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特開2022-23198プラス鎖RNAウイルスによって引き起こされる感染疾患に対するワクチン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023198
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】プラス鎖RNAウイルスによって引き起こされる感染疾患に対するワクチン
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/85 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220131BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/41 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/51 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/40 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/50 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/49 20060101ALN20220131BHJP
   C12N 15/45 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/85 Z ZNA
C12N7/01
C12N5/10
A61K35/76
A61K39/12
A61P31/14
A61K48/00
C12N15/41
C12N15/51
C12N15/40
C12N15/50
C12N15/49
C12N15/45
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021178709
(22)【出願日】2021-11-01
(62)【分割の表示】P 2019528043の分割
【原出願日】2017-11-21
(31)【優先権主張番号】62/426,708
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518002402
【氏名又は名称】メディジェン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ピーター プシュコ
(72)【発明者】
【氏名】イリーナ トレチャコワ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA45
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB33
4C085AA03
4C085BA51
4C085BA52
4C085BA62
4C085BA88
4C085DD01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087NA14
4C087ZB33
(57)【要約】
【課題】プラス鎖RNAウイルスによって引き起こされる感染疾患に対するワクチンの提供。
【解決手段】(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患から対象を防御するための組成物が、本明細書において記載されている。この組成物は、(i)真核生物RNAポリメラーゼプロモーターに作動可能に連結した感染性(+)SS RNAウイルスのRNA分子をコードするDNAを含有するベクターおよび担体を含むか、または(ii)(i)のベクターをトランスフェクトされた真核細胞から得られた(+)SS RNAウイルスおよび担体を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年11月28日に出願された米国仮特許出願番号第62/426,708号の利益を主張しており、この仮出願は、本明細書によってその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
分野
一本鎖プラス鎖RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御するための組成物が記載される。
【背景技術】
【0003】
背景
ウイルスは、遺伝物質およびタンパク質から構成される小さな非細胞生物である。異なるタイプのウイルスが存在する。例えば、ウイルスは、宿主の核内で複製するDNAウイルス、または細胞の細胞質内で複製するRNAウイルスであり得る。ウイルスは、二本鎖または一本鎖であり得る。さらに、一本鎖RNAウイルスは、プラス(+、センス)鎖またはマイナス(-)鎖であり得る。これらの異なるタイプのウイルスは、様々なウイルス感染を引き起こす。
【0004】
ウイルス感染は、病原性ウイルスが生物の体に侵入すると生じる。内部に入ると、ウイルスは細胞に付着し、そして、細胞がバーストし死亡するまで細胞が新たなウイルスを複製するように細胞をリプログラミングすることによって再生し、それによってウイルスが迅速に広がることを可能にし、それによってヒトおよび動物において様々な感染性疾患を生じさせる。ウイルスによって生じる感染性疾患には、風邪、インフルエンザ、および疣贅が含まれる。しかし、ウイルスはまた、AIDS、天然痘、ヘルペス、出血熱、ポリオ、麻疹、おたふく風邪、および風疹などの重度の疾患も生じさせる。
【0005】
ワクチンが開発され、ポリオ、麻疹、おたふく風邪、および風疹のようなものの発生を成功裏に低減させている。従来のワクチンは、弱毒化されている生ウイルスを含有する。しかし、これらのウイルスは、より病原性の表現型に戻る可能性を有し、また、免疫不全宿主においては弱毒化が不十分であり得るため、広範なウイルス系において持続的な免疫性を誘発する安全な免疫原性ワクチンの開発が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、生弱毒化ウイルスをin vivoで生成するiDNA(登録商標)(Medigen,Inc.)ワクチンが開発されている。多くのRNAウイルスの完全長cDNAが、iDNA(登録商標)ワクチンを生産するために、E.coliプラスミド内にクローニングされている。しかし、多くのケースにおいて、完全長ウイルスcDNAはE.coliにおいて毒性であることが多く、大量に調製することができないため、このようなプラスミドを調製することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
細胞、特に真核細胞における発現のために適切なプロモーターに作動可能に連結した感染性(+)SS RNAウイルスのRNA分子をコードするDNAを含むベクターが、本明細書において記載される。感染性(+)SS RNAウイルスは、少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスのRNA配列によってコードされるキメラウイルスであり得る。
【0008】
上記のベクターを真核細胞内にトランスフェクトすることによって得られた、クローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団もまた、本明細書において記載される。
【0009】
ベクターまたはクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団および担体を含む組成物が、本明細書において記載される。ベクターおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物もまた記載される。
【0010】
本開示はまた、ベクターを含むワクチン、およびクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団を含むワクチンもまた開示する。ワクチンのベクターは、非病原性および/または弱毒化(+)SS RNAウイルスのRNA分子をコードするDNAを含む。ワクチンのクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団は、非病原性および/または弱毒化(+)SS RNAウイルスである。さらに、感染性(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を免疫化するためおよび防御するためにワクチンを使用する方法もまた、本明細書において記載される。
【0011】
さらに、本開示は、ワクチンを作製するため、およびクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団を得るために、本明細書において記載されるベクターを使用する方法を記載する。さらに、本開示は、本明細書において記載されるベクターをトランスフェクトされた宿主細胞を得るためにベクターを使用する方法を記載する。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
真核細胞におけるDNAの発現のために適切なプロモーターに作動可能に連結したRNA分子をコードするDNAを含むベクターであって、前記RNA分子が感染性プラス一本鎖((+)SS)RNAウイルスをコードし、前記DNAが少なくとも3つのイントロンを含む、ベクター。
(項目2)
前記(+)SS RNAウイルスが、フラビウイルス、アルファウイルス、ピコルナウイルス、ルビウイルス、コロナウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、重症急性呼吸器(SAR)ウイルス、およびレンチウイルスである、項目1に記載のベクター。
(項目3)
前記フラビウイルスが、日本脳炎ウイルス(JEV)、デングウイルス、黄熱ウイルス、ウェストナイルウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびジカウイルスである、項目2に記載のベクター。
(項目4)
前記フラビウイルスがJEVである、項目3に記載のベクター。
(項目5)
真核細胞におけるDNAの発現のために適切なプロモーターに作動可能に連結したキメラRNA分子をコードするDNAを含むベクターであって、前記キメラRNA分子が感染性(+)SS RNAウイルスをコードし、前記DNAが少なくとも3つのイントロンを含む、ベクター。
(項目6)
前記(+)SS RNAウイルスが、少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスのRNAを含むキメラRNA分子によってコードされる、項目5に記載のベクター。
(項目7)
前記少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスが、JEVおよび少なくとも1つの他のウイルス、黄熱ウイルスおよび少なくとも1つの他のウイルス、またはデングウイルスおよび少なくとも1つの他のウイルスを含む、項目6に記載のベクター。
(項目8)
前記少なくとも1つの他のウイルスが、ジカウイルス、ウェストナイルウイルス、黄熱ウイルス、またはデングウイルスである、項目7に記載のベクター。
(項目9)
前記少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスが、JEVおよびジカウイルスである、項目8に記載のベクター。
(項目10)
少なくとも1つのイントロンが、非構造タンパク質をコードする領域内にあり、1つのイントロンが、構造タンパク質をコードする領域内にある、項目1または5に記載のベクター。
(項目11)
前記イントロンが、1つの停止コドンまたはいくつかの停止コドンを含有する、項目10に記載のベクター。
(項目12)
前記DNAが3つのイントロンを含む、項目11に記載のベクター。
(項目13)
前記DNAが、少なくとも4つのイントロン、少なくとも5つのイントロン、または少なくとも6つのイントロンを含む、項目1または5に記載のベクター。
(項目14)
前記感染性(+)SS RNAウイルスが、非病原性ウイルスである、項目1または5に記載のベクター。
(項目15)
前記非病原性ウイルスが弱毒化ウイルスである、項目14に記載のベクター。
(項目16)
前記プロモーターが、CMVプロモーター、RSVプロモーター、SV40プロモーター、HSVプロモーター、ヒトPol Iプロモーター、ヒトPol IIプロモーター、またはヒトPol IIIプロモーターである、項目1または5に記載のベクター。
(項目17)
項目1または5に記載のベクターおよび担体を含む組成物。
(項目18)
項目14または15に記載のベクターおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目19)
治療有効量の項目14または15に記載のベクターを含むワクチン。
(項目20)
治療有効量の項目18に記載の医薬組成物を含むワクチン。
(項目21)
項目1または5に記載のベクターをトランスフェクトされた真核細胞から得られるクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団。
(項目22)
項目21に記載のクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団および担体を含む組成物。
(項目23)
項目21に記載のクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目24)
治療有効量の、項目14または15に記載のベクターをトランスフェクトされた細胞から得られる均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を含む、ワクチン。
(項目25)
項目1または5に記載のベクターを真核細胞内にトランスフェクトすること、および(+)SS RNAウイルスを単離することを含み、それによって、均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を得る、前記均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を調製する方法。
(項目26)
前記真核細胞が、Vero細胞、CHO細胞、またはMDCK細胞である、項目25に記載の方法。
(項目27)
項目14または15に記載のベクターを真核細胞内にトランスフェクトすること、および(+)SS RNAウイルスを単離することを含み、それによってワクチンを得る、感染性(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御するためのワクチンを調製する方法。
(項目28)
前記真核細胞が、Vero細胞、CHO細胞、またはMDCK細胞である、項目27に記載の方法。
(項目29)
項目20または24に記載のワクチンを対象に投与することを含む、感染性(+)SS
RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御するための方法。
(項目30)
前記対象が哺乳動物である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記哺乳動物が、ヒトまたは獣医学的動物である、項目30に記載の方法。
(項目32)
安定なプラスミドを調製する方法であって、前記方法が、感染性(+)SS RNAウイルスのゲノムRNAをコードするDNAを含み、前記方法が、少なくとも3つのイントロンを前記DNAに導入することを含み、かつ、少なくとも1つのイントロンが、前記(+)SS RNAウイルスの構造タンパク質をコードする領域内にあり、少なくとも1つのイントロンが、前記(+)SS RNAウイルスの非構造タンパク質をコードする領域内にある、方法。
(項目33)
項目1または5に記載のベクターを宿主細胞内にトランスフェクトすること、および前記ベクターを前記宿主細胞から単離することを含む、項目1または5に記載のベクターを調製する方法。
(項目34)
項目1または5に記載のベクターをトランスフェクトされた単離細胞。
(項目35)
項目25に記載の均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を含むワクチンを投与することを含む、感染性(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御する方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aおよび1Bは、SA-14-14-2 JEV株の合成cDNAを含有するpMG8009 JEV DNAワクチンの調製を示す。(A)CMVプロモーター、完全長JEV SA14-14-2合成cDNA、および3つの合成イントロンを含むDNA構築物が、概略的に示される。CMVプロモーター、JEV遺伝子、およびイントロン1~3(アスタリスク)の位置が、ノンスケールで概略的に示される。(B)10の独立したE.coliコロニーから単離されたプラスミドDNAの1%ゲル電気泳動の結果。pMG8009を化学的に有能なE.coli Stbl3細胞に形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを含有するLB寒天プレート上で成長させた。プレートから得た10の独立したコロニーを2mlのLB培養物中で成長させ、DNAを単離し、50μlの滅菌水に再懸濁した。1μlの得られたプラスミドDNAを、1%TAEアガロースゲル上にロードした。
図1B図1Aおよび1Bは、SA-14-14-2 JEV株の合成cDNAを含有するpMG8009 JEV DNAワクチンの調製を示す。(A)CMVプロモーター、完全長JEV SA14-14-2合成cDNA、および3つの合成イントロンを含むDNA構築物が、概略的に示される。CMVプロモーター、JEV遺伝子、およびイントロン1~3(アスタリスク)の位置が、ノンスケールで概略的に示される。(B)10の独立したE.coliコロニーから単離されたプラスミドDNAの1%ゲル電気泳動の結果。pMG8009を化学的に有能なE.coli Stbl3細胞に形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを含有するLB寒天プレート上で成長させた。プレートから得た10の独立したコロニーを2mlのLB培養物中で成長させ、DNAを単離し、50μlの滅菌水に再懸濁した。1μlの得られたプラスミドDNAを、1%TAEアガロースゲル上にロードした。
【0013】
図2A図2A~2Cは、pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドをトランスフェクトしたVero細胞におけるJEVウイルスの発現を示す。(a)1μgのpMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドでのエレクトロポレーションによってトランスフェクトされたVero細胞における感染性中心アッセイ(ICA:Infectious center assay)。(b)マウス抗JEV(ATCC VR-1259AF)抗体を使用するウェスタンブロット。レーンMは、SeeBlue Plus 2タンパク質分子量マーカー(Thermo)を示す。レーン1は、pMG8009をトランスフェクトされたVero細胞におけるJEV抗原を示す。レーン2は、トランスフェクトされていないVero細胞である。(c)抗JEVマウスATCC VR-1259AFを使用する間接IFA。パネル1、2、3は、それぞれ、170倍の倍率でのpMG8009をトランスフェクトされたVero細胞、トランスフェクトされていないVero細胞(170倍の倍率)、および400倍の倍率でのトランスフェクトされたVero細胞を示す。
図2B図2A~2Cは、pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドをトランスフェクトしたVero細胞におけるJEVウイルスの発現を示す。(a)1μgのpMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドでのエレクトロポレーションによってトランスフェクトされたVero細胞における感染性中心アッセイ(ICA:Infectious center assay)。(b)マウス抗JEV(ATCC VR-1259AF)抗体を使用するウェスタンブロット。レーンMは、SeeBlue Plus 2タンパク質分子量マーカー(Thermo)を示す。レーン1は、pMG8009をトランスフェクトされたVero細胞におけるJEV抗原を示す。レーン2は、トランスフェクトされていないVero細胞である。(c)抗JEVマウスATCC VR-1259AFを使用する間接IFA。パネル1、2、3は、それぞれ、170倍の倍率でのpMG8009をトランスフェクトされたVero細胞、トランスフェクトされていないVero細胞(170倍の倍率)、および400倍の倍率でのトランスフェクトされたVero細胞を示す。
図2C図2A~2Cは、pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドをトランスフェクトしたVero細胞におけるJEVウイルスの発現を示す。(a)1μgのpMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドでのエレクトロポレーションによってトランスフェクトされたVero細胞における感染性中心アッセイ(ICA:Infectious center assay)。(b)マウス抗JEV(ATCC VR-1259AF)抗体を使用するウェスタンブロット。レーンMは、SeeBlue Plus 2タンパク質分子量マーカー(Thermo)を示す。レーン1は、pMG8009をトランスフェクトされたVero細胞におけるJEV抗原を示す。レーン2は、トランスフェクトされていないVero細胞である。(c)抗JEVマウスATCC VR-1259AFを使用する間接IFA。パネル1、2、3は、それぞれ、170倍の倍率でのpMG8009をトランスフェクトされたVero細胞、トランスフェクトされていないVero細胞(170倍の倍率)、および400倍の倍率でのトランスフェクトされたVero細胞を示す。
【0014】
図3A図3Aおよび3Bは、pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドをトランスフェクトされたVero細胞の培地におけるJEVウイルスの検出を示す。(A)BHK細胞におけるプラークアッセイ。上部のパネルは、ウイルスに感染したVero細胞(エレクトロポレーションなし)の成長培地のプラークアッセイであり、試料は、1000PFUでの感染後7日目に採取した(図3Bの試料番号6)。下部のパネルは、pMG8009をトランスフェクトされたVero細胞(エレクトロポレーション後)の成長培地のプラークアッセイであり、試料は、10ngのDNAでのトランスフェクション後7日目に採取した(図3Bの試料番号2)。(B)pMG8009 iDNA(登録商標)をトランスフェクトされたVero細胞(試料2、3、4)またはpMG8009由来のウイルスに感染したVero細胞(試料5および6)の培地におけるJEVウイルスの増殖曲線。試料5および6は、エレクトロポレーション手順がVero細胞におけるウイルスの成長に影響するかどうかを検出するための、エレクトロポレーションされたVero細胞およびエレクトロポレーションされていないVero細胞の1000PFUのpMG8009由来のワクチンウイルスでの感染をそれぞれ示す。
図3B図3Aおよび3Bは、pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドをトランスフェクトされたVero細胞の培地におけるJEVウイルスの検出を示す。(A)BHK細胞におけるプラークアッセイ。上部のパネルは、ウイルスに感染したVero細胞(エレクトロポレーションなし)の成長培地のプラークアッセイであり、試料は、1000PFUでの感染後7日目に採取した(図3Bの試料番号6)。下部のパネルは、pMG8009をトランスフェクトされたVero細胞(エレクトロポレーション後)の成長培地のプラークアッセイであり、試料は、10ngのDNAでのトランスフェクション後7日目に採取した(図3Bの試料番号2)。(B)pMG8009 iDNA(登録商標)をトランスフェクトされたVero細胞(試料2、3、4)またはpMG8009由来のウイルスに感染したVero細胞(試料5および6)の培地におけるJEVウイルスの増殖曲線。試料5および6は、エレクトロポレーション手順がVero細胞におけるウイルスの成長に影響するかどうかを検出するための、エレクトロポレーションされたVero細胞およびエレクトロポレーションされていないVero細胞の1000PFUのpMG8009由来のワクチンウイルスでの感染をそれぞれ示す。
【0015】
図4図4は、IFAによる、BALB/cマウスにおけるpMG8009 JEVワクチンの免疫原性を示す。マウスには、0日目に、5μgのpMG8009プラスミドを、エレクトロポレーションを使用して、筋肉内にワクチン接種した。抗体を検出するために、マウスを21日目に採血した。ワクチン接種されたマウスの血清を、チャンバースライド内で、IFAにおいてJEVに感染したVero細胞をプローブするために、1:10希釈で使用した。マウス血清とインキュベーションした後、Vero細胞をマウスIgG(H+L)に対するフルオレセイン標識抗体で処理して、JEV抗原を発現する細胞を可視化した。スライドを、ヨウ化プロピジウム核対比染色を含有するマウンティング培地で被覆し、顕微鏡下で観察した。
【0016】
図5A図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
図5B図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
図5C図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
図5D図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
図5E図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
図5F図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
図5G図5A~5Gは、CMV最初期プロモーターに作動可能に連結しており、pUC骨格プラスミド内に挿入されている、JEV(株SA14-14-2)の完全長ゲノムRNAをコードするcDNAを含むpMG8009プラスミドのヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。pUCプラスミドおよびイントロンのヌクレオチドは、大文字で表されている。CMVプロモーターはイタリック文字で表されている。JEVのゲノムRNAをコードするcDNAは太字で表されている。イントロンには下線が引かれている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示は、RNAウイルス、特に、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して防御するためのワクチンを提供する。(+)SS RNAウイルスの科には、Astroviridae、CaliciviridaeおよびPicornaviridae、Coronoviridae、Retroviridae、Togaviridae、ならびにFlaviviridaeが含まれる。例えば、Astroviridae科にはヒトアストロウイルスが含まれ、Caliciviridae科にはノーウォークウイルスが含まれ、Picornaviridae科にはコクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、およびライノウイルスが含まれ、Coronoviridae科にはコロナウイルスおよびSARウイルスが含まれ、Retroviridae科にはアルファレトロウイルス、ベータレトロウイルス、デルタレトロウイルス、レンチウイルス、およびスプマウイルスが含まれ、Togaviridae科には風疹ウイルスおよびアルファウイルスが含まれ、flaviviridae科にはC型肝炎ウイルスおよびフラビウイルスが含まれる。
【0018】
実施形態では、本明細書において記載されるワクチンは、アルファウイルスによって生じる疾患に対して防御する。アルファウイルスには、バーマフォレストウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、チクングニヤウイルス、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、セムリキ森林熱ウイルス、パナマウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、およびシンドビスウイルスが含まれる。
【0019】
実施形態では、本明細書において記載されるワクチンは、フラビウイルスによって生じる疾患に対して防御する。フラビウイルスには、黄熱ウイルス、デングウイルス、ウェストナイルウイルス、ジカウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、および日本脳炎ウイルスが含まれる。
【0020】
周知のように、(+)SS RNAウイルスは、ウイルス性胃腸炎、A型肝炎、C型肝炎、デング熱、黄熱、ウェストナイル熱、ポリオ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、脳炎、麻疹、おたふく風邪、風疹、および口蹄疫を含む様々な疾患を生じさせる。本明細書において使用する場合、用語「(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患」には、(+)SS RNAウイルスによって生じる感染が含まれる。
【0021】
実施形態では、本明細書において記載されるワクチンは、脳炎、例えば、JEVによって生じる脳炎に対して防御する。
【0022】
本明細書において記載されるワクチンは、治療有効量の(i)感染性(+)SS RNAウイルスのRNAをコードするプラスミドDNAなどの、感染性(+)SS RNAウイルスのRNAをコードするDNAを含むベクター、または(ii)(i)のベクターをトランスフェクトされた細胞から得られた、クローン精製された感染性(+)SS RNAウイルスの均質な集団を含む。さらに、ベクター内に含有されるDNAは、非病原性および/または弱毒化(+)SS RNAウイルスをコードし、このDNAは、真核細胞において発現するための適切なプロモーターを含む。
【0023】
本明細書において使用する場合、用語「感染性」ウイルスは、細胞に侵入し、再生(複製)し、および増殖し得るウイルスを指す。感染性ウイルスは、気付かれずに疾患を生じさせ得るかまたは増殖し得る。したがって、感染性(複製)ウイルスは、病原性または非病原性であり得る。実施形態では、感染性ウイルスは、ワクチンにおいて使用される場合、非病原性である、および/または弱毒化されている。感染性(+)SS RNAウイルスは、その完全長RNAゲノム配列によってコードされるウイルスを含む。特定の実施形態では、本開示は、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御するための生ウイルスを生成する感染性DNA(iDNA(登録商標))ワクチンを提供する。
【0024】
従来のDNAワクチンとは対照的に、iDNA(登録商標)ワクチンは、DNAローンチ型の生弱毒化ウイルスをin vivoで生成する。従来のDNAワクチンは、目的の特定の遺伝子をコードするDNAの配列を含有するのみであったが、その一方で、iDNA(登録商標)ワクチンは、(+)SS RNAウイルスの機能的ゲノムRNA全体をコードするDNAを含む。さらに、宿主細胞の細胞質内で複製し、宿主細胞の核には入らない(+)SS RNAウイルスとは異なり、iDNA(登録商標)ワクチンのDNAは、複製を開始するために宿主細胞の核に入る。iDNA(登録商標)ワクチンのDNAが宿主細胞内に注入されると、DNAは、複製のために、感染性(+)SS RNAウイルスのゲノムRNA全体を転写する核に入る。感染性(+)SS RNAウイルスの転写された機能的ゲノムRNAは、その後、ウイルスの子孫を得るための複製および増殖のために、宿主細胞の細胞質内に輸送される。このプロセスは、ワクチン生産で一般に見られる突然変異および復帰の可能性を低減させる。
【0025】
従来のDNAワクチンと同様に、iDNA(登録商標)ワクチンは安価であり、製造が簡単である。さらに、生弱毒化ウイルスは対象におけるワクチンの投与部位で生産され得るため、iDNA(登録商標)ワクチンは、免疫性を迅速に誘発する。また、生弱毒化ウイルスが生産されるため、免疫性を誘発するために必要なのは単回の低用量のみである。さらに、iDNA(登録商標)ワクチンは、クローン精製された弱毒化(+)SS RNAウイルスの遺伝的に安定かつ均質な集団をin vivoで生成し、これがワクチンの安全性を向上させる。
【0026】
さらに、iDNA(登録商標)技術は、ワクチンとして使用するための、クローン精製された弱毒化(+)SS RNAウイルスの遺伝的に安定かつ均質な集団を生成するために使用され得る。(+)SS RNAウイルスは遺伝的に安定なiDNA(登録商標)からローンチされるため、iDNA(登録商標)技術は、(+)SS RNAウイルスのRNAの遺伝子突然変異生成の可能性を少なくとも約50%、70%、80%、90%、または99%低減させ得る。実施形態では、本開示は、弱毒化(+)SS RNAウイルスの均質な集団を含むワクチンを記載する。
【0027】
iDNA(登録商標)技術は、ワクチンをin vitroまたはin vivoで生成するためにDNAベクターを使用することに基づく。用語「ベクター」および「プラスミド」は、本明細書全体を通して区別せずに使用される。実施形態では、本開示は、真核細胞などの細胞における発現に適切なプロモーターに作動可能に連結したRNA分子をコードするDNAを含むベクターを提供する。実施形態では、DNAは、(+)SS RNAウイルスの完全長(ゲノム)RNAをコードするcDNA分子である。実施形態では、RNA分子は、感染性(+)SS RNAウイルスをコードする。DNA分子は、少なくとも3つのイントロンを含む。イントロンの少なくとも1つは、(+)SS RNAウイルスの非構造タンパク質をコードする遺伝子(またはDNAの領域)内に位置し、1つのイントロンは、(+)SS RNAウイルスの構造タンパク質をコードする遺伝子(またはDNAの領域)内に位置する。
【0028】
本明細書において記載されるベクターは、RNA分子をコードするDNAに加えて、調節エレメントを含む。調節エレメントには、例えば、1つまたは複数のプロモーター、ポリAテール、ターミネーター、エンハンサー、リボザイム、内部リボソーム進入部位、または核輸送エレメントが含まれる。プロモーターには、宿主細胞における発現に適切なものが含まれる。実施形態では、プロモーターは、真核細胞、例えば哺乳動物細胞における発現に適切である。このようなプロモーターの例は、真核生物RNAポリメラーゼプロモーターである。真核細胞におけるベクターの発現のためのプロモーターの他の例には、CMV、RSV、SV40、HSV、ヒトPol I、ヒトPol II、およびヒトPol IIIが含まれる。特定の実施形態では、プロモーターは、CMVプロモーターである。
【0029】
ベクター内の転写開始部位に対するプロモーターの位置は、重要である。例えば、プロモーターは、RNA分子をコードするDNAの5’末端の約5から約100、約10から約50、または約10から約20ヌクレオチド上流に配置され得る。実施形態では、本明細書において記載されるベクターは、RNA分子をコードするDNAの5’末端の約12から約18ヌクレオチド上流に位置するCMVプロモーターを含む。特定の実施形態では、CMVプロモーターの最適な位置は、RNA分子をコードするDNAの5’末端の約15ヌクレオチド上流である。
【0030】
実施形態では、ポリAテールは、RNA分子をコードするDNAの3’末端から約0から500ヌクレオチド下流に位置する。
【0031】
実施形態では、ベクターはまた、転写されたRNA分子の合成および転写されたRNA分子の細胞の核から細胞質への輸送を確実にするエレメントも含む。
【0032】
実施形態では、ベクター内に含有されるDNAは、感染性(+)SS RNAウイルスをコードするRNA分子をコードする。特定の実施形態では、感染性(+)SS RNAウイルスは、非病原性および/または弱毒化ウイルスである。
【0033】
実施形態では、感染性(+)SS RNAウイルスは、フラビウイルスである。フラビウイルスの例には、JEV、デングウイルス、黄熱ウイルス、ウェストナイルウイルス、およびジカウイルスが含まれる。実施形態では、フラビウイルスは、JEVである。JEVは、非病原性ウイルスである。特定の実施形態では、JEVは、非病原性および/または弱毒化ウイルスである。弱毒化JEVの例は、SA14-14-2株、GenBank受託番号AF315119である。
【0034】
修飾を、株を弱毒化するため、または株の弱毒化をさらに向上させるために、感染性(+)SS RNAウイルスのRNAをコードするDNAに対して行うことができる。DNAは、十分な弱毒化を確実にするように、および/または他の特徴を導入しながらも、感染性および所望の治療効果は依然として維持するように、修飾され得る。弱毒化の最適化は、ワクチンを向上させ得、ワクチン接種に関連する副作用を低減させ得る。実施形態では、感染性(+)SS RNAウイルスのRNAをコードするDNAは、核酸の1つまたは複数の挿入、欠失、および/または置換によって修飾され得る。例えば、修飾されたDNAは、感染性(+)SS RNAウイルスをコードする野生型配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または97%、または99%の配列同一性を有し得る。
【0035】
さらに、iDNA技術の使用によって、天然に弱毒化されたウイルスが生成する。iDNA技術によって生成されるこれらのウイルスは、オリジナルの野生型ウイルスまたは天然のウイルスと比較して弱毒化されている。さらに、これらのウイルスは、このようなウイルス集団を注射した後の対象の数に基づいて判定したところ、従来の方法(Poirierら
、2017年)によって調製された弱毒化ウイルスよりも少なくとも20%高く弱毒化されている。本開示は、従来の方法によって調製された弱毒化ウイルスよりも少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、または30%高く弱毒化されている、本明細書において記載されるiDNA技術によって生成された(+)SS RNAウイルスを記載する。
【0036】
ベクター内に含有されるDNAは、非病原性のおよび/または弱毒化された感染性(+)SS RNAウイルスのRNA分子をコードする。実施形態では、ベクター内に含有されるDNAは、非病原性のおよび/または弱毒化された感染性のJEV、デング熱ウイルス、黄熱ウイルス、ウェストナイルウイルス、またはジカウイルスをコードする。
【0037】
ベクター内に含有されるDNAはまた、少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスのRNAを含むキメラRNA分子もコードし得る。第2の(+)SS RNAウイルスのRNAは、第1の(+)SS RNAウイルスをコードする完全長RNAの一部分を置き換える。したがって、キメラRNA分子は、感染性キメラ(+)SS RNAウイルスをコードし、非病原性であってよい、および/または弱毒化されていてよい。実施形態では、ベクター内に含有されるDNAは、同一属の少なくとも2つの異なる(+)SS
RNAウイルスのRNAを含むキメラ(+)SS RNAウイルスをコードする。例えば、第1の(+)SS RNAウイルスはフラビウイルスであり、第2の(+)SS RNAウイルスは別のフラビウイルスである。別の例として、第1の(+)SS RNAウイルスはJEVであり、その一方で、第2の(+)SS RNAウイルスは、デングウイルス、黄熱ウイルス、ウェストナイルウイルス、またはジカウイルスである。実施形態では、DNAは、JEVおよびジカウイルスのRNAを含むキメラRNA分子をコードする。他の例には、黄熱ウイルスおよびデング熱ウイルス、または黄熱ウイルスおよびジカウイルス、または黄熱ウイルスおよびジカウイルス、または黄熱ウイルスおよびウェストナイルウイルスのキメラRNA分子をコードするDNAが含まれる。キメラウイルスをコードするこのようなDNAベクターは免疫応答を誘発し、1つのフラビウイルス、または2つもしくはそれより多くのフラビウイルスでの感染から防御する。
【0038】
キメラRNA分子は、第1の(+)SS RNAウイルスの核酸配列の少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%を含有し得る。
【0039】
本開示は、本明細書において記載される(+)SS RNAウイルスをコードするiDNAプラスミドの増殖に使用される宿主細胞、特にE.coliでのDNAの安定性を向上させるため、および前記宿主細胞内におけるDNAの収量を向上させるための、(+)SS RNA分子をコードするDNA内へのイントロンの挿入を記載する。実施形態では、RNA分子をコードするDNAは、3つのイントロンを含む。用語「イントロン」は、タンパク質をコードせず、遺伝子の配列を中断し、そして後に、遺伝子配列を回復させるためにスプライシングメカニズムによって除去され得るイントロンRNAをコードするDNAの断片を指す。イントロンは、1つの停止コドンまたはいくつかの停止コドンを含有し得る。DNA内の停止コドンの例には、TAA、TAG、およびTGAが含まれる。他の公知のイントロンもまた使用することができる。特定の実施形態では、本明細書において記載されるDNA内のイントロン配列は、マウス免疫グロブリンH鎖V領域前駆体遺伝子に由来する(Genbank受託番号M12880)。
【0040】
実施形態では、DNAは、少なくとも3つのイントロン、少なくとも4つのイントロン、少なくとも5つのイントロン、少なくとも6つのイントロン、少なくとも7つのイントロン、少なくとも8つのイントロン、少なくとも9つのイントロン、または少なくとも10のイントロンを含有する。イントロンの配置は、経験的に、または当技術分野において公知の方法を使用してプロモーターを予測することによって、決定することができる(Shahmuradov、2017年)。イントロンの少なくとも1つは、(+)SS RNAウイル
スの非構造(NS)タンパク質をコードする遺伝子内に挿入され、イントロンの少なくとも1つは、構造タンパク質をコードする遺伝子内に挿入される。
【0041】
(+)SS RNAウイルスは、構造遺伝子および非構造遺伝子を含む。例えば、フラビウイルスの非構造タンパク質には、NS1タンパク質、NS2Aタンパク質、NS2Bタンパク質、NS3タンパク質、NS4Aタンパク質、2Kタンパク質、NS4Bタンパク質、およびNS5タンパク質が含まれる。フラビウイルスの構造タンパク質には、カプシド(Cap)タンパク質、膜(prM/M)タンパク質、およびエンベロープ(Env)タンパク質が含まれる。実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、フラビウイルスのNS1タンパク質、NS2Aタンパク質、NS2Bタンパク質、NS3タンパク質、NS4Aタンパク質、2Kタンパク質、NS4Bタンパク質、またはNS5タンパク質をコードする遺伝子内に挿入され、イントロンの少なくとも1つは、フラビウイルスのCapタンパク質、Envタンパク質、またはprM/Mタンパク質をコードする遺伝子内に挿入される。フラビウイルスのこれらの構造タンパク質および非構造タンパク質は、フラビウイルスの構造遺伝子および非構造遺伝子によってコードされるポリタンパク質の一部である。
【0042】
実施形態では、フラビウイルスは、弱毒化JEV SA14-14-2株であり、JEV SA14-14-2株のヌクレオチド配列は、GenBank受託番号(GB Acc.)AF315119.1で提供される。以下の表1で示すように、ヌクレオチド96から2477(GB Acc.AF315119.1の)は、構造タンパク質(Cap、prM/M、およびEnv)をコードし、ヌクレオチド2478から10391は、非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、およびNS5)をコードする。他の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.AF315119.1のヌクレオチド96~2477の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド2478から10391の間に挿入される。特定の実施形態では、イントロンは、GenBank受託番号AF315119で提供されるJEV株SA14-14-2のヌクレオチド配列のヌクレオチド414(カプシド)、2213(エンベロープ)、および3134で挿入される。
【0043】
実施形態では、フラビウイルスは、黄熱YF17D株であり、YF17D株のヌクレオチド配列は、GB Acc.X03700.1で提供される。以下の表1で示すように、ヌクレオチド122から2452(GB Acc.X03700.1の)は、構造タンパク質(Cap、prM/M、およびEnv)をコードし、ヌクレオチド2453から10354は、非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、およびNS5)をコードする。特定の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.X03700.1のヌクレオチド122から2452の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド2453から10354の間に挿入される。
【0044】
実施形態では、フラビウイルスは、ウェストナイルウイルス(WNV)の株であり、WNV株のヌクレオチド配列は、GB Acc.KM659876.1で提供される。以下の表1で示すように、ヌクレオチド97から2469(GB Acc.KM659876.1の)は、構造タンパク質(Cap、prM/M、およびEnv)をコードし、ヌクレオチド2470から10398は、非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、2K、NS4B、およびNS5)をコードする。特定の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.KM659876.1のヌクレオチド97から2469の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド2470から10398の間に挿入される。
【0045】
実施形態では、フラビウイルスは、デング2 PDK-53株であり、デング2 PDK-53株のヌクレオチド配列は、GB Acc.M84728.1で提供される。以下の表1で示すように、ヌクレオチド100から2421(GB Acc.M84728.1.の)は、構造タンパク質(Cap、prM/M、およびEnv)をコードし、ヌクレオチド2422から10269は、非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、2K、NS4B、およびNS5)をコードする。特定の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.M84728.1のヌクレオチド100から2421の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド2422から10269の間に挿入される。
【0046】
実施形態では、フラビウイルスは、ジカウイルスの株であり、ジカ株のヌクレオチド配列は、GB Acc.NC_012532で提供される。以下の表1で示すように、ヌクレオチド107から2476(GB Acc.NC_012532.の)は、構造タンパク質(Cap、prM/M、およびEnv)をコードし、ヌクレオチド2477から10363は、非構造タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、2K、NS4B、およびNS5)をコードする。特定の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.NC_012532のヌクレオチド107から2476の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド2477から10363の間に挿入される。
【0047】
別の例として、アルファウイルスの非構造タンパク質には、nsP1タンパク質、nsP2タンパク質、nsP3タンパク質、およびnsP4タンパク質が含まれる。アルファウイルスの構造タンパク質には、カプシド(Cap)タンパク質、E3タンパク質、E2タンパク質、6Kタンパク質、およびE1タンパク質が含まれる。実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、アルファウイルスのnsP1タンパク質、nsP2タンパク質、nsP3タンパク質、またはnsP4タンパク質をコードする遺伝子内に挿入され、イントロンの少なくとも1つは、アルファウイルスのCapタンパク質、E3タンパク質、E2タンパク質、6Kタンパク質、またはE1タンパク質をコードする遺伝子内に挿入される。アルファウイルスでは、非構造タンパク質および構造タンパク質は、分離したポリタンパク質の各部分であり、その結果、これら複数の非構造遺伝子が一緒になって1つのポリタンパク質をコードし、これら複数の構造遺伝子が一緒になって第2のポリタンパク質をコードする。
【0048】
実施形態では、アルファウイルスは、VEEV TC-83株であり、VEEV株のヌクレオチド配列は、GB Acc.L01443で提供される。以下の表2で示すように、ヌクレオチド45から7523(GB Acc.L01443の)は、非構造タンパク質(nsP1、nsP2、nsP3、およびnsP4)をコードし、ヌクレオチド7562から11326は、構造タンパク質(Cap、E3、E2、6K、およびE1)をコードする。他の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.L01443のヌクレオチド45~7523の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド7562から11326の間に挿入される。
【0049】
実施形態では、アルファウイルスは、CHIKV 181/25株であり、CHIKV株のヌクレオチド配列は、GB Acc.L37661.3で提供される。以下の表2で示すように、ヌクレオチド50から7471(GB Acc.L37661.3の)は、非構造タンパク質(nsP1、nsP2、nsP3、およびnsP4)をコードし、ヌクレオチド7450から11283は、構造タンパク質(CAP、E3、E2、6K、およびE1)をコードする。他の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.L37661.3のヌクレオチド50~7471の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド7540から11283の間に挿入される。
【0050】
さらなる例として、ピコルナウイルスの非構造タンパク質には、P2-Aタンパク質、P2-Bタンパク質、P2-Cタンパク質、P3-Aタンパク質、P3-Bタンパク質、P3-Cタンパク質、およびP3-Dタンパク質が含まれる。ピコルナウイルスの構造タンパク質には、P1-Aタンパク質、P1-Bタンパク質、P1-Cタンパク質、およびP1-Dタンパク質が含まれる。実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、ピコルナウイルスのP2-Aタンパク質、P2-Bタンパク質、P2-Cタンパク質、P3-Aタンパク質、P3-Bタンパク質、P3-Cタンパク質、またはP3-Dタンパク質をコードする遺伝子内に挿入され、イントロンの少なくとも1つは、ピコルナウイルスのP1-Aタンパク質、P1-Bタンパク質、P1-Cタンパク質、またはP1-Dタンパク質をコードする遺伝子内に挿入される。ピコルナウイルスのこれらの構造タンパク質および非構造タンパク質は、ピコルナウイルスの構造遺伝子および非構造遺伝子によってコードされるポリタンパク質の一部である。
【0051】
実施形態では、ピコルナウイルスは、弱毒化ヒトポリオウイルス2株であり、ヒトポリオウイルス2株のヌクレオチド配列は、GB Acc.D00625.1で提供される。以下の表3で示すように、ヌクレオチド748から3384(GB Acc.D00625.1の)は、構造タンパク質(P1-A、P1-B、P1-C、およびP1-D)をコードし、ヌクレオチド3385から7362は、非構造タンパク質(P2-A、P2-B、P2-C、P3-A、P3-B、P3-C、およびP3-D)をコードする。他の実施形態では、イントロンの少なくとも1つは、GB Acc.D00625.1のヌクレオチド748から3384の間に挿入され、少なくとも1つのイントロンは、ヌクレオチド3385から7362の間に挿入される。
【0052】
実施形態では、(+)SS RNAウイルスは弱毒化ウイルスであるか、または、iDNA技術プロセスを介するその生産を経て弱毒化されている(もしくは弱毒化が増強されている)。表1、2、および3は、典型的な(+)SS RNAウイルスを提供する。ここには、(+)SS RNAウイルスの他の例が存在し、各タイプの(+)SS RNAウイルスの様々な株も存在する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0053】
実施形態では、本明細書において記載されるベクター内に含有されるDNAは、(+)SS RNAウイルスをコードするDNAを含む。他の実施形態では、(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、GB Acc.AF315119.1、X03700.1、KM659876.1、M84728.1、NC_012532、L01443、L37661.3、またはD00625.1で示され、少なくとも3つのイントロンを含むように修飾されている。イントロンの少なくとも1つは、(+)SS RNAウイルスの構造タンパク質をコードするDNA領域内にあり、イントロンの少なくとも1つは、非構造タンパク質をコードするDNA領域内にある。
【0054】
特定の実施形態では、本明細書において記載されるベクター内に含有されるDNAは、配列番号1で示される。
【0055】
実施形態では、ベクター内に含有される、(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、非常に低いストリンジェンシー条件下で、低いストリンジェンシー条件下で、中程度のストリンジェンシー条件下で、中程度~高いストリンジェンシー条件下で、高いストリンジェンシー条件下で、または非常に高いストリンジェンシー条件下で、配列番号1またはその相補鎖とハイブリダイズする。実施形態では、(+)SS RNAをコードするDNAは、本明細書において記載される様々なストリンジェンシー条件で、配列番号1またはその相補鎖の約1011から12320でヌクレオチドにハイブリダイズする。ストリンジェンシー条件は、参照によってその全体が組み込まれる、Sambrookら(J.Sambrook, E. F. FritschおよびT. Maniatis、1989年、Molecular Cloning、A laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N. Y.)において提供されている。
【0056】
実施形態では、ベクター内に含有される(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、非常に低いストリンジェンシー条件下で、低いストリンジェンシー条件下で、中程度のストリンジェンシー条件下で、中程度~高いストリンジェンシー条件下で、高いストリンジェンシー条件下で、または非常に高いストリンジェンシー条件下で、GB Acc.AF315119.1、X03700.1、KM659876.1、M84728.1、NC_012532、L01443、L37661.3、またはD00625.1で示されるDNA、またはその相補鎖とハイブリダイズし、(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、少なくとも3つのイントロンを含み、その1つは、構造タンパク質をコードするDNA領域内にあり、1つは、非構造タンパク質をコードするDNA領域内にある。
【0057】
実施形態では、ベクター内に含有される(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。本開示の目的では、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の同一性の程度は、EMBOSSパッケージ、好ましくはバージョン3.0.0またはそれ以降のNeedleプログラムで実行されるNeedleman-Wunschアルゴリズムを使用して判定される。
【0058】
実施形態では、ベクター内に含有される(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、GB Acc.AF315119.1、X03700.1、KM659876.1、M84728.1、NC_012532、L01443、L37661.3、またはD00625.1で示されるDNAと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、(+)SS RNAウイルスをコードするDNAは、少なくとも3つのイントロンを含み、その1つは、構造タンパク質をコードするDNA領域内にあり、1つは、非構造タンパク質をコードするDNA領域内にある。
【0059】
実施形態では、ベクター内に含有されるDNAによってコードされる(+)SS RNAウイルスのアミノ酸配列は、GB Acc.AF315119.1、X03700.1、KM659876.1、M84728.1、NC_012532、L01443、L37661.3、またはD00625.1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。(+)SS RNAウイルスのアミノ酸配列をコードするDNAは、少なくとも3つのイントロンを含み、その1つは、構造タンパク質をコードするDNA領域内にあり、1つは、非構造タンパク質をコードするDNA領域内にある。
【0060】
本開示はまた、大量の本明細書において記載されるDNAを調製する方法を提供する。RNA分子をコードするDNAは、化学的に合成され得、複製のために所望のベクター内にクローニングされ得る。大量のDNAを調製するための方法は、DNAを含有するベクターを宿主細胞内に形質転換すること、および、DNAを含有する大量のベクターの複製を可能にするための条件下で宿主細胞を培養することを含む。DNAを調製するための宿主細胞には、細菌細胞が含まれる。実施形態では、細菌細胞には、E.coliが含まれる。DNAを調製するための他の適切な宿主細胞または化学的手段もまた使用することができる。
【0061】
加えて、本開示は、細菌宿主細胞、例えばE.coliにおける感染性(+)SS RNAウイルスのゲノムRNAをコードするDNAの安定性および収量を向上させる方法を提供する。黄熱ウイルスまたはJEVを含むフラビウイルスなどの一部の(+)SS RNAウイルスのDNA、具体的にはcDNAは、E.coliにおいてプラスミドとして増やすことが非常に困難であり、それは、目的のcDNAを含有するプラスミドの不安定性および/または毒性のためである。過去には、プラスミドの収量を向上させるために、フラビウイルスDNAの毒性および収量を低減させる低コピープラスミドが使用されていた。さらに、プラスミドの安定性を向上させるために、イントロンが挿入されている。完全長クローンの安定性を向上させるために、2つのイントロンが低コピーJEVのcDNAプラスミドに挿入されている(Yamashchikovら、2001年)。しかし、特にワクチンを調製するために、高収量のプラスミドを生成することが望ましい。
【0062】
本開示は、E.coliなどの細菌宿主細胞において(+)SS RNAウイルスをコードするcDNAを増やすために、標準的な高コピープラスミドを利用する方法を提供する。本方法は、3つまたはそれより多くのイントロンを(+)SS RNAウイルスのcDNA内に組み込むことを含む。イントロンの少なくとも1つは、(+)SS RNAウイルスの構造タンパク質をコードする領域内に位置し、イントロンの少なくとも1つは、(+)SS RNAウイルスのNSタンパク質をコードする領域内に位置する。
【0063】
感染性(+)SS RNAウイルスをコードするオリジナル配列を回復させるために、各イントロンが転写の間にRNAから個別にスプライシングで除去されると想定されるので、安定性の増強および高収量の実現において複数のイントロンが有効であることは驚くべきことである。さらに、いくつかのイントロン、例えば、3つまたはそれより多くのイントロンが存在する場合、1つのイントロンが第2のイントロンまたは第3のイントロンと共にスプライシングで除去され、その結果、イントロン間の遺伝子(またはヌクレオチド)が欠失するという点で、選択的スプライシングの可能性が増大する。選択的スプライシングのこのプロセスによって欠失がもたらされ、その結果、非機能的なウイルスが生じる。本開示は、E.Coliなどの細菌宿主細胞において安定なプラスミドを生産する方法を提供する。任意のプラスミドまたはウイルスベクター、例えば、pcDNA3.1、pBR322、pCI、pUC、pCR、pCR-TOPO、ワクシニアベクター、AAVベクター、アデノウイルスベクター、および細菌宿主細胞において増えることが当技術分野において公知である他のプラスミドまたはベクターを、cDNAの挿入に使用することができる。細菌宿主に最適なプロモーターを予測するために、ソフトウェアプログラムおよび公知の方法を利用することができる。少なくとも3つのイントロンを含有するcDNAを含むプラスミドは、対照と比較して細菌宿主細胞において安定性が増強していることによって特徴付けされる。プラスミドの収量もまた、対照プラスミドと比較して増大している。対照プラスミドは、cDNAと3つ未満のイントロンを含み、(+)SS RNAウイルスのゲノムRNAをコードするプラスミドである。
【0064】
cDNAはまた、(+)SS RNAウイルスをコードするDNAに作動可能に連結した、真核宿主細胞における発現に適切な調節エレメント、例えばプロモーターも含み得る。
【0065】
本開示は、本明細書において記載されるベクターおよび担体を含む組成物を記載する。組成物は、ベクターおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であり得る。組成物は、有効量のベクターを含み得る。組成物は、疾患を防止および処置するための治療有効量のベクターを含み得る。治療目的では、ベクター内に含有されるDNAは、非病原性のおよび/または弱毒化されたウイルスまたはキメラウイルスのRNA分子をコードする。特定の実施形態では、組成物は、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して防御するためのワクチンとして使用される。
【0066】
本開示は、本明細書において記載されるベクターをトランスフェクトされた宿主細胞を記載する。宿主細胞は、原核細胞または真核細胞、例えば哺乳動物細胞であり得る。原核細胞には、E.coliが含まれる。真核細胞には、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、Vero細胞、CHO細胞、またはMDCKが含まれる。
【0067】
本開示はまた、本明細書において記載されるベクターから得られるウイルスおよび担体を含む組成物を記載する。本明細書において記載される組成物は、iDNA(登録商標)技術を使用して生産された、クローン精製されたウイルスの均質な集団を含む。iDNA(登録商標)技術は、ウイルスの均質な集団を生成する。例えば、iDNA(登録商標)技術によって生産されたウイルスの集団は、より高いパーセンテージの、同一のヌクレオチド配列を有するウイルスを含有する。実施形態では、本明細書において記載される(+)SS RNAウイルスの均質な集団は、従来の方法によって生産される(+)SS RNAウイルスの集団よりも、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%多くの、同一のヌクレオチド配列によってコードされるウイルスを含有する。例えば、本明細書において記載されるJEVウイルスの均質な集団は、従来の方法によって生産されるJEVの集団よりも、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%多くの、配列番号1によってコードされるJEVを含有する。
【0068】
さらに、(+)SS RNAウイルスの均質な集団は、約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%を超えるウイルスの疑似種を含有し得る。
【0069】
組成物は、有効量のウイルスおよび担体を含み得る。組成物は医薬組成物であり得、疾患の処置および防止のための治療有効量のウイルスおよび薬学的に許容される担体を含む。治療目的では、組成物の均質なウイルス集団は、非病原性ウイルス、弱毒化ウイルス、または非病原性の弱毒化ウイルスを含み、生の非病原性ウイルス、生の弱毒化ウイルス、または生の非病原性の弱毒化ウイルスも含み得る。特定の実施形態では、クローン精製されたウイルスの均質な集団を含む組成物は、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して防御するためのワクチンとして使用される。
【0070】
担体は、本明細書において記載されるベクターがそれと共に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を含む。組成物はまた、必要に応じて、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、持続放出製剤、その組合せなどの形態を取り得る。
【0071】
薬学的に許容される担体は、副作用を伴わずに対象内に注射され得る、本明細書において記載されるベクターを含有する媒体を指す。薬学的に許容される担体には、無菌の液体、例えば水および油が含まれ、油には、石油由来、動物由来、植物由来、または合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ごま油、その組合せなどが含まれる。適切な薬学的に許容される担体には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、その組合せなどが含まれる。適切な薬学的担体の他の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」において記載さ
れている。
【0072】
本開示はまた、クローン精製された生(+)SS RNAウイルスの均質な集団を調製するための方法を提供する。本方法は、本明細書において記載されるベクターを真核宿主細胞内にトランスフェクトすること、生(+)SS RNAウイルスの生産を可能にする条件下で宿主細胞を培養すること、およびクローン精製された生(+)SS RNAウイルスの均質な集団を得るために、生(+)SS RNAウイルスを、宿主細胞を成長させるための培養培地から単離することを含む。クローン精製された生(+)SS RNAウイルスの均質な集団を調製するための真核宿主細胞の例には、Vero細胞、CHO細胞、およびMDCK細胞、および他の哺乳動物細胞が含まれる。
【0073】
実施形態では、上記直前に記載した方法は、対象に免疫付与するためのワクチンとして使用するための治療有効量のクローン精製された生(+)SS RNAウイルスの均質な集団を含む医薬組成物を調製するために使用され得る。
【0074】
本明細書において記載される医薬組成物は、ワクチンに製剤化することができる。本明細書において記載されるワクチンは、適切に製剤化された、真核細胞における発現に適切なプロモーターに作動可能に連結した感染性の非病原性および/または弱毒化(+)SS
RNAウイルスの完全長ゲノムRNA分子をコードするDNAを含む本明細書において記載されるベクターを含む。このようなDNAは、対象に注射されると、弱毒化されたウイルスの限定的な複製を開始し、防御免疫応答を誘発する。
【0075】
本開示は、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患から対象を防御するための、本明細書において記載されるワクチンおよび組成物を使用するための方法を記載する。対象には、ヒト、ならびに家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリなど)および研究動物(サル、ラット、マウス、魚類など)を含む獣医学的動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類など)が含まれる。必要とする(それを必要とする)対象は、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患からのワクチン接種または免疫付与を必要とする対象である。本明細書において記載されるワクチンは、哺乳動物対象、特にヒトを疾患から防御するために特異的に製剤化され得る。
【0076】
本明細書において使用する場合、用語「疾患に対して防御する」は、疾患の防止および処置を含む。用語「処置すること」、「処置」などは、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指すために使用され、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患の症候を完全に取り除くかまたは任意の臨床的および/もしくは定量的に測定可能な程度まで改善させるプロセスを指す。用語「防止すること」は、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患を妨害する、および/または遅延させるプロセスを指す。実施形態では、本明細書において記載されるワクチンは、T細胞応答、抗原に対する抗体の血清レベルの増大、抗原に対する中和抗体の存在((+)SS RNAウイルスポリペプチドなど)、またはその組合せを含む「免疫応答」を誘発することによって、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して防御する。用語「防御」または「防御免疫性」は、免疫付与の間に誘発された血清抗体またはT細胞応答が、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患または死亡に対して防御する(部分的にまたは全体的に)能力を含む。
【0077】
本明細書において記載されるワクチンは、(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して防御するための様々な方法において利用され得る。本明細書において記載されるベクターを含有するワクチンは、エレクトロポレーション、リポフェクション、遺伝子銃、マイクロインジェクション、微粒子、マイクロカプセル、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、または他の遺伝子移入方法を含む様々な手段によって対象に直接的に投与され得る。対象の組織内では、完全長感染性(+)SS RNAは転写によって生成され、これによって、生の弱毒化(+)SS RNAウイルスの生産がin vivoで開始される。(+)SS RNAウイルスは、対象の組織内でin vivoで細胞から放出され、これによって、ワクチンに対する効果的な免疫応答の誘発が開始される。
【0078】
さらに、iDNA(登録商標)技術を使用して、ベクターを、エレクトロポレーションまたはあらゆる他の許容される当技術分野において公知の手段によって、真核細胞内に導入することができる。遺伝的に安定なシーケンシングされたDNAベクターの導入によって生産された生弱毒化ウイルスは、均質なウイルス集団であり、より少ない数の疑似種を含有し、したがって、従来の生弱毒化ワクチンに対する利点を呈する。したがって、本明細書において記載されるベクターから生成される生弱毒化ウイルスの均質な集団を、対象へのワクチン投与に適切な薬学的に許容される製剤に構成することができる。
【0079】
ワクチンの投与は、局所経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、皮内経路、腹腔内経路、経口経路、吸入経路、またはその組合せを含む、ワクチン接種に典型的に使用される任意の経路によるものであり得る。
【0080】
本明細書において記載されるワクチンは、治療有効量の、本明細書において記載されるベクター、またはクローン精製された本明細書において記載される(+)SS RNAウイルスの均質な集団を含む。「治療有効量」は、組成物を投与する対象においてワクチンが過度に負の影響を生じさせることなくその免疫学的役割を行うために必要な量である。投与すべき正確な量は、使用する転写プロモーターおよび翻訳プロモーターの強度、処置対象の状態のタイプ、投与態様、ならびに組成物中の他の成分などの因子に従って変化する。実施形態では、ワクチンは、約1ngから約1mgのベクターを含む。
【0081】
従来のDNAワクチンとは異なり、本明細書において記載されるワクチンは、複数回の追加投与を伴わない単回のワクチン接種で、効果的な免疫性を誘発し得る。さらに、低用量のベクターまたはクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団のみが必要である。実施形態では、低用量の約1ngから約1μg、約10ngから約1μg、または約100ngから約1μgのベクターまたはウイルスの均質な集団が使用され得る。さらに、従来のDNAワクチンと比較すると、使用するのは、約1/5から約1/100のベクターもしくはウイルスの集団、約1/10から約1/100のベクターもしくはウイルスの集団、約1/25から約1/100のベクターもしくはウイルスの集団、または約1/50から約1/100のベクターもしくはウイルスの集団でよい。
【0082】
実施形態では、DNAワクチンの免疫原性は、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバントまたは免疫刺激剤、例えば、アルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、ガンマ-インターフェロン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、マクロファージコロニー刺激因子(「M-CSF」)、インターロイキン2(「IL-2」)、インターロイキン12(「IL-12」)、およびCpGオリゴヌクレオチドとの製剤化によって修飾され得る。このような組成物の調製では、当技術分野において周知の方法を使用することができる。ある特定の実施形態では、DNAは、非メチル化CpGモチーフを含有し、toll様受容体を介して免疫系を活性化する免疫刺激分子をそれ自体が構成するベクターとしてE.coli細胞内で生成される。
【0083】
当業者には理解されるように、本明細書において開示される各実施形態は、その特定の言及されたエレメント、ステップ、成分、または構成要素を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得る。したがって、用語「含む(include)」または「含んで
いる(including)」は、「それを含む、それからなる、またはそれから本質的になる」
を指定すると解釈されるべきである。接続句(transition term)「含む(comprise)」または「含む(comprises)」は、たとえ量が多くても、特定されていないエレメント、
ステップ、成分、または構成要素を、それに限定はされないが意味し、そして含めることを認める。接続表現(transitional phrase)「からなる」は、特定されていないあらゆるエレメント、ステップ、成分、または構成要素を排除する。接続表現「から本質的になる」は、実施形態の範囲を、特定されたエレメント、ステップ、成分、または構成要素に、および実施形態に実質的に影響しないエレメント、ステップ、成分、または構成要素に限定する。例えば、実質的影響がないことは、本明細書において記載されるワクチンによる、ウイルス感染に対する統計的に有意な防御がないことによって証明される。
【0084】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解される。したがって、それとは逆であることが示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本発明によって得ることを目的としている所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低でも、また、特許請求の範囲への均等論の適用を限定する意図なしに、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の桁数に照らして、また通常の端数処理技術を適用することによって、解釈されるべきである。さらに明らかにする必要があれば、用語「約」は、言及された数値または数値範囲と組み合わせて使用された場合に、当業者によってそれであると合理的に判断される意味を有し、すなわち、言及された値の±20%、言及された値の±19%、言及された値の±18%、言及された値の±17%、言及された値の±16%、言及された値の±15%、言及された値の±14%、言及された値の±13%、言及された値の±12%、言及された値の±11%、言及された値の±10%、言及された値の±9%、言及された値の±8%、言及された値の±7%、言及された値の±6%、言及された値の±5%、言及された値の±4%、言及された値の±3%、言及された値の±2%、または言及された値の±1%の範囲内まで、言及された値または範囲よりもいくらか多いまたはいくらか少ないことを示す。
【0085】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるものの、具体的な例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。あらゆる数値が、しかし、それらのそれぞれの試験測定値で見られる標準偏差から必然的に生じるある一定の誤差を本質的に含有する。
【0086】
用語「a」、「an」、「the」、および本発明を記載する文脈で(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される類似の指示対象は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈される。本明細書における値の範囲の指定は、範囲内にある分離した各値について個別に言及する簡単な方法として役立つことを意図したものにすぎない。本明細書において別段の指示がない限り、各個々の値は、それが本明細書において個別に指定されているかのように本明細書内に組み込まれる。本明細書において記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行われ得る。本明細書において記載される任意のおよび全ての例、または典型的な言い回し(例えば「などの」)の使用は、本発明をより明らかにするためのものにすぎず、限定がなかった場合に特許請求される本発明の範囲に、限定を加えるものではない。本明細書におけるいずれの言い回しも、本発明の実施に必須の、特許請求の範囲に記載されていない任意のエレメントを示すとして解釈されるべきではない。
【0087】
以下の例は、典型的な実施形態および方法を説明する。これらは、本開示の範囲を限定するためのものではなく、また本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。本方法が、本明細書において特に記載されるものとは異なるように実施され得ることは明らかとなろう。多くの修正および変型が、本明細書における教示に照らして可能であり、したがって、本開示の範囲内である。
【0088】
典型的な実施形態
実施形態1。 真核細胞におけるベクターまたはDNAの発現のために適切なプロモーターに作動可能に連結したRNA分子をコードするDNAを含むベクターであって、前記RNA分子が感染性プラス一本鎖((+)SS)RNAウイルスをコードし、前記DNAが少なくとも3つのイントロンを含む、ベクター。
実施形態2。 前記(+)SS RNAウイルスが、フラビウイルス、アルファウイルス、ピコルナウイルス、ルビウイルス、コロナウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、重症急性呼吸器(SAR)ウイルス、およびレンチウイルスである、実施形態1に記載のベクター。
実施形態3。 前記フラビウイルスが、日本脳炎ウイルス(JEV)、デングウイルス、黄熱ウイルス、ウェストナイルウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびジカウイルスである、実施形態1または2に記載のベクター。
実施形態4。 前記フラビウイルスがJEVである、実施形態1~3のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態5。 真核細胞におけるベクターまたはDNAの発現のために適切なプロモーターに作動可能に連結したキメラRNA分子をコードするDNAを含むベクターであって、前記キメラRNA分子が感染性(+)SS RNAウイルスをコードし、前記DNAが少なくとも3つのイントロンを含む、ベクター。
実施形態6。 前記(+)SS RNAウイルスが、少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスのRNAを含むキメラRNA分子によってコードされる、実施形態5に記載のベクター。
実施形態7。 前記少なくとも2つの異なる(+)SS RNAウイルスが、JEVおよび少なくとも1つの他のウイルス、黄熱ウイルスおよび少なくとも1つの他のウイルス、およびデングウイルスおよび少なくとも1つの他のウイルスを含む、実施形態5または6に記載のベクター。
実施形態8。 前記少なくとも1つの他のウイルスが、ジカウイルス、ウェストナイルウイルス、黄熱ウイルス、またはデングウイルスである、実施形態4~7のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態9。 前記少なくとも2つの(+)SS RNAウイルスが、JEVおよびジカウイルスである、実施形態4~8のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態10。 少なくとも1つのイントロンが、非構造タンパク質をコードする領域内にあり、1つのイントロンが、構造タンパク質をコードする領域内にある、実施形態1~9のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態11。 前記イントロンが、1つの停止コドンまたはいくつかの停止コドンを含有する、実施形態1~10のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態12。 前記DNAが3つのイントロンを含む、実施形態1~11のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態13。 前記DNAが、少なくとも4つのイントロン、少なくとも5つのイントロン、または少なくとも6つのイントロンを含む、実施形態1~12のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態14。 前記感染性(+)SS RNAウイルスが、非病原性ウイルスである、実施形態1~13のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態15。 前記非病原性ウイルスが弱毒化ウイルスである、実施形態1~14のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態16。 前記プロモーターが、CMVプロモーター、RSVプロモーター、SV40プロモーター、HSVプロモーター、ヒトPol Iプロモーター、ヒトPol IIプロモーター、またはヒトPol IIIプロモーターである、請求項1~15のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態17。 前記プロモーターが転写開始部位の約12から18ヌクレオチド上流に位置する、実施形態1~16のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態18。 前記プロモーターが転写開始部位の約15ヌクレオチド上流に位置する、実施形態1~17のいずれか一つに記載のベクター。
実施形態19。 実施形態1~18のいずれか一つに記載のベクターおよび担体を含む組成物。
実施形態20。 実施形態1~20のいずれか一つに記載のベクターおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
実施形態21。 治療有効量の実施形態1~20のいずれか一つに記載のベクターを含むワクチン。
実施形態22。 治療有効量の実施形態1~21のいずれか一つに記載のベクターを含む医薬組成物を含むワクチン。
実施形態23。 実施形態1~23のいずれか一つに記載のベクターをトランスフェクトされた真核細胞から得られるクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団。
実施形態24。 実施形態23に記載のクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団および担体を含む組成物。
実施形態25。 実施形態23または24に記載のクローン精製された(+)SS RNAウイルスの均質な集団および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
実施形態26。 治療有効量の、実施形態1~25のいずれか一つに記載のベクターをトランスフェクトされた細胞から得られる均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を含む、ワクチン。
実施形態27。 実施形態1~26のいずれか一つに記載のベクターを真核細胞内にトランスフェクトすること、および(+)SS RNAウイルスを単離することを含み、それによって、均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を得る、前記均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を調製する方法。
実施形態28。 前記真核細胞が、Vero細胞、CHO細胞、またはMDCK細胞である、実施形態1~27のいずれか一つに記載の方法。
実施形態29。 実施形態1~29のいずれか一つに記載のベクターを真核細胞内にトランスフェクトすること、トランスフェクトされた真核細胞を培養すること、および(+)SS RNAウイルスを単離することを含み、それによってワクチンを得る、感染性(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御するためのワクチンを調製する方法。
実施形態30。 前記真核細胞が、Vero細胞、CHO細胞、またはMDCK細胞である、実施形態1~29のいずれか一つに記載の方法。
実施形態31。 実施形態1~30のいずれか一つに記載のワクチンを対象に投与することを含む、感染性(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御するための方法。
実施形態32。 前記対象が哺乳動物である、実施形態1~31のいずれか一つに記載の方法。
実施形態33。 前記哺乳動物が、ヒトまたは獣医学的動物である、実施形態1~32のいずれか一つに記載の方法。
実施形態34。 感染性(+)SS RNAウイルスのゲノムRNAをコードするDNAを含む安定なプラスミドを調製する方法であって、前記方法が、少なくとも3つのイントロンを前記DNAに導入することを含み、かつ、少なくとも1つのイントロンが、前記(+)SS RNAウイルスの構造タンパク質をコードする領域内にあり、少なくとも1つのイントロンが、前記(+)SS RNAウイルスの非構造タンパク質をコードする領域内にある、方法。
実施形態35。 実施形態1~34のいずれか一つに記載のベクターを宿主細胞内にトランスフェクトすること、および前記ベクターを前記宿主細胞から単離することを含む、実施形態1~34のいずれか一つに記載のベクターを調製する方法。
実施形態36。 実施形態1~34のいずれか一つに記載のベクターをトランスフェクトされた単離細胞。
実施形態37。 実施形態1~36のいずれか一つに記載の均質なクローン精製された生(+)SS RNAウイルス集団を含むワクチンを投与することを含む、感染性(+)SS RNAウイルスによって生じる疾患に対して対象を防御する方法。
【実施例0089】
イントロダクション。日本脳炎ウイルス(JEV)は、(+)SS RNAウイルスである。これは、小児および若年成人が主に罹患する、アジア太平洋地域における急性ウイルス脳炎の主な原因である。JEVは、アジア全体にわたる流行病を生じさせ、蚊であるCulex tritaeniorhynchusによって伝染する。4つのタイプのJEVワクチンが、世界の異なる地域で認可されている(CDC、2016年;WHO、2015年)。ここ数十年で、死滅ウイルスワクチンが組織培養物またはマウス脳において調製され、風土病がある国における旅行者および居住者に免疫付与するために使用されている。これらのワクチンの費用、有効性、および安全性の特徴に関する懸念から、生弱毒化ワクチンSA14-14-2、キメラワクチンYF-JEV、および精製された不活化された組織培養物由来のワクチン(HalsteadおよびThomas、2011年)を含む、代替的なワクチンが開発されている。現在のところ、その野生型親株SA14に由来する弱毒化株SA14-14-2が、ワクチンの開発および生産において使用される最も一般的な株である。しかし、臨床用および実験用のJEVワクチンが利用可能であるにもかかわらず、現在利用可能なワクチンには限界があるため、JEVワクチン接種の向上が必要とされている。実験的アプローチの中でも、構造JEVタンパク質または非構造JEVタンパク質を発現したプラスミドDNAワクチンが開発されている。マウスモデルにおいて、DNAワクチンは、致死用量のJEVでのチャレンジに対する検出可能な防御を引き起こした(Putnakら、2003年)。
【0090】
最近、DNAワクチンの化学的安定性および遺伝的安定性と伝統的な生弱毒化ワクチンの有効性とを組み合わせた、DNAローンチ型の生弱毒化ワクチンが記載されている(Pushkoら、2016年;Tretyakovaら、2014年a;Tretyakovaら、2013年;Tretyakovaら、2014年b)。このプラットフォームは、感染性クローン技術に基づくものであり、生弱毒化ウイルスをin vitroまたはin vivoでローンチし得るプラスミドDNAに相当する(Jiangら、2015年;Lukashevich、2014年;Tretyakovaら、2014年a;Tretyakovaら、2013年;Tretyakovaら、2014年b)。DNAローンチ型の生弱毒化ワクチンは、標準的なDNAワクチンからそれらを区別するために、iDNA(登録商標)ワクチンと呼ばれることがあった(Pushkoら、2016年;Tretyakovaら、2014年a;Tretyakovaら、2013年;Tretyakovaら、2014年b)。以前の研究において、完全長JEV感染性クローンが作製され、DNAローンチ型のウイルスをin vitroで調製するために使用されており、また、JEVの複製が細胞培養物において研究された。in vitroでのDNAローンチ型のJEVフラビウイルスの複製が確認されている(Mishinら、2001年;Yamshchikovら、2001年)。し
かし、DNAローンチ型の生弱毒化JEVワクチンは、in vivoではまだ評価されていない。その1つの考えられる理由は、安定な完全長JEVクローンを生成することが困難なことであった。プラスミドの安定性を向上させるために、2つのイントロンが低コピーJEV cDNAプラスミド内に挿入され、完全長クローンの安定性を向上させている(Yamshchikovら、2001年)。
【0091】
本研究では、DNAローンチ型の生弱毒化JEVワクチンは、SA14-14-2ワクチンの公開された配列に基づいて調製された。プラスミドは、SA14-14-2株の完全に合成されたcDNAを使用して調製した。E.coliにおける完全長プラスミド生産の収量は、3つの合成イントロンをJEV cDNAの構造遺伝子および非構造遺伝子の両方に挿入することによって向上した。ワクチンプラスミドは最初、in vitroでのJEVワクチンのローンチについて確認された。さらに、この新規なiDNA(登録商標)ワクチンを、免疫原性およびウイルス中和応答の誘発についてBALB/cマウスにおいて評価した。中和抗体が、500ngまたは5μgのプラスミドを単回用量ワクチン接種した後に検出され、このことは、DNAローンチ型の生弱毒化ワクチンアプローチが新規なJEVワクチンの開発に利用され得ることを示唆する。
材料および方法
【0092】
細胞系およびウイルス:アフリカミドリザル(Vero)細胞系およびベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から入手し、加湿インキュベーター内で、37℃および5%COで、10%ウシ胎仔血清(FBS)および硫酸ゲンタマイシン(10μg/ml)を添加したαMEM培地内で維持した(Thermo Scientific(Thermo)、Carlsbad、CA)。
【0093】
プラスミドおよびiDNA(登録商標)の調製:JEV生弱毒化ワクチン株SA14-14-2(Genbank受託番号AF315119.1)のcDNAの完全長ヌクレオチド配列を、合成生物学技術を使用して調製した(Wimmerら、2009年)。得られた完全なJEV cDNA配列を、pMB1複製起点を有するカナマイシン耐性の高コピーpUC57プラスミド(Genscript、Piscataway、NJ)内にクローニングした。あらゆる他の標準的なプラスミドまたはウイルスベクター、例えば、pcDNA3.1、pBR322、pCI、pUC、pCR、pCR-TOPO、ワクシニアベクター、AAVベクター、アデノウイルスベクター、および当技術分野において公知の他のプラスミドまたはベクターを、cDNAの挿入に使用することができる。CMV主要最初期プロモーターを、完全長SA14-14-2cDNAの上流に挿入した。加えて、3つの合成イントロンが、E.coliにおける毒性である可能性があるタンパク質の合成を防止する目的で、予測される細菌性プロモーターの下流でJEV配列内に挿入されている。E.coliのプロモーターは、イントロン挿入のための部位を同定するために、BPROMソフトウェア(SoftBerry、Mount Kisco、NY)を使用することによって予測されている。他のソフトウェアまたは方法もまた、プロモーターを予測するために利用することができる。3つのキメライントロンを、標準的な分子生物学的方法を使用することによって、SA14-14-2のcDNAのカプシド遺伝子、エンベロープ遺伝子、およびNS1遺伝子内に挿入した。イントロン配列は、マウス免疫グロブリンH鎖V領域前駆体遺伝子(Genbank受託番号M12880)、またはイントロン配列の他の由来源に由来するものであった。結果として、CMVプロモーターの転写制御下でSA14-14-2の完全長ゲノムRNAをコードするプラスミドpMG8009が生成された(図1)。このプラスミドをE.coli株Stbl3(Thermo)から単離し、DNAシーケンシングによって確認し、定量し、そして-20℃で保管した。
【0094】
トランスフェクションおよびin vitroでのアッセイ:Vero細胞を、10ngから1μgの範囲の濃度のpMG8009または対照プラスミドDNAのエレクトロポレーションによってトランスフェクトした。トランスフェクションは、本質的に、以前に記載されたように行った(Messerら、2012年;Tretyakovaら、2013年)。トランスフェクトされたVero細胞におけるウイルスの生産およびSA14-14-2抗原の発現を、感染性中心アッセイ(ICA)、間接免疫蛍光アッセイ(IFA)、およびウェスタンブロットによって判定した。トランスフェクトされたVero細胞の成長培地内の分泌されたJEVワクチンウイルスを、BHK細胞における標準的なプラークアッセイによって検出した。
【0095】
感染性中心アッセイ(ICA)を、pMG8009をトランスフェクトした、または生ウイルスに感染させたVero細胞を使用して行った。Vero細胞を、10%FBSを含有する完全αMEM中に10倍希釈し、6ウェルプレート内で4時間接着させ、1%アガロースオーバーレイで被覆した。プレートを37℃で、5%CO中で3日間インキュベートしてプラークを形成させ、これを、ニュートラルレッドでの染色を使用して可視化した。
【0096】
間接免疫蛍光アッセイ(IFA)では、pMG8009のDNAをトランスフェクトされたVero細胞を、8ウェルのチャンバースライド内で完全αMEM中に播種した。トランスフェクション後48時間目に、細胞をPBSですすぎ、乾燥させ、冷アセトンで固定し、そして、IFAを、以前に記載されたように(Pushkoら、2001年;Tretyakovaら、2014年b)、JEV特異的なマウス抗血清VR-1259AF(ATCC)と、その後の、マウスIgG(H+L)に対する二次フルオレセイン標識抗体(Kirkegaard and Perry、Gaithersburg、MD)を使用して行った。ヨウ化プロピジウム対比染色(Vector Labs、Burlingame、CA)を含有する封入剤が、細胞の核を可視化するために使用されている。
【0097】
SDS-PAGEおよびウェスタンブロットを使用して、iDNA(登録商標)をトランスフェクトしたVero細胞中のJEV抗原を検出した。トランスフェクトされたVero細胞をトランスフェクション後9日目に採取し、2-メルカプトエタノールを含有するSDS-PAGE試料緩衝液中に可溶化し、タンパク質を4~12%SDS-PAGEによって分離した。タンパク質をニトロセルロース膜に転写し、VR-1259AF JEV特異的抗血清と、その後のアルカリコンジュゲート型二次抗体でプローブし、1成分BCIP/NBTホスファターゼ基質(KPL、Gaithersburg、MD)を使用して染色した。
【0098】
最後に、成長培地におけるウイルスの存在を、BHK細胞における標準的なプラークアッセイによって確認した。ウイルスの増殖曲線では、試料を24時間の時間間隔で採取した。平均値および標準偏差値を判定した。各実験は、再現性を確実にするために、少なくとも2回行った。
【0099】
トランスフェクトされた細胞から得たウイルスを、感染後9日目に採取した。採取した後、ワクチンウイルスを3000×gで10分間遠心分離することによって明瞭にし、-80℃で凍結した。
【0100】
免疫付与および血清学:iDNA(登録商標)プラスミドをE.coliから単離し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で製剤化して0.4mg/mlの最終濃度とした。4週齢のメスBALB/cマウスをイソフルランで麻酔し、5μgまたは500ngの用量のpMG8009 iDNA(登録商標)ワクチン50μlで、内側大腿、前脛骨筋筋肉内に、筋肉内(i.m.)ワクチン接種した(Noble Life Sciences、Woodbine、MD)。iDNA(登録商標)を注射した後、動物に、他の文献で記載されているようにエレクトロポレーションした(Tretyakovaら、2013年)。in
vivoでのトランスフェクションでは、弾道的なDNA送達(遺伝子銃またはそれに類するもの)、in vivoトランスフェクション試薬を使用する化学的トランスフェクション(PEI、リポソーム、またはそれに類するもの)、エレクトロポレーション装置(BTX(Gentronics)、TriGrid(Ichor Medical Systems,Inc.、San Diego、CA)を使用する)、Inovio、または当分野において許容される他の電極もしくは機器を含む、様々な方法を使用することができる。対照として、関連しない遺伝子を発現するプラスミドを同様に、注入-エレクトロポレーションした。ワクチン接種後、動物を1日に1回、感染の臨床的徴候について観察した。血清を、3日目および4日目に、ウイルス血症の検出のために回収し、21日目(実験1)および28日目(実験2)に抗体応答の評価のために回収した。ウイルス血症の検出では、血清を、直接プラークアッセイにおいて個別に試験した。あるいは、血清中のウイルスを増殖させるために、各血清をVero細胞と共に10日間インキュベートし、その後、採取した。採取の時点で、Vero細胞を細胞変性効果(CPE)について観察し、その一方で、採取した培地をプラークアッセイによって試験した。
【0101】
抗体応答を判定するために、プラーク減少中和試験(PRNT)、ウェスタンブロット、およびIFAを行った。PRNTでは、等容積(0.1ml)の、500PFU/mlを含有するウイルス懸濁液、および加熱不活化した血清の連続2倍希釈物を、1時間、37℃でインキュベートし、血清-ウイルス混合物で12ウェルプレート内のBHK細胞単層を覆った。αMEM中のアガロースオーバーレイを加え、プレートを37℃で3日間インキュベートし、その後、ニュートラルレッド染色およびプラーク数判定を行った。エンドポイントPRNT50力価を、血清を有さないウェルと比較してプラークを50%低減させる血清の最大希釈として表した。
【0102】
IFAによる抗体応答の判定では、Vero細胞単層をまず、チャンバースライド内で、10PFU/ウェルのJEVワクチンウイルスに24時間、完全αMEM中で感染させた。次いで、感染したVero細胞をアセトンで固定し、基本的に上記のように、固定された抗原として使用した。JEVに感染したVero細胞の単層を、ワクチン接種した実験用マウスの血清でプローブして、血清中のJEV特異的抗体を検出した。対照として、ワクチン接種していないマウスの血清を使用した。
【0103】
(実施例1)
DNAローンチ型のJEVワクチンの設計および調製:JEV pMG8009 iDNA(登録商標)ワクチンを、CMV主要最初期プロモーターをpUC57プラスミド内の完全長合成JEV cDNAの上流に挿入することによって調製した。その結果、pMG8009プラスミドは、JEV株SA-14-14-2のゲノムRNAの完全長cDNAコピーをCMVプロモーターの下流に含有した。pUCファミリーは、pMB1配列からの突然変異を有し、これによってコピー数が20~35倍増大し、細胞当たりおよそ500コピーとなった(WuおよびLiu、2010年)。RNAの真の5’末端がフラビウイ
ルスの複製には重要であるため(Khromykhら、2001年)、CMVプロモーターとJEV cDNAの5’との間の距離は、JEVゲノムRNAの機能的5’末端の転写を確実にするために最適化されている。リボザイムは、JEV配列の3’末端の下流に含まれた。以前の研究によると(Yamshchikovら、2001年)、カプシド遺伝子およびE遺伝子
内への2つのイントロンの挿入は、cDNAクローンの安定性を向上させ、したがって、2つのイントロンは、以前に報告された方法と同様に、カプシド遺伝子およびE遺伝子内にまず挿入された(Yamshchikovら、2001年)。しかし、得られた完全長JEV c
DNAは、E.coli株DH5αおよび株Stbl3におけるpUC57骨格の背景から、低いプラスミド生産量を示し、DNAは十分な量で単離され得なかった。他のフラビウイルスと同様に、JEV cDNAは、毒性タンパク質の合成を駆動し、こうしてE.coliにおける遺伝的安定性およびDNA収量に影響する、潜在性の細菌性プロモーターを含有すると仮定されている(Riceら、1989年;Tretyakovaら、2014年b;Yamshchikovら、2001年)。遺伝的安定性を向上させ、プラスミド生産を増大させる試
みにおいて、第3のイントロン配列を完全長JEV cDNAに挿入した。イントロン挿入のための部位は、突然変異生成によって、およびJEV配列内の細菌性プロモーターを予測することによって、選択した。NS1内のいくつかの推定上の細菌性プロモーターが同定されている。したがって、さらなる合成イントロンがJEV NS1遺伝子に導入され、その結果、完全長cDNAとJEV SA-14-14-2 cDNAのカプシド遺伝子、E遺伝子、およびNS1遺伝子内の3つのイントロンとを含有するプラスミドpMG8009が得られた(図1A)。プラスミドpMG8009をE.coli Stbl3細胞から単離した。得られたpMG8009-JEVを、DNAシーケンシングによって確認した。
【0104】
(実施例2)
E.coliにおけるpMG8009の特徴付け:プラスミドpMG8009を、E.coliにおいて、成長およびDNA収量について評価した。一実験では、pMG8009を化学的に有能なE.coli Stbl3細胞に形質転換し、DNA収量を10のランダムなコロニーから調べた(図1B)。プラスミドDNAの収量、サイズ、および外見は、単離物の間で同様であり、親プラスミドに類似しており、このことは、pMG8009の均一性および遺伝的安定性を示唆している。Stbl3細胞からのpMG8009の収量は、およそ0.5mg/mlであった(図1B)。pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドをE.coli Stbl3細胞から単離し、95%がスーパーコイル型の画分であり、A260/A280比が約1.8である、無菌の、エンドトキシンを有さないDNAが得られた。
【0105】
(実施例3)
in vitroでのiDNA(登録商標)からのJEVワクチンウイルスの複製:生JEVワクチンウイルスの複製をin vitroでローンチするために、Vero細胞にエレクトロポレーションによってpMG8009プラスミドをトランスフェクトした。トランスフェクトされたVero細胞を、ICA、IFA、ウェスタンブロットによってJEVワクチンウイルスの発現について分析し、その一方で、トランスフェクトされた細胞の培地をプラークアッセイによって試験した。ICAでは、エレクトロポレーションされたVero細胞の懸濁液を6ウェルプレートに播種し、1%アガロースをオーバーレイした。72時間目に、感染中心ICからのウイルスの複製を示す、プラークを検出した(図2)。pMG8009-JEVの特異的感染性を約10IC/μgで計算した。トランスフェクトされた細胞におけるJEV抗原の発現を、SDS-PAGEおよびウェスタンブロットによってさらに調べた。抗原バンドを、iDNA(登録商標)をトランスフェクトしたVero細胞において検出した(図2B、レーン1)。ウェスタンブロットによって、JEV抗原の存在が確認され、これは、Eタンパク質、NS1タンパク質、およびprMタンパク質の分子量と一致していた。予想した通り、未感染のVero細胞ではバンドは検出されなかった(図2B、レーン2)。さらに、トランスフェクトされた細胞におけるJEV抗原の発現を、トランスフェクション後24時間目に、マウス抗JEV抗血清を使用するIFAによって確認した(図2C)。JEV陽性細胞の中心を検出したが(図2c、パネル1)、陽性細胞または中心は、トランスフェクトされていないVero対照では検出されなかった(図2c、パネル2)。フラビウイルスで予想されたように、JEV抗原の発現は、トランスフェクトされた細胞の細胞質で見られた(図2C、パネル1および3)。
【0106】
iDNA(登録商標)をトランスフェクトされたVero細胞の成長培地を、複製ウイルスの存在について、プラークアッセイによって調べた(図3)。増加用量のpMG8009 iDNA(登録商標)を、生JEVをin vitroでローンチする能力について評価した。Vero細胞にpMG8009プラスミドを、10ngから1μgの範囲の用量でトランスフェクトした。陽性対照として、Vero細胞(エレクトロポレーションされた、または未処理の)を1000PFUのJEVに感染させた。陰性対照をPBSで処理した。予想した通り、PBS処理したVero細胞では、複製ウイルスは検出されなかった(データは示していない)。プラークを、様々な量(10~1000ng)のiDNA(登録商標)プラスミドをトランスフェクトされた、または10PFUのJEVウイルスに感染させたVero細胞の上清試料において検出し、これは、iDNA(登録商標)プラスミドが生ワクチンウイルスの複製をローンチしたこと、およびイントロンの挿入が、pMG8009が生JEVワクチンウイルスの複製を開始する能力に影響しなかったことを示唆する(図3A)。iDNA(登録商標)でローンチされたSA-14-14-2ワクチンが、古典的な生弱毒化ウイルスSA-14-14-2と比較して優れた遺伝的安定性を有するということが示唆されると考えられる。トランスフェクトされた/感染した細胞からのウイルスの増殖曲線を図3Bに示す。ピークウイルス力価は、試験した全てのDNA用量で類似していた。1μgのpMG8009をトランスフェクトした細胞の培養培地において、ピーク力価は、1000PFUのJEVに感染した細胞と同様に、トランスフェクション後6日目に10~10PFU/mlに達した。この実験は、ウイルス複製動態の観点で、1μgのDNAが1000PFUのウイルスに等価であることを示唆する。しかし、10ngまたは100ngのDNAを使用した場合には、複製の開始の遅延として、DNA用量依存性は検出可能であった。Vero細胞に10ngまたは100ngのpMG8009をトランスフェクトした場合、ピーク力価のおよそ48~72時間の遅延が観察された。図3Bに示すように、わずか10ngのDNAのトランスフェクションでは、ピークウイルス力価が9日目におよそ10~10PFU/mlに達し、ピーク力価が、より大量のDNAでのトランスフェクションで生じるものと類似している、JEVウイルスの複製が生じた(図3B)。
【0107】
これらの結果は、Vero細胞においてJEVワクチンウイルスをローンチするための最小用量のiDNA(登録商標)が10ng未満であることを示唆し(図3B)、このことは、YFフラビウイルス(Tretyakovaら、2014年b)、ならびにVEEVアルファウイルスおよびCHIKVアルファウイルス(Tretyakovaら、2014年a;Tretyakovaら、2013年)をコードするiDNA(登録商標)プラスミドでの本発明者らによる以前の知見と一致する。
【0108】
(実施例4)
BALB/cマウスにおけるJEV iDNA(登録商標)ワクチンの免疫原性:pMG8009 iDNA(登録商標)プラスミドがin vivoで免疫原性であるかを判定するために、BALB/cマウスに、単回用量のpMG8009プラスミドを注射-エレクトロポレーションすることによって、ワクチン接種した。JEVワクチンは抗体の誘発に基づくものであり、1:10の中和力価は、防御的であると考えられる(Plotkin、
2010年)。したがって、中和抗体を含む血清抗体応答を検出することを目的とした。マウスに、500ngまたは5μgのiDNA(登録商標)の単回i.m.注射と、その後のエレクトロポレーションで、ワクチン接種した。対照として、マウスに、関連しない遺伝子を発現する関連しないDNAを注射することによってワクチン接種した。ワクチン接種後、全てのマウスは健康を維持し、注射部位での検出可能な病理またはワクチン接種に起因する副作用は見られなかった。ワクチン接種したマウスにおいて、直接プラークアッセイによると、または、各血清をVero細胞と10日間インキュベートし、その後にCPE分析およびプラークアッセイを行うことによる、ウイルス増幅の試みの後に、3日目および4日目ではウイルス血症は検出されなかった(表4)。この結果は、iDNA(登録商標)を注射した後3日目および4日目に、複製ワクチンウイルスがそれほど存在していなかったことを示す。血清抗体を検出するために、IFA法およびPRNT法を使用した。IFAでは、Vero細胞をまず、チャンバースライド内で100PFUのSA-14-414-2ウイルスに感染させ、固定し、次いで、免疫付与したマウスの血清で、1:10希釈でプローブした(図4)。図4および表Iに示すように、IFAによると、5μgのpMG8009をワクチン接種された全ての実験用マウスは血清転換していた。
【表4】
【0109】
血清転換はまた、500ngのpMG8009をワクチン接種した全てのマウスにおいて間接蛍光抗体(IFA)によって検出した(表I)。IFAは定量的な方法ではないが、500ng群と比較して増大した蛍光強度が、5μg用量をワクチン接種したマウスの血清で観察された(データは示していない)。中和抗体もまた、pMG8009をワクチン接種したマウスの血清においてPRNTによって検出した(表4)。5μgワクチン接種群では、ほとんどのマウスは10というPRNT50力価を有しており、これは、以前に記載された、JEVに対する防御力価に類似しており(Plotkin、2010年)、その
一方で、1頭のマウスは40という力価を有し、1頭のマウスは力価が検出不可能であった。500ngワクチン接種群では、全てのマウスが、10から40の範囲のPRNT50力価を有していた。
【0110】
(実施例5)
JEV iDNA(登録商標)は、JEV 感染に対して防御する:無傷のIFN応答を欠くAG129マウスが、病原性DENVおよびWNV、ならびにVEEVワクチン株およびYFVワクチン株、ならびにJEVワクチン株SA14-14-2ウイルスに感染しやすいことが公知である。インターフェロン欠損AG129マウスに、上記のようにまたは同様に、JEV iDNA(登録商標)プラスミドをワクチン接種する。対照として、マウスにPBSを注射する。JEV生弱毒化ワクチンSA14-14-2を、感染性チャレンジウイルスとして腹腔内(i.p.)注射する。罹患率または死亡率を観察および記録して、iDNA(登録商標)ワクチン接種の防御効果を判定する。チャレンジに対する防御が、ワクチン接種されたマウスで観察されるが、その一方で、ワクチン接種されていないマウスでは防御は観察されない。
【0111】
(実施例6)
獣医学的ワクチン接種:ブタに、上記のようにまたは同様に、JEV iDNA(登録商標)プラスミドをワクチン接種する。対照として、ブタにPBSを注射する。野生型病原性JEVウイルスを、感染性チャレンジウイルスとして注射する。罹患率または死亡率をブタにおいて観察して、iDNA(登録商標)ワクチン接種の防御効果を判定する。チャレンジに対する防御が、ワクチン接種されたブタで観察されるが、その一方で、ワクチン接種されていない動物では防御は観察されない。
【0112】
結論:JEVは、フラビウイルス科のメンバーであり、蚊によって伝染する人畜共通感染性疾患である日本脳炎を生じさせ、ブタの中で増殖する。風土性のJEV伝染は、東南アジアおよび西太平洋における24の国でヒトにおいて報告されており、30億人を超える人がJEV感染のリスクに晒されている(WHO、2015年)。この疾患のための特異的な処置はなく、現在の治療アプローチは、患者が感染を克服するためのサポートに焦点が当てられている。しかし、予防用ワクチンが世界中で利用可能である。不活化されたマウス脳由来のワクチン、不活化されたVero細胞由来のワクチン、生弱毒化ワクチン、および生組換えワクチンを含む、4つの主なタイプのJEVワクチンが存在する(WHO、2015年)。過去数年で、中国において製造された生弱毒化SA14-14-2ワクチンが、流行国において最も広く使用されるワクチンとなってきている。細胞培養物に基づく不活化ワクチン、および黄熱ワクチン株に基づく生組換えワクチンもまた認可されており、WHOによって事前認証されている。米国では、JEVが伝染する季節の間に風土病地域に1ヶ月またはそれより長く滞在する計画のある旅行者には、ワクチン接種が推奨されている。不活化されたVero細胞培養物由来のIXIAROワクチンは、米国において認可されている唯一のワクチンであり(CDC、2016年)、これは、28日間の間隔をあけた2回の用量として投与される。JEVに対する獣医学的ワクチン接種もまた、ブタに利用可能な生弱毒化ワクチンおよび不活化ワクチンで行われている(Luttickenら、2007年)。
【0113】
以前の結果によって、生JEVワクチンおよび不活化JEVワクチンの両方が安全でかつJEVに対して効果的であり、関連するフラビウイルスであるデングに対する強力な交差免疫および防御も引き起こし得ることが示唆された(Liら、2016年)。しかし、成人において、JEVワクチンによって促進される、デングウイルス感染を増強させる抗体も示された(Saitoら、2016年)。したがって、さらなる調査が必要であり、ワクチ
ンは存在するものの、現在のワクチンの限界に起因して、JEVワクチン接種の向上が必要であり得る。
【0114】
JEVに対するDNAワクチンは、それらの安全である可能性および製剤化が安価であることから、伝統的なワクチンに対する代替物として研究されている。実験的DNAワクチンが、JEVタンパク質を発現するプラスミドを使用して開発されている(Putnakら、2003年)。Eタンパク質を発現するプラスミドは、防御の重要な指標であるJEV中和抗体を誘発した(Konishiら、1999年)。prMタンパク質およびEタンパク質を
コードするプラスミドDNAワクチンは、Eタンパク質のみを発現する構築物と比較して、より効果的なワクチン接種を提供すると思われる(Konishiら、2003年;Wuら、2
006年)。しかし、他の標準的なDNAワクチンと同様に、JEVタンパク質をコードするプラスミドDNAの免疫原性は、不活化ワクチンと比較して比較的低かった(Bharatiら、2005年;Kaurら、2002年)。免疫応答は、進歩したアジュバントおよびエ
レクトロポレーションを使用することによって強めることができた。JEVのprM-Eタンパク質を発現するDNAワクチンは、i.m.注射後にマウスにおいて効果的であることが分かった。しかし、エレクトロポレーションが伴う場合、免疫応答はマウスモデルおよびブタモデルにおいて向上した(Shengら、2016年)。prM-E DNAに基
づくワクチンの免疫原性を増強させるための顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の使用が報告されている(Zhaiら、2015年)。
【0115】
DNAローンチ型の生弱毒化ワクチンを、JEVのための新規な実験用のDNAに基づくワクチンを調製するために構成した。pMG8009において、SA-14-14-2株の完全長合成cDNAを、CMVプロモーターの下流に導入し、これによって、真核細胞内での「感染性」ゲノムウイルスRNAの転写およびワクチンウイルスのローンチが生じた。DNAローンチ型のiDNA(登録商標)ワクチンの利点には、DNAワクチンの遺伝的および物理的安定性、生産の容易性、ならびに高い純度、ならびに生弱毒化ワクチンの高い有効性が含まれる(Pushkoら、2016年)。ワクチン生産に使用される伝統的な細胞基質(cell substrate)は、次世代(NGS)シーケンシングおよび他の方法によって同定され得る潜在的ウイルスで汚染されていることが多い(Onionsら、2011年)。逆に、エンドトキシンを有さないDNAは、細胞培養物の生産に伴う潜在的なウイルスまたは不純物を伴わずに単離され得る。しかし、完全長フラビウイルスcDNAの調製は、E.coli内での不安定性に起因して困難であることで有名である(Riceら、1989年;Tretyakovaら、2014年b;Tsetsarkinら、2016年;Yamshchikovら、2001年)。E.coliにおいて完全長JEV cDNAクローンを調製
するという課題は、3つの異なる合成イントロン配列を構造JEV遺伝子および非構造JEV遺伝子に挿入することによる本研究において解決された。これまでの研究において、2つのイントロンがJEV構造遺伝子に挿入され、これによって、完全長クローンの調製が容易になった(Yamshchikovら、2001年)。構造遺伝子内の2つのイントロンに加
えて、非構造遺伝子内に第3のイントロンを含めることは、cDNAの調製およびカナマイシン耐性を有するpUC骨格の収量を格段に向上させることが分かった。さらに、in
vivoでの第1の概念実証研究において、単回用量の500ngまたは5μgのpMG8009プラスミドが、JEV中和抗体を含む、マウスにおけるJEVに対する免疫応答を誘発したことが実証された。in vitroでの本発明者らの知見と同様に、生弱毒化ウイルスがin vivoでローンチされることが仮定された。しかし、マウスにおける生ウイルスは、ウイルス血症実験では検出されなかった。このことは、ウイルス血症レベルが低いことを示唆し、このことは、生ワクチンの安全性の利点となり得る。以前は、DNAローンチ型の実験用ワクチンはまた、フラビウイルス科の別のメンバーである黄熱ウイルス(Jiangら、2015年;Tretyakovaら、2014年b)、ウェストナイルフ
ラビウイルス(Hallら、2003年;Yamshchikov、2015年;Yamshchikovら、2015年)、およびアルファウイルスのためのワクチン(Tretyakovaら、2014年a;Tretyakovaら、2013年)のためにも調製された。NGSによって、iDNA(登録商標)由来のチクングニヤウイルス(CHIKV)が細胞培養物由来のCHIKVウイルスと比較して高い遺伝的安定性を有することも示された(Hidajatら、2016年)。加えて、
JEV感染性クローンは、キメラの、黄熱に基づくワクチンについて以前に示されたように、ジカウイルス、デングウイルス、およびウェストナイルウイルスなどのフラビウイルスを含む他のウイルスのための、キメラの、JEVに基づくワクチンを調製するためのベクタープラットフォームとして役立ち得る(Guyら、2010年)。最後に、SA-14
-14-2 JEVワクチンのための合成DNAは、古典的な生弱毒化ワクチンをDNAワクチンフォーマットに変換するための合成生物学的方法(Wimmerら、2009年)の成功裏の適用を示す。このDNAワクチンは、サブユニットワクチンの発現のためだけではなく、生ワクチンの発現のためにも構成され得る(Pushkoら、2016年)。
【0116】
上記の主題は説明としてのみ記載されており、限定するものとして解釈されるべきではない。様々な修正および変更が、説明および記載される例としての実施形態および適用に従うことなく、また以下の特許請求の範囲で示される本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において記載される主題に対してなされ得る。
【0117】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許、または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。先の記載は様々な実施形態に関して記載されているが、当業者には、様々な修正、置換、省略、および変更が、その趣旨から逸脱することなくなされ得ることが理解されよう。
(参考文献)
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