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特開2022-23323ロック偏移測定装置及びロック偏移測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023323
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ロック偏移測定装置及びロック偏移測定方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 5/10 20060101AFI20220201BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220201BHJP
【FI】
B61L5/10 Z
G06T7/00 300F
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126179
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】金子 亮
(72)【発明者】
【氏名】齋木 翔太
(72)【発明者】
【氏名】小林 和弘
(72)【発明者】
【氏名】松川 英司
(72)【発明者】
【氏名】中山 雄一郎
【テーマコード(参考)】
5H161
5L096
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161SS04
5H161SS14
5H161SS17
5L096BA03
5L096BA08
5L096BA20
5L096EA16
5L096FA66
5L096FA69
5L096JA09
(57)【要約】
【課題】転てつ機の鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの嵌合箇所の撮影画像から、切り欠きに対するロックピースの偏移を精度よく測定できるようにすること。
【解決手段】ロック偏移測定装置5は、転てつ機7の鎖錠かんに設けられた切り欠きとロックピースとの嵌合箇所を点検するための点検孔から撮影された撮影画像に対して歪み補正処理及びロックピースの移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って透視投影画像を生成し、ロックピースの端面上部及びその端面上部に対向する切り欠きの対向面それぞれに係るテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、端面上部及び対向面それぞれの中央位置に対応する透視投影画像中のロックピース中央位置及び切り欠き中央位置を検出し、ロックピース中央位置と切り欠き中央位置の差に基づいて、切り欠きに対するロックピースの偏移を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転てつ機の鎖錠かんに設けられた切り欠きとロックピースとの嵌合箇所を点検するための点検孔から撮影された撮影画像に対して、画像の歪みを補正する歪み補正処理を行う歪み補正処理手段と、
前記歪み補正処理が施された後の画像に対して、前記ロックピースの移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って透視投影画像を生成する透視投影処理手段と、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記ロックピースの端面上部に係るロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記端面上部の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置であるロックピース中央位置を検出する第1検出手段と、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記端面上部に対向する前記切り欠きの対向面に係る鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記対向面の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置である切り欠き中央位置を検出する第2検出手段と、
前記ロックピース中央位置と前記切り欠き中央位置の差に基づいて、前記切り欠きに対する前記ロックピースの偏移を算出する算出手段と、
を備えるロック偏移測定装置。
【請求項2】
前記ロックピーステンプレート画像及び前記鎖錠かんテンプレート画像は、前記端面上部の左右幅を含む前記端面上部を左右方向とした画像であり、
前記ロックピースの端面形状に基づいて前記透視投影画像中の前記端面上部を検出し、検出した前記端面上部が前記左右方向となるように前記透視投影画像を回転補正する回転補正処理手段、
を更に備え、
前記第1検出手段及び前記第2検出手段は、前記回転補正が施された後の透視投影画像に対して前記画像マッチング処理を行う、
請求項1に記載のロック偏移測定装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記ロックピース中央位置と前記切り欠き中央位置の差に基づいて、前記鎖錠かんの長手方向における前記ロックピースと前記切り欠きとの左右の隙間の比率を前記偏移として算出する、
請求項1又は2に記載のロック偏移測定装置。
【請求項4】
前記鎖錠かんには、第1の切り欠きと第2の切り欠きとがあり、
前記ロックピースには、前記第1の切り欠きに嵌合する第1のロックピースと、前記第2の切り欠きに嵌合する第2のロックピースとがあり、
前記透視投影処理手段は、前記歪み補正処理が施された後の画像のうち、前記第1の切り欠きを含む第1の画像部分、及び、前記第2の切り欠きを含む第2の画像部分それぞれに対応する前記透視投影処理を行って第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像を生成し、
前記第1検出手段は、前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する前記ロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行い、
前記第2検出手段は、前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する前記鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行い、
前記第1検出手段による前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する画像マッチング処理の処理結果と、前記第2検出手段による前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する画像マッチング処理の処理結果とを用いて、前記撮影画像が、前記第1の切り欠きと前記第1のロックピースとによる第1の嵌合時画像か、前記第2の切り欠きと前記第2のロックピースとによる第2の嵌合時画像かを判断する判断手段、
を更に備える請求項1~3の何れか一項に記載のロック偏移測定装置。
【請求項5】
転てつ機の鎖錠かんに設けられた切り欠きとロックピースとの嵌合箇所を点検するための点検孔から撮影された撮影画像に対して、画像の歪みを補正する歪み補正処理を行うことと、
前記歪み補正処理が施された後の画像に対して、前記ロックピースの移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って透視投影画像を生成することと、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記ロックピースの端面上部に係るロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記端面上部の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置であるロックピース中央位置を検出することと、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記端面上部に対向する前記切り欠きの対向面に係る鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記対向面の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置である切り欠き中央位置を検出することと、
前記ロックピース中央位置と前記切り欠き中央位置の差に基づいて、前記切り欠きに対する前記ロックピースの偏移を算出することと、
を含むロック偏移測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ機におけるロックピースの偏移を測定するロック偏移測定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路の分岐器を転換する転てつ機に関する保守点検項目の1つに鎖錠かんのロック調整がある。転てつ機は、分岐器を定位/反位に転換させた後にトングレールの位置を保持する鎖錠機構として、トングレールに連結された鎖錠かんと、鎖錠かんに設けられた切り欠きに嵌合するロックピースとを有している。鎖錠かんの切り欠きにロックピースを嵌合させて鎖錠かんの移動を阻止することで、トングレールの位置を保持(鎖錠)している。繰り返しの移動や環境温度等によって鎖錠かんとロックピースの相対位置がずれて、ロックピースが鎖錠かんに引っかかって嵌合できなくなるロック狂いと呼ばれる状態があり、このロック狂いは、転てつ機が転換不能となる主原因となっている。ロック調整とは、ロック狂いを事前に防ぐため、嵌合状態(ロック状態)での鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの左右の隙間の間隔が適正範囲となるように鎖錠かんを調整することである。
【0003】
転てつ機には、内部の鎖錠かんとロックピースとの嵌合箇所を外部から目視するための点検孔が設けられている。この点検孔は、点検時以外は開閉可能な蓋で塞がれる。保守点検員は、点検孔の蓋を開けて鎖錠かんとロックピースとの嵌合箇所を目視し、ロック狂いが生じていないか、鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの左右の隙間は適正範囲であるかといったことを確認し、必要に応じてロック調整を行う。
【0004】
しかし、線路には多数の転てつ機が設置されており、その1台1台について、保守点検員が点検孔から鎖錠かんとロックピースとの嵌合箇所を目視で確認してロック調整を行うといった保守点検作業は、非常に煩わしく時間を要する作業であった。また、目視による判断であるから、保守点検員による判断のばらつきも避けられなかった。そこで、転てつ機のロック調整に係る点検保守作業の煩わしさを軽減するために、点検孔を塞ぐ蓋の内側にカメラを設け、このカメラによる撮影画像のデータを無線通信で外部へ送信する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-226258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、転てつ機は、分岐器の転換方向(定位/反位)それぞれに対応する2個のロックピースを有している。点検孔の蓋の内側に設置されるカメラは、撮影対象のロックピースとは近接することになるから、2個のロックピースを同時に撮影するには、カメラレンズとして広角レンズを用いる必要がある。すると、広角レンズによる撮影画像の歪みが避けられない。このため、撮影画像から、鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの左右の隙間(偏移)を精度よく検出することが難しかった。
【0007】
点検孔の蓋は、開閉用に一定の遊び(寸法余裕)を設けてあることから、保守点検時の点検蓋の開け閉めや列車通過時の振動によって、カメラに振動や衝撃が加わり、カメラの設置位置がずれる場合が起こり得る。その結果、カメラの撮影範囲や撮影向きが変化し得る。また、ロックピースは、切り欠きと数ミリ(通常、3ミリ程度)の隙間を設けた状態でスライド移動するように構成されているが、ロックピースが接触することで鎖錠かんの切り欠きに欠損が生じ得る。このようなカメラの撮影範囲のずれや傾き、切り欠きの欠損は、鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの左右の隙間(偏移)を、撮影画像に対する画像処理によって測定する場合の測定精度の低下要因の1つとなっていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、転てつ機の鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの嵌合箇所の撮影画像から、切り欠きに対するロックピースの偏移を精度よく測定できるようにすること、である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の発明は、
転てつ機の鎖錠かんに設けられた切り欠きとロックピースとの嵌合箇所を点検するための点検孔から撮影された撮影画像に対して、画像の歪みを補正する歪み補正処理を行う歪み補正処理手段(例えば、図15の歪み補正部204)と、
前記歪み補正処理が施された後の画像に対して、前記ロックピースの移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って透視投影画像を生成する透視投影処理手段(例えば、図15の透視投影部206)と、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記ロックピースの端面上部に係るロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記端面上部の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置であるロックピース中央位置を検出する第1検出手段(例えば、図15の第1検出部212)と、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記端面上部に対向する前記切り欠きの対向面に係る鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記対向面の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置である切り欠き中央位置を検出する第2検出手段(例えば、図15の第2検出部214)と、
前記ロックピース中央位置と前記切り欠き中央位置の差に基づいて、前記切り欠きに対する前記ロックピースの偏移を算出する算出手段(例えば、図15の偏移算出部216)と、
を備えるロック偏移測定装置である。
【0010】
他の発明として、
転てつ機の鎖錠かんに設けられた切り欠きとロックピースとの嵌合箇所を点検するための点検孔から撮影された撮影画像に対して、画像の歪みを補正する歪み補正処理を行うことと、
前記歪み補正処理が施された後の画像に対して、前記ロックピースの移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って透視投影画像を生成することと、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記ロックピースの端面上部に係るロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記端面上部の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置であるロックピース中央位置を検出することと、
前記ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの前記端面上部に対向する前記切り欠きの対向面に係る鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、前記対向面の中央位置に対応する前記透視投影画像中の位置である切り欠き中央位置を検出することと、
前記ロックピース中央位置と前記切り欠き中央位置の差に基づいて、前記切り欠きに対する前記ロックピースの偏移を算出することと、
を含むロック偏移測定方法を構成してもよい。
【0011】
第1の発明等によれば、転てつ機の鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの嵌合箇所の撮影画像から、切り欠きに対するロックピースの偏移を精度よく測定することができる。つまり、撮影画像に対して歪み補正処理を行うことで、例えば広角レンズを用いることによる撮影画像の歪みを補正することができる。また、カメラとレンズとに生じる光軸ズレによる歪みも適切に補正できる。歪み補正処理を施した後の画像に対して透視投影処理を行うことで、カメラの設置位置ズレを補正してカメラと正対した画像に変換することができる。
【0012】
そして、透視投影画像と、ロックピーステンプレート画像及び鎖錠かんテンプレート画像それぞれを用いた画像マッチング処理を行うことで、透視投影画像中のロックピース中央位置及び切り欠き中央位置を検出することが可能となり、検出したロックピース中央位置及び切り欠き中央位置の差から、切り欠きに対するロックピースの偏移を算出することができる。ロックピーステンプレート画像は、ロックピースの移動方向に沿った方向を撮影方向としたときのロックピースの端面上部に係る画像であり、鎖錠かんテンプレート画像は、同じ撮影方向としたときのその端面上部に対向する切り欠きの対向面に係る画像であるから、これらのテンプレート画像を用いた画像マッチング処理によって画像中のロックピース中央位置及び切り欠き中央位置を精度よく検出することができる。ロックピース及び切り欠きの寸法は既知であるから、これらの中央位置の差から、ロックピースの切り欠きに対する偏移を精度よく検出することが可能となる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記ロックピーステンプレート画像及び前記鎖錠かんテンプレート画像は、前記端面上部の左右幅を含む前記端面上部を左右方向とした画像であり、
前記ロックピースの端面形状に基づいて前記透視投影画像中の前記端面上部を検出し、検出した前記端面上部が前記左右方向となるように前記透視投影画像を回転補正する回転補正処理手段(例えば、図15の回転補正部210)、
を更に備え、
前記第1検出手段及び前記第2検出手段は、前記回転補正が施された後の透視投影画像に対して前記画像マッチング処理を行う、
ロック偏移測定装置である。
【0014】
第2の発明によれば、透視投影画像中のロックピースの端面上部が左右方向となるように当該透視投影画像を回転補正することができる。ロックピーステンプレート画像及び鎖錠かんテンプレート画像は、ロックピースの端面上部を含む当該端面上部を左右方向とした画像であるから、透視投影画像の回転補正処理により、当該透視投影画像と、ロックピーステンプレート画像及び鎖錠かんテンプレート画像とにおけるロックピースの端面上部の方向をともに左右方向として一致させることができる。これにより、透視投影画像と、ロックピーステンプレート画像及び鎖錠かんテンプレート画像との画像マッチング処理の精度が向上し、ロックピース中央位置及び切り欠き中央位置の検出精度が向上することから、切り欠きに対するロックピースの偏移の算出精度を向上させることができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記算出手段は、前記ロックピース中央位置と前記切り欠き中央位置の差に基づいて、前記鎖錠かんの長手方向における前記ロックピースと前記切り欠きとの左右の隙間の比率を前記偏移として算出する、
ロック偏移測定装置である。
【0016】
第3の発明によれば、切り欠きに対するロックピースの偏移として、鎖錠かんの長手方向におけるロックピースと切り欠きとの左右の隙間の比率が算出される。転てつ機においては、嵌合状態での鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの左右の隙間の間隔が適正範囲であることが正常な状態である。このため、実際の転てつ機のロック調整に係る保守点検作業に沿った形式の測定結果とすることができる。
【0017】
第4の発明は、第1~第3の何れかの発明において、
前記鎖錠かんには、第1の切り欠きと第2の切り欠きとがあり、
前記ロックピースには、前記第1の切り欠きに嵌合する第1のロックピースと、前記第2の切り欠きに嵌合する第2のロックピースとがあり、
前記透視投影処理手段は、前記歪み補正処理が施された後の画像のうち、前記第1の切り欠きを含む第1の画像部分、及び、前記第2の切り欠きを含む第2の画像部分それぞれに対応する前記透視投影処理を行って第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像を生成し、
前記第1検出手段は、前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する前記ロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行い、
前記第2検出手段は、前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する前記鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行い、
前記第1検出手段による前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する画像マッチング処理の処理結果と、前記第2検出手段による前記第1の透視投影画像及び前記第2の透視投影画像それぞれに対する画像マッチング処理の処理結果とを用いて、前記撮影画像が、前記第1の切り欠きと前記第1のロックピースとによる第1の嵌合時画像か、前記第2の切り欠きと前記第2のロックピースとによる第2の嵌合時画像かを判断する判断手段(例えば、図15の嵌合判断部218)、
を更に備えるロック偏移測定装置である。
【0018】
第4の発明によれば、撮影画像が、第1のロックピース及び第2のロックピースの2個のロックピースのうちのどちらが切り欠きと嵌合しているときの画像かを判断することができる。例えば広角レンズを用いることで、2個のロックピースを同一画角内に収めた撮影画像とすることができる。これにより、ロックピースが嵌合していると判断したほうの切り欠きを含む画像部分から算出した偏移を採用することで、切り欠きに対するロックピースの偏移を精度よく測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ロック偏移測定システムの適用例。
図2】転てつ機の一例を示す図。
図3】転てつ機の一例を示す図。
図4】鎖錠かん及びロックピース周辺の拡大図。
図5】鎖錠かんの側面図。
図6】点検孔から目視される嵌合箇所の概要図。
図7】ロック偏移の測定手順を説明するフローチャート。
図8】撮影画像の一例。
図9】歪み補正処理後の画像の一例。
図10】透視投影画像の一例。
図11】エッジ検出画像の一例。
図12】画像マッチング処理の説明図。
図13】テンプレート画像の説明図。
図14】偏移の算出の説明図。
図15】ロック偏移測定システムの機能構成図。
図16】ロック偏移測定システムの他の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。また、図8図13に示す撮影画像については、撮影装置3から見た方向を併記する。
【0021】
[適用例]
図1は、本実施形態のロック偏移測定システムの概略を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のロック偏移測定システム1は、転てつ機7に対する付属的なシステムとして構成されており、転てつ機7の鎖錠かんに設けられた切り欠きに対するロックピースの偏移であるロック偏移を測定するシステムである。ロック偏移測定システム1は、撮影手段である撮影装置3と、ロック偏移測定装置5とを有する。撮影装置3は、転てつ機7の鎖錠かんに設けられた切り欠きとロックピースとの嵌合箇所を撮影する。ロック偏移測定装置5は、撮影装置3による撮影画像に基づいて、転てつ機7の鎖錠かんに設けられた切り欠きに対するロックピースの偏移(ロック偏移)を算出する。また、ロック偏移測定装置5は、通信ネットワークNを介して中央管理装置9と通信が可能であり、算出した転てつ機7のロック偏移を中央管理装置9へ送信する。
【0022】
[転てつ機の構成]
図2図3は、ロック偏移測定システム1が設置された転てつ機7の一例である。図2は、転てつ機7の内部機構の構成例を示す上面図であって、ケース10の上蓋を外して内部が見える状態とした上面図である。図3は、ロック偏移測定システム1によって撮影されるケース10内の配置構成を、転てつ機7の長手方向中心軸Lに沿った断面で概略的に示す図である。なお、ロック偏移測定システム1の理解を容易にするために、転てつ機7内の制御回路や制御リレー、外部端子板等の電気系部品の図示は省略している。
【0023】
図2図3に示すように、転てつ機7は、開閉式のケース10の外側部にモータ12を備えている。また、転てつ機7は、ケース10を貫通してスライド自在に設けられた動作かん16及び鎖錠かん18を備えるとともに、ケース10の内部に、鎖錠かん18に貫通して鎖錠かん18との交差方向にスライド自在に設けられたロックピース24(24a,24b)を備えている。
【0024】
モータ12により発生された回転動力は、ケース10の側部を貫通する駆動軸14に接続された減速機構部20で適切なトルクに変換されて転換鎖錠機構部22に伝達される。減速機構部20は、モータ12の駆動力を受ける歯車群であり、モータ12の駆動軸14に取り付けられたピニオンギア20a、これに噛み合うベベルギア20b、その回転軸に取り付けられた第1減速ギア20c、これに噛み合う中間ギア20d、その回転軸に設けられた第2減速ギア20e、これに噛み合う最終歯車である転換ギア20f、を有する。
【0025】
転換鎖錠機構部22は、減速機構部20で減速された回転動力を動作かん16の直動運動に変換するとともに、鎖錠かん18の鎖錠/解錠を行う機構部である。転換鎖錠機構部22による転換は、転換ギア20fの下面に突設された転換ローラ22aと、動作かん16の移動方向と交差する方向に動作かん16に刻設された転換カム溝22bとの係合により実現される。すなわち、モータ12の回転方向によって転換ローラ22aの動作方向が時計回り/反時計回りに移動し、転換ローラ22aに係合する転換カム溝22bによって、動作かん16を図2中の左方向/右方向へスライド移動させることができる。動作かん16は、転てつ棒を介して分岐器のスイッチアジャスタに連結されているので、動作かん16を図2中の左方向/右方向へスライド移動させることで、分岐器を定位/反位に転換動作させることができる。動作かん16のスライド移動によってトングレールが移動されると、そのトングレールにフロントロッド及び接続かんを介して連結されている鎖錠かん18がその長手方向のトングレールの定位と反位に対応する位置に移動される。
【0026】
また、鎖錠は、転換ローラ22aと、転換ローラ22aに係合する鎖錠カム溝が上面に刻設された第1鎖錠プレート22c及び第2鎖錠プレート22dとによって実現される。第1鎖錠プレート22cには、鎖錠かん18に向けてロックピース24aが延設され、第2鎖錠プレート22dには、鎖錠かん18に向けてロックピース24bが延設されている。転換ローラ22aが時計回り/反時計回りに移動することで、第1鎖錠プレート22c及び第2鎖錠プレート22dの一方が、鎖錠かん18から離れる方向にスライド移動され、他方が鎖錠かん18に近づく方向にスライド移動される。これにより、ロックピース24a,24bの一方が鎖錠かん18から抜けるようにスライド移動され、他方が鎖錠かん18に接近して嵌合するようにスライド移動される。
【0027】
鎖錠かん18は、接続かんを介して分岐器のトングレールの先端部に連結されている。従って、分岐器の定位/反位の転換に応じて、鎖錠かん18は図2中の左方向/右方向へスライド移動されることになる。そして、ロックピース24a,24bのどちらかが鎖錠かん18と嵌合することで、転換後のトングレールが鎖錠されることになる。
【0028】
図4は、転てつ機7における鎖錠かん18及びロックピース24周辺の一部拡大上面図であり、図5は、鎖錠かん18の長手方向に沿った側面図である。図4図5に示すように、鎖錠かん18は、2本の鎖錠かん18a,18bが所定の間隔をおいて連結されて構成されている。2つの鎖錠かん18a,18bは、対向面において、所定の距離をおいて、下側の鎖錠かん18aには上向きに開口する切り欠き19aが形成され、上側の鎖錠かん18bには下向きに開口する切り欠き19bが形成されている。
【0029】
ロックピース24a,24bは、対向する2本の鎖錠かん18a,18bの間を貫通するように配置されており、鎖錠の際に、鎖錠かん18の長手方向に対する交差方向にスライド移動される。ロックピース24aの先端部には、下方に向けて突出して鎖錠かん18aの切り欠き19aに嵌合する突起部25aが形成され、ロックピース24bの先端部には、上方に向けて突出して鎖錠かん18bの切り欠き19bに嵌合する突起部25bが形成されている。転換が開始されるとモータ12の回転力によって切り欠きに嵌合しているロックピース24a,24bの一方が、その先端部が鎖錠かん18から離れるように図4中の右方向にスライド移動されることで解錠される。そして、モータ12の回転力によって動作かん16がスライド移動し始めてトングレールが移動される。するとそのトングレールに連結されている鎖錠かん18が移動する。その後、転換の末期において、動作かん16のスライド移動が完了した後もモータ12は鎖錠のための回転を継続し、ロックピース24a,24bの他方が、その先端部が鎖錠かん18に接近して切り欠きに嵌合するように図4中の左方向にスライド移動される。これにより鎖錠が完了してモータ12の回転が終了する。
【0030】
すなわち、解錠した後、動作かん16のスライド移動によって分岐器のトングレールが定位/反位のどちらかの一方向に転換すると、鎖錠かん18が図4中の下方向にスライド移動するとともに、ロックピース24bが鎖錠かん18に接近するようにスライド移動し、鎖錠かん18bの切り欠き19bにロックピース24bの突起部25bが嵌合することで、一方向に転換された分岐器のトングレールが鎖錠される。同様に、解錠した後、分岐器のトングレールが定位/反位の他方向に転換すると、鎖錠かん18が図4中の上方向にスライド移動するとともに、ロックピース24aが鎖錠かん18に接近するようにスライド移動し、鎖錠かん18aの切り欠き19aにロックピース24aの突起部25aが嵌合することで、他方向に転換された分岐器のトングレールが鎖錠される。ロック偏移測定装置5は、一方向へ転換した場合の鎖錠及び他方向に転換した場合の鎖錠の両方の鎖錠時について、鎖錠かん18の切り欠き19とロックピース24の突起部25との嵌合箇所のロック偏移を測定する。
【0031】
図3に示すように、転てつ機7には、モータ12とは反対側のケース10の外側部に、鎖錠かん18の切り欠き19とロックピース24との嵌合箇所を目視点検するための開口である点検孔32が設けられている。この点検孔32を開閉可能に塞ぐ蓋30の内側(蓋30の裏側の凹部)に、本実施形態のロック偏移測定システム1が取り付けられている。ロック偏移測定システム1は、撮影装置3及びロック偏移測定装置5を基板に実装した形態で実現される。
【0032】
撮影装置3は、例えば、静止画を撮影するカメラが用いられる。点検孔32から見て横並びに配置されている2個のロックピース24a,24bを同時に撮影するために、カメラレンズとして広角レンズが用いられる。また、撮影装置3は、点検孔32を通して、切り欠きに嵌合したロックピースの先端部を撮影可能な位置に配設される。具体的には、ロックピース24aの先端部が切り欠き19aに嵌合して鎖錠している状態、及び、ロックピース24bの先端部が切り欠き19bに嵌合して鎖錠している状態、の両方を撮影可能な位置及び向きに撮影装置3が設置されている。
【0033】
ロック偏移測定装置5は、CPUやDSP等の各種マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の各種ICメモリといった電子部品、無線通信モジュールなどにより実現される。
【0034】
また、ロック偏移測定システム1の基板には、点検孔32から見た転てつ機7内部を撮影用に明るく照らすためのLED素子(発光ダイオード素子)や、当該基板に実装されている部品や回路の動作電源を給電するための端子、なども実装されている。動作電源は、転てつ機7の内部に予め設けられている動作かん16や鎖錠かん18の位置を検出するためのセンサや、転てつ機7に外付けされる各種センサの電源系の配線から分岐して給電することができる。
【0035】
図6は、点検孔32から目視される鎖錠かん18(18a,18b)の切り欠き19(19a,19b)とロックピース24(24a,24b)との嵌合箇所の概要図であり、蓋30を開けてロックピース24の移動方向に沿った方向(図2図3の矢印方向)から目視したときの様子を示している。図6(1)は、分岐器のトングレールが定位/反位のどちらかの一方向に転換・鎖錠されているときの状態を示している。つまり、鎖錠かん18が図6中の左方向(図4の下方向に相当)にスライド移動しており、上側の鎖錠かん18bの切り欠き19bにロックピース24bの突起部25bが嵌合している。ロックピース24aは、その先端部が手前側に突出している。また、図6(2)は、分岐器のトングレールが、図6(1)とは異なる他方向に転換・鎖錠されているときである。つまり、鎖錠かん18が図6中の右方向(図4の上方向に相当)にスライド移動しており、下側の鎖錠かん18aの切り欠き19aにロックピース24aの突起部25aが嵌合している。ロックピース24bは、その先端部が手前側に突出している。
【0036】
[ロック偏移の測定]
ロック偏移測定システム1による転てつ機7のロック偏移の測定方法について説明する。図7は、ロック偏移測定システム1による転てつ機7のロック偏移の測定手順を示すフローチャートである。先ず、ロック偏移測定装置5は、転てつ機7の鎖錠が完了すると(ステップS1:YES)、撮影装置3に対して撮影を指示する(ステップS3)。撮影装置3は、撮影の指示に従って撮影を行う。撮影装置3による撮影画像は、ロック偏移測定装置5へ出力される(ステップS5)。
【0037】
ロック偏移測定装置5は、転てつ機7の鎖錠完了を、例えば、連動装置からの転換指示に従ってモータ12を駆動制御する制御回路や制御リレーといった転てつ機7の制御部、或いは、鎖錠完了を検知するために転てつ機7に設けられたセンサから入力される鎖錠完了を示す信号によって判定する。鎖錠完了を検知するためのセンサとは、鎖錠かん18の位置を検知する光学センサや、動作かん16の移動完了を検知するセンサ、モータ12の駆動電流を検出する電流センサなどである。
【0038】
図8は、撮影画像の一例である。この撮影画像は、図6(1)に示した状態の撮影画像に相当し、横並びに写っている2個のロックピース24a,24bのうち、右側のロックピース24bが鎖錠かん18bの切り欠き19bに嵌合しており、左側のロックピース24aが手前方に突出して写っている。
【0039】
ロック偏移測定装置5は、取得した撮影画像に対して、画像の歪みを補正する歪み補正処理を行う(ステップS7)。撮影装置3はカメラレンズとして広角レンズを用いているため、その撮影画像には、中心から周縁部に向けて膨らんだような歪みが生じる。つまり、直線形状である鎖錠かん18の切り欠き19やロックピース24の形状が歪んで写ることになる。この歪みを補正するのが歪み補正処理である。歪み補正に係る演算パラメータは、例えばロック偏移測定装置5の設置時に初期設定として予め設定することができる。
【0040】
図9は、歪み補正処理を施した後の画像の一例である。この画像は、図8の撮影画像に対して歪み補正処理を施した後の画像であり、両者の画像を比較すると、画像周縁部の歪みがもとの直線形状に補正されていることがわかる。
【0041】
続いて、ロック偏移測定装置5は、歪み補正処理を施した後の画像の画像部分であって、鎖錠かん18の2つの切り欠き19a,19bのうちの一方の切り欠き(第1の切り欠き)を含む第1の画像部分、及び、他方の切り欠き(第2の切り欠き)を含む第2の画像部分のそれぞれを対象とした偏移算出処理を行う(ステップS9,S25)。図9の画像例では、歪み補正処理を施した後の画像に対して、左側の切り欠き19aを含む画像部分を第1の画像部分とし、右側の切り欠き19bを含む画像部分を第2の画像部分としている。
【0042】
偏移算出処理では、対象の画像部分に対して、当該画像部分に含まれる切り欠き19に嵌合するロックピース24の移動方向に沿った方向(図9では手前/奥の方向)を投影方向とした透視投影処理を行って、透視投影画像を生成する(ステップS11)。つまり、第1の画像部分を対象としているならば、第1の切り欠きに嵌合する第1のロックピース(2個のロックピース24a,24bのうちの一方)の移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って第1の透視投影画像を生成し、第2の画像部分を対象としているならば、第2の切り欠きに嵌合する第2のロックピース(2個のロックピース24a,24bのうちの他方)の移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って第2の透視投影画像を生成する。なお、第1のロックピースと第2のロックピースとで、投影方向を異なることとしてもよいし、簡易的に同じ方向として透視投影処理を行うこととしてもよい。何れの場合も、投影方向は、ロックピースの移動方向に沿った方向となる。
【0043】
透視投影に係る演算パラメータは、ロック偏移測定装置5の設置時に初期設定として予め設定することができる。例えば、撮影画像に対する歪み補正処理を行った後の画像における第1の画像部分及び第2の画像部分のそれぞれについて、当該画像部分に含まれる切り欠き19にロックピース24が嵌合している状態における当該ロックピース24の端部の4つの角の位置を求める。この4つの角の位置を基準に、当該ロックピース24の移動方向に沿った方向を投影方向とする画像処理を施したときの理想的な透視投影後の撮影画像となる演算パラメータを決めればよい。
【0044】
図10は、透視投影後の画像である透視投影画像の一例である。この画像は、図9の画像のうちの右側の切り欠き19bを含む第2の画像部分に対して、当該右側の切り欠き19bと嵌合するロックピース24bの移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って生成した透視投影画像である。
【0045】
続いて、ロック偏移測定装置5は、透視投影画像に対するエッジ検出処理を行う(ステップS13)。このエッジ検出処理は、透視投影画像に対するグレースケール変換処理と、グレースケール変換処理を行った後の画像に対する平滑化フィルタ処理と、平滑化フィルタ処理を行った後の画像に対する二値化処理と、二値化処理を行った後の画像に対するエッジフィルタ処理と、エッジフィルタ処理を行った後の画像に対するハフ変換処理とを含む。
【0046】
図11は、エッジ検出処理を行った後の画像の一例であり、図10の透視投影画像に対してエッジ検出処理を行った後の画像である。撮影画像では、鎖錠かん18とロックピース24との隙間が他の部分よりも暗く写っている。エッジ検出処理を行うことで二値化画像となるため、エッジ検出処理を行った後の画像(以下「エッジ検出画像」という)では、鎖錠かん18とロックピース24との隙間の部分が「黒」、その他の部分が「白」となる。また、鎖錠かん18及びロックピース24の輪郭が直線形状として明確に現れている。
【0047】
続いて、ロック偏移測定装置5は、エッジ検出画像に対する回転補正処理を行う(ステップS15)。つまり、エッジ検出画像中のロックピース24の端面上部に相当する直線部を検出し、この直線部が当該画像の左右方向に対してなす角度(補正角度)を算出する。そして、エッジ検出画像中の検出した直線部が当該画像の左右方向(水平方向)に一致するように、当該画像中心を回転軸として算出した補正角度だけ当該画像を回転補正する。
【0048】
撮影装置3は、点検孔32を塞ぐ蓋30の内側に取り付けられている。撮影装置3が取り付けられている点検孔32を塞ぐ蓋30には、開閉用に一定の遊び(寸法余裕)が設けられている。このため、蓋30の開け閉めや列車通過による振動によって撮影装置3に振動や衝撃が加わってカメラの設置位置ズレが生じたり、撮影装置3の設置姿勢が僅かに変化したりして、撮影装置3の撮影範囲や撮影向きが変化する。この結果、撮影する向きや撮影画像の傾きが生じ得る。透視投影処理から回転補正処理までの一連の画像処理によって、撮影する向きや撮影画像の傾き等に関する補正を施して、後述する画像マッチング処理の精度を向上させることができる。
【0049】
ロック偏移測定装置5は、続いて、回転補正処理を行った後のエッジ検出画像に対してマスク処理を行う(ステップS17)。そして、マスク処理を行った後のエッジ検出画像に対して、ロックピーステンプレート画像との画像マッチング処理を行って、画像中のロックピース中央位置を検出する(ステップS19)。また、マスク処理を行った後のエッジ検出画像に対して、鎖錠かんテンプレート画像との画像マッチング処理を行って、画像中の切り欠き中央位置を検出する(ステップS21)。
【0050】
図12は、マスク処理及び画像マッチング処理を説明するための図である。図12では、上側に回転補正処理を行った後のエッジ検出画像の一例を示し、下側にロックピーステンプレート画像及び鎖錠かんテンプレート画像(以下、包括して「テンプレート画像」という)の一例を示している。図12の上側に示すように、エッジ検出画像に対して、ロックピース24の上半分が写る範囲を抜き出すマスク処理を行う。より具体的には、ロックピース24の上半分以外の画像マッチング処理が不要な範囲(例えば、画像の下半分)を「白」とする画像処理を施すことでマスク処理を行う。画像マッチング処理では、ロックピース24の上面に係る隙間及びその周辺の画像を用いるため、その範囲以外の画像部分に対するマスク処理を行うのである。
【0051】
図13は、テンプレート画像を説明する図である。テンプレート画像は、鎖錠かん18の切り欠き19とロックピース24との隙間を検出するためのものである。ロックピーステンプレート画像は、ロックピース24の移動方向に沿った方向を撮影方向としたときのロックピース24の端面上部に係る画像であり、その端面上部の左右幅(左右方向の全幅)を含み、端面上部を左右方向とした画像である。つまり、ロックピース24の端面上部を境界として、当該端部上面を含む端部上部に相当する「白」の画像部分と、切り欠き19との隙間に相当する「黒」の画像部分とにより構成されている。また、ロックピーステンプレート画像には、ロックピース24の端面上部の中央位置Xに相当する位置が設定されている。
【0052】
鎖錠かんテンプレート画像は、ロックピーステンプレート画像と同様にロックピース24の移動方向に沿った方向を撮影方向としたときの、ロックピース24の端面上部に対向する切り欠きの対向面に係る画像であり、対向面の左右幅(左右方向の全幅)を含み、ロックピース24の端面上部を左右方向とした画像である。つまり、対向面を境界として、当該対向面を含む鎖錠かん18に相当する「白」の画像部分と、ロックピース24との隙間に相当する「黒」の画像部分とにより構成されている。また、鎖錠かんテンプレート画像には、切り欠き19の対向面の中央位置Xに相当する位置が設定されている。
【0053】
これらのテンプレート画像は、例えば、ロック偏移測定システム1の設置時に撮影装置3で撮影した初期撮影画像に基づいて生成することができる。つまり、初期撮影画像に対して、上述の歪み補正処理、透視投影処理、エッジ検出処理を行うことで得られるエッジ検出画像から、該当部分を切り出すことで生成することができる。
【0054】
そして、マスク処理を行った後のエッジ検出画像に対するロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行うことで、テンプレート画像中の中央位置Xに対応するエッジ検出画像中の位置を、ロックピース中央位置として検出することができる。また、マスク処理を行った後のエッジ検出画像に対する鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行うことで、鎖錠かんテンプレート画像中の中央位置Xに対応するエッジ検出画像中の切り欠き中央位置として検出することができる。
【0055】
続いて、ロック偏移測定装置5は、検出したロックピース中央位置Xと切り欠き中央位置Xの差に基づいて、鎖錠かん18の切り欠き19に対するロックピース24の偏移を算出する(ステップS23)。
【0056】
図14は、切り欠き19に対するロックピース24の偏移の算出を説明する図である。図14では、切り欠き19とロックピース24との嵌合箇所を、ロックピース24の移動方向に沿った方向から見た模式図を示している。切り欠き19とロックピース24との左右の隙間の合計Xは、切り欠きの寸法Wとロックピースの幅の寸法Wとの差となる。これらの寸法W,Wは既知であるから、左右の隙間の合計Xは一意に定まる。左の隙間と右の隙間とが等しい状態、つまり、左の隙間及び右の隙間がともに「X/2」である状態を適正状態とすると、この適正状態では、ロックピース中央位置Xと切り欠き中央位置Xとは、画像中の左右方向の位置が一致する。そして、ロックピース中央位置Xと切り欠き中央位置Xとの左右方向の位置の差は、ロックピース24が適正状態から左又は右に偏った程度を示すことになる。具体的には、ロックピース中央位置Xと切り欠き中央位置Xとの左右方向の位置の差を「X-X」とすると、左の隙間は「X/2-(X-X)」で求められ、右の隙間は「X/2+(X-X)」で求められる。
【0057】
切り欠き19に対するロックピース24の偏移は、このように左右の隙間それぞれの具体的な長さ(例えば、左の隙間は2ミリ、右の隙間は1ミリといったように)としてもよいし、左右の隙間の長さの比率としてもよい。隙間の左右の比率は、例えば、5:5、3:7、といったように、10分割の比率として算出することができる。
【0058】
ここまでが、画像部分に対する偏移算出処理である。2つの画像部分(第1の画像部分及び第2の画像部分)それぞれを対象とした偏移算出処理を行うと、ロック偏移測定装置5は、続いて、これらの偏移算出処理の結果に基づき、撮影画像が、第1の切り欠き(2つの切り欠き19a,19bのうちの一方)と第1のロックピース(2個のロックピース24a,24bのうちの一方)とによる第1の嵌合時画像か、第2の切り欠き(2つの切り欠き19a,19bのうちの他方)と第2のロックピース(2個のロックピース24a,24bのうちの他方)とによる第2の嵌合時画像かを判断する(ステップS29)。この嵌合判断は、偏移算出処理における画像マッチング処理により得られる類似度に基づいて行う。具体的には、テンプレート画像との類似度が高いほうの画像部分に係るロックピース24が切り欠き19と嵌合していると判断する。ロック偏移測定システム1による転てつ機7のロック偏移の測定は、以上のように行われる。
【0059】
[機能構成]
図15は、ロック偏移測定システム1の機能構成例である。図15に示すように、ロック偏移測定システム1は、撮影装置3と、ロック偏移測定装置5とを備えて構成される。ロック偏移測定装置5は、機能部として、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備え、一種のコンピュータ或いはCPUボードとして構成することができる。また、ロック偏移測定装置5は、不図示の操作ボタン等の操作部、小形表示器等の表示部を備えて、設定を変更・確認する等の操作入力が適宜可能な構成とすることができる。
【0060】
通信部108は、例えば、無線通信モジュールで実現され、通信ネットワークNを介して、中央管理装置9といった外部装置と無線通信を行う。
【0061】
処理部200は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて、ロック偏移測定装置5を構成する各部への指示やデータ転送を行い、ロック偏移測定装置5の全体制御を行う。また、処理部200は、記憶部300に記憶されたロック偏移測定プログラム302を実行することで、撮影制御部202、歪み補正部204、透視投影部206、エッジ検出部208、回転補正部210、第1検出部212、第2検出部214、偏移算出部216及び嵌合判断部218の各機能ブロックとして機能する。但し、これらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によってそれぞれ独立した演算回路として構成することも可能である。
【0062】
撮影制御部202は、転てつ機7の制御部や鎖錠完了時を検知するために転てつ機7に設けられたセンサから入力される鎖錠完了を示す信号に基づいて、撮影装置3の撮影を制御する。撮影装置3による撮影画像は、識別番号である画像IDや撮影日時等の付加情報と対応付けて、撮影画像データ320として蓄積記憶される。
【0063】
撮影装置3は、鎖錠かん18の切り欠き19とロックピース24との嵌合箇所を目視点検するための点検孔32を開閉可能に塞ぐ蓋30の内側(蓋30の裏側の凹部)に取り付けられており、点検孔32を通して、横並びに配置されている2個のロックピース24a,24bを同時に撮影する。
【0064】
歪み補正部204は、撮影装置3によって撮影された撮影画像に対して、画像の歪みを補正する歪み補正処理を行う(図9参照)。歪み補正処理を行う際の画像処理用のパラメータは、歪み補正パラメータ312として記憶されている。
【0065】
透視投影部206は、歪み補正部204により歪み補正処理が施された後の画像に対して、ロックピース24の移動方向に沿った方向を投影方向とした透視投影処理を行って透視投影画像を生成する。具体的には、歪み補正処理が施された後の画像のうち、鎖錠かん18の2つの切り欠き19a,19bのうちの一方である第1の切り欠きを含む第1の画像部分、及び、他方である第2の切り欠きを含む第2の画像部分それぞれに対応する透視投影処理を行って第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像を生成する(図10参照)。撮影画像における第1の画像部分及び第2の画像部分の範囲は、画像部分設定データ310として予め定められている。また、透視投影処理を行う際の画像処理用のパラメータは、投影方向別に透視投影パラメータ314として記憶されている。
【0066】
エッジ検出部208は、透視投影部206により生成された透視投影画像に対するエッジ検出処理を行う。具体的には、第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像それぞれに対する検出処理を行って、第1のエッジ検出画像及び第2のエッジ検出画像を生成する。また、エッジ検出処理として、グレースケール変換処理、平滑化フィルタ処理、二値化処理、エッジフィルタ処理、ハフ変換処理を含む処理を行い、最終的に鎖錠かん18及びロックピース24の輪郭を直線形状として現した二値のエッジ検出画像を生成する(図11参照)。
【0067】
回転補正部210は、ロックピース24の端面形状に基づいて、エッジ検出部208によりエッジ検出処理が行われた透視投影画像であるエッジ検出画像中のロックピース24の端面上部を検出し、検出した端面上部が左右方向となるように、当該エッジ検出画像を回転補正する回転補正処理を行う。具体的には、第1のエッジ検出画像及び第2のエッジ検出画像それぞれに対する回転補正処理を行う。
【0068】
第1検出部212は、ロックピース24の移動方向に沿った方向を撮影方向としたときのロックピース24の端面上部に係るロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、端面上部の中央位置Xに対応する透視投影画像中の位置であるロックピース中央位置を検出する。具体的には、エッジ検出処理及び回転補正処理が行われた後の第1の透視投影画像である第1のエッジ検出画像と、エッジ検出処理及び回転補正処理が行われた後の第2の透視投影画像である第2のエッジ検出画像とのそれぞれに対するロックピーステンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行い、第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像のそれぞれの画像中のロックピース中央位置を検出する(図12図14参照)。ロックピーステンプレート画像は、テンプレート画像データ316として記憶されている。
【0069】
第2検出部214は、ロックピース24の移動方向に沿った方向を撮影方向としたときのロックピース24の端面上部に対向する切り欠き19の対向面に係る鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行って、対向面の中央位置Xに対応する透視投影画像中の位置である切り欠き中央位置を検出する。具体的には、エッジ検出処理及び回転補正処理が行われた後の第1の透視投影画像である第1のエッジ検出画像と、エッジ検出処理及び回転補正処理が行われた後の第2の透視投影画像である第2のエッジ検出画像とのそれぞれに対する鎖錠かんテンプレート画像を用いた画像マッチング処理を行い、第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像のそれぞれの画像中の切り欠き中央位置を検出する(図12図14参照)。鎖錠かんテンプレート画像は、テンプレート画像データ316として記憶されている。
【0070】
偏移算出部216は、第1検出部212により検出されたロックピース中央位置と、第2検出部214により検出された切り欠き中央位置の差に基づいて、切り欠き19に対するロックピース24の偏移を算出する。具体的には、ロックピース中央位置及び切り欠き中央位置の左右方向の位置の差に基づき、左右の隙間それぞれの長さを、偏移として算出する。或いは、算出した左右の隙間の長さの比率を偏移としてもよい。
【0071】
また、この偏移の算出は、第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像それぞれについて行う。そして、嵌合判断部218により嵌合していると判断されたほうの透視投影画像について算出した偏移を採用する。算出した偏移は、対象とした撮影画像の画像ID等の付加情報と対応付けて、ロック偏移算出データ330として蓄積記憶される。
【0072】
嵌合判断部218は、第1検出部212による第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像それぞれに対する画像マッチング処理の処理結果と、第2検出部214による第1の透視投影画像及び第2の透視投影画像それぞれに対する画像マッチング処理の処理結果とを用いて、撮影画像が、鎖錠かん18の2つの切り欠き19a,19bのうちの一方である第1の切り欠きと2個のロックピース24a,24bのうちの一方である第1のロックピースとによる第1の嵌合時画像か、2つの切り欠き19a,19bのうちの他方である第2の切り欠きと2個のロックピース24a,24bのうちの他方である第2のロックピースとによる第2の嵌合時画像かを判断する。具体的には、画像マッチング処理の結果である類似度が高いほうの透視投影画像に係る切り欠き19とロックピース24とによる嵌合時画像と判断する。
【0073】
記憶部300は、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置で実現され、処理部200がロック偏移測定装置5を統合的に制御するためのプログラムやデータ等を記憶しているとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、通信部108を介した入力データ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300には、ロック偏移測定プログラム302と、画像部分設定データ310と、透視投影パラメータ314と、歪み補正パラメータ312と、テンプレート画像データ316と、撮影画像データ320と、ロック偏移算出データ330とが記憶される。
【0074】
[作用効果]
このように、本実施形態のロック偏移測定システム1によれば、転てつ機7の鎖錠かん18の切り欠き19とロックピース24との嵌合箇所の撮影画像から、切り欠きに対するロックピース24の偏移を精度よく測定することができる。つまり、撮影画像に対して歪み補正処理を行うことで、例えば広角レンズを用いることによる撮影画像の歪みを補正することができる。また、カメラとレンズとに生じる光軸ズレによる歪みも適切に補正できる。歪み補正処理を施した後の画像に対して透視投影処理を行うことで、カメラの設置位置のズレを補正してカメラと正対した画像に変換することができる。
【0075】
そして、透視投影画像に対してエッジ検出処理を行った後の画像であるエッジ検出画像と、ロックピーステンプレート画像及び鎖錠かんテンプレート画像それぞれを用いた画像マッチング処理を行うことで、透視投影画像中のロックピース中央位置及び切り欠き中央位置を検出することが可能となり、検出したロックピース中央位置及び切り欠き中央位置の差から、切り欠き19に対するロックピース24の偏移を算出することができる。つまり、透視投影画像に対するエッジ検出処理を行うことで、透視投影画像中のロックピース及び切り欠きの輪郭の形状を明確に検出することができる。また、ロックピーステンプレート画像は、ロックピース24の移動方向に沿った方向を撮影方向としたときのロックピース24の端面上部に係る画像であり、鎖錠かんテンプレート画像は、同じ撮影方向としたときのその端面上部に対向する切り欠き19の対向面に係る画像である。これらのテンプレート画像を用いた画像マッチング処理によって、隙間に係るロックピース24の上端面及び切り欠き19の対向面の部分を面上にとらえて精度よく検出できるから、画像中のロックピース中央位置及び切り欠き中央位置を精度よく検出することができる。ロックピース24及び切り欠き19の寸法は既知であるから、これらの中央位置の差から、ロックピース24の切り欠き19に対する偏移を精度よく検出することが可能となる。
【0076】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0077】
(A)ロック偏移測定システムの構成
ロック偏移測定システムを、図16に示すように構成しても良い。すなわち、図16(1)に示すように、ロック偏移測定装置5を、例えば駅構内の機器室や中央指令室といった、転てつ機7から離れた場所に設置するようにしても良い。転てつ機7には撮影装置3のみを付属的に設置し、撮影装置3とロック偏移測定装置5とを、無線或いは有線の通信ネットワークで接続する。或いは、図16(2)に示すように、ロック偏移測定装置5が有する撮影制御部202の機能を、ロック偏移測定装置5とは別装置である撮影制御装置6として構成するようにしてもよい。
【0078】
(B)撮影タイミング
また、上述の実施形態では、撮影装置3による転てつ機7の鎖錠かんの切り欠きとロックピースとの嵌合箇所の撮影を、転てつ機7が転換して鎖錠が完了した後に行うことにしたが、撮影タイミングはこれに限らず、例えば、所定時間間隔で行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0079】
1…ロック偏移測定システム
3…撮影装置
5…ロック偏移測定装置
200…処理部
202…撮影制御部
204…歪み補正部
206…透視投影部
208…エッジ検出部
210…回転補正部
212…第1検出部
214…第2検出部
216…偏移算出部
218…嵌合判断部
300…記憶部
302…ロック偏移測定プログラム
310…画像部分設定データ
312…歪み補正パラメータ
314…透視投影パラメータ
316…テンプレート画像データ
320…撮影画像データ
330…ロック偏移算出データ
7…転てつ機
18…鎖錠かん、19…切り欠き
24…ロックピース、25…突起部
9…中央管理装置
図1
図2
図3
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