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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022543
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220131BHJP
   A42B 3/20 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110271
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】500303847
【氏名又は名称】株式会社三和
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】細淵 雅邦
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107CA03
3B107DA07
(57)【要約】
【課題】飛沫などによるウイルス感染防止を有効に図り得るフェイスシールドを提供する。
【解決手段】人の顔面を覆う透明なシールド本体1と、シールド本体1に連結されて頭部周囲に装着される装着部19と、を含み、シールド本体1は、前方に向けて湾曲状に突出形成された前面部5と、前面部5の左右側面から突設されて装着部19を軸支するフラップ部11と、を含み、前面部5は、上端領域5aが下端領域5bよりも前方に位置して上端領域5aから下端領域5bに向けて下り傾斜状W1に形成されるとともに、フラップ部11が、装着部19に対して回動自在に軸支されて上下方向に向けて回動可能に構成されており、装着部19は、シールド本体1と別体で形成され、フラップ部11に軸支される部分を境にして、頭部締付部21と額当接部27とに区分されて構成されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の顔面を覆う透明なシールド本体と、前記シールド本体に連結されて頭部周囲に装着される装着部と、を含み、
前記シールド本体は、前方に向けて湾曲状に突出形成された前面部と、前記前面部の左右側面から突設されて前記装着部を軸支するフラップ部と、を含み、
前記前面部は、上端領域が下端領域よりも前方に位置して上端領域から下端領域に向けて下り傾斜状に形成されるとともに、前記フラップ部が、前記装着部に対して回動自在に軸支されて上下方向に向けて回動可能に構成されており、
前記装着部は、前記シールド本体と別体で形成され、前記フラップ部に軸支される部分を境にして、頭部締付部と額当接部とに区分されて構成されていることを特徴とするフェイスシールド。
【請求項2】
前記シールド本体の表面上端には、前方に向けて突出する第一庇部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記フラップ部には、装着部を回動自在に軸支する軸支孔が設けられており、
前記軸支孔は、フラップ部の高さ方向にわたって複数個備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェイスシールド。
【請求項4】
前記シールド本体は、前記前面部の上端から後方に向けて突出する上方覆い部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフェイスシールド。
【請求項5】
前記上方覆い部には、通孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のフェイスシールド。
【請求項6】
前記前面部には、後面に向けて凹設された凹面領域が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば咳やくしゃみなどによるウイルスの飛沫感染などを防ぐために用いられるフェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
咳やくしゃみなどによるウイルスの飛沫感染が世界的に広まっている。
例えばインフルエンザウイルスや新型コロナウイルス(COVID-19)などは、咳やくしゃみなどによる飛沫により感染することが知られている。
また、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)なども保菌者からの飛沫により感染するといわれている。
【0003】
飛沫感染の拡大を阻止する手段としてマスクの着用が広く知られているが、マスクでは感染を防止し得ない状況がある。
すなわち、ウイルスは、例えば数十nm~数百nm程度の大きさであるといわれており、布製マスクや不織布製マスクでは飛散したウイルスの侵入を阻止することは難しく感染防止が図れているとは言い難いものである。
さらに、AIDS(後天性免疫不全症候群)などは、保菌者の体液などが治療や何らかの要因によって飛散し、他の人の目や傷などから混入することにより感染する。
特に、種々の保菌者と接触せざるを得ない医師や看護師などの医療従事者にとっては感染率が高く大きな恐怖をも覚えるものである。
【0004】
そこで、マスクの着用と併せて、額の上方から顎の下方まで顔面全域を保護する透明なフェイスシールド(フェイスガードとも言う)と称される簡易な顔面保護具が従来から種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
フェイスシールドは、額に当接して後頭部で締結可能な装着部(装着バンド)と、装着部(装着バンド)と一体に備えられ、装着される人の顔面の全域を覆うように配設される透明な合成樹脂材からなるシールド本体と、で構成されている。
そして、装着される人の顔面とシールド本体の前面部の内面との間には、所定の空間が形成され、鼻や眼鏡などが干渉しないように前面部全体が前方に向けて湾曲して突出するように構成されている。
このフェイスシールドを着用することにより、例えば患者(保菌者)の咳やくしゃみによる飛沫を浴びたとしてもフェイスシールドによって顔面が保護されているため、直接その飛沫を浴びてしまうことを防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1をはじめとして、従来提供されているフェイスシールドの殆どが、顔面とほぼ平行に位置して配されるように構成されている。すなわち、額に当接されている装着部(装着バンド)の前面から下方に向けてまっすぐに垂設(装着バンドとフェイスシールド本体とが90°に配設)されているものがほとんどである(図13参照。)。
これでは、顎のあたりに広い空間A2が形成されてしまう。
例えば、医療従事者が患者を診察・治療等する場合、座って対峙する状況ばかりではない。すなわち、寝ている状態の患者を診察する場合、あるいは手術をする場合など、患者(保菌者)を上方から覗き込むようにして対峙することも多い。
このような状況では、患者(保菌者)を上方から覗き込まようにしたとき、広い空間が形成されている下端領域が開放状態となってしまう状況も出てくる。
これでは、患者(保菌者)が咳やくしゃみなどをした場合、その広く開放された前面部の下方領域から医療従事者の顎領域に向けて飛沫が飛び込んでくる虞を有していた。
これではフェイスシールドとしての効果が半減してしまい、有効な飛沫感染防止を図ることができていなかった。
さらに、裾広がり状に装着されるフェイスシールドも数多く提供されており、このように裾広がり状に装着されるものにあってはさらに飛沫感染を有効に防げるものではなかった。また、このように裾広がり状に装着されるフェイスシールドにあっては、自己あるいは患者(保菌者)などの手、又は医療治具などが接触してしまい、その結果、シールド本体が折れたり、曲がったりしてしまうことがあり、最悪の場合、シールド本体が外れてしまうといった虞もあった。すなわち、自己の顔面よりも大きい(広い)幅で顎の回りに突出しているため、距離感がつかみ難くなってしまっているということが要因と思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3962392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術の有する課題を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、飛沫などによるウイルス感染防止を有効に図り得るフェイスシールドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために第1の本発明がなした技術的手段は、人の顔面を覆う透明なシールド本体と、前記シールド本体に連結されて頭部周囲に装着される装着部と、を含み、
前記シールド本体は、前方に向けて湾曲状に突出形成された前面部と、前記前面部の左右側面から突設されて前記装着部を軸支するフラップ部と、を含み、
前記前面部は、上端領域が下端領域よりも前方に位置して上端領域から下端領域に向けて下り傾斜状に形成されるとともに、前記フラップ部が、前記装着部に対して回動自在に軸支されて上下方向に向けて回動可能に構成されており、
前記装着部は、前記シールド本体と別体で形成され、前記フラップ部に軸支される部分を境にして、頭部締付部と額当接部とに区分されて構成されていることを特徴とするフェイスシールドとしたことである。
【0009】
第2の本発明は、第1の本発明において、前記シールド本体の表面上端には、前方に向けて突出する第一庇部を備えていることを特徴とするフェイスシールドとしたことである。
【0010】
第3の本発明は、第1の本発明又は第2の本発明において、前記フラップ部には、装着部を回動自在に軸支する軸支孔が設けられており、
前記軸支孔は、フラップ部の高さ方向にわたって複数個備えられていることを特徴とするフェイスシールドとしたことである。
【0011】
第4の本発明は、第1の本発明乃至第3の本発明のいずれかにおいて、前記シールド本体は、前記前面部の上端に、後方に向けて突出する上方覆い部を備えていることを特徴とするフェイスシールドとしたことである。
【0012】
第5の本発明は、第4の本発明において、前記上方覆い部には、通孔が形成されていることを特徴とするフェイスシールドとしたことである。
【0013】
第6の本発明は、第1の本発明乃至第5の本発明のいずれかにおいて、前記前面部には、後面に向けて凹設された凹面領域が形成されていることを特徴とするフェイスシールドとしたことである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飛沫などによるウイルス感染防止を有効に図り得るフェイスシールドを提供し得た。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明フェイスシールドの一実施形態を示す斜視図である。
図2】本実施形態のフェイスシールドの一実施形態を示す正面図である。
図3】本実施形態のフェイスシールドの一実施形態を示す側面図である。
図4】本実施形態のフェイスシールドの一実施形態を示す縦断側面図である。
図5】本実施形態のフェイスシールドの一実施形態を示す背面図である。
図6】本実施形態におけるシールド本体と装着部との軸支部分を断面するとともに拡大して示し、(a)は軸支状態、(b)は分離状態、(c)は他の実施形態を示す。
図7】本実施形態のフェイスシールドの装着状態を示し、(a)は顔面の正面にシールド本体が位置している状態を示し、(b)は軸支部分を軸としてシールド本体を上方に向けて回動させた状態を示す。
図8】本実施形態におけるシールド本体のフラップ部と装着部との軸支部分を拡大して示し、(a)はシールド本体の前面部が顔面の正面に位置しているときの状態を示し、(b)は軸支部分を軸としてシールド本体を上方に向けて回動させたときの状態を示す。
図9】シールド本体の上方覆い部に通気孔を設けてなる第二実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は要部の拡大断面図である。
図10】第三実施形態のフェイスシールドを示す斜視図である。
図11】第三実施形態のフェイスシールドの縦断側面図である。
図12】第四実施形態のフェイスシールドを示す斜視図である。
図13】従来技術を示す概略縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るフェイスシールドについて、添付図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、医療従事者が使用するフェイスシールドを想定している。図1乃至図8は本発明フェイスシールドの第一実施形態、図9は第二実施形態、図10及び図11は第三実施形態、図12は第四実施形態を示す。
なお、本実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、何等これに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
「第一実施形態」
【0017】
図1乃至図8に本発明の第一実施形態を示す。
本実施形態のフェイスシールドは、人の顔面Gを覆う透明なシールド本体1と、シールド本体1に連結されて頭部Hの周囲に装着される装着部19と、を含んで構成されている。
【0018】
シールド本体1は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニールなどの透明な合成樹脂シートからなり、矩形状に形成された枠部3と、枠部3から前方に向けて湾曲状に突出形成された前面部5と、前面部5の左右側面から突設されて前記装着部19を軸支するフラップ部11と、で構成されている。
シールド本体1の厚みは特に限定解釈はされず、視界を妨げない程度であれば本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0019】
前面部5は、正面視で矩形状に形成されるとともに、上端領域5aが下端領域5bよりも前方Fに位置するように枠部3の前縁から前方Fに向けて湾曲状に突出して形成されている。すなわち、上端領域5aの方が下端領域5bに比して枠部3の前縁から前方Fに向けて湾曲状に突出して形成され、これにより上端領域5aから下端領域5bに向けて下り傾斜状(図中矢印W1で示す傾斜状態)に形成されている(図3及び図4参照。)。
前面部5は、人の顔面G全域を覆う長さと幅を有しており、本実施形態では、長さ約30cm、幅約20cmに形成されるものを想定しているが、長さと幅は本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0020】
本実施形態では、前面部5の上端領域5aに、前方Fに向けて湾曲状に突出する第一庇部7を備えている。
第一庇部7は、前面部5の外面5cの上方にて所定厚みの庇状に前方Fに向けて一体に突出形成されている。第一庇部7の突出厚さは限定解釈されるものではないが、使用者が指で摘める程度の突出厚さとするのが好ましい。なお、第一庇部7は、本実施形態では連続した湾曲状に突出形成されているが、断続的に突出形成されるものであってもよく、また、単一の突出部として突出形成されるものであってもよい。
【0021】
前面部5には、所定領域を後方Rに向けて凹設してなる凹面領域9を形成することも可能である。本実施形態では、前面部5における第一庇部7より下方の領域にて、人の顔面Gの額Dあたりから鼻Nのあたりまでを含めるように広く凹面領域9を凹設している(図3図4及び図7参照)。
このように凹面領域9を形成した場合にあっては、前面部5の内面5dと人の目Mの位置との間隔Sが近くなるため視認性が良くなる。
また、凹面領域9が形成されていることによって、例えば視覚障害者など目の不自由な人が本実施形態のフェイスシールドを装着する際に、凹面領域9を触ることにより自己の顔面Gへの装着位置の把握がしやすい。
【0022】
フラップ部11は、前面部5の左右側面の上下方向における半分の位置よりも上方の位置から横方向(図2等にて矢印W2で示す方向)に向けて一体に突設されている。
本実施形態では、高さ約5.5cm、幅約3cmの薄肉の矩形板状に形成されており、その任意の位置には、前面から後面にわたって貫通する軸支孔13が形成されている。
軸支孔13は、装着部19に対して連結軸15を介して回動自在に軸支することにより、シールド本体1全体が上下方向(図7にて矢印W3で示す方向)に向けて回動(開閉)可能に構成される(図7及び図8参照。)。
また、フラップ部11の大きさは任意であって本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0023】
図6(c)に示す実施形態では、フラップ部11の高さ方向(矢印W3で示す上下方向と同義)にわたって複数個の軸支孔13を備えている。
人の目と耳の位置には個人差があり、装着部19にあってもその人にとって最適な位置があるため、軸支孔13を高さ方向で複数個備えることにより、各人に合った装着部19の連結位置を適宜選択変更することが可能である。
【0024】
シールド本体1は、前面部5の上端に、後方(矢印Rで示す方向)に向けて突出する上方覆い部17を備えている。上方覆い部17は、半ドーム状に突出形成されている。
このように上方覆い部17を備えることにより、上方からの飛沫の侵入をも防ぐこともできる。また、本実施形態によれば、上方覆い部17を半ドーム状に突出形成しているため、シールド本体1の上下方向(図7にて矢印W3で示す方向)に向けての回動(開閉)操作時に、上方覆い部17が人の頭頂部に沿ってスムーズに移動可能であるため、シールド本体1の回動(開閉)操作に支障をきたす虞も少ない。
【0025】
装着部19は、シールド本体1と別体でバンド状(ベルト状)に形成され、フラップ部11に軸支される部分を境にして、頭部締付部21と額当接部27とに区分されて構成されている。
【0026】
頭部締付部21は、細幅の布材にて、それぞれ細幅のバンド上(ベルト状)に形成された第一締付部23と第二締付部25とで構成され、第一締付部23の遊端と第二締付部25遊端とのいずれか一方の表面といずれ片方の裏面とにそれぞれ面ファスナ(図示省略)を備えて着脱可能な締付構成としている。
なお、第一締付部23と第二締付部25との連結構造は本実施形態に限定解釈されず、着脱可能な締付構成を有しているものであれば任意である。
【0027】
額当接部27は、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニールなどの可撓性を有する合成樹脂材からなる細幅矩形状の第一当接部29と、ポリウレタンなどの発泡合成樹脂材からなり、第一当接部29の内面側に固着されて人の額に直接触れる細幅矩形状の第二当接部31とで構成されている。第二当接部31は、額Dに当接する面部を有していればよいため長さは特に限定されず、本実施形態では第一当接部29よりも短尺に形成されている。
【0028】
そして、頭部締付部21と額当接部27とが、それぞれ左右のフラップ部11と連結軸15を介して着脱可能に軸支されている。
【0029】
頭部締付部21は、第一締付部23と第二締付部25のそれぞれの遊端側と反対側の基端側に貫通孔23a,25aが設けられている。
額当接部27は、第一当接部29の左右端に貫通孔29a,29aが設けられている。
【0030】
従って、フラップ部11、第一当接部29の貫通孔29a、第一締付部23(第二締付部25)の貫通孔23a,25aをそれぞれ同軸上に位置させるとともに、連結軸15を構成する軸部15aを挿通し、そして受け部15bに軸部15aの先端側を嵌合させることによって、フラップ部11、頭部締付部21、額当接部27を一体に連結する(図6参照。)。これにより、シールド本体1は、フラップ部11が装着部19に回動可能に軸支されるため、連結軸15を軸中心として上下方向(図7にて矢印W3で示す方向)に回動(開閉)可能となる。
【0031】
本実施形態によれば、前面部5を上端領域5a(第一庇部7)から下端領域5bに向けて下り傾斜状(矢印W1で示す)に形成したことで、本実施形態のフェイスシールドを顔面Gに装着した際に、顎Tのあたりに従来のような広い空間A2(図12参照。)が形成されるといった不都合も生じ得ない。
従って、例えば、医療従事者が寝ている状態の患者(保菌者)を診察あるいは手術をする場合など、患者(保菌者)を上方から覗き込むようにして対峙することも多いが、このような状況であっても、顎Tのあたりには従来のような広い空間が形成されていないため、患者(保菌者)が咳やくしゃみなどをした場合であっても、顎Tのあたりから直接飛沫を浴びることを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、従来のように裾広がり状に形成されているものではないため、距離感を誤って、不意に自分の手や患者の手などがシールド本体1に当たったりしてしまうといった従来の不具合も解消される。従って、不意の干渉により、シールド本体1が曲がってしまったり、折れてしまったり、あるいは外れてしまったりといったこともないため、常にシールド本体1が顔面Gの前に位置して飛沫防止を図ることができる。
【0032】
また、前面部5を上端領域5a(第一庇部7)から下端領域5bに向けて下り傾斜状(矢印W3にて示す)に形成したことで、シールド本体1の前面部5の内面と、装着部19部の額当接部27の外面との間、すなわち、前面部5の内面5dと人の目Mの位置との間には、間隔Sが形成されることとなるため、例えば、眼鏡使用の人であっても、本実施形態のフェイスシールドを装着したときに、前面部5の内面5dと眼鏡との干渉を避けることができ、装着感を損なう虞もない。
【0033】
また、本実施形態によれば、シールド本体1の前面部5の上端領域5aに、前方に向けて突出する第一庇部7を備えているため、シールド本体1を上下方向(矢印W3で示す方向)に回動させる際に、第一庇部7を持って上下回動させることが可能で作業性が極めて良好となり、シールド本体1の上下方向(矢印W3で示す方向)への回動を急ぎ行なう必要があるときに大変便利である。
【0034】
また、第一庇部7を設けたことにより前面部5の剛性が高くなっている。さらに、前面部5に凹面領域9を形成しているため前面部5の剛性がさらに高くなり、第一庇部7とともに、前面部5の剛性向上に寄与している。また、本実施形態では、外方に向けて突出する鍔部3aが枠部3の周縁全域にわたって周設されているためシールド本体1全体の剛性を向上している。
従って、不意に自分の手や患者の手などがシールド本体1に当たった場合であっても、シールド本体1が曲がってしまったり、折れてしまったり、あるいは外れてしまったりといったこともないため、常にシールド本体1が顔面Gの前に位置して飛沫防止を図ることができる。
「第二実施形態」
【0035】
図9は第二実施形態を示す。
本実施形態では、上方覆い部17に通孔33を形成している。
【0036】
通孔33は、上方覆い部17の前方Fから後方Rにわたって細幅に形成されており、複数個並設されている。なお、通孔33の大きさや配設数量などは特に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
その他の構成及び作用効果は第一実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
「第三実施形態」
【0037】
図10及び図11は第三実施形態を示す。
本実施形態では、上方覆い部17の形態を変えており、本実施形態の上方覆い部17は、平坦状に形成されている。
本実施形態の上方覆い部17に、第二実施形態で説明した通孔33を形成することも可能で本発明の範囲内である。
また、本実施形態では、凹面領域9に鼻Nが収容可能な鼻収容凹部35が内面5dから外面5cに向けて凹状に形成されている。
その他の構成及び作用効果は第一実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
「第四実施形態」
【0038】
図12は第四実施形態を示す。
本実施形態では、上方覆い部17の形態を変えており、本実施形態の上方覆い部17は、後方に向けて湾曲幅狭に形成されている。
本実施形態の上方覆い部17に、第二実施形態で説明した通孔33を形成することも可能で本発明の範囲内である。
その他の構成及び作用効果は第一実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、医療従事者用の他、介護従事者、及び人との対面接客をする者にも広く利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 シールド本体
5 前面部
5a 上端領域
5b 下端領域
7 第一庇部
9 凹面領域
11 フラップ部
13 軸支孔
15 連結軸
17 上方覆い部
19 装着部
21 頭部締付部
27 額当接部
D 額
F 前方
G 顔面
H 頭部
T 顎
W1 下り傾斜状
W2 横方向
W3 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13