(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022821
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】循環式水洗トイレ設備及びコンテナトイレ
(51)【国際特許分類】
E03D 5/016 20060101AFI20220131BHJP
E03D 11/11 20060101ALI20220131BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20220131BHJP
A47K 11/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
E03D5/016
E03D11/11
E03D11/00 A
A47K11/00 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020117428
(22)【出願日】2020-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】520250604
【氏名又は名称】有限会社Mファイン技術サービス
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】守國 寿記
【テーマコード(参考)】
2D036
2D039
【Fターム(参考)】
2D036AA02
2D036CB03
2D036CB05
2D039AC09
2D039AC11
2D039AC13
2D039CC09
2D039DA01
2D039DB00
(57)【要約】
【課題】設置上の問題点も解決する循環式水洗トイレ設備及びコンテナトイレを提供すること。
【解決手段】循環式水洗トイレ設備1は、水洗用便器40からの排出物を最初に貯留する第1貯留槽10と、その下流側に設ける第2貯留槽20及び第3貯留槽30と、水洗用便器40から第1貯留槽10への移送を行う加圧粉砕ポンプ11とを少なくとも備える。第1貯留槽10および第2貯留槽20には所定の微生物を投入し化学的に分解させ臭いを消滅させる。水洗用便器40の洗浄用液体は循環させて再利用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗用便器からの排出物を最初に貯留する第1貯留槽と、
前記第1貯留槽よりも下流に配置する第2貯留槽と、
前記第2貯留槽よりも下流に配置する第3貯留槽と、
前記水洗用便器から前記第1貯留槽への排出物の移送を行う加圧粉砕ポンプと、
を少なくとも備え、
前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽には所定の微生物を投入し、
前記水洗用便器から排出された排出物を、前記第1貯留槽、前記第2貯留槽及び前記第3貯留槽を介して再び前記水洗用便器の浄化用液体として再利用する循環式水洗トイレ設備。
【請求項2】
さらに、前記第2貯留槽の内部に液中膜設備を付加した請求項1の循環式水洗トイレ設備。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の循環式水洗トイレ設備をコンテナの内部に実装したコンテナトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は循環式水洗トイレ設備及び当該循環式水洗トイレ設備をコンテナの内部に実装したコンテナトイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害地、山岳地、離島、史跡あるいはアウトドア施設などで設置あるいは設置要請がなされるトイレ設備において、従来から衛生面への配慮や悪臭の抑制が求められていた。
【0003】
また、設置上の問題点(設置の困難性、設置に至るまでの工期の長期化、設置コストなど)についても、その改善・解消が求められていた。
【0004】
ところで、衛生面への配慮や悪臭の抑制がなされていると思われる循環式水洗トイレの発明が公開されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の循環式水洗トイレは、上水道も下水道も必要としない循環式水洗トイレ設備であるため、衛生面への配慮や悪臭の抑制がなされていると思われる。
【0007】
しかしながら、便器から分離貯留槽への排出物の移送はその重力によって行われていることから、前記分離貯留槽は前記便器の直下に設ける必要があるものと想定する。
【0008】
そうすると、当該循環式水洗トイレを設置するにあたって、前記分離貯留槽を埋設するか、前記便器を嵩上げする必要があると想定され、前述したような設置上の問題点に対する改善・解消に向けた改良の余地があるものと考える。
【0009】
そこで、衛生面への配慮や悪臭の抑制はもとより、設置上の問題点も改善・解消する循環式水洗トイレ設備を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は上述の課題を解決するために、水洗用便器からの排出物を最初に貯留する第1貯留槽と、前記第1貯留槽よりも下流に配置する第2貯留槽と、前記第2貯留槽よりも下流に配置する第3貯留槽と、前記水洗用便器から前記第1貯留槽への排出物の移送を行う加圧粉砕ポンプと、を少なくとも備え、前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽には所定の微生物を投入し、前記水洗用便器から排出された排出物を、前記第1貯留槽、前記第2貯留槽及び前記第3貯留槽を介して再び前記水洗用便器の浄化用液体として再利用する循環式水洗トイレ設備を提供する。
【0011】
本願発明は上述の課題を解決するために、さらに、前記第2貯留槽の内部に液中膜設備を付加した循環式水洗トイレ設備を提供する。
【0012】
本願発明は上述の課題を解決するために、前記循環式水洗トイレ設備をコンテナの内部に実装したコンテナトイレを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の循環式水洗トイレ設備は、水洗用便器からの排出物を最初に貯留する第1貯留槽と、前記第1貯留槽よりも下流に配置する第2貯留槽と、前記第2貯留槽よりも下流に配置する第3貯留槽と、前記水洗用便器から前記第1貯留槽への排出物の移送を行う加圧粉砕ポンプと、を少なくとも備え、前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽には所定の微生物を投入し、前記水洗用便器から排出された排出物を、前記第1貯留槽、前記第2貯留槽及び前記第3貯留槽を介して再び前記水洗用便器の浄化用液体として再利用するため、衛生的である。また、前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽に投入する微生物の働きにより臭いが無くなる。
【0014】
さらに、前記水洗用便器から前記第1貯留槽への排出物の移送は、その重力ではなく加圧粉砕ポンプにて行うため、前記第1貯留槽の埋設や前記水洗用便器の嵩上げをしなくてもよい。これにより設置に至るまでの工期の短縮化や設置コストの抑制に資する。
【0015】
本願発明の循環式水洗トイレ設備は、さらに、前記第2貯留槽の内部に液中膜設備を付加実装したことにより、多くの循環式水洗トイレ設備で設けられ大きなスペースを占める沈殿のための貯留槽をその構成から除外することを実現した。これにより省スペース化を実現できた。
【0016】
また、前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽の内部の微生物の状態にかかわらず安定した浄化処理が行われるようになり、その処理能力が向上した。
【0017】
本願発明のコンテナトイレは、前述の循環式水洗トイレ設備をコンテナの内部に実装したため、設置が容易となり、かつ、設置に至るまでの期間の短縮を実現し、さらにその移動も容易となった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は実施例1の循環式水洗トイレ設備の全体構成を示す構成図である。
【
図2】
図2は実施例1の循環式水洗トイレ設備のレイアウトの一例を示すレイアウト図である。
【
図3】
図3は実施例1の循環式水洗トイレ設備の作動を示す作動説明図である。
【
図4】
図4は実施例2のコンテナトイレの全体構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
災害地、山岳地、離島、史跡あるいはアウトドア施設などで設置する循環式水洗トイレ設備として実施する。
【実施例0020】
まずは、実施例1の循環式水洗トイレ設備の構成について、
図1及び
図2に従い説明する。
【0021】
循環式水洗トイレ設備(1)は、第1貯留槽(10)と、前記第1貯留槽よりも下流側に配置する第2貯留槽(20)と、前記第2貯留槽よりもさらに下流側に配置する第3貯留槽(30)と、前記第1貯留槽と配管により接続された水洗用便器(40)と、前記水洗用便器から前記第1貯留槽への排出物の移送を行う加圧粉砕ポンプ(11)と、前記第3貯留槽から前記水洗用便器へ浄化用液体の移送を行う循環ポンプ(31)と、を少なくとも備える(
図1及び
図2)。
【0022】
前記第1貯留槽(10)には、排泄物やトイレットペーパーなどの固形物を化学的に処理(分解)する所定の微生物を投入する。
【0023】
前記第2貯留槽(20)にも、排泄物やトイレットペーパーなどの固形物を化学的に処理(分解)する所定の微生物を投入する。
【0024】
前記第2貯留槽(20)を前記第1貯留槽(10)の上方側に配置することにより、省スペース化が図られる(
図2)。
【0025】
前記第2貯留槽(20)と前記第1貯留槽との間は、配管で接続され貯留槽間の流体の移送は水中ポンプ(12)により行う(
図1)。
【0026】
前記第2貯留槽(20)の内部には、液中膜設備(21)を付加実装することが好ましい(
図1)。
【0027】
前記液中膜設備(21)を付加実装することにより、当該当該循環式水洗トイレ設備で循環する洗浄用液体の品質を安定させることが可能となり、また省スペース化にも資する。
【0028】
次に、循環式水洗トイレ設備の作動について
図3に従い説明する。
【0029】
水洗用便器(40)から排出された排出物は、加圧粉砕ポンプ(11)によって固形物は粉砕され当該排出物に包含される液体とともに配管を通じて第1貯留槽(10)へと移送される。
【0030】
前記第1貯留槽(10)へ移送された粉砕後固形物及び排出物液体の混合流体は、前記第1貯留槽の内部の微生物によって化学的に分解される。そして、水中ポンプ(12)により第2貯留槽(20)へと移送される。
【0031】
前記第2貯留槽(20)へ移送された混合流体は、前記第2貯留槽の内部の微生物によって化学的に分解された後、さらに、液中膜設備(21)によって浄化される。そして、吸引ポンプ(22)により第3貯留槽(30)へと移送される。
【0032】
前記第3貯留槽(30)へ移送された浄化用流体は、循環ポンプ(31)により配管を通じて水洗用便器(40)へと移送され排出物の排出のために再び利用される。
【0033】
なお、前記第1貯留槽(10)及び前記第2貯留槽(20)の内部の微生物の働きにより化学的に分解された状態の混合流体は、臭いはないものの薄紅茶色をしている。本実施例では、視覚的な衛生的効果を高めるため、当該混合流体をさらに青色に着色して流体を循環させている。
なお、前記コンテナトイレ(2)をそのまま車両でけん引して移動をすれば設置もより容易となるが、前記コンテナ(50)のみを車両でけん引して移動・配置した後に、その内部に前記循環式水洗トイレ設備(1)を実装する設置方法も許容する。前記第1貯留槽(10)の埋設や前記水洗用便器(40)の嵩上げが不要であるため、いずれの設置方法であったとしてもその設置は容易となるものと考える。