(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022478
(43)【公開日】2022-02-04
(54)【発明の名称】水ガラスコーテッドサンド
(51)【国際特許分類】
B22C 1/02 20060101AFI20220128BHJP
B22C 1/18 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
B22C1/02 Z
B22C1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021202060
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】520432129
【氏名又は名称】大阪硅曹株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 義明
(57)【要約】
【課題】 珪酸ソーダを用いた鋳物砂において、常温で流動性を有し、造型時においては外部からの高温蒸気を必要とせず造型用型の加熱により十分な強度を持つ中子が造型できる乾態の鋳物砂を提供する。
【解決手段】 鋳物砂の表面に珪酸ソーダおよび苛性ソーダと、吸水性の粉末とをコーティングし、常温で流動性を有する鋳物砂であって、熱硬化により中子を造型することができる乾態の鋳物砂。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物砂の表面に珪酸ソーダおよび苛性ソーダと、吸水性の粉末とをコーティングし、常温で流動性を有する鋳物砂であって、熱硬化により中子を造型することができる乾態の鋳物砂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機中子用の鋳物砂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、無機中子の造型には、粘結剤として珪酸ソーダを表面にコーティングした鋳物砂を使用した様々な手法が知られている。
例えば、メタ珪酸ソーダをコーティングした鋳物砂を使用し、精密鋳造を行う鋳型の造型方法が開示されている。(例えば、特開昭63-295037号参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとしている課題】
【0004】
珪酸ソーダやメタ珪酸ソーダを粘結剤として使用した無機中子は注湯時に鋳型からのガス発生量がシェルモールドやコールドボックスなどの有機中子に比べ少ないため、ガス欠陥が少なくまた異臭もしないため作業環境も良く近年注目を浴びている。しかし、珪酸ソーダやメタ珪酸ソーダを鋳物砂に使用した中子は、欠点も多い。特に次の欠点の対策が求められている。
(1)珪酸ソーダを用いた鋳物砂は通常湿態で使用されており流動性が悪いため、中子 の造型用型への充填の難易度が高い。
【0005】
即ち本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、珪酸ソーダを用いた鋳物砂において、常温で流動性を有し、造型時においては外部からの高温蒸気を必要とせず造型用型の加熱により十分な強度を持つ中子が造型できる乾態の鋳物砂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、鋳物砂の表面に珪酸ソーダおよび苛性ソーダと、吸水性の粉末をコーティングした常温で流動性を有する鋳物砂であって、熱硬化により中子を造型することができる乾態の鋳物砂によって達成される。
【0007】
粘結剤の珪酸ソーダの配合量は、鋳物砂に対して1.0%~9.0%が好ましく、特に3.0%~6.0%が好ましい。
【0008】
苛性ソーダの配合量は、鋳物砂に対して0.5%~9.0%が好ましく、特に1.0%~3.0%が好ましい。
【0009】
吸水性の粉末は、水分を吸収する粉末であればよく、特に焼成カオリンやホワイトカーボンが好ましい。
【0010】
熱硬化の温度は、150℃以上300℃以下が好ましい。特に200℃以上300℃以下がより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、珪酸ソーダを用いた鋳物砂において、常温で流動性を有し、造型時においては外部からの高温蒸気を必要とせず造型用型の加熱により十分な強度を持つ中子が造型できる乾態の鋳物砂を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
(実施形態)
本実施形態は、鋳物砂の表面に珪酸ソーダおよび苛性ソーダと、吸水性の粉末をコーティングし、常温で流動性を有する鋳物砂であって、熱硬化により中子を造型することができる乾態の鋳物砂を用いて中子を造型する。
【0014】
鋳物砂としては、珪砂や人工砂など各種鋳物砂が使用できる。
【0015】
無機粘結剤としては、珪酸ソーダを使用することができ、特に1号珪酸ソーダが好ましい。
【0016】
苛性ソーダとしては、48%苛性ソーダまたは32%苛性ソーダが好ましい。
【0017】
吸水性の粉末をとしては、焼成カオリンやホワイトカーボンが好ましい。これらの吸水性の粉末を添加することで鋳物砂上の水分を完全に吸水することで、水ガラスコーテッドサンドの常温流動性を向上することができる。
【実施例0018】
本実施例では、鋳物砂はムライト砂を使用した。無機粘結剤として1号珪酸ソーダを使用し、苛性ソーダは48%苛性ソーダを、吸水性の粉末として焼成カオリンまたはホワイトカーボンを使用した。上記、原料を混合攪拌し、水ガラスコーテッドサンドを作成し、120mm×10mm×10mmの金型に充填後、金型を250℃に3分間加熱して造型した試験片について、抗折強度を測定した。
ムライト砂56gに水を1.5g、48苛性ソーダを1.5g、1号珪酸ソーダを3.0g、焼成カオリンを1.0g添加し混合攪拌し水ガラスコーテッドサンドを作成し、120mm×10mm×10mmの金型に充填し、金型を250℃にて3分間加熱し造型した試験片の抗折強度を測定した。