(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022412
(43)【公開日】2022-02-03
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
F03B 13/18 20060101AFI20220127BHJP
【FI】
F03B13/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021200496
(22)【出願日】2021-12-10
(62)【分割の表示】P 2020168169の分割
【原出願日】2016-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】304027556
【氏名又は名称】速水 浩平
(71)【出願人】
【識別番号】507419172
【氏名又は名称】株式会社音力発電
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】速水 浩平
(57)【要約】
【課題】製造性を向上させると共に、製造コストを低減することが可能となる、発電システムを提供すること。
【解決手段】外力を発電部を介して電気に変換する発電システム400であって、少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであり、外力の特定方向の分力を受ける略中空状の浮体部130と、浮体部130内に収容されている発電部であり、発電可能な一方向の回転方向である発電回転方向のみに回転する回転軸を有する発電部と、浮体部130内に収容されている回転力変換手段であり、外力を発電回転方向の回転力に変換し、当該変換した回転力を発電部に伝達する回転力変換手段と、を備える。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力を発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、
少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであり、前記外力の特定方向の分力を受ける略中空状の浮体部と、
前記浮体部内に収容されている発電手段であり、発電可能な一方向の回転方向である発電回転方向のみに回転する回転軸を有する前記発電手段と、
前記浮体部内に収容されている回転力変換手段であり、前記外力を前記発電回転方向の回転力に変換し、当該変換した回転力を前記発電手段に伝達する回転力変換手段と、
を備える発電システム。
【請求項2】
前記回転力変換手段は、前記浮体部に対して接続されているバネ部であり、前記浮体部が受けた前記外力の特定方向の分力によって当該バネ部が伸縮することに伴って、前記外力を前記発電回転方向の回転力に変換可能とするバネ部を備える、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記回転力変換手段は、
前記バネ部と接続されている伝達手段であり、当該伝達手段の重さによって前記浮体部の揺れと当該伝達手段の揺れとに位相差を生じさせながら自己が回転移動することにより、前記回転力を前記発電手段に伝達するための伝達手段と、
前記浮体部に対して接続されている押圧手段であり、前記バネ部の伸縮に伴って前記伝達手段が回転移動可能となるように、当該伝達手段を押圧するための押圧手段と、をさらに備える、
請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記外力の特定方向の分力は、前記外力の上下方向分力であり、
前記バネ部における伸縮方向の端部の一方を前記浮体部の上下方向の端部の一方に対して接続すると共に、前記バネ部における伸縮方向の端部の他方を前記伝達手段に対して接続し、
前記バネ部が略上下方向に伸縮することに伴って前記伝達手段が略上下方向に揺れることが可能となるように、前記押圧手段の一方の端部を前記浮体部の上下方向の端部の他方に対して接続した、
請求項3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記バネ部、前記伝達手段、前記押圧手段、及び前記発電手段からなる組を、前記浮体部内に複数収容した、
請求項3又は4に記載の発電システム。
【請求項6】
前記複数の組のうち、一部の前記組における前記バネ部の伸縮方向と、他の一部の前記組における前記バネ部の伸縮方向とを異ならせた、
請求項5に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外力を利用して発電を行う発電装置が提案されている。このような発電装置は、突堤に設けられた集波溝の水面上に浮かべられた浮体と、この浮体の上面に取り付けられたロッドと、突堤に設けられた支持枠及び支持台であって、ロッドを上下方向に沿って摺動可能に支持する支持枠及び支持台と、突堤に設けられた歯車機構であって、波浪の上下運動に伴うロッドの上下運動の両方向の運動を回転運動に変換する歯車機構と、突堤に設けられた片歯車機構であって、歯車機構にて変換された回転運動を発電機に伝達するための片歯車機構とを備えている。また、片歯車機構する片歯車は、複数の片歯と、歯車機構にて変換された回転運動の方向に関わらず、片歯の回転方向が同一方向となるように調整するためのばねと、ばねを支持するピンとを備えている。このような構成により、集波溝に導入される波浪の上下運動の両方向の運動を利用して発電機を駆動させることにより、発電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の発電装置においては、上述したように、片歯車機構の片歯車が、複数の片歯と、ばねと、ピンとを備えた特殊な構成であることから、市場に流通している歯車を用いることができないので、製造性及び製造コストの観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製造性を向上させると共に、製造コストを低減することが可能となる、発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発電システムは、外力を発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであり、前記外力の特定方向の分力を受ける略中空状の浮体部と、前記浮体部内に収容されている発電手段であり、発電可能な一方向の回転方向である発電回転方向のみに回転する回転軸を有する前記発電手段と、前記浮体部内に収容されている回転力変換手段であり、前記外力を前記発電回転方向の回転力に変換し、当該変換した回転力を前記発電手段に伝達する回転力変換手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の発電システムは、請求項1に記載の発電システムにおいて、前記回転力変換手段は、前記浮体部に対して接続されているバネ部であり、前記浮体部が受けた前記外力の特定方向の分力によって当該バネ部が伸縮することに伴って、前記外力を前記発電回転方向の回転力に変換可能とするバネ部を備える。
【0008】
請求項3に記載の発電システムは、請求項2に記載の発電システムにおいて、前記回転力変換手段は、前記バネ部と接続されている伝達手段であり、当該伝達手段の重さによって前記浮体部の揺れと当該伝達手段の揺れとに位相差を生じさせながら自己が回転移動することにより、前記回転力を前記発電手段に伝達するための伝達手段と、前記浮体部に対して接続されている押圧手段であり、前記バネ部の伸縮に伴って前記伝達手段が回転移動可能となるように、当該伝達手段を押圧するための押圧手段と、をさらに備える。
【0009】
請求項4に記載の発電システムは、請求項3に記載の発電システムにおいて、前記外力の特定方向の分力は、前記外力の上下方向分力であり、前記バネ部における伸縮方向の端部の一方を前記浮体部の上下方向の端部の一方に対して接続すると共に、前記バネ部における伸縮方向の端部の他方を前記伝達手段に対して接続し、前記バネ部が略上下方向に伸縮することに伴って前記伝達手段が略上下方向に揺れることが可能となるように、前記押圧手段の一方の端部を前記浮体部の上下方向の端部の他方に対して接続した。
【0010】
請求項5に記載の発電システムは、請求項3又は4に記載の発電システムにおいて、前記バネ部、前記伝達手段、前記押圧手段、及び前記発電手段からなる組を、前記浮体部内に複数収容した。
【0011】
請求項6に記載の発電システムは、請求項5に記載の発電システムにおいて、前記複数の組のうち、一部の前記組における前記バネ部の伸縮方向と、他の一部の前記組における前記バネ部の伸縮方向とを異ならせた。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発電システムによれば、特殊な構造で構成する必要がないことから、発電システムの製造性を向上させると共に、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る発電システムを示す概要図である。
【
図2】
図1の第1伝達部及び第2伝達部の周辺領域を示す拡大斜視図である。
【
図5】押圧部が第1伝達部及び第2伝達部に対して後方上斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す斜視図である。
【
図6】押圧部が第1伝達部及び第2伝達部に対して前方下斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す斜視図である。
【
図7】受け部が相対的直線移動した状態を示す斜視図であり、(a)は受け部が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す図であり、(b)は受け部が前方下斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図13】実施の形態1に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図14】実施の形態1に係る収容部の変形例を示す図である。
【
図15】実施の形態2に係る発電システムを示す拡大右側面図であり、
図2に対応する領域を示す図である。
【
図16】押圧部が伝達部に対して後方上斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す右側面図である。
【
図17】押圧部が伝達部に対して前方下斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す右側面図である。
【
図18】実施の形態3に係る発電システムを示す概要図である。
【
図19】実施の形態3に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図20】実施の形態4に係る発電システムを示す概要図である。
【
図21】実施の形態4に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図22】実施の形態4に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図23】実施の形態4に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図24】実施の形態4に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図25】実施の形態5に係る発電システムを示す概要図である。
【
図26】実施の形態5に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図27】実施の形態5に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図28】実施の形態5に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図29】実施の形態5に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図30】実施の形態6に係る発電システムを示す概要図である。
【
図31】実施の形態6に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図32】実施の形態6に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図33】実施の形態6に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図34】実施の形態6に係る発電システムの変形例を示す図である。
【
図35】実施の形態6に係る発電システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る受信装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、外力を発電手段を介して電気に変換する発電システムに関するものである。
【0016】
ここで、「外力」とは、例えば、波力、風力、人力、機械力等を含む概念であるが、実施の形態では、波力として説明する。また、「発電手段」とは、外力を電気に変換するものであり、例えばダイナモ等を含む概念である。また、発電システムの設置対象については任意であるが、例えば、防波堤、防潮堤、岸壁、桟橋、沖等が該当する。以下、実施の形態では、発電システムが、海で発生した波の波力をダイナモを介して電気に変換する発電システムである場合について説明する。
【0017】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0018】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。この形態は、波力の水平分力を利用して発電を行う形態である。
【0019】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る発電システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る発電システムを示す概要図である。
図2は、
図1の第1伝達部及び第2伝達部の周辺領域を示す拡大斜視図である。
図3は、
図2のA-A矢視断面図である。なお、以下の説明では、
図1のX方向を発電システムの前後方向(+X方向を発電システムの前方向(沖側の方向)、-X方向を発電システムの後方向(陸側の方向))、
図2のY方向を発電システムの左右方向(-Y方向を発電システムの左方向、+Y方向を発電システムの右方向)、
図1のZ方向を発電システムの上下方向(+Z方向を発電システムの上方向、-Z方向を発電システムの下方向)と称する。発電システム1は、外力を後述する発電部80のダイナモを介して電気に変換するシステムである。
図1から
図3に示すように、この発電システム1は、収容部10、押圧部20、第1伝達部30a(第1伝達手段)、第2伝達部30b(第2伝達手段)、第1シャフト50、ベルト60、第2シャフト70、及び発電部80を備えている。
【0020】
(構成-収容部)
収容部10は、少なくとも後述する受け部22を収容するための収容手段である。この収容部10は、例えば防錆処理された鋼材等にて形成された長尺な略円環状体であり(すなわち、収容部10の前端部及び後端部の各々に開口部13が形成されている)、具体的には、
図1に示すように、押圧部20、第1伝達部30a、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト60、第2シャフト70、及び発電部80を収容可能な形状及び大きさにて形成されている。また、
図1に示すように、この収容部10は、収容部10の内部に波が流入出可能な位置に配置されており、防波堤(設置対象)に対して固定具等によって固定されている。なお、この収容部10の構成の詳細については後述する。
【0021】
(構成-押圧部)
押圧部20は、第1伝達部30a又は第2伝達部30bが回転移動可能となるように、当該第1伝達部30a及び当該第2伝達部30bを押圧するための押圧手段である。この押圧部20は、例えば防錆処理された鋼材等にて形成された長尺体であり、
図1、
図2に示すように、第1伝達部30a及び第2伝達部30bと接触可能な位置に設置されている。なお、この押圧部20の構成の詳細については後述する。
【0022】
(構成-第1伝達部、第2伝達部)
第1伝達部30a及び第2伝達部30bは、自己が回転移動することにより、後述する発電回転方向の回転力を後述する発電部80のダイナモに伝達するための伝達手段である。これら第1伝達部30a及び第2伝達部30bは、例えば、複数の突起部40を有し、且つ発電回転方向と同一の方向のみ回転可能な公知のラチェットギア(実施の形態1では、第1伝達部30a及び第2伝達部30bの回転速度が略同一となるラチェットギア)等を用いて構成されており、
図1から
図3に示すように、相互に間隔を隔てて左右方向に沿って並設配置され、第1シャフト50に対して固定具等によって固定されている。
【0023】
(構成-第1シャフト)
第1シャフト50は、第1伝達部30a又は第2伝達部30bから伝達された回転力をベルト60に伝達するためのものである。
図1、
図2に示すように、この第1シャフト50は、例えば防錆処理された鋼材等にて形成された略細長状の棒状体であり、第1シャフト50の長手方向が左右方向に沿うように設置されている。また、この第1シャフト50の固定方法については任意であるが、例えば、第1シャフト50の長手方向の両端部の各々を収容部10に対して回転可能な固定具等(例えば、ボールベアリング等)によって固定している。
【0024】
(構成-ベルト)
ベルト60は、第1シャフト50から伝達された回転力を第2シャフト70に伝達するためのものである。
図1に示すように、このベルト60は、例えば公知の無端ベルト等を用いて構成されており、当該ベルト60の長手方向が第1シャフト50から第2シャフト70に向かう方向(
図1では、後方上斜め方向)に沿うように設置され、且つ、当該ベルト60の内周面と第1シャフト50及び第2シャフト70の各々の外周面とが当接するように設置されている。
【0025】
(構成-第2シャフト)
第2シャフト70は、ベルト60から伝達された回転力を後述する発電部80のダイナモに伝達するためのものである。
図1に示すように、この第2シャフト70は、例えば防錆処理された鋼材等にて形成された略細長状の棒状体であり、第1シャフト50、押圧部20、第1伝達部30a、及び第2伝達部30bよりも陸側の位置において、当該第2シャフト70の長手方向が左右方向に沿うように設置されている。また、この第2シャフト70の固定方法については任意であるが、例えば、第2シャフト70の一部を後述する発電部80の筐体81の側壁に形成された挿通孔(図示省略)を介して当該筐体81の内部に収容し、当該収容した一部をダイナモの回転軸に対して固定具等によって固定している。なお、押圧部20、第1伝達部30a、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト60、及び第2シャフト70は、特許請求の範囲における「回転力変換手段」に対応する。
【0026】
(構成-発電部)
発電部80は、第1シャフト50、ベルト60、及び第2シャフト70を介して第1伝達部30a又は第2伝達部30bから伝達された回転力を利用して発電を行うためのものである。
図1に示すように、この発電部80は、第2シャフト70と略同一の位置に設置されており、筐体81、ダイナモ(図示省略)、及び回路基板(図示省略)を備えている。筐体81は、ダイナモ及び回路基板を保護する保護手段であり、例えば樹脂材料等にて形成された略箱状体であって、一側面(例えば、上面等)が開閉自在な略箱状体であり、収容部10に対して固定具等によって固定されている。ダイナモは、第2シャフト70を介して伝達された回転力によって当該ダイナモの回転軸(図示省略)が回転することにより発電を行う発電手段である。このダイナモは、例えば、当該ダイナモの回転軸が発電可能な一方向の回転方向(例えば、右方向から見て時計回りの回転方向が発電可能な回転方向である。なお、以下では、この回転方向を「発電回転方向」と称する。)のみに回転する公知のダイナモ等を用いて構成されており、筐体81に対して固定具等によって固定されている。発電システム1の各種機能を実現するための電気回路(図示省略)が実装された基板であり、例えば公知の回路基板を用いて構成されており、筐体81に対して固定具等によって固定されている。また、この回路基板には、電力変換部や電力出力部が実装されている(いずれも図示省略)。このうち、電力変換部は、ダイナモにて発電された電力を所定の電力に変換する電力変換手段であり、配線(図示省略)を介してダイナモと電気的に接続されている。また、電力出力部は、電力変換部にて変換された電力を外部機器(図示省略)に出力するための電力出力手段であり、配線(図示省略)を介して外部機器と電気的に接続されている。
【0027】
(構成-収容部の構成の詳細)
次に、収容部10の構成の詳細について説明する。
図4は、収容部10の前側部分を示す斜視図である。実施の形態1においては、
図4に示すように、収容部10は、第1収容部分11及び第2収容部分12を備えている。
【0028】
第1収容部分11は、押圧部20の一部(具体的には、後述する受け部22等)を収容する部分であり、
図4に示すように沖側において、少なくとも第1収容部分11の前側部分の一部が常時水中に位置するように設置されている。第2収容部分12は、押圧部20の他の一部(具体的には、後述する本体部21等)、第1伝達部30a、第2伝達部30b、及び発電部80を収容する部分であり、
図4に示すように陸地(防波堤)に設けられており、第1収容部分11に対して接続されている。また、これら第1収容部分11及び第2収容部分12の各々の内部形状の詳細については任意であるが、実施の形態1では、収容部10の内部に流入する波によって当該収容部10の内部水位を増幅させることにより、後述する押圧部20の相対的直線移動を促進させることが可能な形状に形成されている。具体的には、第1収容部分11の内部形状については、
図4に示すように、内径の上下方向の長さは陸側から沖側に向かうにしたがっても長さが変わらないものの、内径の左右方向の長さが陸側から沖側に向かうにしたがって長くなる環状(具体的には、第1収容部分11の内径の上下方向の長さよりも長くなるだ円環状)にて形成されている。また、第2収容部分12の内部形状については、内径の左右方向の長さ及び上下方向の長さが陸側から沖側に向かうにしたがっても長さが変わらない環状(具体的には、第1収容部分11の陸側の端部の内径と略同一となるだ円環状)にて形成されている。このような形状により、第1収容部分11及び第2収容部分12の各々の内部形状を均一な形状とした場合に比べて、収容部10の内部に波が流入した場合に収容部10の内部水位を増幅させることができると共に、上記流入した波が収容部10の外部に流出する場合に収容部10の内部水位を迅速に低下させることができる。よって、後述する押圧部20の相対的直線移動を効果的に行うことができ、発電システム1の発電量を高めることが可能となる。ただし、第1収容部分11及び第2収容部分12の各々の内部形状については、上記形状に限られず、例えば、第1収容部分11の内部形状を上記第2収容部分12の内部形状と略同一の形状にて形成することにより、後述する押圧部20の相対的直線移動を促進させることができないようにしてもよい。
【0029】
(構成-押圧部の構成の詳細)
次に、押圧部20の構成の詳細について説明する。
図5は、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して後方上斜め方向に向けて後述する相対的直線移動した状態を示す斜視図である。
図6は、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して前方下斜め方向に向けて後述する相対的直線移動した状態を示す斜視図である。
図7は、後述する受け部22が後述する相対的直線移動した状態を示す斜視図であり、(a)は後述する受け部22が後方上斜め方向に向けて後述する相対的直線移動した状態を示す図であり、(b)は後述する受け部22が前方下斜め方向に向けて後述する相対的直線移動した状態を示す図である。実施の形態1においては、
図1に示すように、押圧部20は、本体部21、受け部22、及び接続部23を備えている。
【0030】
(構成-押圧部の構成の詳細-本体部)
本体部21は、押圧部20の基本構造体である。
図1から
図3に示すように、この本体部21は、複数の長尺なフレーム部を組み合わせることによって、側面形状が比較的厚肉な略環状となるように形成されている。具体的には、これら複数のフレーム部は、第1伝達部30a側に配置された第1フレーム部21a、第2伝達部30b側において第1フレーム部21aと対向しないように配置された第2フレーム部21b、第1フレーム部21aの前側部分と第2フレーム部21bの前側部分とを接続する第3フレーム部21c、及び、第1フレーム部21aの後側部分と第2フレーム部21bの後側部分とを接続する第4フレーム部21dから構成されている。
【0031】
また、第1フレーム部21a及び第2フレーム部21bの形状の詳細については、実施の形態1では、第1伝達部30a又は第2伝達部30bが回転する回転中心軸(第1シャフト50)に直交する仮想面(
図1では、本体部21の内部空間において仮想的に生成されたXZ平面を仮想面とする。以下、「仮想面」と称する)の面内で、押圧部20に波力(外力)の水平方向分力が加えられた場合に、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して仮想面に沿って相対的に直線移動(具体的には、仮想面の長手方向(前後上下斜め方向)に略沿った相対的な直線移動。以下「相対的直線移動」と称する。)した場合に、所定の移動量(いわゆるストローク)を確保することが可能な形状に形成されている。ここで、「所定の移動量」の設定については、例えば、押圧部20の相対的直線移動によって、ダイナモが所望の発電量の発電を行うことが可能な移動量に設定されている。具体的には、第1フレーム部21aは、側面形状が略逆U字状にて形成されており、より具体的には、第1フレーム部21aにて一部囲まれた上記内部空間の長手方向(略前後方向)の長さが第1伝達部30aの円周よりも長く(例えば、第1伝達部30aの円周の整数倍(又整数倍以外の倍数)の長さ等)、第1フレーム部21aにて一部囲まれた上記内部空間の短手方向(略上下方向)の長さが第1伝達部30aの上下方向の長さと略同一となるように形成されている。また、第2フレーム部21bは、側面形状が略U字状となるように形成されており、より具体的には、第2フレーム部21bにて一部囲まれた上記内部空間の長手方向(略前後方向)の長さが第2伝達部30bの円周の長さよりも長く(例えば、第2伝達部30bの円周の整数倍(又整数倍以外の倍数)の長さ等)、第2フレーム部21bにて一部囲まれた上記内部空間の短手方向(略上下方向)の長さが第2伝達部30bの上下方向の長さと略同一となるように形成されている。ただし、これに限られず、例えば、第1フレーム部21aは、上記内部空間の長手方向(略前後方向)の長さが第1伝達部30aの円周よりも短くなるように(ただし、第1伝達部30aの前後方向の長さよりも長くなるように)形成されてもよい(なお、第2フレーム部21bについても同様とする)。
【0032】
また、
図2、
図3に示すように、第1フレーム部21aには第1歯部24が設けられており、第2フレーム部21bには第2歯部25が設けられている。第1歯部24は、第1伝達部30aを押圧するためのものであり、複数の突起部26を備えている。また、
図2に示すように、この第1歯部24は、第1伝達部30aと接触可能に配置されており、具体的には、第1フレーム部21aの横棒部分における第1伝達部30a側の端部(すなわち、当該横棒部分の下端部)において、押圧部20の相対的直線移動の移動方向に沿うように配置されている。第2歯部25は、第2伝達部30bを押圧するためのものであり、複数の突起部26を備えている。また、
図2に示すように、この第2歯部25は、第2伝達部30bと接触可能に配置されており、具体的には、第2フレーム部21bの横棒部分における第2伝達部30b側の端部(すなわち、当該横棒部分の上端部)において(すなわち、第1歯部24と間隔を隔てた位置において)、押圧部20の相対的直線移動の移動方向に沿うように配置されている。
【0033】
また、第1歯部24及び第2歯部25の各々における突起部26の形状については任意であるが、実施の形態1においては、押圧部20が上斜め方向(具体的には、後方上斜め方向)に向けて相対的直線移動した場合に、第1歯部24によって第1伝達部30aが押圧されて発電回転方向に回転移動し、押圧部20が下斜め方向(具体的には、前方下斜め方向)に向けて相対的直線移動した場合に、第2歯部25によって第2伝達部30bが押圧されて発電回転方向に回転移動するように形成されている。具体的には、第1歯部24の突起部26の形状については、
図5に示すように、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して後方上斜め方向に向けて移動した場合に、第1歯部24の突起部26と第1伝達部30aの突起部40とが噛み合うことにより、第1歯部24によって第1伝達部30aが押圧されるものの、
図6に示すように、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して前方下斜め方向に向けて移動した場合に、第1歯部24の突起部26と第1伝達部30aの突起部40とが噛み合わないことにより、第1歯部24によって第1伝達部30aが押圧されないように、第1歯部24の突起部26が後側下方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。また、第2歯部25の突起部26の形状については、
図5に示すように、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して後方上斜め方向に向けて移動した場合に、第2歯部25の突起部26と第2伝達部30bの突起部40とが噛み合わないことにより、第2歯部25によって第2伝達部30bが押圧されないものの、
図6に示すように、押圧部20が第1伝達部30a及び第2伝達部30bに対して前方下斜め方向に向けて移動した場合に、第2歯部25の突起部26と第2伝達部30bの突起部40とが噛み合うことにより、第2歯部25によって第2伝達部30bが押圧されるように、第2歯部25の突起部26が前側上方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。このような形状により、押圧部20が相対的直線移動した場合には、相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部20によって第1伝達部30a又は第2伝達部30bのいずれか一方を発電回転方向に回転移動するように押圧できる。よって、第1歯部24及び第2歯部25の各々の突起部26が前側上方(又は後側下方)に向けて傾斜して突出する形状とした場合に比べて、上記相対的直線移動が一方の移動方向に向けての移動である場合に、第1歯部24又は第2歯部25によって第1伝達部30a及び第2伝達部30bが押圧されないことで、発電できなくなることを回避でき、発電を確実に行うことが可能となる。
【0034】
(構成-押圧部の構成の詳細-受け部)
受け部22は、波力の水平方向分力を受けるものであり、
図1、
図7に示すように、長尺なブロック状体(具体的には、左右方向に長尺な矩形状体)にて形成されており、本体部21よりも下方に位置するように設置されている。また、受け部22の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、
図7(a)に示すように、押圧部20が上斜め方向(具体的には、後方上斜め方向)に向けて相対的直線移動した場合に波の水が受け部22の内部に流入し、
図7(b)に示すように、押圧部20が下斜め方向(前方下斜め方向)に向けて相対的直線移動した場合に流入させた水が受け部22の外部へ流出するように形成されている。具体的には、まず、
図1、
図7に示すように、受け部22の前側部分が後方向に向けて突出する凹状に形成されていることにより、上記凹状に形成されていない場合に比べて、受け部22における波の水の流入出量を増大させることができる。また、
図1、
図7に示すように、受け部22の前側部分の下端部において当該下端部から上方に向けて突出する返し部22aが設けられていることにより、押圧部20が前方下斜め方向に向けて相対的直線移動した場合に、受け部22に流入した水の一部が流出することを抑制できる。このような受け部22により、受け部22の内部に流入した水の重みによって押圧部20を下方(具体的には、前方下斜め方向)に向けて相対的直線移動させることができるので、受け部22の内部に波の水が流入しないように当該受け部22が形成された場合に比べて、押圧部20の相対的直線移動を確実に行うことが可能となる。
【0035】
また、
図1、
図7に示すように、受け部22の下端部には、移動部22bが設けられている。移動部22bは、波力の水平方向分力を利用して押圧部20を移動させるための移動手段である。この移動部22bは、例えば車輪部材等の公知のローラ部材等を用いて構成されており、受け部22に対して回転可能な固定具等によって固定されている。
【0036】
(構成-押圧部の構成の詳細-接続部)
接続部23は、本体部21と受け部22とを接続するものである。
図1に示すように、この接続部23は、長尺な略棒状体にて形成されており、本体部21と受け部22との相互間に配置され、接続部23の前端部が受け部22と溶接等によって接続されていると共に、接続部23の後端部が本体部21と溶接等によって接続されている。
【0037】
(構成-押圧部、第1伝達部、及び第2伝達部の設置位置の詳細)
次に、押圧部20、第1伝達部30a、及び第2伝達部30bの設置位置について説明する。この押圧部20、第1伝達部30a、及び第2伝達部30bの設置位置の詳細については、実施の形態1では、
図5に示すように、仮想面の面内で波の水平方向分力が受け部22に加えられた場合には、押圧部20が上斜め方向(具体的には、後方上斜め方向)に向けて相対的直線移動することにより、本体部21によって第1伝達部30aが押圧されて回転移動し、
図6に示すように、押圧部20が上斜め方向に向けて相対的直線移動した後に水平方向分力が受け部22に加えられなくなった場合には、当該押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が下斜め方向(具体的には、前方下斜め方向)に向けて相対的直線移動することにより、本体部21によって第2伝達部30bが押圧されて回転移動するように、押圧部20、第1伝達部30a、及び第2伝達部30bが設置されている。具体的には、
図2に示すように、第1伝達部30a及び第2伝達部30bが本体部21の内部空間において仮想面に沿うように収容された状態において、第1伝達部30aの突起部40と第1歯部24の突起部26とが接触可能となるように設置されていると共に、第2伝達部30bの突起部40と第2歯部25の突起部26とが接触可能となるように設置されている。また、第1伝達部30aと第1歯部24との接触状態については、押圧部20が相対的直線移動することで、第1伝達部30aが第1歯部24によって押圧されて回転移動できるように接触されていると共に、第2伝達部30bと第2歯部25との接触状態については、押圧部20が相対的直線移動することで、第2伝達部30bが第2歯部25によって押圧されて回転移動できるように接触されている。このような設置位置により、押圧部20が上方及び下方に向けて相対的直線移動する場合に波力及び押圧部20の自重を利用して発電を行うことができるので、波力のみを用いて発電を行う場合に比べて、相対的直線移動の移動方向に関わらず発電システム1の発電を確実に行うことが可能となる。なお、このような設置位置においては、第1伝達部30a及び第2伝達部30bが押圧部20から左方又は右方に向けて脱落するおそれがあるので、例えば、この脱落を防止するための脱落防止部(図示省略)が第1伝達部30a及び第2伝達部30b(又は押圧部20)に設けられてもよい。
【0038】
以上のような発電システム1の構造により、第1伝達部30a及び第2伝達部30bを市場に流通している部品(例えば、ラチェットギア等)で構成することができるので、特殊な構造で構成する必要がないことから、発電システム1の製造性を向上させると共に、製造コストを低減することが可能となる。また、特に、発電システム1を陸地(防波堤)に設置した場合でも、発電に必要な水平方向分力を得ることができ、当該水平方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。よって、発電システム1を沖に設置する場合に比べて、漁場や船の航路等に使用される水上領域の利用を妨げることを回避しながら、発電システム1の設置作業(例えば、発電システム1の発電部80と陸地に設けられた外部装置(一例として蓄電部等)とを接続する電気ケーブルの設置作業等)に手間を軽減できる。
【0039】
(構成-発電システムの機能)
このように構成された発電システム1の機能について説明する。
【0040】
まず、例えば、
図5に示すように、仮想面の面内で波の水平方向分力が受け部22に加えられた場合には、押圧部20が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第1伝達部30aが、押圧部20の第1歯部24によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第1伝達部30a及び第1歯部24によって上記水平方向分力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト60、第2シャフト70を介して第1伝達部30aによって発電部80におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0041】
また、例えば、
図6に示すように、押圧部20が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動した後に上記水平方向分力が受け部22に加えられなくなった場合には、押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が前方下斜め方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第2伝達部30bが、押圧部20の第2歯部25によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第2伝達部30b及び第2歯部25によって上記押圧部20の自重力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト60、第2シャフト70を介して第2伝達部30bによって発電部80におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0042】
(構成-その他の構成)
また、この他にも、発電システム1は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。具体的には、実施の形態1では、第1伝達部30a及び第2伝達部30bの回転速度が略同一の回転速度となるように、第1伝達部30a及び第2伝達部30bが形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、押圧部20における相対的直線移動の移動方向に応じて押圧部20の移動効率が異なる場合には、第1伝達部30a又は第2伝達部30bのいずれか一方が第1伝達部30a又は第2伝達部30bのいずれか他方に比べて低速回転又は高速回転するように、第1伝達部30a又は第2伝達部30bが形成されてもよい。一例として、押圧部20が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動する場合の移動効率が、押圧部20が前方下斜め方向に向けて相対的直線移動する場合の移動効率に比べて低い場合には、第1伝達部30aの直径を第2伝達部30bの直径よりも小さくすることにより(又は、第1伝達部30aの突起部40の数を第2伝達部30bの突起部40の数よりも少なくすることにより)、第1伝達部30aが高速回転式のラチェットギアとして形成され、第2伝達部30bが低速回転式のラチェットギアとして形成されてもよい。このような構成により、押圧部20における相対的直線移動の移動方向に応じて押圧部20の移動効率が異なる場合に、第1伝達部30a又は第2伝達部30bの回転速度を変えることにより押圧部20の移動効率を向上させることができるので、発電システム1の発電効率を維持することが可能となる。
【0043】
また、実施の形態1では、押圧部20の相対的直線移動の移動方向が前後上下斜め方向であると説明したが、これに限られず、例えば、水平方向に沿った前後方向であってもよい。この場合において、押圧部20が波の水平方向分力によって後方に向けて相対的直線移動した後に当該水平方向分力が受け部22に加えられなくなった場合には、例えば押圧部20を元の位置に戻すための公知の復元手段(一例として、スプリング、ゴム等の弾性部材等)によって押圧部20を前方に向けて相対的直線移動させてもよい。
【0044】
また、実施の形態1では、押圧部20、第1伝達部30a、及び第2伝達部30bは、仮想面が左右方向に直交するように(いわゆる縦置き状態に)配置されていると説明したが、これに限られず、例えば、仮想面が略水平となるように(いわゆる横置き状態に)配置されてもよい。
【0045】
また、実施の形態1では、押圧部20、第1伝達部30a、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト60、第2シャフト70、及び発電部80からなる組が1つ設けられていると説明したが、これに限られない。
図8、
図9は、実施の形態1に係る発電システム1の変形例を示す図である。例えば、
図8に示すように、発電量を向上させるために、上記組が複数設けられてもよい。この場合には、
図8に示すように、各組の押圧部20が受け部22及び接続部23をそれぞれ備えてもよい。また、これら接続部23の前後方向の長さについては任意であるが、例えば、水面の高さ(いわゆる潮位)に応じた長さにそれぞれ設定してもよく、一例として、満潮に対応する長さを干潮に対応する長さよりも短くなるように設定する。あるいは、
図9に示すように、複数組の押圧部20が共通する受け部22を備えてもよい。なお、収容部10については、
図8の変形例では、収容部10を各組毎にそれぞれ設けたり、又は、複数組に共通する収容部10を設けてもよいが、
図9の変形例では、複数組に共通する収容部10を設けることになる。
【0046】
また、実施の形態1では、1つの押圧部20に対して第1伝達部30a、第2伝達部30b、及び第1シャフト50からなる組が1つ設けられていると説明したが、これに限られない。
図10は、実施の形態1に係る発電システム1の変形例を示す図である。例えば、
図10に示すように、発電量を向上させるために、1つの押圧部20に対して上記組が複数設けられてもよい。この場合には、
図10に示すように、複数組の第1伝達部30a、第2伝達部30b、及び第1シャフト50が前後方向に沿って並設される。また、各組に対してベルト60、第2シャフト70、及び発電部80が設けられる。
【0047】
また、実施の形態1では、1つの第1シャフト50に対して第1伝達部30a及び第2伝達部30bからなる組が1つ設けられていると説明したが、これに限られない。
図11は、実施の形態1に係る発電システム1の変形例を示す図である。例えば、
図11に示すように、1つの第1シャフト50に対して上記組が複数設けられてもよい(
図11の例では、3組の第1伝達部30a及び第2伝達部30bが設けられている)。この場合において、例えば、押圧部20が波浪状況に応じた相対的直線移動を行うことができるように、各組の第1伝達部30a及び第2伝達部30bの回転速度を異なるように設定してもよい(一例として、1組目の回転速度を最も高速に設定し、2組目の回転速度を最も低速に設定し、3組目の回転速度を1組目の回転速度と2組目の回転速度との中間の速度に設定する等)。これにより、例えば、波高が比較的低い場合には、1組目(又は1組目及び2組目)の第1伝達部30a及び第2伝達部30bのみを回転させることができ、台風等の影響により波高が比較的高い場合には、1組目、2組目、及び3組目の各々の第1伝達部30a及び第2伝達部30bを回転させることができるので、波浪状況に関わらず押圧部20の相対的直線移動を一定の速度で行うことができ、発電システム1の発電効率を維持することが可能となる。あるいは、これに限られず、例えば、各組の第1伝達部30a及び第2伝達部30bの回転速度を同一に設定してもよい。
【0048】
また、実施の形態1では、伝達手段として第1伝達部30a及び第2伝達部30bが設けられており、歯部として第1歯部24及び第2歯部25が設けられていると説明したが、これに限られない。
図12、
図13は、実施の形態1に係る発電システム1の変形例を示す図である。例えば、
図12に示すように、伝達手段として、第1伝達部30a及び第2伝達部30bに加えて、第3伝達部30c(第3伝達手段)及び第4伝達部30d(第4伝達手段)が設けられると共に、歯部として、第1歯部24及び第2歯部25に加えて第3歯部27が設けられてもよい。
【0049】
第3伝達部30cは、自己が回転移動することにより、後述する発電回転方向の回転力を後述する発電部80のダイナモに伝達するための伝達手段である。この第3伝達部30cは、第1伝達部30aと同様に、発電回転方向と同一の方向のみ回転可能な公知のラチェットギア等を用いて構成され、
図12に示すように、第1伝達部30a及び第2伝達部30bの各々と相互に間隔を隔てて配置され(具体的には、第1伝達部30aよりも左方側に配置され)、第1シャフト50に対して固定具等によって固定される。
【0050】
第4伝達部30dは、当該第4伝達部30dの回転に伴って第3伝達部30cを回転させるための伝達手段である。この第4伝達部30dは、例えば公知の平歯車等を用いて構成されており、第3伝達部30cと接触可能な位置に配置され(具体的には、第3伝達部30cよりも下方側に配置され)、収容部10に回転可能に固定された図示しないシャフトに対して固定具等によって固定される。
【0051】
第3歯部27は、第4伝達部30dを押圧するためのものであり、複数の突起部26を備えており、第4伝達部30dと接触可能に配置される。また、この第3歯部27の設置方法の詳細については、例えば、
図12に示すように、本体部21が、第1フレーム部21aから第4フレーム部21dに加えて、第4伝達部30d側に配置された第5フレーム部21eと、第1フレーム部21aの前側部分と第5フレーム部21eの前側部分とを接続する第6フレーム部(図示省略)と、第1フレーム部21aの後側部分と第5フレーム部21eの後側部分(図示省略)とを接続する第7フレーム部(図示省略)とを備える。そして、これらフレーム部のうち、第5フレーム部21eの横棒部分における第4伝達部30d側の端部において、第3歯部27を押圧部20の相対的直線移動の移動方向に沿うように設置している。
【0052】
ここで、第1歯部24、第2歯部25、及び第3歯部27の各々における突起部26の形状については、具体的には、受け部22が波力等を受けることで押圧部20が仮想面の面内回転における回転方向の一方(時計回りの回転方向)に向けて回転移動した場合に、第1歯部24及び第2歯部25によって第1伝達部30a及び第2伝達部30bが押圧されて発電回転方向に回転移動し、押圧部20が仮想面の面内回転における回転方向の他方(反時計回りの回転方向)に向けて回転移動した場合に、第3歯部27によって第4伝達部30dを介して第3伝達部30cが押圧されて発電回転方向に回転移動するように形成される。より具体的には、第1歯部24及び第2歯部25の各々の突起部26の形状については、実施の形態1と同様の形状に形成される。また、第3歯部27の突起部26の形状については、押圧部20の仮想面の面内回転における回転方向に関わらず、第3歯部27の突起部26と第4伝達部30dの突起部40とが噛み合うことにより、第3歯部27によって第4伝達部30dを介して第3伝達部30cが押圧されるように(なお、第3伝達部30cが押圧された場合でも、第3伝達部30cの内部ラチェットが第4伝達部30dと噛み合わない限り、第3伝達部30cは回転しない)、上方に向けて突出する略正三角形状に形成される。
【0053】
このような構造により、仮想面の面内回転における回転方向に関わらず押圧部20が回転移動した場合には、押圧部20によって第1伝達部30a、第2伝達部30b、又は第3伝達部30cを発電回転方向に回転移動するように押圧できる。よって、第3伝達部30c、第4伝達部30d、及び第3歯部27を設けない場合に比べて、押圧部20の仮想面の面内回転における回転方向に関わらず発電を行うことができるので、発電量を高めることができる。また、上記第3歯部27の突起部26の形状によれば、押圧部20が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動する場合には、第3伝達部30cは、第3歯部27によって第4伝達部30dを介して押圧されるが、第3伝達部30cの内部ラチェットと第4伝達部30dとが噛み合わないことにより空回りすることできる。一方で、押圧部20が前方下斜め方向に向けて相対的直線移動する場合には、第3伝達部30cは、第3歯部27によって第4伝達部30dを介して押圧されて、第3伝達部30cの内部ラチェットと第4伝達部30dとが噛み合うことにより発電回転方向に回転することができる。
【0054】
なお、
図12の変形例では、第3伝達部30cと接触可能な第4伝達部30dを1つ設けると説明したが、これに限られない。例えば、第3伝達部30cの周縁に第4伝達部30dを複数設けてもよい。これにより、押圧部20における仮想面の面内回転の角度が比較的小さい場合に、第3伝達部30cと複数の第4伝達部30dの一部とを接触させ、押圧部20における仮想面の面内回転の角度が比較的大きい場合に、第3伝達部30cと複数の第4伝達部30dの他の一部とを接触させることができる。よって、押圧部20における仮想面の面内回転の角度の大きさに関わらず、第3歯部27によって第4伝達部30dを介して第3伝達部30cを押圧させることが可能となる。また、
図12の変形例では、第3伝達部30c、第4伝達部30d、及び第3歯部27からなる組を1つ設けると説明したが、これに限られない。例えば、上記組を複数設けてもよく、一例として、
図13に示すように、
図12の発電システム1において、第2伝達部30bよりも右方側に上記組をさらに1つ追加して設けてもよい。この場合には、押圧部20の相対的直線移動を安定的に行うために、上記追加された組の第4伝達部30dは上記追加された組の第3歯部27よりも下方側に配置されると共に、上記追加された組の第3伝達部30cは上記追加された組の第4伝達部30dよりも下方側に配置されてもよい。また、上記追加された組の第3歯部27の突起部26の形状については、下方に向けて突出する略正三角形状に形成されてもよい。
【0055】
また、実施の形態1では、収容部10の第1収容部分11及び第2収容部分12の内部形状をだ円環状にて形成していると説明したが、これに限られず、様々な形状にて形成されてもよい。
図14は、実施の形態1に係る収容部10の変形例を示す図である。例えば、
図14に示すように、第1収容部分11の内部形状を上面が開放された矩形環状(具体的には、第1収容部分11の内径の上下方向の長さよりも長くなる矩形環状)にて形成したり、第2収容部分12の内部形状を上面が開放された矩形環状(具体的には、第1収容部分11の陸側の端部の内径と略同一となる矩形環状)にて形成してもよい。
【0056】
(効果)
このように実施の形態1によれば、第1伝達部30a及び第2伝達部30bの各々の回転中心軸に直交する仮想面の面内で、押圧部20、当該第1伝達部30a、又は当該第2伝達部30bに波力(外力)が加えられた場合に、当該第1伝達部30a及び当該第2伝達部30bと当該押圧部20とが仮想面に沿って相対的直線移動することにより、当該押圧部20によって当該第1伝達部30a又は当該第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動するように、当該押圧部20を形成し、発電部80のダイナモは、相対的直線移動が当該相対的直線移動の一方の移動方向に向けての移動である場合に、第1伝達部30aにて伝達された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行い、相対的直線移動が当該相対的直線移動の他方の移動方向に向けての移動である場合に、第2伝達部30bにて伝達された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行うので、第1伝達部30a及び第2伝達部30bを市場に流通している部品(具体的には、公知のラチェットギア等)で構成することができるので、特殊な構造で構成する必要がないことから、発電システム1の製造性を向上させると共に、製造コストを低減することが可能となる。
【0057】
また、相対的直線移動が当該相対的直線移動の一方の移動方向に向けての移動である場合に、第1歯部24によって第1伝達部30aが押圧されて発電回転方向に回転移動し、相対的直線移動が当該相対的直線移動の他方の移動方向に向けての移動である場合に、第2歯部25によって第2伝達部30bが押圧されて発電回転方向に回転移動するように、第1歯部24及び第2歯部25を形成したので、第1伝達部30a又は第2伝達部30bの回転方向が発電回転方向と一致するように調整するための調整手段を設ける必要がないことから、発電システム1の製造コストを低減することが可能となる。
【0058】
また、押圧部20は、第1歯部24及び第2歯部25を有する本体部21と、本体部21よりも下方に位置する受け部22であって、波力の水平方向分力を受ける受け部22と、本体部21と受け部22とを接続する接続部23と、を備え、相対的直線移動の移動方向が上下斜め方向である場合において、水平方向分力が受け部22に加えられた場合には、押圧部20が相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向である上斜め方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか一方によって第1伝達部30a又は第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動し、押圧部20が上斜め方向に向けて直線移動した後に水平方向分力が受け部22に加えられなくなった場合には、当該押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向である下斜め方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか他方によって第1伝達部30a又は第2伝達部30bのいずれか他方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達部30a、当該第2伝達部30b、及び当該押圧部20を設置したので、押圧部20が上下斜め方向に向けて相対的直線移動する場合に波力及び押圧部20の自重を利用して発電を行うことができ、波力のみを用いて発電を行う場合に比べて、相対的直線移動の移動方向に関わらず発電システム1の発電を確実に行うことが可能となる。
【0059】
また、押圧部20が上斜め方向に向けて相対的直線移動した場合に波の水が受け部22の内部に流入し、押圧部20が下斜め方向に向けて相対的直線移動した場合に流入させた水が受け部22の外部へ流出するように、当該受け部22を形成したので、受け部22の内部に流入した水の重みによって押圧部20を下方に向けて相対的直線移動させることができ、受け部22の内部に波の水が流入しないように当該受け部22が形成された場合に比べて、押圧部20の相対的直線移動を確実に行うことが可能となる。
【0060】
また、収容部10の内部形状を、当該収容部10の内部に流入する波によって当該収容部10の内部水位を増幅させることにより、押圧部20の相対的直線移動を促進させることが可能な形状に形成したので、収容部10の内部形状を均一な形状とした場合に比べて、収容部10の内部に波が流入した場合に収容部10の内部水位を増幅させることができると共に、上記流入した波が収容部10の外部に流出する場合に収容部10の内部水位を迅速に低下させることができる。よって、押圧部20の相対的直線移動を効果的に行うことができ、発電システム1の発電量を高めることが可能となる。
【0061】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、実施の形態1と異なる形態であって、波力の水平分力を利用して発電を行う形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0062】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る発電システムの構成について説明する。
図15は、実施の形態2に係る発電システムを示す拡大右側面図であり、
図2に対応する領域を示す図である。
図16は、押圧部が伝達部に対して後方上斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す右側面図である。
図17は、押圧部が伝達部に対して前方下斜め方向に向けて相対的直線移動した状態を示す右側面図である。
図15に示すように、実施の形態2に係る発電システム100は、収容部(図示省略)、押圧部20、伝達部90、第1シャフト(図示省略)、ベルト(図示省略)、第2シャフト(図示省略)、及び発電部(図示省略)を備えている。
【0063】
(構成-伝達部、第1シャフト)
伝達部90は、例えば複数の突起部91を有する公知の歯車等を用いて構成されており、第1シャフトに対して固定具等によって固定されている。また、第1シャフトは、伝達部90から伝達された回転力をベルトに伝達するためのものであり、
図15に示すように、第1シャフトの長手方向が左右方向に沿うように設置されている。
【0064】
(構成-押圧部)
押圧部20は、本体部(図示省略)、受け部(図示省略)、及び接続部(図示省略)を備えている。このうち、この本体部は、側面形状が比較的厚肉な矩形環状に形成されている(すなわち、本体部の内側には収容孔28が形成されている)。ここで、収容孔28の形状については、実施の形態2では、収容孔28に伝達部90が収容可能であり、且つ、仮想面の面内で、押圧部20に波力の水平方向分力が加えられた場合に、押圧部20が相対的直線移動した場合に、所定の移動量(いわゆるストローク)を確保することが可能な形状に形成されている。具体的には、
図15に示すように、収容孔28の長手方向(略前後方向)の長さが伝達部90の前後方向の長さよりも長く(例えば、伝達部90の前後方向の長さの5倍程度の長さ等)、収容孔28の短手方向(略上下方向)の長さが伝達部90の上下方向の長さと略同一となるように形成されている。
【0065】
また、本体部における収容孔28の上端部側には第1歯部24が設けられていると共に、本体部における収容孔28の下端部側には第2歯部25が設けられており、具体的には、第1歯部24及び第2歯部25は、伝達部90と接触可能であり、且つ相対的直線移動の移動方向に沿うように配置されている。ここで、第1歯部24及び第2歯部25の各々における突起部26の形状については任意であるが、実施の形態2においては、
図16に示すように、押圧部20が上斜め方向(具体的には、後方上斜め方向)に向けて相対的直線移動した場合に、第1歯部24によって伝達部90が押圧されて発電回転方向に回転移動し、
図17に示すように、押圧部20が下斜め方向(具体的には、前方下斜め方向)に向けて相対的直線移動した場合に、第2歯部25によって伝達部90が押圧されて発電回転方向に回転移動するように形成されている。具体的には、第1歯部24の突起部26の形状については、実施の形態1に係る第1歯部24の形状と略同様に、第1歯部24の突起部26が後側下方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。また、第2歯部25の突起部26の形状については、実施の形態1に係る第2歯部25の形状と略同様に、第2歯部25の突起部26が前側上方に向けて傾斜して突出する形状に形成されている。このような形状により、押圧部20が相対的直線移動した場合には、相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部20によって伝達部90を発電回転方向に回転移動するように押圧できるので、伝達部90の回転方向が発電回転方向と一致するように調整するための調整部を設ける必要がないことから、発電システム100の製造コストを低減することが可能となる。
【0066】
(構成-押圧部及び伝達部の設置位置の詳細)
次に、押圧部20及び伝達部90の設置位置について説明する。この押圧部20及び伝達部90の設置位置の詳細については、実施の形態2では、
図16に示すように、仮想面の面内で波の水平方向分力が受け部(図示省略)に加えられた場合には、押圧部20が上斜め方向(具体的には、後方上斜め方向)に向けて相対的直線移動することにより、本体部(図示省略)によって伝達部90が押圧されて回転移動し、
図17に示すように、押圧部20が上斜め方向に向けて相対的直線移動した後に水平方向分力が受け部に加えられなくなった場合には、当該押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が下斜め方向(具体的には、前方下斜め方向)に向けて相対的直線移動することにより、本体部によって伝達部90が押圧されて回転移動するように、押圧部20及び伝達部90が配置されている。具体的には、
図15に示すように、伝達部90が本体部の収容孔28の内部において仮想面に沿うように収容された状態において、伝達部90の突起部91と第1歯部24及び第2歯部25の各々の突起部26とが接触可能となるように設置されている。
【0067】
以上のような発電システム100の構造により、実施の形態1に係る発電システム1と略同様に、発電システム100を陸地(防波堤)に設置した場合でも、発電に必要な水平方向分力を得ることができ、当該水平方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0068】
(構成-発電システムの機能)
このように構成された発電システム100の機能について説明する。
【0069】
まず、例えば、
図16に示すように、仮想面の面内で波の水平方向分力が受け部22に加えられた場合には、押圧部20が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、伝達部90が、押圧部20の第1歯部24によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部90及び第1歯部24によって上記水平方向分力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト、ベルト、第2シャフトを介して伝達部90によって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0070】
また、例えば、
図17に示すように、押圧部20が後方上斜め方向に向けて相対的直線移動した後に上記水平方向分力が受け部に加えられなくなった場合には、押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が前方下斜め方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、伝達部90が、押圧部20の第2歯部25によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、伝達部90及び第2歯部25によって上記押圧部20の自重力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト、ベルト、第2シャフトを介して伝達部90によって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0071】
(効果)
このように実施の形態2によれば、押圧部20が上斜め方向に向けて相対的直線移動した場合に、第1歯部24によって伝達部90が押圧されて発電回転方向に回転移動し、押圧部20が下斜め方向に向けて相対的直線移動した場合に、第2歯部25によって伝達部90が押圧されて発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部24及び当該第2歯部25を形成したので、押圧部20が相対的直線移動した場合には、当該相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧部20によって伝達部90を発電回転方向に回転移動するように押圧でき、相対的直線移動の移動方向に関わらず発電システム100の発電を確実に行うことが可能となる。
【0072】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、波力の鉛直方向分力を利用して発電を行う形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0073】
(構成)
最初に、実施の形態3に係る発電システムの構成について説明する。
図18は、実施の形態3に係る発電システムを示す概要図である。
図18に示すように、実施の形態3に係る発電システム200は、押圧部20、第1伝達部(図示省略)、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト(図示省略)、第2シャフト(図示省略)、及び発電部(図示省略)を備えている。
【0074】
(構成-押圧部)
押圧部20は、
図18に示すように、本体部21、支持フレーム部110、連結バー111、第1浮体部112、第2浮体部113、歯部114、及び第3浮体部115を備えている。
【0075】
(構成-押圧部-本体部)
本体部21は、
図18に示すように、第1フレーム部21a(又は第2フレーム部21b)の長手方向が上下方向に略沿うように配置されている。
【0076】
(構成-押圧部-支持フレーム部)
支持フレーム部110は、本体部21を支持するための支持手段である。また、この支持フレーム部110は、複数のフレーム部を組み合わせることによって構成されている。具体的には、
図18に示すように、複数のフレーム部は、矩形環状の第1フレーム部110aと、矩形環状の第2フレームであって、第1フレーム部110aよりも左側に設けられた第2フレーム(図示省略)と、直線状の第3フレーム部であって、第1フレーム部110aにおける上側部分の後端部と第2フレーム部における上側部分の後端部とを接続する第3フレーム部(図示省略)と、直線状の第4フレーム部であって、第1フレーム部110aにおける下側部分の後端部と第2フレーム部における下側部分の後端部とを接続する第4フレーム部(図示省略)とから構成されている。また、この支持フレーム部110は、本体部21の一部を外側から覆うように配置されており、本体部21の上下方向の移動を許容することが可能な接続構造(例えば、嵌合構造等)によって本体部21と接続されている。また、支持フレーム部110に対する第1伝達部、第2伝達部30b、及び第1シャフト50の設置方法については任意であるが、実施の形態3では、
図18に示すように、まず、第1伝達部及び第2伝達部30bを相互に間隔を隔てて左右方向に沿って並設配置した後、これら第1伝達部及び第2伝達部30bを第1シャフト50に対して固定具等によって固定する。そして、この第1シャフト50の左右方向の端部の少なくともいずれか一方を支持フレーム部110に対して回転可能な固定具等(例えば、ボールベアリング等)によって固定することにより設置している。
【0077】
(構成-押圧部-連結バー)
連結バー111は、支持フレーム部110、第1浮体部112、第2浮体部113、歯部114、及び第3浮体部115を連結するための連結手段である。この連結バー111は、棒状状体にて形成されており、支持フレーム部110と第1浮体部112との相互間、第1浮体部112と第2浮体部113との相互間、第2浮体部113と歯部114との相互間、及び歯部114と第3浮体部115との相互間にそれぞれ配置され、支持フレーム部110、第1浮体部112、第2浮体部113、歯部114、及び第3浮体部115に対して固定具等によって固定されている(なお、第2浮体部113と歯部114との相互間の連結バー111においては、当該連結バー111が前後方向の回転できるように、第2浮体部113に対して当該回転が可能な固定具等によって接続されている)。
【0078】
(構成-押圧部-第1浮体部、第2浮体部)
第1浮体部112及び第2浮体部113は、当該第1浮体部112及び当該第2浮体部113の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、第1伝達部、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト、第2シャフト、発電部、本体部21、及び連結バー111の一部を支持するものである。これら第1浮体部112及び第2浮体部113は、例えば金属材、樹脂材、木材等にて形成された略球状体(又は、多角形体(一例として直方体等))であり、水面上に浮遊しており、連結バー111に対して固定具等によって接続されている。
【0079】
(構成-押圧部-歯部)
歯部114は、本体部21を押圧するためのものである。
図18に示すように、この歯部114は、比較的厚肉な略扇状の板状体にて形成されており、支持フレーム部110と当接可能な位置に配置され、連結バー111に対して固定具等によって接続されている。また、歯部114と本体部21との押圧方法については任意であるが、実施の形態3では、
図18に示すように、歯部114における本体部21との当接部分に複数の突起部114aを設け、本体部21の第1フレーム部21aにおける支持フレーム部110との当接部分に複数の突起部116aを有する第3歯部116を設けることにより、歯部114の突起部114aと第3歯部116の突起部116aとが噛み合うことにより、歯部114と本体部21とを押圧する。
【0080】
(構成-押圧部-第3浮体部)
第3浮体部115は、当該第3浮体部115の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、波力の鉛直方向分力を受けるものである。
図18に示すように、この第3浮体部115は、例えば金属材、樹脂材、木材等にて形成された略箱状体(例えば、直方体等)であり、水面上において少なくとも第1浮体部112及び第2浮体部113に比べて上下方向に向けて揺動可能な状態で浮遊しており、連結バー111に対して固定具等によって接続されている。
【0081】
以上のような発電システム200の構造により、発電システム200を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0082】
(構成-発電システムの機能)
このように構成された発電システム200の機能について説明する。
【0083】
まず、例えば、波力の鉛直方向分力が第3浮体部115に加えられた場合には、歯部114によって本体部21が押圧されることで、本体部21が下方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第2伝達部30bが、押圧部20の第2歯部25によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第2伝達部30b及び第2歯部25によって上記押圧部20の自重力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第2伝達部30bによって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0084】
また、本体部21が下方向に向けて相対的直線移動した後に上記鉛直方向分力が第3浮体部115に加えられなくなった場合には、歯部114によって本体部21が押圧されることで、本体部21が上方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第1伝達部が、押圧部20の第1歯部24によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第1伝達部及び第1歯部24によって上記鉛直方向分力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第1伝達部によって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0085】
(構成-その他の構成)
また、この他にも、発電システム200は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。具体的には、実施の形態3では、押圧部20は、本体部21、支持フレーム部110、連結バー111、第1浮体部112、第2浮体部113、歯部114、及び第3浮体部115を備えていると説明したが、これに限られない。
図19は、実施の形態3に係る発電システム200の変形例を示す図である。例えば、
図19に示すように、押圧部20は、上述した構成要素に加えて、揺れ抑制部117を備えてもよい。揺れ抑制部117は、第1浮体部112又は第2浮体部113の揺れを抑制するための揺れ抑制手段である。この揺れ抑制部117は、長尺な棒状体にて形成されており、第1浮体部112及び第2浮体部113の下方において、当該揺れ抑制部117の長手方向が上下方向にそうように配置され、第1浮体部112及び第2浮体部113の各々に対して固定具等によって接続されていると共に、海底に置かれたアンカー部118とロープ119を介して接続されている。このような構成により、第1浮体部112及び第2浮体部113の揺れを抑制できるので、発電システム200の設置の安定性を向上させることができる。
【0086】
(効果)
このように実施の形態3によれば、相対的直線移動の移動方向が上下方向である場合において、波力の鉛直方向分力が第3浮体部115に加えられた場合には、歯部114によって本体部21が押圧されることで、本体部21が相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向である下方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか一方によって第1伝達部又は第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動し、本体部21が下方向に向けて相対的直線移動した後に鉛直方向分力が第3浮体部115に加えられなくなった場合には、歯部114によって本体部21が押圧されることで、当該押圧部20が相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向である上方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか他方によって第1伝達部又は第2伝達部30bのいずれか他方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達部、当該第2伝達部30b、及び当該押圧部20を設置したので、発電システム200を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0087】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この形態は、実施の形態3とは異なる形態であって、波力の鉛直方向分力を利用して発電を行う形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0088】
(構成)
最初に、実施の形態4に係る発電システムの構成について説明する。
図20は、実施の形態4に係る発電システムを示す概要図である。
図20に示すように、実施の形態4に係る発電システム300は、第1浮体部120、押圧部20、第1伝達部(図示省略)、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト(図示省略)、第2シャフト(図示省略)、及び発電部(図示省略)を備えている。
【0089】
(構成-第1浮体部)
第1浮体部120は、当該第1浮体部120の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであり、
図20に示すように、第1浮体部本体121及び支持部122を備えている。
【0090】
(構成-第1浮体部-第1浮体部本体)
第1浮体部本体121は、第1浮体部120の基本構造体である。ここで、「第1浮体部本体121」は、例えば、浮遊する機能を有する部材のみを組み合わせたものや、浮遊する機能を有する部材と浮遊する機能を有しない部材とを組み合わせたもの等を含む概念である(なお、後述する第2浮体部124についても同様とする)。また、この第1浮体部本体121は、例えば金属材、樹脂材等にて形成された長尺な中空状の略円柱体であり、水面上に浮遊している。また、この第1浮体部本体121の設置方法については任意であるが、実施の形態4では、第1浮体部120の設置の安定性を確保する観点から、第1浮体部本体121の大半部分が水中に留められるように設置している。具体的には、
図20に示すように、第1浮体部本体121の略半分程度(又はそれよりも若干多い量)が水で満たされるように(なお、残りの部分は空気で満たされる)、第1浮体部本体121の下端部に形成された開口部を介して第1浮体部本体121の内部に水を流入させることにより設置している。また、
図20に示すように、第1浮体部本体121の下端部には、返し部123が設けられている。返し部123は、第1浮体部本体121が上下方向又は水平方向に振動することを抑制するための抑制手段であり、例えば、第1浮体部本体121の一部を折り曲げ成形することにより、水平方向の外側に向けて張り出すように形成されている。
【0091】
(構成-第1浮体部-支持部)
支持部122は、第1伝達部、第2伝達部30b、及び第1シャフト50を支持するための支持手段である。
図20に示すように、この支持部122は、例えば、第1浮体部本体121と同一の材質にて形成された長尺な棒状体であり、支持部122の長手方向が上下方向に略沿うように設置され、支持部122の下端部が第1浮体部本体121の上端部と当接するように第1浮体部本体121に対して固定具又は溶接等によって接続されている。また、支持部122に対する第1伝達部、第2伝達部30b、及び第1シャフト50の設置方法については任意であるが、実施の形態4では、
図20に示すように、まず、第1伝達部及び第2伝達部30bを相互に間隔を隔てて左右方向に沿って並設配置した後、これら第1伝達部及び第2伝達部30bを第1シャフト50に対して固定具等によって固定することにより設置している。そして、この第1シャフト50における第1伝達部と第2伝達部30bとの間に対応する部分を支持部122の上下方向の中央部に対して回転可能な固定具等(例えば、ボールベアリング等)によって固定する。
【0092】
(構成-押圧部)
押圧部20は、
図20に示すように、本体部21、一対の第2浮体部124、及び一対の接続部125を備えている。
【0093】
(構成-押圧部-本体部)
本体部21は、
図20に示すように、第1フレーム部21a(又は第2フレーム部21b)の長手方向が上下方向に略沿うように配置されている。また、本体部21に対する支持部122の設置方法については任意であるが、実施の形態4では、
図20に示すように、第3フレーム部21c及び第4フレーム部21dの各々に貫通孔(図示省略)を形成し、当該形成した貫通孔に支持部122を挿通させることにより設置している。
【0094】
(構成-押圧部-第2浮体部)
一対の第2浮体部124は、当該第2浮体部124の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、本体部21を支持しながら、波力の鉛直方向分力を受けるものである。これら一対の第2浮体部124は、例えば金属材、樹脂材、木材等にて形成された略箱状体(例えば、直方体等)であり、本体部21よりも下方位置であり、且つ水面上において、少なくとも第1浮体部120に比べて上下方向に向けて揺動可能な状態で相互に間隔を隔てて浮遊している。
【0095】
(構成-押圧部-接続部)
一対の接続部125は、本体部21と第2浮体部124とを接続するものであり、
図20に示すように、一対の接続部125の一方は、本体部21の第1フレーム部21aと一対の第2浮体部124の一方を固定具又は溶接等によって接続していると共に、一対の接続部125の他方は、本体部21の第2フレーム部21bと一対の第2浮体部124の他方を固定具又は溶接等によって接続している。
【0096】
以上のような発電システム300の構造により、発電システム300を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、実施の形態3に係る発電システム200と同様に、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0097】
(構成-発電システムの機能)
このように構成された発電システム300の機能について説明する。
【0098】
まず、例えば、波力の鉛直方向分力が一対の第2浮体部124に加えられた場合には、押圧部20が上方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第1伝達部が、押圧部20の第1歯部24によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第1伝達部及び第1歯部24によって上記鉛直方向分力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第1伝達部によって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0099】
また、例えば、押圧部20が上方向に向けて相対的直線移動した後に上記鉛直方向分力が一対の第2浮体部124に加えられなくなった場合には、押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が下方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第2伝達部30bが、押圧部20の第2歯部25によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第2伝達部30b及び第2歯部25によって上記押圧部20の自重力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第2伝達部30bによって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0100】
(構成-その他の構成)
また、この他にも、発電システム300は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。具体的には、実施の形態4では、第1浮体部120は、第1浮体部本体121及び支持部122を備えていると説明したが、これに限られない。
図21から
図24は、実施の形態4に係る発電システム300の変形例を示す図である。例えば、第1浮体部本体121及び支持部122に加えて、
図21から
図24に示すように、複数の羽部126を備えてもよく、あるいは、
図22から
図24に示すように、複数の羽部126及び重り部127を備えてもよい。複数の羽部126は、第1浮体部本体121が上下方向又は水平方向に振動することを抑制するための抑制手段である。これら複数の羽部126は、例えば金属材、樹脂材等にて形成された長尺な矩形状の板状体であり、
図21に示すように、当該羽部126の長手方向が上下方向に沿うように配置され、第1浮体部本体121に対して固定具又は溶接等により接続されている。また、羽部126の具体的な構成については、
図21に示す長方形状の羽部126を複数設けることに限られず、例えば、
図22に示す楕円形状の羽部126を複数設けたり、
図23に示す円形状の羽部126を単数設けたり、又は、
図24に示す正方形状の羽部126を複数設けてもよい。このような構成により、第1浮体部120の設置の安定性を向上させることができる。
【0101】
(効果)
このように実施の形態4によれば、相対的直線移動の移動方向が上下方向である場合において、鉛直方向分力が一対の第2浮体部124に加えられた場合には、押圧部20が相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向である上方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか一方によって第1伝達部又は第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動し、押圧部20が上方向に向けて直線移動した後に鉛直方向分力が一対の第2浮体部124に加えられなくなった場合には、当該押圧部20の自重降下に伴って当該押圧部20が相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向である下方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか他方によって第1伝達部又は第2伝達部30bのいずれか他方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達部、当該第2伝達部30b、及び当該押圧部20を設置したので、発電システム300を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、実施の形態3に係る発電システム200と同様に、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0102】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態5について説明する。この形態は、実施の形態3、4とは異なる形態であって、波力の鉛直方向分力を利用して発電を行う形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0103】
(構成)
最初に、実施の形態5に係る発電システムの構成について説明する。
図25は、実施の形態5に係る発電システムを示す概要図である。
図25に示すように、実施の形態5に係る発電システム400は、浮体部130、押圧部20、第1伝達部(図示省略)、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト(図示省略)、第2シャフト(図示省略)、発電部(図示省略)、及びばね部131を備えている。
【0104】
(構成-浮体部)
浮体部130は、当該浮体部130の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、押圧部20、第1伝達部、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト、第2シャフト、及び発電部を収容しながら、波力の鉛直方向分力を受けるものである。この浮体部130は、例えば金属材、樹脂材、木材等にて形成された略中空球状体(又は、略中空多角形体(一例として略中空直方体等))であり、水面上において、少なくとも上下方向に向けて揺動可能な状態で浮遊している。また、この浮体部130は、不用意に遠方に移動しないように、海底に置かれたアンカー部132とロープ133を介して接続されている。また、この浮体部130の形状については任意であるが、実施の形態5では、浮体部130の前後方向の長さ(又は左右方向の長さ)を波の波長の半分以下となるように形成している。このような形状により、浮体部130の前後方向の長さ(又は左右方向の長さ)を波の波長と同一にした場合に比べて、上下方向に向けて揺動しやすくなるので、発電量を向上させることができる。
【0105】
(構成-押圧部)
押圧部20は、本体部21(ただし、第3フレーム部21cを除く)を備えている。本体部21は、
図25に示すように、第1フレーム部21a(又は第2フレーム部21b)の長手方向が上下方向に略沿うように配置されている。また、浮体部130に対する本体部21の設置方法については任意であるが、実施の形態5では、
図25に示すように、第1フレーム部21a及び第2フレーム部21bの各々の下端部を、浮体部130の下端部に対して固定具又は溶接等により接続することにより設置している。
【0106】
(構成-ばね部)
ばね部131は、第1伝達部及び第2伝達部30bを上下方向に移動させるための移動手段である。このばね部131は、例えば、スプリング等の公知のばね部材(具体的には、減衰定数は1未満とするばね部材)を用いて構成されており、第1伝達部及び第2伝達部30bよりも上方において、ばね部131の伸縮方向が上下方向に沿うように配置されており、ばね部131の上端部が浮体部130の上端部に対して固定具又は溶接等によって接続されている。また、このばね部131に対する第1伝達部、第2伝達部30b、及び第1シャフト50の設置方法については任意であるが、実施の形態5では、
図25に示すように、まず、第1伝達部及び第2伝達部30bを相互に間隔を隔てて左右方向に沿って並設配置した後、これら第1伝達部及び第2伝達部30bを第1シャフト50に対して固定具等によって固定する。そして、第1シャフト50をばね部131に取り付けられた接続部134に対して回転可能な固定具等(例えば、ボールベアリング等)によって固定することにより設置している。このような設置により、浮体部130が上下方向に揺れた場合には、第1伝達部及び第2伝達部30bの重さによって、浮体部130の上下方向の揺れと第1伝達部及び第2伝達部30bの揺れとに位相差が生じさせることができるので、第1伝達部及び第2伝達部30bを相対的直線移動させることができる(いわゆる、「ばね振り子」のように揺らすことができる)。また、ばね部131の具体的な構成については、実施の形態では、ばね部131の減衰定数が1未満となるように構成されている。なお、この減衰定数の詳細な設定については、第1伝達部及び第2伝達部30bの重さ等に応じて異なり得ることから、例えば実験結果等に基づいて設定されてもよい。
【0107】
以上のような発電システム400の構造により、発電システム400を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、実施の形態3、4に係る発電システムと同様に、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0108】
(構成-発電システムの機能)
このように構成された発電システム400の機能について説明する。
【0109】
まず、例えば、波力の鉛直方向分力が浮体部130に加えられた場合には、ばね部131によって第1伝達部及び第2伝達部30bが引き上げられることで、第1伝達部及び第2伝達部30bが上方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第1伝達部が、押圧部20の第1歯部24によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第1伝達部及び第1歯部24によって上記鉛直方向分力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第1伝達部によって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0110】
また、例えば、第1伝達部及び第2伝達部30bが上方向に向けて相対的直線移動した後に上記鉛直方向分力が浮体部130に加えられなくなった場合には、第1伝達部及び第2伝達部30bの自重降下に伴って当該第1伝達部及び第2伝達部30bが下方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第2伝達部30bが、押圧部20の第2歯部25によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第2伝達部30b及び第2歯部25によって上記押圧部20の自重力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第2伝達部30bによって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0111】
(構成-その他の構成)
また、この他にも、発電システム400は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。具体的には、実施の形態5では、第1伝達部及び第2伝達部30bがばね部131及び接続部134を介して浮体部130の上端部に接続されており、押圧部20が浮体部130の下端部に接続されていると説明したが、これに限られない。
図26から
図28は、実施の形態5に係る発電システム400の変形例を示す図である。例えば、
図26に示すように、第1伝達部及び第2伝達部30bがばね部131及び接続部134を介して浮体部130の下端部に接続され、押圧部20が浮体部130の上端部に接続されてもよい。あるいは、
図27に示すように、第1伝達部及び第2伝達部30bがばね部131及び接続部134を介して浮体部130の右端部に接続され、押圧部20が浮体部130の左端部に接続されてもよい。あるいは、
図28に示すように、第1伝達部及び第2伝達部30bがばね部131及び接続部134を介して浮体部130の右端部に接続され、押圧部20が浮体部130の下端部に接続されてもよい。
【0112】
また、実施の形態5では、浮体部130の内部に、押圧部20、第1伝達部、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト、第2シャフト、発電部、及びばね部131からなる組が1つ収容されていると説明したが、これに限られない。
図29は、実施の形態5に係る発電システム400の変形例を示す図である。例えば、
図29に示すように、上記組を複数設けてもよい。また、
図29に示すように、各組の第1伝達部、第2伝達部30b、及び押圧部20の接続位置を異ならせてもよく、あるいは、同一の接続位置であってもよい。
【0113】
(効果)
このように実施の形態5によれば、相対的直線移動の移動方向が上下方向である場合において、鉛直方向分力が浮体部130に加えられた場合には、ばね部131によって第1伝達部及び第2伝達部30bが引き上げられることで、第1伝達部及び第2伝達部30bが相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向である上方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか一方によって第1伝達部又は第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動し、押圧部20が上方向に向けて直線移動した後に鉛直方向分力が浮体部130に加えられなくなった場合には、第1伝達部及び第2伝達部30bの自重降下に伴って当該第1伝達部及び当該第2伝達部30bが相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向である下方向に向けて直線移動することにより、第1歯部24又は第2歯部25のいずれか他方によって第1伝達部又は第2伝達部30bのいずれか他方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達部、当該第2伝達部30b、及び当該押圧部20を設置したので、発電システム400を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、実施の形態3、4に係る発電システムと同様に、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0114】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態6について説明する。この形態は、実施の形態3から5とは異なる形態であって、波力の鉛直方向分力を利用して発電を行う形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0115】
(構成)
最初に、実施の形態6に係る発電システムの構成について説明する。
図30は、実施の形態6に係る発電システムを示す概要図である。
図30に示すように、実施の形態6に係る発電システム500は、第1浮体部140と、押圧部20、第1伝達部(図示省略)、第2伝達部30b、第1シャフト50、ベルト(図示省略)、第2シャフト(図示省略)、発電部(図示省略)、第2浮体部141、及び接続部142からなる組を2組と、を備えている。
【0116】
(構成-第1浮体部)
第1浮体部140は、当該第1浮体部140の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものである。この第1浮体部140は、略U字状の中空状体にて形成されており、具体的には、
図30に示すように、第1収容部分140a(略U字状の縦棒部分の一方)、第2収容部分140b(略U字状の縦棒部分の他方)、及び第3収容部分140c(略U字状の横棒部分)を備えている。
【0117】
第1収容部分140aは、上記2組の一方の組を収容しながら、波力の鉛直方向分力を受けるものである。また、第2収容部分140bは、上記2組の他方の組を収容しながら、波力の鉛直方向分力を受けるものである。
図30に示すように、これら第1収容部分140a及び第2収容部分140bは、例えば金属材、樹脂材等にて形成された長尺な中空状体であり、少なくとも一部が水面上に浮遊するように形成されている。また、第1収容部分140a及び第2収容部分140bの下端部には、図示しない開口部が形成されている。開口部は、第3収容部分140cに収容される液体(例えば水等)を第1収容部分140a又は第2収容部分140bに取り込むための開口である。
【0118】
第3収容部分140cは、第1収容部分140aと第2収容部分140bとを連結するためのものである。
図30に示すように、この第3収容部分140cは、例えば公知の伸縮部材(一例として樹脂材等)にて形成された長尺な管状体であり、具体的には、第3収容部分140cの長手方向の長さが波の波長の略半分程度に設定されている。また、第3収容部分140cの長手方向の両端部には、図示しない開口部が形成されている。開口部は、第3収容部分140cに収容される液体(例えば水等)が第1収容部分140a又は第2収容部分140bに流入又は流出させるための開口である。
【0119】
また、第1浮体部140の形成方法については任意であるが、実施の形態では、第3収容部分140cの長手方向の端部の一方と第1収容部分140aの下端部とを固定具等によって接続すると共に、第3収容部分140cの長手方向の端部の他方と第2収容部分140bの下端部とを固定具等によって接続し、これら接続の前後において第1浮体部140に液体を収容することにより形成している。
【0120】
(構成-押圧部)
押圧部20は、
図30に示すように、本体部21(ただし、第3フレーム部21cを除く)を備えている。本体部21は、
図30に示すように、第1フレーム部21a(又は第2フレーム部21b)の長手方向が上下方向に略沿うように配置されており、本体部21の上端部が第1収容部分140a又は第2収容部分140bの上端部に対して固定具又は溶接等によって固定されている。
【0121】
(構成-第2浮体部)
第2浮体部141は、当該第2浮体部141の少なくとも一部が水面上に浮遊可能なものであって、接続部142を介して第1伝達部、第2伝達部30b、及び第1シャフト50を支持するものである。この第2浮体部141は、例えば金属材、樹脂材、木材等にて形成された略箱状体(例えば、直方体等)であり、本体部21よりも下方位置であり、且つ第1浮体部140に収容された液面上において、上下方向に向けて揺動可能な状態で浮遊している。
【0122】
(構成-接続部)
接続部142は、第1伝達部及び第2伝達部30bと第2浮体部141とを接続するものであり、長尺な略棒状体にて形成されている。ここで、接続部142による第1伝達部及び第2伝達部30bと第2浮体部141との接続方法については任意であるが、実施の形態6では、まず、第1伝達部及び第2伝達部30bを相互に間隔を隔てて左右方向に沿って並設配置した後、これら第1伝達部及び第2伝達部30bを第1シャフト50に対して固定具等によって固定する。そして、接続部142の長手方向の端部の一方を第1シャフト50に対して回転可能な固定具等(例えば、ボールベアリング等)によって接続していると共に、接続部142の長手方向の端部の他方を第2浮体部141に対して固定具等によって接続している。
【0123】
以上のような発電システム500の構造により、発電システム500を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、実施の形態3から5に係る発電システムと同様に、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことができる。
【0124】
(構成-発電システムの機能)
このように構成された発電システム500の機能について説明する。
【0125】
まず、例えば、波力の鉛直方向分力が第1浮体部140の第1収容部分140a又は第2収容部分140bのいずれか一方に加えられた場合には、第1収容部分140a及び第2収容部分140bに収容された第2浮体部141のレベルが略同一となるように第1浮体部140の第3収容部分140cが変形しながら(なお、この変形に伴って、第1収容部分140aと第2収容部分140bとの相互間の距離は縮まる)、当該第1収容部分140a又は第2収容部分140bのいずれか一方に収容された第1伝達部及び第2伝達部30bが相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向である上方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第1伝達部が、押圧部20の第1歯部24によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第1伝達部及び第1歯部24によって上記鉛直方向分力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第1伝達部によって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0126】
また、例えば、第1伝達部及び第2伝達部30bが上方向に向けて相対的直線移動した後に上記鉛直方向分力が第1収容部分140a又は第2収容部分140bのいずれか一方に加えられなくなった場合には、第1収容部分140a及び第2収容部分140bに収容された第2浮体部141のレベルが略同一となるように第1浮体部140を変形させながら(なお、この変形に伴って、第1収容部分140aと第2収容部分140bとの相互間の距離は元の長さに戻る)、第1伝達部及び第2伝達部30bの自重降下に伴って当該第1伝達部及び第2伝達部30bが下方向に向けて相対的直線移動する。この場合において、第2伝達部30bが、押圧部20の第2歯部25によって押圧されて発電回転方向(時計回りの回転方向)に回転移動することで、第2伝達部30b及び第2歯部25によって上記押圧部20の自重力が発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力に変換される。そして、この変換された発電回転方向(時計回りの回転方向)の回転力が、第1シャフト50、ベルト、第2シャフトを介して第2伝達部30bによって発電部におけるダイナモの回転軸に伝達されると、当該伝達された回転力によってダイナモの回転軸が回転することにより、ダイナモが発電を行うことができる。
【0127】
(構成-その他の構成)
また、この他にも、発電システム500は、できる限りにおいて任意の構造にて構成可能である。具体的には、実施の形態6では、第1浮体部140は、第1収容部分140a、第2収容部分140b、及び第3収容部分140cを備えていると説明したが、これに限られない。
図31は、実施の形態6に係る発電システム500の変形例を示す図である。例えば、
図31に示すように、第1浮体部140は、通気開口部143をさらに備えてもよい。通気開口部143は、第1浮体部140の内外で吸気又は排気を行うための開口部であり、
図31に示すように、第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々に形成されている。この場合において、この通気開口部143を介して第1浮体部140の内部に水が流入することを抑制するための構成として、
図31に示すように、通気開口部143を第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々の上端部近傍に配置してもよい。また、第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々における通気開口部143の近傍部分に、通気開口部143の一部を外側から覆うカバー部144を設けてもよい。このような構成により、第1伝達部及び第2伝達部30bの相対的直線移動をスムーズに行うことができ、発電システム500の発電効率を向上させることが可能となる。
【0128】
また、実施の形態6では、第1浮体部140は、第1伝達部及び第2伝達部30bが相対的直線移動する場合に、第1収容部分140aと第2収容部分140bとの相互間の距離が変動するように構成されていると説明したが、これに限られない。
図32、
図33は、実施の形態6に係る発電システム500の変形例を示す図である。例えば、
図32に示すように、第1浮体部140は、第1収容部分140a及び第2収容部分140bを連通する連通部145をさらに備えてもよい。この連通部145は、長尺な管状体であり、第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々と上端部と連通するように接続されている。また、連通部145の具体的な構成については任意であるが、例えば、連通部145のうち、長手方向の両端部及びその近傍部分は、伸縮可能な材質(一例として樹脂材等)にて形成されたり、それ以外の部分は、伸縮できない材質(一例として金属材、樹脂材等)にて形成されてもよい。この場合において、第2収容部分140bの具体的な構成については任意であるが、例えば、連通部145と略同一の構成で形成されてもよい。あるいは、
図33に示すように、第1浮体部140は、上述した通気開口部143及びカバー部144に加えて、一対の突張部146をさらに備えてもよい。一対の突張部146は、第1収容部分140aと第2収容部分140bとの相互間の距離を維持するためのものである。
図33に示すように、一対の突張部146は、第1収容部分140aと第2収容部分140bとの相互間において上下方向に沿って相互に間隔を隔てて並設配置されており、第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々に対して回転可能な固定具等(例えば、ボールベアリング等)によって接続されている。これらの構成により、第1伝達部及び第2伝達部30bが相対的直線移動した場合に、第1収容部分140aと第2収容部分140bとの相互間の距離が変動することを抑制できるので、第3収容部分140cの変形量を調整することが可能となる。
【0129】
また、実施の形態6では、第1浮体部140は、上記組を収容する部分として、第1収容部分140a及び第2収容部分140bを備えていると説明したが、これに限られない。
図34は、実施の形態6に係る発電システム500の変形例を示す平面図である。例えば、
図34に示すように、第1浮体部140は、第4収容部分140d及び収容カバー部147をさらに備えてもよい。第4収容部分140dは、上記組を収容するためのものであり、例えば第1収容部分140aと略同一の構成にて形成されており、第3収容部分140cに対して固定具等によって接続されている。収容カバー部147は、第1浮体部140の耐久性や耐候性を向上させるために、第1収容部分140a、第2収容部分140b、及び第4収容部分140dを覆うためのものであり、第1収容部分140a、第2収容部分140b、及び第4収容部分140dに対して固定具等によって接続されている。このような構成により、第1浮体部140の耐久性や耐候性を維持しながら、発電システム500の発電量を高めることが可能となる。
【0130】
また、実施の形態6では、発電システム500は、沖に設置されると説明したが、これに限られない。
図35は、実施の形態6に係る発電システム500の変形例を示す図である。例えば、
図35に示すように、発電システム500は、港の岸壁付近に設置されてもよく、さらに収集部150を備えてもよい。収集部150は、波を収集するための収集手段であり、第1放物面(図で35は、沖側に向いている開口を有する第1放物面)を有する第1反射部151(第1反射手段)と、第2放物面(
図35では、陸側に向いている開口を有する第2放物面)を有する第2反射部152(第2反射手段)とを備えている。また、これら第1反射部151及び第2反射部152の構成の詳細については、具体的には、
図35に示すように、第1放物面の開口直径が、第2放物面の開口直径よりも大きく設定されており、第1放物面と第2放物面とが相互に対向するように(より具体的には、第1放物面の焦点と第2放物面の焦点とが一致するように)、第1反射部151及び第2反射部152が配置されている。また、第1浮体部140の設置の詳細については、具体的には、
図35に示すように、第1反射部151と第2反射部152との相互間に配置されており、より具体的には、第1放物面の焦点と第2放物面の焦点とが一致する位置に配置されている。このような構成により、第1反射部151と第2反射部152との相互間に収集された波以外の波を用いる場合に比べて、当該相互間の水位の増幅によって、第1浮体部140に収容された押圧部20による第1伝達部又は第2伝達部30bの押圧を効果的に行うことができるので、発電システム500の発電量を高めることが可能となる。また、第1浮体部140を収容する収集部150を岸壁付近に複数設置することで、収集部150によって波を低減(減衰)できるので、港の周囲の波を穏やかにすることが可能となる。なお、この収集部150は、実施の形態6に係る発電システム500に設けられていることに限られず、例えば、実施の形態1から5に係る発電システムに設けられてもよい。
【0131】
(効果)
このように実施の形態6によれば、相対的直線移動の移動方向が上下方向である場合において、波力の鉛直方向分力が第1収容部分140a又は第2収容部分140bの一方に加えられた場合には、第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々に収容された第2浮体部141のレベルが略同一となるように第1浮体部140を変形させながら、当該第1収容部分140a又は第2収容部分140bの一方に収容された第1伝達部及び第2伝達部30bが相対的直線移動の移動方向のうち一方の方向である上方向に向けて直線移動することにより、押圧部20の第1歯部24又は第2歯部25のいずれか一方によって当該第1伝達部又は当該第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動し、第1収容部分140a又は第2収容部分140bの一方に収容された第1伝達部及び第2伝達部30bが上方向に向けて直線移動した後に鉛直方向分力が当該第1収容部分140a又は第2収容部分140bの一方に加えられなくなった場合には、当該第1収容部分140a及び第2収容部分140bの各々に収容された第2浮体部141のレベルが略同一となるように第1浮体部140を変形させながら、当該第1伝達部及び当該第2伝達部30bの自重降下に伴って当該第1伝達部及び当該第2伝達部30bが相対的直線移動の移動方向のうち他方の方向である下方向に向けて直線移動することにより、押圧部20の第1歯部24又は第2歯部25のいずれか一方によって当該第1伝達部又は当該第2伝達部30bのいずれか一方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達部、当該第2伝達部30b、当該押圧部20を設置したので、例えば、発電システム500を沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、実施の形態3から5に係る発電システムと同様に、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことが可能となる。
【0132】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0133】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る発電システムの設置性が従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の設置性を確保できている場合には、本願の課題は解決している。
【0134】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0135】
(発電システムについて)
上記実施の形態1、2では、発電システムは、収容部を備えていると説明したが、これに限られない。例えば、押圧部20の相対的直線移動が可能となるように、受け部が設置面の傾斜部分に設置されている場合には、収容部を省略してもよい。
【0136】
また、上記実施の形態1から6では、発電システムは、ベルト及び第2シャフトを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、発電システムの製造コストを低減するために、ベルト及び第2シャフトを省略してもよい。この場合には、発電部を第1シャフトの近傍位置に配置して、第1シャフトの一部を発電部の筐体の側壁に形成された挿通孔(図示省略)を介して当該筐体の内部に収容し、当該収容した一部をダイナモの回転軸に対して固定具等によって固定する。
【0137】
また、上記実施の形態3では、発電システム200は、実施の形態1に係る押圧部20、第1伝達部及び第2伝達部30bを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、これらに代えて、実施の形態2に係る押圧部20及び伝達部90を備えてもよい(なお、上記実施の形態4から6についても同様とする)。
【0138】
(第1シャフトについて)
上記実施の形態1から6では、第1シャフトは、第1伝達部又は第2伝達部から伝達された回転力をベルトに伝達すると説明したが、これに限られない。例えば、第1シャフトに公知の変速機構(一例としてギアボックス等)を設けることにより、公知の変速機構によって第1伝達部又は第2伝達部から伝達された回転力を増幅させてから、当該増幅させた回転力をベルトに伝達してもよい(なお、第2シャフトについても同様とする)。
【0139】
(発電部について)
上記実施の形態1から6では、発電部がダイナモを備えていると説明したが、これに限られず、例えば、ダイナモに代えて、圧電素子を備えてもよい。この場合には、第1シャフトに接続された回転軸に、圧電素子を押圧するための押圧部20を取り付けると共に、回転軸の回転に伴って押圧部20によって圧電素子が押圧されるように、圧電素子を筐体に対して固定することで、発電を行うことが可能となる。
【0140】
(受け部について)
上記実施の形態1、2では、受け部が、長尺なブロック状体にて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば、受け部の前側部分が後方向に向けて突出する凹状に形成された球状体にて形成されてもよい。あるいは、受け部全体が後方向に向けて突出する凹状に形成されたパラボロ状に形成されてもよい。
【0141】
また、上記実施の形態1、2では、受け部の前側部分が凹状に形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、押圧部20の相対的直線移動の移動方向に応じた波の水の流出入を確実に行うことができるように、受け部を公知の弁構造を用いて形成してもよい。あるいは、受け部の製造性を容易にするために、受け部の前側部分を平坦状に形成してもよい。また、上記実施の形態1、2では、受け部の下端部に返り部及び移動部が設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、受け部の製造性を容易にするために、返り部又は移動部の少なくとも一部を省略してもよい。
【0142】
(付記1)
付記1の発電システムは、外力を発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、発電可能な一方向の回転方向である発電回転方向のみに回転する回転軸を有する前記発電手段と、前記外力を前記発電回転方向の回転力に変換し、当該変換した回転力を前記発電手段に伝達する回転力変換手段と、を備え、前記回転力変換手段は、自己が回転移動することにより、前記回転力を前記発電手段に伝達するための伝達手段と、前記伝達手段が回転移動可能となるように、当該伝達手段を押圧するための押圧手段と、を備え、前記伝達手段は、前記発電回転方向と同一の方向のみ回転可能な第1伝達手段と、前記第1伝達手段と間隔を隔てて設けられた第2伝達手段であって、前記発電回転方向と同一の方向のみ回転可能な第2伝達手段と、を備え、前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段の各々の回転中心軸に直交する仮想面の面内で、前記押圧手段、当該第1伝達手段、又は当該第2伝達手段に前記外力が加えられた場合に、当該第1伝達手段及び当該第2伝達手段と当該押圧手段とが前記仮想面に沿って相対的に直線移動することにより、当該押圧手段によって当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動するように、当該押圧手段を形成し、前記発電手段は、前記相対的な直線移動が当該直線移動の一方の移動方向に向けての移動である場合に、前記第1伝達手段にて伝達された前記回転力によって前記回転軸が回転することにより発電を行い、前記相対的な直線移動が当該直線移動の他方の移動方向に向けての移動である場合に、前記第2伝達手段にて伝達された前記回転力によって前記回転軸が回転することにより発電を行う。
【0143】
また、付記2の発電システムは、付記1に記載の発電システムにおいて、前記押圧手段は、前記相対的な直線移動の移動方向に沿って設けられた第1歯部であって、前記第1伝達手段と接触可能に配置された第1歯部と、前記第1歯部と間隔を隔てた位置において前記相対的な直線移動の移動方向に沿って設けられた第2歯部であって、前記第2伝達手段と接触可能に配置された第2歯部と、を備え、前記相対的な直線移動が当該直線移動の一方の移動方向に向けての移動である場合に、前記第1歯部によって当該第1伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動し、前記相対的な直線移動が当該直線移動の他方の移動方向に向けての移動である場合に、前記第2歯部によって当該第2伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部及び当該第2歯部を形成した。
【0144】
また、付記3の発電システムは、付記2に記載の発電システムにおいて、前記伝達手段は、前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段の各々と相互に間隔を隔てて設けられた第3伝達手段であって、前記発電回転方向と同一の方向のみ回転可能な第3伝達手段と、前記第3伝達手段と接触可能に設けられた第4伝達手段であって、当該第4伝達手段の回転に伴って当該第3伝達手段を回転させるための第4伝達手段と、を備え、前記押圧手段は、前記相対的な直線移動の移動方向に沿って設けられた第3歯部であって、前記第4伝達手段と接触可能に配置された第3歯部を備え、前記押圧手段が前記仮想面の面内回転における回転方向の一方に向けて回転移動した場合に、前記第1歯部及び前記第2歯部によって前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動し、前記押圧手段が前記仮想面の面内回転における回転方向の他方に向けて回転移動した場合に、前記第3歯部によって前記第4伝達手段を介して前記第3伝達手段が押圧されて前記発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部、当該第2歯部、及び当該第3歯部を形成した。
【0145】
また、付記4の発電システムは、付記2又は3に記載の発電システムにおいて、前記外力は、波力であり、前記押圧手段は、前記第1歯部及び前記第2歯部を有する本体部と、前記本体部よりも下方に位置する受け部であって、前記波力の水平方向分力を受ける受け部と、前記本体部と前記受け部とを接続する接続部と、を備え、前記相対的な直線移動の移動方向が上下斜め方向である場合において、前記水平方向分力が前記受け部に加えられた場合には、前記押圧手段が前記相対的な直線移動の移動方向のうち一方の方向である上斜め方向に向けて直線移動することにより、前記第1歯部又は前記第2歯部のいずれか一方によって前記第1伝達手段又は前記第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動し、前記押圧手段が上斜め方向に向けて直線移動した後に前記水平方向分力が前記受け部に加えられなくなった場合には、当該押圧手段の自重降下に伴って当該押圧手段が前記相対的な直線移動の移動方向のうち他方の方向である下斜め方向に向けて直線移動することにより、前記第1歯部又は前記第2歯部のいずれか他方によって前記第1伝達手段又は前記第2伝達手段のいずれか他方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達手段、当該第2伝達手段、及び当該押圧手段を設置した。
【0146】
また、付記5の発電システムは、付記4に記載の発電システムにおいて、前記押圧手段が前記上斜め方向に向けて直線移動した場合に波の水が前記受け部の内部に流入し、前記押圧手段が前記下斜め方向に向けて直線移動した場合に前記流入させた水が前記受け部の外部へ流出するように、当該受け部を形成した。
【0147】
また、付記6の発電システムは、付記4又は5に記載の発電システムにおいて、少なくとも前記受け部を収容するための収容手段であって、当該収容手段の内部に前記波が流入出可能な位置に設けられた収容手段を備え、前記収容手段の内部形状を、当該収容手段の内部に流入する波によって当該収容手段の内部水位を増幅させることにより、前記押圧手段の前記相対的な直線移動を促進させることが可能な形状に形成した。
【0148】
また、付記7の発電システムは、付記2又は3に記載の発電システムにおいて、前記外力は、波力であり、少なくとも一部が水面上に浮遊可能であり、且つ変形自在な第1浮体部であって、当該第1浮体部の内部の一部のみに液体が収容可能となるように、略U字状の中空状体にて形成された第1浮体部と、前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段よりも下方に位置する第2浮体部であって、前記第1浮体部に収容された前記液体上に浮遊可能な第2浮体部と、前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段と前記第2浮体部とを接続する接続部と、を備え、前記第1浮体部における略U字状の一対の縦棒部分の各々の内部に、前記第1伝達手段、前記第2伝達手段、前記押圧手段、前記第2浮体部、及び前記接続部を収容し、前記相対的な直線移動の移動方向が上下方向である場合において、前記波力の鉛直方向分力が前記一対の縦棒部分の一方に加えられた場合には、当該一対の縦棒部分の各々に収容された前記第2浮体部のレベルが略同一となるように前記第1浮体部を変形させながら、当該一対の縦棒部分の一方に収容された前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段が前記相対的な直線移動の移動方向のうち一方の方向である上方向に向けて直線移動することにより、前記押圧手段の前記第1歯部又は前記第2歯部のいずれか一方によって当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動し、前記一対の縦棒部分の一方に収容された前記第1伝達手段及び前記第2伝達手段が上方向に向けて直線移動した後に前記鉛直方向分力が当該一対の縦棒部分の一方に加えられなくなった場合には、当該一対の縦棒部分の各々に収容された前記第2浮体部のレベルが略同一となるように前記第1浮体部を変形させながら、当該第1伝達手段及び当該第2伝達手段の自重降下に伴って当該第1伝達手段及び当該第2伝達手段が前記相対的な直線移動の移動方向のうち他方の方向である下方向に向けて直線移動することにより、前記押圧手段の前記第1歯部又は前記第2歯部のいずれか一方によって当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達手段、当該第2伝達手段、及び当該押圧手段を設置した。
【0149】
また、付記8の発電システムは、付記1から7のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、波を収集するための収集手段を備え、前記収集手段は、第1放物面を有する第1反射手段と、第2放物面を有する第2反射手段と、を備え、前記第1放物面の開口直径を、前記第2放物面の開口直径よりも大きくし、前記第1放物面と前記第2放物面とが相互に対向するように、前記第1反射手段と前記第2反射手段とを配置し、前記第1放物面と前記第2放物面との相互間に収集された前記波の波力を用いて、前記押圧手段によって前記第1伝達手段又は前記第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動可能とした。
【0150】
また、付記9の発電システムは、付記1から8のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記第1伝達手段又は前記第2伝達手段のいずれか一方が前記第1伝達手段又は前記第2伝達手段のいずれか他方に比べて低速回転又は高速回転するように、当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段を形成した。
【0151】
(付記の効果)
付記1に記載の発電システムによれば、第1伝達手段及び第2伝達手段の各々の回転中心軸に直交する仮想面の面内で、押圧手段、当該第1伝達手段、又は当該第2伝達手段に外力が加えられた場合に、当該第1伝達手段及び当該第2伝達手段と当該押圧手段とが仮想面に沿って相対的に直線移動することにより、当該押圧手段によって当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動するように、当該押圧手段を形成し、発電手段は、相対的な直線移動が当該直線移動の一方の移動方向に向けての移動である場合に、第1伝達手段にて伝達された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行い、相対的な直線移動が当該直線移動の他方の移動方向に向けての移動である場合に、第2伝達手段にて伝達された回転力によって回転軸が回転することにより発電を行うので、第1伝達手段及び第2伝達手段を市場に流通している部品(例えば、ラチェットギア等)で構成することができ、特殊な構造で構成する必要がないことから、発電システムの製造性を向上させると共に、製造コストを低減することが可能となる。
【0152】
付記2に記載の発電システムによれば、相対的な直線移動が当該直線移動の一方の移動方向に向けての移動である場合に、第1歯部によって当該第1伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動し、相対的な直線移動が当該直線移動の他方の移動方向に向けての移動である場合に、第2歯部によって当該第2伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部及び当該第2歯部を形成したので、押圧手段が相対的直線移動した場合には、相対的直線移動の移動方向に関わらず、押圧手段によって第1伝達手段又は第2伝達手段のいずれか一方を発電回転方向に回転移動するように押圧できるので、発電を確実に行うことが可能となる。
【0153】
付記3に記載の発電システムによれば、押圧手段が仮想面の面内回転における回転方向の一方に向けて回転移動した場合に、第1歯部及び第2歯部によって第1伝達手段及び第2伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動し、押圧手段が仮想面の面内回転における回転方向の他方に向けて回転移動した場合に、第3歯部によって第4伝達手段を介して第3伝達手段が押圧されて発電回転方向に回転移動するように、当該第1歯部、当該第2歯部、及び当該第3歯部を形成したので、仮想面の面内回転における回転方向に関わらず押圧手段が回転移動した場合には、押圧手段によって第1伝達手段、第2伝達手段、又は第3伝達手段を発電回転方向に回転移動するように押圧できる。これにより、第3伝達手段、第4伝達手段、及び第3歯手段を設けない場合に比べて、押圧手段の仮想面の面内回転における回転方向に関わらず発電を行うことができるので、発電量を高めることができる。
【0154】
付記4に記載の発電システムによれば、相対的な直線移動の移動方向が上下斜め方向である場合において、水平方向分力が受け部に加えられた場合には、押圧手段が上斜め方向に向けて直線移動することにより、本体部によって伝達手段が押圧されて回転移動し、押圧手段が上斜め方向に向けて直線移動した後に水平方向分力が受け部に加えられなくなった場合には、当該押圧手段の自重降下に伴って当該押圧手段が下斜め方向に向けて直線移動することにより、本体部によって伝達手段が押圧されて回転移動するように、当該伝達手段及び当該押圧手段を設置したので、押圧手段が上下斜め方向に向けて相対的に直線移動する場合に波力及び押圧手段の自重を利用して発電を行うことができ、波力のみを用いて発電を行う場合に比べて、相対的な直線移動の移動方向に関わらず発電システムの発電を確実に行うことが可能となる。
【0155】
付記5に記載の発電システムによれば、押圧手段が上斜め方向に向けて直線移動した場合に波の水が受け部の内部に流入し、押圧手段が下斜め方向に向けて直線移動した場合に流入させた水が受け部の外部へ流出するように、当該受け部を形成したので、受け部の内部に流入した水の重みによって押圧手段を下方に向けて相対的に直線移動させることができ、受け部の内部に波の水が流入しないように当該受け部が形成された場合に比べて、押圧手段の相対的な直線移動を確実に行うことが可能となる。
【0156】
付記6に記載の発電システムによれば、収容手段の内部形状を、当該収容手段の内部に流入する波によって当該収容手段の内部水位を増幅させることにより、押圧手段の相対的な直線移動を促進させることが可能な形状に形成したので、収容手段の内部形状を均一な形状とした場合に比べて、収容手段の内部に波が流入した場合に収容手段の内部水位を増幅させることができると共に、上記流入した波が収容手段の外部に流出する場合に収容手段の内部水位を迅速に低下させることができる。よって、押圧手段の相対的な直線移動を効果的に行うことができ、発電システムの発電量を高めることが可能となる。
【0157】
付記7に記載の発電システムによれば、相対的な直線移動の移動方向が上下方向である場合において、波力の鉛直方向分力が一対の縦棒部分の一方に加えられた場合には、当該一対の縦棒部分の各々に収容された第2浮体部のレベルが略同一となるように第1浮体部を変形させながら、当該一対の縦棒部分の一方に収容された第1伝達手段及び第2伝達手段が相対的な直線移動の移動方向のうち一方の方向である上方向に向けて直線移動することにより、押圧手段の第1歯部又は第2歯部のいずれか一方によって当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動し、一対の縦棒部分の一方に収容された第1伝達手段及び第2伝達手段が上方向に向けて直線移動した後に鉛直方向分力が当該一対の縦棒部分の一方に加えられなくなった場合には、当該一対の縦棒部分の各々に収容された第2浮体部のレベルが略同一となるように第1浮体部を変形させながら、当該第1伝達手段及び当該第2伝達手段の自重降下に伴って当該第1伝達手段及び当該第2伝達手段が相対的な直線移動の移動方向のうち他方の方向である下方向に向けて直線移動することにより、押圧手段の第1歯部又は第2歯部のいずれか一方によって当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動するように、当該第1伝達手段、当該第2伝達手段、及び当該押圧手段を設置したので、例えば、発電システムを沖に設置した場合でも、発電に必要な鉛直方向分力を得ることができるので、当該鉛直方向分力を用いて所望の発電量の発電を行うことが可能となる。
【0158】
付記8に記載の発電システムによれば、第1放物面の開口直径を、第2放物面の開口直径よりも大きくし、第1放物面と第2放物面とが相互に対向するように、第1反射手段と第2反射手段とを配置し、第1放物面と第2放物面との相互間に収集された波の波力を用いて、押圧手段によって第1伝達手段又は第2伝達手段のいずれか一方が押圧されて回転移動可能としたので、当該相互間に収集された波以外の波を用いる場合に比べて、当該相互間の水位の増幅によって押圧手段による第1伝達手段又は第2伝達手段の押圧を効果的に行うことができ、発電システムの発電量を高めることが可能となる。
【0159】
付記9に記載の発電システムによれば、第1伝達手段又は第2伝達手段のいずれか一方が第1伝達手段又は第2伝達手段のいずれか他方に比べて低速回転又は高速回転するように、当該第1伝達手段又は当該第2伝達手段を形成したので、押圧手段における相対的な直線移動の移動方向に応じて押圧手段の移動効率が異なる場合に、第1伝達手段又は第2伝達手段の回転速度を変えることにより押圧手段の移動効率を向上させることができ、発電システムの発電効率を維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0160】
1 発電システム
10 収容部
11 第1収容部分
12 第2収容部分
13 開口部
20 押圧部
21 本体部
21a 第1フレーム部
21b 第2フレーム部
21c 第3フレーム部
21d 第4フレーム部
21e 第5フレーム部
22 受け部
22a 返し部
22b 移動部
23 接続部
24 第1歯部
25 第2歯部
26 突起部
27 第3歯部
28 収容孔
30a 第1伝達部
30b 第2伝達部
30c 第3伝達部
30d 第4伝達部
40 突起部
50 第1シャフト
60 ベルト
70 第2シャフト
80 発電部
81 筐体
90 伝達部
91 突起部
100 発電システム
110 支持フレーム部
110a 第1フレーム部
111 連結バー
112 第1浮体部
113 第2浮体部
114 歯部
114a 突起部
115 第3浮体部
116 第3歯部
116a 突起部
117 揺れ抑制部
118 アンカー部
119 ロープ
120 第1浮体部
121 第1浮体部本体
121a 開口部
122 支持部
123 返し部
124 第2浮体部
125 接続部
126 羽部
127 重り部
130 浮体部
131 ばね部
132 アンカー部
133 ロープ
134 接続部
140 第1浮体部
140a 第1収容部分
140b 第2収容部分
140c 第3収容部分
140d 第4収容部分
141 第2浮体部
142 接続部
143 通気開口部
144 カバー部
145 連通部
146 突張部
147 収容カバー部
150 収集部
151 第1反射部
152 第2反射部
200 発電システム
300 発電システム
400 発電システム
500 発電システム