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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022899
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】蓄電装置の製造方法及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220131BHJP
   H01M 50/183 20210101ALI20220131BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220131BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220131BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20220131BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20220131BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M2/08 Z
H01M10/052
H01G11/84
H01G11/80
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119265
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA06
5E078AB02
5E078CA11
5E078EA06
5E078EA11
5E078LA07
5H011AA09
5H011FF02
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ25
5H028AA07
5H028AA08
5H028BB00
5H028BB05
5H028CC07
5H028CC08
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029BJ12
5H029CJ05
5H029CJ25
5H029DJ14
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】集電体とセパレータとが精度良く位置合わせされる蓄電装置の製造方法及び蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置の製造方法は、第1集電体と第1集電体の周縁に接合された第1枠体とを含み、第1集電体の厚さ方向に沿った基準方向の一方に面する第1枠体の一方面に凸部が形成された第1電極ユニットを形成する工程と、第1集電体の厚さ方向から見て、セパレータが第1電極ユニットの凸部の内側に配置されるようにセパレータの周縁を第1枠体の一方面に配置する工程と、第2集電体と第2集電体の周縁に接合された第2枠体とを含み、第2枠体の基準方向の他方に面する他方面に凹部が形成された第2電極ユニットを形成する工程と、第1枠体の一方面にセパレータが配置された第1電極ユニット上に第2電極ユニットを積層する工程と、を備え、積層する工程では、凸部が凹部に係合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1集電体と前記第1集電体の周縁に接合された第1枠体とを含み、前記第1集電体の厚さ方向に沿った基準方向の一方に面する前記第1枠体の一方面に凸部が形成された第1電極ユニットを形成する工程と、
前記第1集電体の厚さ方向から見て、セパレータが前記第1電極ユニットの前記凸部の内側に配置されるように前記セパレータの周縁を前記第1枠体の前記一方面に配置する工程と、
第2集電体と前記第2集電体の周縁に接合された第2枠体とを含み、前記第2枠体の前記基準方向の他方に面する他方面に凹部が形成された第2電極ユニットを形成する工程と、
前記第1枠体の前記一方面に前記セパレータが配置された前記第1電極ユニット上に前記第2電極ユニットを積層する工程と、を備え、
前記積層する工程では、前記凸部が前記凹部に係合される、蓄電装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1電極ユニットを形成する工程では、前記第1枠体の前記一方面とは逆側の他方面に凹部が形成され、
前記第2電極ユニットを形成する工程では、前記第2枠体の前記他方面とは逆側の一方面に凸部が形成されるとともに、セパレータが前記第2電極ユニットの前記凸部の内側に配置されるように前記セパレータの周縁を前記第2枠体上に配置する、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1電極ユニットの前記第1枠体と前記第1電極ユニット上に積層された前記第2電極ユニットの前記第2枠体とを溶着し、前記第2枠体の前記他方面とは逆側の一方面に凸部を形成する工程をさらに備える、請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。
【請求項4】
前記セパレータの周縁を前記第1枠体の前記一方面に配置する工程では、前記セパレータの周縁が前記第1電極ユニットの前記凸部の側面に当接される、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置の製造方法。
【請求項5】
セパレータと、
前記セパレータを介して積層方向に積層された集電体と、
前記集電体の周縁に接合された枠体と、を備え、
前記枠体は、積層方向の一方面に設けられた凸部と、前記一方面とは逆側の他方面に設けられた凹部とを有し、
積層方向に隣り合う前記枠体同士において、一方の前記枠体の前記凸部は、他方の前記枠体の凹部と係合しており、
前記セパレータの周縁は、積層方向に隣り合う一方の前記枠体と他方の前記枠体との間に配置されている、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置の製造方法及び蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二次電池の構造および製造方法が記載されている。この二次電池は、負極、正極、集電体、セパレータ、第1シールおよび第2シールを有する。集電体は、正極および負極の間に配置されている。電解質層は、負極面に電解液を滲み込ませることで形成されている。第1シールは、正極の周囲を取り囲むように配置されている。セパレータは、正極および第1シールを覆うように配置されている。第2シールは、第1シールと位置合せされて、セパレータ上に配置されている。また、この二次電池の製造方法は、バイポーラ電極と、別体のセパレータとを、交互に複数積層するための積層工程を有する。積層工程においては、バイポーラ電極およびセパレータを、受け台に順次配置し、バイポーラ電極およびセパレータを交互に積層している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-130451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集電体およびセパレータが交互に積層された構造を有する二次電池では、例えば、積層工程において、集電体、セパレータ等の積層位置が正規の位置からずれた場合などに、積層方向に隣り合う集電体同士が接触して内部短絡を引き起こす可能性がある。
【0005】
本発明の一側面の目的は、セパレータの積層位置ずれによる内部短絡の発生を抑制する蓄電装置の製造方法及び蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る蓄電装置の製造方法は、第1集電体と第1集電体の周縁に接合された第1枠体とを含み、第1集電体の厚さ方向に沿った基準方向の一方に面する第1枠体の一方面に凸部が形成された第1電極ユニットを形成する工程と、第1集電体の厚さ方向から見て、セパレータが第1電極ユニットの凸部の内側に配置されるようにセパレータの周縁を第1枠体の一方面に配置する工程と、第2集電体と第2集電体の周縁に接合された第2枠体とを含み、第2枠体の基準方向の他方に面する他方面に凹部が形成された第2電極ユニットを形成する工程と、第1枠体の一方面にセパレータが配置された第1電極ユニット上に第2電極ユニットを積層する工程と、を備え、積層する工程では、凸部が凹部に係合される。
【0007】
上記蓄電装置の製造方法では、第1電極ユニットに形成された凸部の内側において第1枠体の一方面にセパレータが配置されるため、第1電極ユニットに対するセパレータの位置合わせを精度良く行うことができる。さらに、セパレータが位置決めされた状態で、第1電極ユニットの凸部に第2電極ユニットの凹部が係合するように、第1電極ユニット上に第2電極ユニットが積層されるため、第1電極ユニット、第2電極ユニットおよびセパレータの位置合わせを精度良く行うことができる。したがって、セパレータの位置ずれが抑制され、短絡が防止される。
【0008】
第1電極ユニットを形成する工程では、第1枠体の他方面に凹部が形成され、第2電極ユニットを形成する工程では、第2枠体の一方面に凸部が形成されるとともに、セパレータが第2電極ユニットの凸部の内側に配置されるようにセパレータの周縁を第2枠体上に配置してもよい。この構成では、凹部及び凸部を有した第1電極ユニットの第1枠体上にセパレータが配置されるとともに、凹部及び凸部を有した第2電極ユニットの第2枠体上にセパレータが配置される。この場合、第1電極ユニットは第2電極ユニットの構成を備え、第2電極ユニットは第1電極ユニットの構成を備える。すなわち、第1電極ユニット上に積層された第2電極ユニットは、新たな第1電極ユニットとして機能する。これにより、複数の集電体がセパレータを介して積層されることになる。
【0009】
第1電極ユニットの第1枠体と第1電極ユニット上に積層された第2電極ユニットの第2枠体とを溶着し、第2枠体の上面に凸部を形成する工程をさらに備えてもよい。この構成では、第2電極ユニットの上面に凸部が形成されることにより、当該第2電極ユニットが第1電極ユニットの構成を備えることになる。すなわち、第1電極ユニットに溶着された第2電極ユニットは、新たな第1電極ユニットとして機能する。これにより、複数の集電体がセパレータを介して積層されることになる。
【0010】
また、セパレータの周縁を第1枠体の一方面に配置する工程では、セパレータの周縁が第1電極ユニットの凸部の側面に当接されてもよい。第1電極ユニットに形成された凸部の側面に当接するようにセパレータが配置されるため、第1電極ユニットに対するセパレータの位置合わせが簡便に実行され得る。
【0011】
本発明の一側面に係る蓄電装置は、セパレータと、セパレータを介して互いに積層された集電体と、集電体の周縁に接合された枠体と、を備え、枠体は、一方面に設けられた凸部と、一方面とは逆側の他方面に設けられた凹部とを有し、積層方向に隣り合う枠体同士において、一方の枠体の凸部は、他方の枠体の凹部と係合しており、セパレータの周縁は、積層方向に隣り合う一方の枠体と他方の枠体との間に配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、セパレータの積層位置ずれによる内部短絡の発生を抑制する蓄電装置の製造方法及び蓄電装置を提供するできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一例の蓄電装置の模式断面図である。
図2図2は、蓄電装置の製造工程の一例を示す図である。
図3図3は、蓄電装置の製造工程の一例を示す図である。
図4図4は、蓄電装置の製造工程の一例を示す図である。
図5図5は、他の例に係る蓄電装置の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図面の説明においては、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、各図には、X軸、Y軸、及び、Z軸によって規定される直交座標系を図示する。Z軸方向は、一例として鉛直方向であり、X軸方向及びY軸方向は、一例として水平方向である。
【0015】
図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールであってよい。蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池等の二次電池である。蓄電装置1は、電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1がバイポーラ型のリチウムイオン二次電池である場合を例示する。
【0016】
蓄電装置1は、複数のバイポーラ電極15、複数のセパレータ16、正極終端電極17、負極終端電極18、及びスペーサ19A,19Bを有している。本実施形態では、複数のバイポーラ電極15と、複数のセパレータ16と、正極終端電極17と、負極終端電極18とは、Z軸方向(積層方向)に沿って積層されている。
【0017】
バイポーラ電極15は、集電体21、正極活物質層22、及び、負極活物質層23を有している。本実施形態において、積層方向に沿った集電体21の長さは、集電体21の厚さに相当する。このため、集電体21の厚さに沿った方向(厚さ方向)は、上記積層方向に相当する。集電体21は、積層方向に交差する一対の主面21a,21bを含む。主面21aには正極活物質層22が設けられ、主面21bには負極活物質層23が設けられている。すなわち、バイポーラ電極15は、集電体21の両面に形成された電極層を含む。集電体21は、積層方向に沿って正極活物質層22と負極活物質層23とによって挟まれている。
【0018】
集電体21は、シート状の導電部材であり、例えば積層方向から見て矩形状を呈している。集電体21は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、バイポーラ電極15に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体である。集電体21を構成する材料としては、例えば、金属材料や導電性を有する樹脂材料、導電性を有する無機材料を用いることができる。導電性を有する樹脂材料としては、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。集電体21は前述した金属材料又は導電性を有する樹脂材料を少なくとも含む複数層で構成されていてもよい。集電体21の表面に、メッキ処理、スプレーコート等の公知の方法により被覆層を形成してもよい。集電体21は、例えば、板状、箔状、シート状、フィルム状、メッシュ状の形態に形成されていてもよい。集電体21を金属箔とする場合は、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、チタン箔、ステンレス箔を用いることができる。箔状の集電体を用いる場合は、集電体の厚みを1μm~100μmの範囲内としてもよい。
【0019】
正極活物質層22は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む層状部材であり、例えば積層方向から見て矩形状を呈している。本実施形態の正極活物質は、例えば、複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等である。複合酸化物の組成には、例えば、鉄、マンガン、チタン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。複合酸化物の例には、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)が挙げられる。結着剤は、活物質又は導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たすものである。
【0020】
負極活物質層23は、正極活物質層22とは異なる極性を有する層である。負極活物質層23は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る負極活物質を含む層状部材であり、例えば積層方向から見て矩形状を呈している。本実施形態の負極活物質は、例えば、黒鉛、人造黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、金属化合物、リチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物、ホウ素添加炭素等である。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)、スズ等が挙げられる。導電助剤及び結着剤は、正極活物質層22と同様のものでもよい。図示例では、Z方向から見たときに、正極活物質層22の外周は、負極活物質層23の外周よりも一回り小さくなっている。
【0021】
正極活物質層22及び負極活物質層23のそれぞれ(以下、単に「活物質層」ともいう)は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層に含まれる成分又は当該成分の配合比及び活物質層の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。活物質層の厚みは、例えば2~150μmである。集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いてもよい。正極11又は負極12の熱安定性を向上させるために、集電体の表面(片面又は両面)又は活物質層の表面に耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでもよい。
【0022】
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等である。
【0023】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
【0024】
正極終端電極17は、積層方向における蓄電装置1の一端において、バイポーラ電極15に積層される部材である。正極終端電極17は、集電体21と、集電体21の主面21aに形成された正極活物質層22とを含む。正極終端電極17に含まれる集電体21の主面21bは、電力の取り出しのために、外部に露出している。このため、正極終端電極17においては、集電体21の主面21bには負極活物質層23等の電極層が形成されていない。正極終端電極17は、集電体21の主面21a及び正極活物質層22がバイポーラ電極15側(蓄電装置1の内側)に向くようにバイポーラ電極15に積層される。
【0025】
負極終端電極18は、積層方向における蓄電装置1の他端において、バイポーラ電極15に積層される部材である。負極終端電極18は、集電体21と、集電体21の主面21bに形成された負極活物質層23と、を含む。負極終端電極18に含まれる集電体21の主面21aは、電力の取り出しのために、外部に露出している。このため、負極終端電極18においては、集電体21の主面21aには、正極活物質層22等の電極層が形成されていない。負極終端電極18は、集電体21の主面21b及び負極活物質層23がバイポーラ電極15側(蓄電装置1の内側)に向くようにバイポーラ電極15に積層される。
【0026】
セパレータ16は、正極11と負極12との間に配置されて、正極と負極とを隔離することで、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。一例のセパレータ16は、隣り合うバイポーラ電極15の間、バイポーラ電極15と正極終端電極17との間、及び、バイポーラ電極15と負極終端電極18との間のそれぞれを隔てる層状部材である。セパレータ16は、隣り合うバイポーラ電極15の間、バイポーラ電極15と正極終端電極17との間、及び、バイポーラ電極15と負極終端電極18との間の短絡を防止する。セパレータ16は、例えば積層方向から見て矩形状を呈している。
【0027】
セパレータ16を構成する材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエステルなどが挙げられる。セパレータ16は、単層構造又は多層構造であってよい。多層構造のセパレータは、例えば、接着層、耐熱層となるセラミック層を有していてもよい。セパレータ16は、電解質が含浸されていてもよく、セパレータ13自体を高分子電解質や、無機電解質等の電解質で構成してもよい。
【0028】
電解質としては、例えば非水溶倍と非水溶媒に溶解した電解質塩を含む液体電解質(電解液)や、ポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質などがあげられる。
【0029】
セパレータに電解液が含浸される場合、その電解質塩として、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCF、SO、LiN(FSO、LiN(CFSO等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
【0030】
スペーサ19A,19Bは、スペーサを介して隣り合う集電体21間の間隔を保持し、スペーサを介して隣り合う集電体21間の短絡を防止する。一例のスペーサ19A,19Bは、バイポーラ電極15、正極終端電極17及び負極終端電極18を構成する集電体21と、セパレータ16とを保持している。スペーサ19A,19Bのそれぞれは、絶縁性を示している。積層方向から見て、スペーサ19A,19Bの少なくとも外縁部同士は、例えば溶着によって接合され、内部空間が封止されてもよい。集電体21とスペーサ19A,19Bとによって封止される領域Sには、図示しない電解液が収容され得る。
【0031】
スペーサ19A,19Bは、耐電解質性を示す樹脂を含む。耐電解質性を示す樹脂の例としては、ポリイミド、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)及びPA66等が挙げられる。例えば、スペーサ19A,19Bは、セラミック等の絶縁材料を含んでもよい。スペーサ19A,19Bの厚さは、例えば、400μm以上900μm以下である。
【0032】
スペーサ19Aは、各バイポーラ電極15と、正極終端電極17とに設けられる。具体的には、スペーサ19Aは、各バイポーラ電極15に含まれる集電体21の主面21aと、正極終端電極17に含まれる集電体21の主面21aとに設けられる。より具体的には、スペーサ19Aは、積層方向から見て正極活物質層22の周囲に位置すると共に集電体21の主面21aの周縁に枠状に設けられる。
【0033】
スペーサ19Bは、各バイポーラ電極15と、負極終端電極18とに設けられる。具体的には、スペーサ19Bは、各バイポーラ電極15に含まれる集電体21の主面21bと、負極終端電極18に含まれる集電体21の主面21bとに設けられる。より具体的には、スペーサ19Bは、積層方向から見て負極活物質層23の周囲に位置すると共に集電体21の主面21bの周縁に枠状に設けられる。本実施形態では、スペーサ19A,19Bのそれぞれは、積層方向から見て集電体21の外形に沿った矩形枠形状を呈する。
【0034】
スペーサ19A,19Bは、樹脂シートを打ち抜き加工することによって形成されてもよいし、複数の樹脂シートを枠状に配置して形成されてもよいし、金型を用いた射出成形によって形成されてもよい。
【0035】
本実施形態では、スペーサ19A,19Bによって、蓄電装置1の側壁14sが形成される。例えば、スペーサ19Aにおける外周面19a及びその近傍と、スペーサ19Bにおける外周面19b及びその近傍とによって、側壁14sが形成される。具体例としては、スペーサ19Aにおける外周面19a及びその近傍と、スペーサ19Bにおける外周面19b及びその近傍とが熱溶着された部分によって、側壁14sが構成される。この場合、側壁14sは、スペーサ19A,19Bが溶着された溶着層によって構成される。側壁14sは、例えば積層方向から見て枠形状を呈する。
【0036】
スペーサ19Aは、集電体21の外縁部21cにおいて主面21aに接合(例えば溶着)されている。X方向及びY方向において、スペーサ19Aの内周の大きさは、セパレータ16の大きさよりも小さくなっている。スペーサ19Aは、積層方向において集電体21に対向すると共に主面21aに接合する枠状の面(下面)31と、積層方向において面31の反対側に位置する枠状の面32とを有する。積層方向の一方面である面(上面)32には、凸部33が設けられている。面32は、集電体21の厚さ方向に沿った基準方向の一方に面している。
【0037】
一例の凸部33は、Z方向から見て枠状を呈しており、面32の幅方向の中央に形成されている。凸部33は、例えばZ方向に直行する方向から見たときに、少なくとも、枠の内側を向いて形成される内側面33aを有している。図示例の凸部33は、例えば断面台形状を呈しており、枠の内側を向いて形成される内側面33aと、上側を向いて形成される天面33bと、枠の外側を向いて形成される外側面33cとを有している。X方向において互いに対向する内側面33a間の距離は、セパレータ16のX方向の距離以上であってよい。また、Y方向において互いに対向する内側面33a間の距離は、セパレータ16のY方向の距離以上であってよい。X方向に互いに対向する辺において、一方の辺のスペーサ19Aの内側面33aから他方の辺のスペーサ19Aの内周の位置までの距離は、セパレータ16のX方向の距離よりも短い。また、Y方向に互いに対向する辺において、一方の辺のスペーサ19Aの内側面33aから他方の辺のスペーサ19Aの内周の位置までの距離は、セパレータ16のY方向の距離よりも短い。
【0038】
一例では、X方向において互いに対向する内側面33a間の距離は、セパレータ16のX方向の距離に等しい。また、Y方向において互いに対向する内側面33a間の距離は、セパレータ16のY方向の距離に等しい。すなわち、凸部33の内側面33aには、セパレータ16の周縁が当接していてもよい。なお、セパレータ16の周縁は、スペーサ19Aの面32と部分的に接合(スポット溶着)されていてもよい。
【0039】
スペーサ19Bは、集電体21の外縁部21cにおいて主面21bに接合(例えば溶着)されている。Z方向から見て、スペーサ19Bの内周及び外周の大きさは、スペーサ19Aの内周及び外周の大きさと同じであってよい。スペーサ19Bは、積層方向において集電体21に対向すると共に主面21bに接合する枠状の面34と、積層方向において面34の反対側に位置する枠状の面35とを有する。積層方向の他方面である面(下面)35には、凸部33に収容される凹部36が設けられている。面35は、集電体21の厚さ方向に沿った基準方向の他方に面している。
【0040】
凹部36は、Z方向から見て枠状を呈しており、面35の幅方向の中央に形成されている。凹部36は、凸部33を収容し得る形状を有している。一例の凹部36は、断面台形状を呈しており、内周面36a、天面36b及び外周面36cを有している。Z方向に沿った凹部36の深さ(Z方向の大きさ)は、例えばZ方向に沿った凸部33の高さ以上である。凹部36には、隣り合って配置された集電体21のスペーサ19Aにおける凸部33が係合されている。例えば、凹部36の内周面36a、天面36b及び外周面36cには、凸部33の内側面33a、天面33b及び外側面33cが当接又は接合されていてもよい。また、セパレータ16の周縁は、面35のうち凹部36よりも内側に接触していてよい。
【0041】
続いて、蓄電装置1の製造方法について説明する。図2は、蓄電装置の製造工程の一例を示す断面図である。一例の製造工程は、第1電極ユニットを形成する工程と、第2電極ユニットを形成する工程と、セパレータを配置する工程と、第1電極ユニット上に第2電極ユニットを積層する工程と、を備える。
【0042】
以下、製造方法について具体的に説明する。まず、各電極ユニットを準備する。すなわち、本実施形態に係る製造方法では、まず、複数のバイポーラ電極ユニット(第1電極ユニット、第2電極ユニット)41、単一の正極ユニット(第1電極ユニット)42、及び、単一の負極ユニット(第2電極ユニット)43を形成する。
【0043】
図2に示すように、バイポーラ電極ユニット41は、集電体21と、集電体21の主面21a上に配置される正極活物質層22と、集電体21の主面21b上に配置される負極活物質層23と、第1スペーサ19Aと、第2スペーサ19Bを含む電極ユニットである。これらのうち、集電体21、正極活物質層22、及び負極活物質層23は、バイポーラ電極15を構成している。本実施形態では、集電体21の周縁に接合された第1スペーサ19Aと第2スペーサ19Bとによってスペーサ19が形成されている。第1スペーサ19Aには凸部33が形成され、第2スペーサ19Bには凹部36が形成されている。
【0044】
正極ユニット42は、集電体21と、集電体21の主面21a上に配置される正極活物質層22(第1電極層)及び第1スペーサ19Aとを含む電極ユニットである。これらのうち、集電体21及び正極活物質層22は、正極終端電極17を構成している。第1スペーサ19Aには凸部33が形成されている。負極ユニット43は、集電体21と、集電体21の主面21b上に配置される負極活物質層23及び第2スペーサ19Bとを含む。これらのうち、集電体21及び負極活物質層23は、負極終端電極18を構成している。第2スペーサ19Bには凹部36が形成されている。
【0045】
第1スペーサ19Aの凸部33及び第2スペーサ19Bの凹部36は、例えば、第1スペーサ19A及び第2スペーサ19Bを集電体21に接合する際に同時に形成することができる。例えば、凸部33に対応する凹部が形成された一方のプレス型と、凹部36に対応する凸部が形成された他方のプレス型とを用いて、第1スペーサ19A及び第2スペーサ19Bを集電体21に接合してもよい。また、第1スペーサ19A及び第2スペーサ19Bを集電体21に接合した後に、凸部33に対応する凹部が形成された一方のプレス型と、凹部36に対応する凸部が形成された他方のプレス型とを用いて、凸部33及び凹部36を形成することもできる。
【0046】
各電極ユニットが準備されると、当該製造方法では、上下方向から見て、セパレータ16がバイポーラ電極ユニット41及び正極ユニット42の第1スペーサ19Aの凸部33の内側に配置されるように、セパレータ16の周縁を第1スペーサ19Aの上面に配置する。例えば、セパレータ16の周縁がバイポーラ電極ユニット41及び正極ユニット42の第1スペーサ19Aの凸部33の内側面33aに当接するように、セパレータ16が第1スペーサ19A上に配置されてもよい。セパレータ16が配置された後、セパレータ16の周縁は、スペーサ19Aの面32と部分的に接合されていてもよい。
【0047】
続いて、正極ユニット42(第1電極ユニット)に対して、セパレータ16が配置されたバイポーラ電極ユニット41(第2電極ユニット)を積層する。この工程では、正極ユニット42の正極活物質層22と、バイポーラ電極ユニット41の負極活物質層23とが、正極ユニット42に配置されたセパレータ16を挟んで対向するように、正極ユニット42とバイポーラ電極ユニット41とが積層方向に重ねられる。このとき、第1スペーサ19Aに設けられる凸部33が第2スペーサ19Bに設けられる凹部36に収容(係合)される。これにより、積層方向から見て第1スペーサ19Aと第2スペーサ19Bとが位置合わせされ、それぞれの外縁同士が一致するように、正極ユニット42とバイポーラ電極ユニット41とが積層方向に重ねられる。
【0048】
続いて、既に積層されているバイポーラ電極ユニット41(第1電極ユニット)の上に、セパレータ16が配置されたバイポーラ電極ユニット41(第2電極ユニット)を積層する。以降、セパレータ16が配置されたバイポーラ電極ユニット41を設定された層数に達するまで積層し、最後に負極ユニット43を積層して封止する。一例において、正極ユニット42、バイポーラ電極ユニット41及び負極ユニット43の側面、すなわち第1スペーサ19A及び第2スペーサ19Bの外周が溶着されることによって、積層方向に隣り合う第1スペーサ19A及び第2スペーサ19Bが互いに溶着される。これにより、蓄電装置1が形成される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る蓄電装置の製造方法は、第1集電体(集電体21)と第1集電体の周縁に接合された第1枠体(スペーサ19、第1スペーサ19A)とを有し、第1枠体の上面に凸部33が形成された第1電極ユニット(正極ユニット42、バイポーラ電極ユニット41)を形成する工程と、セパレータ16の周縁が第1電極ユニットの凸部33の内側に配置されるようにセパレータ16を第1枠体上に配置する工程と、第2集電体(集電体21)と第2集電体の周縁に接合された第2枠体(スペーサ19、第2スペーサ19B)とを有し、第2枠体の下面に凹部36が形成された第2電極ユニット(バイポーラ電極ユニット41、負極ユニット43)を形成する工程と、第1枠体上にセパレータ16が配置された第1電極ユニット上に第2電極ユニットを積層する工程と、を備える。積層する工程では、凸部33が凹部36に係合される。
【0050】
上記蓄電装置の製造方法では、第1電極ユニットである正極ユニット42及びバイポーラ電極ユニット41に形成された凸部33の内側にセパレータ16が配置されるため、正極ユニット42及びバイポーラ電極ユニット41に対するセパレータ16の位置合わせを多くの治具を使用することなく精度良く行うことができる。さらに、セパレータ16が位置決めされた状態で、正極ユニット42又はバイポーラ電極ユニット41(第1電極ユニット)の凸部33にバイポーラ電極ユニット41又負極ユニット43(第2電極ユニット)の凹部36が係合するように、電極ユニットが積層されるため、電極ユニット同士の位置合わせを多くの治具を使用することなく精度良く行うことができる。さらに、セパレータ16の周縁を凸部33の内側に配置する工程では、セパレータ16の周縁の少なくとも一部を凸部33の側面に当接させて、セパレータ16の位置決めがなされている。凸部33の側面に当接するようにセパレータ16が配置されるため、電極ユニットに対するセパレータ16の位置合わせが簡便に実行され得る。
【0051】
また、本実施形態では、上記の第1電極ユニットを形成する工程において、第1枠体の下面に凹部36が形成され、上記の第2電極ユニットを形成する工程において、第2枠体の上面に凸部33が形成されるとともに、セパレータ16の周縁が凸部33の内側に配置される。この場合、バイポーラ電極ユニット41が第1電極ユニットと第2電極ユニットとを兼ねる。すなわち、第1電極ユニットとしてのバイポーラ電極ユニット41上に積層された第2電極ユニットとしてのバイポーラ電極ユニット41は、新たな第1電極ユニットとして機能する。これにより、同型状の複数の集電体がセパレータを介して積層される。
【0052】
続いて、蓄電装置1の製造方法の他の例について説明する。図3及び図4は、蓄電装置の製造工程の一例を示す断面図である。以下、製造方法について具体的に説明する。まず、電極ユニットを準備する。すなわち、当該製造法では、まず、複数のバイポーラ電極ユニット(第2電極ユニット)51、単一の正極ユニット(第1電極ユニット)42、及び、単一の負極ユニット(第2電極ユニット)43を形成する。
【0053】
図3に示すように、バイポーラ電極ユニット51は、集電体21と、集電体21の主面21a上に配置される正極活物質層22と、集電体21の主面21b上に配置される負極活物質層23と、第1スペーサ前駆体119Aと、第2スペーサ19Bを含む電極ユニットである。これらのうち、集電体21、正極活物質層22、及び負極活物質層23は、バイポーラ電極15を構成している。本実施形態では、集電体21の周縁に接合された第1スペーサ前駆体119Aと第2スペーサ19Bとによってスペーサ119が形成されている。第1スペーサ前駆体119Aは、製造工程を経ることによって第1スペーサ19Aに加工される部材である。すなわち、第1スペーサ前駆体119Aは、凸部33を有しておらず、矩形枠状を呈している。第2スペーサ19Bには凹部36が形成されている。
【0054】
第2スペーサ19Bの凹部36は、例えば、第1スペーサ前駆体119A及び第2スペーサ19Bを集電体21に接合する際に同時に形成することができる。また、第1スペーサ前駆体119A及び第2スペーサ19Bを集電体21に接合した後に、凹部36を形成することもできる。
【0055】
各電極ユニットが準備されると、当該製造方法では、セパレータ16の周縁が正極ユニット42の第1スペーサ19Aにおける凸部33の内側面33aに当接するように、セパレータ16が第1スペーサ19A上に配置される。セパレータ16が配置された後、セパレータ16の周縁は、スペーサ19Aの面32と部分的に接合されていてもよい。
【0056】
続いて、正極ユニット42(第1電極ユニット)に対して、バイポーラ電極ユニット51(第2電極ユニット)を積層する。この工程では、正極ユニット42の正極活物質層22と、バイポーラ電極ユニット51の負極活物質層23とが、正極ユニット42に配置されたセパレータ16を挟んで対向するように、正極ユニット42とバイポーラ電極ユニット51とが積層方向に重ねられる。このとき、第1スペーサ19Aに設けられる凸部33が第2スペーサ19Bに設けられる凹部36に収容(係合)される。これにより、積層方向から見て第1スペーサ19Aと第2スペーサ19Bとが位置合わせされ、それぞれの外縁同士が一致するように、正極ユニット42とバイポーラ電極ユニット51とが積層方向に重ねられる。
【0057】
続いて、正極ユニット42の第1スペーサ19Aと積層されたバイポーラ電極ユニット51(第2電極ユニット)の第1スペーサ前駆体119A及び第2スペーサ19B(第2枠体)とを溶着する。例えば、正極ユニット42の第1スペーサ19Aとバイポーラ電極ユニット51の第1スペーサ前駆体119A及び第2スペーサ19Bとが積層方向に溶着されることで、第1スペーサ前駆体119Aの上面に凸部33が形成される。これにより、バイポーラ電極ユニット51は、スペーサ19を有するバイポーラ電極ユニット41になる。
【0058】
続いて、セパレータ16の周縁がバイポーラ電極ユニット41の第1スペーサ19Aにおける凸部33の内側面33aに当接するように、セパレータ16が第1スペーサ19A上に配置される。セパレータ16が配置された後、セパレータ16の周縁は、スペーサ19Aの面32と部分的に接合されていてもよい。
【0059】
続いて、バイポーラ電極ユニット41(第1電極ユニット)に対して、バイポーラ電極ユニット51(第2電極ユニット)を積層する。以降、バイポーラ電極ユニット41のスペーサ19と積層されたバイポーラ電極ユニット51の第1スペーサ前駆体119A及び第2スペーサ19Bとの溶着、及び、セパレータ16の配置、を繰り返す。最後に、バイポーラ電極ユニット41上に負極ユニット43を積層して、バイポーラ電極ユニット41のスペーサ19と負極ユニット43の第2スペーサ19Bとが溶着によって封止される。これにより、積層体が構成される。
【0060】
以上のとおり、一例の製造方法では、積層されたバイポーラ電極ユニット51の第1スペーサ前駆体119Aの上面に凸部33を形成する工程を備えている。この構成では、第2電極ユニットとして積層されたバイポーラ電極ユニット51が新たな第1電極ユニットとして機能する。これにより、複数の集電体がセパレータを介して積層されることになる。上記の例では、第1電極ユニットの第1スペーサ19Aとバイポーラ電極ユニット51の第1スペーサ前駆体119A及び第2スペーサ19Bとが積層方向に溶着されることで、セパレータ16が第1スペーサ19Aと第2スペーサ19Bとに挟持(融着)される。これにより、例えば熱等の影響によってセパレータ16が収縮しようとした場合であっても、セパレータ16は第1スペーサ19Aと第2スペーサ19Bとの間から外れ難くなっている。そのため、正極活物質層22と負極活物質層23との短絡が抑制される。
【0061】
以上、本発明の一例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0062】
例えば、電極ユニットが積層される工程では、正極ユニット42において集電体21及び第1スペーサ19Aに囲われた領域に電解液が滴下されることによって、正極ユニット42の領域Sに電解液が注液されてもよい。このとき、セパレータ16の内部にも電解液が含浸されてもよい。なお、電解液は、全ての電極ユニットが積層された後に、別途形成される注液口から注液されてもよい。
【0063】
また、凸部33の形状が断面台形状である例を示したが、凸部33の形状は、セパレータ16の周縁に当接可能な形状であれば特に限定されない。例えば、凸部は、断面矩形状、断面三角形状、断面円弧状等であってもよく、また、柱状、錐台状等であってもよい。なお、凹部の形状は、凸部に係合(収容)され得る形状であればよい。
【0064】
また、スペーサ19A,19Bによって領域Sが封止される形態について説明したが、領域Sは、必ずしも封止されていなくてもよい。例えば、電解質として高分子ゲル電解質等が用いられる場合には、スペーサと集電体との間に微小な隙間があってもよく、また、スペーサは、集電体の周縁を不連続に囲む形状であってもよい。なお、スペーサには、電解質の透過を防止する役割があることが望ましいが、電解質として高分子固体電解質が用いられる場合は、電解質の透過を防止する役割がなくてもよい。
【0065】
また、凸部33及び凹部36の幅は、形成されるスペーサ19の辺の位置によって互いに異なっていてもよい。例えば、矩形枠状をなすスペーサ19Aにおいて、互いに対向する辺のうち一方の辺に形成される凸部33の幅と他方の辺に形成される凸部33の幅とは互いに異なっていてもよい。この場合、積層される電極ユニットの回転位置が規制され得る。すなわち、積層方向を回転軸として場合に、電極ユニットの回転位置が揃っていない場合には、電極ユニット同士を組み付けることができない。したがって、誤組付けが抑制される。また、複数種の用途の異なる電極ユニットを順番に積層する場合、積層された状態で互いに対面する電極ユニットで対となるように凹凸を形成してもよい。この場合、順番通りに電極ユニットが積層されないときには、凹凸が係合されないため、誤組付けが抑制される。
【0066】
また、蓄電装置を構成する電極ユニットがバイポーラ電極である例を示したが、これに限定されない。例えば、図5は、一対のモノポーラ電極によって擬似的なバイポーラ電極が形成されている蓄電装置の例を示す。
【0067】
蓄電装置101は、複数の擬似的なバイポーラ電極115、複数のセパレータ16、正極終端電極117、負極終端電極118、及びスペーサ19A,19Bを有している。本実施形態では、複数の擬似的なバイポーラ電極115と、複数のセパレータ16と、正極終端電極117と、負極終端電極118とは、Z軸方向(積層方向)に沿って積層されている。
【0068】
擬似的なバイポーラ電極115は、第1集電体120、第2集電体121、正極活物質層122、及び、負極活物質層123を有している。第1集電体120及び第2集電体121は、上述した集電体21に相当し、正極活物質層122は、上述した正極活物質層22に相当し、負極活物質層123は上述した負極活物質層23に相当する。第1集電体120は、積層方向に交差する一対の主面120a,120bを含む。主面120aには正極活物質層122が設けられ、主面120bには活物質層が設けられていない。すなわち、第1集電体120と正極活物質層122とによってモノポーラ電極が構成される。第2集電体121は、積層方向に交差する一対の主面121a,121bを含む。主面121aには活物質層が設けられておらず、主面121bには負極活物質層123が設けられている。すなわち、第2集電体121と負極活物質層123とによってモノポーラ電極が構成される。バイポーラ電極115は、主面120bと主面121aとが互いに接触するように、第1集電体120と第2集電体121とが重ね合わされることによって形成されている。
【0069】
正極終端電極117は、正極終端電極17に相当し、主面120aに正極活物質層122が設けられた第1集電体120によって構成されている。負極終端電極118は、負極終端電極18に相当し、主面121bに負極活物質層123が設けられた第2集電体121によって構成されている。セパレータ16は、隣り合う擬似的なバイポーラ電極115の間、バイポーラ電極115と正極終端電極117との間、及び、バイポーラ電極115と負極終端電極118との間にそれぞれ配置されている。
【0070】
スペーサ19A,19Bは、バイポーラ電極115、正極終端電極117及び負極終端電極118を構成する第1集電体120と、第2集電体121と、セパレータ16とを保持している。図5の例において、スペーサ19Aは、各バイポーラ電極115と、正極終端電極117とに設けられる。具体的には、スペーサ19Aは、各バイポーラ電極115に含まれる第1集電体120の主面120aと、正極終端電極117に含まれる第1集電体120の主面120aとに設けられる。スペーサ19Bは、各バイポーラ電極115と、負極終端電極118とに設けられる。具体的には、スペーサ19Bは、各バイポーラ電極115に含まれる第2集電体121の主面121bと、負極終端電極118に含まれる第2集電体121の主面121bとに設けられる。
【0071】
蓄電装置101を製造する場合、第1集電体120に接合されたスペーサ19Aと第2集電体121に接合されたスペーサ19Bとが互いに接合されることによって、バイポーラ電極ユニット41に相当する擬似的なバイポーラ電極ユニットが形成される。また、正極終端電極117とスペーサ19Aとによって、正極ユニット42に相当するユニットが形成され、負極終端電極118とスペーサ19Bとによって、負極ユニット43に相当するユニットが形成される。各電極ユニットを準備する工程以降については、上述のいずれかの製造方法と同様の工程を経ることによって蓄電装置101が製造され得る。すなわち、例えば、セパレータ16がバイポーラ電極ユニット及び正極ユニットの第1スペーサ19Aの凸部33の内側に配置される。そして、正極ユニットに対して、セパレータ16が配置されたバイポーラ電極ユニットを積層し、積層されたバイポーラ電極ユニットの上に、セパレータ16が配置されたバイポーラ電極ユニットを設定された層数に達するまで積層し、最後に負極ユニットを積層して封止することによって、蓄電装置101が製造され得る。
【符号の説明】
【0072】
1…蓄電装置、16…セパレータ、19…スペーサ(第1枠体、第2枠体)、19A…第1スペーサ(第1枠体)、19B…第2スペーサ(第2枠体)、21…集電体(第1集電体、第2集電体)、33…凸部、36…凹部、41…バイポーラ電極ユニット(第1電極ユニット、第2電極ユニット)、42…正極ユニット(第1電極ユニット)、43…負極ユニット(第2電極ユニット)、51…バイポーラ電極ユニット(第2電極ユニット)、119…スペーサ、119A…第1スペーサ前駆体(第2枠体)。
図1
図2
図3
図4
図5