(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023209
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】匿名化システム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/64 20130101AFI20220131BHJP
G06Q 10/08 20120101ALN20220131BHJP
【FI】
G06F21/64
G06Q10/08 300
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180042
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2017147311の分割
【原出願日】2017-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】517106408
【氏名又は名称】株式会社A.L.I.Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小松 周平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】飛行体によるサービス提供時の匿名性を向上すること。
【解決手段】本発明は、飛行体によるサービス提供時の匿名化システムである。システムは、記飛行体と、当該飛行体とネットワークを介して接続された複数のコンピュータ端末を少なくとも含んでいる。飛行体は、所定の対象に対して所定のトランザクションが与えられており、コンピュータ端末のうち当該トランザクションの正当性を検証可能なコンピュータ端末に当該トランザクションの正当性の検証を依頼し、検証を依頼されたコンピュータ端末は、当該検証の結果を飛行体に送信し、飛行体は、トランザクションの検証結果に基づいて当該トランザクションを実行する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体によるサービス提供時の匿名化システムであって、
前記飛行体と、当該飛行体とネットワークを介して接続された複数のコンピュータ端末を少なくとも含んでおり、
前記飛行体は、所定の対象に対して所定のトランザクションが与えられており、前記コンピュータ端末のうち当該トランザクションの正当性を検証可能なコンピュータ端末に当該トランザクションの正当性の検証を依頼し、
前記検証を依頼された前記コンピュータ端末は、当該検証の結果を前記飛行体に送信し、
前記飛行体は、前記トランザクションの検証結果に基づいて当該トランザクションを実行する、
匿名化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の匿名化システムであって、
前記トランザクションは、前記飛行体が配送対象物をユーザに配送するための配送トランザクションであり、
前記飛行体は、前記検証結果に基づいて、前記配送対象物を前記ユーザに受け取り可能にする
匿名化システム。
【請求項3】
請求項2に記載の匿名化システムであって、
当該サービスを管理する管理サーバを更に含んでおり、
前記飛行体は、前記ユーザの指定場所に前記配送対象物を配送し、かつ、前記指定場所に到着した際に前記管理サーバに対して到着承認を送信し、
前記管理サーバは、前記ユーザの端末に対して到着した前記配送対象物の受取要求を可能にし、当前記端末から前記受取要求を受信すると前記は宇総トランザクションを生成する、
匿名化システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の匿名化システムであって、
前記管理サーバは、前記飛行体からルートリクエストを受け取り;実空間に配置された複数のノードのノード位置情報を読み出し;前記ルートリクエスト及び前記ノード位置情報に基づいて、始点ノードと経由ノードと終点ノードとを特定してルートを生成し;生成した前記ルートを飛行体に送信する、
匿名化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体のサービス提供時における匿名化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小型飛行体の目的地への精度良い着陸を行う技術が開示されている。同文献に開示されている小型飛行システムは、小型飛行体を誘導して着陸させるための着陸誘導ポート装置を有している。着陸誘導ポート装置は、自己の識別子に対応するポートIDを重畳した電波を着陸のための誘導電波として送信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、匿名性を担保することができない。
【0005】
そこで、本発明は、飛行体によるサービス提供時の匿名性を向上することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば
飛行体によるサービス提供時の匿名化システムであって、
前記飛行体と、当該飛行体とネットワークを介して接続された複数のコンピュータ端末を少なくとも含んでおり、
前記飛行体は、所定の対象に対して所定のトランザクションが与えられており、前記コンピュータ端末のうち当該トランザクションの正当性を検証可能なコンピュータ端末に当該トランザクションの正当性の検証を依頼し、
前記検証を依頼された前記コンピュータ端末は、当該検証の結果を前記飛行体に送信し、
前記飛行体は、前記トランザクションの検証結果に基づいて当該トランザクションを実行する、
匿名化システムが得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、飛行体によるサービス提供時の匿名性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態によるシステムの概略図とイメージ図である。
【
図2】
図1の無人移動体のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のシステムに使用されるデータの内容を模式的に示すイメージ図である。
【
図5】
図1のシステムによるルート生成のイメージ図である。
【
図6】
図1のシステムによる管理サーバの処理の流れである。
【
図7】
図1のシステムによる管理サーバ、無人飛行体、ユーザ端末の間の処理の流れを示す図である。
【
図8】
図1のシステムを配送システムに適用した例を示すイメージ図である。
【
図9】管理サーバと複数の無人飛行体とによって構成されるクライアントサーバモデルと、複数の無人飛行体のみによって構成されるピア・トゥ・ピアモデルのイメージを表した図である。
【
図10】無人飛行体によるトランザクションの匿名化プロセスである。
【
図11】無人飛行体、管理サーバ及びユーザとの間における処理のイメージ図である。
【
図12】
図11の処理に用いられるデータ構造を模式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による匿名化システムは、以下のような構成を備える。
[項目1]
飛行体と、当該飛行体とネットワークを介して接続された複数のコンピュータ端末を少なくとも含む匿名化システムであって、
前記飛行体は、所定の対象に対して所定のトランザクションが与えられており、前記コンピュータ端末のうち当該トランザクションの正当性を検証可能なコンピュータ端末に当該トランザクションの正当性の検証を依頼し、
前記検証を依頼された前記コンピュータ端末は、当該検証の結果を前記飛行体に送信し、
前記飛行体は、前記トランザクションの検証結果に基づいて当該トランザクションを実行する、
匿名化システム。
[項目2]
請求項1に記載の匿名化システムであって、
前記トランザクションは、前記飛行体が配送対象物をユーザに配送するための配送トランザクションであり、
前記飛行体は、前記検証結果に基づいて、前記配送対象物を前記ユーザに受け取り可能にする
匿名化システム。
[項目3]
請求項2に記載の匿名化システムであって、
当該サービスを管理する管理サーバを更に含んでおり、
前記飛行体は、前記ユーザの指定場所に前記配送対象物を配送し、かつ、前記指定場所に到着した際に前記管理サーバに対して到着承認を送信し、
前記管理サーバは、前記ユーザの端末に対して到着した前記配送対象物の受取要求を可能にし、当前記端末から前記受取要求を受信すると前記は宇総トランザクションを生成する、
匿名化システム。
[項目4]
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の匿名化システムであって、
前記管理サーバは、前記飛行体からルートリクエストを受け取り;実空間に配置された複数のノードのノード位置情報を読み出し;前記ルートリクエスト及び前記ノード位置情報に基づいて、始点ノードと経由ノードと終点ノードとを特定してルートを生成し;生成した前記ルートを飛行体に送信する、
匿名化システム。
[項目5]
項目4に記載の匿名化システムであって、
前記ルートは、前記ノード間を直線で結んだ経路上に生成される、
匿名化システム。
[項目6]
項目5に記載の匿名化システムであって、
前記ノード位置情報は、実空間のノードの位置に関するX座標、Y座標及びZ座標を含んでおり、
生成される前記ルートは、少なくとも前記Z座標よりも高い位置に生成される、
匿名化システム
[項目7]
項目6に記載の匿名化システムであって、
前記ノードは電柱であり、
前記ルートは一の前記電柱と他の前記電柱とを結ぶ電線の上の領域を含む、
匿名化システム。
[項目8]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の飛行体の匿名化システムであって、
複数の前記飛行体はネットワークを介して互いに通信可能であり、
前記飛行体の夫々は、前記飛行体の位置又は生成された前記ルートを考慮して自己の前記ルートを生成する、
匿名化システム。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による匿名化システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<概要>
本発明の実施の形態による匿名化システムは、無人飛行体(後述する)によるサービス提供時に用いることができる。サービスを例示すれば、無人飛行体を所定の飛行ルートに従って飛行させるような用途であり、宅配用途、警備・巡回用途、農業用途、測量用途、調査用途、災害支援用途などあらかじめ飛行ルートを設定し得る用途であれば、どのようなものにも適用可能である。以下においては、主に宅配用途に適用される例を説明する。
【0012】
図1(a)に示されるように、本実施の形態によるシステムは、無人飛行体1が電柱20及び当該電柱間に設けられた電線30の上を飛行ルートとして飛行するものである。
図2(b)に示されるように、飛行ルートは、電柱a乃至電柱jをノードとする仮想ネットワークとして表現することができ、ルート生成にあたっては、始点となる電柱(始点ノード)、終点となる電柱(終点ノード)、始点ノードと終点ノードとを経由する電柱(経由ノード)とそれらの間に設けられる電線が考慮される(詳しくは後述する)
【0013】
<構成>
本実施の形態による飛行体のシステムは、
図9(a)に示されるように、複数の無人飛行体1と、当該無人飛行体1とネットワークを介して接続される管理サーバ2とを含む所謂クライアントサーバモデルである。
【0014】
<ハードウェア構成>
【0015】
本実施の形態における無人飛行体1は、ドローン(Drone)、マルチコプター(Multi Copter)、無人飛行体(Unmanned aerial vehicle:UAV)、RPAS(remote piloted aircraft systems)、又はUAS(Unmanned Aircraft Systems)等と称呼されることがある。
【0016】
以下の説明においては、無人飛行体と呼ぶ。無人飛行体は、電池、複数のモータ、位置検出部、制御部、ドライバ、記憶装置、無線通信装置、電圧センサ、及び電流センサ等を備えている。これらの構成要素は、所定形状のフレームに搭載されている。無人飛行体に搭載される情報処理装置のハードウェア構成については後述する。なお、これらの飛行のための基本構造については、既知の技術を適宜採用可能である。
図2乃至
図4を夫々参照して、無人飛行体1及び管理サーバ20のハードウェア構成について説明する。
【0017】
<無人飛行体1>
図2に示されるように、無人飛行体1は、情報処理装置100を搭載している。情報処理装置100は、サーバ1と通信を介して情報処理を実行することにより、情報伝達システムの一部を構成する。
【0018】
情報処理装置100は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、出力部14、測位部16、検知部17等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。情報処理装置100は、例えばマイクロコンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されていてもよく、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0019】
プロセッサ10は、情報処理装置100の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU及び/又はGPU(Graphical Processing Unit)等であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行することによって、必要な各情報処理を実施する。
【0020】
メモリ11は、RAMなどの揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11はプロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、情報処理装置100の起動時に実行されるBIOS、及び各種設定情報等が格納される。ストレージ12には、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0021】
送受信部13は、情報処理装置100をネットワーク4に接続し、LPEAネットワークを介して管理サーバ1と通信を行う。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。
【0022】
入出力部14は、スイッチ類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。無人飛行体1は自律飛行を行うものであるが、外部から遠隔で手動又は自動で操作されることとしてもよい。本実施の形態による無人飛行体1は、入力機能としてカメラを備えており、静止画・動画の空撮が可能である。また、収集すべき情報に応じて、赤外線サーモカメラ、X線カメラ、高感度カメラ、暗視カメラ等種々のカメラを備えることとしてもよい。
【0023】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0024】
測位部16は、無人飛行体1の位置と高度を少なくとも検出する。本実施の形態による測位部26は、例えばGPS(Global Positioning System)検出器であって、無人飛行体1の現在位置の緯度、経度、及び高度を検出する。
【0025】
検知部17は、無人飛行体1の外部環境を音声、画像、赤外線等種々のセンサによってセンシングするためのものであり、自立飛行の補助機能を司る。
【0026】
本実施の形態による無人飛行体1は、情報処理装置100の他に、当該無人飛行体1の移動・飛行のための、電源、回転翼に接続されたモータ、情報処理装置100とモータとを中継するドライバを少なくとも更に有している。
【0027】
情報処理装置100は、複数のモータを制御して監視ドローンの飛行制御(上昇、下降、水平移動などの制御)や、無人飛行体1に搭載されているジャイロ(図示せず)を使用して複数のモータを制御することによって姿勢制御をも行う。
【0028】
ドライバは、情報処理装置100からの制御信号に従ってモータを駆動する。例えば、モータは直流モータであり、ドライバは制御信号により指定された電圧をモータに印加する可変電圧電源回路である。なお、無人飛行体100は図示しない他の要素を有していてもよい。
【0029】
<管理サーバ2>
図2に示されるように、管理サーバ2は、情報伝達システムを通じてサービスを提供するための情報処理装置であり、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0030】
図2に示されるように、サーバ2は、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、及び入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。
【0031】
プロセッサ20は、サーバ2全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ20はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ22に格納されメモリ21に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0032】
メモリ21は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ21は、プロセッサ20のワークエリア等として使用され、また、サーバ2の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0033】
ストレージ22は、アプリケーション・プログラム、及び各無人飛行体1の認証プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベース(後述するロケーションデータ、ルートデータ等)がストレージ22に構築されていてもよい。
【0034】
<データ>
本実施の形態による管理サーバ2は、各電柱の位置に関するノード位置情報DBを有している。ノード位置情報DBは、
図4に示されるように、各電柱に固有に付与されるノード識別子と位置座標とを少なくとも含んでいる。本実施の形態による位置座標は、緯度、経度及び当該電柱の高さという3つの要素を少なくとも含んでいる。
【0035】
<処理の流れ>
図5を参照して、本実施の形態によるルート生成の方法を説明する。本実施の形態によるシステムは、EC等を利用してユーザが購入した商品の配送に関するトランザクション(以下「配送トランザクション」と呼ぶ)を担当する。配送トランザクション自体は、例えば、あらかじめ登録されていたユーザの住所情報に基づいて生成される。
【0036】
管理サーバ2が配送トランザクションを開始すると、荷物の出荷元に最も近い電柱(始点ノード)と、配送先(ユーザの住所等)に最も近い電柱を特定する。図示される例では、始点ノードは電柱aであり、終点ノードは電柱jである。管理サーバ2は、電柱aと電柱jを結ぶ最短経路を計算する。この際、他の無人飛行体1の位置やルートを考慮し、衝突回避が可能なルートを生成する。
【0037】
なお、衝突回避は無人飛行体1同士に行わせることとしてもよい。例えば、一方の無人飛行体の高さと他方の無人飛行体の高さとを変更して、衝突を回避することとしてもよい。
【0038】
図5に戻り、本実施の形態によるルートは、電柱a→電柱b→電柱d→電柱f→電柱h→電柱jの順に進むものである。なお、上述した衝突回避を行うために一部ルートを迂回することとしてもよい。電線から垂直方向(高さ方向)において所定の距離だけ離れた領域を飛行する。
【0039】
図6を参照して、管理サーバ2の処理フローを説明する。本実施の形態において、配送トランザクション(ルートリクエスト)が発生すると(ステップS601)、ノード位置情報の読込みが行われる(ステップS603)。管理サーバ2は、配送トランザクション及びノード位置情報に基づいて、始点ノードと経由ノードと終点ノードとを特定してルートを生成する(ステップS605)。生成したルート情報を無人飛行体1に送信し、当該無人飛行体1の飛行による配送が開始される(ステップS607)。
【0040】
図7を参照して、本実施の形態によるシステムを用いた配送処理の流れを説明する。図示されるように、配送処理は、管理サーバ2と、無人飛行体1と、ユーザ端末とによって実行される。
【0041】
管理サーバ2は、配送トランザクションが発生すると(SQ701)、ノードDBからノード位置情報を読み込み(SQ703)、ルートを生成する(SQ705)。管理サーバ2は、生成したルート情報を無人飛行体に送信する(SQ707)。無人飛行体は受信したルート情報に基づいて飛行を開始する(SQ709)。
【0042】
無人飛行体が目的地に到着すると、管理サーバ2に対して、目的地到着通知が通知される(SQ711)。管理サーバ2は、ユーザ端末に対して到着通知を通知する(SQ713)。ユーザは、到着した荷物の宛先を確認したら各任地の通知を管理サーバ2に対して送信する(SQ715)。管理サーバ2は、当該荷物に関するユーザからの確認通知を受信すると、無人飛行体1に積載されている荷物をアンロックする(SQ717)。アンロックされた荷物はユーザによって受け取ることが可能になる。管理サーバ2は、必要に応じて、当該配送が完了した段階で、配送トランザクションのステータスを更新する(SQ719)。
【0043】
以上の処理によれば、
図8に示されるように無人飛行体1は、荷物の保管場所100(例えば倉庫等)から、荷物Pを積載して生成したルートに従って、電柱20及び電線30の上を飛行し、ユーザの自宅200まで荷物Pを配送してユーザに届けることが可能となる。
【0044】
上述した実施の形態は、
図9(a)に示されるように、当該無人飛行体1とネットワークを介して接続される管理サーバ2とを含む所謂クライアントサーバモデルを利用するものであった。しかしながら、
図9(b)に示されるように、複数の無人飛行体1同士によって構成されるピア・トゥ・ピア(Peer to Peer)方式としてもよい。
【0045】
<サービスの匿名化>
上述した無人飛行体によるサービス提供時において、例えば、荷物の受け渡しの際において、受取人が正当な受取人であるかどうかを検証する必要が発生する。本実施の形態においては、当該検証にブロックチェーン技術を適用することにより、匿名性を高めつつ、適切な配送を行うことを可能としている。
【0046】
以下、無人飛行体(固有の識別子で特定可能とされているものに限る)が、所定の荷物を、固有のユーザIDを保有するユーザに配送するトランザクションを例にとって説明する。
【0047】
図10に示されるように、本実施の形態による認証は、トランザクションが発生すると(ステップS1001)、当該トランザクションがネットワーク内にブロードキャストされ(ステップS1003)、トランザクションが検証される(ステップS1005)。検証されたトランザクションに関するブロックが生成されると(S1007)、当該ブロックがチェーンに追加される。
【0048】
図11に示されるように、無人飛行体1と管理サーバ2とのやりとり(例えば、配送先情報の取得や、無人飛行体への荷物のロック等)や、管理サーバ2とユーザ202とのやりとり(荷物の受け取りの際の認証や、荷物のアンロック要求など)の際に、管理サーバ2はブロックチェーンネットワークに対してこれらに関するトランザクションの正当性の検証を依頼したり、また、これらのトランザクションの履歴をログとしてブロックに残すことを行う。
【0049】
<事前準備>
より詳しくは、受け取り手のユーザ202は、自分の公開鍵と秘密鍵のペアを作成する。次に、公開鍵のハッシュ値を作成し、管理サーバ2へ提供する。この公開鍵のハッシュ値が配送先としてのユーザのアドレス(宛先)の役割を果たす。なお、例えば、当該公開鍵のハッシュ値を含めたQRコード(登録商標)の情報をユーザの端末上に表示可能としていてもよい。この状態で、ユーザは自分の公開鍵と秘密鍵を持ち、管理サーバ2はユーザ202の公開鍵ハッシュを持っていることになる。
【0050】
<取引方法の概略>
無人飛行体1がユーザに荷物を配送する際には、当該荷物がユーザに配送されることの正当性を宣言した情報がネットワーク内で共有される。より詳しくは、宛先となっている公開鍵ハッシュに対応する秘密鍵を持っている人だけが無人飛行体からの荷物を受け取ることができる。秘密鍵は本人しか持っていないので、宛先となっている本人しか使えない仕組みである。
【0051】
なお、通常は1回のトランザクション(配送、支払等)の単位で公開鍵ペアを新しくすることが推奨されている。
【0052】
具体的なデータ構造は以下のとおりである。まず、管理サーバ2が、無人飛行体1によってユーザ202に配送させた荷物の情報の構造を
図12に示す。図示されるように、トランザクションID(TX_ID)と、荷物の送り手(例えば、無人飛行体1)の公開鍵及び電子署名情報(Signature Script)がInput情報である。Inpu情報は、配送かかる荷物が誰の(どこからの)ものなのかを特定するための情報である。そして、Output情報として、配送物を特定するID(Del_ID)と配送先(ユーザ202)の公開鍵ハッシュ情報(Pubkey Script)とが存在する。
【0053】
なお、配送に係る荷物を受け取ることができる者は、ユーザ202の公開鍵に対応する秘密鍵を持っている者(即ち、ユーザ202)だけである。また、ユーザ202が一度秘密鍵を使用して認証を行うと、当該荷物に関するOutpu情報は使用不可となるため、二重に受け取ることはできない。
【0054】
このように、本実施の形態においては、荷物を届けたい宛先(者)の公開鍵ハッシュ情報をトランザクションに関する情報に含ませることによって、当該宛先のみが確実に荷物を受け取ることができる。
【0055】
以上説明した実施の形態は配送用途のものであったが、例えば警備等の巡回用途に適用することとしてもよい。この場合、管理サーバ2は、ユーザにより指定された巡回ルート及びノード位置情報基づいて、巡回ルートを生成すればよい。また、巡回が完了した際には、巡回が完了した内をユーザに送信して当該ユーザから承認を受けてから、巡回のトランザクションを終了することとしてもよい。
【0056】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1 無人飛行体
2 管理サーバ
20 電柱
30 電線
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体によるサービス提供時の匿名化システムであって、
前記飛行体と、当該飛行体とネットワークを介して接続された複数のコンピュータ端末を少なくとも含んでおり、
前記飛行体は、所定の対象に対して所定のトランザクションが与えられており、前記コンピュータ端末のうち当該トランザクションの正当性を検証可能なコンピュータ端末に当該トランザクションの正当性の検証を依頼し、
前記検証を依頼された前記コンピュータ端末は、当該検証の結果を前記飛行体に送信し、
前記飛行体は、前記トランザクションの検証結果に基づいて当該トランザクションを実行する、
匿名化システム。