(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022719
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20220131BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220131BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20220131BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220131BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220131BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220131BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20220131BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220131BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20220131BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20220131BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20220131BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20220131BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20220131BHJP
B60K 11/06 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6563
H01M10/6568
H01M10/6556
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L58/26
B60L58/27
B60K11/02
B60K11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114902
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】横山 亘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 好司
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AC22
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125CD06
5H125CD09
5H125EE25
5H125FF01
5H125FF03
5H125FF22
5H125FF23
5H125FF27
(57)【要約】
【課題】二次電池の温度が過剰に上昇することを抑制すること。
【解決手段】電源装置12は、筐体20と、筐体20に接合された二次電池31と、筐体20に接合された電力変換器40と、二次電池31と電力変換器40との間に設けられた冷却流路28と、冷却流路28に冷却媒体を流通させることができる送風機51と、を備える。電力変換器40は、制御部41と、変換部42と、を備える。制御部41は、送風機51の駆動と停止とを切り替える。制御部41は、二次電池31を加熱しない場合には送風機51を駆動させることで冷却流路28に冷却媒体を流通させる。制御部41は、二次電池31を加熱する場合には送風機51を停止させることで冷却流路28に冷却媒体が流通しないようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電源装置であって、
筐体と、
前記筐体に接合された二次電池と、
前記筐体に接合された電力変換器と、
前記二次電池と前記電力変換器との間に設けられた冷却流路と、
前記冷却流路に冷却媒体を流通させることができる流通部材と、
前記二次電池を加熱しない場合には前記冷却流路に冷却媒体が流通し、前記二次電池を加熱する場合には前記冷却流路に前記冷却媒体が流通しないように前記流通部材を制御する制御部と、を備える電源装置。
【請求項2】
前記二次電池の温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサにより検出される温度が閾値未満の場合に前記冷却流路に前記冷却媒体が流通しないように前記流通部材を制御し、前記温度センサにより検出される温度が閾値以上の場合に前記冷却流路に前記冷却媒体が流通するように前記流通部材を制御する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記冷却流路を画定する流路画定面を備える請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電力変換器と熱交換を行った後の熱媒体を前記冷却流路に流通させる流通路を備える請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、電源装置が搭載されている。電源装置は、二次電池を備える。二次電池の放電により、車両に搭載された機器は駆動する。二次電池の放電特性には温度依存性があり、二次電池の温度が低いほど放電性能は悪化する傾向にある。特許文献1に開示の電源装置は、二次電池と、伝熱板と、電力変換器と、ペルチェ素子と、を備える。二次電池と電力変換器は、伝熱板に接合されている。電力変換器が発熱すると、この熱は伝熱板を介して二次電池に加わる。ペルチェ素子は、電流の流れる向きを変更することで、二次電池の加熱及び冷却を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の電源装置では、二次電池を冷却したい場合にはペルチェ素子を用いて二次電池を冷却しようとする。しかしながら、伝熱板を介して電力変換器から二次電池に伝導する熱量が多く、ペルチェ素子により二次電池を冷却しようとしても、二次電池の温度上昇を抑制できないおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、二次電池の温度が過剰に上昇することを抑制できる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電源装置は、車両に搭載される電源装置であって、筐体と、前記筐体に接合された二次電池と、前記筐体に接合された電力変換器と、前記二次電池と前記電力変換器との間に設けられた冷却流路と、前記冷却流路に冷却媒体を流通させることができる流通部材と、前記二次電池を加熱しない場合には前記冷却流路に冷却媒体が流通し、前記二次電池を加熱する場合には前記冷却流路に前記冷却媒体が流通しないように前記流通部材を制御する制御部と、を備える。
【0007】
電力変換器は筐体に接合されているため、電力変換器が発熱すると、この熱は筐体に伝導する。二次電池を加熱する場合には、冷却流路に冷却媒体が流通しない。冷却流路に冷却媒体が流通している場合に比べて、電力変換器の発した熱が二次電池に伝導しやすく、二次電池を加熱することができる。二次電池を加熱しない場合、冷却流路に冷却媒体が流通する。電力変換器と二次電池との間に設けられた冷却流路に冷却媒体が流通することで、冷却媒体と筐体との熱交換が行われる。これにより、電力変換器の発した熱が二次電池に伝導することを抑制できる。また、冷却媒体の流通により二次電池を冷却することができる。従って、二次電池の温度が過剰に上昇することを抑制できる。
【0008】
上記電源装置について、前記二次電池の温度を検出する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサにより検出される温度が閾値未満の場合に前記冷却流路に前記冷却媒体が流通しないように前記流通部材を制御し、前記温度センサにより検出される温度が閾値以上の場合に前記冷却流路に前記冷却媒体が流通するように前記流通部材を制御してもよい。
【0009】
上記電源装置について、前記筐体は、前記冷却流路を画定する流路画定面を備えていてもよい。
上記電源装置について、前記電力変換器と熱交換を行った後の熱媒体を前記冷却流路に流通させる流通路を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、二次電池の温度が過剰に上昇することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両に搭載される電源装置を模式的に示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、電源装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10は、電装品11と、電源装置12と、を備える。電装品11は、電力の供給によって駆動する装置である。本実施形態の電源装置12は、電装品11に電力を供給する。
【0013】
電源装置12は、筐体20と、二次電池31と、温度センサ33と、電力変換器40と、送風機51と、を備える。
筐体20は、金属製である。筐体20は、例えば、アルミニウム製である。筐体20は、例えば、外郭が直方体状である。筐体20は、外郭をなす6つの外面を備える。詳細にいえば、筐体20は、筐体20の外面として上面21と、上面21に平行である底面22と、上面21と底面22との間で延びる4つの側面23,24,25,26と、を備える。側面23,24,25,26は、底面22の周縁から延びる面である。側面23,24,25,26は、第1側面23と、第1側面23に平行である第2側面24と、第3側面25と、第3側面25に平行である第4側面26と、を備える。第3側面25及び第4側面26は、第1側面23と第2側面24との間で延びる面である。
【0014】
筐体20は、収容部Sを画定する収容部画定面27を備える。収容部画定面27に囲まれる領域が収容部Sである。収容部Sは上面21と底面22との間で延びている。収容部Sは、上面21に開口している。収容部Sは、底面22に開口していてもよいし、底面22に開口していなくてもよい。収容部Sは、上面21と底面22との間で筐体20を貫通する孔であってもよいし、上面21から底面22に向けて延びる凹部であってもよいといえる。収容部画定面27は、一方向に並んで複数設けられている。収容部Sも、一方向に並んで複数設けられているといえる。本実施形態において、収容部画定面27は、第1側面23と第2側面24との間に並んで配置されている。
【0015】
筐体20は、冷却流路28を画定する流路画定面29を備える。流路画定面29に囲まれる領域が冷却流路28である。流路画定面29は、第1側面23と第2側面24との間で延びている。流路画定面29は、収容部Sと第3側面25との間に設けられている。冷却流路28は、筐体20を貫通している。冷却流路28は、第1側面23及び第2側面24に開口している。冷却流路28は、第1側面23と第2側面24との間で垂直に延びていてもよいし、斜めに延びていてもよい。言い換えれば、冷却流路28は、収容部Sの並ぶ方向と同一方向に延びていてもよいし、収容部Sの並ぶ方向に対して傾いて延びていてもよい。流路画定面29は、一方向に並んで複数設けられている。冷却流路28も、一方向に並んで複数設けられているといえる。本実施形態において、冷却流路28は、上面21と底面22との間に並んで配置されている。
【0016】
二次電池31は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素蓄電池、鉛蓄電池など、充放電可能なものであればどのような種類のものであってもよい。二次電池31は、電装品11に電力を供給する。これにより、電装品11は駆動する。
【0017】
二次電池31は、端子32を備える。二次電池31は、各収容部Sに1つずつ収容されている。二次電池31と収容部Sとは同数であるといえる。二次電池31は、端子32が収容部Sから突出する態様で収容部Sに収容されている。二次電池31は、収容部画定面27に接合されている。二次電池31は、収容部画定面27と直接的に接合されていてもよいし、収容部画定面27と間接的に接合されていてもよい。二次電池31と収容部画定面27とが間接的に接合されている状態とは、二次電池31と収容部画定面27との間に、伝熱グリスや伝熱シードなどの熱伝導部材が設けられており、この熱伝導部材を介して二次電池31と収容部画定面27とが接合されている状態である。熱伝導部材としては、空気よりも熱伝導率が高ければ、どのような材料のものであってもよい。
【0018】
温度センサ33は、二次電池31の温度を検出する。本実施形態において、温度センサ33は、二次電池31に取り付けられている。なお、温度センサ33は、複数の二次電池31に取り付けられていてもよいし、単数の二次電池31に取り付けられていてもよい。温度センサ33を複数の二次電池31に取り付ける場合、全ての二次電池31に温度センサ33を取り付けてもよいし、全ての二次電池31から選択した複数の二次電池31に温度センサ33を取り付けてもよい。温度センサ33を取り付ける二次電池31を選択する場合、例えば、並んで設けられた二次電池31のうち両端に位置する2つの二次電池31や、中央に位置する二次電池31、あるいは、これらの組み合わせを選択することができる。温度センサ33を単数の二次電池31に取り付ける場合、例えば、並んで設けられた二次電池31のうち中央に位置する二次電池31に温度センサ33を取り付ける。
【0019】
電力変換器40は、入力された電圧を変圧して出力するDC/DCコンバータである。電力変換器40に入力される電圧は、二次電池31から出力されてもよいし、二次電池31とは異なる電源から出力されてもよい。例えば、車両10を走行させる走行用モータの電力源となるバッテリから出力される電圧が電力変換器40に入力されてもよい。電力変換器40の出力する電圧は、電装品11を駆動するために用いられてもよいし、二次電池31を充電するために用いられてもよい。即ち、電力変換器40は、車両10に搭載されたものであれば、その用途は任意である。
【0020】
電力変換器40は、制御部41と、変換部42と、を備える。変換部42は、スイッチング素子を備え、このスイッチング素子の動作によって変圧を行う。制御部41は、スイッチング素子の制御を行う。制御部41は、温度センサ33から検出結果を取得可能である。制御部41は、CPUやGPU等のプロセッサと、RAM及びROM等の記憶部と、を備える。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部41は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0021】
電力変換器40は、第3側面25に接合されている。電力変換器40は、第3側面25と直接的に接合されていてもよいし、第3側面25と間接的に接合されていてもよい。電力変換器40と第3側面25とが間接的に接合されている状態とは、電力変換器40と第3側面25との間に、熱伝導部材が設けられており、この熱伝導部材を介して電力変換器40と第3側面25とが接合されている状態である。第3側面25は、電力変換器40が接合される接合面といえる。
【0022】
収容部Sに二次電池31が収容され、第3側面25に電力変換器40が取り付けられているため、冷却流路28は、二次電池31と電力変換器40との間に設けられているといえる。
【0023】
送風機51は、冷却媒体を冷却流路28に流通させるための流通部材である。送風機51は、冷却流路28に気体を供給できる位置に配置されている。送風機51が駆動することで、冷却流路28には気体が供給され、これにより冷却流路28に気体が流通する。送風機51が停止することで、冷却流路28に気体が流通しなくなる。送風機51の駆動と停止が切り替えられることで、冷却流路28における気体の流通と流通の停止とが切り替えられるといえる。本実施形態では、送風機51の駆動により冷却流路28に流通する気体が冷却媒体である。
【0024】
本実施形態において、送風機51の駆動と停止は、制御部41によって切り替えられる。以下、制御部41が行う制御について説明する。制御部41は、車両10が起動状態の際に、以下の制御を所定の制御周期で繰り返し行うことで、送風機51の駆動と停止とを切り替える。車両10の起動状態とは、二次電池31からの電力が電装品11に供給されており、電力変換器40が駆動している状態である。
【0025】
図2に示すように、ステップS1において、制御部41は、温度センサ33から検出結果を取得する。これにより、制御部41は、二次電池31の温度を把握することができる。なお、温度センサ33が複数取り付けられている場合、温度センサ33の検出結果の平均値を二次電池31の温度としてもよいし、温度センサ33の検出結果のうち最低値や最高値を二次電池31の温度としてもよい。
【0026】
次に、ステップS2において、制御部41は、二次電池31の温度が閾値以上か否かを判定する。閾値は、二次電池31を加熱するか否かを判定するための閾値である。二次電池31の放電特性には、温度依存性がある。二次電池31は、温度が低いほど内部抵抗の増加等に起因して放電特性が悪化する傾向にある。閾値は、この放電特性を考慮して設定されている。閾値としては、例えば、二次電池31に求められる放電性能を確保できる温度に設定されている。なお、二次電池31の放電性能は、二次電池31の種類によって異なる。また、二次電池31に求められる放電性能は、二次電池31の用途によって異なる。従って、閾値は、二次電池31の種類や二次電池31の用途によって適宜、異なる値が設定される。ステップS2の判定結果が肯定の場合、制御部41はステップS3の処理を行う。ステップS2の判定結果が否定の場合、制御部41はステップS4の処理を行う。
【0027】
ステップS3において、制御部41は、送風機51を駆動させ、処理を終了する。制御部41は、送風機51が停止している場合には送風機51を駆動させ、送風機51が駆動している場合には送風機51が駆動している状態を維持する。制御部41は、温度センサ33により検出される温度が閾値以上の場合に冷却流路28に冷却媒体が流通するように送風機51を制御している。
【0028】
ステップS4において、制御部41は、送風機51を停止させ、処理を終了する。制御部41は、送風機51が駆動している場合には送風機51を停止させ、送風機51が停止している場合には送風機51が停止している状態を維持する。制御部41は、温度センサ33により検出される温度が閾値未満の場合に冷却流路28に冷却媒体が流通しないように送風機51を制御している。
【0029】
本実施形態の作用について説明する。
二次電池31の温度が閾値未満の場合、送風機51は停止しており、冷却流路28には冷却媒体が流通しない。二次電池31の温度が閾値未満の場合、二次電池31に求められる放電特性を確保することができないため、二次電池31を加熱する必要がある。電力変換器40が駆動することで、電力変換器40は発熱する。電力変換器40は筐体20に接合されているため、電力変換器40が発熱すると、この熱は筐体20に伝導する。上記したように、二次電池31を加熱する場合には冷却流路28に冷却媒体が流通しないため、筐体20に伝導した熱は、二次電池31に伝導しやすい。これにより、電力変換器40が発した熱を利用して二次電池31を加熱することができる。
【0030】
二次電池31の温度が閾値以上の場合、送風機51の駆動により冷却流路28に冷却媒体が流通する。二次電池31の温度が閾値以上の場合、二次電池31の温度が過度に上昇しないように二次電池31を加熱しないことが好ましい。上記したように、二次電池31を加熱しない場合には冷却流路28に冷却媒体が流通する。二次電池31の温度が閾値以上の場合、冷却流路28に冷却媒体が流通することで、冷却媒体と筐体20との熱交換が行われる。これにより、電力変換器40の発した熱が二次電池31に伝導することを抑制している。
【0031】
送風機51が停止している場合には、電力変換器40の発した熱は、二次電池31に向けて伝導する。送風機51が駆動している場合には、電力変換器40の発した熱は冷却媒体との熱交換により冷却流路28の延びる方向に伝導する。送風機51の駆動と停止とが切り替えられることで、電力変換器40の発した熱が伝導する方向が変更されているといえる。
【0032】
本実施形態の効果について説明する。
(1)二次電池31を加熱する場合には、冷却流路28に冷却媒体が流通しない。電力変換器40の発した熱は、二次電池31に向けて伝導する。冷却流路28に冷却媒体が流通している場合に比べて、電力変換器40の発した熱が二次電池31に伝導しやすく、二次電池31を加熱することができる。二次電池31を加熱しない場合、冷却流路28に冷却媒体が流通する。電力変換器40と二次電池31との間に設けられた冷却流路28に冷却媒体が流通することで、冷却媒体と筐体20との熱交換が行われる。これにより、電力変換器40の発した熱の伝導する方向が変更され、冷却流路28に冷却媒体が流通していない場合に比べて、電力変換器40の熱が二次電池31に伝導しにくくなる。また、冷却媒体の流通により二次電池31を冷却することができる。従って、二次電池31の温度が過剰に上昇することを抑制できる。
【0033】
(2)制御部41は、温度センサ33により検出される温度が閾値未満の場合に送風機51を停止し、温度センサ33により検出される温度が閾値以上の場合に送風機51を駆動する。二次電池31の放電特性と温度とは相関があるため、二次電池31の温度によって送風機51の駆動と停止とを切り替えることで、二次電池31の放電特性に合わせた二次電池31の加熱が可能になる。
【0034】
(3)筐体20が流路画定面29を備えることで、冷却流路28は筐体20に一体に設けられている。ダクトなど、筐体20とは異なる部材で冷却流路28を画定する場合に比べて、筐体20との熱交換が行われやすい。また、部品点数の削減が図られる。
【0035】
(4)電力変換器40の発熱を利用して二次電池31を加熱することができる。二次電池31を加熱するためのヒータを設ける場合に比べて、部品点数の削減を図ることができる。
【0036】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○
図3に示すように、電源装置12は、電力変換器40と熱交換を行った熱媒体を冷却流路28に流通させるための加熱機構60を備えていてもよい。加熱機構60は、電力変換器40と熱交換を行った熱媒体を冷却流路28に流通させる流通路62と、流通路62に熱媒体を流す熱媒体流通部材63と、を備える。熱媒体流通部材63により熱媒体を流通路62に流すことで、熱媒体が冷却流路28を流通する。冷却流路28に熱媒体を流通させる場合、冷却流路28に冷却媒体を流通させるか熱媒体を流通させるかを切り替えられる切替部材を設けて、冷却媒体及び熱媒体のいずれかが冷却流路28を流通するようにする。あるいは、冷却流路28を2つの領域に区画し、冷却媒体が流通する領域と熱媒体が流通する領域とを分けてもよい。熱媒体流通部材63としては、気体状の熱媒体を用いる場合には送風機、液体状の熱媒体を用いる場合にはポンプを用いることができる。二次電池31の加熱を行う場合、熱媒体流通部材63の駆動により熱媒体を循環させる。冷却流路28には、電力変換器40との熱交換によって加熱された熱媒体が流れることになる。これにより、筐体20を介して二次電池31を更に加熱することができる。
【0037】
○二次電池31は、筐体20と接合されていればよく、筐体20は収容部Sを備えていなくてもよい。例えば、筐体20の第4側面26に二次電池31を接合してもよい。
○収容部Sは、上面21に開口していなくてもよい。例えば、収容部Sに二次電池31を収容した後に、収容部Sを閉塞することで収容部Sが上面21に開口しないようにしてもよい。
【0038】
○冷却流路28は、筐体20以外の部材によって画定されていてもよい。冷却流路28は、例えば、冷却媒体が流通可能なダクトによって画定されていてもよい。この場合、ダクトの内面が冷却流路28を画定する流路画定面である。ダクトによって冷却流路28を画定する場合、電力変換器40は、ダクトを介して筐体20に接合されていてもよい。
【0039】
○送風機51を駆動させるか停止させるは、温度センサ33の検出結果以外の要素によって判定されてもよい。例えば、制御部41は、二次電池31の放電時間が予め定められた所定時間を経過するまでは送風機51を停止させることで電力変換器40の熱により二次電池31を加熱し、所定時間が経過した後には送風機51を駆動させてもよい。二次電池31は放電により発熱するため、二次電池31の放電時間が長くなるにつれて二次電池31の温度は上昇していく。このため、二次電池31の放電時間が所定時間を経過した場合には、放電により二次電池31が加熱されたとみなし、二次電池31の放電時間を利用して送風機51の駆動と停止とを切り替えてもよい。また、制御部41は、車両10に設けられた温度センサであって実施形態の温度センサ33とは異なる車載温度センサの検出結果から二次電池31の温度を推定できる場合、推定した二次電池31の温度を用いて送風機51の駆動と停止とを切り替えてもよい。
【0040】
○温度センサ33は、筐体20において二次電池31に沿う位置に配置されていてもよい。この場合、温度センサ33の検出結果は、二次電池31の温度と同等であるとみなし、温度センサ33の検出結果によって送風機51の駆動と停止とが切り替えられるようにしてもよい。また、温度センサ33は、制御部41が二次電池31の温度を推定できる位置に設けられていてもよい。この場合、制御部41は、温度センサ33の検出結果から二次電池31の温度を推定し、推定結果によって送風機51の駆動と停止とを切り替える。
【0041】
○二次電池31の温度が閾値以上の場合、制御部41は二次電池31の温度が高いほど送風機51による送風量を多くしてもよい。この場合、制御部41は、二次電池31の温度が一定になるように送風機51の送風量を調整してもよい。
【0042】
○ステップS2の判定に用いられる閾値には、ヒステリシスが設定されていてもよい。例えば、ステップS2の判定を行う時点で送風機51が駆動している場合の閾値は、ステップS2の判定を行う時点で送風機51が停止している場合の閾値に比べて低くてもよい。
【0043】
○制御部41は、二次電池31を加熱する際に、変換部42のスイッチング損失を増加させるように制御を行うことで、電力変換器40の発熱量を増加させてもよい。
○筐体20の形状は、任意に変更することができる。実施形態の筐体20は、二次電池31毎に個別の収容部Sを備えていたが、筐体20は、箱状のものであってもよい。この場合、1つの収容部に複数の二次電池31が収容される。筐体20が箱状の場合、二次電池31は、例えば、筐体20の底面に載置された状態で筐体20に収容される。二次電池31は、筐体20の底面に向かい合う面など、少なくとも一部分が筐体20に接合されていればよい。筐体20が箱状の場合、電力変換器40は筐体20に接合されていればよく、二次電池31とともに筐体20に収容されていてもよいし、筐体20外に設けられていてもよい。
【0044】
○二次電池31は、単数であってもよい。
○送風機51は、冷却流路28に冷却媒体を流通させることができればよく、冷却流路28の内部などに設けられていてもよい。
【0045】
○冷却媒体としては、液体状のものを用いてもよい。この場合、冷却流路28には冷却流路28に冷却媒体を循環させるための循環流路が接続される。循環流路には、液体状の冷却媒体を循環させるためのポンプが設けられる。ポンプは冷却流路28に冷却媒体を流通させる流通部材である。
【0046】
○流通部材として、冷却流路28から気体を吸引する吸引装置を用いてもよい。
○冷却流路28は、二次電池31と電力変換器40との間に設けられていればよく、上面21と底面22との間で延びていてもよい。この場合、冷却流路28は、上面21と底面22との間で垂直に延びていてもよいし、斜めに延びていてもよい。
【0047】
○冷却流路28は、単数であってもよい。
○二次電池31は、電装品11に電力を供給するものに限られず、車両10を走行させる走行用モータに電力を供給するものであってもよい。
【0048】
○電力変換器40としては、直流電力を交流電力に変換して出力するインバータであってもよい。インバータは、例えば、モータを駆動するために用いられる。また、電力変換器40としては、DC/DCコンバータとインバータとの組み合わせであってもよい。
【0049】
○電力変換器40は、筐体20と一体に設けられていてもよい。
○送風機51の駆動と停止とは、電力変換器40以外の装置が備える制御部や、送風機51の駆動と停止のために専用に設けられた制御部によって切り替えられてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…車両、12…電源装置、20…筐体、28…冷却流路、31…二次電池、33…温度センサ、40…電力変換器、41…制御部、51…流通部材としての送風機、62…流通路。