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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023269
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ホローバック本
(51)【国際特許分類】
   B42B 9/02 20060101AFI20220201BHJP
   B42D 1/00 20060101ALI20220201BHJP
   B42C 11/04 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B42B9/02
B42D1/00 A
B42C11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126085
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】503343727
【氏名又は名称】株式会社渋谷文泉閣
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 鎮
(57)【要約】
【課題】表紙において中身の背部と対向している部位に破れが生じる事態を好適に回避し得るホローバック本を提供する。
【解決手段】複数の紙葉11が背部において一体に接着された中身2と、中身2を包む表紙4aと、偏平な筒状に形成されて中身2と表紙4aとの間に配置されると共に一方の片側3aの外面が表紙4aの背部における裏面に接着され、かつ他方の片側3bの外面が中身2の背部に接着されて中身2と表紙4aとを連結する背紙3とを備えたホローバック本1Aであって、表紙4aは、1枚の表紙用材料で構成されると共に、表紙用材料の外縁部が裏面側に折り返され、かつ表紙用材料の折返し部位21aが表紙用材料の非折返し部位21bに接着されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の紙葉が背部において一体に接着された中身と、当該中身を包む表紙と、偏平な筒状に形成されて前記中身と前記表紙との間に配置されると共に中身側部位の外面が当該中身の背部に接着され、かつ表紙側部位の外面が当該表紙の背部における裏面に接着されて当該中身と当該表紙とを連結する背紙とを備えたホローバック本であって、
前記表紙は、1枚の表紙用材料で構成されると共に、当該表紙用材料の外縁部が裏面側に折り返され、かつ当該表紙用材料の折返し部位が当該表紙用材料の非折返し部位に接着されているホローバック本。
【請求項2】
複数の紙葉が背部において一体に接着された中身と、当該中身を包む表紙と、偏平な筒状に形成されて前記中身と前記表紙との間に配置されると共に中身側部位の外面が当該中身の背部に接着され、かつ表紙側部位の外面が当該表紙の背部における裏面に接着されて当該中身と当該表紙とを連結する背紙とを備えたホローバック本であって、
前記表紙は、1枚の紙片で構成された表紙本体と、当該表紙本体の表面における背部に接着された帯状部材とを備えているホローバック本。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の紙葉が背部において一体に接着された中身と表紙との間に偏平な筒状の背紙が配置されて中身と表紙とが背紙によって連結されたホローバック本に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のホローバック本として、出願人は、中身、筒状の背紙(クーター)および表紙を備えたホローバック本を下記の特許文献に開示している。このホローバック本の製本に際しては、最初に、表紙において中身の背部に対向する部位に接着剤を塗布した後に筒状の背紙を貼り付ける。次いで、表紙に接着した背紙に接着剤を塗布した後に、接着剤の塗布部位(背紙)に中身の背部を接着する。続いて、中身におけるきき紙を表紙の内面に接着する。これにより、ホローバック本が完成する。このようにして製本されたホローバック本では、表紙および中身に筒状の背紙が接着されて背部が強化されている。これにより、中身を左右に開いたときに、中身の背部や、表紙において中身の背部と対向している部位に破れが生じ難くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4146844号公報(第3-6頁、第1-4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、出願人が開示しているホローバック本には、以下のような改善すべき課題がある。具体的には、出願人が開示しているホローバック本では、中身と表紙との間に筒状の背紙を接着して強化することにより、中身の背部や、表紙において中身の背部と対向している部位に破れが生じるのを回避可能な構成が採用されている。より具体的には、出願人が開示しているホローバック本では、中身を開いたときときに、中身の背部と、表紙において中身の背部と対向している部位とがそれぞれ弧状に変形することで、中身や表紙に局所的な変形(変形に伴う応力の集中)が生じるのを回避する構成が採用されている。
【0005】
しかしながら、上記のように構成されたホローバック本では、中身を開いたときに、中身の背部と、表紙において中身の背部と対向している部位とが互いに離間する向きに変形するため、背紙において中身に接着されている部位と、背紙において表紙に接着されている部位との間に隙間が生じた状態となる。したがって、例えば、中身を開いた状態で表紙を下向きにして机や棚の上に載置したホローバック本を載置面に対して滑らせるようにして移動させるといった乱雑な取り扱いをされたときに、表紙の背部(中身の背部から離間している部位)における天側の縁部や底側の縁部が載置面上の突起物などに引っ掛かり易くなっている。このため、背紙が接着されて強化されているにも拘わらず、表紙の背部、および表紙に接着されている背紙に破れが生じるおそれがあり、この点を改善するのが好ましい。
【0006】
本発明は、上記の改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、表紙において中身の背部と対向している部位に破れが生じる事態を好適に回避し得るホローバック本を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、請求項1記載のホローバック本は、複数の紙葉が背部において一体に接着された中身と、当該中身を包む表紙と、偏平な筒状に形成されて前記中身と前記表紙との間に配置されると共に中身側部位の外面が当該中身の背部に接着され、かつ表紙側部位の外面が当該表紙の背部における裏面に接着されて当該中身と当該表紙とを連結する背紙とを備えたホローバック本であって、前記表紙は、1枚の表紙用材料で構成されると共に、当該表紙用材料の外縁部が裏面側に折り返され、かつ当該表紙用材料の折返し部位が当該表紙用材料の非折返し部位に接着されている。
【0008】
また、請求項2記載のホローバック本は、複数の紙葉が背部において一体に接着された中身と、当該中身を包む表紙と、偏平な筒状に形成されて前記中身と前記表紙との間に配置されると共に中身側部位の外面が当該中身の背部に接着され、かつ表紙側部位の外面が当該表紙の背部における裏面に接着されて当該中身と当該表紙とを連結する背紙とを備えたホローバック本であって、前記表紙は、1枚の紙片で構成された表紙本体と、当該表紙本体の表面における背部に接着された帯状部材とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のホローバック本では、偏平な筒状に形成されて中身と表紙との間に配置されると共に中身側部位の外面が中身の背部に接着され、かつ表紙側部位の外面が表紙の背部における裏面に接着されて中身と表紙とを連結する背紙を備え、表紙が、1枚の表紙用材料で構成されると共に、表紙用材料の外縁部が裏面側に折り返され、かつ表紙用材料の折返し部位が表紙用材料の非折返し部位に接着されている。
【0010】
したがって、請求項1記載のホローバック本では、表紙の背部における天側の縁部および底側の縁部が、折返し部位および非折返し部位と背紙の表紙側部位との三重構造となって十分に強化されている。このため、このホローバック本によれば、例えば、中身が左右に開かれて、背部において表紙および表紙側部位が中身および中身側部位から離間した状態において、表紙の背部における両縁部のいずれかが突起物等に引っ掛かったとしても、表紙の背部や背紙の表紙側部位に破れが生じる事態を好適に回避することができる。また、このホローバック本によれば、表紙の裏面における外縁部に折返し部位が額縁のように配置された非常に趣向性の高いホローバック本を提供することができる。
【0011】
また、請求項2記載のホローバック本では、偏平な筒状に形成されて中身と表紙との間に配置されると共に中身側部位の外面が中身の背部に接着され、かつ表紙側部位の外面が表紙の背部における裏面に接着されて中身と表紙とを連結する背紙を備え、表紙が、1枚の紙片で構成された表紙本体と、表紙本体の表面における背部に接着された帯状部材とを備えている。
【0012】
したがって、請求項2記載のホローバック本では、表紙の背部における天側の縁部および底側の縁部が、表紙本体および帯状部材と背紙の表紙側部位との三重構造となって十分に強化されている。このため、このホローバック本によれば、例えば、中身が左右に開かれて、背部において表紙および表紙側部位が中身および中身側部位から離間した状態において、表紙の背部における両縁部のいずれかが突起物等に引っ掛かったとしても、表紙の背部や背紙の表紙側部位に破れが生じる事態を好適に回避することができる。また、このホローバック本によれば、表紙本体および帯状部材の紙色や紙質を異ならせることにより、表紙の表面における背部がその他の部位とは相違するように見える非常に趣向性の高いホローバック本を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ホローバック本1Aの外観斜視図である。
図2】中身2の厚み方向における中央部で開いた状態のホローバック本1Aを天部側から見た外観図である。
図3】ホローバック本1Aにおける背部の拡大断面図である。
図4】表紙4aの製造工程について説明するための説明図である。
図5】表紙4aに背紙3を接着する工程について説明するための説明図である。
図6】背紙3に中身2を接着する工程について説明するための説明図である。
図7】ホローバック本1Bの外観斜視図である。
図8】中身2の厚み方向における中央部で開いた状態のホローバック本1Bを天部側から見た外観図である。
図9】ホローバック本1Bにおける背部の拡大断面図である。
図10】表紙4bの製造工程について説明するための説明図である。
図11】表紙4bに背紙3を接着する工程について説明するための説明図である。
図12】背紙3に中身2を接着する工程について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るホローバック本の実施の形態について説明する。
【0015】
図1~3に示すホローバック本1Aは、「ホローバック本」の一例であって、中身2、背紙(クーター)3および表紙4aを備え、並製本として構成されている。中身2は、「中身」の一例であって、複数の紙葉11,11・・、および各紙葉11を挟んで配設された一対の見返し12,12を備え、これらが背部において接着されて一体化されている。この場合、見返し12は、中身2側(各紙葉11の側)に配設された遊び紙12aと、中身2の外側に配置されたきき紙12bとを備えており、本例のホローバック本1Aでは、一例として、遊び紙12aが紙葉11に接着されず、かつきき紙12bが表紙4aに接着されずに製本されている。
【0016】
背紙3は、「背紙」の一例であって、クラフト紙(好ましくは、さらしクラフト紙)によって偏平な筒状(円筒形を断面の直径方向に沿って押し潰した形状)に形成されると共に、中身2と表紙4aとの間に配設されて両者を連結する部材として機能する。この背紙3は、一例として、背紙3用の紙片において対向する縁部を重ねるようにして筒状に丸めた状態で重なり部位を接着することにより、単体で筒形を維持可能に作製される。なお、図1~3や、後に参照する図7~9では、背紙3用の紙片における重なり部位の図示を省略している。
【0017】
また、背紙3は、図3に示すように、偏平状態における一方の片側3aの外面(「表紙側部位の外面」の一例)が接着剤6によって表紙4aにおいて中身2と対向する部位に接着されると共に、他方の片側3bの外面(「中身側部位の外面」の一例)が接着剤7によって中身2の背部に接着されている。なお、同図では、ホローバック本1Aにおける背部の構造に関する理解を容易とするために、上記の接着剤6,7の層、および後述の接着剤5aの層の厚みを厚く図示している。この場合、本例のホローバック本1Aでは、一例として、偏平状態の背紙3の幅が中身2における背部の幅(中身2の厚み)と同等となるように規定されている。
【0018】
表紙4aは、「表紙」の一例であって、後述するように、中身2を包んでホローバック本1Aの表装を構成する。この表紙4aは、図4に示す1枚の表紙用材料21(「表紙用材料」の一例)によって製作されている。この場合、表紙用材料21は、紙片における4つの角部が切断されて平面視八角形状に形成されている。
【0019】
このホローバック本1Aの製本に際しては、中身2、背紙3および表紙4aをそれぞれ製作する。なお、各紙葉11や見返し12から中身2を製作する工程については公知のため、詳細な説明を省略する。また、背紙3の製作工程についても前述したとおりのため、重複する説明を省略する。
【0020】
一方、表紙4aの製作に際しては、図4に示すように、まず、表紙用材料21の裏面F21b(製本された状態において中身2の見返し12と接する面)における領域A5aに接着剤5aを塗布する。この場合、領域A5aは、次の工程において表紙用材料21の裏面F21bにおいて四辺を一点鎖線Lの位置で折り返したときに各折返し部位21aの縁部が非折返し部位21bに接する領域である。次いで、上記したように、表紙用材料21の裏面F21bにおいて四辺を折り返すことにより、各折返し部位21aの縁部を接着剤5aによって非折返し部位21bの領域A5aにそれぞれ接着する。これにより、図5に示すように、表紙4aが完成する。なお、以下の説明においては、表紙用材料21の表面F21aにおける折返し部位21aを含めて裏面F21bという。
【0021】
次いで、表紙4aに背紙3を接着する。この際には、表紙4aの裏面F21bにおいて中身2の背部と対向させる領域A6(表紙4aの背部における裏面F21b)に接着剤6を塗布した後に、背紙3の一方の片側3aを領域A6に接着する。これにより、表紙4aと背紙3とが一体化した状態となる。続いて、図6に示すように、表紙4aに接着された背紙3に中身2を接着する。この際には、背紙3における領域A7(他方の片側3bの全域)に接着剤7を塗布した後に、中身2の背部を領域A7に接着する。これにより、背紙3を介して表紙4aと中身2とが一体化した状態となり、ホローバック本1Aの製本が完了する。
【0022】
このようにして製本されたホローバック本1Aでは、出願人が前述の特許文献に開示しているホローバック本と同様にして、背紙3の一方の片側3aが接着剤6によって表紙4aに接着されて表紙4aの背部が強化されると共に、背紙3の他方の片側3bが接着剤7によって中身2に接着されて中身2の背部が強化されている。また、本例のホローバック本1Aでは、表紙4aを構成する表紙用材料21の四辺が裏面側に折り返されて折返し部位21aが接着剤5aによって非折返し部位21bに接着されており、表紙4aの縁部が、折返し部位21aおよび非折返し部位21bの二重構造となっている。これにより、このホローバック本1Aでは、背紙3の一方の片側3aを接着したことによる強化に加えて、表紙4aの背部そのものが十分に強化されている。
【0023】
このように、このホローバック本1Aでは、偏平な筒状に形成されて中身2と表紙4aとの間に配置されると共に一方の片側3aの外面が表紙4aの背部における裏面F21bに接着され、かつ他方の片側3bの外面が中身2の背部に接着されて中身2と表紙4aとを連結する背紙3を備え、表紙4aが、1枚の表紙用材料21で構成されると共に、表紙用材料21の外縁部が裏面F21b側に折り返され、かつ表紙用材料21の折返し部位21aが表紙用材料21の非折返し部位21bに接着されている。
【0024】
したがって、このホローバック本1Aでは、表紙4aの背部における天側の縁部および底側の縁部が、折返し部位21aおよび非折返し部位21bと背紙3の一方の片側3aとの三重構造となって十分に強化されている。このため、このホローバック本1Aによれば、例えば、中身2が左右に開かれて、背部において表紙4aおよび一方の片側3aが中身2および他方の片側3bから離間した状態において、表紙4aの背部における両縁部のいずれかが突起物等に引っ掛かったとしても、表紙4aの背部や背紙3の一方の片側3aに破れが生じる事態を好適に回避することができる。また、このホローバック本1Aによれば、表紙4aの裏面F21bにおける外縁部に折返し部位21aが額縁のように配置された非常に趣向性の高いホローバック本1Aを提供することができる。
【0025】
次に、「ホローバック本」の他の実施の形態について説明する。
【0026】
図7~9に示すホローバック本1Bは、「ホローバック本」の他の一例であって、中身2、背紙(クーター)3および表紙4bを備え、前述のホローバック本1Aと同様にして、並製本として構成されている。なお、このホローバック本1Bにおいてホローバック本1Aの構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
この場合、ホローバック本1Bにおける中身2の見返し12では、一例として、遊び紙12aが紙葉11に接着されず、かつきき紙12bが表紙4bに接着されている。また、ホローバック本1Bの背紙3は、図9に示すように、偏平状態における一方の片側3aの外面が接着剤6によって表紙4bにおいて中身2と対向する部位に接着されると共に、他方の片側3bの外面が接着剤7によって中身2の背部に接着されている。なお、同図では、ホローバック本1Bにおける背部の構造に関する理解を容易とするために、接着剤6,7の層、および後述の接着剤5bの層の厚みを厚く図示している。
【0028】
表紙4bは、「表紙」の他の一例であって、後述するように、中身2を包んでホローバック本1Bの表装を構成する。この表紙4bは、図10に示すように、表紙本体31(「表紙本体」の一例)および帯状部材32(「帯状部材」の一例)の2枚の紙片が接着されて構成されている。
【0029】
このホローバック本1Bの製本に際しては、中身2、背紙3および表紙4bをそれぞれ製作する。なお、ホローバック本1Aの製本工程に関する説明と同様にして、中身2および背紙3の製作工程に関する説明を省略する。
【0030】
一方、表紙4bの製作に際しては、図10に示すように、まず、表紙本体31の表面F31aにおける領域A5bに接着剤5bを塗布する。この場合、領域A5bは、次の工程において帯状部材32を接着する領域であって、表紙4b(ホローバック本1B)の背部を構成する部位の全域と、表紙4bにおける表表紙の背部側の一部、および表紙4bにおける裏表紙の背部側の一部とを含むように規定されている。次いで、上記したように、表紙本体31の表面F31aにおける領域A5bに帯状部材32を接着する。これにより、図11に示すように、表紙4bが完成する。なお、以下の説明においては、表紙本体31の表面F21aおよび表紙本体31に接着された帯状部材32の外面を含めて表面F31aという。
【0031】
次いで、表紙4bに背紙3を接着する。この際には、表紙4b(表紙本体31)の裏面F31bにおいて中身2の背部と対向させる領域A6(表紙4bの背部における裏面F31b)に接着剤6を塗布した後に、背紙3の一方の片側3aを領域A6に接着する。これにより、表紙4bと背紙3とが一体化した状態となる。続いて、図12に示すように、表紙4bに接着された背紙3に中身2を接着する。この際には、背紙3における領域A7(他方の片側3bの全域)に接着剤7を塗布した後に、中身2の背部を領域A7に接着する。
【0032】
この後、表紙4bの裏面F31bにおける2つの領域A8(一例として、裏面F31bにおける前小口側の各領域)に接着剤8を塗布した後に、この各領域A8に中身2の見返し12における各きき紙12bをそれぞれ接着する。これにより、背紙3を介して表紙4bと中身2とが一体化した状態となり、ホローバック本1Bの製本が完了する。
【0033】
このようにして製本されたホローバック本1Bでは、出願人が前述の特許文献に開示しているホローバック本や前述のホローバック本1Aと同様にして、背紙3の一方の片側3aが接着剤6によって表紙4bに接着されて表紙4bの背部が強化されると共に、背紙3の他方の片側3bが接着剤7によって中身2に接着されて中身2の背部が強化されている。また、本例のホローバック本1Bでは、表紙4bにおける背部において表紙本体31に帯状部材32が接着剤5bによって接着されており、表紙4bの縁部が、表紙本体31および帯状部材32の二重構造となっている。これにより、このホローバック本1Bでは、背紙3の一方の片側3aを接着したことによる強化に加えて、表紙4bの背部そのものが十分に強化されている。
【0034】
このように、このホローバック本1Bでは、偏平な筒状に形成されて中身2と表紙4bとの間に配置されると共に一方の片側3aの外面が表紙4bの背部における裏面F31bに接着され、かつ他方の片側3bの外面が中身2の背部に接着されて中身2と表紙4bとを連結する背紙3を備え、表紙4bが、1枚の紙片で構成された表紙本体31と、表紙本体31の表面F31aにおける背部に接着された帯状部材32とを備えている。
【0035】
したがって、このホローバック本1Bでは、表紙4bの背部における天側の縁部および底側の縁部が、表紙本体31および帯状部材32と背紙3の一方の片側3aとの三重構造となって十分に強化されている。このため、このホローバック本1Bによれば、例えば、中身2が左右に開かれて、背部において表紙4bおよび一方の片側3aが中身2および他方の片側3bから離間した状態において、表紙4bの背部における両縁部のいずれかが突起物等に引っ掛かったとしても、表紙4bの背部や背紙3の一方の片側3aに破れが生じる事態を好適に回避することができる。また、このホローバック本1Bによれば、表紙本体31および帯状部材32の紙色や紙質を異ならせることにより、表紙4bの表面F31aにおける背部がその他の部位とは相違するように見える非常に趣向性の高いホローバック本1Bを提供することができる。
【0036】
なお、「ホローバック本」の構成は、上記のホローバック本1A,1Bの構成の例に限定されない。例えば、ホローバック本1A,1Bにおいて遊び紙12aを紙葉11に接着する構成を採用したり、ホローバック本1Aにおいてきき紙12bを表紙4aに接着する構成を採用したり、ホローバック本1Bにおいてきき紙12bを表紙4bに接着しない構成を採用したりすることができる。また、ホローバック本1Bにおける表紙4bに代えて、表紙本体31の背部に帯状部材32を接着せずに、表表紙の背部側、および裏表紙の背部側となる部位だけで表紙本体31に帯状部材32を接着する構成を採用することもできる。これらの構成を採用した「ホローバック本」においても、前述のホローバック本1A,1Bと同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0037】
1A,1B ホローバック本
2 中身
3 背紙
3a 一方の片側
3b 他方の片側
4a,4b 表紙
5a,5b,6~8 接着剤
11 紙葉
12 見返し
12a 遊び紙
12b きき紙
21 表紙用材料
21a 折返し部位
21b 非折返し部位
31 表紙本体
32 帯状部材
A5a,A5b,A6~A8 領域
F21a,F31a 表面
F21b,F31b 裏面
L 一点鎖線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12