(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023157
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】好酸球レベルを低下させる方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220131BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220131BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220131BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220131BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220131BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220131BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P11/00
A61P11/06
A61P37/08
A61K39/395 U
A61P43/00 111
C07K16/28
C12P21/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172302
(22)【出願日】2021-10-21
(62)【分割の表示】P 2019129029の分割
【原出願日】2008-05-14
(31)【優先権主張番号】60/924,422
(32)【優先日】2007-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/924,832
(32)【優先日】2007-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/935,005
(32)【優先日】2007-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/064,612
(32)【優先日】2008-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】300022641
【氏名又は名称】アストラゼネカ アクチボラグ
(71)【出願人】
【識別番号】000001029
【氏名又は名称】協和キリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(72)【発明者】
【氏名】小池 正道
(72)【発明者】
【氏名】スピッタルニー,ジョージ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー,アリステア
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,バーバラ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB17
4C085BB42
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】好酸球介在疾患および障害に対する安全および効果的な治療法を提供する。
【解決手段】ヒト被験体で好酸球の数を減少させる方法であって、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子を該被験体に投与することを含む方法を使用する。具体的な実施形態では、本発明の方法は、血液、骨髄、消化管(例えば、食道、胃、小腸および大腸)、または肺中の好酸球の数を減少させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト被験体で好酸球の数を減少させる方法であって、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記IL-5R結合分子が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体がキメラ抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体がヒト抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記IL-5Rに特異的に結合する領域がIL-5、またはその断片、置換体、もしくは誘導体のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記IL-5Rに特異的に結合する領域がIL-5の非機能的な変異体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記IL-5R結合分子がIL-5Rα鎖に特異的に結合する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記免疫グロブリンFc領域がエフェクター機能を増大するように改変されている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫グロブリンFc領域が低減したレベルのフコースを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記免疫グロブリンFc領域がフコースを含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫グロブリンFc領域がエフェクター機能の増大をもたらすアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記アミノ酸置換がFc領域における以下アミノ酸配列:332E、239Dおよび330L(カバットによるEUインデックスにより番号付けられた)の包含を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記好酸球の減少が末梢血循環で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
好酸球の数を50好酸球/mm3未満のレベルに減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
好酸球の減少が投与から48時間以内に起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
好酸球の減少が投与から24時間以内に起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
好酸球の減少が可逆的である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約25好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約50好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約75好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約100好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約125好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約150好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約175好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約200好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約225好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約250好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約275好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約300好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約325好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約350好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約375好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約400好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約425好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約450好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約475好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約500好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約500好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
好酸球の絶対数の投与後の減少が約75~約250好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
好酸球の絶対数の投与後の減少が約100~約200好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約250好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約200好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約150好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
投与後の好酸球の絶対数が約100好酸球/mm3未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
投与後の好酸球の絶対数が約75好酸球/mm3未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
投与後の好酸球の絶対数が約50好酸球/mm3未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
投与後の好酸球の絶対数が約25好酸球/mm3未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約50~約500好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約75~約475好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約75~約200好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約100~約200好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約25好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約50好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約75好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約100好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約125好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約150好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約175好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約200好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約225好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約250好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約275好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約300好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約325好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約350好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約375好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約400好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約425好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約450好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約475好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約500好酸球/mm3である、請求項1に記載の方法。
【請求項74】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約5好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約10好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約15好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約20好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約25好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約30好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約35好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約40好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約45好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約50好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約55好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約60好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約65好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約70好塩基球/mm3減少する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が0~約10好塩基球/mm3である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約2好塩基球/mm3である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約5好塩基球/mm3である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約7好塩基球/mm3である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約9好塩基球/mm3である、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
好塩基球の減少が投与後48時間以内に起こる、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
好塩基球の減少が投与後24時間以内に起こる、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記IL-5R結合分子が約0.001~約100mg/kgの用量で前記被験体に投与される、請求項1~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記用量が約0.03mg/kgである、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記用量が0.03mg/kgである、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記IL-5R結合分子が非経口的に投与される、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記IL-5R結合分子が静脈内に投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
IL-5R結合分子がMEDI-563ではない、請求項1~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記好酸球の減少が喘息症状の減少をもたらす、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記好酸球の減少がCOPD症状の減少をもたらす、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト被験体で好酸球レベルを低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
好酸球は、アレルギー性疾患を含む様々な疾患に結びつけられており、慢性の気管支喘息およびアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の罹患の発生に重要な役割を果たすと考えられている[Adv. Immunol., 39, 177(1986)、Immunol. Today, 13, 501(1992)]。上記疾患に加えて、好酸球はまた、過好酸球増加症、好酸球性胃腸炎(eosinophilic enterogastritis)、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫および木村病などの、一般に好酸球増加症状群(HES)といわれる疾患に関連付けられている[Ann. Intern. Med., 97, 78(1982)]。
【0003】
好酸球性肉芽腫は、溶骨性および局所的である非腫瘍性の突発性の病変であり、明らかに組織の過好酸球増加症と関連していることが知られている[U.S. Armed Forces Med. J., 2, 1085(1951)]。日本での骨腫瘍患者の登録によれば(1972-1984)、404人の骨腫瘍患者のうち379人(93.8%)が、好酸球性肉芽腫を患っていた。初期の好酸球性肉芽腫は、主に好酸球および組織球を含み、進行期の肉芽腫は、線維症を含み、または肺線維症に進行し得る。したがって、アレルギーなどの炎症性疾患に加えて、好酸球は他の様々な疾患を引き起こす恐れがある。
【0004】
サイトカインファミリーのメンバーである、インターロイキン-5(以下IL-5という)、インターロイキン-3(以下IL-3という)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(以下GM-CSFという)は、好酸球の分化、増殖および活性化の調節に関与している。これらのサイトカインのうち、IL-5は、好酸球に特異的に作用しかつ終末分化を特異的に誘導することが知られている[Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 2288(1988)]。
【0005】
インビトロで、IL-3および/またはGM-CSFは、好酸球を活性化し、またはそれらの生存を延長させることができる[J. Clin. Invest., 81, 1986(1988)]。さらに、IL-3および/またはGM-CSFはまた、骨髄幹細胞からの未成熟な好酸球の誘導に主に作用する[Blood, 76, 1956(1990)]。その上、エオタキシンおよびRANTES(regulated on activation of normal T-cell expressed and secreted)などのケモカインは、炎症部位への好酸球の走化性を誘導する[Clin. Exp. Allergy, 26, 1005(1996)]。幹細胞因子(以下SCFという)は、アレルギー性気管支炎での好酸球の蓄積に関与している。IL-5に加えて、好酸球の機能に影響する多くの因子がある。
【0006】
好酸球は、正密度の(normodense)好酸球および低密度の好酸球のサブグループに分けられる。好酸球は、活性化を受けて低密度の好酸球になることが示されている[Immunology, 47, 531(1982)]。低密度の好酸球はまた、活性化した好酸球ともいわれる。HES患者の末梢血の好酸球で、定量的な変化に加えて定性的な変化が起こっているということが報告されている[Clin. Exp. Immunol., 24, 423(1976)]。活性化した好酸球は、HES症状の重症度に結びつけられている[Am. J. Cardiol., 52, 321(1983)]。HES患者以外に、活性化した好酸球はまた、末梢血、および気管支喘息を伴う患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)で見つかっている[Am. Rev. Respir. Dis, 132, 981(1985)]。サイトカインのものなどの様々な受容体が、活性化した好酸球(低密度の好酸球)で発現している[J. Immunol., 142, 4416(1989)]。正密度の好酸球と比べて、これらの低密度の好酸球は、IL-5に対して高い感受性を示す[Clin. Exp. Immunol., 85, 312(1991);J. Exp. Med., 172, 1347(1990)]。
【0007】
上述した活性化した好酸球はまた、好酸球の分化および増殖を誘導するサイトカインなしにインビトロで生存することが知られている[J. Exp. Med., 170, 343(1989)]。このように、活性化した好酸球の特性は、肺胞などの組織に浸潤する好酸球のものと似ている[Int. Arch. Allergy Immunol., 120, 91(1999)]。なぜ活性化した好酸球がサイトカイン非依存性になるのかについての詳細な説明は未知のままであるが、しかしながら、それらの脱顆粒および延長された生存は、IL-5以外の様々な生命の機能的な分子により誘導されるようである。
【0008】
好酸球の分化または増殖に関与するサイトカインまたはケモカインの阻害活性を有する物質は、好酸球の機能を阻害する物質であると考えられている。しかしながら、多くの場合これらの物質は、活性化されかつ炎症領域に浸潤しているサイトカイン非依存性の好酸球には作用しない。したがって、好酸球特異的阻害および活性化した好酸球の細胞死の誘導が、任意の好酸球の機能を阻害するのに必要である。しかしながら、今までのところ、活性化した好酸球のアポトーシスを誘導することが知られている抗炎症剤はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Adv. Immunol., 39, 177(1986)、Immunol. Today, 13, 501(1992)
【非特許文献2】Ann. Intern. Med., 97, 78(1982)
【非特許文献3】U.S. Armed Forces Med. J., 2, 1085(1951)
【非特許文献4】Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 2288(1988)
【非特許文献5】J. Clin. Invest., 81, 1986(1988)
【非特許文献6】Blood, 76, 1956(1990)
【非特許文献7】Clin. Exp. Allergy, 26, 1005(1996)
【非特許文献8】Immunology, 47, 531(1982)
【非特許文献9】Clin. Exp. Immunol., 24, 423(1976)
【非特許文献10】Am. J. Cardiol., 52, 321(1983)
【非特許文献11】Am. Rev. Respir. Dis, 132, 981(1985)
【非特許文献12】J. Immunol., 142, 4416(1989)
【非特許文献13】Clin. Exp. Immunol., 85, 312(1991);J. Exp. Med., 172, 1347(1990)
【非特許文献14】J. Exp. Med., 170, 343(1989)
【非特許文献15】Int. Arch. Allergy Immunol., 120, 91(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在、好酸球の疾患を伴う患者の治療は、ステロイドの投与からなる。しかしながら、ステロイド投与は、副作用を伴うことが多い。特に、そのような治療は、ステロイド投与を中断すると患者の病理学的状態が元の状態に戻る可能性があり、またステロイド投与の延長はステロイド耐性を誘導し得るといういくつかの他の問題を有している。したがって、好酸球介在疾患および障害に対する安全および効果的な治療の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ヒト被験体で好酸球の数を減少させる方法を提供し、この方法は、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子を前記患者に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】血清好酸球カチオン性タンパク質(ECP)の減少を示す図である。ECPは、好酸球により産生されるマーカーである。患者コホート1において、このECPレベルの低下は、
図1において観察される好酸球の減少を示している。y軸はECPレベル(ng/ml)を示し、x軸は時間(日)を示す。
【
図2】可逆的な末梢好塩基球の減少を示す図である。循環好塩基球を、患者のコホート1において測定した。y軸は好塩基球の総数(好塩基球/mm
3)を示し、x軸は時間(日)を示す。投与24時間後、末梢における好塩基球の急激な減少が観察された。
【
図3】ベースラインにおいて、好酸球減少症を有する被験体のhsCRP(高感度c反応性タンパク質)の(可逆的)増加を示す図である。患者コホート1においてこのマーカーを測定することにより、IL-5Rを発現する細胞に対する予測免疫媒介反応が生じていることが実証される。y軸は、hsCRPのレベル(mg/dl)を示し、x軸は時間(日)を示す。
【
図4】血清IL-6における最小の増加を示す図である。患者コホート1におけるIL-6サイトカインの測定を示す。y軸はIL-6のレベル(pg/ml)を示し、x軸は時間(時間)を示す。
【
図5】循環好中球の種々の減少を示す図である。患者コホート1における好中球のレベルを測定し、両方のパネルに要約する。
【
図6】循環リンパ球の種々の減少を示す図である。患者コホート1におけるリンパ球のレベルを測定し、両方のパネルに要約する。
【
図7】1日目の%NKの一貫した軽度の減少を示す図である。NK細胞のレベルを、患者コホート1において治療前、投与後1日目および投与後28日目に測定した。
【
図8】ベースラインが比較的高い被験体におけるFE
NOの減少を表す図である。患者コホート1における呼気中の酸化窒素の分画を測定した。このアッセイは、肺の炎症の非侵襲的測定であり、データは炎症の減少傾向を示している。
【
図9A】インビトロの細胞毒性アッセイを示す図である。MEDI-563を、IL-5Rに結合しない対照抗体(A)、およびフコシル化MEDI-563のさらなる対照(B)と比較した、インビトロの細胞毒性アッセイにおいて検査した。KC1333エフェクター細胞を、CTLL2標的細胞に対して5:1の割合で使用した。細胞毒性を4時間目に測定した。Y軸は細胞毒性パーセントの測定値であり、X軸は抗体の濃度である。
【
図9B】インビトロの細胞毒性アッセイを示す図である。MEDI-563を、IL-5Rに結合しない対照抗体(A)、およびフコシル化MEDI-563のさらなる対照(B)と比較した、インビトロの細胞毒性アッセイにおいて検査した。KC1333エフェクター細胞を、CTLL2標的細胞に対して5:1の割合で使用した。細胞毒性を4時間目に測定した。Y軸は細胞毒性パーセントの測定値であり、X軸は抗体の濃度である。
【
図10】MEDI-563とrhuIL-5Rαとの結合を示した図である。MEDI-563の、組換えヒトIL-5Rαに対する結合親和性を、3つの個別の実験において表面プラズモン共鳴により測定し、この図に要約する。
【
図11】MEDI-563とrhuFcγRとの結合を示した図である。MEDI-563の、いくつかの異なるロットの組換えヒトFcγRに対する結合親和性を、アイソタイプの一致したフコシル化対照抗体と比較して測定し、この図に要約する。MEDI-563が、huFcyRIIIaおよびmuFcyRIVに対して5~10倍高い親和性で結合することに留意されたい。
【
図12】IL-9tgマウス肺におけるIL-5Rαの発現を、免疫組織化学法によって分析し、可視化した図である。
【
図13】鼻ポリープにおけるIL-5Rαの発現を、MEDI-563を使用して免疫組織化学法によって分析し、視覚化した図である。MEDI-563は、鼻ポリープ中のすべての好酸球を染色している。
【
図14】被験体における最小一過性好中球減少症を示す図である。好中球の絶対数を、コホート1の被験体において計数し、この図に要約する。Y軸は好中球数(好中球/mm
3)を示し、X軸は時間を日数で示す。
【
図15】健康なドナーの全血においてMEDI-563が好酸球に結合することを示した図である。フローサイトメトリー分析を、本明細書の実施例6に記載のように、全血試料について実施した。3つのパネルのデータ、特に「MEDI-563がEosと結合する」と題した3番目のパネルは、MEDI-563が好酸球に結合したことをFACSにより実証する。
【
図16A】IL-5トランスジェニックマウス由来の白血球のFACS分析を示す図である。フローサイトメトリー分析を、実施例7に記載のように、IL-5トランスジェニックマウス由来の白血球について実施した。
図16Aは、SiglecF+CCR3+好酸球のFACS分析を示す。
【
図16B】IL-5トランスジェニックマウス由来の白血球のFACS分析を示す図である。フローサイトメトリー分析を、実施例7に記載のように、IL-5トランスジェニックマウス由来の白血球について実施した。
図16Bは、骨髄、脾臓、血液および肺の中のすべての好酸球(SiglecF+CCR3+)が、IL-5Rα+を発現することを、抗IL-5Rα mAb H7を使用して実証している。
【
図17A】インビトロADCCアッセイにおいて、MEDI-563が骨髄由来のIL-5Ra陽性単核細胞を減少させることを示す図である。単離した非接着性骨髄単核細胞を、MEDI-563またはアイソタイプ対照抗体(R347)に、CFSEにより染色したエフェクター細胞の存在下で曝露した。IL-5Ra陽性細胞を、KM1257抗体/PE標識ヤギ抗Mu IgGにより可視化した。試料の対照染色を、1A7アイソタイプ対照抗体/PE標識ヤギ抗Mu IgGを使用して実施した。MEDI-563またはR347により媒介された減少の後の、試料細胞集団の染色プロファイルは、KM1257/PE対CFSEまたは1A7/PE対CFSEのドットプロットとして表示する。MEDI-563およびR347により処理された試料に関して得られたKM1257/PE対CFSEのドットプロットの比較により、MEDI-563媒介ADCCが、試料由来の、すべてのIL-5Ra陽性細胞を実質的に減少させることが明らかになる。
【
図17B】インビトロADCCアッセイにおいて、MEDI-563が骨髄由来のIL-5Ra陽性単核細胞を減少させることを示す図である。単離した非接着性骨髄単核細胞を、MEDI-563またはアイソタイプ対照抗体(R347)に、CFSEにより染色したエフェクター細胞の存在下で曝露した。IL-5Ra陽性細胞を、KM1257抗体/PE標識ヤギ抗Mu IgGにより可視化した。試料の対照染色を、1A7アイソタイプ対照抗体/PE標識ヤギ抗Mu IgGを使用して実施した。MEDI-563またはR347により媒介された減少の後の、試料細胞集団の染色プロファイルは、KM1257/PE対CFSEまたは1A7/PE対CFSEのドットプロットとして表示する。MEDI-563およびR347により処理された試料に関して得られたKM1257/PE対CFSEのドットプロットの比較により、MEDI-563媒介ADCCが、試料由来の、すべてのIL-5Ra陽性細胞を実質的に減少させることが明らかになる。
【
図18A】軽症の喘息患者において、MEDI-563が末梢血好酸球を可逆的に減少させることを示す図である。軽症のアトピー性喘息を有する6例のボランティアに、(A)0.03mg/kgまたは(B)0.1mg/kgのMEDI-563の静脈内単回投与を施した。末梢血好酸球は、フローサイトメトリーにより、スクリーニング時、投与前の0日目、および84日目までの一定間隔および追跡において計数した。y軸は、好酸球数(好酸球/mm
3)を示し、x軸は時間(日)を示す。末梢における好酸球の急激な減少が、投与後24時間で観察された。MEDI-563誘導性好酸球減少症は、可逆性であった。
【
図18B】軽症の喘息患者において、MEDI-563が末梢血好酸球を可逆的に減少させることを示す図である。軽症のアトピー性喘息を有する6例のボランティアに、(A)0.03mg/kgまたは(B)0.1mg/kgのMEDI-563の静脈内単回投与を施した。末梢血好酸球は、フローサイトメトリーにより、スクリーニング時、投与前の0日目、および84日目までの一定間隔および追跡において計数した。y軸は、好酸球数(好酸球/mm
3)を示し、x軸は時間(日)を示す。末梢における好酸球の急激な減少が、投与後24時間で観察された。MEDI-563誘導性好酸球減少症は、可逆性であった。
【
図19】IL-5Rαが、正常ヒト肺においてすべての好酸球で発現することを、MEDI-563を使用した免疫組織化学法によって分析し、可視化した図である。
【
図20】IL-5Rαが、ヒト喘息患者由来の肺生検においてすべての好酸球に発現することを、MEDI-563を使用した免疫組織化学法によって分析し、可視化した図である。
【
図21】健康なドナーから単離した初代好塩基球および好酸球によるIL-5Rαの発現を、フローサイトメトリーを介して分析した図である。抗IL5Rα抗体であるMEDI-563および無関係な特異性のアイソタイプ対照抗体を使用して得た染色プロファイルを示し、CTLLh5r細胞(IL-5Rα/βトランスフェクト腫瘍細胞)は陽性対照として機能する。
【
図22】インビトロの抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)アッセイを示す図である。非フコシル化およびフコシル化されたMEDI-563の活性を、インビトロのADCCアッセイで比較した。単離された初代NK細胞および好酸球を、それぞれエフェクターおよび標的細胞として、5:1の割合で使用した。このアッセイを、1ng/mlのヒトIL-2の存在下で実施した。細胞死を、アネキシンV染色に基づいて、フローサイトメトリーにより評価した。Y軸およびX軸は、それぞれ最大細胞毒性パーセントおよび抗体濃度を表す。非フコシル化MEDI-563抗体に関するEC
50値は、0.965pMであった。
【
図23】インビトロの抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)アッセイを示す図である。非フコシル化MEDI-563の活性を、インビトロのADCCアッセイで分析した。単離された初代NK細胞および好塩基球を、それぞれエフェクター細胞および標的細胞として使用した。Y軸およびX軸は、それぞれ最大細胞毒性パーセントおよび抗体濃度を表す。このアッセイにおいて非フコシル化MEDI-563抗体に関するEC
50値は、0.561pMであった。
【
図24】インビトロの抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)アッセイにおける好酸球脱顆粒を示す図である。好酸球によるEDN(好酸球由来神経毒)の放出を、様々なレベルのフコシル化(MEDI-563F)および非フコシル化(MEDI-563)の抗IL5Rα抗体を使用して、インビトロのADCCアッセイで分析した。このアッセイは、新たに単離された、好酸球およびNKまたはPBMC細胞を、それぞれ標的細胞およびエフェクター細胞として利用した。1%のTriton X-100を用いた処理に対する応答において検出された最大好酸球脱顆粒を比較のために示す。
【
図25A】MEDI-563が、ヒトIL-5Rαの細胞外領域のD1ドメイン内のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を一過性発現するトランスジェニック細胞の抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、「ポリクローナル」抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(A)一連のヒト-マウスキメラIL-5Rαトランスジーンを、一過性に発現させた。「ノックアウト」トランスジーンは、別のヒトバックグラウンド中の単一マウス細胞外ドメインを含む、キメラIL-5Rα構築物であった。「ノックイン」トランスジーンは、別のマウスバックグラウンド中の単一ヒト細胞外ドメインを含む、キメラIL-5Rα構築物であった。
【
図25B】MEDI-563が、ヒトIL-5Rαの細胞外領域のD1ドメイン内のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を一過性発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、「ポリクローナル」抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(B)MEDI-563は、ヒトIL-5Rαを発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。MEDI-563は、マウスIL-5Rαを発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。
【
図25C】MEDI-563が、ヒトIL-5Rαの細胞外領域のD1ドメイン内のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を一過性発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、「ポリクローナル」抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(C)MEDI-563は、マウスD1およびヒトD2~D3細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックアウトD1」)を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。MEDI-563は、ヒトバックグラウンド中のマウスD2またはD3細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックアウトD2またはD3」)を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。
【
図25D】MEDI-563が、ヒトIL-5Rαの細胞外領域のD1ドメイン内のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を一過性発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、「ポリクローナル」抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(D)MEDI-563は、ヒトD1およびマウスD2~D3細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックインD1」)を発現するトランスジェニック細胞に、特異的に結合した。MEDI-563は、ヒトD2またはD3細胞外ドメインのどちらかを含むマウスIL-5Rαに基づくキメラトランスジーン(「ノックインD2またはD3」)を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。
【
図26A】MEDI-563が、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントB中のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(A)マウスのIL-5RαのD1細胞外ドメインのアミノ酸配列は、ヒトIL-5Rαタンパク質のアミノ酸配列に対して、75%同一である。IL-5RαのD1細胞外ドメインは、セグメントA、BおよびCに分割された。示されたヒトおよびマウスのIL-5Rαのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号5および6の残基1~102である。
【
図26B】MEDI-563が、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントB中のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(B)一連のヒト-マウスキメラIL-5Rαトランスジーンを、一過性に発現させた。「ノックアウト」トランスジーンは、別のヒトバックグラウンド中にD1細胞外ドメインの単一マウスセグメントを含むキメラIL-5Rα構築物であった。「ノックイン」トランスジーンは、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンド中のD1細胞外ドメインの単一ヒトセグメントを含むキメラIL-5Rα構築物であった。
【
図26C】MEDI-563が、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントB中のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(C)MEDI-563は、ヒトD1細胞外ドメインを含む、(i)ヒトIL-5Rαトランスジーンまたは(ii)マウスIL-5Rαキメラトランスジーン(「ノックインD1」)を発現するトランスジェニック細胞を特異的に認識した。MEDI-563は、マウスD1細胞外ドメインを含む(i)マウスIL-5Rα受容体トランスジーンまたは(ii)ヒトキメラIL-5Rαトランスジーンを発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。
【
図26D】MEDI-563が、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントB中のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(D)MEDI-563は、別のヒトバックグラウンド中にD1細胞外ドメインのマウスセグメントBを含む、キメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックアウトB」)を発現するトランスジェニック細胞と結合しなかった。MEDI-563は、ヒトバックグラウンド中にD1細胞外ドメインのマウスセグメントAまたはCを含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックアウトAまたはC」)を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。
【
図26E】MEDI-563が、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントB中のエピトープに特異的に結合することを示す図である。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(E)MEDI-563は、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンド中にD1細胞外ドメインのヒトセグメントBを含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックインB」)を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。MEDI-563は、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンド中にヒトセグメントAまたはCを含んだキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックインAまたはC」)を発現するトランスジェニック細胞と結合しなかった。
【
図27A】MEDI-563が、D1細胞外ドメインのアミノ酸残基Ile61を含むヒトIL-5Rαのエピトープに特異的に結合することを示す図である。変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(A)ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインの残基50~61を示す(配列番号5の残基40~61)。イタリック体で示された残基は、マウスIL-5Rαタンパク質の対応する領域とは異なる。少なくとも1つの突然変異アミノ酸残基を含む一連のIL-5Rα受容体変異体を、トランスジェニック細胞において発現させた。「ノックアウト」IL-5Rα変異体は、ヒト残基を対応するマウス残基と交換する少なくとも1つの置換を含む突然変異ヒトタンパク質であった。例えば、「ノックアウトDE」変異体は、D56EおよびE58Dのアミノ酸置換を含むヒトIL-5Rαタンパク質である。「ノックイン」IL-5Rα変異体は、マウスD1、ヒトD2、マウスD3およびマウスTMドメインを含み、マウスD1ドメインが、マウス残基を対応するヒト残基と交換する少なくとも1つの置換を有する突然変異セグメントBを含むキメラタンパク質であった。例えば、「ノックインDE」変異体は、突然変異マウスセグメントBを含み、突然変異マウスセグメントBが、E56DおよびD58Eアミノ酸置換を含んだキメラIL-5Rαタンパク質であった。
【
図27B】MEDI-563が、D1細胞外ドメインのアミノ酸残基Ile61を含むヒトIL-5Rαのエピトープに特異的に結合することを示す図である。変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(B)MEDI-563は、K53Q、D56E、E58D、I61Kのアミノ酸置換(「ノックアウト-KDEI」)を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。MEDI-563はN40H、N42D、Q46H(「ノックアウト-NNQ」)またはD56E、E58D(「ノックアウト-DE」)またはN40H、N42D、D56E、E58D(「ノックアウト-NNDE」)のアミノ酸置換を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合する。
【
図27C】MEDI-563が、D1細胞外ドメインのアミノ酸残基Ile61を含むヒトIL-5Rαのエピトープに特異的に結合することを示す図である。変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(C)MEDI-563は、突然変異マウスセグメントBを含み、突然変異マウスセグメントBが、Q53K、E56D、D58E、K61Iのアミノ酸置換(「ノックイン-KDEI」)を含むキメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。
【
図27D】MEDI-563が、D1細胞外ドメインのアミノ酸残基Ile61を含むヒトIL-5Rαのエピトープに特異的に結合することを示す図である。変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(D)MEDI-563は、I61Kアミノ酸置換(「ノックアウト-I61」)を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。MEDI-563は、K53Qのアミノ酸置換(「ノックアウト-K53」)を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合する。
【
図27E】MEDI-563が、D1細胞外ドメインのアミノ酸残基Ile61を含むヒトIL-5Rαのエピトープに特異的に結合することを示す図である。変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞との抗体結合を、フローサイトメトリーにより確認した。蛍光染色プロファイルを示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563抗体を使用して観察された染色プロファイルを表す。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。(E)MEDI-563は、突然変異マウスセグメントBを含み、突然変異マウスセグメントBが、K61Iのアミノ酸置換(「ノックイン-I61」)を含んだキメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。MEDI-563は、突然変異マウスセグメントBを含み、突然変異マウスセグメントBが、Q53Kのアミノ酸置換(「ノックイン-K53」)を含んだキメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。
【
図28】キメラ抗マウスIL-5Rα(H7)とネズミFcγRとの結合を示す図である。キメラ抗マウスIL-5Rα(H7)の、組換えネズミFcγRに対する結合親和性を、アイソタイプ一致フコシル化対照抗体との比較として測定し、この図に要約する。解離定数は(nM)で示す。測定は、表面プラズモン共鳴により実施した。
【
図29A】(A)好酸球を、フローサイトメトリー分析により、CCR3およびSiglec-Fに対して陽性に染色された、側方散乱の高い細胞として特定した図である。
【
図29B】(B)IL-5Rは、IL-5Tgマウスの骨髄、血液、脾臓および肺組織において好酸球によって選択的に発現されたことを示す図である。
【
図30A】afucおよびfuc H7が両方とも、IL-5Tgマウスの脾臓(A)、肺組織(A)および血液(B)において、好酸球を減少させたことを示す図である。骨髄(B)における減少は検出されなかった。afuc H7は、fuc H7と比較して、特に抗体投与量が低い場合に好酸球の除去がより強かった。データは、平均±SEMとして表し、n=6~8マウス/群であった。
*は、対照IgGでの処理と比較して、抗体で処理した場合p<0.05(Mann-Whitney U検定)であったことを表す。
【
図30B】afucおよびfuc H7が両方とも、IL-5Tgマウスの脾臓(A)、肺組織(A)および血液(B)において、好酸球を減少させたことを示す図である。骨髄(B)における減少は検出されなかった。afuc H7は、fuc H7と比較して、特に抗体投与量が低い場合に好酸球の除去がより強かった。データは、平均±SEMとして表し、n=6~8マウス/群であった。
*は、対照IgGでの処理と比較して、抗体で処理した場合p<0.05(Mann-Whitney U検定)であったことを表す。
【
図31】afuc H7はさらに、アレルゲンチャレンジモデルにおいても好酸球を減少させることを示す図である。afuc H7は、気道内腔、肺組織、血液および骨髄において好酸球を減少させた。減少は、最終チャレンジの72時間後にすべての部位において最も高かった(抗体送達の96時間後)。データは、平均±SEMとして表し、n=6マウス/群であった。
*は、対照IgGでの処理と比較して、抗体で処理した場合p<0.05(Mann-Whitney U検定)であったことを表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述のように、特定の仮説または理論に縛られることなく、好酸球は多数の疾患および障害の病因に関連付けられている。これらの疾患または障害の多くは、好酸球の過多の特徴があり(過好酸球増加症)、好酸球増加症状群と称される。
【0014】
好酸球が役割を果たしている疾患および障害の非限定的な例は、喘息、免疫グロブリン(IgE)-介在食物アレルギー、好酸球性食道炎(食道の炎症)、炎症性腸疾患、COPD、アレルギー性大腸炎、胃食道逆流(astro-esophageal reflux)、好酸球性胃腸疾患(eosinophilic gastrointestinal disease)(EGID)、好酸球性胃腸炎、心内膜心筋線維症、レフラー心内膜炎、デーヴィス病、過好酸球増加症に関連した偶発性血管性浮腫、好酸球増多筋痛症状群/スペイン有毒油症状群、肝硬変、疱疹状皮膚炎、水疱性類天疱瘡、チャーグ・ストラウス症状群、急性骨髄性好酸球性白血病、急性リンパ球性好酸球性白血病、過好酸球増加症を伴う全身性肥満細胞症、アレルギー性鼻炎、湿疹、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎、好酸球性ファシキュリティス(Eosinophilic fasiculitis)および関節リウマチである。
【0015】
したがって、本発明は、ヒト被験体で好酸球の数を減少させる方法を提供し、この方法は、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子を前記患者に投与することを含む。
【0016】
一実施形態では、本発明は、ヒト被験体で好酸球の数を減少させる方法を提供し、この方法は、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子を前記患者に投与することを含む。具体的な実施形態では、本発明の方法は、血液、骨髄、消化管(例えば、食道、胃、小腸および大腸)、または肺中の好酸球の数を減少させる。別の具体的な実施形態では、本発明の方法は、血液好酸球の数を減少させる。さらに具体的な実施形態では、本発明の方法は、肺好酸球の数を減少させる。具体的な実施形態では、本発明の方法は、好酸球前駆細胞の数を減少させる。
【0017】
別の実施形態では、本発明の方法は、好酸球の数を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%減少させる。具体的な実施形態では、本発明の方法は、好酸球の数を検出限界未満に減少させる。
【0018】
別の実施形態では、本発明の方法は、好酸球前駆体の数を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%減少させる。具体的な実施形態では、本発明の方法は、好酸球前駆体の数を検出限界未満に減少させる。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明の方法は、IL-5R結合分子の単回投与後に、すべての検出可能な好酸球を除去する。具体的な実施形態では、IL-5R結合分子の単回投与は、すべての検出可能な好酸球を少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約14週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、または少なくとも約25週間除去する。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明の方法は、IL-5R結合分子の単回投与後に、すべての検出可能な好酸球前駆体を除去する。具体的な実施形態では、IL-5R結合分子の単回投与は、すべての検出可能な好酸球前駆体を少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約14週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、または少なくとも約25週間除去する。
【0021】
具体的な実施形態では、本発明の方法は、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子の0.03mg/kgの単一用量を被験体に投与することを含み、IL-5R結合分子の投与は被験体の循環から少なくとも約99%の好酸球の減少をもたらし、減少は投薬24時間後までに完了し、減少は投薬後少なくとも約28日間続く。
【0022】
具体的な実施形態では、本発明の方法は、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子の0.1mg/kgの単一用量を被験体に投与することを含み、IL-5R結合分子の投与は被験体の循環から少なくとも約99%の好酸球の減少をもたらし、減少は投薬24時間後までに完了し、減少は投薬後少なくとも約84日間続く。
【0023】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、融合タンパク質を含む。ある実施形態では、融合タンパク質は、IL-5Rに特異的に結合するポリペプチド領域を含み、免疫グロブリンFc領域をさらに含む。IL-5Rに特異的に結合するポリペプチド領域の非限定的な例は、米国特許第7,109,299号および同第5,677,280号、米国特許出願公開第2006/0014680A1号に見出すことできる。他の実施形態では、IL-5Rに特異的に結合するポリペプチド領域は、ヒトIL-5(例えば、Tanabi et al., Journal of Biological Chemistry, 1987, Vol. 262, No. 34, pp. 16580-16584参照)、またはその断片、誘導体もしくは変異体である(例えば、米国特許第6,465,616号参照)。
【0024】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体を含む。本発明の抗体は、モノクローナル抗体、合成抗体、多特異的抗体(二重特異的抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fvs(scFv)(二重特異的scFvsを含む)、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、および上記のいずれかのエピトープ結合断片を含むが、これらに限定されない。特に、本発明の抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含む。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであることができる。
【0025】
本発明で有用な抗体は、鳥類および哺乳動物(例えば、限定されないが、ヒト、マウス、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ)を含む、任意の動物に由来するものであり得る。具体的な実施形態では、抗体は、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である。
【0026】
本発明で有用な抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的またはより多特異的なものであり得る。多特異的抗体は、ポリペプチドの異なるエピトープに特異的に結合し得またはポリペプチドと異種ポリペプチドまたは固体の担体などの異種エピトープとの両方に特異的に結合し得る。例えば、国際公開第WO93/17715号、同第WO92/08802号、同第WO91/00360号、および同第WO92/05793号;Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60-69;米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、および同第5,601,819号;ならびにKostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553参照。
【0027】
本発明で有用な抗体は、一本鎖抗体であることができる。一本鎖抗体の設計および構築は、Marasco et al., 1993, Proc Natl Acad Sci 90:7889-7893に記載されている。
【0028】
本発明の抗体の非限定的な例は、米国特許第7,179,464号、同第6,538,111号、同第6,018,032号、および米国特許出願公開第2004/0136996A1号、同第2005/0226867A1号に見出すことができる。
【0029】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体を含む。さらなる実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号1~4のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含む抗体である。具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号1および3のアミノ酸配列を含む抗体である。具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号2および4のアミノ酸配列を含む抗体である。
【0030】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、MEDI-563と同じエピトープに特異的に結合する抗体である。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体がMEDI-563ではないという条件でMEDI-563と同じエピトープに特異的に結合する抗体である。
【0031】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基1~102を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体がMEDI-563ではないという条件で配列番号5の残基1~102を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。
【0032】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基40~67を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体がMEDI-563ではないという条件で配列番号5の残基40~67を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。
【0033】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基52~67を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体がMEDI-563ではないという条件で配列番号5の残基52~67を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。
【0034】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基61を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、抗体がMEDI-563ではないという条件で配列番号5の残基61を含むエピトープに特異的に結合する抗体である。
【0035】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基1~102を含む一次抗原に特異的に結合するが、配列番号5の残基1~102の変異体を含む二次抗原に特異的に結合しない抗体であり、この変異体はI61K置換を含む。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基1~102を含む一次抗原に特異的に結合するが、配列番号5の残基1~102の変異体を含む二次抗原に特異的に結合しない抗体であり、この変異体はI61K置換を含み、ただし、抗体はMEDI-563ではない。
【0036】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基40~67を含む一次抗原に特異的に結合するが、配列番号5の残基40~67の変異体を含む二次抗原に特異的に結合しない抗体であり、この変異体はI61K置換を含む。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、配列番号5の残基40~67を含む一次抗原に特異的に結合するが、配列番号5の残基40~67の変異体を含む二次抗原に特異的に結合しない抗体であり、この変異体はI61K置換を含み、ただし、抗体はMEDI-563ではない。
【0037】
一実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、ヒトIL-5Rα(配列番号5)に特異的に結合するが、I61K置換を含む変異ヒトIL-5Rα(配列番号5)に特異的に結合しない抗体である。具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563である。さらに具体的な実施形態では、本発明のIL-5R結合分子は、ヒトIL-5Rα(配列番号5)に特異的に結合するが、I61K置換を含む変異ヒトIL-5Rα(配列番号5)に特異的に結合しない抗体であり、ただし、抗体はMEDI-563ではない。
【0038】
本発明は、エフェクター機能が増大したIL-5R結合分子を提供する。エフェクター機能を増大させる方法の非限定的な例は、米国特許第5,624,821号、同第6,602,684号、同第7,029,872号、米国特許出願公開第2006/0067930A1号、同第2005/0272128A1号、同第2005/0079605A1号、同第2005/0123546A1号、同第2004/0072290A1号、同第2006/0257399A1号、同第2004/0261148A1号、同第2007/0092521号、同第2006/0040325A1号、および同第2006/0039904A1号、ならびに国際特許出願公開第WO04/029207号、同第WO03011878号、同第WO05044859号、同第WO06071856号、および同第WO06071280号に見出すことができる。
【0039】
エフェクター機能を改変するために抗体のFc領域を操作する方法は、当技術分野で公知である(例えば、FCγRIIAに対する結合親和性と比べてFcγRIIBに対する結合親和性を増強するためにFc領域を改変することを記載している、それらの開示の全体が本明細書に組み込まれる、共にKoenigらの米国特許出願公開第20040185045号およびPCT公開第WO2004/016750号;また、ArmourらのPCT公開第WO99/58572号、Idusogieらの同第WO99/51642号、ならびにDeoらの米国特許第6,395,272号も参照)。FcγRIIBへの結合親和性を低下させるためにFc領域を改良する方法もまた、当技術分野で公知である(例えば、それらの開示の全体が本明細書に組み込まれる、共にRavetchらの米国特許出願公開第20010036459号およびPCT公開第WO01/79299号)。野生型のFc領域と比べてFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する結合親和性が増強した変異体Fc領域を有する改良した抗体もまた、記載されている(例えば、その開示の全体が本明細書に組み込まれる、StavenhagenらのPCT公開第WO2004/063351号)。
【0040】
抗体エフェクター機能は、グリコシル化パターンが改変された抗体の作製によって改良することもできる。例えば、フコシル残基の量が減少した非フコシル化/低フコシル化抗体または増大した二分(bisecting)GlcNac構造を有する抗体などの、改変型のグリコシル化を有する抗体を作製することができる。このような改変グリコシル化パターンは、抗体のADCC能力を増大させることが立証されている。このような糖改変は、例えば、グリコシル化機構が改変された宿主細胞で抗体を発現させることによって実現することができる。グリコシル化機構が改変された細胞は、当技術分野で報告されており、本発明の組換え抗体を発現させることによりグリコシル化が改変された抗体を産生するための宿主細胞として用いることができる。例えば、Hanaiらによる欧州特許第1,176,195号は、フルコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が機能的に破壊された細胞株を記載しており、このような細胞株で発現した抗体は低フコシル化を示す。PrestaによるPCT公開第WO03/035835号は、フコースがAsn(297)結合糖へ結合する能力の減少した変異体CHO細胞株、Lec13細胞を記載しており、その宿主細胞で発現した抗体も低フコシル化となる(Shields, R. L. et al.(2002)J. Biol. Chem. 277:26733-26740も参照)。UmanaらによるPCT公開第WO99/54342号は、糖タンパク質改変グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(l,4)-N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株を記載しており、この操作された細胞株で発現した抗体は、抗体のADCC活性の増大をもたらす増大した二分GlcNac構造を示す(Umana et al.(1999)Nat. Biotech. 17:176-180も参照)。
【0041】
糖型が改変された抗体を作製する方法は、当技術分野で公知であり、Umana et al, 1999, Nat. Biotechnol 17:176-180;Davies et al., 20017 Biotechnol Bioeng 74:288-294;Shields et al, 2002, J Biol Chem 277:26733-26740;Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278:3466-3473)米国特許第6,602,684号;米国特許出願第10/277,370号;米国特許出願第10/113,929号;PCT第WO00/61739A1号;PCT第WO01/292246A1号;PCT第WO02/311140A1号;PCT第WO02/30954A1号;Potillegent(商標)技術(Biowa, Inc. Princeton, N.J.);GlycoMAb(商標)グリコシル化操作技術(GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)に記載されているものを含むが、これらに限定されない。例えば、第WO00061739号;第EA 01229125号;米国特許出願公開第20030115614号;Okazaki et al., 2004, JMB, 336:1239-49参照。フコシル化パターンが改変された抗体はまた、フコースの翻訳後除去(例えばフコシダーゼ酵素で)により調製され得る。
【0042】
本発明は、インビボの半減期が延長された、IL-5Rに特異的に結合する抗体および抗体断片を提供する。特に、本発明は、哺乳動物(例えば、限定されないが、ヒト)において半減期が、3日間より長い、7日間より長い、10日間より長い、15日間より長い、25日間より長い、30日間より長い、35日間より長い、40日間より長い、45日間より長い、2ヵ月間より長い、3ヵ月間より長い、4ヵ月間より長い、または5ヵ月間より長い抗体および抗体断片を提供する。
【0043】
インビボで抗体(例えば、限定されないが、モノクローナル抗体および一本鎖抗体)または抗体断片(例えば、限定されないが、Fab断片)の血清循環を延長するために、例えば、高分子量のポリエチレングリコール(PEG)などの不活性高分子を、PEGの抗体のN末端もしくはC末端への部位特異的コンジュゲーションを通じて、またはリジン残基上に存在するε-アミノ基を介してのいずれかで多機能性リンカーありまたはなしで抗体(その抗体断片を含む)に結合させることができる。生物活性の損失を最小限に抑える線状または分岐ポリマー誘導体化が使用されよう。SDS-PAGEおよび質量分析によりコンジュゲーションの程度を綿密にモニタリングして、PEG分子と抗体の適切なコンジュゲーションを確実にすることができる。未反応のPEGは、分子篩によりまたはイオン交換クロマトグラフィーにより抗体-PEGコンジュゲートから分離することができる。PEG誘導体化抗体(その抗体断片を含む)は、当業者に公知の方法、例えば、本明細書記載のイムノアッセイを用いて結合活性ならびにインビボでの有効性を試験することができる。
【0044】
インビボの増大した半減期を有する抗体はまた、1以上のアミノ酸改変(すなわち、置換、挿入または欠失)をIgG定常ドメイン、またはそのFcRn結合断片(例えば、FcまたはヒンジFcドメイン断片)に導入することによって作製することができる。例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO98/23289号;国際公開第WO97/34631号;および米国特許第6,277,375号参照。
【0045】
さらに、抗体(その抗体断片を含む)は、インビボでより安定なまたはインビボでより長い半減期をもつ抗体(その抗体断片を含む)を作製するためにアルブミンとコンジュゲートさせることができる。この技術は当技術分野で周知であり、例えば、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO93/15199号、同第WO93/15200号、および同第WO01/77137号;ならびに欧州特許第EP 413,622号参照。
【0046】
本発明は、IL-5Rに特異的に結合するIL-5R結合分子を提供し、ここで結合分子は、融合タンパク質を作製するために異種タンパク質またはポリペプチド(または、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90もしくは少なくとも100アミノ酸のポリぺプチドの断片)と、組換えによって融合または化学的にコンジュゲートされる(共有結合性および非共有結合性の両者のコンジュゲーションを含む)。特に、本発明は、本明細書に記載の抗体の抗原結合断片(例えば、限定されないが、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDR)と、異種のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドとを含む融合タンパク質の製剤を提供する。タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを抗体(その抗体断片を含む)と融合またはコンジュゲートするための方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,851号、および同第5,112,946号;欧州特許第EP 307,434号および同第EP 367,166号;国際公開第WO96/04388号および同第WO91/06570号;Ashkenazi et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535-10539;Zheng et al., 1995, J. Immunol. 154:5590-5600;ならびにVil et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337-11341(前記文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)参照。
【0047】
追加の融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エキソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(まとめて「DNAシャフリング」といわれる)の技術によって作製することもできる。DNAシャフリングは、本発明の抗体またはその断片の活性を改変するために利用され得る(例えば、限定されないが、親和性がより高く、解離速度がより低い抗体またはその断片)。一般に、米国特許第5,605,793号、同第5,811,238号、同第5,830,721号、同第5,834,252号、および同第5,837,458号;Patten et al., 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33;Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16(2):76-82;Hansson, et al., 1999, J. Mol. Biol. 287:265-76;ならびにLorenzo and Blasco, 1998, Biotechniques 24(2):308-313(これらの特許および出版物の各々の全体が参照することによりここに組み込まれる)を参照されたい。抗体(その抗体断片を含む)、またはコードされた抗体もしくはその断片は、組換えの前に変異性PCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法によりランダム突然変異を受けることにより改変され得る。その抗体(その抗体断片を含む)をコードしているポリヌクレオチドは、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組み換えることもできる。
【0048】
さらに、抗体(その抗体断片を含む)は、精製を促進するためのペプチドなどのマーカー配列と融合することができる。マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクターで提供されているタグ(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)などのヘキサヒスチジンペプチドであってよく、その多くが市販されている。Gentz et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載されているように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を可能にする。精製に有用な他のペプチドタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する赤血球凝集素(「HA」)タグ(Wilson et al., 1984, Cell 37:767)、および「フラグ(flag)」タグを含むが、これらに限定されない。
【0049】
他の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、診断用のまたは検出可能な物質とコンジュゲートされている。このような抗体は、特定の療法の有効性を決定するなどの、臨床試験手法の一環として疾患または障害(例えば、限定されないが、自己免疫障害)の発症、発達、進行および/または重症度をモニタリングまたは予知するのに有用であり得る。このような診断および検出は、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどの補欠分子;限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocynate)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンなどの蛍光物質;限定されないが、ルミノールなどの発光物質;限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなどの生物発光物質;限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、および121I、)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、および111In、)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、9OY、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Snなどの放射性物質;ならびに様々なポジトロン放出断層撮影に用いるポジトロン放出金属、ならびに非放射性常磁性金属イオンを含むが、これらに限定されない検出可能な物質と抗体をコンジュゲートさせることにより成し遂げることができる。
【0050】
あるいは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるSegalの米国特許第4,676,980号に記載の通り、抗体を二次抗体とコンジュゲートさせて抗体ヘテロコンジュゲートを形成することができる。
【0051】
目的の抗原(例えばIL-5R)またはその断片とコンジュゲートした治療的部分または薬物は、被験体の特定の疾患または障害、例えば、インターフェロンαポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連するまたはそれを特徴とする疾患または障害、インターフェロンα受容体またはその1以上のサブユニットの異常な発現および/または活性に関連するまたはそれを特徴とする疾患または障害、自己免疫疾患、自己免疫疾患、移植片拒絶、移植片対宿主病、またはその1以上の症状に対する、(1以上の)望ましい予防的または治療的効果を達成するように選ばれるべきである。臨床医または他の医療関係者は、何を目的の抗体、例えば、インターフェロンαポリペプチドまたはその断片に特異的に結合する抗体とコンジュゲートさせるか決定する際に、疾患の性質、疾患の重症度、および被験体の状態を考慮すべきである。
【0052】
抗原に特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)は、抗体の合成の分野で公知の任意の方法、特に、化学合成によりまたは組換え発現技術により産生することができる(米国特許出願公開第2007/0014724A1号参照)。
【0053】
抗原に特異的なポリクローナル抗体は、当技術分野で周知な様々な手法により産生することができる。例えば、ヒト抗原は、ヒト抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために、限定されないが、ウサギ、マウス、ラット等を含む様々な宿主動物に投与することができる。様々なアジュバントを、宿主の種に依存して、免疫応答を増加するために用いることができ、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどのゲル状鉱物、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニック(登録商標)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット・ゲラン桿菌(bacille Calmette-Guerin))およびコリネバクテリウム・パルバム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。このようなアジュバントはまた、当技術分野で周知である。
【0054】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはその組合せの使用を含む、当技術分野で公知の種々の技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知のものおよび、例えば、Harlow et al., Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerling, et al.,:Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas 563 681(Elsevier, N. Y., 1981)で、およびHarlow et al., Using Antibodies:A laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999)(前記文献はその全体が参照により組み込まれる)に教示されたものを含むハイブリドーマ技術を用いて産生することができる。本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」なる語は、ハイブリドーマ技術を通じて産生された抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」なる語は、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む単一クローン由来の抗体をいい、それが産生された方法ではない。
【0055】
ハイブリドーマ技術を用いて特異的な抗体を産生およびスクリーニングする方法は、常用され、当技術分野で周知である。簡単に述べると、マウスを非マウス抗原で免疫することができ、免疫応答が検出される、例えば、マウス血清中に抗原に特異的な抗体が検出されると、マウス脾臓が回収され、脾細胞が単離される。脾細胞は次に、周知の技術により任意の適した骨髄腫細胞、例えばATCCから入手可能な細胞株SP20からの細胞と融合される。ハイブリドーマは、限界希釈により選択およびクローニングされる。さらに、動物を免疫するのにRIMMS(repetitive immunization multiple sites)技術を用いることができる(その全体が参照により本明細書に組み込まれるKilpatrack et al., 1997, Hybridoma 16:381-9)。ハイブリドーマクローンは次に、本発明のポリペプチドに結合する能力がある抗体を分泌する細胞について、当技術分野で公知の方法によりアッセイされる。一般に高レベルの抗体を含む腹水は、陽性ハイブリドーマクローンでマウスを免疫することにより作製することができる。
【0056】
本発明は、本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞であって、非マウス抗原で免疫されたマウスから単離した脾細胞を骨髄腫細胞と融合することによって作製されるハイブリドーマ細胞を培養すること、次いで融合によって生じたハイブリドーマを、抗原に結合することができる抗体を分泌するハイブリドーマクローンについてスクリーニングすることを含むモノクローナル抗体を作製する方法、ならびにこの方法により産生した抗体を提供する。
【0057】
特異的な特定のエピトープを認識する抗体断片は、当業者に公知の任意の技術により作製することができる。例えば、本発明のFabおよびF(ab')2断片は、パパイン(Fab断片を産生するため)またはペプシン(F(ab')2断片を産生するため)などの酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質切断により産生され得る。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。さらに、本発明の抗体は、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて作製することもできる。
【0058】
ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それをコードしているポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上に露出される。特に、VHおよびVLドメインをコードしているDNA配列は、動物のcDNAライブラリー(例えば、影響された組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅される。VHおよびVLドメインをコードしているDNAは、PCRによりscFvリンカーと一緒に組み換えられ、ファージミドベクター内にクローニングされる。ベクターは大腸菌(E. coli)に電気穿孔処理され、大腸菌(E. coli)はヘルパーファージに感染する。これらの方法で用いられるファージは、典型的にfdおよびM 13を含む繊維状ファージであり、VHおよびVLドメインは、通常ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかと組換えによって融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現しているファージは、抗原で、例えば、標識化した抗原あるいは固体表面もしくはビーズに結合または捕捉された抗原を用いて、選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するのに使用することができるファージディスプレイ法の例は、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brinkman et al., 1995, J. Immunol. Methods 182:41-50;Ames et al., 1995, J. Immunol. Methods 184:177-186;Kettleborough et al., 1994, Eur. J. Immunol. 24:952-958;Persic et al., 1997, Gene 187:9-18;Burton et al., 1994, Advances in Immunology 57:191-280;国際出願第PCT/GB91/O1 134号;国際公開第WO90/02809号、同第WO91/10737号、同第WO92/01047号、同第WO92/18619号、同第WO93/11236号、同第WO95/15982号、同第WO95/20401号、および同第WO97/13844号;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、同第5,969,108号、同第6,33,187号、同第5,824,520号、および同第5,702,892号に開示されているものを含む。
【0059】
上記文献に記載されているように、ファージ選択の後、ファージからの抗体コード領域は、ヒト抗体を含む全抗体、または任意の他の望ましい抗原結合断片を作製するのに単離および使用し、例えば、以下に記載の、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の望ましい宿主で発現させることができる。組換えによってFab、Fab'およびF(ab')2断片を産生する技術はまた、PCT公開第WO92/22324号;Mullinax et al., 1992, BioTechniques 12(6):864-869;Sawai et al., 1995, AJRI 34:26-34;およびBetter et al., 1988, Science 240:1041-1043(前記文献はその全体が参照として組み込まれる)に開示されているものなどの当技術分野で公知の方法を用いて利用することができる。
【0060】
全抗体を作製するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するために隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローンのVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインは、VH定常領域、例えば、ヒトγ4定常領域を発現するベクター内にクローニングされることができ、またPCR増幅されたVLドメインはVL定常領域、例えば、ヒトκまたはλ定常領域を発現しているベクター内にクローニングすることができる。VHまたはVLドメインを発現するためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメインに対するクローニング部位、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含み得る。VHおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現している1つのベクター内にクローニングされ得る。重鎖転換ベクターおよび軽鎖転換ベクターは次に、当業者に公知の技術を用いて、完全長抗体、例えば、限定されないが、IgGを発現する安定または一過性型の細胞株を作製するために細胞株に同時導入される。
【0061】
ヒトでの抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイを含むいくつかの使用のために、ヒト化抗体またはキメラ抗体を用いるのが適切であり得る。完全にヒト抗体およびヒト化抗体は、ヒト被験体の治療的処置に特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いる上記のファージディスプレイ法を含む種々の当技術分野で公知の方法により製造することができる。その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;ならびに国際公開第WO98/46645号、同第WO98/50433号、同第WO98/24893号、同第WO98/16654号、同第WO96/34096号、同第WO96/33735号、および同第WO91/10741号も参照のこと。
【0062】
ヒト抗体はまた、機能的な内在性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて産生することができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムに、または相同的組換えによりマウス胚性幹細胞内に導入され得る。あるいは、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域をマウス胚性幹細胞内に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同的組換えにより、ヒト免疫グロブリン座の導入で別々にまたは同時に非機能性を与えられ得る。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内在性抗体の産生を妨げる。改良した胚性幹細胞は、増殖され、キメラマウスを産生するために胚盤胞内に顕微注入される。キメラマウスは次に、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を作出するために繁殖される。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドのすべてまたは部分で通常の方法で免疫される。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて免疫された、トランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞分化の間に再編成し、引き続いてクラススイッチおよび体細胞変異を起こす。このように、このような技術を用いて、治療に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要として、Lonberg and Huszar(1995, Int. Rev. Immunol. 13:65 93)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体の産生のためのこの技術ならびにこのような抗体の産生のための手順の詳細な考察として、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO98/24893号、同第WO96/34096号、および同第WO96/33735号;ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、および同第5,939,598号を参照されたい。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, CA)およびGenpharm(San Jose, CA)などの会社は、上に記載したのと同様な技術を用いて、選択した抗原に対するヒト抗体の提供に従事することができる。
【0063】
キメラ抗体は、その抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子由来である分子である。キメラ抗体を産生するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Morrison, 1985, Science 229:1202;Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214;Gillies et al., 1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;ならびに米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、および同第6,331,415号参照。
【0064】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域および非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含む、抗体もしくはその変異体またはその断片である。ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し(すなわち、ドナー抗体)かつすべてまたは実質的にすべてのフレームワーク領域がヒト免疫グロブリン共通配列のものである、実質的にすべての少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、Fv)を含む。一実施形態では、ヒト化抗体はまた、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの一部分を含む。普通は、抗体は、軽鎖も少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含有する。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含み得る。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリン、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むアイソタイプから選択することができる。通常、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞毒性活性を示すことが望ましい補体結合定常ドメインであり、クラスは典型的にIgG1である。このような細胞毒性活性が望ましくない場合、定常ドメインはIgG2クラスのものであり得る。ヒト化抗体は複数のクラスまたはアイソタイプからの配列を含み得、望ましいエフェクター機能を最適化するための特定の定常ドメインの選択は当業者の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワークおよびCDR領域は親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、その部位でCDRまたはフレームワーク残基がコンセンサスまたは移入抗体のいずれかにも対応しないように、少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失により変異し得る。しかし、このような変異は大規模ではないだろう。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%が親のフレームワークおよびCDR配列のものと対応し、たいてい90%であり、95%より大きい。ヒト化抗体は、CDR移植法(欧州特許第EP 239,400号;国際公開第WO91/09967号;ならびに米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、および同第5,585,089号)、べニアリング(veneering)またはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許第EP 592,106号および同第EP 519,596号;Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Studnicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814;ならびにRoguska et al., 1994, PNAS 91:969-973)、チェインシャフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)、ならびに、例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、第WO93 17105号、Tan et al., J. Immunol. 169:1119 25(2002)、Caldas et al., Protein Eng. 13(5):353-60(2000)、Morea et al., Methods 20(3):267 79(2000)、Baca et al., J. Biol. Chem. 272(16):10678 84(1997)、Roguska et al., Protein Eng. 9(10):895 904(1996)、Couto et al., Cancer Res. 55(23 Supp):5973s 5977s(1995)、Couto et al., Cancer Res. 55(8):1717 22(1995)、Sandhu JS, Gene 150(2):409 10(1994)、およびPedersen et al., J. Mol. Biol. 235(3):959 73(1994)に開示されている技術を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の種々の技術を用いて産生することができる。しばしば、フレームワーク領域のフレームワーク残基は、抗原結合を改変する、好ましくは改善するために、CDRドナー抗体からの対応する残基で置換されるであろう。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法により、例えば、限定されないが、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためにCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデル化および特定の位置での異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較により同定される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Queen et al.,米国特許第5,585,089号;およびRiechmann et al., 1988, Nature 332:323参照)。
【0065】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠いている抗体は、当技術分野で周知の方法により産生することができる。その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Riechmann et al., 1999, J. Immuno. 231:25-38;Nuttall et al., 2000, Curr. Pharm. Biotechnol. 1(3):253-263;Muylderman, 2001, J. Biotechnol. 74(4):277302;米国特許第6,005,079号;ならびに国際公開第WO94/04678号、同第WO94/25591号、および同第WO01/44301号参照。
【0066】
さらに、抗原(例えばIL-5R)に特異的に結合する抗体は、当業者に周知の技術を用いて、順に、抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製するのに利用することができる(例えば、Greenspan & Bona, 1989, FASEB J. 7(5):437-444;およびNissinoff, 1991, J. Immunol. 147(8):2429-2438参照)。
【0067】
本発明の抗体の組換え発現(例えば、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖またはその断片あるいは本発明の一本鎖抗体)は、抗体をコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とし得る。抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその断片をコードしているポリヌクレオチドが一旦得られれば、抗体分子の産生のためのベクターが、当技術分野で周知の技術を用いて組換えDNA技術により産生され得る。このように、抗体をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの発現によりタンパク質を調製する方法は、本明細書に記載されている。当業者に周知の方法を使用して、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳調節シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成的技術、およびインビボ遺伝的組換えを含む。このように、本発明は、プロモーターに機能的に連結した、本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメイン(その抗体断片を含む)、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。このようなベクターは抗体分子の定常領域をコードしているヌクレオチド配列を含み得(例えば、国際公開第WO86/05807号;国際公開第WO89/01036号;および米国特許第5,122,464号参照)、抗体の可変ドメインは重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖および軽鎖全体の両方の発現のためのこのようなベクター内にクローニングされ得る。
【0068】
発現ベクターは従来の技術により宿主細胞中に導入され、次いで、形質移入された細胞は本発明の抗体を産生するために従来の技術により培養される。このように、本発明は、異種プロモーターに機能的に連結した、本発明の抗体もしくはその断片、あるいはその重鎖もしくは軽鎖、またはその断片、あるいは本発明の一本鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二重鎖抗体の発現のための具体的な実施形態では、重鎖または軽鎖の両方をコードしているベクターは、以下に詳述したように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞内に共発現させることができる。
【0069】
様々な宿主発現ベクター系が、本発明の抗体分子を発現するのに利用され得る(例えば、米国特許第5,807,715号参照)。このような宿主発現系は、それにより目的のコード配列が産生され、引き続いて精製され得る媒介物を表すが、また、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換または形質移入された場合、in situで本発明の抗体分子を発現し得る細胞を表す。これらは、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物(例えば、限定されないが、大腸菌(E. coli)および枯草菌(B. subtilis));抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、限定されないが、サッカロマイセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、限定されないが、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、限定されないが、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したまたは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、限定されないが、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞株;あるいは哺乳動物細胞のゲノム由来(例えば、限定されないが、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来(例えば、限定されないが、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)のプロモーターを含む組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞株(例えば、限定されないが、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)を含むが、これらに限定されない。大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、特に全組換え抗体分子の発現のための真核生物細胞は、組換え抗体分子の発現に用いられる。例えば、ヒトサイトメガロウイルスからの主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと組み合わせたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗体の効果的な発現系である(Foecking et al., 1986, Gene 45:101;およびCockett et al., 1990, Bio/Technology 8:2)。具体的な実施形態では、本発明の抗体、誘導体、類似体、またはその断片をコードしているヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターにより調節されている。
【0070】
細菌系では、抗体分子を発現させることを目的とした使用に応じて、多くの発現ベクターが有利に選択され得る。例えば、抗体分子の医薬組成物の作製のために、大量のこのような抗体が産生される場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を誘導するベクターが望ましいであろう。このようなベクターは、融合タンパク質が産生されるように抗体コード配列がlac Zコード領域とインフレームでベクター内に個々に連結され得る、大腸菌(E. coli)発現ベクターpUR278(Ruther et al., 1983, EMBO 12:1791);pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109;Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などを含むが、これらに限定されない。pGEXベクターはまた、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来性ポリペプチドを発現するのに用いられ得る。一般に、このような融合タンパク質は、可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合、続いて遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングした標的遺伝子産物がGST部分から放出されることできるように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されている。
【0071】
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現するためのベクターとして用いられる。ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)内に個々にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
【0072】
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルス由来の発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合には、目的の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳調節複合体、例えば、後期プロモーターおよび三分裂(tripartite)リーダー配列に連結され得る。このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボ組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域ElまたはE3)中への挿入により、感染した宿主で生存可能であり、抗体分子を発現することができる組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:355-359参照)。特異的開始シグナルはまた、挿入した抗体コード配列の効率的な翻訳に必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、全挿入断片の翻訳を確実にするように、所望のコード配列の読み枠と一致しなければならない。これらの外因性の翻訳調節シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、種々の起源のものであってよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの包含により増強され得る(例えば、Bittner et al., 1987, Methods in Enzymol. 153:51-544参照)。
【0073】
加えて、挿入された配列の発現を調節し、または所望の特異的な形で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。このようなタンパク質産物の修飾(例えば、限定されないが、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、限定されないが、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後のプロセシングおよび就職に対する独特かつ特異的なメカニズムを有する。適切な細胞株または宿主系を、発現した外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実にするために選択することができる。この目的を達成するために、遺伝子産物の一次転写物の適当なプロセシング、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞のメカニズムを有する真核生物の宿主細胞が用いられ得る。このような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内在性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3OならびにHsS78Bst細胞を含むが、これらに限定されない。
【0074】
組換えタンパク質の長期間、高収率産生のために、安定的発現が用いられ得る。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株が操作され得る。ウイルスの複製起源を含む発現ベクターを用いるよりむしろ、宿主細胞を、適切な発現調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されたDNA、および選択可能なマーカーで形質転換することができる。外来DNAの導入に続いて、操作された細胞は、富栄養培地中で1~2日間培養され、次に選択培地に交換され得る。組換えプラスミド内の選択可能なマーカーは、選択への耐性を付与し、細胞が、その染色体中にプラスミドを安定に組み込み、フォーカス(これは、クローニングし、細胞株へと増殖させることができる)を形成するように増殖することを可能にする。この方法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するのに有利に用いられ得る。このような操作された細胞株は、抗体分子と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価で特に有用となり得る。
【0075】
一実施形態では、IL-5R結合分子を発現するのに用いられる細胞株は、IL-5R結合分子のFc領域をフコシル化していない細胞である。これらのタイプの細胞の非限定的な例は、米国特許第6,946,292号、ならびに米国特許出願公開第2006/0078991A1号、同第2004/0110282A1号、同第2006/0024800A1号、同第2005/0216958A1号、同第2004/0132140号、および同第2004/0259150号に見出される。具体的な実施形態では、IL-5R結合分子は、ヒト化、非フコシル化IgG1抗IL-5Rα鎖モノクローナル抗体である。さらに具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563(BIW-8405としても公知)である。さらに具体的な実施形態では、抗体はMEDI-563ではない。
【0076】
それぞれtk-、hgprt-またはaprt-細胞で利用することができる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., 1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., 1980, Cell 22:8-17)遺伝子を含むがこれらに限定されない多くの選択系を用いることができる。また、以下の遺伝子に対する選択に基づいて代謝拮抗剤耐性を使用することができる:メトレキサートへの耐性を与えるdhfr(Wigler et al., 1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:357;O'Hare et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノール酸への耐性を与えるgpt(Mulligan & Berg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノグリコシドG-418への耐性を与えるneo(Wu and Wu, 1991, Biotherapy 3:87-95;Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596;Mulligan, 1993, Science 260:926-932;およびMorgan and Anderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217:May, 1993, TIB TECH 11(5):155-215);およびハイグロマイシンへの耐性を与えるhygro(Santerre et al., 1984, Gene 30:147)。組換えDNA技術の分野で通常公知の方法は、望ましい組換えクローンの選択に通常適用することができ、このような方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY(1993);Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY(1990);およびDracopoli et al.(eds), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY(1994)のChapters 12 and 13;Colberre-Garapin et al., 1981, J. Mol. Biol. 150:1に記載されている。
【0077】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅により増大させることができる(概説として、Bebbington and Hentschel, The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning, Vol.3.(Academic Press, New York, 1987)参照)。抗体を発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養中に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピーの数を増やすであろう。増幅した領域は抗体遺伝子を伴うので、抗体の産生もまた増えるであろう(Crouse et al., 1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
【0078】
宿主細胞に、本発明の2つの発現ベクター、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターを同時導入することができる。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能とする同一の選択可能なマーカーを含み得る。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードしており、かつ発現することができる単一のベクターが用いられ得る。このような状況では、軽鎖は、過度の有毒な遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に置かれるべきである(Proudfoot, 1986, Nature 322:52;およびKohler, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2 197)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
【0079】
本発明の抗体分子は、組換え発現により産生されると、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にプロテインA後の特異的抗原に対する親和性による、およびサイジングカラム(sizing column)クロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解度(differential solubility)、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準の技術により精製することができる。さらに、本発明の抗体またはその断片は、本明細書に記載された異種ポリペプチド配列または精製を促進するための当技術分野で公知の別なものと融合させてもよい。
【0080】
本発明により包含されるIL-5R結合分子(例えば抗体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび融合タンパク質)に関して、患者に投与されるその量は、典型的には患者の体重1kg当たり0.0001mg~100mgである。好ましくは、患者に投与される投与量は、患者の体重1kg当たり0.0001mg~20mg、0.0001mg~10mg、0.0001mg~5mg、0.0001~2mg、0.0001~1mg、0.0001mg~0.75mg、0.0001mg~0.5mg、0.0001mg~0.25mg、0.0001~0.15mg、0.0001~0.10mg、0.001~0.5mg、0.01~0.25mgまたは0.01~0.10mgである。一般に、ヒト抗体は、外来性ポリペプチドへの免疫反応のために他の生物種由来の抗体に比べてヒト体内でより長い半減期を有する。このように、ヒト抗体のより低い投与量およびより低い頻度の投与がしばしば可能である。さらに、本発明の抗体またはその断片の投与量および投与の頻度は、例えば、脂質化などの修飾により抗体の取り込みおよび組織浸透を増強することにより減少させることができる。
【0081】
具体的な実施形態では、患者での疾患もしくはその1以上の症状を予防、治療、管理および/または寛解するために投与されるIL-5R結合分子の投与量は、患者の体重1kg当たり150μg以下、好ましくは125μg以下、100μg以下、95μg以下、90μg以下、85μg以下、80μg以下、75μg以下、70μg以下、65μg以下、60μg以下、55μg以下、50μg以下、45μg以下、40μg以下、35μg以下、30μg以下、25μg以下、20μg以下、15μg以下、10μg以下、5μg以下、2.5μg以下、2μg以下、1.5μg以下、1μg以下、0.5μg以下、または0.5μg以下である。別の実施形態では、患者での過剰増殖性の疾患、またはその1以上の症状を予防、治療、管理および/または寛解するために投与される本発明のIL-5R結合分子の投与量は、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~12mg、0.1mg~10mg、0.1mg~8mg、0.1mg~7mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25~8mg、0.25mg~7mg、0.25mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~8mg、1mg~7mg、1mg~5mg、または1mg~2.5mgの単位用量である。
【0082】
他の実施形態では、被験体は、本発明の1以上の治療薬の有効量の1以上の用量を投与され、この有効量の用量は、本発明の治療薬1ml当たり少なくとも0.1μg、少なくとも0.5μg、少なくとも1μg、少なくとも2μg、少なくとも5μg、少なくとも6μg、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも125μg、少なくとも150μg、少なくとも175μg、少なくとも200μg、少なくとも225μg、少なくとも250μg、少なくとも275μg、少なくとも300μg、少なくとも325μg、少なくとも350μg、少なくとも375μg、または少なくとも400μgの血清力価を達成する。さらに別の実施形態では、被験体は、IL-5R結合分子1ml当たり少なくとも0.1μg、少なくとも0.5μg、少なくとも1μg、少なくとも2μg、少なくとも5μg、少なくとも6μg、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも125μg、少なくとも150μg、少なくとも175μg、少なくとも200μg、少なくとも225μg、少なくとも250μg、少なくとも275μg、少なくとも300μg、少なくとも325μg、少なくとも350μg、少なくとも375μg、または少なくとも400μgの血清力価を達成するために本発明の1つのIL-5R結合分子の有効量の用量を投与され、本発明の1以上のIL-5R結合分子の有効量のその後の用量が、少なくとも0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、少なくとも、2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg
/mlの血清力価を維持するために投与される。これらの実施形態によれば、被験体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のその後の用量を投与され得る。
【0083】
具体的な実施形態では、本発明は、好酸球介在疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理または寛解する方法を提供し、前記方法は、それを必要としている被験体に、本発明の1以上の治療薬(例えば、治療薬または予防薬)、併用療法、または組成物を、少なくとも10μg、好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgの用量で投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、好酸球介在疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防、治療、管理および/または寛解する方法を提供し、前記方法は、それを必要としている被験体に、本発明の1以上のIL-5R結合分子、併用療法、または組成物を、少なくとも10μg、好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgの用量で、3日に1回、好ましくは、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、8日に1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1カ月に1回投与することを含む。
【0084】
本発明は、好酸球介在障害もしくは疾患または1以上のその症状を予防、治療、管理または予防する方法を提供し、前記方法は、(a)それを必要としている被験体に、本発明の1以上のIL-5R結合分子、併用療法、または組成物の予防もしくは治療有効量の1以上の用量を投与すること;および(b)前記治療薬(例えば、治療薬または予防薬)の一定数の用量の投与後に、前記被験体での前記投与されたIL-5R結合分子の血漿レベル/濃度をモニタリングすることを含む。さらに、好ましくは、前記一定数の用量は、本発明の1以上のIL-5R結合分子、組成物、または併用療法の予防または治療有効量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12用量である。
【0085】
具体的な実施形態では、本発明は、好酸球介在障害もしくは疾患または1以上のその症状を予防、治療、管理および/または寛解する方法を提供し、前記方法は、(a)それを必要としている被験体に、本発明の1以上の治療薬(例えば、治療薬または予防薬)を、少なくとも10μg(好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μg)の用量で投与すること;および(b)前記被験体での投与されたIL-5R結合分子の血漿レベルが、0.1μg/ml未満、好ましくは0.25μg/ml未満、0.5μg/ml未満、0.75μg/ml未満、または1μg/ml未満である場合に、1以上のその後の用量を前記被験体に投与することを含む。別の実施形態では、本発明は、好酸球介在障害もしくは疾患または1以上のその症状を予防、治療、管理および/または寛解する方法を提供し、前記方法は、(a)それを必要としている被験体に、本発明の1以上のIL-5R結合分子を、少なくとも10μg(好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μg)の1以上の用量で投与すること;(b)一定数の用量の投与後に、前記被験体での投与されたIL-5R結合分子の血漿レベルをモニタリングすること;および(c)前記被験体での投与されたIL-5R結合分子の血漿レベルが0.1μg/ml未満、好ましくは0.25μg/ml未満、0.5μg/ml未満、0.75μg/ml未満、または1μg/ml未満である場合に、本発明のIL-5R結合分子のその後の用量を投与することを含む。ある実施形態では、前記一定数の用量は、本発明の1以上のIL-5R結合分子の有効量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12用量である。
【0086】
本発明のIL-5R結合分子以外の、過剰増殖性の疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理および/または寛解するのに使われてきたかまたは現在使われている治療薬(例えば、予防薬または治療薬)は、好酸球介在障害もしくは疾患またはその1以上の症状を治療、管理、予防および/または寛解するための本発明の方法によれば、1以上のIL-5R結合分子との併用で投与することができる。好ましくは、本発明の併用療法で用いられる予防薬または治療薬の投与量は、好酸球介在障害もしくは疾患または1以上のその症状を予防、治療、管理および/または寛解するのに使われてきたかまたは現在使われているものよりも低い。過剰増殖性の疾患または1以上のその症状の予防、治療、管理、または寛解に現在用いられている薬剤の推奨された投与量は、当技術分野の任意の文献から得ることができ、限定されないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hardman et al., eds., 2001, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics, 10th ed., Mc-Graw-Hill, New York;Physician's Desk Reference(PDR)58th ed., 2004, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJを含む。
【0087】
様々な実施形態では、治療薬(例えば、予防薬または治療薬)は、5分未満間隔、30分未満間隔、1時間間隔、約1時間の間隔、約1~約2時間の間隔、約2時間~約3時間の間隔、約3時間~約4時間の間隔、約4時間~約5時間の間隔、約5時間~約6時間の間隔、約6時間~約7時間の間隔、約7時間~約8時間の間隔、約8時間~約9時間の間隔、約9時間~約10時間の間隔、約10時間~約11時間の間隔、約11時間~約12時間の間隔、約12時間~18時間の間隔、18時間~24時間間隔、24時間~36時間間隔、36時間~48時間間隔、48時間~52時間間隔、52時間~60時間間隔、60時間~72時間間隔、72時間~84時間間隔、84時間~96時間間隔、または96時間~120時間間隔で投与される。他の実施形態では、2つ以上の治療薬は、同一の診察中に投与される。
【0088】
一部の実施形態では、本発明の1以上のIL-5R結合分子および1以上の他の治療薬(例えば、予防薬または治療薬)は、循環的に投与される。循環療法は、ある期間の第1の治療薬(例えば、第1の予防薬または治療薬)の投与、それに続くある期間の第2の治療薬(例えば、第2の予防薬または治療薬)の投与、任意選択で、それに続くある期間の第3の治療薬(例えば、予防薬または治療薬)の投与など、ならびにこの連続的な投与、すなわち、1つの療法への耐性の発達を減少させるために、1つの治療薬の副作用を妨げるかまたは低減するために、および/または治療薬の有効性を改善するために、循環を繰り返すことを含む。
【0089】
一部の実施形態では、本発明の同じIL-5R結合分子の投与を繰り返すことができ、この投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月の間隔を空けることができる。他の実施形態では、本発明のIL-5R結合分子以外の同じ治療薬(例えば、予防薬または治療薬)の投与を繰り返すことができ、この投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月の間隔を空けることができる。
【0090】
具体的な実施形態では、IL-5R結合分子は、0.03mg/kgの単回静脈内用量として投与される。
【0091】
本発明は、好酸球介在障害もしくは疾患またはその1以上の症状を予防、治療、管理または予防する方法を提供し、前記方法は、(a)それを必要としている被験体に、本発明の1以上のIL-5R結合分子、併用療法、または組成物の予防または治療有効量の1以上の用量を投与すること;および(b)前記治療薬(例えば、治療薬または予防薬)の1以上の用量の投与前または投与後に、被験体での少なくとも1つの疾患指標または症状をモニタリングすることを含む。
【0092】
一実施形態では、被験体はCOPDを患っている。
【0093】
一実施形態では、被験体は、NAEPPの2002 Expert Panel reportにより定義された軽度の遷延性または軽度の間欠性喘息を患っている。
【0094】
一実施形態では、被験体での疾患指標または症状は、1以上のIL-5R結合分子の単一用量の投与前および投与後にモニタリングされる。別の実施形態では、被験体での疾患指標または症状は、1以上のIL-5R結合分子の複数用量の投与前および投与後でモニタリングされる。
【0095】
一実施形態では、疾患指標または症状は、自己評価された喘息症状スコア(Asthma Symptom Score)である。喘息症状スコアの非限定的な例は、在宅で被験体により毎日記録された自己評価されたスコアである。スコアは、朝、夜間、および昼間の症状の重症度に基づき、過去24時間の喘息症状を類別する。症状および割り当てたスコアは、表1に記載されている。一日の最大スコアは9であり、最小は0である。被験体は、自己評価しかつ連続的な基準で記録する。
【表1】
【0096】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアXおよび1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアX-Yを有し、ここでXは1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、Yは1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、投与後スコアは、0より低くならない。
【0097】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが0~9である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが0~3、1~4、2~5、3~5、4~7、5~8または6~9である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが1、2、3、4、5、6、7、8または9である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが1である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが2である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが3である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが4である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが5である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが6である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが7である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが8である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の喘息症状スコアが9である。
【0098】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが0と9の間である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが0~3、1~4、2~5、3~5、4~7、5~8または6~9である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが1、2、3、4、5、6、7、8または9である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが1である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが2である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが3である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが4である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが5である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが6である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが7である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが8である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の喘息症状スコアが9である。
【0099】
一実施形態では、被験体の喘息症状スコアは、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が低く、ここで投与後スコアは0未満にならない。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは1点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは9点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは2点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは3点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは4点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは5点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは6点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは7点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは8点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも1点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも9点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも2点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも3点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも4点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも5点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも6点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも7点減少する。具体的な実施形態では、喘息症状スコアは、少なくとも8点減少する。
【0100】
一実施形態では、疾患指標または症状は、呼気一酸化窒素濃度(FENO)である。FENOは、ヨーロッパ呼吸器学会(European Respiratory Society)および米国胸部疾患学会(American Thoracic Society)の組み合わせた推奨(American Thoracic Society, European Respiratory Society.(2005)ATS/ERS Recommendations for Standardized Procedures for the Online and Offline Measurements of Exhaled Lower Respiratory Nitric Oxide and Nasal Nitric Oxide, 2005. Am J Respir Crit Care Med. 171:912-930)に従って測定され得る。FENO測定は、50ml/sの流速でNIOXを用いて実行し得る(ATS基準)。
【0101】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが20と500ppbの間である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが20~500ppb、20~400ppb、20~300ppb、20~200ppb、50~500ppb、100~500ppb、150~500ppb、200~500ppb、20~50ppb、50~100ppb、100~200ppb、200~300ppb、300~500ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが少なくとも50ppb、少なくとも100ppb、少なくとも150ppb、少なくとも200ppb、少なくとも250ppb、少なくとも300ppb、少なくとも350ppb、少なくとも400ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが50ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが100ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが150ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが200ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが250ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが300ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが350ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のFENOが400ppbである。
【0102】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが20と500ppbの間である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが20~500ppb、20~400ppb、20~300ppb、20~200ppb、50~500ppb、100~500ppb、150~500ppb、200~500ppb、20~50ppb、50~100ppb、100~200ppb、200~300ppb、300~500ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも50ppb、最大でも100ppb、最大でも150ppb、最大でも200ppb、最大でも250ppb、最大でも300ppb、最大でも350ppb、最大でも400ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも20ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも50ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも100ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも150ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも200ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも250ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも300ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも350ppbである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のFENOが最大でも400ppbである。
【0103】
一実施形態では、被験体のFENOは、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が低く、ここでFENOの低下は0ppb未満にならない。具体的な実施形態では、FENOは少なくとも50ppb低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも100ppb低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも150ppb低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも200ppb低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも250ppb低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも300ppb低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも10%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも20%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも30%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも40%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも50%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも60%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも70%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも80%低下する。具体的な実施形態では、FENOは、少なくとも90%低下する。具体的な実施形態では、FENOは10%低下する。具体的な実施形態では、FENOは20%低下する。具体的な実施形態では、FENOは30%低下する。具体的な実施形態では、FENOは40%低下する。具体的な実施形態では、FENOは50%低下する。具体的な実施形態では、FENOは60%低下する。具体的な実施形態では、FENOは70%低下する。具体的な実施形態では、FENOは80%低下する。具体的な実施形態では、FENOは90%低下する。
【0104】
一実施形態では、疾患指標または症状は、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)である。血清ECPレベルは、当業者に公知の任意の方法、例えば、限定されないがELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイを用いて評価され得る。血清ECPレベルは、市販のアッセイのうちのいずれか1つにより測定され得る。
【0105】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが20~500ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが20~200ng/ml、20~150ng/ml、20~100ng/ml、20~50ng/ml、30~200ng/ml、40~200ng/ml、50~200ng/ml、30~100ng/ml、30~80ng/ml、30~70ng/ml、20~80ng/ml、20~70ng/ml、20~60ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが少なくとも20ng/ml、少なくとも30ng/ml、少なくとも40ng/ml、少なくとも50ng/ml、少なくとも60ng/ml、少なくとも100ng/ml、少なくとも150ng/ml、少なくとも200ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが25ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが30ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが35ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが40ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが50ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが60ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが70ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが80ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが100ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが150ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の血清ECPが200ng/mlである。
【0106】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが検出可能ではない。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが1~500ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが1~200ng/ml、1~150ng/ml、1~100ng/ml、1~50ng/ml、1~20ng/ml、10~200ng/ml、10~100ng/ml、10~50ng/ml、20~100ng/ml、20~50ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも1ng/ml、最大でも5ng/ml、最大でも10ng/ml、最大でも20ng/ml、最大でも30ng/ml、最大でも50ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも1ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも5ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも10ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも15ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも20ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも25ng/mlである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが最大でも30ng/mlである。
【0107】
一実施形態では、被験体の血清ECPは、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が低く、ここで血清ECPの低下は0ng/ml未満にならない。具体的な実施形態では、血清ECPは少なくとも50ng/ml低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも100ng/ml低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも150ng/ml低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも200ng/ml低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも250ng/ml低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも300ng/ml低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも10%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも20%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも30%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも40%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも50%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも60%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも70%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも80%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも90%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは、少なくとも95%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは10%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは20%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは30%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは40%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは50%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは60%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは70%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは80%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは90%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは95%低下する。具体的な実施形態では、血清ECPは99%低下する。
【0108】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の血清ECPが検出可能ではない。具体的な実施形態では、血清ECPレベルは、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約14週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、または少なくとも約25週間、検出不可能なままである。
【0109】
一実施形態では、疾患指標または症状は、メタコリン負荷試験(MCT)である。MCTは、気管支痙攣の管理に熟練している医師の存在下およびすぐに入手可能な適切な治療的薬剤を伴い、米国胸部疾患学会(ATS)指針(Guidelines for Methacholine and Exercise Testing - 1999.(2000)Am J Respir Crit Care Med. 161:309-329)に従って実行され得る。簡単に、用いた肺活量計は、ATSの指針に従って較正される。用いる噴霧吸入器は、1~4ミクロンの空気動力学的粒径(mass median aerodynamic diameter)(MMAD)の粒子サイズおよび0.13±10%mL/分の流れで生成されねばならない。FDA承認供給源からのメタコリンが用いられかつ無菌成分既知生理食塩水で希釈される。吸入曝露は、参照出版物に記載されているように2分間の呼吸周期または5回呼吸線量計方法のいずれかを用いて行われ得る。メタコリンの濃度は治験医師の慣習に従って投与されるが、0.06mg/dL~25.0mg/dLの範囲内である。FEV1は、各用量の終了30および90秒後に測定され2つの値の高い方が記録される。増加性の濃度が、FEV1が基線値から少なくとも20%降下するとみなされるまで投与される。PC20は、基線値からのFEV1の少なくとも20%の降下を導くメタコリンの濃度である。最終用量の終了後、被験体は、治験責任医師の裁量で定量噴霧式吸入器または噴霧吸入器によりアルブテロールを与えられ得る。
【0110】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が0.06~25mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が0.06~25mg/dL、0.1~10mg/dL、0.06~3mg/dL、0.06~2mg/dL、0.06~1mg/dL、0.1~3mg/dL、0.1~2mg/dL、0.1~1mg/dL、0.2~10mg/dL、0.5~10mg/dL、1~10mg/dL、0.1~5mg/dL、0.2~5mg/dL、0.5~5mg/dL、0.1~2mg/dL、0.2~2mg/dL、0.5~2mg/dL、0.06~0.1mg/dL、0.1~0.2mg/dL、0.2~0.5mg/dL、0.5~1mg/dL、1~2mg/dL、2~5mg/dL、5~10mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が最大でも0.1mg/dL、最大でも0.2mg/dL、最大でも0.4mg/dL、最大でも0.5mg/dL、最大でも1mg/dL、最大でも2mg/dL、最大でも5mg/dL、最大でも10mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が10mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が5mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が2mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が1mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が0.5mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が0.2mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前のPC20が0.1mg/dLである。
【0111】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が0.5~25mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が1~25mg/dL、2~25mg/dL、5~25mg/dL、10~25mg/dL、1~10mg/dL、2~10mg/dL、2~10mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも1mg/dL、少なくとも2mg/dL、少なくとも5mg/dL、少なくとも10mg/dL、少なくとも20mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも0.2mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも0.3mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも0.4mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも0.5mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも0.7mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも1mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも2mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも5mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも10mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも20mg/dLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後のPC20が少なくとも25mg/dLである。
【0112】
一実施形態では、被験体のPC20は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が高い。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも0.3mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも0.5mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも0.7mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも1mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも3mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも5mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも10mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも15mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも20mg/dL増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも2倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも4倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも8倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも10倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも12倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも15倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は、少なくとも20倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は2倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は4倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は8倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は10倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は15倍に増加する。具体的な実施形態では、PC20は60%増加する。具体的な実施形態では、PC20は20倍に増加する。
【0113】
一実施形態では、疾患指標または症状は、循環好酸球数値である。循環好酸球数値は、当業者に公知の任意の方法、例えば、限定されないが組織学、フローサイトメトリーを用いて評価され得る。循環好酸球数値は、市販のキットのうちのいずれか1つにより測定され得る。
【0114】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が50~1000細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が50~1000細胞/マイクロL、100~1000細胞/マイクロL、150~1000細胞/マイクロL、200~1000細胞/マイクロL、250~1000細胞/マイクロL、300~1000細胞/マイクロL、400~1000細胞/マイクロL、500~1000細胞/マイクロL、50~500細胞/マイクロL、100~500細胞/マイクロL、100~400細胞/マイクロL、150~500細胞/マイクロL、200~500細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が少なくとも50細胞/マイクロL、少なくとも100細胞/マイクロL、少なくとも150細胞/マイクロL、少なくとも200細胞/マイクロL、少なくとも250細胞/マイクロL、少なくとも300細胞/マイクロL、少なくとも400細胞/マイクロL、少なくとも500細胞/マイクロLある。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が50細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が100細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が150細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が200細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が250細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が300細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が350細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が400細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好酸球数値が500細胞/マイクロLである。
【0115】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が1~400細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が1~200細胞/マイクロL、1~100細胞/マイクロL、1~50細胞/マイクロL、1~40細胞/マイクロL、10~200細胞/マイクロL、10~100細胞/マイクロL、10~40細胞/マイクロL、20~200細胞/マイクロL、20~100細胞/マイクロL、20~50細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも1細胞/マイクロL、最大でも5細胞/マイクロL、最大でも10細胞/マイクロL、最大でも20細胞/マイクロL、最大でも30細胞/マイクロL、最大でも40細胞/マイクロL、最大でも50細胞/マイクロL、最大でも60細胞/マイクロL、最大でも80細胞/マイクロL、最大でも100細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも1細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも5細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも10細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも20細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも30細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも40細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも50細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも60細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が最大でも80細胞/マイクロLである。
【0116】
一実施形態では、被験体の循環好酸球数値は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が低く、ここで循環好酸球数値の低下は0細胞/マイクロL未満にならない。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも50細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも100細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも150細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも200細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも250細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも300細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも10%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも20%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも30%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも40%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも50%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも60%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも70%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも80%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも90%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも95%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は、少なくとも99%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は10%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は20%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は30%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は40%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は50%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は60%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は70%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は80%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は90%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は95%低下する。具体的な実施形態では、循環好酸球数値は99%低下する。
【0117】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好酸球数値が検出可能ではない。具体的な実施形態では、循環好酸球数値レベルは、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約14週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、または少なくとも約25週間、検出不可能なままである。
【0118】
一実施形態では、疾患指標または症状は、誘発痰での%好酸球である。誘発痰での%好酸球は、当業者に公知の任意の方法、例えば、限定されないがBelda et al.(2000)Am J Respir Crit Care Med 161:475-478に記載されている方法を用いて評価され得る。誘発痰での%好酸球は、市販のキットのうちのいずれか1つにより決定され得る。
【0119】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が0.1%~10%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が0.1%~2%、0.1%~5%、0.5%~2%、0.5%~5%、0.5%~10%、1%~2%、1%~5%、1%~10%、2%~5%、2%~10%、3%~5%、3%~10%、1.5%~5%、2.5%~5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が0.5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が1%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が1.5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が2%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が2.5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が3%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が4%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が6%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が7%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が8%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が9%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の誘発痰での%好酸球が10%である。
【0120】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が0.1%~5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が0.1%~3%、0.1%~2%、0.1%~1.5%、0.5%~5%、0.5%~3%、0.5%~1%、1%~5%、1%~3%、2%~5%、3%~5%、2.5%~5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも1%、最大でも2%、最大でも3%、最大でも4%、最大でも5%、最大でも6%、最大でも7%、最大でも8%、最大でも9%、最大でも10%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも1%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも2%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも3%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも4%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも5%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも6%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも7%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも8%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも9%である。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の誘発痰での%好酸球が最大でも10%である。
【0121】
一実施形態では、被験体の誘発痰での%好酸球は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が低く、ここで誘発痰での%好酸球の低下は0%未満にならない。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも10%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも9%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも8%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも6%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも5%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも4%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも3%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも2%低下する。具体的な実施形態では、誘発痰での%好酸球は、少なくとも1%低下する。
【0122】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後誘発痰での検出可能な好酸球を有さない。具体的な実施形態では、誘発痰での好酸球は、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約14週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、または少なくとも約25週間、検出不可能なままである。
【0123】
一実施形態では、疾患指標または症状は、循環好塩基球数値である。循環好塩基球数値は、当業者に公知である任意の方法、例えば、限定されないが組織学、フローサイトメトリーを用いて評価され得る。循環好塩基球数値は、市販のキットのうちのいずれか1つにより測定され得る。
【0124】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が5~500細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が50~500細胞/マイクロL、10~500細胞/マイクロL、20~500細胞/マイクロL、30~500細胞/マイクロL、40~500細胞/マイクロL、50~500細胞/マイクロL、10~400細胞/マイクロL、10~300細胞/マイクロL、10~200細胞/マイクロL、10~100細胞/マイクロL、20~100細胞/マイクロL、30~100細胞/マイクロL、10~75細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が少なくとも5細胞/マイクロL、少なくとも10細胞/マイクロL、少なくとも15細胞/マイクロL、少なくとも20細胞/マイクロL、少なくとも30細胞/マイクロL、少なくとも50細胞/マイクロL、少なくとも60細胞/マイクロL、少なくとも100細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が5細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が10細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が15細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が20細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が30細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が50細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が60細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前の循環好塩基球数値が100細胞/マイクロLである。
【0125】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が1~100細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が1~100細胞/マイクロL、1~50細胞/マイクロL、1~30細胞/マイクロL、1~20細胞/マイクロL、1~10細胞/マイクロL、5~100細胞/マイクロL、5~50細胞/マイクロL、5~20細胞/マイクロL、5~10細胞/マイクロL、10~30細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも1細胞/マイクロL、最大でも5細胞/マイクロL、最大でも10細胞/マイクロL、最大でも20細胞/マイクロL、最大でも30細胞/マイクロL、最大でも50細胞/マイクロL、最大でも100細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも1細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも5細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも10細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも20細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも30細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも40細胞/マイクロLである。一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が最大でも50細胞/マイクロLである。
【0126】
一実施形態では、被験体の循環好塩基球数値は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与前よりも1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の方が低く、ここで循環好塩基球数値の低下は0細胞/マイクロL未満にならない。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも10細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも20細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも30細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも50細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも75細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも100細胞/マイクロL低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも10%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも20%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも30%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも40%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも50%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも60%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも70%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも80%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも90%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも95%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は、少なくとも99%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は10%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は20%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は30%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は40%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は50%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は60%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は70%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は80%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は90%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は95%低下する。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値は99%低下する。
【0127】
一実施形態では、被験体は、1以上のIL-5R結合分子の1以上の用量の投与後の循環好塩基球数値が検出可能ではない。具体的な実施形態では、循環好塩基球数値レベルは、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約12週間、少なくとも約14週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、または少なくとも約25週間、検出不可能なままである。
【0128】
(具体的な実施形態)
1.ヒト被験体で好酸球の数を減少させる方法であって、(a)IL-5Rに特異的に結合する領域および(b)免疫グロブリンFc領域を含むIL-5R結合分子を該被験体に投与することを含む方法。
【0129】
2.前記IL-5R結合分子が抗体である、実施形態1に記載の方法。
【0130】
3.前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態2に記載の方法。
【0131】
4.前記抗体がキメラ抗体である、実施形態3に記載の方法。
【0132】
5.前記抗体がヒト化抗体である、実施形態3に記載の方法。
【0133】
6.前記抗体がヒト抗体である、実施形態3に記載の方法。
【0134】
7.前記IL-5Rに特異的に結合する領域がIL-5、またはその断片、置換体、もしくは誘導体のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の方法。
【0135】
8.前記IL-5Rに特異的に結合する領域がIL-5の非機能的な変異体を含む、実施形態7に記載の方法。
【0136】
9.前記IL-5R結合分子がIL-5Rα鎖に特異的に結合する、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0137】
10.前記免疫グロブリンFc領域がエフェクター機能を増大するように改変されている、実施形態1に記載の方法。
【0138】
11.前記免疫グロブリンFc領域が低減したレベルのフコースを含む、実施形態1に記載の方法。
【0139】
12.前記免疫グロブリンFc領域がフコースを含まない、実施形態11に記載の方法。
【0140】
13.前記免疫グロブリンFc領域がエフェクター機能の増大をもたらすアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載の方法。
【0141】
14.前記アミノ酸置換がFc領域における以下アミノ酸配列:332E、239Dおよび330L(カバットによるEUインデックスにより番号付けられた)の包含を含む、実施形態1に記載の方法。
【0142】
15.前記好酸球の減少が末梢血循環で起こる、実施形態1に記載の方法。
【0143】
16.好酸球の数を50好酸球/mm3未満のレベルに減少させる、実施形態1に記載の方法。
【0144】
17.好酸球の減少が投与から48時間以内に起こる、実施形態1に記載の方法。
【0145】
18.好酸球の減少が投与から24時間以内に起こる、実施形態1に記載の方法。
【0146】
19.好酸球の減少が可逆的である、実施形態1に記載の方法。
【0147】
20.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約25好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0148】
21.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約50好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0149】
22.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約75好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0150】
23.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約100好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0151】
24.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約125好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0152】
25.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約150好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0153】
26.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約175好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0154】
27.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約200好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0155】
28.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約225好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0156】
29.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約250好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0157】
30.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約275好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0158】
31.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約300好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0159】
32.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約325好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0160】
33.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約350好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0161】
34.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約375好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0162】
35.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約400好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0163】
36.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約425好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0164】
37.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約450好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0165】
38.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約475好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0166】
39.好酸球の絶対数の投与後の減少が少なくとも約500好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0167】
40.好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約500好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0168】
41.好酸球の絶対数の投与後の減少が約75~約250好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0169】
42.好酸球の絶対数の投与後の減少が約100~約200好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0170】
43.好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約250好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0171】
44.好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約200好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0172】
45.好酸球の絶対数の投与後の減少が約50~約150好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0173】
46.投与後の好酸球の絶対数が約100好酸球/mm3未満である、実施形態1に記載の方法。
【0174】
47.投与後の好酸球の絶対数が約75好酸球/mm3未満である、実施形態1に記載の方法。
【0175】
48.投与後の好酸球の絶対数が約50好酸球/mm3未満である、実施形態1に記載の方法。
【0176】
49.投与後の好酸球の絶対数が約25好酸球/mm3未満である、実施形態1に記載の方法。
【0177】
50.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約50~約500好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0178】
51.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約75~約475好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0179】
52.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約75~約200好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0180】
53.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約100~約200好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0181】
54.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約25好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0182】
55.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約50好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0183】
56.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約75好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0184】
57.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約100好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0185】
58.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約125好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0186】
59.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約150好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0187】
60.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約175好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0188】
61.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約200好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0189】
62.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約225好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0190】
63.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約250好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0191】
64.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約275好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0192】
65.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約300好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0193】
66.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約325好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0194】
67.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約350好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0195】
68.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約375好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0196】
69.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約400好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0197】
70.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約425好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0198】
71.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約450好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0199】
72.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約475好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0200】
73.前記被験体の投与前の好酸球の絶対数が約500好酸球/mm3である、実施形態1に記載の方法。
【0201】
74.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約5好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0202】
75.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約10好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0203】
76.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約15好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0204】
77.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約20好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0205】
78.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約25好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0206】
79.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約30好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0207】
80.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約35好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0208】
81.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約40好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0209】
82.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約45好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0210】
83.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約50好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0211】
84.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約55好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0212】
85.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約60好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0213】
86.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約65好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0214】
87.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が少なくとも約70好塩基球/mm3減少する、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0215】
88.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が0~約10好塩基球/mm3である、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0216】
89.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約2好塩基球/mm3である、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0217】
90.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約5好塩基球/mm3である、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0218】
91.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約7好塩基球/mm3である、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0219】
92.前記被験体の投与後の好塩基球の絶対数が約9好塩基球/mm3である、実施形態1から73のいずれかに記載の方法。
【0220】
93.好塩基球の減少が投与後48時間以内に起こる、実施形態1~73のいずれかに記載の方法。
【0221】
94.好塩基球の減少が投与後24時間以内に起こる、実施形態1~73のいずれかに記載の方法。
【0222】
95.前記IL-5R結合分子が約0.001から約100mg/kgの範囲にわたる用量で前記被験体に投与される、実施形態1~94のいずれかに記載の方法。
【0223】
96.前記用量が約0.03mg/kgである、実施形態95に記載の方法。
【0224】
97.前記用量が0.03mg/kgである、実施形態95に記載の方法。
【0225】
98.前記IL-5R結合分子が非経口的に投与される、実施形態1~97のいずれかに記載の方法。
【0226】
99.前記IL-5R結合分子が静脈内に投与される、実施形態98に記載の方法。
【0227】
100.IL-5R結合分子がMEDI-563ではない、実施形態1~99のいずれかに記載の方法。
【0228】
101.前記好酸球の減少が喘息症状の減少をもたらす、実施形態1~100のいずれかに記載の方法。
【0229】
102.前記好酸球の減少がCOPD症状の減少をもたらす、実施形態1~100のいずれかに記載の方法。
【実施例0230】
本発明を、ここで以下の実施例を参照しながら説明する。これらの実施例は単に例示目的で提供され、本発明は、これらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に提供した教示の結果として明らかになった任意およびすべての変形を包含すると解釈されるべきである。
【0231】
実施例1
MEDI-563(抗インターロイキン-5受容体抗体)は耐容性良好であり、フェーズI臨床試験において軽症喘息患者の可逆性血中好酸球減少症を誘導する
背景:好酸球は、喘息の発症における重要な役割を担っていると考えられている。インターロイキン-5(IL-5)は、好酸球の生物学において主要なサイトカインであり、その受容体(IL-5R)の発現は、好酸球、好塩基球および肥満細胞に概ね限定されている。喘息のIL-5-標的療法の準最適有効性は、肺組織における好酸球の不完全な減少によるものである。完全な肺の好酸球減少は、喘息におけるこれらの細胞の役割にさらなる洞察を提供すべきであり、新規な治療戦略を表すことができる。
【0232】
目的:ヒト化非フコシル化IgG1抗IL-5Rα鎖モノクローナル抗体であるMEDI-563(BIW-8405としてすでに公知)の安全性および生物活性を評価すること。MEDI-563は、抗体依存性細胞毒性を有意に強化する専有Potelligent(登録商標)技術を介して、BioWa, Incによって開発された。MEDI-563は、IL-5活性を中和し、許容可能な毒物学的プロファイルを伴って前臨床モデルにおいて組織好酸球を減少させる。
【0233】
方法:軽症喘息の、コルチコステロイド療法を受けていない6例の被験体を、MEDI-563を用いた、非盲検のヒト初回投与試験である、BIW-8405-001試験の第1のコホートに登録した。患者は、0.03mg/kgのMEDI-563の静脈内単回投与を受け、84日間追跡した。
【0234】
結果:MEDI-563は、耐容性良好であり、深刻な有害事象は報告されなかった。すべての有害事象(AE)は軽く、最も頻繁に報告されたAEは投与日の投与後の倦怠感であった(3/6被験体)。循環好酸球は、6例すべての被験体において、投与の24~48時間の間に検出限界より減少した(投与前の平均値を含む)。この作用は、8~12週間持続し、好酸球は投与後58日目に何例かの被験体において検出可能になり、分析したすべての被験体において、投与後84日目にはベースラインレベルの70%以上に達した。循環好塩基球も、同様の傾向が生じた。MEDI-563の予想される作用機序に関連し得るが、好中球のレベルは、投与後72時間のうちにわずかにかつ一時的に減少し、2/6の被験体において、軽い好中球減少症のレベルに達し、3日のうちに解消した。MEDI-563の投与は、血清C-反応性タンパク質(2/6被験体)およびIL-6(2/3)の、即時(6時間以内)、軽度(<10×ベースライン)および一時的(1週間未満)な増加を伴っていた。
【0235】
結論:MEDI-563の0.03mg/kgの静脈内単回投与は、今日までに許容可能な安全なプロファイルで、強固な血中好酸球減少症を誘導する。
【0236】
実施例2
抗体依存性細胞媒介細胞毒性
KC1333エフェクター細胞(ヒトFcgRIIIaおよびFceRIgを過剰発現するヒトNK細胞)を、標的CTLL-2細胞株(ヒトIL-5Raを過剰発現するように遺伝的に修飾されたマウスリンパ腫)と、エフェクターと標的を5:1の割合で、MEDI-563抗体または対照抗体の存在下で、4時間共インキュベートした。抗体媒介細胞毒性を、カルセインAM細胞生存率アッセイ(Calcein AM cell viability assay)を使用して評価した。結果を
図9Aに要約する。同様の方法論を使用して、さらなる対照(フコシル化MEDI-563)を分析した。結果を
図9Bに要約する。
【0237】
実施例3
MEDI-563とIL-5Rとの平衡結合の表面プラズモン共鳴評価
担体を含まない、可溶性のヒトIL-5Ra細胞外ドメインを、市販の供給源(R+D Systems)から得た。標準的プロトコルを使用して、組換えhuIL-5Raを、アミン結合を介してセンサーチップに直接固定した。MEDI-563と固定huIL-5Raとの相互作用を、屈折率の変化により継時的に評価し、そこからk
on、k
offおよびK
Dの値を、標準的技術を使用して算出した。結果を
図10に要約する。
【0238】
実施例4
MEDI-563とFcγRとの平衡結合の表面プラズモン共鳴評価
標準的プロトコルを使用し、MEDI-563を、アミン結合を介してセンサーチップに直接固定化した。可溶性ヒトFcγR(MedImmune)と、固定化したMEDI-563との相互作用を、屈折率の変化により継時的に評価し、そこからk
on、k
offおよびK
Dの値を、標準的技術を使用して算出した。結果を
図11に要約する。
【0239】
実施例5
IL-5Rαの免疫組織化学分析
切除した鼻ポリープ組織を、ホルムアルデヒドで24時間固定し、パラフィンに包埋した。連続切片を、ヒトIL-5Ra、IL-9R、CCR3およびc-kitに関して、IL-5Rに対する市販のポリクローナル抗体(R+D Systems、Santa Cruz Biotechnology)を使用し、標準的技術を使用して染色した。IL-9トランスジェニックマウスまたは野生型系統一致FVB対照マウスに由来する肺組織を、ホルムアルデヒドで24時間固定し、パラフィンに包埋した。切片を、IL-9R(pAb、Santa Cruz Biotechnology)およびIL-5R(pAb、R+D Systems)の発現に関して、標準的免疫組織化学技術を使用して分析した。結果を
図12および
図13に要約する。
【0240】
実施例6
MEDI-563は健康なドナーの全血中好酸球に結合する
顆粒球を、正常なドナーのヒト全血から、密度勾配遠心分離法により単離した。直接標識した一次抗体試薬を、CD16(FITC蛍光色素)およびMEDI-563 F(Ab)'2(Alexa-647蛍光色素)の発現の分析に使用した。CD16-FITCプラスMEDI-563-Alexa647またはCD16-FITCプラスAlexa647-標識アイソタイプ対照抗体のカクテルを、顆粒球調製物に1μg/10
6細胞で加えた。氷上で45分間インキュベートした後で、細胞を、冷生理食塩水で3回洗浄し、細胞表面抗体結合を、フローサイトメトリーにより評価した。CD16に対して陰性である好酸球を分析した。CD16陰性顆粒球集団における、MEDI-563とアイソタイプ対照抗体の結合を表す。結果を
図15に要約する。
【0241】
実施例7
フローサイトメトリーによるマウス白血球のIL-5Rα染色
IL-5トランスジェニックマウスの血液、骨髄、肺および脾臓から白血球を単離した。細胞懸濁液を、1%のFCSを含むPBS中で染色した。非特異的結合を減少させるために、染色前に、細胞をFc Block (BD Biosciences)と共に15分間インキュベートした。使用した抗体は、抗マウスCCR3(R&D systems)、抗マウスSiglec F(BD Biosciences)および抗マウスIL-5R(H7)であった。細胞を、氷上で30分間染色し、2回洗浄し、サイトフィックスバッファー(cytofix buffer)(BD Biosciences)で固定した。フローサイトメトリー分析を、LSRII(Becton Dickinson)とFACS Divaソフトウェア(Becton Dickinson)とを使用して実施した。結果を、FlowJo Software(TreeStar Inc.)を使用して分析した。結果を
図16Aおよび
図16Bに要約する。
【0242】
実施例8
MEDI-563は、骨髄由来のIL-5Ra陽性単核細胞を減少させる
冷凍骨髄単核細胞(BM MNC;Lonza)を解凍し、洗浄し、播種し、37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後に、非接着性骨髄単核細胞(NA BM MNC)をプレートから回収した。ADCCアッセイを、200ulの10%FBS/RPMI 1640中で、96ウェルTCプレートにおいて、10ug/mlのMEDI-563抗体の存在下で、100,000個のNA BM MNC細胞および50,000個のKC1333エフェクター細胞/ウェルを、18時間共インキュベートすることにより実施した。陰性対照反応を、無関係な特異性のR347 aFucアイソタイプ対照抗体を使用して実施した。ADCCアッセイに使用したKC1333エフェクター細胞を、CFDA SEを用いてペイントした。18時間インキュベートした後で、各反応からの細胞を、温かい培地で3回洗浄し、フローサイトメトリーのために免疫染色した。IL-5Ra陽性細胞を、KM1257一次抗体/PE標識ヤギ抗Mu IgG Fcg特異的二次抗体染色によって検出した。試料の対照染色を、1A7アイソタイプ一致対照一次抗体と、PE標識ヤギ抗Mu IgG Fcg特異的二次抗体とを組み合わせて用いて実施した。免疫染色およびフローサイトメトリーを、標準的プロトコルを使用して実施した。ADCC後に試料中に残存するIL-5Ra陽性細胞の数を、リンパ球ゲート中のKM1257陽性細胞の数を数えることによって、確定した。免疫染色およびフローサイトメトリーの手順は、ヒトIL-5Raトランスジーンを発現するCTLL-2細胞株を使用して較正した。MEDI-563媒介ADCCは、NA BM MNC試料由来のすべてのIL-5Ra陽性細胞を、実質的に減少させた。結果を
図17Aおよび
図17Bに要約する。
【0243】
実施例9
末梢血好酸球のMEDI-563媒介減少
軽症喘息を有する6例の被験体の2つのコホートを、MEDI-563の非盲検試験に登録した。コホート1および2の被験体は、それぞれ、0.03mg/kgおよび0.1mg/kgのMEDI-563の静脈内単回投与を受け、それらの末梢血好酸球のレベルを、スクリーニング時、投与前の0日目、および84日目までの一定間隔および追跡において数えた。循環好酸球を、フローサイトメトリーにより検出した。循環好酸球は、両方のコホートの6例すべての被験体において、投与から24時間内に、検出限界未満に減少した。MEDI-563誘導性好酸球減少症は、8~12週間持続した。0.03mg/kgのMEDI-563の単回投与後に、84日の試験が完了した5例の被験体のコホート1において、1例の被験体が58日目、3例の被験体が84日目に好酸球が検出可能になり、5番目の被験体は、84日目にも循環好酸球は検出可能にならなかった。0.1mg/kgのMEDI-563の単回投与後に、コホート2において、84日目に循環好酸球が検出可能になった被験体はいなかった。しかし、末梢血好酸球は、コホート2の6例すべての被験体において、その後の追跡検査で検出可能であった。MEDI-563の単回投与後に、様々な時間間隔でコホート1および2において検出された末梢血好酸球のレベルを、
図18Aおよび
図18Bに提示する。
【0244】
実施例10
IL-5Rαの免疫組織化学分析
健康なヒト被験体由来の肺切片を、標準的組織化学技術を使用して、MEDI-563で染色した。結果を
図19に要約する。IL-5Rα発現細胞は画像において黒く見える。
【0245】
喘息患者の気管支または経気管支生検から得た肺組織試料を、標準的組織化学技術を使用して、MEDI-563で染色した。結果を
図20に要約する。IL-5Rα発現細胞は画像において暗灰色/黒に見える。
【0246】
実施例11
MEDI-563は、インビトロのADCCアッセイにおいて、単離された好塩基球および好酸球を効率的に標的とする
好塩基球および好酸球を、健康なドナーから、市販のキット(RoboSep NK/Eosinophil/Basophil Negative Selection Kit、Stem Cell Technologies、バンクーバー、カナダ)を用いて単離した。単離細胞のIL-5Rαの発現を、フローサイトメトリーにより確定した。細胞を、MEDI-563抗体または無関係な特異性のアイソタイプ対照抗体により、標準的プロトコルに従って染色した。免疫染色細胞を、フローサイトメトリーにより分析した。染色プロファイルを、
図21に示す。単離された好塩基球および好酸球は両方とも、MEDI-563染色レベルが、アイソタイプ対照抗体を用いて観察されたレベルより上回って表示された。ヒトIL-5Rα/βトランスジーンを発現する細胞株の染色パターンを、陽性対照として示す。
【0247】
フコシル化および非フコシル化MEDI-563の活性を、インビトロのADCCアッセイで、単離された好酸球および自己由来NK細胞を使用して確定した。好酸球およびNK細胞を、健康なドナーから、市販のキット(RoboSep NK/Eosinophil/Basophil Negative Selection Kit、Stem Cell Technologies、バンクーバー、カナダ)を用いて単離した。ADCCアッセイを、単離されたNK細胞および好酸球をエフェクター細胞および標的細胞として、5:1の割合で用いて実施した。検査された抗体濃度は、10
-15~10
-7Mであった。細胞毒性を、24時間のインキュベート後に、フローサイトメトリーを使用して、アネキシンVアッセイに基づき測定した。非フコシル化MEDI-563のADCC活性は、フコシル化MEDI-563抗体のADCC活性より数桁高かった。非フコシル化MEDI-563のEC
50値は、このアッセイにおいて0.965pMであった。代表的実験の結果を
図22に示す。
【0248】
非フコシル化MEDI-563の活性を、インビトロのADCCアッセイで、単離された好塩基球および自己由来NK細胞を使用して確定した。好塩基球およびNK細胞を、健康なドナーから、市販のキット(RoboSep NK/Eosinophil/Basophil Negative Selection Kit、Stem Cell Technologies、バンクーバー、カナダ)を用いて単離した。ADCCアッセイを、単離されたNK細胞および好酸球をエフェクター細胞および標的細胞として、5:1の割合で用いて実施した。検査された抗体濃度は、10
-15~10
-11Mであった。細胞毒性を、24時間のインキュベート後に、フローサイトメトリーによりアネキシンV陽性細胞を確定することによって測定した。非フコシル化MEDI-563のEC
50値は、このアッセイにおいて0.561pMであった。代表的実験の結果を
図23に示す。
【0249】
実施例12
好酸球は、MEDI-563媒介ADCCアッセイにおいて細胞毒性顆粒を放出しない
MEDI-563標的ADCCに曝露された好酸球の脱顆粒を、EDN(好酸球由来神経毒)の上清への放出を測定することによって確定した。使用したインビトロのADCC条件は、実施例11に記載したものと同様であった。健康なドナーから単離された好酸球およびNKまたはPBMC細胞を、それぞれ、標的細胞およびエフェクター細胞として使用した。アッセイを、フコシル化MEDI-563、非フコシル化MEDI-563または非フコシル化R347アイソタイプ対照抗体を使用して実施した。最大の脱顆粒は、好酸球を、1%のtriton X-100に曝露することによって達成され、細胞の最大脱顆粒において検出されたEDN濃度は220ng/mlより高かった。代表的実験の結果を
図24に示す。EDNのレベルは、MEDI-563媒介ADCC後、25ng/ml(ベースライン)未満を維持した。MEDI-563濃度(33または100μg/ml)または抗体のフコシル化状態は、脱顆粒のレベルに有意に作用しなかった。
【0250】
実施例13
MEDI-563のエピトープマッピング
MEDI-563は、ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合する。MEDI-563は、マウスIL-5Rαタンパク質を発現する細胞と結合しない。
図25Bおよび
図26Cを参照されたい。マウスおよびヒトのIL5-Rαタンパク質のアミノ酸配列は、非常に似ている。MEDI-563のエピトープの特異性を、マウス-ヒトキメラIL-5Rαタンパク質の大パネルに対するMEDI-563の結合特性を分析することによって確定した(
図25~27)。実験は、細胞表面にキメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞を利用した。トランスジーン構築物を、標準的分子法を使用して作製および発現させた。トランスジェニック細胞の表面に発現された、キメラIL-5Rαタンパク質に対する抗体の結合を、フローサイトメトリーにより確定した。蛍光染色プロファイルを、
図25~27に示す。「ポリクローナル」および「MEDI-563」は、それぞれ、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体およびMEDI-563を使用して観察された染色プロファイルを表す。MEDI-563は、ヒトIL-5Rαタンパク質の単一のエピトープに対して特異的であるのに対して、ポリクローナル抗体は、ヒトIL-5Rαの複数のエピトープを認識する(
図25Bおよび
図26C)。「二重染色」は、ポリクローナル抗体(x軸)およびMEDI-563抗体(y軸)に関する蛍光染色プロファイルを表す。
【0251】
第1に、MEDI-563のエピトープを、IL-5Rαの細胞外ドメインのD1領域にマッピングした。IL-5Rαは3つの細胞外ドメイン(D1、D2およびD3)、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む(
図25A)。MEDI-563は、完全細胞上のIL-5Rαを認識するので、そのエピトープは、細胞外ドメインの1つに位置していなければならない。MEDI-563のエピトープを3つの細胞外ドメインの1つにマッピングするために、マウスおよびヒトの細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞を、標準的分子クローニング法を使用して作製した。試験したキメラタンパク質の略図を、
図25Aに示す。「ノックアウト」変異体は単一のマウス細胞外ドメインを、別のヒトバックグラウンドに含むキメラIL-5Rαタンパク質であった。「ノックイン」変異体は、単一のヒト細胞外ドメインを、別のマウスバックグラウンドに含むキメラIL-5Rαタンパク質であった。
【0252】
図25B~Cは、代表的実験の結果を示す。MEDI-563およびポリクローナル抗体は両方とも、ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞を染色し、どちらの抗体も、マウスIL-5Rαを発現するトランスジェニック細胞を染色しなった(
図25B)。MEDI-563は、マウスD1およびヒトD2~D3細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαトランスジーンを発現するトランスジェニック細胞と結合しなかった(
図25C;「ノックアウトD1」)。MEDI-563は、マウスD2またはD3細胞外ドメインをヒトバックグラウンドに含むキメラIL-5Rαトランスジーンを発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した(
図25C;「ノックアウトD2またはD3」)。MEDI-563は、ヒトD1およびマウスD2~D3細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαトランスジーンを発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した(
図25D;「ノックインD1」)。MEDI-563は、ヒトD2またはD3細胞外ドメインのどちらかを含むキメラトランスジーンに基づくマウスIL-5Rαを発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった(
図25D;「ノックインD2またはD3」)。ヒトタンパク質の少なくとも1つの細胞外ドメインを含むキメラIL-5Rαタンパク質を発現するすべての細胞は、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体により染色され、トランスジェニック細胞中のMEDI-563の染色パターンの差が、キメラタンパク質の発現レベルの差によるものではないことを示している。
【0253】
第2に、MEDI-563のエピトープを、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントBにマッピングした(
図26)。IL-5RαのD1細胞外ドメインを、3つのセグメントに分割した(
図26A;セグメントA、BおよびC)。D1細胞外ドメインの、様々な組合せのヒトおよびマウスのセグメントを含む、一連のヒト-マウスキメラIL-5Rαトランスジーンを作製し、この段階で使用したキメラタンパク質は、D1細胞外ドメインの外側に、すべてのヒト配列を含んでいた。「ノックアウト」トランスジーンは、D1細胞外ドメインの単一のマウスセグメントを、別のヒトバックグラウンド中に含むキメラIL-5Rα構築物であった。「ノックイン」トランスジーンは、D1細胞外ドメインの単一のヒトセグメントを、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンドに含むキメラIL-5Rα構築物であった(
図26B)。
図26Cは、対照実験の結果を示す。MEDI-563は、ヒトD1細胞外ドメインを含む(i)ヒトIL-5Rαトランスジーンまたは(ii)マウスIL-5Rαキメラトランスジーン(「ヒトIL-5Ra」および「ノックインD1」)を発現するトランスジェニック細胞を特異的に認識した。MEDI-563は、(i)マウスIL-5Rα受容体トランスジーンまたは(ii)マウスD1細胞外ドメインを含むヒトキメラIL-5Rαトランスジーンを発現するトランスジェニック細胞(「マウスIL-5Ra」、「ノックアウト-D1」)と結合しなかった。
図26DおよびEは、代表的マッピング実験の結果を示す。MEDI-563は、D1細胞外ドメインのマウスセグメントBを、別のヒトバックグラウンド中に含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックアウトB」)を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。MEDI-563は、D1細胞外ドメインのマウスセグメントAまたはCを、ヒトバックグラウンド中に含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックアウトA」、「ノックアウト-C」)を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。
図26Eは、ノックイン構築物により得た結果の例を示す。MEDI-563は、D1細胞外ドメインのヒトセグメントBを、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンド中に含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックインB」)を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。MEDI-563は、D1細胞外ドメインのヒトセグメントAまたはCを、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンド中に含むキメラIL-5Rαトランスジーン(「ノックインAまたはC」)を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するすべての細胞は、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体により染色され、トランスジェニック細胞中のMEDI-563の染色パターンの差が、キメラタンパク質の発現レベルの差によるものではないことを示している。
【0254】
第3に、MEDI-563のエピトープを、ヒトIL-5RαのD1細胞外ドメインのセグメントB1内の特定のアミノ酸残基にマッピングした。D1細胞外ドメインのセグメントB1内の少なくとも1つの突然変異アミノ酸残基を含む、一連のIL-5Rα受容体変異体を、トランスジェニック細胞において発現させた。突然変異残基の位置は、マウスおよびヒトのアミノ酸配列を比較することによって選択された。試験した変異体タンパク質の略図を、
図27Aに示す。「ノックアウト」IL-5Rα変異体は、ヒトの残基を対応するマウスの残基と交換する少なくとも1つの置換を含む、突然変異ヒトタンパク質であった。例えば、「ノックアウトDE」変異体は、D56EおよびE58Dのアミノ酸置換を含むヒトIL-5Rαタンパク質であった。「ノックイン」IL-5Rα変異体は、マウスD1、ヒトD2、マウスD3およびマウスTMを含み、マウスD1ドメインが、マウスの残基を対応するヒトの残基と交換する少なくとも1つの置換を有する、マウスセグメントBの突然変異型を含む、キメラタンパク質であった。例えば、「ノックインDE」変異体は、突然変異マウスセグメントBを、マウスD1-ヒトD2-マウスD3-マウスTMバックグラウンドに含み、突然変異マウスセグメントBがE56DおよびD58Eのアミノ酸置換を含む、キメラIL-5Rαタンパク質であった。
図27Bは、ノックアウト構築物を使用して得られた結果の例を示す。MEDI-563は、K53Q、D56E、E58D、I61Kのアミノ酸置換(「ノックアウト-KDEI」)を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。MEDI-563は、N40H、N42D、Q46H(「ノックアウト-NNQ」)またはD56E、E58D(「ノックアウト-DE」)またはN40H、N42D、D56E、E58D(「ノックアウト-NNDE」)のアミノ酸置換を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。
図27Cは、ノックイン構築物を使用して得られた結果の例を示す。MEDI-563は、Q53K、E56D、D58E、K61Iのアミノ酸置換(「ノックイン-KDEI」)を有するD1の突然変異マウスセグメントBを含む変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。
図27Dは、ノックアウト構築物を使用して得られた結果の例を示す。MEDI-563は、I61Kのアミノ酸置換(「ノックアウト-I61」)を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。MEDI-563は、K53Q(「ノックアウト-K53」)のアミノ酸置換を含む突然変異ヒトIL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。(E)
図27Eは、ノックイン構築物を使用して得られた結果の例を示す。MEDI-563は、K61Iのアミノ酸置換(「ノックイン-I61」)を有するD1の突然変異マウスセグメントBを含む変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に特異的に結合した。MEDI-563は、Q53Kのアミノ酸置換(「ノックイン-K53」)を有するD1の突然変異マウスセグメントBを含む変異体IL-5Rαタンパク質を発現するトランスジェニック細胞に結合しなかった。キメラIL-5Rαタンパク質を発現するすべての細胞は、ポリクローナル抗ヒトIL-5Rα抗体により染色され、トランスジェニック細胞中のMEDI-563の染色パターンの差が、キメラタンパク質の発現レベルの差によるものではないことを示している。
【0255】
実施例14
様々な組織由来の好酸球のインビボ減少
本発明者らは、非フコシル化抗マウスIL-5Ra抗体(afuc H7)の、インビボで様々な組織由来の好酸球を選択的に減少させるための有効性を、フコシル化H7(fuc H7)との比較において評価した。
【0256】
方法:モノクローナル抗体H7:H7の可変領域を、hIgG1 Fc上にグラフトした。Fuc H7を、野生型CHO細胞に発現させ、afuc H7をFUT8が欠失したCHO細胞に発現させた。
【0257】
抗体親和性(KD):親和性を、表面プラズモン共鳴技術を使用して測定した。
【0258】
マウス:IL-5トランスジェニックマウスおよびBALB/cマウスを、6~8週齢で使用した。
【0259】
IL-5Tgマウスにおける好酸球の減少:マウスに、0.01~10mg/kgのafucおよびfuc H7を腹腔内投与し、好酸球の数を48時間後に分析した。
【0260】
アレルギー性気道炎症の誘導:BALB/cマウスを、ミョウバン中のOVAに対して感作し、OVAを、17~22日目にチャレンジした。マウスに、0.1mg/kgのafuc H7を、腹腔内に22日目に投与し、分析を、最終チャレンジの1時間、24時間および72時間後に実施した。これは、抗体処理後25、48および96時間に相当した。
【0261】
白血球の単離:(i)血液:血液を、心穿刺により採取し、ヘパリン管に保存した。血液白血球を、Sysmex Hematology Analyser (Sysmex Corp.)を使用して、またはフローサイトメトリーにより表現型解析した。
【0262】
(ii)気道内腔:気道を、3×0.6mlのPBSで洗浄した。BAL試料を、1200rpmで遠心分離にかけ、上清を取り除き、細胞をRPMIに再懸濁した。細胞を、Coulter Z2カウンター(Beckman-Coulter)を使用して計数し、フローサイトメトリーにより表現型解析した。
【0263】
(iii)肺組織:一葉の肺を、37℃で1時間、RPMI/10%FCS中の消化試薬(18μg/mlのLiberase[Blenzyme2;Roche]、25μg/mlのDNase[タイプ1;Roche])中でインキュベートした。回収した細胞を、70μmのナイロンの篩(Falcon)を介してろ過し、2回洗浄し、計数し、BALに関して表現型解析した。
【0264】
(iv)骨髄:ドナーマウスから大腿骨を単離し、骨髄を、25ゲージの針を取り付けた、PBS(カルシウム/マグネシウムを含まない)を含む注射器を用いて洗い流した。単一細胞懸濁液を、骨髄を、22ゲージの針を取り付けた注射器の中で穏やかに上下させることによって調製した。骨髄細胞を、1200rpmで5分間遠心分離にかけ、添加剤を含まないPBSで2回洗浄し、RPMIに再懸濁し、計数し、フローサイトメトリーにより表現型解析した。
【0265】
(v)脾臓:脾臓を取り出し、単一細胞懸濁液を、70μmのナイロンの篩を使用して調製した。白血球を、RPMIに再懸濁し、計数し、BALに関して表現型解析した。
【0266】
フローサイトメトリー:フローサイトメトリー分析を使用して細胞の表現型を解析した。使用した抗体は、抗マウスCD4、CD19、CD11b、Siglec-F、Gr-1、IL-5R、c-kit(BD Biosciences)、FcεR1(eBiosciences)およびCCR-3(R and D Systems)ならびにそれらの対応するアイソタイプ対照であった。試料を、LSRIIフローサイトメーターおよびFACS DIVAソフトウェア(BD Biosciences)を使用して分析した。結果を、FlowJo(TreeStar Corp.)を使用してさらに分析した。
【0267】
好酸球の特定:好酸球を、CCR3およびSiglec-Fに対して陽性に染色される、側方散乱の高い細胞として、フローサイトメトリー分析によって特定した。
【0268】
結果:IL-5Rは、IL-5Tgマウスの骨髄、血液、脾臓および肺組織中の好酸球により選択的に発現していた。IL-5Rの発現は好酸球に制限され、肥満細胞または好塩基球を含む任意の他の細胞タイプにおいては検出されなかった。抗IL-5R抗体は、IL-5Tgマウスの脾臓、肺組織および血液において、好酸球を選択的に減少させる。非フコシル化またはフコシル化の抗IL-5Rのどちらも、好中球(Gr-1hi);マクロファージ/単球(CD11b+);T細胞(CD3+);B細胞(CD19+)を減少させなかった。afucおよびfuc H7は両方とも、IL-5Tgマウスの脾臓、肺組織および血液中の好酸球を減少させた。骨髄においては、減少は検出されなかった。afuc H7は、fuc H7と比較して好酸球の除去において、特に抗体投与量が低い場合により強力であった。
【0269】
afuc H7はさらに、アレルゲンチャレンジモデルにおいても好酸球を選択的に減少させる。afuc H7は、気道内腔、肺組織、血液および骨髄において好酸球を減少させた。減少は、最終チャレンジの72時間後(抗体送達の96時間後)に、すべての部位において最も高かった。
【0270】
本発明の特定の実施形態を、説明の目的で上に記載したが、詳細の多くの変形が、添付の特許請求の範囲に記載した本発明から逸脱することなく実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0271】
本明細書に挙げたすべての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が、具体的かつ個別に、参照により本明細書に組み込まれるものと示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、米国仮特許出願第60/924,422号(2007年5月14日提出)、同第60/924,832号(2007年6月1日提出)、同第60/935,005号(2007年7月20日提出)および同第61/064,612号(2008年3月14日提出)は、参照によりその全体を、すべての目的のために本明細書に組み込む。