(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023374
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】物品保管装置、センサ搭載部材、保管数判定システム、及び保管数判定方法
(51)【国際特許分類】
A47K 10/22 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A47K10/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126282
(22)【出願日】2020-07-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516329543
【氏名又は名称】株式会社バカン
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 貴史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保管具に収容された物品数の判定を汎用的に且つ精度良く行うことができる物品保管装置を提供する。
【解決手段】物品保管装置1は、一以上の物品を保管可能に構成されており、保管された物品を排出する排出口を有する保管具20と、一以上の物品と共に保管具20に収容され、保管具20に保管された最後尾の物品に関連付けて配置されるセンサ搭載部材30と、を備える。センサ搭載部材30は、センサ搭載部材30の位置を特定するための検知信号をサーバ10に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュール40を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の物品を保管可能に構成されており、保管された前記物品を排出する排出口を有する保管具と、
前記一以上の物品と共に前記保管具に収容され、前記保管具に保管された最後尾の物品に関連付けて配置されるセンサ搭載部材と、を備え、
前記センサ搭載部材は、前記センサ搭載部材の位置を特定するための検知信号を外部装置に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュールを有する、物品保管装置。
【請求項2】
前記保管具は、複数の物品を配列して保管可能に構成されており、
前記保管具は、前記排出口から前記物品を排出すると共に、前記保管具内に残される前記物品を、排出された前記物品分だけ前記排出口側へとスライド移動させる、請求項1に記載の物品保管装置。
【請求項3】
前記保管具は、前記複数の物品を水平方向に対して傾斜する方向又は鉛直方向に沿って配列して保管すると共に、前記複数の物品のうち最下方に位置する前記物品から順に排出するように構成されており、
前記センサ搭載部材は、前記最後尾の物品の上部に載置される、請求項2に記載の物品保管装置。
【請求項4】
前記センサ搭載部材は、前記物品の上部と接触する接触面部を有し、
前記接触面部は、前記物品の上部の形状に対応する形状を有する、請求項3に記載の物品保管装置。
【請求項5】
前記物品は、円柱側面状の外面を有し、
前記接触面部は、前記物品の前記外面に沿うように湾曲する凹面状に形成されている、請求項4に記載の物品保管装置。
【請求項6】
前記保管具には、一以上のマグネット部材が設けられており、
前記センサは、前記マグネット部材の磁気を検知する磁気センサであり、
前記一以上のマグネット部材は、前記センサモジュールと前記センサモジュールによって磁気が検知される前記マグネット部材との相対的な位置関係が、前記保管具に保管された物品の数に応じて変化するように設けられており、
前記センサモジュールは、前記相対的な位置関係に応じた前記検知信号を前記外部装置に送信する、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品保管装置。
【請求項7】
前記センサモジュールは、少なくとも第1センサ及び第2センサを有しており、
前記保管具には、少なくとも第1マグネット部材及び第2マグネット部材が設けられており、
前記第1マグネット部材は、前記保管具に保管された物品の数が第1の数である第1状態における前記センサ搭載部材の位置に対応するように配置されており、
前記第2マグネット部材は、前記保管具に保管された物品の数が第2の数である第2状態における前記センサ搭載部材の位置に対応するように配置されており、
前記第1状態において、前記第1マグネット部材と前記第1センサとの距離は、前記第1マグネット部材と前記第2センサとの距離よりも短く、
前記第2状態において、前記第2マグネット部材と前記第2センサとの距離は、前記第2マグネット部材と前記第1センサとの距離よりも短い、請求項6に記載の物品保管装置。
【請求項8】
前記保管具には、一以上のマグネット部材が設けられており、
前記センサは、前記マグネット部材の磁気を検知する磁気センサであり、前記マグネット部材からの磁気の向き及び強さの少なくとも一方に応じた前記検知信号を出力するように構成されており、
前記一以上のマグネット部材は、前記センサモジュールによって検知される磁気の向き及び強さの少なくとも一方が、前記保管具に保管された物品の数に応じて変化するように設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品保管装置。
【請求項9】
一以上の物品を保管可能な保管具に前記物品と共に収容され、前記保管具に保管される最後尾の物品に関連付けて配置されるセンサ搭載部材であって、
前記センサ搭載部材の位置を特定するための検知信号を外部装置に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュールを備える、センサ搭載部材。
【請求項10】
一以上の物品を保管可能な保管具に前記物品と共に収容され、前記保管具に保管された最後尾の物品に関連付けて配置されるセンサ搭載部材と、
前記センサ搭載部材と通信する管理装置と、を備え、
前記センサ搭載部材は、
前記センサ搭載部材の位置を特定するための検知信号を前記管理装置に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュールを有し、
前記管理装置は、
前記検知信号を受信する受信部と、
前記検知信号によって特定される前記センサ搭載部材の位置に基づいて、前記保管具に保管されている前記物品の個数を判定する判定部と、を有する、保管数判定システム。
【請求項11】
一以上の物品を保管可能な保管具に前記物品を保管するステップと、
前記保管具に保管された最後尾の物品に関連付けてセンサ搭載部材を配置するステップであって、前記センサ搭載部材は、前記センサ搭載部材の位置を特定するための検知信号を外部装置に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュールを備える、前記配置するステップと、
前記外部装置において、前記センサ搭載部材から前記検知信号を受信するステップと、
前記外部装置において、前記検知信号によって特定される前記センサ搭載部材の位置に基づいて、前記保管具に保管されている前記物品の個数を判定するステップと、を含む、保管数判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品保管装置、センサ搭載部材、保管数判定システム、及び保管数判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットペーパーの予備品等の物品を保管し、保管された物品を排出口から排出可能に構成された保管具が知られている。例えば特許文献1には、使用中のトイレットペーパーを支える回転軸に加わる重量を検知するセンサによって、保管具に保管されているトイレットペーパーの残数を判定する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような重量に基づく残数判定の仕組みを適用するためには、使用中のトイレットペーパーを支える回転軸に予備品のトイレットペーパーの重量がかかるように保管具を構成しなければならないという制約がある。また、例えばトイレットペーパー以外の物品であって、重量が軽い物品、或いは物品間の重量のバラツキが大きい物品等を保管する保管具に対して重量に基づく残数判定の仕組みを適用した場合、判定誤差が大きくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示の一側面は、保管具に収容された物品数の判定を汎用的に且つ精度良く行うことが可能な物品保管装置、センサ搭載部材、保管数判定システム、及び保管数判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る物品保管装置は、一以上の物品を保管可能に構成されており、保管された物品を排出する排出口を有する保管具と、一以上の物品と共に保管具に収容され、保管具に保管された最後尾の物品に関連付けて配置されるセンサ搭載部材と、を備え、センサ搭載部材は、センサ搭載部材の位置を特定するための検知信号を外部装置に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュールを有する。
【0007】
上記物品保管装置によれば、センサモジュールから外部装置に送信される検知信号に基づいてセンサ搭載部材の位置(すなわち、保管具に保管された最後尾の物品の位置)を把握することができ、当該位置に基づいて保管具に保管された物品数(残数)を把握することができる。上記仕組みによれば、例えば物品間の重量のバラツキが比較的大きい場合等、物品の重量に基づく判定が適さない場合であっても、保管具に収容された物品数の判定を汎用的に且つ精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、保管具に保管された物品数の判定を汎用的に且つ精度良く行うことが可能な物品保管装置、センサ搭載部材、保管数判定システム、及び保管数判定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る物品保管システムの機能構成を示す図である。
【
図2】
図2は、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、センサ搭載部材の分解斜視図である。
【
図6】
図6(A)はセンサ搭載部材の上面図であり、
図6(B)はセンサ搭載部材の正面図であり、
図6(C)はセンサ搭載部材の側面図である。
【
図7】
図7は、保管数が3つの場合のセンサ搭載部材と保管具に設けられたマグネット部材との位置関係を示す図である。
【
図8】
図8(A)は保管数が2つの場合の保管具の斜視図であり、
図8(B)は保管数が2つの場合のセンサ搭載部材と保管具に設けられたマグネット部材との位置関係を示す図である。
【
図9】
図9(A)は保管数が1つの場合の保管具の斜視図であり、
図9(B)は保管数が1つの場合のセンサ搭載部材と保管具に設けられたマグネット部材との位置関係を示す図である。
【
図10】
図10は、物品保管システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る物品保管システム1の機能構成を示す図である。
図1に示されるように、物品保管システム1は、サーバ10(管理装置、外部装置)と、保管具20と、センサ搭載部材30と、を備える。
【0012】
保管具20は、一以上の物品を保管可能に構成されている。一例として、保管具20は、複数(一例として3つ)のトイレットペーパーの予備品(物品)を保管(格納)する筐体である。保管具20は、例えば、デパート等の店舗或いは駅等の公共施設に設置されたトイレ施設内の各個室に設置され得る。
【0013】
センサ搭載部材30は、一以上の物品と共に保管具20内に収容される。具体的には、センサ搭載部材30は、保管具20に保管された最後尾の物品G3(
図3参照)に関連付けて配置される。センサ搭載部材30は、センサ搭載部材30の位置を特定するための検知信号をサーバ10に送信する一以上のセンサを含むセンサモジュール40を有する。一例として、センサモジュール40は、3つのセンサ41,42,43(
図4参照)を有する。各センサ41,42,43は、磁気(磁界)を検知する磁気センサ(例えば、ホールIC等)である。本実施形態では一例として、各センサ41,42,43は、予め設定された閾値以上の磁気を検知した際に、自センサを識別する情報(センサID)と共に、閾値以上の磁気を検知したことを示す検知信号をサーバ10に送信するように構成されている。
【0014】
センサモジュール40(すなわち、センサ41,42,43)は、それぞれ通信モジュールを内蔵しており、ネットワークNを介して、サーバ10と通信可能に構成されている。ネットワークNは、有線又は無線の任意の通信ネットワークである。ネットワークNは、例えば、インターネット、公衆回線網、専用回線網等である。なお、ネットワークNは、複数の異なる通信ネットワークを含んで構成されてもよい。例えば、複数の個室を含むトイレ施設には、各個室に設置された各保管具20に収容された各センサ搭載部材30(センサモジュール40)とサーバ10との間の通信を中継するためのゲートウェイ装置が設置されてもよい。また、センサ41,42,43の各々は、ゲートウェイ装置と近距離無線通信(例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)等)を行うための通信モジュールを搭載していてもよい。この場合、ネットワークNは、センサモジュール40とゲートウェイ装置との間の無線通信ネットワーク(BLEネットワーク)と、ゲートウェイ装置とサーバ10との間の有線又は無線の通信ネットワークと、を含んで構成される。
【0015】
サーバ10は、センサ搭載部材30(センサモジュール40)から受信した検知信号に基づいて、保管具20に保管されている物品の個数(残数)を判定し、判定結果を管理者(例えば、保管具20に対するトイレットペーパーの補充作業を管理する者)に提示する機能を備える。具体的には、サーバ10は、センサ搭載部材30から検知信号を受信する受信部11と、受信部11によって受信された検知信号に基づいて保管具20に保管されている物品の個数を判定する判定部12と、判定部12による判定結果を出力する出力部13と、を備える。受信部11は、検知信号に含まれるセンサIDに基づいて、判定対象の保管具20を特定することができる。
【0016】
図2は、サーバ10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示されるように、サーバ10は、物理的には、プロセッサである一以上のCPU(Central Processing Unit)101と、一以上のROM(Read Only Memory)102と、主記憶装置である一以上のRAM(Random Access Memory)103と、補助記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)104と、例えばネットワークNと通信を行うための通信インタフェース等の通信部105と、を含むコンピュータシステムとして構成され得る。例えば、CPU101が、HDD104に予め格納されている処理プログラムをRAM103に読み出して実行することにより、CPU101の制御のもとで各ハードウェアが動作し、ROM102、RAM103及びHDD104におけるデータの読み出し及び書き込みが行われる。これにより、
図1に示されるサーバ10の各機能が実現される。なお、サーバ10は、
図2に示したハードウェア構成以外にも、例えば、マウス及びキーボード等の入力装置、ディスプレイ及びスピーカ等の出力装置等を備えてもよい。
【0017】
[保管具及びセンサ搭載部材の構成]
図3~
図6を参照して、保管具20及びセンサ搭載部材30の構成例について説明する。
図3は、保管具20の斜視図である。
図4は、センサ搭載部材30の斜視図である。
図5は、センサ搭載部材30の分解斜視図である。
図6(A)は、センサ搭載部材30の上面図である。
図6(B)は、センサ搭載部材30の正面図である。
図6(C)は、センサ搭載部材30の側面図である。
図3~
図6においては、説明の便宜上、XYZ座標が図示されている。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに直交している。X軸方向及びY軸方向は、水平面に沿った方向である。X軸方向は保管具20の左右方向に相当し、Y軸方向は保管具20の前後方向に相当する。Z軸方向は、鉛直方向に沿った方向であり、保管具20の上下方向に相当する。
【0018】
図3に示されるように、保管具20は、Z軸方向に延びる略直方体箱状に形成された筐体である。保管具20の内部には、複数(一例として最大で3つ)の物品GをZ軸方向に沿って配列して保管することが可能なスペースSが形成されている。本実施形態では、物品Gは、ロール状に形成されたトイレットペーパーであり、円柱側面状の外面を有している。物品Gは、その中心軸がX軸方向に沿った状態で、保管具20内に保管される。
図3の例では、下側から順に、物品G1,G2,G3が保管されている。保管具20は、蓋部21と、側板部22,23,24,25と、底板部26と、を有する。
【0019】
側板部22,23,24,25は、互いに連結されており、Z軸方向に延びる略四角筒状に形成されている。側板部22は、保管具20の正面側に位置しており、XZ平面に沿っている。側板部23は、保管具20の正面側から見て右側に位置しており、YZ平面に沿っている。側板部24は、保管具20の背面側に位置しており、XZ平面に沿っている。側板部25は、保管具20の正面側から見て左側に位置しており、YZ平面に沿っている。
【0020】
蓋部21は、側板部22,23,24,25の上端部に配置され、側板部22,23,24,25の上側の開口を塞ぐ部材である。蓋部21は、側板部22,23,24,25に対して着脱自在とされている。例えば、保管具20に物品Gを補充する作業者は、蓋部21を取り外すことで、側板部22,23,24,25の上側の開口から、保管具20の内部のスペースSに物品Gを補充することができる。
【0021】
底板部26は、側板部22,24,25の下端部に接続される部材である。底板部26は、保管具20に保管された一段目(最下段)の物品G1を支持する。底板部26は、物品Gの外面に沿うように外側(下方)に凸となる湾曲形状を有している。
【0022】
側板部23の下端部の高さ位置(Z軸方向における位置)は、底板部26の高さ位置よりも、物品G一つ分以上高くされている。すなわち、底板部26と側板部23の下端部との間には、底板部26に支持された物品GをX軸方向に沿った方向(
図3の矢印D1)にスライドさせて取り出すことが可能な排出口27が形成されている。また、側板部22,24,25には、一段目の物品Gを排出口27から排出する際に、一段目の物品Gの左端部を右方向へと押し出す操作を容易にするためのスリット28が形成されている。例えば、トイレ施設の個室の利用者は、使用中のトイレットペーパーがなくなった場合に、スリット28内に指を入れて物品G1を排出口27側に移動させることで、新しいトイレットペーパー(すなわち物品G1)を取り出すことができる。
【0023】
排出口27から一段目の物品G1(すなわち、排出口27を基準として先頭に位置する物品)が排出されると、二段目及び三段目に位置していた物品G2,G3は、重力によって、物品G一つ分だけ、排出口27側(本実施形態では、
図3の矢印D2が示す落下方向)へとスライド移動する。つまり、一段目の物品G1が排出されると、二段目に位置していた物品G2は一段目に移動し、三段目に位置していた物品G3は二段目に移動する。このように、保管具20は、排出口27から物品G(一段目の物品G1)を排出すると共に、保管具20内に残される物品G(二段目及び三段目に位置していた物品G2,G3)を、排出された物品G分だけ排出口27側へとスライド移動させるように構成されている。
【0024】
センサ搭載部材30は、物品G1,G2,G3と共に保管具20に収容される。具体的には、センサ搭載部材30は、保管具20に保管された最後尾の物品Gに関連付けて配置される。本実施形態では、センサ搭載部材30は、最後尾の物品Gの上部に載置される。「最後尾の物品」とは、保管具20に保管されている物品Gのうち排出口27から最も遠い位置にある物品G(すなわち、最後に排出口27から排出される物品G)である。本実施形態では、保管具20に保管されている物品Gのうち最上段に位置する物品G3が、最後尾の物品に相当する。
【0025】
図4~
図6に示されるように、センサ搭載部材30は、ベース部31と支持部32とを有する。ベース部31と支持部32とは、一体的に形成されてもよいし、互いに着脱可能に構成された別部材であってもよい。ベース部31及び支持部32の材料は、例えばポリプロピレン等のプラスチックである。ベース部31及び支持部32の材料は、その重量によって物品Gを押し潰してしまうことがなく且つ取り外しがし易い程度に軽い部材であることが好ましい。また、ベース部31及び支持部32の材料は、後述するように物品Gの個数(最上段の物品Gの位置)に応じて物品Gと共に位置が下がる程度に重みのある部材であることが好ましい。
【0026】
ベース部31は、センサモジュール40が搭載される板状の部分である。ベース部31には、センサ41,42,43を嵌め込むための3つの孔部31aが設けられている。センサ41,42,43は、例えば同一規格の製品であり、同程度の検出性能を有している。センサ41は、ベース部31の正面右側の隅部に設けられた孔部31aに搭載される。センサ42は、ベース部31の正面左側の隅部に設けられた孔部31aに搭載される。センサ43は、ベース部31の背面中央部に設けられた孔部31aに搭載される。このため、センサ搭載部材30が保管具20に収納された状態では、平面視(Z軸方向から見た場合)において、センサ41は側板部23のY軸方向における中央部に隣接し、センサ42は側板部25のY軸方向における中央部に隣接し、センサ44は側板部24のX軸方向における中央部に隣接することになる。
【0027】
支持部32は、ベース部31の下部に接続され、物品Gに載置される部分である。本実施形態では一例として、支持部32は、センサ搭載部材30の左右両側の縁部に設けられている。より具体的には、センサ搭載部材30は、左右方向(X軸方向)に互いに離間する一対の支持部32を有している。支持部32は、物品Gの外形に沿うように、アーチ状に形成されている。具体的には、支持部32は、物品Gの上部と接触する接触面部32a(すなわち、支持部32の下面)を有しており、接触面部32aは、物品Gの上部の形状に対応する形状を有している。より具体的には、接触面部32aは、物品Gの円柱側面状の外面に沿うように湾曲する凹面状に形成されている。接触面部32aが上述したような形状に形成されていることにより、物品Gの上部が、凹面状に形成された接触面部32aにはまり込む(
図3参照)。これにより、センサ搭載部材30を物品Gの上部に安定させて配置することができる。すなわち、ベース部31が水平方向(XY平面)に沿った姿勢を、安定的に維持することができる。
【0028】
図7~
図9に示されるように、保管具20には、一以上のマグネット部材(本実施形態では、3つのマグネット部材M1,M2,M3)が設けられている。マグネット部材M1,M2,M3は、同程度の磁力を持つ磁性体である。マグネット部材M1,M2,M3は、センサモジュール40とセンサモジュール40によって磁気が検知されるマグネット部材(マグネット部材M1,M2,M3のいずれか)との相対的な位置関係が、保管具20に保管された物品Gの数(以下「保管数」という。)に応じて変化するように設けられている。そして、センサモジュール40は、上記相対的な位置関係に応じた検知信号をサーバ10に送信するように構成されている。
図7~
図9を用いて、上記構成の一例について詳細に説明する。
【0029】
図7は、保管数が3つの場合(すなわち、
図3に示される状態)のセンサ搭載部材30と保管具20に設けられたマグネット部材M1との位置関係を示す図である。
図7に示されるように、マグネット部材M1(第1マグネット部材の一例)は、側板部23の前後方向(Y軸方向)における中央部に設けられている。一例として、マグネット部材M1は、側板部23に埋め込まれている。マグネット部材M1は、保管数が3つ(第1の数の一例)の状態(第1状態の一例)におけるセンサ搭載部材30の位置に対応するように配置されている。例えば、マグネット部材M1は、保管数が3つの場合のセンサ搭載部材30の高さ位置と対応する高さ位置に配置されている。すなわち、マグネット部材M1は、保管数が3つの状態において、X軸方向にセンサ41(第1センサの一例)と対向する位置に配置されている。
【0030】
言い換えると、保管数が3つの状態において、マグネット部材M1とセンサ41との距離は、マグネット部材M1とセンサ42,43の各々との距離よりも短い。このため、保管数が3つの状態において、センサ41によって検知されるマグネット部材M1からの磁気は、それ以外のセンサ42,43によって検知されるマグネット部材M1からの磁気よりも強い。一例として、上述した各センサ41,42,43の閾値は、保管数が3つの状態においてセンサ41によって検知されるマグネット部材M1からの磁気の強さと保管数が3つの状態においてセンサ42,43によって検知されるマグネット部材M1からの磁気の強さとの間の値に設定される。この場合、保管数が3つの状態において、センサ41のみが検知信号をサーバ10に送信することになる。従って、サーバ10側では、センサ41のみから検知信号を受信したことに基づいて、保管数が3つの状態に対応する位置にセンサ搭載部材30が存在することを把握することができる。
【0031】
図8(A)は保管数が2つの場合の保管具20の斜視図であり、
図8(B)は保管数が2つの場合のセンサ搭載部材30と保管具20に設けられたマグネット部材M2との位置関係を示す図である。
図8(A)及び
図8(B)に示されるように、マグネット部材M2(第2マグネット部材の一例)は、側板部25の前後方向(Y軸方向)における中央部に設けられている。一例として、マグネット部材M2は、側板部25に埋め込まれている。マグネット部材M2は、保管数が2つ(第2の数の一例)の状態(第2状態の一例)におけるセンサ搭載部材30の位置に対応するように配置されている。例えば、マグネット部材M2は、保管数が2つの場合のセンサ搭載部材30の高さ位置と対応する高さ位置に配置されている。すなわち、マグネット部材M2は、保管数が2つの状態において、X軸方向にセンサ42(第2センサの一例)と対向する位置に配置されている。
【0032】
言い換えると、保管数が2つの状態において、マグネット部材M2とセンサ42との距離は、マグネット部材M2とセンサ41,43との距離よりも短い。このため、保管数が2つの状態において、センサ42によって検知されるマグネット部材M2からの磁気は、それ以外のセンサ41,43によって検知されるマグネット部材M2からの磁気よりも強くなる。一例として、上述した各センサ41,42,43の閾値は、保管数が2つの状態においてセンサ42によって検知されるマグネット部材M2からの磁気の強さと保管数が2つの状態においてセンサ41,43によって検知されるマグネット部材M2からの磁気の強さとの間の値に設定される。この場合、保管数が2つの状態において、センサ42のみが検知信号をサーバ10に送信することになる。従って、サーバ10側では、センサ42のみから検知信号を受信したことに基づいて、保管数が2つの状態に対応する位置にセンサ搭載部材30が存在することを把握することができる。
【0033】
図9(A)は保管数が1つの場合の保管具20の斜視図であり、
図9(B)は保管数が1つの場合のセンサ搭載部材30と保管具20に設けられたマグネット部材M3との位置関係を示す図である。
図9(A)及び
図9(B)に示されるように、マグネット部材M3は、側板部24の左右方向(X軸方向)における中央部に設けられている。一例として、マグネット部材M3は、側板部24に埋め込まれている。マグネット部材M3は、保管数が1つの状態におけるセンサ搭載部材30の位置に対応するように配置されている。例えば、マグネット部材M3は、保管数が1つの場合のセンサ搭載部材30の高さ位置と対応する高さ位置に配置されている。すなわち、マグネット部材M3は、保管数が1つの状態において、Y軸方向にセンサ43と対向する位置に配置されている。
【0034】
言い換えると、保管数が1つの状態において、マグネット部材M3とセンサ43との距離は、マグネット部材M3とセンサ41,42との距離よりも短い。このため、保管数が1つの状態において、センサ43によって検知されるマグネット部材M3からの磁気は、それ以外のセンサ41,42によって検知されるマグネット部材M3からの磁気よりも強くなる。一例として、上述した各センサ41,42,43の閾値は、保管数が1つの状態においてセンサ43によって検知されるマグネット部材M3からの磁気の強さと保管数が1つの状態においてセンサ41,42によって検知されるマグネット部材M3からの磁気の強さとの間の値に設定される。この場合、保管数が1つの状態において、センサ43のみが検知信号をサーバ10に送信することになる。従って、サーバ10側では、センサ43のみから検知信号を受信したことに基づいて、保管数が1つの状態に対応する位置にセンサ搭載部材30が存在することを把握することができる。
【0035】
本実施形態では、上述したような仕組みにより、センサモジュール40からの検知信号(本実施形態では一例として、センサ41,42,43のいずれかからの検知信号)が、センサ搭載部材30の位置を特定するための情報として機能する。
【0036】
[物品保管システムの動作]
図10に示されるフローチャートを参照して、物品保管システム1の動作(一実施形態に係る保管数判定方法を含む)の一例について説明する。
【0037】
まず、保管具20に物品Gが保管される(ステップS1)。上述したように、例えば、管理者は、保管具20の蓋部21を取り外し、側板部22,23,24,25の上側の開口から、保管具20の内部のスペースSに物品Gを補充する。これにより、
図3に示されるように、保管具20に3つの物品G1,G2,G3が保管される。
【0038】
さらに、最後尾(最上段)の物品G3に関連付けてセンサ搭載部材30が配置される。本実施形態では、物品G3の上部にセンサ搭載部材30が配置される(ステップS2)。例えば、管理者は、センサ搭載部材30の支持部32の接触面部32aが最上段の物品G3の円柱側面状の外面に沿うように、センサ搭載部材30を物品G3の上部に載置する。これにより、物品G3の上部において、センサ搭載部材30が安定的に配置される。
【0039】
本実施形態では、上述したように、保管数が3つの状態、保管数が2つの状態、及び保管数が1つの状態の各々に対応する位置にマグネット部材M1,M2,M3が設けられている。このため、保管数が3つの状態、保管数が2つの状態、及び保管数が1つの状態の各々において、センサ搭載部材30(センサモジュール40)からサーバ10へと検知信号が送信される(ステップS3)。すなわち、サーバ10(受信部11)は、センサ搭載部材30から検知信号を受信する。
【0040】
サーバ10において、受信部11によって検知信号が受信されると(ステップS3)、判定部12が、当該検知信号によって特定されるセンサ搭載部材30の位置に基づいて、保管数を判定する(ステップS4~S7)。
【0041】
検知信号の送信元がセンサ41である場合(ステップS4:センサ41)、判定部12は、センサ41からの検知信号が受信されたことに基づいて、センサ搭載部材30が保管数が3つの状態に対応する位置に存在することを把握することができるため、保管数を「3」と判定する(ステップS5)。
【0042】
検知信号の送信元がセンサ42である場合(ステップS4:センサ42)、判定部12は、センサ42からの検知信号が受信されたことに基づいて、センサ搭載部材30が保管数が2つの状態に対応する位置に存在することを把握することができるため、保管数を「2」と判定する(ステップS6)。
【0043】
検知信号の送信元がセンサ43である場合(ステップS4:センサ43)、判定部12は、センサ43からの検知信号が受信されたことに基づいて、センサ搭載部材30が保管数が1つの状態に対応する位置に存在することを把握することができるため、保管数を「1」と判定する(ステップS7)。
【0044】
続いて、出力部13は、判定部12による判定結果を出力する(ステップS8)。例えばサーバ10がディスプレイ等の出力装置を備えている場合には、出力部13は、当該出力装置に判定結果を表示させることによって、管理者に判定結果を提示してもよい。或いは、出力部13は、サーバ10と通信可能に構成された管理者端末(例えば、管理者が保持するスマートフォン又はタブレット等の携帯端末等)に判定結果を送信し、当該管理者端末が備えるディスプレイに判定結果を表示させてもよい。また、出力部13は、判定部12による判定結果に基づいて、残数が予め定められた閾値以下であって物品Gの補充が必要な保管具20を特定する情報(すなわち、当該保管具20が設けられたトイレ施設の個室を特定する情報)を出力してもよい。この場合、管理者は、物品Gの補充が必要な保管具20を容易に把握することができ、当該保管具20に対する物品Gの補充をタイムリーに行うことが可能となる。
【0045】
[作用効果]
以上説明したセンサ搭載部材30、保管具20及びセンサ搭載部材30を併せた構造(物品保管装置)、センサ搭載部材30及びサーバ10を併せたシステム(保管数判定システム)、並びに、上述した物品保管システム1(主にセンサ搭載部材30及びサーバ10)により実行される保管数判定方法によれば、センサモジュール40からサーバ10に送信される検知信号に基づいてセンサ搭載部材30の位置(すなわち、保管具20に保管された最後尾の物品Gの位置)を把握することができ、当該位置に基づいて保管具20に保管された物品数(残数)を把握することができる。上記仕組みによれば、例えば物品G間の重量のバラツキが比較的大きい場合、或いは物品G自体が軽いため重量変化から個数の変化を検出することが困難な場合等、保管具20に保管された物品Gの重量に基づいて残数を判定することが困難な場合であっても、センサ搭載部材30を用いて最後尾の物品Gの位置を把握することによって、保管具20に収容された物品数の判定を汎用的に且つ精度良く行うことができる。
【0046】
保管具20は、複数の物品Gを配列して保管可能に構成されており、排出口27から物品Gを排出すると共に、保管具20内に残される物品Gを、排出された物品G分だけ排出口27側へとスライド移動させる。本実施形態では、保管具20は、複数の物品Gを鉛直方向(Z軸方向)に沿って配列して保管すると共に、複数の物品Gのうち最下方に位置する物品Gから順に排出するように構成されている。そして、センサ搭載部材30は、最後尾の物品Gの上部に載置される。上記構成によれば、センサ搭載部材30を最後尾の物品Gの上部に載置する簡易な構成によって、保管数の判定を容易に行うことができる。
【0047】
センサ搭載部材30は、物品Gの上部と接触する接触面部32aを有する。接触面部32aは、物品Gの上部の形状に対応する形状を有する。上記構成によれば、最後尾の物品Gの上部に載置されるセンサ搭載部材30の姿勢を安定化させることができる。その結果、センサ搭載部材30の姿勢がばらつくことを抑制でき、センサ搭載部材30からの検知信号に基づいてセンサ搭載部材30の位置(すなわち、最後尾の物品Gの位置)を精度良く把握することが可能となる。
【0048】
本実施形態では、物品Gは、円柱側面状の外面を有する。接触面部32aは、物品Gの外面に沿うように湾曲する凹面状に形成されている。上記構成によれば、トイレットペーパーのような円柱側面状の外面を有する物品Gが保管具20に保管される場合において、センサ搭載部材30を物品Gの上部に安定させて配置することができる。
【0049】
保管具20には、一以上のマグネット部材M1,M2,M3が設けられている。センサ41,42,43は、マグネット部材M1,M2,M3の磁気を検知する磁気センサである。一以上のマグネット部材M1,M2,M3は、センサモジュール40とセンサモジュール40によって磁気が検知されるマグネット部材(マグネット部材M1,M2,M3のいずれか)との相対的な位置関係が、保管数に応じて変化するように設けられている。センサモジュール40は、上記相対的な位置関係に応じた検知信号をサーバ10に送信する。本実施形態では一例として、マグネット部材M1は、保管数が3である状態におけるセンサ搭載部材30の位置に対応するように配置されている。マグネット部材M2は、保管数が2である状態におけるセンサ搭載部材30の位置に対応するように配置されている。マグネット部材M3は、保管数が1である状態におけるセンサ搭載部材30の位置に対応するように配置されている。また、保管数が3である状態において、マグネット部材M1とセンサ41との距離は、マグネット部材M1とセンサ42,43との距離よりも短い。保管数が2である状態において、マグネット部材M2とセンサ42との距離は、マグネット部材M2とセンサ41,43との距離よりも短い。保管数が1である状態において、マグネット部材M3とセンサ43との距離は、マグネット部材M3とセンサ41,42との距離よりも短い。上記構成によれば、センサモジュール40と当該センサモジュール40によって磁気が検知されるマグネット部材(マグネット部材M1,M2,M3のいずれか)との相対的な位置関係を、保管数に応じて変化させることにより、センサモジュール40からサーバ10へと保管数毎に異なる検知信号を送信させることができる。本実施形態では、保管数が3である場合にはセンサモジュール40からサーバ10へとセンサ41の検知信号が送信され、保管数が2である場合にはセンサモジュール40からサーバ10へとセンサ42の検知信号が送信され、保管数が1である場合にはセンサモジュール40からサーバ10へとセンサ43の検知信号が送信される。上記構成によれば、比較的簡易な構成によって、検知信号に基づいて保管数を把握することが可能な仕組みを実現することができる。
【0050】
[変形例]
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されない。例えば、保管具20から物品Gが排出される仕組み(すなわち、排出口27の形態)は、上記実施形態で例示した横方向(X軸方向)に排出する形態に限られない。例えば、排出口は、最下段の物品Gの下方において、ゲート状に開閉可能に構成されてもよい。また、上記実施形態では、個室の利用者が保管具20から手動でトイレットペーパー(最下段の物品G)を排出口27から取り出す形態を例示したが、保管具20には、機械式で排出口から物品Gを排出する機構が設けられてもよい。例えば、上述したようにゲート状に開閉可能な排出口が設けられる場合、保管具20の外側(例えば利用者から見て正面の側板部22の前面等)に排出口を開いて最下段の物品Gを落下させるためのレバー等の操作手段が設けられてもよい。この場合、利用者はレバー操作を行うことで、保管具20からトイレットペーパーを取り出すことができる。また、保管具20は、利用者が使用するトイレットペーパーを保持するホルダ器具と連結されていてもよい。そして、排出口から排出されたトイレットペーパーは、自動的に上記ホルダ器具にセットされるように構成されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、センサ搭載部材30に、通信モジュール内蔵のセンサが3つ嵌め込まれている形態を例示したが、例えば、磁気を検知する3つの素子が各孔部31aに設置され、各素子からの磁気検出信号を受信してサーバ10に送信可能な通信モジュールが1つだけ設けられてもよい。このような通信モジュールは、例えば1つの孔部31aに配置されてもよい。この場合、当該通信モジュールは、3つの素子のそれぞれを識別可能な態様で各素子から磁気検出信号を受信することにより、上記実施形態と同様に、センサ搭載部材30がどの位置にあるか(すなわち、どの素子から磁気検出信号を受信したか)を示す情報をサーバ10に送信することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、側板部23,24,25にマグネット部材M1,M2,M3が埋め込まれた形態を例示したが、マグネット部材M1,M2,M3は、側板部23,24,25の内側又は外側に取り付けられてもよい。或いは、側板部23,24,25それぞれの内側にレールを取り付け、レール内にマグネット部材M1,M2,M3を固定してもよい。各レールは、例えば、保管具20内で物品Gがスライド移動する方向(本実施形態ではZ軸方向)に沿って延在する部材である。また、センサ搭載部材30側にも、上記各レールに対応する3つの溝部が設けられてもよい。この場合、保管具20内において、各レールが各溝部に挿入されることによって、Z軸方向から見たセンサ搭載部材30の3点の位置が固定される。その結果、センサ搭載部材30は、保管具20内で平行な姿勢を保つことができる。すなわち、各レールは、センサ搭載部材30の姿勢を安定させた状態で、センサ搭載部材30を物品Gと共に下方に移動させるためのガイド部材として機能する。これにより、センサ搭載部材30に内蔵されたセンサ41,42,43が、マグネット部材M1,M2,M3に対向する位置へと適切に誘導される。
【0053】
また、保管具20に設けられるマグネット部材の位置及び個数は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、保管具20に保管可能な物品数と同数のマグネット部材が設けられたが、保管具20に保管可能な物品数とマグネット部材の数は異なっていてもよい。例えば、保管具20内の物品Gがなくなった状態、或いは残り1つになった状態等の特定の状態を検知すれば十分である場合には、マグネット部材は、検知したい特定の状態の数だけ設けられればよい。また、上記実施形態では、保管数が0である場合に対応する位置にマグネット部材が設けられていないが、保管数が0である場合に対応する位置にもマグネット部材が設けられてもよい。或いは、判定部12は、センサモジュール40のいずれのセンサ41,42,43からも検知信号が受信されないことに基づいて、保管数が0であることを判定してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、センサモジュール40とセンサモジュール40によって磁気が検知されるマグネット部材(マグネット部材M1,M2,M3のいずれか)との相対的な位置関係が保管数に応じて変化する仕組みが用いられたが、磁気センサを用いて保管数を検知する仕組みは上記仕組みに限られない。例えば、上記実施形態では、保管数が3つの場合、2つの場合、1つの場合のそれぞれの場合において、特定の1つのセンサのみから検知信号がサーバ10に送信されたが、上記各場合において、各センサ41,42,43からサーバ10に対して、検知した磁気の強さに応じた検知信号が送信されてもよい。すなわち、サーバ10は、保管数が3つの場合、2つの場合、1つの場合のいずれの場合にも、センサ41,42,43のそれぞれからの検知信号を受信してもよい。この場合、判定部12は、例えば、各センサ41,42,43の検知信号が示す磁気の強さの大小関係に基づいて、保管数を判定することができる。例えば、判定部12は、センサ41の検知信号が示す磁気の強さがセンサ42,43の検知信号が示す磁気の強さよりも大きい場合、保管数を「3」と判定することができる。
【0055】
また、一例として、マグネット部材M1,M2,M3は、センサモジュール40によって検知される磁気の向き及び強さの少なくとも一方が保管数に応じて変化するように設けられてもよい。例えば、マグネット部材M2,M3は、それぞれの高さ位置において、マグネット部材M1と同様に側板部23の前後方向における中央部に設けられてもよい。つまり、マグネット部材M1,M2,M3は、Z軸方向から見て重なるように配置されてもよい。また、センサモジュール40は、センサ41のみを備えてもよい。そして、センサ41は、マグネット部材からの磁気の向き及び強さの少なくとも一方に応じた検知信号を出力するように構成されてもよい。この場合、センサモジュール40(すなわちセンサ41)と当該センサモジュール40によって磁気が検知されるマグネット部材(マグネット部材M1,M2,M3のいずれか)との相対的な位置関係は、保管数に応じて変化しないが、マグネット部材M1,M2,M3間で、磁気の向き及び強さの少なくとも一方を異ならせることにより、センサ41がマグネット部材から受ける磁気の向き及び強さの少なくとも一方を、保管数に応じて変化させることができる。その結果、サーバ10(判定部12)は、センサ41から受信した検知信号が示す磁気の向き及び強さの少なくとも一方に基づいて、センサ搭載部材30の位置(すなわち、対応する保管数)を判定することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、保管具20は、複数の物品Gを鉛直方向に沿って配列するように構成されたが、保管具20は、複数の物品Gを水平方向に対して傾斜する方向(斜め方向)に沿って配列して保管してもよい。その場合でも、下方の物品Gから順に排出することにより、排出された物品G以外の物品Gを下方へとスライド移動させることができ、上記実施形態と同様の仕組みによって保管数を判定することができる。
【0057】
また、物品Gは、トイレットペーパーに限られない。例えば、物品Gは、トイレットペーパーと同様の外形を有するトイレットペーパー以外の物品(例えばキッチンペーパー等)であってもよいし、トイレットペーパーとは異なる外形を有する物品であってもよい。すなわち、物品Gは、保管具20内に配列して保管することが可能であって、排出された物品の分だけ排出口側へとスライド移動させることが可能な物品であればよい。
【0058】
また、排出口から1回のタイミングで排出される物品数は、上記実施形態のように1個であってもよいし、2個以上であってもよい。
【0059】
また、保管具20には一つの物品Gのみが保管されてもよい。この場合にも、上記実施形態の仕組みを適用することで、保管具20に物品Gが補充された状態(保管数が1である状態)と保管具20に物品Gが補充されていない状態(保管数が0である状態)とを判定することができる。
【0060】
また、センサ搭載部材30は、最後尾の物品Gの位置に関連付けて配置されていればよく、物品Gの上部以外の位置(例えば物品Gの側方等)に配置されてもよい。
【0061】
また、センサモジュール40に含まれるセンサは、磁気センサに限られない。例えば、センサモジュール40は、加速度センサ等を含んでもよく、基準位置(例えば、保管具20に物品Gがフルに補充されている状態におけるセンサ搭載部材30の位置)からの変位量を検知可能に構成されてもよい。すなわち、センサモジュール40は、基準位置からの変位量を含む検知信号をサーバ10に送信するように構成されてもよい。このような構成によっても、判定部12は、検知信号に基づいてセンサ搭載部材30の位置(すなわち、基準位置から検知信号に示される変位量だけ移動した位置)を把握することができる。また、判定部12は、例えば、物品G一つ分の大きさ(すなわち、排出口27から物品Gが1つ排出された場合にセンサ搭載部材30がスライド移動する距離)の情報を予め保持してもよい。この場合、判定部12は、当該情報とセンサモジュール40から受信した検知信号に示される変位量とを比較することで、センサ搭載部材30が基準位置から物品G何個分移動した位置に存在するかを把握することができる。これにより、判定部12は、保管数(すなわち、保管具20に補充可能な物品数からセンサ搭載部材30の移動量に相当する物品数を引いた数)を判定することができる。
【符号の説明】
【0062】
10…サーバ(管理装置)、11…受信部、12…判定部、13…出力部、20…保管具、27…排出口、30…センサ搭載部材、32a…接触面部、40…センサモジュール、41,42,43…センサ、G,G1,G2,G3…物品、M1,M2,M3…マグネット部材。