(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022323
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】コンテナ船
(51)【国際特許分類】
B63B 15/00 20060101AFI20220127BHJP
B63B 25/00 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B63B15/00 Z
B63B25/00 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021197995
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2018550813の分割
【原出願日】2017-03-30
(31)【優先権主張番号】PA201670183
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】502209039
【氏名又は名称】エー・ピー・モラー-マースク エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ポスボルグ,トロエルス
(57)【要約】
【課題】コンテナ船における任意の望ましい位置にブリッジを位置付けることが可能になり、コンテナ船の乗組員がブリッジからコンテナ船を制御/命令することを可能にする。
【解決手段】複数の輸送用コンテナをオープンデッキより上に積み込むために構成されたコンテナ船は、コンテナ船の船首の前部の前方の視野を撮るために配置された少なくとも1つのデジタルビデオカメラと、方向制御のための機器が設けられたブリッジと、エンジン制御のための機器と、デジタルビデオカメラにより撮られた画像のリアルタイム再生のための少なくとも1つのデジタルビデオカメラに結合された少なくとも1つのディスプレイスクリーンとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の輸送用コンテナをオープンデッキより上に積み込むために構成されたコンテナ船であって、
前記コンテナ船の船首の前部の前方の観視視野の1つまたは複数の画像を撮るために配置された少なくとも1つの光学センサであって、前記観視視野の少なくとも一部がブリッジからの視線の一直線上にない盲点である光学センサを含み、
前記ブリッジには、
方向のための機器と、
エンジンのための機器と、
前記光学センサにより撮られた前記盲点を含む前記1つまたは複数の画像のリアルタイム再生のための前記少なくとも1つの光学センサに結合された少なくとも1つのディスプレイと、が設けられる、コンテナ船。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光学センサが、船の長さの2倍または前記コンテナ船の500m前方の短い方未満の距離で始まる前記コンテナ船の前記船首の前方の海面への視野を提供するように配置される、請求項1に記載のコンテナ船。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光学センサが、喫水、トリムおよびデッキに積み込まれるコンテナの全ての条件下で両側に少なくとも10°まで、船の長さの2倍または前記船首の500m前方の短い方未満の距離で始まる前記コンテナ船の前記船首の前方の前記海面への視野を提供するように配置される、請求項2に記載のコンテナ船。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学センサが、前記コンテナ船の前方の領域の前記少なくとも1つの光学センサの視界が、前記コンテナ船のどの部分によっても実質的に隠されないとともに、好ましくは、前記コンテナ船の前記オープンデッキ上に積み込まれたいずれのコンテナによっても隠されないように、前記コンテナ船に置かれる、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項5】
前記コンテナ船が、前記コンテナ船の長さにわたって分布する複数のベイで配置され、前記コンテナ船の幅にわたって分布する複数の列で配置され、前記コンテナ船の高さの方向において複数の段で配置された前記オープンデッキより上での輸送用コンテナの格納のために構成され、前記少なくとも1つの光学センサが、最も前方に位置するベイにおいて積み込まれる輸送用コンテナの段の数に関わらず、前記コンテナ船の前の前記領域の隠されていない視界を提供するように、配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項6】
前記コンテナ船の周りの実質的に360°の水平視野を提供するための1つまたは複数の光学センサが設けられ、
前記ブリッジには好ましくは、実質的に円形または多角形配置構成内部の前記ブリッジ上の乗組員メンバーに対する前記実質的に360°の水平視野のリアルタイム再生のための前記円形または多角形配置構成で配置された複数のディスプレイスクリーンが設けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項7】
実質的に360°の水平視野と180°の垂直視野とを提供するための1つまたは複数の光学センサが設けられ、前記ブリッジには、複数のスクリーンが前記ブリッジを覆う半球体上に配置されたディスプレイ配置構成が設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項8】
前記コンテナ船の周りの音を捉えるために配置された複数のマイクロフォンが設けられ、
前記ブリッジには、前記マイクロフォンにより捉えられた前記音のリアルタイム再生のための音響変換器が設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項9】
前記コンテナ船の周りの音の指向性を捉えるために配置された複数のマイクロフォンが設けられ、
前記ブリッジには、前記ブリッジ上の乗組員メンバーが記録された前記音がどの方向から来ているか決定することを可能にする方法で、前記マイクロフォンにより捉えられた前記指向性音のリアルタイム再生のための音響変換器が設けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項10】
前記マイクロフォンに結合されるとともに前記マイクロフォンで捉えられた音の源までの距離を決定するように構成された音処理装置がさらに設けられ、
前記ブリッジには、前記音の源までの前記距離を示すために、好ましくは機器またはディスプレイスクリーンが設けられる、請求項8または9に記載のコンテナ船。
【請求項11】
操縦コンソールが設けられ、
前記操縦コンソールが、好ましくは、
舵を制御するための操舵ハンドル、
主エンジン動力または積荷を制御するためのハンドル、
プロペラ速度のためのインジケータ、
舵角のインジケータ、
前記コンテナ船の速度のインジケータ、及び
コンパス
の1つまたは複数を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光学センサが、画像ストリームを生成するためのデジタルビデオカメラである、請求項1~11のいずれか一項に記載のコンテナ船。
【請求項13】
コンテナ船に命令する方法であって、
光学センサで撮られた前記コンテナ船の前の領域のリアルタイムの視界を前記コンテナ船のブリッジ上のディスプレイスクリーン上に提供することと、
前記ブリッジから方向および/またはエンジン制御命令を発することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記コンテナ船の周りの実質的に360°の水平視界を撮ることと、
前記撮られた実質的に360°の水平視界を、ディスプレイスクリーンまたは前記ブリッジの領域を囲むディスプレイスクリーンの配列上で再生することと、を含み、
前記領域には、好ましくは操縦コンソールが設けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コンテナ船の周りの音を捉えることと、
前記捉えられた音を前記ブリッジ上の少なくとも1つの音響変換器で再生することと、を含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送用コンテナの格納および輸送のために構成されたコンテナ船、すなわち船舶に関し、本開示は特に、輸送用コンテナを積み込む能力が増大したコンテナ船に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ船は、輸送用コンテナ(インターモーダルコンテナ)を輸送するために設計および構築された船舶(貨物船)である。典型的には、コンテナ船は、その積荷の全てを、トラックサイズのインターモーダルコンテナに入れて運ぶ。コンテナ船は、商用インターモーダル貨物輸送の一般的な手段であり、現在ほとんどの航洋非バルク貨物を運んでいる。コンテナ船の容量は、20フィートコンテナ換算(TEU:twenty-foot equivalent units)で測定される。典型的な積荷は、20フィートおよび40フィート(2TEU)ISO規格コンテナの混合であり、後者が一般的である。
【0003】
輸送用コンテナは、船体に、すなわちコンテナ船のオープンデッキより下およびオープンデッキより上に積み込まれる。コンテナ船の長手方向においてベイに分割された格納空間、コンテナ船の横断方向においていくつかの列に分割された格納空間、および垂直方向において、格納空間は、いくつかの水平なコンテナ層または段に分割される。
【0004】
輸送用コンテナは可能な限り高く積み込まれ、コンテナ船の中にはオープンデッキより上に最大で10または11段ある状態で作動しているものもある。しかしながら、船首の最も近くに位置する上記デッキベイ、
図1および2に示されるとおり、ブリッジからコンテナ船の前の水面への視線を通す/可視性を提供するために、使用され得る段の最大数は減少する。
図1は、ブリッジおよび乗組員施設がエンジン煙突から分離したタワーにおいて配置されたいわゆるツインアイランド式コンテナ船を示す。
図2は、ブリッジ、乗組員施設およびエンジン煙突が組み合わされたシングルアイランド式コンテナ船を示す。破線7は、ブリッジから水面への視線を示す。海事規則は、船の長さの2倍またはコンテナ船の船首の500m前方の短い方未満の距離dで始まるコンテナ船の船首の前方の海面への視野が必要であるとしている。ブリッジの高さは、道路橋または鉄道橋および他の固定された構造物の下を通過することができないなど負の結果無しに増加させることができないため、
図1および2において明らかに分かり得るとおり、前方に位置するコンテナベイにおいては積み込むコンテナの段数を少なくすることが必要であった。
【0005】
船のブリッジは、部屋またはプラットフォームであって、そこから船が制御または命令され得る部屋またはプラットフォームである。船が航行中、ブリッジは、見張りの役目を務めるAB(able seaman:熟練船員)により通常は補助されるOOW(officer of the watch:当直士官)を乗せている。重要な操作中、船長は、おそらく手助けとしてOOWの支援を受けてブリッジにおり、AB、および場合により必要に応じて水先案内人は、舵輪のところにいることになる。
【0006】
ブリッジは、
図1に示されたいわゆるツインアイランド設計の船についてはそれ自体の上部構造に位置し、ブリッジは、
図2に示されたいわゆるシングルアイランド設計においては、エンジンのための煙突と組み合わされる。ブリッジの上部構造および煙突の上部構造により、または組み合わされた上部構造により占められた長さおよび空間は、コンテナを積み込むために使用され得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記で挙げられた問題を克服するか少なくとも減少させるシステムを提供することである。
【0008】
前述のおよび他の目的は、独立請求項における特徴により達成される。さらなる実装形式は従属請求項、説明および図から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様によると、複数の輸送用コンテナをオープンデッキより上に積み込むために構成されたコンテナ船が提供され、前記コンテナ船は、コンテナ船の船首の前部の前方の観視視野の1つまたは複数の画像を撮るために配置された少なくとも1つの光学センサであって、観視視野の少なくとも一部がブリッジからの視線の一直線上にない盲点である光学センサを含み、ブリッジには、方向のための機器と、エンジンのための機器と、前記光学センサにより撮られた盲点を含む1つまたは複数の画像のリアルタイム再生のための前記少なくとも1つの光学センサに結合された少なくとも1つのディスプレイと、が設けられる。
【0010】
ブリッジから見えない視野、例えばコンテナ船の船首のすぐ前方の領域などを撮るために配置されたデジタルビデオカメラなど少なくとも1つの光学センサを備えたコンテナ船を提供することにより、および光学センサにより撮られた画像をブリッジのディスプレイスクリーンなどに表示することにより、外が見えない位置であっても、コンテナ船における任意の望ましい位置にブリッジを位置付けることが可能になり、コンテナ船の乗組員がブリッジからコンテナ船を制御/命令することを可能にする。必要とされる視覚的および場合によりこの情報を依然として提供しつつ、ブリッジをコンテナ船上の任意の望ましい位置に配置することが可能であることは、オープンデッキのフローエリアが、デッキより上に積み込まれるコンテナの高さが従来のブリッジから船首の前方の海面への視線により制限されることの無い状態で、コンテナを積み込むために使用されることを可能にする。これらの新たな可能性は、所与のサイズのコンテナ船に積み込まれ得るコンテナの数が大幅に増加することを可能にする。
【0011】
第1態様の第1の可能な実装形態において、ブリッジには、コンテナ船の前の領域の視界を提供するいずれの窓も設けられない。
【0012】
第1態様の第2の可能な実装形態において、少なくとも1つの光学センサは、船の長さの2倍またはコンテナ船の500m前方の短い方未満の距離で始まるコンテナ船の船首の前方の海面への視野を提供するように、配置される。
【0013】
第1態様の第3の可能な実装形態において、前記少なくとも1つの光学センサは、喫水、トリムおよびデッキに積み込まれるコンテナの全ての条件下で両側に少なくとも10°まで、船の長さの2倍または船首の500m前方の短い方未満の距離で始まるコンテナ船の船首の前方の海面への視野を提供するように、配置される。
【0014】
第1態様の第4の可能な実装形態において、少なくとも1つのデジタルビデオカメラは、コンテナ船の前方の領域までの少なくとも1つのデジタルビデオカメラの視界が、コンテナ船のどの部分によっても実質的に隠されないとともに、好ましくは、コンテナ船のオープンデッキに積み込まれたいずれのコンテナによっても隠されないように、コンテナ船に置かれる。
【0015】
第1態様の第5の可能な実装形態において、コンテナ船は、コンテナ船の長さにわたって分布する複数のベイで配置され、コンテナ船の幅にわたって分布する複数の列で配置され、コンテナ船の高さの方向において複数の段で配置されたオープンデッキより上での輸送用コンテナの格納のために構成され、少なくとも1つの光学センサは、最も前方に位置するベイにおいて積み込まれる輸送用コンテナの段の数に関わらず、コンテナ船の前の領域の隠されていない視界を提供するように、配置される。
【0016】
第1態様の第6の可能な実装形態において、コンテナ船には、コンテナ船の周りの実質的に360°の水平視野/見通しを提供するための光学センサの1つまたは複数が設けられ、ブリッジには、好ましくは、実質的に円形または多角形配置構成内部のブリッジ上の乗組員メンバーに対する実質的に360°の水平視野のリアルタイム再生のための、当該円形または多角形配置構成で配置された複数のディスプレイスクリーンが提供される。
【0017】
第1態様の第7の可能な実装形態において、コンテナ船には、実質的に360°の水平視野と180°の垂直視野とを提供するための1つまたは複数の光学センサが設けられ、前記ブリッジには、複数のディスプレイが前記ブリッジを覆う半球体上に配置されたディスプレイ配置構成が設けられる。
【0018】
第1態様の第8の可能な実装形態において、コンテナ船には、コンテナ船の周りの音を捉えるために配置された複数のマイクロフォンが設けられ、ブリッジには、マイクロフォンにより捉えられた音のリアルタイム再生のための音響変換器が設けられる。
【0019】
第1態様の第9の可能な実装形態において、コンテナ船には、コンテナ船の周りの音の指向性を捉えるために配置された複数のマイクロフォンが設けられ、ブリッジには、ブリッジ上の乗組員メンバーが記録された音がどの方向から来ているか決定することを可能にする方法で、マイクロフォンにより捉えられた指向性音のリアルタイム再生のための音響変換器が設けられる。
【0020】
第1態様の第10の可能な実装形態において、コンテナ船には、マイクロフォンに結合されるとともにマイクロフォンで捉えられた音の源までの距離を決定するように構成された音処理装置が設けられ、ブリッジには、好ましくは、音の源までの距離を示すために機器またはディスプレイスクリーンが設けられる。
【0021】
第1態様の第11の可能な実装形態において、コンテナ船には操縦コンソールが設けられ、操縦コンソールは、好ましくは以下の機器すなわち、舵を制御するための操舵ハンドル、エンジン動力を制御するためのハンドル、プロペラ速度のためのインジケータ、プロペラの回転の方向のためのインジケータ、舵角のインジケータ、コンテナ船の速度のインジケータ、コンパスの1つまたは複数を含む。
【0022】
第1態様の第12の可能な実装形態において、ブリッジはオープンデッキより下に位置する。
【0023】
第1態様の第13の可能な実装形態において、コンテナ船は、オープンデッキより上に所定の最大高さまで輸送用コンテナを積み込むように構成され、ブリッジは所定の最大高さより下に位置する。
【0024】
第1態様の第14の可能な実装形態において、コンテナ船は、オープンデッキより上に最大数の段、結果として所定の最大高さでのコンテナの積み込みのために構成される。
【0025】
第1態様の第15の可能な実装形態において、少なくとも1つの光学センサはデジタルビデオカメラ、好ましくは3Dビデオカメラ、例えばデュアルビデオカメラまたはステレオビデオカメラであり、前記少なくとも1つのディスプレイスクリーンは好ましくは、第2態様による3Dビデオを表示するように構成され、コンテナ船に命令する方法が提供され、本方法は、コンテナ船のブリッジ上のディスプレイスクリーン上にコンテナ船の前の領域のリアルタイムの視界を提供することと、ブリッジから方向および/またはエンジン制御命令を発することとを含む。
【0026】
第1態様の第16の可能な実装形態において、コンテナ船には、コンテナ船の前の波システムを検出するためのレーダーが設けられる。
【0027】
第1態様の第17の可能な実装形態において、少なくとも1つの光学センサは、画像ストリームを生成するためのデジタルビデオカメラである。
【0028】
第2態様によると、コンテナ船に命令する方法が提供され、前記方法は、光学センサで撮られた前記コンテナ船の前の領域のリアルタイムの視界を、前記コンテナ船のブリッジ上のディスプレイスクリーン上に提供することと、前記ブリッジから方向および/またはエンジン制御命令を発することとを含む。
【0029】
第2態様の第1の可能な実装形態において、ディスプレイスクリーンを監視するブリッジ上の乗組員メンバーおよびブリッジから方向および/またはエンジン制御命令を発する乗組員メンバー。
【0030】
第2態様の第2の可能な実装形態において、ブリッジには、ブリッジ上の乗組員メンバーにコンテナ船の前の領域の視界を与えるいずれの窓も設けられない。
【0031】
第2態様の第3の可能な実装形態において、本方法は、コンテナ船の周りの実質的に360°の水平視界を撮ることと、撮られた実質的に360°の水平視界をディスプレイスクリーンまたはブリッジの領域を囲むディスプレイスクリーンの配列上で再生することとを含み、領域には、好ましくは操縦コンソールが設けられる。
【0032】
第2態様の第4の可能な実装形態において、本方法は、コンテナ船の周りの音を捉えることと、捉えられた音をブリッジ上の少なくとも1つの音響変換器で再生することとを含む。
【0033】
第2態様の第5の可能な実装形態において、音は、指向的にコンテナ船の周りに好ましくは360°水平に捉えられ、捉えられた音は、ブリッジ上の乗組員メンバーが記録された音がどの方向から来ているか決定し得るように、ブリッジ上の複数の空間的に分布する音響変換器を通じて再生される。
【0034】
第2態様の第6の可能な実装形態において、方法は、コンテナ船の船首の前の領域の深さ情報を有するビデオを撮ることと、前記ブリッジ上の前記少なくとも1つのディスプレイスクリーンに3Dでの深さ情報を有する撮られたビデオを表示することとを含む。
【0035】
これらのおよび他の態様は、以下に記載の実施形態から明らかになる。
【0036】
本開示の以下の詳細部分において、態様および実装形態は、図面に示された例示的実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】いわゆるツインアイランド設計の先行技術のコンテナ船の側面図である。
【
図2】いわゆるシングルアイランド設計の先行技術のコンテナ船の側面図である。
【
図4】第1実施形態によるコンテナ船の船尾図である。
【
図6】ビデオカメラ配置構成を示す
図4のコンテナ船の概略上面図である。
【
図7】マイクロフォン配置構成を示す
図4のコンテナ船の概略上面図である。
【
図8】
図4の第1実施形態のコンテナ船のブリッジの上面図である。
【
図10】
図4の実施形態のコンテナ船のシステムのブロック図である。
【
図11】コンテナ船の別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1および3は、先行技術、すなわち従来のコンテナ船1、すなわち多数の輸送用コンテナを積み込むとともに輸送するのに好適な船を、それぞれ、側面図および船尾図で示す。コンテナ船という用語は全体にわたって使用されるが、本発明は、他のタイプの船舶または船にも当てはまり得る。
【0039】
コンテナ船1は、球状船首7と船尾8との間のコンテナ船1の全長にわたって延在する船体2を含む。船体2は、1つまたは複数のエンジンルーム、燃料タンク、およびコンテナ船1の作動のために必要とされる他の施設を収納する。船体2の主な部分が、切欠
図11により示されるとおり、コンテナを積み込むために使用される。コンテナ船1には、推進力のための1つまたは複数の大きい圧縮点火内燃エンジン、すなわちプロペラ9を駆動する4ストロークまたは2ストローク圧縮点火燃焼エンジンが設けられ、コンテナ船1上の電力および熱の様々なコンシューマのために電力および熱を提供する1つまたは複数の補助エンジン(発電機セット)がある。1つまたは複数の舵10がコンテナ船1の方向制御を提供する。
【0040】
大洋貨物船1には、ブリッジ3と1つまたは複数の煙突4とが設けられる。
図1の実施形態において、ブリッジ3の上部構造は煙突4の上部構造から離れており、したがって、このタイプのコンテナ船1の設計は、「ツインアイランド」と呼ばれる。
【0041】
ブリッジ3には、外側への視界のための窓、および、コンテナ船1に命令するための機器および制御装置を備えた操縦コンソールが設けられる。
【0042】
フォアマスト6が船首7に提供され、レーダーマスト5がレーダーアンテナ19を支えるためにブリッジ3の頂部に置かれる。オープンデッキ20が船体2の頂部を形成する。
【0043】
コンテナは、船体2内部に、オープンデッキ20上に、コンテナ船1の長さにわたって分布する複数のベイ12で積み込まれる。積み込まれたコンテナは、コンテナ船1の幅にわたって複数の列15で配置されるとともに、コンテナ船1の高さの方向に複数の段14で配置される。ベイ12は、繋索ブリッジ13により分離される。繋索ブリッジはおよそ4段の高さに延在するとともに、繋索することによりコンテナを固定するのに役立つ。
【0044】
図3は、
図2のコンテナ船1が、ブリッジ3および煙突4が組み合わされた構造であるいわゆるシングルアイランド設計であることを除き、
図1のコンテナ船と同様の別の先行技術のコンテナ船の側面図である。煙突4は主エンジンの近くに配置されなければならないため、および、主エンジンはプロペラ9の近くになければならないため、シングルアイランド設計のブリッジ3は、
図1のツインアイランド設計と比べて、船首6によりも船尾8の方により近くに配置される必要がある。
【0045】
先行技術のコンテナ船において、乗組員宿泊設備(図示せず)は、典型的には、上部構造のうちの1つにおいて提供される。
【0046】
海事規則は、航海および操縦ワークステーションから、すなわちブリッジ3からの視界が、喫水、トリムおよびコンテナなどデッキ貨物の全ての条件下で両側に10°まで、船の長さLの2倍または船首の500m前方のいずれかより短い方を超えて覆い隠されてはならないということを必要としている。コンテナ船1上で、この基準の達成は、ブリッジ3の高さ、ブリッジ3の長手方向位置、および最も前方に位置するコンテナベイ12におけるコンテナのスタックの高さ、すなわち最も前方に位置するコンテナベイ12における段14の数に依存する。この関係は、
図1および2における視線/可視性Sにより、および、ブリッジ3上の監視者にとって視界から覆い隠された船首の前方の海面の領域の長さdにより例示される。ブリッジ3は任意に高く配置されることはできず、さもなければ、コンテナ船1は道路橋および鉄道橋、水路の上にある他の固定された構造物の下を通過することができない。したがって、従来のコンテナ船においては、最大で8または9段を有するより後方に位置するコンテナベイと比べて、前方に位置する輸送用コンテナベイ12において輸送用コンテナの段14がより少ない状態で作動することが必要であった。
【0047】
図4および5は、第1実施形態によるコンテナ船1をそれぞれ船尾図および側面図で示す。第1実施形態によるコンテナ船1は、以下の点を除き、
図1および2のコンテナ船と本質的に同一である。
【0048】
従来のブリッジ3は除去され、上部構造の頂部に位置しないブリッジ18にとって代わられる。代わりに、ブリッジ18は、同様に煙突4を収納するとともにレーダーアンテナ19を備えたレーダーマスト5を支持する上部構造の内部に位置するが、ブリッジ18は、同様に船体2内に位置し得ることに留意されたい。したがって、ブリッジ18は、オープンデッキ20より上、オープンデッキ20上に積み込まれたコンテナの最大高さ未満の高さに置かれるか、ブリッジ18はオープンデッキ20より下に置かれる。第1実施形態において、ブリッジ18は、煙突4と併せて上部構造内部に示され、ブリッジ18は開くための窓を有さず、それを有する必要が無く、したがってブリッジ18は外側から見えないため、ブリッジ18は点線によって示される。
【0049】
乗組員宿泊設備(図示せず)は、好ましくは上部構造に配置される。
【0050】
コンテナ船1には、少なくとも1つの画像を撮るための1つまたは複数の光学センサが設けられる。光学センサは、コンテナ船の別のポイントで再生するための、コンテナ船の前方の光学情報を捉えるように構成される。いくつかの実施形態において、光学センサは、ビデオストリームを形成する画像のストリームを撮るように構成される。いくつかの実施形態において、光学センサは、船首7の前方の視野の画像(ビデオ)を撮るために配置されたデジタルビデオカメラ22である。このデジタルビデオカメラは、3Dカメラまたは従来の2Dカメラであり得る。いくつかの実施形態において、光学センサは、アナログビデオカメラまたは、光学情報を捉えるための他の任意の好適な手段であり得る。実施形態において、デジタルビデオカメラなどの光学センサは可視スペクトルにおいて作動するが、可視スペクトル外のカメラ(例えば赤外線または暗視カメラ)または可視スペクトル内および可視スペクトル外の両方で作動するカメラとともに作動することも可能である。
【0051】
実施形態において、デジタルビデオカメラは、フォアマスト6の頂部またはその近く、オープンデッキ20上に積み込まれるコンテナの高さに関わらず船首7の前方の海面の妨げられていない視界を提供する位置に設置される。
図6において、視界の可能な角度および船首7でのデジタルビデオカメラ22のための垂直方向が示され、好ましくはデジタルビデオカメラは、船首7の前の覆い隠される領域の長さdが短く、同時に、より高い領域において良好な視界が提供されるように、90°以上など、垂直視界においては比較的広角度を有する。デジタルビデオカメラ22の水平視野は好ましくは、
図6に示されるとおり、好ましくは180°より大きい、さらにより好ましくは少なくとも225°の視界の角度Zbと、比較的幅広くあるべきである。
【0052】
デジタルビデオカメラの視野は、観視視野の少なくとも一部がブリッジからの視線の一直線上にない盲点であることを含む。これは、ブリッジにおける画像の再生が、ブリッジからの盲点の画像またはビデオを提供することを意味する。これは、ブリッジからの船の制御および移動をより容易にする。
【0053】
図6に示されるとおり、コンテナ船1には、船尾8に、船尾8の後方の視野の画像(ビデオ)を撮るように構成された別のデジタルビデオカメラ22が設けられ得る。好ましくは、船尾8のデジタルビデオカメラ22もまた、水平視界の角度Zsにより示されたとおり広角ビデオカメラである。さらに、コンテナ船1には、コンテナ船1のポート側への視野の画像(ビデオ)を撮るように構成されたポート側デジタルビデオカメラ22が設けられ得る。ポート側デジタルビデオカメラ22も、好ましくは、角度Zpにより示されるとおり広角度カメラである。広角右舷ビデオカメラ22も、広角度Zsbにより示されるとおり、提供され得る。4つのデジタルビデオカメラ22は、併せて、コンテナ船1の周りの360°の水平視野を提供するカメラ配置構成を形成する。
【0054】
本発明の実施形態において、配置構成は4つのカメラを含むが、360°の水平視界を有する単一のカメラが、360°の視界を有する組み合わされた複数のカメラの代わりに使用され得ることが理解される。コンテナ船1の周りの360°の水平視界を有するカメラ配置構成を提供するために、より多くの数のカメラも使用され得る。
【0055】
図7は、例えば他の船からの音信号および霧笛などコンテナ船1の周りの音を拾い上げるためのマイクロフォン配置構成を示す、コンテナ船1の概略上面図である。コンテナ船1には、360°の聴こえる範囲における音を拾い上げるために、いくつかのマイクロフォン24、好ましくは、コンテナ船1の周辺部に沿って位置付けられた、指向性マイクロフォン24が設けられる。
図7において、6つのマイクロフォン24を備えた配列が示されている。破線は、マイクロフォン24の各々の聴こえる角度を示す。しかしながら、例えば、コンテナ船1上の中央に置かれた単一の360°マイクロフォンまたは7つ以上の指向性マイクロフォン24を含む配置構成など任意の数のマイクロフォン24が使用され得ることが理解される。
【0056】
図8はブリッジ18の上面図であり、
図9はブリッジ18の一部の立面図である。ブリッジ18には、それ自体、従来のブリッジの通常の機器、例えば操舵ハンドル26、航行のためのディスプレイスクリーン28およびレーダー、様々な装置を設定するための調整ノブ23、主エンジンの積荷および速度を制御するためのハンドル(電信)29、ならびに様々な測定されたパラメータ/特性を表示する測定機器34を備えた従来の操縦コンソール21が設けられる。操縦コンソール21はブリッジ上の実質的に中心に置かれ、複数のディスプレイスクリーン25が操縦コンソール21の周りに円周方向に配置される。
【0057】
拡声器27が、操縦コンソール21の周りに円周方向に配置されるように、空間的に分布する。
【0058】
図10は、ブリッジ18上のシステムおよびそれに接続された装置のブロック図である。システムは、電子制御ユニット50であって、レーダー、ソナー、ライダー(レーザー走査)、測位システム(GPS)、舵センサ、エンジンセンサに、ECDIS(Electronic Chart Display and Information System:電子海図表示情報システム)、デジタルビデオカメラ22、指向性マイクロフォン24、IAS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)、VDR(wage data recorder:航海データ記録装置)、操縦コンソール21、拡声器27、ディスプレイスクリーン25、無線通信デバイス52、プロペラ速度およびピッチセンサ、船舶速度および方向センサおよびコンパス33に接続された電子制御ユニット50を含む。電子制御ユニット50とこれらのデバイス/機器との間の接続は例えば信号ケーブルを介した有線または無線であり得る。
【0059】
電子制御ユニット50は、機器上の接続されたセンサおよびデバイス、ディスプレイスクリーン28、操縦コンソールの測定機器30から受信した情報を表示するように構成される。
【0060】
ブリッジ18にはまた、ブリッジ上に位置するが操縦コンソール上にはないさらなる機器、ディスプレイスクリーンおよび測定機器(図示せず)、例えば、ブリッジ18上のオーバーヘッド器械類(図示せず)および器械による他のコンソール(図示せず)が設けられ得る。
【0061】
さらに、ブリッジ18には、コンテナ船1の操縦特徴についての情報が提供されることができ、これらは、電信での全速、半速、低速、および微速での前進に対応する、RPM単位でのプロペラ速度およびノット単位でのコンテナ船の速度を含む。コンパス33は、標準的な磁気コンパス、操舵磁気コンパス、もしくはジャイロコンパスまたはその組合せであり得る。
【0062】
操舵ハンドル26はテレモータトランスミッタを作動し得る。舵角指示器が操縦コンソール21上に設けられる。ブリッジ18には、天候監視システムおよび船舶自動識別装置(ASI:automatic identification system)、すなわち、船の名前、位置、航路、速度、目的地、貨物などについての情報を、可能性のある領域における船1に対してデジタル無線技術により送信/受信するためのシステムが設けられ得る。ブリッジ18にはまた、ARPA(Automatic Radar Plotting Aid:自動衝突予防援助装置)が設けられてもよく、この自動衝突予防援助装置は、コンテナ船1および近くの他の船舶の位置を表示する。
【0063】
レーダーは付近の船の位置を表示するとともに、いずれの種類の衝突も避けることにより船舶の航路を選択する。コンテナ船1には音響測深機(ソナー)が設けられてもよい。すなわち、音波を使用してコンテナ船の底部の下の水の深さを測定するために機器が使用される。コンテナ船にはまた、地球の軌道における測位衛星の助けを借りてコンテナ船の位置を決定するために、GPS受信機、または別の衛星利用測位システムのための同様の受信機を設けることができる。
【0064】
電子制御ユニット50はデジタルビデオカメラからの信号を受信しており、電子制御ユニット50は、ビデオカメラの配列により撮られた視覚情報をディスプレイスクリーン25の配列上に提示するために、ビデオカメラの配列から捉えられた信号を処理するための画像処理ユニットまたは画像処理ソフトウェアを含むかそれらと関連する。さらに、ディスプレイスクリーンは、深さ情報、すなわち3Dビデオを提供するように構成される。画像処理ユニット/処理ソフトウェアは、ブリッジ上の、例えば操縦コンソールの近くの位置にいる乗組員メンバーが、彼/彼女の周りのディスプレイスクリーン25の配列を見ることによりコンテナ船の周囲の360°の視界を有するように構成される。好ましくは、ブリッジは、コンテナ船1の前の領域の視界を示す操舵ハンドル26に対して操縦コンソール21の反対側のディスプレイスクリーン25、コンテナ船1の後ろの領域を表示する操舵ハンドル26が設けられた操縦コンソール21の側のディスプレイスクリーン、右舷視界を表示する操縦コンソール21の右舷側にあるディスプレイスクリーン25、ならびにカメラ配置構成により撮られたポート側の視界を表示する操縦コンソールのポート側のディスプレイスクリーン25により、従来のブリッジと同様の方法で方向付けられる。
【0065】
ディスプレイスクリーン25は、ブリッジ18上の乗組員メンバーにより装着された眼鏡(図示せず)の一部であり得る。眼鏡は、好ましくは、カメラ22により撮られたビデオの3Dビデオを表示することができる。眼鏡は、好ましくは、眼鏡が向けられた向きを検出するセンサを含み、眼鏡に接続された電子コントローラが、眼鏡の向きに対応するカメラ配置構成により撮られた視野を表示するように構成され、その結果、眼鏡を装着している乗組員メンバーに、例えば、眼鏡が(コンテナ船1の向きと比較して)前方に向けられたときにカメラ配置構成により撮られた前方の視界が提示され得る、クラスが後方へ向けられたときにカメラ配置構成により撮られた後方の視界が提示され得る、および、他の視界の方向についても同様に提示され得る。
【0066】
電子制御ユニット50にはまた、指向性マイクロフォン24の配列により捉えられた音を処理するように構成された音処理ユニット/音処理ソフトウェアが設けられる。捉えられた音は、それらが拡声器27により空間的に再生されるような方法で音処理ユニット/音処理ソフトウェアにより処理され、その結果、ブリッジ上の乗組員メンバーはどの方向から音がやって来ているのか聴いて分かる。音処理ユニット/音処理ソフトウェアは、捉えられた音の源の距離を決定するように構成され、捉えられた音の距離をブリッジ18の機器に示すように構成される。捉えられた音までの距離を決定するために、電子制御ユニット50は、レーダーおよび/もしくはカメラ配列および/もしくはライダーからの情報、ならびに/または、カメラ配列からの信号を有する地理的情報と組み合わされた位置データを組み合わせるように構成される。マイクロフォン24は、少なくともヒトの聴力スペクトルをカバーするように構成されるが、ある実施形態においては、マイクロフォン24はより広いスペクトルをカバーし、音処理ユニット/ソフトウェアは、ヒトの聴力スペクトル外で記録された音声信号を乗組員により検出され得る情報、例えば聴力スペクトル内の情報または機器またはディスプレイスクリーンに表示される情報に変換するように構成される。
【0067】
カメラ配置構成により撮られたビデオは、ディスプレイスクリーン25上にリアルタイムで再生され、その結果、ブリッジ18上の乗組員メンバーはコンテナ船舶1の周りのリアルタイムの360°の視界を有する。マイクロフォン配置構成により捉えられた音/音声は、拡声器配置構成によりリアルタイムで再生され、その結果、ブリッジ上の乗組員メンバーはコンテナ船舶1の周囲のリアルタイムの空間的音声情報を有する。
【0068】
この視聴覚情報により、ブリッジ18上の乗組員は、コンテナ船1の周囲についての情報にリアルタイムで十分に通じ、したがって、ブリッジ18からコンテナ船1へ命令することが完全にできる。コンテナ船1の周囲の視覚および音声情報に加えて、ブリッジ18上の乗組員は、他の源、例えば、レーダー、ライダー、ソナーおよびGPSからの情報である。ブリッジ18上の乗組員は、コンテナ船1に命令するための、操縦コンソールの形の、必要とされる器具類を有している。方向制御装置(舵)およびエンジン動力はブリッジ18から直接制御され得る。結果として、ブリッジ18には、外側への視界を提供するいずれの窓も設けられる必要はなく、したがって、ブリッジ18は、当該ブリッジがオープンデッキ20上に積み込まれるコンテナより上に位置する必要無しに、コンテナ船1に位置することが可能になる。したがって、ブリッジ18上の乗組員にとっての前方の可視性に悪影響を及ぼすこと無しに、前方に位置するコンテナベイが8または9段のコンテナで積み込まれ得ることが、この開示によるコンテナ船舶の利点である。
【0069】
図示されない実施形態において、実質的に360°の水平視野と実質的に180°の垂直視野とを提供するカメラ配置構成とブリッジ18とが設けられたコンテナ船には、複数のスクリーンがブリッジ18を覆う半球体上に配置されたディスプレイ配置構成が設けられる。
【0070】
実施形態において、VDRは、カメラ22により撮られたビデオもしくは、少なくとも、ディスプレイスクリーン25上に表示されたビデオ、および/または、マイクロフォン24により記録された音もしくは、少なくとも、拡声器27により再生された音を記録するように構成される。
【0071】
実施形態において、コンテナ船1には、コンテナ船1の前の波システムを検出するための波レーダー(図示せず)が設けられる。波レーダーは、安全な航行を確保するために船の速度を下げるべきかどうか判断するために、ブリッジ18上の航海士または他の乗組員メンバーのための情報を、例えばブリッジ18上のディスプレイスクリーンを介して提供する。波レーダーは、統計に基づいて、有義波高(これは海の状態を特徴付けるために使用される評価基準である)を判断し、これは、ヒトの目が波システムを直接的に監視するにせよ、ビデオカメラおよびディスプレイスクリーンを介して波システムを監視するにせよ、ヒトの目による判断より良い(より厳密である)。
【0072】
実施形態において、カメラ24、カメラ24とブリッジ18との間の接続、マイクロフォン24、およびブリッジ装置、例えば、ディスプレイスクリーン25ならびに調整、例えば電子制御ユニット50を制御するための電子装置は、冗長性のために少なくとも2回コンテナ船舶1上に提供される、その結果、万一これらのシステムのうちの1つが不注意により故障した場合でも、ブリッジ18上の乗組員が視覚および音声情報へのアクセスを依然として有する。
【0073】
実施形態において、電子制御ユニット50は、拡張現実を使用して、音源の近似、起源および距離をディスプレイスクリーンの1つまたは複数に例えばコンテナ船1からの円および線の形で表示し(オーバーレイ)、この領域は音源までの距離を示す。このオーバーレイは、好ましくは、航行地図および/またはレーダープロットに適用される。
【0074】
図11は、第1実施形態のコンテナ船と本質的に同一である第2実施形態によるコンテナ船を示し、違いはブリッジ18が船体2、すなわちオープンデッキ20より下に位置し、煙突4の隣の空間が煙突の各側にあるコンテナベイのために使用され、それにより、コンテナ船1のコンテナ積み込み容量がさらに増加することである。
【0075】
本発明は、本明細書における様々な実施形態と併せて説明された。しかしながら、開示された実施形態に対する他の変更形態も理解され得るとともに、当業者により、特許請求された発明を実施する際に、図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、達成され得る。特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の要素またはステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットが特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を満たし得る。特定の対応策が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの対応策の組合せが有利に使用され得ないということを示すものではない。
【0076】
特許請求の範囲において使用される参照符号は、範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の輸送用コンテナをオープンデッキより上に積み込むために構成されたコンテナ船であって、
前記コンテナ船の船首の前部の前方の観視視野の1つまたは複数の画像を撮るために配置された少なくとも1つの光学センサであって、前記観視視野の少なくとも一部がブリッジからの視線の一直線上にない盲点である光学センサを含み、
前記ブリッジには、
方向のための機器と、
エンジンのための機器と、
前記光学センサにより撮られた前記盲点を含む前記1つまたは複数の画像のリアルタイム再生のための前記少なくとも1つの光学センサに結合された少なくとも1つのディスプレイと、が設けられる、コンテナ船。
【外国語明細書】