(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022895
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】シート吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220131BHJP
A47H 1/04 20060101ALI20220131BHJP
A47H 15/00 20060101ALI20220131BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20220131BHJP
A47H 13/00 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
E04B2/74 541P
A47H1/04 E
A47H15/00
A47G5/00 E
A47H13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119220
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】597092299
【氏名又は名称】有限会社ケイエスシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 孝治
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AB04
2E182AC01
2E182BB04
2E182DE07
2E182DE17
2E182DH15
(57)【要約】
【課題】防沫性および設置容易性の高いシート吊り下げ具を提供する。
【解決手段】室内の天井や壁などの取付面Pにシート材5を吊り下げて間仕切りを設置するためのシート吊り下げ具1であって、取付面Pに沿って延設固定されるレール部材2と、シート材5を一側縁部51に沿って挟持可能なシート保持部材3と、を備え、シート保持部材3は、レール部材2の一面部2Pに着脱可能に連設され、レール部材2に対してシート材5を長さ方向に沿って保持する構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の天井や壁などの取付面にシート材を吊り下げて間仕切りを設置するためのシート吊り下げ具であって、
前記取付面に沿って延設固定されるレール部材と、
前記シート材を一側縁部に沿って挟持可能なシート保持部材と、を備え、
前記シート保持部材は、前記レール部材の一面部に着脱可能に連設され、前記レール部材に対して前記シート材を長さ方向に沿って保持する構成とした、シート吊り下げ具。
【請求項2】
前記レール部材は、前記一面部に、前記シート保持部材を挿入可能な溝部と、前記溝部に挿入されたシート保持部材に幅方向から嵌合可能な嵌合片とを有し、
前記シート保持部材は、前記溝部に沿ってその長さ方向に摺動させることで、前記嵌合片に嵌合し、前記レール部材に連結支持される構成とした、請求項1に記載のシート吊り下げ具。
【請求項3】
前記レール部材は、少なくとも一方の短縁部が、他のレール部材と所定の角度に突合せて並設可能とする傾斜面に形成された、請求項1または2に記載のシート吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井や壁にシート材を吊り下げて室内空間に間仕切りを設置するためのシート吊り下げ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、唾液などの飛沫による病原体の感染から来訪者や従業者を保護する目的で、病院の受付カウンターや店舗のレジ前、部屋の出入口等に透明のシート材を吊り下げて間仕切りを設置する要望が高まっている。
【0003】
従来、室内の天井や壁などにカーテンを吊り下げて保持するためのカーテン用の吊り下げ具として、カーテンレールに複数の被掛合部が並設される一方、カーテン(シート材)の上縁部に沿って複数の掛合部が並設され、上記各被掛合部に掛合部を掛合させることによって、カーテンを吊り下げ状態で保持するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1~4)。
【0004】
特許文献1のカーテン用の吊下げ具は、カーテンレール6と、それに組み込まれる複数のカーテンランナー7とを備え、カーテン1の上へり部2に設けられた複数のフック8を上記各カーテンランナー7にそれぞれ引っ掛けることによって、カーテン1を吊り下げた状態で保持するように構成されている。
【0005】
特許文献2のカーテン用の吊下げ具は、室内の天井等に取り付けられるカーテンレール11と、カーテンレール11のレール開口部11Gに移動可能に掛合支持される複数のカーテンランナー20と、各カーテンランナー20から垂下して設けられる取付部23とを備え、上記取付部23のリングRに、カーテン15に設けられた複数のフック等を掛合させることによって、カーテン15を吊り下げ状態で保持するように構成されている。
【0006】
特許文献3の扉部材(シート材)の吊下げ具は、レール7と、レール7の開口に掛合支持される複数のランナー5とを備え、各ランナー5に吊り下げ支持されたクリップ部5Aに扉部材3の上縁部を挟持させることによって、扉部材3を吊り下げ状態で保持するように構成されている。
【0007】
特許文献4の幕体の吊下げ具は、吊下げ部(壁)Aのブラケット2に連結固定されるカーテンレール3と、カーテンレール3に掛合支持される複数のランナー6とを備え、カーテン4,5の上縁部に複数の挟持部材8,9を挟持させ、それら挟持部材8,9の上端部に設けられたフック8aを、各ランナー6に設けられたリング部に挿通掛合させることによって、カーテン4,5を吊り下げ状態で保持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-217045号
【特許文献2】特開平11-276340号
【特許文献3】実用新案登録第3209105号
【特許文献4】実用新案登録第3082340号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のように飛沫感染対策として室内空間に間仕切りを設置する場合、その
間仕切りに用いられるシート材の表面には、当然ながら多くの飛沫が付着する。従って、シート材は、定期的に交換や洗浄をするのが望ましい。
【0010】
しかしながら、特許文献1~4のカーテン用の吊り下げ具はいずれも、カーテンの取り付けや取り外しの際、天井や壁などの高所にて、カーテンレールに設けられた複数の被掛合部と、カーテンに設けられた複数の掛合部とを一つずつ着脱させる必要があるため、時間も手間もかかった。しかも、これらのものでは、カーテンは、カーテンレールに対して所定の間隔で並設された掛合部にて吊り下げ保持されるように構成されているため、カーテンとカーテンレールとの間に隙間が形成され易く、その隙間を通る空気の流れに乗って、間仕切りされた空間相互間を飛沫が流通する虞もあった。
【0011】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、天井や壁にシート材を吊り下げて室内空間に間仕切りを設置するためのシート吊り下げ具において、防沫性および設置容易性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明のシート吊り下げ具は、以下の技術的手段を講じている。
【0013】
本発明は、室内の天井や壁などの取付面にシート材を吊り下げて間仕切りを設置するためのシート吊り下げ具であって、前記取付面に沿って延設固定されるレール部材と、前記シート材を一側縁部に沿って挟持可能なシート保持部材と、を備え、前記シート保持部材は、前記レール部材の一面部に着脱可能に連設され、前記レール部材に対して前記シート材を長さ方向に沿って保持する構成としたことを特徴としている。
【0014】
好ましくは、前記レール部材は、前記一面部に、前記シート保持部材を挿入可能な溝部と、前記溝部に挿入されたシート保持部材に幅方向から嵌合可能な嵌合片とを有し、前記シート保持部材は、前記溝部に沿ってその長さ方向に摺動させることで、前記嵌合片に嵌合し、前記レール部材に連結支持される構成としたことを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記レール部材は、少なくとも一方の短縁部が、他のレール部材と所定の角度に突合せて並設可能とする傾斜面に形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシート吊り下げ具によれば、シート保持部材によってシート材を一側縁部に沿って挟持させ、この状態でシート保持部材をレール部材の一面部に連結させれば、シート材が天井や壁などの取付面に対して吊り下げ状態で保持されるから、シート材の取り付けや取り外しに時間も手間もかからない。よって、設置容易性が格段に向上する。しかも、このものでは、上記のようにシート保持部材をレール部材の一面部に連結させたとき、シート保持部材によってシート材がレール部材の一面部の長さ方向に沿って保持されるから、シート材とレール部材との間に隙間が形成され難い。よって、防沫性も格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態のシート吊り下げ具を示す一部分解斜視図である。
【
図2】レール部材の正面図、側面図、平面図、および底面図である。
【
図3】レール部材の上板および下板の底面視展開図である。
【
図4】シート保持部材の正面図、側面図、平面図、および底面図である。
【
図5】シート保持部材のベース板および押さえ板の底面図である。
【
図6】実施形態のシート吊り下げ具の使用状態を示す底面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係るシート吊り下げ具を、図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
【0019】
図1~
図6に示すように、本実施形態のシート吊り下げ具1は、長尺板状のレール部材2と、レール部材2より細幅の長尺板状のシート保持部材3とを備えており、レール部材2を室内の天井や壁など所定の取付面Pに沿って延設固定させるとともに、シート保持部材3にシート材5を挟持させ、シート保持部材3をレール部材2に連結保持させて使用される。
【0020】
なお、本実施形態では、レール部材2は、取付面Pに対して両面に粘着部を有するシート体により接着固定されるが、レール部材2は、取付面Pに対してネジ留め固定されてもよいし、取付面Pに固定されたレール保持具に対して着脱可能に掛合固定されてもよい。
【0021】
また、以降の説明においては、
図2および
図4に示す底面図の左右方向、即ち、レール部材2およびシート保持部材3の長さ方向をシート吊り下げ具1の左右方向、同底面図の上下方向、即ち、レール部材2およびシート保持部材3の幅方向をシート吊り下げ具1の前後方向、
図2および
図4に示す正面図の上下方向、即ち、レール部材2およびシート保持部材3の高さ方向をシート吊り下げ具1の上下方向とする。
【0022】
本実施形態では、シート材5は、塩化ビニル系樹脂やポリカーボネート系樹脂など難燃性で且つ可撓性を有する透明の樹脂シートを所定の寸法に切断して形成されたものが用いられるが、透光性の低い樹脂シートや抗菌加工された布シート、防水加工された紙シートなど、使用目的や用途に応じて様々な素材により形成されたものを用いることができる。
【0023】
レール部材2およびシート保持部材3はいずれも、ポリプロピレン系樹脂やポリカーボネート系樹脂などの樹脂板を所定の形状に切断して形成されたものであり、本実施形態では、内部に一方向へ連続する筒状の空隙が複数並設された所謂プラスチック段ボールにより形成される。
【0024】
レール部材2は、レール部材2の上面を構成する上板20と、上板20の下面における前後の両側縁部(長縁部)に沿ってそれぞれ設けられる2つの下板21とでその外郭が構成されており、上板20は、上記プラスチック段ボールを、内部の空隙が前後方向に延在する向きで、横長略長方形状に切断して形成される。下板21は、上記プラスチック段ボールを、内部の空隙が左右方向に延在する向きで、横長略長方形状に切断して形成される。
【0025】
上板20は、展開された状態において、前後の長縁部201と平行に折り目20Fが設けられており(
図3参照)、上記折り目20Fに沿って長縁部201を下方内向き(下面側)に折り曲げて固定させることにより、上板20の下面側に、前後の長縁部201に沿って段部(以下、「下段部」という)22が形成されている(
図2参照)。
【0026】
下板21は、展開された状態において、前後一方の長縁部211と平行に折り目21Fが設けられており(
図3参照)、上記折り目21Fに沿って長縁部211を下方内向き(下面側)に折り曲げて固定させることにより、下板21の下面側に、前後一方の長縁部211に沿って段部(以下、「上段部」という)23が形成されている(
図2参照)。
【0027】
下段部22および上段部23にはそれぞれ、左右方向に所定の間隔で、上下に貫通する
複数のピン挿通孔27,28が設けられており、上板20および下板21相互は、下段部22の下面部に上段部23の上面部を重ね合わせた状態で、各ピン挿通孔27,28にそれぞれ固定ピン4を貫挿固定させることにより固定される。図示しないが、その際、上板20および下板21の内部の空隙を画成する隔壁相互は、平面視において直交する向きで配され、これにより、レール部材2の曲げ強度が高められている。
【0028】
下板21は、上板20の前後に離間して配され、レール部材2の下面部2Pの中央に、左右両端相互間に亘って断面略コ字状の溝部24を画成している。また、下板21は、レール部材2の前後間の中央側(溝部24側)に面する側端部に沿って、複数(ここでは、3つ)の切欠25が設けられている。
【0029】
また、下板21に複数の切欠25を設けたことで、下板21における切欠25の左右外側には、レール部材2の前後間の中央側(溝部24の内側)に向かって突出し、シート保持部材3に前後方向両側から嵌合可能な嵌合片26が形成される。
【0030】
各下板21の切欠25は、溝部24を挟んで前後対称位置に配されている。また、切欠25のうち、一端側(ここでは、左端側)の切欠25は、一端側の側辺が嵌合片26の端面から切欠25の中央側へ向かって傾斜する底面視略台形状に形成されており、それら一端側の切欠25によって、溝部24の内側一端寄りの位置に、略矢印状の開口(以下、「端部開口」という)25Aを画成している。上記一端側の切欠25以外の他の切欠25は、底面視略矩形状に形成されており、それら切欠25によって、溝部24の内側中間位置に、複数の略矩形状の開口(以下、「中間開口」という)25Bを画成している。
【0031】
上板20の短縁部202は、外向きに突出する底面視略V字状に形成されている。上記短縁部202の前後の傾斜面相互は、上板20の前後間の中央部にて90度に交差している。また、下板21の左右の短縁部212は、上板20の短縁部202の一方の傾斜面と一致する傾斜面に形成されている。このように、レール部材2の左右両短縁部には、これら短縁部202,212の傾斜面によって、他のレール部材2と90度の角度で突き合わせて並設可能とする傾斜面が構成されている。
【0032】
シート保持部材3は、シート保持部材3の上面を構成するベース板30と、ベース板30の下面に着脱可能に設けられる押さえ板31とでその外郭が構成されている。ベース板30および押さえ板31はいずれも、上記プラスチック段ボールを、内部の空隙が左右方向に延在する向きで、横長略長方形状に切断して形成される。
【0033】
ベース板30は、前後の長縁部301に沿って、複数(ここでは、前後各4つ)のフランジ35が形成されている。フランジ35は、ベース板30の前後間の中央軸線CLを挟んで前後対称位置に配されており、シート保持部材3がレール部材2の溝部24に嵌め込まれ、溝部24に沿って所定の嵌合位置まで左右一方向へ摺動されたとき、溝部24の内側に設けられた嵌合片26に嵌合する。これにより、シート保持部材3は、レール部材2に対して抜け止め状態で連結保持される。
【0034】
フランジ35のうち、左右両端のフランジ35は、一端側の側辺が上記中央軸線CLからフランジ35の中央側へ向かって傾斜する底面視略台形状に形成されており、それら一端側のフランジ35によって、ベース板30の左右の端部(以下、「ベース端部」という)35Aは、略矢印状に構成されている。上記両端のフランジ35以外の他のフランジ35は、底面視略矩形状に形成されており、それらフランジ35によって、ベース板30の外側中間部に、複数の略矩形状の拡幅部(以下、「中間拡幅部」という)35Bを構成している。
【0035】
ベース端部35Aの外形は、レール部材2の溝部24に設けられた端部開口25Aの外形と略一致し、中間拡幅部35Bの外形は、レール部材2の溝部24に設けられた中間開口25Bの外形と一致している。また、フランジ35を除いたベース板30の長縁部301相互間の距離(幅寸法)は、レール部材2の対向する嵌合片26相互間の距離(隙間寸法)と略一致している。従って、シート保持部材3をレール部材2に装着するにあたり、使用者は、シート保持部材3の一端側のベース端部35Aをレール部材2の端部開口25Aに挿入させ、且つシート保持部材3の一の中間拡幅部35Bをレール部材2の対応する中間開口25Bに挿入させることで、シート保持部材3全体をレール部材2の溝部24に適切に嵌め込むことができる。即ち、レール部材2の端部開口25Aおよび中間開口25Bが、シート保持部材3を溝部24に嵌め込む際のガイド孔となる。
【0036】
ベース板30の短縁部302は、外向きに突出する底面視略V字状に形成されている。上記端縁部302の前後の傾斜面相互は、ベース板30の前後間の中央部にて90度に交差しており、シート保持部材3がレール部材2の溝部24に嵌め込まれ、所定の嵌合位置まで摺動されたとき、上記短縁部302は、レール部材2の短縁部202,212と面一致の状態で重なり合うように構成されている。
【0037】
押さえ板31は、長縁部311相互間の距離(幅寸法)が、ベース板30の中央軸線CLから一方の長縁部301までの距離と略一致している。従って、押さえ板31をベース板30に取り付けるにあたり、使用者は、押さえ板31の一方の長縁部311をベース板30の一方の長縁部301に沿わせて重ね合わせることで、他方の長縁部311をベース板30の中央軸線CLに沿って配することができる。即ち、シート材5をベース板30の中央軸線CLに沿って垂下させることができる。
【0038】
押さえ板31の左右の短縁部312は、上記のように押さえ板31がベース板30に固定された状態において、ベース板30の短縁部302の一方の傾斜面と一致する傾斜面に形成されている。従って、複数のレール部材2の短縁部相互を90度の角度で突合せて設置する際(
図6参照)、ベース板30および押さえ板31の短縁部302,312は、他のシート保持部材3のベース板30および押さえ板31の短縁部302,312に干渉しない。
【0039】
押さえ板31には、左右方向に所定の間隔で複数のピン挿通孔37が貫設されている。ベース板30における押さえ板31の取付面にも同様に、左右方向に上記ピン挿通孔37と同一の間隔で複数のピン挿通孔38が貫設されており、押さえ板31は、上記のように一方の長縁部311をベース板30の長縁部301に沿わせた状態でベース板30の下面部に重ね合わせ、各ピン挿通孔37,38にそれぞれ固定ピン4を貫挿固定させることによって、ベース板30に固定される。
【0040】
シート材5は、上縁部(以下、「シート上縁部」という)51に沿って左右方向に、上記ピン挿通孔37,38と同一の間隔で複数の留め孔52が貫設されている。シート上縁部51から留め孔52までの距離は、ベース板30の一方(ここでは、前側)の長縁部301からピン挿通孔38までの距離と略同一に設定されている。従って、シート上縁部51をベース板30の一方の長縁部301に沿わせた状態で、上記のように押さえ板31をベース板30に重ね合わせれば、シート材5の留め孔52と、押さえ板31およびベース板30の各ピン挿通孔37,38とが一致する。これにより、各留め孔52およびピン挿通孔37,38に対して固定ピン4を円滑に挿通し固定させることができる。
【0041】
また、上記のようにシート保持部材3によってシート上縁部51を挟持させた状態で、シート保持部材3をレール部材2の溝部24に嵌め込み、所定の嵌合位置まで摺動させれば、シート保持部材3がレール部材2に抜け止め状態で連結保持される。これにより、シ
ート材5は、レール部材2の下面部2Pに、左右方向に沿って挟持された状態で吊り下げられる。
【0042】
このように、本実施形態のシート吊り下げ具1によれば、シート保持部材3のベース板30と押さえ板31とでシート材5を一側縁部51に沿って挟持させ、この状態でシート保持部材3をレール部材2の下面部2Pに連結支持させれば、天井や壁などの取付面Pに対してシート材5が吊り下げ状態で保持されるから、シート材5の取り付けや取り外しを手間なく短時間で行うことができる。これにより、室内空間に間仕切りを設置する手間が格段に軽減される。
【0043】
しかも、このものでは、シート材5は、シート保持部材3によってレール部材2の下面部2Pの左右方向(長さ方向)に沿って挟持されるから、シート材5とレール部材2との間に隙間が形成されない。よって、防沫効果も格段に向上する。
【0044】
さらに、このものでは、シート保持部材3をレール部材2の溝部24に嵌め込み、所定の嵌合位置まで摺動させれば、シート保持部材3に設けられた複数のフランジ35がレール部材2の嵌合片26に嵌合し、シート保持部材3をレール部材2に抜け止め状態で連結保持させることができるから、特別な技能や工具を有していなくても、シート材5の取り付けや取り外しを手間なく短時間で行うことができる。よって、間仕切りを設置する手間が一層軽減される。
【0045】
また、このものでは、レール部材2の左右の両短縁部が、他のレール部材2と90度に突合せて並設可能とする傾斜面に形成されていることで、複数のレール部材2の短縁部相互を90度の角度で突合せて設置することができるから、配置の自由度も格段に向上する。
【0046】
また、このものでは、レール部材2の端部開口25Aを中間開口25Bと異なる形状にしたことで、レール部材2の溝部24に対してシート保持部材3を容易に嵌め込むことができるから、よって、間仕切りを設置する手間がより一層軽減される。
【0047】
さらに、シート保持部材3(ベース部材30)の左右の端部35Aを互いに共通の外形としたことで、レール部材2の溝部24に対してシート保持部材3を嵌め込む際に、シート保持部材3の左右の向きが制限されないから、間仕切りを設置する手間がより一層軽減される。
【0048】
また、レール部材2およびシート保持部材3が共に、プラスチック段ボールにより形成されていることで、シート吊り下げ具1全体を軽量化することができるから、レール部材2を取付面Pに取り付ける際や、シート保持部材3をレール部材2に取り付ける際の手間が一層軽減される。
【0049】
なお、上記実施形態では、レール部材2を構成する上板20および下板21の内部の空隙相互が、平面視において直交する向きで設けられたものを説明したが、上板20および下板21の上記空隙がいずれも左右方向(長さ方向)に延在する向きで設けられたものとしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、レール部材2の左右両短縁部に、他のレール部材2と90度の角度で突き合わせて並設可能とする傾斜面が設けられたものを説明視したが、レール部材2の左右いずれか一方の短縁部にのみ、他のレール部材2と90度の角度で突き合わせて並設可能とする傾斜面が設けられたものとしてもよいし、レール部材2の短縁部に、他のレール部材2と45度や60度、120度の角度で突き合わせて並設可能とする傾斜面
が設けられたものとしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、端部開口25Aが中間開口25Bと異なる形状にされたものを説明したが、端部開口25Aおよび中間開口25Bがいずれも共通する形状にされたものであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 シート吊り下げ具
2 レール部材
3 シート保持部材
4 固定ピン
5 シート材
20 上板
21 下板
24 溝部
25 切欠
26 嵌合片
30 ベース板
31 押さえ板
35 フランジ
51 シート上縁部
P 取付面
2P 下面部(一面部)