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特開2022-22929無機金属殺菌剤及び殺菌被覆塗材による殺菌方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022022929
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】無機金属殺菌剤及び殺菌被覆塗材による殺菌方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/20 20060101AFI20220131BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20220131BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20220131BHJP
   C04B 41/65 20060101ALI20220131BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20220131BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220131BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20220131BHJP
   A01N 59/06 20060101ALI20220131BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20220131BHJP
   A01N 59/02 20060101ALI20220131BHJP
   A61L 2/238 20060101ALI20220131BHJP
   A61L 101/02 20060101ALN20220131BHJP
   A61L 101/12 20060101ALN20220131BHJP
   A61L 101/14 20060101ALN20220131BHJP
   A61L 101/24 20060101ALN20220131BHJP
   A61L 101/26 20060101ALN20220131BHJP
   A61L 101/28 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A01N59/20 Z
C04B18/14 Z
C04B22/06 Z
C04B41/65
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/02
A01N59/06 Z
A01N59/16 Z
A01N59/02 A
A01N59/02 Z
A61L2/238
A61L101:02
A61L101:12
A61L101:14
A61L101:24
A61L101:26
A61L101:28
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020128689
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】520283392
【氏名又は名称】砂見 ノア
(72)【発明者】
【氏名】砂見 明
(72)【発明者】
【氏名】氏家 勲
(72)【発明者】
【氏名】閤田 廣
【テーマコード(参考)】
4C058
4G028
4G112
4H011
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB07
4C058JJ03
4C058JJ04
4G028DA01
4G028DB03
4G112MA00
4H011AA02
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA13
4H011DA14
4H011DH02
(57)【要約】
【課題】無機金属殺菌剤をコンクリート等の建材や樹脂に添加配合した時に、長期にわたり殺菌効果が持続し、有害細菌や微生物の付着繁殖を抑制して、食中毒や感染症を防止し、然も、人体や環境に影響がなく、銅の精錬後に発生する産業副産物を有効利用する、安価な無機金属殺菌剤で有害細菌類の殺菌及び防止方法を提供する。
【解決手段】少なくとも銅スラグ微粉末と酸化チタン微粉末を混合し、無機金属殺菌剤をコンクリートや建材やプラスチック樹脂等に添加配合して硬化させる殺菌方法及びフッ素樹脂と銅スラグ微粉末及び酸化チタン微粉末と鉄鋼スラグ微粉末を水に分散させたことを特徴とする無機金属殺菌剤を、コンクリート構造物表面に塗装して硬化させる殺菌方法、並びに水溶液に無機金属殺菌剤を分散させ、添加配合した無機金属殺菌剤水溶液の噴霧による殺菌方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅スラグに含まれる酸化鉄、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、硫黄、三酸化硫黄、銅を0,000000001mm~0,001mmの微粉末に粉砕して、これらを分散混合させ、これに酸化チタン微粉末を添加混合したことを特徴とする、無機金属殺菌剤の製造及び有害細菌類の殺菌方法。
【請求項2】
酸化鉄41~54%、二酸化ケイ素29~37%、酸化カルシウム1~8%、酸化アルミニウム2~6%、硫黄0,1~1,4%、三酸化硫黄0,05~0,7%、銅0,6~1,7%に酸化チタン5~10%を配合する、請求項1記載の無機金属殺菌剤。
【請求項3】
無機金属殺菌剤として、水溶液或いは水溶性高分子やコンクリート等の建材や樹脂に添加配合してなる、請求項1又は2記載の添加用の無機金属殺菌剤。
【請求項4】
少なくとも、フッ素樹脂と銅スラグ微粉末及び酸化チタン微粉末と鉄鋼スラグ微粉末を水に分散させた無機金属殺菌剤を、コンクリート構造物の表面に塗装して硬化させることを特徴とする、有害細菌類の付着繁殖防止及び殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、し尿処理場、下水処理場、食品工場や交通機関、オフィスやレストラン、家庭環境などの生活空間に付着繁殖する有害細菌類を殺菌して防止する、無機金属殺菌剤及び殺菌被覆塗材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
し尿処理場や下水処理施設などからの有害細菌類の飛散、食品工場、交通機関、オフィスや家庭環境など生活空間に於いても、それら有害細菌類の付着繁殖による食中毒や感染が問題となっている。また、汚水中の微生物の代謝作用で生成される硫酸で、コンクリート構造物が酸化劣化して問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5691032号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート構造物の酸化劣化の解決方法として、特許第5691032号の如く、フッ素樹脂と銅錯体、チタン、酸化チタン粉末及び耐酸セメントをコンクリート構造物に塗装する方法が現れたが、配合されている銅錯体、チタンは高価なため施工価格が高くなり経済性に問題がある。また経年劣化により配合している耐酸セメントに含まれるセメントが硫酸の侵入によりエトリンガイトが生じ、塗膜が膨らみその隙間から硫酸がコンクリートに侵入することにより、劣化する欠点がある。
また、市販されている殺菌剤は多くが有機系殺菌剤であることから、人体や環境に影響がある上に殺菌効果は短く、時間が経つと殺菌効果が消滅する欠点がある。
【問題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決し、人体や環境に安全で、然も安価で恒久的に殺菌効果が持続でき、し尿処理場、上下水処理場、食品工場、家庭環境など生活空間に使用することにより、有害細菌類の繁殖を防止・殺菌する。然も銅精錬後に発生する安価な産業副産物である銅スラグを利用した、無機金属殺菌剤及び殺菌被覆塗材を提供する。
【0006】
本発明は、このような観点からなされたもので、請求項1の発明は、銅鉱石の精錬後に産出される産業副産物である、安価な銅スラグに含まれる酸化鉄、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、硫黄、三酸化硫黄、銅を微粉末に粉砕して、これらを分散させ、酸化チタン微粉末を配合したことを特徴とする、無機金属殺菌剤である。請求項2は銅スラグの成分割合で、酸化鉄41~54%、二酸化ケイ素29~37%、酸化カルシウム1~8%、酸化アルミニウム2~6%、硫黄0,1~1,4%、三酸化硫黄0,05~0,7%、銅0,6~1,7%に酸化チタン5~10%を配合した微粉末の無機金属殺菌剤である。
【0007】
請求項3の発明は、無機金属殺菌剤を水溶液又は水溶性高分子の何れかを添加配合してなる、請求項1又は2記載の無機金属殺菌剤水溶液である。
【0008】
更に請求項3の発明は、無機金属殺菌剤をコンクリート等の建材や樹脂に添加配合してなる、請求項1又は2記載の添加用の無機金属殺菌剤である。
【0009】
請求項4の発明は、少なくともフッ素樹脂と鉄鋼スラグ微粉末を水に分散させた無機金属殺菌剤を、コンクリート構造物の表面に塗装して硬化させることを特徴とする、有害細菌類の付着繁殖防止及び殺菌方法である。
【0010】
本発明の実施にあたり、使用されるフッ素樹脂には特に限定はないが、銅スラグ及び酸化チタン微粉末の粒子は0,000000001mm~0,001mmのものが分散しやすく好ましいが、ことさら粒子にこだわらなくてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から、本発明は安価な産業副産物の銅スラグに含有される酸化鉄、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、硫黄、三酸化硫黄、銅と酸化チタン微粉末の好ましい相乗効果により、殺菌効果の高い無機金属殺菌剤となり有害な細菌類から守られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、上記の組成物が0,000000001mm~0,001mmの微粉末で構成されているので、水溶液に入れると効率よく混合分散されるので、噴霧すると均一に効果的に殺菌剤が吐出され、速やかに殺菌効果が表れる。又、フッ素樹脂やコンクリートに添加配合する場合も0,000000001mm~0,001mm微粉末で構成されているので、混合分散されやすく、然も少量の配合でも殺菌効果が得られる。
【0013】
本発明の実施に際して、殺菌スプレーは水溶液80~90重量部と銅スラグ微粉末、酸化チタン微粉末10~20重量部を混合分散して噴霧器などに入れて吐出する。
殺菌塗材はフッ素樹脂20~30重量部と銅スラグ微粉末、酸化チタン微粉末50~60重量部と鉄鋼スラグ微粉末10~20重量部を混合分散させてコンクリート表面に塗装して硬化させる。
殺菌コンクリートとしては銅スラグ微粉末20~40と酸化チタン微粉末5~10をコンクリート60~75重量部に添加配合して硬化させる。
【実施例0014】
銅スラグ微粉末、酸化チタン微粉末(9:1) 70部
フッ素樹脂 30部
上記の材料を適量の水を加えてエマルジョン状組成物と成し、これをコンクリートの表面に塗装した。
【実施例0015】
銅スラグ微粉末、酸化チタン微粉末(9:1) 30部
水溶性高分子 70部
上記の材料をエマルジョン状組成物と成し、これをコンクリートに含浸させた。
【実施例0016】
銅スラグ微粉末、酸化チタン微粉末(9:1) 30部
上記の材料に適量の水を加えてエマルジョン状組成物と成し、これにモルタルを加えた計70重量部を共に添加して本発明物の組成物を得、これを硬化させた。
上記の本発明試料と比較するため、下記の配合物で比較例の試料を作った。
【0017】
(比較例1)
銅錯体、チタン、酸化チタン粉末(5:1.5:2.5) 20部
フッ素樹脂 15部
上記の材料を適量の水を加えてエマルジョン状組成物と成し、これに耐酸セメント、硅砂を加えた計65重量部を適量の水と共に添加して比較例(特許第5691032号)の組成物を得、これをコンクリートの表面に塗装した。
【0018】
(比較例2)
銀粉末 5部
水溶性高分子 95部
上記の材料を適量の水を加えてエマルジョン状組成物と成し、これをコンクリートの表面に塗装した。
【0019】
(比較例3)
曝気しながら1週間放置した汚水を比較例の資料とした。
上記の実施例及び比較例に示した各配合物を、試験板に各試料を0.5~1mm厚に塗装及びモルタル塊が硬化した後に、下水処理場の汚水を曝気しながら1週間浸漬して、大腸菌など一般細菌類の繁殖生息状況を電子顕微鏡で観察した。
その試料の配合は下記の表1に、殺菌状況は表2に示す通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、食品工場、オフィスや家庭環境など生活空間に於いて、飛沫感染や接触感染、食中毒よる感染防止を必要とする産業、し尿処理場や下水処理施設などの有害細菌類の発生源となる施設、更にそれらの汚水処理施設に於いて繁殖する有害微生物によるコンクリート劣化防止に利用される。然も産業副産物である銅スラグを抗菌金属として利用するため、従来品と比較して安価に提供できる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂、銅スラグ粉末、酸化チタン粉末、及び水とを含む殺菌被覆塗材であって、前記殺菌被覆塗材をコンクリート構造物の表面に塗装して硬化させることを特徴とする、殺菌被覆塗材。
【請求項2】
水溶性高分子、銅スラグ粉末、酸化チタン粉末、及び水とを含む殺菌被覆塗材であって、前記殺菌被覆塗材をコンクリート構造物の表面に塗装して硬化させることを特徴とする、殺菌被覆塗材。
【請求項3】
前記銅スラグ粉末、および前記酸化チタン粉末が0.000000001mm~0.001mmの粉末であることを特徴とする、請 求項1または2に記載の殺菌被覆塗材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の殺菌被覆塗材をコンクリート構造物の表面に塗装して硬化させることを特徴とする、コンクリート構造物の劣化防止方法。