(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023034
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】遠隔制御装置及び遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20220131BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20220131BHJP
B66B 3/00 20060101ALN20220131BHJP
B66B 13/14 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B47/00 U
B66B3/00 G
B66B13/14 N
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149249
(22)【出願日】2021-09-14
(62)【分割の表示】P 2019540127の分割
【原出願日】2019-07-23
(31)【優先権主張番号】P 2018138905
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018146760
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】521398194
【氏名又は名称】blueel株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】市村 洋一
(72)【発明者】
【氏名】安松 志郎
【テーマコード(参考)】
2E250
3F303
3F307
【Fターム(参考)】
2E250AA04
2E250BB08
2E250DD02
2E250FF35
3F303CB02
3F303DA08
3F303DC03
3F303DC04
3F307EA25
(57)【要約】
【課題】ユーザにエレベータを呼び出すタイミングの自由度を付与し、また、従来技術と同等以上の効果を得られるようにする。
【解決手段】遠隔制御システムに、乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを判別する判別手段と、前記乗りかごの現在の所在階を特定する特定手段と、前記乗りかごの呼出要求を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された呼出要求に応じて前記乗りかごを呼出階に移動させる移動手段と、自動ドアの開錠の契機となる検知エリアでの物体の変化を検知する検知手段と、前記検知エリアに配置される物体と、遠隔地から送信される自動ドアの開錠指示信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって開錠指示信号が受信された場合に前記物体を変化させる制御手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の自動ドアの開錠の契機となる検知エリアに設置される自動ドア開錠制御装置において、
前記自動ドアの外側から遠隔で開錠指示を行う遠隔制御装置によって送信される当該自動ドアの開錠指示信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって開錠指示信号が受信された場合に自動ドア開錠制御装置本体を動体として機能させるように変化させる制御手段と、
を備える自動ドア開錠制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、モータと、前記モータを駆動させる動力源と、前記モータに連結されている可動体と、を備える請求項1記載の自動ドア開錠制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検知エリアでの前記自動ドア開錠制御装置の変化を検知する検知手段が受光する、光波、電波又は音波の物理量を変化させる、請求項1記載の自動ドア開錠制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動ドア開錠制御装置と、
前記自動ドア開錠制御装置に対して遠隔開錠制御を行うサーバと、
を有し、
前記サーバは、
荷物の配送伝票情報と配送先情報とを紐付けて格納する格納手段と、
荷物の配達伝票情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された配送伝票情報に紐付けられた配送先情報に対応する自動ドア開錠制御装置の開錠制御を行う開錠制御手段と、を備える、
遠隔制御システム。
【請求項5】
建物の自動ドアに付帯して設置される自動ドア開錠制御装置に対して遠隔開錠制御を行うための認証に必要な情報を設定する設定機能と、
荷物の配送伝票情報を前記設定機能によって設定した情報とともにサーバに送信する送信機能と、
を遠隔制御装置に実現させる遠隔制御用プログラム。
【請求項6】
前記送信機能によって配送伝票情報を送信したことに基づいて前記サーバから返信される前記自動ドア開錠制御装置に入力する開錠用のパスコードを受信する受信機能を、前記遠隔制御装置に実現させる請求項5記載の遠隔制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔制御装置及び遠隔制御システムに関し、特に、マンション、ホテル、デパート、ビルを含む集合住宅などの大規模施設内に設置されているエレベータの呼び出し、当該施設のエントランスなどの出入り口に設置されているドアの開閉などを遠隔で制御する遠隔制御装置及び遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗りかごの効率的な運行を妨げることなく、乗りかごを利用したいときの待ち時間を短縮できるエレベータ制御システムが開示されている。このエレベータ制御システムは、昇降路に沿う各階の乗り場の間を移動する乗りかごと、前記乗りかごの呼び登録を受け付ける登録部と、前記登録部により登録された前記呼び登録にしたがって前記乗りかごを前記乗り場に移動させる制御部と、前記乗り場に設けられた第一の表示装置と、を備え、前記登録部は、前記乗り場で乗り込みのために前記乗りかごを呼ぶ第一の呼び登録と、前記乗りかごを指定の時刻に指定の乗り場に呼ぶ予約を行う第二の呼び登録と、を受け付け、前記制御部は、前記第一の呼び登録がある場合、当該第一の呼び登録にしたがい前記乗りかごを移動させる一方、前記第一の呼び登録が未登録であり休止中の移動可能な前記乗りかごが存在する場合、前記第二の呼び登録にしたがい、休止中の前記乗りかごを前記指定の時刻に前記指定の乗り場に移動させ、前記第一の表示装置は、前記第二の呼び登録にしたがい前記乗りかごが前記指定の時刻に前記指定の乗り場に待機状態で停止しているか否か、前記第一の呼び登録によって前記第二の呼び登録が無効になったか否か、の少なくとも一つを表示している。
【0003】
特許文献2には、マンションやアパート、ビル等の建築物のエントランス入口に設けられた自動ドアを遠隔操作により開くことができる自動ドアの開錠装置が開示されている。具体的には、検知エリア内に物体の存在を検知すると自動ドアを開くための作動信号を送信する検知センサを起動させる自動ドアの開錠装置であって、前記検知センサの検知エリア内まで移動する遮蔽板と、前記遮蔽板を支持し、前記遮蔽板を移動するための駆動機構を有する本体部と、前記自動ドアの開錠を指示する開錠指示信号を受信すると、前記駆動機構に前記遮蔽板を移動するよう指示する制御部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6195390号公報
【特許文献2】特許第6044917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されているエレベータ制御システムは、乗りかごが指定時刻に指定の乗り場に待機状態で停止しているか否かの表示などを行うものであるが、乗りかごの停止階を示す情報をユーザに報知してはいない。このため、ユーザがエレベータを呼び出すタイミングの自由度がない。
【0006】
たとえば、同じ乗りかごに他人と同乗することを好まないユーザであれば、他人が同乗する可能性が低いと思われる情報、例えば、自身が現在いる階又はこれに近い階にエレベータが停止していることを知りたいはずであろうが、特許文献1に開示されているエレベータ制御システムは、このようなユーザの要求には応じられるものではない。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザにエレベータを呼び出すタイミングの自由度を付与することを課題の一つとする。
【0008】
また、特許文献2に開示されている自動ドアの開錠装置は、検知センサの検知エリア内まで移動する遮蔽板と、この遮蔽板を移動するための駆動機構を有する本体部と、この遮蔽板を移動するよう指示する制御部とを備えているため、装置が大掛かりとなる。
【0009】
特に、通常、自動ドアの開錠装置は、ドア上部に取り付けられるため、清掃も面倒であるので小型化したいという要望があり、また、万が一の取付部品又は開錠装置自体の破損・故障などによって開錠装置又はその一部が落下する可能性があることなどを考慮すると開錠装置を小型化したい。そして、遮蔽板、本体部、制御部などの部品点数を減らせれば、そもそも、開錠装置又はその一部の落下の可能性を低下することができる。
【0010】
そこで、本発明は、装置の構成を抜本的に変更して、なおかつ、特許文献2のものと同等以上の効果を得られるようにすることを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の遠隔制御システムは、
乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを判別する判別手段と、
前記乗りかごの現在の所在階を特定する特定手段と、
前記乗りかごの呼出要求を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された呼出要求に応じて前記乗りかごを呼出階に移動させる移動手段と、
を備える。
【0012】
また、前記判別手段によって判別された情報と前記特定手段によって特定された所在階を示す情報とに基づいて前記移動手段によって前記乗りかごを呼出階に移動させる時期を制御する制御手段を備えてもよい。さらに、前記判別手段に対して前記判別を要求する要求手段と、前記送信手段によって送信された情報を報知する報知手段とを有する遠隔制御装置を備えることができる。この遠隔制御装置は、携帯電話機、PDA、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどとすることができるし、例えば、ユーザの自宅の玄関・廊下・リビングなどに据置可能な専用端末又は当該機能を実現可能なソフトウェア等を組み込むことでインターフォン端末を用いて実現してもよい。
【0013】
前記判別手段及び前記特定手段は、エレベータ内外いずれかに設けられている表示部を撮像する撮像手段としてもよく、また、前記移動手段は、前記表示部に付帯する呼出を指示する指示手段としてもよい。そして、撮像手段と指示手段とはユニット化することもできる。
【0014】
また、エレベータホールの近傍に人感センサを備え、前記人感センサによって人間の到来が検知された場合に前記乗りかごのドアを開状態にしてもよい。特に、前記判別手段によって前記乗りかごが停止中であると判別され、かつ、前記特定手段によって特定される前記乗りかごの現在の所在階がユーザによる当該乗りかごの呼出階である場合に、前記乗りかごのドアを開状態にするとよいし、開状態にした後にユーザが乗りかごに乗らずに所定期間が経過して前記ドアが閉状態になった後に、前記人感センサによって人間の到来が検知された場合に前記乗りかごのドアを開状態にしてもよい。
【0015】
前記指示手段をオン状態にしてから一定時間内はオフ状態に切り替える切替手段を備えることもできる。こうすると、ユーザが遠隔制御装置を濫用すること抑止できるため、他の利用者の利便性低下を防ぐことが可能となる。
【0016】
また、本発明の遠隔制御装置は、上記の遠隔制御システムに用いられ、前記判別手段に対して前記判別を指示する指示手段と、
前記送信手段によって送信された情報を報知する報知手段と、を有する。
【0017】
さらに、ユーザによるジェスチャーを検知する検知手段と、前記検知手段によって検知されたジェスチャーと事前に登録されている前記呼出要求を示すデータとを対比する対比手段と、前記対比手段によって前記ジェスチャーが前記呼出要求を示すデータに対応する場合に前記乗りかごの呼出要求を行う要求手段とを備えることも一法である。
【0018】
また、ユーザに対して、判別手段による判別結果及び/又は特定手段による特定結果を報知する報知手段を備えてもよい。更には、報知手段によって、当該判別結果及び/又は特定結果とともに、又は、これに代えて、例えば、生活情報又は広告情報など、ユーザに報知したい各種情報を報知してもよい。
【0019】
遠隔制御システム本体の利用ログが利用時刻を示す情報とともに格納される格納媒体を備えることも一法である。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の遠隔制御システムは、
自動ドアの開錠の契機となる検知エリアでの物体の変化を検知する検知手段と、
前記検知エリアに配置される物体と、
遠隔地から送信される自動ドアの開錠指示信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって開錠指示信号が受信された場合に前記物体を変化させる制御手段と、
を備える。
【0021】
前記物体の変化には、光波、電波又は音波の物理量を変化させることを含んでもよい。具体的には、光波等の波長、振幅、波形、出射方向のいずれかなどを変化させることなどが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明1の実施形態の遠隔制御システムの説明図である。
【
図2】
図1に示す制御ユニット200との間で通信を行う遠隔制御装置300の説明図である。
【
図3】集合住宅の自動ドアに付帯して設置される自動ドア開錠制御装置420を備える遠隔制御システムの模式的な構成図である。
【
図4】
図3に示す自動ドア開錠制御装置420の模式的な内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
100 表示パネル
110 表示部
120 操作部
130,140 呼びボタン
200 制御ユニット
210 カバー
220 取付部
230 信号線
240 撮像部
250 取付部
300 遠隔制御装置
310 本体
320 表示部
330 ホームボタン
410 検知手段
420 自動ドア開錠制御装置
430 左ドア
440 右ドア
510 受信手段
520 制御手段
【発明の実施の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本発明1の実施形態の遠隔制御システムの説明図である。
図1(a)には、各階のエレベータホールに設置される表示パネル100を示している。
図1(b)には、
図1(a)の表示パネル100に取り付けられた制御ユニット200を示している。
【0026】
図1(a)に示すように、表示パネル100は、図示しない乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを示すとともに乗りかごが現在位置する所在階を示す表示部110と、表示部110に付帯する操作部120と、操作部120に設けられている乗りかごの呼びボタン130,140とを備えている。ここでは、表示部110に、乗りかごが「上昇中」であること、乗りかごの所在階が「5階」である場合が例示されている。
【0027】
図1(b)に示すように、制御ユニット200は、操作部120の一部を覆うとともに、呼びボタン130,140の押下手段を有するカバー210と、制御ユニット200本体を表示パネル100の近傍に取り付けるための取付部220と、表示部110を撮像する撮像部240と、撮像部240によって撮像された画像信号が通る信号線230と、撮像部240を表示パネル100の近傍に取り付けるための取付部250と、を備えている。
【0028】
なお、カバー210の裏面には、信号線230を通る画像信号に基づく情報を生成したり、生成した情報を遠隔制御装置300(
図2)に送信したり、この情報に基づいて遠隔制御装置300から送信される乗りかごの呼出要求を受信したり、受信した呼出要求に応じて呼びボタン130,140のいずれかをいつ押下するかといった判断処理などを行う制御部が設けられている。
【0029】
もっとも、制御部は、制御ユニット200の一部として設けることが必須はなく、制御ユニット200とは別個に設けてもよい。例えば、制御部は、図示しない管理センターなどに設けて、制御ユニット200から有線又は無線によって制御ユニット200と接続することが考えられる。
【0030】
また、制御ユニット200は、表示パネル100に取り付けるのではなく、乗りかご内の操作盤に取り付けてもよい。この場合、制御ユニット200は、呼出階ボタンを押下して乗りかごを移動させることになる。したがって、制御ユニット200は、呼出階ボタン間を移動可能な移動手段を設けることになる。こうすると、各階の表示パネル100毎に制御ユニット200を設ける必要がなくなるという利点がある。
【0031】
また、
図1に示す表示パネル100の操作部120は、再下階ではボタン140が存在せず、最上階ではボタン130が存在しないことが通例である。また、再下階を除く階においても、ボタン130を必ずしも設けなくてもよい。
【0032】
また、
図1には、ハードウェア的に制御ユニット200を実現する例を示しているが、ソフトウェア的に制御ユニット200を実現することもできる。例えば、
図1(a)に示す表示部110に対して、「↑」「5」という情報が表示されるということは、換言すると、これらの情報は乗りかごに設けられている、多くの場合には制御盤内に設けられている既存の制御部では、乗りかごが上昇中であること、現在の乗りかごの所在階が5階であることを把握しているので、この種の情報を直接、遠隔制御装置300に送信することもできる。
【0033】
換言すると、既存のエレベータ設備のプログラム、情報の送信先などを何ら変更することなくそのまま使用する場合に、
図1(b)に示すような制御ユニット200を採用すれば好適である。一方、既存のエレベータ設備のプログラムを変更可能である場合には、制御ユニット200自体の採用に代えて、制御ユニット200の処理と同様の処理をするようにプログラム等を変更すればよいということになる。
【0034】
図2は、
図1に示す制御ユニット200との間で通信を行う遠隔制御装置300の説明図である。
図2には、遠隔制御装置300の例として、これをスマートフォンによって実現する例を示しているが、スマートフォンのみならず、携帯電話機、PDA、タブレット、パーソナルコンピュータなどによって実現することもできるし、例えば、ユーザの自宅の玄関・廊下・リビングなどに据置可能な専用端末又は当該機能を実現可能なソフトウェア等を組み込むことでインターフォン端末を用いて実現することもできる。
【0035】
図2に示すように、遠隔制御装置300は、本体310と、本体310の前面に設けられた表示部320と、表示部320に隣接して設けられているホームボタン330とを備えている。
【0036】
ここでは、表示部320に、乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを示す乗りかごの「稼働情報」と、乗りかごの現在の「所在階数」と、乗りかごの到着までの「推定時間」と、乗りかごを呼出したい場合に押下する「呼出」ボタンとを示している。なお、これらの全ての情報を表示部320に表示することは必須ではないし、また、これら以外の情報を表示部320に表示することも可能である。一例をあげると、昨今需要がある「見える化」の要請に応じて「呼出階」などを表示部320に表示することも可能であるし、生活情報又は広告情報など、ユーザに報知したい各種情報を表示することも可能である。
【0037】
これらのうち、「稼働情報」、「所在階数」、「推定時間」といった各情報は、制御ユニット200の制御部によって生成され、インターネット網、電話網などの無線回線を介して、当該制御部から遠隔制御装置300に対して送信される。
【0038】
図2では、表示部に、「稼働情報」として「上昇中」であること、「所在階数」として「5階」であること、「推定時間」として「25秒」であること、の例が示されている。なお、「稼働情報」としては、実際の乗りかごの振る舞いに応じて、「上昇中」のほかに「下降中」又は「停止中」であることが通常であれば表示される。
【0039】
なお、これらの情報に代えて又はこれらの情報とともに、ユーザが呼出した乗りかごが自階へ到着する時刻が確定した場合の当該時刻情報、他のユーザが他階にて乗りかごの呼出を行ったことを示す情報を、表示部320に表示するなどしてユーザに報知してもよい。これらの情報の表示時間は、例えば5秒~10秒程度とすることができ、また、表示情報の種別については、ユーザが設定できるようにするとよい。
【0040】
また、これに限定されるものではないが、遠隔制御装置300としてスマートフォンを用いる場合には、
図2に示すような画面が表示可能であること、後述する動作が実現可能であること、といった諸条件を備えるアプリケーションプログラムを作成して、それをサーバに保存しておき、これをユーザが適宜、サーバからダウンロードして、スマートフォンにインストールすることができるようにすればよい。
【0041】
ところで、制御ユニット200をソフトウェア的に実現する場合には問題は生じないが、ハードウェア的に実現する場合には、
図1に示す表示パネル100及び制御ユニット200が、各階のエレベータホールに設置されるところ、遠隔制御装置300が、各階のエレベータホールに設けられているいずれの制御ユニット200との間で通信を行うかという点については問題がある。
【0042】
本実施形態では、例えば、通信のコリジョン問題が発生することを回避するために、全ての制御ユニット200のうち、例えば、1階に設置されている制御ユニット200をマスターとして、この制御ユニット200のみが、遠隔制御装置300と通信を行うようにしている。この場合、他階に設置されている制御ユニット200はスレーブとして、マスターを通じてなされる遠隔制御装置300からの呼出要求に応じて呼出要求に応じることになる。
【0043】
さらに、マスターの制御ユニット200と遠隔制御装置300とが直接通信するのではなく、本実施形態の遠隔制御システムの管理サーバなどを介して間接通信をするようにしてもよい。
【0044】
つづいて、
図1及び
図2を参照して、本実施形態の遠隔制御システムの動作について説明する。まず、ユーザは、上記のように、本実施形態の遠隔制御システムを利用するために、所望のアプリケーションプログラムを、遠隔制御装置300であるスマートフォンにインストールしておく。
【0045】
そして、ユーザは、このアプリケーションプログラムに対して、少なくとも、自己が所有しているマンションを特定する情報と、呼出希望階を示す情報とを登録する。呼出希望階は、通常、ユーザの自室のある階、すなわち、自宅階となろう。
【0046】
この状態で、例えば、マンションの自室にいるユーザが、本実施形態の遠隔制御システムを利用して乗りかごを呼出するために、当該アプリケーションプログラムを起動すると、
図2に示すような画面が、表示部320に表示される。
【0047】
この表示を行うために、制御ユニット200では、撮像部240によって表示部110を撮像し、その撮像した画像信号を信号線230を介して制御部に出力する。制御部では、この画像信号から画像解析等を行って、乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを判別するとともに、乗りかごの停止階を特定する。
【0048】
なお、撮像部240は、カメラなどを用いて、その撮像画像を制御部に出力することとしてもよいし、乗りかご内外の階数及び/又は昇降方向表示パネルが例えば7セグメントディスプレイ、昇りを示す△表示部又は↑表示部、降りを示す▽表示部又は↓表示部であれば、適宜それらの少なくとも一部に対応する位置に複数のフォトダイオードを含む受光素子又は光検出器を設けて、そのセンシング結果を制御部に出力することとしてもよい。
【0049】
すなわち、制御部は、乗りかごが昇降中であれば、昇降中である乗りかごの現在の階数を示す情報を取得し、乗りかごが停止中であれば、停止中の乗りかごの現在の階数を示す情報を取得することになる。
【0050】
その後、制御部は、乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを示す情報と所在階を示す情報とを、無線回線を通じて遠隔制御装置300に送信する。この結果、上記のように、遠隔制御装置300では、
図2に示すような画面が、表示部320に表示されることになる。
【0051】
図2に示す例では、乗りかごは「上昇中」であるが、仮に他人が既に乗りかごに乗っている場合には、やがて当該他人の行先階に乗りかごが到達したら、「上昇中」から「停止中」に移行することになるし、仮に他人が乗りかごを呼出していた場合には、更に「停止中」から「下降中」に移行することになるであろう。
【0052】
本実施形態の場合には、他人が既に乗りかごに乗っているのか、他人が乗りかごを呼出していたのか、についての判別は行っていないので、仮に、遠隔制御装置300のユーザが、同じ乗りかごに他人と同乗することを好まないのであれば、「停止中」から「下降中」に移行しないことを確認した後に、遠隔制御装置300を操作することによって、呼出ボタンを押下(タップ)することによって、乗りかごの呼出を行えばよい。
【0053】
実際に、ユーザが、いずれかのタイミングで呼出ボタンを押下すると、スマートフォンが有する送信手段によって、乗りかごの呼出要求が制御ユニット200に向けて送信される。一例としては、既述のアプリケーションプログラムが呼出希望階を示す情報を、その送信に先立って付加することが考えられる。
【0054】
また、ユーザが「稼働情報」等に基づいて乗りかごの呼出要求を強いるのではなく、ユーザが乗りかごの呼出要求したときに、これを契機として、判別手段によって乗りかごが昇降中であるか停止中であるかを判別し、昇降中であると判別された場合には、特定手段によって乗りかごの現在の所在階を特定するとともに、ユーザによる呼出階を検知すれば、システム側で乗りかごの移動時期の制御を行うことが可能となる。
【0055】
ここで、通常、ユーザは、自宅から出かける際であれば自宅から乗りかごを呼出するであろうし、帰宅の際であればエントランスなどのある例えば1階から乗りかごを呼出するであろうと考えられる。そうすると、ユーザの呼出階と、乗りかごが昇降中であるか停止中であるという状態との組み合わせは、通常であれば、以下のようになることが大半である。
【0056】
すなわち、
(1)ユーザによる呼出階が1階であって、かつ、乗りかごが上昇中の場合、
(2)ユーザによる呼出階が1階であって、かつ、乗りかごが下降中の場合、
(3)ユーザによる呼出階が1階であって、かつ、乗りかごが停止中の場合、
(4)ユーザによる呼出階が自宅階であって、かつ、乗りかごが上昇中の場合、
(5)ユーザによる呼出階が自宅階であって、かつ、乗りかごが下降中の場合、
(6)ユーザによる呼出階が自宅階であって、かつ、乗りかごが停止中の場合、
のいずれかとなる。
【0057】
そこで、ユーザが乗りかごを呼出要求したときの当該呼出階を検知するか、簡便に済ますために、当該呼出階が1階であるか否かを検知して、(1)~(6)のいずれの場合であるかを特定して、システム側で乗りかごの移動制御を行うとよい。
【0058】
呼出階の検知手法については、例えば、ユーザが「呼出」ボタンを押下した場合に、遠隔制御装置300が自装置に登録されている自宅階を示す情報を付加して送信するという手法を採用するだけで実現することが可能である。ただし、後述するように、制御ユニット200が呼出要求を受けたタイミングで管理サーバなどに問合せすることで取得してもよい。
【0059】
(1)の場合には、仮に、既に他人を乗せた乗りかごが上昇中であれば、当該他人はその自宅階で降りることが想定される。したがって、当該他人がその自宅階で乗りかごから降りなかったというレアケースを除けば、当該他人と乗りかごにユーザが同乗する可能性はないので、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを1階に移動させる。
【0060】
(2)の場合には、通常、既に他人を乗せた乗りかごが下降中である、又は、乗りかごが1階に到着するまでに他人による呼出階で停止して当該他人を乗せることが考えられる。この場合にも、当該他人がその1階で乗りかごから降りなかったというレアケースを除けば、すぐに乗りかごの呼出要求を受けて乗りかごを1階に移動させても、当該他人と乗りかごに同乗する可能性はないので、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを1階に移動させる。
【0061】
なお、(1)・(2)のいずれの場合にも、別の他人が既に1階のエレベータホール前で乗りかごの到着待ちをしているのであれば、ユーザは到着した乗りかごに乗らないという選択をすることができるので、当該別の他人と乗りかごに同乗することを好まないのであれば、乗りかごに乗るということを回避することが可能となる。
【0062】
(3)の場合には、乗りかごが1階に到着してから上昇するまでの短期間に、他人が1階のエレベータホールに到来しなければ、乗りかごの呼出要求を受けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを1階に移動させても、当該他人と乗りかごに同乗する可能性はない。したがって、この場合には、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを1階に移動させる。
【0063】
(4)の場合には、通常、既に他人を乗せた乗りかごが上昇中である、又は、他人を乗せるために当該他人の自宅階に向けて乗りかごが上昇中であると考えられる。そして、これらいずれの場合であっても、上昇中の乗りかごは、その後、ユーザの呼出階に対して上階/同階/下階のいずれかで停止する。
【0064】
前者であれば、通常、当該他人は自宅階で降りることが想定されるので、別の他人がユーザよりも先に乗りかごを呼出していなければ、その階で停止したままとなろう。この場合には、判別手段によって乗りかごが停止中であると判別されるので、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを呼出階に移動させる。
【0065】
一方、別の他人がユーザよりも先に乗りかごを既に呼出している場合には、乗りかごは停止後すぐに当該別の他人による呼出階に移動することになるので、判別手段によって乗りかごが昇降中であると判別される。この場合には、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを移動させると、乗りかごに他人と同乗する可能性があるので、そうすることなく、例えば1分後などに、再度、乗りかごの他人による呼出の有無などを検知して、当該呼出がなければ、乗りかごをユーザの呼出階に移動させる。
【0066】
後者であれば、通常、その後に、他人を乗せた乗りかごが1階に向けて下降するため、判別手段によって乗りかごが昇降中であると判別される。したがって、乗りかごへの他人との同乗を回避するために、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けても、相対的に早いタイミングで乗りかごを移動させず、例えば1分後などに、再度、乗りかごの他人による呼出の有無などを検知して、乗りかごをユーザの呼出階に移動させる。
【0067】
ここで、乗りかご内に人感センサを設けて昇降中の乗りかご内の人の有無を検出することもできる。そうすると、他人を乗せるために乗りかごが昇降中であるのか、既に他人を乗せた乗りかごが昇降中であるのかを判別することができる。
【0068】
例えば、ユーザが外出しようとして乗りかごを呼出した際に乗りかごが上昇中であって、乗りかごに他のユーザが乗っていることが検出されたのであれば、当該他のユーザは帰宅者である可能性が高いので、相対的に早いタイミングで乗りかごを移動させることが可能になる。
【0069】
(5)の場合には、通常、1階に他人を乗せるために乗りかごが下降中である、又は、既に他人を乗せた乗りかごが1階に下降中であるということになる。この際、特定手段によって特定される乗りかごの現在の所在階が、ユーザの呼出階よりも上階であれば、前者の場合、誰も乗りかごに乗っていないので、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを呼出階に移動させる一方で、後者の場合、又は、特定手段によって特定される乗りかごの現在の所在階がユーザの呼出階に対して同階或いは下階であれば、既に他人が乗りかごに乗っている、又は、同階或いは下階で他人が乗りかごに乗ると考えられるので、例えば1分後などに、再度、乗りかごの他人による呼出の有無などを検知して、当該呼出がなければ乗りかごをユーザの呼出階に移動させる。
【0070】
また、後者の場合、1階に到着した乗りかごから他人が下りると考えられるので、その後に、偶然、別の他人が1回のエレベータホールで待っている場合でも、当該別の他人は自身の自宅階で降りることになると考えられるので、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを呼出階に移動させる。
【0071】
上記のように、乗りかご内に人感センサを設ける場合には、実際に乗りかごに他のユーザが乗っているか否かを検出することが可能になるので、とりわけ、特定手段によって特定される乗りかごの現在の所在階が、ユーザの呼出階よりも上階であれば、乗りかごに誰も乗っていない場合には、ユーザの呼出階で乗りかごを停止させることができる。
【0072】
(6)の場合には、停止階が、自宅階に対して同階の場合と、自宅階に対して上階/下階の場合とに大別される。前者の場合、[a]同階に居住している他人がこれから乗りかごに乗ろうとして先に呼出して待機している場合と、[b]同階に居住している他人が既に他階から同階に到着して乗りかごから降りたまま待機している場合とが考えられる。数分以内の同階での呼出履歴の有無を確認すれば、同階での呼出があれば[a]、同階での呼出がなければ[b]ということがわかる。一方、後者の場合には、誰も乗りかごに乗っていないので、ユーザによる乗りかごの呼出要求を受け付けて、相対的に早いタイミングで乗りかごを呼出階に移動させればよい。
【0073】
なお、例えば、エレベータホールと自宅との距離が相対的に長い場合、通勤・通宅時間帯などのように乗りかごの呼出時の呼出頻度が高い時間帯である場合には、ユーザが自宅で乗りかごを呼出してからユーザが乗りかごに乗るまでに、他人も乗りかごを呼出する場合もある。
【0074】
つまり、ユーザが自宅階で乗りかごの呼出要求を行ってから、実際に乗りかごが自宅階に到着するまでの間などに、他人も自身の自宅階から偶然に乗りかごの呼出要求を行う場合が想定される。この場合には、他人の呼出要求に対して、上記のように、例えば1分後などに、再度、乗りかごの別の他人による呼出の有無などを検知して、当該呼出がなければ乗りかごをユーザの呼出階に移動させればよい。
【0075】
つまり、この例では、先に行った呼出要求を優先させて乗りかごの移動を制御している。さらに、この場合に、当該他人が乗りかごの呼出要求をしたにもかかわらず、乗りかごが呼出されないことによってエレベータの故障を疑うことがないように、先に別人が呼出要求を行った旨の情報を送信することも一法である。
【0076】
また、ユーザフレンドリーの観点から、以下のようないくつかの制御を行うことも一法である。すなわち、理解容易のために概要を先に説明すると、1つ目は、ホテルなどの宿泊施設におけるドアマンのような振る舞いをさせるというものである。具体的には、乗りかごを呼出したユーザがエレベータホールに到着する前に乗りかごが呼出階に到着し、乗りかごのドアが一度、開状態となったものの、ユーザが乗りかごに乗り込む前にドアが閉状態となった場合に、その後、ユーザがエレベータホールに近づいた場合に、あたかもドアマンが乗りかごのドアを開状態とするために、呼びボタン130又は呼びボタン140を押下してくれるかのように、乗りかごのドアを再度開状態とするという振る舞いを行う。
【0077】
このためには、乗りかご内又はエレベータホールの近傍に、赤外線センサなどの人感センサを備え、この人感センサによって人間の到来が検知された場合に乗りかごのドアを開状態とすればよい。もっとも、せっかく人感センサを備えたのだから、乗りかごを呼出したユーザがエレベータホールに到着する前に乗りかごが呼出階に到着しても、ユーザがエレベータホールに近づくまでは、乗りかごのドアを閉状態のままにしておいてもよい。これは、無駄に電気を消費することを回避できるというエコロジーの観点から好ましいことはもとより、ユーザに対してよりドアマンのような振る舞いを提供することができるという利点もある。
或いは、乗りかご内又はエレベータホールの近傍にビーコンを備え、ユーザが携帯しているスマートフォンから発信される電波をビーコンが受信した場合に、乗りかごのドアを開状態としてもよい。
【0078】
ところで、ホテルなどの宿泊施設のエレベータには、セキュリティ対策等の観点から、1階でカードキーを乗りかごのドア近傍に設けられているセンサに翳すなどしないと、エレベータの乗りかごのドアが開かなかったり、乗りかごのドアが開いても1階でカードキーを乗りかご内に設けられているセンサに翳すなどしないと、行先階ボタンを押下しても反応しなかったりするカードロックシステムが採用されているものがある。
【0079】
近年、同様のシステムが、マンションでも導入されつつある。この場合にもドアマンのような振る舞いをさせられるようにするにはひと工夫必要である。前者の場合、例えば、乗りかご内に制御ユニット200を設けておき、ユーザが1階から乗りかごに乗ろうとする際に、制御ユニット200が1階ボタンを押下することで、乗りかごをドアを開状態にすればよい。或いは、乗りかごが呼出階へ到着後は、開ボタンを押下することで乗りかごのドアを開状態にすればよい。後者の場合、乗りかごのドアを開状態にするためにはセキュリティチェック自体は不要であるので、上記と同じ要領で乗りかごのドアを開状態にすればよい。
【0080】
同様の観点から、例えば、マンションにおけるエレベータの場合には、ユーザが所有する鍵にGPSなどの位置検知センサを設けておき、ユーザが帰宅時などマンション近くに到来したことを検知した場合には、エレベータを1階などエントランス階まで呼出し、待機させることも一法である。このためには、1階に設置されている制御ユニット200が、呼出要求とともに受信したユーザの自宅階を示す情報に基づいて、当該自宅階の制御ユニット200に対して、呼びボタン130,140の押下するように指示すればよい。
【0081】
2つ目は、デパートなどの商業施設におけるエレベータガールのような振る舞いをさせるというものである。具体的には、呼出要求を行ったユーザが乗りかごに乗ると、あたかもエレベータガールが行先階ボタンを押下してくれるかのような制御を行う。すなわち、ユーザが行き先階ボタンを能動的に押さなくても、予め登録されている自宅階又は1階に向けて移動させるという自動行先階制御である。
【0082】
これを実現するためには、ユーザが「呼出」ボタンを押下したことを遠隔制御装置300が検知すると、遠隔制御装置300は、自装置に登録されている自宅階を示す情報を付加して送信する。これは、通常、ユーザが現在いる階に設置されている制御ユニット200が受信することになろう。
【0083】
仮に、ユーザが1階にいる場合に「呼出」ボタンを押下すると、通常、無線回線の電波強度の強さを考慮すると、1階に設置されている制御ユニット200が受信することになろう。したがって、1階に設置されている制御ユニット200が、呼出要求とともに受信したユーザの自宅階を示す情報に基づいて、乗りかごの行先を指示するなどの制御をすればよい。
【0084】
図1に示すように、制御ユニット200をハードウェア的に実現する場合には、乗りかごにユーザが乗った後に、1階に設置されている制御ユニット200が、呼出要求とともに受信したユーザの自宅階を示す情報に基づいて、当該自宅階の制御ユニット200に対して、呼びボタン130,140の押下するように指示すればよい。
【0085】
ただ、この場合には、通常、乗りかご内に行先階のインジケータが表示しないので、ユーザに対して乗りかごが自宅階に向かっていることを報知するために、乗りかご内に制御ユニット200を設けている場合には、制御ユニット200に行先階を表示する表示部を設けるとよい。乗りかご内に制御ユニット200を設けていない場合には、スマートフォンのアプリケーションプログラムを通じて行先階をスマートフォンのディスプレイに表示したり、スマートフォンのマイクロフォンから音声出力したり、スマートフォン自体を振動させたりすることで報知するとよい。
【0086】
なお、制御ユニット200は、乗りかごにユーザが乗ったことを確認した場合には、ユーザが閉ボタンを押下した場合と同様の制御を、制御ユニット200で行うことで、早閉めを実現してもよい。
【0087】
もっとも、例えば、5階が自室階であるユーザが、3階に自室がある友人宅に訪問するといった場合もあろう。したがって、このような場合に対応できるように、ユーザが乗りかご内で3階ボタンを押下した場合には、乗りかごを3階まで移動してから停止させて、ドアを開状態とするとよい。
【0088】
3つ目は、エレベータの扉を早閉めすることである。乗りかごに乗っていた全てのユーザが乗りかごから降りたにもかかわらず、一定期間、不可避的にエレベータの扉が閉まらないという制御がされることが通例である。しかし、このような制御は、ユーザに対して無駄な待ち時間と与えることになり、ユーザの不満にもつながるので対策を講じることが必要である。一方で、特に1階では他階の場合に比して、下降中の乗りかごの到来を待機する人が居る場合が多く想定され、その場合には、乗りかごに新たに乗り込むユーザがいる場合が多いので、その点は考慮する必要はある。
【0089】
このような実情を考慮して、例えば、乗りかごに重量センサを設けて置き、ユーザが乗りかごが降りたことを重量センサのセンシング結果によって検知した場合に、その後1秒程度経過しても重量センサのセンシング結果に別のユーザが乗り込んでいたならば生じるであろう変化が見られない場合には、その後に、扉が閉じるまでに他のユーザが乗りかごに乗り込むことは稀であるといえるので、早閉めを行えばよい。また、重量センサに代えて、乗りかご内に撮像手段を設けて、その撮像結果に基づいて早閉めを行ったり、扉の近傍に赤外線センサ又は光電変換センサなどを設けて、当該センサの出力結果に基づいて早閉めを実現したりしてもよい。
【0090】
さらに、遠隔制御装置300がユーザの自宅の玄関・廊下・リビングなどに据置可能な専用端末等の場合には、ユーザによるジェスチャーを検知する検知手段と、前記検知手段によって検知されたジェスチャーと事前に登録されている前記呼出要求を示すデータとを対比する対比手段と、前記対比手段によって前記ジェスチャーが前記呼出要求を示すデータに対応する場合に前記乗りかごの呼出要求を行う要求手段とを備えることも一法である。これらを備えると、ユーザの両手がふさがっていて、呼出ボタンを押下しにくい状況でも、呼出要求を行うことができるという利点がある。乗りかごの呼出要求を行う場合のジェスチャーの一例としては、玄関先におかれている鍵をとる、靴を履く、靴べらを取る、下駄箱の扉を開けるなどが挙げられる。したがって、この場合には、これらのいずれかのジェスチャーがされた場合に、遠隔制御装置300が乗りかごの呼出を行えるようになる。
【0091】
なお、遠隔制御システム本体の利用ログが利用時刻を示す情報とともに格納される格納媒体を備えてもよい。これにより、ユーザのエレベータの利用状況が把握できるビッグデータを取得することが可能となるし、ユーザが本システムによるサービス利用の開始/終了の管理も容易となる。
【0092】
なお、制御ユニット200は、予め、本実施形態の遠隔制御システムの管理サーバなどに呼出希望階を示す情報をスマートフォンから送信しておき、呼出要求を受けたタイミングで管理サーバなどに問合せすることで取得してもよいし、他の方法によって取得してもよい。
【0093】
(実施形態2)
図3は、集合住宅の自動ドアに付帯して設置される自動ドア開錠制御装置420を備える遠隔制御システムの模式的な構成図である。
図3には、自動ドアの一部を構成する左ドア430及び右ドア440と、自動ドアの開錠の契機となる検知エリアでの自動ドア開錠制御装置420の変化を検知する検知手段410と、検知手段410の検知エリア内に配置されていて図示しない遠隔制御装置によって自動ドアの外側から開錠指示がされた場合に変化する自動ドア開錠制御装置420とを示している。
【0094】
図4は、
図3に示す自動ドア開錠制御装置420の模式的な内部構成を示すブロック図である。自動ドア開錠制御装置420は、遠隔制御装置によって送信される自動ドアの開錠指示信号を受信する受信手段510と、受信手段510によって開錠指示信号が受信された場合に自動ドア開錠制御装置420本体を変化させる制御手段520とを備える。
【0095】
ここで、本実施形態では、自動ドア開錠制御装置420が検知手段410の検知エリア内に配置されている点が特徴的であるので、この点について説明する。
【0096】
まず、本実施形態に係る自動ドアは、検知手段410の検知エリア内に何らかの物体が侵入した場合、検知手段410は左ドア430及び右ドア440に付帯するモータを駆動するために検知信号を出力し、この結果、自動ドアは開錠され、左ドア430及び右ドア440は開状態となる。
【0097】
通常、ユーザが自動ドアを通じて外に出ようとした場合には、ユーザが検知手段410の検知エリア内に侵入したことを契機に、自動ドアは開錠され、左ドア430及び右ドア440は開状態となり、その議に、ユーザが自動ドアを通じて外に出ると、当該ユーザが検知手段410の検知エリア外に移動するため、検知手段410の検知エリア内に動体がなくなるので、左ドア430及び右ドア440は閉状態となり、自動ドアは施錠される。
【0098】
しかし、ユーザが検知手段410の検知エリア内に侵入した後に、検知エリア内で立ち話を始めるなどして数秒から数十秒といった一定時間静止していると、厳密には、検知手段410が検知エリア内に動体がないと判別されると、検知手段410は検知信号の出力を停止し、この結果、左ドア430及び右ドア440は閉状態となり、自動ドアは施錠される。もっとも、この場合でも、ユーザが検知エリア内で動けば、自動ドアは開錠され、左ドア430及び右ドア440は開状態となる。
【0099】
本実施形態では、検知手段410の検知エリア内で通常時に静体として機能している自動ドア開錠制御装置420を、受信手段510によって開錠指示信号が受信された場合に、制御手段520によって自動ドア開錠制御装置420を動体として機能させるように変化させている。こうすると、自動ドアの外側にいるユーザの指示に従って、遠隔制御装置から開錠指示信号を送信すれば、ユーザは自動ドアをスムーズに通過することが可能となる。
【0100】
自動ドア開錠制御装置420を動体として機能させるためには、自動ドア開錠制御装置420に対して例えば電気的な動力を与えて、位置を変位させることが考えられる。一例をあげると、自動ドア開錠制御装置420は、モータと、モータを駆動させる動力源と、モータに連結されている可動体とによって構成することができる。
【0101】
この他にも、検知手段410で受信する、光波、電波又は音波の物理量を変化させることも挙げられる。光波等の物理量を変化させるためには、波長、振幅、波形、出射方向のいずれかなどを変化させればよい。
【0102】
(実施形態3)
本実施形態では、ECサイトなどを通じた宅配サービスなどを利用した際に、配達員によって行われる荷物の配送に好適な遠隔制御システムについて説明する。
【0103】
近年、その利便性などに鑑みて、宅配サービスの利用が増加しているが、必ずしも配送時にユーザが自宅にいるとは限らない。この場合、マンションに宅配ボックスが設置されていれば、配送員は、荷物を宅配ボックスに預けるということも可能となるが、そうでなければ、或いは、宅配ボックスがすべて使用中で埋まっていれば、再配達することを強いられる。
【0104】
また、ユーザが不在時でもユーザの自宅玄関前等、ユーザの指定する場所に荷物を置いていく置き配の利用も増えてきているが、オートロックが採用されているマンションにおいては、オートロックの解除を配達員が行うことに支障があり、ユーザの自宅玄関前まで配達員が到達することが困難であるため、置き配の普及は限定的である。
【0105】
荷物の再配達は、配送業者にとってはコストアップにつながるし、ドライバーにとっては労働条件の悪化につながるし、エコロジーの観点からも好ましくない。そこで、本実施形態の遠隔制御システムは、再配達を不要とするものである。
【0106】
本実施形態の遠隔制御システムは、実施形態2等における遠隔制御装置として機能する配達員が持つスマートフォンと、このスマートフォンとの間でオートロックの開錠制御を実現するサーバと、を含む。このスマートフォンには、以下説明する動作を実現可能なアプリケーションソフトウェアをインストールしておくとともに、このアプリケーションソフトウェアを通じてサーバにアクセスしてオートロックの開錠要求を行うための認証に必要はログインID・パスワードなどの設定をしておく。もっとも、ここでいうスマートフォンは遠隔制御装置のハードウェアとしての一例であって、バーコードリーダ機能を有する専用端末を用いてもよい。
【0107】
また、荷物の集荷時に配送先・配送元などの情報を記載する配送伝票には、固有のQRコードなどの二次元バーコード或いは一次元バーコードを印字しておくとともに、サーバには当該QRコード等に対応する情報と配送先を示す情報とを紐づけて格納しておく。さらに、サーバには、本実施形態の遠隔制御システムのユーザが所有する遠隔制御装置の情報を格納しておく。
【0108】
なお、本遠隔制御システムのユーザは、配送員が再配達することなく、自宅前に荷物を届けることに同意した者をいう。ユーザは、ECサイトなどを通じて当該同意をしてもよいし、サーバに対して直接的に同意をしてもよい(実務的には、通常、本遠隔制御システムの管理者に対して、本遠隔制御システムの利用を同意し、当該管理者がサーバにユーザの情報を登録することになろう。)。
【0109】
つぎに、本実施形態の遠隔制御システムの動作について説明する。ここでは、配達員が荷物の配送をしようと荷物の配送先に伺った際に、本遠隔制御システムのユーザである受取人が不在であった場合を例に説明する。
【0110】
この場合には、配送員は、上記アプリケーションソフトウェアを起動させる。このアプリケーションソフトウェアは、スマートフォンに設けられているカメラソフトウェアを起動させる機能を備えている。このため、配達員がスマートフォンのカメラを通じて、上記QRコード等を撮影することが可能となる。専用端末の場合には、そのバーコードリーダ機能によって上記QRコード等を撮影することが可能となる。
【0111】
撮影されたQRコード等に対応する情報は、上記ログインIDとともに、スマートフォン又は専用端末の通信機能によって、サーバに対して、オートロックの開錠要求として送信される。サーバでは、QRコード等に対応する情報等を受信すると、格納されている各種情報を参照して、照合の可否を判断する。
【0112】
したがって、配送者以外の者がなりすましなどによる不正にサーバにアクセスした場合、又は、配送者が正当にサーバにアクセスした場合であっても受取人が本遠隔制御システムのユーザでない場合(当該ユーザが自宅前に荷物を届けることに同意した者でない場合)には、不当な解除要求であるとみなして、以下説明するオートロックの開錠制御は行わない。
【0113】
この例では、オートロックの正当な開錠要求であると判断されるため、サーバから自動ドア開錠制御装置420等に対して、遠隔開錠制御がなされる。このため、配送者は、自動ドアを通って、受取人の自宅前まで進むことができ、荷物をそこに置くことが可能となる。なお、配送者からサーバへのオートロックの開錠要求がされると、サーバは、これに対応する情報にフラグをたてることとし、上記照合の際にフラグの有無を検知することにすれば、1回目の開錠要求にのみ応じるというワンタイム制御も可能となる。
【0114】
なお、本実施形態の遠隔制御システムは、 サーバから自動ドア開錠制御装置420等に対して、オートロックの遠隔開錠制御がなされる例について説明したが、遠隔開錠制御自体はこの手法に限定されるものではない。例えば、自動ドア開錠制御装置420等の種別にもよるが、来訪者が部屋番号を入力して呼出するタイプの自動ドア開錠制御装置の場合には、更なるセキュリティ強化のため、サーバから自動ドア開錠制御装置と配送者のスマートフォン等とに対して共通のパスコードを発行し、配送者に当該パスコードを自動ドア開錠制御装置に対して入力させ、自動ドア開錠制御装置において、サーバから送信されたパスコードと配送者から入力されるパスコードとが一致した場合にオートロックを開錠するという制御も可能である。
【0115】
以上説明したように、本発明の各実施形態の遠隔制御システムによれば、集合住宅などの大規模施設内又はその付近における、ユーザの利便性を高めることができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の自動ドアの開錠の契機となる検知エリアに設置される自動ドア開錠制御装置において、
前記自動ドアの外側から遠隔で開錠指示を行う遠隔制御装置によって送信される当該自動ドアの開錠指示信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって開錠指示信号が受信された場合に自動ドア開錠制御装置本体を動体として機能させるように変化させる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記検知エリア内で通常時に静体として機能している自動ドア開錠制御装置を、前記受信手段によって開錠指示信号が受信された場合に、当該自動ドア開錠制御装置を動体として機能させるように変化させる、自動ドア開錠制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、モータと、前記モータを駆動させる動力源と、前記モータに連結されている可動体と、を備える請求項1記載の自動ドア開錠制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動ドア開錠制御装置と、
前記自動ドア開錠制御装置に対して遠隔開錠制御を行うサーバと、
を有し、
前記サーバは、
荷物の配送伝票情報と配送先情報とを紐付けて格納する格納手段と、
荷物の配達伝票情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された配送伝票情報に紐付けられた配送先情報に対応する自動ドア開錠制御装置の開錠制御を行う開錠制御手段と、を備える、
遠隔制御システム。
【請求項4】
前記サーバに対して遠隔で行う遠隔制御装置を備える、請求項3記載の遠隔制御システム。
【請求項5】
請求項1記載の自動ドア開錠制御装置の遠隔開錠制御を行うための認証に必要な情報を、荷物の配送伝票情報と配送先情報とが紐付けて格納され、前記荷物の配達伝票情報を受信して当該配送伝票情報に紐付けられた配送先情報に対応する自動ドア開錠制御装置の開錠制御を行うサーバにアクセスして設定する設定機能と、
前記配送伝票情報を前記設定機能によって設定した情報とともに前記サーバに送信する送信機能と、
を遠隔制御装置に実現させる遠隔制御用プログラム。
【請求項6】
前記サーバから返信される前記自動ドア開錠制御装置に入力する開錠用のパスコードを受信する受信機能を、前記遠隔制御装置に実現させる請求項5記載の遠隔制御用プログラム。