(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022926
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 11/00 20060101AFI20220131BHJP
【FI】
B62M11/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126039
(22)【出願日】2020-07-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】391006809
【氏名又は名称】阿多 實孝
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】阿多 實孝
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人力で推進する自転車において、登坂の際、運転者の体重を利用することにより、足の負担を軽減することを可能にする自転車を提供する。
【解決手段】サドルを固定支持し、後輪と前輪とをそれぞれ回転可能に支持する車体フレームを有し、ペダルを足でこぐことにより後輪に推進力を伝達する自転車であって、第1ラチェットを係合解除することにより、ペダルを足でこぐことのみにより後輪に推進力を伝達可能であり、前記第1ラチェットを係合させることにより、登坂の際、荷重伝達部の荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減する、ことを特徴とする自転車。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドルを固定支持し、後輪と前輪とをそれぞれ回転可能に支持する車体フレーム を有し、ペダルを足でこぐことにより後輪に推進力を伝達する自転車であって、
前記後輪と一体で回転可能に、前記後輪に対して前記後輪車軸を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車と、
前記大歯車の前記後輪車軸より上のレベルにおいて、前記大歯車と外接して噛み合うように設けられた小歯車と、
前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記小歯車を回転可能に支持し、下端部において、荷重受け面を有する小歯車支持ブラケットと、
前記車体フレームに対して、下方向きの荷重により下方に移動可能に支持され、前記荷重受け面において、自転車の前後方向に移動調整可能な荷重伝達部と、
前記小歯車と一体で回転可能に、前記小歯車と同心状に設けられる、第1スプロケットと、
前記第1スプロケットより自転車の後方側で、前記第1スプロケットの回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケットと、
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間に掛け渡され、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーンと、
前記小歯車には、前記大歯車を介して、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第1ラチェットが設けられ、
前記第1ラチェットを係合解除することにより、ペダルを足でこぐことのみにより後輪に推進力を伝達可能であり、
前記第1ラチェットを係合させることにより、登坂の際、
前記荷重伝達部の前記荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減する、ことを特徴とする自転車。
【請求項2】
前記荷重伝達部は、車体フレームに上下に揺動可能に支持されたL字状荷重伝達フレームと、L字状荷重伝達フレームと前記小歯車支持ブラケットとの間に介在する摺動ブラケットとを有し、
L字状荷重伝達フレームは、水平部と鉛直部とを有し、
前記水平部は、サドルが固定され、車体フレームの自転車の前後方向に延びる前後上フレーム部に対して、前端がピン支持されて、前記鉛直部が上下方向に揺動可能であり、前記小歯車支持ブラケットの上端に当接し、
前記鉛直部は、下端部に自転車の前後方向に延在する第1溝を有し、
前記小歯車支持ブラケットは、上下方向バーと、上下方向バーの下端から自転車前方向に延びる前後方向バーとを有するL字状であり、該上下方向バーの上端部において、前記小歯車が回転可能に支持され、該前後方向バーの上面には、自転車の前後方向に延在する第2溝が設けられ、
前記摺動ブラケットは、前記第1溝をころがり移動可能な第1ローラーと、前記第2溝をころがり移動可能な第2ローラーとを有する、請求項1に記載の自転車。
【請求項3】
サドル近傍に、下方に延びる操作レバーが設けられ、操作レバーは、中間部において、車体フレームに対して回転可能に支持され、前端が前記操作レバーの下端部に連結された延長部材が設けられ、それにより、前記摺動ブラケットは、前記操作レバーの前後方向の移動により、さらに、第1ローラーおよび第2ローラーそれぞれが、前記第1溝および前記第2溝上をころがり移動可能に、前後方向の位置が調整可能である、請求項2に記載の自転車。
【請求項4】
第1ローラーは、前後方向に間隔を隔てて、一対設けられ、第2ローラーは、単一である、請求項3に記載の自転車。
【請求項5】
前記操作レバーには、上下方向に移動可能な係止ピンが設けられ、自転車の前後方向と直行する向きに延びる係止溝群が、車体フレームに設けられ、前記係止ピンを係止溝群のどの溝に係止させるかに応じて、前記操作レバーの傾斜角度が保持される、請求項3または4に記載の自転車。
【請求項6】
前記車体フレームは、前端に、チェーンを介して後スプロケットに連結され、ペダルにより回転可能な前スプロケットが回転可能に支持され、後端に、後スプロケットと一体回転可能な後輪車軸が回転可能に支持される前後下フレーム部を有し、さらに、前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記第2スプロケットを回転可能に支持する第2スプロケット支持バーと、第2スプロケット支持バーを自転車の後向きに付勢する第1ばねとが設けられ、前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、第2スプロケット支持バーに向かって延びる第1回転規制部材が設けられる、請求項5に記載の自転車。
【請求項7】
前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、上方に延びる第2回転規制部材が設けられ、前記小歯車支持ブラケットの自転車後ろ向きへの回転を規制する第2回転規制部材が設けられる、請求項6に記載の自転車。
【請求項8】
前記操作レバーは、前記前後下フレーム部の後方車軸の前方において、回転可能に支持される、請求項3に記載の自転車。
【請求項9】
さらに、前記第2スプロケット支持バーには、一端にローラー、他端にばねが設けられる張力付加ブラケットが回転可能に設けられる、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の自転車。
【請求項10】
前記小歯車は、前記大歯車の最上位レベルに設置される、請求項1に記載の自転車。
【請求項11】
前記大歯車には、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第2ラチェットが設けられ、前記第2ラチェットは、前記前後下フレーム部の後端に設けられる、請求項1に記載の自転車。
【請求項12】
さらに、自転車後部の荷台の重さが、前記荷重伝達部に対して伝達されるように設けられる、請求項1に記載の自転車。
【請求項13】
前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームはそれぞれ、一対をなし、それぞれが自転車の各側に設けられて、連結されている、請求項1に記載の自転車。
【請求項14】
前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームそれぞれの回転範囲は、1°ないし2°である、請求項1に記載の自転車。
【請求項15】
前記操作レバーの下端部には、上下方向に延びるスリットが設けられ、前記延長部材の前端が、該スリットを介して、上下方向移動可能に設けられる、請求項14に記載の自転車。
【請求項16】
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間のスパンおよび/または前記第1スプロケットの設置レベルは、前記下方向きの荷重に応じて、設定される、請求項6に記載の自転車。
【請求項17】
前記第1バネのバネ定数は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される、請求項6に記載の自転車。
【請求項18】
前記摺動ブラケットの自転車最前方位置は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される、請求項6に記載の自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に関し、より詳細には、人力で推進する自転車において、登坂の際、運転者の体重を利用することにより、足の負担を軽減することを可能にする自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、乗員の運転操作により人力で駆動され走行する自転車として、自転車が多用されている。自転車は、ペダルと、サドルと、ペダルが操作可能に設けられ、かつ、サドルおよび前後輪を支持する車体フレーム120とを有し、前輪および後輪はそれぞれ、車体フレーム120の前部および後部に設けられ、ペダル上の乗員の脚力が、ペダルに連結する前スプロケットと後輪と一体回転の後スプロケットとに跨るチェーンを介して、後輪に伝達されて、推進(駆動)されるように構成されている。
このような自転車において、上り坂の場合、登坂するのに乗員の脚力が要求され、特に高齢者にとって負担が大きい。
一方、下り坂の場合には、このような乗員の脚力は要求されないが、手動ブレーキを掛けながら下らないと、スピードが加速され、危険である。
【0003】
この点、電動機でも走行可能な自転車、あるいはペダルでも走行可能な電動二輪車として、電動自転車、または、電気自転車が開発され、一方において、ペダルをこがなければモーターが働かない電動アシスト自転車も開発されている。
このようなタイプの自転車であれば、上り坂の場合、乗員の脚力に対する負担が軽減されるが、電動機等の駆動部、および電動機を駆動するバッテリーが別途必要であり、その分、コスト高となるとともに、保守点検頻度も増大する一方で、自転車自体の重量増となり、乗員の脚力に対する負担軽減効果もそれにより相殺されてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、人力で推進する自転車において、登坂の際、運転者の体重を利用することにより、足の負担を軽減することを可能にする自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の自転車は、
サドルを固定支持し、後輪と前輪とをそれぞれ回転可能に支持する車体フレームを有し、ペダルを足でこぐことにより後輪に推進力を伝達する自転車であって、
前記後輪と一体で回転可能に、前記後輪に対して前記後輪車軸を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車と、
前記大歯車の前記後輪車軸より上のレベルにおいて、前記大歯車と外接して噛み合うように設けられた小歯車と、
前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記小歯車を回転可能に支持し、下端部において、荷重受け面を有する小歯車支持ブラケットと、
前記車体フレームに対して、下方向きの荷重により下方に移動可能に支持され、前記荷重受け面において、自転車の前後方向に移動調整可能な荷重伝達部と、
前記小歯車と一体で回転可能に、前記小歯車と同心状に設けられる、第1スプロケットと、
前記第1スプロケットより自転車の後方側で、前記第1スプロケットの回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケットと、
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間に掛け渡され、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーンと、
前記小歯車には、前記大歯車を介して、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第1ラチェットが設けられ、
前記第1ラチェットを係合解除することにより、ペダルを足でこぐことのみにより後輪に推進力を伝達可能であり、
前記第1ラチェットを係合させることにより、登坂の際、
前記荷重伝達部の前記荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減する、構成としている。
【0006】
以上の構成を有する自転車において、後輪と一体で回転可能に、後輪に対して後輪車軸を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車と、大歯車の後輪車軸より上のレベルにおいて、大歯車と外接して噛み合うように設けられた小歯車との関係において、自転車の運転者の自重は、サドル、荷重伝達部、荷重伝達部の荷重受け面、および小歯車支持ブラケットを介して小歯車、小歯車と噛み合う大歯車、かくして、後輪に伝達されるところ、小歯車と同心状に回転する第1スプロケット、第1スプロケットの回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケット、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーンが付設されていることから、自転車による登坂の際、第1ラチェットを係合させることにより、荷重伝達部の荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減することが可能である。
【0007】
また、前記荷重伝達部は、車体フレームに上下に揺動可能に支持されたL字状荷重伝達フレームと、L字状荷重伝達フレームと前記小歯車支持ブラケットとの間に介在する摺動ブラケットとを有し、
L字状荷重伝達フレームは、水平部と鉛直部とを有し、
前記水平部は、サドルが固定され、車体フレームの自転車の前後方向に延びる前後上フレーム部に対して、前端がピン支持されて、前記鉛直部が上下方向に揺動可能であり、前記小歯車支持ブラケットの上端に当接し、
前記鉛直部は、下端部に自転車の前後方向に延在する第1溝を有し、
前記小歯車支持ブラケットは、上下方向バーと、上下方向バーの下端から自転車前方向に延びる前後方向バーとを有するL字状であり、該上下方向バーの上端部において、前記小歯車が回転可能に支持され、該前後方向バーの上面には、自転車の前後方向に延在する第2溝が設けられ、
前記摺動ブラケットは、前記第1溝をころがり移動可能な第1ローラーと、前記第2溝をころがり移動可能な第2ローラーとを有するのでもよい。
【0008】
さらに、サドル近傍に、下方に延びる操作レバーが設けられ、操作レバーは、中間部において、車体フレームに対して回転可能に支持され、前端が前記操作レバーの下端部に連結された延長部材が設けられ、それにより、前記摺動ブラケットは、前記操作レバーの前後方向の移動により、さらに、第1ローラーおよび第2ローラーそれぞれが、前記第1溝および前記第2溝上をころがり移動可能に、前後方向の位置が調整可能であるのがよい。
さらにまた、第1ローラーは、前後方向に間隔を隔てて、一対設けられ、第2ローラーは、単一であるのがよい。
加えて、前記操作レバーには、上下方向に移動可能な係止ピンが設けられ、自転車の前後方向と直行する向きに延びる係止溝群が、車体フレームに設けられ、前記係止ピンを係止溝群のどの溝に係止させるかに応じて、前記操作レバーの傾斜角度が保持されるのがよい。
【0009】
また、前記車体フレームは、前端に、チェーンを介して後スプロケットに連結され、ペダルにより回転可能な前スプロケットが回転可能に支持され、後端に、後スプロケットと一体回転可能な後輪車軸が回転可能に支持される前後下フレーム部を有し、さらに、前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記第2スプロケットを回転可能に支持する第2スプロケット支持バーと、第2スプロケット支持バーを自転車の後向きに付勢する第1ばねとが設けられ、前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、第2スプロケット支持バーに向かって延びる第1回転規制部材が設けられるのがよい。
【0010】
さらに、前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、上方に延びる第2回転規制部材が設けられ、前記小歯車支持ブラケットの自転車後ろ向きへの回転を規制する第2回転規制部材が設けられるのがよい。
さらにまた、前記操作レバーは、前記前後下フレーム部の後方車軸の前方において、回転可能に支持されるのがよい。
さらに、前記第2スプロケット支持バーには、一端にローラー、他端にばねが設けられる張力付加ブラケットが回転可能に設けられるのがよい。
加えて、前記小歯車は、前記大歯車の最上位レベルに設置されるのがよい。
また、前記大歯車には、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第2ラチェットが設けられ、前記第2ラチェットは、前記前後下フレーム部の後端に設けられるのがよい。
【0011】
さらに、自転車後部の荷台の重さが、前記荷重伝達部に対して伝達されるように設けられるのがよい。
また、前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームはそれぞれ、一対をなし、それぞれが自転車の各側に設けられて、連結されているのがよい。
さらにまた、前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームそれぞれの回転範囲は、1°ないし2°であるのがよい。
加えて、前記操作レバーの下端部には、上下方向に延びるスリットが設けられ、前記延長部材の前端が、該スリットを介して、上下方向移動可能に設けられるのがよい。
また、前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間のスパンおよび/または前 また、プロケットの設置レベルは、前記下方向きの荷重に応じて、設定されるのがよい。
さらに、前記第1バネのバネ定数は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定されるのでもよい。
加えて、前記摺動ブラケットの自転車最前方位置は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定されるのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る自転車の実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1ないし
図4にように、自転車10は、車体フレーム18と、前輪16と、後輪14とを備える。
【0013】
より詳細には、サドル12を固定支持し、後輪14と前輪16とをそれぞれ回転可能に支持する車体フレーム18を有し、ペダル20を足でこぐことにより後輪14に推進力を伝達する自転車10である。車体フレーム18は、前端に、チェーン23を介して後スプロケットに連結され、ペダル20により回転可能な前スプロケット21が回転可能に支持され、後端に、後スプロケットと一体回転可能な後輪車軸22が回転可能に支持される前後下フレーム部78を有する。
【0014】
以下に本発明の特徴部である大歯車24、小歯車26、小歯車支持ブラケット34、荷重伝達部36、およびスプロケット機構について、説明する。いずれも材質は、通常の自転車に用いられる材質でよく、金属製、軽量性の観点から、硬質樹脂製でもよい。
後輪14と一体で回転可能に、後輪14に対して後輪車軸22を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車24を有する。
大歯車24の後輪車軸22より上のレベルにおいて、大歯車24と外接して噛み合うように設けられた小歯車26を有する。小歯車26は、大歯車24の最上位レベルに設置される。大歯車24と小歯車26との歯数比は、後述するように、登坂の際、足の負担を軽減する観点から適宜に設定すればよい。
【0015】
後輪車軸22を中心に揺動可能に設けられ、上端部28において、小歯車26を回転可能に支持し、下端部30において、荷重受け面32を有する小歯車支持ブラケット34を有する。
小歯車支持ブラケット34は、上下方向バー60と、上下方向バー60の下端から自転車10前方向に延びる前後方向バー62とを有するL字状であり、上下方向バー60の上端部28において、小歯車26が回転可能に支持され、前後方向バー62の荷重受け面32には、自転車10の前後方向に延在する第2溝64が設けられる。
【0016】
車体フレーム18に対して、下方向きの荷重(たとえば、運転者の自重)により下方に移動可能に支持され、荷重受け面32において、自転車10の前後方向に移動調整可能な荷重伝達部36を有する。荷重伝達部36は、車体フレーム18に上下に揺動可能に支持されたL字状荷重伝達フレーム46と、L字状荷重伝達フレーム46と小歯車支持ブラケット34との間に介在する摺動ブラケット48とを有し、L字状荷重伝達フレーム46は、水平部50と鉛直部52とを有し、水平部50は、サドル12が固定され、車体フレーム18の自転車10の前後方向に延びる前後上フレーム部54に対して、前端56がピン支持されて、鉛直部52が上下方向に揺動可能であり、鉛直部52は、下端部31に自転車10の前後方向に延在する第1溝58を有する。
【0017】
小歯車支持ブラケット34およびL字状荷重伝達フレーム46はそれぞれ、一対をなし、一対のそれぞれが自転車10の各側に設けられて、上部で互いに連結されている。
摺動ブラケット48は、第1溝58をころがり移動可能な第1ローラー66と、第2溝64をころがり移動可能な第2ローラー68とを有する。
第1ローラー66は、摺動ブラケット48の上部において、前後方向に間隔を隔てて、一対設けられ、摺動ブラケット48の下部において、第2ローラー68は、単一である。これにより、摺動ブラケット48は、自転車の前後方向に移動可能に調整可能である。
【0018】
小歯車26と一体で回転可能に、小歯車26と同心状に設けられる、第1スプロケット38と、第1スプロケット38より自転車10の後方側で、第1スプロケット38の回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケット40と、第1スプロケット38と第2スプロケット40との間に掛け渡され、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーン42とが設けられる。
さらに、後輪車軸22を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、第2スプロケット40を回転可能に支持する第2スプロケット支持バー80と、第2スプロケット支持バー80を自転車10の後向きに付勢する第1ばね82とが設けられる。第2スプロケット支持バー80には、一端に当てローラー88、他端に張力付加ばね90が設けられる張力付加ブラケット92が回転可能に設けられる。チェーン42に付着する潤滑油による運転者の衣服の汚れ等を防止する観点から、第1スプロケット38と第2スプロケット40との間に掛け渡され、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーン42に対して、全体を覆うカバー(図示せず)を設けるのがよい。
小歯車26には、大歯車24を介して、後輪14の自転車10を後方に進める向きの回転を阻止する第1ラチェット44が設けられる。
【0019】
以下に述べるように、第1ラチェット44を係合解除することにより、ペダル20を足でこぐことのみにより後輪14に推進力を伝達可能であり、第1ラチェット44を係合させることにより、登坂の際、荷重伝達部36の荷重受け面32の自転車10の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減するようにしている。
【0020】
サドル12近傍に、下方に延びる操作レバー70が設けられ、操作レバー70は、中間部において、車体フレーム18に対して回転可能に支持され、前端71が操作レバー70の下端部73に連結された延長部材72が設けられ、それにより、摺動ブラケット48は、操作レバー70の前後方向の移動により、さらに、第1ローラー66および第2ローラー68それぞれが、第1溝58および第2溝上をころがり移動可能に、前後方向の位置が調整可能である。操作レバー70には、上下方向に移動可能な係止ピン74が設けられ、自転車10の前後方向と直交する向きに延びる係止溝群76が、車体フレーム18に設けられ、係止ピン74を係止溝群76のどの溝に係止させるかに応じて、操作レバー70の傾斜角度が保持される。
【0021】
操作レバー70は、前後下フレーム部78の後輪車軸位置の前方において、回転可能に支持される。操作レバー70の下端部73には、上下方向に延びるスリット98が設けられ、延長部材72の前端が、スリット98を介して、上下方向移動可能に設けられる。
前後下フレーム部78の後輪車軸支持位置後方には、第2スプロケット支持バー80に向かって延びる第1回転規制部材84が設けられる。
【0022】
前後下フレーム部78の後輪車軸支持位置後方、かつ、第1回転規制部材84の前方には、上方に延びる第2回転規制部材86が設けられ、小歯車支持ブラケット34の自転車10後ろ向きへの回転を規制する第2回転規制部材86が設けられる。
より詳細には、第1回転規制部材84に関し、
図1において、第1バネ82により、後輪車軸支持位置を中心に右側(第2スプロケット支持バー80を水平にする向き)へ第2スプロケット支持バー80が付勢されるが、第1回転規制部材84の上端が第2スプロケット支持バー80の右側回転の進み側側部に当たることにより、第1回転規制部材84がこれ以上の第2スプロケット支持バー80の右側回転を抑制するようにしている。
【0023】
一方、第2回転規制部材86に関し、
図1において、後輪車軸支持位置を中心に右側へ上下方向バー60が回転する際、第2回転規制部材86の上端が、上下方向バー60の右側回転の進み側側部に当たることにより、第2回転規制部材86がこれ以上の上下方向バー60の右側回転を抑制するようにし、それにより、第1スプロケット38が第2スプロケット40に近づき、両スプロケット間のチェーン42が弛むのを抑制している。
第1回転規制部材84および第2回転規制部材86の自転車前後方向の設置位置および上端までの高さは、上述の機能を達成する観点から、適宜設定すればよい。
【0024】
大歯車24には、後輪14の自転車10を後方に進める向きの回転を阻止する第2ラチェット94が設けられ、第2ラチェット94は、前後下フレーム部78の後端95に設けられる。
【0025】
小歯車支持ブラケット34およびL字状荷重伝達フレーム46それぞれの回転範囲は、1°ないし2°である。このような範囲とすることにより、摺動ブラケット48は、小歯車支持ブラケット34およびL字状荷重伝達フレーム46それぞれの傾きに係わらず、第1ローラー66が第1溝58をころがり移動しつつ、第2ローラー68が第2溝64をころがり移動して、自転車の前後方向に移動可能である。
【0026】
変形例として、第1スプロケット38と第2スプロケット40との間のスパンおよび/または第1スプロケット38の設置レベルは、下方向きの荷重に応じて、設定されるのがよい。
変形例として、第1バネ82のバネ定数は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される。
変形例として、摺動ブラケット48の自転車最前方位置は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定されるのがよい。
変形例として、サドル12の位置、すなわち支持ピン102からサドル12までの距離を調整してもよい。
変形例として、自転車後部の荷台96の重さが、荷重伝達部36に伝達されるように設けられるのでもよい。
【0027】
以上の構成を有する自転車について、
図1ないし
図4を参照しながら、その作用を説明する。
(1) 平坦運転の際
たとえば、駐輪場から移動する際、第1ラチェット44および第2ラチェット94を解除することにより、自転車10は通常通り、前進および後退が可能である。より詳細には、操作レバー70を再前方に押し、摺動ブラケット48を小歯車支持ブラケット34の上下方向バー60に最近接位置に移動させる。小歯車支持ブラケット34は、前方に倒れるように移動し、チェーン42を介して第2スプロケット支持バー80と第1回転規制部材84により阻止される。サドル12と後輪車軸22とは、第1ラチェット44が解除されているので、フリーとなり、サドル12の荷重は摺動ブラケット48を介して、小歯車支持ブラケット34から直接後輪車軸22へと、通常の自転車10の状態となる。
【0028】
荷重が負荷されない状態で、小歯車支持ブラケット34により、小歯車26が接地面に対して、鉛直上方位置となるように位置決めされるとともに、摺動ブラケット48は、小歯車支持ブラケット34の前後方向バー62において、上下方向バー60に最近接位置に位置決めされる。
【0029】
運転者の体重が、サドル12を介して、L字荷重伝達フレーム46に伝達され、L字荷重伝達フレーム46はフレームピン102を中心に下方に移動し、L字荷重伝達フレーム46の下端面に設けられた第2溝64に第2ローラ―68を介して摺動可能とされた摺動ブラケット48は、操作レバー70の下部に設けられたスリット98に上下方向移動可能に設けられていることから、摺動ブラケット48も下方に移動する。
摺動ブラケット48の下方移動により、小歯車支持ブラケット34は、後輪車軸22を中心として、回転し、前後方向バー62の下方移動により、上下方向バー60は、図面上左方向へ回転しようとし、小歯車支持ブラケット34の端部に回転可能に支持された小歯車26のバランス調整が始まる。
小歯車26は、第1ラッチェト44により、図面上左回転が阻止され、第2回転抑制部材86と小歯車支持ブラケット34との間隙Dの範囲内で、往復運動しながら、自己安定位置に静止保持される。
【0030】
(2) 登坂運転の際
坂道の傾斜角度に応じて、操作レバー70を後方に動かすことにより、係止溝群76の所望位置に係止ピン74を嵌め込むことにより、操作レバー70を所望の角度位置に保持する。
それに応じて、摺動ブラケット48が第1ローラー66および第2ローラ―68それぞれが、第1溝58および第2溝64をころがりながら、自転車10の最後方位置から、前方の所定位置まで摺動する。
小歯車支持ブラケット34において、後輪車軸22中心から荷重負荷点までの距離と、後輪車軸22中心から小歯車26の中心までの距離との比に応じて、てこの原理で、運転者の体重による荷重が小歯車26に負荷される。
【0031】
第2ラチェット94により、後輪14は下る方向への回転が阻止されつつ、第2スプロケット40は、第2スプロケット支持バー80が第1バネ82により第2スプロケット40を下降させる向きに付勢するとともに、第2スプロケット40の自重が働くことにより、自転車10の後方側へ下降しようとする方向へ回転し、その回転力がチェーン42を介して、小歯車26に伝達される。なお、第2スプロケット40の下降移動は、第2回転規制部材86により、一定範囲に制限される。
小歯車26は、バランス保持位置で、小歯車支持ブラケット34の回転支持部を中心に回転し、小歯車26と噛み合う後輪14は、登坂する方向へ回転する。それにより、足の踏み込みによる登坂が軽減される。
【0032】
その際、一端に張力付加バネ90、他端に当てローラー88が設けられた張力付加ブラケット92により、張力付加ブラケット92が第2スプロケット支持バー80の方に付勢され、当てローラー88がチェーン42に張力を付加することにより、チェーン42に弛みを生じることなく、第2スプロケット40の回転力がチェーン42を介して小歯車26に伝達される。
運転者が自転車10から降りると、体重が除荷され、それに応じて、小歯車支持ブラケット34が後輪車軸22を中心として、図面上右側に移動し、小歯車26が第2スプロケット40に近づく向きに移動し、チェーン42が弛むことから、それを一定範囲に制限するのに、第2回転規制部材86が設けられている。
【0033】
以上の構成を有する自転車において、後輪と一体で回転可能に、後輪に対して後輪車軸を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車と、大歯車の後輪車軸より上のレベルにおいて、大歯車と外接して噛み合うように設けられた小歯車との関係において、自転車の運転者の自重は、サドル、荷重伝達部、荷重伝達部の荷重受け面、および小歯車支持ブラケットを介して小歯車、小歯車と噛み合う大歯車、かくして、後輪に伝達されるところ、小歯車と同心状に回転する第1スプロケット、第1スプロケットの回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケット、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーンが付設されていることから、自転車による登坂の際、第1ラチェットを係合させることにより、荷重伝達部の荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減することが可能である。
【0034】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態において、小歯車26は、大歯車24に対して外接するものとして説明したが、それに限定されることなく、小歯車26は、大歯車24に対して内接するのでもよい。
たとえば、本実施形態において、小歯車26は、大歯車24の最上位レベルに設置されるものとして説明したが、それに限定されることなく、小歯車26は、後輪車軸22より上のレベルに設置されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態による自転車10を示す左側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による自転車10の部分平面図である。
【
図3】本発明の実施形態による自転車10の平坦運転の場合の部分図である。
【
図4】本発明の実施形態による自転車10の登坂運転の場合の部分図である。
【符号の説明】
【0036】
10 自転車
12 サドル
14 後輪
16 前輪
18 車体フレーム
20 ペダル
22 後輪車軸
24 大歯車
26 小歯車
28 上端部
30 下端部
32 荷重受け面
34 小歯車支持ブラケット
36 荷重伝達部
38 第1スプロケット
40 第2スプロケット
42 チェーン
44 第1ラチェット
46 L字状荷重伝達フレーム
48 摺動ブラケット
50 水平部
52 鉛直部
54 前後上フレーム部
56 前端
58 第1溝
60 上下方向バー
62 前後方向バー
64 第2溝
66 第1ローラー
68 第2ローラー
70 操作レバー
72 延長部材
74 係止ピン
76 係止溝群
77 前スプロケット
78 前後下フレーム部
80 第2スプロケット支持バー
82 第1ばね
84 第1回転規制部材
86 第2回転規制部材
88 当てローラー
90 張力付加ばね
92 張力付加ブラケット
94 第2ラチェット
96 荷台
98 スリット
101 小歯車の回転中心
102 前後上フレーム部の揺動中心
103 第2スプロケットの回転中心
104 操作レバーの揺動中心
【手続補正書】
【提出日】2021-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドルを固定支持し、後輪と前輪とをそれぞれ回転可能に支持する車体フレーム を有し、ペダルを足でこぐことにより後輪に推進力を伝達する自転車であって、
前記後輪と一体で回転可能に、前記後輪に対して前記後輪車軸を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車と、
前記大歯車の前記後輪車軸より上のレベルにおいて、前記大歯車と外接して噛み合うように設けられた小歯車と、
前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記小歯車を回転可能に支持し、下端部において、荷重受け面を有する小歯車支持ブラケットと、
前記車体フレームに対して、下方向きの荷重により下方に移動可能に支持され、前記荷重受け面において、自転車の前後方向に移動調整可能な荷重伝達部と、
前記小歯車と一体で回転可能に、前記小歯車と同心状に設けられる、第1スプロケットと、
前記第1スプロケットより自転車の後方側で、前記第1スプロケットの回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケットと、
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間に掛け渡され、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーンと、
前記小歯車には、前記大歯車を介して、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第1ラチェットが設けられ、
前記第1ラチェットを係合解除することにより、ペダルを足でこぐことのみにより後輪に推進力を伝達可能であり、
前記第1ラチェットを係合させることにより、登坂の際、
前記荷重伝達部の前記荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減する、ことを特徴とする自転車。
【請求項2】
前記荷重伝達部は、車体フレームに上下に揺動可能に支持されたL字状荷重伝達フレームと、L字状荷重伝達フレームと前記小歯車支持ブラケットとの間に介在する摺動ブラケットとを有し、
L字状荷重伝達フレームは、水平部と鉛直部とを有し、
前記水平部は、サドルが固定され、車体フレームの自転車の前後方向に延びる前後上フレーム部に対して、前端がピン支持されて、前記鉛直部が上下方向に揺動可能であり、前記小歯車支持ブラケットの上端に当接し、
前記鉛直部は、下端部に自転車の前後方向に延在する第1溝を有し、
前記小歯車支持ブラケットは、上下方向バーと、上下方向バーの下端から自転車前方向に延びる前後方向バーとを有するL字状であり、該上下方向バーの上端部において、前記小歯車が回転可能に支持され、該前後方向バーの上面には、自転車の前後方向に延在する第2溝が設けられ、
前記摺動ブラケットは、前記第1溝をころがり移動可能な第1ローラーと、前記第2溝をころがり移動可能な第2ローラーとを有する、請求項1に記載の自転車。
【請求項3】
サドル近傍に、下方に延びる操作レバーが設けられ、操作レバーは、中間部において、車体フレームに対して回転可能に支持され、前端が前記操作レバーの下端部に連結された延長部材が設けられ、それにより、前記摺動ブラケットは、前記操作レバーの前後方向の移動により、さらに、第1ローラーおよび第2ローラーそれぞれが、前記第1溝および前記第2溝上をころがり移動可能に、前後方向の位置が調整可能である、請求項2に記載の自転車。
【請求項4】
第1ローラーは、前後方向に間隔を隔てて、一対設けられ、第2ローラーは、単一である、請求項3に記載の自転車。
【請求項5】
前記操作レバーには、上下方向に移動可能な係止ピンが設けられ、自転車の前後方向と直行する向きに延びる係止溝群が、車体フレームに設けられ、前記係止ピンを係止溝群のどの溝に係止させるかに応じて、前記操作レバーの傾斜角度が保持される、請求項3または4に記載の自転車。
【請求項6】
前記車体フレームは、前端に、チェーンを介して後スプロケットに連結され、ペダルにより回転可能な前スプロケットが回転可能に支持され、後端に、後スプロケットと一体回転可能な後輪車軸が回転可能に支持される前後下フレーム部を有し、さらに、前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記第2スプロケットを回転可能に支持する第2スプロケット支持バーと、第2スプロケット支持バーを自転車の後向きに付勢する第1ばねとが設けられ、前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、第2スプロケット支持バーに向かって延びる第1回転規制部材が設けられる、請求項5に記載の自転車。
【請求項7】
前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、上方に延びる第2回転規制部材が設けられ、前記小歯車支持ブラケットの自転車後ろ向きへの回転を規制する第2回転規制部材が設けられる、請求項6に記載の自転車。
【請求項8】
前記車体フレームは、自転車の前後方向に延びる前後下フレーム部をさらに有し、前記操作レバーは、前記前後下フレーム部の後方車軸の前方において、回転可能に支持される、請求項3に記載の自転車。
【請求項9】
さらに、前記第2スプロケット支持バーには、一端にローラー、他端にばねが設けられる張力付加ブラケットが回転可能に設けられる、請求項6に記載の自転車。
【請求項10】
前記小歯車は、前記大歯車の最上位レベルに設置される、請求項1に記載の自転車。
【請求項11】
前記大歯車には、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第2ラチェットが設けられ、前記第2ラチェットは、前記前後下フレーム部の後端に設けられる、請求項8に記載の自転車。
【請求項12】
さらに、自転車後部の荷台の重さが、前記荷重伝達部に対して伝達されるように設けられる、請求項1に記載の自転車。
【請求項13】
前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームはそれぞれ、一対をなし、それぞれが自転車の各側に設けられて、連結されている、請求項2に記載の自転車。
【請求項14】
前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームそれぞれの回転範囲は、1°ないし2°である、請求項2に記載の自転車。
【請求項15】
前記操作レバーの下端部には、上下方向に延びるスリットが設けられ、前記延長部材の前端が、該スリットを介して、上下方向移動可能に設けられる、請求項3に記載の自転車。
【請求項16】
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間のスパンおよび/または前記第1スプロケットの設置レベルは、前記下方向きの荷重に応じて、設定される、請求項6に記載の自転車。
【請求項17】
前記第1ばねのバネ定数は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される、請求項6に記載の自転車。
【請求項18】
前記摺動ブラケットの自転車最前方位置は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される、請求項6に記載の自転車。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
運転者の体重が、サドル12を介して、L字荷重伝達フレーム46に伝達され、L字荷重伝達フレーム46はフレームピン102を中心に下方に移動し、L字荷重伝達フレーム46の下端面に設けられた第2溝64に第2ローラ―68を介して摺動可能とされた摺動ブラケット48は、操作レバー70の下部に設けられたスリット98に上下方向移動可能に設けられていることから、摺動ブラケット48も下方に移動する。
摺動ブラケット48の下方移動により、小歯車支持ブラケット34は、後輪車軸22を中心として、回転し、前後方向バー62の下方移動により、上下方向バー60は、図面上左方向へ回転しようとし、小歯車支持ブラケット34の端部に回転可能に支持された小歯車26のバランス調整が始まる。
小歯車26は、第1ラチェット44により、図面上左回転が阻止され、第2回転抑制部材86と小歯車支持ブラケット34との間隙Dの範囲内で、往復運動しながら、自己安定位置に静止保持される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サドルを固定支持し、後輪と前輪とをそれぞれ回転可能に支持する車体フレーム を有し、ペダルを足でこぐことにより後輪に推進力を伝達する自転車であって、
前記後輪と一体で回転可能に、前記後輪に対して前記後輪車軸を中心に同心状に設けられ、後輪径より小さい半径を有する大歯車と、
前記大歯車の前記後輪車軸より上のレベルにおいて、前記大歯車と外接して噛み合うように設けられた小歯車と、
前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記小歯車を回転可能に支持し、下端部において、荷重受け面を有する小歯車支持ブラケットと、
前記車体フレームに対して、下方向きの荷重により下方に移動可能に支持され、前記荷重受け面において、自転車の前後方向に移動調整可能な荷重伝達部と、
前記小歯車と一体で回転可能に、前記小歯車と同心状に設けられる、第1スプロケットと、
前記第1スプロケットより自転車の後方側で、前記第1スプロケットの回転中心より低いレベルに回転中心が設けられる第2スプロケットと、
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間に掛け渡され、両スプロケット間に回転力を伝達するチェーンと、を有し、
前記小歯車には、前記大歯車を介して、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第1ラチェットが設けられ、
前記荷重伝達部は、車体フレームに上下に揺動可能に支持されたL字状荷重伝達フレームと、L字状荷重伝達フレームと前記小歯車支持ブラケットとの間に介在する摺動ブラケットとを有し、
L字状荷重伝達フレームは、水平部と鉛直部とを有し、
前記水平部は、サドルが固定され、車体フレームの自転車の前後方向に延びる前後上フレーム部に対して、前端がピン支持されて、前記鉛直部が上下方向に揺動可能であり、前記小歯車支持ブラケットの上端に当接し、
前記鉛直部は、下端部に自転車の前後方向に延在する第1溝を有し、
前記小歯車支持ブラケットは、上下方向バーと、上下方向バーの下端から自転車前方向に延びる前後方向バーとを有するL字状であり、該上下方向バーの上端部において、前記小歯車が回転可能に支持され、該前後方向バーの上面には、自転車の前後方向に延在する第2溝が設けられ、
前記摺動ブラケットは、前記第1溝をころがり移動可能な第1ローラーと、前記第2溝をころがり移動可能な第2ローラーとを有し、
前記第1ラチェットを係合解除することにより、ペダルを足でこぐことのみにより後輪に推進力を伝達可能であり、
前記第1ラチェットを係合させることにより、登坂の際、
前記荷重伝達部の前記荷重受け面の自転車の前後方向調整位置に応じて、下方向きの荷重を利用して、足の負荷を軽減する、ことを特徴とする自転車。
【請求項2】
サドル近傍に、下方に延びる操作レバーが設けられ、操作レバーは、中間部において、車体フレームに対して回転可能に支持され、前端が前記操作レバーの下端部に連結された延長部材が設けられ、それにより、前記摺動ブラケットは、前記操作レバーの前後方向の移動により、さらに、第1ローラーおよび第2ローラーそれぞれが、前記第1溝および前記第2溝上をころがり移動可能に、前後方向の位置が調整可能である、請求項1に記載の自転車。
【請求項3】
第1ローラーは、前後方向に間隔を隔てて、一対設けられ、第2ローラーは、単一である、請求項2に記載の自転車。
【請求項4】
前記操作レバーには、上下方向に移動可能な係止ピンが設けられ、自転車の前後方向と直行する向きに延びる係止溝群が、車体フレームに設けられ、前記係止ピンを係止溝群のどの溝に係止させるかに応じて、前記操作レバーの傾斜角度が保持される、請求項2または3に記載の自転車。
【請求項5】
前記車体フレームは、前端に、チェーンを介して後スプロケットに連結され、ペダルにより回転可能な前スプロケットが回転可能に支持され、後端に、後スプロケットと一体回転可能な後輪車軸が回転可能に支持される前後下フレーム部を有し、さらに、前記後輪車軸を中心に揺動可能に設けられ、上端部において、前記第2スプロケットを回転可能に支持する第2スプロケット支持バーと、第2スプロケット支持バーを自転車の後向きに付勢する第1ばねとが設けられ、前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、第2スプロケット支持バーに向かって延びる第1回転規制部材が設けられる、請求項4に記載の自転車。
【請求項6】
前記前後下フレーム部の後輪車軸支持位置後方には、上方に延びる第2回転規制部材が設けられ、該第2回転規制部材は、前記小歯車支持ブラケットの自転車後ろ向きへの回転を規制する、請求項5に記載の自転車。
【請求項7】
前記車体フレームは、自転車の前後方向に延びる前後下フレーム部をさらに有し、前記操作レバーは、前記前後下フレーム部の前記後輪車軸の前方において、回転可能に支持される、請求項2に記載の自転車。
【請求項8】
さらに、前記第2スプロケット支持バーには、一端にローラー、他端にばねが設けられる張力付加ブラケットが、前記第2スプロケットの回転中心のまわりに回転可能に設けられ、該ローラーは、前記チェーンの内側に当てられ、前記ばねは、前記張力付加ブラケットの他端を前記第2スプロケット支持バー側に付勢するように設けられ、それにより、前記張力付加ブラケットは、前記ローラーを介して、前記チェーンに張力を付加する、請求項5に記載の自転車。
【請求項9】
前記小歯車は、前記大歯車の最上位レベルに設置される、請求項1に記載の自転車。
【請求項10】
前記大歯車には、前記後輪の自転車を後方に進める向きの回転を阻止する第2ラチェットが設けられ、前記第2ラチェットは、前記前後下フレーム部の後端に設けられる、請求項7に記載の自転車。
【請求項11】
さらに、自転車後部の荷台の重さが、前記荷重伝達部に対して伝達されるように設けられる、請求項1に記載の自転車。
【請求項12】
前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームはそれぞれ、一対をなし、それぞれが自転車の各側に設けられて、連結されている、請求項1に記載の自転車。
【請求項13】
前記小歯車支持ブラケットおよび前記L字状荷重伝達フレームそれぞれの回転範囲は、1°ないし2°である、請求項1に記載の自転車。
【請求項14】
前記操作レバーの下端部には、上下方向に延びるスリットが設けられ、前記延長部材の前端が、該スリットを介して、上下方向移動可能に設けられる、請求項3に記載の自転車。
【請求項15】
前記第1スプロケットと前記第2スプロケットとの間のスパンおよび/または前記第1スプロケットの設置レベルは、前記下方向きの荷重に応じて、設定される、請求項5に記載の自転車。
【請求項16】
前記第1ばねのバネ定数は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される、請求項5に記載の自転車。
【請求項17】
前記摺動ブラケットの自転車最前方位置は、登坂の際、想定される最大傾斜角度に応じて設定される、請求項5に記載の自転車。