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特開2022-22675移動機構、介助用車椅子及び運搬用台車
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  • 特開-移動機構、介助用車椅子及び運搬用台車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022675
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】移動機構、介助用車椅子及び運搬用台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20220131BHJP
   A61G 5/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61G 5/02 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
B62B3/00 A
A61G5/00 701
A61G5/02 701
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113975
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005751
【氏名又は名称】株式会社今仙技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 聡美
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050AA04
3D050BB02
3D050DD01
3D050DD03
3D050EE03
3D050EE08
3D050EE11
3D050EE14
3D050EE15
3D050EE18
3D050KK15
(57)【要約】
【課題】前後方向への直進安定性がよく、全方位に回転しやすく、比較的軽量な移動機構、それを用いた介助用車椅子及び運搬用台車を提供する。
【解決手段】介助対象者が座る座席部50と座席部50が取り付けられた移動機構5とを備えた介助用車椅子1であって、移動機構5は、座席部50を載置する略四角形状の載置部10と、載置部10の接地面側の4隅に配置された4個の自在キャスタ20と、1個のオムニホイール30であって、オムニホイール30を構成する大車輪の回転軸が、4個の自在キャスタ20のうち、前後進方向の一端側(後端側)に配置された2個の自在キャスタ20の配置位置の中点を通る移動方向の直線上に配置され、また、大車輪32の回転軸32aは、前後進方向と垂直になるように取り付けられたオムニホイール30と、オムニホイール30と接地面との間の接地圧を調整可能な調圧部40と、を備えた介助用車椅子1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載物を載置する載置部と、
前記載置部の接地面側に配置された複数の自在キャスタと、
前記載置部の接地面側に配置された1個のオムニホイールと、
前記オムニホイールと接地面との間の接地圧を調整可能な調圧部と、
を備えたことを特徴とする移動機構。
【請求項2】
請求項1に記載の移動機構において、
前記オムニホイールは、
前記載置部の接地面側で、前記複数の自在キャスタのうち、移動機構の前後進方向に対して垂直方向に配置された2個の自在キャスタの配置位置の中点を通る、前記移動方向の直線上に配置されていることを特徴とする移動機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の移動機構において、
前記載置部は、略四角形状に形成され、
前記複数の自在キャスタは、
前記載置部の接地面側の4隅に配置され、
前記オムニホイールは、
前記載置部の接地面側の4隅に配置された自在キャスタのうち、進行方向の一端側に配置された2個の自在キャスタの配置位置の中点を通る前記移動方向の直線上に配置されていることを特徴とする移動機構。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の移動機構と、
前記搭載物として、介助対象者が座る座席部と、
を備えたことを特徴とする介助用車椅子。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の移動機構と、
前記搭載物として、荷物を載置するための載置台と、
を備えたことを特徴とする運搬用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全方位に移動しやすい移動機構、その移動機構を用いた介助用車椅子及び運搬用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搭載物を運搬する台車や介助用車椅子などで、前後左右の全方向に移動できるように、底部の接地面側の前部の2か所の隅に前後進ができる固定車輪を配置し、後部の2か所の隅に自在キャスタを配置したり、底部の接地面側の前後部の4隅に自在キャスタを配置したりしたものがある。
【0003】
また、底面の接地面側の前後部の4隅に自在キャスタを設置し、さらに、駆動力を有するオムニホイール(登録商標)を各自在キャスタの近傍に矩形状に計4個配置し、対角線上のオムニホイールの車軸を同一とした全方位移動台車がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-046890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが前部に固定車輪、後部に自在キャスタを配置した台車の場合、台車を前後方向へ直進させる場合には安定した走行が可能であるが、横方向への移動が困難であるという問題がある。
【0006】
また、4隅に自在キャスタを配置した台車の場合、全方向に移動が可能であるが、前進させる場合にフラツキが発生して、安定した走行が困難であったり、台車の向きを変更する際には大きな操作力を要したりするという問題もある。
【0007】
さらに、4個の自在キャスタと4個のオムニホイールを配置した台車の場合は、台車の重量が大きくなり、取扱いが困難になるという問題がある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、前後方向への直進安定性がよく、全方位に回転しやすく、比較的軽量な移動台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0009】
[適用例1]
適用例1に記載の移動機構(5)は、
搭載物を載置する載置部(10)と、
前記載置部(10)の接地面側に配置された複数の自在キャスタ(20)と、
前記載置部(10)の接地面側に配置された1個のオムニホイール(30)と、
前記オムニホイール(30)と接地面との間の接地圧を調整可能な調圧部(40)と、
を備えたことを要旨とする。
【0010】
このような移動機構(5)は、載置部(10)の接地面側に配置された複数の自在キャスタ(20)によって、載置部(10)(及び載置部(10)に搭載された搭載物)の重量を支持するとともに、1個のオムニホイール(30)によっても載置部(10)の重量を支持する。また、調圧部(40)によってオムニホイール(30)と接地面との間の接地圧を調整することができる。
【0011】
したがって、複数の自在キャスタ(20)で支持する載置部(10)の重量と1個のオムニホイール(30)で支持する載置部(10)の重量の割合を調圧部(40)よって調整することにより、オムニホイール(30)に掛かる荷重(接地圧)を適切な値とすることができる。つまり、1個のオムニホイール(30)のみで、軽量で全方向に移動が容易な移動機構(5)とすることが可能となる。
【0012】
また、複雑な構造を有し、自在キャスタ(20)に比べて重いオムニホイール(30)を1個しか備えていないため、比較的軽量な移動機構(5)とすることができる。
【0013】
[適用例2]
適用例2に記載の移動機構(5)は、適用例1に記載の移動機構(5)において、
前記オムニホイール(30)は、
前記載置部(10)の接地面側で、前記複数の自在キャスタ(20)のうち、移動機構(5)の前後の移動方向に対して垂直方向に配置された2個の自在キャスタ(20)の配置位置の中点を通る前記移動方向の直線上に配置されていることを要旨とする。
【0014】
このような移動機構(5)では、調圧部(40)により、オムニホイール(30)と接地面との間の接地圧が、自在キャスタ(20)の接地面との接地圧と同じとなるように調整すれば、すべての自在キャスタ(20)とオムニホイール(30)に掛かる荷重が同じになる。
【0015】
さらに、この状態で、オムニホイール(30)が、移動機構(5)が前後進方向に移動しやすい位置に配置されている。したがって、移動機構(5)が前後進方向へ移動しやすくなり、前後進方向への直進安定性が向上する。
【0016】
[適用例3]
適用例3に記載の移動機構(5)は、
請求項1又は請求項2に記載の移動機構(5)において、
前記載置部(10)は、略四角形状に形成され、
前記複数の自在キャスタ(20)は、
前記載置部(10)の接地面側の4隅に配置され、
前記オムニホイール(30)は、
前記載置部(10)の接地面側の4隅に配置された自在キャスタ(20)のうち、進行方向の一端側に配置された2個の自在キャスタ(20)の配置位置の中点を通る前記移動方向の直線上に配置されていることを要旨とする。
【0017】
このような移動機構(5)では、略四角形状の載置部(10)の接地面側の4隅に自在キャスタ(20)が配置されているため、載置部(10)の重量が4個の自在キャスタ(20)で均等に支持される。
【0018】
さらに、オムニホイール(30)は、載置部(10)の接地面側の4隅に配置された自在キャスタ(20)のうち、進行方向の一端側に配置された2個の自在キャスタ(20)の配置位置の中点を通る移動方向の直線上に配置されている。
【0019】
その状態で、調圧部(40)によりオムニホイール(30)と接地面との間の接地圧が、自在キャスタ(20)の接地面との接地圧と同じとなるように調整すれば、すべての自在キャスタ(20)とオムニホイール(30)に掛かる荷重が同じになる。
【0020】
したがって、移動機構(5)を前後方向に移動させる場合は、オムニホイール(30)が前後方向に移動しやすい位置に配置されているため、自在キャスタ(20)だけが配置されている場合に比べ直進安定性が得られる。換言すれば、前後進時のフラツキを防止しつつ容易に移動させることができる。
【0021】
さらに、左右方向に移動させる場合には、オムニホイール(30)の大車輪の円周上に配置された複数の小車輪が自由回転する状態で移動させることが可能となるため、左右方向に容易に移動できる。
【0022】
[適用例4]
適用例4に記載の介助用車椅子(1)は、適用例1~適用例3の何れか1項に記載の移動機構(5)と、
前記搭載物として、介助対象者が座る座席部(50)と、
を備えたことを要旨とする。
【0023】
このような介助用車椅子(1)は、適用例1~適用例3の何れか1項に記載の移動機構(5)の特徴を備えた介助用車椅子(1)となる。
【0024】
[適用例5]
適用例5に記載の運搬用台車(2)は、適用例1~適用例3の何れか1項に記載の移動機構(5)と、
前記搭載物として、荷物を載置するための載置台(60)と、
を備えたことを要旨とする。
【0025】
このような運搬用台車(2)は、適用例1~適用例3の何れか1項に記載の移動機構(5)の特徴を備えた運搬用台車(2)となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】介助用車椅子の概略の構成を示す図である。
図2】オムニホイールの概略の構成を示す図である。
図3】第2実施形態における運搬用台車の概略の構成を示す図である。
図4】その他の実施形態における、自在キャスタとオムニホイールの配置及び固定方向のバリエーションを示す図である。
図5】その他の実施形態における、自在キャスタとオムニホイールの配置及び固定方向のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0028】
(介助用車椅子1の構成)
図1及び図2に基づき介助用車椅子1の構成について説明する。図1は、介助用車椅子1の概略の構成を示す図である。図2は、オムニホイール(登録商標)30の概略の構成を示す図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は左部分を正面、右部分を断面にした図である。
【0029】
介助用車椅子1は、移動機構5及び座席部50を備えている。
移動機構5は、載置部10、自在キャスタ、オムニホイール30及び調圧部40を備えている。
【0030】
載置部10は、上側面に搭載物として、介助対象者が座る座席部50を取り付けるとともに、下面側に4個の自在キャスタ20a,20b,20c,20d(以下、4個の自在キャスタをまとめて自在キャスタ20とも呼ぶ)を取り付ける部分である。
【0031】
自在キャスタ20は、車輪の取付軸が360°回転できるようになっているキャスタであり、4個とも同じ種類のものが使用されている。
4個の自在キャスタ20a,20b,20c,20dは、載置部10の下面側(接地面側)の4隅に四角形状を形成するように配置、取り付けられている。この4個の自在キャスタ20a,20b,20c,20dの車輪の回転軸は、介助用車椅子1を前後進させる際には、進行方向と直交するようになっている。
【0032】
オムニホイール30は、図1に示すように、載置部10の下面側で、4個の自在キャスタ20a,20b,20c,20dのうち、介助用車椅子1の前後進方向の一端側(後端側)に配置された2個の自在キャスタ20c,20dの配置位置の中点(図4中でL1=L2の点)を通る移動方向の直線(図4中にLで示すの直線)上に配置されている。また、大車輪32の回転軸32aは、前後進方向と垂直になるように取り付けられている。
【0033】
オムニホイール30は、図2に示すように、複数の小車輪31、複数の小車輪31の組合せによって構成される大車輪32を備えている。
【0034】
小車輪31は、図2(a)に示すように、大車輪32の円周方向に複数個配置され、大車輪32の円周方向を回転軸として自由回転するようになっている。また、大車輪32は、回転軸32aを回転軸として回転する。
【0035】
オムニホイール30は、図2に示すように複数の小車輪31と、その組合せによって構成される大車輪32の動きの複合によって、回転軸32aを固定しながら全方向への動きを実現している。
【0036】
そして、その構造上、前後左右の直進方向に動かすときは大車輪32又は小車輪31のどちらかのみが回転し、地面との摩擦力は小さい。
一方、斜め方向へ動かすときは、大車輪32と小車輪31の両方が回転し、地面との摩擦力を利用しながらそれらの回転数の差によって進行方向が決まる。つまり直進時と比較して大きな摩擦力が発生している。
【0037】
本発明では、上記のようなオムニホイールを動かすときの摩擦力の差を利用し、前後左右の連続した直進走行時に発生する「フラツキ」を抑制するようになっている。
【0038】
調圧部40は、オムニホイール30と接地面との間の接地圧を調整できる部分であり、図示しないゴムダンパとコイルバネとを組み合わせて形成されたものである。
【0039】
座席部50は、座部51及びひじ掛け52を備えている。座部51は、介助対象者が座る座シートと背もたれを備えている。また、座部51の背もたれには、介助対象者が肘をかけるためのひじ掛け52が設けられてる。
【0040】
座部51やひじ掛け52の材質は用途に応じて、金属製、樹脂製あるいは木製のものを用いたり、それらの材料の表面をウレタンやゴムなどの樹脂材などクッション性のある材料で被覆したりしてもよい。
【0041】
(介助用車椅子の作動と特徴)
(ア)介助用車椅子を前後進させる場合
介助者が介助用車椅子1を前後進させると、自在キャスタ20の車輪の回転軸は、前後進方向と直交する。
【0042】
また、オムニホイール30の大車輪32の回転軸32aは、介助用車椅子1の前後進方向と垂直になるように取り付けられている。換言すれば、自在キャスタ20c,20dの前後進時の回転軸と平行になるように固定されているため、オムニホイール30の大車輪32の回転軸32aも、自在キャスタ20の車輪の回転軸と同様に前後進方向と直交して回転するため、介助者は容易に前後進させることができる。
【0043】
さらに、オムニホイール30の大車輪32が回転しているときには大車輪32の回転軸32aは固定され、小車輪31は、回転しないので、オムニホイール30は直進する。したがって、自在キャスタ20が360°回転する場合でも、介助用車椅子1としては、フラツクことなく直進安定性を得ることができる。
【0044】
(イ)介助用車椅子を横移動させる場合
介助者が介助用車椅子1を横移動させるとき、自在キャスタ20の車輪の回転軸は、前後進時に対して90°回転し、横方向と直交する。
【0045】
また、オムニホイール30の大車輪32の回転軸32aは固定されているため、回転軸32aは横方向と平行となる。すると、大車輪32の円周方向に回転軸を有する小車輪31の回転軸は横方向と直交する。その状態で、小車輪31は、自由回転するため、介助用車椅子1は容易に横方向へ移動することができる。
【0046】
(ウ)介助用車椅子を斜め移動させる場合
介助者が介助用車椅子1を斜め方向に移動させると、自在キャスタ20の車輪の回転軸が進行方向と斜め方向になるように車輪が回転する。
【0047】
また、前述のように、オムニホイール30は、大車輪32と小車輪31の両方が回転し、接地面との摩擦力を利用しながら、大車輪32と小車輪31の回転数の差によって進行方向が定まる。したがって、斜め方向にも容易に移動させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態として、図3に基づき、運搬用台車2について説明する。図3は、第2実施形態における運搬用台車2の概略の構成を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。
【0048】
なお、第2実施形態における運搬用台車2は、第1実施形態における介助用車椅子と類似する構成要素があるため、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0049】
運搬用台車2の載置部10は、長方形の平板の載置台60であり、裏面側(接地面側)に自在キャスタ20とオムニホイール30が取り付けられ、その表面側に移動対象物を搭載するようになっている。
【0050】
自在キャスタ20a,20b,20c,20dとオムニホイール30も第1実施形態と同様に取り付けられている。
また、手押しハンドル53は、門型形状の金属パイプの両端が、載置部10の表面側の後端部の2か所に取り付けられている。
【0051】
このような、運搬用台車2では、載置部10の表面側に種々の移動対象物を載せた状態で、第1実施形態と同様に、前後方向、左右方向及び斜め方向に容易に移動させることが可能となる。
【0052】
[その他の実施形態]
次に図4及び図5に基づき、自在キャスタ20とオムニホイール30の配置及び固定方向を変化させた場合の実施形態について説明する。図4及び図5は、自在キャスタ20とオムニホイール30の配置及び固定方向のバリエーションを示す図であり、自在キャスタ20とオムニホイール30の取付状態を載置部10の下側面から見た図である。
【0053】
(1)上記実施形態では、載置部10の接地面側にオムニホイール30の大車輪32の回転軸32aが載置部10の横方向になるように取り付けていたが(図4(a)参照)、図4(b)に示すように、大車輪32の回転軸32aが載置部10の縦方向になるように取り付けてもよい。この場合、介助用車椅子1や運搬用台車2の横方向への直進性が向上する。
【0054】
(2)上記実施形態では、載置部10の接地面側に4個の自在キャスタ20を取り付けていたが、図5に示すように、自在キャスタ20を3個(自在キャスタ20a,20b,20c)としてもよい。この場合、3個の自在キャスタ20のうち2個(自在キャスタ20c,20d)は載置部10の後端部の隅の2か所に配置され、その中点(図5の中でL1=L2の点)通る前後方向の直線(L)上にオムニホイール30と残りの1個の自在キャスタ20が取り付けられている。
【0055】
また、オムニホイール30を図5(a)に示すように、大車輪32の回転軸32aが載置部10の横方向となるように取り付けた場合には、前後方向の直進性がよくなる。また、図5(b)に示すように、回転軸32aが載置部10の縦方向となるように取り付けた場合には、横方向の直進性がよくなる。
【0056】
(3)上記実施形態では、オムニホイール30は、モータで駆動されてはいなかったが、図示しないモータで駆動するようにしてもよい。この場合、オムニホイール30を大車輪32の回転軸32aが横方向となるように取り付けると、介助用車椅子1や運搬用台車2を前後方向に直進させる場合の負担軽減が可能となる。
【0057】
また、回転軸32aが縦方向となるようにオムニホイール30を取り付けると、介助用車椅子1や運搬用台車2を横移動させる際に操作者に必要となる力を低減することが可能となる。
【0058】
(4)上記第1実施形態では、座席部50に取っ手は取り付けられていなかったが、背もたれの後部などに介助者が把持して介助用車椅子1の移動方向を操作するための、取っ手を取り付けるようにしてもよい。
【0059】
(5)上記実施形態では、調圧部40としてゴムダンパとコイルバネを組み合わせたものを使用したが、オイルダンパとコイルバネとを組み合わせたいわゆるサスペンションを使用してもよい。この場合、オイルダンパのオリフィスの開度とバネのストロールを調整することにより、接地圧を調整できるようになる。
【0060】
(6)上記実施形態では、オムニホイール30の小車輪31と大車輪32との摩擦力の差異に言及していなかったが、介助用車椅子1や搬送用台車2の直進時のフラツキ発生を抑制するため、オムニホイール30の小車輪31の回転摩擦抵抗を意図的に大きくしてもよい。この場合には、オムニホイール30は、大車輪32の回転軸32aが介助用車椅子1や搬送用台車2の横方向となるように取り付ける。
【符号の説明】
【0061】
1… 介助用車椅子 2… 運搬用台車 5… 移動機構 10… 載置部 20,20a,20b,20c,20d… 自在キャスタ 30… オムニホイール 31… 小車輪 32… 大車輪 32a… 回転軸 40… 調圧部 50… 座席部 51… 座部 52… ひじ掛け 53… 手押しハンドル 60… 載置台。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本出願は、知の拠点あいち重点研究プロジェクト3期(先進的AI・IoT・ビッグデータ活用技術開発プロジェクト)の成果による特許出願である。
本発明は、全方位に移動しやすい移動機構、その移動機構を用いた介助用車椅子及び運搬用台車に関する。