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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023030
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】接合用アルミニウム合金製品準備方法
(51)【国際特許分類】
   C22F 1/04 20060101AFI20220131BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20220131BHJP
   C22C 21/02 20060101ALN20220131BHJP
   C22F 1/05 20060101ALN20220131BHJP
   C22F 1/047 20060101ALN20220131BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20220131BHJP
   C22C 21/06 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C22F1/04 A
C23C26/00 A
C22F1/04 L
C22C21/02
C22F1/05
C22F1/047
C22F1/00 623
C22F1/00 613
C22F1/00 627
C22F1/00 630M
C22F1/00 612
C22F1/00 630G
C22F1/00 681
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 692Z
C22F1/00 611
C22C21/06
C22F1/00 602
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021147531
(22)【出願日】2021-09-10
(62)【分割の表示】P 2019536128の分割
【原出願日】2018-01-11
(31)【優先権主張番号】62/445,153
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520119242
【氏名又は名称】アーコニック テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エップ,ジューン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ワイアット-メア,ギャビン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ウナル,アリ
【テーマコード(参考)】
4K044
【Fターム(参考)】
4K044AA06
4K044BA21
4K044BB01
4K044CA53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】接合用アルミニウム合金製品を準備する方法を提供する。
【解決手段】方法は、アルミニウム合金(AA)製品の少なくとも一部分の誘導加熱、および誘導加熱AA製品の任意選択的な急冷を含む、準備する工程を含む。準備する工程の後、方法は接触させる工程および接合する工程のうちの一つを含む。接触させる工程は、AA製品の少なくとも一部分を脱酸剤および機能化溶液のうちの一つと接触させることを含み、準備する工程と接触させる工程との間に、AA製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である。接合する工程は、AA製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合することを含み、それによって接合されたAA製品を作製し、準備する工程と接合する工程との間に、AA製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である。方法は、構造的接着接合用途のためのAA製品を製造するために用いられてもよい。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)表面脱酸のためにアルミニウム合金製品を準備する工程であって、
(i)前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱することと、
(ii)前記誘導加熱アルミニウム合金製品を任意で急冷することと、を含む工程(a)と、
(b)前記準備する工程(a)の後、前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を脱酸剤と接触させる工程と、を含み、
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である、方法。
【請求項2】
前記誘導加熱が、前記アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触させる工程(b)の後に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を清浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる工程(b)の後、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を第二の材料と接合し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、前記アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、
(ii)前記第二の材料が、前記アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、
(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、前記接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを開始する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを開始する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも85%である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを開始する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも90%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)機能化溶液で処理するためにアルミニウム合金製品を準備する工程であって、
(i)前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱することと、
(ii)前記誘導加熱アルミニウム合金製品を任意で急冷することと、を含む工程(a)と、
(b)前記準備する工程(a)の後、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を前記機能化溶液と接触させる工程と、を含み、
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である、方法。
【請求項12】
前記誘導加熱が、前記アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記機能化溶液が、リン含有有機酸を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記接触させる工程(b)が、機能化されたアルミニウム合金製品を作製することを容易にし、前記方法が、前記接触させる工程(b)の後に、前記機能化されたアルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合することを含み、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、前記アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、
(ii)前記第二の材料が、前記アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、
(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチを有する単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、前記接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを完了する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを完了する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも85%である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを完了する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも90%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(a)接合のためにアルミニウム合金製品を準備する工程であって、
(i)前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱することと、
(ii)前記誘導加熱アルミニウム合金製品を任意で急冷することと、を含む工程(a)と、
(b)前記準備する工程(a)の後、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を第二の材料と接合し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製する工程と、を含み、
前記準備する工程(a)と前記接合する工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である、方法。
【請求項21】
前記誘導加熱が、前記アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記準備する工程(a)の後に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記準備する工程(a)の後に、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を清浄することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
(i)前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、前記アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、
(ii)前記第二の材料が、前記アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、
(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチを有する単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、前記接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを完了する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを完了する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも85%である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを完了する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも90%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記アルミニウム合金製品は、5xxxアルミニウム合金製品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記誘導加熱が、O-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記アルミニウム合金製品は、6xxxアルミニウム合金製品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記誘導加熱が、T4-テンパー6xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、0.4分未満の誘導加熱の滞留時間を達成する、請求項1、11、および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、0.2~0.4分の誘導加熱の滞留時間を達成する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分は、前記誘導加熱の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する、請求項1、11、および20のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分は、前記誘導加熱の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分は、前記誘導加熱の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、前記誘導加熱の間、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、前記誘導加熱の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記アルミニウム合金製品が、シート製品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記シート製品が、前記誘導加熱および前記任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記アルミニウム合金製品が、押出製品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記アルミニウム合金製品が、鍛造製品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記鍛造製品が対称鍛造である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記鍛造製品が造形鍛造である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記アルミニウム合金製品が、鋳造製品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記鋳造製品が対称鋳造である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記鋳造製品が造形鋳造である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記アルミニウム合金製品が、付加製造部品である、請求項1、11および20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アルミニウム合金製品は、自動車産業を含む多くの産業で使用されている。一部の例では、アルミニウム合金は、その他の材料に構造的に接合される必要がある。
【発明の概要】
【0002】
その全体で参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2016/0319440号により例証される公知のプロセスでは、熱処理済アルミニウム合金製品供給原料(例えば、シート製品)は、公知の方法を使用して処理され得る。米国特許公開第2016/0319440号の公知の方法は、a)アルミニウム合金シートまたはコイルの表面にクリーナーを適用する工程を含む。米国特許公開第2016/0319440号の方法は、b)アルミニウムシートまたはコイルの表面を酸性溶液でエッチングする工程を含む。米国特許公開第2016/0319440号の方法は、c)アルミニウムシートまたはコイルの表面を脱イオン水でリンスする工程を含む。米国特許公開第2016/0319440号の方法は、d)アルミニウムシートまたはコイルの表面に酸性有機リン化合物溶液を適用する工程を含む。米国特許公開第2016/0319440号の方法は、e)アルミニウムシートまたはコイルの表面を脱イオン水でリンスする工程を含む。米国特許公開第2016/0319440号の方法は、f)アルミニウムシートまたはコイルの表面を乾燥する工程を含む。
【0003】
以下に記載されるように、例示も含め、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、少なくとも上記の工程a)およびb)の非存在下での米国特許公開第2016/0319440号の公知の方法を完了することを提供する。
【0004】
一実施形態では、方法は、(a)表面脱酸のためにアルミニウム合金製品を準備する工程を含む。実施形態において、準備する工程(a)は、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分の誘導加熱装置による誘導加熱を含み、誘導加熱は、アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む。実施形態において、準備する工程(a)は、任意で誘導加熱アルミニウム合金製品を急冷することを含む。
【0005】
実施形態では、準備する工程(a)の後、方法は、(b)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を脱酸剤(deoxidizing agent)と接触させる工程を含む。
【0006】
実施形態において、準備する工程(a)および接触させる工程(b)の間に、アルミニウム合金製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である。
【0007】
一実施形態では、準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理がない方法である。
【0008】
一実施形態では、接触させる工程(b)の後、表面清浄処理およびエッチング処理がない方法である。
【0009】
一実施形態では、準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を清浄する工程を含む方法である。
【0010】
一実施形態では、方法は、接触させる工程(b)の後、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合することを含み、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製する。実施形態において、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、第二の材料はアルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含む。実施形態において、アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する。
【0011】
一実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である。別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である。さらに別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である。
【0012】
一実施形態では、アルミニウム合金製品は5xxxアルミニウム合金製品である。一実施形態では、誘導加熱はO-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む。一実施形態では、アルミニウム合金製品は6xxxアルミニウム合金製品である。一実施形態では、誘導加熱は6xxxアルミニウム合金製品にT4テンパーまたはT4テンパー変形を提供することを含む。
【0013】
一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、0.4分以下の誘導加熱の滞留時間を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、0.2~0.4分の誘導加熱の滞留時間を達成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する。
【0014】
一実施形態では、アルミニウム合金製品はシート製品である。実施形態において、シート製品は、誘導加熱および任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有し得る。別の実施形態では、アルミニウム合金製品は押出製品である。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は鍛造製品である。実施形態において、鍛造製品は、対称鍛造(symmetric forging)または造形鍛造(shaped forging)であってもよい。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は鋳造製品である。実施形態において、鋳造製品は、対称鋳造(symmetric casting)または造形鋳造(shaped casting)であってもよい。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は付加製造部品である。
【0015】
一実施形態では、方法は、(a)機能化溶液(functionalization solution)で処理するためにアルミニウム合金製品を準備する(preparing)工程を含む。実施形態において、準備する工程(a)は、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分の誘導加熱装置による誘導加熱を含み、誘導加熱は、アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む。実施形態において、準備する工程(a)は、任意で誘導加熱アルミニウム合金製品を急冷することを含む。
【0016】
実施形態では、準備する工程(a)の後、方法は、(b)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を機能化溶液と接触させる工程を含む。
【0017】
実施形態において、準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である。
【0018】
一実施形態では、準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理がない方法である。
【0019】
一実施形態では、機能化溶液は、リン含有有機酸(phosphorus-containing organic acid) を含む。
【0020】
一実施形態では、接触させる工程(b)は、機能化されたアルミニウム合金製品(functionalized aluminum alloy product)の作製を容易にする。実施形態では、方法は、接触させる工程(b)の後、機能化されたアルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合することを含み、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製する。実施形態において、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、第二の材料はアルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含む。実施形態において、アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のSDTサイクルの完了を達成する。
【0021】
一実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である。別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である。さらに別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である。
【0022】
一実施形態では、アルミニウム合金製品は5xxxアルミニウム合金製品である。一実施形態では、誘導加熱はO-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む。一実施形態では、アルミニウム合金製品は6xxxアルミニウム合金製品である。一実施形態では、誘導加熱は6xxxアルミニウム合金製品をT4テンパーまたはバリアント型T4テンパーすることを含む。
【0023】
一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、0.4分以下の誘導加熱の滞留時間を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、0.2~0.4分の誘導加熱の滞留時間を達成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する。
【0024】
一実施形態では、アルミニウム合金製品はシート製品である。実施形態において、シート製品は、誘導加熱および任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有し得る。別の実施形態では、アルミニウム合金製品は押出製品である。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は鍛造製品である。実施形態において、鍛造製品は、対称鍛造または造形鍛造であってもよい。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は鋳造製品である。実施形態において、鋳造製品は、対称鋳造または造形鋳造であってもよい。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は付加製造部品である。
【0025】
一実施形態では、方法は、(a)接合のためにアルミニウム合金製品を準備する工程を含む。実施形態において、準備する工程(a)は、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分の誘導加熱装置による誘導加熱を含み、誘導加熱は、アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む。実施形態において、準備する工程(a)は、任意で誘導加熱アルミニウム合金製品を急冷することを含む。
【0026】
実施形態では、方法は、準備する工程(a)の後、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合する工程(b)を含み、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製する。
【0027】
実施形態において、準備する工程(a)と接合する工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の表面酸化物処理工程が存在しない方法である。
【0028】
一実施形態では、準備する工程(a)の後、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である。
【0029】
一実施形態では、方法は、準備する工程(a)の後、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を清浄することを含む。
【0030】
一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、第二の材料はアルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含む。実施形態において、アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のSDTサイクルの完了を達成する。
【0031】
一実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である。別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である。さらに別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である。
【0032】
一実施形態では、アルミニウム合金製品は5xxxアルミニウム合金製品である。一実施形態では、誘導加熱はO-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む。一実施形態では、アルミニウム合金製品は6xxxアルミニウム合金製品である。一実施形態では、誘導加熱は6xxxアルミニウム合金製品のT4テンパーまたはT4テンパー変形を提供することを含む。
【0033】
一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、0.4分以下の誘導加熱の滞留時間を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、0.2~0.4分の誘導加熱の滞留時間を達成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は、誘導加熱の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する。
【0034】
一実施形態では、アルミニウム合金製品はシート製品である。実施形態において、シート製品は、誘導加熱および任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有し得る。別の実施形態では、アルミニウム合金製品は押出製品である。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は鍛造製品である。実施形態において、鍛造製品は、対称鍛造または造形鍛造であってもよい。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は鋳造製品である。実施形態において、鋳造製品は、対称鋳造または造形鋳造であってもよい。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品は付加製造部品である。
【0035】
図は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な対象物およびその特徴を例示する。加えて、図に示される任意の測定値、仕様等は、例示的であり、限定的ではないことを意図する。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本発明を様々に用いることを当業者に教示するための単に代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0036】
開示された利点および改良点の中で、本発明の他の目的および利点は、添付図面と共に以下の説明から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態は、本明細書に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明を単に例示するものであることを理解されたい。更に、本発明の様々な実施形態に関連して得られる各実施例は例示的であり、限定的ではないことが意図される。
【0037】
明細書および特許請求の範囲全体を通して、以下の用語は、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書に明示的に関連する意味を取る。本明細書で使用する句「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」は、必ずしも同じ実施形態を指さないが、それを指す場合もある。更に、本明細書で使用する句「別の実施形態では」および「いくつかの別の実施形態では」は、必ずしも異なる実施形態を指さないが、それを指す場合もある。したがって、下記に説明するように、本発明の様々な実施形態を、本発明の主題の範囲と趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わせてもよい。
【0038】
加えて、本明細書で使用される場合、「または」という用語は包括的な「または」であり、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、「および/または」と同等である。「に基づく」という用語は排他的ではなく、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、記述されていない追加的な要因に基づくことができる。加えて、本明細書を通して、「a」、「an」、および「the」の意味は複数の参照を含む。「中に(in)」の意味は、「中に(in)」および「上に(on)」を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、誘導加熱処理方法のフローチャートである。
【0040】
図2図2は、図1の誘導加熱処理方法を実施するために使用されうる装置の一実施形態の概略図である。
【0041】
図3図3は、図1の誘導加熱処理方法を実施するために使用されうる装置の別の実施形態の概略図である。
【0042】
図4図4は、MgSi(体積パーセント)対、誘導加熱された試料、溶融鉛浴加熱された試料、および空気炉加熱試料の溶体化熱処理温度のグラフである。
【0043】
図5図5は、接合のためにアルミニウム合金製品を準備する従来技術の方法のフローチャートである。
【0044】
図6図6は、アルミニウム合金製品の概略図である。
【0045】
図7図7は、本発明の一実施形態によるアルミニウム合金製品を準備するための方法のフローチャートである。
【0046】
図8図8は、図7の準備する工程及び接触させる工程の一実施形態のフローチャートである。
【0047】
図9A図9Aは、図7および図8の方法に従い準備された誘導加熱処理済6022-T4アルミニウム合金シート製品試料の表面酸化物層についてのX線光電子分光法(XPS)分析結果のプロットである。
【0048】
図9B図9Bは、従来の連続熱処理炉を使用して熱処理された6022-T4アルミニウム合金シート製品試料の表面酸化物のXPS分析結果のプロットである。
【0049】
図10図10は、本発明の一実施形態によるアルミニウム合金製品を準備するための方法のフローチャートである。
【0050】
図11図11は、図10の準備する工程及び接触させる工程の一実施形態のフローチャートである。
【0051】
図12図12は、本発明の一実施形態によるアルミニウム合金製品を準備するための方法のフローチャートである。
【0052】
図13図13は、図12の準備する工程及び接合する工程の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を、添付図面を参照しながら更に説明するが、いくつかの図を通して類似の参照符号は類似の構造を示す。示した図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、概ね本発明の原理を説明することに重点が置かれている。更に、いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張される場合がある。
【0054】
<アルミニウム合金製品の誘導加熱>
【0055】
本明細書で使用される通り、用語「アニール(anneal)」は、金属の再結晶を主に起こす加熱プロセスを指す。一部の実施形態では、アニールは、可溶性成分粒子のサイズおよびアニーリング温度に基づいて、少なくとも部分的に、溶解可能な成分粒子の溶解をさらに含みうる。実施形態において、アルミニウム合金のアニールに使用される温度は、約600~900°Fの範囲である。
【0056】
さらに本明細書に使用されるとおり、用語「溶体化熱処理」は、合金元素の二次相粒子が固溶体に溶解するように金属が高温で保持される、治金プロセスを指す。溶体化熱処理で使用される温度は、アニーリングで使用されるものよりも概して高く、アルミニウム合金について約1100°Fまでの範囲である。次いで、この状態は、制御された析出物(時効)によって最終製品を強化する目的で、金属を急冷することによって維持される。
【0057】
本明細書で使用される場合、実施形態において、「供給原料(feedstock)」という用語は、ダイレクトチル鋳造などの非連続鋳造プロセスを使用したアルミニウム合金インゴット鋳造を指す。本発明の実践で使用される供給原料は、インゴット鋳造の当業者に公知の任意の鋳造技術により準備し得る。一部の実施形態では、供給原料は、加熱の前に、せん断、トリミング、急冷、熱間圧延および/または冷間圧延、および/または巻取りのうちの一つまたは複数に任意で供されていてもよい。一部の実施形態では、インゴットは、最終的な所定ゲージが達成されて供給原料を形成するまで熱間圧延および/または冷間圧延され、次いでコイル状に巻かれてコイル状供給原料を形成する。
【0058】
別の実施形態では、「供給原料」という用語は、連続鋳造を用いて製造されるアルミニウム合金ストリップを指し得る。一部の実施形態では、供給原料は、本発明の譲受人に譲渡され、その全体が参照により組み込まれる、米国特許第5,515,908号、第6,672,368号、第7,125,612号に記載される方法を使用して製造された非鉄合金ストリップである。
【0059】
本明細書で使用される場合、供給原料は、任意の適切な厚さであってもよく、一般的にシートゲージ(0.006インチ~0.249インチ)または薄プレートゲージ(0.250インチ~0.400インチ)の厚さであってもよく、すなわち、0.006インチ~0.400インチの範囲の厚さを有する、「ストリップ」の形態に圧延されたものであり得る。一実施形態では、ストリップは少なくとも0.040インチの厚さを有する。一実施形態では、ストリップは0.320インチ未満の厚さを有する。一部の実施形態では、ストリップは0.04~0.2インチの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、ストリップは0.03~0.15インチの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、ストリップは0.02~0.30インチの範囲の厚さを有する。一部の実施形態では、ストリップは厚さ0.1~0.3インチの範囲の厚さを有する。
【0060】
一部の実施形態では、アルミニウム合金ストリップは、所望の継続的な加工およびストリップの最終使用に応じて、最大約90インチの幅を有する。一部の実施形態では、アルミニウム合金ストリップは、所望の継続的な加工およびストリップの最終使用に応じて、最大約80インチの幅を有する。一部の実施形態では、アルミニウム合金ストリップは、所望の継続的な加工およびストリップの最終使用に応じて、最大約70インチの幅を有する。一部の実施形態では、アルミニウム合金ストリップは、所望の継続的な加工およびストリップの最終使用に応じて、最大約60インチの幅を有する。一部の実施形態では、アルミニウム合金ストリップは、所望の継続的な加工およびストリップの最終使用に応じて、最大約50インチの幅を有する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「溶解(dissolution)」という用語は、溶体化熱処理中に一つ以上の成分を固溶体中に入れることを指す。本明細書で使用される場合、「溶解」の量は、熱処理製品における可溶性二次相粒子の体積パーセントに基づいて決定される。したがって、高い「溶解」は、熱処理製品内の可溶性二次相粒子の低い体積パーセントに対応し、低い「溶解」は熱処理製品内の可溶性二次相粒子の高い体積パーセントに対応する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「温度」または「加熱温度」という用語は、平均温度、最大温度、または最低温度を指し得る。本明細書で使用される場合、「温度」という用語は、加熱された製品の温度および/または加熱装置の温度、例えば、溶融鉛浴または空気炉の温度など、を意味し得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「6xxx系アルミニウム合金」という用語などは、Aluminum Associationに登録された6xxxアルミニウム合金および未登録の変形であるアルミニウム合金を意味する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「加熱期間」および「滞留時間」は、合金の加熱開始と合金の急冷開始との間の経過を意味する。実施形態において、加熱期間は、加熱時間および保持時間の両方を含む。
【0065】
一実施形態では、方法はインゴットを取得することであって、インゴットが6xxx系アルミニウム合金である、取得すること、供給原料を形成するためのインゴットの熱間圧延または冷間圧延の少なくとも一つ、供給原料を誘導加熱すること、およびTテンパーを有する熱処理製品を形成するための供給原料の急冷、を含み、誘導加熱する工程は、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有するように、十分な加熱温度で実施され、誘導加熱する工程の十分な加熱温度が、比較製品で体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を達成するのに必要な十分な加熱温度未満であり、比較製品が同じ組成を有し、比較製品が誘導加熱の代わりに空気炉を使用して加熱されることを除いて、熱処理製品と同じ方法の工程に供される。
【0066】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱温度は930~975°Fである。本明細書で詳述した一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱期間は10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱温度は930~950°Fである。本明細書で詳述した一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱期間は40~70秒である。
【0067】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、方法はさらに、熱間圧延または冷間圧延工程の後、供給原料をコイル状に巻き取る工程を含む。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、方法はさらに、誘導加熱工程の前にコイル状の供給原料を伸ばす工程を含む。
【0068】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、テンパーはT4テンパーである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、取得する工程は、ダイレクトチル鋳造を使用してインゴットを鋳造する工程を含む。さらに別の実施形態では、6xxx系アルミニウム合金は6022アルミニウム合金である。
【0069】
別の実施形態では、方法は、6xxx系アルミニウム合金インゴットを取得すること、供給原料を形成するためのインゴットの熱間圧延または冷間圧延の少なくとも一つ、供給原料を誘導加熱すること、およびWまたはT4テンパーを有する熱処理製品を形成するための供給原料の急冷、を含み、誘導加熱する工程は、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有するように、十分な加熱温度で実施され、誘導加熱する工程の十分な加熱温度が、比較製品で体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を達成するのに必要な十分な加熱温度未満であり、比較製品が同じ組成を有し、比較製品が誘導加熱の代わりに鉛浴を使用して加熱されることを除いて、熱処理製品と同じ方法の工程に供される。
【0070】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱温度は950~985°Fである。本明細書で詳述した一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程の加熱期間は10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱温度は960~985°Fである。本明細書で詳述した一つまたは複数の実施形態では、十分な加熱期間は40~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱間圧延または冷間圧延工程の後、供給原料をコイル状に巻き取る。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、方法はさらに、誘導加熱工程の前にコイル状の供給原料を伸ばす工程を含む。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、テンパーはT4テンパーである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、取得する工程は、ダイレクトチル鋳造を使用してインゴットを鋳造する工程を含む。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、6xxx系アルミニウム合金は、6022アルミニウム合金である。
【0071】
一実施形態では、方法はインゴットを取得することであって、インゴットが6xxx系アルミニウム合金である、取得すること、供給原料を形成するためのインゴットの熱間圧延または冷間圧延の少なくとも一つ、供給原料を誘導加熱すること、およびTテンパーを有する熱処理製品を形成するための供給原料の急冷、を含み、誘導加熱する工程は、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有するように、十分な加熱温度で実施され、誘導加熱する工程の十分な加熱温度が、比較製品で体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を達成するのに必要な十分な加熱温度未満であり、比較製品が同じ組成を有し、比較製品が誘導加熱の代わりに空気炉を使用して加熱されることを除いて、熱処理製品と同じ方法の工程に供される。
【0072】
一実施形態では、方法はインゴットを取得することであって、インゴットが6xxx系アルミニウム合金である、取得すること、供給原料を形成するためのインゴットの熱間圧延または冷間圧延の少なくとも一つ、供給原料を誘導加熱すること、およびTテンパーを有する熱処理製品を形成するための供給原料の急冷、を含み、誘導加熱する工程は、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有するように、十分な加熱温度で実施され、誘導加熱する工程の十分な加熱温度が、比較製品で0.05%未満の体積パーセントの可溶性二次相粒子を達成するのに必要な十分な加熱温度未満であり、比較製品が同じ組成を有し、比較製品が誘導加熱の代わりに鉛浴を使用して加熱されることを除いて、熱処理製品と同じ方法の工程に供される。
【0073】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、方法は、6xxx系アルミニウム合金インゴットを取得すること、供給原料を形成するためのインゴットの熱間圧延または冷間圧延のうちの少なくとも一つ、供給原料の誘導加熱、およびT4テンパーを有する熱処理製品を形成するための原材料の急冷、を含み、熱処理製品が0.05%未満のMgSi粒子の体積パーセントを有するように、誘導加熱工程が十分な加熱温度および十分な加熱期間で行われ、十分な加熱温度が930~975°Fであり、十分な加熱期間が10~70秒である。
【0074】
本明細書で詳述したように、発明者らは、溶融鉛浴での熱処理または空気炉内での熱処理などの当該技術分野で公知のその他の熱処理方法と比べて低い温度および/または短い期間でのインゴット鋳造製品の誘導加熱処理は、他の熱処理方法と比べて同等のまたは改善された可溶性二次相粒子の溶解を有する熱処理製品をもたらすことを発見した。
【0075】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、本発明は、アルミニウム合金供給原料をオフラインまたはインラインプロセスで熱処理する方法に関する。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、本発明は、アルミニウム合金ストリップをオフラインプロセスで作製する方法に関する。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、本発明は、供給原料をオフラインプロセスで加熱する方法に関する。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、方法は、低温に、および鉛浴での加熱および空気炉での加熱などの他の熱処理方法よりも低温かつ短期間で誘導加熱することより所望の特性を有するT(熱処理)テンパーのアルミニウム合金ストリップを作製するのに使用される。
【0076】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、本発明は、インゴットを取得することを含むインラインまたはオフラインプロセスでのアルミニウム合金熱処理製品の製造、供給原料を形成するためのインゴットの熱間圧延または冷間圧延のうち少なくとも一つ、供給原料の誘導加熱、Tテンパーを有する熱処理製品を形成するための供給原料の急冷、の方法である。
【0077】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、方法はインゴットを取得することを含む。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、取得する工程は、ダイレクトチル鋳造などの非連続鋳造プロセスを使用してインゴットを鋳造する工程を含む。
【0078】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、AA6022、AA6111、AA6016、AA6061、AA6013、AA6063、およびAA6055からなる群から選択される6xxx系アルミニウム合金である。
【0079】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、加熱は誘導加熱を使用して行われる。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱は、横断方向フラックス誘導加熱(「TFIH」)のために構成された少なくとも一つのヒーターを使用して実施される。
【0080】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、第一の温度で実施される誘導加熱工程中の溶解は、同じ温度での空気炉を使用する加熱の溶解よりも大きい。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、第一の温度で実施される誘導加熱工程中の溶解は、同じ温度での溶融鉛浴を使用する加熱の溶解よりも大きい。
【0081】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有するように、誘導加熱工程は十分な加熱温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有するように、誘導加熱工程は十分な加熱温度および十分な加熱期間で実施される。
【0082】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、930~975°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、940~975°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、950~975°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、960~975°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、970~975°Fである。
【0083】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、930~970°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、930~960°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、930~950°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、930~940°Fである。
【0084】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、940~970°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、950~960°Fである。
【0085】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、940~975°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~975°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、960~975°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、970~975°Fおよび10~70秒である。
【0086】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~970°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~960°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~950°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~940°Fおよび10~70秒である。
【0087】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、940~970°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~960°Fおよび10~70秒である。
【0088】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび20~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび30~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび40~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび50~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび60~70秒である。
【0089】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび10~60秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび10~50秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび10~40秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび10~30秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび10~20秒である。
【0090】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび20~60秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、930~975°Fおよび30~50秒である。
【0091】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、950~985°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、960~985°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、970~985°Fである。
【0092】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、950~970°Fである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度は、950~960°Fである。
【0093】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~985°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、960~985°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、970~985°Fおよび10~70秒である。
【0094】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~970°Fおよび10~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~960°Fおよび10秒~70秒である。
【0095】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~985°Fおよび10秒~50秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~985°Fおよび10秒~30秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~985°Fおよび30~70秒である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品が体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する、十分な加熱温度および十分な加熱期間は、950~985°Fおよび50~70秒である。
【0096】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0097】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0098】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.3%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.3%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0099】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.2%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.2%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0100】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.15%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.15%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0101】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.1%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.1%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0102】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.05%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は6xxx系アルミニウム合金であり、体積パーセント0.05%未満のMgSi粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントのMgSi粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0103】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.3%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.3%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0104】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.2%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.2%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0105】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.15%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.15%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0106】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.1%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0107】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する溶融鉛浴熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、5xxx系、7xxx系アルミニウム合金から選択され、体積パーセント0.05%未満の可溶性二次相粒子を有する誘導熱処理製品に対する第一の十分な加熱温度は、同じ体積パーセントの可溶性二次相粒子を有する空気炉熱処理製品に対する第二の十分な加熱温度よりも低い。
【0108】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、1xxx系、2xxx系、3xxx系、4xxx系、5xxx系、6xxx系、7xxx系、および8xxx系アルミニウム合金からなる群から選択される、アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系、3xxx系、4xxx系、5xxx系、6xxx系、7xxx系、および8xxx系アルミニウム合金からなる群から選択される、アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、2xxx系アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、3xxx系アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、4xxx系アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、5xxx系アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、6xxx系アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、7xxx系アルミニウム合金である。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、8xxx系アルミニウム合金である。
【0109】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、AA2x24(AA2024,AA2026,AA2524)、AA2014、AA2029、AA2055、AA2060、AA2070、およびAA2x99(AA2099,AA2199)からなる群から選択される2xxx系アルミニウム合金である。
【0110】
いくつかの実施形態では、アルミニウム合金は、AA5182、AA5754、およびAA5042からなる群から選択される5xxx系アルミニウム合金である。
【0111】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、アルミニウム合金は、AA7x75(AA7075,AA7175,AA7475)、AA7010、AA7050、AA7150、AA7055、AA7255、AA7065、およびAA7085からなる群から選択される7xxx系アルミニウム合金である。
【0112】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は600°F~1100°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は700°F~1100°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は800°F~1100°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は900°F~1100°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は1000°F~1100°Fの温度で実施される。
【0113】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は600°F~1000°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は600°F~900°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は600°F~800°Fの温度で実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、誘導加熱工程は600°F~700°Fの温度で実施される。
【0114】
本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、急冷は、液体噴霧、ガス、ガスの後に液体、および/または液体の後にガスを使用して実施される。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品は、Tテンパーを有するストリップである。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品は、T4のテンパーを有する。本明細書に詳述する一つまたは複数の実施形態では、熱処理製品は、室温でT4テンパーに達することができる。
【0115】
空気炉熱処理および溶融鉛浴熱処理は、当業界で公知である。空気炉熱処理および溶融鉛浴熱処理の例は、以下に詳述される。
【0116】
<MgSi粒子の体積パーセント計算手順>
【0117】
以下は、熱処理製品におけるMgSi粒子の体積パーセントを計算する手順である。
【0118】
工程1 走査電子顕微鏡撮像のための製品の準備
【0119】
製品の長軸方向(L-ST)試料は、240グリットから始まり、その後に320、400、および600グリット紙と漸進的に細くなるグリット紙を使用して約30秒間粉砕される。粉砕後、試料は、(a)3ミクロンのクロスおよび3ミクロンのダイヤモンド懸濁液、(b)3ミクロンの絹布および3ミクロンのダイヤモンド懸濁液、および(c)1ミクロンの絹布および1ミクロンのダイヤモンド懸濁液、の連続を使用して、布上で約2~3分磨かれる。研磨中、適切な油性潤滑剤を使用しうる。SEM検査の前の最終的な研磨は、約30秒間、0.05ミクロンのコロイドシリカを用いて行い、その後水中で最終的にリンスする。
【0120】
工程2 SEM画像収集
【0121】
FEI XL30 FEG SEM、または同等のFEG SEMを使用して、金属組織学的に準備された(上述の工程1)長手方向(L-ST)セクションの中心(T/2)および四分の一の厚さ(T/4)の両方で、最低16個の後方散乱電子画像が捕捉される。画像サイズは、1000Xの倍率で2048ピクセル×1600ピクセルである。ピクセルの寸法は、x=0.059μm、y=0.059μmである。加速電圧は7.5mmの作動距離で7.5Kvであり、スポットサイズは5である。コントラストと輝度は、8ビットデジタル画像の平均マトリクスグレーレベルがおよそ128であり、最も暗い段階および最も明るい段階がそれぞれ0(黒)および255(白)であるように設定される。
【0122】
工程3 二次相粒子の識別
【0123】
平均マトリクスグレーレベルおよび標準偏差は、各画像に対して計算される。対象の二次相粒子の平均原子数はマトリクス(アルミニウムマトリクス)よりも小さく、そのため二次相粒子は画像表現おいて暗く見える。粒子を構成するピクセルは、平均マトリックスグレーレベルマイナス3.5標準偏差よりも小さい(<)グレーレベルを有する任意のピクセルとして定義される。この臨界グレーレベルは閾値として定義される。バイナリ画像は、グレーレベル画像を識別して、閾値未満のすべてのピクセルを白(255)に、および閾値以上のすべてのピクセルを黒(0)にすることによって生成される。
【0124】
工程4 小粒子の除去
【0125】
4つ以下のピクセルを有する任意の白い粒子が、背景色(黒色)に変更されることによってバイナリ画像から除去される。
【0126】
工程5 MgSi粒子の体積パーセントの計算:
【0127】
各画像が黒色および白色ピクセルのみに変換されると、粒子の面積率は、合計ピクセル数で割った白色ピクセル数の合計数として計算される。この分率は、各画像について単一の場所に対して計算され、次いで平均化される。次に、所与の試料の総面積率(AF)を、T/2およびT/4での面積率の加重平均として計算し、T/4の数字が試料に二回発生するために二回加重される。面積分率は、100で乗算することによってパーセントに変換される。次に、製品中のMgSi粒子の体積パーセントが方程式(I)に基づいて決定される:
(I)MgSi粒子(体積%)=100*(AFT/2+2*AFT/4)/3
AF=#白色ピクセル/#全ピクセル
【0128】
図1は、オフライン熱処理を含む本発明の方法の実施形態の工程のフローチャートである。一部の実施形態では、図2は、本発明の方法を実施するために使用される装置の一実施形態の概略図である。一部の実施形態では、図3は、本発明の方法の実施において使用される装置の一実施形態の概略図である。
【0129】
一部の実施形態では、方法は、図1に詳述されるプロセスを含む。一部の実施形態では、供給原料(20)は、一つまたは複数の以下の図1に詳述される工程:せん断およびトリミングステーションの通過(2)、温度調節のための任意の急冷(4)一つまたは複数の熱間または温間圧延および/または冷間圧延工程(6)、トリミング(8)、およびコイル状に巻き取ること(10)による供給原料の形成(20)、に供される非連続鋳造、例えばダイレクトチル鋳造、アルミニウム合金インゴット1から形成される。
【0130】
一部の実施形態では、コイル状の供給原料は、以下の工程:コイルを伸ばす工程(30)後の溶体化熱処理(40)、適切な急冷(42)および任意のコイル状に巻き取ること(44)によるTテンパーストリップ(46)の製造、のうちの一つまたは複数に供される。一部の実施形態では、溶体化熱処理工程(40)は、本明細書に詳述される加熱方法、温度範囲、および加熱期間を使用して実施される。さらに別の実施形態では、方法はインライン熱処理を含み、従って少なくとも図1の巻取り工程(10)およびコイルを解く工程(30)が割愛される。
【0131】
一部の実施形態では、誘導加熱を使用する本発明の方法を実施するために使用される装置の一実施形態が図2に示される。一部の実施形態では、供給原料は、図2に示すように横型熱処理ユニットで処理される。図2は、R.C.J.Ireson,in Aluminium Technology‘86,ed.T.Sheppard,The Inst.Metals,1986,pp.818-825.から適合される。一部の実施形態では、方法は、コイル状の供給原料を解くためのアンコイラー(uncoiler)(202)の使用を含む。一部の実施形態では、コイルを解かれた供給原料は次に、ピンチロール(204)、せん断(shear)(206)、トリマー(trimmer)(208)、およびジョイナ(joiner)(210)に供給される。一部の実施形態では、供給原料は次に、ブライドル(bridle)(212)、ルーパー(looper)(214)、および別のブライドル(216)に供給される。一部の実施形態では、結果として得られる供給原料は、TFIHのために構成された一つまたは複数の誘導ヒーター(218)に供給される。一部の実施形態では、加熱された供給原料は次に、浸漬(soak)(220)、急冷(quench)(222)および乾燥機(224)に供される。一部の実施形態では、乾燥され、加熱された供給原料は次に、ブライドル(226)、ルーパー(228)、および別のブライドル(230)に供給される。一部の実施形態では、供給原料は次に、ルーパー(232)、ブライドル(234)に供給され、次いでせん断(236)、トリマー(238)、予備時効(pre-aging)工程(240)に供され、次いでコイラー(242)を通ってコイル状ストリップが形成される。
【0132】
一部の実施形態では、冷却(222)は、液体噴霧、ガス、ガスの後に液体および/または液体の後にガス、を含みうるが、これに限定されない。一部の実施形態では、予備時効工程は、誘導加熱、赤外線加熱、マッフル炉、または液体噴霧を含みうるが、これに限定されない。一部の実施形態では、予備時効ユニットは、コイラー(242)の前に位置付けられる。一部の実施形態では、人工的時効は、後続動作(塗料焼付けサイクルなど)の一部として、またはオーブン内の別個の工程として実行されうる。
【0133】
一部の実施形態では、誘導加熱を使用する本発明の方法を実施するために使用される装置の一実施形態が図3に示される。図3は、R.Waggott et al.,in Heat Treatment‘81,The Metals Society,1983,pp.3-9、から適合される。一部の実施形態では、装置または方法は、ステッチャー(302)、TFIHのための構成されたインダクタ(304)、浸漬炉(均熱炉)(306)、急冷(308)、エアナイフ(air knives)(310)および張力平準化ライン(tension leveling line)第一ブライドル(312)を含む。
【0134】
<非限定的な例1>
【0135】
この例では、表1に詳述される組成を有する6022アルミニウム合金は、インゴット鋳造され、0.148インチに熱間圧延され、コイル状に巻かれる。
【0136】
【表1】
【0137】
コイル状熱間圧延製品は次に、厚さ0.043インチの厚さまで冷間圧延され、再度コイル状に巻きかれる。次に、冷間圧延コイルからの試料を、以下に詳述する三つの溶体化熱処理方法のうちの一つに供した:
【0138】
溶融鉛浴:表2に詳述される加熱期間、表3に詳述される温度にて液体鉛浴内で試料を浸漬した。その後、試料を鉛浴から取り出し、直ちに室温水槽で急冷させた。表3で指定した温度は、熱電対によって測定される液体鉛の温度を示す。試料の温度も熱電対測定値から決定され、これらの測定値に基づいて、30秒の合計加熱期間が5秒の加熱時間および25秒の保持時間に基づいて決定された。
【0139】
空気炉:表2に詳述される加熱期間、試料を表3に詳述した指定温度で標準的な空気炉内に配置した。その後、試料を炉から取り出し、直ちに室温水槽で急冷させた。指定された温度は、熱電対によって測定される炉内の空気の温度を示す。試料の温度も熱電対測定値から決定され、これらの測定値に基づいて、360秒の合計加熱期間が120秒の加熱時間および240秒の保持時間に基づいて決定された。
【0140】
誘導加熱:試料は、図2に詳述される横断方向フラックス加熱プロセスを通して実行された。次に、誘導加熱プロセスからシートが出るとき、標準的放射率技術を使用してシートの温度を決定した。加熱期間および保持時間は、誘導加熱ゾーンの長さと速度に基づいて計算され、試料が誘導加熱プロセスで供給された。これらの計算に基づき、41~67秒の合計加熱期間は、19~32秒の加熱時間および22~35秒の保持時間に基づいて決定された。
【0141】
すべての試料(溶融鉛浴、空気炉、および誘導加熱)は、T4テンパーに熱処理された。次いで、熱処理された試料を、上で詳述した「Procedure for Calculating Volume Percent of MgSi Particles」を用いて、MgSi粒子の体積パーセントで測定した。結果を表3に示す。
【0142】
【表2】
【表3】
【0143】
図4は、表3からの溶体化熱処理温度(華氏、F)およびMgSi(体積パーセント)データをグラフ化する。図4に示すように、誘導加熱試料は、溶融鉛浴または空気炉を使用して加熱された試料と比較して、MgSi(すなわち、熱処理製品中のMgSiの低い体積パーセント)のより高い溶解度を達成した。従って、誘導加熱処理は、溶融鉛浴または空気炉熱処理方法よりも効果的であった。
【0144】
ここで図5を参照すると、米国特許公開第2016/0319440号によって例示される公知のプロセスでは、熱処理された(例えば、本明細書に開示される誘導加熱方法を使用する)アルミニウム合金製品供給原料(例えば、シート製品)は、公知の方法(500)を使用して処理されてもよい。公知の方法(500)は、a)アルミニウム合金シートまたはコイルの表面にクリーナーを適用する工程を含む。公知の方法(500)は、b)アルミニウムシートまたはコイルの表面を酸性溶液(acidic solution)でエッチングする工程を含む。公知の方法(500)は、c)アルミニウムシートまたはコイルの表面を脱イオン水でリンスする工程を含む。公知の方法(500)は、d)アルミニウムシートまたはコイルの表面に酸性有機リン化合物溶液を適用する工程を含む。公知の方法(500)は、e)アルミニウムシートまたはコイルの表面を脱イオン水でリンスする工程を含む。公知の方法(500)は、f)アルミニウムシートまたはコイルの表面を乾燥する工程を含む。
【0145】
以下に記載されるように、図7~13を参照しながら例を挙げると、開示されたシステムおよび方法は、図5を参照しながら上述した、少なくとも工程a)およびb)が存在しない公知の方法(500)を完了するためのものである。
【0146】
ここで図6を参照すると、開示された誘導加熱工程、任意に、誘導加熱後の急冷工程の完了後、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)はその上に表面酸化物層(602)を備えたアルミニウム合金マトリクス(606)を有し得る。一実施形態では、表面酸化物層(602)は、アルミニウム合金マトリクス(606)と表面酸化物層(602)との間のインターフェース(618)に近い平面で始まる。表面酸化物層(602)は、酸化アルミニウム(例えば、AlO)サブレイヤー(608)および酸化マグネシウム(例えば、MgO)サブレイヤー(610)を含み得る。誘導加熱アルミニウム合金製品(600)の表面酸化物層(602)は、テンパーに応じて、概して厚さ5nm~60nmの誘導加熱厚さ(604)を有する。誘導加熱表面酸化物層(602)が概して均一であるように図示されるが、誘導加熱表面酸化物層(602)は、概して非均一なトポグラフィーを有する。
【0147】
本明細書で使用される場合、「第二の材料」とは、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が接合される材料を意味し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を形成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分はアルミニウム合金製品の第一の部分であり、第二の材料は同じアルミニウム合金製品の第二の部分である。一実施形態では、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分は第一のアルミニウム合金製品片上にあり、第二の材料は第二の材料片の少なくとも第二の部分である。一実施形態では、第二の材料は、アルミニウム合金製品と同じ組成を有する。別の実施形態では、第二の材料は、アルミニウム合金製品とは異なる組成を有する。
【0148】
本明細書で使用される場合、「表面脱酸(surface deoxidization)」および「表面酸化物処理工程(surface oxide treating steps)」は、アルミニウム合金製品の表面酸化物層の少なくとも一部分を除去することを意味する。
【0149】
本明細書で使用される場合、「エッチングする(etch)」、「エッチングされた(etched)」、および「エッチング(etching)」とは、次の前処理の適用を受けるために表面を準備するため、アルミニウムシートまたはコイルの表面に酸性溶液を適用することを意味する。公知の実施形態では(例えば、図5に示すように)、エッチングは、アルミニウムおよびマグネシウムを豊富に含む酸化物、取り込まれた油、または破片を含む、ゆるく接着した酸化物を表面から除去する。一実施形態では、「エッチング」、「エッチングされた」、および「エッチング」は、米国特許公開第2016/0319440号に提供される定義を踏襲する。
【0150】
本明細書で使用する場合、「付加製造された(additively manufactured)」とは、「付加製造技術のための標準用語(Standard Terminology for Additive Manufacturing Technologies)」という題名のASTM F2792-12Aにおいて規定されている「除去製造技術とは反対である、材料を接合して3Dモデルデータから(通常は積層して)物体を製造するプロセス」を意味する。このような材料は、ASTM F2792-12Aに記載されている任意の適切な付加製造技術、例えば、特にバインダージェット、指向性エネルギー堆積、材料押出し、材料ジェット、粉末床溶融結合、またはシート積層によって製造してもよい。付加製造プロセスは、ASTM F2792-12Aによって定義されるように、少なくとも部分的に「付加システム(additive system)」によって実施される。
【0151】
<表面脱酸によるアルミニウム合金製品の準備>
【0152】
一実施形態では、ここで図7および図8を参照すると、方法(700)は、(a)表面脱酸のために、アルミニウム合金製品(例えば、誘導加熱アルミニウム合金製品(600))の準備(702)を含む。一実施形態(例えば、方法(800))では、準備する工程(a)は、誘導ヒーターを用いて、受けとったアルミニウム合金製品(600)供給原料の少なくとも一部分を誘導加熱すること(802)を含む。
【0153】
一実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料はシート製品である。一実施形態において、シート製品は、誘導加熱(802)工程、および任意の急冷(804)工程後、0.5~6mmのゲージを有する。別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は押出製品である。さらに別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は鍛造製品である。一実施形態では、鍛造製品は対称鍛造である。一実施形態では、鍛造製品は造形鍛造である。さらに別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は鋳造製品である。一実施形態では、鋳造製品は対称鋳造である。一実施形態では、鋳造製品は造形鋳造である。別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は付加製造部品である。
【0154】
一実施形態では、誘導ヒーターは横断方向フラックス誘導ヒーター(TFIH)を含む。一実施形態では、誘導加熱(802)工程は、実質的に図1~4を参照しながら記載した通り実施される。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、0.4分以下の誘導加熱(802)の滞留時間を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、0.2~0.4分の誘導加熱(802)の滞留時間を達成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(802)の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(802)の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(802)の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(802)の間、950~1020°F のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(802)の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する。
【0155】
一実施形態では、誘導加熱(802)は、アルミニウム合金製品(600)をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む。一実施形態において、準備する(702)工程は、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)を急冷する(804)ことを含む。別の実施形態において、準備する工程(702)は、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)を急冷する(804)ことを含まない。さらに別の実施形態では、急冷する(804)工程は、準備する工程(702)に対して任意に含まれる。
【0156】
一実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は5xxxアルミニウム合金製品(600)であり、誘導加熱(802)工程は5xxxアルミニウム合金製品(600)のアニーリングを達成するように構成される。一実施形態では、誘導加熱された5xxxアルミニウム合金製品(600)はO-テンパーされる。
【0157】
別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は6xxxアルミニウム合金製品(600)であり、誘導加熱(802)工程は6xxxアルミニウム合金製品(600)の溶体化熱処理を達成するように構成される。一実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT4-テンパーされる。別の実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT43-テンパーされる。別の実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT4E32-テンパーされる。
【0158】
実施形態において、方法(700)は、接触させる(704)工程を含む。実施形態において、接触させる(704)工程は、準備する(702)工程の後に実施されてもよい。実施形態において、接触させる(704)工程は、誘導加熱された、および任意で急冷されたアルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分を脱酸剤と接触させる(704)ことを含みうる。方法(800)において、準備する工程(702)と接触させる工程(704)との間に、アルミニウム合金製品(800)の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法(800)である。
【0159】
一実施形態では、準備する(702)工程と接触させる(704)工程との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない開示方法である。一実施形態では、接触させる(704)工程の後、表面清浄処理およびエッチング処理がない開示方法である。一実施形態では、方法(800)は、準備する(702)工程と接触させる(704)工程との間に、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分を清浄する(806)工程を含む。
【0160】
一実施形態では、方法(800)は、接合する(808)工程を含み得る。実施形態において、接合する(808)工程は、接着接合剤をアルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部に適用する(807)こと、および次いで、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分を第二の材料と接合すること(1106)、それによって接合されたアルミニウム合金製品(600)を作製することを含みうる。実施形態において、接合する(808)工程は、接合されたアルミニウム合金製品(600)の接着接合剤を、所定の時間、および/または所定の温度で硬化することを含みうる。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分はアルミニウム合金製品(600)の第一の部分を含み、第二の材料はアルミニウム合金製品(600)の少なくとも第二の部分を含む。一実施形態では、接合されたアルミニウム合金製品(600)は、適用されたおよび/または硬化された接着接合剤を介して、第二の材料に接着的に構造的に接合されたアルミニウム合金製品(600)の第一の部分を含みうる。
【0161】
方法の一実施形態では(800)、接合されたアルミニウム合金製品(600)が、アルミニウム金属とアルミニウム金属接合部との重複が0.5インチを有する単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、接合されたアルミニウム合金製品(600)は、本明細書にその全体が参照によって組み込まれる、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する。一実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である。別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である。さらに別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である。
【0162】
<非限定的な例2>
【0163】
開示された方法の一実施形態による表面脱酸のために準備されたアルミニウム合金製品の接着接合反応は、ASTM D1002(10)に従うストレス強度試験(SDT)によって評価され、単純重ね合わせ接合部試験片はアルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである。0.059インチゲージ6022アルミニウム合金シート製品の二つの生産ロットからそれぞれ一つのコイルの巻きを解き、次いで横断方向フラックス誘導ヒーターを使用して溶体化熱処理した。これらのコイルを解く工程および誘導加熱工程の前に、これらの6022アルミニウム合金シート製品は、連続鋳造技術を使用して準備された。この6022アルミニウム合金シートは、誘導ヒーターの中を誘導加熱滞留時間18秒間進められ、シート上のピーク金属温度(PMT)が970°Fと測定された。対照的に、従来型連続熱処理(CHT)炉を用いて溶体化熱処理された6022-T4アルミニウム合金シート製品のPMTは典型的には1040~1060°Fである。
【0164】
誘導ヒーターを出たとき、誘導加熱された6022アルミニウム合金シート製品の二つの生産ロットのそれぞれが150°Fの温度で脱イオン水を使用して急冷された。これらのシートの機械的特性は、誘導加熱6022アルミニウム合金シート製品がT4テンパーに達した後に測定され、CHT処理材料で取得されたものと同等であるか、またはそれよりも良好であることが判明した。次に、誘導加熱および急冷された6022-T4アルミニウム合金シート製品を、6秒間、170°Fで脱酸剤の酸性溶液と接触させた。これらの脱酸された(as-deoxidized)6022-T4アルミニウム合金シート製品は次いでコイル状に巻き取られた。
【0165】
二つの6インチ×4インチのサイズの片(4インチの寸法が圧延方向にある)が、脱酸された6022-T4アルミニウム合金シート製品コイルの二つの生産ロットのそれぞれから取り出された。二つの片を使用して、これらの二つの生産ロットそれぞれの四つの単純重ね合わせ接合試験片を、0.5インチの接合部重ね合わせで準備した。
【0166】
接合された6022-T4アルミニウム合金シート製品のこれらの二つの製造ロットの四つの単純重ね合わせ接合試験片のそれぞれが、標準的引張試験装置を使用した初期接合せん断強度について試験された。次に、四つの単純重ね合わせ接合試験片のこれらの二組のそれぞれを、接合部に1080psiのせん断応力を適用するよう設計された個々の応力リングの環状SDTに供した。各サイクルは、室温で5%Nacl溶液中に15分間の浸漬を行い、次いで105分乾燥し、その後リングおよび試験片が、22時間、50°C、相対湿度90%のチャンバーに配置された。それぞれのサイクルの期間は24時間であった。二つの試験片のセットのそれぞれについて、接合された6022-T4アルミニウム合金シート製品の四つの単純重ね合わせ接合試験片の各々を各サイクルの後に検査し、破損を記録し、不良試験片を試験チャンバーから除去した。二つの試験片のセットそれぞれについて、接合された6022-T4アルミニウム合金シート製品の四つの単純重ね合わせ接合試験片の二つのセットのすべての試験片の接合は、SDTを通過するために45サイクルを完了する必要があった。
【0167】
上述のように、SDTプロトコルを実施した後、標準的引張試験装置を使用して残留接合せん断強度についてすべての単純重ね合わせ接合試験片を試験した。初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の両方について、不良モードを決定し、記録した。得られた結果は、誘導加熱および急冷された6022-T4アルミニウム合金シート製品の表面が図5を参照して上述した公知の方法に従って準備された後で作製された基準単純重ね合わせ接合試験片の接合からのものと比較された。参照6022-T4アルミニウム合金シート製品の四つの単純重ね合わせ接合試験片を、上述の手順に従って準備した。
【0168】
接合された6022-T4アルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片は、45サイクルを完了した。初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の結果を以下の表4に示す。「試料1」は、6022-T4アルミニウム合金シート製品の第一の生産ロットを示し、「試料2」は、6022-T4アルミニウム合金シート製品の第二の生産ロットを示す。
【0169】
【表4】
【0170】
表4において、上記の不良モードインジケータ「coh」は、接合不良が接合接着剤の不良に起因することを示す。不良モードインジケータ「adh」は、接着剤と金属表面との間の接着界面の完全な不良に起因する接合不良を示す。不良モードインジケータ「部分的adh」は、接着剤と金属表面との間の接着界面の部分的な不良に起因する接合不良を示す。また、上の表4では、残留接合せん断強度対初期接合せん断強度の計算されたパーセント(%)値が100%より大きい場合でも、100%と示された。
【0171】
初期接合せん断強度と比較すると、表4に示すすべての場合で、SDTプロトコルの間、強度の損失が最小または全くなかったことが見出された。45回のBDTサイクルを完了し、初期強度の80%を超える残留強度を示すことによって、本開示方法に従って、これらの6022-T4アルミニウム合金シート製品を準備した後に試験されたこれらの接合は、アルミニウム合金6022における自動車用途のための構造的接着接合の要件を容易に満たす。本開示の方法に従って準備されたアルミニウム合金6016-T4についても、同様に良好な初期および残留接合せん断強度の結果が予想される。その合金の結合は、SDT試験で100サイクル超過を完了している。
【0172】
<仮想例3>
【0173】
0.059インチゲージ6022アルミニウム合金シート製品のコイルの巻きを解き、次いで横断方向フラックス誘導ヒーターを使用して溶体化熱処理する。これらのコイルを解く工程および誘導加熱工程の前に、6022アルミニウム合金シート製品は、ダイレクトチル(DC)鋳造インゴット圧延技術を使用して準備される。この6022アルミニウム合金シートは、誘導ヒーターの中を誘導加熱滞留時間9秒間進められ、シート上のPMTが1020°Fと測定される。対照的に、従来型連続熱処理(CHT)炉を用いて溶体化熱処理された6022-T4アルミニウム合金シート製品のPMTは典型的には1040~1060°Fである。
【0174】
誘導ヒーターを出たとき、誘導加熱された6022アルミニウム合金シート製品は150°Fの温度で脱イオン水を使用して急冷される。このシートの機械的特性は、誘導加熱6022アルミニウム合金シート製品がT4テンパーに達する後に測定され、CHT処理材料で取得されたものと同等であるか、またはそれよりも良好であることが判明される。次に、二つの6インチ×4インチのサイズの片(4インチの寸法が圧延方向にある)が、この6022-T4アルミニウム合金シート製品コイルから取り出される。二つの片のそれぞれを150°Fの脱イオン水で8秒間洗浄し、前述の工程からの潤滑剤およびその他の混入物質を除去する。
【0175】
次に、この6022-T4アルミニウム合金シート製品の四つの片は、図5を参照して上述した公知の方法に従って準備され、酸性有機リン化合物溶液は150°Fに維持され、シート製品の表面上に機能化された層(functionalized layer)を作製するために、8秒間シート表面に接触させる。これらの四つの片は基準試料として示される。開示された方法の一実施形態によれば、他の四つの片は、機能化工程(すなわち、シート表面を酸性有機リン化合物と接触させる工程抜き)抜きで準備される。これらの他の四つの片は、発明試料として表される。
【0176】
基準および発明試料から準備された単純重ね合わせせん断試験片の接着接合反応は、非限定的な例2を参照して上述した技術によりSDTで評価される。基準試料と発明試料の両方について、全ての単純重ね合わせ接合試験片は45サイクルを完了する。特定の理論または機構に束縛されるものではないが、この仮想例3の結果は、開示された方法のこの実施形態が、図5の公知の方法に従って準備された金属よりも接着接合において同等またはより良い性能を示す表面を作り出すことを示す。
【0177】
<仮想例4>
【0178】
仮想例3について上述した結果を理解するために、仮想例3の誘導加熱6022-T4アルミニウム合金シート製品の発明試料をX線光電子分光法(XPS)によって分析する。誘導加熱ベースの方法は、CHTベースの技術によって生じる表面酸化物の厚さと比較して、誘導加熱処理の間、表面上により薄い酸化物を作製することが分かる。この表面酸化物は、同じアルミニウム合金のCHT処理金属上に通常存在する典型的な10nm以上の表面酸化物層厚さと比較して、厚さわずか5.4nmである。
【0179】
XPS分析が、誘導加熱6022-T4アルミニウム合金シート製品の発明試料上、およびCHT熱処理6022-T4アルミニウム合金シート製品の試料上で実施される。XPS分析前、および試料を接着接合剤と接触させる工程および続く接合工程を除き、CHT試料は、仮想3の基準試料について上述したのと同じ方法で準備される。誘導加熱処理した発明試料は、仮想例3における発明試料の上述したのと同じ方法で準備される。XPS分析結果を図9Aおよび9Bに示す。
【0180】
図9Aは、上述の誘導加熱処理6022-T4アルミニウム合金シート製品の発明試料の表面酸化物層のXPS分析結果のプロットである。図9Bは、上述のCHT熱処理6022-T4アルミニウム合金シート製品試料の表面酸化物のXPS分析結果のプロットである。図9Aおよび9Bに示す各プロットにおいて、酸素およびアルミニウム金属曲線の交点は、それぞれの表面酸化物層の平均厚さとされる。低マグネシウム含有量の薄酸化物が良好な接着接合反応のための好ましい表面を提供することが、当業界で認められている。実際に、開示された誘導加熱ベースの方法によって作製される5.4nmの厚さの酸化物は、熱水洗浄、清浄、酸エッチング/脱酸および機能化工程などのこうした技術の組み合わせによる表面準備の後、同じ合金のCHT処理金属の酸化物の厚さに多くの点で匹敵する。金属表面における酸化物のマグネシウム含有量は12~14原子%であり、CHTによって処理された試料中の15~17原子%よりも低い。特定の理論または機構に束縛されるものではないが、接合試験に対するXPSデータは、表面酸化物層内のこのレベルのマグネシウムが接合耐久性に対して正の効果を有することを示した。
【0181】
<非限定的な例5>
【0182】
0.063インチゲージ5754アルミニウム合金シート製品のコイルの巻きを解き、次いで横断方向フラックス誘導ヒーターを使用してアニールする。これらのコイルを解く工程および誘導加熱工程の前に、5754アルミニウム合金シート製品は0.063インチゲージに高温または温間圧延された。5754アルミニウム合金シートは、18秒の滞留時間、誘導ヒーターを通って進められ、シート上のPMTは950°Fと測定された。
【0183】
誘導ヒーターを出ると、誘導加熱された5754アルミニウム合金シート製品は、脱イオン水を使用して150°Fの温度で急冷された。次に、誘導加熱および急冷された5754-Oアルミニウム合金シート製品を、170°Fで6秒間、脱酸剤の酸性溶液と接触させた。脱酸された5754-Oアルミニウム合金シート製品は次いでコイル状に巻かれる。
【0184】
脱酸された5754-Oアルミニウム合金シート製品の単純重ね合わせ接合試験片を、非限定的な例2の上述の手順に従って準備した。環状BDTプロトコル、および初期接合せん断強度試験および残留接合せん断強度試験を、非限定的な例2の上述の手順に従って実施した。接合された5754-Oアルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片の接合は、SDTを通過するために45サイクルを完了する必要があった。
【0185】
初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の両方について、不良モードを決定し、記録した。得られた結果は、誘導加熱および急冷された5754-Oアルミニウム合金シート製品の表面が図5を参照して上述した公知の方法に従って準備される後で作製された基準単純重ね合わせ接合試験片の接合からのものと比較された。基準5754-Oアルミニウム合金シート製品の四つの単純重ね合わせ接合試験片を、上述の手順に従って準備した。
【0186】
接合された5754-Oアルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片は、45サイクルを完了した。初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の結果を以下の表5に示す。
【0187】
【表5】
【0188】
上記表5において、不良モードインジケータ「adh」は、接着剤と金属表面との間の接着界面の完全な不良に起因する接合不良を示す。初期接合せん断強度と比較すると、表5に示すすべての場合で、SDTプロトコルの間、強度の損失が最小であったことが見出された。45回のBDTサイクルを完了し、初期強度の80%を超える残留強度を示すことによって、本開示方法に従って、これらの5754-Oアルミニウム合金シート製品を準備した後に試験されたこれらの接合は、アルミニウム合金5754における自動車用途のための構造的接着接合の要件を容易に満たす。
【0189】
<機能化溶液での処理のためのアルミニウム合金製品の準備>
【0190】
一実施形態では、ここで図10および図11を参照すると、方法(1000)は、機能化溶液で処理するためにアルミニウム合金製品(600)を準備する(1002)工程を含む。一実施形態(例えば、方法(1100))では、準備する(1002)工程は、誘導ヒーターを用いて、受けとったアルミニウム合金製品(600)供給原料の少なくとも一部分を誘導加熱すること(1102)を含む。
【0191】
一実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料はシート製品である。一実施形態において、シート製品は、誘導加熱(1102)、および任意の急冷(1104)後、0.5~6mmのゲージを有する。別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は押出製品である。さらに別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は鍛造製品である。一実施形態では、鍛造製品は対称鍛造である。一実施形態では、鍛造製品は造形鍛造である。さらに別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は鋳造製品である。一実施形態では、鋳造製品は対称鋳造である。一実施形態では、鋳造製品は造形鋳造である。別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は付加製造部品である。
【0192】
一実施形態では、誘導ヒーターは横断方向フラックス誘導ヒーター(TFIH)を含む。一実施形態では、誘導加熱(1102)は、実質的に図1~4を参照しながら記載した通り実施される。一実施形態では、誘導加熱(1102)工程の間の誘導ヒーターを通るアルミニウム合金製品(600)のライン速度は、100~200フィート/分である。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、0.4分以下の誘導加熱(1102)の滞留時間を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、0.2~0.4分の誘導加熱(1102)の滞留時間を達成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1102)の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1102)の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1102)の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1102)の間、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1102)の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する。
【0193】
一実施形態では、誘導加熱(1102)は、アルミニウム合金製品(600)をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む。一実施形態において、準備する(1002)工程は、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)を急冷する(1104)ことを含む。別の実施形態において、準備する(1002)工程は、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)を急冷する(1104)ことを含まない。さらに別の実施形態では、急冷する(1104)工程は、準備する(1002)工程に対して任意である。
【0194】
一実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は5xxxアルミニウム合金製品(600)であり、誘導加熱(1102)工程は5xxxアルミニウム合金製品(600)のアニーリングを達成するように構成される。一実施形態では、誘導加熱された5xxxアルミニウム合金製品(600)はO-テンパーされる。
【0195】
別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は6xxxアルミニウム合金製品(600)であり、誘導加熱(1102)工程は6xxxアルミニウム合金製品(600)の溶体化熱処理を達成するように構成される。一実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT4-テンパーされる。別の実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT43-テンパーされる。別の実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT4E32-テンパーされる。
【0196】
実施形態において、方法(1000)は、接触させる(1004)工程を含む。実施形態において、接触させる(1004)工程は、準備する(1002)工程の後に実施されてもよい。実施形態において、接触させる(1004)工程は、誘導加熱された、および任意で急冷されたアルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分を機能化溶液と接触させることを含みうる。方法(1000)において、準備する工程(1002)と接触させる工程(1004)との間に、アルミニウム合金製品(600)の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法(1000)である。一実施形態では、準備する(1002)工程と接触させる(1004)工程との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法(1000)である。
【0197】
一実施形態では、機能化溶液はリン含有有機酸を含む。一実施形態では、接触させる工程(1004)は、機能化されたアルミニウム合金製品(600)の作製を容易にする。一実施形態では、方法(1100)は、接合する(1106)工程を含み得る。実施形態において、接合する(1106)工程は、接着接合剤をアルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部に適用する(1107)こと、および次いで、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分を第二の材料と接合すること(1106)、それによって接合されたアルミニウム合金製品(600)を作製することを含みうる。実施形態において、接合する(1106)工程は、接合されたアルミニウム合金製品(600)の接着接合剤を、所定の時間、および/または所定の温度で硬化することを含みうる。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分はアルミニウム合金製品(600)の第一の部分を含み、第二の材料はアルミニウム合金製品(600)の少なくとも第二の部分を含む。一実施形態では、接合されたアルミニウム合金製品(600)は、適用されたおよび/または硬化された接着接合剤を介して、第二の材料に接着的に構造的に接合されたアルミニウム合金製品(600)の第一の部分を含みうる。方法(1100)において、準備する工程(1102)と接合する工程(1104)との間に、アルミニウム合金製品(600)の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法(1100)である。
【0198】
方法(1000)の一実施形態では、接合されたアルミニウム合金製品(600)が、アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、接合されたアルミニウム合金製品(600)は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する。一実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である。別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である。さらに別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である。
【0199】
<仮想例6>
【0200】
0.059インチゲージ6022アルミニウム合金シート製品のコイルの巻きを解き、次いで横断方向フラックス誘導ヒーターを使用して溶体化熱処理する。これらのコイルを解く工程および誘導加熱工程の前に、この6022アルミニウム合金シート製品は、ダイレクトチル(DC)鋳造インゴット圧延技術を使用して準備される。この6022アルミニウム合金シートは、誘導ヒーターの中を滞留時間9秒間進められ、シート上のPMTが1020°Fと測定される。対照的に、従来型連続熱処理(CHT)炉を用いて溶体化熱処理された6022-T4アルミニウム合金シート製品のPMTは典型的には1040~1060°Fである。
【0201】
誘導ヒーターを出たとき、誘導加熱された6022アルミニウム合金シート製品は150°Fの温度で脱イオン水を使用して急冷される。このシートの機械的特性は、誘導加熱6022-T4アルミニウム合金シート製品がT4テンパーに達する後に測定され、CHT処理材料で取得されたものと同等であるか、またはそれよりも良好であることが判明される。次に、二つの6インチ×4インチのサイズの片(4インチの寸法が圧延方向にある)が、この6022-T4アルミニウム合金シート製品コイルから取り出される。二つの片のそれぞれを150°Fの脱イオン水で8秒間洗浄し、前述の工程からの潤滑剤およびその他の混入物質を除去する。
【0202】
次に、この6022-T4アルミニウム合金シート製品の四つの片は、図5を参照して上述した公知の方法に従って準備され、酸性有機リン化合物溶液は150°Fに維持され、シート製品の表面上に機能化された層を作製するために、8秒間シート表面に接触させる。これらの四つの片は基準試料として示される。
【0203】
開示された方法の一実施形態によれば、他の四つの片は、図5の公知の方法のエッチング工程(すなわち、シート表面を酸性溶液と接触させる工程抜き)抜きで準備される。これらの他の四つの片は、発明試料として表される。本発明試料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,463,804号および米国特許出願公開第2016/0319440号に開示されるように、リン含有有機酸(PCOA)と接触される。
【0204】
基準および発明試料から準備された単純重ね合わせせん断試験片の接着接合反応は、非限定的な例2を参照して上述した技術によりSDTで評価される。基準試料と発明試料の両方について、全ての単純重ね合わせ接合試験片は45サイクルを完了する。特定の理論または機構に束縛されるものではないが、この仮想例6の結果は、開示された方法のこの実施形態が、図5の公知の方法に従って準備された金属よりも接着接合において同等またはより良い性能を示す表面を作り出すことを示す。
【0205】
<接合のためのアルミニウム合金製品の準備>
【0206】
一実施形態では、ここで図12および図13を参照すると、方法(1200)は、接合のためにアルミニウム合金製品(600)を準備する工程(1202)を含む。一実施形態(例えば、方法(1300))では、準備する(1202)工程は、誘導ヒーターを用いて、受けとったアルミニウム合金製品(600)供給原料の少なくとも一部分を誘導加熱すること(1302)を含む。
【0207】
一実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料はシート製品である。一実施形態において、シート製品は、誘導加熱(1302)、および任意の急冷(1304)後、0.5~6mmのゲージを有する。別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は押出製品である。さらに別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は鍛造製品である。一実施形態では、鍛造製品は対称鍛造である。一実施形態では、鍛造製品は造形鍛造である。さらに別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)供給原料は鋳造製品である。一実施形態では、鋳造製品は対称鋳造である。一実施形態では、鋳造製品は造形鋳造である。別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は付加製造部品である。
【0208】
一実施形態では、誘導ヒーターは横断方向フラックス誘導ヒーター(TFIH)を含む。一実施形態では、誘導加熱(1302)は、実質的に図1~4を参照しながら記載した通り実施される。一実施形態では、誘導加熱(1302)工程の間の誘導ヒーターを通るアルミニウム合金製品(600)のライン速度は、100~200フィート/分である。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、0.4分以下の誘導加熱の滞留時間を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、0.2~0.4分の誘導加熱の滞留時間を達成する。一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1302)の間、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する。別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1302)の間、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1302)の間、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1302)の間、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する。さらに別の実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分は、誘導加熱(1302)の間、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する。
【0209】
一実施形態では、誘導加熱(1302)は、アルミニウム合金製品(600)をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む。一実施形態において、準備する(1202)工程は、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)を急冷する(1304)ことを含む。別の実施形態において、準備する(1202)工程は、誘導加熱アルミニウム合金製品(600)を急冷する(1304)ことを含まない。さらに別の実施形態では、急冷する(1304)工程は、準備する(1202)工程に対して任意である。
【0210】
一実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は5xxxアルミニウム合金製品(600)であり、誘導加熱(1302)工程は5xxxアルミニウム合金製品(600)のアニーリングを達成するように構成される。一実施形態では、誘導加熱された5xxxアルミニウム合金製品(600)はO-テンパーされる。
【0211】
別の実施形態では、受け取ったアルミニウム合金製品(600)は6xxxアルミニウム合金製品(600)であり、誘導加熱(1302)工程は6xxxアルミニウム合金製品(600)の溶体化熱処理を達成するように構成される。一実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT4-テンパーされる。別の実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT43-テンパーされる。別の実施形態では、誘導加熱された6xxxアルミニウム合金製品(600)はT4E32-テンパーされる。
【0212】
実施形態では、方法(1200)は、接合する(1204)工程を含み得る。実施形態において、接合する(1204)工程は、準備する(1202)工程の後に実施されてもよい。一実施形態において、接合する(1204)工程は、接着接合剤をアルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部に適用する(1305)こと、および次いで、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合すること(1204)、それによって接合されたアルミニウム合金製品(600)を作製することを含みうる。実施形態において、接合する(1204)工程は、接合されたアルミニウム合金製品(600)の接着接合剤を、所定の時間、および/または所定の温度で硬化することを含み得る。方法(1200)において、準備する工程(1202)と接合する工程(1204)との間に、アルミニウム合金製品(600)の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法(1200)である。
【0213】
一実施形態では、準備すること(1202)と接合すること(1204)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法(1200)である。一実施形態では、方法(1200)は、準備する(1202)工程と接合する(1204)工程との間に、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分を清浄する(1306)工程を含む。
【0214】
一実施形態では、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも一部分が、アルミニウム合金製品(600)の第一の部分を含む。第二の材料が、アルミニウム合金製品(600)の少なくとも第二の部分を含む。一実施形態では、接合されたアルミニウム合金製品(600)は、適用されたおよび/または硬化された接着接合剤を介して、第二の材料に接着的に構造的に接合されたアルミニウム合金製品(600)の第一の部分を含み得る。
【0215】
方法(1200)の一実施形態では、接合されたアルミニウム合金製品(600)が、アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、接合されたアルミニウム合金製品(600)は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する。一実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である。別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である。さらに別の実施形態では、45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である。
【0216】
<非限定的な例7>
【0217】
開示された方法の一実施形態による表面脱酸のために準備されたアルミニウム合金製品の接着接合反応は、ASTM D1002(10)に従うストレス強度試験(SDT)によって評価され、単純重ね合わせ接合部試験片はアルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである。0.059インチゲージ6022アルミニウム合金シート製品のコイルの巻きを解き、次いで横断方向フラックス誘導ヒーターを使用して溶体化熱処理する。これらのコイルを解く工程および誘導加熱工程の前に、6022アルミニウム合金シート製品は、連続鋳造技術を使用して準備された。6022アルミニウム合金シートは、誘導ヒーターの中を滞留時間18秒間進められ、シート上のピーク金属温度(PMT)が970°Fと測定された。対照的に、従来型連続熱処理(CHT)炉を用いて溶体化熱処理された6022-T4アルミニウム合金シート製品のPMTは典型的には1040~1060°Fである。
【0218】
誘導ヒーターを出たとき、誘導加熱された6022アルミニウム合金シート製品は150°Fの温度で脱イオン水を使用して急冷される。このシートの機械的特性は、誘導加熱6022-T4アルミニウム合金シート製品がT4テンパーに達する後に測定され、CHT処理材料で取得されたものと同等であるか、またはそれよりも良好であることが判明される。
【0219】
次に、二つの6インチ×4インチのサイズの片(4インチの寸法が圧延方向にある)が、誘導加熱され、急冷された6022-T4アルミニウム合金シート製品コイルから取り出される。二つの片を使用して、四つの単純重ね合わせ接合試験片を、0.5インチの接合部重ね合わせで準備した。この接合工程の前、かつ誘導加熱および急冷工程の後に、八つの片のいずれかに対する表面酸化物処理工程は実施されなかった。
【0220】
誘導加熱され、急冷された6022-T4アルミニウム合金シート製品の単純重ね合わせ接合試験片を、非限定的な例2の上述の手順に従って準備した。環状BDTプロトコル、および初期接合せん断強度試験および残留接合せん断強度試験を、非限定的な例2の上述の手順に従って実施した。これらの接合された6022-T4アルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片の接合は、SDTを通過するために45サイクルを完了する必要があった。
【0221】
初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の両方について、不良モードを決定し、記録した。得られた結果は、誘導加熱および急冷された6022-T4アルミニウム合金シート製品の表面が図5を参照して上述した公知の方法に従って準備される後で作製された基準単純重ね合わせ接合試験片の接合からのものと比較された。参照6022-T4アルミニウム合金シート製品の四つの単純重ね合わせ接合試験片を、上述の手順に従って準備した。
【0222】
接合された6022-T4アルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片は、45サイクルを完了した。初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の結果を以下の表6に示す。
【0223】
【表6】
【0224】
表6において、上記の不良モードインジケータ「coh」は、接合不良が接合接着剤の不良に起因することを示す。不良モードインジケータ「adh」は、接着剤と金属表面との間の接着界面の完全な不良に起因する接合不良を示す。不良モードインジケータ「大部分adh」は、接着剤と金属表面との間の接着界面の広範囲の変形に起因する接合不良を示す。また、上の表6では、残留接合せん断強度対初期接合せん断強度の計算されたパーセント(%)値が100%より大きい場合でも、100%と示された。初期接合せん断強度と比較すると、表6に示すすべての場合で、SDTプロトコルの間、強度の損失が最小であったことが見出された。45回のBDTサイクルを完了し、初期強度の80%を超える残留強度を示すことによって、本開示方法に従って、これらの6022-T4アルミニウム合金シート製品を準備した後に試験されたこれらの接合は、アルミニウム合金6022における自動車用途のための構造的接着接合の要件を容易に満たす。
【0225】
<非限定的な例8>
【0226】
0.063インチゲージ5754アルミニウム合金シート製品のコイルの巻きを解き、次いで横断方向フラックス誘導ヒーターを使用してアニールする。これらのコイルを解く工程および誘導加熱工程の前に、5754アルミニウム合金シート製品は0.063インチゲージに高温または温間圧延された。5754アルミニウム合金シートは、18秒の滞留時間で、誘導ヒーターを通って進められ、シート上のPMTは950°Fと測定された。
【0227】
誘導ヒーターを出ると、誘導加熱5754アルミニウム合金シート製品は、脱イオン水を使用して150°Fの温度で急冷され、コイル状に巻き取られた。次に、誘導加熱および急冷された5754-Oアルミニウム合金シート製品からの試料を、170°Fで6秒間、脱酸剤の酸性溶液と接触させた。次に、誘導加熱および急冷された5754-Oアルミニウム合金シート製品がコイル状に巻き取られた。
【0228】
5754-Oアルミニウム合金シート製品の単純重ね合わせ接合試験片を、非限定的な例2の上述の手順に従って準備した。環状BDTプロトコル、および初期接合せん断強度試験および残留接合せん断強度試験を、非限定的な例2の上述の手順に従って実施した。接合された5754-Oアルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片の接合は、SDTを通過するために45サイクルを完了する必要があった。
【0229】
初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の両方について、不良モードを決定し、記録した。得られた結果は、誘導加熱および急冷された5754-Oアルミニウム合金シート製品の表面が図5を参照して上述した公知の方法に従って準備される後で作製された基準単純重ね合わせ接合試験片の接合からのものと比較された。基準5754-Oアルミニウム合金シート製品の四つの単純重ね合わせ接合試験片を、上述の手順に従って準備した。
【0230】
接合された5754-Oアルミニウム合金シート製品のすべての単純重ね合わせ接合試験片は、45サイクルを完了した。初期接合せん断強度試験および残留接合強度試験の結果を以下の表7に示す。
【0231】
【表7】
【0232】
上記表7において、不良モードインジケータ「adh」は、接着剤と金属表面との間の接着界面の完全な不良に起因する接合不良を示す。45回のBDTサイクルを完了し、基準試験片の残留強度の0.3%内の残留強度を示すことによって、本開示方法に従って、これらの5754-Oアルミニウム合金シート製品を準備した後に試験されたこれらの接合は、アルミニウム合金5754における自動車用途のための構造的接着接合の要件を容易に満たす。
【0233】
誘導加熱工程について0.4分未満の誘導加熱滞留時間における開示された方法の実施において、金属は急速な加熱を経験するが、CHTベースの技術と比較して金属の経る加熱の時間は短くなる。誘導加熱は、CHTのように外側からの加熱ではなく、内部加熱(すなわち、内側から外へ)である。一例として、誘導加熱ラインでは、金属は0.4分で900°Fまで加熱される。別の例として、誘導加熱ラインでは、金属は0.2分で900°Fまで加熱される。誘導ヒーターの金属の初期温度、ライン速度、滞留時間、加熱期間およびその他の操作パラメータの初期温度は、誘導加熱工程中に金属で達成される所望の加熱速度および所望のPMTを達成するために調整および制御されうる。
【0234】
誘導加熱工程は、誘導加熱工程の間にCHTと比べてより迅速に金属中の所望のPMTを達成し、またCHTに比べて、また図5に示されそれを参照して記載された公知の方法と比べてより良好なその後の接合性能をもたらす。特定の理論または機構に束縛されるものではないが、CHT炉と比較して誘導加熱の内から外への加熱特性および/または誘導ヒーター内酸素減少を考慮すると、表面酸化物は金属の表面上で増加するのに十分な時間を持たないと考えられる。しかしながら、少なくとも一部のCHTベースの加熱プロセスに対する実施が公知であるように、誘導加熱工程中に使用される長い滞留時間によって、表面酸化物は金属の表面上で増加することが観察されうる。したがって、本明細書に開示される方法において、表面酸化物の量および厚さを減少させるために金属表面を清浄および/またはエッチングするなどの追加的な表面処理は必要とされない。したがって、開示された方法の使用により、公知の方法(例えば、米国特許公開第2016/0319440号)と比較して、制限なしに、費用、時間、および材料の観点から効率が改善される。
【0235】
本発明の態様を、以下の番号の項を参照して説明する。
1.方法は、(a)表面脱酸のためにアルミニウム合金製品を準備する工程を含み、準備する工程(a)は、(i)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱すること、および(ii)任意選択的に誘導加熱アルミニウム合金製品を急冷すること、を含む。方法は、準備する工程(a)の後に、接触させる工程(b)を含み、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を脱酸剤と接触させ、準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法である。
2.誘導加熱が、前記アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、項目1に記載の方法。
3.準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、項目1または2のいずれかに記載の方法。
4.接触させる工程(b)の後に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、項目1~3のいずれかに記載の方法。
5.準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を清浄することをさらに含む、項目1~4のいずれかに記載の方法。
6.接触させる工程(b)の後、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製することを含む、項目1~5のいずれかに記載の方法。
7.(i)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、(ii)第二の材料が、アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、および(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態にある時、接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、項目1~6のいずれかに記載の方法。
8.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、項目1~7のいずれかに記載の方法。
9.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である、項目1~8のいずれかに記載の方法。
10.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを開始する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である、項目1~9のいずれかに記載の方法。
11.アルミニウム合金製品は、5xxxアルミニウム合金製品である、項目1~10のいずれかに記載の方法。
12.誘導加熱がO-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、項目1~11のいずれかに記載の方法。
13.アルミニウム合金製品は、6xxxアルミニウム合金製品である、項目1~12のいずれかに記載の方法。
14.誘導加熱がT4-テンパー6xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、項目1~13のいずれかに記載の方法。
15.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、誘導加熱において0.4分未満の滞留時間を達成する、項目1~14のいずれかに記載の方法。
16.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、誘導加熱において0.2~0.4分の滞留時間を達成する、項目1~15のいずれかに記載の方法。
17.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~16のいずれかに記載の方法。
18.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する、項目1~17のいずれかに記載の方法。
19.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~18のいずれかに記載の方法。
20.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~19のいずれかに記載の方法。
21.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~20のいずれかに記載の方法。
22.アルミニウム合金製品は、シート製品である、項目1~21のいずれかに記載の方法。
23.シート製品が、誘導加熱および任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有する、項目1~22のいずれかに記載の方法。
24.アルミニウム合金製品は、押出製品である、項目1~23のいずれかに記載の方法。
25.アルミニウム合金製品は、鍛造製品である、項目1~24のいずれかに記載の方法。
26.鍛造製品が対称鍛造である、項目1~25のいずれかに記載の方法。
27.鍛造製品が造形鍛造である、項目1~26のいずれかに記載の方法。
28.アルミニウム合金製品が、鋳造製品である、項目1~27のいずれかに記載の方法。
29.鋳造製品が対称鋳造である、項目1~28のいずれかに記載の方法。
30.鋳造製品が造形鋳造である、項目1~29のいずれかに記載の方法。
31.アルミニウム合金製品が、付加製造部品である、項目1~30のいずれかに記載の方法。
32.(a)機能化溶液で処理するためにアルミニウム合金製品を準備する工程を含み、準備する工程(a)が(i)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱すること、および(ii)任意選択的に誘導加熱アルミニウム合金製品を急冷することを含む、方法。準備する工程(a)の後に、(b)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を機能化溶液と接触させる工程を含み、準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法である、方法。
33.誘導加熱が、アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、項目32に記載の方法。
34.準備する工程(a)と接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、項目1~33のいずれかに記載の方法。
35.機能化溶液が、リン含有有機酸を含む、項目1~34のいずれかに記載の方法。
36.接触させる工程(b)が、機能化されたアルミニウム合金製品を作製することを容易にし、方法が、接触させる工程(b)の後に、第二の材料で機能化アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を接合することを含み、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製する、項目1~35のいずれかに記載の方法。
37.(i)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、(ii)第二の材料が、アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、および(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態にある時、接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、項目1~36のいずれかに記載の方法。
38.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、項目1~37のいずれかに記載の方法。
39.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である、項目1~38のいずれかに記載の方法。
40.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である、項目1~39のいずれかに記載の方法。
41.アルミニウム合金製品は、5xxxアルミニウム合金製品である、項目1~40のいずれかに記載の方法。
42.誘導加熱がO-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、項目1~41のいずれかに記載の方法。
43.アルミニウム合金製品は、6xxxアルミニウム合金製品である、項目1~42のいずれかに記載の方法。
44.誘導加熱がT4-テンパー6xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、項目1~43のいずれかに記載の方法。
45.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、誘導加熱において0.4分未満の滞留時間を達成する、項目1~44のいずれかに記載の方法。
46.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、誘導加熱において0.2~0.4分の滞留時間を達成する、項目1~45のいずれかに記載の方法。
47.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~46のいずれかに記載の方法。
48.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する、項目1~47のいずれかに記載の方法。
49.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~48のいずれかに記載の方法。
50.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~49のいずれかに記載の方法。
51.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~50のいずれかに記載の方法。
52.アルミニウム合金製品は、シート製品である、項目1~51のいずれかに記載の方法。
53.シート製品が、誘導加熱および任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有する、項目1~52のいずれかに記載の方法。
54.アルミニウム合金製品は、押出製品である、項目1~53のいずれかに記載の方法。
55.アルミニウム合金製品は、鍛造製品である、項目1~54のいずれかに記載の方法。
56.鍛造製品が対称鍛造である、項目1~55のいずれかに記載の方法。
57.鍛造製品が造形鍛造である、項目1~56のいずれかに記載の方法。
58.アルミニウム合金製品が、鋳造製品である、項目1~57のいずれかに記載の方法。
59.鋳造製品が対称鋳造である、項目1~58のいずれかに記載の方法。
60.鋳造製品が造形鋳造である、項目1~59のいずれかに記載の方法。
61.アルミニウム合金製品が、付加製造部品である、項目1~60のいずれかに記載の方法。
62.方法が、(a)接合のためにアルミニウム合金製品を準備する工程を含み、準備する工程(a)は、(i)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱すると、および(ii)任意選択的に誘導加熱アルミニウム合金製品を急冷すること、を含む。準備する工程(a)の後に、(b)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を製造し、準備する工程(a)と接合する工程(b)との間に、アルミニウム合金製品の任意の表面酸化物処理工程が存在しない方法である、方法。
63.誘導加熱が、アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、項目62に記載の方法。
64.準備する工程(a)の後に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない方法である、項目1~63のいずれかに記載の方法。
65.準備する工程(a)の後に、アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を清浄することをさらに含む、項目1~64のいずれかに記載の方法。
66.(i)アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、(ii)第二の材料が、アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、および(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態にある時、接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、項目1~65のいずれかに記載の方法。
67.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、項目1~66のいずれかに記載の方法。
68.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも85%である、項目1~67のいずれかに記載の方法。
69.45回のSDTサイクルを完了した後の単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、45回のSDTサイクルを完了する前の単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも90%である、項目1~68のいずれかに記載の方法。
70.アルミニウム合金製品は、5xxxアルミニウム合金製品である、項目1~69のいずれかに記載の方法。
71.誘導加熱がO-テンパー5xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、項目1~70のいずれかに記載の方法。
72.アルミニウム合金製品は、6xxxアルミニウム合金製品である、項目1~71のいずれかに記載の方法。
73.誘導加熱がT4-テンパー6xxxアルミニウム合金製品を提供することを含む、項目1~72のいずれかに記載の方法。
74.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、誘導加熱において0.4分未満の滞留時間を達成する、項目1~73のいずれかに記載の方法。
75.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、誘導加熱において0.2~0.4分の滞留時間を達成する、項目1~74のいずれかに記載の方法。
76.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、900~1040°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~75のいずれかに記載の方法。
77.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、900~1040°F未満のピーク金属温度を達成する、項目1~76のいずれかに記載の方法。
78.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、930~1030°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~77のいずれかに記載の方法。
79.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、950~1020°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~78のいずれかに記載の方法。
80.アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が、970~1000°Fのピーク金属温度を達成する、項目1~79のいずれかに記載の方法。
81.アルミニウム合金製品は、シート製品である、項目1~80のいずれかに記載の方法。
82.シート製品が、誘導加熱および任意の急冷後、0.5~6mmのゲージを有する、項目1~81のいずれかに記載の方法。
83.アルミニウム合金製品は、押出製品である、項目1~82のいずれかに記載の方法。
84.アルミニウム合金製品は、鍛造製品である、項目1~83のいずれかに記載の方法。
85.鍛造製品が対称鍛造である、項目1~84のいずれかに記載の方法。
86.鍛造製品が造形鍛造である、項目1~85のいずれかに記載の方法。
87.アルミニウム合金製品が、鋳造製品である、項目1~86のいずれかに記載の方法。
88.鋳造製品が対称鋳造である、項目1~87のいずれかに記載の方法。
89.鋳造製品が造形鋳造である、項目1~88のいずれかに記載の方法。
90.アルミニウム合金製品が、付加製造部品である、項目1~89のいずれかに記載の方法。
【0236】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではなく、多くの変更が当業者には明らかになり得ることを理解されたい。更になお、様々な工程を任意の所望の順序で実行することができる(および任意の所望の工程を追加することができ、および/または任意の所望の工程を除くことができる)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金製品を準備する方法であって、
(a)表面脱酸のためにアルミニウム合金製品を準備する工程であって、
(i)前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱することであって、誘導加熱中に、前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が900~1040°Fのピーク金属温度を達成するように、誘導加熱することと、
(ii)誘導加熱されたアルミニウム合金製品を任意で急冷することと、を含む、準備する工程と、
(b)前記準備する工程(a)の後、前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を脱酸剤の酸性溶液と接触させる工程と、を含み、
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の表面酸化物の少なくとも一部分が前記アルミニウム合金製品から除去される表面酸化物処理工程が存在しない、方法。
【請求項2】
前記誘導加熱が、前記アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触させる工程(b)の後に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を清浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる工程(b)の後、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を第二の材料と接合し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製することを含み、前記接合が、前記アルミニウム合金製品および前記第二の材料の少なくとも一つに接着剤を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(i)前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分が、前記アルミニウム合金製品の第一の部分を含み、
(ii)前記第二の材料が、前記アルミニウム合金製品の少なくとも第二の部分を含み、
(iii)アルミニウム金属とアルミニウム金属との接合部の重複が0.5インチである単純重ね合わせ接合部試験片の形態のとき、前記接合されたアルミニウム合金製品は、ASTM D1002(10)に従って45回のストレス強度試験(SDT)サイクルの完了を達成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを開始する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の初期せん断強度の少なくとも80%である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを開始する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも85%である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記45回のSDTサイクルを完了した後の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記残留せん断強度は、前記45回のSDTサイクルを開始する前の前記単純重ね合わせ接合部試験片の前記初期せん断強度の少なくとも90%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アルミニウム合金製品を準備する方法であって、
(a)機能化溶液で処理するためにアルミニウム合金製品を準備する工程であって、
(i)前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分を誘導加熱することであって、誘導加熱中に、前記アルミニウム合金製品の少なくとも一部分が900~1040°Fのピーク金属温度を達成するように、誘導加熱することと、
(ii)前記誘導加熱アルミニウム合金製品を任意で急冷することと、を含む、準備する工程と、
(b)前記準備する工程(a)の後、前記アルミニウム合金製品の前記少なくとも一部分を前記機能化溶液と接触させる工程と、を含み、
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、前記アルミニウム合金製品の表面酸化物の少なくとも一部分が前記アルミニウム合金製品から除去される表面酸化物処理工程が存在せず、
前記機能化溶液が、リン含有有機酸を含む、方法。
【請求項12】
前記誘導加熱が、前記アルミニウム合金製品をアニーリングまたは溶体化熱処理することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記準備する工程(a)と前記接触させる工程(b)との間に、表面清浄処理およびエッチング処理が存在しない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記誘導加熱の滞留時間は、0.2~0.4分である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記接触させる工程(b)の後に、機能化されたアルミニウム合金製品の少なくとも一部分を第二の材料と接合し、それによって接合されたアルミニウム合金製品を作製することを含み、前記接合が、前記アルミニウム合金製品および前記第二の材料の少なくとも一つに接着剤を適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【外国語明細書】