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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022810
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】採暖用具及び採暖用具蓄熱方法
(51)【国際特許分類】
   F24S 60/10 20180101AFI20220131BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20220131BHJP
   C09K 5/06 20060101ALN20220131BHJP
   A61F 7/03 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
F24S60/10
F28D20/02 D
C09K5/06
A61F7/08 314
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117278
(22)【出願日】2020-07-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河原 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】中村 洸平
(72)【発明者】
【氏名】西川 直樹
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA19
4C099GA02
4C099GA21
4C099HA08
4C099LA01
4C099LA13
4C099LA14
4C099LA21
(57)【要約】
【課題】蓄熱材を用いた採暖用具において、蓄熱ムラを抑制し、高効率に蓄熱すること。
【解決手段】太陽光の吸収を促す色に呈色された着色剤25が配合され、過冷却状態で蓄熱可能な潜熱蓄熱材組成物21と、表面と裏面とをシールするシール部111によって、潜熱蓄熱材組成物21を封入する蓄熱材封入部117を形成され、少なくとも表面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成されたマット状容器11と、を有し、マット状容器11は、シール部111と蓄熱材封入部117との境界119のうち、非直線となる部分119aが円弧状に設けられており、境界119に沿って、太陽光の吸収を促す色に着色された着色部121を設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の吸収を促す色に呈色された着色剤が配合され、過冷却状態で蓄熱可能な蓄熱材と、
表面と裏面とをシールするシール部によって、前記蓄熱材を封入する蓄熱材封入部を形成され、少なくとも前記表面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成されたマット状容器と、
を有し、
前記マット状容器は、
前記シール部と前記蓄熱材封入部との境界のうち、非直線となる部分が円弧状に設けられており、
少なくとも前記表面に前記境界に沿って、太陽光の吸収を促す色に着色された着色部が設けられていること、
を特徴とする採暖用具。
【請求項2】
請求項1に記載する採暖用具において、
前記蓄熱材が、過冷却状態によって蓄熱可能であり、
前記蓄熱材と共に前記蓄熱材封入部に封入され、前記過冷却状態を解除する過冷却解除部材を有し、
前記シール部は、前記マット状容器の外形に沿って設けられた外周シール部と、前記マット状容器の折り目を形成する折り目シール部と、を含み、
前記蓄熱材封入部は、前記外周シール部と前記折り目シール部とによって、連続して設けられていること、
を特徴とする採暖用具。
【請求項3】
請求項2に記載する採暖用具において、
前記マット状容器は、前記表面と前記裏面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成され、外形が四角状をなし、
前記外周シール部は、前記マット状容器の外形に沿って四角状に設けられ、
前記折り目シール部は、前記外周シール部の対向する第1辺と第2辺に対して垂直に設けられた複数の折り目シール部であり、
前記複数の折り目シール部は、
前記第1辺と前記第2辺に交互に接続しており、
前記第1辺と前記第2辺との中間までそれぞれ設けられていること、
を特徴とする採暖用具。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つに記載する採暖用具を蓄熱する採暖用具蓄熱方法であって、
ソーラクッカの食材を加熱する所定位置に前記採暖用具を配置することにより、前記蓄熱材に蓄熱すること、
を特徴とする採暖用具蓄熱方法。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載する採暖用具を蓄熱する採暖用具蓄熱方法であって、
ソーラクッカの食材を加熱する所定位置に前記採暖用具を折り畳んだ状態で配置することにより、前記蓄熱材に蓄熱すること、
を特徴とする採暖用具蓄熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱材を用いた採暖用具及び採暖用具蓄熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば図11に示すように、特許文献1には、太陽光の吸収を促す色(例えば黒色)に呈色する色素を有した着色剤を配合した潜熱蓄熱材110を、表面が透明で太陽光を透過する樹脂材料によって形成されたマット状容器101に封入した採暖用具100が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-12084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の採暖用具100は、マット状容器101の縁部をシール部103によってシールすることで、潜熱蓄熱材110を封入する蓄熱材封入部105が四角形状に形成されていた。かかる採暖用具100では、蓄熱材封入部105の角部Qが直角をなし、潜熱蓄熱材110が角部Qに十分に行き渡らず、角部Q付近の厚みが中央部Rの厚みの約半分であった。また、シール部103と潜熱蓄熱材110との間の境界120の付近も、中央部Rより厚みが薄いことがあった。そのため、採暖用具100は、角部Qや境界120の付近の色合いが中央部Rの色合いより薄かった。この色ムラによって、角部Qや境界120の付近の潜熱蓄熱材110は、中央部Rの潜熱蓄熱材110より、蓄熱しにくかった。よって、従来の採暖用具100には、蓄熱ムラを改善する余地があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、蓄熱材を用いた採暖用具において、蓄熱ムラを抑制し、高効率に蓄熱する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る採暖用具は、(1)太陽光の吸収を促す色に呈色された着色剤が配合され、過冷却状態で蓄熱可能な蓄熱材と、表面と裏面とをシールするシール部によって、前記蓄熱材を封入する蓄熱材封入部を形成され、少なくとも前記表面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成されたマット状容器と、を有し、前記マット状容器は、前記シール部と前記蓄熱材封入部との境界のうち、非直線となる部分が円弧状に設けられており、少なくとも前記表面に前記境界に沿って、太陽光の吸収を促す色に着色された着色部が設けられていること、を特徴とする。
【0007】
上記構成の採暖用具では、蓄熱材封入部とシール部との境界のうち、非直線となる部分を円弧状にすることで、境界付近の厚みが中央部の厚みに近づけられる。これにより、採暖用具は、透明のマット状容器に封入された潜熱蓄熱材によって、境界付近まで太陽光の吸収を促す色になり、色合いの違いによる蓄熱ムラが低減される。また、マット状容器は、少なくとも透明材料で形成された表面に境界に沿って、太陽光の吸収を促す色に着色された着色部を設けることで、蓄熱材によって着色される境界付近の色合いが中央部より薄い場合でも、境界付近の蓄熱材への太陽光の吸収を着色部によって補完することができる。このように、上記構成の採暖用具によれば、マット状容器に封入された蓄熱材に均一に蓄熱することができるので、蓄熱ムラを抑制し、高効率に蓄熱することができる。
【0008】
(2)(1)に記載する採暖用具において、前記蓄熱材が、過冷却状態によって蓄熱可能であり、前記蓄熱材と共に前記蓄熱材封入部に封入され、前記過冷却状態を解除する過冷却解除部材を有し、前記シール部は、前記マット状容器の外形に沿って設けられた外周シール部と、前記マット状容器の折り目を形成する折り目シール部と、を含み、前記蓄熱材封入部は、前記外周シール部と前記折り目シール部とによって、連続して設けられていること、が好ましい。
【0009】
上記構成の採暖用具では、蓄熱材封入部が、外周シール部と折り目シール部とによって連続して設けられているので、採暖用具を折り畳んだとき、あるいは、折り畳んだ採暖用具を積み上げたときの安定性を確保できる。
【0010】
(3)(2)に記載する採暖用具において、前記マット状容器は、前記表面と前記裏面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成され、外形が四角状をなし、前記外周シール部は、前記マット状容器の外形に沿って四角状に設けられ、前記複数の折り目シール部は、前記外周シール部の対向する第1辺と第2辺に対して垂直に設けられ、前記第1辺と前記第2辺に交互に接続しており、前記第1辺と前記第2辺との中間までそれぞれ設けられていること、が好ましい。
【0011】
上記構成の採暖用具は、外周シール部の対向する第1辺と第2辺に対して垂直に設けられた複数の折り目シール部に沿って、折り畳まれる。複数の折り目シール部が第1辺と第2辺に交互に接続するので、蓄熱材封入部は蛇行して設けられる。複数の折り目シール部が、第1辺と第2辺との中間までそれぞれ設けられているので、折り目の蓄熱材が第1辺側と第2辺側の何れかに偏らず、折り畳んだ状態が安定する。採暖用具は、マット状容器の表面と裏面が透明であるので、折り畳んだ状態でも太陽光が蓄熱材全体を透過する。よって、上記構成の採暖用具は、安定的かつ効率的に蓄熱を行うことができる。
【0012】
(4)(1)から(3)の何れか1つに記載する採暖用具を蓄熱する採暖用具蓄熱方法であって、ソーラクッカの食材を加熱する所定位置に前記採暖用具を配置することにより、前記蓄熱材に蓄熱すること、を特徴とする。
【0013】
上記構成の採暖用具蓄熱方法では、ソーラクッカが所定位置に集めた太陽光が採暖用具の境界の蓄熱材に効率良く吸収されるので、蓄熱ムラを抑制しつつ、蓄熱効率を向上させることができる。
【0014】
(5)(2)または(3)に記載する採暖用具を蓄熱する採暖用具蓄熱方法であって、ソーラクッカの食材を加熱する所定位置に前記採暖用具を折り畳んだ状態で配置することにより、前記蓄熱材に蓄熱すること、を特徴とする。
【0015】
上記構成の採暖用具蓄熱方法では、採暖用具を折り畳んで全高を高くした状態でソーラクッカの所定位置に配置するので、折り畳まずに平置きする場合に比べ、ソーラクッカによって集められる太陽光の量が増える。よって、上記構成の採暖用具蓄熱方法によれば、ソーラクッカを用いて採暖用具を蓄熱する場合の蓄熱効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓄熱材を用いた採暖用具において、蓄熱ムラを抑制し、高効率に蓄熱する技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】災害時用マットの平面図である。
図2図1のA部拡大断面図である。
図3】災害時用マットの使用例を説明する図である。
図4図1に示す災害時用マットに使用される蓄熱材組成物の構成成分を模式的に示す図である。
図5】災害時用マットの蓄熱方法を説明する図である。
図6】蓄熱性能試験におけるボタン電池型温度計の取付位置を説明する図である。
図7】性能試験条件を示す表である。
図8】性能試験結果を示すグラフである。
図9】採暖用具蓄熱方法の変形例を示す図である。
図10】採暖用具蓄熱方法の変形例を示す図である。
図11】従来の採暖用具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、蓄熱材を使用した採暖用具、及び、採暖用具の蓄熱材に蓄熱する採暖用具蓄熱方法を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、例えば、自然災害時に使用される採暖用マット、及び、その採暖用マットの蓄熱材に蓄熱する蓄熱方法を開示するものである。
【0019】
<災害時用マットについて>
図1は、災害時用マット1を示す図である。本実施形態の災害時用マット1は、暖をとるための災害時用マットである。災害時用マット1は、マット状の透明の袋体からなるマット状容器11に、潜熱蓄熱材組成物21と金属片31とが封入されている。災害時用マット1は「採暖用具」の一例である。潜熱蓄熱材組成物21は「蓄熱材」の一例である。金属片31は「過冷却解除部材」の一例である。
【0020】
潜熱蓄熱材組成物21としては、寝床内などの災害時用マット1の周辺における温度を30℃~40℃に保つ性能をもつものを使用する。寝床内などの災害時用マット1の周辺における温度を30℃~40℃に保てば、使用者は、災害時用マット1に直接触れても、低温やけどを起こし難くなる。災害時用マット1は、湯たんぽや電気あんか位のサイズでもいいし、寝床を覆うほどの大きなサイズでもいい。足やお腹、下半身など好みの部位に災害時用マット1を当てることで、その部位を暖めることができる。
【0021】
潜熱蓄熱材組成物21は、潜熱蓄熱材を主成分とする混合物である。潜熱蓄熱材組成物21は、太陽光の吸収を促す色に呈色された着色剤が配合され、太陽光の吸収を促す色に着色されている。本実施形態では、黒色に呈色された着色剤が添加され、潜熱蓄熱材組成物21が黒色に着色されている。
【0022】
潜熱蓄熱材組成物21は、液体から固体に相変化し始めると、凝固に伴う潜熱が潜熱蓄熱材から周辺に放出され、設定した潜熱蓄熱材の融点まで温度が上昇する。潜熱蓄熱材組成物21は、液体から固体への相変化が完了すると、温度が低下する。
【0023】
潜熱蓄熱材組成物21の潜熱蓄熱材は、過冷却機能を有する。過冷却機能は、潜熱蓄熱材の融液を冷却すると凝固温度より低い温度で凝固せずに液体状態を保つ過冷却状態を発現させる機能である。災害時用マット1では、金属片31がマット状容器11の外部から操作されることにより、潜熱蓄熱材の過冷却状態が解除される。なお、金属片31の大きさや数は、潜熱蓄熱材23の性能に影響を及ぼさない範囲で任意に設定できる。金属片31の操作性やコストを考慮すれば、手で操作できる程度の大きさのものを災害時用マット1に1個設けることが好ましい。潜熱蓄熱材組成物21については、後述する。
【0024】
マット状容器11は、表面と裏面とをシールするシール部111によって、潜熱蓄熱材組成物21を封入する蓄熱材封入部117を形成されている。シール部111は、マット状容器11の外形に沿って設けられた外周シール部112と、折り目を形成する第1折り目シール部113A及び第2折り目シール部113Bと、を含む。災害時用マット1は、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bに沿って蛇腹状に三つ折りすることができる。
【0025】
シール部111と蓄熱材封入部117との境界119は、非直線となる部分119aが円弧状に形成され、潜熱蓄熱材組成物21が境界119全体に均一に行き渡るようにされている。外周シール部112は、四角状のマット状容器11の外形に沿って設けられ、一対の長辺112a,112bと一対の短辺112c,112dとが角部112eを介して連結されている。角部112eは円弧状に設けられている。また、シール部111は、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bが外周シール部112に接続する接続部分114が、円弧状に設けられている。
【0026】
角部112eと接続部分114の曲率半径は、四角状のマット状容器11の何れか一辺の長さの1%以上10%以下の範囲で設定されることが好ましい。潜熱蓄熱材組成物21を境界119の直線となる部分119bから非直線となる部分119aへ回り込ませて、境界119全体に十分に行き渡らせるためである。
【0027】
本実施形態では、角部112eと接続部分114によって、非直線となる部分119aが形成されている。なお、一対の長辺112a,112bは「対向する第1辺と第2辺」の一例である。第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは「折り目シール部」「複数の折り目シール部」の一例である。
【0028】
蓄熱材封入部117は、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bによって、蛇行して設けられている。
【0029】
すなわち、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、一対の長辺112a,112bに対して垂直に設けられている。これにより、蓄熱材封入部117は、長手方向に3分割され、第1分割部117Aと第2分割部117Bと第3分割部117Cに仕切られている。
【0030】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、一対の長辺112a,112bに交互に接続している。すなわち、第1折り目シール部113Aは、一端113aが長辺112aに接続し、他端113bが長辺112bに非接続である。これにより、第1分割部117Aと第2分割部117Bは、第1折り目シール部113Aと長辺112bとの間に設けられた第1連通部117Dを介して連通している。第2折り目シール部113Bは、一端113aが長辺112bに接続し、他端113bが長辺112aに非接続である。これにより、第2分割部117Bと第3分割部117Cは、第2折り目シール部113Bと長辺112aとの間に設けられた第2連通部117Eを介して連通している。
【0031】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、一対の長辺112a,112bの中間までそれぞれ設けられている。これにより、災害時用マット1を第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bで折り畳んだときに、第1連通部117Dと第2連通部117Eが対角位置に配設される。そのため、災害時用マット1を折り畳んだ状態を安定させやすい。
【0032】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、第1分割部117Aの幅W1と、第1連通部117Dの幅W2と、第2分割部117Bの幅W3と、第2連通部117Eの幅W4と、第3分割部117Cの幅W5を一定幅にするように設けられている。そのため、蓄熱材封入部117は、外周シール部112と第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bとによって、連続してひとつながりになって設けられている。これにより、災害時用マット1を折り畳んだとき、あるいは、折り畳んだ災害時用マット1を積み上げたときの安定性を確保できる。
【0033】
尚、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、それぞれ、他端113bの先端面113cが円弧状に形成され、潜熱蓄熱材組成物21が先端面113cの周りで潜熱蓄熱材組成物21が流動しやすくしている。
【0034】
図2は、図1のA部拡大断面図である。マット状容器11は、表面を形成する透明の第1樹脂シート11Aと裏面を形成する透明の第2樹脂シート11Bとをシール部111によってシールすることで、第1樹脂シート11Aと第2樹脂シート11Bとの間に蓄熱材封入部117を形成している。シール部111のシール方法は高周波溶着、熱溶着、超音波溶着のいずれかの方法が望ましい。表面と裏面を樹脂材料で形成するのは、耐熱性や耐候性、および、潜熱蓄熱材組成物21との反応性を考慮したためである。マット状容器11の材質は、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)である。
【0035】
このように、災害時用マット1は、マット状容器11の表面と裏面第2の両方が、太陽光を透過させることができる樹脂材料で形成されることで、折り畳んだ状態でも、太陽光が最上面から最下面まで透過したり、折り目となる第1及び第2連通部117D,117Eを透過したりして、潜熱蓄熱材組成物21に直接吸収される。また、表面と裏面が透明材料で形成されることにより、黒色に着色された潜熱蓄熱材組成物21の中から金属片31を見つけやすい。
【0036】
境界119の非直線となる部分119aが円弧状に形成されているので、潜熱蓄熱材組成物21は、液相時に、境界119の直線となる部分119bから非直線となる部分119aに回り込むように流動することができる。そのため、潜熱蓄熱材組成物21は、境界119付近まで第1の透明シート11Aと第2の透明シート11Bとを押し広げるようにして蓄熱材封入部117全体に行き渡り、境界119付近の厚さを中央部Sの厚みに近づけることができる。
【0037】
もっとも、蓄熱材封入部117に封入された潜熱蓄熱材組成物21の厚みを境界119まで完全に同じにすることは、物理的に不可能である。
【0038】
そこで、災害時用マット1は、境界119から蓄熱材封入部117側へ所定範囲W11で、太陽光の吸収を促す色(本実施形態では黒色)に着色された着色部121が形成されている。所定範囲W11は、境界119付近において、蓄熱材封入部117に封入された潜熱蓄熱材組成物21の厚みが変化する領域をカバーする範囲である。着色部121の着色方法は、マット状容器11そのものを着色してもいいし、潜熱蓄熱材組成物21をマット状容器11に封入した後に着色を施してもよい。また、例えば、黒色など太陽光の吸収を促す色の粘着テープをマット状容器11に貼って、着色部121を設けてもよい。さらに、例えば、境界119側の黒の明度を低くし、潜熱蓄熱材組成物21の厚みが増すのに比例して明度を高くするようなグラデーションを施して、着色部121を設けてもよい。
【0039】
着色部121は、表面を形成する第1樹脂シート11Aと裏面を形成する第2樹脂シート11Bの境界119に沿って形成されている。着色部121は、表面と裏面の一方のみに形成してもよいが、両方に形成することで、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bを山折りと谷折りのどちらで折っても、着色部121を太陽側に向けることができ、境界119の付近の蓄熱材の厚みによる蓄熱不良を改善することができる。また、災害時用マット1を透過した太陽光が反射して、災害時用マット1を再透過する場合でも、その太陽光を着色部121によって境界119付近に集めることが可能になる。
【0040】
なお、災害時用マット1は、マット状容器11の表面に、潜熱蓄熱材組成物21の蓄熱状態を示す表示部を設けてもよい。表示部は、例えば、汎用品の表面温度レベルを色で確認できるシールあるいはシートであり、マット状容器11の表面に貼り付けてもよい。マット状容器11は、内容物の潜熱蓄熱材組成物21とほぼ同じ温度である。よって、表示部の表示状態から潜熱蓄熱材の蓄熱状態を確認することができる。表示部は、汎用品の表面温度レベルを色で確認できる塗料、染料などをマット状容器11に着色することで、形成してもよい。
【0041】
<災害時用マットの使用例について>
図3は、災害時用マット1の使用例を示す図である。災害時用マット1は、暖を必要とする場合に使用される。災害時用マット1は、例えば、冬場、暖房設備が万全でない災害時の避難所で使用される。
【0042】
使用にあたりまず、図3(a)に示すように、ソーラクッカ51を用いて、災害時用マット1の潜熱蓄熱材組成物21に蓄熱する。災害時用マット1の蓄熱方法については後述する。潜熱蓄熱材組成物21は、蓄熱が完了しても、金属片31が操作されるまで過冷却機能を維持し、放熱しない。
【0043】
図3(b)に示すように、潜熱蓄熱材組成物21に蓄熱した災害時用マット1は、例えば、就寝前に使用者が、マット状容器11の外部から金属片31を操作し、潜熱蓄熱材23の過冷却状態を解除する。これにより、災害時用マット1の潜熱蓄熱材23が放熱し始める。災害時用マット1は、例えば、ダンボールベッド12の上に敷いた敷き布団13と、掛け布団14との間に入れられ、潜熱蓄熱材23から放出される熱で、寝床内を暖める。寝床内は、例えば、快適な寝床温度とされる34℃前後に暖められる。
【0044】
災害時用マット1は、金属片31を操作することで過冷却状態を解除できるので、使用者は、就寝前に限らず、好きなタイミングで潜熱蓄熱材に放熱を開始させることができる。
【0045】
災害時用マット1は、寝床内を暖めるだけでなく、図3(c)に示すように、使用者の足部や腹部に当てられることで、使用者が暖を必要とする部位を局部的に暖めることができる。災害時用マット1は、上述したように、放熱後の潜熱蓄熱材に太陽光等のエネルギーを再び吸収させて蓄熱することで、繰り返し使用することができる。
【0046】
このように、本実施形態の災害時用マット1は、電源を用いなくても、ソーラクッカ51を用いて効率良く太陽光のエネルギーを集めて潜熱蓄熱材組成物21に蓄熱し、繰り返し使用できる。そのため、災害時用マット1は、冬場、暖房設備が万全でない避難所でも、寝具等を適切に暖めて入眠をスムーズに誘導するなど、避難環境の改善を期待できる。
【0047】
<潜熱蓄熱材組成物について>
図4は、潜熱蓄熱材組成物21の構成成分を示す模式図である。潜熱蓄熱材組成物21は、例えば、特開2020-12084号公報に開示された潜熱蓄熱材組成物である。簡単に説明すると、潜熱蓄熱材組成物21は、無機塩水和物である潜熱蓄熱材23を主成分に、この潜熱蓄熱材23の状態または物性を調整する添加物28を、本実施形態では2種(融点調整剤24、着色剤25)配合してなり、融解温度30~58℃に調整された物性である。潜熱蓄熱材23は、酢酸塩、または硫酸塩の少なくともいずれかを含有した無機塩水和物であり、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う。
【0048】
2種の添加物28のうち、第1の添加物は、太陽光の吸収を促す色(例えば、黒色、黒色に限りなく似た茶褐色等の濃色)に呈色する色素を有した着色剤25である。また、着色剤25とは別の添加物28である第2の添加物は、当該潜熱蓄熱材組成物21の融解温度を調整する融点調整剤24である。本実施形態の潜熱蓄熱材23は、酢酸塩の一種である酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)である。酢酸ナトリウム三水和物単体の物性は、水和数3、分子量[g/mol]136.08、融点約58℃、融点より低い温度では、水に易溶な固体の物質である。
【0049】
融点調整剤24は、主として食品添加物に用いられている糖アルコール類に属する物質を少なくとも含み、潜熱蓄熱材23との溶解により、負の溶解熱を発生する物性を有する物質である。本実施形態において、「負の溶解熱を発生する物性を有する物質」とは、融点調整剤24が潜熱蓄熱材23に溶解するとき、この融点調整剤24において、外部から熱を吸収して吸熱反応が生じるものと定義する。
【0050】
本実施形態では、融点調整剤24として、融点降下剤と増粘剤の両方の役目を果たすことができるグリセリンを使用する。グリセリンは、融点が約58℃である酢酸ナトリウム三水和物に、10wt%以上30wt%以下の範囲で添加されている。この範囲内であれば、グリセリンを添加した潜熱蓄熱材組成物21は、融点を40℃前後に調整でき、凝固時の硬さが外力に応じて変形できる柔らかさに緩和されるからである。なお、グリセリンに代えて、融点調整剤と増粘剤とを個別に潜熱蓄熱材23に配合してもよい。
【0051】
着色剤25は、炭素を主成分とした液体状の炭素色素で、潜熱蓄熱材23をはじめ、融点調整剤24と化学反応しない性状を有した物質である。また、この着色剤25は、非危険物かつ無毒であり、安全性が高く、耐熱性にも優れ、直射日光に晒される使用環境下でも、劣化せず安定した状態で着色できる色素である。なお、着色剤25は、本実施形態のような液体状の色素以外に、粉末状の色素でも良く、潜熱蓄熱材組成物21全体を着色できる色素であれば、その性状は特に限定されるものではない。
【0052】
着色剤25は、潜熱蓄熱材23と異なり、蓄熱特性を具備していないため、0wt%より大きく1wt%以下の範囲内で添加されている。着色剤25の添加量が、この範囲内であれば、着色剤25を添加した潜熱蓄熱材組成物21は、同体積で比べても、潜熱蓄熱材23単体の蓄熱量より大幅に低下するのを抑制できる。加えて、着色剤25が、このような添加量で潜熱蓄熱材組成物21に配合されていれば、潜熱蓄熱材組成物21全体を、着色剤25の色素の色である黒色に一様に着色するのに、十分足り得るからである。
【0053】
このような潜熱蓄熱材組成物21は、液相状態にある場合、着色剤25が潜熱蓄熱材23の融液中に分散される。一方、潜熱蓄熱材組成物21は、固相状態にある場合、着色剤25が潜熱蓄熱材23の結晶粒界中に分散される。よって、潜熱蓄熱材組成物21は、常時、着色剤25により全体を黒色に呈色されている。このような潜熱蓄熱材組成物21がマット状容器11に封入された災害時用マット1は、潜熱蓄熱材組成物21によって表面と裏面が黒色に呈色されるが、厚みが薄い部分では、着色剤25の分散量が少なくなるため、色合いが薄くなってグレーに近づく。
【0054】
<蓄熱方法について>
図5は、蓄熱方法を説明する図である。図5(a)に示すように、例えば、災害時用マット1の第1折り目シール部113Aを山折り、第2折り目シール部113Bを谷折りすることにより、災害時用マット1を蛇腹状に折り畳む。
【0055】
災害時用マット1は、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bが、それぞれ、外周シール部112の対向する長辺112aと長辺112bの中間まで形成されることで、蓄熱材封入部117の第1~第3分割部117A~117Cを連通させる第1連通部117Dと第2連通部117Eが設けられている。第1連通部117Dと第2連通部117Eは、潜熱蓄熱材組成物21の封入によって、厚みが第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bより厚くなる。
【0056】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、長辺112aと長辺112bに対して交互に接続する。そのため、災害時用マット1を折り畳んだときに、厚みのある第1連通部117Dと第2連通部117Eが、対角位置に配置され、長辺112a,112bのいずれか一方に偏らない。よって、災害時用マット1は、扇状に広がることなく、第1分割部117Aと第2分割部117Bと第3分割部117Cとを上下に積み重ねた状態で安定して折り畳まれる。折り畳まれた災害時用マット1は、第1分割部117Aと第2分割部117Bと第3分割部117Cの接触面積が広くなり、熱伝達効率が高くなる。
【0057】
図5(b)に示すように、折り畳まれた災害時用マット1は、他の折り畳まれた災害時用マット1に積み重ねられ、透明袋61に入れられる。透明袋61に入れられた災害時用マット1群は、ソーラクッカ51の所定位置52に配置される。なお、透明袋61は、太陽光を透過可能な樹脂材料で形成された容器であれば、透明な箱などであってもよい。
【0058】
ソーラクッカ51は、入手が比較的容易な市販品である。そのため、例えば、ソーラクッカ51を備蓄しておき、災害時に災害時用マット1とソーラクッカ51とをセットにして被災者に渡すことができる。また、ソーラクッカ51は、食材の調理にも使用できるので、便利である。
【0059】
ソーラクッカ51は、ダンボール53を組み立てることで形成されている。そのため、ソーラクッカ51は、使用しない場合には、小さく折り畳んで収納でき、例えば、居住スペースが制限される避難所で邪魔になりにくい。また、ダンボール製のソーラクッカ51は、軽量であるため、誰でも扱いやすい。
【0060】
ソーラクッカ51は、所定位置52の周りを囲むように複数のパネル部55を備える。パネル部55は、太陽の位置や高度に合わせてソーラクッカ51の向きを逐一変えなくても、所定位置52に太陽光のエネルギーを効率良く集めることができるように、所定位置52に対する向きが3次元方向に異なっている。なお、複数のパネル部55の形状や位置、向きは、本実施形態と違っても差し支えない。
【0061】
各パネル部55は、内側(所定位置52側)に位置する内側表面55aが、光沢がある鏡面で形成されている。例えば、内側表面55aは、ダンボール53の表面に薄いアルミシート54を貼着して形成されている。これにより、ソーラクッカ51は、各パネル部55にて太陽光の反射効率が高くなり、所定位置52に太陽光を効率良く集めることができる。なお、所定位置52の表面も、光沢がある鏡面で形成してもよい。これによれば、災害時用マット1群を透過した太陽光が所定位置52に反射し、再度、災害時用マット1群を透過して潜熱蓄熱材23に蓄熱させることが可能になる。
【0062】
ソーラクッカ51は、例えば、災害時用マット1を配置した所定位置52を真南に向けて、屋外若しくは日当たりのよい屋内に設置される。このとき、ソーラクッカ51が風などで倒れないように、ソーラクッカ51を固定しておくとよい。太陽光は、所定位置52に配置された災害時用マット1に直接照射されるだけでなく、パネル部55の内側表面55aに反射して災害時用マット1に間接的に照射される。
【0063】
パネル部55の内側表面55aは、光沢を有する鏡面で形成されている。そのため、太陽光は、内側表面55aにて反射する際にエネルギーを殆ど失わずに、災害時用マット1群に到達する。よって、災害時用マット1群は、直接当たる太陽光と同程度のエネルギーを、内側表面55aに反射した太陽光からも得ることができる。
【0064】
災害時用マット1は、黒色に着色された潜熱蓄熱材組成物21を透明のマット状容器11に封入したものであり、表面が黒色である。そのため、災害時用マット1は、太陽光のエネルギーを直接集めやすい。
【0065】
災害時用マット1に当たった太陽光は、透明のマット状容器11を透過し、潜熱蓄熱材組成物21内に入射する。潜熱蓄熱材組成物21の主成分である潜熱蓄熱材23は、常温時、水のように無色透明である。黒色の着色剤25は、液状の潜熱蓄熱材23に広く分散している。そのため、マット状容器11の最上面を透過した太陽光は、潜熱蓄熱材23に分散した着色剤25に吸収され、潜熱蓄熱材23の間を進行する。潜熱蓄熱材23は、太陽光のエネルギーを吸収し、蓄熱する。
【0066】
災害時用マット1は、蛇腹折りにより全高が高くされている。災害時用マット1のマット状容器11は、表面と裏面が透明材料で形成されている。そのため、例えば、第1分割部117Aの表面を透過した太陽光は、第1分割部117Aから第2分割部117B、第3分割部117Cを順次透過し、潜熱蓄熱材23にエネルギーを吸収される。また、第1連通部117Dと第2連通部117Eの付近を透過した太陽光も、第2分割部117Bや第3分割部117Cなどを透過し、潜熱蓄熱材23にエネルギーを吸収される。さらに、所定位置52から反射した太陽光が、第3分割部117C、第2分割部117B、第1分割部117Aを順次再透過し、潜熱蓄熱材23にエネルギーを吸収される。よって、折り畳んだ災害時用マット1をソーラクッカ51に配置することで、ソーラクッカ51が集めた太陽光が災害時用マット1を透過する距離が長くなり、災害時用マット1の潜熱蓄熱材23に効率良く蓄熱できる。なお、災害時用マット1は、他の災害時用マット1に積み重ねることで更に全高が高くなるので、この効果がより顕著になる。
【0067】
災害時用マット1は、境界119の非直線となる部分119a(角部112e、接続部114)が円弧状にされているため、潜熱蓄熱材組成物21が境界119の非直線となる部分119aに十分に行き渡っている。そのため、境界119の付近の厚みが、第1~第3分割部117A~117Cの中央部Sに近づけられ、境界119付近の色合いが濃くなって黒色に近づけられている。よって、災害時用マット1は、境界119付近の潜熱蓄熱材組成物21が、中央部Sの潜熱蓄熱材組成物21と同程度に蓄熱することができ、蓄熱ムラが抑制される。
【0068】
仮に、境界119付近の色合いが中央部Sより薄くても、災害時用マット1は、黒色の着色部121が境界119に沿って形成されているので、太陽光のエネルギーが着色部121を介して境界119付近に集められる。災害時用マット1は、境界119付近の潜熱蓄熱材23が着色部121によって集められた太陽光のエネルギーを吸収し、蓄熱する。よって、災害時用マット1は、境界119付近の潜熱蓄熱材組成物21が、第1~第3分割部117A~117Cの中央部Sの潜熱蓄熱材組成物21と同程度に蓄熱し、蓄熱ムラが抑制される。
【0069】
災害時用マット1は、蛇腹折りされたり、積み重ねられたりすることで、空気に直接接触する面積が小さくされている。そのため、災害時用マット1は、蓄熱時の放熱ロスが低減される。また、災害時用マット1は、太陽光のエネルギーだけでなく、第1~第3分割部117A~117Cの相互間、積み重ねられた他の災害時用マット1との間で伝熱される熱エネルギーによって、潜熱蓄熱材組成物21に蓄熱できる。そのため、災害時用マット1は、折り畳んだ状態で蓄熱することで、蓄熱時間が短縮される。
【0070】
ソーラクッカ51は、太陽の位置や高度に合わせて、設置位置や向きが調整されることで、災害時用マット1群に太陽光を効率良く当てることができる。これによれば、災害時用マット1群は、潜熱蓄熱材23が太陽光のエネルギーを効率良く吸収し続け、蓄熱時間が短くなる。
【0071】
ソーラクッカ51は、パネル部55の内側表面55aの向きが所定位置52に対して3次元的に異なっている。そのため、使用者が、ソーラクッカ51をおよその南向きに設置した後、潜熱蓄熱材の蓄熱が完了するまで、太陽の動き或いは高度に合わせてソーラクッカ51の向きを逐一変えなくても、災害時用マット1は潜熱蓄熱材23に蓄熱することが可能である。つまり、災害時用マット1は、潜熱蓄熱材23の融点を超える温度まで蓄熱すればよいので、食材を調理する場合のようにソーラクッカ51の向きをこまめに変える必要がない。
【0072】
使用者は、災害時用マット1の蓄熱が完了したら、災害時用マット1群をソーラクッカ51から取り除き、ソーラクッカ51を畳んで片付ける。蓄熱を完了した災害時用マット1は、そのまま折り畳んだ状態で保管場所に保管される。災害時用マット1は、折り畳まれることでコンパクトになり、保管時に邪魔になりにくい。
【0073】
災害時用マット1は、潜熱蓄熱材組成物21全体に均一に蓄熱している。そのため、金属片31が操作されるまで、境界119付近の潜熱蓄熱材組成物21が放熱を開始しない。
【0074】
例えば、日中に蓄熱した災害時用マット1を用いて、夜、寝床等を暖める場合、ユーザは、折り畳まれた災害時用マット1を広げて、金属片31を操作する。金属片31が操作されると、災害時用マット1は、潜熱蓄熱材23の過冷却が解除され、放熱を開始する。災害時用マット1は、蓄熱材封入部117には連通部117があるため、金属片31を1個操作すれば、徐々に潜熱蓄熱材組成物21の過冷却状態が解除されて、災害時用マット1全体から放熱できるようになる。
【0075】
このようにして使用された災害時用マット1に再度蓄熱する場合、使用者は、ソーラクッカ51を再度組み立てて、上記と同様にして使用済みの災害時用マット1に蓄熱する。ソーラクッカ51は、例えば、避難場所で繰り返し使用されて損傷した場合でも、ダンボール53で形成されているため、誰でも粘着テープなどで簡単に補修できる。また、ソーラクッカ51に市販品を使用することで、損傷したソーラクッカ51を別のソーラクッカ51に代えやすい。
【0076】
<蓄熱性能評価試験について>
災害時用マット1の蓄熱性能を評価する試験について説明する。試験には、縦210mm、横300mm、厚さ10mmの四角状の外形をなす災害時用マット1を使用した。災害時用マット1のマット状容器11は、シール部111のうち非直線となる部分119a(角部112eと接続部分114)を、曲率半径20mmの円弧状に形成した。潜熱蓄熱材組成物21は、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)に液体状の炭素色素を1wt%添加することで、黒色に着色した。また、酢酸ナトリウム三水和物にグリセリンを10wt%以上30wt%以下の範囲で添加し、潜熱蓄熱材組成物21の融点を45℃に調整した。
【0077】
図6は、蓄熱性能試験におけるボタン電池型温度計(以下「温度計」と略す)の取付位置を説明する図である。図6(a)(b)に示すように、評価対象の災害時用マット1に対して、第1温度計T1を第1分割部117Aの表面SA1に取り付け、第2温度計T2を第2分割部117Bの裏面SB2に取り付け、第3温度計T3を第3分割部117Cの表面SC1に取り付けた。図6(c)に示すように、第1温度計T1を用いて第1分割部117Aの表面SA1の温度を計測し、第2温度計T2を用いて第1分割部117Aの裏面SA2と第2分割部117Bの裏面SB2の温度を計測し、第3温度計T3を用いて第2分割部117Bの表面SC1と第3分割部117Cの表面SC1の温度を計測した。第1~第3温度計T1~T3は、KNラボラトリー社製のボタン電池型超小型温度データロガー「スーパーサーモクロン」を使用した。
【0078】
図7は、性能試験条件を示す表である。ソーラクッカ51は、内側表面55aが鏡面仕上げされたものを使用した。ソーラクッカ51は、協和ダンボール社製の「ダンボールソーラークッカーVer.9.3」を使用した。試験は、晴れの日に、蛇腹折りした災害時用マット1を透明袋61に入れてソーラクッカ51の所定位置52に配置し、そのソーラクッカ51をコンクリート張りの地面に真南に向けて載置した。
【0079】
試験開始時の災害時用マット1の初期温度は、22℃であった。試験は、10時30分に開始し、3時間15分後の13時45分に蓄熱を終了した。蓄熱中の平均外気温は23℃、平均湿度は21%RH、平均日射量は760W/mであった。蓄熱終了後、災害時用マット1を折り畳んだ状態で自然冷却した。第1~第3温度計T1~T3によって計測される各計測点の温度が32℃まで低下したときに、災害時用マット1の金属片31を操作し、放熱を開始させた。試験では、蓄熱を開始してから放熱するまで第1~第3温度計T1~T3を用いて各計測点の温度を計測した。
【0080】
図8は、性能試験結果を示すグラフである。図8の左側縦軸は、温度(℃)と湿度(%RH)を示し、右側縦軸は、日射量(W/m)を示し、横軸は、時刻を示す。災害時用マット1は、10時30分に蓄熱を開始してから1時間9分で、各計測点の温度が潜熱蓄熱材組成物21の融点45℃(図中基準線M参照)に達した。各計測点の温度は、約70℃まで上昇して安定した。各計測点の潜熱蓄熱材組成物21は、図中斜線部P2に示すように、融点(基準線M)を超える領域の熱量を蓄熱する。蓄熱終了時点では、各計測点の温度がほぼ同じである。このことから、災害時用マット1を折り畳んでも潜熱蓄熱材組成物21に蓄熱できることが実証された。
【0081】
災害時用マット1は、蓄熱開始後、第2分割部117Bの裏面SB2の温度上昇率が大きかった。これは、第1分割部117Aの表面SA1を透過した太陽光、所定位置52で反射して第3分割部117Cの裏面SC2を透過した太陽光、ソーラパネル51のパネル部55に反射して第1及び第2連通部117D,117Eを透過した太陽光が、第2分割部118Bの表面SB2を透過し、その周辺の潜熱蓄熱材23が太陽エネルギーをたくさん吸収したためと考えられる。また、第2分割部117Bが、第1分割部117Aと第3分割部117Cに挟まれて放熱ロスを生じ難いためと考えられる。
【0082】
尚、災害時用マット1は、折り畳んだ状態で蓄熱する方が、広げた状態で蓄熱する場合より、蓄熱時間が短かった。これは、折り畳むことによって第1~第3分割部117A~117Cが熱伝達による熱エネルギーを吸収し、蓄熱するためと考えられる。
【0083】
蓄熱を終了した災害時用マット1を折り畳んだまま常温冷却すると、各計測点の温度が蓄熱を終了してから約1時間20分経過した頃に、32℃まで低下した。各計測点における冷却時の温度変化率は、同程度であった。蓄熱ムラがある場合、金属片31を操作する前に、蓄熱不良の場所から放熱が開始される。しかし、本試験では、金属片31を操作するまで、どの計測点でも放熱が開始されなかった。このことから、災害時用マット1では、境界119付近の潜熱蓄熱材組成物21が中央部S付近の潜熱蓄熱材組成物21と同程度に蓄熱し、蓄熱ムラが抑制されていることが実証された。
【0084】
図中P3に示すように、32℃まで自然冷却した災害時用マット1を広げて金属片31を操作すると、各計測点の温度が融点まで上昇した。各計測点における放熱開始後の温度上昇の変化率は、同程度であった。このことより、マット状容器11に封入した金属片31を1個だけ操作しても、潜熱蓄熱材組成物21の過冷却状態を均一に解除できることが実証された。
【0085】
各計測点では、融点まで温度上昇すると、放熱によって温度が緩やかに低下する。各計測点における融点到達後の温度低下率は、同程度である。このことから、災害時用マット1は、蓄熱ムラがなく、潜熱蓄熱材組成物21が均一に放熱することが実証された。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の災害時用マット1では、蓄熱材封入部117とシール部111との境界119のうち、非直線となる部分119aを円弧状にすることで、境界119付近の厚みが第1~第3分割部117A~117Cの中央部Sの厚みに近づけられる。これにより、災害時用マット1は、透明のマット状容器11に封入された潜熱蓄熱材組成物21によって、境界119付近まで太陽光の吸収を促す色(黒色)になり、色合いの違いによる蓄熱ムラが低減される。また、マット状容器11は、少なくとも透明材料で形成された表面(第1の透明シート11A)に境界119に沿って、太陽光の吸収を促す色に着色された着色部121を設けることで、潜熱蓄熱材組成物21によって着色される境界119付近の色合いが第1~第3分割部117A~117Cの中央部Sより薄い場合でも、境界119付近の潜熱蓄熱材組成物21への太陽光の吸収を着色部121によって補完することができる。このように、本形態の災害時用マット1によれば、マット状容器11に封入された潜熱蓄熱材組成物21に均一に蓄熱することができるので、蓄熱ムラを抑制し、高効率で蓄熱することができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することができる。例えば、金属片31に代えて、過冷却防止剤を潜熱蓄熱材23に配合してもよい。過冷却防止剤は、例えば、無水リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)である。
【0088】
例えば、実施形態では、採暖用具を、自然災害に伴う避難所生活で使用される災害時用マット1としたが、採暖用具は、例えば、キャンプ等の屋外で使用されるアウトドア向けの採暖マット等のように、本発明の潜熱蓄熱材組成物21からの放熱を利用して暖を取る製品であれば、実施形態に限定されず、何でも良い。
【0089】
金属片31をマット状容器11の外から見つけることができれば、表面を透明材料で形成し、裏面を非透明材料で形成してもよい。但し、上記実施形態のように、表面と裏面の両方を、太陽光が透過可能な樹脂材料で形成することにより、災害時用マット1を折り畳んでも、マット状容器11に封入した潜熱蓄熱材組成物21全体に太陽光を透過させることができる。
【0090】
潜熱蓄熱材組成物21は過冷却状態で蓄熱しないものでもよい。この場合、金属片31は無くてもよい。但し、上記実施形態のように、潜熱蓄熱材組成物21が過冷却状態で蓄熱でき、金属片31によって過冷却状態を解除できるようにすれば、蓄熱した災害時用マット1に任意のタイミングで放熱を開始させることができる。
【0091】
マット状容器111は、円形や多角形など、四角以外の形状でもよい。但し、マット状容器が四角状であることで、折り畳んだ状態を安定させやすくなる。
【0092】
非直線となる部分119aの曲率半径は、マット状容器11の何れか一辺の長さの1%以上10%以下の範囲で設定されていなくてもよい。但し、このような構成にすることで、非直線となる部分119aを緩やかな円弧状にすることができる。これにより、非直線となる部分119aを含む境界119全体に潜熱蓄熱材組成物21が行き渡りやすくなり、境界119付近の厚みを中央部Sの厚みに近づけて、蓄熱材封入部117の色を太陽光の吸収を促す色(黒色)に均一化し、蓄熱ムラを抑制することができる。
【0093】
蓄熱材封入部117は、連続して設けなくてもよい。但し、上記実施形態のように、蓄熱材封入部117を外周シール部112と第1及び第2折り目シール部113A,113Bとによって連続して設けることで、災害時用マット1を折り畳んだとき、あるいは、折り畳んだ災害時用マット1を積み上げたときの安定性を確保できる。
【0094】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bはなくてもよい。ただし、上記実施形態のように、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bを設けることで、災害時用マット1を折り畳みやすくなる。また、折り目シール部の数は、災害時用マット1のサイズや折り畳み方に応じて、1又は3以上にしてもよい。また、折り目シール部は、平行に設けなくてもよい。
【0095】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、それぞれ、外周シール部112の長辺112a,112bに接続していてもよい。ただし、上記実施形態のように、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bの一端113aが外周シール部112に接続し、他端113bが外周シール部112に非接続であることで、1個の金属片31で潜熱蓄熱材組成物21全体の過冷却状態を解除することができる。これにより、金属片31の数を減らし、コストダウンすることが可能である。
【0096】
第1折り目シール部113Aと第2折り目シール113Bは、例えば、長辺112aのみに接続し、対向する長辺112a,112bに交互に接続しなくてもよい。また、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール部113Bは、対向する長辺112a,112bの中間を超えてもよい。但し、上記実施形態のように、第1折り目シール部113Aと第2折り目シール113Bを長辺112a,112bに交互に接続させ、長辺112a,112bの中間まで設けることで、災害時用マット1は、折り目の潜熱蓄熱材組成物21が長辺112a,112bの何れかに偏らず、折り畳んだ状態が安定する。災害時用マット1は、マット状容器11の表面と裏面が透明であるので、折り畳んだ状態でも太陽光が潜熱蓄熱材組成物21全体を透過する。よって、上記実施形態の災害時用マット1によれば、安定的かつ効率的に蓄熱を行うことができる。
【0097】
災害時用マット1は、広げた状態でソーラクッカ51に設置し、蓄熱してもよい。この場合も、ソーラクッカ51が所定位置52に集めた太陽光が災害時用マット1の境界119付近の潜熱蓄熱材組成物21に効率良く吸収されるので、蓄熱ムラを抑制しつつ、蓄熱効率を向上させることができる。
【0098】
折り畳んだ災害時用マット1を透明袋61に入れずに、ソーラクッカ51の所定位置52に配置し、蓄熱してもよい。但し、上記実施形態のように、災害時用マット1を透明袋61に入れ、災害時用マット1の周りに空気層を形成することにより、災害時用マット1が蓄熱中に外気で冷やされることを抑制できる。
【0099】
例えば図9に示すように、ソーラクッカ51の所定位置52に折り畳んだ災害時用マット1を直接配置し、ソーラクッカ51ごと透明袋71の中に入れることで、災害時用マット1と透明袋71との間に空気層72を形成してもよい。なお、透明袋61,71を用いて、災害時用マット1の周りに空気層を二重に形成してもよい。
【0100】
例えば図10に示すように、組み立てたソーラクッカ51の所定位置52に折り畳んだ災害時用マット1を配置し、ソーラクッカ51のパネル開口部を食品用ラップフィルム等の透明材料で形成されたシート91で覆うことで、災害時用マット1の周りに空気層を形成してもよい。なお、災害時用マット1を透明袋61に入れ、さらにソーラクッカ51のパネル開口部をシート91で覆ってもよい。このように、折り畳んだ災害時用マット1の外側に空気層を形成し、風などによって災害時用マット1の表面に対流が生じることを防ぐことで、災害時用マット1は、蓄熱中に外気に熱を奪われにくく、効率良く蓄熱できる。
【0101】
図5(b)に示すソーラクッカ51の内側表面55aは、光沢がある鏡面で形成されていなくてもよい。例えば、つや消しの鏡面で内側表面55aを形成してもよい。但し、内側表面55aが鏡面であることにより、太陽光の反射率を高め、蓄熱効率を向上させることができる。
【0102】
ソーラクッカ51は、金属など、ダンボール以外の材質で形成されてもよい。ただし、ダンボール製のソーラクッカを使用することで、ソーラクッカ51が軽量で安価になる。ソーラクッカ51は、組み立て式でなくてもよい。但し、組み立て式のソーラクッカ51を使用することで、保管或いは備蓄が容易になる。
【符号の説明】
【0103】
1 災害時用マット(採暖用具の一例)
11 マット状容器
21 潜熱蓄熱材組成物(蓄熱材の一例)
111 シール部
117 蓄熱材封入部
119 境界
121 着色部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の吸収を促す色に呈色された着色剤が配合され、過冷却状態で蓄熱可能な蓄熱材と、
表面と裏面とをシールするシール部によって、前記蓄熱材を封入する蓄熱材封入部を形成され、少なくとも前記表面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成されたマット状容器と、
を有し、
前記マット状容器は、
前記シール部と前記蓄熱材封入部との境界のうち、非直線となる部分が円弧状に設けられており、
少なくとも前記表面に前記境界に沿って、太陽光の吸収を促す色に着色された着色部が設けられていること、
を特徴とする採暖用具。
【請求項2】
請求項1に記載する採暖用具において、
前記蓄熱材が、過冷却状態によって蓄熱可能であり、
前記蓄熱材と共に前記蓄熱材封入部に封入され、前記過冷却状態を解除する過冷却解除部材を有し、
前記シール部は、前記マット状容器の外形に沿って設けられた外周シール部と、前記マット状容器の折り目を形成する折り目シール部と、を含み、
前記蓄熱材封入部は、前記外周シール部と前記折り目シール部とによって、連続して設けられていること、
を特徴とする採暖用具。
【請求項3】
請求項2に記載する採暖用具において、
前記マット状容器は、前記表面と前記裏面が太陽光を透過可能な樹脂材料で形成され、外形が四角状をなし、
前記外周シール部は、前記マット状容器の外形に沿って四角状に設けられ、
前記折り目シール部は、前記外周シール部の対向する第1辺と第2辺に対して垂直に設けられた複数の折り目シール部であり、
前記複数の折り目シール部は、
前記第1辺と前記第2辺に交互に接続していること、
を特徴とする採暖用具。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つに記載する採暖用具を蓄熱する採暖用具蓄熱方法であって、
ソーラクッカの食材を加熱する所定位置に前記採暖用具を配置することにより、前記蓄熱材に蓄熱すること、
を特徴とする採暖用具蓄熱方法。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載する採暖用具を蓄熱する採暖用具蓄熱方法であって、
ソーラクッカの食材を加熱する所定位置に前記採暖用具を折り畳んだ状態で配置することにより、前記蓄熱材に蓄熱すること、
を特徴とする採暖用具蓄熱方法。