(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022734
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20220131BHJP
H01R 13/6594 20110101ALN20220131BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R13/6594
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115360
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】水上 和宏
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FB02
5E021FC19
5E021LA09
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】高周波の広い帯域に亘る良好な伝送特性を有するコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、アウタハウジング10、アウタシェル20、フロントシェル30、フロントハウジング40、ピン50、バックハウジング60、およびバックシェル70を備えている。ここで、アウタシェル20の、アウタハウジング10の背面に沿って広がる部分に、切起し片22が形成されている。この切起し片22は、バックシェル70に当接して弾性的に撓む。これにより、バックシェル70がフロントシェル30に、それらの間に隙間が形成されないように押し当てられる。この押当てにより、バックシェル70とフロントシェル30が電気的に一体化し、良好な信号伝送特性が実現する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタ側を向いた前面と相手コネクタに背を向けた背面とに開口を有する収容空間が形成されたハウジングと、
前記ハウジングを、該ハウジングの背面を含んで覆うアウタシェルと、
相手コネクタとの導通を担う、前記収容空間に収容されたコンタクトと、
前記収容空間に配置され、前記コンタクトを覆うインナシェルとを備え、
前記アウタシェルの、前記ハウジングの背面に沿って広がる部分と前記インナシェルとの間に、該インナシェルを前方に向けて弾性的に押圧するバネ部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記インナシェルが、互いに分離しあるいは部分的に連結し、コンタクトを前方および後方から挟むように覆うフロントシェルおよびバックシェルを有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記バネ部が、前記アウタシェルに設けられた、前方に向かって斜めに切り起され、前記インナシェルに当接して弾性的に撓む切起し片であることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コンタクトが、前後に延び相手コネクタとの導通を担う第1延長部と、該第1延長部の後端から、回路基板が配置される下方に折れ曲がって延び、該回路基板に接続される第2延長部とを有し、
前記切起し片が、上下方向について、前記第1延長部よりも下方の位置で、前記バックシェルに当接していることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記切起し片が、上下方向に対し45°の角度に切り起されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記切起し片が、上下方向に対し45°よりも小さい角度に切り起されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記切起し片が、上下方向に対し45°よりも大きい角度に切り起されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記収容空間に配置され、前記コンタクトを支持するインナハウジングを備え、
前記インナシェルが、前記インナハウジングを間に挟んで前記コンタクトを覆うことを特徴する請求項1から7のうちのいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の伝送に適したコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号の伝送では信号の反射等が生じやすく、如何にして良好な伝送特性を実現するかが問題となる。特に、映像信号の伝送には、高周波の広い帯域に亘る良好な伝送特性が要求される。
【0003】
ここで、特許文献1には、複数の同軸ケーブルがまとめられたフラット同軸ケーブル端をまとめて共通導電部材を介して、回路接地及びフレーム接地に接続する発明が開示されている。この特許文献1の発明は、接地側配線の電位変動の発生及びインピーダンス不連続の発生を無くすることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高周波の広い帯域に亘る良好な伝送特性を有するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
相手コネクタ側を向いた前面と相手コネクタに背を向けた背面とに開口を有する収容空間が形成されたハウジングと、
ハウジングを、そのハウジングの背面を含んで覆うアウタシェルと、
相手コネクタとの導通を担う、上記収容空間に収容されたコンタクトと、
上記収容空間に配置され、コンタクトを覆うインナシェルとを備え、
アウタシェルの、ハウジングの背面に沿って広がる部分とインナシェルとの間に、インナシェルを前方に向けて弾性的に押圧するバネ部を有することを特徴とする。
【0007】
インナシェルは、コンタクトを内側に配置させてそのコンタクトを覆う必要上、複数の部分に分離しているか、あるいは1つに繋がっていても部分的に分離した構造とすることが考えられる。この場合、インナシェルは、押圧がないときに部分的に隙間が形成されあるいは十分には接触していない部分が形成されるおそれがある。
【0008】
ここで、本発明のコネクタでは、上記のバネ部を有し、インナシェルが前方に向けて弾性的に押圧される。したがって、押圧がないときに隙間が形成されあるいは十分には接触していない部分が形成される構造のインナシェルであっても、その隙間が埋められ、あるいは十分な接触が得られて、高周波の広い帯域に亘る良好な伝送特性が実現する。
【0009】
ここで、本発明のコネクタにおいて、インナシェルが、互いに分離しあるいは部分的に連結し、コンタクトを前方および後方から挟むように覆うフロントシェルおよびバックシェルを有することが好ましい。
【0010】
インナシェルを、このような、互いに分離しあるいは部分的に連結した構造とすることによって、コンタクトを前方および後方から挟むように覆うことができる。
【0011】
また、本発明のコネクタにおいて、上記バネ部が、アウタシェルに設けられた、前方に向かって斜めに切り起され、インナシェルに当接して弾性的に撓む切起し片であることが好ましい。
【0012】
バネ部として、インナシェルに設けられて後方に向って切り起され、アウタシェルに当接して弾性的に撓む切起し片を備えてもよい。この構成の場合も、インナシェルを前方に弾性的に押圧することが可能である。ただし、切起し片をインナシェルに備えるよりもアウタシェルに備えたほうが、信号伝送特性上有利と考えられる。したがって、切起し片をアウタシェルに備えるほうが、より好ましい。
【0013】
また、アウタシェルに設けるかインナシェルに設けるかにかかわらず、このような切起し片を備えることにより、簡易な構造でバネ部を構成することができる。
【0014】
また、本発明のコネクタにおいて、
コンタクトが、前後に延び相手コネクタとの導通を担う第1延長部と、第1延長部の後端から、回路基板が配置される下方に折れ曲がって延び、回路基板に接続される第2延長部とを有し、
上記の切起し片が、上下方向について、第1延長部よりも下方の位置で、インナシェルに当接していることが好ましい。
【0015】
コンタクトは、前後に延びる第1延長部と下方に延びる第2延長部とを有し、インナシェルも、下方に延びる形状のコンタクトを覆う形状となっている。このため、インナシェルの上下方向の重心位置は第1延長部よりも下方の位置にある。そこで、上下方向について第1延長部よりも下方の位置で切起し片を当接させるほうが、第1延長部と同一高さあるいは上方の位置で当接させるよりも、インナシェルの全体をバランスよく、前方に押圧することができる。
【0016】
ここで、上記切起し片が、上下方向に対し45°の角度に切り起されていることが好ましい。
【0017】
この場合、良好な信号伝送特性とインナシェルへの十分な押圧力の確保とのバランスが保たれる。
【0018】
あるいは、上記切起し片が、上下方向に対し45°よりも小さい角度に切り起されていることも好ましい態様である。
【0019】
切起し片は、コンタクトの、上下に延びる第2延長部が存在する高さ位置においてインナシェルに当接している。切起し片は、上下方向に対し45°よりも小さい角度に切り起されている場合、45°の角度に切り起されている場合と比べ、コンタクトの第2延長部と平行に近づく。したがって、その分、信号伝送特性の更なる向上に寄与する。
【0020】
あるいは、切起し片が、上下方向に対し45°よりも大きい角度に切り起されていることも好ましい態様である。
【0021】
切起し片が、上下方向に対し45°よりも大きい角度に切り起されている場合、45°の角度に切り起されている場合と比べ、インナシェルを強く押圧することができる。したがって、その分、インナシェルに形成されている隙間あるいは不十分な接触が一層確実に解消され、インナシェルをさらに強固に一体化させることができる。
【0022】
また、本発明のコネクタにおいて、
上記収容空間に配置され、コンタクトを支持するインナハウジングを備え、
インナシェルが、インナハウジングを間に挟んでコンタクトを覆うことが好ましい。
【0023】
上記のインナハウジングを備えることにより、コンタクトの位置ずれ等が生じにくい、一層強固なコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1に斜視図を示すコネクタの分解斜視図である。
【
図3】本実施形態のコネクタを、その下面が現れる向きに示した斜視図(A)、および本実施形態のコネクタの背面図(B)である。
【
図4】
図1に示す矢印A-Aに沿う断面図(A)と断面斜視図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態のコネクタの斜視図である。
【0026】
このコネクタ1は、矢印Fで示す前方を相手コネクタ(不図示)に向けて、その相手コケクタと嵌合するコネクタである。また、このコネクタ1は、矢印Zで示す下方に配置された回路基板(不図示)に搭載されてその回路基板に半田付けされる。
【0027】
図2は、
図1に斜視図を示すコネクタの分解斜視図である。
【0028】
このコネクタ1は、アウタハウジング10およびアウタシェル20を備えている。
【0029】
アウタハウジング10には、収容空間11が形成されている。この収容空間は相手コネクタ側を向いた(矢印Fの向きを向いた)前面と相手コネクタに背を向けた背面とに開口が形成されている。このアウタハウジング10は、本発明にいうハウジングの一例に相当する。
【0030】
また、アウタシェル20は、シールド用であって、アウタハウジング10の上面と、左右の側面と、背面とを覆う形状を有する。このアウタシェル20には、下方に延びて回路基板に半田接続されるピン形状の複数の半田接続部21が設けられている。
【0031】
また、このコネクタ1は、フロントシェル30、フロントハウジング40、ピン50、バックハウジング60、およびバックシェル70を備えている。
【0032】
ピン50は、前後に延びる第1延長部51と、その第1延長部51の後端から下方に折れ曲がって延びる第2延長部52とを有する。第1延長部51は、このコネクタ1に嵌合する相手コネクタのコンタクトと接触して電気的に導通する。また、第2延長部52は、下方に配置される回路基板に半田接続される。このピン50は、本発明にいうコンタクトの一例に相当する。
【0033】
また、フロントハウジング40およびバックハウジング60は、ピン50を前方および後方から挟むように支持する。本実施形態におけるフロントハウジング40およびバックハウジング60は、それらを合わせた構成が、本発明にいうインナハウジングの一例に相当する。
【0034】
さらに、フロントシェル30およびバックシェル70は、フロントハウジング40およびバックハウジング60を間に挟んでピン50を覆い、このピン50をシールドする。フロントシェル30には、下方に延びて回路基板に半田接続されるピン形状の6本の半田接続部31が形成されている。本実施形態では、これらフロントシェル30およびバックシェル70を合わせた構成が、本発明にいうインナシェルの一例に相当する。
【0035】
ここでは、フロントシェル30、フロントハウジング40、ピン50、バックハウジング60、およびバックシェル70からなる組立体を、「副組立体80」と称する。この副組立体80は、メインハウジング10の背面側からそのメインハウジング10内に装入される。メインハウジング10に副組立体80が挿入され、アウタシェル20が被せられて、
図1に示すコネクタ1が完成する。
【0036】
図3は、本実施形態のコネクタを、その下面が現れる向きに示した斜視図(A)、および本実施形態のコネクタの背面図(B)である。
【0037】
図3(A)には、ピン50の第2延長部52、アウタシェル20の複数の半田接続部21、およびフロントシェル30の複数(6本)の半田接続部31が示されている。これらのうち、1本のみからなるピン50の第2延長部52は信号伝送用である。その他の、アウタシェル20の複数の半田接続部21およびフロントシェル30の6本の半田接続部31は、このコネクタ1の、回路基板への固定用であり、また、電気的には接地用である。接地用としては、特に、アウタシェル20の複数の半田接続部21のうちの後端の2本の半田接続部21aと、フロントシェル30の6本の半田接続部31との8本が、その役割を担っている。これら8本の半田接続部21a,31は、ピン50の第2延長部52を取り巻くように配置されている。
【0038】
また、
図3(B)には、本実施形態の特徴である切起し片22が示されている。この切起し片22は、本発明にいう、バネ部の一例および切起し片の一例に相当する。この切起し片22は、アウタシェル20の、アウタハウジング10の背面に面する領域に設けられ、前方、すなわち
図1,
図2に示す矢印Fの向きに切り起された形状を有する。切起し片22の作用については、以下、
図4を参照しながら説明する。
【0039】
図4は、本実施形態のコネクタの、
図1に示す矢印A-Aに沿う断面図(A)と断面斜視図(B)である。
【0040】
切起し片22は、前方(
図1,
図2に示す矢印Fの向き)に倒れるように、本実施形態では上下方向に対し45°の角度に切り起されている。そして、この切起し片22の先端部22aは、バックシェル70に突き当たっている。
図4では、切起し片22がバックシェル70に食い込んでいるように示されているが、これは、設計上の変形前の形状をそのまま示しているためである。実際には、切起し片22はバックシェル70に突き当たって弾性的に変形し、バックシェル70を前方(矢印Fの向き)に押している。バックシェル70は、その切起し片22に押されて、フロントシェル30との間にわずかな隙間も生じないようにフロントシェル30に当接している。
【0041】
ここで、切起し片22は、上下方向について、ピン50の、前後に延びる第1延長部51よりも下方の位置で、バックシェル70に当接している。ピン50の第2延長部52が第1延長部51から下に延びているため、バックシェル70も、第1延長部51よりも下側に大きく広がっていて、バックシェル70の重心は第1延長部51よりも下側に位置している。したがって、切起し片22を、バックシェル70に、第1延長部51よりも下方の位置で当接させることにより、バックシェル70の全体をバランスよく、フロントシェル30に押し当てている。
【0042】
本実施形態では、このような切起し片22を形成することにより、本発明にいうバネ部を簡易な構造で実現している。
【0043】
【0044】
ここで、
図5、
図6のいずれにおいても、(A)は、バックシェル70がフロントシェル30に突き当った状態にあるフロントシェル30とバックシェル70を示した図であり、本発明の一実施例に相当する。一方、
図5、
図6のいずれにおいても、(B)は、切起し片22(
図3,
図4参照)が存在せず、バックシェル70とフロントシェル30との間にわずかな隙間Gが形成された状態にあるフロントシェル30とバックシェル70を示した図である。この(B)は、本発明に対する比較例に相当する。
【0045】
図5(C)は、挿入損失(dB)の測定結果を示した図である。
【0046】
挿入損失(dB)は、0dBに近いほうが良く、バックシェル70がフロントシェル30に接触している実施例の方が、非接触の比較例と比べ、特に2.0~3.0GHzという高周波領域において良好である。
【0047】
また、
図5(D)は、回路基板側の電圧定在波比(VSWR)の測定結果を示した図である。
【0048】
電圧定在波比(VSWR)は、1に近いほうが良く、特に高周波領域において、(A)の実施例の方が良好である。
【0049】
また、
図6(C)は、回路基板側のインピーダンスの測定結果を示した図である。
【0050】
インピーダンスは常に50ohmで安定しているほうが良く、このインピーダンスに関しても(A)の実施例の方が良好である。
【0051】
さらに、
図6(D)は、スクリーニング減衰特性の測定結果を示した図である。
【0052】
スクリーニング減衰特性は低い方が良く、このスクリーニング減衰特性に関しても(A)の実施例の方が良好である。
【0053】
このように、本実施形態のコネクタ1は、アウタシェル20に切起し片22を形成し、バックシェル70を前方に押してバックシェル70をフロントシェル0に押し当てている。これにより、本実施形態のコネクタ1は、切起し片22が存在しない場合と比べ、良好な信号伝送特性を実現している。
【0054】
なお、本実施形態では、切起し片22が、上下方向に対し45°の角度に切り起されている。これにより、本実施形態では、信号伝送特性とバックシェル70のフロントシェル30への押当て力の確保とのバランスが保たれている。
【0055】
ただし、切起し片22は、必ずしも45°の角度に切り起されている必要はない。例えば、この切起し片22は、上下方向に対し45°よりも小さい角度に切り起されていてもよい。切起し片22は、高さ方向について、ピン50の、上下に延びる第2延長部52が存在する位置においてバックシェル70に当接している。切起し片22が、45°よりも小さい角度に切り起されている場合、45°の角度に切り起されている場合と比べ、ピン50の第2延長部52と平行に近づく。したがって、その分、信号伝送特性の更なる向上が期待できる。
【0056】
あるいは、切起し片22が、45°よりも大きい角度に切り起されていてもよい。この場合、切起し片22が45°の角度に切り起されている場合と比べ、バネ力を高め、バックシェル70を強く押すことができる。したがって、その分、バックシェル70をフロントシェル30に強く押し当てて、バックシェル70とフロントシェル30をさらに強固に密着させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、アウタシェル20に切起し片22が設けられている。この切起し片22は、前方に向かって斜めに切り起されていて、バックシェル70に当接して弾性的に撓む切起し片である。ただし、この切起し片22に代わり、バックシェル70に設けられて後方に向って切り起され、アウタシェル20に当接して弾性的に撓む切起し片を備えてもよい。この構成の場合も、バックシェル70をフロントシェル30に弾性的に押し当てることが可能である。
【0058】
図7は、インナシェルの変形例を示した図である。ここでは、理解の容易なため、このインナシェル90の、上記の実施形態におけるフロントシェルおよびバックシェルに相当する部分について、そのまま、フロントシェル30およびバックシェル70と称する。
【0059】
この
図7に示す構造のインナシェル90を採用した場合であっても、このインナシェル90以外の各部の構造は、上述の実施形態のものがそのまま踏襲される。
【0060】
このインナシェル90は、一部が互いに連結したフロントシェル30とバックシェル70とを有する。このように、部分的に連結した構造のフロントシェル30とバックシェル70とを有するインナシェル90とすることにより、互いに分離している場合と比べ、部品点数が削減され、組立性やコスト上有利となる。
【0061】
このインナシェル90の内部には、コンタクト50、並びに、そのコンタクト50を支持する、フロントハウジング40およびバックハウジング60からなるインナハウジングを装入する必要がある。そこで、その装入の時点では、バックシェル70を、フロントシェル30に対し、
図7(A)に一点鎖線で示すように開いた姿勢にしておく。そして、コンタクト50およびインナハウジング(フロントハウジング40およびバックハウジング60)を装入した後、バックシェル70を、
図7(A)に実線で示す姿勢とする。バックシェル70をこの実線で示す姿勢にしたままでは、フロントシェル30とバックシェル70との間に隙間Gが形成されたままとなりがちである。
【0062】
切起し片22(
図3、
図4参照)によってバックシェル70が前方に押圧され、これにより、バックシェル70がフロントシェル30に押し当てられる。
図7(B)には、この押し当てられた状態のインナシェル90が示されている。この押し当てによりフロントシェル30とバックシェル70が電気的に一体化され、
図5、
図6に示したような良好な信号伝送特性を得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 コネクタ
10 アウタハウジング
11 収容空間
20 アウタシェル
21,21a 半田接続部
22 切起し片
22a 切起し片の先端部
30 フロントシェル
31 半田接続部
40 フロントハウジング
50 ピン
51 第1延長部
52 第2延長部
60 バックハウジング
70 バックシェル
80 副組立体
90 インナシェル