(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023313
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】シート状物ホルダー
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20220201BHJP
B41M 3/00 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B42F7/00 G
B41M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126158
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】520276914
【氏名又は名称】八戸印刷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】田村 哲章
【テーマコード(参考)】
2C017
2H113
【Fターム(参考)】
2C017QA03
2C017QB01
2C017QD04
2H113AA03
2H113BA00
2H113BA31
2H113BB02
2H113BB26
2H113BB32
2H113CA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】印刷機にかけて面上に印刷を施すことのできるホルダーにおいて、印刷機への供給を円滑化でき、印刷時の紙詰まりを防止できるシート状物ホルダーを提供する。
【解決手段】シート状物ホルダーは内部にシート状物を収容するためのホルダーであって、一部にのりしろ片6を有する略矩形状の原シート9が二つ折りされて略線対称の二の面部1、2を形成し、その折り線3に隣接する一方の一辺が閉じられてなる稜線部4を形成しており、稜線部4にはその厚みを減じるための切れ目構造5が設けられている構成とする。
【選択図】
図1-2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にシート状物を収容するためのシート状物ホルダーであって、一部にのりしろ片を有する略矩形状の原シートが二つ折りされて略線対称の二の面部を形成し、その折り線に隣接する一方の一辺が閉じられてなる稜線部を形成しており、該稜線部にはその厚みを減じるための切れ目構造が設けられていることを特徴とする、シート状物ホルダー。
【請求項2】
前記のりしろ片は前記面部の一方に稜線部形成用として設けられており、前記切れ目構造は該のりしろ片と該面部の境界に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のシート状物ホルダー。
【請求項3】
前記切れ目構造が連続した孔からなるミシン目であることを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【請求項4】
前記面部の一方に切り欠き部を一または複数有することを特徴とする、請求項1、2、3のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【請求項5】
前記面部には印刷可能な領域が設けられていることを特徴とする、請求項1、2、3、4のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【請求項6】
A4サイズのシート状物を印刷対象とする印刷機に印刷用媒体として供給可能であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【請求項7】
紙製であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート状物ホルダーに係り、特に印刷機にかけて面上に印刷を施すことのできるホルダーにおいて、印刷機への供給を円滑化でき、汎用的なサイズでの印刷をより円滑、容易に行うことのできる、シート状物ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
書類等の収容・取出し整理に便利なホルダーが従来から提供されており、特に、透明または半透明の素材からなる樹脂製のものが多く用いられている。また、これらは、その面上に適宜の文字・図・写真等を印刷可能でもある。しかし、かかる樹脂製シート上への印刷は特殊なものであるため、通常は専門業者に印刷を依頼することとなり、ホルダー使用者が自ら印刷を施せる状況は稀有である。そこで、一般的な印刷機を用いて一般のホルダー使用者でも印刷の可能な、紙製のホルダーが提供されている。紙製のホルダーは、印刷可能なだけではなく、低廉な量産にも問題がなく、また廃棄処理に際しても環境への負荷が少ないというメリットがある。
【0003】
紙製のホルダーについては従来、特許出願等もなされている。たとえば後掲特許文献1には、印刷が施し易く廃棄処理等も簡単に行え、収容した書類等を外部から視認可能で、かつ筆記具にる書き込みも可能な紙製ホルダーとして、紙材による裏面側紙シートおよび透光性の表面側紙シートを一方の側縁部および底縁部で接着して紙製ホルダーを形成し、さらに表面側紙シートの上端付近に略半円状の切欠部、下端付近に略三角状の切欠部を設けることとする構成が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、収容した書類等を外部から視認可能であるともにプリンターによる印刷が可能であり、しかも印刷時の紙詰まりのおそれを解消可能な紙製ホルダーとして、略矩形状を呈する紙材による裏面側紙シートおよび表面側紙シートを、その一方が閉じて他方が開放状態となるように接着して紙製ホルダーを形成するが、このうち裏面側紙シートに透光性の紙材を用い、また表面側紙シートに設ける切欠部に合わせ裏面側紙シートの同一位置に同一形状・同一暑さの補強部を貼着することとする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3146046号公報「紙製ホルダー」
【特許文献2】実用新案登録第3220251号公報「紙製ホルダー」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、従来の樹脂製のホルダー(クリアファイル)として多用されているサイズはA4用であり、A4サイズ(210×297mm)の用紙を若干の余裕をもって収容できるサイズ、すなわち220×310mmで形成されている。使用者において印刷の可能な紙製ホルダーも同様に、従来は220×310mmで形成されている。しかしこのサイズは、使用者が用いる一般的な印刷機において必ずしも最適なものであるとは言えない。たとえば民生用・業務用を問わず一般的なインクジェットプリンターでは、給紙可能な幅が220mmよりも狭いものが多く、給紙できなかったり、印刷時に紙詰まりする恐れがある。たとえば、キャノン製A4インクジェット印刷機の給紙可能横サイズは最大215.9mmである。
【0007】
また、印刷機には給紙可能な用紙の厚みにも限界があり、それを超えた厚みを有する用紙は給紙できなかったり、印刷時に紙詰まりする恐れがある。たとえば、エプソン製印刷機では、用紙給紙可能な最大厚み0.6mmの仕様のものがある。したがって、使用者が自身が備えている印刷機等により印刷可能な紙製ホルダーとしては、種々の印刷機に供給(給紙)可能な幅サイズを有する仕様とすること、および厚みができるだけ小さい仕様とすることが、紙製ホルダーの需要拡大と使用者の自前によるデザイン・印刷の自由度を高めるためには望ましい。
【0008】
さらに、樹脂製ホルダ-と同様に従来の紙製ホルダーも、収容した紙類等を視認したり取出したり扱いやすくするための切り欠きを備えるが、切り欠きの幅が大きいほど、印刷可能な幅サイズは小さくなってしまう。これも、できるだけ狭い幅とすることが、印刷可能領域を広げてと使用者の自前によるデザイン・印刷の自由度を高めるためには望ましい。
【0009】
なお、紙製ホルダーにせよ樹脂製ホルダーにせよ、その内部に収容する対象は通常、紙類であるが、フィルムや布など、シート状の物(シート状物)であれば収容することができる。また、表面に印刷を施すことのできる媒体は紙には限らず、したがって紙に代替し得る材質であって印刷媒体として用いることのできるシート状物であれば、紙製ホルダー代替品たり得る。
【0010】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、印刷機にかけて面上に印刷を施すことのできるホルダーにおいて、印刷機への供給を円滑化でき、印刷時の紙詰まりを防止できるシート状物ホルダーを提供することである。また本発明の課題は、汎用的なA4サイズでの印刷をより円滑、容易に行うことができ、使用者におけるデザインや印刷の自由度を高めることができるシート状物ホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は上記課題について検討した結果、紙製ホルダーにおいてその全体サイズや切り欠き部のサイズを見直すことに加え、最も厚みの大きい貼り合わせ部分にミシン目加工を施すことによって解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0012】
〔1〕 内部にシート状物を収容するためのシート状物ホルダーであって、一部にのりしろ片を有する略矩形状の原シートが二つ折りされて略線対称の二の面部を形成し、その折り線に隣接する一方の一辺が閉じられてなる稜線部を形成しており、該稜線部にはその厚みを減じるための切れ目構造が設けられていることを特徴とする、シート状物ホルダー。
〔2〕 前記のりしろ片は前記面部の一方に稜線部形成用として設けられており、前記切れ目構造は該のりしろ片と該面部の境界に設けられていることを特徴とする、〔1〕に記載のシート状物ホルダー。
〔3〕 前記切れ目構造が連続した孔からなるミシン目であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
〔4〕 前記面部の一方に切り欠き部を一または複数有することを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【0013】
〔5〕 前記面部には印刷可能な領域が設けられていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
〔6〕 A4サイズのシート状物を印刷対象とする印刷機に印刷用媒体として供給可能であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
〔7〕 紙製であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕のいずれかに記載のシート状物ホルダー。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート状物ホルダーは上述のように構成されるため、これによれば、印刷機にかけて面上に印刷を施す際に紙詰まりを防止でき、印刷機への供給を円滑化することができる。また、汎用的なサイズ、たとえばA4サイズでの印刷をより円滑、容易に行うことができ、作業効率が向上する上、使用者におけるデザインや印刷の自由度を高めることもできる。
【0015】
本発明のシート状物ホルダーによれば、民生用および業務用の印刷機、たとえばA4印刷機を用いての印刷が従来よりも行いやすくなり、それにより、使用者による自由な印刷が可能となるため、シート状物ホルダーの需要拡大が期待できる。なお、本発明シート状物ホルダーは、具体的には紙製ホルダーを主たる適用対象として想定しているが、これには限定されず、面上に印刷機による印刷が可能なシート状物を材料としたホルダーも含まれる。
【0016】
本発明のシート状物ホルダーの稜線部における切れ目構造により、従来よりも厚みが減じられて紙詰まり防止等に効果がある他、稜線部のみが嵩高くなるようなことがない。したがって、複数枚数を重ねた場合に稜線部の一端のみが嵩高くなることがなく、複数枚を重ねて梱包する際にも便利で、荷姿も体裁がよい上、より多くの枚数を梱包容器内に効率よく収容することができる。また、従来のように局所的な厚み(稜線部の厚み)を減じられることにより、本シート状物ホルダーの材料としては、より厚い物、厚い紙を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明シート状物ホルダーの基本的構成を示す平面図である。
【
図1-2】
図1に示すシート状物ホルダーの原シートの構成を示す平面図である。
【
図1-3】
図1に示すシート状物ホルダーを所定形状に変形させた状態を示す説明図である。
【
図2】本発明シート状物ホルダーの稜線部の要部構造を従来技術と比較して模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明シート状物ホルダーに係る切れ目構造の例を示す説明図である。
【
図4】本発明シート状物ホルダーに係る切り欠き部等の例を示す平面図である。
【
図5】本発明シート状物ホルダーに係る印刷可能領域の例を従来技術と比較して示す平面図である。
【
図6】本発明シート状物ホルダーに係る印刷可能領域の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明シート状物ホルダーの基本的構成を示す平面図である。また、
図1-2は
図1に示すシート状物ホルダーの原シートの構成を示す平面図、
図1-3は
図1に示すシート状物ホルダーを所定形状に変形させた状態を示す説明図である。
図1-3の変形は、本シート状物ホルダーの稜線部を正面にしてオモテ/ウラ両面を押し広げた形態としたものである。これらに示すように本シート状物ホルダー10は、内部に紙類等のシート状物を収容するためのホルダーであって、一部にのりしろ片6を有する略矩形状の原シート9が二つ折りされて略線対称の二の面部1、2を形成し、その折り線3に隣接する一方の一辺が閉じられてなる稜線部4を形成しており、稜線部4にはその厚みを減じるための切れ目構造5が設けられていることを、主たる構成とする。切れ目構造5は原シート9に設けられた一または複数の開口部――ただし、稜線部4という極細い箇所における開口部からなる。
【0019】
二の面部1、2は、一方が本シート状物ホルダー10のオモテ面を備えた面部、他方がウラ面を備えた面部である。また、面部1のうち外方を向く面は「外側の面1x」、シート状物の収容される内側を向く面は「内側の面1e」、同様に、面部2のうち外方を向く面は「外側の面2x」、シート状物の収容される内側を向く面は「内側の面2e」である。各図では、これら面部1の外側の面1x、面部1の内側の面1e、面部2の外側の面2x、面部2の内側の面2eを識別しやすくするために、ハッチングやグレイスケールの濃淡を用いて示している。これらハッチング等が本発明シート状物ホルダーの構成要素なのではない。
【0020】
図1-2に示すように本シート状物ホルダー10は、一部にのりしろ片6を有する略矩形状の原シート9が所定形態に加工されて形成される。すなわち、原シート9は折り線3で二つ折りされ、最終的にオモテ面とウラ面を構成することになる略線対称の二の面部1、2が形成される。のりしろ片6は一方の面部(本図では面部1)に連続して設けられている。折り線3に隣接する二辺の一方には、なお、本図では折り線3は原シートの略中心線であるが、折り線3は原シート9の中心線とはしない構成例も可能である。それについては
図4を用いて後述する。
【0021】
二の面部1、2の閉じによる稜線部4形成には、のりしろ片6が用いられる。のりしろ片6は、両面部1、2による閉じ状態をなす稜線部4を形成するために、略矩形状の原シート9の一方の面部1に連続して設けられており、稜線部4は、のりしろ片6が自身の設けられている面部1とは異なる他方の面部2に接着されることによって形成される。つまり、面部1とのりしろ片6の境界が、最終的に稜線部4を形成することになる。
【0022】
そして
図1-2に示すように、こののりしろ片6と面部1の境界=最終的な稜線部4には切れ目構造5が設けられており、稜線部4は、かかる切れ目構造5を備えたものであることによって、その厚みの減じられる箇所が少なくとも一部に生じる。従来の紙製ホルダーにおいて最も厚みがあって印刷機への給紙の際に紙詰まり等の問題発生の可能性が高い部分は、のりしろ片が糊付けされてなる稜線部である。しかし、本発明シート状物ホルダー10に係る稜線部4には切れ目構造5が設けられているため、それによって厚みが減じられ、紙詰まりを防止でき、印刷機に対する円滑な供給が可能である。別図を用いてさらに説明する。
【0023】
図2は、
図1等に示すシート状物ホルダーの稜線部の要部構造(b)を従来技術のそれ(a)と比較して模式的に示した断面図である。本図に示した要部は(a)、(b)ともに、原シート3枚分の厚みを有するのりしろ片の部分である。(a)に示すように従来のシート状物ホルダー810では、面部82の端部で折り返してその裏側へと接着される面部81には、折り返し部分である稜線部84の辺りに歪みが発生し、この歪みが解消されないため、外方に膨らんだ形状の稜線部の厚み8Rが形成される。つまり、厚み8Rによって稜線部84辺りの厚みは増大してしまう。
【0024】
一方、本願発明シート状物ホルダー210では、面部22の端部で折り返してその裏側へと接着される面部21には、折り返し部分である稜線部24に切れ目構造25が設けられているため、折り返し部分である稜線部24の辺りに発生する歪みは切れ目構造25を構成する一または複数の開口部によって解消され、外方に膨らまず厚みを増大させないストレートな形状の稜線部の形態2Sが形成される。つまり、切れ目構造25が稜線部24に設けられることによって、稜線部24辺りの厚み増大が効果的に防止される。
【0025】
図3は、本発明シート状物ホルダーに係る切れ目構造の例を複数示す説明図である。上述の通り切れ目構造は、稜線部上における一または複数の開口部から構成されるが、最も好適には、図中(c)に示す切れ目構造35cのように、一定長さの開口部が繰り返し設けられてなるミシン目を用いることができる。なお、ミシン目(切れ目好悪
図35c)の開口部のサイズや設けられる間隔等の仕様は適宜に設計可能であり、それらによって本発明が限定されるものではない。要するに、稜線部における歪みを良好に解消して厚みを増大させない程度のものであればよい。
【0026】
また、図中(d)、(e)、(f)にそれぞれ示す切れ目構造35d、35e、35fのような形態の切れ目構造であってもよい。要するに、稜線部における歪みを良好に解消して厚みを増大させない効果を発揮できる、一または複数の開口部からなる構造であれば、本発明に係る切れ目構造に該当する。ミシン目(切れ目構造35c)を初めとする切れ目構造により、印刷機への本シート状物ホルダーの供給が円滑になされ、印刷作業効率が上がる。その上、かさばらないため、たとえば複数枚重ねて梱包する時に一端のみが高くなってしまうkとがない。また、従来のシート状物ホルダーよりも要所における厚みが小さい分、より厚いシート、より厚い紙を原シートとすることもできる。
【0027】
図1等に示すように本シート状物ホルダー10には、両方の面部1、2間の分離を容易にして本ホルダー10や収容するシート状物の出し入れなどの取り扱い性をよくすることのできる、使用者がその手指を掛けやすい構造、すなわち切り欠き部7が設けられる。切り欠き部は複数設けてもよい。
【0028】
図4は、本発明シート状物ホルダーに係る切り欠き部等の例を示す説明図である。図中の(g)に示す例のシート状物ホルダー410gは、より大きな切り欠き部47Gと、下方に設けられたより小さな切り欠き部47g、2つの切り欠き部を有する例である。このように切り欠き部を複数設ける場合、その数やサイズ、位置等は適宜に設計可能である。しかしながら後出
図5により説明するように、面部41g等に対する印刷の可能な領域をより広くとるためには、切り欠き部47G等はその幅をできるだけ狭くすることが好ましい。
【0029】
図4中の(h)、(j)には、切り欠き部ではないがこれに代替する構造、すなわち切り欠き部代替構造47h、47jを設けた例のシート状物ホルダー410h、410jを示す。これらのように、ちょうど手の親指を掛けて収容するシート状物の取り扱いをしやすい凹部形状の切り欠き部47G等に替えて、同じく手指によるシート状物の取り扱いをしやすくする切り欠き部代替構造47h等を設けることとしてもよい。
【0030】
このうち、(h)に示すシート状物ホルダー410hは、オモテ側に位置する面部41hがウラ側に位置する面部42hよりも狭い幅であり、原シートの中心線からずれた位置での折り線43hにて両面部41h、42hがおられた状態で形成されている。それによって両面部41h、42hがずれている箇所が、切り欠き部代替構造47hを形成している。
【0031】
また(j)に示すシート状物ホルダー410jは、(g)に示すシート状物ホルダー410gの切り欠き部47Gの凹部構造が拡張して、稜線部44jの対向辺にまで至った形態の切り欠き部代替構造47jを有している。(h)、(j)のように切り欠き部代替構造47h等を備える場合も、面部41h等に対する印刷の可能な領域をより広くとるためには、切り欠き部代替構造47h等はその幅をできるだけ狭くすることが好ましい。
【0032】
図5は、本発明シート状物ホルダーに係る印刷可能領域の例を示す平面図であるが、図中の(k)には、本発明ではなく従来技術例のシート状物ホルダー910を示す。従来技術例のシート状物ホルダー910は本発明とは異なり、稜線部94上に切れ目構造は設けられていない。シート状物ホルダー910にも切り欠き部97が設けられており、この切り欠き部97の位置から退いた位置に、略長方形の印刷可能領域98が設けられている。ここに示されるように印刷可能領域98の大きさは、切り欠き部97の幅サイズによって左右される。
【0033】
デザインの自由度、外観設計の自由度を高める上では、印刷可能領域は広いほどよいが、従来のシート状物ホルダー910における印刷可能領域98の広さは図示するように限定されている。一方、図中の(L)に示す本発明シート状物ホルダー例510Lでは、切り欠き部57Lがより狭い形態であるため、その分広く、印刷可能領域58Lを取ることが可能となっており、使用者はより広い領域を印刷可能領域としてデザインを行い、より広い領域に印刷の施されたシート状物ホルダー510Lを制作することができる。
【0034】
一般に印刷を施す場合、上下左右の余白はできる限り均等であることが望ましいところ、(k)の従来技術例シート状物ホルダー910のように面部91の右方に設けられた切り欠き部97の幅サイズが大きくて印刷余白をその分設けなくてはならない構成は、他の上下左方の各余白をも制限することとなり、その結果、印刷可能領域に対する制限は、長さ寸法のみならず面積にも及ぶ。(L)に示す本発明例シート状物ホルダー510Lは、かかる印刷可能領域を従来技術よりも拡張することができる。
【0035】
図6は、本発明シート状物ホルダーに係る印刷可能領域の別の例を示す平面図である。図では、本例シート状物ホルダー510mのウラ面すなわち面部52mを示している。このように、シート状物ホルダー510mのウラ面に印刷可能領域58mを設けることとしてもよい。ウラ面には切り欠き部や切り欠き部代替構造を設ける必要がなく(これらはオモテ面に設けられる)、より広い領域を印刷可能領域とすることができる。なお、図示しないが、オモテ面にも印刷可能領域を設けた、両面印刷可能な仕様としても、もちろんよい。
【0036】
本発明シート状物ホルダーは、そのサイズが特定のものに限定されるわけではないが、特に、国内的にも国際的にも最も用いられる書類サイズであるA4サイズのシート状物を収容可能なサイズとして形成するものとすることができる。そして、A4サイズのシート状物を印刷対象とする印刷機に印刷用媒体として供給可能なシート状物ホルダーとして提供することができる。
【0037】
また、印刷機にかけられる媒体は紙類に限定されるわけではないが、本発明シート状物ホルダーは特に、適宜の紙製とすることができる。印刷作業の容易さ、種々の印刷仕様の幅広さ、用紙選択の幅広さ、低廉さ、環境負荷の低さ等を考慮すると、本発明シート状物ホルダーの材質として紙は最適である。
【実施例0038】
以下、本発明シート状物ホルダーの実施例を説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。なお、面部に印刷可能な紙製のシート状物ホルダーを具体的に製造するための仕様検討過程説明をもって、実施例の説明とする。
+ + + + + + + + + + + + + + + +
【0039】
テーマ:面部に印刷可能な紙製のシート状物ホルダーの仕様検討
1 方針
印刷機メーカー推奨の給紙キャパシティーには種々の制限がある。
1)シート状物ホルダーの横幅は、用いる印刷機の最大給紙可能サイズである215.9mm以下とすること。
2)糊貼り合わせ部分(のりしろ部)の厚みは、用いる印刷機の給紙可能最大厚みである0.6mm以下とすること。この部分は紙を折り返して貼ることで3枚構造になり、厚くかさばるため。
3)レーザープリンターおよびインクジェットプリンター推奨用紙を、シート状物ホルダーの素材として選定すること。
【0040】
2 仕様検討およびその結果
1)メーカー推奨給紙キャパシティーに対応させた円滑な給紙のためのスリム構造として、ファイル横幅を215mmに縮小した。
2)用紙は、厚口のシート状物ホルダー用として坪量を157.0g/m2の紙、中厚口のシート状物ホルダー用として127.9g/m2の紙、の二種類を用意した。その結果、厚口ホルダーの折り返し厚は0.54mm、中厚口ホルダーは0.35mmとなり、用紙給紙可能最大厚み0.6mm以下に抑えることができた。
【0041】
3)糊貼り合わせ部分は、厚みとかさばりを抑えるために、折り返し部分にミシン目加工を施すことにした。この加工を施すことにより、給紙時の引き込みローラーに対する抵抗を軽減することができた。
4)レーザープリンターおよびインクジェットプリンター推奨用紙として、レーザープリンター用にはマットコート紙・上質紙、インクジェットプリンター用には上質紙・マシュマロCoC(高級感のある最高級上質紙)を選定し、これらの紙を用いてシート状物ホルダーを製作した。その結果、製作したいずれのホルダーにおいても良好に印刷を施すことができ、これらの紙が適切な素材であることが確認できた。
本発明のシート状物ホルダーによれば、印刷機にかけて面上に印刷を施す際に紙詰まりを防止でき、印刷機への供給を円滑化することができ、使用者におけるデザインや印刷の自由度を高めることができる。したがって、印刷業、文具製造販売業、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。