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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023336
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】コイルスプリングの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/12 20060101AFI20220201BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
B62D25/12 D
F16F1/12 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126203
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000151597
【氏名又は名称】株式会社東郷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々山 隆司
(72)【発明者】
【氏名】小川 大佑
【テーマコード(参考)】
3D004
3J059
【Fターム(参考)】
3D004AA03
3D004AA12
3D004BA03
3D004CA05
3D004CA14
3D004CA19
3D004CA31
3J059AD02
3J059AD05
3J059BA01
3J059BB01
3J059BD02
3J059CA04
3J059CB13
3J059CB18
3J059EA11
3J059GA01
(57)【要約】
【課題】スプリングを小さな力で取付けできる取付構造が従来必要とされている。
【解決手段】取付構造10は、スプリング11を車体1へ取付ける。スプリング11は、車体1に取付けられるスプリング第1端11aと、トランクリッド2のリッドヒンジ12に取付けられるスプリング第2端11bを有する。リッドヒンジ12に設けられるブラケット13は、スプリング第2端11bが仮係止される仮係止孔14と、仮係止孔14から延出するガイド溝16を有する。トランクリッド2を開き位置から閉じ位置にした際にスプリング11が伸びる。スプリング11のばね力を利用してガイド溝16に沿ってスプリング第2端11bが移動する。スプリング第2端11bがブラケット13に形成された正係止孔15に保持される。正係止孔15からガイド溝16に沿ってスプリング第2端11bが戻ることを抑制するようにガイド溝16に段差17が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランクリッドを開き位置へ付勢するコイルスプリングの車体への取付構造であって、
前記車体に取付けられるスプリング第1端と前記トランクリッドのリッドヒンジに取付けられるスプリング第2端とを具備する前記コイルスプリングと、
前記リッドヒンジに設けられかつ前記スプリング第2端が仮係止される仮係止孔と前記仮係止孔から延出するガイド溝とが形成されたガイド部材と、
前記トランクリッドを前記開き位置から閉じ位置にした際に伸びる前記コイルスプリングのばね力を利用して前記ガイド溝に沿って移動した前記スプリング第2端を保持するように前記ガイド部材または前記リッドヒンジに形成された正係止孔と、
前記正係止孔から前記ガイド溝に沿って前記スプリング第2端が戻ることを抑制するように前記ガイド溝または前記ガイド溝と前記正係止孔の間に形成された段差を有する取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコイルスプリングの車体への取付構造であって、
前記ガイド溝は、前記仮係止孔から延出する第1ガイド溝と、前記第1ガイド溝と連続する屈曲溝と、前記屈曲溝から前記正係止孔へ向けて延出する第2ガイド溝を有し、
前記屈曲溝は、前記第1ガイド溝と前記第2ガイド溝を角度を有して連結して前記段差を構成する取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコイルスプリングの車体への取付構造であって、
前記正係止孔が前記リッドヒンジに形成され、
前記ガイド部材が前記リッドヒンジに対して取外し可能に取付けられる取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載のコイルスプリングの車体への取付構造であって、
前記リッドヒンジには、前記正係止孔から延出するヒンジ側溝が形成され、
前記ヒンジ側溝は、前記ガイド部材が前記リッドヒンジに取付けられた状態で前記ガイド溝の出口と連結する入口を有する取付構造。
【請求項5】
請求項3または4に記載のコイルスプリングの車体への取付構造であって、
前記リッドヒンジは、前記車体に枢着されヒンジ回転軸を中心に上下方向に回転可能に連結されるヒンジ本体と、前記ヒンジ本体に設けられかつ前記正係止孔が形成されたブラケットを有し、
前記ガイド部材は、前記ブラケットに対して側方に着脱可能であり、かつ前記ブラケットの上下辺と前後辺のそれぞれに当接する4つの当接辺を有する取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルスプリングの取付構造に関する。コイルスプリングは、例えば車体とトランクリッドを連結するように取付けられてトランクリッドを開き位置へ付勢したり、トランクリッドやリッドヒンジ等を含む構造体の重量と付勢力とをバランスさせパーシャルオープン状態にする。
【背景技術】
【0002】
トランクリッドを後部に備えた車両が従来知られている。トランクリッドは、閉じ位置と開き位置の間で上下方向に回転することでトランクの開口を開閉する。トランクリッドは、例えばコイルスプリング(引張ばね)によって開き位置へ付勢される。コイルスプリングの一端は車体に取付けられる。コイルスプリングの他端は、トランクリッドから延出するリッドヒンジに取付けられる。リッドヒンジは、車体に回転可能に連結される。トランクリッドを開き位置から閉じ位置へ回転させる際、リッドヒンジが回転してコイルスプリングが伸びる。伸びたコイルスプリングはリッドヒンジを引張る。したがってコイルスプリングは、トランクリッドを閉じ位置から開き位置へ付勢する。
【0003】
トランクリッドを付勢するコイルスプリングは、一般に高いばね荷重を有する。そのため取付ける際に人の手で引張ることが難しい。従来この種のコイルスプリングは、治具を利用して自由長から取付長さ以上に伸ばして車体へ取付けられていた。例えばプレス機等の装置を利用してコイルスプリングを取付長さまで伸ばす。略C字形状の治具の両端それぞれをコイルスプリングの両端の巻線の間に挟み込む。コイルスプリングは治具によって取付長さに伸びた状態で維持される。しかしながら作業現場の近傍にプレス機等を設置する必要があり、しかも工数が多くなる。また治具は繰返して長手方向に高荷重を受ける。そのため治具の寿命が比較的短く定期的に交換する必要がある。
【0004】
特許文献1には、コイルスプリングをブラケットに取付ける構造が開示されている。ブラケットは、長尺状で、長手方向に沿って延出する長孔を有する。長孔の第1端にフック状に屈曲した係止部が形成され、第2端にはブラケットの側縁に連通する挿入孔が形成されている。コイルスプリングの一端が挿入孔から挿入される。ブラケットは、係止部に近い端部が回転可能に取付けられる。
【0005】
特許文献1の第3図を参照するようにコイルスプリングの一端をブラケットに取付ける際、挿入孔を備える第2端がコイルスプリングに近くなるようにブラケットを回転させる。自由長のコイルスプリングの一端を挿入孔から長孔に挿入する。第4図を参照するようにコイルスプリングのばね力に抗してブラケットを回転させる。コイルスプリングの一端がばね力で引張られて長孔に沿って係止部へ向けて移動する。第5図を参照するようにコイルスプリングの一端が係止部で係止される。これによりコイルスプリングが自由長より長い取付長さでブラケットに取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62-106037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしブラケットを回転させることは容易でないと考えられる。例えばブラケットを回転させ始める時、ブラケットを梃子として取付孔が支点、ブラケットの端部が力点、第2係止部が作用点に相当する。そのため力点と作用点の距離が近い。そのためブラケットの回転始めの時に梃子の原理を効果的に利用することが難しい。しかもコイルスプリングのばね定数が高い場合、コイルスプリングのばね力と略同じ大きさの力でブラケットを回転させる必要がある。そのため人の手でブラケットを回転させることが難しい。しかも作業現場におけるスペースが狭い場合もある。例えばコイルスプリングを車体へ取付ける際の作業スペースは、トランクルームの大きさに限定されるために非常に狭い。そこでスプリングを小さな力で取付けできる取付構造が従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの特徴は、トランクリッドを開き位置へ付勢するコイルスプリングの車体への取付構造に関する。コイルスプリングは、車体に取付けられるスプリング第1端とトランクリッドのリッドヒンジに取付けられるスプリング第2端とを具備する。リッドヒンジにガイド部材が設けられる。ガイド部材には、スプリング第2端が仮係止される仮係止孔と、仮係止孔から延出するガイド溝とが形成される。トランクリッドを開き位置から閉じ位置にした際にコイルスプリングが伸びる。コイルスプリングのばね力を利用してガイド溝に沿ってスプリング第2端が移動する。スプリング第2端がガイド部材またはリッドヒンジに形成された正係止孔に保持される。正係止孔からガイド溝に沿ってスプリング第2端が戻ることを抑制するようにガイド溝またはガイド溝と正係止孔の間に段差が形成される。
【0009】
したがってコイルスプリングを車体へ取付ける際、スプリング第2端をガイド部材の仮係止孔に係止させる。トランクリッドを開き位置から閉じ位置に回転させる。トランクリッドとともにリッドヒンジが回転し、コイルスプリングが伸びる。換言すると、コイルスプリングを伸ばしていない状態、または伸びの少ない状態でスプリング第2端をガイド部材の仮係止孔に係止できる。そしてトランクリッドを梃子としてコイルスプリングを伸ばすことができる。スプリング第2端は、スプリング11のばね力によってスプリング第1端側へ引張られる。そのためスプリング第2端がガイド溝に案内されて正係止孔へ移動する。正係止孔にスプリング第2端が保持され、段差によってスプリング第2端が元の位置へ戻らない。そのため小さな力でスプリングを車体に取付けることができる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、ガイド溝は、仮係止孔から延出する第1ガイド溝と、第1ガイド溝と連続する屈曲溝を有する。屈曲溝から正係止孔へ向けて第2ガイド溝が延出する。屈曲溝は、第1ガイド溝と第2ガイド溝を角度を有して連結して段差を構成する。したがってスプリング第2端が仮係止孔から順に第1ガイド溝、屈曲溝、第2ガイド溝に案内されて正係止孔へ向けて移動する。これによりスプリング第2端が確実に正係止孔へ向けて移動できる。スプリング第2端は、簡易な構造である第1ガイド溝と第2ガイド溝の角度差を利用して正係止孔から第1ガイド溝へ移動することが抑制される。
【0011】
本開示の他の特徴によると、正係止孔がリッドヒンジに形成されている。ガイド部材がリッドヒンジに対して取外し可能に取付けられる。したがってリッドヒンジの正係止孔にスプリング第2端を保持させることで、コイルスプリングを車体へ取付けることができる。その後、ガイド部材を取り外すことで、車体を軽量にすることができる。
【0012】
本開示の他の特徴によると、リッドヒンジには、正係止孔から延出するヒンジ側溝が形成されている。ヒンジ側溝は、ガイド部材がリッドヒンジに取付けられた状態でガイド溝の出口と連結する入口を有する。したがってスプリング第2端は、ガイド部材のガイド溝からリッドヒンジのヒンジ側溝に連続して案内される。これによりスプリング第2端は、確実に正係止孔へ導かれる。
【0013】
本開示の他の特徴によると、リッドヒンジは、車体に枢着されヒンジ回転軸を中心に上下方向に回転可能に連結されるヒンジ本体を有する。ヒンジ本体には、正係止孔が形成されたブラケットが設けられる。ガイド部材は、ブラケットに対して側方に着脱可能である。ガイド部材は、ブラケットの上下辺と前後辺のそれぞれに当接する4つの当接辺を有する。したがってガイド部材は、簡易な構造によってブラケットに例えば回転不能に安定して取付けられる。そのためリッドヒンジがヒンジ回転軸を中心に上下方向に回転する際、ガイド部材はブラケットから外れない。しかもガイド部材は、ブラケットに対して側方に着脱可能である。そのためコイルスプリングをリッドヒンジに取付けた後は、ガイド部材をブラケットから容易に取外せる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車体とトランクリッドを示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る開き位置のリッドヒンジと仮係止されたスプリングを示す側面図である。
図3】閉じ位置のリッドヒンジとスプリングの側面図である。
図4】開き位置のリッドヒンジと正係止されたスプリングを示す側面図である。
図5】第2実施形態に係る開き位置のリッドヒンジと仮係止されたスプリングを示す側面図である。
図6図5中VI方向から見た後面図である。
図7】リッドヒンジの側面図である。
図8図7中VIII方向から見た後面図である。
図9】ガイド部材の側面図である。
図10図9中X方向から見た後面図である。
図11】閉じ位置のリッドヒンジとスプリングの側面図である。
図12】開き位置のリッドヒンジと正係止されたスプリングを示す側面図である。
図13】第3実施形態に係る開き位置のリッドヒンジと仮係止されたスプリングを示す側面図である。
図14図13中XIV方向から見た後面図である。
図15】リッドヒンジの側面図である。
図16】ガイド部材の側面図である。
図17】閉じ位置のリッドヒンジとスプリングの側面図である。
図18】開き位置のリッドヒンジと正係止されたスプリングを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の第1実施形態を図1~4にしたがって下記に詳しく説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。図1に示すように車体1は、トランク3とトランクリッド2を後部に備える。トランクリッド2は、トランク3の上部の開口を開閉可能に覆う。トランクリッド2の前部の左右両端には、リッドヒンジ12が取付けられる。トランクリッド2は、リッドヒンジ12を介して上下方向に回転可能に車体1に支持される。トランクリッド2は、閉じ位置と開き位置の間で上下方向に回転することでトランク3の開口を開閉する。本開示の取付構造10は、スプリング(コイルスプリング)11を、車体1とリッドヒンジ12それぞれに取付ける構造である。スプリング11は、トランクリッド2を開き位置へ付勢する。あるいはスプリング11は、トランクリッド2やリッドヒンジ12等を、重量と付勢力とのバランスによって全開状態と全閉状態の中間状態であるパーシャルオープン状態にする。
【0016】
図2に示すようにリッドヒンジ12のヒンジ本体12aは、左右側方から見て略S字状である。ヒンジ本体12aの一端には、リッドヒンジ12を車体1に対して回転可能に支持する回転軸12bが設けられる。リッドヒンジ12は、車体1に枢着されて回転軸12bを中心に上下方向に回転できる。ヒンジ本体12aの他端には、トランクリッド2が連結されるリッド支持部12cが設けられる。トランクリッド2とリッドヒンジ12は、回転軸12bを中心に上下方向に回転できる。ヒンジ本体12aは、回転軸12bから所定の長さまで直線状に延出する直線状部12dを有する。
【0017】
図2に示すように直線状部12dに矩形箱形のブラケット(ガイド部材)13が設けられる。ブラケット13は、略L字状のガイド溝16を左右方向の側面に有する。ガイド溝16の両端は、仮係止孔14と正係止孔15として形成される。正係止孔15は、仮係止孔14よりも回転軸12bに近い位置に設けられる。
【0018】
図2に示すようにガイド溝16は、第1ガイド溝16aと屈曲溝16bと第2ガイド溝16cを有する。第1ガイド溝16aは、仮係止孔14から直線状に延出する。第1ガイド溝16aは、直線状部12dの延出方向と交差して延出する。第2ガイド溝16cは、正係止孔15から直線状に延出する。第2ガイド溝16cは、第1ガイド溝16aの延出方向と交差して延出する。また第2ガイド溝16cは、直線状部12dの延出方向と交差し、例えば直線状部12dと略直交する。屈曲溝16bは、第1ガイド溝16aと第2ガイド溝16cを角度を有して連結する。屈曲溝16bは、略L字状に張出した段差17を内周側にして屈曲する。
【0019】
図2に示すようにスプリング11は、線材がコイル状に巻かれて形成される。スプリング11の両端には、先端がフック状のスプリング第1端11aとスプリング第2端11bが設けられる。トランク3の側壁を形成する車体1にばね取付部1aが設けられる。スプリング第1端11aは、ばね取付部1aに連結される。スプリング第2端11bは、ガイド溝16に引掛けられる。スプリング11は、スプリング第2端11bをばね取付部1aへ向けて引張る。そのためガイド溝16を具備するリッドヒンジ12は、スプリング11によってばね取付部1aへ向けて付勢される。リッドヒンジ12とトランクリッド2は、スプリング11の付勢力を受けて上方の開き位置へ回転する。
【0020】
取付構造10を利用してスプリング第2端11bを正係止孔15に係止させる流れについて説明する。図2に示すようにリッドヒンジ12が開き位置の場合、仮係止孔14は、正係止孔15よりもばね取付部1aの近い側(後側)に位置する。段差17は、仮係止孔14及び正係止孔15よりもばね取付部1aから遠い側(前側)に位置する。スプリング第2端11bは、リッドヒンジ12が開き位置の際に仮係止孔14に引掛けられて仮保持される。スプリング11は、スプリング第2端11bが仮係止孔14に仮保持される際には概ね自由長L1である。
【0021】
図3に示すように回転軸12bを中心にトランクリッド2とリッドヒンジ12を開き位置から閉じ位置へ回転させる。このとき回転の軌跡に応じて仮係止孔14と段差17と正係止孔15がばね取付部1aから遠い側(前側)へ移動する。そのためスプリング11が伸長する。これによりスプリング11は、縮もうとする弾性復元力によって付勢力を発生させる。段差17は、リッドヒンジ12が閉じ位置または閉じ位置の近傍に位置する際に、仮係止孔14よりも車体1に取付けられたスプリング第1端11aの近くに位置する。正係止孔15は、段差17よりもスプリング第1端11aの近くに位置する。スプリング第2端11bは、スプリング11の弾性復元力によってスプリング第1端11a側へ引張られる。そのためスプリング第2端11bは、仮係止孔14から第1ガイド溝16a、屈曲溝16b、及び第2ガイド溝16cを経由して正係止孔15へなりゆきで移動する。スプリング11は、スプリング第2端11bが正係止孔15に移動した際に自由長L1よりも長い閉じ位置長さL2に伸びる。すなわちスプリング第2端11bが正係止孔15に移動した状態においては、閉じ位置はもとより開き位置においても、スプリング11による付勢力が常にリッドヒンジ12に付与されている状態になる。
【0022】
図4に示すようにトランクリッド2とリッドヒンジ12は、回転軸12bを中心に閉じ位置から再度開き位置へ回転する際、スプリング11の弾性復元力による付勢力で回転することができる。段差17は、リッドヒンジ12が閉じ位置から開き位置まで回転する間、正係止孔15よりもスプリング第1端11aから遠くに位置する。そのためスプリング第2端11bは、スプリング11の弾性復元力の付勢力によってスプリング第1端11a側へ引張られる。これにより正係止孔15から段差17を乗り越えて仮係止孔14へ移動することが防止される。これによりスプリング第2端11bが正係止孔15に保持される。スプリング11は、リッドヒンジ12が開き位置の状態かつスプリング第2端11bが正係止孔15に保持される状態では取付長さL3に伸びる。取付長さL3は,自由長L1よりも長く閉じ位置長さL2よりも短い。
【0023】
上述するように取付構造10は、図2~4に示すようにトランクリッド2を開き位置へ付勢するスプリング11を車体1へ取付ける。スプリング11は、車体1に取付けられるスプリング第1端11aと、トランクリッド2のリッドヒンジ12に取付けられるスプリング第2端11bとを具備する。リッドヒンジ12にブラケット13が設けられる。ブラケット13には、スプリング第2端11bが仮係止される仮係止孔14と、仮係止孔14から延出するガイド溝16が形成される。トランクリッド2を開き位置から閉じ位置にした際にスプリング11が伸びる。スプリング11のばね力を利用してガイド溝16に沿ってスプリング第2端11bが移動する。スプリング第2端11bがブラケット13に形成された正係止孔15に保持される。正係止孔15からガイド溝16に沿ってスプリング第2端11bが戻ることを抑制するようにガイド溝16に段差17が形成される。
【0024】
したがってスプリング11を車体1へ取付ける際、スプリング第2端11bをブラケット13の仮係止孔14に係止させる。トランクリッド2を開き位置から閉じ位置に回転させる。トランクリッド2とともにリッドヒンジ12が回転し、スプリング11が伸びる。換言すると、スプリング11を伸ばしていない状態、または伸びの少ない状態でスプリング第2端11bをブラケット13の仮係止孔14に係止できる。そしてトランクリッド2を梃子としてスプリング11を伸ばすことができる。スプリング第2端11bは、スプリング11のばね力によってスプリング第1端11a側へ引張られる。そのためスプリング第2端11bがガイド溝16に案内されて正係止孔15へ移動する。正係止孔15にスプリング第2端11bが保持され、段差17によってスプリング第2端11bが元の位置へ戻らない。そのため小さな力でスプリング11を車体1に取付けることができる。
【0025】
図2~4に示すようにガイド溝16は、仮係止孔14から延出する第1ガイド溝16aと、第1ガイド溝16aと連続する屈曲溝16bを有する。屈曲溝16bから正係止孔15へ向けて第2ガイド溝16cが延出する。屈曲溝16bは、第1ガイド溝16aと第2ガイド溝16cを角度を有して連結して段差17を構成する。したがってスプリング第2端11bが仮係止孔14から順に第1ガイド溝16a、屈曲溝16b、第2ガイド溝16cに案内されて正係止孔15へ向けて移動する。これによりスプリング第2端11bが確実に正係止孔15へ向けて移動できる。スプリング第2端11bは、簡易な構造である第1ガイド溝16aと第2ガイド溝16cの角度差を利用して正係止孔15から第1ガイド溝16aへ移動することが抑制される。
【0026】
次に本開示の第2実施形態を図5~12に基づいて説明する。第2実施形態の車体1には、図2に示すリッドヒンジ12と取付構造10に代えて、図5に示すリッドヒンジ21と取付構造20が設けられる。リッドヒンジ21は、ヒンジ本体21aの一端に回転軸21bを有する。回転軸21bは、リッドヒンジ21を車体1に対して上下方向に回転可能に支持する。ヒンジ本体21aの他端には図示省略のトランクリッドが連結される。ヒンジ本体21aは、回転軸21bから所定の長さまで直線状に延出する直線状部21cを有する。
【0027】
図7,8に示すように直線状部21cの側部にブラケット22が設けられる。ブラケット22は、矩形の板状部材を略U字状に屈曲させた形状を有する。ブラケット22は、一対の縦壁部22bと溝形成部22aを有する。一対の縦壁部22bは、直線状部21cの延出方向に並列する。縦壁部22bは、直線状部21cの延出方向と略直交して起立する。溝形成部22aは、縦壁部22bと略直交して連結し、かつ直線状部21cの延出方向に沿って延出する。
【0028】
図7,8に示すように溝形成部22aは、溝形成部22aを厚み方向に貫通する略L字状のヒンジ側溝26を有する。ヒンジ側溝26は、一端に入口26dを有し、他端に正係止孔25を有する。入口26dは、回転軸21bから遠い側の縦壁部22bを厚み方向に貫通して開口する。正係止孔25は、略L字状のヒンジ側溝26の奥部に形成される。正係止孔25は、入口26dよりも回転軸21bに近い位置に設けられる。
【0029】
図7に示すようにヒンジ側溝26は、第1ガイド溝26aと屈曲溝26bと第2ガイド溝26cを有する。第1ガイド溝26aは、入口26dから直線状に延出し、直線状部21cの延出方向と交差する。第2ガイド溝26cは、正係止孔25から直線状部21cの延出方向と略直交する方向へ直線状に延出する。そのため第1ガイド溝26aと第2ガイド溝26cは、互いに異なる方向へ延出する。屈曲溝26bは、第1ガイド溝26aと第2ガイド溝26cを角度を有して連結する。屈曲溝26bは、略L字状に張出した段差28を内周側にして屈曲する。
【0030】
図5,6に示すようにブラケット22には、ガイド部材23を取外し可能に装着できる。ガイド部材23は、溝形成部22a及び縦壁部22bを囲む形状の略C字状である。図9,10に示すようにガイド部材23の中央部には、四方が当接辺23aで囲まれた矩形の係合孔23dが設けられる。係合孔23dは、一部が切欠かれて外方へ開口する。係合孔23dの開口の両側には、開口側壁23bと開口側壁23cが設けられる。開口側壁23b,23cは、協働して図示左側の当接辺23aを形成するように並列する。図6に示すようにガイド部材23は、ブラケット22に対して直線状部21cの延出方向と交差する図示左方へ向けて移動させることで、ブラケット22に装着することができる。ガイド部材23は、直線状部21cの延出方向と交差する図示右方へ向けてブラケット22に対して移動させることで、ブラケット22から取外すことができる(図8参照)。
【0031】
図5に示すようにガイド部材23をブラケット22に装着させた状態では、4方向の各当接辺23aが縦壁部22bと当接する。そのためガイド部材23は、ブラケット22に対して移動しないように保持される。しかも溝形成部22a及び縦壁部22bが四方から当接辺23aに囲まれる。そのためリッドヒンジ21が上下方向に回転してブラケット22の姿勢が変わる際、ガイド部材23はブラケット22から落下しないように保持される。
【0032】
図9に示すようにガイド部材23は、係合孔23dと連結されかつ図示下側の当接辺23aから直線状に延出するガイド溝27を有する。ガイド溝27は、出口27aにおいて係合孔23dと連結される。ガイド溝27の奥部には仮係止孔24が形成される。図5に示すようにガイド部材23をブラケット22に装着させた状態では、ガイド溝27の出口27aとヒンジ側溝26の入口26dが互いに隣接して連結される。ガイド溝27は、第1ガイド溝26aの延出方向に沿って直線状に並んで連結される。そのため仮係止孔24と正係止孔25は、ガイド溝27とヒンジ側溝26が協働して形成する略L字状の溝を介して連結される。
【0033】
取付構造20を利用してスプリング第2端11bを正係止孔25に係止させる流れについて説明する。図5に示すようにスプリング第2端11bは、リッドヒンジ21が開き位置の状態かつガイド部材23がブラケット22に装着された状態で、仮係止孔24に引掛けられる。スプリング11は、スプリング第2端11bが仮係止孔24に引掛けられる際、スプリング11は概ね自由長である。リッドヒンジ21が開き位置の場合、仮係止孔24は、正係止孔25及び段差28よりも車体1に取付けられたスプリング第1端11a(図2参照)の近くに位置する。
【0034】
図11に示すように回転軸21bを中心にリッドヒンジ21を開き位置から閉じ位置へ回転させる。段差28は、仮係止孔24よりもスプリング第1端11a(図2参照)の近くに位置する。正係止孔25は、段差28よりもスプリング第1端11aの近くに位置する。スプリング第2端11bは、スプリング11のばね力によってスプリング第1端11a側へ引張られることで、仮係止孔24からガイド溝27、第1ガイド溝26a、屈曲溝26b、及び第2ガイド溝26cを経由して正係止孔25へなりゆきで移動する。
【0035】
図12に示すように回転軸21bを中心にリッドヒンジ21を閉じ位置から再度開き位置へ回転させる。段差28は、リッドヒンジ21が閉じ位置から開き位置まで回転する間、正係止孔25よりもスプリング第1端11a(図2参照)から遠くに位置する。そのためスプリング第2端11bは、スプリング11のばね力によってスプリング第1端11a側へ引張られることにより、正係止孔25から段差28を乗り越えて仮係止孔24へ移動することが防止される。かくしてスプリング第2端11bが正係止孔25に保持される。スプリング11は、リッドヒンジ21が開き位置の状態かつスプリング第2端11bが正係止孔25に保持される状態では自由長よりも長く伸びる。すなわちスプリング第2端11bが正係止孔25に移動した状態においては、閉じ位置はもとより開き位置においてもスプリング11による付勢力が常にリッドヒンジ21に付与されている状態になる。
【0036】
上述するように取付構造20は、図5,12に示すようにスプリング11を車体1に取付ける。ガイド部材23がリッドヒンジ21のブラケット22に装着される。ガイド部材23には、スプリング11のスプリング第2端11bが仮係止される仮係止孔24と、仮係止孔24から延出するガイド溝27が形成される。トランクリッド2(図2参照)を開き位置から閉じ位置にした際にスプリング11が伸びる。スプリング11のばね力を利用してガイド溝27に沿ってスプリング第2端11bが移動する。スプリング第2端11bがリッドヒンジ21のブラケット22に形成された正係止孔25に保持される。正係止孔25からガイド溝27に沿ってスプリング第2端11bが戻ることを抑制するようにガイド溝27と正係止孔25の間に段差28が形成される。
【0037】
したがってスプリング11を車体1へ取付ける際、スプリング第2端11bをガイド部材23の仮係止孔24に係止させる。トランクリッド2を開き位置から閉じ位置に回転させる。トランクリッド2とともにリッドヒンジ21が回転し、スプリング11が伸びる。換言すると、スプリング11を伸ばしていない状態、または伸びの少ない状態でスプリング第2端11bをガイド部材23の仮係止孔24に係止できる。そしてトランクリッド2を梃子としてスプリング11を伸ばすことができる。スプリング第2端11bは、スプリング11のばね力によってスプリング第1端11a(図2参照)側へ引張られる。そのためスプリング第2端11bがガイド溝27に案内されて正係止孔25へ移動する。正係止孔25にスプリング第2端11bが保持され、段差28によってスプリング第2端11bが元の位置へ戻らない。そのため小さな力でスプリング11を車体1に取付けることができる。
【0038】
図5に示すようにブラケット22はヒンジ側溝26を有する。ヒンジ側溝26は、ガイド溝27と協働して仮係止孔24から延出する第1ガイド溝26aと、第1ガイド溝26aと連続する屈曲溝26bを有する。屈曲溝26bから正係止孔25へ向けて第2ガイド溝26cが延出する。屈曲溝26bは、第1ガイド溝26aと第2ガイド溝26cを角度を有して連結して段差28を構成する。したがってスプリング第2端11bが仮係止孔24から順にガイド溝27、第1ガイド溝26a、屈曲溝26b、第2ガイド溝26cに案内されて正係止孔25へ向けて移動する。これによりスプリング第2端11bが確実に正係止孔25へ向けて移動できる。スプリング第2端11bは、簡易な構造である第1ガイド溝26aと第2ガイド溝26cの角度差を利用して正係止孔25から第1ガイド溝26aへ移動することが抑制される。
【0039】
図5に示すように正係止孔25がリッドヒンジ21に形成されている。ガイド部材23がリッドヒンジ21に対して取外し可能に取付けられる。したがってリッドヒンジ21の正係止孔25にスプリング第2端11bを保持させることで、スプリング11を車体1へ取付けることができる。その後、ガイド部材23を取り外すことで、車体1を軽量にすることができる。
【0040】
図5に示すようにリッドヒンジ21には、正係止孔25から延出するヒンジ側溝26が形成されている。ヒンジ側溝26は、ガイド部材23がリッドヒンジ21に取付けられた状態でガイド溝27の出口27aと連結する入口26dを有する。したがってスプリング第2端11bは、ガイド部材23のガイド溝27からリッドヒンジ21のヒンジ側溝26に連続して案内される。これによりスプリング第2端11bは、確実に正係止孔25へ導かれる。
【0041】
図5に示すようにリッドヒンジ21は、車体1に枢着され回転軸21bを中心に上下方向に回転可能に連結されるヒンジ本体21aを有する。ヒンジ本体21aには、正係止孔25が形成されたブラケット22が設けられる。ガイド部材23は、ブラケット22に対して側方に着脱可能である。ガイド部材23は、ブラケット22の上下辺と前後辺のそれぞれに当接する4つの当接辺23aを有する。したがってガイド部材23は、簡易な構造によってブラケット22に例えば回転不能に安定して取付けられる。そのためリッドヒンジ21が上下方向に回転する際、ガイド部材23はブラケット22から外れない。しかもガイド部材23は、ブラケット22に対して側方に着脱可能である。そのためスプリング11をリッドヒンジ21に取付けた後は、ガイド部材23をブラケット22から容易に取外せる。
【0042】
次に本開示の第3実施形態を図13~18に基づいて説明する。第3実施形態の車体1には、図2に示すリッドヒンジ12と取付構造10に代えて、図13に示すリッドヒンジ31と取付構造30が設けられる。リッドヒンジ31は、ヒンジ本体31aの一端に回転軸31bを有する。回転軸31bは、リッドヒンジ31を車体1に対して上下方向に回転可能に支持する。ヒンジ本体31aの他端には図示省略のトランクリッドが連結される。ヒンジ本体31aは、回転軸31bから所定の長さまで直線状に延出する直線状部31cを有する。
【0043】
図15に示すようにリッドヒンジ31の側部にブラケット32が設けられる。ブラケット32は、回転軸31bから遠い側の直線状部31cの端部に設けられる。ブラケット32は、概ね矩形箱形である。ブラケット32は、直線状部31cの長手方向と略直交しかつ回転軸31bの軸方向と略直交する方向が長手方向である。ブラケット32は、矩形に開口する一対の貫通孔32aを有する。一対の貫通孔32aは、ブラケット32の長手方向の両端部に配置される。
【0044】
図15に示すようにブラケット32の中央部には、直線状部31cと交差する方向へ直線状に延出するヒンジ側溝36が設けられる。ヒンジ側溝36は、回転軸31bから遠い側である図示下側のブラケット32の端部に入口36aを有する。ヒンジ側溝36の奥部には正係止孔35が形成される。
【0045】
図13に示すようにブラケット32には、ガイド部材33を取外し可能に装着できる。ガイド部材33は、ブラケット32の延出方向を長手方向とする略矩形の板状(図14参照)である。図16に示すようにガイド部材33の長手方向の両端部には、一対の延出部33aが設けられる。延出部33aは、ガイド部材33の長手方向と略直交しかつガイド部材33の厚み方向と略直交する。延出部33aの先端には、延出部33aの長手方向と略直交する図示左方へ向けて張出した係合片33bが設けられる。係合片33bは、ブラケット32の貫通孔32aと係合できる。
【0046】
図13に示すようにガイド部材33を回転軸31bから遠い側のブラケット32の側面に当接させ、係合片33bを貫通孔32aに係合させる。ガイド部材33の図示上辺とブラケット32の図示下方の側面が当接する。そのためガイド部材33は、ブラケット32に対して回転しないように装着される。係合片33bと貫通孔32aの係合を解除し、かつガイド部材33をブラケット32に対して図示下方へブラケット32に対して移動させる。これによりガイド部材33をブラケット32から取外すことができる。
【0047】
図16に示すようにガイド部材33の中央部には、ガイド部材33を厚み方向に貫通する略L字状のガイド溝37が設けられる。ガイド溝37は、図示上側の端部に出口37dを有する。ガイド溝37は、略L字状のヒンジ側溝36の奥部に仮係止孔34を有する。出口37dと仮係止孔34の間には、略L字状に屈曲した屈曲溝37bが設けられる。屈曲溝37bは、略L字状に張出した段差38を内周側にして屈曲する。仮係止孔34と屈曲溝37bは、直線状に延出する第1ガイド溝37aによって連結される。第1ガイド溝37aは、ガイド部材33の長手方向と交差する。屈曲溝37bと出口37dは、直線状に延出する第2ガイド溝37cによって連結される。第2ガイド溝37cは、第1ガイド溝37aの延出方向と交差し、例えば略直交する。
【0048】
図13に示すようにガイド部材33をブラケット32に装着させた状態では、ガイド溝37の出口37dとヒンジ側溝36の入口36aが互いに隣接して連結される。第2ガイド溝37cは、ヒンジ側溝36の延出方向に沿って直線状に並んで連結される。そのため仮係止孔34と正係止孔35は、ガイド溝37とヒンジ側溝36が協働して形成する略L字状の溝を介して連結される。
【0049】
取付構造30を利用してスプリング第2端11bを正係止孔35に係止させる流れについて説明する。取付構造30は、図5,11,12に示す取付構造20と同様にスプリング第2端11bを正係止孔35に係止させる。まず、図13に示すようにスプリング第2端11bは、リッドヒンジ31が開き位置の状態かつガイド部材33がブラケット32に装着された状態で、仮係止孔34に引掛けられる。スプリング第2端11bが仮係止孔34に引掛けられる際、スプリング11は概ね自由長である。仮係止孔34は、正係止孔35及び段差38よりもスプリング第1端11a(図2参照)の近くに位置する。
【0050】
図17に示すように回転軸31bを中心にリッドヒンジ31を開き位置から閉じ位置へ回転させる。段差38は、仮係止孔34よりもスプリング第1端11a(図2参照)の近くに位置する。正係止孔35は、段差38よりもスプリング第1端11aの近くに位置する。スプリング第2端11bは、スプリング11のばね力によってスプリング第1端11a側へ引張られることで、仮係止孔34から第1ガイド溝37a、屈曲溝37b、第2ガイド溝37c(図13参照)、及びヒンジ側溝36を経由して正係止孔35へなりゆきで移動する。
【0051】
図18に示すように回転軸31bを中心にリッドヒンジ31を閉じ位置から再度開き位置へ回転させる。段差38は、リッドヒンジ31が閉じ位置から開き位置まで回転する間、正係止孔35よりもスプリング第1端11a(図2参照)から遠くに位置する。そのためスプリング第2端11bは、スプリング11のばね力によって引張られることで、正係止孔35から段差38を乗り越えて仮係止孔34へ移動することが防止される。かくしてスプリング第2端11bが正係止孔35に保持される。スプリング11はリッドヒンジ31が開き位置の状態かつスプリング第2端11bが正係止孔35に保持される状態では自由長よりも長く伸びる。すなわちスプリング第2端11bが正係止孔35に移動した状態においては、閉じ位置はもとより開き位置においてもスプリング11による付勢力が常にリッドヒンジ31に付与されている状態になる。
【0052】
上述するように取付構造30は、図13に示すようにスプリング11を車体1に取付ける。ガイド部材33がリッドヒンジ31のブラケット32に装着される。ガイド部材33には、スプリング11のスプリング第2端11bが仮係止される仮係止孔34と、仮係止孔34から延出するガイド溝37が形成される。トランクリッド2(図2参照)を開き位置から閉じ位置にした際にスプリング11が伸びる。スプリング11のばね力を利用してガイド溝37に沿ってスプリング第2端11bが移動する。スプリング第2端11bがリッドヒンジ31のブラケット32に形成された正係止孔35に保持される。正係止孔35からガイド溝37に沿ってスプリング第2端11bが戻ることを抑制するようにガイド溝37に段差38が形成される。
【0053】
したがって取付構造30は、取付構造20(図5参照)と同様にして仮係止孔34に引掛けたスプリング第2端11bを正係止孔35へ移動させて保持させる。スプリング第2端11bは、トランクリッド2(図2参照)とリッドヒンジ31の回転を利用しかつスプリング11のばね力を利用して移動する。しかも段差38によってスプリング第2端11bが元の仮係止孔34へ戻らない。そのため小さな力でスプリング11を車体1に取付けることができる。
【0054】
図13に示すようにガイド部材33はガイド溝37を有する。ガイド溝37は、仮係止孔34から延出する第1ガイド溝37aと、第1ガイド溝37aと連続する屈曲溝37bを有する。屈曲溝37bから正係止孔35へ向けて第2ガイド溝37cが延出する。屈曲溝37bは、第1ガイド溝37aと第2ガイド溝37cを角度を有して連結して段差38を構成する。したがってスプリング第2端11bが仮係止孔34から順に第1ガイド溝37a、屈曲溝37b、第2ガイド溝37c、及びブラケット32のヒンジ側溝36に案内されて正係止孔35へ向けて移動する。これによりスプリング第2端11bが確実に正係止孔35へ向けて移動できる。スプリング第2端11bは、簡易な構造である第1ガイド溝37aと第2ガイド溝37cの角度差を利用して正係止孔35から第1ガイド溝37aへ移動することが抑制される。
【0055】
図13に示すように正係止孔35がリッドヒンジ31に形成されている。ガイド部材33がリッドヒンジ31に対して取外し可能に取付けられる。したがって正係止孔35にスプリング第2端11bを保持させることで、スプリング11を車体1へ取付けることができる。その後、ガイド部材33を取り外すことで、車体1を軽量にすることができる。
【0056】
図13に示すようにリッドヒンジ31には、正係止孔35から延出するヒンジ側溝36が形成されている。ヒンジ側溝36は、ガイド部材33がリッドヒンジ31に取付けられた状態でガイド溝37の出口37dと連結する入口36aを有する。したがってスプリング第2端11bは、ガイド溝37からヒンジ側溝36に連続して案内される。これによりスプリング第2端11bは、確実に正係止孔35へ導かれる。
【0057】
以上説明した取付構造10,20,30には種々変更を加えることができる。例えば同一平面上に形成されたガイド溝16と、このガイド溝16に設けられた段差17を例示した。これに代えて、例えばガイド溝を同一平面上ではなく3次元的に屈曲した形状に設け、この屈曲部分を段差として構成しても良い。
【0058】
リッドヒンジに設けられるブラケットは、矩形箱形に限らず、例えば三角柱状、円柱状等の他の形状の箱形であっても良い。ブラケットに着脱可能なガイド部材は、例えば2つ以上に分離可能であって、ブラケットを両側から挟み込んで連結できる構成であっても良い。仮係止孔とガイド溝と正係止孔の内径は、例えば略同じであっても良い。あるいは、例えば仮係止孔または正係止孔へ向かうにしたがって小径になるように設けられていても良い。
【符号の説明】
【0059】
1…車体、1a…ばね取付部
2…トランクリッド
3…トランク
10…取付構造
11…スプリング(コイルスプリング)、11a…スプリング第1端
11b…スプリング第2端
12…リッドヒンジ、12a…ヒンジ本体、12b…回転軸(ヒンジ回転軸)
12c…リッド支持部、12d…直線状部
13…ブラケット(ガイド部材)
14…仮係止孔
15…正係止孔
16…ガイド溝、16a…第1ガイド溝、16b…屈曲溝、16c…第2ガイド溝
17…段差
20…取付構造
21…リッドヒンジ、21a…ヒンジ本体、21b…回転軸(ヒンジ回転軸)
21c…直線状部
22…ブラケット、22a…溝形成部、22b…縦壁部
23…ガイド部材、23a…当接辺、23b,23c…開口側壁、23d…係合孔
24…仮係止孔
25…正係止孔
26…ヒンジ側溝(ガイド溝)
26a…第1ガイド溝、26b…屈曲溝、26c…第2ガイド溝
26d…入口
27…ガイド溝、27a…出口
28…段差
30…取付構造
31…リッドヒンジ、31a…ヒンジ本体、31b…回転軸(ヒンジ回転軸)
31c…直線状部
32…ブラケット、32a…貫通孔
33…ガイド部材、33a…延出部、33b…係合片
34…仮係止孔
35…正係止孔
36…ヒンジ側溝、36a…入口
37…ガイド溝、37a…第1ガイド溝、37b…屈曲溝、37c…第2ガイド溝
37d…出口
38…段差
L1…自由長、L2…閉じ位置長さ、L3…取付長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18