(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022376
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】人工静脈弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199418
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2018529507の分割
【原出願日】2016-08-25
(31)【優先権主張番号】62/209,351
(32)【優先日】2015-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/356,337
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518063399
【氏名又は名称】イノベイン,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アルバート ケー.チン
(72)【発明者】
【氏名】オースティン ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エー.クレイマー
(57)【要約】
【課題】脈管系内に埋植するための人工弁インプラント装置及び埋植の方法の提供。
【解決手段】静脈疾患を治療するための人工静脈弁インプラントは、拡張可能な固定フレームと、固定フレームに取り付けられた弁座と、固定フレームに取り付けられたボール保持部材と、固定フレームの管腔内において弁座とボール保持部材との間に配置されたボールと、を含むことができる。固定フレームは、第1端部と、第2端部と、中間弁部分とを含むことができ、中間弁部分は、第1端部又は第2端部のいずれかの直径より小さい直径まで拡張する。ボールは、中間弁部分内において、完全開放位置と完全閉鎖位置との間で前後に移動できる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈疾患の治療のために静脈に埋植するための人工静脈弁のインプラントであって、
前記インプラントが、
1つの管状の拡張可能な固定フレームであって、該拡張可能な固定フレームは、上流端部から下流端部までインプラントの全長にわたって延びるステント様構造体からなり、前記固定フレームを通過して前記上流端部から前記下流端部まで延びる管腔を形成し、該拡張可能な固定フレームは、送達カテーテルを介した送達のために、折畳み状態から送達カテーテルの外側の拡張状態に拡張可能であり、前記固定フレームは、前記上流端部と前記下流端部との間に狭い中間部分を有する砂時計形状を有しており、前記上流端部と前記下流端部はともに前記中間部分より幅が広い、1つの管状の拡張可能な固定フレームと、
前記固定フレームの狭い前記中間部分の内面に直接取り付けられた弁座であって、該弁座は、拡張可能かつ折畳み可能である、弁座と、
ボールであって、該ボールが、前記インプラントを通過する血液の前進流を許容する位置にある開放位置と、前記弁座に接触して前記インプラントを通過する血液の逆流を防止して前記インプラントを通過する下流方向への血液の前進流を許容する閉鎖位置との間で、前後に移動するように、前記固定フレームの前記管腔内において前記弁座と前記下流端部との間に配置された、ボールと、
ボール保持テザーであって、前記ボールに直接取り付けられた第1端部と、前記ボールの上流位置に前記固定フレームに直接取り付けられた第2端部とを備える、ボール保持テザーと、
を備える、インプラント。
【請求項2】
前記固定フレームの少なくとも一部分を覆って配置されたコーティングを更に含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記コーティングが、重合体、ヒアルロン酸、ヘパリン及び抗凝固剤から成るグループから選択された少なくとも1つの物質で作られる、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記固定フレームの前記上流端部又は前記下流端部の少なくとも一方が、前記固定フレームのすぐ隣の部分より広い直径まで拡張する、より広い拡張可能部分を含み、前記より広い拡張可能部分が、前記固定フレームが拡張したとき複数の移動防止先端を形成する、請求項2に記載のインプラント。
【請求項5】
前記コーティングが前記移動防止先端以外の前記固定フレームの表面積全体を被覆する、請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
更に、前記静脈内での前記インプラントの下流方向の移動を防止するために前記固定フレームに複数の移動防止逆とげを備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記固定フレームが、形状記憶材料を含み、前記折畳み状態から前記送達カテーテルからの放出時の前記拡張状態へ自己拡張可能である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記固定フレームの上流端部分及び下流端部分が、前記インプラントが前記静脈の中に埋植されたとき前記静脈を拡張させるサイズを持つ、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記固定フレームの前記中間部分も、前記インプラントが前記静脈の中に埋植されたとき前記静脈を拡張させるサイズを持つ、請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記中間部分が、実質的に直線的な管状形を持つ、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記中間部分が砂時計形を持つ、請求項1に記載のインプラント。
【請求項12】
前記弁座が、前記固定フレームの内面に取り付けられた拡張可能かつ折畳み可能リングを備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記ボール保持テザーは、縫合材料およびニチノールからなる群から選択される材料で作られている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記ボールがシェルとコアとを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
前記シェルが第1の材料を含み、前記コアが第2の材料を含む、請求項14に記載のインプラント。
【請求項16】
前記コアが磁気材料を含む、請求項14に記載のインプラント。
【請求項17】
前記ボールがボール直径を有し、かつ前記弁座と前記下流端部との間の距離が前記ボール直径の2倍~4倍である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項18】
前記ボールがボール直径を有し、かつ前記ボール直径が、前記ボールが前記固定フレーム内で前後に移動するとき前記ボールが前記固定フレームの内面に接触するようなサイズを持ち、前記ボールと前記内面との間の接触が、前記内面、前記弁座、前記ボール又は前記ボール保持テザーの少なくとも1つに付着した物質を取り除くように構成される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項19】
前記ボールが、1.06グラム/立方センチメートル~2.5グラム/立方センチメートルの密度を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項20】
前記ボールが、前記ボールの周りの血流を容易にするように構成された少なくとも1つの表面特徴を含み、前記表面特徴が、窪み、スリット及び溝から成るグループから選択される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項21】
前記弁座及び前記固定フレームが、前記インプラントに付着した物質の取り除きを容易にするために、前記インプラントの外部から圧縮可能である、請求項1に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月25日提出の米国仮特許出願第62/209351号及び2016年6月29日提出の第62/356337号(両者とも「人工静脈弁」と題する)に対する優先権を主張する。上記の両出願の全体が、あらゆる目的のために参照によって本明細書において援用される。
【0002】
本明細書において説明する実施形態は、概ね医療装置の分野に関する。より具体的には、実施形態は、脈管系内に埋植するための人工弁インプラント装置及び埋植の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
静脈弁不全による静脈疾患は、広範に見られる臨床問題である。米国においては、2000万人の患者が、患部四肢の腫れ、痛み及び/又は腫瘍化を伴う慢性静脈不全を示している。更に7400万の患者が、静脈瘤の拡張及び変形を示している。
【0004】
静脈弁の機能不良の臨床問題に対処するための様々な手法が進化している。Mauch他(特許文献1、米国特許第7955346号明細書)は、生来の静脈細胞から静脈弁を生成する経皮的方法を教示する。Laufer他(特許文献2、米国特許第5810847号明細書)は、下肢静脈弁不全の機能を回復するための弁尖へのクリップ器具のカテーテルによる留置について説明する。埋植可能な静脈弁のための複数の設計についても説明されている。これらの設計は、患者の自然(自己由来)の弁を模倣する埋植可能人工弁を含む。即ち、インプラントは、一方向の静脈の血流を回復するために柔軟な小葉弁又はフラップ弁を使用する。このような埋植可能な静脈弁の例については、例えば、Acosta他(特許文献3、米国特許第8246676号明細書)、Shaolian他(特許文献4、米国特許第6299637号明細書)及びThompson(特許文献5、米国特許第8377115号明細書)が説明している。
【0005】
生来の人間の末梢静脈弁を模倣するために、小葉弁又はフラップ弁は、低圧静脈系において還流が生じるために弁が適切に開放できるようにしながら、適切な閉鎖を与えて弁不全を避けるために、非常に薄い膜材料で形成される。人工薄膜弁又はフラップ弁は、小葉体の反復的開閉による引き裂き、人工小葉体への血栓及び細胞付着による永久的閉鎖又は時間経過による小葉体の反転及び不全によって故障を生じやすい。現在入手可能な置換用静脈弁は、人工か移植細胞弁かにかかわらず、長期間の埋植において血栓又は血液凝固により問題を生じることが多い。
【0006】
したがって、これらの課題に対処するように設計された改良型静脈弁があると有利である。例えば、長期間の弁埋植において弁要素への血栓又は細胞の付着の発生を防止する及び/又はこれに対処する人工静脈弁を持つことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7955346号明細書
【特許文献2】米国特許第5810847号明細書
【特許文献3】米国特許第8246676号明細書
【特許文献4】米国特許第6299637号明細書
【特許文献5】米国特許第8377115号明細書
【発明の概要】
【0008】
本明細書において説明する実施形態は、静脈又は動脈又はその他の体腔を通過する血流を容易にする助けとなるボール弁機構を含む埋植可能な人工静脈弁に関する。実施形態は、概略的に、固定機構と、固定機構内において弁座とボール保持部材との間に配置されたボールとを含む。ボールは、固定機構の管腔内において、血液が弁を通過して流れる開放位置と弁を通過する血液の逆流が防止される閉鎖位置との間で前後に移動する。多くの実施形態において、固定機構の管腔内におけるボールの前後の移動は、インプラントの1つ又は複数の部分に付着した物質(血栓など)を取り除くことによってインプラントを「自己浄化」するように作用する。この埋植可能な弁装置及び装置を送達するための方法の多様な実施形態について、本明細書において説明する。
【0009】
本開示の1つの形態において、静脈疾患の治療のために静脈に埋植するための人工静脈弁インプラントについて説明する。インプラントは、管腔と第1端部と第2端部と、第1端部と第2端部との間の中間弁部分とを有する拡張可能な固定フレームを含むことができ、中間弁部分は、第1端部又は第2端部のいずれかの直径より小さい直径まで拡張する。インプラントは、第2端部よりも第1端部寄りにおいて固定フレームに取り付けられた弁座、第1端部よりも第2端部寄りにおいて固定フレームに取り付けられたボール保持部材と、固定フレームの管腔内において弁座とボール保持部材との間に配置されたボールも含むことができる。ボールは、中間弁部分内において、ボールがボール保持部材に接触してインプラントを通過する血液の下流方向への前進流を許容する完全開放位置とボールが弁座に接触してインプラントを通過する血液の上流方向への逆流を防止する完全閉鎖位置との間で、前後に移動する。
【0010】
多くの実施形態において、固定フレームは、管状のステント様格子構造体であり、インプラントは、更に、固定フレームの少なくとも一部分を覆って配置されたコーティングを含むことができる。例えば、コーティングは、重合体、ヒアルロン酸、ヘパリン及び/又は抗凝固剤などの(但しこれらに限定されない)少なくとも1つの物質で作ることができる。任意に、固定フレームの第1端部及び/又は第2端部は、固定フレームのすぐ隣の部分より広い直径まで拡張するより広い拡張可能部分を持つことができる。このより広い拡張可能部分は、固定フレームが拡張したとき複数の移動防止先端を形成できる。いくつかの実施形態において、コーティングは、移動防止先端以外の固定フレームの表面全体を被覆できる。移動防止先端に加えて又はその代わりに、いくつかの実施形態は、静脈内でのインプラントの下流方向の移動を防止するために、固定フレームに複数の移動防止逆とげ(anti-migration barbs)を含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、固定フレームは、送達カテーテルを通過して送達するための折畳み(collapsed)状態から送達カテーテルから放出されたときの拡張状態へ自動拡張可能とすることができる。又は、固定フレームは、バルーン拡張可能とすることができる。いくつかの実施形態において、固定フレームの第1端部及び第2端部に近い部分は、インプラントが静脈の中に埋植されたとき静脈を拡張させるサイズを持つ。更に、いくつかの実施形態において、固定フレームの中間弁部分も、インプラントが静脈の中に埋植されたとき静脈を拡張させるサイズを持つ。中間弁部分は、適切な任意の直径、長さ及び形状を持つことができる。例えば、いくつかの実施形態において、中間弁部分は、実質的に直線的管状形を持つことができる。又は、中間弁部分は砂時計形を持つことができる。
【0012】
弁座は、いくつかの実施形態において、固定フレームの外面又は固定フレームの内面の少なくとも一方に取り付けられた拡張可能かつ折畳み可能リングの形式を取ることができる。ボール保持部材は、いくつかの実施形態において、固定フレームの管腔を横切って延びる少なくとも1つの縫合部材の形を取ることができる。又は、ボール保持部材は、固定フレームの外面、固定フレームの内面又は弁座の少なくとも1つに取り付けられかつ固定フレームの管腔を横切って延びる少なくとも1つのU字形部材とすることができる。
【0013】
ボール自体は、多様なサイズ、形状及び材料の任意のものを持つことができる。例えば、いくつかの実施形態において、ボールは、シェル及びコアを含むことができる。シェル及びコアは、同じ材料とすることができる。又は、シェルは第1の材料で作り、コアは第2の材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、シェルは、少なくとも1つの開口を含み、コアは、開口を通過するように構成された少なくとも1つの治療剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、ボールは折畳み可能とすることができる。コアは、シェルを通過して注入される物質を含むことができる。いくつかの実施形態において、コアは、磁気材料とすることができる。
【0014】
多数の実施形態において、ボールは、弁が最適に作用するようにしかつ固定部材を通過するボールの移動がインプラントを自己浄化するように作用するように、固定部材に対して相対的サイズを持つことができる。例えば、いくつかの実施形態において、弁座とボール保持部材との間の距離は、ボール直径の2倍~4倍である。いくつかの実施形態において、ボールと中間弁部分との間の接触が、中間弁部分の内面、弁座、ボール又はボール保持部材の少なくとも1つに付着した物質を取り除くように構成されるように、ボール直径は、ボールが弁座とボール保持部材との間で前後に移動するとき中間弁部分の内面に接触するようなサイズを持つ。いくつかの実施形態において、ボールは、血液の平均密度と等しい又はほぼ等しい又は僅かに大きい密度を持つことができる。例えば、いくつかの実施形態において、ボールは、約1.06グラム/立方センチメートル~約2.5グラム/立方センチメートルの密度を持つことができる。いくつかの実施形態において、ボールは、窪み、スリット又は溝など(但し、これらに限定されない)、ボールの周りでの血流を容易にするように構成された少なくとも1つの表面特徴を含むこともできる。いくつかの実施形態において、弁座及び固定フレームの中間弁部分は、インプラントに付着した物質の取り除きを容易にするためにインプラントの外面から圧縮可能である。いくつかの実施形態において、インプラントは、更に、弁座及びボール保持部材がボール弁フレームの両端に配置されるように、固定フレームの中間弁部分内部に配置された内側管状ボール弁フレームを含むことができる。
【0015】
本開示の別の形態において、静脈を治療する方法は、静脈の中へインプラント送達カテーテルを前進させるステップと、送達装置の遠位端から静脈の中へ人工静脈弁インプラントを前進させて、インプラントを拡張させて静脈の内壁にインプラントを固定するステップと、静脈を通過する血流を容易にするのを助けるために、インプラントを静脈内の所定の場所に残して静脈から送達カテーテルを除去するステップと、を含むことができる。様々な実施形態において、人工静脈弁インプラントは、すぐ上に又は下記の「発明を実施するための形態」において説明する特徴又は特徴部のいずれを持つこともできる。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、更に、少なくとも第1端部に隣接する固定フレームの第1部分及び第2端部に隣接する固定フレームの第2部分で静脈を拡張させるステップを含むことができる。任意に、方法は、更に、固定フレームの中間弁部分で静脈を拡張させるステップを含むことができる。方法は、また、ボールが弁座とボール保持部材との間で前後に移動するときボールが中間弁部分の内面に接触するように構成された直径をボールに与えることによって、固定フレームの中間弁部分の内面、弁座、ボール及び/又はボール保持部材に付着した物質を取り除くステップ、及びそのようにして固定部材を自己浄化するステップも含むことができる。
【0017】
方法は、また、任意に、インプラントから障害物を追い出すためにインプラントに外部圧縮を加えるステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、ボールは、磁気材料を含むことができ、方法は、更に、ボールを中間弁部分内で前後に移動させてインプラントから障害物を追い出すためにインプラントの外部で磁石を移動するステップを含むことができる。方法は、又、インプラントを静脈の中に残したまま、インプラントからボール及び/又は弁座を除去するステップも含むことができる。ボール及び/又は弁座は、任意に、静脈内の所定の場所にインプラントを残したまま、新品の、浄化された又は修復されたボール及び/又は弁座と交換できる。
【0018】
本開示の別の形態において、静脈疾患の治療のために静脈の中に埋植するための人工静脈弁インプラントシステムは、上述のような人工インプラントと、人工インプラントを収容して静脈の中へ送達するように構成されたインプラント送達カテーテルと、を含むことができる。様々な実施形態において、人工静脈弁インプラントは、すぐ上に又は下記の詳細な説明において説明する特徴又は特徴部のいずれを持つこともできる。インプラントが自己拡張式であるいくつかの実施形態において、インプラント送達カテーテルは、管状カテーテル本体と、管状カテーテル本体内部に配置され管状カテーテル本体を通過して滑動して管状カテーテル本体の遠位端部からインプラントを押し出すように構成されたプッシャ部材と、を含むことができる。
【0019】
以上の及びその他の形態及び実施形態については、「発明を実施するための形態」及び添付図面においてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】1つの実施形態に従った人工静脈弁の斜視図である。
【
図1B】前記1つの実施形態に従った人工静脈弁インプラントの斜視図であり、任意の薄膜を示す。
【
図2】
図1A及び1Bの人工静脈弁インプラントの内側ボール弁部分の斜視図である。
【
図3A】1つの実施形態に従った、熱処理前の状態の、
図1A及び1Bの人工静脈弁インプラントの固定部材自己拡張式フレームの斜視図である。
【
図3B】前記1つの実施形態に従った、熱処理後の状態の、
図1A及び1Bの人工静脈弁インプラントの固定部材自己拡張式フレームの斜視図である。
【
図4A】1つの実施形態に従った、任意の逆とげ特徴部が追加された、
図1Bの人工静脈弁インプラントの斜視図である。
【
図4B】前記実施形態に従った、
図4Aの人工静脈弁の下流部分の斜視図であり、静脈の壁へのインプラントのシーリングを示す。
【
図5】1つの実施形態に従った1つ又は複数の人工静脈弁インプラントを送達するためのカテーテル送達装置の側面断面図である。
【
図6A】血管及び人工静脈弁インプラントの側面断面図であり、1つの実施形態に従った、カテーテル送達装置を介してインプラントを送達する方法を示す。
【
図6B】血管及び人工静脈弁インプラントの側面断面図であり、前記1つの実施形態に従った、カテーテル送達装置を介してインプラントを送達する方法を示す。
【
図7A】別の実施形態に従った、発泡固定部材を持つ人工静脈弁インプラントの斜視図である。
【
図7B】前記別の実施形態に従った、発泡固定部材を持つ人工静脈弁インプラントの部分断面図である。
【
図8A】別の実施形態に従った、血管及び人工静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図8B】前記別の実施形態に従った、血管及び人工静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図9A】更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの側面図である。
【
図9B】前記更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの裏面図である。
【
図9C】前記更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの前面図である。
【
図10A】人工静脈弁インプラントの側面図であり、1つの実施形態に従った、血栓などの障害物をインプラントから絞り出す方法を示す。
【
図10B】人工静脈弁インプラントの側面図であり、前記1つの実施形態に従った、血栓などの障害物をインプラントから絞り出す方法を示す。
【
図11A】人工静脈弁インプラントの側面図であり、1つの実施形態に従った、磁石を用いて血栓などの障害物をインプラントから吐き出す方法を示す。
【
図11B】人工静脈弁インプラントの側面図であり、前記1つの実施形態に従った、磁石を用いて血栓などの障害物をインプラントから吐き出す方法を示す。
【
図12A】静脈弁及び除去システムの側面図であり、1つの実施形態に従った埋植弁を除去する方法を示す。
【
図12B】静脈弁及び除去システムの側面図であり、前記1つの実施形態に従った埋植弁を除去する方法を示す。
【
図12C】静脈弁及び除去システムの側面図であり、前記1つの実施形態に従った埋植弁を除去する方法を示す。
【
図12D】静脈弁及び除去システムの側面図であり、前記1つの実施形態に従った埋植弁を除去する方法を示す。
【
図13A】静脈弁の側面図であり、1つの実施形態に従った、埋植可能フレーム固定部材の中への弁中央部の挿入及び固定部材からの弁中央部の除去を示す。
【
図13B】静脈弁の側面図であり、前記1つの実施形態に従った、埋植可能フレーム固定部材の中への弁中央部の挿入及び固定部材からの弁中央部の除去を示す。
【
図13C】静脈弁の側面図であり、前記1つの実施形態に従った、埋植可能フレーム固定部材の中へ弁中央部の挿入及び固定部材からの弁中央部の除去を示す。
【
図14A】
図13A~13Cの弁の側面図であり、1つの実施形態に従った、埋植可能フレームから弁中央部を除去するための装置及び方法を示す。
【
図14B】
図13A~13Cの弁の側面図であり、前記1つの実施形態に従った、埋植可能フレームから弁中央部を除去するための装置及び方法を示す。
【
図15】1つの実施形態に従った、
図13Aに示すようにインプラントの固定部材の中へ人工静脈弁の中央部を送達するための送達装置の斜視図である。
【
図16A】更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの側面図及び端面図である。
【
図16B】前記更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの側面図及び端面図である。
【
図16C】更に別の実施形態に従った、
図16A及び16Bの、但し別の実施形態の弁座を持つ人工静脈弁インプラントの側面図及び端面図である。
【
図16D】前記更に別の実施形態に従った、
図16A及び16Bの、但し別の実施形態の弁座を持つ人工静脈弁インプラントの側面図及び端面図である。
【
図17A】更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの側面図である。
【
図17B】前記更に別の実施形態に従った人工静脈弁インプラントの端面図である。
【
図18A】1つの実施形態に従った、直線的中間部分設計を持つ人工静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図18B】前記1つの実施形態に従った、直線的中間部分設計を持つ人工静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図19A】別の実施形態に従った、分散型中央部分設計を持つ静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図19B】前記別の実施形態に従った、分散型中央部分設計を持つ静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図19C】
図19A及び19Bの静脈弁インプラントの側面図であり、1つの実施形態に従った、固定部材へのボール保持ケージの取付けをさらに詳細に示す。
【
図19D】
図19A及び19Bの静脈弁インプラントの部分拡大図であり、前記1つの実施形態に従った、固定部材へのボール保持ケージの取付けをさらに詳細に示す。
【
図20】1つの実施形態に従った、ボール保持ケージが固定部材の外面に取り付けられている静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図21】別の実施形態に従った、ボール保持ケージが弁座内面に取り付けられている静脈弁インプラントの側面断面図である。
【
図22A】人工静脈弁インプラントに使用するためのボールの1つの実施形態の前面図及び側面図である。
【
図22B】人工静脈弁インプラントに使用するためのボールの別の実施形態の前面図及び側面図である。
【
図22C】人工静脈弁インプラントに使用するためのボールの別の実施形態の前面図及び側面図である。
【
図23A】ボール保持部材の1つの実施形態を含む人工静脈弁インプラントの1つの実施形態の概略側面図である。
【
図23B】ボール保持部材の別の実施形態を含む人工静脈弁インプラントの別の実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
概略的に、本明細書において説明する実施形態は、静脈不全を治療するための埋植可能な弁装置を提供する。様々な実施形態において、本明細書において説明する埋植可能弁は、静脈又は動脈又は尿管、胃腸管、胆管又はこれと同種のものなど人間又は動物のその他の体腔において使用できる。従って、下記の説明は、静脈不全及び関連症状を治療するための静脈における埋植可能弁の使用に重点を置くが、本開示は、このような応用に範囲を限定しない。
【0022】
下で詳細に説明する実施形態は、概略的に、固定部材と、固定部材の管腔内(又は内部)に収容されたボールと、固定構造体の管腔内にボールを保持するために固定部材に取り付けられた又は固定部材によって形成された少なくとも2つのストッパ特徴部と、を含む。固定部材は、カテーテル、シース又はその他の同様の送達装置内で静脈又はその他の血管の中へ送達して、その後拡張のために送達装置から放出できるように、典型的には、拡張可能(自己拡張式または別の装置によって拡張される)である。拡張したとき、固定部材は、外向きの拡張力及び/又は固定部材の1つ又は複数の取付け特徴部によって静脈又はその他の血管の内壁に付着する。いくつかの事例において、固定部材の全て又は1つ又は複数の部分は、中に固定部材が埋植される静脈又はその他の脈管を拡張させるのに充分な直径まで拡張できる。弁インプラント装置が送達された後、ボールは、固定部材内において2つのストッパ特徴部の間で前後に自由に移動して、弁インプラントを、血液がインプラントを通過してその前進流方向へ自由に流れることができる開放位置から血液がインプラントを通過して逆流するのを防止する閉鎖位置へ、移行できるようにする。例えば、いくつかの実施形態において、ストッパ特徴部の1つは、「弁座」と呼ばれ、別のストッパ特徴部は「保持部材」と呼ばれる。本明細書において説明する実施形態は、概略的に、静脈不全及び/又は静脈又は患者の他の血管の他の症状を改善するために使用できる、低プロフィルの、送達が容易で効果的な人工弁を提供する。
【0023】
図1A及び1Bを参照すると、1つの実施形態において、人工静脈弁インプラント10は、静脈内にインプラント10を固定するための自己拡張式ステント様フレームなどの固定部材12(又は「アンカーフレーム」)を含むことができる。固定部材12は、第1端部14(時には本明細書において「上流端部」と呼ぶ)と、第2端部16(時には本明細書において「下流端部」と呼ぶ)と、中間弁部分13とを持つことができる。
図1A及び1Bにおいては符号が付いていないが、第1端部14と中間弁部分13との間及び第2端部16と中間弁部分13との間の固定部材12の部分は、それぞれ固定部材12の「上流部分」及び「下流部分」と呼ぶことができる。多くの実施形態において、固定部材12の様々な部分の間の明確な輪郭又は境界はなく、これらの説明的言葉は、単に説明のために使用されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。任意に、
図1Bに示すように、インプラント10を通過する血流の方向を定めてコーティング部分において固定部材12の壁を通過して血液が流れるのを防止するために、固定部材12の全て又は一部分をコーティング又は薄膜26で被覆することができる。いくつかの実施形態において、薄膜26は、抗凝固剤で作るか又は抗凝固剤をコーティングすることができる。概略的に、固定部材12は、弁インプラント10を静脈の腔壁に固定するように構成される。
【0024】
静脈弁インプラント10は、又、固定部材12内に収容される管状フレーム20と、管状フレーム20内に収容されたボール28と、を含むことができる。弁座18、保持部材22及び複数の貫通孔24が管状フレーム20に取り付けられるか又は管状フレームと一体的に形成され、貫通孔を通過して、血液は、管状フレーム20から自由に出ることができる。いくつかの実施形態において、管状フレーム20、弁座18、保持部材22及びボール28は、インプラント装置10の「弁部分」と呼ぶことができ、固定部材12内に収容される。
【0025】
更に下で説明する別の実施形態において、人工静脈弁インプラントは、
図1A及び1Bの弁プラント10におけるより含む部品を少なくできる。例えば、1つの実施形態は、単に、交差縫合糸など遠位保持特徴部と一緒に自己拡張式ステントなどの外側固定装置と、固定装置の管腔内に配置されたボールとだけを含むことができる。他の実施形態は、固定部材の保持逆とげなどの付加的な構成要素又は特徴部を含むことができる。これらの別の実施形態及び特徴について、下で更に詳しく説明する。
【0026】
図2は、
図1A及び1Bの人工静脈弁インプラント10の弁部分の1つの実施形態を更に詳細に示す。この実施形態において、上述のように、弁部分は、ボール28と、管状フレーム20と、管状フレーム20の上流(又は「入口」)端部の弁座18と、管状フレーム20の反対側の下流(又は「出口」)端部の保持部材22と、を含む。管状フレーム20は、任意に、管状フレーム20の内面から外面へ通じる1つ又は複数の貫通孔24を含むことができる。ボール28は、剛性又は可撓性、中実又は中空、金属(ステンレス鋼など)、強磁性又は重合体(PTFEなど)とすることができる。可撓性/折畳み可能ボール設計は、装置を小さいシースサイズの中へパックできるようにする。いくつかの実施形態において、ボール28の密度は、弁が低開放圧力及び低閉鎖圧力の両方で機能するように、静脈血液(又は、他の実施形態においては動脈血液)の平均密度と等しい、ほぼ等しい、又は僅かにこれより大きくすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ボール28は、約1.06グラム/立方センチメートル(ほぼ血液の密度)~約2.5グラム/立方センチメートルの密度、又はより具体的には1.2~2.5グラム/立方センチメートルを持つことができる。別の実施形態において、ボール28の密度は、約1.00グラム/立方センチメートル~約1.06グラム/立方センチメートル弱又は2.5グラム/立方センチメートル強など、上記の範囲外とすることができる。ボール28は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコンゴム、シラスティックゴム、シリコン、ステンレス鋼、テフロン(登録商標)又はその他材料で構成できる。任意に、ヘパリンなどの抗凝固剤、又はヒアルロン酸など他のコーティングをボール28の面に接着できる。弁座は、ドーナツ型エラストマー、シリコンゴム又はその他の材料で形成できる。
【0027】
様々な実施形態において、ボール28は、適切な任意の形状、サイズ、表面特徴又はこれと同種のものを持つことができる。例えば、その一番単純な形式において、ボール28は、球形で中実とすることができる。又は、
図22A~22Cを参照すると、本開示の人工弁インプラントに組み込まれるボールは、卵形、長円、非対称形など様々な形状の任意のものを持つことができる。
図22Aに示すように、1つの実施形態に従ったボール240は、側面から見たとき、尖端部を持つ円筒形の形状242を持つことができる。
図22Bに示すように、別の実施形態に従ったボール244は、側面から見たとき菱形の形状246を持つことができる。
図22Cに示すように、更に別の実施形態に従ったボール248は、側面から見たとき丸みのある端部を持つ円筒形の形状250を持つことができる。別の実施形態に従えば、他の任意の形状を使用できる。いくつかの実施形態において、ボール28は、外側シェルと内側コアとを持つことができ、この2つの部分は異なる物質で作ることができる。いくつかの実施形態において、内側コアは液体物質で作り、いくつかの実施形態において、液体は、コアに充填するために外側シェルを通過して注入できる。物質は、抗凝固剤又はその他の薬物又は治療剤とすることができ、いくつかの実施形態においてシェルの1つ又は複数の孔から漏出できる。ボール28は、又、窪み、溝、インデント、ポケット又はこれと同種のものなどの表面特徴を持つこともできる。例えば、実施形態において、表面特徴は、ボール28の周りでの血液の流れを容易にできる。
【0028】
図2を参照すると、保持部材22(又は「ボール保持キャップ」)は、円形狭窄部、縫合糸の交差、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、ステライト、シリコン又はその他の血液にやさしい材料などの使用可能な交差材料のアーチとするか、又は様々な実施形態において他のこのような機構によって形成できる。弁座18は、剛性(例えば、ステンレス鋼又はポリカーボネート)又は弾性(例えばシリコンゴム)とすることができる。管状フレーム20は、ステンレス鋼、ポリカーボネートなどの剛性プラスチック材料、シリコンなどの可撓性材料、又はその他の適切な任意の材料で構成できる。障害のない静脈の逆行的還流を保証するために、複数の貫通孔24を管状フレーム20に組み込むことができる。管状フレーム20は、1mm~30mmの外径及び1mm~100mmの長さを持つことができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、管状フレーム20は、2mm~20mmの外径及び5mm~15mmの長さを持つことができる。ボール28は、0.5mm~30mmの直径を持つことができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、ボール28は、1mm~8mmの直径を持つことができる。
【0029】
図3A及び3Bは、固定部材12を更に詳しく図解する。様々な実施形態において、固定部材12は、格子内に開放部分32を持つステント様格子構造体30として形成できる。固定部材12は、自己拡張式であるか又はバルーンカテーテルによるなど拡張可能である。いくつかの実施形態において、自己拡張式フレームの全て又は一部分は、血流への不浸透性を与えるために、コーティングできる。固定部材12は、高機能重合体(engineered polymer)(即ち、PEEK、ポリプロピレン、PTFEなど)、ステンレス鋼又はニチノールなど超弾性金属で構成されたフレームとすることができる。ニチノールチューブは、格子パターン30にレーザーカットできる。
図3Bに示すように、いくつかの実施形態において、固定部材12の中間弁部分13は、拡張しないか又は固定部材12の上流部分15及び下流部分17より小さく(小さい直径まで)拡張できる。上流部分15及び下流部分17は、例えば、1mm~30mmまで拡張でき、中間弁部分13は、1mm~30mmとすることができる。より具体的には、いくつかの実施形態は、10mm~20mmまで拡張する上流部分15及び下流部分17、及び2mm~10mmの中間弁部分13を持つことができる。固定部材12の長さは、1mm~200mmとすることができ、いくつかの実施形態において、20mm~40mmとすることができる。固定部材12の第1端部14及び第2端部16は、複数の頂点を持つことができ、頂点は、拡張したとき、固定部材12を静脈の内壁に固定する。固定部材12は、その転移温度以上に加熱して、そのオーステナイト自己拡張状態にするために急冷することができる。
【0030】
図4A及び4Bを参照すると、いくつかの実施形態において、管状フレーム20は、固定部材12の中間弁部分20に取り付けられ、格子30の開放エリア32は薄膜26によって閉鎖できる。薄膜は、シリコンゴムの薄い層又はPET(ポリエチレンテレフタレート)、PTFE,ナイロン、ヒアルロン酸又はその他の材料の被覆膜とすることができる。いくつかの実施形態において、薄膜26は、抗凝固特性を持つことができ、したがって、抗凝固特性が要求されなくても本明細書においては「抗凝固膜」と呼ぶ場合がある。薄膜26は、固定部材12の壁の開口を通過する血液の流れを防止する又は防止するのを助けるので、本出願において「止血膜」と呼ぶこともできる。薄膜26は、固定部材12の入口及び/又は出口区分を被覆でき、固定部材12が拡張したとき、静脈内壁に対するシールを形成して、固定部材12の外面の周りの漏出を防止できる。シールは、第1端部14(又は「入口」又は「上流」端部)頂点に短い逆とげ34を追加することによっても容易にできる。様々な別の実施形態において、逆とげ34は、第2端部16に、第1及び第2の両端14、16に、中間弁部分13に、又はこれらの任意の組合せに、含めることができる。
図4Bは、弁インプラント10の入口/上流区分の静脈Vへの挿入を示す。薄膜26を持つインプラント10の第1端部14は、静脈Vの内面に対する円周線形シールを形成して、シールは静脈壁の中へ突出する逆とげ34によって容易になる。薄膜26の縁は、薄膜26の残りに比べて厚くして、そのシール機能を強化できる。
【0031】
図5、6A及び6Bを参照すると、人工静脈弁10は、可撓性の血管内カテーテル38とカテーテル38内部の可撓性プッシャ40(又は「プランジャ」)とを含む血管内送達装置36を介して静脈の中へ送達できる。固定部材12の拡張部分は圧縮でき、
図5に示すように、複数のプロテーゼ10を送達カテーテル38の管腔の中へ挿入できる。プッシャ40は、一連のプロテーゼ10に当接して、プッシャ40の近位端部は、カテーテル38の近位端部から延びる。人工弁10は、静脈内において所望の間隔で直列に送達できる。
図6A及び6Bは、プロテーゼ10を静脈の中へ送達する方法の1つの実施形態を図解する。プロテーゼ10の近位部分及び遠位部分は、静脈Vの管腔内で拡張して、留置後は、人工弁10の両方向の移動に抵抗して固定する。
【0032】
人工静脈弁10を送達するための
図6A及び6Bに示す方法の実施形態の更に詳細な説明を、下で示す。圧縮された人工静脈弁10を収めたカテーテル38は、蛍光透視又は超音波制御の下で所望の埋植部位まで静脈Vを通過して前進する。最も遠位の人工静脈弁10は、カテーテル38を静止させたままプランジャ40を前進させることによって又はプランジャ40を静止したままプランジャ40に対して送達カテーテル38を後退させることによって、カテーテルの遠位端部から吐き出される。送達カテーテル38から吐き出されると、人工静脈弁10は、その生来の休止直径を越えて静脈Vを膨張できる。埋植部位における静脈Vの膨張は、移動の可能性なく弁を固定しかつ弁装置10を通過する血流の断面積を最大限に大きくして血流の抵抗を小さくする人工弁10の能力を増大できる。いくつかの実施形態において、自己拡張式固定部材12の頂点は、静脈壁の中へ突出しかつ/又は静脈壁へ向かって傾斜して、固定を強化できる。
【0033】
自己拡張式の人工静脈弁10の1つの利点は、より実態的弁構造体即ち弁座18のリング上に着座する可動ボール28を組み込むシール機構である。もう1つの利点は、展開時に静脈壁を膨張して、弁の移動を防止し、通過面積を最大化し、装置10及び不透過被覆26を導入するためのシースサイズを最小化する自己拡張式フレーム/固定部材12を含む。超薄膜又は小葉の代わりにボール弁を使用することによって、インプラント10に長い寿命を与える。薄膜又は小葉で形成された人工静脈弁は、疲労、小葉破損及び小葉への血栓及び細胞の付着のために早期に故障しやすい。薄い小葉に比べてボール28はサイズが大きく質量が大きいので、かつ弁の開閉時に回転ボールはより大きく往復するので、ボール弁は、薄膜及び小葉弁が遭遇するシール及び疲労の問題の少なくともある程度を回避する。静脈弁インプラント装置10の別の利点は、ボールが前後に回転して、管状フレーム20の内面、固定部材12、弁座18及び/又は保持部材22を浄化するので、少なくとも部分的に自己浄化できることである。装置10を自己浄化するために回転ボール28を適切に往復させるために、弁座18と保持部材22との間の距離は、ボール20の直径の約2倍~4倍とすることができる。別の実施形態において、この距離は、例えばボールの直径の約1.5倍~約5倍など、上記の値より長く又は短くすることができる。ボール28が前後に移動するとき、ボールは、ボール弁フレーム20内面を擦って、付着性細胞及び血栓を取り除く。管状フレーム20を含まない下で説明する実施形態においては、ボール28は、代わりに固定部材12の内面を浄化できる。
【0034】
図7A及び7Bを参照すると、別の人工静脈弁インプラント42は、管状フレーム44と、弁座50と、保持部材54と、貫通孔56とボール52とを含むことができ、これらは全て、上述の実施形態と同じ又は実質的に同様である。但し、この実施形態においては、管状フレーム44の外面の少なくとも一部分を取り囲む拡張式発泡体カフ46の形式の、異なる固定部材が採用される。発泡体カフ46は、例えば独立気泡ポリウレタン又はシリコンフォームとすることができ、カフは、送達カテーテルの中への挿入の際に圧縮でき、静脈へ送達されると、自己拡張する。拡張式発泡体46は、人工弁装置42を固定して、ボール弁部分と静脈壁との間の血流を封止する。ばね金属ワイヤ又はナイロンなどの重合体の短い剛毛48を拡張式発泡体アンカー46に埋め込んで、静脈壁によるアンカー46の把握力を増大できる。
【0035】
図8Aおよび8Bを参照すると、別の実施形態において、人工静脈弁インプラント60は、予形成自己拡張式ステント様固定部材62を組み込むことができ、固定部材において、第1端部64(又は、「上流」又は「遠位」端部)及び第2端部66(又は「下流」又は「近位」端部)は、静脈の直径に合致するか又は静脈の直径を拡張し、中央部分63(又は「中間弁部分」)は、更に、拡張して(例えば、他の2つの部分より大きい直径まで)、ボール68を保持しながら流量を最大化する。インプラント60は、又、固定部材62に取り付けられた1つ又は複数の保持部材70を含むことができる。ボール68は、逆流を防止するために入口端部においてシールして(
図8A)、血液が保持部材を越えて流れるようにしながら、出口端部において保持部材70に捕捉される(
図8B)。概略的に、図示する静脈弁インプラント60の実施形態は、固定部材62の両端が中間弁部分63の拡張直径より小さい直径までしか拡張しない点で、上述の固定部材とは逆の固定部材62を有する。このような実施形態において、固定部材62の片方の端部又は両端部は、ボール68のストッパとして作用できる。それ以外では、ボール68、保持部材70、弁座及びコーティング又は移動防止逆とげ(使用される場合)などのアンカー特徴部は、全て本出願の別の場所で説明する実施形態と同じとすることができる。同様に、本出願の別の場所で論じる留置及び除去の方法が、この実施形態に使用できる。
【0036】
上述のように、人工静脈弁に伴う課題の1つは、血栓(又はクロット)の形成である。この問題に対処するために、静脈弁インプラントのいくつかの実施形態について、すぐ下でさらに詳細に説明する。1つの実施形態は、患者の体外のあるいは内在的な浄化特性を持つ埋植可能弁である。別の実施形態は、血栓性閉塞が生じたとき、全体を取り外して交換できる人工静脈弁である。別の実施形態において、インプラントの弁部分は、機能しなくなった場合交換可能であるが、インプラントのアンカー部分は、静脈の中の所定の位置に留まる。
【0037】
図9A~9Cは、インプラント72内部に形成された血栓を除くことができる、人工静脈弁インプラント72の別の実施形態のそれぞれ側面図、裏面図及び前面図である。この実施形態において、プロテーゼ72は、可撓性弁座86の取付けを受け入れるために第1端部76においてテーパー状を成す超弾性金属フレーム固定部材74(例えば、ニッケルチタン合金又はニチノール)を含む。弁座86は、シリコンゴム又は例えばVitonなどの可撓性重合体で形成でき、ニチノールフレーム74のテーパー状第1端部76の中へインサート成形できる(又は第1端部に取り付けできる)。固定部材74は、例えば第2端部78において及び固定部材74の長さに沿って、複数の逆とげ延長部80を含むことができる。延長部は、静脈壁の中へ延びて、インプラントの移動に抵抗してプロテーゼ72を固定する。可撓性薄膜72は、固定部材74のテーパー状部分を囲繞し、固定部材74の拡張部分の大きい方の直径を少なくとも部分的に被覆するように延びる。薄膜82は、シリコンゴム、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナイロンなどの(但しこれに限定されない)重合体又は同様の材料で構成できる。薄膜82は、流体不透過性とすることができ、固定部材74が拡張したとき、薄膜82は、静脈壁の内面に対して固定部材74をシールする。ボール84、弁座及び保持具は、本出願の別の場所において説明する実施形態の任意の特徴を持つことができる。様々な実施形態において、弁構成要素の面のいくつか又は全ては、ヘパリンナトリウムなどの抗血栓剤又はヒアルロン酸など他の材料でコーティングできる。
【0038】
図9Bは、人工静脈弁72の裏面図であり、この実施形態においては固定部材74の管腔を横切って配置された複数の交差部材を含む保持部材88を示す。例えば1つの実施形態において、保持部材88は、複数の交差する縫合糸である。
図9Cは、人工弁インプラント72の前面図であり、弁座86を示す。
【0039】
図10A及び10Bは、
図9A~9Cに示す実施形態と同様であるが、コーティング膜96が固定部材92の面全体に広がる人工静脈弁インプラント90の別の実施形態を示す。
図10Bは、インプラント90内部に障害物O(又は「血栓」)が形成されたとき外部圧縮及びマッサージを実施できるようにする、固定部材92、シール部材96及び弁座98の可撓性を示す。
図10Aは、インプラント90の中の障害物Oを示し、
図10Bは、患者体外から皮膚Sに加えられる圧縮を用いてインプラント90から障害物Oを絞り出す方法を示す。外部圧縮及びマッサージは、固定部材92を変形させて、プロテーゼ90を静脈Vから取り除くことなく、クロット、血栓又はその他の障害物Oを吐き出す。典型的に人工静脈弁インプラント90の障害を生じる血栓及びその他の物質は、通常、比較的軟らかくかつ/又は砕け易いので、保持部材を通過してインプラント90の端部から押し出されたとき、典型的には、切断されるか、粉々になるか又はバラバラになるか、又は保持部材の開口を単に通過する。プロテーゼ90から内部クロットが除去されると、弁機能が回復される。この同じ手法が、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0040】
図11A及び11Bを参照すると、別の実施形態において、外部浄化機能を持つ人工静脈弁100は、強磁性のボール104を含むことができ、ボール104は、外部に設置された磁石106の並進に反応する。例えば1つの実施形態において、ボール104は、PTFE又は同様の材料の薄い外側重合体コーティングを持つ中実又は中空の強磁性金属シェルを含むことができる。重合体コーティングは、内側の金属シェルの腐食を防止し、細胞及び血栓の付着を抑制する円滑な面を与える。インプラント100における血栓形成を防止するために、プロテーゼ構成要素のヘパリンコーティングも追加できる。障害物O(血栓など)が生じた場合、強力な希土類ネオジム磁石106を、静脈V及びインプラント100の上方の皮膚Sに当てて置くことができ、プロテーゼの上方における磁石106を繰り返し前後に移動することによって、ボール104を並進させて、インプラント100の固定部材102から障害物Oを吐き出す。この同じ手法が、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0041】
図12A~12Dは、人工静脈弁72Aを除去する方法を示す。除去方法を説明する前に、人工静脈弁72Aの実施形態は、
図9A~9Cの実施形態70と、1つの重要な点で異なることを、特記する。人工静脈弁72Aは、インプラント機能不良の際に回収し除去するように設計される。この実施形態において、インプラント72Aの固定部材74は、任意に、第2端部78(又は「下流」又は「近位」端部)においてのみに逆とげ80を含むので、インプラント72A全体を除去できる。逆とげ80は、心臓へ向かう下流方向へのプロテーゼ72Aの移動を防止する。プロテーゼ72Aの遠位(即ち心臓から離れる)方向の移動は、静脈の直径が遠位へ向かって狭くなるので、問題が小さくなる。
【0042】
導入と同様、1つの実施形態において、人工静脈弁の除去は、外側シース112と、漏斗型先端116を持つ内側漏斗型カテーテル114と、漏斗型カテーテル114内に配置されたフック118とを含む除去装置110を用いて、実施できる。漏斗型カテーテル114は、その遠位端部に薄い自己拡張式重合体漏斗型先端116を含み、先端は、血管内送達のために外側シース112内で折り畳むことができ(
図12B)、その後シース112から出ると拡張する(
図12A)。漏斗部116、カテーテル114及び外側シース112は、PTFE、ナイロン、ポリエチレン又は同様の材料で構成できる。フック118(例えばステンレス鋼)は、カテーテルの管腔内部に在る。人工弁を除去するために、カテーテル112は、プロテーゼ72Aの遠位端に近接され、シース112は、漏斗部116を展開するために引き戻される。漏斗部116は、プロテーゼ72Aの遠位テーパー状端部と噛み合うように前進し、フック118が前進して、その後プロテーゼ72Aの遠位端76内部の弁座86にフックを掛けるために引き戻される(
図12C)。その後
図12Dに示すように、カテーテル114は、外側シース112の中へ完全に引き戻され、弁除去のために固定部材74をシース112の中へ引き込む。この同じ手法が、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0043】
典型的には、金属製ステントか大静脈フィルタかにかかわらず埋植されたフレームを静脈などの血管から除去するのは困難又は不可能である。上述の除去可能なプロテーゼ72Aは、埋植後数週間内又は数か月内でも回収できる。それを過ぎると、固定部材74の中への線維性内方成長が生じて、静脈からの除去を妨害する。したがって、いくつかの実施形態において、人工静脈弁の内側ボール弁部分は、インプラントから除去できるが、外側の固定膜/フレーム部分は、静脈内に無傷で残される。内側のボール弁部分を除去するための方法は、留置用漏斗体をプロテーゼの近位端部と噛み合わせることと、グラスパ又は小型のハサミを用いて保持特徴部(縫合糸)を切断することと、グラスパ又は吸引力を用いてインプラントのボール部分を除去することと、を含むことができる。この同じ手法が、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0044】
図13A~13Cは、上述の除去方法のタイプを示すが、具体的な除去装置は示さない。この実施形態において、人工静脈弁120は、固定部材12と、弁座及び保持部材124を持つ管状フレーム20とを含む。固定部材12は、複数のストッパ122を含み、ストッパは、管状フレーム20が下流方向へプロテーゼ120から流れ出るのを阻むように構成される。この実施形態において、人工静脈弁120の管状フレーム20及びボール28(又は「内側ボール弁部分」)は、固定部材12が静脈内の所定の位置の留まるように、外側固定部材12から除去でき、弁部分は、修復または除去して、任意に固定部材12に再挿入できる。この方法の順序を、
図13A(固定部材12の中へのボール弁部分の挿入)、13B(固定部材12内のボール弁部分)及び13C(ボール弁部分の除去)に示す。この修復方法は、埋植数か月又は数年後でも使用できる。弾性自己拡張式固定部材12の中央部分は、プロテーゼ120のボール弁部分の外径より僅かに小さい内径を持つことができる。したがって、ボール弁部分が固定部材12の中へ挿入されたとき、フレームの中央部分は、ボール弁部分の外面に対して圧縮力を加えて、ボール弁部分を所定の位置に保持する。固定部材12の中央部分の近位端部及び/又は遠位端部のストッパ122(又は「タブ」)は、ボール弁部分を保持して、ボール弁部分がフレームから外へ移動するのを防止するように構成できる。静脈還流は、ボール弁部分を固定部材12から心臓へ向かって近位方向へ押す傾向がある。この位置にストッパ122が存在することによって、この移動を防止する。管状フレーム20は、様々な実施形態に応じて剛性又は比較的可撓性とすることができる。剛性管状フレーム20は、ステンレス鋼などの金属又はポリカーボネートなどのプラスチック材で構成できる。可撓性管状フレーム20は、ナイロン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)又はポリオレフィンなどの重合体で構成できる。可撓性管状フレーム20は、付加的圧縮の利益を与えて、埋植において使用するために所望のより小さいカテーテルサイズにフレームをパックできるようにする。この同じ手法が、本明細書において説明する他の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0045】
図14A及び14Bに示すように、プロテーゼ120のボール弁部分の除去は、1つ又は複数のステンレス鋼フック130を含むカテーテル128を含む除去装置126を用いて実施できる。フックは、カテーテル128から前進して、弁座18を把握するために使用される。フック130のシャフトは、カテーテル128のほぼ全長に走る管腔内部に在る。フック130は、カテーテル128が人工弁120付近に前進するまでカテーテル128の遠位端部の中へ引き込められる。その後、フック130を前進させて、弁座18を把握するために使用され(
図14A)、除去装置126が静脈から引き出されて、ボール弁要素を回収する(
図14B)。ボール弁要素は、
図14Bにおいてカテーテル128の外部に示されるが、単に図解のためにこのように示す。
【0046】
典型的には、回収方法は、カテーテル128の遠位端部をプロテーゼの内部に配置したまま、カテーテル128の中へボール弁要素を引き込むことを含む。除去装置126は、その後、内部にボール弁要素を入れた状態でプロテーゼ120から引き出され、除去装置126及びボール弁要素は、静脈から引き出される。別の実施形態において、除去装置126は、弁インプラント120を除去するためにフック130ではなく吸引力を採用できる。この同じ手法が、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0047】
図15を参照すると、古いボール弁要素をアンカーフレーム12から除去したら、カテーテル134及び埋植されたアンカーフレーム12の中へボール弁部分を前進させる内側プランジャ136とを含む送達装置132によって、新しいボール弁部分を挿入できる。この同じ手法が、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0048】
図16A及び16Bは、人工静脈弁140の更に別の実施形態を示す。この実施形態においては、ボール保持特徴部150は、超弾性金属フレーム142に組み込まれてプロテーゼ140の管腔の中へ向かって傾斜する複数のストラットを含む。保持ストラット150によって形成された開口は、ボール148の直径より小さいので、弁140の寿命全体を通じてボール148が出て行くのを防止する。本明細書において説明する他の実施形態にも応用できる人工静脈弁140のこの実施形態のもう1つの特徴は、弁座146の構成である。
図16Bの右端のパネルに示すように、弁座は、2つの可撓性リング、即ち被覆された超弾性フレーム142内部に在る内側可撓性リング154及び被覆されたフレーム142の外面に在る外側可撓性リング156を含むことができる。複数のポスト158がフレーム142の被覆の孔を通過して延びて、構造的に内側リング154を外側リング156に接続する。内側リング154は、ボールに接触したときボール148との間にシールを形成する。内側リング154、外側リング156及び接続ポスト158は、被覆された超弾性フレーム142の遠位端部の中へ成形されたシリコンゴムなどのエラストマーで形成できる。複数の孔151は、フレーム142の遠位端付近においてシール膜144の円周に配置できる(
図16B中間パネル)。内側リング154、外側リング156及び接続ポスト158の構成は、ボールに対して適切なシールを維持するために、弁座146が弁留置後捻じれないようにするのに役立つ。
図16Bの左端のパネルに示すように、弁座146は、弁140が送達シース152内にあるとき捻じれる可能性がある。送達シース152から出たとき、接続ポスト158は、弁座146を形成する内側リング154に対して張力を加えて、その対称形の機能形状を回復させる。この弁座146は、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0049】
図16C及び16Dを参照すると、別の実施形態において、人工弁静脈弁140の弁座147は、インプラント140遠位端部付近において超弾性フレーム142を被覆するシール膜144の内面にリングを接着することによって、形成できる。弁座147の内側リング154(
図16D、右端のパネル)は、シール膜144と同じ材料例えばPTFE又はナイロンで構成できる。シール膜144への内側リング154の円周取付けによって、弁が送達シース152から出たとき弁座147が捻じれないようにする。この弁座147は、本明細書において説明する別の弁インプラント設計の多くに使用できる。
【0050】
図17A及び17Bを参照すると、別の実施形態において、人工静脈弁160は、第1端部164と第2端部166と中間弁部分163とを持つ固定部材162(又は「フレーム」)を含むことができる。固定部材162内部には、ボール170と、弁座168と、保持部材172と、が在る。この実施形態において、内側フレームはない。その代わりに、固定部材162の第1端部及び第2端部164、166は、拡張してインプラント160を静脈内に固定し、中間弁部分163は、より小さい直径を維持して、実質的にボール170の環状保持体として作用する。上述のように、固定フレーム162は、ニチノールなどの連続的超弾性材料で作ることができ、PTFE、シリコン又はヒアルロン酸などの材料で全体または部分的にコーティングできる。このコーティングは、中央弁要素を通過する血液を漏斗式に送る。保持部材172は、適切な任意のパターン又は構成でインプラントの管腔を横切って延びる複数本の交差縫合糸を含むことができる。インプラント全体160は、埋植を容易にするためにインプラントを小さいカテーテルの中へパックできるように、圧縮可能とすることができる(ボール170、弁座168、固定フレーム162、保持特徴部172)。本出願において説明する任意の弁座、ボール、逆とげなどのアンカー特徴部又は保持体の実施形態を、この実施形態において使用できる。クロットの取り除きのために外部圧縮及び/又は強磁性ボール及び外部配置の磁石も、この実施形態に応用できる。装置160全体又はボール170のみの除去も可能である。同じ展開用漏斗体は、保持部材172をカットするためにグラスパ又は小型のはさみを用いて、及び弁160からボール170を除去するためにグラスパ又は吸引力を用いて、プロテーゼ160の近位端部と噛み合わせることができる。
【0051】
図18A及び18Bを参照すると、別の実施形態において、人工静脈弁インプラント180は、管腔を形成し部分的又は完全に薄膜188で被覆される自己拡張式管状フレームなど、静脈内でインプラントを固定するための固定部材182を含むことができる。この実施形態において、固定部材182は、第1端部186(又は「上流」又は「遠位」端部)と、第2端部184(下流」又は「近位」端部)と、中間弁部分183と、第2端部184に隣接する任意に非被覆の部分185と、を有する。弁インプラント180は、又、ボール192と、弁座190と、ボール保持部材194とを含む。弁座190は、第2端部184より第1端部186に近く、保持部材194は、第1端部186より第2端部184に近い。この実施形態において、弁座190及びボール保持部材194は、中間弁部分183の両端に又はその付近に配置されるが、別の実施形態において固定部材182内部の他の設置位置を持つことができる。完全に拡張すると、固定部材182は、比較的直線的な管状中間弁部分183を持つが、概ね砂時計の形状を有し、静脈の腔面に弁インプラント180を固定するように設計される。(下で説明する別の実施形態において、中間弁部分が、直線的でなく砂時計の形状を持つことができる)。インプラント180のボール弁部分は、静脈弁として作用する。任意に、自己拡張式フレーム182の全部または一部分は、止血膜188でコーティング又はその他で被覆できる。
図18Aは、ボール192が弁座190に着座して血液が弁を通過して逆行方向へ逆流するのを防止する状態(閉鎖位置と呼ぶ)のインプラント180を示す。
図18Bは、弁インプラント180を通過する血流に生じるように、弁座190からボール保持部材194へ向かってしたがって開放位置へ移動するボール192を示す。
【0052】
この実施形態において、ボール192、弁座190及びボール保持部材194は、説明する他の実施形態のいずれかに関連して上に説明する特徴及び構成のいずれを持つこともできる。ボール192は、図示する実施形態において、球形を持つが、卵形又はその他の形状のボールを使用することもでき、ボール192は、窪み、溝、スリット又は前述の任意の他の表面特徴部を持つことができる。ボール192は、適切な任意の材料(1つ又は複数の材料)で作ることができ、剛性、可撓性、中実又は中空とすることができる。いくつかの実施形態において、ボール192は、血液の密度(1.06グラム/立方センチメートル)よりわずかに大きい密度例えば1.2グラム/立方センチメートル~2.5グラム/立方センチメートルの密度を持つ。ボール192が前記の密度を持つと、弁180は、低開放圧力及び低閉鎖圧力の両方で機能する。ボール192は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコンゴム、シラスティックゴム、シリコン、ステンレス鋼、テフロン(登録商標)及び同種のものなど適切な任意の材料で構成できる。任意に、ヘパリンなどの抗凝固剤又はヒアルロン酸などの別のコーティングを、ボール192の表面に接着できる。ボール192は、別の材料(例えばPTFEなどの重合体)で被覆された異なる密度及び特性の材料(例えば強磁性)の材料のコアを含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、ボール192は、弁座190とボール保持部材194との間の距離がボールの直径の2倍~4倍になるようなボール直径を持つことができる。ボール直径は、又、ボール192と中間弁部分183との間の接触が中間弁部分183に形成される又はこれに付着する物質を取り除くことができるように、ボール192が弁座190とボール保持部材194との間を移動するときボール192が中間弁部分183の内面に接触するようなサイズを持つこともできる。このように、ボール192のこのようなサイズ及び中間弁部分183の直径は、インプラント装置180に「自己浄化」能力を与えることができる。例えば、いくつかの実施形態において、ボール192は、0.5mm~30mmの直径を持つことができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、ボール192は、1mm~8mmの直径を持つことができる。
【0054】
弁座190は、ドーナツ型エラストマー、シリコンゴム、ニチノール又は他の任意の材料で形成できる。いくつかの実施形態において、弁座190及び固定部材182は、1つの実施形態においてニチノールなど同じ材料で作ることができる。弁座190は、剛性(例えば、ステンレス鋼、ニチノール又はポリカーボネート)であるか又はより小さい送達シースの中へのパックを容易にするために可撓性/折畳み可能(例えばシリコン)とすることができる。いくつかの実施形態において、弁座190の内面は、体腔又は血液の露出を制限又は防止するために固定部材182をライニングする同じ連続材料188でコーティングできる。弁座190は、流動面積を最大化するために送達シース及び/又は静脈壁の直径より大きい直径まで拡張できる。弁座190は、永久的又は交換可能とすることができる。
【0055】
ボール保持部材194は、円形狭窄部、固定部材182の管腔を交差する1本又は複数本の縫合糸又はワイヤ、固定部材182の管腔を交差する1つ又は複数のアーチ、又はボール192が下流方向へ弁インプラント180を通り抜けるのを防止又は抑制するためのその他の適切な任意の特徴部(1つ又は複数)として形成できる。
【0056】
ボール保持部材194は、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、シリコン又はこれと同種のものなど(但し、これらに限定されない)任意の生体適合性材料で作ることができる。
【0057】
上述のように、固定部材182は、ステント様の格子構造を持つ自己拡張式又はバルーン拡張可能な固定フレームとすることができる。この実施形態において、第1の上流端部186及び第2の下流端部184は、固定部材182の中間弁部分183より大きい直径まで拡張する。2つの端部186、184は、典型的には、両端が埋植される静脈又はその他の血管を拡張させる。いくつかの実施形態において、中間弁部分183も、送達されると、静脈を拡張させるのに充分な直径まで拡張する。いくつかの実施形態において、インプラント180は、固定部材182の一部を覆って配置された薄膜188(又は「コーティング」)も含む。このコーティング188は、装置180の中央管腔を通過して血液を漏斗式に送る止血バリアとして作用できる。コーティング188は重合体(例えば、PTFE、シリコン、PET,ナイロン又はヒアルロン酸)などの止血材料で構成でき、更に、ヘパリン、ヒアルロン酸又はその他の薬物を浸み込ませ又は付着できる。超弾性ワイヤフレーム182の入口及び/又は出口区分を被覆する止血膜188は、静脈内壁に対してシールして、インプラント180の外面の周りでの漏出を防止又は減少できる。更に、下流最端部184は、すぐ隣の下流部分より僅かに大きい直径まで拡張して、非被覆/非コーティングのより広い拡張可能部分185を形成できる。このように余分に拡張することによって、下流端部184は、固定部材182が拡張したとき複数の移動防止先端を形成できる。このような先端は、静脈内でのインプラント180の下流方向の移動を防止するのに役立つ。任意に、
図18A及び18Bには示さないが、いくつかの実施形態は、固定フレーム182に付加的移動防止逆とげを含むことができる。
【0058】
固定部材182は、高機能重合体(即ち、PEEK、ポリプロピレン、PTFEなど)、ステンレス鋼又はニチノールなどの超弾性金属で構成されたフレームとすることができる。ニチノールチューブは、格子パターンにレーザーカットでき、その中央区分(又は「中間弁部分183」)をより小さい直径に保持したまま、その近位区分及び遠位区分(又はそれぞれ「下流及び上流区分」)を拡張できる。いくつかの実施形態において、固定部材182の近位及び遠位区分は、0.1mm~100mmまで拡張できる。より具体的には、いくつかの実施形態において、近位区分及び遠位区分を10mm~20mmまで拡張できる。いくつかの実施形態において、固定部材182の長さは、1mm~200mmであり、いくつかの実施形態において20mm~40mmとすることができる。いくつかの実施形態において、中央の狭い中間弁部分183は、1mm~100mmの直径及び0.1mm~100mmの長さを持つことができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、中間弁部分183は、3mm~20mmの外径及び5mm~15mmの長さを持つことができる。固定部材182は、送達カテーテルを介する送達のための折畳み状態から自己拡張可能とすることができ、送達カテーテルから放出されたとき拡張状態を持つことができる。又は、固定フレームはバルーン拡張式とすることができる。固定フレーム182の上流端部186及び下流端部184は、インプラント180が静脈に埋植されたとき静脈を拡張させるサイズを持つことができる。固定フレームの中間弁部分183も、インプラント180が静脈に埋植されたとき静脈を拡張させるサイズを持つことができる。中間弁部分183は、
図18A及び18Bに示すようにほぼ直線形状を持つか、又は下でさらに説明するように砂時計形状を持つことができる。本明細書の他の場所で説明するように、外部圧縮性、ボールの磁気操作、ボール192又は弁座190の除去又は装置180全体の除去などの他の浄化特徴を、この実施形態に応用できる。
【0059】
図19A~19Dは、分散型弁本体設計を持つ静脈弁インプラント200の別の実施形態を示す。この実施形態において、インプラント200は、上流端部206及び下流端部204を持つ固定部材202と、固定部材202の一部を被覆する薄膜208と、弁座210と、ボール保持部材214と、ボール212とを含む。これらの構成要素の多くは、
図18A及び18Bに関連して説明した実施形態においてと同じであり、これらについては重ねて説明しない。但し、この実施形態において、固定部材202の中間部分は直線的ではなく砂時計形である。この形状は、ボールが弁座210から移動するとき(
図19B)、
図18A及び18Bの直線的弁設計の場合よりボール212の周りの流動面積をかなり大きくする。この実施形態において、ボール保持部材214は、固定部材202に取り付けられるフック216(19D)を持つU字形部材のケージとして構成される。この実施形態において、ボール保持部材214は、固定部材202に取り付けられ固定部材の管腔を横切って延びる2つのU字形部材を含む。
【0060】
図20及び21は、人工静脈弁インプラントの付加的な実施形態を示す。
図20の実施形態において、インプラント220は、固定部材222と、弁座224と、ボール228と、ボール保持部材226とを含む。この実施形態において、ボール保持部材226は、弁座224の周りで、固定部材222の外面に取り付けられる2つの交差するU字形部材を含む。リング227が固定部材22の周りの所定の場所にU字形部材を保持する。それ以外については、インプラント220の構成要素及び特徴の全ては、上述の実施形態と同じ又は同様である。
【0061】
図21の実施形態において、インプラント230は、固定部材232と、弁座234と、ボール238と、ボール保持部材236とを含む。この実施形態において、ボール保持部材236は、弁座234の内面に取り付けられる2つの交差するU字形部材を含む。それ以外については、インプラント230の構成要素及び特徴の全ては上述の実施形態と同じ又は同様である。
【0062】
図23A及び23Bは、人工静脈弁インプラントの更に別の2つの実施形態を示す。
図23Aの実施形態において、インプラント260は、固定部材262と、ボール264と、弁座266と、保持部材268とを含む。この実施形態において、保持部材268は、前に説明した実施形態においてのように固定部材に取り付けられたストッパ部材ではなくボール264に取り付けられた拡張可能なワイヤアンカーである。保持部材268は、ボール264が弁インプラント260から下流方向へ通り抜けるのを阻止する。
【0063】
図23Bの実施形態において、インプラント270は、固定部材272と、ボール274と、弁座276と、保持部材278とを含む。この実施形態において、保持部材278は、ボール274を弁座276に取り付けるテザーである。保持部材278は、縫合糸、ニチノールなどのワイヤ又はこれと同種のもので作ることができる。この場合にも、保持部材278は、ボール274が弁インプラント270から下流方向へ通り抜けるのを阻止する。これら2つの保持部材268、278のいずれも、本明細書において説明する他の実施形態に応用できる。
【0064】
以上の説明は完ぺきかつ正確であると思うが、本明細書において説明する実施形態には、請求項において定める本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができる。例えば、説明する1つの実施形態の特徴は、他の実施形態に採用でき、特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、所与の実施形態から削除したり、所与の実施形態へ追加したりできる。したがって、以上の説明は、説明的かつ例示的な目的のために使用すべきであり、請求項によって規定される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈疾患の治療のために静脈に埋植するための人工静脈弁のインプラントであって、
前記インプラントが、
1つの管状の拡張可能な固定フレームであって、該拡張可能な固定フレームは、上流の第1の端部、下流の第2の端部、前記第1の端部と前記第2の端部との間の中間弁部分、および前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる管腔を含む、1つの管状の拡張可能な固定フレームと、
前記固定フレームの管腔内に配置されたボールであって、該ボールが、前記インプラントを通過する上流方向への血液の逆流を防ぐ閉鎖位置と、前記インプラントを通過する下流方向への血液の前進流を許容する開放位置との間で移動可能である、ボールと、
前記ボールに取り付けられたテザーであって、前記ボールが拡張可能な前記固定フレームから下流方向に通過するのを防ぐ、テザーと、
を備える、インプラント。
【請求項2】
前記テザーは、前記ボールが開放位置にあるときに、前記ボールの上流の前記インプラントの位置に取り付けられる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記ボールがシェルとコアとを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記シェルが第1の材料を含み、前記コアが第2の材料を含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記ボールは、圧縮可能である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記固定フレームは、管状のステント様格子構造体を備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記ボールは、前記弁座に接触して前記インプラントを通過する血液の逆流を防止する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記弁座が、前記固定フレームの外面又は前記固定フレームの内面の少なくとも一方に取り付けられた拡張可能かつ折畳み可能リングを備える、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記弁座が、前記固定フレームと一体的に形成されている、請求項7に記載のインプラント。
【請求項10】
前記固定フレームの少なくとも一部分を覆って配置されたコーティングを更に含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記コーティングが、重合体、ヒアルロン酸、ヘパリン及び抗凝固剤から成る群から選択された少なくとも1つの物質で作られる、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記中間弁部分が、砂時計の形状を持つ、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記ボールが、中間弁部分内で移動可能である、請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
更に、静脈内での前記インプラントの下流方向の移動を防止するために前記固定フレームに複数の移動防止逆とげを備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
前記固定フレームの前記上流端部又は前記下流端部の少なくとも一方が、前記固定フレームのすぐ隣の部分より広い直径まで拡張する、より広い拡張可能部分を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項16】
前記固定フレームが、前記折畳み状態から前記送達カテーテルからの放出時の前記拡張状態へ自己拡張可能である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項17】
前記固定フレームの第1端部及び第2端部に近い部分は、前記インプラントが静脈の中に埋植されたとき静脈を拡張させるサイズを有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項18】
前記固定フレームの中間弁部分は、また、前記インプラントが静脈の中に埋植されたとき静脈を拡張させるサイズを有する、請求項17に記載のインプラント。
【請求項19】
前記テザーが、縫合材料およびニチノールからなる群から選択される材料で作られている、請求項1に記載のインプラント。