(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023181
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】C末端リジンで結合体化された免疫グロブリン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220131BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20220131BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220131BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220131BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220131BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220131BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220131BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220131BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220131BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220131BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220131BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220131BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/00 ZNA
C07K16/46
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 B
A61K47/68
A61K45/00
A61K39/395 Y
C12N9/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176196
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2018531122の分割
【原出願日】2016-12-16
(31)【優先権主張番号】62/269,138
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド スピデル
(72)【発明者】
【氏名】アール アルボーン
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD02
4B050LL05
4B064AG26
4B064AG27
4B064BJ12
4B064CA21
4B064DA01
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4B064DA14
4B065AA01X
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4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AB01
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4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076EE59
4C084AA17
4C084NA13
4C085AA22
4C085AA25
4C085DD51
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
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4H045DA75
4H045DA76
4H045DA83
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】C末端リジンで結合体化された免疫グロブリンの提供。
【解決手段】結合体化された免疫グロブリンおよび微生物トランスグルタミナーゼを使用して、結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法が、本明細書中に提供される。1つの態様において、結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法が、本明細書中に開示され、その方法は、微生物トランスグルタミナーゼ、およびアシル供与体基質を含む機能性物質とともに、免疫グロブリンをインキュベートする工程を含み、その免疫グロブリンはC末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、そのアシル供与体基質はグルタミン残基を含み、その機能性物質は治療薬または診断薬であり、その微生物トランスグルタミナーゼは、免疫グロブリンのC末端リジンを機能性物質上のアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化させ、それによって、結合体化された免疫グロブリンを作製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年12月18日に出願された米国仮出願第62/269,138への優先権を主張し、当該出願の内容全体は、本明細書において明示的に参考として援用される。
【0002】
技術分野
C末端リジンで結合体化された免疫グロブリンおよびそれを作製する方法が、本明細書中に提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
モノクローナル抗体の有用性は、基礎研究から治療および診断での応用にまで広がっている。抗体を機能性物質(functional agent)に結合体化させることができれば、その
機能はさらに広がる。結合体化された抗体の製造には、通常、リンカー、薬物または他の機能性物質を、モノクローナル抗体(mAb)の重鎖(HC)および軽鎖(LC)上の反応性のリジンシステイン残基(reactive lysine cysteine residues)に結合体化させる必要がある。Deonarainら、“Emerging formats for next-generation antibody drug conjugates”,Expert Opinion in Drug Discovery(2015),10(5):463-481を参照のこと。リジン結合体化は、代表的には、スクシンイミド(NHS)に基づくか、またはイソチオシアネートに基づく化学反応によって媒介される。システインベースの結合体化は、鎖間ジスルフィド結合のいくつかを破壊することによって、遊離したチオール側鎖を生成するために、抗体の部分的還元を必要とする。次いで、チオール反応性の機能性物質が、その抗体上の遊離チオール基と反応して、抗体-薬物結合体(ADC)を生成することができる。これらの方法は、両方とも、複数のリジンまたはシステインの改変をもたらし、複数の薬物対抗体比(DAR)の分布およびランダムな位置における薬物改変を有する不均一なADC混合物がもたらされる。
【0004】
明確なDARを有する均一なADC生成物を生成する方法として部位特異的結合体化の技術を利用する最近の取り組みによって、不対のシステインの操作、非天然アミノ酸の組み込み、および部位特異的な酵素的修飾を含むいくつかの方法がもたらされた。これらの方法は、均一な生成物を生成するが、これらの方法には欠点がある。システインベースの結合体化には、キャッピングシステインを、グルタチオンを、またはさらには不対のシステインから軽鎖を除去する追加の工程が必要である。例えば、Junutulaら、“Site-Specific Conjugation of a Cytotoxic Drug to an Antibody Improves Therapeutic
Index”,Nature Biotechnology,(2008)26:925-932;Chenら、“Charge-based Analysis of Antibodies with Engineered Cysteines”,MAbs(2009)1(6):563-571;Gomezら、“Effect of temperature,pH,dissolved oxygen,and hydrolysate on the formation of triple light chain antibodies in cell culture”Biotechnol Progress(2010),26:1438-1445を参照のこと。さらに、システインベースの結合体化に現在用いられているマレイミドに基づく化学反応の血清不安定性が証明されており、効力低下またはオフターゲット毒性に対する懸念が広がっている。Alleyら、“Contribution of Linker Stability to the Activities of Anticancer Immunoconjugates”,Bioconjugate Chemistry(2008)19(3):759-765;Shenら、“Conjugation site modulates the in vivo stability and therapeutic activity of antibody-drug conjugates”,Nature Biotechnology(2012)30:184-189。非天然アミノ酸の組み込みには、遺伝的に改変された細胞に基づく系または無細胞系のいずれかにおける発現が必要である。Hallamら、“Unnatural Amino Acids in Novel Antibody Conjugates”,Future Med.Chem.(2014)6(11):1309-1324。さらに、非天然アミノ酸の存在は、患者において免疫原性の反応を引き起こし得る。しかしながら、部位特異的な酵素的修飾は、潜在的に抗体配列中の天然の野生型アミノ酸を利用することができ、それにより、免疫原性の危険を最小限にし得る。さらに、タンパク質を修飾する酵素によって通常形成される翻訳後の結合は、非常に安定している。
【0005】
グルタミンのγ-カルボキシアミド基(アシル供与体)とリジンのε-アミノ基(アシル受容体)との間の安定したイソペプチド結合の形成を触媒するトランスグルタミナーゼと呼ばれるタンパク質のファミリーを使用したタンパク質の部位特異的な酵素的修飾が探索されてきた(
図1を参照のこと)(例えば、Yokoyamaら、“Properties and Applications of Microbial Transglutaminase”,Appl.Microbiol.Biotech.(2004)64:47-454;Strop,“Versatility of Microbial Transglutaminase”,Bioconjugate Chemistry,(2014)25(5):855-862;Kieliszekら、“Microbial Transglutaminase and its Application in the Food Industry”,Folia Microbiol(2014)59:241-250を参照のこと)。最近、いくつかのグループが、ADCを生成する手段としてトランスグルタミナーゼを利用して探索している(例えば、Jostenら、“Use of Microbial Transglutaminase for the Enzymatic Biotinylation of Antibodies”,J.Immunol Methods,(2000)240:47-54;Mindtら、“Modification of Different IgG1 Antibodies via Glutamine and Lysine Using Bacterial and Human Tissue Transglutaminase”,Bioconjugate Chemistry(2008)19(1):271-278);Jegerら、“Site-specific and stoichiometric modification of antibodies by
bacterial transglutaminase”Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(2010)49:9995-9997;Stropら、“Location Matters:Site of Conjugation Modulates Stability and Pharmacokinetics of Antibody Drug Conjugates”,Chem Biol(2013)20(2):161-167;Dennlerら、“Transglutaminase-Based Chemo-Enzymatic Conjugation Approach Yields Homogeneous Antibody-Drug Conjugates”,Bioconjugate Chemistry(2014)25(3):569-578;Siegmundら、“Locked by Design:A
Conformationally Constrained Transglutaminase Tag Enables Efficient Site-Specific Conjugation”,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(2015)54(45):13420-13424を参照のこと)。トランスグルタミナーゼは、細菌からヒトに及ぶ生物に見出され、それらは、構造的および機能的に関係しているが、それぞれ、特定の細胞プロセスに関与している。細菌であるStreptomyces mobaraensisから単離された微生物トランスグルタミナーゼ(微生物トランスグルタミナーゼ)が、様々な用途に向けてタンパク質同士を共に架橋するために、食品産業全体で広く使用されている。それは、製造コストが低いことに加えて、広範囲のpH条件、塩条件および温度条件の下で機能できるため、魅力的な結合体化の技法である。
【0006】
20年を超える研究にもかかわらず、微生物トランスグルタミナーゼの基質特異性は、まだ明確に定義されていない。一般に、疎水性または正に帯電した隣接残基を有する露出したループ上のグルタミンまたはリジンが、好まれる傾向がある。Taguchiら、“Substrate specificity analysis of microbial transglutaminase using proteinaceous
protease inhibitors as natural model substrates”,J.Biochem.(2000)128:415-425;Sugimuraら、“Identification of preferred substrate sequences of microbial transglutaminase from Streptomyces mobaraensis using a phage-displayed peptide library”,Arch.Biochem.Biophys.(2008)477:379-383;Tagamiら、“Substrate specificity of microbial
transglutaminase as revealed by three-dimensional docking simulation and mutagenesis”,Protein Eng.Des.Sel.(2009)22:747-752を参照のこと。アシル供与体であるグルタミンの環境が、アシル受容体であるリジンよりも重要であることが見出された。例えば、Ohtsukaら、“Substrate specificities of microbial transglutaminase for primary amines”,J.Agric.Food Chem.(2000)48:6230-6233;Ohtsukaら、“Comparison of substrate specificities of transglutaminases using synthetic peptides as acyl donors”,Biosci.Biotechnol.Biochem.(2000)64:2608-2613;Gundersenら、“Microbial transglutaminase displays broad acyl-acceptor substrate specificity”,Appl.Microbiol.Biotechnol.(2013)98:219-230を参照のこと。
【0007】
微生物トランスグルタミナーゼの、アシル受容体アミンに対する特異性がより低いことに起因して、これまでの研究は、抗体のグルタミン残基のアミド基転移にだけ焦点を合わせてきた。上で言及したJostenら、Mindtら、Jegerら、Stropら、Dennlerら、およびSiegmundらを参照のこと。ヒトIgGは、平均80個のリジンを含み、その80~90%が、溶媒に露出していると予測されており(Gautierら、“Lysine Conjugated Properties in Human IgGs Studied by Integrating High-Resolution Native Mass Spectrometry and Bottom-Up Proteomics”,Proteomics(2015)15(16):2756-2765;データ示さず)、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のC末端コドンは、リジンである(Ellisonら、DNA(1981)1:11-18;Ellisonら(“Ellisonら、2”),Proc.Nat.Acad.Sci.USA,(1982)79:1984-1988;Ellisonら、Nucleic Acid Res.(1982)10:4071-4079)。しかしながら、血清由来IgGは、このリジンを欠く(Wangら、J.Immunol.(1980)125:1048-1054;Edelmanら、Proc Natl Acad.Sci.USA(1969)63:78-85;Frangioneら、Biochemistry(1980)19:4304-4308;Pinkら、Biochem.J.(1970)117:33-47)。同じことが、IgDについても観察されている(Whiteら、Science(1985)228:733-737;Linら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1981)78:504-508;Shinodaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1981)78:785-789)。HEK293細胞およびCHO細胞におけるIgG1の組換え発現も、C末端のLys447を欠くタンパク質をもたらす(Ellisonら;Harrisら、Eur.J.Biochem.(1990)194:611-620;Harris,J.Chromatogr.A(1995)705:129-134;Dickら、Biotechnol.Bioeng.(2008)100:1132-1143)。
【0008】
今まで、当業者は、IgGの表面上に反応性リジンが多すぎることに起因して、リジンのアミド基を転移させるためにアミン供与体に基づく基質を利用すると、不均一なADC生成物が生じるおそれがあると考えていた(JostenらおよびJegerら)ので、免疫グロブリン上のリジン残基のアミド基を転移させるためにアミン供与体ベースの基質を使用することを思いとどまっていた。
したがって、結合体化の割合が予測可能な結合体を作製するために、免疫グロブリンを部位特異的に酵素的修飾する必要性がある。これによって、比較的一致する(homologous)DARを有するADCの作製が可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Deonarainら、“Emerging formats for next-generation antibody drug conjugates”,Expert Opinion in Drug Discovery(2015),10(5):463-481
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
本発明は、驚いたことに、微生物トランスグルタミナーゼによる野生型免疫グロブリンのリジンの修飾は観察されなかったが、C末端アミノ酸の伸長を用いてC末端免疫グロブリンリジン残基をカルボキシペプチダーゼによる切断から保護したとき、微生物トランスグルタミナーゼが、天然のC末端リジンをアシル受容体として利用できたことを開示する。驚いたことに、微生物トランスグルタミナーゼを用いたC末端リジンの結合体化は、結合体化される機能性物質の部位特異的かつ予測可能な組み込みをもたらす。
【0011】
1つの態様において、結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法が、本明細書中に開示され、その方法は、微生物トランスグルタミナーゼ、およびアシル供与体基質を含む機能性物質とともに、免疫グロブリンをインキュベートする工程を含み、その免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、そのアシル供与体基質は、グルタミン残基を含み、その機能性物質は、治療薬または診断薬であり、その微生物トランスグルタミナーゼは、免疫グロブリンのC末端リジンを機能性物質上のアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化させ、それによって、結合体化された免疫グロブリンを作製する。
【0012】
別の態様において、結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法が、本明細書中に開示され、その方法は、i)微生物トランスグルタミナーゼおよびアシル供与体基質とともに免疫グロブリンをインキュベートする工程であって、ここで、その免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、そのアシル供与体基質は、グルタミン残基および反応基を含み、その微生物トランスグルタミナーゼは、免疫グロブリンのC末端リジンをアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化させる、工程、およびii)アシル供与体基質の反応基に機能性物質を結合体化させる工程であって、その機能性物質は、治療薬または診断薬である、工程を含み、それによって、結合体化された免疫グロブリンを作製する。
【0013】
1つの実施形態において、アシル供与体基質の反応基は、クリックケミストリーによって機能性物質に結合体化される。
【0014】
1つの実施形態において、C末端リジンは、免疫グロブリンの重鎖上のリジン447(K447)である。
【0015】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、そのC末端リジンの後の1つのアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンまたはヒスチジンである。別の実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、そのC末端リジンの後の1つのアミノ酸残基は、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはアルギニンを含まない。
【0016】
1つの実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)または(II):
(Z)m-Gln-(L)n-(Y) (I)
(Y)-(L)n-Gln-(Z)m (II)
のうちの1つに記載のものであり、
【0017】
式中、Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、それらの炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;mは、0~5の整数であり;nは、0~5の整数であり;Yは、機能性物質である。
【0018】
1つの実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH2)2)-)、エチルアミン(-NH((CH2)2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH2)3)-)であり;nは、0、1、2または3である。1つの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)である。別の実施形態において、Lは、1つまたは複数のアミノ酸およびポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。別の実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である。1つの実施形態において、Lは、Glyであり;mは、1であり;nは、1である。別の実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(II)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、2、3または4であり;少なくとも1つのLは、Glyであり;少なくとも1つのLは、PEG部分である。さらなる実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(II)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、4であり;1つのLは、Glyであり、残りの3つのL基は、それぞれPEG部分である。
【0019】
1つの実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)または(IV):
(Z)m-Gln-(L)n-(X) (III)
(X)-(L)n-Gln-(Z)m (IV)
のうちの1つに記載のものであり、式中、Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、それらの炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;mは、0~5の整数であり;nは、0~5の整数であり;Xは、反応基である。
【0020】
1つの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)である。別の実施形態において、nが、2~5であるとき、少なくとも1つのLは、1つまたは複数のアミノ酸を含み、他のLは、ポリエチレングリコール(PEG)部分である。1つの実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH2)2)-)、エチルアミン(-NH((CH2)2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH2)3)-)であり;nは、0、1、2または3である。別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である。1つの実施形態において、Lは、Glyであり;nは、1であり;mは、1である。別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(IV)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである。
【0021】
別の実施形態において、Xは、(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール(BCN)、
【化1】
trans-シクロオクテン(TCO)、アジド(N
3)、アルキン、テトラジンメチルシクロプロペン、ノルボルネン、ヒドラジド/ヒドラジンおよびアルデヒドからなる群より選択される反応基である。
【0022】
1つの実施形態において、治療薬は、抗体もしくはその抗原結合部分、化学療法剤、薬剤、放射性剤(radioactive agent)、細胞傷害剤、抗生物質、小分子、核酸またはポリペプチドである。別の実施形態において、診断薬は、フルオロフォア、蛍光色素、放射性核種または酵素である。
【0023】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基を含む2つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有する。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。別の実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、リジンまたはアルギニンである。別の実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0024】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基を含む3つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有し、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0025】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基を含む4つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有し、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0026】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基を含む5つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有し、C末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0027】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に9つ未満のアミノ酸残基を有し、C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0028】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に13個未満のアミノ酸残基を有し、ここで、C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0029】
1つの実施形態において、微生物トランスグルタミナーゼは、Streptomyces mobarensisに由来する。
【0030】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、IgG1免疫グロブリンである。別の実施形態において、免疫グロブリンは、IgG2、IgG3またはIgG4免疫グロブリンである。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、尾部を含まない、IgA1、IgA2またはIgM免疫グロブリンである。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、IgDまたはIgE免疫グロブリンである。
【0031】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンまたはヒト化免疫グロブリンである。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、キメラ免疫グロブリンまたは非ヒト免疫グロブリンである。
【0032】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。1つの実施形態において、免疫グロブリンの2本の重鎖の間に分子内架橋は、存在しない。
【0033】
1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、1:1~2:1である。
【0034】
別の態様において、免疫グロブリンおよび機能性物質を含む結合体化された免疫グロブリンが、本明細書中に記載され、ここで、その免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、その機能性物質は、アシル供与体基質を含み、そのアシル供与体基質は、グルタミン残基を含み、その機能性物質は、治療薬または診断薬であり、その免疫グロブリンのC末端リジンは、機能性物質のアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化される。
【0035】
別の態様において、免疫グロブリンおよび機能性物質を含む結合体化された免疫グロブリンが、本明細書中に記載され、ここで、その免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、C末端リジンは、アシル供与体基質上のグルタミン残基に結合体化され、そのアシル供与体基質は、反応基をさらに含み、その反応基は、機能性物質に結合体化され、その機能性物質は、治療薬または診断薬である。
【0036】
1つの実施形態において、C末端リジンは、免疫グロブリンの重鎖上のリジン447(K447)である。
【0037】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、そのC末端リジンの後の1つのアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンまたはヒスチジンである。
【0038】
別の実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、そのC末端リジンの後の1つのアミノ酸残基は、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはアルギニンではない。
【0039】
1つの実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)または(II):
(Z)m-Gln-(L)n-(Y) (I)
(Y)-(L)n-Gln-(Z)m (II)
のうちの1つに記載のものであり、
【0040】
式中、Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、それらの炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;mは、0~5の整数であり;nは、0~5の整数であり;Yは、機能性物質である。
【0041】
1つの実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH2)2)-)、エチルアミン(-NH((CH2)2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH2)3)-)であり;nは、0、1、2または3である。別の実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である。1つの実施形態において、Lは、Glyであり;mは、1であり;nは、1である。1つの実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(II)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである。1つの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)である。別の実施形態において、Lは、1つまたは複数のアミノ酸およびポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。
【0042】
1つの実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)または(IV):
(Z)m-Gln-(L)n-(X) (III)
(X)-(L)n-Gln-(Z)m (IV)
のうちの1つに記載のものであり、
【0043】
式中、Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、それらの炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;mは、0~5の整数であり;nは、0~5の整数であり;Xは、反応基である。
【0044】
1つの実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH2)2)-)、エチルアミン(-NH((CH2)2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH2)3)-)であり;nは、0、1、2または3である。別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である。1つの実施形態において、Lは、Glyであり;mは、1であり;nは、1である。別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(IV)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである。1つの実施形態において、Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)である。別の実施形態において、nが、2~5であるとき、少なくとも1つのLは、1つまたは複数のアミノ酸を含み、1つまたは複数のLは、ポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。
【0045】
1つの実施形態において、Xは、(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール(BCN)、
【化2】
trans-シクロオクテン(TCO)、アジド(N
3)、アルキン、テトラジンメチルシクロプロペン、ノルボルネン、ヒドラジド/ヒドラジンおよびアルデヒドからなる群より選択される反応基である。
【0046】
1つの実施形態において、治療薬は、抗体もしくはその抗原結合部分、化学療法剤、薬剤、放射性剤、細胞傷害剤、抗生物質、小分子、核酸またはポリペプチドである。別の実施形態において、診断薬は、フルオロフォア、蛍光色素、放射性核種または酵素である。
【0047】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基を含む2つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有する。
【0048】
1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、リジンまたはアルギニンである。
【0049】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基を含む3つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有し、そのC末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0050】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基を含む4つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有し、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0051】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基およびC末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基を含む5つのアミノ酸残基をC末端リジンの後に有し、C末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンではない。1つの実施形態において、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、リジン、システイン、トリプトファン、アルギニン、セリンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0052】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に9つ未満のアミノ酸残基を有し、C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0053】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジンの後に13個未満のアミノ酸残基を有し、ここで、C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。
【0054】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、IgG1免疫グロブリンである。別の実施形態において、免疫グロブリンは、IgG2、IgG3またはIgG4免疫グロブリンである。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、尾部を含まない、IgA1、IgA2またはIgM免疫グロブリンである。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、IgDまたはIgE免疫グロブリンである。
【0055】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンまたはヒト化免疫グロブリンである。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、キメラ免疫グロブリンまたは非ヒト免疫グロブリンである。
【0056】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む。1つの実施形態において、免疫グロブリンの2本の重鎖の間に分子内架橋は存在しない。
【0057】
1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、1:1~2:1である。
【0058】
1つの実施形態において、機能性物質は、抗体またはその抗原結合部分であり、免疫グロブリンと機能性物質は、同じ抗原に結合するか、または異なる抗原に結合する。
【0059】
別の態様において、結合体化された免疫グロブリンをコードする核酸が、本明細書中に記載される。別の態様において、核酸を含むプラスミドが、本明細書中に記載される。別の実施形態において、プラスミドを含む単離された細胞が、本明細書中に記載される。
【0060】
別の態様において、結合体化された免疫グロブリンおよび薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物が、本明細書中に記載される。
【0061】
1つの態様において、本明細書中に記載されるいずれかの方法によって作製される結合体化された免疫グロブリンが、本明細書中に記載される。
【0062】
1つの実施形態において、上記方法は、アシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化された免疫グロブリンを精製した後にアシル供与体基質の反応基に機能性物質を結合体化させる工程をさらに含む。1つの実施形態において、その精製工程は、クロマトグラフィーまたはダイアフィルトレーションなどのサイズに基づく方法を含む。別の実施形態において、精製工程は、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーなどの電荷に基づく分離を含む。別の実施形態において、精製工程は、プロテインAクロマトグラフィーまたはプロテインGクロマトグラフィーなどの親和性に基づく工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
要旨ならびに以下の詳細な説明は、添付の図面とあわせて読むと、さらに理解される。開示される方法および結合体化された免疫グロブリンを例証する目的で、図面に例示的な実施形態を示すが;しかしながら、それらの方法および結合体化された免疫グロブリンは、開示される特定の実施形態に限定されない。図面において、
【0064】
【
図1】
図1は、トランスグルタミナーゼ反応を示しており、ここで、そのトランスグルタミナーゼは、アシル供与体グルタミンとアシル受容体リジンとの間におけるイソペプチド結合の形成を触媒し、アンモニア分子が放出される。
【0065】
【
図2-1】
図2は、例示的なZ-Gln-Glyアシル-供与体基質の構造を示している。
【
図2-2】
図2は、例示的なZ-Gln-Glyアシル-供与体基質の構造を示している。
【0066】
【
図3-1】
図3は、例示的なZ-Gln-Glyアシル-供与体基質のいくつかを合成する、可能な経路を示している。
【
図3-2】
図3は、例示的なZ-Gln-Glyアシル-供与体基質のいくつかを合成する、可能な経路を示している。
【0067】
【
図4】
図4A、4Bおよび4Cを含む
図4は、ヒトIgG
1 FabおよびFc結晶構造における溶媒に露出したリジンを示しており;(A)Fab VH-CH1およびVκ-Cκ、(B)Fab VH-CH1およびVλ-Cλ、および(C)Fc CH2およびCH3を、1.4Åのプローブ半径でDiscovery Studio 4.5を用いて明らかにし、黄色で強調している。
【0068】
【
図5】
図5は、ヒトIgG
1(配列番号40)、カッパ定常ドメイン(配列番号41)およびラムダ定常ドメイン(配列番号42)の配列を示している。1FC1(Fcγ)、4F3F(CH1およびCκ)および4HK0(Cλ)に基づく、溶媒に露出した定常ドメインリジンが、赤色で強調されており;ループ内のリジンには下線を引いている。定常ドメインは、EUナンバリングシステムに従ってナンバリングしている。
【0069】
【
図6-1】
図6A、6B、6C、6D、6Eおよび6Fを含む
図6は、アシル供与体および微生物トランスグルタミナーゼとともにインキュベートされた抗体のESI-MS解析を示している。抗体を、50倍モル濃度過剰のZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび1U/mLの微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした。IdeS消化および還元の後、LC、FdおよびFcの質量をESI-MSによって決定した。
【
図6-2】
図6A、6B、6C、6D、6Eおよび6Fを含む
図6は、アシル供与体および微生物トランスグルタミナーゼとともにインキュベートされた抗体のESI-MS解析を示している。抗体を、50倍モル濃度過剰のZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび1U/mLの微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした。IdeS消化および還元の後、LC、FdおよびFcの質量をESI-MSによって決定した。
【0070】
【
図7-1】
図7は、抗体01およびK-Tag微生物トランスグルタミナーゼ反応のESI-MS解析を示している。MAbを、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした。脱グリコシル化および還元の後、(A)抗体01、(B)抗体01-HC-KTagおよび(C)抗体01-LC-KTagのHCおよびLCの質量をESI-MSによって決定した。
【
図7-2】
図7は、抗体01およびK-Tag微生物トランスグルタミナーゼ反応のESI-MS解析を示している。MAbを、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした。脱グリコシル化および還元の後、(A)抗体01、(B)抗体01-HC-KTagおよび(C)抗体01-LC-KTagのHCおよびLCの質量をESI-MSによって決定した。
【0071】
【
図8】
図8A、8Bおよび8Cを含む
図8は、抗体01のC末端伸長のESI-MS解析を示している。(A)抗体01 MAb、(B)抗体01-Lおよび(C)抗体01-LLを、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートし、質量を、
図7においてのようにESI-MSによって解析した。
【0072】
【
図9A】
図9A~9Bを含む
図9は、Lys447への一工程の薬物結合体化を示している。(A)抗体01-L、ならびに(B)Z-Gln-Gly-PEG
2-AuFおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした抗体01-Lを、IdeSで消化し、DTTで還元して、LCフラグメント、FdフラグメントおよびFcフラグメントを得た。それらのサンプルの280nmの吸光度(AU280)および全イオン電流(TIC)を、上記方法においてのように逆相LC-MSによってモニターした。
【
図9B】
図9A~9Bを含む
図9は、Lys447への一工程の薬物結合体化を示している。(A)抗体01-L、ならびに(B)Z-Gln-Gly-PEG
2-AuFおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした抗体01-Lを、IdeSで消化し、DTTで還元して、LCフラグメント、FdフラグメントおよびFcフラグメントを得た。それらのサンプルの280nmの吸光度(AU280)および全イオン電流(TIC)を、上記方法においてのように逆相LC-MSによってモニターした。
【0073】
【
図10】
図10は、二量体mAbのSDS-PAGEを示している。Z-Gln-Gly-N
3またはZ-Gln-Gly-PEG
3-BCNでアミド基転移された抗体01-Lを混合し、22℃で一晩インキュベートした。それらのサンプルを還元し、4~12%Bis-Trisポリアクリルアミドゲルを用いるSDS-PAGEによって解析した。HC-HC二量体の質量は、およそ110kDaである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
詳細な説明
開示される方法および結合体化された免疫グロブリンは、本開示の一部を形成する添付の図面と関連させて受け取られる以下の詳細な説明を参照することにより、さらに容易に理解され得る。開示される方法および結合体化された免疫グロブリンは、本明細書中に記載されるおよび/または示される特定の実施形態に限定されないこと、ならびに本明細書中で使用される用語は、単なる例として特定の実施形態を説明する目的のためのものであって、特許請求される方法または結合体化された免疫グロブリンの限定を意図していないことが理解されるべきである。
【0075】
別段具体的に述べられていない限り、可能な作用機序もしくは作用様式または改善の理由に関するいずれの説明も、単に例証的であると意味されており、開示される方法および結合体化された免疫グロブリンは、そのような任意の提案される作用機序もしくは作用様式または改善の理由の正確さまたは不正確さによって制約されるべきでない。
【0076】
本文全体にわたって、説明は、結合体化された免疫グロブリンおよびそれを作製する方法について言及する。本開示が、結合体化された免疫グロブリンに関連する特徴または実施形態を記載または主張する場合、そのような特徴または実施形態は、それを作製する方法にも等しく適用できる。同様に、本開示が、結合体化された免疫グロブリンを作製する方法に関連する特徴または実施形態を記載または主張する場合、そのような特徴または実施形態は、結合体化された免疫グロブリンにも等しく適用できる。
【0077】
特定の数値に対する言及は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、少なくともその特定の値を含む。値の範囲が、表現されるとき、別の実施形態は、一方の特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。さらに、範囲で述べられる値に対する言及は、その範囲内のそれぞれの値およびすべての値を含む。すべての範囲が、両端値を含む全てを含み、組み合わせることができる。
【0078】
値が、先行詞「約」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成すると理解される。
【0079】
明確にするために別々の実施形態の文脈で本明細書中に記載されている、開示される方法および結合体化された免疫グロブリンのある特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせても提供され得ることが認識されるべきである。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されている、開示される方法および結合体化された免疫グロブリンの様々な特徴は、別々に、または任意の部分組み合わせででも、提供され得る。
【0080】
本明細書中で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、複数を含む。
【0081】
本説明の態様に関する様々な用語が、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって使用される。そのような用語は、別段示されない限り、当該分野におけるそれらの通常の意味を与えられるべきである。他の明確に定義される用語は、本明細書中に提供される定義と一致するように解釈されるべきである。
【0082】
用語「約」は、数値の範囲、カットオフまたは特定の値に関して使用されるとき、記述された値が、列挙された値から最大10%変動し得ることを示すために使用される。したがって、用語「約」は、特定の値からの±10%もしくはそれ未満の変動、±5%もしくはそれ未満の変動、±1%もしくはそれ未満の変動、±0.5%もしくはそれ未満の変動、または±0.1%もしくはそれ未満の変動を包含するために使用される。
【0083】
「酸性アミノ酸」とは、生理学的pHにおいて負電荷を示すアミノ酸のことを指す。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンが挙げられる。
【0084】
用語「アシル供与体基質」とは、それの上に末端アシル基を有する基のことを指す。好ましくは、「アシル供与体基質」は、グルタミン残基を含む。アシル供与体基質は、任意選択でさらなる反応基を含み得る。第1の実施形態において、アシル供与体基質は、機能性物質に共有結合的に接続されている。第2の実施形態において、アシル供与体基質は、機能性物質に接続されていない。1つの実施形態において、アシル供与体基質は、グルタミン残基および反応基を含む。別の実施形態において、アシル供与体基質は、本明細書中にさらに記載されるような、1つまたは複数のリンカーを含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、任意選択で、アシル供与体基質と機能性物質との間またはアシル供与体基質と反応基との間にリンカーが存在する。
【0085】
用語「抗体」は、本明細書中で使用されるとき、4本のポリペプチド鎖、すなわち2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖からなる任意の免疫グロブリン(Ig)分子のことを広く指す。用語「抗体」は、本明細書中で使用されるとき、Ig分子の必須のエピトープ結合特性を保持している、免疫グロブリン分子の任意の抗原結合部分、変異体、バリアントまたは誘導体のことも指す。そのような変異体、バリアントまたは誘導体の抗体形式は、当該分野で公知であり、それらの非限定的な実施形態は、本明細書中で論じられる。1つの実施形態において、抗体は、ヒト化抗体である。別の実施形態において、抗体は、ヒト抗体である。別の実施形態において、抗体は、キメラ抗体である。別の実施形態において、抗体は、非ヒト抗体である。
【0086】
全長抗体では、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中でHCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中でLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLからなる。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。VHおよびVLは、それぞれ、アミノ末端からカルボキシ末端へ向かって以下の順序で配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0087】
抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、本明細書中で使用されるとき、抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体の1つまたは複数のフラグメントのことを指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって発揮され得ることが示されている。そのような抗体の実施形態は、2つまたはそれより多い異なる抗原に特異的に結合する、二重特異性(bispecific)、二重特異性(dual specific)または多重特異性の形式でもあり得る。抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含される結合フラグメントの例としては、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)単一の可変ドメインを含むdAbフラグメント(Wardら、(1989)Nature 341:544-546,Winterら、PCT公開WO90/05144A1(参照により本明細書中に援用される));および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を用いて、VL領域とVH領域とが対になって一価の分子を形成する単一タンパク質鎖として生成されることを可能にする合成リンカーによって結合され得る(一本鎖Fv(scFv)として公知であり;例えば、Birdら(1988)Science 242:423-426;およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照のこと)。そのような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に包含されると意図されている。ダイアボディなどの他の形態の一本鎖抗体も包含される。ダイアボディは、二価の二重特異性抗体であり、VHドメインおよびVLドメインが、単一ポリペプチド鎖上に発現されるが、同じ鎖上の2つのドメインの間で対形成できないほど短いリンカーを用いて発現されるため、それによって、それらのドメインを別の鎖の相補的なドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を生じさせる(例えば、Holliger,P.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.ら(1994)Structure 2:1121-1123を参照のこと)。そのような抗体結合部分は、当該分野で公知である(Kontermann and Dubel eds.,Antibody Engineering(2001)Springer-Verlag.New York.790 pp.(ISBN 3-540-41354-5)。
【0088】
「塩基性アミノ酸」とは、生理学的pHにおいて正電荷を示すアミノ酸のことを指す。遺伝的にコードされる疎水性アミノ酸としては、ヒスチジン、リジンおよびアルギニンが挙げられる。
【0089】
本明細書中で使用されるとき、用語「生物学的サンプル」とは、被験体から得られたサンプルのことを指し、それらとしては、インビボまたはインビトロにおいて得られた生体組織または体液起源のサンプルが挙げられる。そのようなサンプルは、ヒトを含む哺乳動物から単離された、体液(例えば、血液、血漿、血清、乳、髄液、腹水または尿)、器官、組織、画分および細胞であり得るが、これらに限定されない。生物学的サンプルには、組織を含む生物学的サンプルの切片(例えば、器官または組織の断面部分)も含まれ得る。生物学的サンプルには、生物学的サンプルからの抽出物、例えば、生体液(例えば、血液または尿)からの抗原も含まれ得る。
【0090】
用語「C末端リジン」とは、免疫グロブリンの重鎖のC末端のことを指す。好ましくは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基が存在する。C末端リジンの後にただ1つのアミノ酸残基が存在する(アミノ酸位+1)1つの実施形態において、そのC末端リジンのすぐ隣のアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンおよびヒスチジンからなる群より選択される。1つより多いアミノ酸残基がC末端リジンに付加される場合(アミノ酸位+1、+2など)、C末端リジンのすぐ隣のアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸から選択され得る。2つのアミノ酸残基がC末端リジンに付加される1つの実施形態において、C末端リジンのすぐ隣のアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸であり、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+2)は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。2つのアミノ酸残基がC末端リジンに付加される1つの実施形態において、C末端リジンに隣接する1番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、リジンまたはアルギニンである。
【0091】
1つの実施形態において、C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1)が存在する。別の実施形態において、C末端リジンの後に2つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1および+2)が存在する。なおも別の実施形態において、C末端リジンの後に、3つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2および+3)、4つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3および+4)、5つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4および+5)、6つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5および+6)、7つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6および+7)、8つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7および+8)、9つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8および+9)、10個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9および+10)、11個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10および+11)、12個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11および+12)、13個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12および+13)、14個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13および+14)、15個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14および+15)、16個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15および+16)、17個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16および+17)、18個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17および+18)、19個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18および+19)または20個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19および+20)が存在する。
【0092】
1つの実施形態において、C末端リジンの後のアミノ酸残基は、GTYFQAYGT(配列番号1)を含まない。1つの実施形態において、C末端リジンの後のアミノ酸残基は、GECTYFQAYGCTE(配列番号2)を含まない。1つの実施形態において、C末端リジンの後のアミノ酸残基は、GENTYFQAYGNTE(配列番号3)を含まない。
【0093】
1つの実施形態において、C末端リジンは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のリジン447である。別の実施形態において、C末端リジンは、IgDまたはIgEのC末端リジンである。別の実施形態において、用語「C末端リジン」とは、IgA1、IgA2またはIgMの尾部の前の最後のリジン残基のことを指す。1つの実施形態において、IgA1、IgA2またはIgMの尾部は、除去される。1つの実施形態において、IgA1、IgA2またはIgMの尾部は、除去されない。それらの抗体についての尾部の配列を下記に示す:
IgA1 PTHVNVSVVMAEVDGTCY(配列番号4)
IgA2 PTHVNVSVVMAEVDGTCY(配列番号4)
IgM PTLYNVSLVMSDTAGTCY(配列番号5)
【0094】
別の実施形態において、1つまたは複数のアミノ酸残基が、免疫グロブリンの重鎖のC末端から除去、例えば、欠失され得、C末端リジン残基の後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が、その免疫グロブリンに付加され得る。例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4免疫グロブリンのアミノ酸残基446および447が欠失され得、C末端リジンの後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が付加され得、次いで、微生物トランスグルタミナーゼが、その免疫グロブリンのC末端リジンをアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化させ得る。換言すれば、免疫グロブリンが、野生型のアミノ酸位446および447を除去するように変異している場合、そのC末端リジンは、例えば、その免疫グロブリンのアミノ酸位446に存在し得る。次いで、1つまたは複数のさらなるアミノ酸残基が、本明細書中に記載されるように、C末端リジンに、例えば、アミノ酸位+1、+2、+3、+4などにおいて付加され得る。1つの実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸残基が、免疫グロブリンの重鎖のC末端から除去、例えば、欠失され得、C末端リジン残基に続いて、少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が、本明細書中に記載されるように、その免疫グロブリンに、例えば、アミノ酸位+1、+2、+3、+4などにおいて付加され得る。
【0095】
別の実施形態において、CH3ドメインは、免疫グロブリンの重鎖のC末端から除去され、C末端リジン残基の後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が、その免疫グロブリンに付加され得る。別の実施形態において、CH2ドメインとCH3ドメインの両方が、免疫グロブリンの重鎖のC末端から除去され、C末端リジン残基の後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が、その免疫グロブリンに付加され得る。別の実施形態において、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインが、免疫グロブリンの重鎖のC末端から除去され、C末端リジン残基の後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が、その免疫グロブリンに付加され得る。なおも別の実施形態において、CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインが、免疫グロブリンの重鎖のC末端から除去され、C末端リジン残基の後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基が、その免疫グロブリンに付加され得る。
【0096】
用語「クリックケミストリー」とは、高収率で非常に選択的な信頼できる正当なタンパク質の合成および/または結合体化のための特定の反応のことを指す。例えば、Kingら、“Developments in the Field of Bioorthagonal Bond Forming Reactions-Past and Present Trends”,Bioconjug.Chem.,(2014)25(5):825-839;McKayら、“Click Chemistry in Complex Mixtures:Bioorthagonal Bioconjugation”,Chem.Biol.,(2014)21(9):1075-1101を参照のこと。
【0097】
用語「キメラ化された」、「キメラ」、「キメラ抗体」および同様の用語は、1つの供給源または種に由来する、重鎖可変領域および軽鎖可変領域、すなわち、抗原結合領域、ならびに異なる供給源または種に由来する重鎖定常領域および軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリンのことを指す。これらの一部は、従来の技法(例えば、合成)によって化学的に一緒に繋がれ得るか、または遺伝子操作技法を用いて、連続したポリペプチドとして調製され得る(例えば、キメラ抗体のタンパク質部分をコードするDNAが発現されて、連続したポリペプチド鎖が生成され得る)。本開示によって包含される他の形態の「キメラ免疫グロブリン」は、そのクラスまたはサブクラスが、元の免疫グロブリンのクラスまたはサブクラスから、改変または変更された免疫グロブリン(「クラススイッチ免疫グロブリン」とも称される)である。本開示全体にわたって、キメラ免疫グロブリンは、「xi」と称される。本明細書中で、「キメラ免疫グロブリン」および同様の用語は、その抗体を作製するために用いられるプロセスではなく、その免疫グロブリンの配列のことを指す。
【0098】
本明細書中で使用されるとき、「Lys447」または「リジン447」とは、免疫グロブリンの重鎖定常領域のアミノ酸位447におけるリジン残基のことを指し(EUナンバリングシステムを用いてナンバリングされたとき)、それは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgDおよびIgEにおけるC末端のコドンである。
【0099】
本明細書中で使用されるとき、「機能性物質」とは、治療的、診断的または他の機能的な特性(複数可)を有する作用物質(agent)のことを指す。1つの実施形態において、
機能性物質は、治療薬であり得る。別の実施形態において、機能性物質は、診断薬であり得る。機能性物質は、大分子または小分子であり得る。大分子の機能性物質としては、抗体およびその抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。小分子の機能性物質としては、化学療法剤、細胞傷害剤、抗生物質、生物学的プロセスを制御し得る他の有機化合物(例えば、薬物)およびポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
用語「ヒト化」、「ヒト化免疫グロブリン」および同様の用語は、フレームワークまたは「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンのそれと比べて異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように改変された免疫グロブリンのことを指す。たいていは、ヒト化免疫グロブリンは、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類)(ドナー免疫グロブリン)の超可変領域由来の残基によって置き換えられた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント免疫グロブリン)である。いくつかの場合では、ヒト免疫グロブリンのFWR残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化免疫グロブリンは、レシピエント免疫グロブリンまたはドナー免疫グロブリンに見出されない残基を含み得る。これらの改変は、免疫グロブリンの性能をさらに洗練させるために行われる。一般に、ヒト化免疫グロブリンは、少なくとも1つの、代表的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、ここで、超可変ループの全部または実質的に全部が、非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、FWRの全部または実質的に全部が、ヒト免疫グロブリン配列のそれである。ヒト化免疫グロブリンは、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、代表的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含み得る。例えば、Riechmann,L.ら、Nature 332(1988)323-327;およびNeuberger,M.S.ら、Nature 314(1985)268-270を参照のこと。本開示全体にわたって、「ヒト化免疫グロブリン」は、「zu」と称される。本明細書中で、「ヒト化免疫グロブリン」および同様の用語は、その免疫グロブリンを作製するために用いられるプロセスではなく、その免疫グロブリンの配列のことを指す。
【0101】
用語「診断薬」とは、インビボイメージング研究(例えば、CT、MRIおよびX線)および/またはインビトロイメージング研究に有用であり得る化合物のことを指す。診断薬の非限定的な例としては、フルオロフォア、蛍光色素、放射性核種および酵素が挙げられる。
【0102】
用語「ドナー免疫グロブリン」とは、その可変領域、CDR、またはそれらの他の機能的フラグメントもしくはアナログのアミノ酸配列をヒト化免疫グロブリンに与えることによって、そのドナー免疫グロブリンに特徴的な抗原特異性および中和活性をヒト化免疫グロブリンに提供する非ヒト免疫グロブリンのことを指す。
【0103】
用語「レシピエント免疫グロブリン」とは、その重鎖フレームワーク領域および/もしくは軽鎖フレームワーク領域ならびに/またはその重鎖定常領域および/もしくは軽鎖定常領域のアミノ酸配列をヒト化免疫グロブリンに提供するドナー免疫グロブリンとは異種の免疫グロブリンのことを指す。レシピエント免疫グロブリンは、任意の哺乳動物に由来し得る。好ましい実施形態において、レシピエント免疫グロブリンは、ヒトにおいて非免疫原性である。好ましくは、レシピエント免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。
【0104】
「ヒト化」とは、ヒト化免疫グロブリンを作製するプロセスのことを指し、上記の特徴を有するヒト化免疫グロブリンを作製するための任意のプロセスを含み、そのプロセスとしては、インシリコヒト化、種/宿主のCDRを操作してヒト免疫グロブリンに組み込むこと、対応するヒトフレームワーク領域にマッチするようにキメラ免疫グロブリンのフレームワーク領域残基を置換することなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
「免疫グロブリン」は、本明細書中で使用されるとき、カッパおよびラムダ軽鎖、ならびにアルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー重鎖を含む免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドからなるタンパク質のことを指す。全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25Kdまたは214アミノ酸)は、NH2末端における可変領域遺伝子(約110アミノ酸)およびCOOH末端におけるカッパまたはラムダ定常領域遺伝子よってコードされる。同様に、全長免疫グロブリン「重鎖」(約50Kdまたは446アミノ酸)は、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上述の定常領域遺伝子の1つ、例えば、ガンマ(約330アミノ酸をコードする)によってコードされる。「免疫グロブリン」は、(a)免疫グロブリンポリペプチド、すなわち、特異的抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む免疫グロブリンファミリーのポリペプチド(別段特定されない限り、すべての免疫グロブリンのアイソタイプ(IgG、IgA、IgE、IgM、IgDおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)、サブクラス、ならびに各アイソタイプの様々なモノマー型およびポリマー型を含む);および(b)抗原に免疫特異的に結合する、そのような免疫グロブリンポリペプチドの保存的に置換されたバリアントを含む。免疫グロブリンは、例えば、Harlow & Lane,Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988)に広く記載されている。
【0106】
本明細書中に開示される免疫グロブリンの1つの形態は、抗体の基本構造単位を構成する。例えば、抗体は、四量体を含み得、同一の2対の免疫グロブリン鎖からなり、その各対は、1本の軽鎖および1本の重鎖を有する。一般に、各対において、軽鎖可変領域および重鎖可変領域が、一体となって、抗原への結合に関与し、定常領域が、抗体のエフェクター機能に関与する。
【0107】
免疫グロブリンは、抗体のほかに他の種々の形態で存在し得、それらとしては、例えば、いくつかの例を挙げれば、全長免疫グロブリンの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分(例えば、Fvフラグメント、Fabフラグメント、(Fab’)2フラグメントおよびFvフラグメント);および代替の抗体形式(例えば、一本鎖免疫グロブリン(scFVおよびscFab)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、線状抗体および多重特異性抗体)が挙げられる。例えば、James D.Marks,Antibody Engineering,Chapter 2,Oxford University Press(1995)(Carl K.Borrebaeck,Ed.)を参照のこと。
【0108】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、Fabフラグメントを含み得る。別の実施形態において、免疫グロブリンは、CH3ドメインを含み得る。別の実施形態において、免疫グロブリンは、重鎖を含み得る。
【0109】
本明細書中で使用されるとき、用語「免疫特異的に」とは、抗原であって、それに対して免疫グロブリンが生成された抗原に特異的に結合するが他のペプチドまたはタンパク質には特異的に結合しない、免疫グロブリンの能力を指す。抗原であって、それに対して免疫グロブリンが生成された抗原に免疫特異的に結合する免疫グロブリンは、例えば、イムノアッセイ、BIAcoreまたは当該分野で公知の他のアッセイによって決定されたとき、他のポリペプチドまたはタンパク質に結合し得ないか、または、抗原であって、それに対して免疫グロブリンが生成された抗原に対してよりも低い結合親和性で他のポリペプチドまたはタンパク質に結合し得る。免疫グロブリンは、実験技法(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)および酵素結合免疫吸着決定法(ELISA)であるがこれらに限定されない)を用いて測定されたとき、任意の交差反応性抗原に対するよりも高い結合親和性で、抗原であって、それに対して免疫グロブリンが生成された抗原に結合するとき、その抗原に免疫特異的に結合する(例えば、抗体特異性に関する考察について、Paul,ed.,Fundamental Immunology,2nd ed.,Raven Press,New York,pages 332-336(1989)を参照のこと)。
【0110】
「リンカー」は、本明細書中で使用されるとき、免疫グロブリンを(アシル供与体基質を介して)機能性物質または反応基に接続するための直鎖または分枝鎖であり得るスペーサーのことを指す。そのようなリンカーは、切断可能(例えば、酸に不安定またはプロテアーゼによって切断可能)であり得るか、または切断不可能であり得る。1つの実施形態において、リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)部分である。別の実施形態において、リンカーは、1つまたは複数のアミノ酸およびポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。
【0111】
用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核細胞クローンもしくは原核細胞クローンまたはファージクローンを含む単一の細胞クローンに由来する抗体のことを指すのであって、それを作製する方法を指すのではない。モノクローナル抗体は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す。用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術によって作製される抗体に限定されない。
【0112】
「天然」とは、免疫グロブリンが由来する種からの野生型免疫グロブリン配列のことを指す。
【0113】
本明細書中で使用されるとき、「同一性パーセント」および同様の用語は、2つまたはそれより多い核酸、ポリヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチドの間の配列の関係性を説明するために使用され、(a)参照配列、(b)比較ウィンドウ、(c)配列同一性および(d)配列同一性のパーセンテージを含む用語の文脈において、およびそれらの用語と関連されて理解される。
(a)「参照配列」は、配列比較のために基準として使用される定義された配列である。参照配列は、指定の配列のサブセットまたは全体;例えば、完全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全なcDNAもしくは遺伝子配列であり得る。ポリペプチドの場合、参照ポリペプチド配列の例示的な長さとしては、少なくとも約16アミノ酸、少なくとも約20アミノ酸、少なくとも約25アミノ酸、少なくとも約35アミノ酸、少なくとも約50アミノ酸または少なくとも約100アミノ酸が挙げられる。核酸の場合、参照核酸配列の例示的な長さとしては、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチドもしくは少なくとも約300ヌクレオチド、またはそれらの周辺の、もしくはそれらの間の任意の整数が挙げられる。
(b)「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の連続した指定のセグメントに対する言及を含み、ここで、そのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列は、参照配列と比較され得、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、参照配列(付加、置換または欠失を含まない)と比べて、それらの2つの配列の最適なアラインメントのために、付加、置換または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。例示的な比較ウィンドウは、少なくとも20個の連続したヌクレオチド長またはアミノ酸長であり得、任意選択で、30、40、50、100またはそれより長くてよい。当業者は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列にギャップを含めたことに起因して、参照配列に対して、誤りに導くような高い類似性を回避するために、代表的にはギャップペナルティ(gap penalty)が導入され、マッチ数から減じられることを理解している。
(c)比較するための配列アラインメントの方法は、当該分野で周知である。比較のための最適な配列アラインメントは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482,1981のローカルホモロジーアルゴリズム;Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443,1970のホモロジーアラインメントアルゴリズム;Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,8:2444,1988の類似性検索法;これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Intelligenetics,Mountain View,Calif.,によるPC/GeneプログラムにおけるCLUSTAL、Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),7 Science Dr.,Madison,Wis.,USAにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTAを含むがこれらに限定されない)(CLUSTALプログラムは、Higgins and Sharp,Gene,73:237-244,1988;Corpetら、Nucleic Acids Research,16:881-90,1988;Huangら、Computer Applications in the Biosciences,8:1-6,1992;およびPearsonら、Methods in Molecular Biology,24:7-331,1994によって十分に説明されている)によって行われ得る。データベース類似性検索に使用され得るBLASTファミリーのプログラムとしては、ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリー配列のためのBLASTN;タンパク質データベース配列に対するヌクレオチドクエリー配列のためのBLASTX;タンパク質データベース配列に対するタンパク質クエリー配列のためのBLASTP;ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質クエリー配列のためのTBLASTN;およびヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリー配列のためのTBLASTXが挙げられる。Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 19,Ausubelら、Eds.,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York,1995を参照のこと。上記プログラムの新しいバージョンまたは新しいプログラムが、将来、確実に利用可能になるので、それらも、本開示とともに使用され得る。
(d)「同一性パーセント」は、2つの最適にアラインメントされた配列を比較ウィンドウにわたって比較することによって決定された値を意味し、ここで、その比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の一部は、参照配列(付加、置換または欠失を含まない)と比べて、それらの2つの配列の最適なアラインメントのために、付加、置換または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。そのパーセンテージは、両方の配列の中に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を比較ウィンドウにおける位置の総数で除算し、その結果に100を乗算して、配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0114】
「薬学的有効量」とは、被験体を処置する免疫グロブリンの量のことを指す。
【0115】
「薬学的に許容され得るキャリア」とは、被験体に投与するための、本明細書中に記載されるような免疫グロブリンについての薬学的製剤の構成成分のことを指す。例えば、薬学的に許容され得るキャリアは、リポソーム系、脂質系および/またはナノ粒子系であり得る。
【0116】
用語「反応基」は、本明細書中で使用されるとき、他の化合物(例えば、機能性物質)と反応して少なくとも1つの共有結合を形成し得る化学的官能基のことを指す。1つの実施形態において、反応基は、クリックケミストリーカップリング反応において反応性である。反応基の非限定的な例としては、(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール(BCN)、
【化3】
trans-シクロオクテン(TCO)、アジド(N
3)、アルキン、テトラジンメチルシクロプロペン、ノルボルネン、ヒドラジド/ヒドラジンおよびアルデヒドが挙げられる。
【0117】
用語「被験体」は、本明細書中で使用されるとき、ヒトまたは非ヒト生物のことを指す。したがって、本明細書中に記載される方法、免疫グロブリンおよび結合体化された免疫グロブリンは、ヒトの疾患および状態ならびに獣医学的疾患および状態の両方に適用可能である。被験体は、「患者」、すなわち、疾患もしくは状態に対して診療を受けている生存しているヒトもしくは非ヒト生物、または病態の兆候もしくは特定の状態の存在/非存在について調査されている、既定の疾病を有しないヒトもしくは非ヒト生物であり得る。
【0118】
「置換する」とは、1つのアミノ酸残基を別のアミノ酸残基の代わりに用いることを指す。「置換する」には、例えば、アミノ酸残基をコードする1つまたは複数のDNA塩基対の中のミスセンス変異または1つのアミノ酸を別のアミノ酸で交換するタンパク質の操作が含まれる。
【0119】
本明細書中で使用されるとき、「処置する」および同様の用語は、疾患の症候の重症度および/または頻度を低下させること、疾患の症候および/または前記症候の根本原因を排除すること、疾患の症候および/またはそれらの根本原因の頻度または尤度を低下させること、ならびに疾患によって直接または間接的に引き起こされる損傷を改善または治療することを指す。
【0120】
用語「治療薬」は、状態を処置するために、投与することを必要とする被験体に投与され得る大分子または小分子を意味する。治療薬は、病状の1つまたは複数の症候に苦しんでいる被験体における病状の1つまたは複数の症候を処置するため、またはその発生を予防するため、その進行を遅延させるため、もしくはそれを回復させるために、投与され得る。治療薬としては、抗体またはその抗原結合部分、化学療法剤、放射性剤、細胞傷害剤、抗生物質などが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、治療薬は、小分子である。別の実施形態において、治療薬は、ポリペプチドである。
【0121】
本明細書中で使用されるとき、「~と90%同一」は、参照項目(例えば、生物学的配列)と少なくとも90%同一、91%同一、92%同一、93%同一、94%同一、95%同一、96%同一、97%同一、98%同一、99%同一または100%同一を包含する。
【0122】
以下の省略形が、本開示全体にわたって使用される:抗体薬物結合体(ADC);薬物対抗体比(DAR);フレームワーク領域(FWR);相補性決定領域(CDR);アウリスタチン(auristatin)F(AuF);可変重鎖領域(VH);可変軽鎖領域(VL);可変カッパ(Vκ);ガンマ定常領域(Cγ);カッパ定常領域(Cκ);モノクローナル抗体(mAb);EUナンバリングシステムを用いてナンバリングされたとき免疫グロブリンの重鎖のアミノ酸位447におけるリジン(Lys447)。
結合体化された免疫グロブリンの作製
【0123】
結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法が、本明細書中に開示され、その方法は、微生物トランスグルタミナーゼ、およびアシル供与体基質を含む機能性物質とともに、免疫グロブリンをインキュベートする工程を含み、a)その免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、b)そのアシル供与体基質は、グルタミン残基を含み、c)その機能性物質は、治療薬または診断薬であり、その微生物トランスグルタミナーゼは、免疫グロブリンのC末端リジンを機能性物質上のアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化させ、それによって、結合体化された免疫グロブリンを作製する。
【0124】
結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法も本明細書中に開示され、その方法は、i)微生物トランスグルタミナーゼおよびアシル供与体基質とともに免疫グロブリンをインキュベートする工程(ここで、a)その免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、b)そのアシル供与体基質は、グルタミン残基および反応基を含み、その微生物トランスグルタミナーゼは、免疫グロブリンのC末端リジンをアシル供与体基質のグルタミン残基に結合体化させる)およびii)アシル供与体基質の反応基に機能性物質を結合体化させる工程(ここで、その機能性物質は、治療薬または診断薬である)を含み、それによって、結合体化された免疫グロブリンを作製する。
【0125】
結合体化は、アシル供与体基質を含む機能性物質を溶解液に溶解し、溶解した機能性物質を免疫グロブリンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに結合体化バッファー中でインキュベートすることによって行われ得る。結合体化は、アシル供与体基質を溶解液に溶解し、そのアシル供与体基質を免疫グロブリンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに結合体化バッファー中でインキュベートすることによっても行われ得る。
【0126】
水不溶性の機能性物質およびアシル供与体基質の場合、好適な溶解液としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの水混和性有機溶媒が挙げられる。水可溶性の機能性物質およびアシル供与体基質の場合、好適な溶解液としては、水または緩衝水溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水,pH7.2(1×PBS)またはDPBS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
機能性物質またはアシル供与体基質の好適な濃度としては、約10μM~約800mM、約10mM~約100mM、約25mM~約100mM、約40mM~約100mM、約55mM~約100mM、約70mM~約100mM、約10mM~約90mM、約10mM~約75mM、約10mM~約60mM、約10mM~約50mM、約10mM~約40mMまたは約10mM~約30mMが挙げられる。
【0128】
いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約10μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約25μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約50μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約100μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約250μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約500μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約750μMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約1mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約10mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約20mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約30mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約40mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約50mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約60mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約70mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約80mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約90mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約100mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約150mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約200mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約250mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約300mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約350mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約400mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約450mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約500mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約550mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約600mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約650mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約700mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約750mMであり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質の濃度は、約800mMであり得る。
【0129】
免疫グロブリンの好適な濃度としては、約0.1mg/ml~約20mg/ml、約0.5mg/ml~約20mg/ml、約1mg/ml~約20mg/ml、約5mg/ml~約20mg/ml、約10mg/ml~約20mg/ml、約0.1mg/ml~約15mg/ml、約0.1mg/ml~約12mg/ml、約0.1mg/ml~約10mg/ml、約0.1mg/ml~約5mg/mlまたは約0.1mg/ml~約2mg/mlが挙げられる。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約0.1mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約0.5mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約1mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約2mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約5mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約10mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約15mg/mlであり得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンの濃度は、約20mg/mlであり得る。
【0130】
機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの好適な比としては、約1:1~100:1が挙げられる。1つの実施形態において、機能性物質とアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、約25:1~約75:1である。別の実施形態において、機能性物質とアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、約40:1~約60:1である。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、1:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、2:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、3:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、4:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、5:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、6:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、7:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、8:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、9:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、10:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、11:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、12:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、13:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、14:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、15:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、16:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、17:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、18:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、19:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、20:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、25:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、30:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、35:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、40:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、45:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、50:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、60:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、70:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、80:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、90:1であり得る。いくつかの実施形態において、機能性物質またはアシル供与体基質:免疫グロブリンの比は、100:1であり得る。
【0131】
インキュベートする工程は、いくつかの好適な結合体化バッファー中で行われ得、その結合体化バッファーとしては、いくつかの例を挙げれば、例えば、DPBS、1×PBS,pH7.2、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、TrisおよびHEPESが挙げられる。結合体化バッファーの濃度としては、約5mM~約2M、約5mM~約1M、約5mM~約500mM、約5mM~約100mM、約10mM~約100mM、約20mM~約100mM、約30mM~約100mM、約45mM~約100mM、約60mM~約100mM、約75mM~約100mM、約10mM~約90mM、約10mM~約75mM、約10mM~約60mM、約10mM~約45mMまたは約10mM~約30mMが挙げられる。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約10mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約20mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約30mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約40mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約50mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約60mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約70mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約80mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約90mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約100mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約250mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約500mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約750mMであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約1Mであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約1.25Mであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約1.5Mであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約1.75Mであり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーの濃度は、約2Mであり得る。
【0132】
結合体化バッファーは、塩化ナトリウムをさらに含み得る。塩化ナトリウムの好適な濃度としては、約0mM~約2M、約0mM~約1M、約1M~約2M、約500mM~約1.5M、約25mM~約500mM、約50mM~約500mM、約75mM~約500mM、約100mM~約500mM、約150mM~約500mM、約200mM~約500mM、約250mM~約500mM、約300mM~約500mM、約350mM~約500mM、約400mM~約500mM、約0mM~約400mM、約0mM~約350mM、約0mM~約300mM、約0mM~約250mM、約0mM~約200mM、約0mM~約150mM、約0mM~約100mM、約0mM~約50mMまたは約0mM~約25mMが挙げられる。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約25mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約50mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約75mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約100mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約150mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約200mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約250mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約300mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約350mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約400mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約500mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約750mMであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約1Mであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約1.25Mであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約1.5Mであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約1.75Mであり得る。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウム濃度は、約2Mであり得る。
【0133】
結合体化バッファーのpHは、約4~約9であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約5~約8であり得る。別の実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6~約7であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約4であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約4.5であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約5であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約5.5であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6.0であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6.5であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6.6であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6.7であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6.8であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約6.9であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.0であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.1であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.2であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.3であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.4であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.5であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.6であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.7であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.8であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約7.9であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約8.0であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約8.1であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約8.2であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約8.3であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約8.4であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約8.5であり得る。いくつかの実施形態において、結合体化バッファーのpHは、約9であり得る。
【0134】
結合体化バッファーにおける機能性物質またはアシル供与体基質の溶解度を高めるために、結合体化バッファーにおける水混和性有機溶媒の最終濃度は、約0%~約20%、約2%~約20%、約5%~約20%、約8%~約20%、約11%~約20%、約16%~約20%、約0%~約18%、約0%~約15%、約0%~約12%、約0%~約10%、約0%~約8%、約0%~約6%または約0%~約2%であり得る。
【0135】
結合体化バッファーは、結合体化バッファーにおけるチオール反応性化合物の溶解度を高めるために、プロピレングリコールをさらに含み得る。プロピレングリコールの好適な濃度としては、約1%~約50%、約20%~約50%、約30%~約50%、約40%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%または約10%~約20%が挙げられる。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、約1%または約5%であり得る。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、約10%であり得る。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、約20%であり得る。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、約30%であり得る。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、約40%であり得る。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールの濃度は、約50%であり得る。
【0136】
結合体化バッファーは、結合体化バッファーにおける結合体化された免疫グロブリンの溶解度を高めるために非イオン性界面活性剤をさらに含み得る。例示的な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート-20またはポリソルベート-80が挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の好適な濃度としては、約0%~約1%、約0.1%~約1%、約0.3%~約1%、約0.5%~約1%、約0.7%~約1%、約0%~約0.8%、約0%~約0.6%、約0%~約0.4%または約0%~約0.2%が挙げられる。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.1%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.2%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.3%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.4%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.5%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.6%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.7%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.8%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.9%であり得る。いくつかの実施形態において、非イオン性界面活性剤の濃度は、約1.0%であり得る。
【0137】
インキュベートする工程は、約30分間~約48時間、約1時間~約48時間、約2時間~約24時間、約24時間~約48時間、約30時間~約48時間、約36時間~約48時間、約42時間~約48時間、約2時間~約42時間、約2時間~約36時間、約2時間~約30時間、約2時間~約24時間、約2時間~約18時間、約2時間~約12時間、約30分間~約1時間、約30分間~約2時間または約2時間~約6時間、行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、約30分間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、約1時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、約1.5時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、2時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、6時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、12時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、18時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、24時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、30時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、36時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、42時間行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、48時間行われ得る。
【0138】
インキュベートする工程の温度は、約4℃~約50℃、約18℃~約37℃、約20℃~約37℃、約22℃~約37℃、約24℃~約37℃、約26℃~約37℃、約28℃~約37℃、約30℃~約37℃、約32℃~約37℃、約34℃~約37℃、約18℃~約34℃、約18℃~約32℃、約18℃~約30℃、約18℃~約28℃、約18℃~約26℃または約18℃~約24℃であり得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、4℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、18℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、20℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、22℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、24℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、26℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、28℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、30℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、32℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、34℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、37℃において行われ得る。いくつかの実施形態において、インキュベートする工程は、50℃において行われ得る。
【0139】
組み込まれていない機能性物質またはアシル供与体基質は、いくつかの好適な樹脂を用いる脱塩クロマトグラフィーによって、結合体化された免疫グロブリンから分離され得、それらの樹脂としては、G-25樹脂、G-50樹脂、Biogel P10、または5,000~10,000Daの範囲の排除限界を有する他の樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。クロマトグラフィーは、スケールに応じて、カラム形式またはスピンカラム形式において行われ得る。脱塩に好適なバッファとしては、例えば、DPBS、1×PBS、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、Trisが挙げられるか、またはHEPESベースの緩衝液が、1×PBSの代わりに用いられ得る。
【0140】
第1の実施形態において、アシル供与体基質を介してC末端リジンで結合体化されたグルタミン残基を含むアシル供与体基質を含む機能性物質。この第1の実施形態において、機能性物質は、アシル供与体基質と合わせられた後、アシル供与体基質上の反応基を機能性物質と反応させることによって免疫グロブリンに結合体化される。第2の実施形態では、グルタミン残基および反応基を含むアシル供与体基質が、まず免疫グロブリンに結合体化され、次いで、その反応基が、機能性物質に繋がれる。
【0141】
アシル供与体基質は、リンカー「L」を含み得る。リンカーは、切断不可能なリンカーまたは切断可能なリンカーであり得る。例示的なリンカーとしては、例えば、ジスルフィド含有リンカー、アセタールに基づくリンカーおよびケタールに基づくリンカーが挙げられる。いくつかの態様において、リンカーは、切断不可能なリンカーであり得る。好適な切断不可能なリンカーとしては、1つまたは複数のアミノ酸、ポリエチレングリコール(PEG)またはアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リンカーは、PEGを含み得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであり得る。好適な切断可能なリンカーとしては、例えば、バリン-シトルリン-パラアミノベンジルが挙げられる。いくつかの態様において、リンカーは、ジスルフィド含有リンカーであり得る。いくつかの態様において、リンカーは、アセタールに基づくリンカーであり得る。いくつかの態様において、リンカーは、ケタールに基づくリンカーであり得る。リンカーは、1つもしくは複数のアミノ酸単独、または1つもしくは複数のPEG基などの別のリンカーと組み合わせた1つもしくは複数のアミノ酸でもあり得る。
【0142】
グルタミン残基を含むアシル供与体基質は、機能性物質の中に存在し得るか、機能性物質の一部であり得るか、または機能性物質に付着され得る。好適な機能性物質としては、例えば、フルオロフォア、蛍光色素、ポリペプチド、免疫グロブリン、抗生物質、核酸、放射性核種、化学的リンカー、小分子、キレート剤、脂質、核酸(例えば、DNAまたはRNA)および薬物が挙げられる。いくつかの態様において、機能性物質は、フルオロフォアを含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、蛍光色素を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、ポリペプチドを含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、免疫グロブリンを含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、抗生物質を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、放射性核種を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、小分子を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、キレート剤(例えば、とりわけ、DOTA、CHX-A”-DTPA、NOTA)を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、脂質を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、薬物を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、上に列挙された機能性物質のいずれかの組み合わせを含み得る。
【0143】
アシル供与体基質(すなわち、第1のアシル供与体基質)は、第2のアシル供与体基質またはリンカーに結合され得、その第2のアシル供与体基質またはリンカーは、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を有する第2の免疫グロブリンに結合され、その第2の重鎖可変領域は、C末端リジンを有し、そのC末端リジンは、そのリジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。例えば、第1のアシル供与体基質および第2のアシル供与体基質は、それぞれ、第1および第2の機能性物質として第1および第2の化学的リンカーを有し得る。第1および第2の化学的リンカーは、いくつかの好適な手段(例えば、クリックケミストリーが挙げられる)によって互いに結合され得る。
【0144】
1つの実施形態において、アシル供与体基質を含む機能性物質は、式(I)または(II):
(Z)m-Gln-(L)n-(Y) (I)
(Y)-(L)n-Gln-(Z)m (II)
のうちの1つに記載のものであり、式中、Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、それらの炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;mは、0~5の整数であり;nは、0~5の整数であり;Yは、機能性物質である。
【0145】
別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)または(IV):
(Z)m-Gln-(L)n-(X) (III)
(X)-(L)n-Gln-(Z)m (IV)
のうちの1つに記載のものであり、式中、Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、それらの炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;mは、0~5の整数であり;nは、0~5の整数であり;Xは、反応基である。
【0146】
1つの実施形態において、Zは、CBZ基である。別の実施形態において、Zは、アミノ酸残基である。
【0147】
1つの実施形態において、Lは、アミノ酸残基である。1つの実施形態において、nは、2~5であり、各Lは、独立して、アミノ酸残基である。別の実施形態において、Lは、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、その炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得る。別の実施形態において、Lは、ポリエチレングリコール(PEG)部分である。別の実施形態において、nは、2~5であり、1つまたは複数のLは、1つまたは複数のアミノ酸を含み、1つまたは複数の追加のL基は、ポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。
【0148】
1つの実施形態において、mは、0である。別の実施形態において、mは、1である。別の実施形態において、mは、2である。別の実施形態において、mは、3である。別の実施形態において、mは、4である。別の実施形態において、mは、5である。
【0149】
1つの実施形態において、nは、0である。別の実施形態において、nは、1である。別の実施形態において、nは、2である。別の実施形態において、nは、3である。別の実施形態において、nは、4である。別の実施形態において、nは、5である。
【0150】
1つの実施形態において、Xは、(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール(BCN)である。別の実施形態において、Xは、
【化4】
である。別の実施形態において、Xは、trans-シクロオクテン(TCO)である。別の実施形態において、Xは、アジド(N
3)である。別の実施形態において、Xは、アルキンである。別の実施形態において、Xは、テトラジンメチルシクロプロペンである。別の実施形態において、Xは、ノルボルネンである。別の実施形態において、Xは、ヒドラジド/ヒドラジンである。別の実施形態において、Xは、アルデヒドである。
【0151】
式(I)に記載のアシル供与体基質についての1つの実施形態において、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH2)2)-)、エチルアミン(-NH((CH2)2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH2)3)-)であり;nは、0、1、2または3である。
【0152】
別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である。1つの実施形態において、Lは、Glyである。この実施形態の1つの態様において、mは、1であり、nは、1である。
【0153】
1つの実施形態において、アシル供与体基質は、式(II)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである。
【0154】
式(III)に記載のアシル供与体基質についての1つの実施形態において、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH2)2)-)、エチルアミン(-NH((CH2)2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH2)3)-)であり;nは、0、1、2または3である。
【0155】
別の実施形態において、アシル供与体基質は、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である。1つの実施形態において、Lは、Glyである。この実施形態の1つの態様において、mは、1であり、nは、1である。
【0156】
1つの実施形態において、アシル供与体基質は、式(IV)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである。
【0157】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された1~20個のアミノ酸残基を有する。1つのアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加されている1つの実施形態において、C末端リジンに隣接する付加されたアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンおよびヒスチジンからなる群より選択される。1つのアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加されている1つの実施形態において、C末端リジンに隣接する付加されたアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、プロリン、アスパラギン酸またはグルタミン酸ではない。1つのアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加されている1つの実施形態において、C末端リジンに隣接する付加されたアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、リジンまたはアルギニンではない。
【0158】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された2つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1および+2)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された3つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2および+3)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された4つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3および+4))を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された5つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4および+5)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された6つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5および+6)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された7つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6および+7)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された8つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7および+8)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された9つのアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8および+9)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された10個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9および+10)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された11個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10および+11)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された12個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11および+12)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された13個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12および+13)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された14個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13および+14)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された15個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14および+15)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された16個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15および+16)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された17個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16および+17)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された18個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17および+18)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された19個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18および+19)を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された20個のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19および+20)を有する。
【0159】
1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された9つ未満のアミノ酸残基を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された13個未満のアミノ酸残基を有する。1つの実施形態において、免疫グロブリンは、C末端リジン(例えば、Lys447)の後に付加された配列:GTYFQAYGT(配列番号1)、GECTYFQAYGCTE(配列番号2)またはGENTYFQAYGNTE(配列番号3)を有しない。
【0160】
2つまたはそれより多いアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加されているかまたは存在している1つの実施形態において、C末端リジンの後に付加されたまたは存在する最後のアミノ酸残基(すなわち、C末端リジンから最も遠い付加されたアミノ酸残基)は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。2つまたはそれより多いアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加されているかまたは存在している1つの実施形態において、C末端リジンの後に付加されたまたは存在する最後のアミノ酸残基は、リジンまたはアルギニンではない。
【0161】
開示される方法は、ヒト化免疫グロブリンに対して行われ得る。したがって、いくつかの実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト化免疫グロブリンであり得る。
【0162】
開示される方法は、ヒト免疫グロブリンに対して行われ得る。したがって、いくつかの実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンであり得る。別の実施形態において、免疫グロブリンは、非ヒト免疫グロブリンであり得る。
【0163】
1つの実施形態において、開示される方法は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4免疫グロブリンに対して行われ得る。1つの実施形態において、その方法は、IgG1免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgG2免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgG3免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgG4免疫グロブリンに対して行われる。
【0164】
1つの実施形態において、開示される方法は、IgA1、IgA2またはIgM免疫グロブリンに対して行われ得る。1つの実施形態において、その方法は、IgA1免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgA2免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgM免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、IgAまたはIgM免疫グロブリンは、尾部を有する。別の実施形態において、IgAまたはIgM免疫グロブリンの尾部は、除去されている。
【0165】
1つの実施形態において、その方法は、IgDまたはIgE免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgD免疫グロブリンに対して行われる。1つの実施形態において、その方法は、IgE免疫グロブリンに対して行われる。
【0166】
本明細書中に記載される方法のため、1つの実施形態において、微生物トランスグルタミナーゼは、Actinomadura sp.T-2、Bacillus circulans BL32、Bacillus subtilisの胞子、Corynebacterium ammoniagenes、Corynebacterium glutamicum、Enterobacter sp.C2361、Providencia
sp.C1112、Streptoverticillium mobaraense(別名、Streptomyces mobarensis)、Streptomyces platensis M5218、Streptomyces hygroscopicus、Streptomyces lividans、Streptomyces lividans JT46/pAE053、Streptomyces lydicus、Streptomyces platensis、Streptomyces sioyansis、Streptoverticillium griseocarneum、Streptoverticillium ladakanum NRRL-3191、Streptoverticillium sp.s-8112またはStreptococcus suis由来である。1つの実施形態において、微生物トランスグルタミナーゼは、Streptomyces mobarensis由来である。
【0167】
本明細書中に記載される方法のため、1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、Medicago sativa、Beta vulgaris、Helianthus tuberosus、Zea mays、Glycine max、Arabidopsis thaliana、Nicotiana tabacum、Chlamydomonas reinhardtii、Dunaliella salina、Oryza sativaおよびRos
marinus officinalis Lからなる群より選択される植物から単離される。
【0168】
本明細書中に記載される方法のため、1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、哺乳動物の(mamillian)トランスグルタミナーゼであり、トランスグルタミナーゼ1~7および第XIII因子から単離される。
【0169】
1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、本明細書中に記載される微生物トランスグルタミナーゼと少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼは、Streptomyces mobarensis由来の微生物トランスグルタミナーゼと少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。トランスグルタミナーゼ酵素は、Ajinomoto(登録商標)またはZedira(製品番号T001)から購入され得る。別の実施形態において、トランスグルタミナーゼは、精製される。別の実施形態において、トランスグルタミナーゼは、組換え的に発現され、続いて、当業者に公知の方法を用いて精製される。
【0170】
1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約0.1単位/mL~約250単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約1単位/mL~約25単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約1単位/mL~約25単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約0.1単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約0.5単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約1単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約5単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約10単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約15単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約20単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約25単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約50単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約75単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約100単位/mLの濃度で存在する。1つの実施形態において、トランスグルタミナーゼ酵素は、本明細書中に記載される方法において、約150単位/mL、200単位/mLまたは250単位/mLの濃度で存在する。
【0171】
本明細書中に提供される方法のために、1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、約1:1~約2:1である。1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、約1:1~約2:1である。1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、約1:1である。1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、約2:1である。1つの実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、既知であり、本明細書中に開示される方法に従うことによって、一貫して再現性がある。機能性物質と免疫グロブリンの比は、本明細書中で使用されるとき、組成物中の抗体プールにおける機能性物質と免疫グロブリンの結合体化比の平均に基づいて算出される。
【0172】
少なくとも2つのさらなるアミノ酸残基がC末端リジンの後に存在し、その少なくとも2つのさらなるアミノ酸残基のうちの1つがリジンを含む、本明細書中に提供される実施形態において、機能性物質と免疫グロブリンの比は、リジンであるさらなるアミノ酸残基の数に基づいて増加する。例えば、2つのさらなるアミノ酸残基がC末端リジンの後に存在し、そのさらなるアミノ酸残基のうちの1つもリジンであるとき、2つのリジン残基が存在することにより、4つのアミド基転移部位および約2:1~約4:1という機能性物質と免疫グロブリンの比を有する抗体がもたらされる。別の例として、5つのさらなるアミノ酸残基がC末端リジンの後に存在し、そのさらなるアミノ酸残基のうちの2つがリジンであるとき、(合計)3つのリジン残基が存在することにより、6つのアミド基転移部位および約2:1~約6:1という機能性物質と免疫グロブリンの比を有する抗体がもたらされる。
結合体化された免疫グロブリン
【0173】
本明細書中に開示される免疫グロブリンのいずれかを含む結合体化された免疫グロブリンも本明細書中に開示され、ここで、そのC末端位置におけるリジン(例えば、447位のリジン、すなわち「Lys447」)は、そのC末端リジンの後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基を有し、アシル供与体基質を含む機能性物質に結合体化され、そのアシル供与体基質は、グルタミン残基を含む。さらなる実施形態は、本明細書中に開示される免疫グロブリンのいずれかを含む結合体化された免疫グロブリンを含み、ここで、そのC末端位置におけるリジン(例えば、447位のリジン、すなわち「Lys447」)は、そのC末端リジンの後に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基を有し、アシル供与体基質に結合体化され、そのアシル供与体基質は、グルタミン残基および反応基を含み、その反応基は、その免疫グロブリンへのアシル供与体基質の結合体化の後に機能性物質と反応させることができる。
【0174】
1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンまたはヒスチジンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、グリシンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、アラニンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、バリンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、ロイシンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、イソロイシンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、メチオニンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、フェニルアラニンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、チロシンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、トリプトファンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、セリンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、トレオニンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、システインを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、アスパラギンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、グルタミンを含む。1つの実施形態において、C末端リジンに隣接するアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、ヒスチジンを含む。1つのアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加されている1つの実施形態において、C末端リジンに隣接する付加されたアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはアルギニンではない。
【0175】
別の実施形態において、1つより多いアミノ酸が、C末端リジンに付加される場合、最後のさらなるアミノ酸(すなわち、付加されたアミノ酸残基のC末端に位置するアミノ酸)は、リジンまたはアルギニンを除く任意のアミノ酸であり得る。例えば、2つのアミノ酸残基が、C末端リジンの後に付加される場合、その配列は、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+1)およびC末端リジンの後の2番目のアミノ酸(アミノ酸位+2)を含み、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+1)は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+2)は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。1つの実施形態において、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、リジンまたはアルギニンである。別の実施形態において、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+2)は、リジンまたはアルギニンではない。
【0176】
別の例として、5つのアミノ酸残基がC末端リジンの後に付加される場合(アミノ酸位+1、+2、+3、+4および+5)、その配列は、C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+1)、C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+2)、C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+3)、C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+4)およびC末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+5)を含む。C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基は、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり得る。C末端リジンの後の2番目、3番目および4番目のアミノ酸残基は、任意のアミノ酸であり得る。しかしながら、C末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+5)は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される。別の実施形態において、C末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+5)は、リジンまたはアルギニンではない。別の実施形態において、C末端リジンの後の1番目、2番目、3番目または4番目のアミノ酸残基(アミノ酸位+1、+2、+3および/または+4)は、それぞれリジンまたはアルギニンであり得る。
【0177】
いくつかの実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト化免疫グロブリンであり得る。他の実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。別の実施形態において、免疫グロブリンは、キメラ免疫グロブリンである。
【0178】
グルタミン残基および反応基を含むアシル供与体基質は、リンカー「L」も含み得る。同様に、グルタミン残基を含むアシル供与体基質を含む機能性物質は、機能性物質とその分子のアシル供与体基質部分との間にリンカーを有し得る。リンカーは、切断不可能なリンカーまたは切断可能なリンカーであり得る。例示的なリンカーとしては、例えば、ジスルフィド含有リンカー、アセタールに基づくリンカーおよびケタールに基づくリンカーが挙げられる。いくつかの態様において、リンカーは、切断不可能なリンカーであり得る。好適な切断不可能なリンカーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)またはアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リンカーは、PEGを含み得る。いくつかの態様において、リンカーは、切断可能なリンカーであり得る。好適な切断可能なリンカーとしては、例えば、バリン-シトルリン-パラアミノベンジルが挙げられる。いくつかの態様において、リンカーは、ジスルフィド含有リンカーであり得る。いくつかの態様において、リンカーは、アセタールに基づくリンカーであり得る。いくつかの態様において、リンカーは、ケタールに基づくリンカーであり得る。
【0179】
本発明の結合体化された免疫グロブリンは、機能性物質を含む。好適な機能性物質としては、例えば、治療薬または診断薬が挙げられる。好適な機能性物質としては、例えば、フルオロフォア、蛍光色素、ポリペプチド、免疫グロブリン、抗生物質、核酸、放射性核種、化学的リンカー、小分子、キレート剤、脂質および薬物が挙げられる。いくつかの態様において、機能性物質は、フルオロフォアを含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、蛍光色素を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、ポリペプチドを含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、免疫グロブリンを含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、抗生物質を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、放射性核種を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、小分子を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、キレート剤(例えば、とりわけ、DOTA、CHX-A”-DTPA、NOTA)を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、脂質を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、薬物を含み得る。いくつかの態様において、機能性物質は、上に列挙された機能性物質のいずれかの組み合わせを含み得る。
【0180】
したがって、開示される結合体化された免疫グロブリンとしては、免疫グロブリン-フルオロフォアC末端リジン結合体、免疫グロブリン-蛍光色素C末端リジン結合体、免疫グロブリン-ポリペプチドC末端リジン結合体、免疫グロブリン-免疫グロブリンC末端リジン結合体、免疫グロブリン-抗生物質C末端リジン結合体、免疫グロブリン-核酸C末端リジン結合体、免疫グロブリン-放射性核種C末端リジン結合体、免疫グロブリン-化学的リンカーC末端リジン結合体、免疫グロブリン-小分子C末端リジン結合体、免疫グロブリン-キレート剤C末端リジン結合体、免疫グロブリン-脂質C末端リジン結合体および免疫グロブリン-薬物C末端リジン結合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
本明細書中に開示される任意の免疫グロブリンが、本明細書中に開示される機能性物質のいずれかに結合体化され得る。例えば、結合体化された免疫グロブリンは、フルオロフォア、蛍光色素、ポリペプチド、免疫グロブリン、抗生物質、核酸、放射性核種、化学的リンカー、小分子、キレート剤、脂質または薬物を含み得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、免疫グロブリンは、アウリスタチンなどの小分子抗腫瘍剤(antineoplastic agent)に結合体化され得る。いくつかの態様において、機能性物
質は、アウリスタチンF(AuF)であり得る。したがって、開示される結合体化された免疫グロブリンは、アウリスタチンFに結合体化された上に開示された免疫グロブリンのいずれか(AuF Lys447結合体)を含む。
薬学的組成物
【0183】
薬学的組成物も本明細書中に提供される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、本明細書中に開示される免疫グロブリンのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、本明細書中に開示される結合体化された免疫グロブリンのいずれかを含み得る。1つの実施形態において、薬学的組成物は、結合体化された免疫グロブリンおよび薬学的に許容され得るキャリアを含む。
免疫グロブリンをコードする核酸分子およびそれを含む宿主細胞
【0184】
本明細書中に開示される免疫グロブリンのいずれかをコードする核酸分子も本明細書中に提供される。1つの例として、1つの実施形態において、その核酸分子は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む免疫グロブリンをコードし、その軽鎖可変領域は、C末端位置にリジン(例えば、447位または「Lys447」)、ならびにそのC末端リジンの後に、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンおよびヒスチジンから選択される1つまたは複数のアミノ酸を有する。
【0185】
開示される核酸分子のいずれかを含む宿主細胞も開示される。好適な宿主細胞としては、いくつかの例を挙げれば、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
以下の実施例は、本明細書中に開示される実施形態のいくつかをさらに説明するために提供される。実施例は、開示される実施形態を例証することを意図しているのであって、限定することを意図していない。
【実施例0187】
実施例1:材料および方法
変異誘発
StratageneのQuikChange XLを製造者のプロトコルに従って使用して、変異を作製した。DNA配列決定によって所望の変異を確認した。
トランスフェクションおよび安定細胞株の作製
【0188】
ExpiFectamineを用いてトランスフェクトされる各1ミリリットルの細胞について、333.3ngのHCプラスミドおよび333.3ngのLCプラスミドを、50μLのOpti-MEM(ThermoFisher)中で5~10分間インキュベートした。同様に、2.67μLのExpiFectamineを50μLのOpti-MEM中でインキュベートした。そのExpiFectamine溶液をDNA混合物に加え、室温で20~30分間インキュベートした。そのDNA:ExpiFectamine混合物を、かき混ぜながら細胞に加え、37℃、8%CO2において125rpmで振盪しながらインキュベートした。翌日、細胞1mLあたり5μLのエンハンサー1および50μLのエンハンサー2を、上記のトランスフェクションしたものに加え、インキュベーションをさらに7~10日間続けた。
【0189】
トランスフェクションの1~3日後に、5μg/mLブラストサイジンおよび400μg/mLゼオシン(Invivogen)を含むT75フラスコ内の14mLのDMEMに1mLのトランスフェクタントを加えることによって、抗体を発現している安定したプールを選択した。薬物耐性細胞をコンフルエントまで生育させた後、24~48時間にわたって、培地をFreeStyle 293発現培地で置き換えた。フラスコを軽く叩くことによって細胞を物理的に外し(トリプシン処理は低生存率をもたらした。データ示さず)、次いで、その細胞を、125mL振盪フラスコ内の30mLのFreeStyle
293発現培地中に6×105細胞/mLで播種した。培養物を、37℃、8%CO2において125rpmで振盪しながらインキュベートした。
MAbの作製
【0190】
安定にトランスフェクトされた細胞株のプールを、FreeStyle 293発現培地中に0.6~1×106細胞/mLで播種した。細胞を、37℃、8%CO2において125rpmで振盪しながらインキュベートした。培養物が1×106細胞/mLの密度に達した2日後、培養物に、最終濃度が10g/LのSelect Soytone(BD Biosciences)、5mMの吉草酸(Sigma Aldrich)および1:100のCD Lipid Concentrate(ThermoFisher)を供給した。細胞生存率が50%未満になったら(7~10日間)、培養物をBeckman JLA8.1000ローターにおいて8000rpmで1時間遠心分離した。次いで、上清を0.2μm PESフィルターで濾過し、精製するまで4℃または-20℃で保存した。
MAbの精製
【0191】
MAbを、2つの方法のうちの1つを用いて精製した。10mL未満のmAb上清の場合、プロテインA樹脂によるバッチ精製法を用いて、アフィニティークロマトグラフィーを行った。25mLを超えるMAb上清は、予め充填されたプロテインAカラムを用いて精製した。
バッチ精製
【0192】
Prosep-vA High Capacity Protein A樹脂(Millipore)を、DPBSで平衡化し、100μLを3~6mLのサンプルに加えた。4℃で1時間から一晩インキュベーションした後、その樹脂を1mLのDPBSで3回洗浄し、18,000×gで30秒間遠心分離した。400μLの0.1Mグリシン,pH2.9を加えてサンプルをその樹脂から溶出させた後、18,000×gで30秒間、遠心分離した。サンプルを40μLの1M Tris,pH8.0で中和した。0.5mLのAmicon Ultra,10kカットオフフィルター(Millipore)を用い、18,000×gで3~5分間の遠心分離によってサンプルを約100μLまで濃縮することによって、緩衝液を交換した。濃縮されたサンプルを400μLのDPBSで希釈した後、遠心分離した。このプロセスを合計4回繰り返した。
カラム精製
【0193】
プロテインAカラム(GE Healthcare)を10カラム体積(CV)の20mMリン酸ナトリウム,10mM EDTA,pH7.2で平衡化した。次いで、サンプルを充填した後、未結合の材料を10CVの平衡緩衝液で洗浄した。5CVの0.1Mグリシン,pH2.9を用いることによって、サンプルを溶出した。mAbを含む画分をプールし、MWCO 20K Slide-A-Lyzer(ThermoFisher)を用いてDPBSで透析した。
Z-Gln-Gly基質合成
【0194】
Z-Gln-Gly-OHをBachemから購入し、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンをZediraから購入した(
図2)。
【0195】
Z-Gln-Gly-ペンタフルオロフェニルエステル(Z-Gln-Gly-PFP)の合成は、Pasternackら{Pasternack,1997 15/同上}から改変を加えたものであった(
図3)。Z-Gln-Gly-OH(328.8mg、0.975mmol)およびペンタフルオロフェノール(Sigma、183.3mg、0.996mmol)を10mLのN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。次いで、EDAC-HCl(Sigma、201mg、1.04mmol)を加え、その反応物をN
2下、室温において2時間インキュベートした。その反応物に100mLの冷ジエチルエーテルを加え、-80℃で一晩沈殿させた。粗生成物を遠心分離によって回収し、20mLの60℃のメタノールから再結晶化させた。最終生成物を冷ジエチルエーテルでリンスし、N
2流で乾燥させた。最終収量は、219.04mg(44.7%)であった。ESI-MS(0.1%ギ酸中の50%アセトニトリルにおける直接注入)m/z 504.0([M+H]、86%)、526.0([M+Na]、100%)、542.0([M+K]、22%)。
Z-Gln-Gly-プロピルアジド(Z-Gln-Gly-N
3)
【0196】
Z-Gln-Gly-PFP(21.24mg、4.22×10-5mol)およびアジドプロピルアミン(Click Chemistry Tools、DMF中42.2μLの0.91M原液、3.84×10-5mol)を、0.42mLという最終体積のDMFに溶解した。反応物をN2下で一晩、室温において振盪した。生成物を、水中0.1%ギ酸/アセトニトリル中0.1%ギ酸の移動相を用いるHPLCによって精製した。生成物を真空中で乾燥させた。最終収量は、10.7mg(60.4%)であった。ESI-MS(グラジエント精製)m/z 420.2([M+H]、100%)、442.1([M+Na]、32%)。
Z-Gln-Gly-PEG3-endo-ビシクロノニン(bicyclononyne)(Z-
Gln-Gly-PEG3-BCN)
【0197】
Z-Gln-Gly-PFP(18.4mg、3.66×10-5mol)およびendo-ビシクロ[6,1,0]ノナ-4-イン-9-イル-PEG3-アミン(Conju-Probe、DMF中175μLの0.27M原液、4.75×10-5mol)を0.37mLという最終体積のDMFに溶解した。反応物をN2下で一晩、室温において振盪した。生成物を、水中0.1%ギ酸/アセトニトリル中0.1%ギ酸の移動相を用いるHPLCによって精製した。生成物を真空中で乾燥させた。最終収量は、0.6mg(2%)であった。ESI-MS(グラジエント精製)m/z688.2([M+H]、100%)、710.2([M+Na]、69%)。
Z-Gln-Gly-PEG2-アウリスタチンF(Z-Gln-Gly-PEG2-AuF)
【0198】
Z-Gln-Gly-PFP(22.2mg、4.37×10-5mol)を0.85mLのDMFに溶解し、1,2-エチレンジアミン(2.3×10-5L、3.5×10-4mol)を加え、混合した。反応物をN2下で一晩、室温において振盪した。生成物を、水中0.1%ギ酸/アセトニトリル中0.1%ギ酸の移動相を用いるHPLCによって精製した。生成物を真空中で乾燥させた。Z-Gln-Gly-NH2の最終収量は、3.8mg(23%)であった。ESI-MS(グラジエント精製)m/z 380.1([M+H]、100%)。Z-Gln-Gly-NH2(3.8mg、1.01×10-5mol)およびNHS-PEG2-AuF(10.3mg、1.03×10-5mol)を0.2mLのDMFに溶解した。トリエチルアミン(14μL、1×10-4mol)を加え、反応物をN2下、室温において一晩インキュベートした。反応物の半分を、水中0.1%ギ酸/アセトニトリル中0.1%ギ酸の移動相を用いるHPLCによって精製した。生成物を真空中で乾燥させた。CBZ-Gln-Gly-PEG2-AuFの最終収量は、3.8mg(60%)であった。ESI-MS(グラジエント精製)m/z 634.0([M+H]2+、100%)、645.1([M+Na]2+、45%).1267.0([M+H]、16%)。
微生物トランスグルタミナーゼ反応
【0199】
100μg/mLから2.5mg/mLの濃度範囲のMAbを、DPBS中の、785μM Z-Gln-Gly-ビオチン(Zedira)、Z-Gln-Gly-N3、Z-Gln-Gly-BCNまたはZ-Gln-Gly-PEG2-AuFおよび1U/mL微生物トランスグルタミナーゼ(Zedira)とともに、37℃で少なくとも16時間インキュベートした。
mAb結合体化の超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)/ESI-MS解析
【0200】
精製された抗体を、DPBSで1mg/mLに希釈した(1.0mg/mL未満の場合は、サンプルを元の濃度のままにした)。ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む反応物を、Zeba脱塩スピンカラムを用いて脱塩した。次いで、それらのmAbを、PNGase F(NEB)を用いて脱グリコシル化するか、またはIdeS(Promega)によってFab’2フラグメントおよびFcフラグメントに消化した。mAbを脱グリコシル化するために、G7緩衝液(5または10μL)およびPNGase F(1または2μL)をmAb(50または100μL)に加えた。その反応物を、2サイクル:1.)マイクロ波出力10W、37℃、10分、次いで、3~5分待つ;2.)マイクロ波出力2W、37℃、10分にわたって、Discoverマイクロ波(CEM)においてインキュベートした。ジチオトレイトール(DTT)を20mMという最終濃度になるまで加えた後、60℃で3分間インキュベーションすることによって、脱グリコシル化されたサンプルの一部を還元した。Fab’2フラグメントおよびFcフラグメントを生成するために、50U/μLのIdeSを0.5mg/mLのmAbに加え、37℃で0.5~1時間インキュベートした。上記のように還元した抗体01-C以外のIdeSサンプルは、還元しなかった。
【0201】
次いで、Waters Acquity UPLCおよびQ-Tof Premier質量分析計を用いて、サンプルを解析した。サンプル(各0.5~2μg)を、65℃のMassPrep脱塩マイクロカラム上に注入し、0.05mL/分での、95%の移動相Aによる5分間の平衡化、10分間のグラジエント(5~90%B)、および10分間の95%の移動相Aによる再平衡化によって、そのカラムから溶出した。移動相Aは、水中0.1%ギ酸であった。移動相Bは、アセトニトリル中0.1%ギ酸であった。Q-Tof質量分析計を陽イオンV-モードで作動させ、500~4000m/zの範囲において検出した。ソースパラメータは、以下のとおりであった:キャピラリー電圧、2.25kV(インタクト抗体)~2.50kV(還元抗体);サンプリングコーン電圧、65.0V(インタクト抗体)または50.0V(還元抗体);ソース温度、100℃;脱溶媒和温度、250℃;脱溶媒和ガス流、550L/時間。タンパク質のピークをMassLynxのMaxEnt1関数を用いてデコンボリュートした。
逆相液体クロマトグラフィー(LC)-MS
【0202】
抗体01-L(1mg/mL)を、1U/mL TGaseの存在下、37℃において50倍モル濃度過剰のZ-Gln-Gly-PEG2-AuFとともに一晩インキュベートした。mAbをIdeSによってFab’2フラグメントおよびFcフラグメントに消化し、上記のようにDTTで還元した。SQDおよびPDA検出器を備えたWaters
Alliance HPLCを用いてサンプルを解析した。サンプル(0.5~2μg)を、65℃のProteomix RP-1000カラム(4.6×50mm、Sepax)上に注入した。LCフラグメント、FcフラグメントおよびFdフラグメントの分離を、1mL/分の流速での、75%の移動相A(水中0.1%TFA)における1.5分間の平衡化および13.5分間のグラジエント[25~65%移動相B(アセトニトリル中0.1%TFA)]で行った。
【0203】
SQD質量分析計を陽イオンV-モードで作動させ、200~2000m/zの範囲において検出した。ソースパラメータは、以下のとおりであった:キャピラリー電圧、3.00kV;サンプリングコーン電圧、40℃;ソース温度、120℃;脱溶媒和温度、250℃;脱溶媒和ガス流、800L/時間。スキャン時間、1秒。タンパク質のピークをMassLynxのMaxEnt1関数によってデコンボリュートした。PDA検出器は、280nmであった。
実施例2:IgG抗体上の溶媒に露出したリジンの解析
【0204】
IgG1-カッパFab(抗体01、4F3F)、IgG1-ラムダFab(4HK0)およびIgG1 Fc(1FC1)の結晶構造を、潜在的なアシル受容体部位について調べた。微生物トランスグルタミナーゼが、溶媒に露出したループ内の基質グルタミンおよびリジンを好む傾向があるので{Spolaore,2012 17/同上}、溶媒に露出したリジンを、Discovery Studio v4.5を用いて1.4Åのプローブ半径で強調した(
図4)。抗体01 VHには、溶媒に露出したリジンは7つあり、3つがループ内にある。リジンの数は、異なる可変領域ファミリーおよび体細胞超変異の利用に起因して、mAbごとに異なり得るので、4F3Fの構造における類した位置の残基に基づいて、他の5つの抗体のVH領域におけるリジンの溶媒露出も解析した。これらのVH領域は、潜在的に1~5個の溶媒に露出したリジンを含み、1または2個がループ内に存在する。抗体01 Vκでは、溶媒に露出したリジンが6つあり、4つがループ内にある。他の4つの抗体のVK領域は、潜在的に3~5個の溶媒に露出したリジンを含み、2つがループ内にある。抗体05は、ラムダ鎖を使用しているので、リジンの溶媒露出は、4HK0の結晶構造を用いて、軽鎖の配列類似性に基づいて決定した。抗体05は、潜在的に2つの溶媒に露出したリジンをVλドメインに有し、ただ1つがループ内にある。
【0205】
CH1およびカッパの定常ドメイン、Fcならびにラムダを、それぞれ4F3F、1FC1および4HK0の結晶構造を用いて解析した。IgG1定常ドメインは、23個の溶媒に露出したリジンを有し、13個がループ内にある。カッパ定常領域は、8つのリジンを有し、5つがループ内にある。ラムダは、6つの溶媒に露出したリジンを有し、半数がループ内にある。合計すると、解析された抗体は、mAb1つあたり、ループ内に42~50個の溶媒に露出したリジンを有する。
【0206】
微生物トランスグルタミナーゼが、IgG抗体上の天然のリジン残基のアミド基を転移させられるかを決定するために、抗体を、50倍モル濃度過剰のZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび1U/mL微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした。サンプルをIdeSで消化し、DTTで還元し、LCフラグメント、FdフラグメントおよびFcフラグメントの質量を質量分析によって解析した。これらのサンプルは、脱グリコシル化しなかったので、G0F(+1445Da)およびG1F(+1608Da)グリコフォームに対応する2つの質量ピークが各Fcに対して観察された。抗体04は、VHにN結合型グリコシル化部位も含むので、2つのグリカン種G2FSおよびG2FS2が観察された。そのFcに対する質量の観測値と理論値との間の-130~-132Daという差異によって証明されるように、すべてのサンプルが、C末端リジン(128Da)を欠いた。種々の抗体において42~50個の潜在的なアシル受容体リジンが存在するが、HCもLCも、アシル供与体基質によって改変されなかった(
図6、表1)。
【表1】
【0207】
抗体01のHCまたはLCのC末端に遺伝的に融合された2つの既知のリジンアシル受容体部位を有するペプチド(GGSTKHKIPGGS(配列番号6);{Takazawa,2004
23/同上}を含むように作製された2つのポジティブコントロール(それぞれHC-KTagまたはLC-KTag)も同様に解析した。KTag mAbを、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともにインキュベートした。サンプルをPNGase Fによって脱グリコシル化し、DTTで還元した。重鎖および軽鎖の質量を質量分析によって解析した。LC-KTag mAbは、最大2つのZ-Gln-Gly-CAD-ビオチン分子で修飾され、これは、KTagにおける2つのリジンの修飾と一致した(
図7、表2)。
【表2】
【0208】
HCおよびLCの質量を、
図7においてESI-MSによって決定した。各フラグメントの理論的質量をアミノ酸配列によって確定し、それを、観察された質量から減算することにより、質量の変化(Δ質量)を決定した。-128DaというΔ質量は、Lys447の切断に起因し、+631DaというΔ質量は、1つのZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンの付加を示す。質量の変化をZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンの質量で除算することによって、HCまたはLC上に結合体化されたZ-Gln-Gly-CAD-ビオチン分子の数を決定した。単一のHCまたはLCピークのシグナル強度を、サンプル中のすべてのHCまたはLCのピークの強度の合計で除算することによって、結合体化のパーセンテージを決定した。
【0209】
HCへのKTagの付加は、驚いたことに、ちょうど2つではなく、最大3つのZ-Gln-Gly-CAD-ビオチン分子をHCに付加した。KTagには2つのリジンしか存在しないので、mAbの中のリジンが、第3のアシル受容体部位であった。KTagに近いことを考えると、最も可能性のあるmAbリジン受容体部位は、重鎖Lys447であった。
実施例3:Lys447のアミド基転移には単一アミノ酸の伸長で十分である
【0210】
Lys447は、代表的には、HEK293細胞およびCHO細胞における組換えIgG発現中において、カルボキシペプチダーゼBによって切断される{Harris,1990 7/同上;Harris,1995 6/同上;Dick,2008 3/同上}。しかしながら、HCのC末端にKTagを付加すると、Lys447の除去が阻止され、それにより、微生物トランスグルタミナーゼが、Lys447をアシル受容体部位として利用することが可能になる。微生物トランスグルタミナーゼが、KTagなしでアシル受容体としてLys447を利用できるかを決定するために、抗体01のC末端に1つまたは2つのロイシンを付加することによって(それぞれ抗体01-HC-Lまたは抗体01-HC-LL)、Lys447の切断を阻止した。精製されたmAbを、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンおよび微生物トランスグルタミナーゼとともにインキュベートし、脱グリコシル化されたHCの質量を解析した。実際に、1つまたは2つのロイシンのいずれかの付加が、Lys447を保持し、そのHCは、Lys447のアミド基転移と一致する単一のアシル供与体基質で修飾された(
図8;表3)。
【表3】
【0211】
HCおよびLCの質量をESI-MSによって決定した。mAbへのZ-Gln-Gly-CAD-ビオチン(Δ質量=631Da)のパーセント結合体化を表2におけるように決定した。
【0212】
C末端ロイシンを他の2つのmAbに付加した。野生型mAbおよび変異体mAbを、微生物トランスグルタミナーゼおよびZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンとともに37℃で一晩インキュベートした。各サンプルのFcフラグメントを上記のように質量分析によって解析した。抗体01と同様に、C末端ロイシンの付加によって、変異体mAbのアミド基転移はもたらされたが、野生型mAbのアミド基転移はもたらされなかった(表4)。
【表4】
【0213】
他のアミノ酸がLys447の切断を阻止し得るか、およびそれらは、微生物トランスグルタミナーゼがLys447を修飾するための適切な環境を提供したかを決定するために、残りのアミノ酸を単一残基伸長としてC末端に付加した。Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンを用いた微生物トランスグルタミナーゼによる修飾についてサンプルを解析した。Fcフラグメントの質量を上記のように質量分析によって解析した。驚くことではないが、追加のC末端リジンまたはアルギニンは、カルボキシペプチダーゼBの基質であるので、それらは、Lys447の切断を保護しなかった(表5)。残りのアミノ酸のうち、C末端プロリンおよび酸性残基だけが、基質への100%結合体化を促進しなかった。Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンへの結合体化(+631Da)に関連する平均+628Daシフトに加えて、+400Daという質量シフトも観察された。これは、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチンの合成またはZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンの分解のいずれかからのZ-Gln-Gly-CADの低パーセンテージにおそらく起因する。
【表5-1】
【表5-2】
【0214】
追加の(addition)単一リジンまたはアルギニンのC末端アミノ酸の切断に起因して、Lys447におけるアミド基転移に対するいずれかのアミノ酸の効果は評価する(accessed)ことができなかった。ゆえに、リジンバリアントおよびアルギニンバリアントのC末端にロイシンを付加した。さらに、その追加のC末端ロイシンの効果も、プロリンバリアント、アスパラギン酸バリアントおよびグルタミン酸バリアントを用いて調査した。追加のロイシンは、試験されたすべてのC末端バリアントのアミド基転移に対して正の効果を有した(表6)。リジンまたはアルギニンの切断を阻止することによって、Lys447は、100%アミド基転移された。さらに、KLバリアントにおける追加のリジンもアミド基転移したことから、4つのアミド基転移部位を有する抗体がもたらされた。また、C末端ロイシンは、プロリンバリアントのアミド基転移を61.3%に増加させ、酸性残基バリアントは、中程度にアミド基転移された(表6)。
【表6】
実施例4:様々な抗体アイソタイプのC末端リジンのアミド基転移
【0215】
CH3(またはIgEおよびIgMの場合はCH4)のC末端残基は、すべてのヒトアイソタイプにおいてリジンである(表7)。ゆえに、このリジンを、他のアイソタイプに対する結合体化部位として利用できる可能性がある。抗体01のIgG
2、IgG
3およびIgG
4バージョンを、追加のC末端ロイシンまたはアスパラギン酸ありまたはなしで作製した。それらのmAbを、微生物トランスグルタミナーゼおよびZ-Gln-Gly-CAD-ビオチンとともに37℃で一晩インキュベートし、Fcフラグメントの質量を上記のように質量分析によって解析した。IgG
1と同様に、追加のC末端残基が存在しない場合、HEK293細胞における発現中にC末端リジンは除去された(表8)。野生型のIgG
2、IgG
3もしくはIgG
4またはC末端アスパラギン酸を用いたときは、アミド基転移は見られなかったが、C末端ロイシンは、それらのmAbのアミド基転移を促進した。
【表7】
【表8】
実施例5:アシル供与体基質
【0216】
C末端リジンへの結合体化の有用性の1つは、部位特異的ADCを製造する場合である。C末端リジンへの機能性物質の結合体化は、2つの方法のうちの1つによって達成され得る。第1に、2工程方法は、反応基(例えば、BCN、DBCO、TCO、アジド(N
3)、アルキン、テトラジンまたはマレイミド)を用いて合成されたアシル供与体へのC末端リジンの微生物トランスグルタミナーゼ結合体化を必要とし得る。第2の工程は、例えば、銅非含有クリックケミストリーまたはチオール反応性化学を用いて、その反応基に機能性物質を結合体化させることを含み得る。ゆえに、アミノ-PEG3-BCNまたはアミノプロピル-N
3を、方法の項において詳述したように、Z-Gln-Glyのヒドロキシル基に付加した。上記のように、抗体01-HC-Lを、Z-Gln-Gly、Z-Gln-Gly-CAD-ビオチン、Z-Gln-Gly-N
3またはZ-Gln-Gly-PEG3-BCNおよび微生物トランスグルタミナーゼとともにインキュベートした。サンプルを脱塩し、脱グリコシル化し、還元し、ESI-MSによって解析して、mAbへの基質の付加を決定した。4つすべての基質が、抗体01-HC-Lに効率的に結合体化された(表9)。
【表9】
【0217】
第2の方法は、単一の結合体化工程を含み、アシル供与体基を有する機能性物質が合成される。PEG2-アウリスタチンF上にZ-Gln-Gly基を合成することによって(Z-Gln-Gly-PEG2-AuF)、この方法を試験した。Z-Gln-Gly-PEG2-AuFを、抗体01-Lおよび微生物トランスグルタミナーゼとともに37℃で一晩インキュベートした。IdeSで消化し、DTTによって還元した後、280nmの吸光度をモニターし、逆相LC-MSによって解析した。抗体01-Lに対しては、3つのピークが観察された(
図9)。各ピークの質量をESI-MSによって解析したところ、第1のピークがLCであり、第2のピークがFcであり、第3のピークがFdであることが明らかになった。Z-Gln-Gly-PEG2-AuFおよび微生物トランスグルタミナーゼとともにインキュベートされた抗体01-Lに対しては、第4のピークが観察された。このピークは、Fdピークと完全には分離できなかったが、このピークの大部分の面積(
図9B、挿入図)が、FcおよびFc-Z-Gln-Gly-PEG
2-AuFピークの総面積の75.4%であることが明らかになった(表10)。ゆえに、1.58を超えるDARが達成された。
【表10】
実施例6:二量体抗体分子の生成
【0218】
免疫グロブリンのC末端リジン上に官能基を付加する別の有用性は、二量体mAb-mAb分子の生成である。例えば、BCNが結合体化されたmAbが、銅非含有クリックケミストリーを用いて、N
3が結合体化されたmAbに結合体化され得る。ゆえに、等体積のZ-Gln-Gly-N3またはZ-Gln-Gly-PEG3-BCN抗体01-HC-L反応物を混合し、22℃で一晩インキュベートさせた。その還元反応物を、4~12%ビス-Trisポリアクリルアミドゲルを用いるSDS-PAGEによって二量体化HC(約110kDa)について解析した(
図10)。実際に、BCNおよびN3で修飾された重鎖は、二量体重鎖分子を形成した。
【0219】
当業者は、本発明の好ましい実施形態に対して数多くの変更および改変が行われ得ることおよびそのような変更および改変が本発明の精神から逸脱することなく行われ得ることを十分に理解する。ゆえに、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲に含まれるそのような等価なバリエーションのすべてを包含することが意図されている。
例えば、本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法であって、該方法は、
微生物トランスグルタミナーゼおよびアシル供与体基質を含む機能性物質とともに、免疫グロブリンをインキュベートする工程であって、
a)該免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、
b)該アシル供与体基質は、グルタミン残基を含み、
c)該機能性物質は、治療薬または診断薬であり、
該微生物トランスグルタミナーゼは、該免疫グロブリンの該C末端リジンを、該機能性物質上の該アシル供与体基質の該グルタミン残基に結合体化させる、工程を含み、それによって、該結合体化された免疫グロブリンを作製する、方法。
(項目2)
結合体化された免疫グロブリンを作製するための方法であって、該方法は、
i)微生物トランスグルタミナーゼおよびアシル供与体基質とともに免疫グロブリンをインキュベートする工程であって、
a)該免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、
b)該アシル供与体基質は、グルタミン残基および反応基を含み、
該微生物トランスグルタミナーゼは、該免疫グロブリンの該C末端リジンを該アシル供与体基質の該グルタミン残基に結合体化させる、工程、および
ii)該アシル供与体基質の該反応基に機能性物質を結合体化させる工程であって、ここで、該機能性物質は、治療薬または診断薬である、工程
を含み、それによって、該結合体化された免疫グロブリンを作製する、方法。
(項目3)
前記アシル供与体基質の前記反応基が、クリックケミストリーによって前記機能性物質に結合体化される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記C末端リジンが、前記免疫グロブリンの重鎖上のリジン447(K447)である、項目1または項目2に記載の方法。
(項目5)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、該C末端リジンの後の該1つのアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンまたはヒスチジンである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目6)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、該C末端リジンの後の該1つのアミノ酸残基は、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはアルギニンを含まない、項目1または項目2に記載の方法。
(項目7)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(I)または(II):
(Z)
m-Gln-(L)
n-(Y) (I)
(Y)-(L)
n-Gln-(Z)
m (II)
(式中、
Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;
Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;
各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、該炭素原子の1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;
mは、0~5の整数であり;
nは、0~5の整数であり;
Yは、機能性物質である)
のうちの1つに記載のものである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;各Lは、独立して、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH
2)
2)-)、エチルアミン(-NH((CH
2)
2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH
2)
3)-)であり;nは、0、1、2、3、4または5である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である、項目7に記載の方法。
(項目10)
Lが、Glyであり;mが、1であり;nが、0である、項目9に記載の方法。
(項目11)
Lが、Glyであり;mが、1であり;nが、1である、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(II)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである、項目7に記載の方法。
(項目13)
前記アシル供与体基質が、式(III)または(IV):
(Z)
m-Gln-(L)
n-(X) (III)
(X)-(L)
n-Gln-(Z)
m (IV)
(式中、
Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;
Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;
各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、該炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;
mは、0~5の整数であり;
nは、0~5の整数であり;
Xは、反応基である)
のうちの1つに記載のものである、項目2に記載の方法。
(項目14)
前記アシル供与体基質が、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;各Lは、独立して、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH
2)
2)-)、エチルアミン(-NH((CH
2)
2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH
2)
3)-)であり;nは、0、1、2、3、4または5である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アシル供与体基質が、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、1つまたは複数のLは、アミノ酸である、項目13に記載の方法。
(項目16)
Lが、Glyであり;mが、1であり;nが、1である、項目15に記載の方法。
(項目17)
mが、1であり;nが、0である、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記アシル供与体基質が、式(IV)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである、項目13に記載の方法。
(項目19)
Xが、(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール(BCN)、
【化5】
trans-シクロオクテン(TCO)、アジド(N
3)、アルキン、テトラジンメチルシクロプロペン、ノルボルネン、ヒドラジド/ヒドラジンおよびアルデヒドからなる群より選択される反応基である、項目13に記載の方法。
(項目20)
前記治療薬が、抗体もしくはその抗原結合部分、化学療法剤、薬剤、放射性剤、細胞傷害剤、抗生物質、小分子、核酸またはポリペプチドである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目21)
前記診断薬が、フルオロフォア、蛍光色素、放射性核種または酵素である、項目1または項目2に記載の方法。
(項目22)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基を含む2つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有する、項目1または項目2に記載の方法。
(項目23)
前記C末端リジンの後の前記1番目のアミノ酸残基が、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり;該C末端リジンの後の前記2番目のアミノ酸残基が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記C末端リジンの後の前記1番目のアミノ酸残基が、リジンまたはアルギニンである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基を含む3つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有し、ここで、該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目26)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基を含む4つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有し、ここで、該C末端リジンの後の該4番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目27)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基を含む5つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有し、ここで、該C末端リジンの後の該5番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目28)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に9つ未満のアミノ酸残基を有し、ここで、該C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目29)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に13個未満のアミノ酸残基を有し、ここで、該C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目1または項目2に記載の方法。
(項目30)
前記微生物トランスグルタミナーゼが、Streptomyces mobarensisの微生物トランスグルタミナーゼである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目31)
前記免疫グロブリンが、IgG
1免疫グロブリンである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目32)
前記免疫グロブリンが、IgG
2、IgG
3またはIgG
4免疫グロブリンである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目33)
前記免疫グロブリンが、尾部を含まない、IgA
1、IgA
2またはIgM免疫グロブリンである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目34)
前記免疫グロブリンが、IgDまたはIgE免疫グロブリンである、項目1または項目2に記載の方法。
(項目35)
前記免疫グロブリンが、ヒト免疫グロブリンまたはヒト化免疫グロブリンである、前記の項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記免疫グロブリンが、キメラ免疫グロブリンまたは非ヒト免疫グロブリンである、前記の項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記免疫グロブリンが、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む、前記の項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
機能性物質と免疫グロブリンの比が、1:1~2:1である、前記の項目のいずれかに記載の方法。
(項目39)
免疫グロブリンおよび機能性物質を含む、結合体化された免疫グロブリンであって、ここで、
a)該免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、
b)該機能性物質は、アシル供与体基質を含み、該アシル供与体基質は、グルタミン残基を含み、
c)該機能性物質は、治療薬または診断薬であり、
該免疫グロブリンの該C末端リジンは、該機能性物質の該アシル供与体基質の該グルタミン残基に結合体化されている、結合体化された免疫グロブリン。
(項目40)
免疫グロブリンおよび機能性物質を含む、結合体化された免疫グロブリンであって、ここで、
a)該免疫グロブリンは、C末端リジンの後に少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、
b)該C末端リジンは、アシル供与体基質上のグルタミン残基に結合体化され、該アシル供与体基質は、反応基をさらに含み、
c)該反応基は、機能性物質に結合体化され、該機能性物質は、治療薬または診断薬である、
結合体化された免疫グロブリン。
(項目41)
前記C末端リジンが、前記免疫グロブリンの重鎖上のリジン447(K447)である、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目42)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、該C末端リジンの後の該1つのアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンまたはヒスチジンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目43)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に1つのアミノ酸残基を含み、該C末端リジンの後の該1つのアミノ酸残基は、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはアルギニンではない、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目44)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(I)または(II):
(Z)
m-Gln-(L)
n-(Y) (I)
(Y)-(L)
n-Gln-(Z)
m (II)
(式中、
Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;
Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;
各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、該炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;
mは、0~5の整数であり;
nは、0~5の整数であり;
Yは、機能性物質である)
のうちの1つに記載のものである、項目39に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目45)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;Lは、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH
2)
2)-)、エチルアミン(-NH((CH
2)
2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH
2)
3)-)であり;nは、0、1、2、3、4または5である、項目44に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目46)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(I)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である、項目44に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目47)
mが、1であり;nが、0である、項目46に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目48)
Lが、Glyであり;mが、1であり;nが、1である、項目46に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目49)
前記アシル供与体基質を含む前記機能性物質が、式(II)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである、項目44に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目50)
前記アシル供与体基質が、式(III)または(IV):
(Z)
m-Gln-(L)
n-(X) (III)
(X)-(L)
n-Gln-(Z)
m (IV)
(式中、
Zは、カルボキシルベンジルオキシ(CBZ)基またはアミノ酸残基であり;
Glnは、グルタミンアミノ酸残基であり;
各Lは、独立して、1~20個の炭素原子の直鎖または分枝鎖のリンカーであり、ここで、該炭素原子のうちの1つまたは複数は、任意選択でかつ独立して、窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置き換えられ得、ここで、各炭素原子および各窒素原子は、任意選択で置換され得るか;または各Lは、任意選択でかつ独立して、アミノ酸残基であり;
mは、0~5の整数であり;
nは、0~5の整数であり;
Xは、反応基である)
のうちの1つに記載のものである、項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目51)
前記アシル供与体基質が、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;各Lは、独立して、ポリエチレングリコール部分(PEG)(-O((CH
2)
2)-)、エチルアミン(-NH((CH
2)
2)-)またはプロピルアミン(-NH((CH
2)
3)-)であり;nは、0、1、2、3、4または5である、項目50に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目52)
前記アシル供与体基質が、式(III)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり、Lは、アミノ酸である、項目50に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目53)
mが、1であり;nが、0である、項目52に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目54) Lが、Glyであり;mが、1であり;nが、1である、項目52に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目55)
前記アシル供与体基質が、式(IV)に記載のものであり、式中、Zは、CBZ基であり;mは、1であり;nは、1、2または3であり;少なくとも1つのLは、Glyである、項目50に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目56)
Xが、(1R,8S,9s)-ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン-9-イルメタノール(BCN)、
【化6】
trans-シクロオクテン(TCO)、アジド(N
3)、アルキン、テトラジンメチルシクロプロペン、ノルボルネン、ヒドラジド/ヒドラジンおよびアルデヒドからなる群より選択される反応基である、項目50に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目57)
前記治療薬が、抗体もしくはその抗原結合部分、化学療法剤、薬剤、放射性剤、細胞傷害剤、抗生物質、小分子、核酸またはポリペプチドである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目58)
前記診断薬が、フルオロフォア、蛍光色素、放射性核種または酵素である、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目59)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基を含む2つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有する、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目60)
前記C末端リジンの後の前記1番目のアミノ酸残基が、アスパラギン酸、グルタミン酸またはプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり;該C末端リジンの後の前記2番目のアミノ酸残基が、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目59に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目61)
前記C末端リジンの後の前記1番目のアミノ酸残基が、リジンまたはアルギニンである、項目60に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目62)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基を含む3つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有し、ここで、該C末端リジンの後の該3番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目63)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基を含む4つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有し、ここで、該C末端リジンの後の該4番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目64)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後の1番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の2番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の3番目のアミノ酸残基、該C末端リジンの後の4番目のアミノ酸残基および該C末端リジンの後の5番目のアミノ酸残基を含む5つのアミノ酸残基を該C末端リジンの後に有し、ここで、該C末端リジンの後の該5番目のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目65)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に9つ未満のアミノ酸残基を有し、ここで、該C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目66)
前記免疫グロブリンが、前記C末端リジンの後に13個未満のアミノ酸残基を有し、ここで、該C末端リジンの後の最後のアミノ酸残基は、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、セリン、プロリン、トレオニン、アラニン、チロシン、ヒスチジン、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、トリプトファンおよびグリシンからなる群より選択される、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目67)
前記免疫グロブリンが、IgG
1免疫グロブリンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目68)
前記免疫グロブリンが、IgG
2、IgG
3またはIgG
4免疫グロブリンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目69)
前記免疫グロブリンが、IgA
1、IgA
2またはIgM免疫グロブリンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目70)
前記免疫グロブリンが、IgDまたはIgE免疫グロブリンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目71)
前記免疫グロブリンが、ヒト免疫グロブリンまたはヒト化免疫グロブリンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目72)
前記免疫グロブリンが、キメラ免疫グロブリンまたは非ヒト免疫グロブリンである、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目73)
前記免疫グロブリンが、2本の重鎖および2本の軽鎖を含む、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目74)
前記免疫グロブリンの前記2本の重鎖の間に分子内架橋が存在しない、項目73に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目75)
機能性物質と免疫グロブリンの比が、1:1~2:1である、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目76)
前記機能性物質が、抗体またはその抗原結合部分であり、前記免疫グロブリンおよび該機能性物質は、同じ抗原に結合するか、または異なる抗原に結合する、項目39または項目40に記載の結合体化された免疫グロブリン。
(項目77)
項目39~76のいずれか1項に記載の結合体化された免疫グロブリンをコードする、核酸。
(項目78)
項目77に記載の核酸を含む、プラスミド。
(項目79)
項目78に記載のプラスミドを含む、単離された細胞。
(項目80)
項目39~76のいずれか1項に記載の結合体化された免疫グロブリンおよび薬学的に許容され得るキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目81)
項目1~38のいずれか1項に記載の方法によって作製される、結合体化された免疫グロブリン。