(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022751
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/185 20200101AFI20220131BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220131BHJP
H05B 45/00 20220101ALN20220131BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220131BHJP
【FI】
H05B47/185
F21V23/00 140
F21V23/00 160
H05B45/00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115755
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英則
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA03
3K273QA34
3K273QA39
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA38
3K273TA52
3K273TA53
3K273TA54
3K273UA06
3K273UA22
3K273UA27
3K273VA02
3K273VA08
3K273VA10
(57)【要約】
【課題】機器の損傷を低減することができる照明装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る照明装置は、受電部と、基準電力線と、切替部とを具備する。受電部は、所定規格の電力を供給可能な通信ケーブルから供給される電力および信号を電力線と信号線とに分岐させ、自装置に着脱可能に接続された下位装置へ電力線を介して給電する。基準電力線は、受電部および下位装置の間の電力線から分岐して基準電位に接続される。切替部は、下位装置が自装置に接続されていない場合に、受電部と下位装置との通電を遮断するとともに、受電部と基準電位とを通電する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定規格の電力を供給可能な通信ケーブルから供給される電力および信号を電力線と信号線とに分岐させ、自装置に着脱可能に接続された下位装置へ前記電力線を介して給電する受電部と;
前記受電部および前記下位装置の間の前記電力線から分岐して基準電位に接続される基準電力線と;
前記下位装置が前記自装置に接続されていない場合に、前記受電部と前記下位装置との通電を遮断するとともに、前記受電部と前記基準電位とを通電する切替部と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記切替部は、
前記基準電力線に設けられる第1リレーであり、
前記第1リレーは、
前記下位装置が前記自装置に接続されていない場合に、オンし、前記下位装置が前記自装置に接続されている場合に、オフすること
を特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記切替部は、
前記基準電力線の分岐点と前記下位装置との間に設けられる第2リレーであり、
前記第2リレーは、
前記下位装置が前記自装置に接続されていない場合に、オフし、前記下位装置が前記自装置に接続されている場合に、オンすること
を特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記電力線に接続され、前記下位装置を着脱可能に接続する接続装置;
をさらに具備し、
前記第2リレーは、
前記接続装置の内部に配置されること
を特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記受電部は、
前記通信ケーブルに接続される第1受電部と、
系統電源に接続される第2受電部と、
前記第1受電部および前記第2受電部それぞれに接続され、前記第1受電部および前記第2受電部それぞれの電力を統合し、前記電力線を介して前記下位装置へ給電する電流バランス部と、
を有し、
前記基準電力線は、
前記電流バランス部と前記下位装置との間の前記電力線から分岐して前記基準電位に接続されること
を特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を供給可能な通信ケーブル(いわゆるPoEケーブル;Power over Ethernet;登録商標)を介してカメラや照明装置を接続することによって、通信環境および電源の双方を確保できる照明システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、通信ネットワークにおけるノードとなる照明装置にカメラユニット等の下位装置が着脱可能に接続される場合がある。かかる場合、下位装置は、照明装置に対して活線挿抜により接続されると、照明装置や下位装置が損傷を受けるおそれがあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、機器の損傷を低減することができる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、受電部と、基準電力線と、切替部とを具備する。前記受電部は、所定規格の電力を供給可能な通信ケーブルから供給される電力および信号を電力線と信号線とに分岐させ、自装置に着脱可能に接続された下位装置へ前記電力線を介して給電する。前記基準電力線は、前記受電部および前記下位装置の間の前記電力線から分岐して基準電位に接続される。前記切替部は、前記下位装置が前記自装置に接続されていない場合に、前記受電部と前記下位装置との通電を遮断するとともに、前記受電部と前記基準電位とを通電する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機器の損傷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る照明装置を含む照明システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る照明装置の外観の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る照明装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】照明システムにおいて実行される切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】照明システムにおいて実行される切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係る照明装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】照明システムにおいて実行される切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】照明システムにおいて実行される切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係る照明装置50は、受電部(第1受電部51、第2受電部52および電流バランス部53)と、基準電力線114bと、切替部(第1リレー300、第2リレー400)とを具備する。受電部は、所定規格の電力を供給可能な通信ケーブル3~5から供給される電力および信号を電力線と信号線とに分岐させ、自装置に着脱可能に接続された下位装置へ電力線114を介して給電する。基準電力線114bは、受電部および下位装置の間の電力線114から分岐して基準電位に接続される。切替部は、下位装置が自装置に接続されていない場合に、受電部と下位装置との通電を遮断するとともに、受電部と基準電位とを通電する。
【0010】
また、以下に説明する切替部は、基準電力線114bに設けられる第1リレー300である。第1リレー300は、下位装置が自装置に接続されていない場合に、オンし、下位装置が自装置に接続されている場合に、オフする。
【0011】
また、以下に説明する切替部は、基準電力線114bの分岐点200と下位装置との間に設けられる第2リレー400である。第2リレー400は、下位装置が自装置に接続されていない場合に、オフし、下位装置が自装置に接続されている場合に、オンする。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る照明装置50は、接続装置(インジェクタ64)をさらに具備する。接続装置は、電力線114に接続され、下位装置を着脱可能に接続する。第2リレー400は、接続装置の内部に配置される。
【0013】
また、以下に説明する受電部は、第1受電部51と、第2受電部52と、電流バランス部53とを具備する。第1受電部51は、通信ケーブル4に接続される。第2受電部52は、系統電源70に接続される。電流バランス部53は、第1受電部51および第2受電部52それぞれに接続され、第1受電部51および第2受電部52それぞれの電力を統合し、電力線114を介して下位装置へ給電する。基準電力線114bは、電流バランス部53と下位装置との間の電力線114から分岐して基準電位に接続される。
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明が開示する技術を限定するものではない。また、実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
<照明システム>
図1は、実施形態に係る照明装置を含む照明システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、照明システム100は、管理装置20と、給電装置30と、照明装置40と、照明装置50と、照明装置80と、撮像装置90とを有する。
図1に示すように、管理装置20と、給電装置30と、照明装置40と、照明装置50と、照明装置80と、撮像装置90とは、バス型のネットワークトポロジーとして構成される。
【0016】
管理装置20は、照明装置40の動作状況等を管理する情報処理装置である。管理装置20は、例えば照明装置40等を管理する管理者によって利用される。また、管理装置20は、照明装置50の動作状況等を管理することができる。なお、管理装置20としては、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC、スマートフォン、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などを用いることができるが、これらに限られない。
【0017】
給電装置30は、電力線1を介して系統電源10に接続され、系統電源10から供給される電力を所定規格の電力に変換することができる。ここで、所定規格とは、例えば直流電圧を指すが、これに限定されるものではなく、交流電圧であってもよい。
【0018】
管理装置20と給電装置30とは、例えば各種の情報を示す信号を送受信可能な信号線2を介して接続される。
図1では、信号線2を一点鎖線で示している。管理装置20と給電装置30との間で送受信される各種の情報としては、管理装置20から給電装置30、照明装置40、および照明装置50へ送信される動作指示情報などを例示できる。また、かかる各種の情報として、照明装置50から照明装置40および給電装置30を介して管理装置20へ送信される動作状況情報などを例示できる。かかる各種の情報は、これら例示するものに限られない。なお、管理装置20と給電装置30とは、有線通信であっても、無線通信であってもよく、また、ネットワークを介した通信であってもよい。
【0019】
照明装置40は、光源を有する照明ユニットを有し、所定範囲を照明することができる。照明装置40は、例えば、天井直付けタイプの照明装置であり、いわゆるベースライトである。
図1に示す例において、照明装置40は、照明ユニットに加え、例えば、所定範囲を撮像するカメラユニットを有してもよい。なお、照明装置40は、ベースライトに限られず、シーリングライトなどであってもよい。
【0020】
給電装置30と照明装置40とは、通信ケーブル3を介して接続される。
図1では、通信ケーブル3および後述する通信ケーブル4、5を太い実線で示している。給電装置30は、後述する通信ケーブル3を介して、所定規格の電力を照明装置40に供給できる。
【0021】
照明装置50は、通信ケーブル4を介して受電した電力を消費して点灯する照明部を有する。照明装置50は、例えば、カメラユニットを有してもよい。また、照明装置50は、例えば、スマートセンサなどを内蔵してもよい。
【0022】
照明装置40と照明装置50とは、通信ケーブル4を介して接続される。照明装置40は、通信ケーブル4を介して、給電装置30から供給された電力のうち、照明ユニットおよびカメラユニット等の駆動に要した電力を除いた余剰電力を照明装置50に供給できる。
【0023】
また、照明装置50は、電力線7を介して系統電源70に接続され、系統電源70から供給される電力を所定規格の電力に変換することができる。ここで、所定規格とは、例えば直流電圧を指すが、これに限定されるものではなく、交流電圧であってもよい。
【0024】
照明装置80は、通信ケーブル5を介して受電した電力を消費して点灯する照明部を有する。照明装置80は、例えば、カメラユニットを有してもよい。また、照明装置50は、例えば、スマートセンサなどを内蔵してもよい。
【0025】
通信ケーブル3~5は、所定規格の電力を供給可能で、かつ、信号(例えば、照明装置40、50、80および撮像装置90を制御する制御信号)を送受信可能である。詳しくは、通信ケーブル3~5は、信号を送受信するLAN(Local Area Network)ケーブルとしての機能に加え、照明装置40、50、80に対して電力を供給する電源ケーブルとしても機能する、いわゆるPoEケーブルにより実装される。なお、後述するその他の通信ケーブルについても、通信ケーブル3~5と同様の機能を有する。以下、その他の通信ケーブルに関する詳細な説明は省略する。
【0026】
さらに、照明装置80は、信号線8を介して撮像装置90に接続されてもよい。撮像装置90は、例えば、ネットワークアドレス(いわゆるIP(Internet Protocol)アドレス)を有するネットワークカメラである。
【0027】
また、照明装置40、50、80それぞれには、例えば、カメラユニット66a(
図3参照)等の下位装置が着脱可能に接続される。照明装置40、50、80それぞれは、通信ケーブル3~5を介して受電した電力を下位装置へ給電する。なお、下位装置は、カメラユニット66aに限定されるものではなく、任意の電子機器であってよい。
【0028】
ここで、例えば、下位装置が照明装置40、50、80それぞれに対して活線挿抜により着脱される場合、照明装置40、50、80や下位装置が損傷を受けるおそれがあった。
【0029】
そこで、実施形態に係る照明装置40、50、80では、下位装置が接続されていない場合には、下位装置の接続箇所の通電を遮断するようにした。つまり、実施形態に係る照明装置40、50、80によれば、通電が遮断された状態で下位装置を接続できるため、活線挿抜にならない。従って、実施形態に係る照明装置40、50、80によれば、照明装置40、50、80や下位装置の損傷を低減することができる。
【0030】
[照明装置]
次に、
図2を用いて実施形態に係る照明システム100に適応しうる照明装置の具体例について説明する。
図2は、実施形態に係る照明装置の外観の一例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る照明装置50は、照明ユニット153と、カメラユニット156と、電源ユニット159とを備える。また、照明ユニット153と、カメラユニット156とは、L字金具を介してネジ止めされ、照明ユニット153と、電源ユニット159とは、連結部152を介して連結される。照明装置50は、例えば工場での生産ラインの監視やオフィス内での従業員の状態監視などの用途で主に屋内で使用する複数の照明装置間の接続や、下位装置としての電子機器の増設等に使用することができる。
【0031】
連結部152は、さらに、取付部151と接合し、取付部151を介して、照明装置50が天井などの設置面に取り付けられる。
【0032】
照明ユニット153は、光源部154と、フィン155とを備える。フィン155は、光源部154の上部に設けられ、光源部154の発光による発熱を冷却する。光源部154は、基板154a上にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子154bが設けられる。
【0033】
また、光源部154の出射面は、カバー(不図示)によって覆われてもよい。なお、カバーは、例えば、光透過性のガラスや樹脂である。なお、
図2に示す例では、光源部154が4つの基板21aから構成される場合を示しているが、これに限定されるものではない。たとえば、光源部154は、長尺の基板154aの長手方向に沿って配列された複数の発光素子154bをカバーで覆ったいわゆる照明バーであってもよい。
【0034】
また、カメラユニット156は、レンズ157と撮像部158とを備える。撮像部158は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像センサや、画像または映像を撮影するのに必要となる各種部品が含まれる。また、撮像部158の下面は、レンズ157によって覆われる。
【0035】
また、光源部154と、撮像部158との向きは、それぞれ取り付け時に同一の方向を向くことになる。これにより、光源部154によって光が照射されたエリアを撮像部158によって撮像することができるため、撮影対象の照度を確保することができ、鮮明な画像を撮像することが可能となる。
【0036】
また、照明装置50は、天井に設置されるので、天井から空間内を俯瞰した画像を撮影することができる。なお、照明装置50の外観形状は、一例であり、ベースライト、シーリングライトなど、その他の形状であってもよい。また、
図2に示す照明装置50は、例えば、
図1に示す照明装置40、80として適用してもよい。
【0037】
次に、
図3を用いて実施形態に係る照明装置50の構成例について説明する。
図3は、実施形態に係る照明装置の構成を示す機能ブロック図である。なお、
図3には、照明装置50の他、照明装置40および系統電源70をあわせて示す。
【0038】
図3に示すように、照明装置50は、第1受電部51、第2受電部52、電流バランス部53、照明ユニット56、制御基板57、L3スイッチ58、インジェクタ64,65、カメラ収納部66および機器収納部67を有する。なお、第1受電部51、第2受電部52および電流バランス部53は、受電部の一例である。
【0039】
第1受電部51は、照明装置40から出力される余剰電力(直流)を、通信ケーブル4を介して受電する。第1受電部51は、受電部の一例である。
【0040】
第1受電部51の二次側には、電流バランス部53、L3スイッチ58がそれぞれ接続されている。第1受電部51は、照明装置40からの電力および信号を分岐させて電流バランス部53およびL3スイッチ58へ供給する。
【0041】
詳しくは、第1受電部51は、一次側に接続された通信ケーブル4から供給される電力および信号を電力線111と信号線121とに分岐させる。電力線111は、第1受電部51と電流バランス部53とを接続する。信号線121は、第1受電部51とL3スイッチ58とを接続する。すなわち、第1受電部51は、一次側に接続された通信ケーブル4から供給される信号および電力のうち、電力を電流バランス部53へ出力し、信号をL3スイッチ58へ出力する。
【0042】
第2受電部52は、系統電源70から出力される交流電力を、電力線7を介して受電する。第2受電部52は、受電した交流電力を直流電力に変換する。
【0043】
第2受電部52の二次側には、電流バランス部53、L3スイッチ58がそれぞれ接続されている。第2受電部52は、受電した交流電力を変換した直流電力を、電力線112を介して電流バランス部53へ供給する。第2受電部52は、信号線122を介してL3スイッチ58に接続されている。
【0044】
電流バランス部53は、電力線111を介して第1受電部51に接続されている。電流バランス部53は、電力線112を介して第2受電部52に接続されている。電流バランス部53は、電力線113を介して制御基板57に接続されている。電流バランス部53は、電力線114,115を介してインジェクタ64,65にそれぞれ接続されている。電流バランス部53は、電力線116を介して照明ユニット56の電源部56aに接続されている。
【0045】
電流バランス部53は、第1受電部51および第2受電部52からそれぞれ出力される電力を統合する。電流バランス部53は、第1受電部51および第2受電部52から出力される電流同士をバランスさせて、照明ユニット56の電源部56a、制御基板57、インジェクタ64,65へ出力する。また、電流バランス部53は、第1受電部51および第2受電部52からそれぞれ出力される電力の電流値を取得する。
【0046】
電流バランス部53は、図示しない電流バランス回路を有する。電流バランス回路は、第1受電部51および第2受電部52と電流バランス部53との間の電力線を導通または開放するスイッチを有する。例えば、スイッチは、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子を有しており、第1受電部51と電流バランス部53との間の電力線111、および、第2受電部52と電流バランス部53との間の電力線112の間に介挿される。
【0047】
そして、スイッチは、上記したスイッチング素子がオン・オフされることによって、第1受電部51と電流バランス部53との間の電力線111を導通または開放したり、第2受電部52と電流バランス部53との間の電力線112を導通または開放したりする。これにより、電流バランス部53は、第1受電部51および第2受電部52からそれぞれ入力される電力の電流をバランスさせる。
【0048】
照明ユニット56は、電流バランス部53から供給された電力を用いて点灯する。照明ユニット56は、電源部56aと、光源部56bとを有する。電源部56aは、電力線116を介して電流バランス部53に接続されている。電源部56aは、信号線127を介してL3スイッチのポート62に接続されている。電源部56aは、電力線117および信号線128を介して光源部56bに接続されている。照明ユニット56は、例えば、
図2に示す照明ユニット153であってもよい。
【0049】
電源部56aは、光源部56bの点灯に必要な電力を電力線116から取得し、電力線117を介して光源部56bに供給する。電源部56aは、光源部56bの制御信号を信号線127から取得し、信号線128を介して光源部56bの点灯を制御する。
【0050】
制御基板57は、信号線123を介してL3スイッチ58に接続される。また、制御基板57は、照明ユニット56の光源部56bの点灯に関する制御信号を、信号線123を介してL3スイッチ58に出力する。制御基板57は、例えば光源部56bの調光に関する調光信号を、信号線123を介してL3スイッチ58に出力する。また、制御基板57には、照明装置50のネットワークアドレス(いわゆるIP(Internet Protocol)アドレス)が記憶されてもよい。
【0051】
L3スイッチ58は、通信ケーブル4から入力され、第1受電部51で分岐された信号の出力先を分配する。L3スイッチ58は、分配装置の一例である。L3スイッチ58は、信号線121を介して第1受電部51と接続されている。L3スイッチ58は、信号線122を介して第2受電部52と接続されている。L3スイッチ58は、信号線123を介して制御基板57と接続されている。
【0052】
L3スイッチ58は、ポート59~62をそれぞれ有している。ポート59には、信号線124が接続されている。信号線124は、信号延長の用途で照明装置50の外部(
図1に示す照明装置80等)に引き出して用いることができる。
【0053】
ポート60,61には、信号線125,126がそれぞれ接続されている。信号線125,126は、インジェクタ64,65にそれぞれ接続されている。
【0054】
ポート62には、信号線127が接続されている。信号線127は、照明ユニット56の電源部56aに接続されている。
【0055】
また、L3スイッチ58には、インジェクタ64,65に接続された電子機器、例えば、カメラユニット66a、機器ユニット67aに関する情報が記憶されてもよい。
【0056】
インジェクタ64,65には、通信ケーブル(PoEケーブル)対応の電子機器が着脱可能に接続される。例えば、インジェクタ64は、電力線114と信号線125とを再度重畳させて、カメラ収納部66に収納され、通信ケーブル101を介してインジェクタ64に接続されたカメラユニット66aへ電力および信号を出力することができる。カメラユニット66aは、例えば、
図2に示すカメラユニット66aであってもよい。
【0057】
また、インジェクタ65は、電力線115と信号線126とを再度重畳させて、機器収納部67に収納され、通信ケーブル102を介してインジェクタ65に接続された機器ユニット67aへ電力および信号を出力することができる。機器ユニット67aとしては、特に制限されるものではないが、例えば、センサユニット、無線ユニットなどであってもよい。
【0058】
上記したように、カメラユニット66aおよび機器ユニット67aは、収納部の一例であるカメラ収納部66および機器収納部67にそれぞれ着脱可能に収納されている。これにより、カメラユニット66aおよび機器ユニット67aの交換作業が容易になる。
【0059】
また、
図3に示すように、電流バランス部53およびインジェクタ64の間の電力線114は、分岐点200において給電電力線114aと基準電力線114bとに分岐している。
【0060】
基準電力線114bは、分岐点200と反対側の端部がグランド(基準電位の一例)に接続される。なお、基準電力線114bの端部は、グランドに限らず、基準電位となる箇所に接続可能である。
【0061】
また、基準電力線114bには、第1リレー300(切替部の一例)が設けられる。第1リレー300は、下位装置であるカメラユニット66aの着脱の有無に応じてオンおよびオフを切り替える。
【0062】
具体的には、第1リレー300は、カメラユニット66aが照明装置50(カメラ収納部66)に接続されている場合には、電流バランス部53とカメラユニット66aとを通電する。
【0063】
より具体的には、第1リレー300は、カメラユニット66aが照明装置50(カメラ収納部66)に接続されている場合にはオフすることで、電流バランス部53および基準電位の間の通電を遮断し、電流バランス部53およびカメラユニット66aの間を通電する。
【0064】
一方、第1リレー300は、カメラユニット66aが照明装置50に接続されていない場合には、電流バランス部53とカメラユニット66aとの通電を遮断するとともに、電流バランス部53と基準電位とを通電する。
【0065】
より具体的には、第1リレー300は、カメラユニット66aが照明装置50に接続されていない場合にはオンすることで、電流バランス部53およびカメラユニット66aの間の通電を遮断し、電流バランス部53および基準電位の間を通電する。
【0066】
なお、基準電位は、カメラユニット66aの電位よりも低く設定する。これにより、第1リレー300がオンされた場合に、電流バランス部53から供給される電流を基準電位側へ流すことができる。
【0067】
なお、第1リレー300の制御は、ユーザからの着脱要求を起点に行われる。例えば、カメラユニット66aを接続する場合、カメラユニット66aを接続後にユーザから接続要求を受け付けてから第1リレー300の制御を行い、カメラユニット66aへ通電する。
【0068】
一方、カメラユニット66aを脱離する場合、カメラユニット66aを脱離する前にユーザから脱離要求を受け付けて第1リレー300の制御を行い、カメラユニット66aへの通電を遮断する。そして、ユーザは、通電が遮断された後、カメラユニット66aを脱離する。
【0069】
なお、第1リレー300の制御は、カメラユニット66aの着脱要求を受け付けた管理装置20が直接行ってもよく、制御基板57が管理装置20から指示を受けて行ってもよい。あるいは、制御基板57がカメラユニット66aの着脱要求を直接受け付けて第1リレー300を制御してもよい。なお、
図3に示す例では、第1リレー300は、制御基板57が制御するものとし、制御基板57から第1リレー300を制御するための制御線については図示を省略するものとする。
【0070】
また、インジェクタ65は、機器ユニット67aの接続に限らず、例えば照明装置50の下位装置との接続に使用することができる。例えば、通信ケーブル102に代えて、外部接続用の通信ケーブル5を接続すると、例えば
図1に示す照明装置80と接続することができる。これにより、L3スイッチ58は、照明装置50の内部における二次側だけでなく、照明装置50に接続された下位装置としての照明装置80に信号を出力することができる。
【0071】
このとき、L3スイッチ58が、出力先のネットワークアドレスに基づいて信号を出力してもよい。このように出力先のネットワークアドレスと制御信号とを合わせて出力すると、照明システム100を適切に動作させることができる。
【0072】
次に、
図4および
図5を用いて、実施形態に係る照明システム100において実行される切替処理の処理手順について説明する。
図4および
図5は、照明システム100において実行される切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
図4では、下位装置を接続する場合の第1リレー300の切替処理の処理手順を示し、
図5では、下位装置を脱離する場合の第1リレー300の切替処理の処理手順を示す。
【0074】
まず、
図4を用いて、下位装置を接続する場合の第1リレー300の切替処理について説明する。
図4に示すように、管理装置20は、ユーザから下位装置の接続要求があったか否かを判定する(ステップS101)。
【0075】
管理装置20は、下位装置の接続要求があった場合(ステップS101:Yes)、照明装置50は、管理装置20の指示に従って第1リレー300をオンからオフに切り替える(ステップS102)。なお、管理装置20は、下位装置の接続要求がなかった場合(ステップS101:No)、処理を終了する。
【0076】
そして、管理装置20は、照明装置50から第1リレー300の切替完了通知を受け付けると、ユーザに対して下位装置の通電完了通知を通知し(ステップS103)、処理を終了する。
【0077】
次に、
図5を用いて、下位装置を脱離する場合の第1リレー300の切替処理について説明する。
図5に示すように、管理装置20は、ユーザから下位装置の脱離要求があったか否かを判定する(ステップS201)。
【0078】
管理装置20は、下位装置の脱離要求があった場合(ステップS201:Yes)、照明装置50は、管理装置20の指示に従って第1リレー300をオフからオンに切り替える(ステップS202)。なお、管理装置20は、下位装置の脱離要求がなかった場合(ステップS201:No)、処理を終了する。
【0079】
そして、管理装置20は、照明装置50から第1リレー300の切替完了通知を受け付けると、ユーザに対して下位装置の脱離許可通知を通知し(ステップS203)、処理を終了する。
【0080】
上述してきたように、実施形態に係る照明装置50は、受電部(第1受電部51、第2受電部52および電流バランス部53)と、基準電力線114bと、切替部(第1リレー300、後述する第2リレー400)とを具備する。受電部は、所定規格の電力を供給可能な通信ケーブル3~5から供給される電力および信号を電力線と信号線とに分岐させ、自装置に着脱可能に接続された下位装置へ電力線114を介して給電する。基準電力線114bは、受電部および下位装置の間の電力線114から分岐して基準電位に接続される。切替部は、下位装置が自装置に接続されていない場合に、受電部と下位装置との通電を遮断するとともに、受電部と基準電位とを通電する。これにより、機器(照明装置50や下位装置)の損傷を低減することができる。
【0081】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、基準電力線114bに切替部である第1リレー300が設けられる場合を示したが、例えば、給電電力線114a側に配置されてもよい。
【0082】
図6は、変形例に係る照明装置50の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、変形例では、切替部である第2リレー400がインジェクタ64(接続装置の一例)の内部に設けられる。換言すれば、第2リレー400は、基準電力線114bの分岐点200と下位装置であるカメラユニット66aとの間に設けられる。
【0083】
第2リレー400は、カメラユニット66aが照明装置50に接続されている場合には、電流バランス部53とカメラユニット66aとを通電する。
【0084】
具体的には、第2リレー400は、カメラユニット66aが照明装置50に接続されている場合にはオンすることで、電流バランス部53およびカメラユニット66aの間を通電する。
【0085】
なお、基準電位は、カメラユニット66aの電位よりも高く設定する。これにより、第2リレー400がオンされた場合に、電流バランス部53から供給される電流をカメラユニット66a側へ流すことができる。
【0086】
一方、第2リレー400は、カメラユニット66aが照明装置50に接続されていない場合には、電流バランス部53と基準電位とを通電する。
【0087】
具体的には、第2リレー400は、カメラユニット66aが照明装置50に接続されていない場合にはオフすることで、電流バランス部53およびカメラユニット66aの間の通電を遮断し、電流バランス部53および基準電位の間を通電する。
【0088】
なお、第2リレー400は、インジェクタ64の内部に配置される場合に限らず、分岐点200およびインジェクタ64の間に配置されてもよい。
【0089】
次に、
図7および
図8を用いて、変形例に係る照明システム100において実行される切替処理の処理手順について説明する。
図7および
図8は、照明システム100において実行される切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0090】
図7では、下位装置を接続する場合の第2リレー400の切替処理の処理手順を示し、
図8では、下位装置を脱離する場合の第2リレー400の切替処理の処理手順を示す。
【0091】
まず、
図7を用いて、下位装置を接続する場合の第2リレー400の切替処理について説明する。
図7に示すように、管理装置20は、ユーザから下位装置の接続要求があったか否かを判定する(ステップS301)。
【0092】
管理装置20は、下位装置の接続要求があった場合(ステップS301:Yes)、照明装置50は、管理装置20の指示に従って第2リレー400をオフからオンに切り替える(ステップS302)。なお、管理装置20は、下位装置の接続要求がなかった場合(ステップS301:No)、処理を終了する。
【0093】
そして、管理装置20は、照明装置50から第2リレー400の切替完了通知を受け付けると、ユーザに対して下位装置の通知完了通知を通知し(ステップS303)、処理を終了する。
【0094】
次に、
図8を用いて、下位装置を脱離する場合の第2リレー400の切替処理について説明する。
図8に示すように、管理装置20は、ユーザから下位装置の脱離要求があったか否かを判定する(ステップS401)。
【0095】
管理装置20は、下位装置の脱離要求があった場合(ステップS401:Yes)、照明装置50は、管理装置20の指示に従って第2リレー400をオンからオフに切り替える(ステップS402)。なお、管理装置20は、下位装置の脱離要求がなかった場合(ステップS401:No)、処理を終了する。
【0096】
そして、管理装置20は、照明装置50から第2リレー400の切替完了通知を受け付けると、ユーザに対して下位装置の脱離許可通知を通知し(ステップS403)、処理を終了する。
【0097】
[その他の変形例]
上記実施形態に係る照明装置50は、カメラユニット66aおよび機器ユニット67aを着脱可能に収納するとして説明したが、これに限られず、例えば、複数の機器ユニット67aを収納してもよい。
【0098】
また、上記した実施形態では、第2受電部52は、系統電源70に接続されるとして説明したが、これに限らず、給電装置に接続されてもよい。
【0099】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
20 管理装置
30 給電装置
40 照明装置
50 照明装置
51 第1受電部
52 第2受電部
53 電流バランス部
56 照明ユニット
58 L3スイッチ