(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022590
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】CCN1及びCCN2の発現を増加させるための皮膚適用用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20220131BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20220131BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220131BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20220131BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20220131BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20220131BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220131BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALN20220131BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20220131BHJP
A61K 133/00 20060101ALN20220131BHJP
A61K 127/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K8/9789
C12N5/071 ZNA
A61Q19/08
A61Q7/00
A61K8/9794
A61P17/02
A61P43/00 107
A61K36/48
A61K36/88
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61Q19/00
C12N15/12
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
A61K133:00
A61K127:00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111472
(22)【出願日】2020-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】515259579
【氏名又は名称】中西 徹
(71)【出願人】
【識別番号】520235874
【氏名又は名称】山崎 勤
(71)【出願人】
【識別番号】520235885
【氏名又は名称】佐伯 隆昭
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】中西 徹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 勤
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 隆昭
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA05
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4C083AA111
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4C088AB59
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4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB22
4C088ZC41
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】 CCN1及びCCN2の発現を増加させるための皮膚適用用の新規組成物を提供すること。
【解決手段】 チョウマメの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物、及びニオイタコノキの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物のいずれか一方又は両方を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウマメの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物、及びニオイタコノキの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物のいずれか一方又は両方を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物。
【請求項2】
肌の老化防止用、創傷治癒用、又は発毛促進用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
表皮幹細胞から表皮角化細胞への分化促進、表皮幹細胞及び/又は表皮角化細胞の増殖促進、真皮幹細胞の増殖及び/又は繊維芽細胞への分化、或いは線維芽細胞の分化によるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の産生促進による肌の老化防止用;
線維芽細胞の増殖促進、或いは表皮細胞の遊走及び増殖による創傷治癒用;又は、
毛包幹細胞から毛乳頭細胞への分化促進、或いは毛包幹細胞及び/又は毛乳頭細胞の増殖促進による発毛促進用である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
チョウマメの水抽出物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ニオイタコノキの水抽出物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記チョウマメの10%未満のアルコール抽出物が、チョウマメの10%未満のエタノール抽出物であり、及びニオイタコノキの10%未満のアルコール抽出物が、ニオイタコノキの10%未満のエタノール抽出物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための皮膚適用用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、最表層から表皮、真皮及び皮下組織により構成される。表皮は、外的環境から身体を保護し、その健全な状態を確保する役割を担っている。表皮は、また、微生物や化学物質の侵入を抑制し、且つ水分の蒸発を防ぐことで皮膚の乾燥を防止する役割も果たす。
【0003】
真皮は、線維芽細胞、組織球・マクロファージ、肥満細胞、及び形質細胞から構成される。線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを産生する細胞であり、コラーゲンを繊維束として真皮構造を形成する役割を担っている。線維芽細胞は、また、皮膚組織に損傷が加わると損傷部に遊走し、コラーゲンなどの細胞外マトリックスの産生を開始する役割を担っている。これらの役割により、線維芽細胞は、創傷治癒の過程において重要な役割を担っている。
【0004】
線維芽細胞は、さらに、紫外線、乾燥、ストレス、及び老化などの影響によって増殖能が低下する。このため、線維芽細胞の増殖能に影響があると、皮膚の弾力低下など肌の老化の原因となり、又は創傷治癒の速度が遅くなり得る。
【0005】
線維芽細胞の増殖を活性化させるための研究が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、新規な皮膚適用用の新規組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の発明を提供する:
[項1]
チョウマメの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物、及びニオイタコノキの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物のいずれか一方又は両方を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物。
[項2]
肌の老化防止用、創傷治癒用、又は発毛促進用である、項1に記載の組成物。
[項3]
表皮幹細胞から表皮角化細胞への分化促進、或いは表皮幹細胞及び/又は表皮角化細胞の増殖促進による肌の老化防止用;線維芽細胞の増殖促進による創傷治癒用;又は毛包幹細胞から毛乳頭細胞への分化促進、或いは毛包幹細胞及び/又は毛乳頭細胞の増殖促進による発毛促進用である、項2に記載の組成物。
[項4]
チョウマメの水抽出物を含む、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[項5]
ニオイタコノキの水抽出物を含む、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[項6]
前記チョウマメの10%未満のアルコール抽出物が、チョウマメの10%未満のエタノール抽出物であり、及びニオイタコノキの10%未満のアルコール抽出物が、ニオイタコノキの10%未満のエタノール抽出物である、項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】水抽出物によるCCN1の発現比を示す棒グラフ。
【
図2】70%エタノール抽出物によるCCN1の発現比を示す棒グラフ。
【
図3】水抽出物によるCCN2の発現比を示す棒グラフ。
【
図4】70%エタノール抽出物によるCCN2の発現比を示す棒グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「チョウマメ(Clitoria ternatea L.)」は、チョウマメ属(Clitoria)のチョウマメ属(C. ternatea)に属するマメ科の植物である。チョウマメは、例えば、公知の方法により栽培及び採取でき、又は商業的に入手可能である。1つの実施形態において、チョウマメは、花、葉、茎、及び根からなる群から選択される少なくとも1つの部位であってよく、好ましくは花、及び葉のいずれか一方又は両方であり、より好ましくは花である。チョウマメの重量は、乾燥形態の重量である。
【0011】
チョウマメの水抽出物は、例えば、チョウマメの粉砕物と水とを混合し、得られた混合液から遠心分離又は濾過などの分離方法によって固形物を分離及び除去することによって得ることができる。1つの実施形態において、チョウマメ(好ましくは花の乾燥物)の水抽出物は、チョウマメの粉砕物と、前記粉砕物の10倍重量の水とを混合し、得られた混合液を室温で20分間放置した後、遠心分離又は濾過などの分離方法によって前記混合液から固形物を分離及び除去することによって得ることができる。チョウマメの水抽出物は、液体又は固体であってよい。チョウマメの水抽出物(固体)は、例えば、チョウマメの水抽出物(液体)の凍結乾燥によって調製することができる。
【0012】
チョウマメの10%未満のエタノール抽出物は、例えば、チョウマメの粉砕物と10%w/w未満のエタノール水溶液とを混合し、得られた混合液から遠心分離又は濾過などの分離方法によって固形物を分離及び除去することによって得ることができる。1つの実施形態において、チョウマメの10%未満のエタノール抽出物は、チョウマメ(好ましくは花の乾燥物)の粉砕物と、前記粉砕物の10倍重量の10%w/w未満のエタノール水溶液とを混合し、得られた混合液を室温で20分間放置した後、遠心分離又は濾過などの分離方法によって前記混合液から固形物を分離及び除去することによって得ることができる。チョウマメの10%w/w未満のエタノール抽出物は、液体又は固体であってよい。チョウマメの10%w/w未満のエタノール抽出物(固体)は、例えば、チョウマメの10%w/w未満のエタノール抽出物(液体)の凍結乾燥によって調製することができる。チョウマメの10%w/w未満のエタノール抽出物(液体)は、例えば、10%w/w未満のエタノール抽出物(液体)を凍結乾燥などにより固形化して、その固形物を水で溶解した液体であってもよい。
【0013】
チョウマメのエタノール抽出物は、例えば、8%w/w未満のエタノール、5%w/w未満のエタノール、3%w/w未満のエタノール、又は1%w/w未満のエタノールと、チョウマメの粉砕物とを混合して、得られた混合液から固形物を分離及び除去することによって調製したものであってよい。
【0014】
「ニオイタコノキ(Pandanus)」は、タコノキ科(Pandanaceae)のタコノキ属(Pandanus)に属する単子葉植物であり、パンダリーフとも称される。ニオイタコノキは、例えば、公知の方法により栽培及び採取でき、又は商業的に入手可能である。1つの実施形態において、ニオイタコノキは、葉、茎、及び根からなる群から選択される少なくとも1つの部位であってよく、好ましくは葉、及び茎のいずれか一方又は両方であり、より好ましくは葉である。ニオイタコノキの重量は、乾燥形態の重量である。
【0015】
ニオイタコノキの水抽出物は、例えば、ニオイタコノキの粉砕物と水とを混合し、得られた混合液から遠心分離又は濾過などの分離方法によって固形物を分離及び除去することによって得ることができる。1つの実施形態において、ニオイタコノキ(好ましくは葉の乾燥物)の水抽出物は、ニオイタコノキの粉砕物と、前記粉砕物の10倍重量の水とを混合し、得られた混合液を室温で20分間放置した後、遠心分離又は濾過などの分離方法によって前記混合液から固形物を分離及び除去することによって得ることができる。ニオイタコノキの水抽出物は、液体又は固体であってよい。ニオイタコノキの水抽出物(固体)は、例えば、ニオイタコノキの水抽出物(液体)の凍結乾燥によって調製することができる。
【0016】
ニオイタコノキの10%未満のエタノール抽出物は、例えば、ニオイタコノキの粉砕物と10%w/w未満のエタノール水溶液とを混合し、得られた混合液から遠心分離又は濾過などの分離方法によって固形物を分離及び除去することによって得ることができる。1つの実施形態において、ニオイタコノキの10%未満のエタノール抽出物は、ニオイタコノキ(好ましくは葉の乾燥物)の粉砕物と、前記粉砕物の10倍重量の10%w/w未満のエタノール水溶液とを混合し、得られた混合液を室温で20分間放置した後、遠心分離又は濾過などの分離方法によって前記混合液から固形物を分離及び除去することによって得ることができる。ニオイタコノキの10%w/w未満のエタノール抽出物は、液体又は固体であってよい。ニオイタコノキの10%w/w未満のエタノール抽出物(固体)は、例えば、ニオイタコノキの10%w/w未満のエタノール抽出物(液体)を凍結乾燥によって調製することができる。ニオイタコノキの10%w/w未満のエタノール抽出物(液体)は、例えば、10%w/w未満のエタノール抽出物(液体)を凍結乾燥などにより固形化して、その固形物を水で溶解した液体であってよい。
【0017】
ニオイタコノキのエタノール抽出物は、例えば、8%w/w未満のエタノール、5%w/w未満のエタノール、3%w/w未満のエタノール、又は1%w/w未満のエタノールと、ニオイタコノキの粉砕物とを混合して、得られた混合液から固形物を分離することによって調製したものであってよい。
【0018】
「皮膚適用用組成物」は、皮膚に適用し得る形態であればよく、溶液系、乳化系、粉末系、ゲル系、軟膏系、クリーム、ミスト、エアゾール、水-油二層系、又は水-油-粉三層系であってよい。皮膚適用用組成物は、例えば、チョウマメの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物、及びニオイタコノキの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物のいずれか一方又は両方を、前記組成物の重量当たり95%w/w以下、90%w/w以下、80%w/w以下、70%w/w以下、60%w/w以下、50%w/w以下、40%w/w以下、30%w/w以下、20%w/w以下、10%w/w以下、又は5%w/w以下含む。皮膚適用用組成物は、さらに、皮膚に適用可能な担体又は賦形剤、要すれば、適当な添加剤を適宜含んでよい。皮膚適用用組成物は、公知の方法により調製することができる。一例において、皮膚適用用組成物は、チョウマメの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物、及びニオイタコノキの水抽出物若しくは10%未満のアルコール抽出物のいずれか一方又は両方と、皮膚に適用可能な担体又は賦形剤とを混合することにより調製することができる。
【0019】
「CCN1」は、Cysteine rich 61(Cyr61)としても知られる、CCNファミリーに属するタンパク質である。CCN1は、細胞表面のインテグリン受容体及びヘパラン硫酸プロテオグリカンとの相互作用を通じて、細胞増殖、細胞運動、細胞分化、及び細胞の老化に関与する。CCN1のアミノ酸配列及び核酸配列は公知である。
【0020】
「CCN2」は、結合組織増殖因子(connective tissue growth factor(CTGF))としても知られる、CCNファミリーに属するタンパク質である。CCN2は、線維芽細胞の増殖促進、細胞外気質産生促進、結合組織増殖促進、軟骨細胞の増殖、細胞分化の促進、創傷治癒、及び線維性疾患に関与する。CCN2のアミノ酸配列及び核酸配列は公知である。
【0021】
CCN1及びCCN2の「発現の増加」は、本開示に係る組成物を培養したヒトの皮膚線維芽細胞に添加した場合のCCN1の発現量及びCCN2の発現量が、本開示に係る組成物を添加しなかった場合のCCN1の発現量及びCCN2の発現量と比較して、少なくとも20%、30%、40%、又は50%増加することであってよい。CCN1及びCCN2の発現量は、CCN1又はCCN2に対応する培養したヒト線維芽細胞中のRNAの量を意味する。RNAの量は、本願明細書の実施例に記載のように、RT-PCRにより測定することができる。
【0022】
「肌の老化防止」は、皮膚の弾力が維持される又は向上することを意味する。肌の老化防止は、CCN1及びCCN2の発現が増加し、表皮幹細胞から表皮角化細胞への分化が促進され、表皮幹細胞及び/又は表皮角化細胞の増殖が促進され、真皮幹細胞の増殖及び/又は繊維芽細胞への分化が促進され、或いは線維芽細胞の分化によるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の産生が促進されることによって達成され得る。肌の老化防止は、例えば、本開示に係る組成物をヒトの肌に1日1回~3回を3週間適用した場合に、本開示に係る組成物を適用しなかった場合と比べて、皮膚の弾力が維持される又は5%以上、10%以上若しくは15%以上向上することであってよい。
【0023】
「創傷治癒」は、創傷治癒が促進させることを意味する。創傷治癒は、CCN1及びCCN2の発現が増加し、線維芽細胞の増殖が促進され、或いは表皮細胞が遊走及び増殖することによって達成され得る。創傷治癒は、例えば、本開示に係る組成物を皮膚の創傷に適用した場合、本開示に係る組成物を同程度の皮膚の創傷に適用しなかった場合と比べて、創傷治癒が促進されることであってよい。
【0024】
「発毛促進」は、発毛が促進させることを意味する。毛髪促進は、CCN1及びCCN2の発現が増加し、毛包幹細胞から毛乳頭細胞への分化が促進され、或いは毛包幹細胞及び/又は毛乳頭細胞の増殖が促進されることによって達成され得る。発毛促進は、例えば、本開示に係る組成物を頭皮に適用した場合、本開示に係る組成物を適用する前と比べて、当該頭皮における毛髪が増加することであってよい。
【0025】
1つの実施形態において、本開示に係る皮膚適用用組成物は、肌の老化防止、創傷治癒用、又は発毛促進用であり、好ましくは肌の老化防止又は創傷治癒用であり、より好ましくは肌の老化防止用である。
【0026】
以下、具体的な実施例を記載するが、それらは本発明の好ましい実施形態を示すものであり、添付する特許請求の範囲に記載の発明をいかようにも限定するものではない。
【0027】
[調製例]
以下の表に記載のNo.1~No.8に対応する植物試料の乾燥物2gを、すり鉢とすりこぎ棒とを用いて又は袋に詰めて叩くことによって、それぞれ粉砕した。粉砕した各植物試料と水20mlと混合した。得られた混合液を20分間室温下で放置した。前記混合液を遠心分離(3000回転、10分)にかけ、上清を各植物試料の水抽出物(比較例1~6、実施例1及び2)とした。
【表1】
【0028】
以下の表に記載のNo.1~No.8に対応する植物試料の乾燥物2gを、すり鉢とすりこぎ棒とを用いて又は袋に詰めて叩くことによって、それぞれ粉砕した。粉砕した各植物試料と70%エタノール20mlと混合した。上記と同様にして、得られた混合液から各植物試料のエタノール抽出物(比較例7~14)を得た。
【表2】
【0029】
[細胞培養]
ヒトの皮膚線維芽細胞を、培養液3mlを含むシャーレにて培養した。前記培養液に、比較例1の水抽出物を0.25ml添加した。比較例2~6、実施例1及び実施例2の各水抽出物0.25mlを前記培養液に添加した。対照として、水0.25mlを用いた(C1)。同様にして、前記培養液に、比較例7~14の各エタノール抽出物0.25mlを前記培養液に添加した。対照として、70%エタノール0.25mlを用いた(C2)。前記皮膚線維芽細胞を、各抽出物が添加された培養液中、37℃、5%CO2下にてさらに24時間培養した。
【0030】
さらなる培養後に、各シャーレからヒト皮膚線維芽細胞を回収した。回収したヒト皮膚線維芽細胞におけるCCN1及びCCN2の発現量を、Applied Biosystems 7000 Sequence Detection Systemを用いたRT-PCTにより定量した。RT-PCRは、One Step TB Green(登録商標)PrimeScript(商標)RT-PCR Kitを用い、前記キットに添付の説明書に従って行った。CCN1のRT-PCRには、配列番号1及び2に記載の各核酸配列を有するプライマーを用いた。CCN2のRT-PCRには、配列番号3及び4に記載の各核酸配列を有するプライマーを用いた。
【0031】
【0032】
[結果]
各植物試料(No.1~No.8)の水抽出物を用いた場合のCCN1発現量から、対照C1を用いた場合のCCN1発現量に対する相対値を算出した。算出した結果を
図1に示す。
図1は、植物試料No.1~No.3、及びNo.5が、対照C1と比較して、CCN1の発現量を増加させたことを示す。
【0033】
各植物試料(No.1~No.8)の70%エタノール抽出物を用いた場合のCCN1発現量から、対照C2を用いた場合のCCN1発現量に対する相対値を算出した。算出した結果を
図2に示す。
図2は、植物試料No.1、及びNo.3~No.8が、対照C2と比較して、CCN1の発現量を増加させたことを示す。
【0034】
図1及び
図2は、植物試料No.1、No.3及びNo.5が、水抽出物及び70%エタノール抽出物の両方が、対照C1及びC2と比べて、CCN1の発現量をそれぞれ増加させたことを示した。
図1及び
図2は、また、植物試料No.2が、水抽出物の場合にはCCN1の発現を増加させるが、70%エタノール抽出物の場合はCCN1の発現を低下させることを示す。
【0035】
各植物試料(No.1~No.8)の水抽出物を用いた場合のCCN2発現量から、対照C1を用いた場合のCCN2発現量に対する相対値を算出した。算出した結果を
図3に示す。
図3は、植物試料No.2、No.3、及びNo.8が、対照C1と比較して、CCN2の発現量を増加させたことを示す。
【0036】
各植物試料(No.1~No.8)の70%エタノール抽出物を用いた場合のCCN2発現量から、対照C2を用いた場合のCCN2発現量に対する相対値を算出した。算出した結果を
図4に示す。
図4は、植物試料No.1が、対照C2と比較して、CCN2の発現量を増加させたことを示す。
【0037】
図3及び
図4は、植物試料No.2、No.3及びNo.8が、水抽出物の場合にはCCN2の発現を増加させるが、70%エタノール抽出物の場合はCCN2の発現を低下させることを示す。
【0038】
図1~
図4は、No.2及びNo.3の水抽出物が、対照C1及びC2と比較して、CCN1及びCCN2それぞれに発現量を増加させたことを示す。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2020-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウマメの水抽出物を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物であって、
前記皮膚適用用組成物が、創傷治癒用又は発毛促進用である、組成物。
【請求項2】
線維芽細胞の増殖促進、或いは表皮細胞の遊走及び増殖による創傷治癒用;又は
毛包幹細胞から毛乳頭細胞への分化促進、或いは毛包幹細胞及び/又は毛乳頭細胞の増殖促進による発毛促進用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ニオイタコノキの水抽出物を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物であって、
前記皮膚適用用組成物が、肌の老化防止用又は創傷治癒用である、組成物。
【請求項4】
表皮幹細胞から表皮角化細胞への分化促進、表皮幹細胞及び/又は表皮角化細胞の増殖促進、真皮幹細胞の増殖及び/又は繊維芽細胞への分化、或いは線維芽細胞の分化によるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の産生促進による肌の老化防止用;又は
線維芽細胞の増殖促進、或いは表皮細胞の遊走及び増殖による創傷治癒用である、請求項3に記載の組成物。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウマメの水抽出物を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物であって、
前記皮膚適用用組成物が、創傷治癒用である、組成物。
【請求項2】
線維芽細胞の増殖促進、或いは表皮細胞の遊走及び増殖による創傷治癒用である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ニオイタコノキの水抽出物を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物であって、
前記皮膚適用用組成物が、創傷治癒用である、組成物。
【請求項4】
線維芽細胞の増殖促進、或いは表皮細胞の遊走及び増殖による創傷治癒用である、請求項3に記載の組成物。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウマメの水抽出物を含む、CCN1及びCCN2の発現を増加させるための、皮膚適用用組成物であって、前記皮膚適用用組成物が、創傷治癒用である、組成物。
【請求項2】
線維芽細胞の増殖促進、或いは表皮細胞の遊走及び増殖による創傷治癒用である、請求項1に記載の組成物。