(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022348
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】スロット付きパッチアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20220127BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20220127BHJP
H01Q 5/28 20150101ALI20220127BHJP
H01Q 5/364 20150101ALI20220127BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q13/08
H01Q5/28
H01Q5/364
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198772
(22)【出願日】2021-12-07
(62)【分割の表示】P 2019504553の分割
【原出願日】2018-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2017043786
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】山保 威
(57)【要約】
【課題】2つの送受信帯域の設定の自由度を向上させ、要求される送受信帯域に対応可能にする。
【解決手段】スロット付きパッチアンテナは、誘電体基板10と、この主面に設けられた放射電極20と、主面の反対面に配置される地板40とを備え、ミアンダ部31aを有する2対のスロット31を放射電極20に形成している。放射電極20の外形は正方形であり、スロット31は前記正方形の内側において前記正方形の各辺に沿って合計2対設けられていて、各スロット31は前記正方形の一辺に平行で前記正方形の中心を通る対称軸に関して線対称で、かつ前記正方形の中心に関して点対称に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板の主面に設けられた放射電極と、
前記主面の反対面に配置される地導体と、を備え、
ミアンダ部を有する複数のスロットを前記放射電極に形成し、
前記放射電極は、第1給電点及び第2給電点の2箇所で給電され、
前記放射電極の外形は略正方形であり、前記複数のスロットは前記略正方形の内側において前記略正方形の各辺に沿って設けられ、
前記複数のスロットは、前記放射電極の中心点に対して前記第1給電点及び前記第2給電点の外側に位置し、
前記ミアンダ部は、前記放射電極の内側に向かうように前記スロットに設けられており、かつ前記ミアンダ部は、1つのスロットに対して前記放射電極の内側に向かって突出する1つの凸部を有し 、
前記複数のスロットの各々は、前記放射電極の各辺の中央付近にのみ前記1つの凸部を設け、
前記第1給電点及び前記第2給電点は、前記1つの凸部の先端近傍に設けられ、それらの給電点と前記先端との距離が前記凸部の突出長より短い、スロット付きパッチアンテナ。
【請求項2】
前記略正方形の一辺に平行で前記略正方形の中心を通る対称軸に関して、各スロットは線対称で、かつ前記略正方形の中心に関して点対称に配置されている請求項1に記載のスロット付きパッチアンテナ。
【請求項3】
スロットアンテナ動作によって1.5GHz帯に対応可能であり、パッチアンテナ動作によって1.2GHz帯に対応可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロット付きパッチアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの別の送受信帯域で動作するスロット付きパッチアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
衛星用、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)用のアンテナ装置では、円偏波の電波に対応するパッチアンテナの使用が一般的である。また、最近、パッチアンテナの放射電極の外形で定まる送受信帯域とは別に、もう一つの送受信帯域を設ける要求が出てきている。
【0003】
この目的のためにスロット付きパッチアンテナが提案されている。
図12は従来のスロット付きパッチアンテナを示す(但し、地板省略)。この図に示すように、スロット付きパッチアンテナ5は、方形の誘電体基板10と、誘電体基板10の主面に設けられた平面状導体からなる方形の放射電極20と、主面の反対面に配置される図示しない地板(地導体)とを備え、さらに2対の直線状のスロット30を放射電極20に形成している。ここでスロット30は導体の無い部分である。また、放射電極20には給電点a,bの2箇所により2点給電を行って円偏波の送受信が効率的に行えるようにしている。パッチアンテナにおける2点給電によって、下記特許文献1に記載されているように、相互に位相が90°異なる信号を2つの給電点に給電することで、広い周波数帯域で軸比(Axial Ratio)を良好にすることが可能となる。
【0004】
図12のスロット付きパッチアンテナ5は、放射電極20の外形寸法から定まる送受信帯域(パッチアンテナ動作の送受信帯域)と、放射電極20に形成されたスロット30の長さで定まるスロットアンテナとしての送受信帯域(スロットアンテナ動作の送受信帯域)との2つの送受信帯域を有することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】論文「Dual-Frequency Patch Antennas」, S. Maci and G. Biffi Gentili 著、1045-9243/97, 1997 IEEE.
【0007】
非特許文献1は
図12に示したスロット付きパッチアンテナ5を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図12の従来のスロット付きパッチアンテナ5の場合、放射電極20を用いる本来のパッチアンテナ動作においては、誘電体基板10の誘電率に起因する放射電極20に対する電気長の増大効果が大きい(放射電極20に接する誘電体基板10の面積が大きい)。これに対し、直線状のスロット30によるスロットアンテナ動作においては、誘電体基板10のスロット30の周縁の誘電体部分しか関与しないため、誘電体基板10の誘電率に起因するスロット30に対する電気長の増大効果は小さい。また、直線状のスロット30の全長は放射電極20の一辺の長さよりも短くならざるを得ない。このため、放射電極20の外形寸法で定まるパッチアンテナ動作の送受信帯域に比較して、スロット30の長さで定まるスロットアンテナ動作による送受信帯域は、機械的な寸法比率以上に高くなる。
【0009】
このため、パッチアンテナ動作の送受信帯域にスロットアンテナ動作の送受信帯域を近づけることは出来なかった。
【0010】
本発明の実施の形態は、2つの送受信帯域の設定の自由度を向上させ、要求される送受信帯域に対応可能なスロット付きパッチアンテナに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様はスロット付きパッチアンテナである。このスロット付きパッチアンテナは、誘電体基板と、前記誘電体基板の主面に設けられた放射電極と、前記主面の反対面に配置される地導体とを備え、
ミアンダ部を有する複数のスロットを前記放射電極に形成し、
前記放射電極は、第1給電点及び第2給電点の2箇所で給電され、
前記放射電極の外形は略正方形であり、前記複数のスロットは前記略正方形の内側において前記略正方形の各辺に沿って設けられ、
前記複数のスロットは、前記放射電極の中心点に対して前記第1給電点及び前記第2給電点の外側に位置し、
前記ミアンダ部は、前記放射電極の内側に向かうように前記スロットに設けられており、かつ前記ミアンダ部は、1つのスロットに対して前記放射電極の内側に向かって突出する1つの凸部を有し 、
前記複数のスロットの各々は、前記放射電極の各辺の中央付近にのみ前記1つの凸部を設け、
前記第1給電点及び前記第2給電点は、前記1つの凸部の先端近傍に設けられ、それらの給電点と前記先端との距離が前記凸部の突出長より短いことを特徴とする。
【0012】
前記略正方形の一辺に平行で前記略正方形の中心を通る対称軸に関して、各スロットは線対称で、かつ前記略正方形の中心に関して点対称に配置されているとよい。
【0013】
スロットアンテナ動作によって1.5GHz帯に対応可能であり、パッチアンテナ動作によって1.2GHz帯に対応可能であるとよい。
【0014】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るスロット付きパッチアンテナによれば、ミアンダ部を有するスロットを放射電極に形成することで、従来の直線状のスロットと比較して電気長(換言すれば、実効波長)を長く設定することが可能になる。このため、パッチアンテナ動作及びスロットアンテナ動作の送受信帯域の設定の自由度を向上させ、要求される送受信帯域に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るスロット付きパッチアンテナの実施の形態1を示す斜視図。
【
図2A】実施の形態1の地板を省略して示す平面図。
【
図2B】実施の形態1におけるスロット付きパッチアンテナの寸法関係を説明するための平面図。
【
図4】スロット付きパッチアンテナにおけるスロットアンテナ動作の送受信帯域を、従来のミアンダ部の無いスロットの場合と、本発明の実施の形態1の場合(ミアンダ部有り)とを対比して示すVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)の周波数特性図。
【
図5】実施の形態1において、1210MHzでのパッチアンテナ動作のX-Z平面内の指向特性図。
【
図6】実施の形態1において、1594MHzでのスロットアンテナ動作のX-Z平面内の指向特性図。
【
図7】実施の形態1において、1210MHzでのパッチアンテナ動作のY-Z平面内の指向特性図。
【
図8】実施の形態1において、1594MHzでのスロットアンテナ動作のY-Z平面内の指向特性図。
【
図9】本発明の実施の形態2の地板を省略して示す平面図。
【
図10】本発明の実施の形態3の地板を省略して示す平面図。
【
図11】本発明の実施の形態4の地板を省略して示す平面図。
【
図12】従来のスロット付きパッチアンテナの地板を省略して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
図1乃至
図3で本発明に係るスロット付きパッチアンテナの実施の形態1を説明する。これらの図に示すように、スロット付きパッチアンテナ1は、正方形の誘電体基板10と、誘電体基板10の主面に設けられた平面状導体からなる正方形の放射電極20と、主面の反対面に配置される地板(地導体)40とを備え、さらに2対のスロット31を放射電極20に形成している。ここでスロット31は導体の無い部分であって、直線部分の略中間位置にミアンダ(蛇行)部31aを形成したものである。スロット31は正方形の放射電極20の内側において前記正方形の各辺に沿って(ミアンダ部31a以外は対向するスロット31同士が平行になるように)4個設けられており、各スロット31は前記正方形の一辺に平行で前記正方形の中心を通る対称軸に関して線対称で、かつ前記正方形の中心に関して点対称に配置されている。しかも、各スロット31はスロット付きパッチアンテナ1の中心点から見て給電点a,bより外側に位置している。
図3のように、放射電極20には同軸ケーブル25,26を介して給電点a,bの2箇所で2点給電を行って円偏波の送受信が効率的に行えるようにしている。
【0019】
この実施の形態1の場合、パッチアンテナ動作においては、正方形の放射電極20の一辺の長さ及び誘電体基板10の誘電率から定まる電気長が1/2波長(及びその整数倍)となる周波数が共振周波数となり、この共振周波数を含む周波数帯域が第1の送受信帯域となる。
【0020】
スロットアンテナ動作においては、スロット31がミアンダ部31aを有するため、ミアンダ部31aを有しないときに比べて全長が長くなり、電気長も増大する。このため、スロット31の全長及び誘電体基板10の誘電率から定まる電気長が1/2波長(及びその整数倍)となる共振周波数は、ミアンダ部31aを設けたことによって低下する。従って、スロットアンテナ動作の共振周波数を含む周波数帯域である第2の送受信帯域を第1の送受信帯域に近づく方向に移行させることが可能になる。
【0021】
図4は、スロット付きパッチアンテナにおけるスロットアンテナ動作の送受信帯域を、従来のミアンダ部の無いスロットの場合(
図12)と、本発明の実施の形態1のミアンダ部有りで
図2Bの寸法の場合とを対比して示すVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)の周波数特性図である。
図4のVSWRの周波数特性図は、
図2Bの寸法説明図及び
図12において、正方形の誘電体基板10の一辺の長さc=33mm、正方形の放射電極20の一辺の長さd=29mm、スロット30,31の長さ(スロット31についてはミアンダ部31aが無いものとした場合の長さ)e=25mm、スロット30,31の幅f=0.8mm、
図2Bのミアンダ部31aの突出長g=4.5mmとしたときの値である。スロット付きパッチアンテナにおけるスロットアンテナ動作の送受信帯域が、スロットにミアンダ部を設けたことで低い周波数帯に移行していることがわかる。すなわち、
図4に示すように、実施の形態1のスロット付きパッチアンテナ1のスロットアンテナ動作を考察した場合(図中、ミアンダ部無しは点線曲線、ミアンダ部有りは実線曲線)、ミアンダ部無しの共振周波数がP’,Q’,R’であったとき、ミアンダ部を設けたことで共振周波数はP,Q,Rになり、共振周波数が低く変化する。
【0022】
図5乃至
図8は実施の形態1(
図2Bの寸法関係は
図4のときと同じ)における右旋円偏波に対する垂直面内の指向特性図をそれぞれ示すものである。
図1において、地板40に垂直でスロット付きパッチアンテナ1の中心(放射電極20の中心)を通る方向をZ軸、地板40の面内で放射電極20の一辺と直交する方向をX軸、地板40の面内で放射電極20の前記一辺に隣接(直交)する辺と直交する方向をY軸に設定する。
図5及び
図6において、Z=0°は放射電極20の真上方向(放射電極20から地板40に向かう方向の反対向き)、Z=180°は放射電極20の真下方向(放射電極20から地板40に向かう方向)であり、Z=90°はX方向を示す。
図5は、1210MHzでのパッチアンテナ動作のX-Z平面内の指向特性であり、上向きのブロードな指向特性となっている。Z=0°での利得は2.847dBiである。
図6は同じく、1594MHzでのスロットアンテナ動作のX-Z平面内の指向特性を示し、上向きのブロードな指向特性となっている。Z=0°での利得は4.351dBiである。
【0023】
また、
図7及び
図8において、Z=0°は放射電極20の真上方向、Z=180°は放射電極20の真下方向であり、Z=90°はY方向を示す。
図7は、1210MHzでのパッチアンテナ動作のY-Z平面内の指向特性であり、上向きのブロードな指向特性となっている。Z=0°での利得は2.847dBiである。
図8は同じく、1594MHzでのスロットアンテナ動作のY-Z平面内の指向特性を示し、上向きのブロードな指向特性となっている。Z=0°での利得は4.351dBiである。
【0024】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0025】
(1) スロット付きパッチアンテナ1において、ミアンダ部31aをスロット31に設けることで電気長を増大させることが可能であり、スロットアンテナ動作の送受信帯域を従来よりも低く設定可能である。この結果、パッチアンテナ動作及びスロットアンテナ動作の送受信帯域の設定の自由度を向上させ、要求される送受信帯域に対応可能となる。例えば、パッチアンテナ動作によって1.2GHz帯に対応させ、スロットアンテナ動作によって1.5GHz帯に対応させることが可能である。
【0026】
(2) スロット31は、正方形の放射電極20の内側において前記正方形の各辺に沿って(ミアンダ部31a以外は対向するスロット31同士が平行になるように)4個設けられており、各スロット31は、前記正方形の一辺に平行で前記正方形の中心を通る対称軸に関して線対称で、かつ前記正方形の中心に関して点対称に配置されている。このため、給電点a及びbにおける信号の位相差が90°で同振幅の場合、円偏波の送受信を好適に行うことができる。
【0027】
図9は本発明の実施の形態2を示す。この場合、スロット付きパッチアンテナ2において、正方形の放射電極20には全体的に正方形の中心に向けて円弧状に湾曲した2対のスロット32が形成されている。スロット32は、前記正方形の内側において前記正方形の各辺に沿って4個設けられている。各スロット32は、前記正方形の一辺に平行で前記正方形の中心を通る対称軸に関して線対称で、かつ前記正方形の中心に関して点対称に配置されている。その他の構成は前述の実施の形態1と同様である。
【0028】
実施の形態2によっても、湾曲したスロット32を放射電極20に設けることで、スロット32の電気長を増大させることが可能であり、実施の形態1と実質的に同じ効果を奏することが可能である。
【0029】
図10は本発明の実施の形態3を示す。この場合、スロット付きパッチアンテナ3において、正方形の放射電極20には、その角部近傍に位置するミアンダ付きの曲折部33aを有する2対のスロット33が形成されている。このスロット33の場合、放射電極20の一辺に平行なスロット部分と前記一辺と直交する辺に平行なスロット部分との間にミアンダ付きの曲折部33aが設けられていることで、ミアンダ付きの曲折部33aが無いときに比べてスロット33の全長は長くなる。スロット33は、前記正方形の内側において前記正方形の2辺に沿った配置である。各スロット33は、前記正方形の一辺に平行で前記正方形の中心を通る対称軸に関して線対称で、かつ前記正方形の中心に関して点対称に配置されている。その他の構成は前述の実施の形態1と同様である。
【0030】
実施の形態3によっても、ミアンダ付きの曲折部33aを有するスロット33を放射電極20に設けることで、スロット33の電気長を増大させることが可能であり、実施の形態1と実質的に同じ効果を奏することが可能である。
【0031】
図11は本発明の実施の形態4を示す。この場合、スロット付きパッチアンテナ4において、正方形の放射電極20には、2対のスロット34が形成されている。各スロット34の直線部分の略中間位置にミアンダ(蛇行)部34aが2個形成されている。スロット34は、前記正方形の内側において前記正方形の各辺に沿って4個設けられている。各スロット34は、前記正方形の一辺に平行で前記正方形の中心を通る対称軸に関して線対称で、かつ前記正方形の中心に関して点対称に配置されている。その他の構成は前述の実施の形態1と同様である。
【0032】
実施の形態4によっても、ミアンダ部34aを2個有するスロット34を放射電極20に設けることで、スロット34の電気長を増大させることが可能であり、実施の形態1と実質的に同じ効果を奏することが可能である。また、実施の形態1のスロット31ではミアンダ部31aを1個設けていたのに対し、実施の形態4のスロット34ではミアンダ部34aを2個設けている。このことから、スロット31とスロット34の電気長を同じとした場合、スロット34の放射電極20の一辺(スロット34の直線部分が延びる方向と平行な放射電極20の一辺)に沿った長さはスロット31に比べて短くなる。このため、実施の形態4では実施の形態1に比べてパッチアンテナを小型化することができる。さらに、ミアンダ(蛇行)部が3個以上形成されたスロットが放射電極20に形成されていてもよい。
【0033】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0034】
本発明の実施の形態においては、パッチアンテナの中心点に向かうミアンダ(蛇行)部や湾曲部(スロット32の湾曲した箇所)、曲折部を設けたスロット形状としているが、求める周波数帯によっては、パッチアンテナの中心点(換言すれば、放射電極の中心点)から外側に向かうミアンダ部や湾曲部を設けたスロット形状でもよい。
【0035】
本発明の実施の形態では、2点給電の場合を例示したが、1点給電の場合にも本発明は適用可能であり、給電手段は同軸ケーブルに限定されないことは明らかである。
【符号の説明】
【0036】
1,2,3,4,5 スロット付きパッチアンテナ
10 誘電体基板
20 放射電極
25,26 同軸ケーブル
30,31,32,33,34 スロット
31a,34a ミアンダ部
33a ミアンダ付きの曲折部
40 地板