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特開2022-23271電池の面接合構造及び接合状態検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023271
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】電池の面接合構造及び接合状態検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/60 20210101AFI20220201BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20220201BHJP
   H01M 50/147 20210101ALI20220201BHJP
【FI】
H01M2/36 101D
B23K20/10
H01M2/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126087
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 茂樹
【テーマコード(参考)】
4E167
5H011
5H023
【Fターム(参考)】
4E167CA20
4E167DA04
5H011AA03
5H011CC06
5H011DD03
5H011DD07
5H011DD13
5H011KK02
5H023AS01
5H023AS03
5H023BB05
5H023BB09
5H023CC01
5H023CC11
5H023CC14
5H023CC30
(57)【要約】
【課題】従来の電池の接合面構造では、接合強度を非破壊で検査することができなかった。
【解決手段】本発明の電池の面接合構造は、電池用金属部材同士が接合させる面接合構造であって、接合される電池用前記金属部材の一方であるベース部材と、接合される電池用前記金属部材の他方である被接合部材と、を有し、ベース部材と被接合部材の少なくとも一方には、ベース部材と被接合部材とが接する接合面に溝16が形成され、ベース部材と被接合部材とが接合された状態において、溝16は、接合前に比べて少なくとも70%以上が消失した状態となっている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用金属部材同士が接合させる面接合構造であって、
接合される電池用前記金属部材の一方であるベース部材と、
接合される電池用前記金属部材の他方である被接合部材と、を有し、
前記ベース部材と前記被接合部材の少なくとも一方には、前記ベース部材と前記被接合部材とが接する接合面に溝が形成され、
前記ベース部材と前記被接合部材とが接合された状態において、前記溝は、接合前に比べて少なくとも70%以上が消失した状態となっている面接合構造。
【請求項2】
前記溝は、前記接合面の外周に沿った周方向あるいは前記接合面の中心から外周に向かって広がる放射線方向において複数本形成される請求項1に記載の面接合構造。
【請求項3】
前記ベース部材と前記被接合部材の少なくとも一方は、前記接合面において部材の平坦面から突出するように設けられるエネルギダイレクタを有し、
前記エネルギダイレクタは、1又は複数の溝を有する請求項1又は2に記載の面接合構造。
【請求項4】
接合される電池用金属部材の一方であるベース部材と、
接合される前記電池用金属部材の他方である被接合部材と、を有し、
前記ベース部材と前記被接合部材の少なくとも一方には、前記ベース部材と前記被接合部材とが接する接合面に溝が形成される面接合構造の接合状態検査方法であって、
前記ベース部材と前記被接合部材とを接合し、
接合後の前記接合面において消失した前記溝の割合を示す消失率を算出し、
前記消失率があらかじめ決定した基準率である70%以上となったことに応じて接合強度が仕様を満たすと判定する接合状態検査方法。
【請求項5】
前記基準率が100%の場合は、密閉性を満たすと判定する請求項4に記載の接合状態検査方法。
【請求項6】
前記消失率は、X線CT画像により判断する請求項4又は5に記載の接合状態検査方法。
【請求項7】
前記溝は、前記接合面の外周に沿った周方向あるいは前記接合面の中心から外周に向かって広がる放射線方向において複数本形成される請求項4乃至6のいずれか1項に記載の接合状態検査方法。
【請求項8】
前記ベース部材と前記被接合部材の少なくとも一方は、前記接合面において部材の平坦面から突出するように設けられるエネルギダイレクタを有し、
前記エネルギダイレクタは、1又は複数の溝を有する請求項4乃至7のいずれか1項に記載の接合状態検査方法。
【請求項9】
前記エネルギダイレクタに形成される溝を構成する2つの面のなす角の2分の1である第1の角度は、前記接合面と直行する基準線と前記エネルギダイレクタの裾野を構成する面とがなす角である第2の角度よりも大きくなる請求項8に記載の接合状態検査方法。
【請求項10】
前記エネルギダイレクタから離れた位置に溝を形成する請求項8又は9に記載の接合状態検査方法。
【請求項11】
前記ベース部材と前記被接合部材は、超音波接合により接合される請求項4乃至10のいずれか1項に記載の接合状態検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の駆動用バッテリとして利用される電池の面接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の製造では、電池ケース内に捲回あるいは積層された電力体を収納した状態で電池ケースに蓋をする。この蓋には、電池ケースに収められた電力体から電力を取り出す電極、電池ケースに電解液を注入する注液口及び注液口キャップ等が設けられる。これらの蓋に付随して設けられる部品は、レーザー溶接あるいは超音波溶接等の技術を用いて蓋に接合される。電池の信頼性の向上、或いは、電池の性能維持のためにはこれらの部品の溶接精度及び溶接強度が重要になる。そこで、特許文献1に注液口への注液口キャップの溶接不良を改善する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の二次電池は、ケースと蓋体とを備える電槽の内側の空間に極板群を収容してなる二次電池であって、蓋体は、電槽の外側から内側に貫通し、電解液が注入される注入口と、注入口の内側に設けられたフィルタ部とを備える。そして、フィルタ部は、電槽の外側から内側に貫通する複数の細孔部を有し、細孔部は、電槽の外側になる第1開口の内径が、電槽の内側になる第2開口の内径よりも大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-220353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、細孔部において第1開口の内径を第2開口よりも大きくすることで溶着不良を抑制するが、蓋体と封止部材(例えば、キャップ)との接合状態を確認するためには、抜き取り等による破壊検査が必要になる。つまり、特許文献1に記載の技術では、蓋とキャップとの接合状態を非破壊で検査することができない問題があった。つまり、特許文献1では、部材同士の接合状態の検査を非破壊で行うことができない問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、部材の接合状態の非破壊検査にて検査することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池の面接合構造の一態様は、電池用金属部材同士が接合させる面接合構造であって、接合される電池用前記金属部材の一方であるベース部材と、接合される電池用前記金属部材の他方である被接合部材と、を有し、前記ベース部材と前記被接合部材の少なくとも一方には、前記ベース部材と前記被接合部材とが接する接合面に溝が形成され、前記ベース部材と前記被接合部材とが接合された状態において、前記溝は、接合前に比べて少なくとも70%以上が消失した状態となっている。
【0008】
本発明の面接合構造の接合状態検査方法の一態様は、接合される電池用金属部材の一方であるベース部材と、接合される前記電池用金属部材の他方である被接合部材と、を有し、前記ベース部材と前記被接合部材の少なくとも一方には、前記ベース部材と前記被接合部材とが接する接合面に溝が形成される面接合構造の接合状態検査方法であって、前記ベース部材と前記被接合部材とを接合し、接合後の前記接合面において消失した前記溝の割合を示す消失率を算出し、前記消失率があらかじめ決定した基準率である70%以上となったことに応じて接合強度が仕様を満たすと判定する。
【0009】
本発明の電池の面接合構造及び接合状態検査方法は、面接合部分に形成した溝の消失率に基づき面接合部分の接合状態を検査する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電池の面接合構造及び接合状態検査方法によれば、破壊検査をすることなく面接合部分の接合状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1にかかる二次電池の構造を説明する斜視図である。
図2】実施の形態1にかかる二次電池の面接合部分の構造を説明する断面図である。
図3】実施の形態1にかかるキャップの構造を説明する上面図である。
図4】実施の形態1にかかるキャップの検査溝の構造を説明するキャップの断面図である。
図5】実施の形態1にかかるキャップの面構造における合格品と不合格品の検査結果を説明する図である。
図6】実施の形態1にかかるキャップの接合状態の検査手順を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態2にかかる被接合部材の構造を説明する上面図である。
図8】実施の形態3にかかるキャップの検査溝の構造を説明するキャップの断面図である。
図9】実施の形態3にかかるキャップの接合工程を説明するフロー図である。
図10】実施の形態4にかかるキャップの検査溝の構造を説明するキャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
まず、実施の形態1にかかる面接合構造は、充放電ができない一次電池であっても、充放電がかのうな二次電池であっても、使用可能であるが、以下の説明では、二次電池に採用される面接合構造について説明する。図1に実施の形態1にかかる二次電池1の構造を説明する斜視図を示す。
【0014】
図1に示すように、実施の形態1にかかる二次電池1は、電池ケース10、蓋11を有する。電池ケース10には、電力体が収納される。蓋11は、電池ケース10に電力体が収納された状態で電池ケース10を密閉状態とする。そして、蓋11には、正極電極12、負極電極13が設けられる。正極電極12は、電池ケース10内の電力体の正極から電力を取り出す電極であり、蓋11を貫通して設けられる正極極柱と正極リベット12aにより接合される。正極極柱、正極リベット、正極電極12は、レーザー溶接により接合される。負極電極13は、電池ケース10内の電力体の負極から電力を取り出す電極であり、蓋11を貫通して設けられる負極極柱と負極リベット13aにより接合される。負極極柱、負極リベット、負極電極13は、レーザー溶接により接合される。
【0015】
また、蓋11には、開放弁14及び注液口キャップ15が設けられる。開放弁14及び注液口キャップ15は、超音波接合により蓋11に接合されるキャップである。なお、開放弁14は、密閉された電池ケース10内の内圧が一定以上となった時に電池ケース10の内圧を低減する弁である。注液口キャップ15は、電池ケース10に電解液を注液する注液口のキャップである。
【0016】
以下の説明では、注液口キャップ15に設けられる面接合構造を例に実施の形態1にかかる面接合構造について説明する。そこで、図2に実施の形態1にかかる二次電池1の面接合部分の構造を説明する断面図を示す。図2に示す断面図は、注液口キャップ15を横切る断面線に沿った蓋11の断面図である。
【0017】
図2に示すように、実施の形態1にかかる二次電池1は、電池ケース10を密閉するように蓋11が設けられる。そして、蓋11に設けられた注液口を塞ぐように注液口キャップ15が蓋11に接合される。この接合は、注液口キャップ15に接合用チップ20により圧力と振動とを印加する超音波接合である。ここで、実施の形態1にかかる二次電池1では、蓋11と注液口キャップ15との接合面に検査溝を設け、超音波接合後にこの検査溝の消失度合いをX線CT画像により算出することで接合状態の良否判定を行う。
【0018】
そこで、実施の形態1にかかる面接合構造を詳細に説明する。まず、実施の形態1にかかる面接合構造では、接合される電池用前記金属部材の一方であるベース部材(例えば、図2の蓋11)と、接合される電池用前記金属部材の他方である被接合部材(例えば、注液口キャップ15)と、のいずれに検査溝を設けても構わない。以下の説明では、注液口キャップ15に検査溝を設ける例を説明する。そこで、図3に実施の形態1にかかるキャップの構造を説明する上面図を示す。
【0019】
図3に示すように、実施の形態1にかかる注液口キャップ15は、円形形状を有する。そして、円形形状の周方向に3本の検査溝16が形成される。この検査溝16は、キャップ15をプレス成形する際に形成される圧痕である。また、検査溝16は、注液口キャップ15の面のうち蓋11に面する側の面に形成される。つまり、蓋11と注液口キャップ15とを接合する接合工程においては、検査溝16が蓋11に接する。なお、図3では、検査溝16を周方向に沿って連続する線で形成したが、検査溝16は、周方向に形成される線状の溝であればよく、断続的に連続する線でもよく、周全体に連続する線であってもよい。
【0020】
ここで、図4に実施の形態1にかかるキャップ15の検査溝16の構造を説明するキャップ15の断面図を示す。図4に示した断面図は、図3に示したIV-IV線に沿った注液口キャップ15の断面図である。図4に示すように、検査溝16は、注液口キャップ15の接合面に形成される溝である。この検査溝16は、超音波接合工程において大部分が消失する。
【0021】
そこで、実施の形態1にかかる面接合構造において、合格品とされる接合面の検査結果と不合格品とされる接合面の検査結果について説明する。図5に実施の形態1にかかるキャップの面構造における合格品と不合格品の検査結果を説明する図を示す。図5に示す例は、超音波接合による蓋11と注液口キャップ15との接合が完了した二次電池1から取得したX線CT画像である。図5に示した、合格品では、検査溝16が100%消失状態である。一方、不合格品については、検査溝16が一部残った状態となっていることがわかる。実施の形態1にかかる接合状態検査では、検査溝16の消失率の基準率を70%に設定する。つまり、検査溝16の消失率が70%の基準率以上となったことに応じて蓋11と注液口キャップ15の接合状態が良品基準を満たすと判断する。なお、基準率は、100%とすることもでき、この場合、注液口キャップ15による電池ケース10の密閉性を満たすと判定する。
【0022】
続いて、実施の形態1にかかるキャップ15の接合状態の検査手順について説明する。図6に実施の形態1にかかるキャップの接合状態の検査手順を説明するフローチャートを示す。図6に示す検査手順は、蓋11に注液口キャップ15を接合した後に行われるモノである。実施の形態1にかかる接合状態検査方法では、まず、被検査品の接合面のX線CT画像を得る(ステップS1)。続いて、ステップS1で取得したX線CT画像から未消失の検査溝16の長さを算出する(ステップS2)。続いて、接合後の接合面において消失した検査溝16の割合を示す消失率を算出し、消失率があらかじめ決定した基準率である70%以上となったか否かを判断する(ステップS3)。
【0023】
このステップS3において、消失率が基準率である70%を上回っている場合は、被検査品は、接合強度が仕様を満たす合格品であると判断して次の工程に出荷する(ステップS4)。一方、ステップS3において、消失率が基準率である70%未満であった場合は、被検査品は、接合強度が仕様を満たさない不合格品として廃棄する(ステップS5)。このステップS4とステップS5のいずれかが完了したことに応じて、接合状態の検査は完了する。
【0024】
上記説明より、実施の形態1にかかる接合面構造及び接合面構造の接合状態検査方法では、蓋11と注液口キャップ15の接合面の少なくとも一方に形成した検査溝16を形成し、検査溝16の接合後の消失率に基づき蓋11と注液口キャップ15の接合状態を検査する。このとき、接合状態の検査は、X線を用いた非破壊検査により行うことができる。つまり、実施の形態1にかかる二次電池1では、非破壊検査により接合面の接合強度を判断できるため、生産する製品の全数検査も可能になるため、二次電池1の信頼性を向上させることができる。
【0025】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる注液口キャップ15の別の形態となる被接合部材15aについて説明する。注液口キャップ15は、接合部分が部材の外周側の一部出あったが、被接合部材15aは、部材全体が接合部分となるものである。
【0026】
図7に実施の形態2にかかる被接合部材15aの構造を説明する上面図を示す。図7に示すように、実施の形態2にかかる被接合部材15aは、部材中心から被接合部材15aの外周に向かって放射状に伸びるように検査溝17が形成される。
【0027】
実施の形態2にかかる被接合部材15aでは、接合面に放射状に伸びる検査溝17を形成することで、広い面積にわたる接合面の接合強度の良否判定を非破壊で行うことができる。
【0028】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態1にかかる注液口キャップ15の別の形態となる注液口キャップ15b、15cについて説明する。なお、実施の形態3の説明において実施の形態1の構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
実施の形態3では、超音波溶接において小さな超音波エネルギで接合部分を形成するエネルギダイレクタを接合面に形成した注液口キャップを説明する。図8に実施の形態3にかかる注液口キャップ15b、15cの検査溝の構造を説明するキャップの断面図を示す。図8に示すように、エネルギダイレクタ18は、注液口キャップの接合面に対して突出した形状を有する。そして、注液口キャップ15bは、エネルギダイレクタ18の裾野に隣接する部分に検査溝16が形成される。注液口キャップ15cは、エネルギダイレクタ18の裾野の根元から離れた部分に検査溝16が形成される。そして、注液口キャップ15b、15cともに、エネルギダイレクタ18にも検査溝16が形成される。なお、図8では、エネルギダイレクタ18に形成される検査溝16は1つにしたが、エネルギダイレクタ18に複数の検査溝16が形成されていてもよい。
【0030】
続いて、エネルギダイレクタ18を有する接合面に対する超音波接合工程について説明する。そこで、図9に実施の形態3にかかる注液口キャップ15b、15cの接合工程を説明するフロー図を示す。図9に示すように、エネルギダイレクタ18は、接合工程で圧力と振動を加えることで潰れて、蓋11と注液口キャップ15との接合部分となる。また、接合工程において圧力を加えることで、エネルギダイレクタ18に形成される検査溝16は、消失する。なお、図9では図示を省略したが、エネルギダイレクタ18以外の部分に形成されている検査溝16も、接合工程終了時には、エネルギダイレクタ18を構成する部材によって埋まる。
【0031】
ここで、エネルギダイレクタ18に検査溝16を形成した場合、エネルギダイレクタ18の潰れ性を向上させるために、エネルギダイレクタ18上の検査溝16を構成する2つの面がなす角の2分の1である第1の角度αと、接合面と直行する基準線とエネルギダイレクタ18の裾野を構成する面とがなす角である第2の角度βとは、α>βとすることが好ましい。第1の角度αと第2の角度βとをこのような関係にすることで、エネルギダイレクタ18が外側に潰れやすくなり、エネルギダイレクタ18の潰れ性が向上する。
【0032】
実施の形態3にかかる注液口キャップ15b、15cでは、エネルギダイレクタ18を設けることで、注液口キャップ15b、15cの接合に要するエネルギを削減することができる。また、このエネルギダイレクタ18上に検査溝16を設け、接合後の検査溝16の消失率を画像診断することで、非破壊で部材の接合強度の判定を行うことが可能になる。
【0033】
実施の形態4
実施の形態4では、エネルギダイレクタ18の簡易な形成方法について説明する。エネルギダイレクタ18は、注液口キャップの接合面の平坦部分から0.2mm程度突起した部分であり、このような微少な突起をプレス加工とうで成型するのは難しい。そこで、実施の形態4では、注液口キャップの接合面と対抗する面(例えば、表面)側から注液口キャップに押し出し力を加えることでエネルギダイレクタ18を形成する。
【0034】
そこで、図10に実施の形態4にかかるキャップの検査溝の構造を説明する注液口キャップ15の断面図を示す。図10に示すように、実施の形態4にかかる注液口キャップ15dは、エネルギダイレクタ18が形成される部分に対応する表面側から圧力を加えることでエネルギダイレクタ18を形成する。このとき、エネルギダイレクタ18上に形成される検査溝16は、検査溝16を構成する2つの面がなす角が開く方向に開くため、第1の角度αが第2の角度βよりも開く構造が容易に形成される。
【0035】
そして、この注液口キャップ15dに対して接合用チップ20を用いた接合工程で圧力と振動を加えると、エネルギダイレクタ18が潰れるとともに、エネルギダイレクタ18を形成するために凹んだ注液口キャップ15dの表面側のくぼみの深さdが浅くなる。実施の形態4にかかる注液口キャップ15dを用いた場合、実施の形態1と同様に検査溝16の消失率による接合強度の良否判定に加えて、くぼみの深さdによる接合工程の出来栄え評価が可能になる。
【0036】
上記説明より、実施の形態4にかかる注液口キャップ15dによれば、容易にエネルギダイレクタ18を形成するとともに、検査溝16の消失率に基づく接合強度の良否判定が可能になる。また、実施の形態4にかかる注液口キャップ15dを用いることで、くぼみの深さdによる接合工程の出来栄え評価が可能になるため、接合工程で生じる不良品の発生を低減することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 二次電池
10 電池ケース
11 蓋
12 正極電極
12a 正極リベット
13 負極電極
13a 負極リベット
14 開放弁
15 注液口キャップ
15a 被接合部材
15b 注液口キャップ
15c 注液口キャップ
15d 注液口キャップ
16 検査溝
17 検査溝
18 エネルギダイレクタ
20 接合用チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10