテーテル160に対して近位位置に配置することができ、イントロデューサ110の近位端部111によって規定される開口部及び/又はポートを通って延在するように構成することができる。このように、二次カテーテルの近位端部は、流体リザーバ、流体源、シリンジ等に結合することができ、それにより、カテーテル160はそれと流体連通する。さらに、二次カテーテルを含む実施形態では、カテーテル160が第1位置にあるとき、イントロデューサ110内にカテーテル160を完全に配置することができる。
【0027】
[1051] カテーテル160は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル160の少なくとも一部は、イントロデューサ110の遠位端部112に結合されたロックの一部によって規定される内径と実質的に同様であるか又はそれよりわずかに小さい外径(例えば、16ゲージ~26ゲージ)を有することができる。このように、ロックのその部分の内面は、カテーテル160が第1位置と第2位置との間で移動する際にカテーテル160を案内することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置により、カテーテル160が第1位置と第2位置との間で移動する際のカテーテル160の曲がり、変形及び/又はキンクの量を制限することができ、かつ/又はそれを実質的に防止することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル160は、カテーテル160が第2位置にあるとき、カテーテル160の遠位面をPIV105の遠位面に対して所望の位置に配置するのに十分な長さを有することができる。言い換えれば、カテーテル160の長さは、カテーテル160が第2位置にあるときにカテーテル160の遠位面とPIV105の遠位面との間に所定のかつ/又は所望の距離を規定するのに十分であり得る。場合により、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル160の遠位面をPIV105の遠位面から所定のかつ/又は所望の距離に配置することにより、例えば、カテーテル160の遠位面を静脈内の所望の位置に配置することができる。
【0028】
[1052] カテーテル160は、任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができ、それにより、カテーテル160は任意の好適な剛性又はデュロメータ硬さを有することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル160の少なくとも一部は、編組材料等から形成することができ、それにより、曲げ力等に応じてカテーテル160の可撓性を変更し、修正し、かつ/又は改変することができる。いくつかの実施形態では、編組材料等でカテーテル160を形成することにより、望ましくないようにキンクしかつ/又は他の方法で変形する可能性を低減させることができる。さらに、編組材料でカテーテル160の少なくとも一部を形成することにより、カテーテル160によって規定される長手方向中心線の方向にかけられる圧縮力(例えば、軸方向力等)に応じて、圧縮及び/又は変形をもたらすことができる。このように、カテーテル160は、例えば、遮断等に影響を与えることに関連する力の一部を吸収することができる。
【0029】
[1053] 移送デバイス100のアクチュエータ170は、任意の形状、サイズ及び/又は構成であり得る。上述したように、アクチュエータ170は、内部空間113の第1部分114内に移動可能に配置された第1部分171と、内部空間113の第2部分115内に移動可能に配置されかつカテーテル160に結合された第2部分175と、を含む。図1及び図2には図示しないが、アクチュエータ170は、内部空間113の断面形状(例えば、曲がりくねった断面形状)に関連しかつ/又は他の方法で対応する断面形状を有することができる。従って、アクチュエータ170の第1部分171によって規定される軸は、アクチュエータ170の第2部分175によって規定される軸に対して平行でありかつそれから角度をなしている。
【0030】
[1054] アクチュエータ170及びイントロデューサ110の配置は、第1部分171が、内部空間113の第1部分114と流体連通しているスロット等を通って延在する、というものである。従って、アクチュエータ170の第1部分171の第1領域は、イントロデューサ110の外側に配置され、アクチュエータ170の第1部分171の第2領域は、内部空間113の第1部分114に配置される。このように、術者は、アクチュエータ170の第1部分171の第1領域を作動させることができ、アクチュエータ170をイントロデューサ110に対して移動させて、アクチュエータ170の第2部分175に結合されたカテーテル160を第1位置と第2位置との間で移動させることができる。図1及び図2には図示しないが、いくつかの実施形態では、アクチュエータ170の第1部分171は、イントロデューサ110の外面と接触しているタブ、突起及び/又は表面を含むことができる。こうした実施形態では、イントロデューサ110の外面は、例えば、一組のリブ、隆起、出っ張り、溝等を含むことができ、アクチュエータ170がイントロデューサ110に対して移動するとき、そこに沿って、第1部分171のタブ、突起及び/又は表面が前進し、それにより、カテーテル160の遠位端部162の位置に関連する表示を術者に提供することができる、触覚出力又はフィードバックが生成される。
【0031】
[1055] いくつかの実施形態では、移送デバイス100は、使用の前に第1形態に配置することができる(例えば、第1形態では、輸送し、保管し、準備すること等が可能である)。使用時、術者は、移送デバイス100を操作して、(例えば、イントロデューサ110に結合されかつ/又はイントロデューサ110と組み立てられたロックを介して)イントロデューサ110を留置PIV105に結合することができる。移送デバイス100がPIV105に結合された状態で、術者は、アクチュエータ170の第1部分171を作動させて、アクチュエータ170をイントロデューサ110に対して移動させることができ、それにより、カテーテル160は(例えば、イントロデューサ110内に配置された)第1位置から第2位置に向かって移動する。いくつかの実施形態では、アクチュエータ170及びイントロデューサ110の配置は、アクチュエータ170をイントロデューサ110に対して前進させることにより、イントロデューサ110及び/又はPIV105に対するカテーテル160の遠位部分162の位置に関連するインジケータを術者に提供するように構成された、触覚出力及び/又はフィードバックが生成される、というものである。例えば、触覚フィードバック又は他の任意の好適なインジケータに基づいて、上述したように、術者は、カテーテル160の遠位面がPIV105の遠位面を所望の距離越えて延在するように、カテーテル160を第2位置に配置することができる。
【0032】
[1056] カテーテル160が第2位置にある状態で(例えば、移送デバイス100が図2に示す第2形態にある状態で)、術者は、流体リザーバ、流体源、シリンジ等とカテーテル160との間に流体連通を確立することができる。例えば、上述したように、いくつかの実施形態では、術者は、二次カテーテル(図示せず)を流体リザーバ、流体源、シリンジ等に結合することができる。カテーテル160を第2位置に配置した後にカテーテル160と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立するものとして記載したが、他の実施形態では、術者は、イントロデューサ110に対してアクチュエータ170を移動させる前に、カテーテル160と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立することができる。そして、カテーテル160が流体リザーバ及び/又は流体源と流体連通している状態で、移送デバイス100は、PIV105を通りかつPIV105を越えて延在しているカテーテル160を介して、患者の体内から流体を移送し又は患者の体内に流体を移送することができる。
【0033】
[1057] 図3図29は、別の実施形態による流体移送デバイス200を示す。流体移送デバイス200(本明細書では、「移送デバイス」とも呼ぶ)は、任意の好適な形状、サイズ又は構成とすることができ、例えば、ロック及び/又はアダプタを介してPIV(図3図29には図示せず)に結合することができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、術者は、移送デバイス200を第1形態から第2形態に遷移させて、カテーテルを、既存の、配置されたかつ/又は留置PIV(すなわち、移送デバイス200がPIVに結合されているとき)を通して前進させることができ、それにより、カテーテルの少なくとも端部は、PIVに対して遠位位置に配置される。さらに、末梢静脈ラインが各々、例えば、PIVの製造業者及び/又はその意図された使用に基づいて変更することができる形状、サイズ及び/又は構成を有することにより、移送デバイス200が任意の好適な構成を有するPIVに結合されるのを可能にし、その後、実質的に、カテーテルをキンクさせ、引っ掛け、破損し、かつ/又は他の方法で望ましくないように再構成することなく、PIVを通してカテーテルの少なくとも一部を前進させるように、移送デバイス200を配置することができる。さらに、術者により移送デバイス200を操作して、カテーテルの遠位面を、実質的に遮断されない血液の流れを受け取る静脈の一部内に配置されるように、PIVの遠位面を所定のかつ/又は所望の距離越えるように配置することができる。
【0034】
[1058] 図3図5に示すように、移送デバイス200は、イントロデューサ210、ロック240、カテーテル260、二次カテーテル265及びアクチュエータ270を含む。イントロデューサ210は、任意の好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ210は、実質的に円形断面形状を有する細長い部材であり得る。いくつかの実施形態では、移送デバイス200の人間工学的な面を向上させるように、イントロデューサ210の形状及び/又はイントロデューサ210の少なくとも外面の1つ又は複数の特徴もしくは表面仕上げを配置することができ、場合により、それによって術者が片手で移送デバイス200を操作するのを可能にすることができる(すなわち、片手使用)。
【0035】
[1059] 図5図12に示すように、移送デバイス200のイントロデューサ210は第1部材220及び第2部材225を含み、それらは、まとまってイントロデューサ210を形成するように結合される。図6に示すように、第1部材220は、近位端部221、遠位端部222及び内面224を含む。内面224は、第1部分224及び第2部分225を有する。第1部材220の近位端部221、より具体的には、第1部材220の近位壁は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、二次カテーテル265の一部を選択的に受け入れるように構成された切欠き226を規定する。
【0036】
[1060] 図7図9に示すように、第2部材230は、近位端部231、遠位端部232、内面233及び外面235を有する。第1部材220に関して上述したように、第2部材230の近位端部231、より具体的には第2部材230の近位壁は、二次カテーテル265の一部を選択的に受け入れるように構成された切欠き234を規定する。第2部材230の外面235は、第2部材230の長さに沿って配置された一組のリブ236を含む。より詳細には、各リブ236は、第2部材230の幅に沿って延在し、第2部材230の長さに沿って連続的に配置されている。このように、外面235は、第2部材230の長さに沿って配置された交互の局所最小部及び局所最大部を規定する。本明細書においてさらに詳細に記載するように、アクチュエータ270の一部は、術者がイントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させる際に、一組のリブ236を形成する外面235に沿って前進するように構成され、それにより、アクチュエータ270(及びアクチュエータ270に結合されたカテーテル260)が振動する。場合により、この振動によって、例えば、一部又は移送デバイス200、PIVの一部及び/又は血管系の一部を通るカテーテル260の前進を容易にすることができる。さらに、場合により、本明細書においてさらに詳細に記載するように、振動によって、術者に対し、イントロデューサ210及び/又はPIVに対するカテーテル260の位置に関連する触覚及び/又は聴覚インジケータを提供することができる。
【0037】
[1061] 第2部材230の外面235によって形成されたリブ236は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、図8及び図9に示すように、一組のリブ236は、第1サイズ及び形状を有する第1部分237と、第1サイズ及び形状とは異なる第2サイズ及び形状を有する第2部分238とを含む。リブ236の第1部分237は、任意の好適な構成及び/又は配置を有することができる。例えば、この実施形態では、第1部分237における各リブは、実質的に均一であって、実質的に同じサイズ及び形状を有する。他の実施形態では、第1部分237に含まれる各リブは、第1部分237の残りのリブとは異なるサイズ及び形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部分237における各リブのサイズ及び/又は形状は、最小サイズ及び形状を有する最近位リブから、最大サイズ及び形状を有する最遠位リブまで増大することができる。さらに、第1部分237のリブは、実質的に対称であるものとして図示しているが、他の実施形態では、第1部分237の各リブは非対称であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、各リブの近位面は第1ピッチ(例えば、角度)を有することができ、各リブの遠位面は、第1ピッチより大きい第2ピッチを有することができる。いくつかの実施形態では、こうした非対称配置により、アクチュエータ270の上記部分が、遠位方向に移動するときは第1組の特徴を有する外面235に沿って移動し、近位方向に移動するときは第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有する外面235に沿って移動するようにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270の上記部分は、遠位方向では、近位方向より自由に外面235に沿って移動することができる。
【0038】
[1062] 同様に、リブ236の第2部分238は、任意の好適な構成及び/又は配置を有することができる。例えば、この実施形態では、第2部分238における各リブは、実質的に均一であって、第2部分238における残りのリブと実質的に同じサイズ及び形状を有する。図9に示すように、第2部分238における各リブは、第1部分237の各リブのサイズ及び形状より大きいサイズ及び形状を有する。場合により、第2部分238のリブのサイズの方が大きいことにより、アクチュエータ270が(上述したように)外面235に沿って移動する際の振動の量を大きくすることができる。場合により、第2部分238のリブのサイズの方が大きいことにより、外面235に沿ってアクチュエータ270の上記部分を移動させるのに本来は十分な力を、増大させることができる。第2部分238のリブを、実質的に均一でありかつ第1部分237のリブより大きいサイズを有するように図示しかつ記載しているが、他の実施形態では、第2部分238のリブは、第1部分237のリブに関して上述した配置及び/又は構成のうちの任意のものを有することができる。
【0039】
[1063] 一組のリブ236は、第1部分237から第2部材230の長さに沿った所与の箇所において第2部分238まで遷移している(例えば、図9を参照)が、他の実施形態では、一組のリブ236における各リブのサイズ及び形状は、最小のサイズ及び形状を有する第1部分237の最近位リブから、最大のサイズ及び形状を有する第2部分238の最遠位リブまで増大することができる。言い換えれば、いくつかの実施形態では、一組のリブ236におけるリブの各々のサイズ及び形状は、各連続したリブごとに(例えば、遠位方向に)増大することができる。さらに他の実施形態では、一組のリブ236は、第1部分237及び第2部分238より多くを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2部材は、第1部分、並びに第2部材230の第1部分237と同様のサイズ、形状及び構成を有する第2部分と、第2部材230の第2部分238と同様のサイズ、形状及び構成を有する、第1部分と第2部分との間に配置された第3部分とを有する、一組のリブを含むことができる。すなわち、こうした実施形態では、第2部材は、リブの近位部分及びリブの近位端部を含み、それらは、それらの間に配置されているリブの中央部分より小さい。いくつかの実施形態では、第2部材230の一組のリブ236の配置は、最近位リブ及び最遠位リブが、相対的に大きく、かつ/又は、他の方法で、それぞれ、最近位リブに対して近位位置及び最遠位リブに対して遠位位置において、アクチュエータ270の上記部分を少なくとも一時的に維持するように動作可能な形状を有する。
【0040】
[1064] 一組のリブ236は、第2部材230の外面235のみによって形成されているように示されているが、他の実施形態では、第1部材220が、一組のリブを形成する外面を含むことができる。こうした実施形態では、第1部材220の一組のリブは、第2部材230の一組のリブ236に関して上述した構成及び/又は配置のうちの任意のものとすることができ、かつ/又はその任意ものを有することができる。いくつかの実施形態では、第1部材220のリブは、第2部材230のリブ236から角度をなすことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部材220のリブは、第1部材220の長さに沿って配置されている(リブ236に関して上述したように)交互の局所最小部及び局所最大部を有することができ、第1部材220のリブの局所最小部及び局所最大部は、(例えば、イントロデューサ210の長さに沿って角度をなす)第2部材230のリブ236の局所最大部及び局所最小部それぞれと位置合せされる。他の実施形態では、第1部材220のリブは、第2部材230のリブ236に対して変化する位置にあり得る。このように、イントロデューサ210は、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に、例えば触覚フィードバックを提供することができる、リブの可変配置を提供することができる。
【0041】
[1065] 図10図12に示すように、第1部材220は、第2部材230に結合されて、まとまってイントロデューサ210を形成するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、超音波溶接、接着剤、機械式締結具、1つもしくは複数のタブ、スナップ、ピン等を介して、第1部材220及び第2部材230を結合して、イントロデューサ210を形成することができる。いくつかの実施形態では、(例えば、製造プロセス中に)第1部材220を第2部材230に結合してイントロデューサ210を形成することにより、1つ又は複数の製造プロセスを容易にしかつ/又は簡略化することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1部材220及び第2部材230からイントロデューサ210を形成することにより、製造中、(例えば、抜き勾配及び/又は製造公差による)内面223及び233の形状及び/又はサイズの望ましくないばらつきを低減させることができ、それにより、場合により、移送デバイス200の使用中のカテーテル260のキンク、曲がり及び/又は変形の可能性を低減させることができる。いくつかの実施形態では、第1部材220及び第2部材230からイントロデューサ210を形成することにより、少なくとも第1部材220の内面223が、単一工作物からイントロデューサ210を製造する場合に難題を示す曲がりくねった形状を形成するのを可能にすることができる。
【0042】
[1066] 他の実施形態では、第1部材220は、(例えば、射出成形及び/又は他の任意の好適な製造プロセスを介して)一体構造で形成することができる。すなわち、第1部材220は、2つの工作物、すなわち、第1部材220及び第2部材230ではなく単一の工作物等から形成することができる。従って、第1部材220の特徴について言及するとき、こうした特徴は、第1部材220により形成しかつ/もしくは規定し、第2部材230により形成しかつ/もしくは規定し、第1部材220及び第2部材230によりまとまって形成しかつ/もしくは規定し、又は、イントロデューサ210が単一の工作物から形成される場合、イントロデューサ210の対応する部分により形成しかつ/又は規定することができる。
【0043】
[1067] 第1部材220及び第2部材230は、まとまって、イントロデューサ210の近位端部211及び遠位端部212を形成し、まとまって、イントロデューサ210の内部空間213を規定する。図10に示すように、イントロデューサ210の近位端部211は開口部217を規定する。具体的には、開口部217は、第1部材220の切欠き226及び第2部材230の切欠き234によりまとまって形成されかつ/又は規定される。近位端部211の配置は、第1部材220の切欠き226によって規定される開口部217の部分が第1サイズ及び/又は形状を有し、第2部材230の切欠き234によって規定される開口部217の部分が、第1サイズ及び/又は形状より小さい第2サイズ及び/又は形状を有する、というものである。言い換えれば、開口部217の一部は、狭窄され、はさみつけられ、塞がれ、かつ/又は他の方法で縮小される。本明細書においてさらに詳細に記載するように、開口部217は、二次カテーテル265の一部を受け入れるように構成され、二次カテーテル265を、開口部217内で開口部217の大きい方の部分から開口部217の縮小部分(例えば、第2部材230の切欠き234によって形成された部分)まで移動させて、塞ぎ、はさみつけ、かつ/又は締め付けることができる。
【0044】
[1068] 図11に図示するように、イントロデューサ210の遠位端部212は、カプラ216を含みかつ/又は他の方法で形成する。言い換えれば、第1部材220の遠位端部222及び第2部材230の遠位端部232は、まとまって、イントロデューサ210の遠位端部212においてカプラ216を形成する。カプラ216は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、この実施形態では、カプラ216は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、ロック240の関連するねじ切り部分とねじ結合を形成することができる、一組のねじを形成する。図11には図示しないが、イントロデューサ210の遠位端部211は、(少なくとも、カプラ216の開放部分から)イントロデューサ210の内部空間213を選択的に封止しかつ/又は流体的に隔離することができるシールを含むことができ、かつ/又はそうしたシールを受け入れるように構成することができる。使用時、シールを封止又は閉鎖形態から開放形態まで遷移させて、例えば、カテーテル260の一部がシールを貫通するのを可能にする。いくつかの実施形態では、シールは、カテーテル260の外面と接触して、それらの間に、カニューレの外面とシールとの間の流体の逆流の量を制限しかつ/又は逆流を実質的に阻止するように動作可能なシールを規定することができる。
【0045】
[1069] シールは、任意の好適なタイプのシールであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、シールは、Oリング、一方向弁、膜、自己修復膜、逆止弁、単式クラック弁及び/又は他の任意の好適なシールもしくは弁部材であり得る。いくつかの実施形態では、シールは、所定の「クラッキング」圧力を規定しかつ/又は他の方法で有するように構成される。すなわち、いくつかの実施形態では、シールは、例えば、イントロデューサ210内の圧力の上昇に応じて、閉鎖及び/又は封止形態から実質的開放形態に遷移するように構成することができる。いくつかの実施形態では、シールは、正圧シール等であり得る。他の実施形態では、シールは、生食ロック等の流体シールであり得る。図5図12には図示しないが、いくつかの実施形態では、イントロデューサ210は、シールを閉鎖形態から開放形態に遷移させるようにイントロデューサ210内の圧力を(例えば、空気又は他の好適な流体もしくは液体を介して)上昇させるように操作することができる、デバイス、機構、アセンブリ等を含むことができる。例えば、イントロデューサ210は、バルブ(bulb)、ポンプ、シリンジ、流体源、機械式アクチュエータ、電気アクチュエータ等を含むことができ、かつ/又はそれに結合することができる。他の実施形態では、シールは他の任意の好適な構成であり得る。
【0046】
[1070] 第1部材220の内面223及び第2部材230の内面233は、まとまって、イントロデューサ210の内部空間213を規定する。図12に図示するように、内面223及び233の配置は、内部空間213が、曲がりくねった断面形状を有しかつ/又は規定するというものである。例えば、内部空間213は、実質的にS字型、又は少なくとも部分的にS字型の断面形状を有することができる。より具体的には、第1部材220の内面223は、内面223の第1部分224を内面223の第2部分225から分離するように構成された、隆起、タブ、フランジ、突起等を含みかつ/又は形成する。従って、内部空間213の曲がりくねった断面形状は、内部空間213の第1部分214及び内部空間213の第2部分215を形成しかつ/又は規定する。このように、内部空間213の第1部分214は、内部空間213の第2部分215から、それらから流体的に隔離されることなく、間隔を空けて配置される。言い換えれば、内部空間213の第1部分214は、内部空間213の第2部分215によって規定される軸と平行でありかつそこからオフセットされる軸を規定する。
【0047】
[1071] 図12に示すように、内部空間213の第1部分214は、イントロデューサ210の壁を通って延在する。同様に、イントロデューサ210は、(例えば、第1部材220及び第2部材230はまとまって)内部空間213の第1部分214と流体連通するスロット、チャネル、トラック、開口部等を規定する。逆に、内部空間213の第2部分215は、イントロデューサ210によって完全に規定されかつ/又は(少なくとも、円周方向に)囲まれる。内部空間213の曲がりくねった断面形状により、(内部空間213の第1部分214と流体連通している)スロットを介して第2部分215を見ることができず(例えば、第2部分215が視線外にあり)、それにより、内部に配置されたカテーテル260の汚染の量を制限しかつ/又は汚染を実質的に防止することができる。
【0048】
[1072] この実施形態では、内部空間213の第2部分215は、例えば、開口部217の一部及びカプラ216によって規定される開口部の一部と実質的に位置合せされる。さらに、内部空間213の第2部分215は、ロックがイントロデューサ210のカプラ216に結合されるとき、ロック240と実質的に位置合せされるように構成されている。言い換えれば、本明細書においてさらに詳細に記載するように、内部空間213の第2部分215によって規定される軸は、ロック240の一部によって規定される軸と実質的に同軸である。このように、内部空間213の第2部分215は、例えば、アクチュエータ270の一部とカテーテル260の一部とを移動可能に受け入れることができる。従って、本明細書においてさらに詳細に記載するように、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させて、カテーテル260を、カテーテル260が内部空間213の第2部分215内に完全に配置される第1位置と、カテーテル260の少なくとも一部が、内部空間213の第2部分215の外側にかつイントロデューサ210の遠位側に延在する第2位置との間で移動させることができる。
【0049】
[1073] 移送デバイス200のロック240は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。上述したように、ロック240は、イントロデューサ210に物理的にかつ流体的に結合されるように構成され、イントロデューサ210を、PIV及び/又はPIVに結合された任意の好適な中間デバイスもしくはアダプタに結合するように構成されている。図13図15に示すように、ロック240は、カプラ241、突出部242、第1アーム243及び第2アーム250を有する。さらに、ロック240は、カプラ241及び突出部242を通って延在する内腔255を規定する。カプラ241は、ロック240をイントロデューサ210のカプラ216に結合するように構成されている。具体的には、この実施形態では、カプラ241は、イントロデューサ210のカプラ216によって規定されかつ/又は形成されるねじ山と選択的に係合するように構成された1つ又は複数の突起を含みかつ/又は形成し、それにより、ねじ結合を形成する。
【0050】
[1074] 突出部242は、カプラ246から延在し、第1アーム243と第2アーム250との間に配置されている。突出部242は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、突出部242の構成は、PIVのサイズ及び/もしくは形状、アダプタ(例えば、拡張セット、Yアダプタ、Tアダプタ等)のサイズ及び/もしくは形状、又は、PIV及びアダプタのひとまとめにしたサイズ及び/もしくは形状に、関連付けることができ、又は少なくとも部分的に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、突出部242は、PIV(又はアダプタ)の少なくとも一部を通って延在するのに十分な長さを有することができる。PIVに結合されたアダプタを含む実施形態では、突出部242は、アダプタを通りかつ少なくとも部分的にPIV内に又はPIVを通って延在するのに十分長くすることができる。いくつかの実施形態では、突出部242は、その少なくとも一部がPIVに対して遠位であるように、アダプタ及びPIVを通って延在するのに十分長くすることができる。さらに、突出部242は、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタの一部の内径と同様であるか又はそれよりわずかに小さい外径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、突出部242の外面は、突出部242がPIV内に配置されたときにその内面と接触することができる。このように、突出部242は、突出部242が配置されるPIVの少なくとも一部に対して構造的支持を提供することができる。同様に、突出部242は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260の一部の外径と同様であるか又はそれよりわずかに大きい内径(少なくとも部分的に内腔255を規定する表面の直径)を有することができる。
【0051】
[1075] ロック240の第1アーム243及び第2アーム250は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。図13及び図14に示すように、第1アーム243は、第1端部244、タブ246を含む第2端部245、及び第1端部244と第2端部245との間に配置されたピボット部247を有する。第2端部245に配置されかつ/又はそれによって形成されるタブ246は、第2端部245から、例えば突出部242に向かって延在する。このように、本明細書においてさらに詳細に記載するように、タブ246は、PIVの一部、及び/又はロック240をPIVに結合するようにPIVに結合されたアダプタの一部と選択的に係合することができる。
【0052】
[1076] 第1アーム243のピボット部247は、カプラ241、突出部242及び/又は第2アーム250から横方向に延在する。第1アーム243の第1端部244及び第2端部245は、それぞれ、ピボット部247に対して近位であり、ピボット部247に対して遠位である。従って、第1アーム243は、加えられる力に応じてピボット部247によって規定される軸を中心に枢動するように構成されたレバー等として作用することができる。例えば、場合により、本明細書においてさらに詳細に記載するように、術者は、第1端部244に(例えば、カプラ241に向かって)、(図14において矢印AAによって示すように)第1アーム243の第1端部244をカプラ241に向かって枢動させ、かつ(図14において矢印BBによって示すように)第1アーム243の第2端部245を突出部242から離れるように枢動させるのに十分な力をかけることができる。
【0053】
[1077] 第1アーム243に関して上述したように、ロック240の第2アーム250は、第1端部251、タブ253を含む第2端部252、及び第1端部251と第2端部252との間に配置されたピボット部254を有する。この実施形態では、第1アーム243及び第2アーム250は、形状及び機能が実質的に同様であり、カプラ241及び突出部242に対して反対の位置及び向きに配置される(例えば、ロック240は、その長手方向軸を中心に実質的に対称である)。従って、第1アーム243の考察は、第2アーム250に同様に適用され、従って、第2アーム250については本明細書ではそれ以上詳細には記載しない。
【0054】
[1078] 上述したように、ロック240は、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタに結合されるように構成されている。例えば、術者は、第1アーム243の第1端部244及び第2アーム250の第1端部251に横方向の力をかけて、第1アーム243及び第2アーム250をそれぞれ、第1位置から第2位置まで枢動させることができる。従って、第1アーム243の枢動により、突出部242と第1アーム243の第2端部245(及びタブ246)との間に規定された空間が増大する。同様に、第2アーム250を枢動させることにより、突出部242と第2アーム250の第2端部252(及びタブ253)との間に規定された空間が増大する。このように、突出部242とアーム243及び250との間の増大した空間は、PIVの一部及び/又はPIVに結合されたアダプタがその空間内に挿入されるのを可能にするのに十分大きい。PIV及び/又はアダプタの一部がロック240に対して所望の位置になると、術者は、力を取り除くことができ、それにより、アーム243及び250は、それらのそれぞれの第1位置に向かって枢動する。その結果、第2端部245及び252は、タブ246及び253がそれぞれPIV及び/又はアダプタの一部分と接触するまで、突出部242に向かって移動する。タブ246及び253は、PIV及び/又はアダプタの上記部分と係合して、ロック240をPIV及び/又はアダプタに一時的に結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、ロック240は、PIV及び/又はアダプタとの3つの接触点、すなわち、タブ246及び253、並びに(上述したような)突出部242の外面を確立するように構成することができる。いくつかの実施形態では、タブ246及び253は、PIV及び/又はアダプタの上記部分と接触したとき、ロック240がPIV及び/又はアダプタに適切に結合されていることを術者に示すことができる、クリック等の可聴出力、触覚による凹凸(haptic bump)等の振動出力等を生成するように構成することができる。
【0055】
[1079] 図15に示すように、突出部242及びカプラ241は、まとまって、内腔255を規定する。ロック240の内腔255は、内部空間213の第2部分215によって規定される軸と位置合せされかつ/又は実質的に同軸である軸(図示せず)を規定する。従って、ロック240の内腔255は、移送デバイス200が第1形態と第2形態との間で遷移するときにカテーテル260の一部を受け入れる。いくつかの実施形態では、内腔255は、少なくとも一部にはカテーテル260のサイズ及び/又は形状に基づくサイズ及び/又は形状を有することができる。例えば、内腔255は、カテーテル260の少なくとも一部の外径よりわずかに大きい内径を有することができる。こうした実施形態では、ロック240は、カテーテル260が内腔255内で移動する際にカテーテル260を支持しかつ/又は案内することができる外部ガイド等であり得る。それにより、カテーテル260の望ましくない曲がり、キンク、たわみ及び/又は変形を低減させかつ/又は実質的に防止することができる。
【0056】
[1080] ロック240について、突出部242を含むように図示し上述したが、他の実施形態では、ロックが突出部を形成することは必須ではない。例えば、いくつかのこうした実施形態では、ロックは、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタの一部と係合するように構成された比較的短いハブ等を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体移送デバイスは、例えば、PIVとIV拡張セット等のアダプタとの間に配置されるように構成された、(ロックとともに又はロックにより形成されていない)突出部又はガイド部材を含むことができ、かつ/又はそれとともに使用することができる。例えば、こうした突出部又はガイド部材は、じょうご形状でありかつ/又は突出部242の内面と実質的に同様の形状である内面を有することができる。このように、こうした突出部及び/又はガイド部材の内面は、カテーテル260が第1位置と第2位置との間で移動する際に、カテーテル260の一部を案内することができる。いくつかの実施形態では、(突出部242を含む)ロック240は、こうした外部の又は別個の突出部及び/又はガイド部材とともに使用することができる。いくつかのこうした実施形態では、ロック240の突出部242の一部は、ロック240がアダプタ(例えば、IV拡張セット)に結合されるときに突出部及び/又はガイド部材に挿入することができる。
【0057】
[1081] 上述したように、カテーテル260の少なくとも一部及び二次カテーテル265の少なくとも一部は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215内に移動可能に配置される。図16に図示するように、カテーテル260は、近位端部261及び遠位端部262を有し、内腔263を規定する(例えば、図24を参照)。カテーテル260の近位端部261は、アクチュエータ270の第2部分275に結合される。このように、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させて、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260を、カテーテル260がイントロデューサ210内に配置される(例えば、カテーテル260全体がイントロデューサ210内に又はイントロデューサ210及びロック240内に配置される)第1位置と、ロック240がPIVに結合されたときに、カテーテル260の遠位端部が、ロック240及び/又はPIV(図示せず)に対して遠位の位置に少なくとも部分的に配置される第2位置との間で移動させることができる。遠位端部262は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成とすることができ、内腔263と流体連通する少なくとも1つの開口部を規定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端部262は、開示内容が全体として参照により本明細書に援用される、2012年4月26日に出願された、「末梢IVカテーテルによる静脈採血システム及び方法(Systems and Methods for Phlebotomy Through a Peripheral IV Catheter)」と題する米国特許第8,366,685号(本明細書では、「‘685特許」と呼ぶ)に記載されているもののうちの任意ものと実質的に同様であり得る。
【0058】
[1082] カテーテル260は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル260の少なくとも一部は、上述したように、ロック240の内腔255によって規定される内径と実質的に同様であるか又はそれよりわずかに小さい外径を有することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル260の外面は、内腔255の少なくとも一部を規定するロック240の内面と接触するように構成することができる。このように、内腔255を規定するロック240の上記部分の内面は、カテーテル260が第1位置と第2位置との間で移動する際にカテーテル260を案内することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置により、カテーテル260が第1位置と第2位置との間で移動する際のカテーテル260の曲がり、変形及び/又はキンクの量を制限することができ、かつ/又はそれを実質的に防止することができる。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル260は、第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位面をPIVの遠位面に対して所望の位置に配置するのに十分な長さを有することができる。言い換えれば、本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260の長さは、カテーテル260が第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位面とPIVの遠位面との間に所定のかつ/又は所望の距離を規定するのに十分であり得る。
【0059】
[1083] カテーテル260は、任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができ、それにより、カテーテル260は、任意の好適な剛性又はデュロメータ硬さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、約20ショアA~50ショアD、約20ショアD~95ショアD、約70ショアD~85ショアDのショアデュロメータ硬さ、及び/又は他の任意の好適な範囲のショアデュロメータ硬さを有する比較的可撓性の生体適合性材料から、カテーテル260を形成することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル260の少なくとも一部は、編組材料等から形成することができ、それにより、曲げ力等に応じてカテーテル260の可撓性を修正し、変更し、かつ/又は改変することができる。言い換えれば、編組材料からカテーテル260の少なくとも一部を形成することにより、カテーテル260の内腔263を座屈させ、キンクさせ、かつ/又は他の方法で塞ぐ前に、カテーテル260の変形の量を(曲げ力に応じて)増大させることができる。同様に、編組材料からカテーテル260の少なくとも一部を形成することにより、カテーテル260によって規定される長手方向中心線の方向にかけられる圧縮力(例えば、軸方向力等)に応じて圧縮及び/又は変形をもたらすことができる。このように、カテーテル260は、遮断等に関連し、例えば影響を与える力の一部を吸収することができる。場合により、こうした配置により、カテーテル260の座屈及び/又はキンクを低減させるとともに、本来カテーテル260の衝撃からもたらされる可能性のある血管構造に対する損傷を低減させかつ/又は実質的に防止することができる。さらに、いくつかの実施形態では、例えば、編組材料からカテーテル260の少なくとも一部を形成することにより、(上述したように)アクチュエータ270の一部がイントロデューサ210の一組のリブ236に沿って前進するのに応じて、カテーテル260を通して伝達される振動の量を増大させることができる。カテーテル260について、編組材料から形成された少なくとも一部を含むものとして上述したが、他の実施形態では、カテーテル260の少なくとも一部は、上で参照により本明細書に援用した‘685特許に記載されているもの等、支持ワイヤ、ステント、開窓型カテーテル等から形成することができ、かつ/又はそれを含むことができる。
【0060】
[1084] 二次カテーテル265は、近位端部266及び遠位端部267を有し、内腔268を規定する(例えば、図24を参照)。二次カテーテル265の一部は、(例えば、第1部材220及び第2部材230それぞれの切欠き223及び233によってまとめて規定される)イントロデューサ210の開口部217内に配置されかつそれを通って延在する。従って、近位端部266は、少なくとも部分的にイントロデューサ210の外側に配置され、遠位端部267は、少なくとも部分的に、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215内に配置される。上述したように、開口部217内で第1位置と第2位置との間で二次カテーテル265を移動させて、二次カテーテル265の一部を選択的に締め付け、はさみつけ、キンクさせ、曲げかつ/又は他の方法で変形させることができ、それにより、二次カテーテル265の内腔268を塞ぎ、はさみつけ、キンクさせ、閉鎖し、封止する等となる。例えば、第1位置は、第2位置に関連しかつ/又は位置合せされる開口部217の第2部分の周長及び/又は直径より大きい周長及び/又は直径を有する開口部217の第1部分と関連付けかつ/又は位置合せすることができる。従って、術者は、二次カテーテル265の内腔268を閉塞させるように二次カテーテル265を操作することができ、それにより、その中を通る流体の流れの量を制限し、流れを制限し、かつ/又は実質的に阻止することができる。
【0061】
[1085] 図16に図示するように、二次カテーテル265の近位端部266は、カプラ269に結合されかつ/又は他の方法でカプラ269を含む。カプラ269は、二次カテーテル265を、例えば、流体リザーバ、流体源、シリンジ、(例えば、シース付き針を有するか又はシース付き針に結合するように構成された)真空容器ホルダ、ポンプ等、任意の好適なデバイスに物理的にかつ流体的に結合するように構成されている。二次カテーテル265の遠位端部267は、少なくとも部分的に、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215内に配置され、アクチュエータ270の第2部分275に結合されている。いくつかの実施形態では、二次カテーテル265は、カテーテル260より大きい直径を有することができ、それにより、カテーテル260及び二次カテーテル265がアクチュエータ270の第2部分275に結合されたとき、カテーテル260の近位端部261は、少なくとも部分的に、二次カテーテル265によって規定される内腔268内に配置される。いくつかの実施形態では、こうした配置により、例えば、カテーテル260と二次カテーテル265との間を流れる流体に関連する漏れを低減させ、かつ/又は実質的に防止することができる。いくつかの実施形態では、こうした配置により、ある量の血液がカテーテル260及び二次カテーテル265を通って流れる際にその血液の溶血の量を制限し、溶血を低減させ、かつ/又は実質的に防止することも可能である。このように、カプラ269が流体リザーバ、流体源、シリンジ、真空容器、ポンプ等に結合されると、二次カテーテル265は、リザーバ、流体源、ポンプ等とカテーテル260との間に流体連通を確立する。
【0062】
[1086] 移送デバイス200のアクチュエータ270は、カテーテル260に結合され、イントロデューサ210の長さに沿って移動して、移送デバイス200を、カテーテル260が第1位置にあるその第1形態と、カテーテル260が第2位置にあるその第2形態との間で遷移させることができる。アクチュエータ270は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270は、イントロデューサ210のサイズ及び/又は形状に関連しかつ/又は少なくとも一部にはそれに基づくサイズ及び形状を有することができる。
【0063】
[1087] 図17図20に図示するように、アクチュエータ270は、第1部分271と、第2部分275と、それらの間に延在する壁277とを含む。上述したように、アクチュエータ270の第1部分271は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214内に少なくとも部分的に配置され、アクチュエータ270の第2部分275は、内部空間213の第2部分215内に配置される。アクチュエータ270の第1部分271は、係合部材272を含む。アクチュエータ270の係合は、係合部材272がイントロデューサ210の外側に配置され、一方で、第1部分271の残りの部分が、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214にある、というものである。従って、係合部材272は、術者により(例えば、術者の指により)係合させかつ/又は操作して、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させることができる。いくつかの実施形態では、係合部材272は、一組の隆起、及び/又は、例えば、アクチュエータ270及び/又は移送デバイス200の人間工学的な面を向上させることができる任意の好適な表面仕上げを含むことができる。
【0064】
[1088] 係合部材272は、係合部材272の近位端部に又はその近くに配置されたタブ273を含む。タブ273は、係合部材272の表面から延在する、任意の好適なタブ、レール、隆起、出っ張り、突起、つまみ、ローラ、スライダ等であり得る。タブ273は、イントロデューサ210の第2部材230の外面235と選択的に係合するように構成されている。より具体的には、タブ273は、第2部材230によって形成されたリブ236と接触し、アクチュエータ270がイントロデューサ210の長さに沿って移動する際に各連続したリブに沿って移動する。
【0065】
[1089] 第2部材230の一組のリブ236に関して上述したように、タブ273は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は構成を有することができる。例えば、図18に示すように、タブ273は、一組のリブ236に沿って移動することができる実質的に曲線状の面を含むことができる。いくつかの実施形態では、タブ273のサイズ及び/又は形状は、少なくとも一部には、リブ236のサイズ及び/又は形状に基づき、それにより、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際、タブ273の所望の表面領域がリブ236と接触する。いくつかの実施形態では、一組のリブ236とタブ273との間で規定される摩擦の量は、少なくとも一部には、一組のリブ236と接触するタブ273の表面積に基づくことができる。さらに、一組のリブ236とタブ273との間に規定される摩擦の量は、少なくとも一部には、各リブに対するタブ273の位置に基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、タブ273とリブとの間で規定される摩擦の量は、タブ273が例えば局所最大部に近づくように移動する際に増大することができ、タブ273が局所最大部から離れるように移動する際に低減することができる。いくつかの実施形態では、タブ273は、タブ273が、各隣接するリブの間(例えば、隣接する局所最大部の間)が実質的に低摩擦で移動するのを可能にする、サイズ及び/又は形状を有することができる。言い換えれば、タブ273及び一組のリブ236の配置により、隣接するリブの間の所望の量の「遊び」を可能にすることができる。
【0066】
[1090] 一組のリブ236の第1部分237が一組のリブ236の第2部分238より小さいサイズを有することにより、タブ273の第1部分又は第1表面領域は、一組のリブ236の第1部分237と接触することができ、タブ273の第2部分又は第2表面領域は、一組のリブ236の第2部分238と接触することができる。このように、タブ273は、第1組の特徴を有する第1部分237に沿って移動することができ、第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有する第2部分238に沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、例えば、一組のリブ236の第2部分238に沿ってタブ273を移動させるのに十分な力は、一組のリブ236の第1部分237に沿ってタブ273を移動させるのに本来十分である力より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、一組のリブ236の第2部分238に沿ってタブ273を移動させることにより、例えば、一組のリブ236の第1部分237に沿ったタブ273の移動から本来もたらされる振動の量より大量のアクチュエータ270の振動をもたらすことができる。同様に、タブ273の形状は、タブ273が、タブ273を近位方向に一組のリブ236に沿って移動させるのに不十分な力が加えられることに応じて、遠位方向に一組のリブ236に沿って移動する、というものであり得る。例えば、図18に示すように、タブ273は非対称形状を有し、そこでは、タブ273の近位面は、その遠位面のピッチより大きいピッチを有する。
【0067】
[1091] 係合部材272及びタブ273について特に図示し上述したが、他の実施形態では、アクチュエータは、任意の好適な構成を有する係合部材及び/又はタブを含むことができる。例えば、タブ273は、係合部材272の近位端部に又はその近くに配置されているように図示しているが、他の実施形態では、係合部材は、近位端部に又はその近くに配置された第1タブと、遠位端部に又はその近くに配置された第2タブとを含むことができ、それらの各々は、イントロデューサの外面に配置された一組のリブに選択的に接触することができる。いくつかの実施形態では、壁277の表面と係合部材272の表面との間に規定された空間を増大させるか又は低減させることができ、それにより、軸方向以外の方向においてイントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動の量の低減又は増大をもたらすことができる。すなわち、壁277の表面と係合部材272の表面との間の空間の増減により、例えば、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して「傾斜する」ことができる量の増減をもたらすことができる。他の実施形態では、アクチュエータ270が所望の組の特徴を有するイントロデューサ210に対して移動するように、係合部材272、タブ273及び/又はイントロデューサ210の一組のリブ236の配置を、修正し、改変し、適合させ、調整し、かつ/又は他の方法で変更することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270及び/又はイントロデューサ210の配置により、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に振動する量を増減させ、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させるのに十分な力の量を増減させ、軸方向以外の任意の好適な方向(例えば、近位方向又は遠位方向)におけるイントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動の量を増減させること等が可能である。
【0068】
[1092] 例えば、図19及び図20に図示するように、第2部分275は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第2部分215の断面形状に少なくとも一部には基づく断面形状(例えば、少なくとも部分的に円形断面形状)を有する。このように、第1部材220の内面223と第2部材230の内面233とは、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に、アクチュエータ270の第2部分275を支持しかつ/又は案内することができる。図示するように、第2部分275は、カテーテル260の近位端部261と二次カテーテル265の遠位端部267とを受け入れるように構成された開口部276を規定する。いくつかの実施形態では、カテーテル260の近位端部261は、近位端部261が開口部276内に配置されると、アクチュエータ270の第2部分275の内面と摩擦嵌合を形成することができる。同様に、二次カテーテル265の遠位端部267は、遠位端部267が開口部276内に配置されると、アクチュエータ270の第2部分275の内面と摩擦嵌合を形成することができる。従って、カテーテル260及び二次カテーテル265は、アクチュエータ270に対して固定位置に維持することができ、従って、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際に、アクチュエータ270と同時に移動することができる。
【0069】
[1093] アクチュエータ270の壁277は、アクチュエータ270の第1部分271をアクチュエータ270の第2部分275に結合する。図19及び図20に図示するように、壁277は、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の曲がりくねった断面形状に少なくとも一部には基づく曲がりくねった断面形状を有する。このように、アクチュエータ270の第1部分271は、アクチュエータ270の第2部分275によって規定される軸に対して平行であるがそこから角度をなす軸を規定することができる。いくつかの実施形態では、例えば、壁277は、実質的にS字型、又は少なくとも部分的にS字型の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、壁277は、例えば、くの字形等を形成することができる。壁277(従って、アクチュエータ270)の曲がりくねった断面形状により、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214を介して、アクチュエータ270の第2部分275を見ることができない(例えば、第2部分275は視線外にある)。同様に、カテーテル260が第1位置にあるとき、イントロデューサ210によって規定される内部空間213の第1部分214を介して、カテーテル260を見ることはできない。すなわち、アクチュエータ270及び/又はイントロデューサ210の幾何学的形状(例えば、内部空間213の曲がりくねった断面形状、イントロデューサ210の高さ及び/又は幅等)は、カテーテル260が、第1位置にあるとき、内部空間213の第2部分215内で少なくとも部分的に隔離されるように構成されている。このように、イントロデューサ210及び/又はアクチュエータ260の構造は、イントロデューサ210の外側の空間からカテーテル260を保護しかつ/又は隔離することができ、それにより、カテーテル260の汚染の量を制限しかつ/又は汚染を実質的に防止することができる。例えば、いくつかの実施形態では、イントロデューサ210及び/又はアクチュエータ270は、少なくともカテーテル260が第1位置にあるとき、カテーテル260を少なくとも部分的に隔離するように構成された「スニーズガード」等として作用することができる。
【0070】
[1094] ここで図21図29を参照すると、移送デバイス200は、使用前に第1形態にあり得る。術者(例えば、医師(doctor)、医師(physician)、看護師、技師、フレボトミスト等)により、移送デバイス200を第1形態(図21図24)から第2形態(図27図29)に遷移させて、カテーテル260の少なくとも遠位端部262を、イントロデューサ210に対して遠位位置に(例えば、留置PIV(図示せず)内に又は留置PIVに対して遠位に)配置することができる。移送デバイス200は、カテーテル260がイントロデューサ210内で第1位置260に配置されるとき、第1形態にある。いくつかの実施形態では、カテーテル260が第1位置にあるとき、実質的にカテーテル260全体がイントロデューサ210内に配置される。こうした実施形態では、イントロデューサ210は、内部空間213の第2部分215内でカテーテル260を隔離するようにイントロデューサ210の遠位端部212を実質的に封止することができる(上述したような)シール等を含むことができる。しかしながら、図22及び図23に示す実施形態では、カテーテル260は、第1位置にあるとき、イントロデューサ210及びロック240内に配置される。シールについて、イントロデューサ210の遠位端部212内に含まれているものとして上述したが、他の実施形態では、ロック240は、内腔243を規定するロック240の内面と実質的に流体密封シールを形成することができるシール等を含むことができる。従って、ロック240内に配置されたシールは、内部空間213の第2部分215内でカテーテル260を隔離することができる。さらに他の実施形態では、イントロデューサ210及び/又はロック240は、シールを含むことが必須ではない。例えば、いくつかの実施形態では、PIV及び/又はPIVに結合されたアダプタ(例えば、拡張セット)は、ロック240が結合されたときに閉鎖形態から開放形態に遷移するシールを含むことができる。図示しないが、いくつかの実施形態では、可撓性シース等の中にカテーテル260を配置することができ、それは、カテーテル260が第1位置にある間にカテーテル260を実質的に滅菌環境に維持することができる(例えば、イントロデューサ210及び/又はロック240がシールを含まない環境等)。
【0071】
[1095] 図24に示すように、移送デバイス200が第1形態にあるとき、アクチュエータ270は近位位置に配置される。いくつかの実施形態では、アクチュエータ270の第1部分271のタブ273を凹部又は戻り止め内に配置するか、又は他の方法で最近位リブと接触させることができ、最近位リブは、アクチュエータ270を遠位方向に移動させるように力が(例えば、術者により)かけられるまで、アクチュエータ270を近位位置で一時的に維持するように構成されている。さらに、上述したように、二次カテーテル265の一部は、イントロデューサによって規定される開口部217内に配置され、それにより、遠位端部267は、少なくとも部分的に、内部空間213の第2部分215内に配置され、二次カテーテル265の近位端部266がイントロデューサ210の外側に配置されている間、アクチュエータ270の第2部分275に結合される(例えば、図21及び図22を参照)。
【0072】
[1096] 移送デバイス200が第1形態にある状態で、術者は、ロック240を留置PIVにかつ/又はPIVに結合されたアダプタ(例えば、拡張セット等)に結合するように、移送デバイス200を操作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、術者は、ロック240の第1アーム243及び第2アーム250を枢動させるのに十分な力をかけることができ、それにより、PIV及び/又はアダプタの一部を、アーム243及び250と例えば突出部242との間に規定された空間内に挿入することができる。いくつかの実施形態では、ロック240が結合されると、PIV及び/又はアダプタ内に突出部242を挿入することができる。例えば、いくつかの実施形態では、PIV及び/又はアダプタのハブ又はバスケット内に、突出部242の一部を挿入することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、突出部242の少なくとも一部をPIV内に配置するのに十分長い突出部242、それにより、PIVを支持しかつ/又はPIVに対して構造的剛性を提供する。PIV及び/又はアダプタがロック240に対して所望の位置に配置されると、術者は、ロック240のアーム243及び250に対する力を取り除くことができ、それにより、アーム243及び250は、第1アーム243のタブ246及び第2アーム250のタブ253がPIV及び/又はアダプタの表面と接触するまで、突出部242に向かって移動する。いくつかの実施形態では、ロック240の配置は、タブ246及び253並びに突出部242が、まとまってロック240を結合したPIV及び/又はアダプタとの3つの接触点を形成する、というものである。
【0073】
[1097] 移送デバイス200がPIV及び/又はアダプタに結合された状態で、術者は、アクチュエータ270の第1部分271の係合部材272を作動させて、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させることができ、それにより、カテーテル260は、(例えば、イントロデューサ210内に配置された)第1位置から第2位置に向かって移動する。このように、カテーテル260は、内部空間213の第2部分215とロック240の内腔255とを通って移動し、従って、カテーテル260の少なくとも遠位端部262は、図25において矢印CCによって示すように、ロック240の外側にかつ遠位に配置される。いくつかの実施形態では、ロック240の内腔255及びカテーテル260の配置は、カテーテル260が遠位方向において第2位置に向かって移動する際、内腔255を規定するロック240の内面が、カテーテル260と接触し、カテーテル260を支持し、かつ/又は他の方法で案内する、というものであり得る。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル260を第1位置から第2位置に向かって移動させることは、(例えば、ロック240内に配置された)シールを閉鎖又は封止形態から開放形態に遷移させるように動作可能であり得る。他の実施形態では、術者は、(例えば、カテーテル260を第1位置から移動させる前に)移送デバイス200を操作して、シールを封止形態から開放形態に遷移させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、術者は、移送デバイス200の少なくとも一部(例えば、カテーテル260及び/又はロック240)内の圧力を所定の閾値を超えるように上昇させて、シールを開放形態に遷移させることができる。いくつかの実施形態では、シールは、一方向弁(例えば、正圧弁又はシール)とすることができ、それは、例えば、シールの近位部にかけられる圧力が、シールの遠位部にかけられる圧力(例えば、シールにかけられる静脈圧)を超えるとき、封止形態から開放形態に遷移することができる。
【0074】
[1098] 上述したように、アクチュエータ270及びイントロデューサ210の配置は、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を前進させることにより、タブ273が、イントロデューサ210の第2部材230の外面235、より具体的には一組のリブ236に沿って前進する、というものである。例えば、図26に図示するように、タブ273は一組のリブ236と接触し、それにより、アクチュエータ270がイントロデューサ210に対して移動する際にアクチュエータ270の振動をもたらすことができる。場合により、アクチュエータ270の振動は、例えば、イントロデューサ210、ロック240及び/又はPIVに対するカテーテル260の遠位端部262の位置に関連する表示を提供することができる、触覚(haptic)、触覚(tactile)及び/又は可聴出力を生成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270のタブ273及び一組のリブ236は、タブ273が各リブを越えて移動する際に、まとまって、「クリック」音を生成することができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサ210は、カテーテル260の遠位端部262の相対位置を術者に示すことができるしるし等を含むことができる。他の実施形態では、リブのその数に対してアクチュエータ270が移動することによって振動した回数は、カテーテル260の遠位端部262の相対位置に関連しかつ/又は他の方法でその表示を提供することができる。
【0075】
[1099] 場合により、術者は、PIVに対するカテーテル260の遠位端部262の所望の配置(例えば、第2位置)を示す触覚(haptic)、触覚(tactile)及び/又は可聴出力に基づいて、イントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動を停止させることができる。言い換えれば、アクチュエータ270が例えば最遠位位置まで前進する前に、カテーテル260を第2位置に配置することができる。本明細書においてさらに詳細に記載するように、カテーテル260の遠位端部262がPIVの遠位端部に対して所望の位置に配置されると、カテーテル260は第2位置に配置される。場合により、例えば、カテーテル260が第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位端は、PIVの遠位端と実質的に同一平面であり得る。他の場合では、カテーテル260の遠位端は、PIVの遠位端を所定の距離越えて(例えば、PIVの遠位端に対して遠位に)延在することができる。さらに他の場合では、カテーテル260が第2位置にあるとき、カテーテル260の遠位端をPIV内に(例えば、PIVの遠位端に対して近位に)配置することができる。
【0076】
[1100] 図27図29に図示するように、場合により、アクチュエータ270が最遠位位置にあるとき、カテーテル260は第2位置にあり得る。このように、カテーテル260の遠位面は、カテーテル260の遠位面を所定の距離越えて静脈内に配置される。場合により、カテーテル260の遠位面をPIVの遠位面から所定のかつ/又は所望の距離越えて配置することにより、例えば、PIVの遠位端部を本来は包囲する残骸(例えば、フィブリン/血栓)が実質的にない静脈内の位置に、カテーテル260の遠位面を配置することができる。
【0077】
[1101] 場合により、留置PIVは、PIVが配置される静脈の少なくとも一部を実質的に閉塞させる可能性がある。従って、PIVは、血液を吸引するのではなく流体を送達するのに適している場合が多い。しかしながら、静脈系は、容量系であり、従って、異なる静脈を通して血流のルートを変える(例えば、閉塞又は実質的な閉塞の周囲にバイパスを形成する)。さらに、代替的な静脈構造は、通常、PIVが配置される静脈をPIVの所与の距離下流において再接合し、従って、PIVが配置される静脈を通って本来は流れる血液の流れの少なくとも一部を送達する。同様に、静脈には、通常、PIVが配置される静脈に血液の流れを同様に送達する、多くの分枝血管が結合されている。
【0078】
[1102] 従って、場合により、カテーテル260の遠位面とPIVの遠位面との間の所定のかつ/又は所望の距離は、カテーテル260の遠位面を、PIVが配置される静脈と流体連通する1つ又は複数の分枝血液の下流に配置するのに十分であり得る。言い換えれば、カテーテル260の遠位面は、カテーテル260の遠位面を越えて延在することができ、それにより、カテーテル260が第2位置にあるとき、少なくとも1つの分枝血管は、カテーテル260の遠位面とPIVの遠位面との間に配置される。従って、カテーテル260の内腔263がカテーテル260の近位端部261及び遠位端部262を通って延在している状態で、カテーテル260の遠位面をPIVの遠位面から所定のかつ/又は所望の距離に配置することにより、カテーテル260の内腔263を実質的に遮断されない又は制限されない(例えば、PIV及び/又はPIVの留置に関連する残骸によって遮断されない)血液の流れを受け入れる静脈の部分と流体連通させる。
【0079】
[1103] 場合により、例えば、所定のかつ/又は所望の距離は、約0.0ミリメートル(例えば、遠位面が同一平面にある)~約100ミリメートル(mm)であり得る。他の実施形態では、所定のかつ/又は所望の距離は、約10mm~約90mm、約20mm~約80mm、約30mm~約70mm、約30mm~約60mm、約40mm~約50mm、又はそれらの間の他の任意の好適な範囲もしくは部分範囲の間であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、移送デバイス200は、アクチュエータ270が、カテーテル260の遠位面を、移送デバイス200が結合されるPIVの遠位面を約40mm越えて配置するように、イントロデューサ210に沿って約95mm移動することができる(例えば、移送デバイス200は95mmストロークを有する)ように構成することができる。他の実施形態では、例えば、移送デバイス200は、カテーテル260の遠位面を、移送デバイス200が結合されるPIVの遠位面を約20mm越えて配置する、47mmストロークを有することができる。さらに他の実施形態では、移送デバイス200は、カテーテル260の遠位面を、PIVの遠位面から所定のかつ/又は所望の距離に配置するように任意の好適なストローク長を有することができる。
【0080】
[1104] 所定のかつ/又は所望の距離について、正の距離であるものとして上述し、すなわち、カテーテル260の遠位面はPIVの遠位面に対して遠位であるが、他の実施形態では、所定のかつ/又は所望の距離は、カテーテル260の遠位面がPIVの遠位面に対して近位位置にあること(例えば、負の距離)に関連付けることができる。例えば、場合により、所定のかつ/又は所望の距離は、約0.0mm(例えば、遠位面が同一平面にある)~約-50mm、約-10mm~約-40mm、約-20mm~約-30mm、又はそれらの間の他の任意の好適な範囲もしくは部分範囲の間であり得る。場合により、所定のかつ/又は所望の距離は、-50mm未満であり得る(例えば、カテーテル260の遠位面は、PIVの遠位面に対して50mmを超えて近位である)。場合により、カテーテル260の遠位端部262が例えば、PIV内でキンク等に対して遠位の位置にあり続けるように、カテーテル260を第2位置に配置することができる。例えば、場合により、留置PIVは、末梢静脈カテーテルがハブに結合するPIVの一部等、キンクする1つ又は複数の部分を有する可能性がある。こうした場合、所定のかつ/又は所望の距離は、カテーテル260の遠位面がキンクを形成するPIVの部分(例えば、末梢静脈カテーテルがハブに結合する場所)に対して遠位であるようなものとすることができる。いくつかのこうした場合では、カテーテル260の遠位面をPIVのキンク部分に対して遠位であるがPIV内に留まるように配置することにより、流体流路は、血液がカテーテル260を通して吸引されるのを可能にするのに十分に制限されないようにすることができる。
【0081】
[1105] カテーテル260が第2位置にある状態で(例えば、移送デバイス200が、例えば図25及び図26又は図27図29に示す第2形態にある状態で)、術者は、流体リザーバ、流体源、シリンジ等とカテーテル260との間に流体連通を確立することができる。例えば、上述したように、いくつかの実施形態では、術者は、二次カテーテル265のカプラ269を流体リザーバ、流体源、シリンジ等に物理的にかつ流体的に結合することができる。カテーテル260を第2位置に配置した後、カテーテル260と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立するものとして記載しているが、他の実施形態では、術者は、イントロデューサ210に対してアクチュエータ270を移動させる前に、カテーテル260と流体リザーバ又は流体源との間に流体連通を確立することができる。カテーテル260が流体リザーバ及び/又は流体源と流体連通している状態で、その後、移送デバイス200は、PIVを通りかつ越えて延在するカテーテル260を介して、患者の体内から流体を移送し、又は患者の体内に流体を移送することができる。例えば、場合により、術者は、移送デバイス200を、流体リザーバ、真空容器、シリンジ等に物理的にかつ流体的に結合することができ、その後、少なくとも一部には、PIVの遠位面を所定のかつ/又は所望の距離越えてカテーテル260の遠位面を配置することに基づき、静脈からある量の血液を吸引することができる。
【0082】
[1106] 他の場合では、術者は、移送デバイス200を流体源等に物理的にかつ流体的に結合することができ、その後、ある量の流体を、流体源から、実質的に阻止されないかつ/又は制限されない血液の流れを受け入れる、PIVの下流の位置における静脈の一部に送達することができる。場合により、カテーテル260の遠位面を、PIVの遠位面を所定のかつ/又は所望の距離越えて配置することにより、例えば、腐食薬の注入に関するあり得る損傷を低減させることができる。例えば、カテーテル260の遠位面を、本来は留置PIVによって阻止されかつ/又は制限される血液の流れを受け入れる静脈の部分内に配置することにより、腐食薬を血液の流れに混入させ、標的位置に送達することができる。従って、ある量の腐食薬は、残骸内に保持されず、又は、他の方法で、ほとんど血流を受け取らない静脈内の位置に配置されない。
【0083】
[1107] 場合により、所望の量の血液が採取されると、かつ/又は所望の量の薬物が患者の体内に送達されると、術者は、アクチュエータ270を近位方向に移動させ、それにより、移送デバイス200を第3(使用済み)形態にすることができる。第3形態では、カテーテル260をイントロデューサ210内に(例えば、シール等に対して遠位に)配置し、その中で隔離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270をその最近位位置に配置することができ、そこでは、カテーテル260が第1位置にある。さらに、アクチュエータ270及びカテーテル260が所望の位置になると、術者は、例えば、開口部217内で二次カテーテル265を操作して、開口部217の相対的に小さい部分を規定するイントロデューサ210の表面が二次カテーテル265と接触しそれを締め付けるようにすることができる。従って、二次カテーテル265の内腔268を、そこを通る流体の流れの量を制限しかつ/又は流れを実質的に阻止するように、実質的に塞ぎ、閉塞させ、遮断し、はさみつける等が可能である。場合により、二次カテーテル265を記載したように締め付けることにより、例えば、二次カテーテル265を通って流体が漏れるのを低減させかつ/又は実質的に防止することができる。場合により、その後、移送デバイス200を、流体リザーバ、流体源、シリンジ等から分離し、安全に廃棄することができる。
【0084】
[1108] 図30は、実施形態による、流体移送デバイスを使用して末梢静脈ラインにより流体を移送する方法10を示すフローチャートである。本方法は、11において、流体移送デバイスのロックを留置末梢静脈ライン(PIV)に結合することを含む。流体移送デバイスは、PIVにより流体移送するように構成された任意の好適なデバイスであり得る。例えば、この実施形態では、流体移送デバイスは、図3図29を参照して上述した流体移送デバイス200と実質的に同様であり得る。従って、流体移送デバイスは、ロックに結合されたイントロデューサと、イントロデューサ内に移動可能に配置されたカテーテルと、カテーテルに結合されかつイントロデューサの外面と接触しているアクチュエータとを含む。いくつかの実施形態では、イントロデューサは、まとまってイントロデューサを形成する第1部材及び第2部材を含む。こうした実施形態では、第2部材は、図7図12において第2部材230に関して上述したように、一組のリブ等を規定する外面を有することができる。このように、アクチュエータは、イントロデューサの第2部材によって形成されるリブと接触することができる。さらに、移送デバイス200に関して上述したように、イントロデューサは、内部空間を規定することができ、内部空間は、イントロデューサの外側の空間から内部空間内に配置されたカテーテルを少なくとも部分的に隔離するように構成された、曲がりくねった断面形状を有する。
【0085】
[1109] 12において、ロックがPIV(及び/又はPIVに結合されたアダプタ)に結合された状態で、アクチュエータをイントロデューサに対して移動させて、カテーテルを、カテーテルが、イントロデューサ又はロックによって規定された内部空間の少なくとも1つ内に配置されている第1位置から、カテーテルの少なくとも一部がPIVの少なくとも一部を越えて配置される第2位置に向かって前進させる。このように、カテーテルを、例えば遠位方向に前進させることができる。いくつかの実施形態では、ロックは、カテーテルが第2位置に向かって移動する際にカテーテルを受け入れるように構成された内腔を規定する内面を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロックの内面は、カテーテルが第2位置に向かって遠位方向に移動する際に、カテーテルと接触し、カテーテルを支持し、かつ/又は他の方法でカテーテルを案内することができる。
【0086】
[1110] いくつかの実施形態において移送デバイス200に関して上述したように、アクチュエータ及びイントロデューサの配置は、イントロデューサに対してアクチュエータを前進させることにより、イントロデューサの外面によって形成されたリブに沿ってアクチュエータの一部が前進する、というものである。いくつかの実施形態では、リブに沿ってアクチュエータを移動させることにより、アクチュエータの振動をもたらすことができ、それにより、触覚(haptic)、触覚(tactile)及び/又は可聴出力を生成することができる。従って、13において、アクチュエータがカテーテルを第1位置から第2位置に向かって移動させる際のカテーテルの遠位端部の位置に関連する表示を、術者に対して提供する。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ及び一組のリブは、まとまって、「クリック」音、触覚振動等を生成することができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサは、術者に対し、カテーテルの遠位端部の相対位置を示すことができるしるし等を含むことができる。他の実施形態では、アクチュエータをリブに沿って移動させることによってアクチュエータが振動する回数を、カテーテルの遠位端部の相対位置に関連付け、かつ/又はそうした回数が相対位置の表示を提供することができる。
【0087】
[1111] 14において、少なくとも一部には上記表示に基づき、カテーテルの遠位端部がPIVの少なくとも一部を(例えば、PIVの遠位面を)所定のかつ/又は所望の距離越えて配置されるように、カテーテルを第2位置に配置する。例えば、アクチュエータをイントロデューサの長さの少なくとも一部移動させた後、カテーテルを第2位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータが最遠位位置に配置されると、カテーテルを第2位置に配置することができる。移送デバイス200に関して上述したように、場合により、PIVの一部を越える所定のかつ/又は所望の距離により、カテーテルの遠位面を、本来はPIVの遠位端部を包囲する残骸(例えば、フィブリン/血栓)が実質的にない静脈の部分内に配置することができる。同様に、場合により、詳細に上述したように、例えばPIVの遠位端部分から所定のかつ/又は所望の距離にカテーテルの遠位端部を配置することにより、カテーテルの内腔を、実質的に遮断されていない又は制限されていない(例えば、PIV及び/又はPIVの留置に関連する残骸によって遮断されない)血液の流れを受け入れる静脈の一部と流体連通させることができる。このように、術者は、移送デバイスを流体リザーバ及び/又は流体源に結合して、患者の体内からかつ/又は患者の体内にそれぞれ流体を移送することができる。
【0088】
[1112] 移送デバイス100に関して図1及び図2において、又は移送デバイス200に関して図3図29には図示していないが、移送デバイス100及び200を任意の好適な末梢静脈ライン(PIV)に結合することができる。場合により、PIVの使用は、PIVをIV拡張セット及び/又はアダプタ(例えば、シングルポートアダプタ、Yアダプタ、Tアダプタ等)に結合することを含むことができる。従って、本明細書では、移送デバイス100及び200について、PIVに結合されているように記載しているが、状況及び/又は構成に基づいて、移送デバイス100及び200を、PIV又はそれに結合されたアダプタのいずれかに結合することができることが理解されるべきである。移送デバイス100及び200は、任意の好適な市販のPIV、アダプタ及び/又は拡張セットに結合するように構成することができる。例えば、ロック240の第1アーム243及び第2アーム250について、所与の形状及び/又は構成を有するものとして(例えば図13及び図14において)図示し上述しているが、他の実施形態では、ロックは、ロックがさまざまなPIV、アダプタ及び/又は拡張セットに結合されるのを可能にすることができるサイズ、形状及び/又は構成を有する、第1アーム及び第2アームを含むことができる。例として、いくつかの実施形態では、ロックが、任意の好適なPIV、アダプタ及び/又は拡張セットの一部を受け入れるのを可能にするように、ロックのアームを曲線状にし、曲げ、曲げ(bow)、広げる等が可能である。いくつかの実施形態では、ロック240のアーム243及び250の配置により、ロック240が、結合された任意の好適なPIV、アダプタ及び/又は拡張セットを中心に実質的に360°回転されるのを可能にすることができる。さらに、突出部242について、特定のサイズ及び/又は形状を有するものとして図示し上述しているが、他の実施形態では、ロックは、任意の好適な長さ(例えば、突出部242より長いか又は短い)、幅(例えば、突出部242より広いか又は狭い)及び/又は形状(例えば、湾曲、テーパ状、フレア状等)を有する突出部を含むことができる。いくつかの実施形態では、突出部は、1つ又は複数のねじ山、フライティング(例えば、オーガフライティング)、リブ、溝等の表面仕上げ又は特徴を有することができる。
【0089】
[1113] 本明細書に記載した実施形態を用いて、留置PIVを介して静脈にアクセスすることにより、流体を患者の体内から又は患者の体内に移送することができる。上述したように、移送デバイス100及び/又は200は、例えば、カテーテルの遠位面をPIVの遠位面から所定のかつ/又は所望の距離に配置するように操作することができる。場合により、本明細書に記載した実施形態により、サンプルの完全性を維持しながら、効率的な採血が可能になる。採血している間、移送デバイス100及び/又は200は、移送デバイス100及び/又は200それぞれを通る血液の実質的に層状の流れ(例えば、非乱流又は低乱流)を受け取りかつ/又は生成して、血液が移送デバイス100及び/又は200それぞれを通って流れる際に血液の溶血を低減させかつ/又は実質的に防止するように構成することができる。
【0090】
[1114] 本明細書に記載した実施形態は、種々の設定(ER、入院患者等)で使用することができるが、例として、患者の体内からサンプル量の血液を抜き取る以下のシナリオを提供する。場合により、例えば、末梢静脈ライン及び/又はカテーテル(PIV)は、標準ガイドラインに従って患者の静脈内に挿入され、拡張セット及び/又はアダプタが取り付けられる。PIVは、長期間、静脈内に留まることができ、患者に流体(例えば、生理食塩水、血液、薬物化合物等)を移送するために、静脈へのアクセスを提供することができる。採血する時間になると、術者(例えば、看護師、医師、フレボトミスト等)は、PIVが流体を移送している場合、流体が採血部位から分散するのを可能にするように約1分間~5分間、患者への流体の移送を停止させることができる。血液サンプルを採取するために、術者は、拡張セット及び/又はアダプタのポート及び/又は好適な部分に移送デバイス(例えば、移送デバイス100及び/又は200)を取り付け、移送デバイスを第1形態(例えば、保管形態)から、移送デバイスに含まれるカテーテルの一部が末梢IVを通って静脈内に延在する第2形態に遷移させる。
【0091】
[1115] 移送デバイス200に関して詳細に上述したが、移送デバイスが第2形態にあるとき、カテーテルを、遮断されないかつ/又は阻止されない血液の流れを受け取る静脈の部分と流体連通させるように、カテーテルの端部をPIVの端部から所定のかつ/又は所望の距離に配置することができる。例えば、カテーテルの端部は、PIVの端部、及び静脈と流体連通している少なくとも分枝血管、弁等に対して遠位位置にあり得る。カテーテルが所望の位置になると、術者は、1つ又は複数の負圧収集容器、チューブ及び/又はシリンジを移送デバイスに取り付けて、ある量の血液を採取することができる。場合により、ある量の血液は、廃棄しかつ/又は後続するサンプル量の血液から少なくとも一時的に隔離して保管することができる第1量の血液であり得る(例えば、典型的には、約1ミリリットル(mL)~3mLの容量であるが、最大8mL~10mLの血液が、「不用な(waste)」又は「プレサンプル」量であり得る)。場合により、不用な量は、汚染物質、非分散残留流体等を含む可能性がある。不用な量の集まりの後、術者は、1つ又は複数の負圧容器(例えば、サンプル容器)を移送デバイスに結合して、所望の血液サンプル量を採取することができる。サンプル量が採取されると、移送デバイスを、第2形態から第1形態及び/又は第3形態(例えば、「使用済み」形態)に遷移させることができる。そして、移送デバイスを、拡張セット及び/又はアダプタから分離して、安全に廃棄することができる。場合により、サンプル量を収集した後であるが、移送デバイスを第2形態から遷移させる前に、不用な又はプレサンプル量を、例えば静脈内に再注入することができる。
【0092】
[1116] 場合により、本明細書に記載する移送デバイスは、1つ又は複数の製造プロセス中に組み立て、組立済み形態で包装することができる。例えば、場合により、移送デバイス200は、カテーテル260及び二次カテーテル265をアクチュエータ270に結合し、カテーテル260、二次カテーテル265及びアクチュエータ270をイントロデューサ210の第1部材220又は第2部材230に対して位置決めし、第1部材220及び第2部材230を結合してイントロデューサ210を形成し、その際、アクチュエータ270並びにカテーテル260及び二次カテーテル265の少なくとも一部がイントロデューサ210の内部空間213内に配置され、ロック240をイントロデューサ210に結合することによって、組み立てることができる。場合により、移送デバイス200の組立は、例えば、エチレンオキシド環境等、実質的に滅菌した環境で行うことができる。他の実施形態では、本明細書に記載する移送デバイスは、未組立形態で包装することができる(例えば、術者が、包装を開放し、移送デバイスを形成するように部品を組み立てることができる)。移送デバイスの部品をあわせて又は別個に包装することができる。いくつかの実施形態では、移送デバイスは、例えば、PIV、拡張セット、YアダプタもしくはTアダプタ及び/又は他の任意の好適な部品とともに包装することができる。
【0093】
[1117] さまざまな実施形態について上述したが、それらは、限定としてではなく単に例として提示されていることが理解されるべきである。上述した概説及び/又は実施形態は、いくつかの向き又は位置に配置された、いくつかの構成要素を示すが、構成要素の配置は変更することができる。さまざまな実施形態について、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして記載したが、上述したような実施形態のうちの任意のものからの任意の特徴及び/又は構成要素の組合せを有する他の実施形態が可能である。
【0094】
[1118] 実施形態について特に図示し記載しているが、形式及び詳細のさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。例えば、移送デバイス200について、各々がアクチュエータ270に結合されている、カテーテル260及び二次カテーテル265を含むものとして図示し上述しているが、他の実施形態では、移送デバイス200は単一のカテーテル(例えば、カテーテル260)を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ270の少なくとも第2部分275を、開放形態と閉鎖形態との間で遷移するように構成することができる。こうした実施形態では、第2部分275が開放形態にあるとき、カテーテル260を第2部分275に対して所望の位置に配置することができる。そして、第2部分275を開放形態から閉鎖形態に遷移させて、カテーテル260の少なくとも一部を第2部分275によって規定される開口部276内に保持することができる。こうした実施形態では、第2部分275と開口部276内に配置されたカテーテル260の部分とは、アクチュエータ270に対してカテーテル260を固定位置で保持するように動作可能な摩擦嵌合を形成することができる。さらに、アクチュエータ270の第2部分275とカテーテル260との間に規定された摩擦嵌合は、アクチュエータ270に対して遠位であるカテーテル260の部分を、アクチュエータ270に対して近位であるカテーテル260の部分から隔離することができる。従って、アクチュエータ270に対して近位であるカテーテル260の部分は、アクチュエータ270に対して遠位であるカテーテル260の部分を汚染することなく、開口部217を通りかつ少なくとも部分的にイントロデューサ210の外側に延在することができる。
【0095】
[1119] 本明細書に図示し記載した実施形態の態様及び/又は特徴のうちの任意のものを、移送デバイスの性能に影響を与えるように変更することができる。例えば、イントロデューサ210の一組のリブ236のリブとアクチュエータ270のタブ273とは、上述したように、イントロデューサ210に対するアクチュエータ270の移動に関連する所望の組の特徴を生成するように、任意の好適な形状、サイズ、構成及び/又は配置を有することができる。別の例として、移送デバイス100及び/又は200の構成要素のうちの任意のものを、その構成要素の所望の硬度、デュロメータ硬さ及び/又は剛性をもたらすことができる任意の好適な材料から形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ロック240の少なくとも突出部242を、金属又は硬質プラスチック等の実質的に剛性の材料から形成することができる。こうした実施形態では、実質的に剛性の材料から少なくとも突出部242を形成することにより、突出部242が少なくとも部分的にPIV内に配置されたときに突出部242によってPIVに提供される構造支持を増大させることができる。同様に、突出部242は、カテーテル260がその中を移動するときにカテーテル260に対して支持を提供することができ、かつ/又は他の方法でカテーテル260を案内することができる。
【0096】
[1120] 上述した方法及び/又は概要は、ある順序で発生するいくつかの事象及び/又はフローパターンを示すが、いくつかの事象及び/又はフローパターンの順序を変更することができる。さらに、いくつかの事象は、可能な場合には並列プロセスで同時に実行することができるとともに、逐次実行することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル近位端部及びカテーテル遠位端部を有するカテーテルと、
前記カテーテルを受け入れるように構成されたイントロデューサであって、前記イントロデューサが、イントロデューサ近位端部と、イントロデューサ遠位端部と、前記イントロデューサ近位端部と前記イントロデューサ遠位端部との間に延在する複数のリブを有する外面と、を含み、前記外面が、第1リブ部分に沿って連続的に分配される第1組の特徴を有するリブを有する前記第1リブ部分と、第2リブ部分に沿って連続的に分配される前記第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有するリブを有する前記第2リブ部分と、を含み、前記イントロデューサ遠位端部が、留置末梢静脈ラインに結合されるように構成される、イントロデューサと、
アクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記カテーテルに結合され、かつ前記イントロデューサによって規定されるスロットを通って延在し、それによって前記アクチュエータの一部が前記複数のリブからの少なくとも1つのリブと接触し、前記アクチュエータが、前記カテーテルを、前記カテーテルが前記イントロデューサ内に配置される第1位置と、前記イントロデューサが前記留置末梢静脈ラインに結合されているときに、前記カテーテル遠位端部が前記留置末梢静脈ラインの少なくとも一部を越えて配置される第2位置との間で移動させるように前記イントロデューサに対して移動するように構成され、前記アクチュエータの前記一部が、前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる際に前記複数のリブからの前記リブの少なくとも一部に沿って移動させるように構成され、前記アクチュエータの前記一部及び前記複数のリブからの前記リブの前記少なくとも一部が、前記カテーテルの位置を示す触覚出力を術者に提供する、アクチュエータと、を備える、装置。
【請求項2】
前記アクチュエータの前記一部が前記複数のリブからの前記リブの前記少なくとも一部に沿って移動するのに応じて生成される前記触覚出力が、前記アクチュエータの振動である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記イントロデューサが、前記イントロデューサの内部空間を規定する内面を有し、
前記内面が、前記内面の一部が前記スロットと前記内部空間内に配置された前記カテーテルとの間の視線に配置されるように曲がりくねった断面形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のリブからの各リブが、非対称形状を有し、
前記アクチュエータの前記一部が、前記第1組の特徴を有する前記複数のリブからの前記リブの前記少なくとも一部に沿って遠位方向に移動するように構成され、
前記アクチュエータの前記一部が、前記第1組の特徴とは異なる前記第2組の特徴を有する前記複数のリブからの前記リブの前記少なくとも一部に沿って近位方向に移動するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のリブの前記第1リブ部分が、第1の複数のリブを含み、
前記複数のリブの前記第2リブ部分が、第2の複数のリブを含み、
前記第1の複数のリブからの各リブが、第1サイズを有し、
前記第2の複数のリブからの各リブが、前記第1サイズとは異なる第2サイズを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記アクチュエータの前記一部が、前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる際に前記第1の複数のリブからの前記リブの少なくとも一部及び前記第2の複数のリブからの前記リブの少なくとも一部に沿って移動するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アクチュエータの前記一部と前記第1の複数のリブからのリブとが、前記アクチュエータの前記一部が前記第1の複数のリブからのリブに対して移動する際に、まとまって第1触覚出力を生成し、
前記アクチュエータの前記一部と前記第2の複数のリブからのリブとが、前記アクチュエータの前記一部が前記第2の複数のリブからのリブに対して移動する際にまとまって第2の触覚出力を生成し、前記第2の触覚出力が前記第1触覚出力とは異なる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
カテーテル近位端部及びカテーテル遠位端部を有するカテーテルと、
前記カテーテルを受け入れるように構成されたイントロデューサであって、前記イントロデューサが、イントロデューサ近位端部と、イントロデューサ遠位端部と、前記イントロデューサ近位端部と前記イントロデューサ遠位端部との間に延在する複数のリブを有する外面と、を含み、前記外面が、第1リブ部分に沿って連続的に分配される第1組の特徴を有するリブを有する前記第1リブ部分と、第2リブ部分に沿って連続的に分配される前記第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有するリブを有する前記第2リブ部分と、を含み、前記イントロデューサ遠位端部が、留置末梢静脈ラインに結合されるように構成される、イントロデューサと、
アクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記カテーテルに結合され、かつ前記イントロデューサによって規定されるスロットを通って延在し、それによって前記アクチュエータの一部が前記複数のリブと接触し、前記アクチュエータが、前記カテーテルを、前記カテーテルが前記イントロデューサ内に配置される第1位置と、前記イントロデューサが前記留置末梢静脈ラインに結合されているときに、前記カテーテル遠位端部が前記留置末梢静脈ラインの少なくとも一部を越えて配置される第2位置と、の間で移動させるように前記イントロデューサに対して移動するように構成され、前記アクチュエータの前記一部が、前記アクチュエータが前記カテーテルを前記第1位置と前記第2位置との間で移動させる際に前記複数のリブに沿って移動するように構成され、前記複数のリブに沿った前記アクチュエータの前記一部の移動が、前記カテーテルが前記第2位置に向かって移動する際に障害物を通過する前記カテーテルの前進を容易にするように構成された振動を前記カテーテルの少なくとも一部に沿って生成する、アクチュエータと、
を備える、装置。
【請求項9】
前記イントロデューサが、前記イントロデューサの内部空間を規定する内面を有し、
前記内面が、前記内面の一部が前記スロットと前記内部空間内に配置された前記カテーテルとの間の視線に配置されるように曲がりくねった断面形状を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のリブに沿った前記アクチュエータの前記一部の前記移動が、前記カテーテルの位置を示す触覚出力を術者に提供するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記障害物が、前記留置末梢静脈ラインのハブ、前記留置末梢静脈ラインの少なくとも1つの内面の形状、又は前記留置末梢静脈ラインの一部内の残骸のうちの少なくとも1つに関連する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記イントロデューサ遠位端部と前記留置末梢静脈ラインとの間に配置されたアダプタであって、前記アダプタが、内腔を規定する内面を有し、前記内腔が、前記カテーテルが前記第1位置と前記第2位置との間で移動する際に前記カテーテルの一部を受け入れるように構成されている、アダプタをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記障害物が、前記アダプタの少なくとも1つの内面の形状、前記留置末梢静脈ラインのハブ、前記留置末梢静脈ラインの少なくとも1つの内面の形状、又は前記留置末梢静脈ラインの一部内の残骸のうちの少なくとも1つに関連する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
流体移送デバイスのイントロデューサを留置末梢静脈ラインに結合することであって、前記流体移送デバイスが、前記イントロデューサ内に移動可能に配置されたカテーテルと、アクチュエータと、を含み、前記アクチュエータが、前記カテーテルに結合され、かつ前記イントロデューサによって規定されるスロットを通って延在し、それによって前記アクチュエータの一部が前記イントロデューサの外面に沿って形成された複数のリブと接触し、前記複数のリブが、イントロデューサ近位端部とイントロデューサ遠位端部との間に延在し、さらに、前記外面が、第1リブ部分に沿って連続的に分配される第1組の特徴を有するリブを有する前記第1リブ部分と、第2リブ部分に沿って連続的に分配される前記第1組の特徴とは異なる第2組の特徴を有するリブを有する前記第2リブ部分と、を含むことと
記イントロデューサに対する前記アクチュエータの移動を開始し、前記カテーテルを第1位置から第2位置に向かって前進させることであって、前記カテーテルが、前記第1位置にあるときに前記イントロデューサ内に配置されることと、
前記アクチュエータが前記イントロデューサに対して移動する際に、前記カテーテルの位置に関連する表示を提供することであって、前記表示が、前記アクチュエータの前記一部前記複数のリブに沿って移動していることによって生成される触覚出力であることと、
前記表示が、前記カテーテルが前記第2位置にいることを示すとき、前記アクチュエータの前記移動を終了させることであって、前記カテーテルの遠位端部が、前記カテーテルが前記第2位置にあるとき、前記留置末梢静脈ラインの少なくとも一部を越えて配置されることと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記イントロデューサが、曲がりくねった断面形状を有する内部空間を規定し、
前記カテーテルが、前記内部空間の一部を規定する前記イントロデューサの内面が前記スロットと前記カテーテルとの間の視線内に配置されるように前記イントロデューサの前記内部空間内に配置される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記イントロデューサを前記留置末梢静脈ラインに前記結合することが、前記イントロデューサのロックを前記留置末梢静脈ラインのハブに結合することを含み、
前記イントロデューサが、前記ロックによって規定される内腔を少なくとも一時的に閉塞させるように構成されたシールを含み、
前記方法が、前記アクチュエータを前記イントロデューサに対して移動させる前に、前記シールの近位端部にかけられる圧力を上昇させて、前記シールを封止形態から開放形態に遷移させることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記触覚出力が、前記アクチュエータの前記一部が前記複数のリブに沿って移動する際の前記アクチュエータの前記一部に関連する振動である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記触覚出力が、前記アクチュエータの前記一部が前記複数のリブに沿って移動する際に前記アクチュエータの前記一部に関連する振動であり、
前記アクチュエータの前記一部の前記振動が、前記カテーテルが前記第2位置に向かって移動する際に前記カテーテルを1つ又は複数の障害物を通過して前進させるように動作可能である前記カテーテルの少なくとも一部に沿った振動を生成する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記表示が、前記カテーテルの遠位面と前記留置末梢静脈ラインの遠位面との間の距離を示し、
前記カテーテルが、前記表示が前記カテーテルの前記遠位面が前記留置末梢静脈ラインの前記遠位面を所定の距離越えて配置されていることを示すとき、前記第2位置にある、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記カテーテルが、前記カテーテルが前記第1位置から前記第2位置に移動する際に前記留置末梢静脈ライン内に存在する流体流制限を低減させるように構成され、
前記カテーテルが前記第2位置にあるときの前記アクチュエータの前記移動を終了させることが、前記カテーテルの前記遠位端部を本来は前記流体流制限によって制限される前記留置末梢静脈ラインの一部に対して遠位の位置に置くことを含む、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】