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▶ ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニアの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023241
(43)【公開日】2022-02-07
(54)【発明の名称】ジカウイルスに対する新規のワクチン
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/40 20060101AFI20220131BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220131BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220131BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220131BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220131BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220131BHJP
   C07K 14/18 20060101ALN20220131BHJP
【FI】
C12N15/40 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N15/24
A61K39/12
A61K48/00
A61P31/14
A61P37/04
A61K47/68
A61K38/20
C07K14/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021189383
(22)【出願日】2021-11-22
(62)【分割の表示】P 2018544819の分割
【原出願日】2017-02-24
(31)【優先権主張番号】62/300,030
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/305,183
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/396,742
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/417,100
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/462,249
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】カルッピアー ムスマニ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェイナー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC35
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA44
4C084CA53
4C084DA12
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C085AA03
4C085BA61
4C085BB23
4C085BB35
4C085DD62
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA75
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】ジカウイルスに対する幅広い免疫を提供するワクチン、及び好ましくは、経済的かつ全ての血清型に有効であるワクチンを提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、ジカウイルスに対する哺乳動物における免疫応答を引き起こすポリペプチドを発現させることが可能な核酸構築物を提供する。核酸構築物は、コードヌクレオチド配列及びコードヌクレオチド配列に作動可能に結合されたプロモーターからなる。コードヌクレオチド配列は、ポリペプチドを発現させ、ポリペプチドは、プレ膜エンベロープ(prM+EnvまたはprME)を含むコンセンサスジカ抗原を含む。プロモーターは、哺乳動物におけるポリペプチドの発現を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年2月25日出願の米国仮出願第62/300,030号、2016年3月8日出願の米国仮出願第62/305,183号、2016年9月19日出願の米国仮出願第62/396,742号、2016年11月3日出願の米国仮出願第62/417,100号、及び2017年2月22日出願の米国仮出願第62/462,249号に対する優先権が与えられ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ジカワクチン、免疫応答を誘導するための、かつジカウイルスに対して個体を予防的及び/または治療的に免疫化する改善された方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ジカウイルス(ZIKAV)は、Flaviviridaeファミリーのフラビウイルス属に属する小型のエンベロープを持ったプラス鎖RNAウイルスである。このウイルスは、A.aegypti及びA.albopictusなどの日中に活動するAedes蚊によって伝染することが既知である。その名は、ウイルスが1947年に最初に分離されたウガンダのジカ森林に由来する。
【0004】
ジカ熱として既知の感染症は、多くの場合、症状を引き起こさないか、または軽症型のデング熱と同様の軽度の症状のみを引き起こす。1950年代から、アフリカからアジアの狭い赤道地帯内で生じることが知られている。このウイルスは、2013年~2014年にフランス領ポリネシア、ニューカレドニア、クック諸島、及びイースター島、かつ2015年にメキシコ、中央アメリカ、カリビアン、及び南アメリカと、太平洋をわたって東に広がり、ジカの発生は、世界的流行のレベルに到達した。2016年現在、この病気は、薬物またはワクチンによって防止することができない。2016年2月現在、妊婦におけるジカ熱が母子感染によって胎児における脳発達の異常を引き起こす可能性があり、それが流産または小頭症を引き起こす可能性があるということが証明されている。
【0005】
世界的にますますウイルスが広がること、及びウイルスに対するいかなる治療またはワクチンもないことの組み合わせが、ジカウイルスを世界的な健康問題にしている。
【0006】
したがって、ジカウイルスに対する幅広い免疫を提供するワクチン、及び好ましくは、経済的かつ全ての血清型に有効であるワクチンを開発する必要性が依然としてある。さらに、予防的または治療的のいずれかで、DNAワクチンまたはDNAプラスミドワクチンなどのワクチンを哺乳動物に投与して、ジカウイルスに対する免疫化を提供する有効な方法の必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ジカウイルスに対する哺乳動物における免疫応答を引き起こすポリペプチドを発現させることが可能な核酸構築物を提供する。核酸構築物は、コードヌクレオチド配列及びコードヌクレオチド配列に作動可能に結合されたプロモーターからなる。コードヌクレオチド配列は、ポリペプチドを発現させ、ポリペプチドは、プレ膜エンベロープ(prM+EnvまたはprME)を含むコンセンサスジカ抗原を含む。プロモーターは、哺乳動物におけるポリペプチドの発現を調整する。
【0008】
本発明の別の態様は、ジカウイルスに対する免疫応答を哺乳動物において生じさせることが可能である、DNAプラスミドワクチンを提供する。DNAプラスミドワクチンは、哺乳動物においてコンセンサスジカ抗原を発現させることが可能なDNAプラスミド及び薬学的に許容される賦形剤からなる。DNAプラスミドは、コンセンサスジカ抗原をコードするコード配列に作動可能に結合されたプロモーターからなる。コンセンサスジカ抗原は、コンセンサスprMEからなる。
【0009】
本発明の別の態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する方法を提供し、DNAプラスミドワクチンを哺乳動物の組織に送達することであって、DNAプラスミドを含むDNAプラスミドワクチンは、哺乳動物の細胞内でジカウイルスのコンセンサス抗原を発現させて、哺乳動物において免疫応答を誘発することが可能である、送達することと、組織の細胞を電気穿孔して、DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にすることとを含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
単離された核酸分子であって、前記核酸分子は、コンセンサスジカ抗原をコードする、前記単離された核酸分子。
(項目2)
前記コンセンサスジカ抗原のアミノ酸が、配列番号1、配列番号1のフラグメント、配列番号1と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号1、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号1のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号1と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目3)
前記コンセンサスジカ抗原の前記アミノ酸は、配列番号3、配列番号3のフラグメント、配列番号3と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号3、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号3のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号3と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目4)
前記コンセンサスジカ抗原の前記アミノ酸は、配列番号5、配列番号5のフラグメント、配列番号5と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号5、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号5のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号5と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目5)
前記コンセンサスジカ抗原の前記アミノ酸は、配列番号7、配列番号7のフラグメント、配列番号7と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号7、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号7のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号7と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目6)
前記単離された核酸は、配列番号2、配列番号2のフラグメント、配列番号2と少なくとも90%の相同性を有する配列、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号2、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号2のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号2と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される配列を含む、項目3に記載の単離された核酸分子。
(項目7)
前記単離された核酸は、配列番号2、配列番号2のフラグメント、配列番号2と少なくとも90%の相同性を有する配列、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号2、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号2のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号2と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される配列を含む、項目3に記載の単離された核酸分子。
(項目8)
前記単離された核酸は、配列番号4、配列番号4のフラグメント、配列番号4と少なくとも90%の相同性を有する配列、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号4、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号4のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号4と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される配列を含む、項目4に記載の単離された核酸分子。
(項目9)
前記単離された核酸は、配列番号6、配列番号6のフラグメント、配列番号6と少なくとも90%の相同性を有する配列、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号6、IgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号6のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドをコードする核酸に結合した配列番号6と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される配列を含む、項目5に記載の単離された核酸分子。
(項目10)
前記単離された核酸分子は、プラスミドである、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目11)
核酸分子を含む組成物であって、前記核酸分子が、コンセンサスジカ抗原をコードする、前記組成物。
(項目12)
前記コンセンサスジカ抗原のアミノ酸が、配列番号1、配列番号1のフラグメント、配列番号1と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号1、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号1のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号1と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記コンセンサスジカ抗原の前記アミノ酸は、配列番号3、配列番号3のフラグメント、配列番号3と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号3、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号3のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号3と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目11に記載の組成物。
(項目14)
前記コンセンサスジカ抗原の前記アミノ酸は、配列番号5、配列番号5のフラグメント、配列番号5と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号5、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号5のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号5と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目11に記載の組成物。
(項目15)
前記コンセンサスジカ抗原の前記アミノ酸は、配列番号7、配列番号7のフラグメント、配列番号7と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号7、IgEシグナルペプチドに結合した配列番号7のフラグメント、及びIgEシグナルペプチドに結合した配列番号7と少なくとも90%の相同性を有するアミノ酸配列からなる群から選択される、項目11に記載の組成物。
(項目16)
電気泳動の使用による個体への送達のために製剤化される、項目11に記載の組成物。
(項目17)
IL-12、IL-15及びIL-28からなる群から選択される1つ以上のタンパク質をコードする核酸配列をさらに含む、項目11に記載の組成物。
(項目18)
ジカウイルスに対する免疫応答を誘導する方法であって、項目1~17のいずれか1項に記載の組成物を個体に、前記個体における免疫応答を誘導するのに有効な量で投与することを含む、前記方法。
(項目19)
ジカウイルスが診断された個体を治療する方法であって、治療有効量の項目1~17のいずれか1項に記載の組成物を個体に投与することを含む、前記方法。
(項目20)
個体におけるジカウイルス感染を予防する方法であって、予防有効量の項目11~17のいずれか1項に記載の組成物を個体に投与することを含む、前記方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ジカウイルス粒子、ジカRNAゲノム、及びその翻訳された遺伝子の図を表示する。
図2】ジカ抗原をコードするインサート(発現カセット)のための位置の部位を示す、ジカワクチンのためのプラスミドマップを表示する。
図3】様々なジカ抗原設計の線形構造を示す図面を表示する。
図4】ジカ抗原-リーダー配列+prMEに対する注釈付きアミノ酸配列を表示する。
図5】様々なジカウイルス株間の遺伝的関係を表示する。図5は、分離株間の遺伝距離を示し、図6は、遺伝学的系統樹を表示する。
図6】様々なジカウイルス株間の遺伝的関係を表示する。図5は、分離株間の遺伝距離を示し、図6は、遺伝学的系統樹を表示する。
図7】ジカ-prM+Envをコードするインサート(発現カセット)のための位置の部位を示す、ジカワクチンのためのプラスミドマップを表示する。
図8】発現カセットの存在を示すゲル電気泳動画像を表示する。
図9】ジカ-エンベロープタンパク質を示すウエスタンブロットゲルを表示する。図9Aは、細胞溶解物中の抗血清への非特異的結合を示し、図9Bは、細胞溶解物中の抗pan-flavivirusへの特異的結合を示す。
図10図10Aは、ジカ-エンベロープタンパク質の精製を示すSDS-PAGEゲルを表示する。図10Bは、ジカ-エンベロープタンパク質の精製を示すウエスタンブロットゲルを表示する。
図11】pre-M+エンベロープ抗原を被覆するペプチドプールに対する、IFN-gamma ELISpotアッセイによって評価されたスパイク特異的CD8 Tリンパ球応答を示す棒グラフを表示する。図11は、個々のマウスの図である。図12は、群平均である。第3の免疫化の1週間後の各群における平均応答。
図12】pre-M+エンベロープ抗原を被覆するペプチドプールに対する、IFN-gamma ELISpotアッセイによって評価されたスパイク特異的CD8 Tリンパ球応答を示す棒グラフを表示する。図11は、個々のマウスの図である。図12は、群平均である。第3の免疫化の1週間後の各群における平均応答。
図13図13A及び13Bは、マウスのジカprM+Envワクチン接種が、ジカ-エンベロープ抗原と反応する陽性抗体応答を引き起こすことを示す、試料の結合ELISAを表すグラフを表示する。
図14図14A及び14Bは、ZV-prME免疫原が、ジカ-エンベロープ抗原と特異的に反応するかなりの抗体応答を引き起こすことを示す、グラフを表示する。デング熱1、2、3、及び4抗原Envに対するZpME血清の交差反応性が陰性であった一方で、ジカEnvに対しては、強力な結合を示した。
図15図15A~15Eは、ZV-prMEワクチン生成血清がデング熱1~4組み換えEnvと交差反応しないことを示す、分析を表示する。分析は、抗CHIKVワクチン誘導血清がジカEnvと結合しないことも裏付ける。
図16-1】図16A~16Eを含み、ZV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築を実証する実験結果を示す。図16Aは、ZIKV分離株とエンベロープ株との間のZIKVエンベロープ配列のアミノ酸レベルにおける系統樹を示す。コンセンサス設計戦略をZIKV-prMEコンセンサス配列に対して採用した。スケールバーは、1部位当たりのアミノ酸の距離を示す。MEGAバージョン5ソフトウェアを使用して分析を実施した。赤い星は、ジカ-prMEコンセンサスを示す。図16Bは、pVax1哺乳動物発現ベクター、pGX0001へのprME(prM+Env)のクローニングを示す、ZIKV-prME DNAワクチンの図表示を示す。prME構築物のコドン最適化合成遺伝子は、IgEリーダー配列を含んだ。全体的な遺伝子構築物を、CMVプロモーターの制御下でpVax1ベクターのBamH1及びXho1部位に挿入した。図16Cは、ZIKV-prME DNAワクチンのアガロースゲル電気泳動分析を示す。レーン1は、未消化ワクチン構築物を示し、レーン2は、BamH1/Xho1によるプラスミドの制限消化を示し、レーン3は、DNA分子サイズマーカーを示す(kbで)。図16Dは、ウエスタンブロット評価及びIFA検出を使用した、293T細胞内のZIKV prMEタンパク質発現のSDS-PAGEによる発現分析を示す。293T細胞をZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトし、細胞溶解物及び上清を発現に関して分析した。レーン1は、タンパク質分子量マーカー(kDa)を含み、レーン2は、pVax1対照細胞溶解物を含み、レーン3は、ZV prMEでトランスフェクトされた細胞からの細胞溶解物を含み、レーン4は、ZIKV-prMEでトランスフェクトされた細胞からの上清を含み、レーン5は、組み換えprME陽性対照を含む。図16Eは、293T細胞内のZIKV-prMEタンパク質発現に関する免疫蛍光分析アッセイ(IFA)のアッセイを示す。293T細胞を5μgのZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、免疫化したマウスからの血清(1:100)及び抗マウスIgG FITCを用いて免疫蛍光標識を実施した。ZIKV-prME及びpVax1で免疫化したマウスからの血清を用いた染色が示される。
図16-2】同上。
図17図17A図17Cを含み、ZIKV-prME DNAワクチンを用いたワクチン接種後のマウスにおける細胞免疫応答の特性化を実証する実験結果を示す。図17Aは、脾細胞内のIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を示す。C57/BL6マウス(n=5/群)を、25μgのpVax1またはZIKV-prME DNAワクチンのいずれかを用いて3回、筋肉内で免疫化し、続いてインビボEPした。細胞免疫応答誘導を示すものとして、IFN-γ産生をIFN-γ ELISPOTによって測定した。第3の免疫化の7日後に採取した脾細胞を、全prM及びエンベロープタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果は、積み上げ棒グラフに示される。データは、100万個の脾細胞当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、値は、各群(n=4)における平均応答±SEMを表す。図17Bは、第3の免疫化の1週間後のマトリクスペプチドプールを用いた刺激によって決定される、ZIKV-prME特異的IFN-γ応答のエピトープ組成物を示す。値は、各群(n=4)における平均応答±SEMを表す。実験を少なくとも3回別々に実施し、結果は同様であった。図17Cは、ZIKV-prMEを用いた免疫化が、ZIKVペプチドによって刺激されたときにより多数のIFN-γ及びTNF-α分泌細胞を誘導することを示す。ZIKV-prMEワクチンを用いた最後の免疫化の1週間後、脾細胞をプールされたZIKVペプチド(5μM)または組織培養培地のみの存在下で培養した。ZIKVペプチド特異的IFN-γ及びTNF-α分泌細胞の頻度を、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイによって測定した。単一機能ゲートは、陰性対照(未刺激)試料に基づいて設定し、試料にわたって均一に配置した。合計のCD8+T細胞応答の割合が示される。これらのデータは、2つの別々の免疫化実験を表す。
図18図18A図18Dを含み、脾細胞によるIFN-γ産生のプロファイル、ならびにpZIKV-prME(MR766)及びpZIKV-prME(Brazil)で免疫化されたマウスから採取された血清中の抗体レベルを示す。6週齢C57/BL6マウスを材料及び方法に記載されるように免疫化した。血清及び脾細胞を第3の免疫化の1週間後に採取し、ZIKV特異的prMEペプチドでインキュベートし、100万個の細胞当たりのIFN-γ SFUの数をELISPOTによって分析した。図18Aは、MR766で免疫化されたマウスから採取された血清のELISpot分析を示す。図18Bは、Brazilで免疫化されたマウスから採取された血清のELISpot分析を示す。血清中の抗ZIKV Env抗体レベルをELISA(C&D)によって測定した。図18Cは、MR766で免疫化されたマウスにおいてELISAによって測定された血清中の抗ZIKV Env抗体レベルを示す。図18Dは、Brazilで免疫化されたマウスにおいてELISAによって測定された血清中の抗ZIKV Env抗体レベルを示す。
図19-1】図19A図19Eを含み、抗ZIKV抗体応答がZIKV-prMEプラスミドワクチン接種によって誘導されることを実証する実験結果を示す。C57BL/6マウスを、25μgのZIKV-prMEプラスミドまたはpVax1を用いて、2週間の間隔で3回、筋肉内で免疫化した。エンベロープ抗原への結合を、様々な希釈で免疫化後の異なる時点において、動物からの血清を用いて分析した。ELISAプレートをワクチン適合組み換えZIKV-エンベロープタンパク質でコーティングした。図19Aは、2つの別々の実験のうちの1つからの結果を示す。第2の実験において同様の結果が得られた。図19Bは、ZIKV-prME免疫原に応答して生成された抗ZIKVエンドポイント力価の差を、各追加刺激後の免疫化された動物からの血清において分析したことを示す。図19Cは、ZIKV-エンベロープ抗原発現のウエスタンブロット分析を示す。様々な濃度での組み換えZIKV-Envタンパク質を、12.5% SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ、示される通り、pVax1またはZIKV-prMEで免疫化されたマウスからの血清を用いてウエスタンブロット分析によって分析した。ZIKV-Envタンパク質の発現は、矢印によって示される。図20Dは、ZIKV-prMEまたはpVax1で免疫化されたマウスからの血清を用いたインキュベーションに続いて、ZIKV-MR766に感染したか、またはモック感染したかのいずれかのVero細胞の免疫蛍光分析を示す。pZIKV-prMEで免疫化されたマウスからの血清試料を、それらがインビトロでZIKV感染性を中和させる能力に関して、プラーク減少中和(PRNT)アッセイによって試験した。PRNT50を投入したウイルスの50%を阻害することができた血清希釈係数として定義した。括弧内の値は、PRNT50を示す。対照プラスミドpZIKV-カプシド及びpVax1血清を陰性対照として使用した。
図19-2】同上。
図20-1】図20A図20Eを含み、NHPのZIKV=prME DNAワクチン接種後のZIKV特異的細胞免疫応答の誘導を実証する実験結果を示す。図20Aは、アカゲザルを、2つの部位のそれぞれにおいて1mgとして0及び4週目に投与された2mgのZIKV-prMEプラスミドを用いて、皮内(ID)で免疫化し、免疫化の直後に皮内EPしたことを示す。PBMCを免疫化前及び6週目に単離し、ELISPOTアッセイのために使用して、ZIKV-prMEペプチドを用いた刺激に応答するIFN-γ分泌細胞を検出した。全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対して100万個のPBMC当たり得られたIFN-γ産生細胞の数は、ワクチン接種群に対してy軸上に示される。値は、各群(n=5)における平均応答±SEMを表す。図20Bは、DNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答の検出を示す。抗ZIKV IgG抗体をELISAによって免疫化前及び6週目に測定した。図20Cは、抗ZIKV-エンベロープ抗体に対するエンドポイントELISA力価が、第1及び第2の免疫化後に示されることを示す。図20Dは、6週目のプールされたサルの血清を使用したウエスタンブロット分析が、組み換えエンベロープタンパク質への結合を実証したことを示す。図20Eは、10PFUにおいてZIKV MR766に感染させたVero細胞の免疫蛍光分析を示す。1:100で6週目のプールされたサルの血清を用いた感染の24時間後に細胞を調査し、次いで、二次の抗ヒトIgG-AF488を用いて検出した。
図20-2】同上。
図21図21A図21Cを含み、ZIKV-prMEで免疫化されたアカゲザルからの血清のプラーク減少中和活性を実証する実験結果を示す。アカゲザルを材料及び方法に記載されるように免疫化した。図21Aは、免疫化前及び6週目の個々のサルからの免疫血清を、それらがインビトロでZIKV感染性を中和させる能力に関して、プラーク減少中和(PRNT)アッセイによって試験したことを示す。PRNT50を投入したウイルスの50%を阻害することができた血清希釈係数として定義した。計算されたIC50値は、各サルに対して列挙される。図21B及び21Cは、Vero、SK-N-SH、及びU87MG細胞内のZIKV MR766及びPR209の細胞変性効果を示す。図21Bは、Vero細胞がモック感染したか、またはMR766もしくはPR209ウイルスに感染したことを示す。図21Cは、SK-N-SH及びU87MG細胞が、ZIKV-prMEワクチンで免疫化されたプールNHP血清(6週目)の存在下で、0.001PFU/細胞のMOIにおいてモック感染したか、またはMR766に感染したことを示す。シンシチウム形成(CPE)の誘導及びprMEタンパク質発現を、免疫化されたNHP血清を使用した間接免疫蛍光アッセイ(IFA)によって感染の48時間後に分析した。4倍の対物レンズで写真を撮った。
図22図22A図22Cを含み、I型インターフェロンα,β受容体を欠いたマウスにおけるpZIKV prMEから単離した脾臓細胞による、IFN-γ及び抗体産生のプロファイルを実証する実験結果を示す。図22Aは、IFN α,β受容体ノックアウトマウス(4~6匹)を、25μgのpZIKV-prMEまたはpVax1プラスミドを用いて、2週間の間隔で3回、筋肉内で免疫化したことを示す。脾細胞を最後の免疫化の2週間後に採取し、prMEペプチドでインキュベートし、IFN-γ産生細胞の数をELISPOTによって測定した。図22Bは、免疫化された動物におけるZIKV Envタンパク質に特異的な血清抗体を、免疫化後の様々な日数においてELISAによって測定したことを示す。図22Cは、免疫化後0、1、2、3、4、及び5週目のエンドポイント力価を示す。
図23-1】図23A図23Fを含み、ジカウイルス感染後のI型インターフェロンα,β受容体を欠いた免疫化されたマウスに対する生存データを実証する実験結果を示す。ジカ感染後のIFN-α/β受容体ノックアウトマウスの生存。図23Aは、マウスを1回免疫化し、2週間後に106PFUのZIKV-PR209を攻撃接種したことを示す。図23Bは、マウスを2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の7日後に106PFUのZIKV-PR209を攻撃接種したことを示す。図23Cは、マウスを2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の7日後に2回の106PFUのZIKV PR209を攻撃接種したことを示す。2つの別々の実験からのデータを使用して、生存曲線を構築した。図23Dは、2回免疫化された動物に関する体重変化を示し、データは、1実験につき1群当たり10~15匹のマウスを用いた2つの別々の実験からの結果を反映する。図23Eは、図23Bの動物に関する臨床スコアを示す。図23Fは、図23Cの動物に関する臨床スコアを示す。臨床スコアに関する表示は以下の通りである。1-疾病なし、2-可動性の低下、3-猫背の姿勢及び可動性の低下、4-後肢指背歩行(部分麻痺)、5-一方の後肢の麻痺、ならびに6-両方の後肢の麻痺。
図23-2】図23A図23Fを含み、ジカウイルス感染後のI型インターフェロンα,β受容体を欠いた免疫化されたマウスに対する生存データを実証する実験結果を示す。ジカ感染後のIFN-α/β受容体ノックアウトマウスの生存。図23Aは、マウスを1回免疫化し、2週間後に106PFUのZIKV-PR209を攻撃接種したことを示す。図23Bは、マウスを2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の7日後に106PFUのZIKV-PR209を攻撃接種したことを示す。図23Cは、マウスを2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の7日後に2回の106PFUのZIKV PR209を攻撃接種したことを示す。2つの別々の実験からのデータを使用して、生存曲線を構築した。図23Dは、2回免疫化された動物に関する体重変化を示し、データは、1実験につき1群当たり10~15匹のマウスを用いた2つの別々の実験からの結果を反映する。図23Eは、図23Bの動物に関する臨床スコアを示す。図23Fは、図23Cの動物に関する臨床スコアを示す。臨床スコアに関する表示は以下の通りである。1-疾病なし、2-可動性の低下、3-猫背の姿勢及び可動性の低下、4-後肢指背歩行(部分麻痺)、5-一方の後肢の麻痺、ならびに6-両方の後肢の麻痺。
図24-1】図24A図24Eを含み、ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築を実証する実験結果を示す。図24Aは、pVax1哺乳動物発現ベクターへのrMEのクローニングを示す、ZIKV-prME DNAワクチンの図表示を示す。コンセンサス設計戦略をZIKV-prMEコンセンサス配列に対して採用した。prME構築物のコドン最適化合成遺伝子は、合成IgEリーダー配列を含んだ。最適化された遺伝子構築物を、CMVプロモーターの制御下で修飾pVax1ベクターのBamH1及びXho1部位に挿入した。図24Bは、ZIKV-Eタンパク質のモデル構築が潜在的に関連するエピトープ領域を有するワクチン標的の重複を実証することを示す。ワクチン設計目的のために行われたいくつかの変更は、ドメインII及びIII内に位置する(差し込み図の左中央の破線内に位置する)。これらの領域内のワクチン特異的残基の変化は、E(エンベロープ)タンパク質二量体のリボンバックボーン表示上にバイオレットCPK形式で示される(各鎖は、薄緑色及び濃緑色のそれぞれ)。画定されたEDEに対応する領域は青緑色で示され、融合ループは青色で示される。150ループの表面上に露出されるものとしてモデル化されたワクチンEタンパク質の残基Ile156(T156I)は、いくつかの他のZIKV株ならびに複数のデングウイルス株中のN-結合型グリコシル化モチーフNXS/Tの一部である。図24Cは、ウエスタンブロット分析を使用した、293T細胞内のZIKV-prMEタンパク質発現のSDS-PAGEによる発現分析を示す。293T細胞をZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトし、pan-flavivirusで免疫化された血清を用いたワクチン構築物の発現に関して、細胞溶解物及び上清を分析した。タンパク質分子量マーカー(kDa)、ZIKV-prMEでトランスフェクトされた細胞からの細胞溶解物及び上清、ならびにrZIKV-E陽性対照を示されるように搭載した。図24Dは、ウエスタンブロット分析を使用した、293T細胞内のZIKV-prMEタンパク質発現のSDS-PAGEによる発現分析を示す。293T細胞をZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトし、ZIKV-prMEで免疫化された血清を用いたワクチン構築物の発現に関して、細胞溶解物及び上清を分析した。タンパク質分子量マーカー(kDa)、ZIKV-prMEでトランスフェクトされた細胞からの細胞溶解物及び上清、ならびにrZIKV-E陽性対照を示されるように搭載した。図24Eは、293T細胞内のZIKV-prMEタンパク質発現に関する免疫蛍光分析アッセイ(IFA)分析を示す。細胞を5μgのZIKVprMEプラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、ZIKV-prMEで免疫化したマウスからの血清(1:100)の添加、続いて検出のための二次の抗マウスIgG-AF488抗体の添加を用いて、免疫蛍光標識を実施した。ZIKV-prME及びpVax1で免疫化したマウスからの血清を用いた染色が示される。DAPIパネルは、細胞核の対照染色を示す。オーバーレイパネルは、抗マウスIgG-AF488及びDAPI染色パターンの組み合わせである。DAPI、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図24-2】同上。
図25-1】図25A図25Dを含み、ZIKV-prME DNAワクチンを用いたワクチン接種後のマウスにおける細胞免疫応答の特性化を実証する実験結果を示す。図25Aは、研究中に使用したワクチン免疫化及び免疫分析の時系列を示す。図25Bは、ZIKV-prME免疫化に応答する脾細胞内のIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を示す。C57BL/6マウス(n=4/群)を、25μgのpVax1またはZIKV-prME DNAワクチンのいずれかを用いて3回、筋肉内で免疫化し、続いて電気穿孔した。細胞免疫応答の誘導を示すものとして、IFN-γ産生をIFN-γ ELISpotアッセイによって測定した。第3の免疫化の1週間後に採取した脾細胞を、全prM及びエンベロープタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果は、積み上げ棒グラフに示される。データは、100万個の脾細胞当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、値は、それぞれにおける平均応答±s.e.m.を表す。図25Cは、第3の免疫化の1週間後のマトリクスペプチドプールを用いた刺激によって決定される、ZIKVprME特異的IFN-γ応答のエピトープ組成物を示す。値は、各群における平均応答±s.e.m.を表す。実験を少なくとも3回別々に実施し、結果は同様であった。図25Dは、T細胞応答のフローサイトメトリ分析を示す。ZIKV-prMEを用いた免疫化が、ZIKVペプチドによって刺激されたときにより多数のIFN-γ及びTNF-α分泌細胞を誘導する。ZIKV-prMEワクチンを用いた最後の免疫化の1週間後、脾細胞をプールされたZIKVペプチド(5μM)またはR10のみの存在下で培養した。ZIKVペプチド特異的IFN-γ及びTNF-α分泌細胞の頻度を、フローサイトメトリによって測定した。単一機能ゲートは、陰性対照(未刺激)試料に基づいて設定し、試料にわたって均一に配置した。合計のCD8T細胞応答の割合が示される。これらのデータは、2つの別々の免疫化実験を表す。IFN、インターフェロン;TNF、腫瘍壊死因子;ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図25-2】同上。
図25-3】同上。
図26-1】図26A図26Eを含み、抗ZIKV抗体応答がZIKV-prMEワクチン接種によって誘導されることを実証する実験結果を示す。図26Aは、免疫化されたマウスにおける結合抗体産生(OD450値によって測定される)を測定するELISA分析を示す。C57BL/6マウス(n=4)を、25μgのZIKV-prMEプラスミドまたはpVax1を用いて、2週間の間隔で3回、筋肉内で免疫化した。rZIKV-Eへの結合を、様々な希釈で免疫化後の異なる時点(21、35、及び50日目)において、動物からの血清を用いて分析した。示されるデータは、少なくとも3つの別々の実験を表す。図26Bは、エンドポイント結合力価分析を示す。ZIKV-prME免疫原に応答して生成された抗ZIKVエンドポイント力価の差を、各追加刺激後の免疫化された動物からの血清において分析した。図26Cは、ZIKV-prME免疫化によって誘導されたrZIKV-E特異的抗体のウエスタンブロット分析を示す。rZIKV-Eタンパク質を、12.5% SDSポリアクリルアミドゲル上で電気泳動させ、ZIKV-prMEで免疫化されたマウスからのプールされた血清(35日目)を用いてウエスタンブロット分析によって分析した。rZIKV-Eへの結合は、矢印によって示される。図26Dは、ZIKV-prME免疫化によって誘導されたZIKV特異的抗体の免疫蛍光分析を示す。ZIKV-MR766に感染したか、またはモック感染したかのいずれかのVero細胞を、ZIKV-prMEで免疫化されたマウスからのプールされた血清(35日目)、続いて検出のための抗マウス-AF488二次抗体で染色した。図26Eは、ZIKV-prME免疫化によって誘導された中和抗体のプラーク減少中和(PRNT)アッセイ分析を示す。ZIKV-prMEで免疫化されたマウスからの血清試料を、それらがインビトロでZIKV感染性を中和させる能力に関して試験した。PRNT50を投入したウイルスの50%を阻害することができた血清希釈係数として定義した。括弧内の値は、PRNT50を示す。対照ZIKV-Cap(ZIKVカプシドタンパク質を発現させるDNAワクチン)及びpVax1血清を陰性対照として使用した。ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図26-2】同上。
図26-3】同上。
図27-1】図27A図27Eを含み、非ヒト霊長(NHP)類のZIKV-prMEワクチン接種後のZIKV特異的細胞免疫応答の誘導を実証する実験結果を示す。図27Aは、ZIKV-prME免疫化に応答する末梢血単核細胞(PBMC)内のIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を示す。アカゲザルを、2つの部位のそれぞれにおいて1mgとして0及び4週目に投与された2mgのZIKV-prMEプラスミドを用いて、皮内で免疫化し、免疫化の直後に皮内で電気穿孔した。PBMCを免疫化前及び6週目に単離し、ELISPOTアッセイのために使用して、「材料及び方法」の節に記載されるように、ZIKV-prMEペプチドを用いた刺激に応答するIFN-γ分泌細胞を検出した。全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対して100万個のPBMC当たり得られたIFN-γ産生細胞の数が示される。値は、各群(n=5)における平均応答±s.e.m.を表す。図27Bは、DNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答の検出を示す。抗ZIKV IgG抗体をELISAによって免疫化前及び6週目に測定した。図27Cは、抗ZIKV-エンベロープ抗体に対するエンドポイントELISA力価が、第1及び第2の免疫化後に示されることを示す。図27Dは、6週目のRM免疫血清を使用したウエスタンブロット分析が、組み換えエンベロープタンパク質への結合を実証したことを示す。図27Eは、ZIKV-prMEで免疫化されたRMからの血清のPRNT活性を示す。免疫化前及び6週目の個々のサルからの免疫血清を、それらがインビトロでZIKV感染性を中和させる能力に関して、プラーク減少中和(PRNT)アッセイによって試験した。PRNT50を投入したウイルスの50%を阻害することができた血清希釈係数として定義した。計算された(PRNT50)値は、各サルに対して列挙される。IFN、インターフェロン;ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図27-2】図27A図27Eを含み、非ヒト霊長(NHP)類のZIKV-prMEワクチン接種後のZIKV特異的細胞免疫応答の誘導を実証する実験結果を示す。図27Aは、ZIKV-prME免疫化に応答する末梢血単核細胞(PBMC)内のIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を示す。アカゲザルを、2つの部位のそれぞれにおいて1mgとして0及び4週目に投与された2mgのZIKV-prMEプラスミドを用いて、皮内で免疫化し、免疫化の直後に皮内で電気穿孔した。PBMCを免疫化前及び6週目に単離し、ELISPOTアッセイのために使用して、「材料及び方法」の節に記載されるように、ZIKV-prMEペプチドを用いた刺激に応答するIFN-γ分泌細胞を検出した。全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対して100万個のPBMC当たり得られたIFN-γ産生細胞の数が示される。値は、各群(n=5)における平均応答±s.e.m.を表す。図27Bは、DNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答の検出を示す。抗ZIKV IgG抗体をELISAによって免疫化前及び6週目に測定した。図27Cは、抗ZIKV-エンベロープ抗体に対するエンドポイントELISA力価が、第1及び第2の免疫化後に示されることを示す。図27Dは、6週目のRM免疫血清を使用したウエスタンブロット分析が、組み換えエンベロープタンパク質への結合を実証したことを示す。図27Eは、ZIKV-prMEで免疫化されたRMからの血清のPRNT活性を示す。免疫化前及び6週目の個々のサルからの免疫血清を、それらがインビトロでZIKV感染性を中和させる能力に関して、プラーク減少中和(PRNT)アッセイによって試験した。PRNT50を投入したウイルスの50%を阻害することができた血清希釈係数として定義した。計算された(PRNT50)値は、各サルに対して列挙される。IFN、インターフェロン;ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図27-3】図27A図27Eを含み、非ヒト霊長(NHP)類のZIKV-prMEワクチン接種後のZIKV特異的細胞免疫応答の誘導を実証する実験結果を示す。図27Aは、ZIKV-prME免疫化に応答する末梢血単核細胞(PBMC)内のIFN-γ分泌を測定するELISpot分析を示す。アカゲザルを、2つの部位のそれぞれにおいて1mgとして0及び4週目に投与された2mgのZIKV-prMEプラスミドを用いて、皮内で免疫化し、免疫化の直後に皮内で電気穿孔した。PBMCを免疫化前及び6週目に単離し、ELISPOTアッセイのために使用して、「材料及び方法」の節に記載されるように、ZIKV-prMEペプチドを用いた刺激に応答するIFN-γ分泌細胞を検出した。全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対して100万個のPBMC当たり得られたIFN-γ産生細胞の数が示される。値は、各群(n=5)における平均応答±s.e.m.を表す。図27Bは、DNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答の検出を示す。抗ZIKV IgG抗体をELISAによって免疫化前及び6週目に測定した。図27Cは、抗ZIKV-エンベロープ抗体に対するエンドポイントELISA力価が、第1及び第2の免疫化後に示されることを示す。図27Dは、6週目のRM免疫血清を使用したウエスタンブロット分析が、組み換えエンベロープタンパク質への結合を実証したことを示す。図27Eは、ZIKV-prMEで免疫化されたRMからの血清のPRNT活性を示す。免疫化前及び6週目の個々のサルからの免疫血清を、それらがインビトロでZIKV感染性を中和させる能力に関して、プラーク減少中和(PRNT)アッセイによって試験した。PRNT50を投入したウイルスの50%を阻害することができた血清希釈係数として定義した。計算された(PRNT50)値は、各サルに対して列挙される。IFN、インターフェロン;ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図28-1】図28A図28Fを含み、ZIKV感染後のI型インターフェロンα,β受容体を欠いた免疫化されたマウスに対する生存データを実証する実験結果を示す。図28Aは、ZIKV感染後のIFNAR-/-マウスの生存を示す。マウスを、25μgのZIKV-prME DNAワクチンを用いて、2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の1週間後に、1×10プラーク形成単位でZIKV-PR209ウイルスを攻撃接種した。図28Bは、ZIKV感染後のIFNAR-/-マウスの生存を示す。マウスを、25μgのZIKV-prME DNAワクチンを用いて、2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の1週間後に、2×10プラーク形成単位でZIKV-PR209ウイルスを攻撃接種した。図28Cは、1×10プラーク形成単位で免疫化された動物の体重変化を示す。図28Dは、2×10プラーク形成単位で免疫化された動物の体重変化を示す。図28Eは、1×10プラーク形成単位で免疫化された動物の臨床スコアを示す。図28Fは、2×10プラーク形成単位で免疫化された動物の臨床スコアを示す。臨床スコアに関する表示は以下の通りである。1:疾病なし、2:可動性の低下、3:猫背の姿勢及び可動性の低下、4:後肢指背歩行(部分麻痺)、5:一方の後肢の麻痺、ならびに6:両方の後肢の麻痺。データは、1実験につき1群当たり10匹のマウスを用いた2つの別々の実験からの結果を反映する。ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図28-2】図28A図28Fを含み、ZIKV感染後のI型インターフェロンα,β受容体を欠いた免疫化されたマウスに対する生存データを実証する実験結果を示す。図28Aは、ZIKV感染後のIFNAR-/-マウスの生存を示す。マウスを、25μgのZIKV-prME DNAワクチンを用いて、2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の1週間後に、1×10プラーク形成単位でZIKV-PR209ウイルスを攻撃接種した。図28Bは、ZIKV感染後のIFNAR-/-マウスの生存を示す。マウスを、25μgのZIKV-prME DNAワクチンを用いて、2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の1週間後に、2×10プラーク形成単位でZIKV-PR209ウイルスを攻撃接種した。図28Cは、1×10プラーク形成単位で免疫化された動物の体重変化を示す。図28Dは、2×10プラーク形成単位で免疫化された動物の体重変化を示す。図28Eは、1×10プラーク形成単位で免疫化された動物の臨床スコアを示す。図28Fは、2×10プラーク形成単位で免疫化された動物の臨床スコアを示す。臨床スコアに関する表示は以下の通りである。1:疾病なし、2:可動性の低下、3:猫背の姿勢及び可動性の低下、4:後肢指背歩行(部分麻痺)、5:一方の後肢の麻痺、ならびに6:両方の後肢の麻痺。データは、1実験につき1群当たり10匹のマウスを用いた2つの別々の実験からの結果を反映する。ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図28-3】同上。
図29-1】図29A図29Dを含み、ZIKV-prMEワクチンを用いた単回の免疫化が、I型インターフェロンα,β受容体を欠いたマウスにおいてZIKV攻撃接種に対する防御を提供したことを実証する実験結果を示す。マウスを1回免疫化し、単回の免疫化の2週間後に、2×10プラーク形成単位のZIKV-PR209を攻撃接種した。生存曲線は、1実験につき1群当たり10匹のマウスを示す。図29Aは、ZIKV-prMEワクチンがマウスの脳内のジカによって誘導される神経異常を予防したことを実証する。図29Bは、pVax1及びZIKV-prMEをワクチン接種された群からの脳切片を攻撃接種の7~8日後に採取し、組織構造に関してH&E(ヘマトキシリン及びエオジン)で染色したことを示す。代表的な防御されていないpVax1対照動物から採取された切片は、病変を示す。(i):大脳皮質の神経網内の核フラグメント(差し込み図は、核フラグメントを強調するためにより高い倍率及び矢印を示す)、(ii):皮質内の管の血管周囲性単核細胞浸潤、リンパ球浸潤、及び変性細胞、(iii):血管周囲性単核細胞浸潤、細胞変性、及び大脳皮質の核フラグメント、ならびに(iv):海馬内の変性ニューロン(矢印)。ZIKV-prMEをワクチン接種されたマウスからの正常な組織の一例は、正常範囲内にあるように思われた(v及びvi)。図29Cは、感染後の示された日における、ワクチン接種及びウイルス攻撃接種後のマウスからの血漿試料中のZIKV RNAのレベルを示す。結果は、1ミリリットルの血漿当たりのゲノム当量として示される。図29Dは、脳組織内のZIKV-RNAのレベルを感染後28日目に分析したことを示す。結果は、1グラムの組織当たりのゲノム当量として示される。ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図29-2】同上。
図30図30A図30Bを含み、ZIKV攻撃接種後の抗ZIKV免疫血清の受動的移入後の、I型インターフェロンα,β受容体を欠いたマウスの防御を実証する実験結果を示す。ジカウイルス(1マウス当たり10プラーク形成単位)での皮下攻撃接種の1日後に、抗ジカウイルスIgGに対して滴定されたプールNHP抗ZIKV免疫血清をマウスに腹腔内投与した(150μL/マウス)。対照として、正常なサル血清及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、対照としての同齢のマウスに投与した(150μL/マウス)。図30Aは、感染及び処置の過程中のマウスの体重変化を示す。各点は、各マウスに対して計算されたパーセントでの攻撃接種前(0日目)の体重の平均及び標準誤差を表す。図30Bは、NHP免疫血清の投与後のマウスの生存を示す。ZIKV-prME、前駆体膜、及びジカウイルスのエンベロープ。
図31-1】図31A図31Dを含み、C57BL/6マウスにおけるZIKV-prME-MR766またはZIKV-prME Brazilワクチンの免疫応答の特性化を実証する実験結果を示す。図31Aは、ZIKV-prME-MR766及びZIKV-prME-Brazil DNAワクチンのいずれかでのワクチン接種後の、細胞及び抗体応答を測定するELISpot及びELISA分析を示す。C57BL/6マウス(n=4/群)を、25μgのZIKV-prME-MR766を用いて3回、筋肉内で免疫化し、続いてインビボEPした。細胞免疫応答誘導を示すものとして、IFN-γ産生をIFN-γ ELISpotによって測定した。第3の免疫化の1週間後に採取した脾細胞を、全prM及びEタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果は、積み上げ棒グラフに示される。データは、100万個の脾細胞当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、値は、それぞれにおける平均応答±SEMを表す。図31Bは、ZIKV-prME-MR766及びZIKV-prME-Brazil DNAワクチンのいずれかでのワクチン接種後の、細胞及び抗体応答を測定するELISpot及びELISA分析を示す。C57BL/6マウス(n=4/群)を、25μgのZIKV prME-Brazilを用いて3回、筋肉内で免疫化し、続いてインビボEPした。細胞免疫応答誘導を示すものとして、IFN-γ産生をIFN-γ ELISpotによって測定した。第3の免疫化の1週間後に採取した脾細胞を、全prM及びEタンパク質に及ぶ6つのペプチドプールのうちの1つの存在下でインキュベートした。結果は、積み上げ棒グラフに示される。データは、100万個の脾細胞当たりのSFU(スポット形成単位)の平均数を表し、値は、それぞれにおける平均応答±SEMを表す。図31Cは、免疫化されたC57BL/6マウスにおける結合抗体産生を測定するELISA分析を示す。rZIKV-Eへの結合を、様々な希釈で免疫化後35日目に、マウスからの血清を用いて分析した。図31Dは、免疫化されたC57BL/6マウスにおける結合抗体産生を測定するELISA分析を示す。rZIKV-Eへの結合を、様々な希釈で免疫化後35日目に、マウスからの血清を用いて分析した。
図31-2】同上。
図32-1】図32A図32Dを含み、ZIKV-エンベロープタンパク質の発現、精製、及び特性化を実証する実験結果を示す。図32Aは、rZIKV E発現に対するクローニングプラスミドを示す。図32Bは、SDS-PAGE及びウエスタンブロット分析による組み換えZIKV-E(rZIKV-E)タンパク質の特性化を示す。レーン1-BSA対照;レーン2-pET-28aベクタープラスミドで形質転換されたE.coli培養物からの溶解物を、ニッケル地金親和性樹脂カラムによって精製し、IPTG誘導後にSDS-PAGEによって分離した。レーン3、37組み換えZV-E精製タンパク質を、抗Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロットによって分析した。レーンM、タンパク質分子量マーカー。図32Cは、精製rZIKV-Eタンパク質をその抗原性に関して評価したことを示す。ELISAプレートをrZIKV-Eでコーティングし、次いで、ZIKV-prMEワクチンまたは陽性対照としてのPan-flavivirus抗体で免疫化されたマウスからの様々な希釈の免疫血清を用いてインキュベートした。結合したIgGを、実験例に記載されるように、ペルオキシダーゼ共役抗マウス抗体、続いて、テトラメチルベンジジン基質の添加によって検出した。図32Dは、ZIKV prMEで免疫化されたマウスからの免疫血清を用いた、精製rZIKV-Eタンパク質のウエスタンブロット検出を示す。様々な濃度の精製rZIKV-Eタンパク質を、記載されるようにSDS-PAGEゲル上に搭載した。1:100の希釈の免疫血清及び1:15,000のヤギ抗マウスを室温で1時間使用した。洗浄後、膜をOdyssey赤外線画像装置上で撮像した。Odysseyタンパク質分子量標準を使用した。矢印は、rZIKV-Eタンパク質の位置を示す。
図32-2】図32A図32Dを含み、ZIKV-エンベロープタンパク質の発現、精製、及び特性化を実証する実験結果を示す。図32Aは、rZIKV E発現に対するクローニングプラスミドを示す。図32Bは、SDS-PAGE及びウエスタンブロット分析による組み換えZIKV-E(rZIKV-E)タンパク質の特性化を示す。レーン1-BSA対照;レーン2-pET-28aベクタープラスミドで形質転換されたE.coli培養物からの溶解物を、ニッケル地金親和性樹脂カラムによって精製し、IPTG誘導後にSDS-PAGEによって分離した。レーン3、37組み換えZV-E精製タンパク質を、抗Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロットによって分析した。レーンM、タンパク質分子量マーカー。図32Cは、精製rZIKV-Eタンパク質をその抗原性に関して評価したことを示す。ELISAプレートをrZIKV-Eでコーティングし、次いで、ZIKV-prMEワクチンまたは陽性対照としてのPan-flavivirus抗体で免疫化されたマウスからの様々な希釈の免疫血清を用いてインキュベートした。結合したIgGを、実験例に記載されるように、ペルオキシダーゼ共役抗マウス抗体、続いて、テトラメチルベンジジン基質の添加によって検出した。図32Dは、ZIKV prMEで免疫化されたマウスからの免疫血清を用いた、精製rZIKV-Eタンパク質のウエスタンブロット検出を示す。様々な濃度の精製rZIKV-Eタンパク質を、記載されるようにSDS-PAGEゲル上に搭載した。1:100の希釈の免疫血清及び1:15,000のヤギ抗マウスを室温で1時間使用した。洗浄後、膜をOdyssey赤外線画像装置上で撮像した。Odysseyタンパク質分子量標準を使用した。矢印は、rZIKV-Eタンパク質の位置を示す。
図33図33A図33Cを含み、IFNAR-/-マウスにおけるジカ-prMEの免疫応答の特性化を実証する実験結果を示す。IFNAR-/-マウスにおけるZIKV-prMEへの細胞及び抗体応答を測定するELISpot及びELISA分析。マウス(n=4/群)を、25μgのZIKV-prMEを用いて3回、筋肉内で免疫化し、続いてインビボEPした。図33Aは、細胞免疫応答誘導を示すものとして、IFN-γ産生をIFN-γ ELISPOTによって測定したことを示す。図33Bは、免疫化されたIFNAR-/-マウスにおける結合抗体産生を測定するELISA分析を示す。rZIKV-Eへの結合を、免疫化後の異なる時点においてマウスからの血清を用いて分析した。図33Cは、免疫化されたIFNAR-/-マウスにおいて産生された抗ZIKV抗体のエンドポイント力価分析を示す。
図34-1】図34A図34Dを含み、ZIKV-prMEに対して免疫化されたアカゲザルからの免疫血清の中和活性を実証する実験結果を示す。SK-N-SH及びU87MG細胞を、ZIKV-prMEワクチンで免疫化されたプールNHP血清(6週目)の存在下で、0.01PFU/細胞のMOIにおいてモック感染させたか、またはMR766に感染させた。ジカウイルス感染性を、ZIKV-prMEをワクチン接種されたNHPからの血清を使用した間接免疫蛍光アッセイ(IFA)によって感染の4日後に分析した。図34Aは、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスMR766及びPR209による感染の阻害を実証する、20倍の対物レンズを用いて撮った染色された組織試料片の写真を示す。図34Bは、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスSK-N-SH及びU87MGによる感染の阻害を実証する、20倍の対物レンズを用いて撮った染色された組織試料片の写真を示す。図34Cは、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスMR766及びPR209による感染の阻害を実証する、感染された(GFP陽性細胞)の割合を示す棒グラフを示す。図34Dは、Vero、SK-N-SH及びU87MGにおけるZIKVウイルスSK-N-SH及びU87MGによる感染の阻害を実証する、感染された(GFP陽性細胞)の割合を示す棒グラフを示す。
図34-2】同上。
図35図35A図35Dを含み、ZIKVがIFNAR-/-マウスに対して悪性であることを実証する実験結果を示す。これらのデータは、ZIKVがIFNAR-/-において悪性であり、罹患及び死亡をもたらすことを確認する。図35Aは、10pfuのZIKV-PR209ウイルスを用いて頭蓋内を介して予防接種されたIFNAR-/-マウスのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。図35Bは、10pfuのZIKV-PR209ウイルスを用いて静脈内を介して予防接種されたIFNAR-/-マウスのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。図35Cは、10pfuのZIKV-PR209ウイルスを用いて腹腔内を介して予防接種されたIFNAR-/-マウスのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。図35Dは、10pfuのZIKV-PR209ウイルスを用いて皮下を介して予防接種されたIFNAR-/-マウスのカプラン・マイヤー生存曲線を示す。図35Aは、全ての経路に関する感染の過程中のマウスの体重変化を示す。
図36-1】図36A図36Cを含み、非ヒト霊長(NHP)類のZIKV-prMEワクチン接種後のZIKV特異的細胞免疫応答の誘導を実証する実験結果を示す。図36Aは、NHP免疫化研究の概略図である。図36Bは、単回の免疫化後の結果を示す。図36Cは、2回の免疫化後の結果を示す。ZIKV-prME免疫化に応答するPBMCにおけるIFN-g分泌を測定するELISpot分析。アカゲザルを、2つの部位のそれぞれにおいて1mgとして0及び4週目に投与された2mgのZIKV-prMEプラスミドを用いて、皮内(i.d.)で免疫化し、免疫化の直後に皮内EPした。PBMCを免疫化前及び6週目に単離し、ELISPOTアッセイのために使用して、材料及び方法に記載されるように、ZIKV-prMEペプチドを用いた刺激に応答するIFN-g分泌細胞を検出した。全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対して100万個のPBMC当たり得られたIFN-g産生細胞の数が示される。値は、各群(n=5)における平均応答±SEMを表す。
図36-2】同上。
図37-1】図37A及び図37Bを含み、抗ZIKV抗体応答が非ヒト霊長(NHP)類のZIKV-prMEワクチン接種によって誘導されることを実証する実験結果を示す。図37Aは、単回のDNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答の検出を示す。抗ZIKV IgG抗体をELISAによって免疫化前及び6週目に測定した。図37Bは、2回のDNAワクチン接種後のZIKV-prME特異的抗体応答の検出を示す。抗ZIKV IgG抗体をELISAによって免疫化前及び6週目に測定した。
図37-2】同上。
図38-1】図38A図38Dを含み、ジカ-prME免疫化がジカ攻撃接種に対する防御を付与することを実証する実験結果を示す。図38Aは、NHPジカ攻撃接種研究の概略図である。アカゲザルを、EPを使用したID経路を介して、pZV-prME DNAを用いて、0及び4週目に2回ワクチン接種した。8週目に、動物を、ジカ-PR209ウイルス株を用いて皮下攻撃接種した。対照として、5匹の実験に使われていない動物をZV-PR209ウイルスで感染させた。図38Bは、実験に使われていないNHPにおける個々の動物に対する順次的なウイルス負荷決定を示す。図38Cは、1回ワクチン接種されたNHPにおける個々の動物に対する順次的なウイルス負荷決定を示す。図38Dは、2回ワクチン接種されたNHPにおける個々の動物に対する順次的なウイルス負荷決定を示す。パネルは、3つの群に対する標準誤差バーを有する各動物に対するピークウイルス負荷が示される(ウイルスRNAコピー/mL血漿のログ)ことを示す。
図38-2】同上。
図39図39A及び図39Bを含み、第1相ジカDNAワクチン研究からの実験結果を示す。図39Aは、結合ELISA研究からの実験結果を示す。図39Bは、受動的移入及び防御を実証する実験結果を示す。
図40図40A及び図40Bを含み、免疫蛍光分析からの実験結果を示す。
図41-1】図41A及び図41Bを含み、結合レスポンダーの割合の特性化を実証する実験結果を示す。
図41-2】同上。
図42】2回目の投与後の中和を実証する実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の省略または短縮された定義は、本発明の好ましい実施形態の理解に役立つために示される。本明細書に示される省略された定義は、決して包括的でもなく、それらは、当該技術分野において理解されるような定義または辞書的定義に矛盾もしない。省略された定義は、当該技術分野において既知の定義を捕捉するか、またはより明確に定義するために本明細書に示される。
【0012】
定義
本明細書で使用される場合、ヌクレオチド及びアミノ酸に対する配列相同性は、FASTA、BLAST、及びGapped BLAST(Altschul et al.,Nuc.Acids Res.,1997,25,3389(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))、ならびにPAUP4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を使用して決定され得る。簡潔に、ベーシックローカルアラインメントサーチツールを表すBLASTアルゴリズムは、配列類似性を決定するのに好適である(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403-410(その全体が参照により本明細書に組み込まれる))。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通じて一般に利用可能である。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの基準は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列の間の一致が偶然に起こり得る確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸を他の核酸と比較した際の最小和確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合に、別の核酸に類似していると見なされる。「類似性の割合」は、PAUP4.0b10ソフトウェア(D.L.Swofford,Sinauer Associates,Massachusetts)を使用して計算され得る。コンセンサス配列の平均類似性は、系統樹における全ての配列と比較して計算される。
【0013】
本明細書で使用される場合、「核酸構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列または「コード核酸配列」は、核酸分子が投与される個体の細胞において発現を誘導することが可能なプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナル及び終止シグナルを含むことができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞に存在する場合にコード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された必要な調節エレメントを含有する核酸構築物を指す。
【0015】
「定電流」という用語は、組織または当該組織を画定する細胞が、その組織に送達される電気パルスの持続時間にわたって受ける、または経験する電流を定義するために本明細書で使用される。電気パルスは、本明細書に記載される電気穿孔デバイスから送達される。この電流は、電気バルスの寿命にわたって当該組織内に一定のアンペア数で留まり、それは、本明細書において提供される電気穿孔デバイスが、好ましくは瞬時のフィードバックを有するフィードバック要素を有するためである。フィードバック要素は、パルスの持続時間の全体にわたって組織(または細胞)の抵抗を測定し、同じ組織内の電流が電気パルスの全体にわたって(約数マイクロ秒)、及びパルス毎に一定のままであるように、電気穿孔デバイスにその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ことができる。幾つかの実施形態において、フィードバック要素は、制御装置を含む。
【0016】
「フィードバック」または「電流フィードバック」という用語は、互換的に使用され、提供される電気穿孔デバイスの能動的応答を意味し、これは、電極間の組織内の電流を測定すること、及びそれに応じて、電流を一定レベルに維持するためにEPデバイスによって送達されたエネルギー出力を変化させることを含む。この一定レベルは、パルス系列または電気処理を開始する前に、ユーザによって予め設定される。好ましくは、フィートバックは、電気穿孔デバイスの電気穿孔構成要素、例えば制御装置によって達成され得、それは、その中の電気回路が、電極間の組織内の電流を連続的に監視し、その監視された電流(または組織内の電流)を予め設定された電流と比較して、監視された電流を予め設定されたレベルに維持するためにエネルギー出力調整を連続的に行うことが可能であるためである。いくつかの実施形態では、フィードバックループは、アナログ閉ループフィートバックであるために瞬時である。
【0017】
「電気穿孔」、「電気透過」、または「動電学的強化」(「EP」)という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、生体膜内の微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電界パルスの使用を指し、それらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、及び/または水などの生体分子が細胞膜の一方の側からもう一方の側に通過することを可能にする。
【0018】
「分散電流」という用語は、本明細書に記載される電気穿孔デバイスの様々な針電極配列から送達される電流のパターンを定義するために本明細書で使用され、そのパターンは、電気穿孔されている組織の任意の領域における電気穿孔関連熱応力の発生を最小限に抑えるか、または好ましくは排除する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「フィードバック機構」という用語は、ソフトウェアまたはハードウェア(またはファームウェア)のいずれかによって実施されるプロセスを指し、このプロセスは、(エネルギーパルスの送達の前、間、及び/または後に)所望の組織のインピーダンスを受信し、現在の値、好ましくは電流と比較し、送達されるエネルギーのパルスを調整して、予め設定された値を達成する。「インピーダンス」という用語は、フィードバック機構を考察する場合に本明細書で使用され、オームの法則に従って電流値に変換され得、したがって、予め設定された電流との比較を可能にする。好ましい実施形態では、「フィードバック機構」は、アナログ閉ループ回路によって実施される。
【0020】
「免疫応答」という用語は、提供されたDNAプラスミドワクチンを介したジカ抗原、例えば、汎用ジカ抗原の導入に応答する宿主の免疫系、例えば哺乳動物の免疫系の活性化を意味するために本明細書で使用される。免疫応答は、細胞性もしくは液性応答、またはその両方の形態であり得る。
【0021】
「コンセンサス」または「コンセンサス配列」という用語は、ジカ遺伝子の複数の株の整列の分析に基づき構築された、合成核酸配列または対応するポリペプチド配列を意味するために本明細書で使用される。コンセンサス汎用ジカは、ジカウイルスの複数のサブタイプまたは血清型に対する幅広い免疫を誘導するために使用され得る。
【0022】
「アジュバント」という用語は、本明細書に記載されるDNAプラスミドワクチンに添加されて、以下に記載されるDNAプラスミド及びコード核酸配列によってコードされるジカ抗原の抗原性を増強する任意の分子を意味するために本明細書で使用される。
【0023】
「サブタイプ」または「血清型」という用語は、本明細書において互換的にかつウイルス、例えばジカウイルスと関連して使用され、ウイルス抗原の遺伝的変異体を意味し、このため、1つのサブタイプは、異なるサブタイプとは別の免疫系によって認識される。例えば、ジカウイルスサブタイプ1は、ジカウイルスサブタイプ2とは免疫学的に区別可能である。
【0024】
本発明の一態様は、ジカウイルスに対する哺乳動物における免疫応答を引き起こすポリペプチドを発現させることが可能な核酸構築物を提供する。核酸構築物は、コードヌクレオチド配列及びコードヌクレオチド配列に作動可能に結合されたプロモーターからなる。コードヌクレオチド配列は、ポリペプチドを発現させ、ポリペプチドは、prMEを含むコンセンサスジカ抗原を含む。プロモーターは、哺乳動物におけるポリペプチドの発現を調整する。
【0025】
いくつかの実施形態では、核酸構築物は、コード配列のN末端に作動可能に結合し、かつプロモーターに作動可能に結合されたIgEリーダー配列をさらに含むことができる。好ましくは、IgEリーダーは、配列番号12の配列を有する。核酸構築物はまた、コード配列のC末端に付着したポリアデニル化配列を含むことができる。好ましくは、核酸構築物は、コドン最適化される。
【0026】
好ましい実施形態では、核酸配列及びアミノ酸配列は、以下から選択されてもよい。
配列番号 説明
1 コンセンサスジカIgEリーダー-prMEタンパク質
2 コンセンサスジカIgEリーダー-prME(構築物1)DNA
3 コンセンサスジカIgEリーダー-prME(構築物1)タンパク質
4 コンセンサスジカIgEリーダー-NS1 DNA
5 コンセンサスジカIgEリーダー-NS1タンパク質
6 コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドDNA
7 コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドタンパク質
8 ジカIgEリーダー-prME MR766 DNA
9 ジカIgEリーダー-prME MR766タンパク質
10 ジカIgEリーダー-prME Brazil DNA
11 ジカIgEリーダー-prME Brazilタンパク質
12 IgEリーダー
13 コンセンサスジカIgEリーダー-NS1 DNA(pGX7211)
14 コンセンサスジカIgEリーダー-カプシドDNA(pGX7212)
15 ジカIgEリーダー-prME Brazil DNA(pGX7213)
16 ジカIgEリーダー-prME MR766 DNA(pGX7214)
17 カプシドDNAなしのジカPreEnv(MR766)(pGX7210)
18 カプシドタンパク質なしのジカPreEnv(MR766)(pGX7210)
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書のDNA配列は、5’末端からIgEリーダー配列(配列番号12をコードするヌクレオチド配列)が除去され得、本明細書のタンパク質配列は、N末端から配列番号12のIgEリーダー配列が除去され得る。
【0028】
本発明の別の態様は、ジカウイルスに対する免疫応答を哺乳動物において生じさせることが可能である、DNAプラスミドワクチンを提供する。DNAプラスミドワクチンは、哺乳動物においてコンセンサスジカ抗原を発現させることが可能なDNAプラスミド及び薬学的に許容される賦形剤からなる。DNAプラスミドは、コンセンサスジカ抗原をコードするコード配列に作動可能に結合されたプロモーターからなる。コンセンサスジカ抗原は、コンセンサスprME、NS1、カプシド、または上記の抗原のうちの1つ以上の融合からなる。一実施形態では、DNAプラスミドは、コンセンサスジカ抗原をコードする。一実施形態では、DNAプラスミドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、または配列番号18のアミノ酸配列を有するコンセンサスジカ抗原をコードする。
【0029】
一実施形態では、DNAプラスミドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17を含むが、これらに限定されない配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、DNAプラスミドは、ジカ抗原をコードするコード配列からコード配列のN末端上のIgEリーダー配列を引いたものを含む。いくつかの実施形態では、DNAプラスミドは、コード配列のN末端に付着し、かつプロモーターに作動可能に結合されたIgEリーダー配列をさらに含む。好ましくは、IgEリーダーは、配列番号12の配列を有する。
【0031】
DNAプラスミドは、コード配列のC末端に付着したポリアデニル化配列をさらに含むことができる。好ましくは、DNAプラスミドは、コドン最適化される。
【0032】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントである。好ましくは、アジュバントは、以下からなる群から選択される:IL-12及びIL-15。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤である。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質、及びより好ましくはポリ-L-グルタミン酸である。好ましくは、ポリ-L-グルタミン酸は、6mg/mL未満の濃度である。好ましくは、DNAプラスミドワクチンは、1mg/mL以上の総DNAプラスミドの濃度を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、DNAプラスミドは、複数の独特なDNAプラスミドを含み、この複数の独特なDNAプラスミドの各々は、コンセンサスprMEタンパク質、コンセンサスprME(構築物1)、コンセンサスNS1 DNA、またはコンセンサスカプシドタンパク質を含むポリペプチドをコードする。
【0034】
DNAプラスミドワクチンは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、及び配列番号18を含むが、これらに限定されないアミノ酸配列をコードするDNAプラスミドを含むことができる。
【0035】
一実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、及び配列番号17を含むが、これらに限定されない配列を含むDNAプラスミドを含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチンが免疫応答をもたらす哺乳動物は、霊長類である。好ましくは、哺乳動物は、霊長類である。免疫応答は、細胞性応答もしくは液性応答のいずれか、及び好ましくは両方であり得る。
【0037】
本発明の別の態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する方法を提供し、DNAプラスミドワクチンを哺乳動物の組織に送達することであって、DNAプラスミドを含むDNAプラスミドワクチンは、哺乳動物の細胞内でジカウイルスのコンセンサス抗原を発現させて、哺乳動物において免疫応答を誘発することが可能である、送達することと、組織の細胞を電気穿孔して、DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にすることとを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、免疫応答を誘発する方法は、DNAプラスミドワクチンを皮内、皮下、または筋肉組織に注入することを含む送達ステップを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、免疫応答を誘発する方法は、組織に送達されることが望ましい電流を予め設定することと、予め設定された電流に等しい定電流のエネルギーのパルスを用いて組織の細胞を電気穿孔することとをさらに含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、免疫応答を誘発する方法は、電気穿孔された細胞内のインピーダンスを測定することと、測定されたインピーダンスに対してエネルギーのパルスのエネルギーレベルを調節して、電気穿孔された細胞内の定電流を維持することとをさらに含む。測定及び調節ステップは、好ましくは、エネルギーのパルスの寿命内に生じる。
【0041】
いくつかの実施形態では、電気穿孔ステップは、分散パターンでエネルギーのパルスを送達するパルス配列パターンに従って、エネルギーのパルスを複数の電極に送達することを含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、アジュバントをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、アジュバントは、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、ΤΝFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、シグナル配列が欠失したIL-15を含み、かつ任意にIgE由来のシグナルペプチドを含むCD86からなる群から選択される。有用なアジュバントであり得る他の遺伝子としては、以下をコードする遺伝子が挙げられる:MCP-1、MIP-l-α、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の突然変異体形態、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、Caspase ICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、O×40、O×40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びこれらの機能性フラグメント。いくつかの好ましい実施形態では、アジュバントは、IL-12、IL-15、CTACK、TECK、またはMECから選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であってもよく、これには、以下が挙げられる。免疫刺激複合体(ISCOMS)などの界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレン及びスクアレンなどの小胞体、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含むポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸であり、より好ましくは、ポリ-L-グルタミン酸は6mg/mL未満の濃度でDNAプラスミドワクチンに存在する。いくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチン中のポリ-L-グルタミン酸の濃度は、4mg/mL未満、2mg/mL未満、1mg/mL未満、0.750mg/mL未満、0.500mg/mL未満、0.250mg/mL未満、0.100mg/mL未満、0.050mg/mL未満、または0.010mg/mL未満である。
【0044】
いくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、哺乳動物に送達されて免疫応答を誘発することができ、好ましくは、哺乳動物は、ヒト及び非ヒト霊長類を含む霊長類、ウシ、ブタ、ニワトリ、イヌ、またはフェレットである。より好ましくは、哺乳動物は、ヒト霊長類である。
【0045】
本発明の一態様は、哺乳動物においてジカウイルスに対する免疫応答を誘発する方法に関する。方法は、DNAプラスミドワクチンを哺乳動物の組織に送達することと、DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にするのに有効な定電流のエネルギーのパルスを用いて、組織の細胞を電気穿孔することとを含む。DNAプラスミドワクチンは、哺乳動物の細胞内でジカ抗原、好ましくはコンセンサス抗原を発現させて、哺乳動物における免疫応答を誘発することが可能なDNAプラスミドを含む。免疫応答を誘発する方法は、DNAプラスミドの細胞内への侵入を可能にするのに有効な定電流のエネルギーのパルスを用いて、組織の細胞を電気穿孔することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、DNAプラスミドワクチンを皮内、皮下、または筋肉組織に注入することを含む送達ステップを含む。好ましくは、これらの方法は、インビボ電気穿孔デバイスを使用して、組織に送達されることが望ましい電流を予め設定することと、予め設定された電流に等しい定電流のエネルギーのパルスを用いて組織の細胞を電気穿孔することとを含む。いくつかの実施形態では、電気穿孔ステップは、電気穿孔された細胞内のインピーダンスを測定することと、測定されたインピーダンスに対してエネルギーのパルスのエネルギーレベルを調節して、電気穿孔された細胞内の定電流を維持することとをさらに含み、測定及び調節ステップは、エネルギーのパルスの寿命内に生じる。
【0047】
いくつかの実施形態では、電気穿孔ステップは、分散パターンでエネルギーのパルスを送達するパルス配列パターンに従って、エネルギーのパルスを複数の電極に送達することを含む。
【0048】
本発明はまた、ジカ抗原に対する非フラグメントと実質的に同様の哺乳動物における免疫応答を誘発することが可能なポリペプチドをコードするDNAフラグメントを含む。DNAフラグメントは、配列番号1をコードするヌクレオチド配列、配列番号2、配列番号3をコードするヌクレオチド配列、配列番号4、配列番号5をコードするヌクレオチド配列、配列番号6、配列番号7をコードするヌクレオチド配列、配列番号8、配列番号9をコードするヌクレオチド配列、配列番号10、配列番号11をコードするヌクレオチド配列、配列番号17、配列番号18をコードするヌクレオチド配列、及び配列番号14~16を含む、本発明の様々なコードヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つから選択され、本明細書に提供される特異的なコード核酸配列に適用するため、以下の記載されるDNAフラグメントのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、DNAフラグメントは、30個以上、45個以上、60個以上、75個以上、90個以上、120個以上、150個以上、180個以上、210個以上、240個以上、270個以上、300個以上、320個以上、340個以上、または360個以上のヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、DNAフラグメントは、免疫グロブリンE(IgE)リーダー配列に対するコード配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、DNAフラグメントは、60個未満、75個未満、90個未満、120個未満、150個未満、180個未満、210個未満、240個未満、270個未満、300個未満、320個未満、340個未満、または360個未満のヌクレオチドを含むことができる。
【0049】
本発明は、コードヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含み、配列番号1、3、5、7、9、11、18のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことができる。本発明はまた、ジカ抗原に対する非フラグメントと実質的に同様の哺乳動物における免疫応答を誘発することが可能であるポリペプチドフラグメントを含む。ポリペプチドフラグメントは、配列番号1、3、5、7、9、11、18を含む本発明の様々なポリペプチド配列のうちの少なくとも1つから選択され、本明細書に提供される特異的なポリペプチド配列に適用するため、以下の記載されるポリペプチドフラグメントのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドフラグメントは、15個以上、30個以上、45個以上、60個以上、75個以上、90個以上、100個以上、110個以上、または120個以上のアミノ酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドフラグメントは、30個未満、45個未満、60個未満、75個未満、90個未満、100個未満、110個未満、または120個未満のアミノ酸を含むことができる。
【0050】
ジカ抗原に対する非フラグメントと実質的に同様の哺乳動物における免疫応答を誘発する機能性フラグメントの決定は、当業者によって容易に行われ得る。フラグメントは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)などの公的に入手可能なデータベースによって提供されるような少なくとも1つ、好ましくはより多くの抗原エピトープを含有するために分析され得る。加えて、免疫応答研究は、以下の実施例に示されるようなマウス及び抗体力価ならびにELISpots分析を使用して定期的に評価され得る。
【0051】
ワクチン
いくつかの実施形態では、本発明は、タンパク質及びタンパク質をコードする遺伝子構築物を、それらを免疫応答が誘導され得る免疫原として特に有効にするエピトープと共に提供することによって、改善されたワクチンを提供する。それに応じて、ワクチンは、治療または予防免疫応答を誘導するために提供され得る。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によると、本発明に従ったワクチンは個体に送達されて、個体の免疫系の活性を調節し、それにより免疫応答を強化する。タンパク質をコードする核酸分子が個体の細胞によって取り込まれたとき、ヌクレオチド配列が細胞内で発現し、タンパク質がそれにより個体に送達される。本発明の態様は、プラスミドなどの核酸分子上にタンパク質のコード配列を送達する方法を提供する。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によると、個体を予防的及び/または治療的に免疫化する組成物及び方法が提供される。
【0054】
細胞によって取り込まれたとき、DNAプラスミドは、別個の遺伝物質として細胞内に留まることができる。あるいは、RNAが細胞に投与されてもよい。また、セントロメア、テロメア、及び複製起点を含む直鎖状の微小染色体として遺伝子構築物を提供することが企図される。遺伝子構築物は、核酸分子の遺伝子発現に必要な調節エレメントを含む。エレメントは、プロモーター、開始コドン、終止コドン、及びポリアデニル化シグナルを含む。加えて、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードする配列の遺伝子発現のために、エンハンサーが多くの場合必要とされる。これらのエレメントが所望のタンパク質をコードする配列に作動可能に結合され、かつ調節エレメントが投与される個体内で作動可能である必要がある。
【0055】
開始及び終止コドンは、概して、所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部と見なされる。しかしながら、これらのエレメントが、核酸構築物が投与される哺乳動物において機能的である必要がある。開始及び終止コドンは、コード配列と共にフレーム内になければならない。
【0056】
使用されるプロモーター及びポリアデニル化シグナルは、個体の細胞内で機能的でなければならない。
【0057】
本発明を実施するために、特にヒトに対する遺伝子ワクチンの産生において有用なプロモーターの例としては、シミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、サイトメガウイルス(CMV)プロモーター、例えば、CMV最初期プロモーター、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、ならびにヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン及びヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子由来のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されず、他の実施形態では、プロモーターは、天然または合成の筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターであってもよい。そのようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第US20040175727号に記載され、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明を実施するために、特にヒトに対する遺伝子ワクチンの産生において有用なポリアデニル化シグナルの例としては、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、及びヒトβ-グロブリンポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。特に、SV40ポリアデニル化シグナルと称される、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであるSV40ポリアデニル化シグナルが使用され得る。
【0059】
DNA発現に必要とされる調節エレメントに加えて、他のエレメントもまたDNA分子に含まれ得る。そのような追加のエレメントは、エンハンサーを含む。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、ならびにCMV、RSV、及びEBV由来などのウイルスエンハンサーを含むが、これらに限定されない群から選択されてもよい。
【0060】
遺伝子構築物は、構築物を染色体外に維持し、細胞内で構築物の複数のコピーを生成するために、哺乳動物の複製起点が提供され得る。Invitrogen(San Diego,CA)からのプラスミドpVAX1、pCEP4、及びpREP4は、エプスタイン・バールウイルスの複製起点、ならびに組み込みなしで高コピーエピソーム複製を生じる核抗原EBNA-1コード領域を含有する。
【0061】
タンパク質産生を最大化するために、構築物が投与される細胞内の遺伝子発現に十分に適切である調節配列が選択され得る。さらに、宿主細胞内で最も効率的に転写される、当該タンパク質をコードするコドンが選択され得る。当業者は、細胞内で機能的であるDNA構築物を産生することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるタンパク質に対するコード配列がIgEリーダーペプチドに結合されるか、またはそのようなIgEリーダーが除去される、核酸構築物が提供されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるタンパク質は、IgEシグナルペプチドに結合されるか、またはそのようなIgEリーダーは除去される。
【0063】
タンパク質が使用されるいくつかの実施形態では、例えば、当業者は、周知の技術を使用して、本発明のタンパク質を産生及び単離することができる。タンパク質が使用されるいくつかの実施形態では、例えば、当業者は、周知の技術を使用して、本発明のタンパク質をコードするDNA分子を、周知の発現形で使用するための市販の発現ベクターに挿入することができる。例えば、市販のプラスミドpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)は、Escherichia coli(E.coli)におけるタンパク質の産生のために使用され得る。市販のプラスミドpYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)は、例えば、酵母のSaccharomyces cerevisiae株における産生のために使用され得る。市販のMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)は、例えば、昆虫細胞における産生のために使用され得る。市販のプラスミドpcDNAまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞における産生のために使用され得る。当業者は、これらの市販の発現ベクター及び発現系またはその他を使用して、常用技術及び容易に入手可能な出発物質によってタンパク質を産生することができる。(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい)。したがって、所望のタンパク質は、原核細胞系及び真核細胞系の両方において調製され得、タンパク質の処理形態のスペクトルをもたらすことができる。
【0064】
当業者は、他の市販の発現ベクター及び発現系を使用してもよく、または周知の方法及び容易に入手可能な出発物質を使用してベクターを産生してもよい。プロモーター及びポリアデニル化シグナル、ならびに好ましくはエンハンサーなどの必要な制御配列を含有する発現系は、様々な宿主に対して容易に入手可能であり、当該技術分野において既知である。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい。遺伝子構築物は、構築物がトランスフェクトされる細胞株または標的組織の細胞内で機能的であるプロモーターに作動可能に結合されたタンパク質コード配列を含む。構成的プロモーターの例としては、サイトメガロウイルス(CMV)またはSV40由来のプロモーターが挙げられる。誘導可能なプロモーターの例としてはマウ乳腺白血病ウイルスまたはメタロチオネインプロモーターが挙げられる。当業者は、容易に入手可能な出発物質から、本発明のタンパク質をコードするDNAで細胞をトランスフェクトするのに有用な遺伝子構築物を容易に産生することができる。タンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターは、適合する宿主を形質転換するために使用され、それは次いで、外来DNAの発現が行われる条件下で培養及び維持される。
【0065】
産生されたタンパク質は、細胞を溶解することか、または適切な、かつ当業者に既知の培養培地からのいずれかによって、培養物から回収される。当業者は、周知の技術を使用して、そのような発現系を使用して産生されたタンパク質を単離することができる。上記の特異的タンパク質に特異的に結合する抗体を使用して、天然供給源からタンパク質を精製する方法は、組み換えDNA方法によって産生されたタンパク質を精製することに同様に適用され得る。
【0066】
組み換え技術によってタンパク質を産生することに加えて、本質的に純粋な単離タンパク質を産生するために、自動ペプチド合成機もまた用いられ得る。そのような技術は、当業者に周知であり、DNAによってコードされたタンパク質の産生において置換を有する誘導体が提供されない場合に有用である。
【0067】
核酸分子は、インビボ電気穿孔を用いる、及び用いないDNA注入(DNAワクチン接種とも称される)、組み換えアデノウイルス、組み換えアデノウイルス関連ウイルス、及び組み換えワクシニアなどのリポソーム仲介、ナノ粒子促進組み換えベクターを含む、いくつかの周知の技術のいずれかを使用して送達され得る。好ましくは、本明細書に記載されるDNAプラスミドなどの核酸分子は、DNA注入を介して、かつインビボ電気穿孔と共に送達される。
【0068】
投与経路には、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼球内、及び経口、ならびに局所、経皮、吸入もしくは坐剤、または膣、直腸、尿道、頬、及び舌下組織の洗浄によるなどの粘膜組織が含まれるが、これらに限定されない。好ましい投与経路には、筋肉内、腹腔内、皮内、及び皮下注入が含まれる。遺伝子構築物は、伝統的なシリンジ、無針注入デバイス装置、「微粒子銃」、または電気穿孔(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などの他の物理的方法を含むがこれらに限定されない手段によって投与され得る。
【0069】
本発明のDNAワクチンの送達を促進するために好ましい電気穿孔デバイス及び電気穿孔法の例には、Draghia-Akli,et al.による米国特許第7,245,963号、Smith,et al.による米国特許公開第2005/0052630号に記載されるものが含まれ、それらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。また、35 USC119(e)下で、2006年10月17日出願の米国仮出願第60/852,149号及び2007年10月10日出願の同第60/978,982号に対する利益を主張する、2007年10月17日出願の同時係属かつ共同所有の米国特許出願第11/874072号に提供される、DNAワクチンの送達を促進するための電気穿孔デバイス及び電気穿孔法が好ましく、それら全ての全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
Draghia-Akli,et al.による米国特許第7,245,963号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのモジュール電極システム及びそれらの使用について記載している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下注射針、プログラム可能な定電流パルス制御装置から複数の針電極に導電性接続を提供する電気コネクタ、及び電源を備える。操作者は、支持構造体に載置された複数の針電極を把持し、それらを体内または植物内の選択された組織へしっかりと挿入することができる。生体分子は、次いで、皮下注射針を介して選択された組織内に送達される。プログラム可能な定電流パルス制御装置が作動され、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞内への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
Smith,et al.による米国特許公開第2005/0052630号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に促進するために使用され得る電気穿孔デバイスについて記載している。電気穿孔デバイスは、動作がソフトウェアまたはファームウェアによって特定される動電学的デバイス(「EKDデバイス」)を含む。EKDデバイスは、ユーザ制御及びパルスパラメータの入力に基づき、アレイの電極間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、電流波形データの記憶及び取得を可能にする。電気穿孔デバイスはまた、一連の針電極、注入針用の中央注入チャネル、及び取り外し可能なガイドディスクを有する、交換可能な電極ディスクを備える。米国特許公開第2005/0052630号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイ及び方法は、筋肉などの組織だけではなく他の組織または器官へ深く浸透するように適合される。電極アレイの構成のため、注入針(選択した生体分子を送達するための)はまた、標的器官に完全に挿入され、注入は、電極によって事前に線引きされた領域内で標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号及び米国特許公開第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは20mmの長さ及び21ゲージである。
【0073】
以下は、本発明の方法の一例であり、上記で考察された特許の参考文献中でより詳細に考察されており、電気穿孔デバイスは、ユーザによって予め設定された電流出力と同様の定電流をもたらすエネルギーのパルスを、哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得る。電気穿孔デバイスは、電気穿孔構成要素と、電極アセンブリまたはハンドルアセンブリとを備える。電気穿孔構成要素は、制御装置、電流波形発生器、インピーダンス試験器、波形ロガー、入力素子、状況報告要素、通信ポート、メモリ構成要素、電源、及び電源スイッチを含む、電気穿孔デバイスの様々な要素のうちの1つ以上を含み、かつ組み込むことができる。電気穿孔構成要素は、電気穿孔デバイスの1つの要素として機能することができ、他の要素は、電気穿孔構成要素と通信している別個の要素(または構成要素)である。いくつかの実施形態では、電気穿孔構成要素は、電気穿孔デバイスの2つ以上の要素として機能することができ、これは、電気穿孔構成要素から離れた電気穿孔デバイスのさらに他の要素と通信していてもよい。本発明は、電気機械的または機械的デバイスの一部として存在する電気穿孔デバイスの要素によって制限されず、これは、要素が、1つの装置として、または互いに通信している別個の要素として機能することができるためである。電気穿孔構成要素は、所望の組織内に定電流をもたらすエネルギーのパルスを送達することが可能であり、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置で複数の電極を有する電極アレイを含み、電極アセンブリは、電気穿孔構成要素からのエネルギーのパルスを受信し、これを、電極を通じて所望の組織に送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送達中に中性であり、所望の組織内のインピーダンスを測定し、インピーダンスを電気穿孔構成要素に通信する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受信することができ、電気穿孔構成要素によって送達されたエネルギーのパルスを調節して、定電流を維持することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、複数の電極が、分散パターンでエネルギーのパルスを送達することができる。いくつかの実施形態では、複数の電極は、プログラムされたシーケンス下での電極の制御を通して分散パターンでエネルギーのパルスを送達することができ、プログラムされたシーケンスは、ユーザによって電気穿孔構成要素に入力される。いくつかの実施形態では、プログラムされたシーケンスは、シーケンスで送達される複数のパルスを含み、複数のパルスの各々のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極によって送達され、後続の複数のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極のうちの異なる1つによって送達される。
【0075】
いくつかの実施形態では、フィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって実施される。好ましくは、フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実施される。好ましくは、このフィードバックは、50μs、20μs、10μs、または1μs毎に生じるが、好ましくはリアルタイムフィードバックまたは瞬時(すなわち、応答時間を決定するために利用可能な技術によって決定されるように実質的に瞬時)である。いくつかの実施形態では、中性電極は、所望の組織においてインピーダンスを測定し、インピーダンスをフィードバック機構に通信し、フィードバック機構は、インピーダンスに応答し、エネルギーのパルスを調節して、予め設定された電流と同様の値に定電流を維持する。いくつかの実施形態では、フィードバック機構は、エネルギーのパルスの送達中に定電流を連続的または瞬時に維持する。
【0076】
薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤などの機能性分子を含むことができ、これらは、一般に既知であり、容易に入手可能である。好ましくは、薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントまたはトランスフェクション促進剤である。いくつかの実施形態では、核酸分子またはDNAプラスミドは、ポリヌクレオチド機能エンハンサーまたは遺伝子ワクチン促進剤(またはトランスフェクション促進剤)の投与と併せて細胞に送達される。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国第5,593,972号、同第5,962,428号、及び1994年1月26日出願の国際出願第PCT/US94/00899号に記載され、それらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。遺伝子ワクチン促進剤は、1994年4月1日出願の米国021,579号に記載され、それは、参照により本明細書に組み込まれる。トランスフェクション促進剤は、核酸分子との混合物として核酸分子と併せて投与され得るか、または核酸分子の投与と別々、同時、その前、もしくはその後に投与され得る。トランスフェクション促進剤の例としては、免疫刺激複合体(ISCOMS)などの界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類縁体、ムラミルペプチド、キノン類縁体、ならびにスクアレン及びスクアレンなどの小胞が挙げられ、ヒアルロン酸もまた、遺伝子構築物と併せて投与されて使用され得る。いくつかの実施形態では、DNAプラスミドワクチンはまた、脂質、DNAリポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)としてのレクチンリポソームもしくは当該技術分野において既知の他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤などのトランスフェクション促進剤を含み得る。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含むポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。
【0077】
いくつかの好ましい実施形態では、DNAプラスミドは、タンパク質の遺伝子であるアジュバントと共に送達され、それは、そのような標的タンパク質に対する免疫応答をさらに強化する。そのような遺伝子の例は、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、ΤΝFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、MHC、CD80、CD86、及びグナル配列が欠失したIL-15を含み、かつ任意にIgE由来のシグナルペプチドを含むIL-15などの、他のサイトカイン及びリンホカインをコードする遺伝子である。有用であり得る他の遺伝子としては、以下をコードする遺伝子が挙げられる:MCP-1、MIP-lα、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の突然変異体形態、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、Caspase ICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、O×40、O×40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びこれらの機能性フラグメント。
【0078】
本発明に従ったDNAプラスミドワクチンは、約1ナノグラム~10ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約100マイクログラム~約1ミリグラムのDNA量を含む。いくつかの好ましい実施形態では、本発明に従ったDNAプラスミドワクチンは、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、約0.1~約500マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、約1~約350マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、約25~約250マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、DNAプラスミドワクチンは、約100マイクログラム~約1ミリグラムのDNAを含有する。
【0079】
本発明に従ったDNAプラスミドワクチンは、使用される投与様式に従って製剤化される。DNAプラスミドワクチンが注入可能な組成物である場合、それらは滅菌、及び/または発熱物質無含有、及び/または微粒子無含有である。等張性製剤が好ましくは使用される。概して、等張性のための添加剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースが挙げられ得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張溶液が好ましい。安定剤としては、ゼラチン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。いくつかの実施形態では、LGSまたは他のポリカチオンもしくはポリアニオンなど、製剤が室温または周囲温度で長時間にわたって安定であることを可能にする安定剤が、製剤に添加される。
【0080】
いくつかの実施形態では、コンセンサスジカ抗原に対して哺乳動物における免疫応答を誘発する方法は、粘膜免疫応答を誘導する方法を含む。そのような方法は、上記のコンセンサスジカ抗原を含むDNAプラスミドと組み合わせて、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、及びその機能性フラグメントまたはその発現可能なコード配列のうちの1つ以上を、哺乳動物に投与することを含む。CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、及びその機能性フラグメントのうちの1つ以上は、本明細書に提供されるDNAプラスミドジカワクチンの投与の前に、それと同時に、またはその後に投与され得る。いくつかの実施形態では、CTACK、TECK、MEC、及びその機能フラグメントからなる群から選択される1つ以上のタンパク質をコードする単離された核酸分子が、哺乳動物に投与される。
【実施例0081】
本発明を、以下の実施例でさらに説明する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示目的のみで提供されることを理解されたい。上述の説明及びこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更及び修正を行って様々な用途及び状況に適合させることができる。したがって、本明細書に示され、かつ説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなるであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に入るように意図されている。
【0082】
好ましくは、本明細書に記載される筋肉または皮膚EPデバイスと共に使用するためのDNA製剤は、皮膚への送達に最適な少量、好ましくは少ない注入量、理想的には25~200マイクロリットル(μL)中に、高いDNA濃度、好ましくはマイクログラム~数十ミリグラム量、及び好ましくはミリグラム量のDNAを含む濃度を有する。いくつかの実施形態では、DNA製剤は、1mg/mL以上などの高いDNA濃度(mg DNA/製剤の容積)を有する。より好ましくは、DNA製剤は、200μLの配合物中にグラム量のDNAを、より好ましくは100μLの配合物中にグラム量のDNAを提供するDNA濃度を有する。
【0083】
本発明のEPデバイスと共に使用するためのDNAプラスミドは、既知のデバイス及び技術の組み合わせを使用して製剤化または製造され得るが、好ましくは、それらは、2009年1月1日公開の米国公開第20090004716号として公開された、米国出願第12/126611号に記載される最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究で使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術はまた、米国公開第20090004716号に記載されるもの、及び2007年7月3日発行の米国特許第7,238,522号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知の様々なデバイス及びプロトコルを含むか、またはそれらを組み込む。本明細書に記載される皮膚EPデバイス及び送達技術と共に使用される高濃度のプラスミドは、適度に少量でID/SC空間にプラスミドを投与することを可能にし、発現及び免疫化効果を増強するのを補助する。公表文献の米国公第20090004716号及び米国特許第7,238,522号は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0084】
実施例1:ジカprMEワクチン
ジカワクチンアプローチ
図2に示されるように、ジカ抗原発現構築物をそこに示される骨格を用いて生成した。発現カセットをCMVプロモーターの後方に、かつトレイリングポリアデニル化テールを用いて挿入した。カセットは、prME、NS1、及びカプシドを含む、図3に示される抗原に対するコード配列を含むことができる。
【0085】
系統発生分析及びジカprMEのワクチン設計
図5及び6に示されるように系統発生分析を行った。星は、コンセンサスprME配列の配列番号3の位置を示す。このコンセンサスprMEは、図7に従った発現ベクター中のクローニング部位に挿入されることが示される。
図9A及び9Bに示されるように発現したタンパク質をウエスタンブロット分析によって特性化し、それは、抗フラビウイルス抗体への特異的結合を示す。
次いで、図10A及び10Bに示されるようにタンパク質を精製した。
【0086】
マウス免疫化
動物-Balb/Cマウス(8匹の群)
プラスミド-ジカ-prME(配列番号2を含むコード配列)
デバイス-3P電気穿孔デバイス(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)
免疫化スケジュール:
マウスを0日目に1回(第1)、ならびに14及び28日目に追加刺激の合計3回、DNAで免疫化した。DNAの第3の免疫化の1週間後、免疫分析を実施した。
注入方法-筋肉内
出血スケジュール-出血前ならびに14、28、及び35日目
出血方法-眼窩後
群及び動物-10匹の動物/群×3群=30
1)pVax1
2)pVax-1ジカpreME(配列番号2)
【0087】
ジカprMEワクチンによって誘発される細胞免疫応答
prME抗原を覆うペプチドプールに対して、IFN-g ELISpotアッセイによってスパイク特異的CD8 T-リンパ球応答を評価した。図11及び12を参照されたい。各群における平均応答は、第3の免疫化の1週間後である。エラーバーは、標準誤差を示す。pVax対照への応答が示される。
【0088】
マウスにおける抗体の誘導
マウスのジカprMEワクチン接種は、ジカ-エンベロープ抗原と反応する陽性抗体応答を引き起こした。図13及び14を参照されたい。
【0089】
ジカprMEワクチンは、組み換えタンパク質E抗原への結合に基づき、マウスにおいて免疫原性であることが分かった。ウエスタンブロット分析及びELISAによって、免疫化された動物においてセロコンバージョンが観察された。
【0090】
実施例2:ジカウイルスprMEに対する新規のDNAワクチンは、インビボで防御免疫を誘導する。
ジカウイルスのプレ膜+エンベロープタンパク質を標的とする新規の合成DNAコンセンサスベースのワクチンが、本明細書に記載される。構築物発現の確認後、電気穿孔を通してマウス及び非ヒト霊長類を免疫化し、ワクチン接種された動物における中和活性と共に、細胞性免疫及び液性免疫の両方の誘導を示す。IFN-α/β R-/-マウスにおいて、単回または2回のいずれかの注入免疫化が、この致死的な攻撃接種モデルにおける体重減少または死亡に対して100%防御性であった。これは、人体試験に承認された最初のジカウイルスワクチンを表す。
【0091】
ここで、材料及び方法を説明する。
【0092】
細胞、ウイルス、及び動物
10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Gibco-Invitrogen)中で、ヒト胚腎臓(HEK)293T(American Type Culture Collection(ATCC)#CRL-N268,Manassas,VA)及びVero CCL-81(ATCC #CCL-81)細胞を維持し、コンフルエンス後に継代した。10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したイーグル最小必須培地(MEM;Corning-cellgro)中で、神経細胞性腫瘍細胞株SK-N-SH(ATCC HTB-11)及びU87MG(ATCC HTB-14)を維持し、コンフルエンス後に継代した。ジカウイルス株MR766(Dr.Susan Weissより寄贈)及びPR209(Bioqual,MD)の両方がVero細胞内で増幅し、ストックをVero細胞に対する標準的なプラークアッセイによって滴定した。
【0093】
C57/BL6及びIFNAR-/-マウスならびにアカゲザルの処置をケタミン麻酔下で実施した。湿度、温度、及び光(12時間の明/12時間の暗サイクル)の制御された条件下で、社会的相互作用を可能にした隣接する個々の霊長類ケージに動物を収容した。食物及び水は、自由に摂取させた。動物を1日2回監視し、市販のサル用チュー、トリート、及び果物を1日2回供給した。
【0094】
DNAワクチン構築物及び合成
ジカ-prM+EnvプラスミドDNA構築物は、膜(prM)及びエンベロープ(E)タンパク質の全長前駆体をコードする。コンセンサス戦略を使用し、現在のジカprM+Eタンパク質配列の整列によってコンセンサス配列を決定した。ヒトにおける発現の強化のためにワクチンインサートを遺伝的に最適化し(すなわち、コドン及びRNA最適化)、発現を促進するためにIgEリーダー配列を付加した。構築物を商業的に合成し(Genscript,NJ)、次いで、以前に記載されているように(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの制御下で修飾pVax1発現ベクターにサブクローン化した。最終構築物は、ZIKV-prMEワクチンと名付けられ、対照プラスミド骨格は、pVax1である。加えて、MR766及び2016 Brazilin発生株由来のprM及びEnv遺伝子をコードする多くの他の一致したDNA構築物もまた、さらなる評価のために設計した。Inovio(Plymouth Meeting,PA)によってDNA構築物の大規模増幅を実施し、精製したプラスミドDNAを免疫化のために水中で製剤化した。アガロースゲル電気泳動を介して、DNAインサートのサイズを確認した。MEGAバージョン5ソフトウェアを使用したClustalWを用いた多重整列(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)によって、系統発生分析を実施した。
【0095】
DNA免疫化及び電気穿孔
マウス免疫原性研究:インビボEP送達を用いて前脛骨筋に送達される全容積20~30μLの水中25μgのDNAで、雌C57BL/6マウス(6~8週齢)及びIFNAR-/-マウス(5~7週齢)を免疫化した(n=4)。免疫化の直後に、同じ部位にCELLECTRA適応定電流EPデバイス(Inovio Pharmaceuticals,PA)を用いてインビボEPを送達した。三つ又CELLECTRA低侵襲デバイスを筋肉に約2mm挿入した。26ゲージの固体ステンレス鋼電極からなる三角形3電極アレイを通じて方形波パルスを送達し、1秒の遅延によって分離した52マイクロ秒/パルスにわたって、2つの0.1アンペア定電流パルスを送達した。EPの使用に関するさらなるプロトコルは、すでに詳述されている。マウスを2週間の間隔で3回免疫化し、最終免疫化の1週間後に屠殺した。細胞性及び液免疫応答の分析のために各免疫化後に血液を採取した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)。アカゲザル免疫原性研究:5匹のアカゲザルを2mgのZIKV-prMEワクチンを用いて、4週間置いて2回、2つの部位においてID免疫化した。マウス免疫化に関して記載される同じデバイスを使用して、EPをすぐに送達した。
【0096】
IFNAR-/-マウスにおける攻撃接種研究
IFNAR-/-マウスを3つの群に分けた。マウスの第1の群を1回免疫化し、免疫化の2週間後に10PFUのZIKV PR209を用いて攻撃接種した。マウスの第2の群を2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の1週間後に106PFUのZIKV PR209を用いて攻撃接種した。マウスの第3の群を2週間の間隔で2回免疫化し、第2の免疫化の1週間後に2×10PFUのZIKV PR209を用いて攻撃接種した。攻撃接種後、動物を計量し、皮下に位置する温度チップによって体温を毎日測定した。加えて、1日2回、疾病の臨床兆候(可動性の低下、猫背の姿勢、後肢指背歩行(部分麻痺)、一方の後肢または両方の後肢の麻痺)に関して動物を観察した。愛護に基づく安楽死の基準は、20%の体重減少または任意の異常な臨床兆候の観察からなった。
【0097】
ウエスタンブロット及び免疫蛍光アッセイ
インビトロ発現研究のために、製造業者のプロトコル(Agilent)に従ってGeneJammer試薬を使用して、トランスフェクションを実施した。簡潔に、35mm皿において細胞を50%コンフルエンスまで成長させ、1ugのジカprMEワクチンを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に細胞を採取し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)で溶解した。すでに記載されているように(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)、ウエスタンブロットを使用して、採取した細胞溶解物からのジカpreM+Envタンパク質の発現を検証した。
【0098】
ウエスタンブロット分析を使用して、マウス及びRM免疫血清の特異性を確認した。3~12% Bis-Tris NuPAGEゲル(Life Technologies)に、5μgまたは1ugのZIKV Env組み換えタンパク質及びOdysseyタンパク質分子量マーカー(製品番号928-40000)を搭載した。MOPS緩衝液中で50分間、200Vでゲルを実行した。iBlot 2 Gel Transfer Device(Life Technologies)を使用して、タンパク質をニトロセルロース膜上に移した。膜を室温で1時間、PBS Odyssey遮断緩衝液(LI-COR Biosciences)で遮断した。抗フラビウイルス型抗原(MAB10216-Clone D1-4G2-4-15)抗体を1:500に希釈して、ワクチン発現を検出し、マウス及びRMからの免疫血清を、0.2% Tween 20(Bio-Rad)を有するOdyssey遮断緩衝液中で1:50に希釈し、4℃で一晩膜を用いてインキュベートした。膜をPBSTで洗浄し、次いで、室温で1時間、マウス血清に対して1:15,000の希釈で、適切な二次抗体[マウス血清及びフラビウイルス抗体に対してヤギ抗マウスIRDye680CW(LICOR)、ならびにRM血清に対してヤギ抗ヒトIRDye800CW(LICOR)]を用いてインキュベートした。洗浄後、膜をOdyssey赤外線画像装置(LI-COR)上で撮像した。
【0099】
免疫蛍光アッセイに関して、HeLaまたはVero細胞をカバースリップ上で成長させ、5μgのジカpreM+Envワクチンでトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、細胞を4% PFAで15分間固定した。次いで、室温で1時間、PBS中で希釈した正常ヤギ血清を用いて、非特異的結合を遮断した。次いで、スライドをPBS中で5分間洗浄し、続いて4℃で一晩、1:100の希釈で、免疫化されたマウスまたはRMからの血清を用いてインキュベートした。上記のようにスライドを洗浄し、室温で1時間、1:200の希釈で、適切な二次抗体[マウス血清に対してヤギ抗マウスIgG-AF488(Sigma)、及びRM血清に対してヤギ抗ヒトIgG-AF488]を用いてインキュベートした。洗浄後、DAPIを有するFlouroshield封入培地(Abcam)を添加して、全ての細胞核を染色した。その後、カバースリップを載置し、スライドを顕微鏡(EVOS Cell Imaging Systems;Life Technologies)下で観察した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)。加えて、Vero、SK-N-SH、またはU87-MB細胞を、4チャンバ組織培養処理ガラススライド(Falcon cat#354114)上で成長させ、4~6日間0.01のMOIでMR766 ZVを用いて感染させ、次いで上記のように染色した。
【0100】
脾細胞及びPBMC単離
脾細胞の単細胞懸濁液を全てのマウスから調製した。簡潔に、10% FBS(R10)を補充した5mLのRPMI 1640中で、マウスからの脾臓を個々に採取し、次いで、Stomacher 80パドルブレンダー(A.J.Seward and Co.Ltd.)を用いて高速で30秒間処理した。処理した脾臓試料を、45mmナイロンフィルタを通して濾過し、次いで、4℃で10分間、1500rpmで遠心分離した。細胞ペレットを、室温で5分間、5mLのACK(アンモニウム-塩化物-カリウム)溶解緩衝液(Life Technologies)中に再懸濁させ、次いで、PBSを添加して反応を停止した。試料を4℃で10分間、1500rpmで再び遠心分離した。細胞ペレットを、1×107細胞/mLの濃度で、R10中で再懸濁させ、次いでELISpotアッセイ及びフローサイトメトリ分析で使用する前に45mmナイロンフィルタに通した(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)。RMに関して、血液(各時点において20mL)をEDTA管中で採取し、Accuspin管(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を用いて、標準的なフィコール-ハイパック手順を使用して、末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。
【0101】
ELISpotアッセイ
簡潔に、96ウェルELISpotプレート(Millipore)を抗マウスIFN-γ捕捉Ab(R&D Systems)で覆い、4℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートをPBSで洗浄し、PBST+1% BSAで2時間遮断した。pZV-prM+Envで免疫化されたマウスからの20万個の脾細胞を各ウェルに添加し、培地単独(陰性対照)、PMA/イオノマイシンを有する培地(陽性対照)、または9個のアミノ酸による15mer重複からなり、ジカエンベロープタンパク質(Genscript)の長さに及ぶペプチドプール(1μg/mL)を有する培地の存在下で、5% CO中37℃で一晩インキュベートした。24時間後、細胞を洗浄し、次いで、ビオチン化抗マウスIFN-γ Ab(R&D Systems)を用いて4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(R&D Systems)を各ウェルに添加し、次いで、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで、5-ブロモ-4-クロロ-3′-インドリルリン酸p-トルイジン塩及びニトロブルーテトラゾリウムクロリド(色原体呈色試薬、R&D Systems)を添加した。最後に、プレートを蒸留水で洗い流し、室温で乾燥させ、スポット形成単位を自動ELISpot読み取り装置(CTL Limited)によって定量化し、未処理の値を100万個の脾細胞当たりのSFUに正規化した。RM試料に関して、サルIFN-γ用のELISPOTPRO(MABTECH)を製造業者によって説明されるように使用し、20万個のPBMCをペプチドプールで刺激し、プレートを洗浄し、以前に記載されているように(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132;Mallilankaraman et al.,12011,PLoS Negl Trop Dis 5:e928)、スポットを発現させ、計数した。
【0102】
液性免疫応答:抗体結合ELISA
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、すでに記載されているように(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)、マウス及びRM血清の力価を決定した。簡潔に、1μg/mLの精製ジカエンベロープタンパク質を使用して、4℃で一晩、96ウェルマイクロタイタープレート(Nalgene Nunc International,Naperville,IL)を覆った。少なくとも1時間PBS中10% FBSで遮断した後、プレートを0.05% PBST(PBS中Tween20)で4回洗浄した。免疫化されたマウス及びRMからの血清試料を1% FBS、0.2% PBST中で順次に希釈し、プレートに添加し、次いで、室温で1時間インキュベートした。プレートを0.05% PBST中で再び4回洗浄し、次いで、室温で1時間、マウス血清に対して1:35000の希釈で、HRP共役抗マウスIgG(Sigma)を用いてインキュベートした。RM血清に関して、抗サルIgG HRP(Southern Biotech)を室温で1時間、1:5000の希釈で使用した。製造業者の使用説明書(Sigma Aldrich)に従って、SIGMAFAST(商標)OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩)錠を添加することによって、結合した酵素を検出した。1N H2SO4を添加して、15分後に反応を停止した。次いで、プレートを450nmの光学濃度で読み取った。全てのマウス血清及びRM血清試料を二つ組で分析した。Frey et alによって記載される方法(Frey et al.,1998,J Immunol Methods 221:35-41)を使用して、エンドポイント力価を決定した。
【0103】
中和(PRNT50)アッセイ
MR766及びVero細胞を含むプラーク減少中和試験(PRNT)は、すでに記載されている(Sun et al.,2006,J Infect Dis 193:1658-65)。簡潔に、マウスまたはRM血清を血清無含有DMEM中で順次に希釈し(1:10~1:1280)、37℃で2時間、等容積のMR766ジカウイルス(100pfu)でインキュベートした。混合物をVero細胞の融合層に添加し、2時間吸着のために37℃でそのままにした。2×DMEM培地:軟寒天(1:1)重層を細胞上に添加し、プレートを37℃で5日間インキュベートした。寒天重層をウェルから除去し、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、1×PBSで洗浄し、クリスタルバイオレット溶液で染色し、1×PBSで洗浄し、プレートを乾燥させた。24ウェルプレート内で行われたアッセイにおけるプラークを手動で計数した。96ウェルプレート内で行われたアッセイにおけるプラークを自動Immunospot読み取り装置(CTL Limited)でスキャンし、試料ウェル中のプラークならびに陰性対照(DMEMのみ)及び陽性対照(100pfuのMR766ジカウイルスのみ)中のプラークを、ELISpot Readerが備わった自動ソフトウェアを使用して計数した。プラーク減少のパーセントを以下のように計算した。%減少=100×[1-(各希釈に対するプラークの平均数/陽性対照ウェル中のプラークの平均数)]。GraphPad Prismソフトウェアを使用して、%プラーク減少対各個々の血清希釈のログ変換の非線形回帰分析を実施して、ワクチン接種応答後のピークにおける実際の50% PRNT力価の線形補間を促進した。50%中和における中央値及び四分位範囲を各中和標的に対して、全体的にかつワクチン処置群によって計算し、幾何平均力価も計算した。力価は、プラーク数の50%減少をもたらす最高希釈の逆数を表す。
【0104】
フローサイトメトリ及び細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイ
脾細胞を96ウェルプレート(2×106/ウェル)に添加し、タンパク質輸送阻害剤カクテル(ブレフェルジンA及びモネンシン)(eBioscience)の存在下で、37℃/5% COで5時間、ジカpreM及びエンベロープでプールされたペプチドを用いて刺激した。細胞刺激カクテル(加えてタンパク質輸送阻害剤)(ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)、イオノマイシン、ブレフェルジンA及びモネンシン)(eBioscience)を陽性対照として、及びR10培地を陰性対照として使用した。次いで、製造業者の使用説明書(BD,San Diego,CA)によって記載されるように、全ての細胞を表面及び細胞内タンパク質に対して染色した。簡潔に、蛍光色素共役抗体を用いた表面染色の前に、FACS緩衝液(0.1%のアジ化ナトリウム及び1% FCSを含有するPBS)中で細胞を洗浄した。製造業者のプロトコルに従ってBD Cytofix/Ctyoperm TM(BD,San Diego,CA,USA)を使用して、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、固定し、かつ透過化し、続いて細胞内染色を行った。以下の抗体を表面染色のために使用した。LIVE/DEAD Fixable Violet Dead Cell染色キット(Invitrogen)、CD19(V450;クローン1D3;BD Biosciences)、CD4(FITC;クローンRM4-5;ebioscience)、CD8(APC-Cy7;クローン53-6.7;BD Biosciences);CD44(BV711;クローンIM7;Biolegend)。細胞内染色のために、以下の抗体を使用した。IFN-γ(APC;クローンXMG1.2;Biolegend)、TNF-α(PE;クローンMP6-XT22;ebioscience)、CD3(PerCP/Cy5.5;クローン145-2C11;Biolegend);IL-2(PeCy7;クローンJES6-SH4;ebioscience)。LSRIIフローサイトメータ(BD Biosciences)を使用して全てのデータを収集し、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Ashland,OR)を使用して分析した。
【0105】
統計分析
Graphpad,Prism 4(Graphpad software,Inc.San Diego,CA)を統計分析のために利用した。Log10変換をエンドポイント結合ELISA力価及び全ウイルスPRNT50力価に適用した。
【0106】
これらの実験の結果をここで説明する。
【0107】
ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築
ジカprM(前駆体膜)及びE(エンベロープ)遺伝子(ZIKV-prME)のコンセンサス配列を、ヒトにおける感染を引き起こした、1952~2015年の間に単離された様々なジカからのprM及びE配列を使用して生成した(図16A)。追加の修飾後、ジカ-prMEコンセンサス配列をpVax1ベクターにクローン化し、効率の高い免疫グロブリンE(IgE)リーダーペプチド配列の付加を含む最適化を行って、そのインビボ発現を改善した(図16B)。エンドヌクレアーゼ制限消化及び遺伝子配列決定を使用して、最終ワクチンプラスミドを検証した(図16C)。84トランスフェクションの48時間後、ワクチンでトランスフェクトされた293T細胞から、ウエスタン分析及び間接免疫蛍光アッセイを実施することによって、プラスミドからのジカ-prMEタンパク質の発現を確認した(図16D及び16E)。
【0108】
ジカ-pME DNAワクチンは、マウスにおける抗原特異的T細胞または機能的液性応答を誘導する。
ジカ-prMEプラスミドワクチンが細胞免疫応答を誘導する能力を評価した。記載されるように(Muthumani et al.,2015,Sci Trans Med 7:301ra132)、筋肉内注入、続いて、92の送達部位における電気穿孔(EP)によって、2週間の間隔で3回、対照プラスミド骨格(pVax1)またはジカ-prMEプラスミドワクチンのいずれかを用いて、5匹のC57/BL6マウスの群を免疫化した。第3の注入の1週間後に動物を屠殺し、各動物から採取したバルク脾細胞を、それらがジカ-Envを包含するペプチドプールへのエクスビボ曝露後にインターフェロン-γを分泌する能力に関して、標準的な酵素結合immunospotアッセイで評価した。アッセイの結果は、ジカ-prMEで免疫化されたマウスからの脾細胞が、複数のジカ-Envペプチドプールでの刺激後に明確な細胞免疫応答をもたらしたことを示す(図17A)。全ジカ-prMEタンパク質に及ぶ15mer(11個のアミノ酸による重複)からなる22個のペプチドプールを使用した、マトリクス形式でのマッピング分析ELISpotによって、最も強力な細胞性応答(複数可)を誘発したジカ-Envの領域(複数可)を評価した。図17Bに見られるように、いくつかのプールは、高いT細胞応答を誘導したが、ペプチドプール15は、10応答当たり最高のSFUを誘導した。マッピングデータは、配列に対する1つの優性prMEエピトープ『IRCIGVSNRDFVEGM(配列番号18)』を明らかにした。免疫エピトープデータベース分析リソースIDEPコンセンサスツールを使用して、列挙された優性ペプチドが1つのH2-Db制限エピトープを含有することを確認し、この抗原の効果的な処理を示唆する。
【0109】
ジカ-prMEワクチンの細胞免疫原性のさらなる評価は、最終免疫化の1週間後に採取したCD8+T細胞の多機能特性の決定を伴った。結果は、ジカ-prMEワクチンが腫瘍壊死因子-α(TNF-α)及びIFN-γを発現させる二機能性ワクチン特異的T細胞の割合を増加させたことを示す(図17C)。重要なことには、ジカ-prMEワクチン接種は、T細胞機能性を拡張する強力な能力を呈した。比較研究のために近年特定されたブラジルジカ株または元のMR766ジカ株のいずれかのprME配列をコードするプラスミド115を用いて、さらなるワクチン研究を実施した。図17Aで使用された同じジカ-preMEペプチドプールを用いた脾細胞の刺激後、IFN-γ ELISpotによって、第3の注入の一週間後に、いずれかのプラスミドで免疫化されたマウスにおける細胞免疫応答の誘導を測定した。結果は、新規のコンセンサスジカ-prME DNAワクチン構築物によって誘導されるT細胞応答及び抗体応答が、これらの2つの非コンセンサスプラスミドワクチンのいずれかによって生成された応答よりも少なくとも2倍高かったことを示す(図18A及び18B)。ブラジルワクチンまたはMR766 prMEワクチンのいずれかによって誘導された細胞性応答の詳細なマッピング分析は、両方が、コンセンサスジカ-prMEプラスミドに対して図17Bで特定された優性Env特異的CTLエピトープに対して、それらの最も有意な細胞性応答も誘導したことを明らかにした(データは図示せず)。全体的に、コンセンサス免疫原は、これらのアッセイにおいて一貫してより堅固であるように思われ、さらに研究した。
【0110】
コンセンサスジカ-prMEワクチンがマウスにおける液性免疫応答を誘導する能力を評価した。C57/BL6マウスの群を、25μgの空の対照プラスミドまたはコンセンサスジカprMEワクチンプラスミドのいずれかを用いて、2週間の間隔で3回、筋肉内注入によって免疫化し、続いてEPした。0日目(第1の免疫化前)、14日目(第1の免疫化の2週間後)、21日目(第2の免疫化の1週間後)、及び35日目(第3の免疫化の1週間後)に、注入した各マウスから血清を得た。捕捉抗原として固定化rZIKA-Envを使用して、ELISAによって、採取した各血清をジカ特異的IgG応答に関して試験した。抗ジカ特異的IgGの有意な増加が21日目に観察され、血清IgGレベルにおけるさらなる追加刺激が35日目の血清に見られた(図19A)。ワクチン接種された動物からの138 60日目の血清は、35日目に見られる高い抗体応答が最終追加刺激後に長期間維持されたことを示す。最も重要なことには、ワクチン接種されたマウスからの血清が、エンドポイント力価によって示されるように非常に高いレベルの抗体を含有した(図19B)。ウエスタン分析によってrZIKA-Eを検出する能力(図19C)、及び免疫蛍光アッセイによってジカ感染細胞を染色する能力(図19D)に関して、35日目のプールされた血清をスクリーニングすることによって、ワクチンによって誘導された抗体の特異性の追加の評価を実施した。これらの分析の両方からの結果が特異性を確認した。
【0111】
さらに、上記のように、ブラジル株及びMR766株からのprME配列をコードするプラスミドを用いて免疫化されたマウスにおいて、ジカ特異的結合抗体応答もまた評価した。偽免疫化またはワクチンで免疫化されたマウスからの35日目の血清を、rZIKA-Eへの結合に関してELISAで分析した。この分析は、両方のプラスミドが有意な抗体結合を誘導したこと(図18C及び18D)、ならびにコンセンサスジカ-prME DNAワクチンを用いた免疫化が、異種ジカエンベロープへの親和性が増加した良好な液性応答をもたらすことを示す。
【0112】
DV、WNV、及び他のフラビウイルスを分析するためのすでに記載されている技術から適応された方法を使用して、空のpVax1、コンセンサスジカ-prMEプラスミドワクチン、またはコンセンサスジカ-カプシドプラスミドワクチンのいずれかを用いて、3回免疫化したマウスからの35日目のプールされた血清に対して、プラーク減少中和試験(PRNT)アッセイを実施した。図19Eに示されるように、第3のワクチン接種後の抗ジカ逆数PRNT50希釈力価は、ジカ-カプシドDNAワクチンまたは対照DNA
pVax1を受けたマウスよりも、160がジカ-prMEワクチンを受けたマウスにおいて有意に高かった。本実験で使用したジカ-prMEワクチンによって誘導された中和抗体は、PRNT50力価=456を有した。ウイルスプラークの代表的な写真は、1:100の希釈の血清に関して下部に示される。
【0113】
非ヒト霊長類におけるジカ-prME DNAワクチンによって誘発される細胞性及び液性応答
皮内(ID)免疫化によってNHPを免疫化し、続いて電気穿孔し、これは、この方法がDNAワクチンによって抗原特異的液性免疫応答を増強し得ることを示す以前の研究に基づく。アカゲザル(RM;n=5/群)に、EPで2.0mgのワクチンプラスミドIDを投与し、0日目(第1の免疫化前の免疫化前)、2週目(第1の免疫化の2週間後)、6週目(第2の免疫化の2週間後)にRMから血清及びPBMCを採取した。ワクチンによって誘導された細胞免疫応答を測定するために、図17Aで使用したジカ-Eペプチドプールを用いてエクスビボで刺激された6週目のPBMCに、ELISpot分析を実施した。結果は、ジカprME免疫化が全てのRMにおいて抗ジカT細胞応答を追加刺激し、免疫前血清における応答と比較してそれらの抗原認識を広げたことを示す(図20A)。
【0114】
ID+EPでワクチン接種されたRMからの血清181における特異的抗ジカウイルス抗体応答をELISAによって評価した。一次ワクチン接種後、ジカ-Env特異的結合抗体は、第1の免疫化の2週間後にRMにおいて検出可能であり、後続の免疫化でさらに追加刺激した(図20B)。同じ免疫化後の時点からのワクチン接種されたRMからの血清を希釈して、エンドポイント力価を研究し、rZIKA-Envを再び分析した(図20C)。ワクチン接種された群からのプールされたRM血清を使用して、ELISA結果をウエスタン分析によって確認した(図20D)。さらに、免疫化されたRMからの血清もまた、免疫蛍光アッセイにおいてジカ-MR766に感染したVero細胞を認識することが可能であった(図20E)。次に、ジカで免疫化されたRMからの血清における中和抗体(nAb)応答を検出することが試みられた。PRNT50(対照ジカ感染の50%が阻害された血清希釈の逆数)をNAb活性に関して試験するために使用し、各個々の免疫化された動物に対して実施した。アッセイの検出の限界であった10未満の抗体力価を有する試料を、動物の各群に割り当てた。興味深いことに、ジカ-prMEで免疫化されたサルは、161~1380に及ぶ力価を有した(平均501±224)(図21A)。
【0115】
NHP免疫血清がジカに感染した神経芽腫細胞(SK-N-SH細胞)及び神経前駆細胞(U-87MG)における感染を遮断する能力は重要である。対照またはワクチン血清によるMR766またはPR209を有する細胞株を感染に関して、24時間後に分析した。ワクチン接種されたRMからの血清は、感染後に両方の細胞株においていずれのウイルスも阻害した(1.0の感染多重度)(図21B及び21C)。これらのデータは、ジカ感染を阻害するジカ-prME DNAをワクチン接種されたRMからの血清の有効性を裏付ける。
【0116】
ジカprME DNAワクチンで免疫化された、I型インターフェロン受容体(IFNAR)を欠いたマウスにおけるジカ特異的機能的免疫応答及びジカウイルスに対する防御
ジカで誘導された疾病及び免疫の機構は、はっきりと定義されず、ジカ感染に対する免疫応答の仮説的な病原性に対する防御は、今のところ不明瞭である。マウスのほとんどの株は、ジカ感染に耐性を示すが、IFN-α/β受容体(IFNAR)を欠いたマウスは、感染及び疾病にかかりやすく、6~7日間の攻撃接種16以内に最も死亡したことが分かった。コンセンサスジカ-prMEプラスミドワクチンがこのマウス株において細胞性及び液性免疫応答を誘導する能力を調査した。空の対照プラスミドを用いて、またはコンセンサスジカ-prMEプラスミドを用いて、2週間の間隔で3回、EPによってIFNARマウスの群を免疫化した。0、14、21、及び35日目に、免疫化されたマウスから血清を採取し、最終免疫化の1週間後に、脾細胞をマウスから採取した。ワクチンで免疫化されたIFNARマウスからの脾細胞は、ELISpotアッセイにおける106個の細胞当たりのSFUレベルによって示されるように、明確な細胞免疫応答をもたらした(図22A)。rZIKA-Envを捕捉抗原として使用するELISAからの結果は、動物が14日目までに検出可能な抗ジカ血清IgGを有したことを示し、これらのレベルを後続の採取時間において追加刺激した(図22B)。ワクチン接種されたマウスからの血清は、エンドポイント力価によって示されるように、有意なレベルの抗体を含有した(図22B)。結果は、コンセンサスジカ-prMEワクチンで免疫化されたIFNARマウスが、抗ジカ細胞性及び液性免疫応答を可能にすることを示し、この潜在的な攻撃接種モデルにおけるワクチン防御に関するさらなる研究を支持する。
【0117】
予備的研究において、皮下(s.c.)、腹腔内(i.v)、頭蓋内(i.c.)、及び静脈内(i.v)投与された1×106PFUのPR209分離株を用いて、IFNARマウスに攻撃接種した。攻撃接種後、全ての動物を、毎日の体重、体温測定の記録、ならびに後肢虚弱及び麻痺などの瀕死状態の他の兆候を含む臨床兆候に関して監視した。接種後の最初の2日間、マウスの全身外観の変化は観察されなかった。しかしながら、3日目以降、4つ全ての感染経路が、活性の低下、可動性の低下、猫背の姿勢を示し、後肢虚弱、水分摂取の低下、及び明らかな体重減少を伴った。攻撃接種部位に関わらず、動物は6日目~8日目の間に感染で死亡し、この攻撃接種用量を後続の研究で利用した。
【0118】
ワクチン接種された動物の2つの群(1群当たり10匹)またはpVax1で免疫化された対照の2つの組に、0日目に1×、及び14日目に1×をワクチン接種し、1×10PFUまたは2×10PFUのPR209のいずれかを用いて、21日目に攻撃接種した(図23B及び23C)。ワクチン接種された動物の100%が生存した一方で、1×10PFUを攻撃接種された対照のわずか30%、または2×10PFUを攻撃接種された対照のわずか10%が生存した。次に、動物の群を1×で免疫化し、免疫化後の14日目に、それらに攻撃接種した。これらの動物の100%が生存した一方で、対照動物の10%が生存した。ジカ-prMEを1回ワクチン接種され、次いでジカウイルスを用いて攻撃接種された全てのマウスが、致死的な攻撃接種から防御された(図23A)。全ての攻撃接種において、ワクチン接種された動物はまた、疾病の兆候を呈さず、体重減少から防御された(図23D)。ジカウイルスを用いた対照マウスの感染は、多くの場合、可動性の低下、猫背の姿勢、後肢指背歩行、及び/または有意な死亡率を伴う両方の後肢の麻痺と組み合わせて、著しい体重減少をもたらした(図23E及び23F)。まとめると、これらのデータは、ZV-prME DNAワクチン媒介免疫応答がジカ攻撃接種に対してマウスを防御することを示す。
【0119】
本研究において、prMEをDNAベースのワクチンから産生された抗原として使用し、加えて電気穿孔した液性及び細胞性応答が、齧歯動物及び非ヒト霊長類において立証された。EP送達アプローチによる強化されたDNAワクチン技術の最適化は、堅固かつ幅広い免疫応答の刺激において有効であり、単回の免疫化は、IFNARマウスにおける疾病及び死亡に対して防御性であった免疫を誘導した。この研究は、この深刻な新しいウイルス感染に対する柔軟かつ迅速に臨床的に実行可能なDNAワクチン接種戦略を使用して、防御免疫が生成され得ることを裏付ける。
【0120】
実施例3:受動的抗体移入を通したZIKV感染及び病因に対するインビボ防御、ならびにprMEnv DNAワクチンを用いた活性免疫化
本研究において、ZIKVのプレ膜+エンベロープタンパク質(prMEnv)を標的とする新規の合成DNAワクチンを生成し、インビボ有効性に関して評価した。プラスミド構築物の初期のインビトロ発生及び評価研究後に、電気穿孔を介した強化DNA送達を通して、このprMEnv DNAベースの免疫原を用いて、マウス及び非ヒト霊長類を免疫化した。ワクチン接種された動物は、抗原特異的細胞性及び液性免疫ならびに中和活性をもたらすことが分かった。インターフェロン(IFN)-α/β受容体を欠いたマウス(指定されたIFNAR-/-)において、このDNAワクチンを用いた免疫化は、インビボウイルス攻撃接種後に、脳組織内のウイルス病理を予防することに加えて、感染に関連した体重減少または死亡に対して100%の防御を誘導した。加えて、非ヒト霊長類抗ZIKV免疫血清の受動的移入は、後続のウイルス攻撃接種に対してIFNAR-/-マウスを防御した。病原性マウスモデルにおけるこのZIKVワクチンのこの初期研究は、ZIKV感染におけるprMEを標的とする免疫応答の重要性を裏付け、このワクチンアプローチに対する追加の研究が、ヒトにおけるZIKV対照に関連性があり得ることを示唆する。
【0121】
ここで、材料及び方法を説明する。
【0122】
細胞、ウイルス、及び動物
10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリン及びストレプトマイシンを補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地;Gibco-Q3 Invitrogen)中で、ヒト胚腎臓293T(American Type Culture Collection(ATCC)#CRL-N268,Manassas,VA,USA)及びVero CCL-81(ATCC #CCL-81)細胞を維持し、コンフルエンス後に継代した。ジカウイルス株MR766(Dr Susan Weissより寄贈)及びPR209(Bioqual,MD)の両方がVero細胞内で増幅し、ストックをVero細胞に対する標準的なプラークアッセイによって滴定した。National Institutes of Health,Wistar及びPublic Health Agency of Canada IACUC(Institutional Animal Care and Use Committee)のガイドラインに従って、5~6週齢の雌C57BL/6(The Jackson Laboratory)及びIFNAR-/-(MMRRCリポジトリ-The Jackson Laboratory)マウスを収容し、温度制御された光サイクルの施設で処理/ワクチン接種した。
【0123】
Bioqual,MD,USAにおいて、RMを収容し、処理/ワクチン接種した。Guide for the Care and Use of Laboratory Animals of the NIH,the Office of Animal Welfare,and the U.S.Department of Agricultureに記載される勧告に厳密に従って、この研究を実施した。全ての動物免疫化作業は、Bioqual Animal Care and Use Committee(IACUC)によって認可された。Bioqualは、American Association for Accreditation of Laboratory Animal Careによって認定されている。獣医従事者の監督下で、訓練を受けた者によってケタミン麻酔下で全ての手順を実施し、『Weatherall report for the use of non-human primates』の勧告に従って、動物愛護を保護し、動物の苦痛を最小限に抑えるためにあらゆる努力をした。湿度、温度、及び光(12時間の明/12時間の暗サイクル)の制御された条件下で、社会的相互作用を可能にした隣接する個々の霊長類ケージに動物を収容した。食物及び水は、自由に摂取させた。訓練を受けた者によって、動物を1日2回監視し、市販のサル用チュー、トリート、及び果物を1日2回供給した。
【0124】
ZIKV-prME DNAワクチンの構築
膜(prM)+エンベロープ(E)及びカプシドタンパク質の全長前駆体をコードするZIKV-prMEプラスミドDNA構築物を合成した。コンセンサス戦略を使用し、現在のZIKV prMEタンパク質配列の整列によってコンセンサス配列を決定した。ヒトにおける発現の強化のためにワクチンインサートを遺伝的に最適化し(すなわち、コドン及びRNA最適化)、発現を促進するためにIgEリーダー配列を付加した。構築物を商業的に合成し(Genscript,NJ,USA)、次いで、以前に記載されているように(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの制御下で修飾pVax1発現ベクターにサブクローン化した。最終構築物は、ZIKV-prMEワクチンと名付けられ、対照プラスミド骨格は、pVax1である。加えて、MR766(DQ859059.1)及び2016 Brazilin(AMA12084.1)発生株由来のprM及びE遺伝子をコードする多くの他の一致したDNA構築物もまた、さらなる評価のために設計した。Inovio Pharmaceuticals Inc.(Plymouth Meeting,PA,USA)によってDNA構築物の大規模増幅を実施し、精製したプラスミドDNAを免疫化のために水中で製剤化した。アガロースゲル電気泳動を介して、DNAインサートのサイズを確認した。MEGAバージョン5ソフトウェアを使用したClustalWを用いた多重整列(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)によって、系統発生分析を実施した。
【0125】
DNA免疫化及び電気穿孔を介した送達強化
インビボ電気穿孔送達を用いて前脛骨筋に送達される全容積20~30μLの水中25μgのDNAで、雌C57BL/6マウス(6~8週齢)及びIFNAR-/-マウス(5~6週齢)を免疫化した。DNA注入の直後に、同じ部位にCELLECTRA適応定電流電気穿孔デバイス(Inovio Pharmaceuticals)を用いてインビボ電気穿孔を送達した。三つ又CELLECTRA低侵襲デバイスを筋肉に約2mm挿入した。26ゲージの固体ステンレス鋼電極からなる三角形3電極アレイを通じて方形波パルスを送達し、1秒の遅延によって分離した52μs/パルスにわたって、2つの0.1アンペア定電流パルスを送達した。電気穿孔の使用に関するさらなるプロトコルは、すでに詳述されている(Flingai et al.,2015,Sci Rep 5:12616)。マウスを2週間の間隔で3回免疫化し、最終免疫化の1週間後に屠殺した。細胞性及び液免疫応答の分析のために各免疫化後に血液を採取した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)。アカゲザル免疫原性研究:5匹のアカゲザルを2mgのZIKV-prMEワクチンを用いて、5週間の間隔で2回、2つの部位において皮内で免疫化した。マウス免疫化に関して記載される同じデバイスを使用して、電気穿孔をすぐに送達した。
【0126】
ウエスタンブロット分析
インビトロ発現研究のために、製造業者のプロトコル(Agilent)に従ってGeneJammer試薬を使用して、トランスフェクションを実施した。簡潔に、35mm皿において細胞を50%コンフルエンスまで成長させ、1μgのZIKV-prMEワクチンを用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に細胞を採取し、PBSで2回洗浄し、細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology)で溶解した。すでに記載されているように(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)、ウエスタンブロットを使用して、ZIKV-prMEをワクチン接種されたマウスからの抗フラビウイルスまたは免疫血清のいずれかを使用して、採取した細胞溶解物からのZIKV-prMEタンパク質の発現ならびにマウス及びRM血清の免疫特異性を検証した。簡潔に、3~12% Bis-Tris NuPAGEゲル(Life Technologies)に、5μgまたは1μgのZIKVエンベロープ組み換えタンパク質(rZIKV-E);トランスフェクトされた細胞溶解物または上清、及びOdysseyタンパク質分子量マーカー(製品番号928-40000)を搭載した。MOPS緩衝液中で50分間、200Vでゲルを実行した。iBlot 2 Gel Transfer Device(Life Technologies)を使用して、タンパク質をニトロセルロース膜上に移した。膜を室温で1時間、PBS Odyssey遮断緩衝液(LI-COR Biosciences)で遮断した。ワクチン発現を検出するために、抗フラビウイルス型抗原(MAB10216-Clone D1-4G2-4-15)抗体を1:500に希釈し、マウス及びRMからの免疫血清を、0.2% Tween 20(Bio-Rad)を有するOdyssey遮断緩衝液中で1:50に希釈し、4℃で一晩膜を用いてインキュベートした。膜をPBSTで洗浄し、次いで、室温で1時間、マウス血清に対して1:15,000の希釈で、マウス血清及びフラビウイルス抗体に対して適切な二次抗体(ヤギ抗マウスIRDye680CW;LI-COR Biosciences)、ならびにRM血清に対してヤギ抗ヒトIRDye800CW(LI-COR Biosciences)を用いてインキュベートした。洗浄後、膜をOdyssey赤外線画像装置(LI-COR Biosciences)上で撮像した。
【0127】
免疫蛍光アッセイ
免疫蛍光アッセイに関して、細胞をカバースリップ上で成長させ、5μgのZIKV-prMEワクチンでトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで15分間固定した。次いで、室温で1時間、PBS中で希釈した正常ヤギ血清を用いて、非特異的結合を遮断した。次いで、スライドをPBS中で5分間洗浄し、続いて4℃で一晩、1:100の希釈で、免疫化されたマウスまたはRMからの血清を用いてインキュベートした。上記のようにスライドを洗浄し、室温で1時間、1:200の希釈で、適切な二次抗体(マウス血清に対してヤギ抗マウスIgG-AF488、及びRM血清に対してヤギ抗ヒトIgG-AF488;Sigma)を用いてインキュベートした。洗浄後、DAPIを有するFlouroshield封入培地(Abcam)を添加して、全ての細胞核を染色した。その後、カバースリップを載置し、スライドを顕微鏡(EVOS Cell Imaging Systems;Life Technologies)下で観察した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)。加えて、Vero、SK-N-SH、またはU87-MB細胞を、4チャンバ組織培養処理ガラススライド上で成長させ、0.01のMOIで、RM免疫血清(1:200)を用いて/用いずに予めインキュベートしたZIKV-MR766またはPR209を用いて感染させ、記載されるように(Rossi et al.,2016,J Rop Med Hyg 94:1362-9)、pan flavirus抗体を使用して、ZIKV感染後4日目に染色した。
【0128】
病理組織学的分析
病理組織学のために、ホルマリン固定パラフィン包埋された脳組織を厚さ5μmの矢状断面に分割し、Superfrost顕微鏡スライド(Fisher Scientific)上に配置し、37℃で一晩支持した。2回のキシレン変化を使用して切片を脱パラフィンし、100%、90%、次いで70%エタノール中に浸漬することによって再水和した。切片を、2分間ハリスヘマトキシリン(Surgipath)を使用して核構造に対して染色し、続いて、1%酸アルコール(Surgipath)中で分化し、2分間Scott’s tap waterで処理した。続いて、切片を、2分間エオシン(Surgipath)を使用して細胞質構造に対して対比染色した。スライドを70%、90%、及び100%エタノールで脱水し、キシレン中で除去し、Permount(Fisher Scientific)を使用して載置した。
【0129】
脾細胞及びPBMC単離
脾細胞の単細胞懸濁液を全てのマウスから調製した。簡潔に、10% FBS(R10)を補充した5mLのRPMI 1640中で、マウスからの脾臓を個々に採取し、次いで、Stomacher 80パドルブレンダー(A.J.Seward and Co.Ltd.)を用いて高速で30秒間処理した。処理した脾臓試料を、45mmナイロンフィルタを通して濾過し、次いで、4℃で10分間、1500gで遠心分離した。細胞ペレットを、室温で5分間、5mLのACK(アンモニウム-塩化物-カリウム)溶解緩衝液(Life Technologies)中に再懸濁させ、次いで、PBSを添加して反応を停止した。試料を4℃で10分間、1500gで再び遠心分離した。細胞ペレットを、R10中で再懸濁させ、次いでELISpotアッセイ及びフローサイトメトリ分析で使用する前に45mmナイロンフィルタに通した(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)。RMに関して、血液(各時点において20mL)をEDTA管中で採取し、Accuspin管(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を用いて、標準的なフィコール-ハイパック手順を使用して、PBMCを単離した。5ミリリットルの血液も、血清単離のために各時点において血清管に採取した。
【0130】
フローサイトメトリ及び細胞内サイトカイン染色アッセイ
脾細胞を96ウェルプレート(2×10/ウェル)に添加し、タンパク質輸送阻害剤カクテル(ブレフェルジンA及びモネンシン;eBioscience)の存在下で、37℃/5% CO2で5時間、ZIKV-preMでプールされたペプチドを用いて刺激した。細胞刺激カクテル(加えてタンパク質輸送阻害剤;PMA(ホルボール12-ミリステート13-アセテート)、イオノマイシン、ブレフェルジンA及びモネンシン;eBioscience)を陽性対照として、及びR10培地を陰性対照として使用した。次いで、製造業者の使用説明書(BD Biosciences,San Diego,CA,USA)によって記載されるように、全ての細胞を表面及び細胞内タンパク質に対して染色した。簡潔に、蛍光色素共役抗体を用いた表面染色の前に、FACS緩衝液(0.1%のアジ化ナトリウム及び1% FBSを含有するPBS)中で細胞を洗浄した。製造業者のプロトコルに従ってBD Cytofix/Ctyoperm TM(BD Biosciences)を使用して、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、固定し、かつ透過化し、続いて細胞内染色を行った。以下の抗体を表面染色のために使用した。LIVE/DEAD Fixable Violet Dead Cell染色キット(Invitrogen)、CD19(V450;クローン1D3;BD Biosciences)、CD4(FITC;クローンRM4-5;eBioscience)、CD8(APC-Cy7;クローン53-6.7;BD Biosciences);CD44(BV711;クローンIM7;BioLegend)。細胞内染色のために、以下の抗体を使用した。IFN-γ(APC;クローンXMG1.2;Biolegend)、TNF-α(PE;クローンMP6-XT22;eBioscience)、CD3(PerCP/Cy5.5;クローン145-2C11;BioLegend);IL-2(PeCy7;クローンJES6-SH4;eBioscience)。LSRIIフローサイトメータ(BD Biosciences)を使用して全てのデータを収集し、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Ashland,OR,USA)を使用して分析した。
【0131】
ELISpotアッセイ
簡潔に、96ウェルELISpotプレート(Millipore)を抗マウスIFN-γ捕捉Ab(R&D Systems)で覆い、4℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートをPBSで洗浄し、PBST+1% BSAで2時間遮断した。免疫化されたマウスからの20万個の脾細胞を各ウェルに添加し、培地単独(陰性対照)、PMA/イオノマイシンを有する培地(陽性対照)、または9個のアミノ酸による15mer重複からなり、ZIKV prMEタンパク質(Genscript)の長さに及ぶペプチドプール(1μg/mL)を有する培地の存在下で、5% CO中37℃で一晩インキュベートした。24時間後、細胞を洗浄し、次いで、ビオチン化抗マウスIFN-γ Ab(R&D Systems)を用いて4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(R&D Systems)を各ウェルに添加し、次いで、室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで、5-ブロモ-4-クロロ-3′-インドリルリン酸p-トルイジン塩及びニトロブルーテトラゾリウムクロリド(色原体呈色試薬、R&D Systems)を添加した。最後に、プレートを蒸留水で洗い流し、室温で乾燥させ、SFUを自動ELISpot読み取り装置(CTL Limited)によって定量化し、未処理の値を100万個の脾細胞当たりのSFUに正規化した。RM試料に関して、サルIFN-γ用のELISPOTPROキット(MABTECH)を製造業者によって説明されるように使用し、20万個のPBMCをペプチドプールで刺激し、プレートを洗浄し、以前に記載されているように(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)、スポットを発現させ、計数した。
【0132】
液性免疫応答:抗体結合ELISA
ELISAを使用して、すでに記載されているように(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)、マウス及びRM血清の力価を決定した。簡潔に、1μgの精製rZIKV-Eタンパク質を使用して、4℃で一晩、96ウェルマイクロタイタープレート(Nalgene Nunc International,Naperville,IL,USA)を覆った。少なくとも1時間PBS中10% FBSで遮断した後、プレートを0.05% PBST(PBS中Tween20)で4回洗浄した。免疫化されたマウス及びRMからの血清試料を1% FBS中で順次に希釈し、プレートに添加し、次いで、室温で1時間インキュベートした。プレートを0.05% PBST中で再び4回洗浄し、次いで、室温で1時間、マウス血清に対して1:35,000の希釈で、HRP共役抗マウスIgG(Sigma)を用いてインキュベートした。RM血清に関して、抗サルIgG HRP(Southern Biotech)を室温で1時間、1:5,000の希釈で使用した。製造業者の使用説明書(Sigma-Aldrich)に従って、SIGMAFAST OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩)基質溶液を添加することによって、結合した酵素を検出した。1N HSOを添加して、15分後に反応を停止した。450nmの光学濃度をSynergyプレートリーダー上で読み取った。全てのマウス及びRM血清試料を二つ組で分析した。すでに記載されている方法(Frey et al.,1998,J Immunol Methods 21:35-41)を使用して、エンドポイント力価を決定した。
【0133】
中和(PRNT50)アッセイ
MR766及びVero細胞を含むPRNTは、すでに記載されている(Sun et al.,2006,J Infect Dis 193:1658-65)。簡潔に、熱不活性化マウスまたはRM血清を血清無含有DMEM中で順次に希釈し(1:10~1:1280)、37℃で2時間、等容積のZIKV MR766(100PFU)でインキュベートした。混合物をVero細胞の融合層に添加し、2時間吸着のために37℃でそのままにした。2×DMEM培地:軟寒天(1:1)重層を細胞上に添加し、プレートを37℃で5日間インキュベートした。寒天重層を除去し、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、1×PBSで洗浄し、クリスタルバイオレット溶液で染色し、1×PBSで洗浄し、プレートを乾燥させた。24ウェルプレート内で行われたアッセイにおけるプラークを自動Immunospot読み取り装置(CTL Limited)でスキャンし、試料ウェル中ならびに陰性対照(DMEMのみ)及び陽性対照(100PFU MR766 ZIKVウイルスのみ)ウェル中のプラークを、ELISpotリーダーが備わった自動ソフトウェアを使用して計数した。プラーク減少の割合を以下のように計算した。%減少=100×{1-(各希釈に対するプラークの平均数/陽性対照ウェル中のプラークの平均数)}。GraphPad Prismソフトウェアを使用して、%プラーク減少対各個々の血清希釈のログ変換の非線形回帰分析を実施して、ワクチン接種応答後のピークにおける実際の50% PRNT力価の線形補間を促進した。50%中和における中央値及び四分位範囲を各中和標的に対して、全体的にかつワクチン処置群によって計算し、幾何平均力価も計算した。力価は、プラーク数の50%減少をもたらす最高希釈の逆数を表す。
【0134】
IFNAR-/-マウスにおけるZIKV攻撃接種研究
ジカ攻撃接種研究のために、IFNAR-/-マウス(n=10/群)を、ジカ-prMEワクチンまたはpVax1を用いて1回または2回免疫化した。マウスは、15日目(単一の免疫化群)、または第2の免疫化の1週間後の21日目(2つの免疫化群)に、1×10PFUまたは2×10PFUのZIKV-PR209ウイルスのいずれかを有した。また、IFNAR-/-マウス(n=10/群)の追加の群を1回免疫化し、15日目に2×10PFUのZIKV-PR209ウイルスを用いて攻撃接種した。攻撃接種後、動物を計量し、皮下に位置する温度チップによって体温を毎日測定した。加えて、1日2回、疾病の臨床兆候(可動性の低下、猫背の姿勢、後肢指背歩行(部分麻痺)、一方の後肢または両方の後肢の麻痺)に関して動物を観察し、ウイルス負荷決定のために採血した。愛護に基づく屠殺の基準は、20%の体重減少または一方もしくは両方の後肢の麻痺からなった。
【0135】
ZIKV負荷の測定のためのリアルタイムRT-PCRアッセイ
処理されたマウスからの脳を4℃で1週間RNAlater(Ambion)中に浸漬し、次いで-80℃で保管した。次いで、脳組織を計量し、ステンレス鋼ビーズを有するTissueLyser(Qiagen)を使用して、30サイクル/秒で6分間、2mLクライオバイアル中600μLのRLT緩衝液中で均質化した。RNeasy Plusミニキット(Qiagen)を用いて、血液からウイルスRNAも単離した。ZIKV特異的リアルタイムRT-PCRアッセイを、対象の動物からのウイルスRNAの検出のために利用した。TaqMan Fast Virus 1-Step Master Mix(Applied Biosystems)を有するプライマーZIKV 835及びZIKV 911cならびにプローブZIKV 860FAMを使用して、RNAを逆転写及び増幅した。各プレートに対して標準曲線を並行して生成し、ウイルスゲノムコピー数の定量化のために使用した。StepOnePlus Real-Time PCR System(ABI)ソフトウェアバージョン2.3を使用して、サイクル閾値(Ct)の値を計算し、複製のうちの少なくとも1つに対するCt値≦38を、すでに記載されているように(Lanciotti et al.,2008,Emerg Infect Dis 14:1232-9)、陽性と見なした。出血前は、このアッセイにおいて陰性であった。
【0136】
統計分析
抗体力価の倍の増加の差を、マン-ホイットニー分析を使用して比較した。GraphPad,Prism 4(GraphPad Software,Inc.San Diego,CA,USA)を使用して、統計分析を実施した。全ての分析に対して、P<0.05を有意と見なした。Log10変換をエンドポイント結合ELISA力価及び全ウイルスPRNT50力価に適用した。
【0137】
これらの実験の結果をここで説明する。
【0138】
ZIKV-prMEコンセンサスDNAワクチンの構築
ZIKV prM(前駆体膜)及びEnv(エンベロープ)遺伝子(ZIKV-prME)のコンセンサス配列を、ヒトにおける感染を引き起こした、1952~2015年の間に単離された様々なZIKVからのprM及びEnv配列を使用して生成した。追加の修飾後、ZIKV-prMEコンセンサス配列をpVax1ベクターにクローン化し、効率の高い免疫グロブリンE(IgE)リーダーペプチド配列の付加を含む最適化を行って、そのインビボ発現を改善した(図24A)。Discovery Studio 4.5上の相同モデル及び可視化を使用して、ZIKV-エンベロープ配列の最適整列を実施した。参照モデルは、PDB 5JHM及びPDB 5IZ7を含んだ。prME抗原上の特異的領域に対応する整列した残基を、可視化目的でモデルにおいて標識化した(図24B)。最適化されたコンセンサスワクチン選択は、概して、本研究において分析された複数のZIKV株に対して保存的または半保存的である。EDE特異的中和抗体の構造研究は、これらの認識決定基がエンベロープ-ダイマー表面における血清型不変部位に見られ、それが、融合ループの露出した主鎖ならびに2つの保存グリカン鎖(N67及びN153結合グリカン)を含むことを明らかにした(Rouvinski et al.,2015,Nature 520:109-13)。これらの2つのグリコシル化部位は、他のフラビウイルスにおいて高度に保存されない。さらに、ZIKVは、N67結合グリコシル化部位を有さず、N154結合グリコシル化部位(デングのN153結合グリコシル化部位と同等)は、単離されたZIKV株のうちのいくつかにおいて存在しない。したがって、コンセンサス設計の一部として、このグリコシル化部位を除外して構築物を設計した。この部位におけるグリコシル化の欠如は、ZIKV-エンベロープタンパク質へのEDE1型広域中和抗体(bnAb)の改善された結合と関連付けられている(Rouvinski et al.,2015,Nature 520:109-13)。
【0139】
構築に続いて、ウエスタンブロット分析及び間接免疫蛍光アッセイによって、プラスミドからのZIKV-prMEタンパク質の発現を確認した。panflavivirus抗体(図24C)、及びZIKV-prMEで免疫化されたマウスから採取した血清(図24D)を使用したウエスタンブロットによって、ZIKV-prMEで一時的にトランスフェクトされた細胞から調製されたタンパク質抽出物を、発現に関して分析した。抗ZIKV-prME特異的抗体を用いたトランスフェクションの48時間後、ZIKV-prMEプラスミドでトランスフェクトされた293T細胞の染色によって、IFAによってZIKV-prME発現をさらに検出した(図24E)。
【0140】
ZIKV-prMEnv DNAワクチンは、C57BL/6マウスにおける抗原特異的T細胞を誘導する。
ZIKV-prMEnvプラスミドワクチンが細胞免疫応答を誘導する能力を評価した。筋肉内(i.m.)注入、続いて、送達部位における電気穿孔を通して、2週間の間隔で3回、対照プラスミド骨格(pVax1)またはZIKV-prMEプラスミドワクチンのいずれかを用いて、4匹のC57BL/6マウスの群を免疫化した(図25A)。第3の注入の1週間後に動物を屠殺し、各動物から採取したバルク脾細胞を、それらがZIKV-prMEを包含するペプチドプールへのエクスビボ曝露後にインターフェロン-γ(IFN-γ)を分泌する能力に関して、ELISpotアッセイで評価した。アッセイの結果は、ZIKV-prMEで免疫化されたマウスからの脾細胞が、複数のZIKV-Eペプチドプールでの刺激後に細胞免疫応答をもたらしたことを示す(図25B)。全ZIKV-prMEタンパク質に及ぶ15mer(11個のアミノ酸による重複)からなる22個のペプチドプールを使用した、マトリクス形式でのELISpotアッセイによって、最も強力な細胞性応答(複数可)を誘発したZIKVEnvの領域(複数可)を評価した。いくつかのプールは、高いT細胞応答を示したが、ペプチドプール15は、スポット形成単位(SFU)の最高値を呈した(図25C)。このマトリクスマッピング分析は、優性prMEエピトープ『IRCIGVSNRDFVEGM(配列番号17)』を明らかにした(aa167-181)。免疫エピトープデータベース分析リソースツールを利用した分析を通して、このペプチドがH2-Db制限エピトープを含有することを確認し、このハプロタイプにおいて、抗原が効果的に処理されることを裏付ける。
【0141】
ZIKV-prMEnvワクチンの細胞免疫原性のさらなる評価は、最終免疫化の1週間後に採取したCD8T細胞の多機能特性の決定を伴った。結果は、ZIKV-prMEnvワクチン接種がTNF-α(腫瘍壊死因子-α)及びIFN-γを発現させる二機能性ワクチン特異的T細胞の割合を増加させたことを示す。重要なことには、ZIKV-prMEnvワクチン接種は、T細胞機能性を拡張する強力な能力を呈した(図25D)。
【0142】
加えて、近年特定されたブラジルZIKV株または元のMR766 ZIKV株のいずれかのprMEnv配列をコードする最適化プラスミドを用いて、比較免疫研究を実施した。ZIKV-prMEnvペプチドプールを用いた脾細胞の刺激後、IFN-γ ELISpot分析を通して、第3のワクチン接種の一週間後に、いずれかのプラスミドで免疫化されたマウスにおける細胞免疫応答の誘導を測定した。結果は、コンセンサスZIKVprME DNAワクチン構築物によって誘導されるT細胞応答が、これらの2つの非コンセンサスプラスミドワクチンのいずれかによって生成された応答よりも一貫して高かったことを示す(図31A及び31B)。ブラジルまたはMR766 prMEワクチンのいずれかによって誘導された細胞性応答の詳細なマッピング分析は、両方のワクチンが、コンセンサスZIKV-prMEnvプラスミドに対して図25B及び図25Cで特定された優性Env特異的CTLエピトープに対して、有意な細胞性応答を誘導したことを明らかにした(データは図示せず)。コンセンサス免疫原は、同じ用量において、これらのT細胞アッセイにおいてより堅固な応答を一貫して誘導し、追加のアッセイにおいてさらに評価した。
【0143】
ZIKV組み換えエンベロープタンパク質の生成
これらの研究の開始時に、特異的抗ZIKV免疫応答を評価するために使用可能な市販の試薬はなかった。したがって、必要に迫られて、組み換えZIKV-エンベロープタンパク質(rZIKV-E)を生成して、本研究で実施されるアッセイを支持した。この試薬を生成するために、ZIKV-prMEワクチンコンセンサス抗原に基づくコンセンサスZIKV-エンベロープ配列を、pET30a Escherichia coli発現ベクターにクローン化した(図32A)。rZIKV-E抗原をE.coli培養物中で産生し、ニッケルカラムクロマトグラフィを使用して精製し、SDS-PAGEを使用して分析し、それは、抗His tag抗体を使用したウエスタン分析によって検出され得る、rZIKV-Eでトランスフェクトされた細菌からの溶解物中に、予測されたサイズの過剰発現されたタンパク質を示した(図32B)。ZIKV-prMEワクチンで免疫化されたマウスからの血清は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ;図32C)において捕捉抗原として使用したrZIKV-Envに結合した。複数のフラビウイルスのエンベロープタンパク質に反応する市販の抗体(指定されたpanflavivirus)もまた、rZIKV-Eに結合した。ウエスタン分析は、ZIKV-prMEnvで免疫化されたマウスからの免疫血清が、rZIKV-Eを特異的に認識したことを実証した(図32D)。これらのデータは、生成されたrZIKV-Eが、ZIKV-prMEnvをワクチン接種されたマウスからの免疫血清と特異的に反応したことを示し、したがって、この組み換えタンパク質をさらなる免疫原性研究のために使用した。
【0144】
ZIKV-prME DNAワクチンによるC57BL/6マウスにおける機能的液性応答の誘導
コンセンサスZIKV-prMEnvワクチンがマウスにおける液性免疫応答を誘導する能力を評価した。25μgの空の対照pVax1またはコンセンサスZIKV-prMEnvワクチンプラスミドのいずれかを用いて、2週間の間隔で3回、電気穿孔を介した送達を通して、4匹のC57BL/6マウスの群を筋肉内(i.m.)で免疫化した。免疫化された各マウスから血清を得て、捕捉抗原として固定化rZIKV-Eを使用して、ELISAによって、ZIKV特異的IgG応答に関して試験した。抗ZIKV特異的IgGの有意な増加が21日目に観察され、血清IgGレベルにおけるさらなる追加刺激が35日目に認められた(図26A)。ワクチン接種された動物からの60日目の血清は、高いZIKV特異的抗体応答が最終追加刺激後に長期間維持されたことを示す。最も重要なことには、ワクチン接種されたマウスからの血清が、エンドポイント力価によって示されるように非常に高いレベルのrZIKV-E特異的抗体を含有した(図26B)。ウエスタン分析によってrZIKV-E(エンベロープ)を検出する能力(図26C)、及び免疫蛍光アッセイによってZIKV(MR766株)感染細胞を染色する能力(図26D)に関して、ZIKVprMEnvプラスミドを接種されたマウスからのプールされた血清をスクリーニングすることによって、ワクチンによって誘導された抗体の特異性の追加の評価を実施した。これらの分析の両方からの結果は、ワクチンによって誘導された液性応答の特異性を確認した。
【0145】
さらに、上記のように、ブラジル株及びMR766株からのprMEnv配列をコードするプラスミドを用いて免疫化されたマウスにおいて、ZIKV特異的結合抗体応答もまた評価した。pVax1及び両方の非コンセンサスワクチンで免疫化されたマウスからの35日目(第3の免疫化の1週間後)の血清を、rZIKV-Eへの結合に関してELISAによって分析した。この分析は、MR766及びBrazilワクチンプラスミドの両方が有意な抗体結合を誘導したこと、ならびにコンセンサスZIKV-prME DNAワクチンを用いた免疫化が、rZIKV-Eに対して有効な液性応答をもたらすことを示す(図31C及び図31D)。
【0146】
対照pVax1プラスミド、コンセンサスZIKV-prMEnvプラスミドワクチン、またはコンセンサスZIKV-C(カプシド)プラスミドワクチンのいずれかを用いて、(3回)免疫化したマウスからの35日目のプールされた血清に対して、プラーク減少中和試験(PRNT)アッセイを実施した。使用したPRNTアッセイは、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、及び他のフラビウイルスを分析するためにすでに記載されている技術から応用された方法であった(Davis et al.,2001,J Virol 75:4040-7)。図26Eに示されるように、ZIKV-prMEワクチン接種が、456±5の抗ZIKV逆数PRNT50希釈力価(対照ZIKV感染の50%が阻害された血清希釈の逆数)を伴い、有意な中和応答をもたらした一方で、ZIKV-Cap DNAワクチンをワクチン接種されたマウスは、pVax1対照プラスミドをワクチン接種された動物(力価=15±2)を最小限にのみ上回った力価(33±6)を示した。
【0147】
ZIKV-prME DNAワクチンを用いた免疫化後の、I型インターフェロン受容体(IFNAR-/-)を欠いたマウスにおけるZIKVに対する免疫応答及び防御
ZIKVで誘導された疾病及び免疫の機構は、はっきりと定義されず、ZIKV感染に対する免疫応答の仮説的な病原性に対する防御は、今のところ不明瞭である(Rossi et al.,2016,J Rop Med Hyg 94:1362-9)。マウスのほとんどの株は、ZIKV感染に耐性を示すが、IFN-α/β受容体(IFNAR-/-)を欠いたマウスは、感染及び疾病にかかりやすく、攻撃接種後6~7日以内に最も死亡したことが分かった(Lazear et al.,2016,Cell Host Microbe 19:720-30)。コンセンサスZIKV-prMEプラスミドワクチンがこのマウス株において細胞性及び液性免疫応答を誘導する能力を調査した。対照pVax1プラスミドまたはZIKV prMEワクチンプラスミドワクチンのいずれかを用いて、2週間の間隔で3回、電気穿孔を介した送達で、5~6週齢の雌IFNAR-/-マウス(n=4)をi.m.で免疫化した。0、14、21、及び35日目に、免疫化されたマウスから血清を採取し、最終免疫化の1週間後(35日目)に、脾細胞をマウスから採取した。ワクチンで免疫化されたマウスからの脾細胞は、ELISpotアッセイにおける10個の細胞当たりのSFUレベルによって示されるように、明確な細胞免疫応答をもたらした(図33A)。rZIKV-Eを捕捉抗原として使用するELISA分析からの結果は、14日目までの検出可能な抗ZIKV血清IgG(約1:1,000の力価)を示し、これらのレベルを後続のワクチン接種で追加刺激し、結合抗体力価は、少なくとも1:100,000に達した(図33B及び33C)。比較すると、免疫化後35日目の試料に対するPRNT50力価は、1:60であった。結果は、コンセンサスZIKV-prMEnvワクチンで免疫化されたIFNAR-/-マウスが、抗ZIKV細胞性及び液性免疫応答を生成することが可能であることを示し、この病原性攻撃接種における推定的ワクチン効果のこのモデルにおけるさらなる研究を支持する。
【0148】
非ヒト霊長類におけるZIKV-prMEnv DNAワクチンによって誘発されるZIKV特異的機能的細胞性及び液性応答
より低い電圧の皮内形式での強力な免疫応答を示す近年の研究(Hutnick et al.,2012,Hum gene Ther 23:943-50;Broderick et al.,Mol Ther Nucleic Acids 1:e11)に基づき、皮内電気穿孔を使用して、NHPを皮内免疫化によって免疫化した。アカゲザル(RM;n=5/群)に、電気穿孔を用いて2.0mgのワクチンプラスミドを皮内投与し、各動物に4週間置いて2回ワクチン接種した。血清及び末梢血単核細胞(PBMC)を、0日目(免疫化前)及び6週目(第2の免疫化の2週間後)に採取した。ZIKV-prMEnvペプチドプールを用いてエクスビボで刺激された免疫化前及び6週目のPBMCのELISpot分析は、ZIKV-prMEnv免疫化がRMにおいて堅固な抗ZIKV T細胞応答を誘導したことを示した(図27A)。
【0149】
ワクチン接種されたRMからの血清における特異的な抗ZIKV抗体応答を、ELISAによって評価した。6週目に、rZIKV-Env特異的結合抗体が、ZIKV-prMEnvをワクチン接種された動物において検出可能であった(図27B)。2週目(第1の免疫化後)及び6週目(第2の免疫化後;図27C)に、各動物に対してエンドポイント力価を決定した。個々のワクチン接種された動物からのRM血清を使用して、ウエスタンブロット分析によってELISA結果を確認した(図27D)。6週目にRMにおいて生成された抗体の中和活性を、PRNT50アッセイによって評価した。全てのワクチン接種されたサルが、有意な中和活性を有し、抗ZIKV逆数PRNT50希釈力価は、161~1380に及ぶ(平均501±224の標準誤差;図27E)。PRNT力価は、ELISA力価(データは図示せず)と直接相関しなかった。
【0150】
NHPワクチン免疫血清がインビトロでVero細胞、神経芽腫(SK-N-SH)または神経前駆(U-87MG)細胞のZIKV感染を遮断する能力を、IFAによって検査した。ZIKV Q2株(MR766またはPR209)を血清またはNHP-免疫血清の希釈液中で予めインキュベートし、各細胞型の単層に添加した。感染の4日後、pan flavirus抗体を使用して、IFAによってZIKV陽性細胞を同定し(図34A~34C)、ZIKV陽性細胞を定量化した(図34B~34D)。ZIKV-prMEをワクチン接種されたRMからの血清は、各細胞型においてZIKV感染を阻害した。
【0151】
ZIKV-prME免疫化後のIFNAR-/-マウスにおけるZIKV感染及び疾病に対する防御
予備的研究において、5~6週齢のIFNAR(-/-)マウス(n=10)を、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)、頭蓋内、または静脈内(i.v.)経路のいずれかによって投与される1×10プラーク形成単位(PFU)のZIKV-PR209分離株を用いて攻撃接種した。攻撃接種後、全ての動物を、体重の日常測定、ならびに後肢虚弱及び麻痺などの瀕死状態の他の兆候の検査を含んだ、感染の臨床兆候に関して監視した。接種後の最初の4日間、マウスの全身外観の変化は観察されなかった。しかしながら、4日目以降、群の各々におけるマウスは、全体的な活性の低下、可動性の低下、及び猫背の姿勢を示し、多くの場合、後肢虚弱、水分摂取の低下、及び明らかな体重減少を伴った。ウイルス攻撃接種経路に関わらず、動物は6日目~8日目の間に感染で死亡した(図35A~35E)。これらのデータに基づき、このモデルにおけるZIKV-prMEを介した防御を評価するための後続の研究は、攻撃接種のためにs.c.経路を使用した。
【0152】
次に、このIFNAR-/-マウスモデルにおいて、ZIKV-prMEnvワクチンの防御効果を評価した。マウスの2つの群(n=10)を、ZIKV-prMEワクチンを用いた電気穿孔を介した送達を通して、i.m.経路によって免疫化した(25μgのワクチン)。また、10匹のマウスの2つの群を、対照pVax1ベクターを用いた電気穿孔を介した送達を通して、i.m.経路によって免疫化した。免疫化を2週間置いて2回実施し、全ての動物を21日目(第2の免疫化の1週間後)に攻撃接種した。対照及びワクチン接種されたマウスの一方の組は、1×10PFUのZIKV-PR209をs.c.経路によって投与され、各群のもう一方の組は、合計2×10PFUのZIKV-PR209をs.c.経路によって攻撃接種された。攻撃接種後の3週間目に、全てのZIKV-prMEをワクチン接種された動物の100%が生存した一方で、単回用量を攻撃接種された対照のわずか30%及び2倍用量を攻撃接種された対照のわずか10%が生存した(図28A及び28B)。全ての攻撃接種において、ワクチン接種された動物は、体重減少のエビデンスもなく疾病の兆候がなかった(図28C及び28D)。ZIKV-PR209ウイルスを用いた対照マウスの感染は、可動性の低下、猫背の姿勢、後肢指背歩行、及び/または一方もしくは両方の後肢の麻痺と共に、著しい体重減少をもたらした(図28E及び28F)。
【0153】
ZIKVprME DNAワクチンを用いた単回の免疫化がZIKV攻撃接種からIFNAR-/-マウスを防御する潜在的な能力を評価した。10匹のマウスの群を、対照プラスミドまたはZIKV-prMEワクチンのいずれかで1回、電気穿孔を用いてi.m.で免疫化し、2週間後に、2倍の総用量2×10PFUのZIKV-PR209投与を用いて攻撃接種した。攻撃接種の3週間目に、ZIKV-prMEをワクチン接種された動物の100%が生存した一方で、対照動物のわずか10%が生存した(図29A)。肉眼的な組織病理学的変化を決定するために、脳組織を厚さ5μmの矢状断面に分割し、核構造に対して染色し、エオシンを使用して細胞質構造に対して対比染色した(図29B)。組織学及びウイルス負荷の分析のために、攻撃接種の後7または8日目にマウスを屠殺した。ZIKV感染は、マウスにおいていくつかの脳の病変を引き起こした。ワクチン接種されなかった対照(pVax1)マウスの脳切片は、好中球内の核フラグメント(図29B)、皮質内の管の血管周囲性単核細胞浸潤、リンパ球浸潤、及び大脳皮質の変性細胞(図29B)、ならびに海馬内の変性ニューロン(図29B)を示した。しかしながら、対照的に、ZIKV prMEをワクチン接種された動物は、脳組織内の正常な病理組織を示し(図29B)、合成ジカ-prMEワクチンを用いた免疫化によって誘導された防御抗体が、脳内のウイルスによって誘導される疾病を制限し得ることを裏付けた。この観察は、ワクチン接種がこのモデルにおける脳を防御する可能性を実証する。ZIKV攻撃接種後のワクチン接種されたマウスにおける体重減少及び運動障害の改善と一致して、高い(2×10PFU)用量の攻撃接種群におけるウイルス攻撃接種された、pVax1をワクチン接種された動物と比較して、ZIKV-prMEをワクチン接種された動物の血中液(図29C)及び脳内(図29D)において、有意により低いウイルス負荷が認められた。まとめると、これらのデータは、ZIKV-prME DNAワクチン媒介免疫応答がZIKV攻撃接種に対してマウスを防御することができることを示す。
【0154】
抗ZIKV免疫血清の受動的移入がZIKV感染に対してマウスを防御する
次に、ZIKV-prMEnvをワクチン接種されたRMからの免疫血清の移入がIFNAR-/-マウスにおけるZIKV媒介病因を予防するかどうかを試験した。この目的で、6週目のRMからの150μg当量のIgG(PRNT50≒1/160)を、ZIKVウイルス攻撃接種の1日後に、IFNAR-/-マウスに養子導入した。対照マウスの2つの群を含み、一方の群は、RMからの免疫前血清が投与され、もう一方の群は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が投与された。PBSまたは対照血清が投与されたマウスは、感染の過程中に元の体重の15~25%が減少し、全てが感染の6~8日後に死亡した。RMからのワクチン免疫血清を感染しやすいマウスに移入したとき、動物は、3及び4日目に体重が減少したが、その後、5日目に体重が戻り始め、最終的に80%が感染性の攻撃接種を生き延び(図30A)、NHP血清移入がウイルス攻撃接種後のZIKV感染の臨床症状に対する防御を付与する能力を実証する(図30B)。ZIKVを用いた攻撃接種に対する防御に対する免疫血清移入の効果を評価するために実施された反復実験において、ZIKV-prME免疫血清レシピエント間の生存は、80~100%に及んだ。これらの研究は、抗ZIKVワクチン免疫血清が、必要とされる適応性抗ZIKV免疫応答の非存在下で、ZIKV感染に対する有意な防御を付与する能力を有したことを示す。
【0155】
ZIKV-prMEコンセンサス構築物を用いたワクチン接種
近年のZIKVの蔓延及びヒトにおけるその関連した病因によって、深刻な問題が生じている。現在、この新しい感染性病原体に対する認可されたワクチンまたは治療薬は存在していない。ごく最近、実験用ZIKVワクチンの採取が非病原性動物感染モデルにおいて攻撃接種後のウイルス負荷を低下させることが示されている(Larocca et al.,2016,Nature 536:474-8;Abbink et al.,2016,Science 353:1192-32)。これらのデータは期待が持てる。この点で、追加のモデルにおいてジカを標的とする追加の新規のワクチンアプローチを検査することが重要である。ここで、新規のコンセンサスZIKV-prM及びE抗原を発現させるために設計された合成DNAワクチンを、マウス及び非ヒト霊長類における電気穿孔によって強化された免疫化後の免疫原性に関して評価した。ZIKV-prME DNAワクチン接種が、マウス及びNHPに両方において免疫原性であり、抗原特異的T細胞ならびに結合抗体及び中和抗体を生成したことが観察された。独自に、近年記載されているように(Trimble et al.,2016,Lancet 386:2078-88)、NHPを皮内経路による電気穿孔を通してZIKV-prMEで免疫化し、それは、i.m.電気穿孔よりも低い電圧及び小さいトランスフェクション領域を使用する。そのようなアプローチのさらなる研究は、臨床状況において利点を提供し得る。
【0156】
ZIKV-prMEコンセンサス構築物は、推定グリコシル化部位を除去する潜在的なNXS/Tモチーフの設計された変化を含む。この部位におけるグリコシル化部位の欠失は、ZIKV-Eタンパク質へのEDE1型bnAb(広域中和抗体)の改善された結合と関連付けられている(Muthumani et al.,2016,Sci Transl Med 7:301ra132)。コンセンサスZIKV-prMEによって誘導された抗体応答は、堅固であるように思われ、場合によっては、同様に開発されたZIKV-prME-MR766及びZIKV-prME-Brazilワクチンによって誘発されるものよりも大きさが優れているように思われる。これらの構築物は、元のZIKV-MR766分離株または近年流通しているブラジルからのZIKV株のそれぞれと配列が一致していた。裏付けになる一方で、さらなる研究は、誘導された免疫応答に対するそのような組み込まれた設計された変化の効果に関するさらなる洞察を提供するであろう。
【0157】
ZIKVに対する病原性攻撃接種モデルがほとんど存在しないため、C57BL/6及びIFNAR-/-マウスにおけるZIKV-prMEワクチンの免疫応答の推定的防御性を比較した。両方のマウスの株が、ZIKV-prMEで免疫化されたときに堅固な液性免疫応答に応答した。T細胞応答もまた誘導されたが、IFNAR-/-動物において誘導されたものと比較して、野生型C57BL/6においてより堅固であるように思われ、マウスにおけるノックアウト表現型のために予測されるような固有の適応性免疫移入の部分的欠陥を裏付ける。しかしながら、抗原特異的免疫の誘導に基づき、モデルは、感染及び病因の両方に対するワクチンの影響の評価のために有用であった。IFNAR-/-マウスにおけるZIKV-prMEでの単回のワクチン接種は、神経病因の防御を含む、このモデルにおける疾病及び死亡に対して防御性であった。Env抗原に対するフラビウイルス中和抗体は、疾病に対する防御において重要な役割を果たすと考えられ、アイデアは、動物モデルにおける受動的抗体移入によって直接、及び蚊媒介性ウイルス感染を起こしやすい地理的領域におけるプロスペクティブ研究からの疫学データによって間接的に裏付けられる(Weaver et al.,2016,Antiviral Res 130:69-80;Roa et al.,2016,Lancet 387:843;Samarasekera et al.,2016,Lancet 387:521-4)。ZIKV-prME DNAワクチンを用いたIFNAR-/-マウスの免疫化ならびに免疫化されたNHPからの血清移入がこのマウスモデルにおいて防御性であったが、血清移入されたマウスとは対照的にワクチン接種されたIFNAR-/-は、病因の制御の指標として、体重減少の制御の改善を呈した。追加の研究が必要とされるが、この結果は、このモデルにおけるこの防御の側面におけるT細胞応答の役割を潜在的に示唆する。加えて、攻撃接種から回復した対照IFNAR-/-マウスが、少なくとも数週間PCRによってウイルス陽性のままであることが観察され、ワクチン接種のさらなる利点を示唆する。この研究は、ワクチン接種、この場合、この合成DNAワクチン接種が感受性宿主における疾病の予防に影響を及ぼす潜在力を裏付ける。
【0158】
実施例4:ジカウイルスprMEに対するDNAワクチンは、非ヒト霊長類における防御免疫を誘導する
アカゲザルを、2つの部位のそれぞれにおいて1mgとして0及び4週目に投与された2mgのZIKV-prMEプラスミドを用いて、皮内(i.d.)で免疫化し、免疫化の直後に皮内電気穿孔(EP)した。PBMCを免疫化前及び6週目に単離し、ELISPOTアッセイのために使用して、ZIKV-prMEペプチドを用いた刺激に応答するIFN-g分泌細胞を検出した(図36A)。1回の免疫化を受けたNHP及び2回の免疫化を受けたNHPは、全prMEタンパク質を包含する6つのペプチドプールに対して100万個のPBMC当たり得られたIFN-g産生細胞の増加を示し(図36B及び図36C)、ZIKV-prMEワクチン接種後のZIKV特異的細胞免疫応答の誘導を実証する。図37に示されるように、抗ZIKV抗体応答は、NHPのZIKV-prMEワクチン接種によって誘導される。
【0159】
アカゲザルを、EPを使用したID経路を介して、pZV-prME DNAを用いて、0及び4週目に2回ワクチン接種した。8週目に、動物を、ジカ-PR209ウイルス株を用いて皮下攻撃接種した。対照として、5匹の実験に使われていない動物をZV-PR209ウイルスで感染させた(図38A)。ZV-PR209に感染した実験に使われていないNHPは各々、有意なウイルス負荷を呈した(図38B)。pZV-prME DNAで1回または2回免疫化されたNHPは、検出可能なウイルス負荷を有しなかった(図37C及び図38D)。これらの研究は、ジカ-prME免疫化がジカ攻撃接種に対する防御を付与することを実証する。
【0160】
実施例5:第1相 ジカDNAワクチン研究ID-EP中間分析
ジカ-001臨床プロトコル
最初の第1相試験は、デングウイルス未投与成人においてID投与、続いてEPされたGLS-5700の安全性、耐性、及び免疫原性を評価するための非盲検、投与量決定試験であり、米国及びカナダの3つの現場で実施した。
【0161】
研究の第一目的は、健康なデングウイルス未投与成人対象においてID注入、続いてEPによって投与されたときのGLS-5700の安全性及び耐性を、最終ワクチン投与から14日目まで評価することであった。
【0162】
本研究における一次安全性エンドポイントは、(1)器官別大分類(SOC)、基本語(PT)重症度、及びワクチン接種後14日目までの試験処置及びスケジュールとの関係によって分類される有害事象の発生、(2)投与(注入)部位反応(頻度及び重症度判定によって記載される)、及び最終ワクチン接種後14日目までの投与部位の疼痛、ならびに(3)頻度及び重症度判定によって記載される安全性の検査パラメータの変化(例えば、肝臓パネル試験及びバイタルサイン)を含む。
【0163】
二次的目的は、(1)デングウイルス未投与成人におけるGLS-5700のワクチン接種の1年後までの安全性を評価すること、ならびに(2)デングウイルス未投与成人においてID、続いてEPで送達されたときのGLS-5700の細胞性及び液性応答を評価することを含む。
【0164】
二次免疫学的エンドポイントは、(1)ELISAによって測定されるジカエンベロープ(E)タンパク質に対する結合抗体力価、(2)ウイルス中和アッセイで測定されるジカウイルスに対する中和抗体力価、ならびに(3)インターフェロン-γ(IFN-γ)ELISpot及び/または細胞内染色(ICS)アッセイによって決定されるジカウイルスに対する抗原特異的細胞免疫応答を含む。
【0165】
この第1相臨床試験は、ID注入、続いて電気穿孔(EP)を介して投与されたGLS-5700がデングウイルス未投与の参加者において安全、耐性、かつジカウイルスに対する免疫応答を生成することが可能であるかどうか、及び免疫反応が用量依存性であるかどうかを評価する。三角筋に注入し、直後に、CELLECTRA(登録商標)-3Pデバイスを用いてEPする。
【0166】
GLS-5700は、ジカウイルスのプレ膜(prM)及びエンベロープ(E)タンパク質のコンセンサス配列をコードするプラスミドpGX7201を含有する。
【0167】
現在、ジカウイルスに対する承認された治療または予防ワクチンは存在していない。また、ジカウイルスに対するいかなるワクチン候補も人体試験に進出していない。
【0168】
GLS-5700のID投与の評価:
ジカ-001の2つの群がある(表1)。参加者(1群当たりn=20)に、2つの用量レベル:1mgまたは2mgのDNA/用量のうちの1つで、GLS-5700を投与する。0.1mLのID注入としてワクチンを投与し、続いてCELLECTRA(登録商標)-3Pデバイスを用いてEPする。参加者は、0、4、及び12週目に三角筋部に1回または2回の注入を受ける(3回のワクチン接種の連続)。
【表1】
【0169】
安全性を評価するために、「Toxicity Grading Scale for Healthy Adult and Adolescent Volunteers Enrolled in Preventive Vaccine Clinical Trials(付属書B)」を利用して、参加者を有害事象に関して監視し、検査は、現場の正常値に従って評価される。EPの直後、及びEPの30分後に疼痛を評価する。検査安全性評価を、第1のワクチン接種の1週間後ならびに第2及び第3のワクチン接種の2週間後にスクリーニングにおいて得る。有害事象を、最終ワクチン接種後12か月にわたって監視するが、これは注入部位反応の評価を含む。
【0170】
研究対象集団の選択基準は、以下の通りである。
a.年齢18~65歳;
b.参加に同意することができ、同意説明文書(ICF)に署名している;
c.全ての研究手順に従うことが可能であり、かつその意思がある;
d.妊娠の可能性がある女性は、医学的に有効な避妊法(経口避妊、バリア法、殺精子剤など)を使用すること、または登録から最後の注入後3か月間無精子のパートナーを有すること、もしくは妊娠を引き起こすことが医学的に不可能なパートナーを有することに同意する。
e.性的に繁殖力があると見なされる性的に活発な男性は、研究中にいずれかのバリア式避妊法を使用することに同意しなければならず、かつ最後の注入後少なくとも3か月使用し続けるか、または永久的に不妊であるか、もしくは妊娠することが医学的に不可能なパートナーを有することに同意する;
f. 正常なスクリーニングECGまたは臨床的に有意な所見がないスクリーニングECG;
g.スクリーニング検査は、正常限度内であるか、またはグレード0~1の所見のみを有しなければならない;
h.臨床的に有意な免疫抑制疾患または自己免疫疾患の既往歴なし。
i.デングウイルスワクチン接種または病気の既往歴なし、または黄熱ワクチン接種の既往歴なし。
j.スクリーニング検査評価によるベースラインにおいてデング血清陰性
k.現在、またはこの4週間以内、免疫抑制剤(コルチコステロイド、低用量のメトトレキサート、または10mg/日未満の用量もしくはステロイド用量当量のプレドニゾンを含有する吸入、局所皮膚、及び/または点眼薬を除外する)を服用していない。
【0171】
研究対象集団の除外基準は、以下の通りである。
a.現在、または第1の投与の30日以内のいずれかの治験化合物の投与;
b.参加者がプラセボを投与されたことが検証されている場合を除き、ジカウイルスの治療または予防のための治験製品を以前に投与されている;
c.第1の投与の4週間以内のいずれかのワクチンの投与;
d.第1の投与の4週間以内のいずれかのモノクローナルまたはポリクローナル抗体の投与
e.第1の投与の3か月以内のいずれかの血液製剤の投与;
f.研究の過程中の妊娠または授乳または妊娠の計画;
g.デングウイルスに対する陽性の血清学的結果(任意の血清型)、または過去のいずれかの時点におけるデングウイルスもしくは黄熱ウイルスワクチン接種のいずれかの投与の既往歴;
h.HIV、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、または治験責任医師もしくはメディカルモニターによって決定される潜在的に伝染性の感染病に対する陽性の血清学的試験;
i.C型肝炎に対する陽性の血清学的試験(除外:持続的ウイルス学的応答の確認を伴う治療の成功);
j.1.5を超えるクレアチニンによって測定される腎疾患のベースラインエビデンス(慢性腎疾患ステージII以上);
k.グレード2クレアチニンを除く、グレード2以上の異常を伴うベースラインスクリーニング検査(複数可);
l.慢性肝疾患または肝硬変;
m.血液学的悪性腫瘍を含む免疫抑制疾患、固形臓器または骨髄移植の既往歴;
n.進行中の、または予想される付随する免疫抑制療法(コルチコステロイド、低用量のメトトレキサート、または10mg/日以上の用量もしくはステロイド用量当量のプレドニゾンを含有する吸入、局所皮膚、及び/または点眼薬を除外する);
o.インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプトなどのTNF-α阻害剤を用いた進行中の、または予想される治療;
p.群割り当ての4週間以内の事前の大手術または任意の放射線療法;
q.任意の早期興奮症候群、例えば、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群;
r.心臓ペースメーカーまたは自動植え込み式除細動器(AICD)の存在
s.計画された注入部位(複数可)の20cm以内の金属インプラント;
t.計画された注入部位(複数可)における臨床的に有意な医学的状態としてのケロイド瘢痕形成または肥厚性瘢痕の存在。
u.刑事被告人または身体的もしくは精神的疾患のいずれかの治療のために強制的に拘留(強制収監)される参加者;
v.治験責任医師の意見によって、研究要件の順守または免疫学的エンドポイントの評価を妨げる積極的な薬物またはアルコールの摂取または依存;あるいは
w.ジカウイルス関連研究のための試料の保管及び将来の使用を認める意思がない
x.治験責任医師の意見によって、参加者の安全または任意の研究エンドポイントの評価に影響を及ぼす可能性がある任意の病気または状態。
【0172】
ジカ-002臨床プロトコル
第2の第1相試験は、プエルトリコのデング血清陽性成人においてID投与、続いて電気穿孔されたGLS-5700の安全性、耐性、及び免疫原性を評価するためのプラセボ対照、二重盲検研究であった。研究の第一目的は、デング血清陽性の健康な成人対象においてID注入、続いてEPによって投与されたときのGLS-5700の安全性及び耐性を、最終ワクチン投与から12週目まで評価することであった。
【0173】
本研究における一次安全性エンドポイントは、(1)器官別大分類(SOC)、基本語(PT)重症度、及びワクチン接種後12週目までの試験処置及びスケジュールとの関係によって分類される有害事象の発生、(2)投与(注入)部位反応(頻度及び重症度判定によって記載される)、及び最終ワクチン接種後12週目までの投与部位の疼痛、ならびに(3)頻度及び重症度判定によって記載される安全性の検査パラメータの変化(例えば、肝臓パネル試験及びバイタルサイン)を含む。本研究における二次安全性エンドポイントは、(1)デングウイルス血清陽性成人における最終ワクチン接種後1年を通じてGLS-5700の安全性を評価すること、ならびに(2)デングウイルス血清陽性成人においてID、続いてEPで送達されたGLS-5700の細胞性及び液性応答を評価することを含む。
【0174】
二次免疫学的エンドポイントは、(1)ELISAによって測定されるジカエンベロープ(E)に対する結合抗体力価、(2)中和アッセイで測定されるジカウイルスに対する中和抗体、ならびに(3)インターフェロン-γ(IFN-γ)ELISpot及び/または細胞内染色(ICS)アッセイによって決定されるジカウイルスに対する抗原特異的細胞免疫応答を含む。
【0175】
この第I相臨床試験は、ID注入、続いて電気穿孔(EP)を介して投与されたGLS-5700がデングウイルス血清陽性成人において安全、耐性、かつジカウイルスに対する免疫応答を生成することが可能であるかどうかを評価する。三角筋に皮内注入し、直後に、CELLECTRA(登録商標)-3Pデバイスを用いてEPする。
【0176】
GLS-5700は、ジカウイルスのプレ膜(prM)及びエンベロープ(E)タンパク質のコンセンサス配列をコードするプラスミドpGX7201を含有する。
【0177】
現在、ジカウイルスに対する承認された治療または予防ワクチンは存在していない。また、ジカウイルスに対するワクチン候補は、人体試験に進出していない。
【0178】
GLS-5700のID投与の評価:
対象(1群当たりn=80)を無作為化して、2mgのDNA/用量のGLS-5700(GLS-5700は、SSC中で製剤化される)またはプラセボ(SSC、GLS-5700のための組成緩衝液)のうちのいずれかを投与する。2回の0.1mLのID注入としてワクチンまたはプラセボを投与し、続いてCELLECTRA(登録商標)-3Pデバイスを用いてEPする。対象は、0、4、及び12週目に三角筋部にワクチン接種を受ける(3回のワクチン接種の連続、表2)。
【表2】
【0179】
安全性を評価するために、「Toxicity Grading Scale for Healthy Adult and Adolescent Volunteers Enrolled in Preventive Vaccine Clinical Trials(付属書B)」を利用して、対象を有害事象に関して監視し、検査は、現場の正常値に従って評価される。EPの30分後に疼痛を評価する。検査安全性評価を、該当する場合、第1のワクチン接種の1週間後ならびに第2及び第3のワクチン接種の2週間後にスクリーニングにおいて得る。注入部位反応の評価を含む有害事象を、最終ワクチン接種後12か月にわたって監視する。
【0180】
研究対象集団の選択基準は、以下の通りである。
a.年齢18~65歳;
b.参加に同意することができ、同意説明文書(ICF)に署名している;
c.全ての研究手順に従うことが可能であり、かつその意思がある;
d.妊娠の可能性がある女性は、医学的に有効な避妊法(経口避妊、バリア法、殺精子剤など)を使用すること、または登録から最後の注入後3か月間無精子のパートナーを有すること、もしくは妊娠を引き起こすことが医学的に不可能なパートナーを有することに同意する。
e.性的に繁殖力があると見なされる性的に活発な男性は、研究中にいずれかのバリア式避妊法を使用することに同意しなければならず、かつ最後の注入後少なくとも3か月使用し続けるか、または永久的に不妊であるか、もしくは妊娠することが医学的に不可能なパートナーを有することに同意する;
f.スクリーニングにおいてデングウイルス血清陽性;
g.正常なスクリーニングECGまたは臨床的に有意な所見がないスクリーニングECG;
h.スクリーニング検査は、正常限度内であるか、またはグレード0~1の所見のみを有しなければならない;
i.臨床的に有意な免疫抑制疾患または自己免疫疾患の既往歴なし。
j.デングウイルスワクチン接種の既往歴なし、または黄熱ワクチン接種の既往歴なし。
k.現在、またはこの4週間以内、免疫抑制剤(コルチコステロイド、低用量のメトトレキサート、または10mg/日未満の用量もしくはステロイド用量当量のプレドニゾンを含有する吸入、局所皮膚、及び/または点眼薬を除外する)を服用していない。
【0181】
研究対象集団の除外基準は、以下の通りである。
a.現在、または第1の投与の30日以内のいずれかの治験化合物の投与;
b.対象がプラセボを投与されたことが検証されている場合を除き、ジカウイルスの治療または予防のための治験製品を以前に投与されている;
c.第1の投与の4週間以内のいずれかのワクチンの投与;
d.第1の投与の4週間以内のいずれかのモノクローナルまたはポリクローナル抗体の投与
e.第1の投与の3か月以内のいずれかの血液製剤の投与;
f.研究の過程中の妊娠または授乳または妊娠の計画;
g.デングウイルスに対する陰性の血清学的結果
h.過去のいずれかの時点におけるデングウイルスまたは黄熱ウイルスワクチン接種のいずれかの投与の既往歴;
i.HIV、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、または治験責任医師もしくはメディカルモニターによって決定される潜在的に伝染性の感染病に対する陽性の血清学的試験の既往歴;
j.C型肝炎に対する陽性の血清学的試験(除外:持続的ウイルス学的応答の確認を伴う治療の成功);
k.1.5を超えるクレアチニンによって測定される腎疾患のベースラインエビデンス(慢性腎疾患ステージII以上);
l.グレード2クレアチニンを除く、グレード2以上の異常を伴うベースラインスクリーニング検査(複数可);
m.慢性肝疾患または肝硬変;
n.血液学的悪性腫瘍を含む免疫抑制疾患、固形臓器または骨髄移植の既往歴;
o.進行中の、または予想される付随する免疫抑制療法(コルチコステロイド、低用量のメトトレキサート、または10mg/日以上の用量もしくはステロイド用量当量のプレドニゾンを含有する吸入、局所皮膚、及び/または点眼薬を除外する);
p.インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプトなどのTNF-α阻害剤を用いた進行中の、または予想される治療;
q.群割り当ての4週間以内の事前の大手術または任意の放射線療法;
r.任意の早期興奮症候群、例えば、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群;
s.心臓ペースメーカーまたは自動植え込み式除細動器(AICD)の存在
t.計画された注入部位(複数可)の20cm以内の金属インプラント;
u.計画された注入部位(複数可)における臨床的に有意な医学的状態としてのケロイド瘢痕形成または肥厚性瘢痕の存在。
v.刑事被告人または身体的もしくは精神的疾患のいずれかの治療のために強制的に拘留(強制収監)される対象;
w.治験責任医師の意見によって、研究要件の順守または免疫学的エンドポイントの評価を妨げる積極的な薬物またはアルコールの摂取または依存;あるいは
x.ジカウイルス関連研究のための試料の保管及び将来の使用を認める意思がない
y.治験責任医師の意見によって、対象の安全または任意の研究エンドポイントの評価に影響を及ぼす可能性がある任意の病気または状態。
【0182】
臨床結果
0日目及び4週目にpZV-prME DNAで患者を免疫化した(図39~42)。結合レスポンダーの割合を決定するために、ジカエンベロープタンパク質で覆われたプレート内で指示された希釈において血清をインキュベートし、二次抗体は、全IgG応答を検出した。
【0183】
Vero細胞は、ジカウイルスに感染し、3日後、細胞を固定し、次いで、0日目及び6週目からの1:100希釈の血清でインキュベートする。
【0184】
患者の血清のIC50(Vero細胞のZIKV PR209感染を50%中和する血清の希釈)を決定することによって、中和研究を実施した。
【0185】
図39Aは、結合ELISAアッセイの結果を提供する。図39Bは、受動的移入及び防御を実証する実験結果を提供する。
【0186】
図40は、2回目の投与後の抗ヒトIgG-AF488染色の増加を示す例示的な免疫蛍光データを提供する。
【0187】
図41は、結合レスポンダーの特性化を実証するデータを提供する。
【0188】
図42は、2回目の投与後に中和の増加があったことを実証するデータを提供する。
図1
図2
図3
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図5
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図40
図41-1】
図41-2】
図42
【配列表】
2022023241000001.app
【外国語明細書】