(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022592
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】空調制御システム、及び装置と操作端末との認証プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/44 20130101AFI20220131BHJP
F24F 11/58 20180101ALI20220131BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20220131BHJP
【FI】
G06F21/44
F24F11/58
F24F120:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111582
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章浩
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260GA02
3L260JA15
3L260JA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遠隔操作を行う際のセキュリティの向上を図ることができる空調制御システム及び装置と操作端末との認証プログラムを提供する。
【解決手段】空調制御システム10は、空調機器と空調制御装置30と操作端末とを備える。空調制御装置30は、二次元コード発行処理によって発行した二次元コードに含ませた認証用情報と、登録用情報送信処理によって操作端末から送信された登録用情報に含まれる認証用情報とを照合する照合処理を実行可能な照合処理部343と、二次元コード発行処理によって発行した二次元コードに含ませた認証用情報と、登録用情報送信処理によって操作端末から送信された登録用情報に含まれる認証用情報とが一致した場合に、登録用情報に含まれる端末情報を有する操作端末を空調制御装置の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する認証登録処理を実行可能な認証登録処理部344と、を更に有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機器と、
前記空調機器を制御する空調制御装置と、
電気通信回線を通じて前記空調制御装置に接続可能であって前記空調制御装置を介して前記空調機器を遠隔操作するための操作端末と、を備え、
前記空調制御装置は、
情報を表示可能な表示部と、
前記電気通信回線を通して前記操作端末と通信可能に接続する空調制御装置側通信部と、
前記空調制御装置に固有の認証用情報を含む二次元コードを発行する二次元コード発行処理を実行可能な二次元コード発行処理部と、
前記二次元コードを前記表示部に表示する二次元コード表示処理を実行可能な二次元コード表示処理部と、を有し、
前記操作端末は、
前記電気通信回線を通して前記空調制御装置と通信可能に接続する操作端末側通信部と、
前記二次元コードを撮影可能なカメラと、
前記カメラで撮影した前記二次元コードから前記認証用情報を取得する認証用情報取得処理を実行可能な認証用情報取得処理部と、
前記認証用情報取得処理により取得した前記認証用情報に当該操作端末に固有の情報を含む端末情報を付加した登録用情報を前記空調制御装置に送信する登録用情報送信処理を実行可能な登録用情報送信処理部と、を有し、
前記空調制御装置は、
前記二次元コード発行処理によって発行した前記二次元コードに含ませた前記認証用情報と、前記登録用情報送信処理によって前記操作端末から送信された前記登録用情報に含まれる前記認証用情報とを照合する照合処理を実行可能な照合処理部と、
前記二次元コード発行処理によって発行した前記二次元コードに含ませた前記認証用情報と、前記登録用情報送信処理によって前記操作端末から送信された前記登録用情報に含まれる前記認証用情報とが一致した場合に、前記登録用情報に含まれる前記端末情報を有する前記操作端末を前記空調制御装置の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する認証登録処理を実行可能な認証登録処理部と、を更に有している、
空調制御システム。
【請求項2】
前記空調制御装置は、前記認証登録処理により前記端末情報が登録された場合に当該認証登録処理に用いた前記二次元コードを無効化する二次元コード無効化処理を実行可能な二次元コード無効化処理部を更に有している、
請求項1に記載の空調制御システム。
【請求項3】
前記空調制御装置は、前記二次元コードが前記表示部に表示されてから一定期間が経過した場合に前記二次元コードを無効化する二次元コード無効化処理を実行可能な二次元コード無効化処理部を更に有している、
請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項4】
前記二次元コード無効化処理は、前記二次元コードが無効化された場合に前記表示部から前記二次元コードの表示を消す処理を更に含んでいる、
請求項2又は3に記載の空調制御システム。
【請求項5】
前記二次元コード発行処理は、前記二次元コードの発行毎に前記二次元コードに含める前記認証用情報の内容を変化させる処理を含む、
請求項2から3のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項6】
前記認証用情報は、前記空調制御装置に固有の固有情報と、前記二次元コードの発行毎に発行のタイミングに応じて又はランダムに内容が変動する変動情報と、を含んでいる、
請求項5に記載の空調制御システム。
【請求項7】
前記操作端末は、前記空調機器が設置されている空間の現在の環境に関する情報である環境情報を取得する環境情報取得処理を実行可能な環境情報取得処理部を更に備え、
前記登録用情報送信処理は、前記登録用情報とともに前記環境情報を前記空調制御装置に送信する処理を更に含み、
前記照合処理は、前記操作端末から送信された前記環境情報と、前記空調制御装置が制御している現在の環境情報とを照合する処理を更に含み、
前記認証登録処理は、前記操作端末から送信された前記環境情報と、前記空調制御装置が制御している現在の環境情報とが一致した場合に、前記登録用情報に含まれる前記端末情報を有する前記操作端末を前記空調制御装置の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する処理を更に含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項8】
前記操作端末は、
前記空調制御装置を遠隔操作するための遠隔操作情報に、自己の前記端末情報を付加して送信する遠隔操作情報送信処理を実行可能な遠隔操作情報送信処理部を更に有し、
前記空調制御装置は、
前記遠隔操作情報を受信した場合に、前記遠隔操作情報に付加された前記端末情報が前記認証登録処理によって登録された前記端末情報と一致している場合に前記遠隔操作情報を有効と判定し、一致していない場合には前記遠隔操作情報を無効と判定する遠隔操作情報判定処理を実行可能な遠隔操作情報判定処理部と、
前記遠隔操作情報判定処理によって有効と判断された前記遠隔操作情報に基づいて前記空調機器を制御する空調機器制御処理を実行可能な空調機器制御処理部と、を更に有している、
請求項1から7のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項9】
空調機器と、
前記空調機器を制御可能であって、情報を表示可能な表示部と、電気通信回線を通して操作端末と通信可能に接続する空調制御装置側通信部と、を有する空調制御装置と、
前記電気通信回線を通じて前記空調制御装置に接続し前記空調制御装置を介して前記空調機器を遠隔操作するためのものであって、前記電気通信回線を通して前記空調制御装置と通信可能に接続する操作端末側通信部と、二次元コードを撮影可能なカメラと、を有する操作端末と、
を備える空調制御システムにおいて実行されるプログラムであって、
前記空調制御装置が有するCPUに、
前記空調制御装置に固有の認証用情報を含む二次元コードを発行する二次元コード発行処理と、
前記二次元コードを前記表示部に表示する二次元コード表示処理と、を実行させ、
前記操作端末が有するCPUに、
前記カメラで撮影した前記二次元コードから前記認証用情報を取得する認証用情報取得処理と、
前記認証用情報取得処理により取得した前記認証用情報に当該操作端末に固有の端末情報を付加した登録用情報を前記空調制御装置に送信する登録用情報送信処理と、を実行させるとともに、
前記空調制御装置が有するCPUに、
前記二次元コード発行処理によって発行した前記二次元コードに含ませた前記認証用情報と、前記登録用情報送信処理によって前記操作端末から送信された前記登録用情報に含まれる前記認証用情報とを照合する照合処理と、
前記照合処理により、前記二次元コード発行処理によって発行した前記二次元コードに含ませた前記認証用情報と、前記登録用情報送信処理によって前記操作端末から送信された前記登録用情報に含まれる前記認証用情報とが一致した場合に、前記登録用情報に含まれる前記端末情報を有する前記操作端末を前記空調機器の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する認証登録処理と、を更に実行させることができる、
装置と操作端末との認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調制御システム、及び装置と操作端末との認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばインターネット経由で外出先から自宅内の空調機器を遠隔操作することができる空調制御システムがある。空調は室内環境の快適性を決める大きな要因であることから、例えば悪意ある第三者によってユーザの意図とは異なった温度や湿度等に設定されると、その室内環境はユーザにとって極めて不快なものとなる。そのため、遠隔操作が可能な空調制御システムにおいては、第三者による不正な遠隔操作を適切に防ぐ必要がある。
【0003】
一般にこのような空調制御システムにおいては、不正な遠隔操作を防ぐため、ユーザID及びパスワードが設定される。この場合、ユーザIDは空調制御システムとの紐付けを行うために用いる。また、パスワードは、そのユーザIDに紐付けされた空調制御システムの正規のユーザであるか否かを認証するために用いる。
【0004】
ユーザは、遠隔操作を行う際にそのユーザID及びパスワードを入力する。そして、空調制御システムは、ユーザが入力したユーザID及びパスワードに基づいて、そのユーザが遠隔操作を許可された正規のユーザであるか否かを認証する。これによれば、ユーザは、遠隔操作の許可を得るためにユーザIDとパスワードとの2点を入力するだけで良く、そのため、比較的手軽に遠隔操作を行うことができる。
【0005】
しかしながら、このような構成によりユーザの利便性の向上を図ることができる一方で、セキュリティリスクの問題が顕在化している。例えばユーザIDとパスワードとの2点で認証を行う場合、ユーザID及びパスワードが悪意ある第三者に漏れてしまうと、空調機器の不正な操作に繋がる。また、このようなシステムにおいて、一般的にユーザIDの重複すなわち同一のユーザIDが異なる複数のユーザで使用されることは排除するが、異なるユーザIDでパスワードが重複することは許容されることが多い。この場合、ユーザIDやパスワードが簡単なものだと、例えばあるユーザがユーザIDを誤って入力した場合に、パスワードが偶然にも他のユーザのものと一致してしまう可能性が高まる。すると、ユーザID及びパスワードを誤って入力したユーザは、自宅の空調機器を遠隔操作するつもりが他人宅の空調機器を意図せず誤って遠隔操作してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、遠隔操作を行う際のセキュリティの向上を図ることができる空調制御システム、及び装置と操作端末との認証プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
空調制御システムは、空調機器と、前記空調機器を制御する空調制御装置と、電気通信回線を通じて前記空調制御装置に接続可能であって前記空調制御装置を介して前記空調機器を遠隔操作するための操作端末と、を備える。前記空調制御装置は、情報を表示可能な表示部と、前記電気通信回線を通して前記操作端末と通信可能に接続する空調制御装置側通信部と、前記空調制御装置に固有の認証用情報を含む二次元コードを発行する二次元コード発行処理を実行可能な二次元コード発行処理部と、前記二次元コードを前記表示部に表示する二次元コード表示処理を実行可能な二次元コード表示処理部と、を有する。
【0009】
前記操作端末は、前記電気通信回線を通して前記空調制御装置と通信可能に接続する操作端末側通信部と、前記二次元コードを撮影可能なカメラと、前記カメラで撮影した前記二次元コードから前記認証用情報を取得する認証用情報取得処理を実行可能な認証用情報取得処理部と、前記認証用情報取得処理により取得した前記認証用情報に当該操作端末に固有の情報を含む端末情報を付加した登録用情報を前記空調制御装置に送信する登録用情報送信処理を実行可能な登録用情報送信処理部と、を有する。
【0010】
そして、前記空調制御装置は、前記二次元コード発行処理によって発行した前記二次元コードに含ませた前記認証用情報と、前記登録用情報送信処理によって前記操作端末から送信された前記登録用情報に含まれる前記認証用情報とを照合する照合処理を実行可能な照合処理部と、前記二次元コード発行処理によって発行した前記二次元コードに含ませた前記認証用情報と、前記登録用情報送信処理によって前記操作端末から送信された前記登録用情報に含まれる前記認証用情報とが一致した場合に、前記登録用情報に含まれる前記端末情報を有する前記操作端末を前記空調制御装置の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する認証登録処理を実行可能な認証登録処理部と、を更に有している。
【0011】
これによれば、操作端末から空調制御装置を遠隔操作するためには、事前に操作端末の端末情報を空調制御装置に登録しておく必要がある。すなわち、空調制御装置は、事前に端末情報が登録されていない操作端末についてはアクセスを制する。このため、仮にユーザIDとパスワードが第三者に漏れてしまった場合や、第三者が誤って入力したユーザIDとパスワードが偶然にも自己のものと一致してしまった場合であっても、第三者の操作端末の端末情報が空調制御装置に認証登録されていなければ、その第三者は遠隔操作を行うことができない。これにより、ユーザID及びパスワードの漏洩や偶然の重複等によるセキュリティリスクを大幅に低減し、遠隔操作を行う際のセキュリティを大幅に向上させることができる。
【0012】
また、操作端末の認証登録に用いる認証用情報は、二次元コードとして空調制御装置が有する表示部に表示されるため、印刷物等のように物理的には存在していない。また、認証用情報は二次元コードで表示されているため、悪意ある第三者が二次元コードを見ただけではその内容を理解することができない。このため、二次元コードつまり認証用情報が家屋の外部に漏出することを効果的に抑制することができる。
【0013】
更に、この場合、悪意ある第三者が登録用情報を取得するためには、空調制御装置が設置されている家屋内に侵入し、空調制御装置を見つけ出して撮影しなければならない。このため、悪意ある第三者が登録用情報を取得するための障害が多く、したがって、二次元コードつまり認証用情報が家屋の外部に漏出することを更に効果的に抑制することができる。すなわち、これによれば、操作端末の認証登録を行うことができるユーザを、二次元コードを実際に撮影することができる者に限定することができる。その結果、認証用情報が外部に漏出して悪意ある第三者に操作端末が登録されてしまうリスクを極力減らすことができる。このように、本実施形態によれば、セキュリティレベルの高い認証を行うことができ、その結果、ユーザは、第三者から家屋の空調制御装置を遠隔操作される不安から開放されるとともに、安心して自宅の空調制御装置を遠隔操作することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1施形態による空調制御システムの概略構成の一例を示す概念図
【
図2】第1施形態による空調制御システムについて、空調制御装置の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図3】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末の電気的構成の一例を示すブロック図
【
図4】第1施形態による空調制御システムについて、認証用情報の一例を示す図
【
図5】第1施形態による空調制御システムについて、登録用情報の一例を示す図
【
図6】第1施形態による空調制御システムについて、許可端末リストの一例を示す図
【
図7】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置で実行される制御の一例を示すフローチャート(その1)
【
図8】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置で実行される制御の一例を示すフローチャート(その2)
【
図9】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に操作端末で実行される制御の一例を示すフローチャート
【
図10】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末の認証を開始する前に空調制御装置の表示部に登録端末の一覧が表示された状態の一例を示す図
【
図11】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置の表示部に二次元コードが表示された状態の一例を示す図
【
図12】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置の表示部に現在認証中である旨の情報が表示された状態の一例を示す図
【
図13】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に操作端末の表示部に現在認証中である旨の情報が表示された状態の一例を示す図
【
図14】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置の表示部に認証が失敗した旨の情報が表示された状態の一例を示す図
【
図15】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に操作端末の表示部に認証が失敗した旨の情報が表示された状態の一例を示す図
【
図16】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置の表示部に認証が成功した旨の情報が表示された状態の一例を示す図
【
図17】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に操作端末の表示部に認証が成功した旨の情報が表示された状態の一例を示す図
【
図18】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末の認証により登録端末の一覧に新たな操作端末が追加登録された状態の一例を示す図
【
図19】第1施形態による空調制御システムについて、認証された操作端末を用いて遠隔操作を行う際に操作端末で実行される制御の一例を示すフローチャート
【
図20】第1施形態による空調制御システムについて、認証された操作端末を用いて遠隔操作を行う際に空調制御装置で実行される制御の一例を示すフローチャート
【
図21】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を用いて遠隔操作を行う前に空調制御装置の表示部に表示される表示内容の一例を示す図
【
図22】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を用いて遠隔操作を行う際に遠隔操作情報が無効となった場合に空調制御装置の表示部に表示される表示内容の一例を示す図
【
図23】第1施形態による空調制御システムについて、操作端末を用いて遠隔操作を行う際に遠隔操作情報が有効であった場合に空調制御装置の表示部に表示される表示内容の一例を示す図
【
図24】第2実施形態による空調制御システムについて、操作端末の電気的構成の一例を示すブロック図であって、
図3相当図
【
図25】第2施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に操作端末で実行される制御の一例を示すフローチャートであって、
図9相当図
【
図26】第2施形態による空調制御システムについて、操作端末を認証する際に空調制御装置で実行される制御の一例を示すフローチャートであって、
図8相当図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、複数の実施形態による空調制御システム、及び空調制御システムのプログラムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について、
図1から
図23を参照して説明する。
図1に示す空調制御システム10は、空調機器20、空調制御装置30、アクセスポイント40、サーバー50、及び操作端末60を備えている。空調機器20、空調制御装置30、及びアクセスポイント40は、家屋1に設けられている。サーバー50は、例えば個人用であれば家屋1の内部に設けることができるし、例えば企業等が運営しているものであれば家屋1の外部に設けられる。操作端末60は、家屋1の内部と外部とを移動可能に構成されている。以下では、まず、空調制御システム10を構成する各装置又は機器の基本構成について説明する。
【0017】
[空調機器]
空調機器20は、家屋1の一部又は全部の領域の空気調和を行う機能を有する。空調機器20は、例えば図示しないコンプレッサ、エバポレータ、熱交換フィンなどを有するヒートポンプ式の熱交換器等を有しており、暖気及び冷気を生成する機能を有する。空調機器20は、詳細は図示しないが、例えば配管によって家屋1の各部屋に繋がっている。空調機器20で生成された暖気又は冷気は、図示しない配管を伝って家屋1の各部屋へ分配される。また、空調機器20は、暖気又は冷気を各部屋へ適切に分配するための分配機構を備えている。分配機構は、例えば配管の経路を開閉するダンパなどで構成されている。家屋1の各部屋へ供給される暖気又は冷気の量は、上述のダンパが開閉されることにより適切に調整される。これにより、家屋1の各部屋は適温に空調される。
【0018】
また、空調機器20は、詳細は図示しないが、温度計、湿度計、風量計等を有している。そして、空調機器20は、空調機器20が設置されている空間の温度や湿度、空調機器20から吐出する空気の風量等を計測し、これら温度や湿度、風量等を空調機器20が有する表示部に表示するとともに、空調制御装置30に送信することができる。
【0019】
[空調制御装置]
空調制御装置30は、空調機器20に接続されて、空調機器20の動作を制御する機能を有する。空調制御装置30は、空調機器20のコンプレッサや図示しないダンパの開閉等を制御し、これにより、家屋1の各部屋を適温に空調する。この場合、空調機器20と空調制御装置30とは、一の空調ユニットで複数の部屋を空調するセントラル空調システムを構成している。また、空調制御装置30は、アクセスポイント40を介して家屋1のインターネットや携帯電話回線等の外部の電気通信回線70に接続される。
【0020】
空調制御装置30は、
図2に示すように、操作パネル31、通信部32、及び制御部33等を有している。なお、操作パネル31、通信部32、及び制御部33は、それぞれ空調制御装置側操作パネル31、空調制御装置側通信部32、及び空調制御装置側制御部33と称することがある。
【0021】
操作パネル31は、入力部311と表示部312とを有している。入力部311は、例えばタッチパネルである。ユーザは、入力部311をタッチ操作することにより、種々の操作を入力することができる。表示部312は、例えば液晶ディスプレイである。制御部33は、表示部312に、空調機器20の設定内容や運転状況など運転や設定に関する種々の情報を表示する。これら入力部311と表示部312とは、重ねて設けられており、これによりタッチパネルディスプレイとして機能する。
【0022】
通信部32は、例えばアクセスポイント40及びインターネット等の電気通信回線70を介して外部のサーバー50や操作端末60と通信する機能を有する。通信部32は、例えばアクセスポイント40に対し、例えばLAN(Local Area Network)接続する機能を有する。この場合、通信部32は、アクセスポイント40に対し、Wi-Fi(Wireless Fidelity)規格に準拠した無線LAN、又は有線LANのいずれで接続しても良い。
【0023】
制御部33は、例えばCPU331や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域332を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。記憶領域332は、空調制御システム用のプログラム、例えば空調制御装置と操作端末との認証プログラム、及び空調機器の制御プログラムを記憶している。
【0024】
[アクセスポイント]
アクセスポイント40は、例えば市場で一般に流通している無線LANルータいわゆるWi-Fiルータであって、LAN接続機能とルータ機能とを有している。すなわち、アクセスポイント40は、LAN接続機能として、空調制御装置30と操作端末60とのデータ転送の中継地点となって空調制御装置30と操作端末60とを通信可能に接続する。また、アクセスポイント40は、ルータ機能として、空調制御装置30と電気通信回線70、及び操作端末60と電気通信回線70とを通信可能に接続する。本実施形態の場合、アクセスポイント40は、空調制御装置30と別体に設けられているが、空調制御装置30と一体に構成することもできる。なお、通信部32がLANを用いずに携帯電話回線によって外部の電気通信回線70に接続する機能を有する場合、空調制御システム10はアクセスポイント40を備えていなくても良い
【0025】
[サーバー]
サーバー50は、例えばインターネット上に設けられた外部サーバーで構成することができ、データベースサーバー、Webサーバー、クラウドサーバーなどと称される。サーバー50は、空調制御装置30及び操作端末60の管理に必要な情報、例えば空調制御装置30のシリアルナンバー及びMACアドレスと、ユーザが設定したID及びパスワードとを、を紐付けして記録している。この場合、サーバー50は、いわゆる管理サーバーとして機能する。また、サーバー50は、操作端末60から空調制御装置30を介して空調機器20を遠隔操作するために必要なプログラムつまりアプリケーションソフトウェアを保管している。この場合、サーバー50は、いわゆるアプリ保管サーバーとして機能する。
【0026】
[操作端末]
操作端末60は、空調制御装置30に付随しない操作端末、例えばユーザが予め所有している、いわゆるスマートフォンやタブレットPCなどの多機能携帯端末である。操作端末60は、他の機器との無線による通信が可能となっている。例えば操作端末60がアクセスポイント40の通信領域内にある場合、操作端末60は、アクセスポイント40を介して空調制御装置30に通信可能に接続される。また、例えば操作端末60がアクセスポイント40の通信領域外すなわち家屋1の屋外にある場合、操作端末60は、インターネットや携帯電話回線等の電気通信回線70及びアクセスポイント40を介して空調制御装置30に通信可能に接続される。
【0027】
操作端末60は、
図3に示すように、操作パネル61、通信部62、カメラ63、及び制御部64等を有している。なお、操作端末60が有する操作パネル61、通信部62、及び制御部64は、それぞれ操作端末側操作パネル61、操作端末側通信部62、及び操作端末側制御部64と称することがある。
【0028】
操作パネル61は、入力部611と表示部612とを有している。入力部611は、例えばタッチパネルである。ユーザは、入力部611をタッチ操作することにより、種々の操作を入力することができる。表示部612は、例えば液晶ディスプレイである。制御部64は、表示部612に、空調機器20の設定内容や運転状況など運転や設定に関する種々の情報を表示する。これら入力部611と表示部612とは、重ねて設けられており、これによりタッチパネルディスプレイとして機能する。
【0029】
通信部62は、例えば携帯電話回線やインターネット等の電気通信回線70を介して空調制御装置30と通信可能に接続する機能を有する。そして、カメラ63は、動画や静止画を撮影可能であって、二次元コード例えばQRコード(登録商標)を撮影する機能を有する。制御部64は、例えばCPU641や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域642を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。
【0030】
[操作端末の認証登録における各処理の詳細]
次に、主に
図2~
図6を参照して、空調制御装置30の遠隔操作を許可する操作端末60を認証登録する際の処理について説明する。
空調制御装置側制御部33は、遠隔操作を許可する操作端末60を認証登録する際にCPU331において装置と操作端末との認証プログラムを実行することにより、
図2に示すように、二次元コード発行処理部341、二次元コード表示処理部342、照合処理部343、認証登録処理部344、認証結果表示処理部345、認証結果送信処理部346、及び二次元コード無効化処理部347等をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0031】
すなわち、空調制御装置30が有する各処理部341~347は、CPU331が上述した記憶領域332等の非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、各処理部341~347のうち少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。例えば二次元コード発行処理部341、二次元コード表示処理部342、照合処理部343、認証登録処理部344、認証結果表示処理部345、認証結果送信処理部346、及び二次元コード無効化処理部347等は、例えば空調制御装置側制御部33と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0032】
また、操作端末60の制御部64は、遠隔操作を許可する操作端末60として認証登録を行う際に、サーバー50から記憶領域642にダウンロードしたプログラムをインストールし起動する。そして、制御部64は、CPU641において装置と操作端末との認証プログラムを実行することにより、
図3に示すように、認証用情報取得処理部651、登録用情報送信処理部652、認証結果表示処理部653等をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0033】
すなわち、操作端末60が有する各処理部651~653は、CPU641が上述した記憶領域642等の非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、各処理部651~653のうち少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。例えば認証用情報取得処理部651、登録用情報送信処理部652、及び認証結果表示処理部653は、例えば制御部64と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0034】
次に、空調制御装置30が有する処理部341~347及び操作端末60が有する処理部651~653の詳細について説明する。空調制御装置30が有する二次元コード発行処理部341は、二次元コード発行処理を実行可能である。二次元コード発行処理は、空調制御装置30に固有の認証用情報を含む二次元コードを発行する処理を含む。本実施形態において、空調制御装置30に固有とは、少なくとも同一機種又は同一型式の複数の空調制御装置30の中から一の空調制御装置30を識別できることを意味する。本実施形態において、認証用情報は、操作端末60のユーザと空調制御装置30のユーザとが同一であることを認証し、そのユーザが有する操作端末60に遠隔操作を許可して空調制御装置30又はサーバー50に登録する処理に用いる情報である。
【0035】
また、二次元コード発行処理は、認証用情報を二次元コードの発行毎に内容を変化させる処理を含む。この場合、認証用情報は、
図4に示すように、空調制御装置30に固有の固有情報と、二次元コードの発行毎に内容が変動する変動情報と、を含んでいる。固有情報は、空調制御装置30のシリアルナンバーすなわち個体識別番号又はMACアドレスのいずれか一方又は両方を含んでいる。MACアドレスは、通信部32等のネットワーク機器に付される固有の識別番号であり、16進数で表される。本実施形態の場合、固有情報は、空調制御装置30のシリアルナンバー及びMACアドレスの両方を含んでいる。
【0036】
変動情報は、二次元コードの発行毎に発行のタイミングに応じて変動する情報、又は二次元コードの発行毎にランダムに内容が変動する情報、のいずれか一方又は両方を含む。二次元コードの発行のタイミングに応じて内容が変動する情報とは、例えば二次元コードの発行日及び発行時刻等である。また、ランダムに内容が変動する情報とは、例えば二次元コードの発行に伴い生成する乱数等、若しくはこれらの組み合わせである。本実施形態の場合、変動情報は、二次元コードの発行日時、及び10桁以上この場合16桁の16進数の乱数を含んでいる。この場合、二次元コードの発行日時は、秒単位まで含んでいる。また、本実施形態の場合、16進数の乱数は厳密な乱数である必要はなく、例えば二次元コードの発行日時や発行回数等を疑似乱数生成器に投入して得た疑似乱数でも良い。また、認証用情報は、固有情報及び変動情報のいずれにも属さない情報として、製品名称も含んでいる。
【0037】
空調制御装置30が有する二次元コード表示処理部342は、二次元コード表示処理を実行可能である。二次元コード表示処理は、例えば
図11に示すように、二次元コード発行処理によって発行された二次元コードQRを空調制御装置30が有する表示部312に表示する処理を含む。二次元コード表示処理の実行によって表示部312に表示される二次元コードは、
図4に示す上述した認証用情報を二次元コード化したものである。
【0038】
操作端末60が有する認証用情報取得処理部651は、認証用情報取得処理を実行可能である。認証用情報取得処理は、操作端末60が有するカメラ63で撮影した二次元コードから
図4に示す認証用情報を取得する処理を含む。この場合、認証用情報取得処理は、例えば操作端末60が内蔵するカメラ63で撮影した二次元コードのみから認証用情報を取得し、操作端末60が内蔵するカメラ63以外の手段で得た二次元コード、例えば他の操作端末で撮影されてメールを介して受信した二次元コードについては、認証用情報を取得せずにエラーにする処理を含んでいても良い。これによれば、二次元コードを撮影した操作端末と、認証登録を行うとしている操作端末との同一性が担保されるため、セキュリティの向上を図ることができる。
【0039】
操作端末60が有する登録用情報送信処理部652は、登録用情報送信処理を実行可能である。登録用情報送信処理は、
図5に示すように、認証用情報取得処理により取得した認証用情報に、当該操作端末60に固有の情報を含む端末情報を付加した登録用情報を空調制御装置30に送信する処理を含む。すなわち、登録用情報は、二次元コードから取得した認証用情報と、操作端末60で付加される端末情報と、を含んでいる。端末情報は、複数の操作端末の中から一の操作端末を特定することができる情報である。操作端末60に固有の固有情報とは、その操作端末60のみが独自に有する情報であり、例えば操作端末60のシリアルナンバーやMACアドレス、及び電話番号等若しくはこれらの組み合わせである。また、本実施形態の場合、端末情報は、固有情報に属さない情報として製品名や端末名称を含んでいる。端末名称は、例えば操作端末60のユーザが任意に設定できるものである。
【0040】
空調制御装置30が有する照合処理部343は、照合処理を実行可能である。照合処理は、二次元コード発行処理によって発行した例えば
図11に示す二次元コードQRに含ませた認証用情報と、登録用情報送信処理によって操作端末60から送信された登録用情報に含まれる認証用情報とを照合する処理を含む。照合処理は、二次元コードに含ませた認証用情報と、操作端末60から送信された登録用情報に含まれる認証用情報との一致又は不一致の結果を出力する処理を含む。
【0041】
空調制御装置30が有する認証登録処理部344は、認証登録処理を実行可能である。認証登録処理は、照合処理部343で実行された照合処理により二次元コード発行処理によって発行した二次元コードに含ませた認証用情報と、登録用情報送信処理によって操作端末60から送信された登録用情報に含まれる認証用情報とが一致した場合に、登録用情報に含まれる端末情報を有する操作端末60を空調機器20の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する処理を含む。
【0042】
すなわち、認証登録処理部344は、二次元コード発行処理により自己が発行した二次元コードに含まれる認証用情報と同一の情報が、操作端末60から送信されてきた登録用情報に含まれていれば、操作端末60の認証が成功したと判断する。そして、認証登録処理部344は、その登録用情報を送信した操作端末60を適正なものつまり遠隔操作を許可して良いものと判断する。一方、認証登録処理部344は、二次元コード発行処理により自己が発行した二次元コードに含まれる認証用情報と同一の情報が、操作端末60から送信されてきた登録用情報に含まれていない場合、操作端末60の認証が失敗したと判断する。そして、認証登録処理部344は、その登録用情報を送信した操作端末60は不正なものつまり遠隔操作の許可ができないものとして判断する。なお、本実施形態において、「不正な遠隔操作」とは、善意であるか悪意であるかを問わず、許可のないものからの遠隔操作を意味する。
【0043】
また、認証登録処理は、遠隔操作の許可をした操作端末の端末情報を許可端末リストに追加登録する処理を含む。許可端末リストは、例えば
図6に示すように例えば登録番号に端末情報を紐づけしたものであり、記憶領域332に記憶されている。
【0044】
空調制御装置30が有する認証結果表示処理部345は、認証結果表示処理を実行可能である。空調制御装置30の認証結果表示処理部345が実行する認証結果表示処理は、認証登録処理における認証結果に関する情報すなわち認証の成否を、空調制御装置30の表示部312に表示する処理を含む。認証結果表示処理部345は、例えば認証が失敗した場合、
図14に示すように、表示部312に認証が失敗した旨を示す情報を表示する。また、認証結果表示処理部345は、例えば認証が成功した場合、
図16に示すように、表示部312に認証が成功した旨を示す情報を表示する。
【0045】
空調制御装置30が有する認証結果送信処理部346は、認証結果送信処理を実行可能である。認証結果送信処理は、認証登録処理の成否を操作端末60に送信する処理を含む。認証登録処理において認証が成功した場合、認証結果送信処理部346は、登録用情報を送信してきた操作端末60に対して認証が成功した旨の情報を送信する。一方、認証登録処理において認証が失敗した場合、認証結果送信処理部346は、登録用情報を送信してきた操作端末60に対して認証が失敗した旨の情報を送信する。
【0046】
操作端末60が有する認証結果表示処理部653は、空調制御装置30が有する認証結果表示処理部345と同様に、認証結果表示処理を実行可能である。操作端末60の認証結果表示処理部653が実行する認証結果表示処理は、空調制御装置30から受信した認証結果に関する情報すなわち認証の成否を、操作端末60の表示部612に表示する処理を含む。本実施形態の場合、認証結果表示処理部653は、例えば空調制御装置30から認証が失敗した旨の情報を受信した場合に、
図15に示すように、表示部612に認証が失敗したことを示す情報91を表示する。また、認証結果表示処理部653は、例えば空調制御装置30から認証が成功した旨の情報を受信した場合に、
図17に示すように、表示部612に認証が成功したことを示す情報92を表示する。
【0047】
空調制御装置30が有する二次元コード無効化処理部347は、二次元コード無効化処理を実行可能である。二次元コード無効化処理は、認証登録処理により認証が成功し端末情報が登録され場合に、その認証登録処理に用いた二次元コードを無効化する処理を含む。二次元コードの無効化とは、その二次元コードを用いて操作端末60の認証登録をできないようにすることを意味する。このため、1つの二次元コードは、1台の操作端末60のみ認証登録をすることができるようになっている。つまり、1つの二次元コードで複数台の操作端末60の認証登録することはできないようになっている。
【0048】
また、二次元コード無効化処理は、二次元コードが表示部312に表示されてから一定期間が経過した場合に二次元コードを無効化する処理を含む。この場合、一定期間とは、特に特定の値を限定するものではないが、例えば数十秒から長くても数分程度が好ましい。これにより、二次元コードが発行され表示部312に表示されてから一定期間、操作端末60の認証登録が成功しなかった場合は、その二次元コードが無効化される。
【0049】
この場合、二次元コード無効化処理は、二次元コードが無効化された場合に、無効化された二次元コードつまり現在表示部312に表示されている二次元コードの表示を消す処理を更に含んでいる。これにより、ユーザが、無効化された二次元コードを用いて操作端末60の認証登録を行うことを防ぐことができる。
【0050】
[操作端末の認証登録]
次に、
図7~
図18も参照して、空調制御装置30の遠隔操作を許可する操作端末60を認証登録する際において、すなわち空調制御装置30の遠隔操作を許可する操作端末60を新規登録する際において、空調制御装置30及び操作端末60で実行される処理のフローについて説明する。
なお、以下の説明では、空調制御装置30の各処理部341~347で実行される各処理の主体を空調制御装置側制御部33とし、操作端末60の各処理部651~653で実行される各処理の主体を操作端末側制御部64として説明する。
【0051】
[空調制御装置の制御フロー]
まず、操作端末60の認証登録に関して空調制御装置30で実行される制御フローについて説明する。空調制御装置側制御部33は、認証登録を行う際の初期画面として、
図10に示すように、現在登録されている操作端末60の一覧を、新規登録ボタン81と共に表示部312に表示させる。ユーザは、表示部312の新規登録ボタン81をタッチ操作して、操作端末60を認証登録するための一連の制御を開始する(
図7のスタート)。
【0052】
空調制御装置側制御部33は、まず
図7のステップS11において二次元コード発行処理を実行し、
図4に示す空調制御装置30の認証用情報を含む二次元コードを発行する。次に、空調制御装置側制御部33は、
図7のステップS12において二次元コード表示処理を実行し、ステップS11で発行した二次元コードQRを空調制御装置30の表示部312に表示させる。そして、空調制御装置側制御部33は、ステップS13に処理を移行し、操作端末60から送信される登録用情報の受付を開始する。
【0053】
次に、空調制御装置側制御部33は、ステップS14に処理を移行し、操作端末60から送信される登録用情報を受信したか否かを判断する。操作端末60から登録用情報を受信していない場合(ステップS14でNO)、空調制御装置側制御部33は、ステップS15へ処理を移行する。ステップS15において、空調制御装置側制御部33は、二次元コードが表示部312に表示されてから一定期間経過したか否かを判断する。二次元コードが表示部312に表示されてから一定期間経過していない場合(ステップS15でNO)、空調制御装置側制御部33は、ステップS14へ処理を戻す。そして、空調制御装置側制御部33は、登録用情報を受信するか(ステップS14でYES)、又は一定期間経過するまで(ステップS15でYES)、ステップS14、S15を繰り返す。
【0054】
二次元コードが表示部312に表示されてから一定期間経過すると(ステップS15でYES)、空調制御装置側制御部33は、ステップS16へ処理を移行する。空調制御装置側制御部33は、ステップS16において操作端末60からの登録用情報の受付を終了する。これ以降、操作端末60から登録用情報が送信されても、空調制御装置側制御部33は、登録用情報の受信を拒否する。そして、空調制御装置側制御部33は、ステップS22に処理を移行する。
【0055】
また、空調制御装置側制御部33は、操作端末60から登録用情報を受信すると(ステップS14でYES)、
図8に示すステップS17に処理を移行する。空調制御装置側制御部33は、ステップS17において、
図12に示すように操作端末60の認証を現在行っていることを示す情報93を表示部312に表示させる。この認証中を示す情報93は、認証登録の結果が出るまで表示部312に表示され続ける。
【0056】
次に、空調制御装置側制御部33は、
図8のステップS18において、受信した登録用情報に端末情報が含まれているか否かを判断する。受信した登録用情報に端末情報が含まれていない場合(ステップS18でNO)、空調制御装置側制御部33は、エラーと判断すなわち認証登録が失敗したと判断し、
図7のステップS22に処理を移行する。一方、受信した登録用情報に端末情報が含まれていた場合(ステップS18でYES)、空調制御装置側制御部33は、ステップS19に処理を移行する。
【0057】
空調制御装置側制御部33は、ステップS19において、照合処理を実行し、現在発行中の二次元コードに含ませた認証用情報と、操作端末60から受信した登録用情報に含まれる認証用情報とを照合する。現在発行中の二次元コードに含ませた認証用情報と、操作端末60から受信した登録用情報に含まれる認証用情報とが不一致である場合(ステップS20でNO)、空調制御装置側制御部33は、エラーと判断すなわち認証が失敗したと判断し、
図7のステップS22に処理を移行する。一方、現在発行中の二次元コードに含ませた認証用情報と、操作端末60から受信した登録用情報に含まれる認証用情報とが一致した場合(ステップS20でYES)、空調制御装置側制御部33は、認証が成功したと判断し、ステップS21に処理を移行する。
【0058】
空調制御装置側制御部33は、ステップS21において、認証登録処理を実行し、登録用情報に含まれる端末情報を認証して記憶領域332に登録する。これにより、その端末情報を有する操作端末60が、空調制御装置30の遠隔操作が許可された端末のリストである許可端末リストに追加される。この結果、ユーザは、その端末情報を有する操作端末60を用いて、空調制御装置30の遠隔操作を行えるようになる。その後、空調制御装置側制御部33は、
図7のステップS22に処理を移行する。
【0059】
空調制御装置側制御部33は、ステップS22において認証結果表示処理を実行する。このとき、空調制御装置側制御部33は、認証登録が失敗であった場合、すなわち
図8のステップS21の認証登録処理を実行していない場合は、
図14に示すように、認証登録の結果として認証登録が失敗した旨の情報91いわゆるエラー情報91を表示部312に表示させる。また、空調制御装置側制御部33は、認証登録が成功であった場合、すなわち
図8のステップS21の認証登録処理を実行した場合は、
図16に示すように、認証登録の結果として認証登録が成功した旨の情報92を表示部312に表示させる。
【0060】
次に、空調制御装置側制御部33は、
図7のステップS23において認証結果送信処理を実行し、登録用情報を送信してきた操作端末60に対して認証登録の結果を送信する。つまり、空調制御装置側制御部33は、認証登録が失敗であった場合、認証登録の結果として認証登録が失敗した旨の情報を操作端末60に送信する。また、空調制御装置側制御部33は、認証登録が成功であった場合、認証登録の結果として認証登録が成功した旨の情報を操作端末60に送信する。
【0061】
次に、空調制御装置側制御部33は、ステップS24において二次元コード無効化処理を実行し、現在発行している二次元コードを無効化するとともに、表示部312に表示されている二次元コードの表示を消す。これにより、既に認証登録に用いられた二次元コードを用いて、更に別の操作端末の認証登録されることを防ぐ。
【0062】
そして、空調制御装置側制御部33は、ステップS25に処理を移行し、現在登録されている情報端末の一覧つまり許可端末リストを表示部312に表示する。認証登録が失敗した場合、空調制御装置側制御部33は、
図10に示す初期の画面つまり新たな操作端末60の端末名称が追加されていない画面を表示部312に表示する。また、認証登録が成功した場合、空調制御装置側制御部33は、
図18に示すように新たな操作端末60の端末名称82が追加された画面を表示部312に表示する。そして、空調制御装置側制御部33は、操作端末60の認証登録に係る一連の処理を終了する(
図7のエンド)。
【0063】
[操作端末の制御フロー]
次に、操作端末60の認証登録に関して操作端末60で実行される制御フローについて説明する。まず、ユーザは、操作端末60にインストールされたアプリケーションソフトウェアを起動させる。この場合、詳細は図示しないが、操作端末60側でアプリケーションソフトウェアが起動すると操作端末60はサーバー50にアクセスする。すると、サーバー50は、操作端末60を介してユーザに、ユーザIDとパスワードを操作端末60に入力するよう要求する。サーバー50は、ユーザIDにパスワード及び空調制御装置30を紐付けて保管している。操作端末60に正しいユーザIDとパスワードが入力されると、サーバー50は、その操作端末60とそのユーザIDに紐付けされた空調制御装置30とを通信可能に接続する。これにより、操作端末60を認証登録するための一連の制御が開始される。
【0064】
操作端末60を認証登録するための一連の制御が開始されると、操作端末側制御部64は、
図9のステップS31において、操作端末60のカメラ63によって二次元コードが撮影されるまで待機する(ステップS31でNO)。カメラ63によって二次元コードが撮影されると(ステップS31でYES)、操作端末側制御部64は、ステップS32に処理を移行し、認証用登録情報取得処理を実行する。これにより、操作端末側制御部64は、カメラ63で撮影された二次元コードを復号し、二次元コードに含まれる認証用情報を取得する。
【0065】
次に、操作端末側制御部64は、ステップS33に処理を移行し、登録用情報送信処理を実行する。操作端末側制御部64は、ステップS33において、
図5に示すように、二次元コードから取得した認証情報に自己の端末情報を付加した登録用情報を、空調制御装置30に送信する。
【0066】
次に、操作端末側制御部64は、ステップS34に処理を移行し、
図13に示すように、空調制御装置30が現在認証を行っている最中であることを示す情報93を、操作端末60の表示部612に表示させる。この認証中を示す情報93は、空調制御装置30から認証登録の結果を受信するまで表示部612に表示され続ける。そして、操作端末側制御部64は、
図9のステップS35に処理を移行し、空調制御装置30から認証登録の結果を受信するまでステップS34、S35を繰り返して待機する(ステップS35でNO)。
【0067】
操作端末側制御部64は、空調制御装置30から認証登録の結果を受信すると(ステップS35でYES)、ステップS36へ処理を移行し、認証結果表示処理を実行する。このとき、操作端末側制御部64は、認証登録が失敗であった旨を受信した場合、
図15に示すように、認証登録の結果として認証登録が失敗した旨の情報91いわゆるエラー情報91を表示部612に表示させる。また、操作端末側制御部64は、認証登録が成功であった旨を受信した場合、
図17に示すように、認証登録の結果として認証登録が成功した旨の情報92を表示部612に表示させる。そして、操作端末側制御部64は、操作端末60の認証登録に係る一連の処理を終了する(
図9のエンド)。
【0068】
[操作端末による遠隔操作]
認証登録された操作端末60を用いた空調制御装置30の遠隔操作について
図19~
図23も参照して説明する。なお、以下の説明では、空調制御装置30の各処理部351、352で実行される各処理の主体を空調制御装置側制御部33とし、操作端末60の処理部66で実行される処理の主体を操作端末側制御部64として説明する。
【0069】
[操作端末]
操作端末側制御部64は、CPU641において遠隔操作を行うためのプログラムを実行することにより、
図3に示す遠隔操作情報送信処理部66等をソフトウェアによって仮想的に実現する。すなわち、遠隔操作情報送信処理部66は、CPU641が上述した記憶領域642等の非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、遠隔操作情報送信処理部66をハードウェアにより実現する構成としてもよい。例えば遠隔操作情報送信処理部66等は、例えば操作端末側制御部64と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0070】
遠隔操作情報送信処理部66は、遠隔操作情報送信処理を実行可能である。遠隔操作情報送信処理は、ユーザが操作端末60に対して空調制御装置30の遠隔操作に関する操作入力を行った場合に、空調制御装置30を遠隔操作するための遠隔操作情報に、自己の操作端末60の端末情報を付加して送信する処理を含む。例えば、ユーザが操作端末60に対して、家屋1内の温度を上げる、温度を下げる、湿度を上げる、湿度を下げる、といった遠隔操作情報を入力すると、操作端末側制御部64は、その遠隔操作情報に
図6に示す端末情報を付加して空調制御装置30に送信する。
【0071】
[空調制御装置]
空調制御装置側制御部33は、CPU331において遠隔操作を行うためのプログラムを実行することにより、
図2に示す遠隔操作情報判定処理部351、及び空調機器制御処理部352等をソフトウェアによって仮想的に実現する。すなわち、遠隔操作情報判定処理部351、及び空調機器制御処理部352等は、CPU331が上述した記憶領域332等の非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、遠隔操作情報判定処理部351、及び空調機器制御処理部352の少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。例えば遠隔操作情報判定処理部351、及び空調機器制御処理部352等は、例えば空調制御装置側制御部33と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0072】
遠隔操作情報判定処理部351は、遠隔操作情報判定処理を実行可能である。遠隔操作情報判定処理は、操作端末60から遠隔操作情報を受信した場合に、遠隔操作情報に付加された端末情報が、認証登録処理によって許可端末リストに登録された端末情報と一致しているか否かを判定する処理を含む。そして、遠隔操作情報判定処理は、両者の端末情報が一致している場合には受信した遠隔操作情報を有効と判定し、一致していない場合には受信した遠隔操作情報を無効と判定する処理を含む。
【0073】
そして、空調機器制御処理部352は、空調機器制御処理を実行可能である。空調機器制御処理は、遠隔操作情報判定処理によって有効と判断された遠隔操作情報に基づいて空調機器20を制御する処理を含む。また、空調機器制御処理は、空調制御装置30の操作パネル31に入力された操作内容に基づいて空調機器20を制御する処理を含んでいても良い。
【0074】
[作端末の制御フロー]
次に、空調制御装置30の遠隔操作に関して操作端末60で実行される制御フローについて説明する。ここで、ユーザは、まず、操作端末60を認証登録する場合と同様に、操作端末60にインストールされたソフトウェアを起動させ、その後、ユーザIDとパスワードを操作端末60に入力して空調制御装置30との通信を確立する。これにより、操作端末側制御部64は、
図19に示す制御フローを開始する。
【0075】
操作端末側制御部64は、ユーザから遠隔操作情報の入力があるまで待機する(ステップS41のNO)。ユーザから遠隔操作情報の入力があると(ステップS41でYES)、操作端末側制御部64は、ステップS42へ処理を移行して遠隔操作情報送信処理を実行し、ユーザから入力された遠隔操作情報を空調制御装置30に送信する。その後、操作端末側制御部64は、ステップS41へ処理を戻し、遠隔操作が終了するまでステップS41、S42を繰り返す。
【0076】
[空調制御装置の制御フロー]
次に、空調制御装置30の遠隔操作に関して空調制御装置30で実行される制御フローについて説明する。空調制御装置側制御部33は、例えば初期画面として
図21に示すように、現在温度及び設定温度を表示部612表示させる。そして、空調制御装置側制御部33は、遠隔操作に関する制御を開始すると(
図20のスタート)、まずステップS51において、操作端末60から遠隔操作を行うための遠隔操作情報を受信したか否かを判断し、操作情報を受信するまで待機する(ステップS51でNO)。空調制御装置側制御部33は、操作端末60から遠隔操作情報を受信すると(ステップS51でYES)、ステップS52へ処理を移行して第1段階目の遠隔操作情報判定処理を実行する。
【0077】
空調制御装置側制御部33は、ステップS52の第1段階目の遠隔操作情報判定処理において、受信した遠隔操作情報に付加された端末情報を取得する。そして、空調制御装置側制御部33は、受信した遠隔操作情報に付加された端末情報が、許可端末リストに登録されたものでない場合(ステップS52でNO)、受信した遠隔操作情報は無効であると判定し、ステップS53へ処理を移行する。そして、空調制御装置側制御部33は、ステップS53において、例えば
図22に示すように、許可されていない操作端末からの不正な操作を検出したことを示す情報95を表示部312に表示させる。その後、空調制御装置側制御部33は、ステップS51へ処理を戻す。この場合、空調制御装置側制御部33は、無効となった遠隔操作情報を棄却し、その遠隔操作情報の内容を空調機器20の制御に反映しない。
【0078】
一方、空調制御装置側制御部33は、受信した遠隔操作情報に付加された端末情報が、許可端末リストに登録されたものである場合(ステップS52でYES)、ステップS54へ処理を移行して第2段階目の遠隔操作情報判定処理を実行する。空調制御装置側制御部33は、ステップS54において、受信した遠隔操作情報が適正範囲内であるか否かを判定する。この場合、適正範囲とは、設定温度であれば例えば15℃~28℃以内、設定湿度であれば45%~55%程度である。この適正範囲は、上述した数値に限定されず、また予め画一的に設定しても良いし、ユーザが任意に設定しても良い。
【0079】
受信した遠隔操作情報が適正範囲外である場合(ステップS54でNO)、空調制御装置側制御部33は、受信した遠隔操作情報は無効であると判定し、ステップS55へ処理を移行する。そして、空調制御装置側制御部33は、ステップS55において、図示はしないが、遠隔操作情報が適正範囲を超えているため無効であることを示す情報を表示部312に表示させる。その後、空調制御装置側制御部33は、ステップS51へ処理を戻す。
【0080】
一方、受信した遠隔操作情報が適正範囲内である場合(ステップS54でYES)、空調制御装置側制御部33は、受信した遠隔操作情報は有効であると判定し、ステップS56へ処理を移行して空調機器制御処理を実行する。そして、空調制御装置側制御部33は、ステップS57において、例えば
図23に示すように、遠隔操作を実行していることを示す情報96を表示部312に表示させる。この場合、遠隔操作を実行していることを示す情報96には、少なくとも例えば遠隔操作を行っている操作端末60の端末名称が含まれている。その後、空調制御装置側制御部33は、ステップS51へ処理を戻し、遠隔操作が終了するまでステップS51以降を繰り返す。
【0081】
なお、上記構成において、空調制御装置30が有する各処理部341~347、351、352のうち二次元コードの発行や空調機器20の制御に関係ない制御を行う処理部、例えば照合処理部343、認証登録処理部344、認証結果送信処理部346、二次元コード無効化処理部347、及び遠隔操作情報判定処理部351については、これら各処理部の機能をサーバー50に持たせても良い。
【0082】
以上説明した実施形態によれば、空調制御システム10は、空調機器20と、空調制御装置30と、操作端末60と、を備える。空調制御装置30は、空調機器20を制御する機能を有する。操作端末60は、インターネット等の電気通信回線70を通じて空調制御装置30に接続可能であって、空調制御装置30を介して空調機器20を遠隔操作するためのものである。
【0083】
また、空調制御装置30は、情報を表示可能な表示部312と、空調制御装置側通信部32と、二次元コード発行処理部341と、二次元コード表示処理部342と、を有する。空調制御装置側通信部32は、電気通信回線70を通して操作端末60と通信可能に接続する機能を有する。二次元コード発行処理部341は、空調制御装置30に固有の認証用情報を含む二次元コードを発行する二次元コード発行処理を実行可能である。二次元コード表示処理部342は、二次元コード発行処理によって発行された二次元コードを表示部312に表示する二次元コード表示処理を実行可能である。
【0084】
操作端末60は、操作端末側通信部62と、カメラ63と、認証用情報取得処理部651と、登録用情報送信処理部652と、を有する。操作端末側通信部62は、インターネット等の電気通信回線70を通して空調制御装置30と通信可能に接続する機能を有する。カメラ63は、例えば空調制御装置30の表示部312に表示された二次元コードを撮影可能である。認証用情報取得処理部651は、カメラ63で撮影した二次元コードから認証用情報を取得する認証用情報取得処理を実行可能である。登録用情報送信処理部652は、認証用情報取得処理により取得した認証用情報に当該操作端末に固有の情報を含む端末情報を付加した登録用情報を空調制御装置30に送信する登録用情報送信処理を実行可能である。
【0085】
空調制御装置30は、照合処理部343と、認証登録処理部344と、を更に有している。照合処理部343は、二次元コード発行処理によって発行した二次元コードに含ませた認証用情報と、登録用情報送信処理によって操作端末から送信された登録用情報に含まれる認証用情報と、を照合する照合処理を実行可能である。そして、認証登録処理部344は、二次元コード発行処理によって発行した二次元コードに含ませた認証用情報と、登録用情報送信処理によって操作端末から送信された登録用情報に含まれる認証用情報とが一致した場合に、登録用情報に含まれる端末情報を有する操作端末60を空調制御装置30の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する認証登録処理を実行可能である。
【0086】
これによれば、操作端末60から空調制御装置30を遠隔操作するためには、事前に操作端末60の端末情報を空調制御装置30に登録しておく必要がある。すなわち、空調制御装置30は、事前に端末情報が登録されていない操作端末60についてはアクセスを制する。このため、仮にユーザIDとパスワードが第三者に漏れてしまった場合や、第三者が誤って入力したユーザIDとパスワードが偶然にも自己のものと一致してしまった場合であっても、第三者の操作端末の端末情報が空調制御装置30に認証登録されていなければ、その第三者は遠隔操作を行うことができない。これにより、ユーザID及びパスワードの漏洩や偶然の重複等によるセキュリティリスクを大幅に低減し、遠隔操作を行う際のセキュリティを大幅に向上させることができる。
【0087】
また、操作端末60の認証登録に用いる認証用情報は、二次元コードとして空調制御装置30が有する表示部312に表示されるため、印刷物等のように物理的に存在はしてない。また、認証用情報は二次元コードで表示されているため、悪意ある第三者が二次元コードを見ただけではその内容を理解することができない。このため、二次元コードつまり認証用情報が家屋1の外部に漏出することを効果的に抑制することができる。
【0088】
更に、この場合、悪意ある第三者が登録用情報を取得するためには、空調制御装置30が設置されている家屋1内に侵入し、空調制御装置30を見つけ出して撮影しなければならない。このため、悪意ある第三者が登録用情報を取得するための障害が多く、したがって、二次元コードつまり認証用情報が家屋1の外部に漏出することを更に効果的に抑制することができる。すなわち、これによれば、操作端末60の認証登録を行うことができるユーザを、二次元コードを実際に撮影することができる者に限定することができる。その結果、認証用情報が外部に漏出して悪意ある第三者に操作端末が登録されてしまうリスクを極力減らすことができる。このように、本実施形態によれば、セキュリティレベルの高い認証を行うことができ、その結果、ユーザは、第三者から家屋1の空調制御装置30を遠隔操作される不安から開放されるとともに、安心して家屋1の空調制御装置30を遠隔操作することができるようになる。
【0089】
空調制御装置30は、二次元コード無効化処理部347を更に有する。二次元コード無効化処理部347は、二次元コード無効化処理を実行可能である。二次元コード無効化処理は、認証登録処理により端末情報が登録された場合に当該認証登録処理に用いた二次元コードを無効化する処理を含む。
【0090】
これによれば、操作端末60の認証が成功してその操作端末60の端末情報が登録された場合に、その認証で利用した二次元コードを用いて更に認証登録を行うことができなくなる。すなわち、1つの二次元コードで認証登録することができる操作端末の台数は1台に限定される。これにより、仮に二次元コードの画像データが第三者に渡ってしまった場合であっても、その二次元コードを用いて無制限に認証登録されることを防止することができる。その結果、セキュリティリスクを低減することができる。
【0091】
また、二次元コード無効化処理は、二次元コードが表示部312に表示されてから一定期間が経過した場合に二次元コードを無効化する処理を含む。これによれば、仮に二次元コードの画像データが第三者に渡ってしまった場合であっても、一定期間が経過すればその二次元コードは無効化されるため、その二次元コードを用いて無制限に認証登録されることを防止することができる。その結果、セキュリティリスクを低減することができる。
【0092】
二次元コード無効化処理は、二次元コードが無効化された場合に表示部から二次元コードの表示を消す処理を更に含んでいる。これによれば、無効化されて認証登録に使用することができない二次元コードを、ユーザが誤って使用することを防ぐことができ、その結果、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0093】
二次元コード発行処理は、二次元コードの発行毎に二次元コードに含める認証用情報の内容を変化させる処理を含む。すなわち、二次元コードは、発行毎に独自のすなわちユニークなものとなる。これにより、ある空調制御装置30で発行された認証用情報が、他の空調制御装置30で発行された認証用情報と重複することを防ぐことができる。その結果、認証用情報が重複して誤って他の空調制御装置30に操作端末60が登録されてしまうことを防ぐことができる。
【0094】
また、認証用情報は、例えばシリアルナンバーやMACアドレス等のように空調制御装置30に固有の固有情報と、例えば発行日時や乱数等のように二次元コードの発行毎に発行のタイミングに応じて又はランダムに内容が変動する変動情報と、を含んでいる。これによれば、ある空調制御装置30で発行された認証用情報が、他の空調制御装置30で発行された認証用情報と重複することを極めて高い確率で防ぐことができる。その結果、認証用情報が重複して誤って他の空調制御装置30に操作端末60が登録されてしまうことを極めて効果的に防ぐことができる。
【0095】
(第2実施形態)
次に、
図24から
図26を参照して第2実施形態について説明する。
本実施形態では、上記構成に加えて、照合処理で環境情報を更に用いる点で異なっている。本実施形態では、空調機器20、空調制御装置30、アクセスポイント40、サーバー50、及び操作端末60等の基本的な構成は上記第1実施形態と同様である。なお、以下の説明において、
図25のステップS62は環境情報取得処理であり、
図26のステップS71、S72は照合処理である。また、
図25のステップS33は、上記第1実施形態と同様に登録用情報送信処理である。そして、
図26のステップS21は、上記第1実施形態と同様に認証登録処理である。
【0096】
本実施形態において、操作端末60は、
図24に示すように、環境情報取得処理部654を更に有している。環境情報取得処理部654は、環境情報取得処理を実行可能である。環境情報取得処理は、空調機器20が設置されている空間の現在の環境に関する情報である環境情報を取得する処理を含む。本実施形態において、環境情報とは、空調機器20が設定されている空間の環境を決定するもので、かつ、その空間にいるユーザのみが体感できるようなもの、例えば温度や湿度、又は空調機器20から吐出される空気の風量等に関する情報である。操作端末60は、例えばユーザが操作パネル61の入力部611に環境情報を入力することで、環境情報を取得することができる。
【0097】
また、本実施形態において、登録用情報送信処理は、登録用情報とともに環境情報を空調制御装置30に送信する処理を更に含む。照合処理は、操作端末60から送信された環境情報と、空調制御装置30が制御している現在の環境情報とを照合する処理を更に含む。そして、認証登録処理は、操作端末60から送信された環境情報と、空調制御装置30が制御している現在の環境情報とが一致した場合に、登録用情報に含まれる端末情報を有する操作端末60を空調制御装置の遠隔操作が可能な操作端末として認証し登録する処理を更に含む、
【0098】
すなわち、操作端末60を認証登録するための一連の制御において、操作端末側制御部64は、
図25に示すように、カメラ63の撮影によって二次元コードが撮影され(ステップS31でYES)、その二次元コードに含まれる認証用情報を取得すると(ステップS32)、その後、ステップS61において、入力部611に環境情報が入力されたか否かを判断する。この場合、操作端末60は、ユーザに対して環境情報の入力を要求する。そして、ユーザは、例えば空調制御装置30の表示部612に表示されている現在の環境情報すなわち温度、湿度、若しくは風量を、操作端末60の入力部611に入力する。この場合、操作端末60は、複数の環境情報の入力を要求しても良いし、1つの環境情報のみの入力を要求しても良い。
【0099】
操作端末側制御部64は、入力部611に環境情報の入力があるまで待機する(ステップS61でNO)。そして、入力部611に環境情報の入力があると(ステップS61でYES)、操作端末側制御部64は、ステップS62において、入力部611に入力された環境情報を取得する。そして、操作端末側制御部64は、ステップS33において、登録用情報とともにステップS62で取得した環境情報を空調制御装置30に送信する。
【0100】
また、操作端末60を認証登録するための一連の制御において、空調制御装置側制御部33は、
図26のステップS18の実行後、ステップS71において、操作端末60から受信した環境情報と、自己が計測している現在の環境状況又は二次元コードの発行時点の環境状況とを照合する。なお、空調制御装置30が二次元コードを発行した時点と、操作端末60から環境情報を受信した時点とでは、時間的に大きな開きはなく、温度や湿度等の環境状況にも大きな変化はない。そのため、空調制御装置30が二次元コードを発行した時点と、操作端末60から環境情報を受信した時点とは、ほとんど同一視することができる。
【0101】
そして、環境情報の照合の結果、操作端末60から受信した環境情報と、現在又は二次元コードの発行時点の環境状況とが一致していない場合は(ステップS72でNO)、空調制御装置側制御部33は、エラーと判断すなわち認証が失敗したと判断し、
図7のステップS22に処理を移行する。一方、操作端末60から受信した環境情報と、現在又は二次元コードの発行時点の環境状況とが一致していない場合は(ステップS72でYES)、空調制御装置側制御部33は、ステップS20以降の処理を実行する。
【0102】
これによれば、空調制御装置側制御部33は、二次元コードに含ませた認証用情報だけでなく、空調機器20が設定されている空間の環境情報についても照合する。環境情報は、空調機器20が設定されている空間にいる者しか知り得ない情報である。これによれば、仮に二次元コードつまり認証用情報が家屋1の外部に漏出してしまっても、環境情報が一致しなければ操作端末を認証登録することができない。このため、認証用情報が外部に漏出してしまっても、悪意ある第三者に操作端末が登録されてしまうリスクを更に減らすことができ、その結果、更にセキュリティレベルの高い認証を行うことができる。
【0103】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
また、上記各実施形態は、適宜組み合わせることができる。
また、上述した空調制御装置30と操作端末60との認証方法及び認証プログラムは、空調制御装置30以外の装置と操作端末60との認証についても適用することができる。
【0104】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0105】
10…空調制御システム、20…空調機器、30…空調制御装置、32…空調制御装置側通信部(通信部)、341…二次元コード発行処理部、342…二次元コード表示処理部、343…照合処理部、344…認証登録処理部、347…二次元コード無効化処理部、351…遠隔操作情報判定処理部、352…空調機器制御処理部、60…操作端末、62…操作端末側通信部(通信部)、63…カメラ、651…認証用情報取得処理部、652…登録用情報送信処理部、66…遠隔操作情報送信処理部、70…電気通信回線