(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022614
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】飛行空間提供設備
(51)【国際特許分類】
E04H 17/04 20060101AFI20220131BHJP
E04H 17/26 20060101ALI20220131BHJP
B64C 39/02 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
E04H17/04 Z
E04H17/26
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112178
(22)【出願日】2020-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】519015117
【氏名又は名称】株式会社SkyDrive
(71)【出願人】
【識別番号】517144145
【氏名又は名称】株式会社DRONE iPLAB
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢一
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA01
2E142AA03
2E142BB01
2E142CC00
2E142HH03
(57)【要約】
【課題】本発明は、特に飛行体が予期せぬ動作をした場合などに、飛行体周辺の人々などの安全確保が可能な技術を低重量かつ安価に提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の飛行空間提供設備は、飛行空間を形成するための飛行空間形成部と、前記飛行空間形成部を補強するための飛行空間補強部と、を備える飛行空間提供設備であって、前記飛行空間補強部は、前記飛行空間形成部よりも高密度及び高強度な素材である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行空間を形成するための飛行空間形成部と、
前記飛行空間形成部を補強するための飛行空間補強部と、
を備える飛行空間提供設備であって、
前記飛行空間補強部は、前記飛行空間形成部よりも高密度及び高強度な素材である、
ことを特徴とする飛行空間提供設備。
【請求項2】
前記飛行空間形成部の素材は、樹脂であり、
前記飛行空間補強部の素材は、金属である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行空間提供設備。
【請求項3】
前記飛行空間補強部の少なくとも一部は、前記飛行空間形成部の外側に配置される、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
【請求項4】
前記飛行空間補強部の少なくとも一部は、前記飛行空間形成部の内側に配置される、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
【請求項5】
前記飛行空間補強部の目地間隔は、前記飛行空間形成部の目地間隔よりも広い、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
【請求項6】
前記飛行空間形成部は、樹脂製のネットであり、
前記飛行空間補強部は、金属製のワイヤーである、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
【請求項7】
さらに、張力が可変の可変ワイヤーを含み、
前記可変ワイヤーは、前記ネットに接続され、
前記可変ワイヤーの張力を弱めた場合に、前記ネットが地面側に降ろされる
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
【請求項8】
前記可変ワイヤーの素材は、金属である、
ことを特徴とする請求項7に記載の飛行空間提供設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行空間提供設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)が産業に利用され始めている。こうした中で、特許文献1には、小型無人航空機の飛行・操縦を練習したり、飛行状況のデモンストレーションや撮影などを行ったりするための安全な組み立て式の飛行場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年、大型無人(または有人)航空機(以下、「大型飛行体」と称する)の開発が進んでおり、大型飛行体を安全に飛行させる空間の提供が求められている。
【0005】
しかしながら、特に大型飛行体を飛行させる空間の提供には、安全性の確保も踏まえた十分な広さの土地が必要であるなどの様々な制約が存在し、現状ではユーザに対して飛行空間の提供が十分ではない。
【0006】
また、特に開発段階においては、大きさに限らず飛行体が予期せぬ動作をすることがあり、このような飛行体の制御がきかない場合(さらには墜落して破片が飛散した場合)に当該飛行体の付近にいる人々などの安全確保が求められる。ここで、特許文献1に記載の飛行場を覆うネット素材は、ポリエチレンなどが例示されているが、小型飛行体であれば大きな問題が生じないものの、産業用飛行体や大型飛行体のように大型化が進むにつれて、更なる強度が求められ得る。一方で、ポリエチレン製のネットに代えて金属製のネットを採用した場合に、同程度のマス目を実現しようとすると相当な重量になると共に、コスト面も増大してしまう。
【0007】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、特に、飛行体が予期せぬ動作をした場合などに、飛行体周辺の人々などの安全確保が可能な技術を低重量かつ安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、飛行空間を形成するための飛行空間形成部と、前記飛行空間形成部を補強するための飛行空間補強部と、を備える飛行空間提供設備であって、前記飛行空間補強部は、前記飛行空間形成部よりも高密度及び高強度な素材である、ことを特徴とする飛行空間提供設備である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特に、飛行体が予期せぬ動作をした場合などに、飛行体周辺の人々などの安全確保が可能な技術を低重量かつ安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備を例示する図である。
【
図2】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備の飛行空間補強部及び飛行空間形成部にかかる部分を例示する図である。
【
図3】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備で飛行空間形成部を降ろしている構成を例示する図である。
【
図4】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備の支持部にかかる部分を例示する図である。
【
図5】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備の俯瞰図例である。
【
図6】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備の3本用ウインチにかかる部分を例示する図である。
【
図7】本発明の実施の形態における飛行体用の飛行空間提供設備の2本用ウインチにかかる部分を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による複数の回転翼を有する飛行体及び飛行方法は、以下のような構成を備える。
[項目1]
飛行空間を形成するための飛行空間形成部と、
前記飛行空間形成部を補強するための飛行空間補強部と、
を備える飛行空間提供設備であって、
前記飛行空間補強部は、前記飛行空間形成部よりも高密度及び高強度な素材である、
ことを特徴とする飛行空間提供設備。
[項目2]
前記飛行空間形成部の素材は、樹脂であり、
前記飛行空間補強部の素材は、金属である、
ことを特徴とする項目1に記載の飛行空間提供設備。
[項目3]
前記飛行空間補強部の少なくとも一部は、前記飛行空間形成部の外側に配置される、
ことを特徴とする項目1または2のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
[項目4]
前記飛行空間補強部の少なくとも一部は、前記飛行空間形成部の内側に配置される、
ことを特徴とする項目1または2のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
[項目5]
前記飛行空間補強部の目地間隔は、前記飛行空間形成部の目地間隔よりも広い、
ことを特徴とする項目1ないし4のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
[項目6]
前記飛行空間形成部は、樹脂製のネットであり、
前記飛行空間補強部は、金属製のワイヤーである、
ことを特徴とする項目1ないし5のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
[項目7]
さらに、張力が可変の可変ワイヤーを含み、
前記可変ワイヤーは、前記ネットに接続され、
前記可変ワイヤーの張力を弱めた場合に、前記ネットが地面側に降ろされる
ことを特徴とする項目1ないし6のいずれかに記載の飛行空間提供設備。
[項目8]
前記可変ワイヤーの素材は、金属である、
ことを特徴とする項目7に記載の飛行空間提供設備。
【0012】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体用の飛行空間提供設備について説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
図1は、飛行体用の飛行空間提供設備の構成を例示する図である。
図2は、飛行空間補強部100及び飛行空間形成部200にかかる構成のみを説明するために例示する図である。
図3は、飛行空間形成部200を地面側に降ろした際の構成を説明するために例示する図である。
図4は、支持部300にかかる構成のみを説明するために例示する図である。飛行空間提供設備1は、飛行空間補強部100と、飛行空間形成部200と、支持部300と、ウインチ400と、可変ワイヤー500と、支持部用ワイヤー600と、支持部用ワイヤー固定部700と、を含んでいる。また、飛行空間補強部100は、張力が固定された上面固定ワイヤー800及び側面固定ワイヤー900により形成されており、必要に応じて底面固定ワイヤー(不図示)を備えていてもよい。なお、飛行空間提供設備1の具体的な構成は、図示されたものに限らず、例えば飛行空間形成部200内の内部空間と外部空間を接続するための出入口構成などを適宜設けてもよい。
【0014】
ここで、飛行空間補強部100および飛行空間形成部200は、互いに構成する素材の密度及び強度が異なる。より具体的には、
図1の例示においては、飛行空間補強部100として支持部300に固定された高密度及び高強度な素材(例えば、金属)のワイヤーを採用して後述のネットよりも目地間隔の広い網目を形成し、飛行空間形成部200としてウインチ400により昇降可能な可変ワイヤー500に接続された低密度及び低強度な素材(例えば、樹脂)のネットを採用した構成が図示されている。
【0015】
これにより、例えば開発中などの飛行体が墜落して破片が飛散した場合、内側の飛行空間形成部200の低密度及び低強度のネットにより大半の破片の飛散を抑えると共に、例えばプロペラや機体などが飛行空間形成部200を突き破った場合にも飛行空間補強部100の高密度及び高強度のワイヤーにより二重に飛散を抑えることが可能である。また、高密度(すなわち高重量)及び高強度な素材である飛行空間補強部100のほうが目地間隔を広くして素材の使用量を削減しているので、飛行空間形成部200を形成するネットなどを全て高密度及び高強度な素材とした場合と比較して重量面及びコスト面が抑えられることとなる。
【0016】
なお、この例示とは反対に、飛行空間補強部100を飛行空間形成部200の内側に配置することも可能であり、例えば
図3に記載されるような飛行空間形成部200のウインチ400等による昇降(後述)の構成を変更する必要がある(例えば、ネットを上面と側面で分割して可変ワイヤーをそれぞれに接続し、特に上面固定ワイヤーによる網目の1つから降ろすなど)が、最初に高密度及び高強度な素材の固定ワイヤーで飛散が抑えられるため、低密度及び低強度な素材のネットを突き破る可能性のあるものが内側で抑えられ、ネットが破損するリスクを抑えることが可能となる。また、可変ワイヤー500の素材は特に限定されず、ネットと同様の素材(例えば、樹脂など)であってもよいが、固定ワイヤーと同様の素材(例えば、金属など)を採用することにより、飛行空間補強部100の一部分として機能するように兼用してもよい。
【0017】
飛行空間補強部100は、例えば
図1及び
図4、
図6等に示されるように、支持部300等に設けられた金属製フック等の固定部810等を用いて固定ワイヤー(例えば上面固定ワイヤー800及び側面固定ワイヤー900)端部を固定するようにしてもよい。なお、側面固定ワイヤー900の地面側端部は、例えば
図4に示されるような保持部310に固定されていてもよい。
【0018】
飛行空間形成部200は、例えば
図1及び
図5に示されるように、少なくとも上面ネット及び側面ネットにより形成され、例えばウインチ400により滑車510を介して張力が調整される可変ワイヤー500が上面ネットに接続され、例えば
図3のようにウインチ400により可変ワイヤー500の張力が弱められると、ネットが降ろされるように構成されてもよい。これにより、例えば強風時に抵抗を受けやすいネットを、当該飛行空間を使用していない時に降ろすことにより、強風等からの安全性を向上することが可能である。なお、側面ネットだけは例えば側面固定ワイヤー900に通すことにより、ネットがたるみすぎずに飛行空間の形成を容易にしてもよい。
【0019】
支持部300は、例えば一定間隔で並ぶ支柱(例えば金属製など)であってもよいし、建設等で用いられる枠組足場であってもよい。また、必要に応じて、
図4に例示されるように、支持部300と接続された、または、支持部300の一部が埋め込まれた保持部310(例えば、セメント製)を備え、当該保持部310の一部を地面に埋め込むなどして支持部300の安定性を保つようにしてもよい。さらに、必要に応じて、
図4に例示されるように、支持部用ワイヤー600及び当該支持部用ワイヤーに接続された支持部用ワイヤー固定部700を備え、支持部300が少なくとも飛行空間内に倒れこまないように補強するようにしてもよい。
【0020】
図5は、飛行空間補強部100及び飛行空間形成部200等を上面側から見た俯瞰図の例である。なお、各可変ワイヤー500との接続関係が理解しやすいように、便宜的にウインチ410及び420を支持部300の外側に図示しているが、この限りではない。
【0021】
図5に例示されるように、例えば上面固定ワイヤー800と可変ワイヤー500は交互に配置されており、可変ワイヤー500はその位置に応じて、3本用ウインチ410と2本用ウインチ420に接続されている。この例の場合、上面固定ワイヤー800はネットに接しておらず、可変ワイヤー500はネットの網目を通すようにしてネットを吊るように接続されている。なお、例えば、各ワイヤー間の目地間隔は4000mm程度であってもよく、ネットの目地間隔は100mm程度であってもよいが、これに限定されず任意の目地間隔でよい。また、2本用及び3本用のウインチを例示したが、この限りではなく任意の数に対してウインチを設けてよい。
【0022】
図6は、3本用ウインチ410にかかる構成の例であり、
図7は、2本用ウインチ420にかかる構成の例である。例えば3本または2本の可変ワイヤー500が滑車510を経由して1つにまとめられ、3本用ウインチ410または2本用ウインチ420に接続される。この時、必要に応じてワイヤリング430を設けて束ねるようにしてもよい。これにより、ウインチ数を削減することができ、コスト面を抑えることが可能となる。
【0023】
また、上面固定ワイヤー800や側面固定ワイヤー900は、例えば支持部300を形成する金属パイプ450などに設けられた金属製フック等の固定部810に固定されていてもよい。この際、上面固定ワイヤー800と側面固定ワイヤー900とは互いに別の固定部810に固定されていてもよいし、同一の固定部810に固定されていてもよい。
【0024】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 飛行空間提供設備
100 飛行空間補強部
200 飛行空間形成部