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  • 特開-二次電池の製造方法及び二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023262
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法及び二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220201BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20220201BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M2/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126067
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 茂樹
【テーマコード(参考)】
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA01
5H028BB05
5H028BB15
5H028BB17
5H028CC08
5H028EE01
5H043AA03
5H043BA11
5H043CA04
5H043CA05
5H043DA13
5H043FA04
5H043HA17D
5H043HA18D
5H043JA13F
5H043KA08F
5H043KA09F
(57)【要約】
【課題】接合された金属部品の通電性能を高めることが可能な二次電池の製造方法及び二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池50の製造方法は、二次電池50が備える第1の金属部品51と第2の金属部品60とを電磁圧接して接合する電磁圧接工程と、電磁圧接工程によって接合されていない第1の金属部品51及び第2の金属部品60の間の未接合部にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の製造方法であって、
前記二次電池が備える第1の金属部品と第2の金属部品とを電磁圧接して接合する電磁圧接工程と、
前記電磁圧接工程によって接合されていない前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品の間の未接合部にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接工程と
を含む、二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記電磁圧接工程は、複数の前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品を同時に電磁圧接する、請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品は、同種の金属で形成される、請求項1又は2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品は、アルミで形成される、請求項3に記載の二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品は、異種の金属で形成される、請求項1又は2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記第1の金属部品はアルミで形成され、前記第2の金属部品は銅で形成される、請求項5に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
第1の金属部品及び第2の金属部品を備えた二次電池であって、
前記第1の金属部品と前記第2の金属部品との接合面には、電磁圧接されている部分と、レーザ溶接されている部分とが含まれることを特徴とする、二次電池。
【請求項8】
前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品は、同種の金属で形成される、請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品は、アルミで形成される、請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記第1の金属部品及び前記第2の金属部品は、異種の金属で形成される、請求項7に記載の二次電池。
【請求項11】
前記第1の金属部品はアルミで形成され、前記第2の金属部品は銅で形成される、請求項10に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の製造方法及び二次電池に関する。
【0002】
現在、電力を駆動力として利用するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車等の車両では、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池が搭載されている。二次電池には、多くの金属部品が含まれており、それらが接合されて製造される。
【0003】
金属部品を接合する方法の一例として、特許文献1は、積層された金属板をコの字型コイルの間に通して電磁圧接した後、金属板を貫通するように配置された銅細線に通電して溶融させて接合する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6210489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コイルの近傍では大きな電磁力が発生するため、積層された金属板の接合面の間に隙間が残る可能性がある。この場合、金属板に配置された銅細線を溶融させるだけでは、金属板の接合面の間の隙間を埋めることができず、接合された金属板の通電性能が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、接合された金属部品の通電性能を高めることが可能な二次電池の製造方法及び二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池の製造方法は、二次電池が備える第1の金属部品と第2の金属部品とを電磁圧接して接合する電磁圧接工程と、電磁圧接工程によって接合されていない第1の金属部品及び第2の金属部品の間の未接合部にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接工程とを含む。
【0008】
また、電磁圧接工程は、電磁圧接に使用するコイルを、第1の金属部品及び第2の金属部品の一方側から第1の金属部品及び第2の金属部品に接近させて電磁圧接することができる。
【0009】
さらに、電磁圧接工程は、複数の第1の金属部品及び第2の金属部品を同時に電磁圧接することができる。
【0010】
本発明の例示的な一実施形態に係る二次電池は、第1の金属部品及び第2の金属部品を備えており、第1の金属部品と第2の金属部品との接合面には、電磁圧接されている部分と、レーザ溶接されている部分とが含まれる。
【0011】
第1の金属部品及び第2の金属部品は、同種の金属で形成してもよい。例えば、第1の金属部品及び第2の金属部品は、アルミで形成してもよい。
【0012】
また、第1の金属部品及び第2の金属部品は、異種の金属で形成してもよい。例えば、第1の金属部品をアルミで形成し、第2の金属部品を銅で形成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、接合された金属部品の通電性能を高めることが可能な二次電池の製造方法及び二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電磁圧接システム及び電磁圧接工程を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接工程を示す図である。
図3】電磁圧接後の金属部品を示す図である。
図4】電磁圧接後の金属部品と、レーザ照射後の金属部品を示す概略図である。
図5】接合対象の金属部品の接合面積率の一例を示す図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る電磁圧接工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法は、二次電池に含まれる接合対象の金属部品を電磁圧接する電磁圧接工程と、電磁圧接された金属部品をレーザ溶接するレーザ溶接工程とを含む。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る電磁圧接工程を示す図である。電磁圧接工程では、図1に示すような電磁圧接システム10が利用される。電磁圧接システム10は、駆動電源20と、スイッチ30と、コイル40とを含む。これらの装置及び部品は、電力線80によって接続される。
【0017】
駆動電源20は、コイル40に電力を供給する装置である。駆動電源20は、コンデンサ21を備える。スイッチ30は、駆動電源20とコイル40との間に設置される。スイッチ30が閉じられると、コンデンサ21に蓄電された電力が、電力線80を介してコイル40に供給される。
【0018】
コイル40は、接合対象の金属部品51,60の一方側に配置される。図1に示す例では、接合対象の金属部品51,60の上方にコイル40が配置される。コイル40は、駆動電源20から電力が供給されると、電磁誘導により、図1に示すように磁力線を発生させる。なお、図1に示す実施形態では、円形のコイルを採用しているが、コイルの形状は、これに限定されない。例えば、四角形や楕円形等の種々の形状のコイルを使用することができる。
【0019】
図1に示す実施形態では、接合対象の金属部品の一例として、2つの二次電池50の電極端子51同士を接続するバスバー60が採用される。接合対象の金属部品51,60は、コイル40から発生する磁力線の進行方向前方に配置される。接合対象の金属部品51,60は、電磁圧接によって接合すべく、間隔を空けて配置される。
【0020】
金属部品51,60は、同種の金属で形成することができる。例えば、正極では、電極端子51及びバスバー60をアルミで形成することができる。また、金属部品51,60は、異種の金属で形成することができる。例えば、負極では、電極端子51をアルミで形成し、バスバー60を銅で形成することができる。なお、金属部品51,60を形成する金属として、導電性の高い他の金属を用いてもよい。
【0021】
電磁圧接工程では、図1に示すように、電磁圧接に使用するコイル40を、接合対象の金属部品51,60の一方側から当該金属部品に接近させて電磁圧接する。より詳細には、コイル40で発生した電磁力により、バスバー60が電極端子51に向かって付勢され、電極端子51に衝突する。その結果、バスバー60と電極端子51が接合される。このとき、コイル40の近傍、例えば、コイル40の直下では、大きな電磁力が発生する可能性がある。この場合、コイル40の直下に配置されたバスバー60と電極端子51の一部が接合されず、図3に示すように、バスバー60と電極端子51の間に隙間、すなわち、未接合部が生じる可能性がある。そのため、本発明では、接合対象の金属部品51,60を電磁圧接した後、接合された金属部品51,60をレーザ溶接する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接工程を示す図である。本実施形態では、上述した電磁圧接工程によって接合されていない金属部品51,60の間の未接合部を標的としてレーザ光70を照射する。金属部品51,60の間の未接合部は、例えば、電磁圧接工程においてコイル40の直下に配置された金属部品51,60の位置から推定することができる。レーザ溶接工程では、金属部品51,60の間の未接合部に到達する出力のレーザ光70が使用される。レーザ光70は、金属部品51,60の形状に応じて種々の方向から照射することができる。例えば、図2に示す例では、金属部品60の側からレーザ光70を照射することが好ましい。
【0023】
上述した通り、本実施形態に係る二次電池50の製造方法は、二次電池50が備える第1の金属部品51と第2の金属部品60とを電磁圧接して接合する電磁圧接工程と、電磁圧接工程によって接合されていない第1の金属部品51及び第2の金属部品60の間の未接合部にレーザ光を照射して溶接するレーザ溶接工程とを含む。
【0024】
電磁圧接された金属部品51,60の境界面は、衝撃に伴う金属ジェットによって酸化膜や油分等が除去され、金属原子が拡散し易い状態になる。この状態の金属部品60にレーザを照射して溶融させると、図4に示すように、液相拡散が発現して未接合部が消失する。その結果、接合された金属部品51,60の通電性能を高めることができる。この効果は、電磁圧接工程が施されていない金属部品をレーザ溶接しても得ることができない。
【0025】
接合対象の金属部品51,60の間の未接合部にレーザ溶接工程を施した結果、これらの金属部品の接合面には、図4に示すように、電磁圧接されている部分(電磁圧接接合部)と、レーザ溶接されている部分(液相拡散接合部)が生成されることになる。
【0026】
図5は、接合対象の金属部品の接合面積率の一例を示す図である。図5には、接合対象の金属部品に電磁圧接を施した後、レーザ溶接を施したときの接合面積率と、接合対象の金属部品に電磁圧接を施した後、さらに電磁圧接を施したときの接合面積率と、接合対象の金属部品に電磁圧接を施した後、超音波溶接を施したときの接合面積率が示されている。
【0027】
図5に示すように、電磁圧接後にレーザ溶接を施したときの接合面積率が最も高い結果となった。また、電磁圧接後にレーザ溶接を1回施したときの接合面積率は、電磁圧接を3回施したときの接合面積率よりも高い結果となった。これは、電磁圧接はある程度の隙間が空いていないと接合しないが、電磁圧接を1回施すことにより生じた未接合部の隙間は小さいため、電磁圧接後にさらに電磁圧接後をした場合は、電磁圧接後にレーザ溶接を施した場合と比べて、接合面積率の増加が小さくなるからである。
【0028】
さらに、電磁圧接後にレーザ溶接を1回施したときの接合面積率は、電磁圧接後に超音波溶接を1回又は2回施したときの接合面積率よりも高い結果となった。これは、超音波溶接には振動により接合を引き離す効果もあるため、電磁圧接後にさらに超音波溶接をした場合は、電磁圧接後にレーザ溶接を施した場合と比べて、接合面積率の増加が小さくなるからである。これらの結果から、本発明の二次電池の製造方法は、接合対象の金属部品の接合面を効率良く生成することができ、二次電池の生産性が向上することが判明した。
【0029】
また、上述した実施形態では、接合対象の金属部品51,60の一方側からコイル40を接近させて電磁圧接する。換言すると、コイル40の間に接合対象の金属部品51,60を通さない。そのため、接合対象の金属部品51,60をコイル40の間に通す工程を省略することができ、二次電池の生産性を向上させることができる。
【0030】
<他の実施形態>
図6は、本発明の別の実施形態に係る電磁圧接工程を示す図である。図6は、複数のコイル40、複数の二次電池50、及び複数の金属部品60を上方から見た図である。図6に示すように、複数の二次電池50が隣り合うように配列される。また、バスバー60が、電極端子51(図示せず)に対向するように、隣り合う2つの二次電池50の上方に配置される。さらに、複数のコイル40が、二次電池50の電極端子51及びバスバー60の上方に配置される。
【0031】
このように二次電池50の電極端子51及びバスバー60を配置して、電極端子51及びバスバー60の一方側からコイル40を接近させて電磁圧接することにより、複数の電極端子51及びバスバー60を同時に電磁圧接することができる。そのため、二次電池の生産性を向上させることができる。
【0032】
また、他の実施形態では、接合対象の金属部品として、上述した電極端子及びバスバーの他、二次電池に含まれる電極ワッシャ、カシメ、及び集電体等の種々の金属部品を採用することができる。
【0033】
本発明は上述した実施形態に限られたものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 電磁圧接システム
20 駆動電源
21 コンデンサ
30 スイッチ
40 コイル
50 二次電池
51 電極端子
60 バスバー
70 レーザ光
80 電力線
図1
図2
図3
図4
図5
図6