(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022513
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】液処理装置および液処理方法
(51)【国際特許分類】
B01F 23/2326 20220101AFI20220131BHJP
B01F 23/23 20220101ALI20220131BHJP
B01F 25/21 20220101ALI20220131BHJP
B03D 1/26 20060101ALI20220131BHJP
B01D 17/035 20060101ALI20220131BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20220131BHJP
B23Q 11/00 20060101ALN20220131BHJP
B23Q 11/10 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
B01F3/04 F
B01F3/04 A
B01F5/02 A
B03D1/26
B01D17/035 Z
B01F15/02 C
B23Q11/00 U
B23Q11/10 E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109331
(22)【出願日】2020-06-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】谷井 章寛
【テーマコード(参考)】
3C011
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
3C011BB33
3C011EE09
4G035AB05
4G035AB20
4G035AC15
4G035AE13
4G037AA11
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】高比重液の廃棄量を減少する液処理装置および液処理方法を提供する。
【解決手段】液処理装置10は、給液ポンプ15と、処理液注入口23aと、オーバーフロー口23bと、戻し口23cと、を有する気泡槽23と、前記気泡槽23の外部に配置される微細気泡発生器17と、液面14から前記処理液5を溢れ出させてタンク9へ戻す回収口31aを有する回収槽29と、オーバーフロー口23bと接続する沈降槽44と、吸引口45を有し、前記沈降槽44と下部で接続する浮上槽43と、を有する分離槽41と、給液ポンプ15と接続する流入口46aと、吸引口45と接続する吸引口46bと、戻し口23cと接続する吐出口46cを有するエジェクター46と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクに貯留された処理液を送る給液ポンプと、
処理液注入口と、オーバーフロー口と、戻し口と、を有する気泡槽と、
前記処理液注入口と接続し、前記気泡槽の外部に配置される微細気泡発生器であって、前記給液ポンプから送られた前記処理液に空気を混入させて微細気泡を発生する微細気泡発生器と、
第1の液面から前記処理液を溢れ出させて前記タンクへ回収させる回収口を有し、前記気泡槽と下部で接続する回収槽と、
分離槽であって、
前記オーバーフロー口と接続し、前記処理液および浮上した浮遊物が流れ込む沈降槽と、
前記第1の液面より低い第2の液面の高さに設置された吸引口を有し、前記沈降槽と下部で接続する浮上槽と、
を有する分離槽と、
前記給液ポンプと接続する第1の流入口と、前記吸引口と接続する吸入口と、前記戻し口と接続する吐出口を有するエジェクターと、
を有する、液処理装置。
【請求項2】
大気に解放される第2の流入口と、第1の流出口とを有する逆止弁を更に有し、
前記微細気泡発生器は、
前記給液ポンプと接続される処理液流入口と、
前記第1の流出口と接続される空気流入口と、
前記空気流入口及び前記処理液注入口と接続される第2の流出口と、を有する、
請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記分離槽の下部に設置された第1のドレン口と、
前記第1のドレン口に接続する第1のドレン弁と、を更に有する、
請求項1又は2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記気泡槽の下部に設置された第2のドレン口と、
前記第2のドレン口に接続する第2のドレン弁と、を更に有する、
請求項1~3のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項5】
前記気泡槽に配置される下方仕切り板であって、
前記気泡槽の底面と接する下端と、
前記第1の液面の近傍で前記第1の液面の下方に位置する上端と、
を有する下方仕切り板と、
前記気泡槽に配置される上方仕切り板であって、
前記第1の液面の近傍で前記第1の液面の下方に位置する上端と、
前記底面の近傍で前記底面の上方に位置する下端と、
を有する上方仕切り板と、を更に有する、
請求項1~4のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項6】
前記気泡槽に配置されるコアレッサーであって、水平方向に延びて、互いに隙間を空けて上下方向に配置された複数のコアレッサー板を有するコアレッサーを更に有する、
請求項1~5のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項7】
前記吸引口は、
下方に向けたカップと、
前記カップの上端に配置された第3の流出口と、を有する、
請求項1~6のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項8】
空気源と、
前記空気源と接続され、前記第1の液面の上方に前記オーバーフロー口に向けて設置され、浮上した前記浮遊物を前記オーバーフロー口に吹き込むブローノズルと、を更に有する、
請求項1~7のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項9】
前記給液ポンプは、圧縮空気供給口と、吐出口と、を有する圧縮空気駆動式のポンプであり、
前記ブローノズルは、前記吐出口に接続される、
請求項1~8のいずれかに記載の液処理装置。
【請求項10】
タンクに貯留された、浮遊物を含む処理液に、気泡槽の外部で空気の微細気泡を混入し、
前記微細気泡が混入した前記処理液が前記気泡槽に流入し、
前記微細気泡が、前記浮遊物に付着して前記気泡槽内を浮上し、
前記処理液が前記気泡槽の下方から回収槽へ流入し、
前記回収槽から前記処理液を前記タンクへ回収させ、
前記気泡槽の第1の液面の上方から、前記処理液と浮上した前記浮遊物が沈降槽へ溢れ出し、
前記浮遊物が前記沈降槽の内部を沈降し、又は浮上して前記処理液から分離し、
前記処理液が前記沈降槽の下方から浮上槽へ流入し、
エジェクター内において、前記タンクに貯留された処理液が噴射され、前記浮上槽の上層部から前記処理液が前記エジェクターに吸い上げられ、噴射された前記処理液と共に吐き出されて前記気泡槽へ戻し、
前記沈降槽内に沈降した浮遊物がドレンされる、
液処理方法。
【請求項11】
前記微細気泡が付着した前記浮遊物がコアレッサー板に接触して結合する、
請求項10に記載の液処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
槽と、槽内に設置されたマイクロバブル発生体と、液体をマイクロバブル発生体に供給する供給装置と、マイクロバブル発生体に空気等のガス体を供給するガス供給装置と、を有するエマルジョン解乳化装置が提案されている(特開2015-155092号公報)。従来のエマルジョン解乳化装置では、マイクロバブル発生体から出たマイクロバブルによって液中のエマルジョンを解乳化し、相互に親和性のない少なくとも2種類の液に分離し、一方の液体をマイクロバブルとともに浮上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のエマルジョン解乳化装置では、除去する低比重液と共に高比重液が廃棄される。
本発明は、高比重液の廃棄量を減少する液処理装置および液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の側面は、
タンクに貯留された処理液を送る給液ポンプと、
処理液注入口と、オーバーフロー口と、戻し口と、を有する気泡槽と、
前記処理液注入口と接続し、前記気泡槽の外部に配置される微細気泡発生器であって、前記給液ポンプから送られた前記処理液に空気を混入させて微細気泡を発生する微細気泡発生器と、
第1の液面から前記処理液を溢れ出させて前記タンクへ回収させる回収口を有し、前記気泡槽と下部で接続する回収槽と、
分離槽であって、
前記オーバーフロー口と接続し、前記処理液および浮上した浮遊物が流れ込む沈降槽と、
前記第1の液面より低い第2の液面の高さに設置された吸引口を有し、前記沈降槽と下部で接続する浮上槽と、
を有する分離槽と、
前記給液ポンプと接続する第1の流入口と、前記吸引口と接続する吸入口と、前記戻し口と接続する吐出口を有するエジェクターと、
を有する、
液処理装置である。
【0005】
本発明の第2の側面は、
タンクに貯留された、浮遊物を含む処理液に、気泡槽の外部で空気の微細気泡を混入し、
前記微細気泡が混入した前記処理液が前記気泡槽に流入し、
前記微細気泡が、前記浮遊物に付着して前記気泡槽内を浮上し、
前記処理液が前記気泡槽の下方から回収槽へ流入し、
前記回収槽から前記処理液を前記タンクへ回収させ、
前記気泡槽の第1の液面の上方から、前記処理液と浮上した前記浮遊物が沈降槽へ溢れ出し、
前記浮遊物が前記沈降槽の内部を沈降し、又は浮上して前記処理液から分離し、
前記処理液が前記沈降槽の下方から浮上槽へ流入し、
エジェクター内において、前記タンクに貯留された処理液が噴射され、前記浮上槽の上層部から前記処理液が前記エジェクターに吸い上げられ、噴射された前記処理液と共に吐き出されて前記気泡槽へ戻し、
前記沈降槽内に沈降した浮遊物がドレンされる、
液処理方法である。
【0006】
液処理装置は、例えば、工作機械や洗浄機に適用される。処理液は、例えば、水系クーラントや水系洗浄液である。処理液は、例えば、極圧潤滑剤、苛性アルカリ、防錆剤や防腐剤が溶解した水溶液である。浮遊物は、例えば、切りくず、研磨材、脱落したバリ、繊維くずや油分である。
【0007】
気泡槽は、垂直に配置された中央仕切り板を有し、上方から見てU字状に構成されて良い。中央仕切り板の下端は、気泡槽の底面と接する。中央仕切り板の上端は、第1の液面の上方に突き出す。
気泡槽と、回収槽とは、一体として処理槽を構成して良い。処理槽と、分離槽とは、一体として構成されてもよい。
【0008】
好ましくは、液体注入口は、第1の液面の下方に、下方に向けて設置される。戻し口は、第1の液面の下方に、下方を向いて設けられる。液体注入口及び戻し口は、上方から見て、オーバーフロー口と離れた位置(例えば、オーバーフロー口の対角)に設けられる。液体注入口及び戻し口は、隣り合って配置されてよい。
【0009】
微細気泡発生器は、例えば、空気せん断型である。望ましくは、微細気泡発生器は、20μmないし50μmの気泡を生成する。好ましくは、微細気泡発生器は、空気流入口に接続された絞りを有する。
【0010】
例えば、エジェクターは、気泡槽、回収槽や分離槽の外部に設置される。例えば、エジェクターは、分離槽の上方又は側方に設置される。エジェクターは、給液ポンプから送られた処理液を噴出し、吸引口から浮上槽の処理液を吸い出し、戻し口へ吐き出す。
【0011】
上方仕切り板の上端から液面までの距離は、上方仕切り板の下端から底面までの距離よりも小さい。上方仕切り板の上端は、液面からわずかに下方に位置する。上方仕切り板の下端は、底面よりも十分に上方である。
【0012】
コアレッサー板は、貫通穴を有しても良い。コアレッサー板の2つの長辺は、例えば、下方に向けて折り曲げられる。コアレッサー板の断面は、V字状又はU字状でも良い。コアレッサー板は、例えば、等間隔に上下方向に並ぶ。上方から見て、上下に隣り合うコアレッサー板は、その一部を重ねて短辺方向に交互にずらして配置されて良い。
【0013】
沈降槽は、第2の液面の上方に配置された第2のオーバーフロー口を有してもよい。第2のオーバーフロー口は、回収槽と接続する。処理槽と分離槽が一体として構成されるとき、両者の間を分離壁で分割して良い。オーバーフロー口と、第2のオーバーフロー口とは、分離壁に配置されてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液処理装置および液処理方法によれば、高比重液の廃棄量を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1と
図2に示すように、液処理装置10は、処理槽22と、分離槽41と、ポンプ(給液ポンプ)15と、微細気泡発生器17と、ドレン弁(第2のドレン弁)28と、逆止弁19と、吸引口45と、エジェクター46と、ドレン弁(第1のドレン弁)47と、を有する。処理槽22は、絞り21と、コアレッサー26と、空気源51と、ブローノズル53と、を有しても良い。
タンク9は、処理液5を貯留する。処理液5は、例えば、洗浄機における洗浄液や、加工機におけるクーラントである。例えば、処理槽22は、タンク9の上方に設置される。液処理装置10は、処理液5から浮遊物を分離する。
【0017】
処理槽22は、気泡槽23と、回収槽29と、を有する。
図2に示すように、例えば、処理槽22は、分離槽41と一体に構成され、全体として直方体の槽24を成す。槽24の短辺付近には、分離壁24aが設置される。分離壁24aは、槽24を分離槽41と処理槽22に分割する。分離壁24aは、回収槽29の壁面の一部を成す。
なお、処理槽22と分離槽41は、別体でも良い。
【0018】
回収槽29は、上方から見て、処理槽22の一隅に配置される。回収槽29は、切り欠き24bを有して良い。回収槽29は、上方から見て、C字状又はL字状の分離壁29aで気泡槽23と分けられる。分離壁29aの下方は開口し、回収槽29と気泡槽23を接続する。
【0019】
平面IIIは、回収管31の中心線を含む。
図3に示すように、回収管31は、回収槽29の中央に立てて配置される。回収管31の上方の開口が、回収口31aとなる。処理槽22内に流入した処理液5は、回収口31aへ溢れ出して、タンク9へ戻る。処理液5の液面(第1の液面)14の高さは、回収口31aの高さによって定まる。
回収管31は、固定管31eと、雄ねじ31bと、調整管31cを有しても良い。固定管31eは、底面22aから立てて配置される。雄ねじ31bは、固定管31eの上端部に設けられる。調整管31cは、内面に雌ねじ31dを有する。雄ねじ31bに調整管31cがねじ込まれる。回収管31は、タンク9と接続する。調整管31cのねじ込み量によって、液面14の高さが調整される。
【0020】
切り欠き(第2のオーバーフロー口)24bは、分離壁24aの上端付近に配置される。切り欠き24bの高さは、液面14よりも高く、分離壁29aより低い。切り欠き24bの下端は、オーバーフロー口23bの下端より高い。切り欠き24bは、液面48の上方に浮上した気泡や浮遊物の高さが過大に上昇した場合に、回収槽29に気泡や浮遊物を流す。
【0021】
図2に示すように、回収槽29以外の処理槽22の部分が気泡槽23である。気泡槽23は、中央仕切り板23gと、上方仕切り板27と、下方仕切り板25と、注入口23aと、オーバーフロー口23bと、戻し口23cと、ドレン口(第2のドレン口)23dと、を有する。
【0022】
中央仕切り板23gは、処理槽22の短辺方向の中央において、長辺方向に沿って延びる。上下方向において、中央仕切り板23gは、底面22aから液面14の上方まで延びる。分離壁24aと反対側の端部において、中央仕切り板23gの上方は、液面14の下方まで切り取られている。気泡槽23は、中央仕切り板23gで区切られ、上方から見てU字状の経路55を形成する。中央仕切り板23gは、下方仕切り板25と同じ作用効果を奏する。
【0023】
注入口23aは、回収槽29と反対側の処理槽22の端部に配置される。注入口23aは、液面14の下方で、処理槽22の深さの中央より下方寄りに配置される。注入口23aに接続する管23eは、槽24の底面22aから液面14の上方まで立ち上がり、液面14から下方に延びて、下方に向いて開口する。管23eの開口が注入口23aである。注入口23aが液中に配置されるため、液面14が泡立ちにくい。
戻し口23cは、注入口23aの近傍に、液面の下方に配置される。戻し口23cが液中に配置されるため、液面14が泡立ちにくい。
【0024】
上方仕切り板27は、底面22aと隙間を空けて、気泡槽23の内部に立てられる。上方仕切り板27は、分離壁24aと平行である。上方仕切り板27の上端は、回収口31aよりわずかに低い。上方仕切り板27は、液面14のわずかに(例えば、2~3mm程度)下方まで延びる。
下方仕切り板25は、底面22aに接して、気泡槽23に立てられる。下方仕切り板25は、分離壁24aと上方仕切り板27との間に、分離壁24aと平行に配置される。下方仕切り板25の上端は、回収口31aより低い。下方仕切り板25の上端は、液面14の下方に位置する。
【0025】
一つ又は複数の上方仕切り板27や、一つ又は複数の下方仕切り板25が配置されて良い。例えば、一つの下方仕切り板25のみ配置されても良い。上方仕切り板27と下方仕切り板25は、交互に配置される。
上方仕切り板27及び下方仕切り板25が交互に配置されるため、処理液5が気泡槽23の内部を通過する際に、処理液5が上昇や下降を繰り返す。そして、処理液5の内部に浮遊する浮遊物の分離が促進される。また、上方仕切り板27が液面14のわずかに下方に位置するため、液面14上に浮上した気泡及び浮遊物が液面14上をオーバーフロー口23bに向かって移動できる。そして、液面14上に浮上した気泡及び浮遊物は、オーバーフロー口23bから分離槽41に流れ込む。
【0026】
オーバーフロー口23bは、回収槽29付近の分離壁24aに配置される。オーバーフロー口23bは、長方形であり、その下端は液面14のやや上方に配置される。
【0027】
ドレン口23dは、底面22aに設置される。例えば、ドレン口23dは、気泡槽23のオーバーフロー口23bに近い端部に設置される。ドレン口23dには、ドレン弁28が接続される。
【0028】
コアレッサー26は、分離壁24a、上方仕切り板27、下方仕切り板25に沿って配置される。
図4に示すように、コアレッサー26は、複数のコアレッサー板261と、複数の連結棒262とを有する。コアレッサー板261は、貫通穴261aを有する。コアレッサー板261は、上下方向に等間隔に並ぶ。上下に隣り合うコアレッサー板261は、上方から見て、その一部を重ねて短辺方向に交互にずらして配置される。連結棒262は、複数のコアレッサー板261を連結する。
【0029】
ポンプ15は、給液口15aと、吐出口15bとを有する。ポンプ15は、例えば、渦巻きポンプ、空気圧駆動式のダイヤフラムポンプである。ポンプ15は、タンク9に配置されても良い。吐出口15bは、微細気泡発生器17を介して、注入口23aに接続される。給液口15aは、タンク9に接続される。
【0030】
微細気泡発生器17は、旋回流式の微細気泡発生器である。微細気泡発生器17は、空気流入口17eと、処理液流入口17fと、流出口(第2の流出口)17gとを有する。好ましくは、空気流入口17eは、逆止弁19及び絞り21を介して、外気と接続する。逆止弁19は、流入口(第2の流入口)19aと、流出口(第1の流出口)19bとを有する。流入口19aは、絞り21と接続する。流出口19bは、空気流入口17eと接続する。逆止弁19は、空気流入口17eから処理液が外気へ排出されないようにする。処理液流入口17fは、吐出口15bと接続する。流出口17gは、注入口23aと接続する。
【0031】
空気源51は、例えば、圧縮空気供給口、送風口、ファン、コンプレッサ、ブロアーである。ポンプ15が空気圧駆動式のダイヤフラムポンプであるときは、好ましくは、空気源51はダイヤフラムポンプの排気口とする。
なお、給液ポンプ15の吐出口15bが後述するブローノズル53に接続されてもよい。この場合、給液ポンプ15の吐出口15bが空気源51として機能する。
【0032】
ブローノズル53は、例えば、フラットノズル、スリットノズルである。ブローノズル53は、オーバーフロー口23bの近傍、かつ、液面14の上方に設置され、オーバーフロー口23bに向かって、斜め下方に空気を噴射する。
【0033】
分離槽41は、沈降槽44と、浮上槽43と、底面41aと、ドレン口(第1のドレン口)41bと、を有する。沈降槽44と浮上槽43は、分離壁42で液面48の上方から、底面41aの近傍まで分割される。沈降槽44と浮上槽43は、その底部で接続する。オーバーフロー口23bは、沈降槽44に接続する。底面41aは、底面22aと一体である。
ドレン口41bは、底面41aに設置される。ドレン口41bは、浮上槽43又は沈降槽44に設置される。本実施形態のドレン口41bは、沈降槽44に設置される。これにより、浮上槽43が汚れるのを抑制する。ドレン弁47は、ドレン口41bに接続される。
【0034】
吸引口45は、浮上槽43の上方に設置される。吸引口45は、流入口45aと、カップ45bと、流出口(第3の流出口)45cと、を有する。流入口45aは、吸引口45の下端部に設置される。流入口45aは、例えば、大径の円形である。流出口45cは、吸引口45の上端部に設置される。流出口45cは、例えば、小径の円形である。カップ45bは、緩やかな曲面により、流入口45aと流出口45cとを接続する。流入口45aの高さは、液面(第2の液面)48の高さを規定する。液面48は、液面14よりも低い。
【0035】
エジェクター46は、既知のエジェクターである。エジェクター46は、流入口(第1の流入口)46aと、吸入口46bと、吐出口46cとを有する。流入口46aは、吐出口15bに接続する。吸入口46bは、流出口45cに接続する。吐出口46cは、戻し口23cに接続する。
【0036】
主として
図1を参照して、処理液5の処理方法を説明する。
タンク9内に貯留された処理液5は、ポンプ15によって送り出され、その大部分が微細気泡発生器17へ送られる。微細気泡発生器17は、逆止弁19を介して流入する空気を微細気泡として処理液5に混入させる。
【0037】
微細気泡が混ざった処理液5は、注入口23aから気泡槽23へ流入する。処理液5は、上方仕切り板27及び下方仕切り板25をくぐり抜けながら、オーバーフロー口23bに向かって経路55(
図2参照)に沿って流れる。この間に、処理液5内の微細気泡は、処理液5内に含まれる浮遊物に付着し、処理液5内を上昇する。微細気泡は互いに結び付き、気泡が成長するにしたがってその上昇速度が増大する。処理液5は、U字状の経路55に沿って流れるため、処理液5の移動長が長くなり、気泡が上昇しやすい。
【0038】
処理液5は、コアレッサー26内を通り抜ける。このとき、コアレッサー板261や貫通穴261aによって、処理液5の流れが乱れて、微細気泡の接触が促進され、気泡の成長が促進される。
ブローノズル53から噴出した空気流によって、オーバーフロー口23bの近傍57(
図2参照)の液面14が送り出される。エアブローによって、オーバーフロー口23bの近傍57において液面14に浮上した浮遊物がオーバーフロー口23bへ流れ込むことが促進される。
【0039】
気泡槽23の下部の処理液5は、分離壁29aの下方を通って回収槽29へ流入する。処理液5は回収槽29を上昇し、回収口31aから回収管31へ流れ込み、タンク9へ回収される。
【0040】
気泡槽23の上層部に浮上した浮遊物を含む気泡は、上層部の処理液5と共にオーバーフロー口23bから分離槽41へ溢れ出る。処理液5は、沈降槽44内を一旦下降し、沈降槽44の下部から浮上槽43へ流れ込む。
処理液5は、処理液5よりも比重の大きい浮遊物(例えば、金属粉や研磨紛)や処理液5よりも比重の小さい浮遊物(例えば、油分)を含む。比重の大きい浮遊物は、沈降槽44内に沈降する。処理液5が沈降槽44内を下降するときに、比重の大きい浮遊物の処理液内における沈降を促進する。他方、比重の小さい浮遊物は、沈降槽44内で上昇し、液面48上に浮上する。浮遊物が分離した処理液5は、浮上槽43を上昇し、吸引口から吸引される。
【0041】
分離槽41へ流入する液量は、ポンプ15の吐出量に比べて十分に小さい。分離槽41の容積が気泡槽23に比べて小さい場合であっても、分離槽41内の処理液5の滞留時間は、気泡槽23内の滞留時間に比べて十分に長くできる。そのため、分離槽41内における比重差による浮遊物の分離は、気泡槽23に比べて進みやすい。処理液5内に含まれていた浮遊物は、分離槽41内に濃縮される。
【0042】
ポンプ15から供給された処理液5の一部は、エジェクター46へ供給される。エジェクター46は、その内部でポンプ15から供給された処理液5を噴射し、処理液5の噴流によって発生した負圧によって、吸引口45から浮上槽43の上部の分離した処理液5を吸引する。そして、エジェクター46は、噴射された処理液5と吸引口45から吸引した処理液5を合わせて吐出口46cから吐き出し、戻し口23cから処理槽22へ戻す。分離槽41で浮遊物が除かれた処理液5は、再び気泡槽23へ供給され、微細気泡と接触する。
【0043】
作業者によって、定期的にドレン弁47が開弁され、分離槽41内に滞留している処理液5と、分離された浮遊物の全量が排出される。好ましくは、このとき、分離槽41内が清掃される。ドレン弁47の開弁は、例えば、週1回行われる。
【0044】
処理槽22内においても、比重の大きい浮遊物が沈降する場合がある。作業者によって、定期的にドレン弁28が開弁され、処理槽22内に滞留している処理液5と、浮遊物の全量が排出される。好ましくは、このとき、処理槽22内が清掃される。ドレン弁28の開弁は、例えば、半年に1回行われる。
【0045】
本実施形態によれば、処理槽22内で浮上した浮遊物は、分離槽41へ溢れ出し、分離槽41内で分離されて、処理液5が清浄化される。分離槽41内で清浄化された処理液5は、再び処理槽22内で処理される。分離槽41内に浮遊物が濃縮され、液処理装置10から処理液5は常に排出されない。処理液5に含まれる浮遊物は、分離槽41に濃縮される。定期的に分離槽41をドレンすることにより、処理液5に含まれる浮遊物を濃縮して廃棄できる。
【実施例0046】
処理槽25L、分離槽5L、旋回流式、流量10L/minの微細気泡発生器を用いて、高圧洗浄機の水系洗浄液を処理した。液処理装置10を1週間稼働した後に、液処理装置10の各部の処理液5を採取して、採取された処理液5中の固形物量を測定した。
固形物量は、採取した処理液5を減圧ろ過し、ろ紙上に残留した油分は有機溶剤で洗浄した。洗浄後のろ紙を乾燥させた後に、ろ紙上に残留した固形物の質量を測定した。
測定結果を表1に示す。
【表1】
【0047】
100mL当たり、オーバーフロー口23bから分離槽41に流入するときの固形物量が1.45mgであるのに対し、沈降槽44底部では35.6mgと24.5倍に濃縮されている。他方、浮上槽43の液面付近から気泡槽23へ戻される処理液5においては、0.70mgと0.48倍に清浄化された。そして、回収槽29から回収される固形物量は0.37mgと、オーバーフロー口23bから流出する処理液5に対して0.25倍に清浄化されている。液処理装置10は、処理液5を効果的に正常化している。
【0048】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。