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特開2022-22688グラビア印刷機及びグラビア印刷方法、グラビア印刷物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022688
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】グラビア印刷機及びグラビア印刷方法、グラビア印刷物
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20220131BHJP
   B41M 1/10 20060101ALI20220131BHJP
   B65D 65/40 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
B41F33/00 290
B41M1/10 ZAB
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114238
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】391057144
【氏名又は名称】東京加工紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180127
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】吉原 宗彦
【テーマコード(参考)】
2C250
2H113
3E086
【Fターム(参考)】
2C250EB26
2H113AA01
2H113AA05
2H113AA06
2H113BA03
2H113BB02
2H113BB22
2H113CA25
2H113EA16
2H113FA10
2H113FA29
2H113FA55
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BB51
3E086BB62
3E086DA07
(57)【要約】
【課題】製造コストの大幅削減及び環境保全に資する、パートコートが可能なグラビア印刷機を提供する
【解決手段】紙のグラビア印刷において、前記紙の表面にインクによる印刷を施し、前記紙の裏面に塗工液をパートコートし、前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構を備えたことを特徴とするグラビア印刷機を提供することで、パートコートによる製造コストの大幅削減及び環境保全、並びに、高い見当精度でもって短時間でグラビア印刷物を量産することが可能となる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙のグラビア印刷において、前記紙の表面にインクによる印刷を施し、前記紙の裏面に塗工液をパートコートし、前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構を備えたことを特徴とするグラビア印刷機
【請求項2】
前記見当制御機構が前記紙の表面裏面共にレジスターマークを用いた自動見当制御機構であることを特徴とする請求項1に記載のグラビア印刷機
【請求項3】
前記塗工液がヒートシール剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラビア印刷機
【請求項4】
前記紙が坪量20~160 g/m2の紙であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機
【請求項5】
前記紙が片艶紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、純白紙、上質紙又はコート紙であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機を用いたグラビア印刷方法
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機を用いて製造したグラビア印刷物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷機及びグラビア印刷方法、グラビア印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷機は、金属ロールの版胴を複数備えた凹版印刷機であり、プラスチックフィルムや紙、布、建材等に印刷を施すことができ、印刷物は様々な用途に用いられている。グラビア印刷機は一般的に既に市場に出回っており、関連する特許文献も多数存在する。また、グラビア印刷機では、通常のインクだけではなく、コート剤やヒートシール剤、抗菌剤など様々な原材料の使用が可能であり、原材料に関する特許文献も多数存在する。参考のため、比較的新しい特許文献をいくつか挙げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-198963
【特許文献2】特開2019-25864
【特許文献3】特開2017-65260
【特許文献4】特開2018-62642
【特許文献5】特開2018-12744
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙のグラビア印刷において、紙の表面に通常のインクによる印刷を施し、裏面にヒートシール剤を全面に塗布した後、熱加工により包装用等の紙袋を製造することが一般的に行われており、実際に、チョコレートなどのお菓子包装用の紙袋等として市場に流通し始めている。包装用の袋としてはプラスチックフィルム製のものが主流であったが、近年のエコロジーなどの環境保全運動に伴い、環境に対する配慮が必要となってきたため、環境に優しいと言われている紙製のものが重宝されるようになってきた。しかしながら、ヒートシール剤は、一般的に高価であって、また、環境に害があると言われている樹脂の成分が含まれているものが多い。加えて、実際にシールする部分の面積は小さいことが多く、本来は必要のない部分にまでヒートシール剤を塗布してしまっている。そこで、本発明は、製造コストの大幅削減及び環境保全に資するべく、不要なヒートシール剤の使用を抑えるため、シールする部分にのみヒートシール剤を塗布すること、すなわち、指定した部分にのみ塗布する、いわゆるパートコートが可能であって、高い見当精度でもって短時間で量産することが可能なグラビア印刷機及びグラビア印刷方法、グラビア印刷物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るグラビア印刷機は、紙のグラビア印刷において、前記紙の表面にインクによる印刷を施し、前記紙の裏面に塗工液をパートコートし、前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構を備えたことを特徴とするグラビア印刷機である。前記見当制御機構により、高い見当精度でもって短時間で量産することが可能となる。
【0006】
請求項2に記載の発明に係るグラビア印刷機は、前記見当制御機構が前記紙の表面裏面共にレジスターマークを用いた自動見当制御機構であることを特徴とする請求項1に記載のグラビア印刷機である。前記見当制御機構として、レジスターマークを用いた自動見当制御機構を導入することで、より見当精度の高いグラビア印刷物を製造することができる。
【0007】
請求項3に記載の発明に係るグラビア印刷機は、前記塗工液がヒートシール剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラビア印刷機である。ヒートシール剤は、製造コスト削減及び環境保全の観点から、本発明による効果が特に顕著なものである。
【0008】
請求項4に記載の発明に係るグラビア印刷機は、前記紙が坪量20~160 g/m2の紙であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機である。前記紙として、坪量20~160 g/m2の紙がパートコートに特に適している。
【0009】
請求項5に記載の発明に係るグラビア印刷機は、前記紙が片艶紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、純白紙、上質紙又はコート紙であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機である。前記紙として、片艶紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、純白紙、上質紙、コート紙の6種類の紙がパートコートに特に適した紙なのである。
【0010】
請求項6に記載の発明に係るグラビア印刷方法は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機を用いたグラビア印刷方法である。
【0011】
請求項7に記載の発明に係るグラビア印刷物は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のグラビア印刷機を用いて製造したグラビア印刷物である。
【発明の効果】
【0012】
紙のグラビア印刷において、前記紙の表面にインクによる印刷を施し、前記紙の裏面に塗工液をパートコートし、前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構を備えることで、製造コストの削減及び環境保全に繋がり、高い見当精度でもって短時間で量産することができる。前記見当制御機構を前記紙の表面裏面共にレジスターマークを用いた自動見当制御機構とすることで、より見当精度の高いグラビア印刷物を製造することができる。前記塗工液をヒートシール剤とすることで、製造コストの大幅削減及び環境保全に資することができる。坪量20~160 g/m2の紙であって、片艶紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、純白紙、上質紙、コート紙の6種類の紙は、パートコートに特に適した紙であり、各々市場ニーズに合わせた製品を提供することができる。よって、本発明によって、製造コストの大幅削減及び環境保全に資することができ、高い見当精度でもって短時間で量産することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。紙のグラビア印刷において、前記紙の表面に通常のインクによる印刷を施した後、前記紙を反転させて、前記紙の裏面に塗工液をパートコートする。表面のインクには、原色のインク以外にも、特色やOPニスなども含む。裏面はインクの代わりに塗工液を使用し、パートコートしたい部分を凹ませた版胴を用いることでパートコートすることが可能となる。一度の工程で表裏全てを加工する、いわゆるインラインで製造することで、短時間で量産することが可能となる。加工の順序は表面が先でも裏面が先でも構わないが、反転回数はできるだけ少ない方が良い。前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構は、前記塗工液が透明であることが多いことから、目視で行うことは難しく、自動で見当制御可能な装置を導入した方が良い。一般的に普及している、レジスターマークを用いた自動見当制御機構を用いて行う場合には、表面と裏面との印刷のずれを抑えるために、レジスターマークの位置合わせに留意する。レジスターマークの形も工夫が必要である。表面と裏面では、紙の伸び具合も異なるため、見当制御は特に注意を要する。前記紙は、坪量20~160 g/m2の範囲が適正で、片艶紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、純白紙、上質紙、コート紙の6種類の紙がパートコートに特に適している。薄い絶縁紙にもパートコートは有用である。前記塗工液の塗工量は3~15 g/ m2の範囲が適正であり、ヒートシール剤において効果が顕著である。ヒートシール剤は、熱加工による圧着だけではなく、フィルムを貼り付けたり、紙に穴をあけて透明なフィルムを貼り付けたりするときの糊として使用することも可能で、包装用の紙袋等に窓をつけたいとき等にもパートコートは有用である。コート剤や抗菌剤などの塗工液についても、パートコートは有用である。前記紙の坪量と、前記塗工液の塗工量は、前記紙及び前記塗工液の種類によって最適な値は各々異なる。以下、2つの実施例について、より詳細に説明する。
【実施例0014】
紙のグラビア印刷において、前記紙の表面に通常の6色のインクによる印刷を施した後、前記紙を反転させて、前記紙の裏面にヒートシール剤をパートコートする。パートコートする部分は、包装用の紙袋としてシールする必要がある部分のみとする。前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構は、前記紙の表面裏面共にレジスターマークを用いた自動見当制御機構を用いる。レジスターマークの形は三角形とし、位置合わせは厳密に行う。前記紙は、坪量70 g/m2の片艶紙を用い、ヒートシール剤の塗工量は7 g/m2とする。
【実施例0015】
紙のグラビア印刷において、前記紙の表面に通常の6色のインクによる印刷を施した後、前記紙を反転させて、前記紙の裏面にヒートシール剤をパートコートする。パートコートする部分は、包装用の紙袋としてシールする必要がある部分のみとする。前記紙の表面と裏面との印刷のずれを抑えるための見当制御機構は、前記紙の表面裏面共にレジスターマークを用いた自動見当制御機構を用いる。レジスターマークの形は三角形とし、位置合わせは厳密に行う。前記紙は、坪量35 g/m2の純白紙を用い、ヒートシール剤の塗工量は7 g/m2とする。