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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022545
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】照明付きミラー
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/00 20060101AFI20220131BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20220131BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220131BHJP
   F21S 4/24 20160101ALI20220131BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20220131BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20220131BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220131BHJP
【FI】
A47G1/00 D
F21V33/00 130
F21S2/00 494
F21S2/00 491
F21S4/24
F21V3/10 330
F21Y103:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020110309
(22)【出願日】2020-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(71)【出願人】
【識別番号】000223986
【氏名又は名称】フィグラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千穂
(72)【発明者】
【氏名】土屋 舞子
(72)【発明者】
【氏名】和田 章嗣
(72)【発明者】
【氏名】三浦 一郎
【テーマコード(参考)】
3B111
3K014
3K244
【Fターム(参考)】
3B111AB01
3B111AC01
3B111AD01
3K014QA01
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA11
3K244BA20
3K244BA26
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA04
3K244DA01
3K244DA19
3K244FA07
3K244GA02
3K244GB17
3K244GB19
3K244LA04
(57)【要約】
【課題】照明付きミラーにおいて、ユーザに対して照射される光の照度を向上させることができる構造を提供する。
【解決手段】この照明付きミラー1は、ミラー本体10と、光源30と、反射板24とを備える。光源30は、ミラー本体10の背面側に位置する。ミラー本体10は、鏡面部12と、透光窓13とを有する。透光窓13は、ミラー本体10の少なくとも一部に位置する。反射板24は、透光窓13の背面側に位置するとともに、透光窓13に対して傾斜した反射面241を有する。光源30から出射された光は、反射面241により反射され、透光窓13を透過して、ミラー本体10の前方へ照射される。これにより、前方へ向かう光の量を増加させることができる。したがって、鏡面部12の前方に位置するユーザに対して照射される光の照度を向上させることができる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明付きミラーであって、
ミラー本体と、
前記ミラー本体の背面側に位置する光源と、
前記光源から出射される光を反射する反射板と、
を備え、
前記ミラー本体は、
鏡面部と、
前記ミラー本体の少なくとも一部に位置する透光窓と、
を有し、
前記反射板は、前記透光窓の背面側に位置するとともに、前記透光窓に対して傾斜した反射面を有し、
前記光源から出射された光が、前記反射面により反射され、前記透光窓を透過して、前記ミラー本体の前方へ照射される、照明付きミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の照明付きミラーであって、
前記ミラー本体は、
前記鏡面部の左右に位置する一対の前記透光窓
を有する、照明付きミラー。
【請求項3】
請求項2に記載の照明付きミラーであって、
前記反射面は、上面視において直線状の平坦面であり、
前記透光窓に対する前記反射面の角度は、30°以上かつ65°以下である、照明付きミラー。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の照明付きミラーであって、
前記光源は、上下方向に配列された複数の発光素子を有する、照明付きミラー。
【請求項5】
請求項4に記載の照明付きミラーであって、
前記光源は、上下方向に配列された複数のLEDを有するテープライトである、照明付きミラー。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の照明付きミラーであって、
前記光源は、
左右方向に向けて配置された第1光源と、
前記第1光源よりも背面側に位置し、斜め前方に向けて配置された第2光源と、
を含む、照明付きミラー。
【請求項7】
請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の照明付きミラーであって、
前記透光窓は、前記ミラー本体の上端部から下端部まで広がる、照明付きミラー。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の照明付きミラーであって、
前記鏡面部の背面側に位置する第1空間と、前記透光窓の背面側に位置する第2空間とを仕切る仕切壁
をさらに備え、
前記光源は、前記仕切壁に取り付けられ、前記第2空間へ向けて光を照射する、照明付きミラー。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の照明付きミラーであって、
前記透光窓は、粗面加工された裏面を有する、照明付きミラー。
【請求項10】
請求項9に記載の照明付きミラーであって、
前記透光窓の前記裏面は、光を拡散させつつ透過する拡散材料に覆われている、照明付きミラー。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の照明付きミラーであって、
前記透光窓の背面側において、前記光源を収容する光源収容部
を有し、
前記光源収容部の内面は、反射材に覆われている、照明付きミラー。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の照明付きミラーであって、
前記透光窓は、
光を透過する透光部と、
光を遮断する遮光部と、
を有し、
前記透光窓における前記透光部の面積率は、75%以上である、照明付きミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明付きミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミラーと照明機能とを一体化した、照明付きミラーが知られている。従来の照明付きミラーについては、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1の照明付きミラーは、筐体と、筐体の前面に設けられた鏡本体とを有する。そして、筐体内のLEDから出射された光が、鏡本体に設けられた透光部を介して前方へ照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5936074号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の照明付きミラーでは、LEDを収容する筐体の形状が、上面視において矩形である。このため、LEDから出射された光は、効率よく透光部へ入射しない。このような特許文献1の構造では、ユーザに対して照射される光の照度を十分に確保することが難しいと考えられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、照明付きミラーにおいて、ユーザに対して照射される光の照度を向上させることができる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願発明は、照明付きミラーであって、ミラー本体と、前記ミラー本体の背面側に位置する光源と、前記光源から出射される光を反射する反射板と、を備え、前記ミラー本体は、鏡面部と、前記ミラー本体の少なくとも一部に位置する透光窓と、を有し、前記反射板は、前記透光窓の背面側に位置するとともに、前記透光窓に対して傾斜した反射面を有し、前記光源から出射された光が、前記反射面により反射され、前記透光窓を透過して、前記ミラー本体の前方へ照射される。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、透光窓に対して傾斜した反射面により、前方へ向かう光の量を増加させることができる。したがって、鏡面部の前方に位置するユーザに対して照射される光の照度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】照明付きミラーの斜視図である。
図2】照明付きミラーの分解斜視図である。
図3】照明付きミラーの正面図である。
図4】照明付きミラーの横断面図である。
図5】ミラー本体の部分横断面図である。
図6】照明付きミラーの部分横断面図である。上
図7】第1変形例に係る照明付きミラーの部分横断面図である。
図8】第2変形例に係る照明付きミラーの部分横断面図である。
図9】第3変形例に係る照明付きミラーの正面図である。
図10】第4変形例に係る照明付きミラーの正面図である。
図11】第5変形例に係る照明付きミラーの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
<1.照明付きミラーの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る照明付きミラー1の斜視図である。図2は、照明付きミラー1の分解斜視図である。図3は、照明付きミラー1の正面図である。図4は、図3のA-A位置における照明付きミラー1の横断面図である。この照明付きミラー1は、照明機能が一体化されたミラーである。照明付きミラー1は、寝室や洗面室などの壁面に設置され、ユーザが自身の姿を確認するために使用される。図1図4に示すように、照明付きミラー1は、ミラー本体10、筐体20、複数の光源30、および電源装置40を有する。
【0011】
ミラー本体10は、照明付きミラー1の前面を覆う板状の部品である。ミラー本体10は、無色透明な矩形の板ガラス11により形成される。ただし、ミラー本体10の形状は、矩形以外の形状(例えば、楕円形など)であってもよい。ミラー本体10は、鏡として機能する鏡面部12と、光を透過する一対の透光窓13とを有する。鏡面部12は、ミラー本体10の左右方向の中央に位置する。一対の透光窓13は、鏡面部12の左側および右側に位置する。
【0012】
図5は、鏡面部12と透光窓13の境界部付近における、ミラー本体10の部分横断面図である。図5に示すように、ミラー本体10の鏡面部12においては、板ガラス11の裏面に、反射膜14が形成されている。反射膜14には、例えば、銀めっきが使用される。前方から入射する光は、反射膜14において、高い反射率で反射する。したがって、ミラー本体10は、前方に位置するユーザの姿を、鏡面部12に映すことができる。
【0013】
一対の透光窓13は、後述する光源30から出射される光を、前方へ透過させるための部分である。透光窓13においては、板ガラス11の裏面に、反射膜14が形成されていない。ミラー本体10の製造時には、板ガラス11の裏面の全面に反射膜14を形成した後、透光窓13に相当する部分にサンドブラスト加工(粗面加工)を施す。これにより、当該部分の反射膜14が除去されるとともに、板ガラス11の裏面の当該部分が粗面化される。
【0014】
また、本実施形態では、板ガラス11の当該粗面加工がされた裏面が、拡散材料15に覆われている。拡散材料15は、光を拡散させつつ透過させる塗料である。透光窓13を透過する光は、この拡散材料15と、粗面加工された裏面とにより、拡散される。このため、照明付きミラー1のユーザは、透光窓13を介して拡散された光の照射を受けることは可能であるが、透光窓13を介して筐体20の内部を視認することはできない。
【0015】
筐体20は、複数の光源30および電源装置40を収容するための部品である。筐体20は、ミラー本体10の背面側に位置する。図2および図4に示すように、筐体20は、取付部21と、一対の光源収容部22とを有する。
【0016】
取付部21は、鏡面部12の裏面側に位置する。取付部21には、複数の固定用孔211が設けられている。筐体20は、これらの固定用孔211を介して、壁面にボルトを締結することにより、壁面に固定される。また、取付部21は、左右方向に延びる断面コの字状の梁部212を有する。ミラー本体10は、梁部212に支持されるとともに、筐体20に対してボルト固定される。また、取付部21の内部の第1空間21Sには、電源装置40が収容されている。
【0017】
ただし、取付部21は、必ずしも梁部212を有するものでなくてもよい。また、筐体20に対するミラー本体10の固定方法は、必ずしもボルト固定でなくてもよい。例えば、筐体20に対してミラー本体10が、溶融接合により固定されていてもよい。
【0018】
一対の光源収容部22は、取付部21の左側および右側に位置する。すなわち、一対の光源収容部22は、透光窓13の裏面側に位置する。光源収容部22の内部の第2空間22Sには、光源30が収容されている。光源収容部22の内面は、反射材に覆われている。反射材には、例えば、白色の塗装剤が用いられる。ただし、塗装剤に代えて、反射シートが貼付されていてもよい。光源30から出射された光は、反射材により反射される。これにより、透光窓13から前方へ照射される光の量が増加する。
【0019】
この照明付きミラー1では、筐体20の内面全体ではなく、筐体20の左右の端部に設けられた光源収容部22の内面のみが、反射材で覆われている。これにより、反射材の使用料が低減される。
【0020】
光源30は、光源収容部22の内部に配置されている。本実施形態では、1つの光源収容部22に、2つの光源30が配置されている。ただし、1つの光源収容部22に配置される光源30の数は、1つであってもよく、あるいは、3つ以上であってもよい。本実施形態では、光源30としてテープライトを用いている。テープライトは、テープ状の基板にLEDを等間隔に搭載し、外側を柔軟な樹脂カバーで覆ったものである。テープライトは、必要な長さに切断して使用することができる。また、熱伝導性が高い硬質のケースを持たないため、光源30自体を薄型化することができる。発光素子であるLEDには、演色性が高いものを使用することが好ましい。
【0021】
筐体20は、取付部21の第1空間21Sと、光源収容部22の第2空間22Sとを仕切る仕切壁23を有する。光源30は、この仕切壁23の第2空間22S側の面に、取り付けられる。光源30が仕切壁23に取り付けられた状態において、複数のLED(発光素子)は、上下方向に間隔をあけて配列される。各LEDは、第2空間22Sへ向けて光を照射する。このように、複数のLEDを上下方向に配列することによって、光源30の奥行き方向の寸法を抑えつつ、上下方向における照度のむらを抑制できる。
【0022】
図4に示すように、本実施形態では、光源収容部22の左右方向の幅が、透光窓13の左右方向の幅よりも、やや広い。そして、光源30は、透光窓13よりも、左右方向のやや内側に配置されている。すなわち、光源30は、鏡面部12の裏面側に配置されている。このようにすれば、透光窓13に、光源30の影が映りにくい。したがって、照明付きミラー1の意匠性を向上させることができるとともに、光源30自体の影により、前方への照射光にムラが生じることを防止できる。
【0023】
電源装置40は、光源30に電流を供給するための電気回路を備えた装置である。電源装置40は、複数の光源30と電気的に接続されている。また、電源装置40は、電源コンセントに挿入可能なプラグ41とも、電気的に接続されている。電源コンセントにプラグ41を挿入すると、電源装置40を介して光源30に、電流が供給される。これにより、光源30の各LEDが発光する。ただし、光源30は、電源装置40を介することなく、直接プラグ41と接続されるものであってもよい。
【0024】
図6は、光源収容部22の付近における照明付きミラー1の部分横断面図である。上述した通り、本実施形態では、1つの光源収容部22に、2つの光源30が配置されている。2つの光源30のうちの一方は、前後方向に対して垂直な姿勢で、筐体20に固定される。以下では、この光源30を「第1光源31」と称する。また、2つの光源30のうちの他方は、第1光源31よりも背面側に位置し、斜め前方を向く姿勢で、筐体20に固定される。以下では、この光源30を「第2光源32」と称する。
【0025】
第1光源31は、前後方向に対して垂直な方向に、光を出射する。すなわち、左側の光源収容部22に収容された第1光源31は、左方へ向けて光を出射する。また、右側の光源収容部22に収容された第1光源31は、右方へ向けて光を出射する。第2光源32は、斜め前方へ向けて、光を出射する。すなわち、左側の光源収容部22に収容された第2光源32は、左方かつ前方へ向けて、斜めに光を出射する。また、右側の光源収容部22に収容された第2光源32は、右方かつ前方へ向けて、斜めに光を出射する。
【0026】
筐体20は、第1光源31および第2光源32から出射される光を反射する反射板24を有する。反射板24は、透光窓13の背面側に位置する。また、図6に示すように、反射板24は、上面視において透光窓13に対して傾斜した反射面241を有する。反射面は、鏡面であってもよく、あるいは、光を散乱させつつ反射する面であってもよい。本実施形態では、光源収容部22の内面の一部分が、反射面241となっている。したがって、反射面241は、上述した反射材に覆われている。ただし、反射板24は、筐体20とは別に設けられていてもよい。
【0027】
本実施形態の反射面241は、平坦面である。すなわち、上面視における反射面241の形状は、直線状である。また、透光窓13に対する反射面241の傾斜角度θは、約45°である。このため、図6に示すように、光源30から出射された光は、反射面241で反射されて、透光窓13へ入射する。そして、透光窓13の裏面において拡散された光が、透光窓13を透過して、ミラー本体10の前方へ照射される。
【0028】
このように、本実施形態の照明付きミラー1は、透光窓13に対して傾斜した反射面241を有する。これにより、前方へ向かう光の量を増加させることができる。したがって、鏡面部12の前方に位置するユーザに対して照射される光の照度を向上させることができる。その結果、ユーザの姿を、鏡面部12に明瞭に映すことができる。
【0029】
透光窓13に対する反射面241の傾斜角度θが小さ過ぎたり、大き過ぎたりすると、前方へ向かう反射光の量が低下する。ミラー本体10の前方へ向けて十分な光を照射するために、透光窓13に対する反射面241の傾斜角度θは、30°以上かつ65°以下とすることが望ましい。また、当該傾斜角度θは、40°以上かつ60°以下とすることが、より望ましい。
【0030】
なお、左右方向の中央側(鏡面部12側)へ向かう光の量を増加させるために、透光窓13に対する反射面241の傾斜角度θを、45°よりも若干大きくしてもよい。このようにすれば、鏡面部12の前方に位置するユーザに対して照射される光の照度を、より向上させることができる。逆に、左右方向の中央側(鏡面部12側)へ向かう光の量が過度に大きくなることを防止するために、透光窓13に対する反射面241の傾斜角度θを、45°よりも若干小さくしてもよい。このようにすれば、鏡面部12の前方に位置するユーザが、眩しく感じることを低減できる。
【0031】
また、本実施形態の照明付きミラー1では、透光窓13の裏面に、粗面加工が施されている。これにより、反射面241により反射した光を、拡散しつつ前方へ照射することができる。また、透光窓13の当該裏面は、拡散材料15に覆われている。これにより、透光窓13を透過する光を、より拡散させることができる。その結果、ユーザに対して十分に拡散された均一な光を、照射することができる。このようにすれば、ユーザの顔に影が生じにくいため、ユーザは、鏡面部12に映る自身の姿を、より明瞭に確認できる。
【0032】
また、本実施形態の照明付きミラー1では、透光窓13が、ミラー本体10の上端部から下端部までの広い範囲に広がっている。このように、透光窓13が広い面積をもつようにすれば、前方から見た透光窓13の輝度を抑えることができる。したがって、光の照度を十分に確保しつつ、ユーザが眩しく感じることを抑制できる。
【0033】
また、本実施形態の照明付きミラー1では、1つの光源収容部22に、2つの光源30が配置されている。これにより、ユーザに照射される光の照度が、より高められている。また、2つの光源30のうちの一方である第2光源32は、左右方向に対して斜めに配置されている。このようにすれば、2つの光源30を共に左右方向に向けて配置する場合よりも、照明付きミラー1の奥行きを低減できる。
【0034】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。以下では、種々の変形例について、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
<2-1.第1変形例>
図7は、第1変形例に係る照明付きミラー1の部分横断面図である。図7の照明付きミラー1は、反射面241が平坦面ではなく、曲面である点が、上記の実施形態と相違する。図7の例では、反射面241が、透光窓13に対して傾斜し、かつ、反射板24よりも前方に曲率中心をもつ凹状の曲面となっている。このようにすれば、反射面241において反射された光が、前方へ向かうにつれて収束する。これにより、ミラー本体10の前方の特定の領域の照度を、特に向上させることができる。本発明における「傾斜した反射面」は、このような曲面も含むものとする。
【0036】
<2-2.第2変形例>
図8は、第2変形例に係る照明付きミラー1の部分横断面図である。図8の照明付きミラー1は、1つの光源収容部22に収容される光源30の数が、1つである点が、上記の実施形態と相違する。図8の例では、光源収容部22に、前後方向に対して垂直な方向に光を出射する第1光源31のみが、配置されている。第1光源31のみで十分な照度が得られる場合には、このように、第2光源32を省略してもよい。あるいは、第1光源31を省略して、第2光源32のみを配置してもよい。また、光源30の数を減らしたことに伴い、筐体20の奥行きをより薄くしてもよい。
【0037】
<2-3.第3変形例>
図9は、第3変形例に係る照明付きミラー1の正面図である。図9の照明付きミラー1は、透光窓13の構造が、上記の実施形態と相違する。図9の例では、透光窓13が、光を透過する透光部131と、光を遮断する遮光部132とを含んでいる。遮光部132には、例えば、鏡面部12の反射膜14を用いればよい。すなわち、ミラー本体10の製造時に、透光窓13のうち、透光部131のみにサンドブラスト加工を行い、遮光部132においては、反射膜14を残すようにすればよい。このようにすれば、透光部131と遮光部132を利用して、透光窓13にデザインを施すことができる。
【0038】
ただし、遮光部132の面積率が大き過ぎると、ユーザに照射される光の照度が不十分となる。JIS Z 9110:2010によると、宿泊施設等の洗面鏡において必要な照度(人物に対する垂直面照度)は、500lxとされている。ミラー本体10の前面から300~450mm離れた位置で、この照度要件を満たすように、透光部131および遮光部132の面積率を設定することが望ましい。例えば、透光窓13における透光部131の面積率は、75%以上とすることが望ましい。
【0039】
<2-4.第4変形例>
図10は、第4変形例に係る照明付きミラー1の正面図である。上記の実施形態の照明付きミラー1は、電源コンセントに対するプラグ41の抜き差しにより、光源30のOFF/ONを切り替えるものであった。これに対し、図10の照明付きミラー1は、プラグ41とは別に、光源30のOFF/ONを切り替えるためのスイッチ50を有している。スイッチ50は、静電容量式のスイッチであり、ミラー本体10の鏡面部12の裏面に設けられている。ユーザは、ミラー本体10の表面に触れることで、スイッチ50を操作できる。このようにすれば、コンセントにプラグ41を接続した状態のまま、光源30のOFF/ONを切り替えることができる。
【0040】
ただし、この場合、ミラー本体10の表面にユーザの指が頻繁に接触するため、指紋が付着しやすくなる。そこで、指紋の付着を抑制するために、ミラー本体10の表面のスイッチ50の部分に、粗面加工を施してもよい。粗面加工には、例えば、サンドブラスト加工を用いればよい。
【0041】
<2-5.第5変形例>
図11は、第5変形例に係る照明付きミラー1の横断面図である。図11の照明付きミラー1は、マグネット機能を有する点が、上記の実施形態と相違する。具体的には、図11の照明付きミラー1は、磁石吸引板60を有する。磁石吸引板60は、磁石との間で吸引力が発生する磁性体(例えば鉄)により形成される。磁石吸引板60は、ミラー本体10の鏡面部12の裏面に配置される。これにより、鏡面部12の表面に磁石を吸着させることができる。また、鏡面部12の裏面に磁石吸引板60を接着すれば、万が一ミラー本体10が破損した場合にも、ガラス片が飛散することを抑制できる。
【0042】
<2-6.他の変形例>
上記の実施形態では、透光窓13の裏面を、サンドブラスト加工により粗面化していた。しかしながら、サンドブラスト加工以外の粗面加工により、透光窓13の裏面を粗面化してもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、透光窓13の裏面に、粗面加工が施され、かつ、拡散材料15が塗布されていた。しかしながら、粗面加工と拡散材料15のいずれか一方が省略されていてもよい。
【0044】
また、照明付きミラー1は、光源30から出射される光の量を調節する調光機能を備えていてもよい。その場合、調光のための制御基板は、筐体20の取付部21内に配置すればよい。調光機能があれば、ユーザは、環境や目的に合わせて、光源30から出射される光の量を、最適な量に調節できる。したがって、ユーザに照射される光の照度も、より最適化できる。
【0045】
また、照明付きミラー1は、光源30から出射される光の色を調節する調色機能を備えていてもよい。その場合、調色のための制御基板は、筐体20の取付部21内に配置すればよい。調色機能があれば、ユーザは、環境や目的に合わせて、光源30から出射される光の色を、最適な色に調節できる。したがって、ユーザに照射される光の色も、より最適化できる。
【0046】
また、上記の実施形態では、光源30にテープライトが用いられていた。しかしながら、本発明における「光源」は、テープライト以外の光源であってもよい。また、上記の実施形態では、光源30の発光素子に、LEDが用いられていた。しかしながら、光源30に用いられる発光素子は、LEDに限らず、発光するものであればよい。例えば、LEDに代えて、白熱電球や蛍光灯を用いてもよい。
【0047】
また、ミラー本体10の鏡面部12の裏面に、ヒータを設けてもよい。これにより、ミラー本体10を暖めて、鏡面部12の結露を抑制できる。また、ヒータを駆動させることにより、照明付きミラー1の前方に位置するユーザ付近の空気も、暖めることができる。
【0048】
また、ミラー本体10の鏡面部12の裏面に、スピーカを設けてもよい。これにより、ミラー本体10を振動させて、音を発生させることができる。ユーザは、照明付きミラー1を利用して身なりを整える際に、スピーカの存在を意識することなく、ミラー本体10の正面から流れる音楽を楽しむことができる。
【0049】
また、ミラー本体10の鏡面部12の一部分に、映像表示機能を持たせてもよい。具体的には、鏡面部12の裏面の反射膜14の一部分を除去し、当該部分にタブレットやLEDドットパネルなどの発光表示装置を設置すればよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、鏡面部12の左側および右側に、一対の透光窓13が設けられていた。しかしながら、透光窓13の位置は、必ずしも鏡面部12の左右でなくてもよい。例えば、鏡面部12の上側および下側に、透光窓13が設けられていてもよい。また、鏡面部12の左側、右側、および上側の3箇所に、透光窓13が設けられていてもよい。あるいは、鏡面部12の左側、右側、上側、および下側の4箇所に、透光窓13が設けられていてもよい。すなわち、透光窓13は、ミラー本体10の少なくとも一部に設けられていればよい。また、ミラー本体10は、少なくとも1つの透光窓13を有していればよい。
【0051】
また、照明付きミラー1の各部材の細部の形状については、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。
【0052】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に取捨選択してもよい。
【0053】
<3.発明の抽出>
上記の実施形態および変形例から抽出される発明として、例えば、以下の発明を挙げることができる。
【0054】
第1発明は、照明付きミラーであって、ミラー本体と、前記ミラー本体の背面側に位置する光源と、前記光源から出射される光を反射する反射板と、を備え、前記ミラー本体は、鏡面部と、前記ミラー本体の少なくとも一部に位置する透光窓と、を有し、前記反射板は、前記透光窓の背面側に位置するとともに、前記透光窓に対して傾斜した反射面を有し、前記光源から出射された光が、前記反射面により反射され、前記透光窓を透過して、前記ミラー本体の前方へ照射される。
【0055】
第2発明は、第1発明の照明付きミラーであって、前記ミラー本体は、前記鏡面部の左右に位置する一対の前記透光窓を有する。
【0056】
第3発明は、第2発明の照明付きミラーであって、前記反射面は、上面視において直線状の平坦面であり、前記透光窓に対する前記反射面の角度は、30°以上かつ65°以下である。
【0057】
第4発明は、第2発明または第3発明の照明付きミラーであって、前記光源は、上下方向に配列された複数の発光素子を有する。
【0058】
第5発明は、第4発明の照明付きミラーであって、前記光源は、上下方向に配列された複数のLEDを有するテープライトである。
【0059】
第6発明は、第2発明から第5発明までのいずれか1発明の照明付きミラーであって、前記光源は、左右方向に向けて配置された第1光源と、前記第1光源よりも背面側に位置し、斜め前方に向けて配置された第2光源と、を含む。
【0060】
第7発明は、第2発明から第6発明までのいずれか1発明の照明付きミラーであって、前記透光窓は、前記ミラー本体の上端部から下端部まで広がる。
【0061】
第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の照明付きミラーであって、前記鏡面部の背面側に位置する第1空間と、前記透光窓の背面側に位置する第2空間とを仕切る仕切壁をさらに備え、前記光源は、前記仕切壁に取り付けられ、前記第2空間へ向けて光を照射する。
【0062】
第9発明は、第1発明から第8発明までのいずれか1発明の照明付きミラーであって、前記透光窓は、粗面加工された裏面を有する。
【0063】
第10発明は、第9発明の照明付きミラーであって、前記透光窓の前記裏面は、光を拡散させつつ透過する拡散材料に覆われている。
【0064】
第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1発明の照明付きミラーであって、前記透光窓の背面側において、前記光源を収容する光源収容部を有し、前記光源収容部の内面は、反射材に覆われている。
【0065】
第12発明は、第1発明から第11発明までのいずれか1発明の照明付きミラーであって、前記透光窓は、光を透過する透光部と、光を遮断する遮光部と、を有し、前記透光窓における前記透光部の面積率は、75%以上である。
【0066】
第1発明~第12発明によれば、透光窓に対して傾斜した反射面により、前方へ向かう光の量を増加させることができる。したがって、鏡面部の前方に位置するユーザに対して照射される光の照度を向上させることができる。
【0067】
特に、第3発明によれば、光源から左方または右方へ出射された光を、ミラー本体の前方へ、良好に反射させることができる。
【0068】
特に、第4発明によれば、上下方向における照度のむらを抑制できる。
【0069】
特に、第5発明によれば、光源が、熱伝導性が高い硬質のケースを持たず、必要な長さに切断して使用することができる。
【0070】
特に、第6発明によれば、2つの光源により、ユーザに対して照射される光の照度を高めることができる。また、2つの光源を、共に左右方向に向けて配置する場合よりも、照明付きミラーの奥行きを低減できる。
【0071】
特に、第7発明によれば、透光窓が広い面積をもつことにより、前方から見た透光窓の輝度が抑えられる。したがって、光の照度を十分に確保しつつ、ユーザが眩しく感じることを抑制できる。
【0072】
特に、第9発明によれば、反射板により反射された光を、拡散させつつ前方へ照射することができる。これにより、ユーザに対して均一な光を照射し、影の発生を抑制できる。
【0073】
特に、第10発明によれば、反射板により反射された光を、より拡散させることができる。
【0074】
特に、第11発明によれば、光源から出射された光が、光源収容部の内面において反射する。これにより、透光窓を透過する光の量を増加させることができる。
【0075】
特に、第12発明によれば、ユーザに対する光の照度を十分に確保できる。
【符号の説明】
【0076】
1 照明付きミラー
10 ミラー本体
11 板ガラス
12 鏡面部
13 透光窓
14 反射膜
15 拡散材料
20 筐体
21 取付部
21S 第1空間
22 光源収容部
22S 第2空間
23 仕切壁
24 反射板
30 光源
31 第1光源
32 第2光源
40 電源装置
41 プラグ
50 スイッチ
60 磁石吸引板
131 透光部
132 遮光部
211 固定用孔
212 梁部
241 反射面
θ 傾斜角度

図1
図2
図3
図4
図5
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図11