(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023462
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/18 20060101AFI20220201BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20220201BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20220201BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220201BHJP
【FI】
F01N3/18 B
F01N3/24 N ZAB
B01F3/04 Z
B01F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126413
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石松 貴洋
【テーマコード(参考)】
3G091
4G035
【Fターム(参考)】
3G091AB05
3G091BA01
3G091CA27
4G035AB27
4G035AC01
4G035AC06
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】還元剤が排気ガス中に均一に拡散される混合装置を提供する。
【解決手段】合流筒部において、排気ガスと還元剤とが合流する。混合部材は、合流筒部の内部において、排気筒部との接続口が位置する側を排気筒部側、噴射部との接続口が位置する側を噴射部側とした場合に、噴射部側に偏って配置される。また、混合部材は、排気ガスと還元剤とを混合する。排気筒部は、排気筒部における合流筒部側の端部が合流筒部の内部に突出した突出部を有する。突出部における噴射部側の部分には、混合部材よりも排気ガスの排気流路の上流側において、排気筒部の内部を通る排気ガスの一部が排気筒部外へ抜ける通気口が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気ガスと還元剤とを混合する混合装置であって、
前記排気ガスと前記還元剤とが合流する合流筒部と、
前記合流筒部の一端に接続し、前記合流筒部へ流入する前記排気ガスが内部を通る排気筒部と、
前記合流筒部の前記一端に、前記排気筒部とともに接続し、前記還元剤を前記合流筒部の内部へ向けて噴射する噴射部と、
前記合流筒部の内部において、前記排気筒部との接続口が位置する側を排気筒部側、前記噴射部との接続口が位置する側を噴射部側とした場合に、前記噴射部側に偏って配置された、前記排気ガスと前記還元剤とを混合する混合部材と、
を備え、
前記排気筒部は、前記排気筒部における前記合流筒部側の端部が前記合流筒部の内部に突出した突出部を有し、
前記突出部における前記噴射部側の部分には、前記混合部材よりも前記排気ガスの排気流路の上流側において、前記排気筒部の内部を通る前記排気ガスの一部が前記排気筒部外へ抜ける通気口が設けられている、混合装置。
【請求項2】
前記突出部の内部には、前記通気口における、前記排気筒部の内部を前記排気ガスが流れる方向の下流側の縁端部において、前記突出部の内部側に向けて立設する内壁が設けられている、請求項1に記載の混合装置。
【請求項3】
前記通気口は、前記排気筒部の内部を前記排気ガスが流れる方向に交差する方向に延びる孔である、請求項1又は請求項2に記載の混合装置。
【請求項4】
前記混合部材は、前記噴射部から噴射された前記還元剤が当たる壁部を備える、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項5】
前記混合部材は、前記壁部よりも前記排気流路の下流側において、前記排気流路の上流側から下流側に向かう方向に沿って設けられた板状の衝突板部を更に備え、
前記混合部材は、前記合流筒部の内部において、前記排気筒部から前記合流筒部へ流入する前記排気ガスが前記衝突板部の板面に当たるように配置されている、請求項4に記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気ガスを浄化する技術として、排気ガス中に含まれる窒素酸化物を尿素水等の還元剤と触媒とによって還元するSCR(Selective Catalytic Reduction)システムがある。SCRシステムにおいては、排気流路内を流れる排気ガスに対して還元剤が噴射され、排気ガスと還元剤との混合ガスが触媒へ導かれる。SCRシステムにおいて排気ガスの浄化率を高めるためには、排気ガスと還元剤とが均一に混合されていることが好ましい。そのため、排気流路内に排気ガスと還元剤とを混合するための混合部材が設けられる場合がある。
【0003】
特許文献1には、内燃機関から排出された排気ガスが通る流路と噴射された還元剤が通る流路とが合流する部分よりも下流側に、混合部材が設けられた混合装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SCRシステムを車両等に搭載する場合における配置上の制約のため、混合部材を、排気ガスの流路と噴射された還元剤の流路との合流部分に設け、触媒と還元剤の噴射部との距離を近づけてSCRシステム全体をコンパクト化する場合がある。合流部分は、排気ガスの流路と還元剤の流路とが合流している部分であるため、他の流路、例えば合流部分の上流側及び下流側にある個々の流路よりも比較的広く構成される。
【0006】
ここで、特許文献1に記載されている混合装置では、合流部分よりも下流側の流路において、その流路の断面を見た場合に、混合部材が流路の全体に配置されている。これにならい、合流部分に混合部材を設ける場合において混合部材を流路の全体に配置しようとすると、合流部分は流路が比較的広く構成されているため、圧力損失が過大になる可能性がある。よって、圧力損失を低減するために、合流部分の流路の全体ではなく一部に混合部材を配置する、例えば、合流部分において排気ガスの流路側というよりも還元剤の流路側に混合部材を偏らせて配置することが考えられる。
【0007】
本発明者の検討の結果、このように混合部材を還元剤の流路側に偏らせて配置した場合に、還元剤が排気ガス中に均一に拡散せず、浄化率が低下する可能性があることが判明した。
【0008】
本開示の一局面は、還元剤が排気ガス中に均一に拡散される混合装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、内燃機関から排出される排気ガスと還元剤とを混合する混合装置であって、合流筒部と、排気筒部と、噴射部と、混合部材と、を備える。合流筒部において、排気ガスと還元剤とが合流する。排気筒部は、合流筒部の一端に接続し、合流筒部へ流入する排気ガスが内部を通る。噴射部は、合流筒部の一端に、排気筒部とともに接続し、還元剤を合流筒部の内部へ向けて噴射する。混合部材は、合流筒部の内部において、排気筒部との接続口が位置する側を排気筒部側、噴射部との接続口が位置する側を噴射部側とした場合に、噴射部側に偏って配置される。また、混合部材は、排気ガスと還元剤とを混合する。排気筒部は、排気筒部における合流筒部側の端部が合流筒部の内部に突出した突出部を有する。突出部における噴射部側の部分には、混合部材よりも排気ガスの排気流路の上流側において、排気筒部の内部を通る排気ガスの一部が排気筒部外へ抜ける通気口が設けられている。
【0010】
このような構成によれば、混合部材が噴射部側に偏って配置されている場合であっても、還元剤が排気ガス中に均一に拡散される。
本開示の一態様では、突出部の内部には、通気口における、排気筒部の内部を排気ガスが流れる方向の下流側の縁端部において、突出部の内部側に向けて立設する内壁が設けられていてもよい。このような構成によれば、内壁によって、排気筒部の内部を通る排気ガスが通気口へ向かうように案内されるため、通気口を通る排気ガスの流量を増やすことができる。
【0011】
本開示の一態様では、通気口は、排気筒部の内部を排気ガスが流れる方向に交差する方向に延びる孔であってもよい。このような構成によれば、通気口を通る排気ガスの流量を増やすことができる。
【0012】
本開示の一態様では、混合部材は、噴射部から噴射された還元剤が当たる壁部を備えてもよい。このような構成によれば、還元剤が壁部に当たることにより排気ガス中に均一に拡散される。
【0013】
本開示の一態様は、混合部材は、壁部よりも排気流路の下流側において、排気流路の上流側から下流側に向かう方向に沿って設けられた板状の衝突板部を更に備えてもよい。また、混合部材は、合流筒部の内部において、排気筒部から合流筒部へ流入する排気ガスが衝突板部の板面に当たるように配置されていてもよい。このような構成によれば、衝突板部の板面に当たった排気ガスが板面の裏側へ向かうように回り込む流れが生じるため、排気ガスと還元剤とが均一に混合される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】通気口及び内壁が別の方法により形成された場合の排気筒部の斜視図である。
【
図5】
図4に示す排気筒部を
図4における矢印Dに示す方向から見た図である。
【
図6】内壁が形成されていない場合の排気筒部の斜視図である。
【
図7】比較的小さい通気口が2つ形成された場合の排気筒部の斜視図である。
【
図8】スリット状の通気口が形成された場合の排気筒部の斜視図である。
【
図9】別の混合部材が設けられた場合の混合装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す混合装置1は、内燃機関から排出される排気ガスの排気流路の途中に配置され、排気ガスと還元剤とを混合する装置である。混合装置1は、排気筒部2と、合流筒部3と、触媒筒部4と、噴射部5と、混合部材6と、を備える。
【0016】
排気筒部2、合流筒部3、及び触媒筒部4は、排気ガスの排気流路を形成する、筒状の配管である。排気筒部2、合流筒部3、及び触媒筒部4は、それぞれ別の管で形成されている。排気筒部2は、合流筒部3における一端、具体的には合流筒部3における排気流路の上流側(以下、単に「上流側」という。)の端部に接続されている。一方、触媒筒部4は、合流筒部3における他端、具体的には、排気流路の下流側(以下、単に「下流側」という。)の端部に接続されている。排気筒部2及び触媒筒部4は円筒状であり、合流筒部3は二股に分岐した略Y字状である。
【0017】
合流筒部3は、排気筒部2から流入する排気ガスと、後に詳述する噴射部5から噴射される還元剤とが合流する部分である。
触媒筒部4は、内部に不図示のSCR触媒が収容される部分である。
【0018】
噴射部5は、還元剤を合流筒部3の内部へ向けて噴射するように構成されている。噴射部5は、還元剤を噴射する噴射口51を有する。噴射部5における噴射口51側の部分は、合流筒部3の上流側の端部に、排気筒部2とともに接続している。噴射部5は、図示しない還元剤のタンクに接続されており、還元剤を噴射口51から下流側に向けて噴射する。
【0019】
混合部材6は、排気ガスと還元剤とを混合する機能を有する部材である。混合部材6は、合流筒部3の内部に設けられる。
以下、排気筒部2、合流筒部3、及び混合部材6の構成の詳細について順に説明する。
【0020】
[2.排気筒部]
排気筒部2は、
図2に示すように、筒状、具体的には径が一定の円筒状である。
図1に示すように、排気筒部2の下流側の端部は合流筒部3の内部に突出した突出部21となっている。突出部21の下流側の端は、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aに沿う長さが、突出部21における噴射部5側の部分で最も長くなるように、排気筒部2の中心軸2aに垂直な平面に対して傾斜した平面で切断されている。
【0021】
突出部21における噴射部5側の部分には、後に詳述する混合部材6よりも上流側において、排気筒部2の内部を通る排気ガスの一部が排気筒部2外へ抜ける通気口22が設けられている。通気口22は、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aに交差する方向、具体的には、方向Aに直交する方向に延びる孔である。方向Aに直交する方向とは、言い換えれば
図1における奥行き方向である。
【0022】
また、突出部21の内部には、通気口22における、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aの下流側の縁端部において、突出部21の内部側に向けて立設する内壁23が設けられている。なお、内壁23の排気筒部2の周方向に沿った長さは、通気口22の下流側の縁端部の長さに相当する長さである。内壁23は、方向Aに対して垂直に立設している。
【0023】
通気口22及び内壁23は、
図2に示すように、突出部21における噴射部5側の部分に、上流側に向けて凸となるU字状の切り込みを入れ、切り込みの内側部分を突出部21の内部側へ向けて折り曲げることにより形成される。
【0024】
排気筒部2の内部を通る排気ガスの一部は、内壁23へ当たることにより通気口22へ案内され、通気口22を通って合流筒部3の内部における噴射部5側の空間へ流れる。
[3.合流筒部]
合流筒部3は、排気流入部31と、還元剤導入部32と、縮径部33と、下流側筒部34と、を有する。排気流入部31は、排気ガスの合流筒部3への流入口である、排気筒部2との接続口31aを形成する。還元剤導入部32は、噴射部5から噴射される還元剤の合流筒部3への導入口である、噴射部5との接続口32aを形成する。
【0025】
縮径部33は、排気流入部31における下流側の端部及び還元剤導入部32における下流側の端部に接続する。縮径部33は、
図1における上下方向B(以下、単に「上下方向B」という。)の径が下流側に向けて徐々に小さくなる形状を有する。上下方向Bとは、合流筒部3の上流側の端部において排気筒部2と噴射部5とが並ぶ方向である。一方、縮径部33の
図1における奥行き方向の径は、排気筒部2と同程度であり略一定である。
図1における奥行き方向とは、合流筒部3の上流側の端部において排気筒部2と噴射部5とが並ぶ方向Bに対して、直交する方向、かつ、排気流路の上流側から下流側に向かう方向Cに対して直交する方向である。なお、後述するように、排気筒部2の中心軸2aと下流側筒部34の中心軸34aとが略平行であるため、方向Cは、実質的に方向Aと同じ方向である。
【0026】
下流側筒部34は、縮径部33における下流側の端部に接続する。下流側筒部34は、一例として、径が一定の円筒状である。なお、下流側筒部34の中心軸34aは、触媒筒部4の中心軸と一致する。また、下流側筒部34の径は、触媒筒部4においてSCR触媒が収容される部分の径よりも小さい。
【0027】
また、下流側筒部34は、合流筒部3の内部において、排気筒部2との接続口31aが位置する側を排気筒部2側、噴射部5との接続口32aが位置する側を噴射部5側とした場合に、噴射部5側に偏って位置する。排気筒部2側とは、言い換えれば、
図1における下側である。噴射部5側とは、言い換えれば、
図1における上側である。具体的には、排気筒部2の中心軸2aと、下流側筒部34の中心軸34aとが略平行であり、下流側筒部34の中心軸34aが、上下方向Bにおいて排気筒部2の中心軸2aよりも上側に位置する。ここでいう略平行とは、実質的に平行という意味である。例えば、2つの中心軸を、各中心軸の角度を変えずに平行移動させ交差させた場合に、2つの中心軸がなす角が5°以下となるように傾斜していてもよい。
【0028】
縮径部33は、
図1に示す断面、すなわち、上下方向B及び上流側から下流側に向かう方向Cに沿う断面において、下流側が噴射部5側となるように上流側から下流側に向かう方向Cに対して傾斜した傾斜面33aを有する。
【0029】
[4.混合部材]
混合部材6は、
図1に示すように、合流筒部3の内部において、噴射部5側に偏って配置されている。混合部材6は、
図1及び
図3に示すように、壁部61と、衝突板部62と、固定部63と、を有する。
【0030】
壁部61は、円板状の主壁部61aと、主壁部61aの外周端から下流側に向けて立設する外周壁部61bと、を有する。主壁部61aは、噴射部5から噴射された還元剤が当たる壁面61cを有する。壁面61cは、具体的には、上流側から下流側に向かう方向Cに垂直な面である。
【0031】
衝突板部62は、壁部61よりも下流側において、上流側から下流側に向かう方向Cに沿って設けられる。衝突板部62の上流側の端部は、壁部61の内側部分に接合している。衝突板部62は、板状の部材を、噴射部5側、言い換えれば下側に向けて凸となるように湾曲させた形状である。具体的には、衝突板部62は半円筒状である。半円筒状とは、円筒状体の一部が軸方向に沿って切り取られた形状をいう。衝突板部62には、
図3に示すように、全面的に複数の孔62aが形成されている。
【0032】
固定部63は、混合部材6を合流筒部3の内部に固定する部分である。固定部63は、衝突板部62の下流側の端部に接合している。また、固定部63は、衝突板部62よりも径が大きい半円筒状である。固定部63の外周面は、下流側筒部34の内周面と対応する大きさに形成されている。そして、固定部63の外周面と下流側筒部34の内周面とが接した状態で、混合部材6が合流筒部3に対して固定されている。混合部材6は、壁部61と衝突板部62の少なくとも一部とが縮径部33に位置するように、下流側筒部34における固定部分から縮径部33に向けて突出するように配置されている。
【0033】
[5.排気ガス及び還元剤の流れ]
混合装置1内における排気ガス及び還元剤の流れについて説明する。
図1に示すように、排気ガスは、排気筒部2における突出部21から合流筒部3へ流入する。また、突出部21には通気口22が形成されているため、排気ガスの一部は、通気口22を通って合流筒部3における噴射部5側の空間へ流れる。
【0034】
突出部21の端が上記のように斜めに切断されており、突出部21の開口が下向きとなっているため、突出部21から合流筒部3へ流れる排気ガスは、縮径部33の傾斜面33aに当たるように案内される。その後、排気ガスは、傾斜面33aに沿って下流側へ流れる。
【0035】
混合部材6は、合流筒部3の内部において、排気ガスが混合部材6における衝突板部62の板面62bに当たるように配置されている。言い換えれば、排気ガスは、傾斜面33aを伝うことにより板面62bに当たるように案内される。板面62bに当たった排気ガスは、衝突板部62の板面62bに沿って下流側に向けて流れる。この時、排気ガスは、
図1における奥行き方向の両端側における合流筒部3と混合部材6との隙間を通って、板面62bの裏側へ向かうように回り込んで流れる。また、衝突板部62には複数の孔62aが形成されているため、排気ガスの一部は孔62aを通る。衝突板部62に複数の孔62aが形成されていることにより、混合部材6が存在することにより狭くなった流路の圧力損失が低減される。
【0036】
一方、還元剤は、噴射部5から混合部材6の壁部61に向けて噴射される。噴射された還元剤は壁面61cに当たって微細化し、通気口22を通って噴射部5側へ流れる排気ガス中に拡散する。その後、排気ガス中に拡散された還元剤は、排気ガスとともに下流側へ流れ、上記のような旋回流によって排気ガスと混合される。
【0037】
[6.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(6a)排気筒部2の突出部21における噴射部5側の部分には、混合部材6よりも上流側において、排気筒部2の内部を通る排気ガスの一部が排気筒部2外へ抜ける通気口22が設けられている。このような構成によれば、以下に述べるように、混合部材6が噴射部5側に偏って配置されている場合であっても、通気口22がない場合と比較して還元剤が排気ガス中に均一に拡散される。
【0038】
混合部材6が噴射部5側に偏って配置されている構成においては、排気筒部2から合流筒部3へ流入する排気ガスが、合流筒部3の内部において混合部材6が配置されている噴射部5側の空間よりも、混合部材6が設けられておらず圧力損失が比較的小さい排気筒部2側の空間を通りやすい。特に、排気筒部2が突出部21を有する構成においては、突出部21における噴射部5側の部分が壁となって、噴射部5側の空間へ排気ガスが行きにくい。そのため、噴射部5から噴射される還元剤が排気ガスの流れにのることができず、噴射部5側で滞留してしまう傾向にある。特に、上記構成のように、噴射部5から噴射された還元剤が壁部61に当たって微細化される構成の場合には、壁部61付近での還元剤の滞留が顕著に生じる。
【0039】
還元剤が滞留することにより還元剤が排気ガス中に均一に拡散しないと、触媒反応が不十分となり、排気ガスの浄化率が低下する。また、還元剤が気化せず液状のまま流路壁面にはりつき堆積物となって流路内に残留する可能性がある。この場合には浄化率の低下が顕著である。
【0040】
上記構成では、排気筒部2の突出部21に通気口22が設けられているため、通気口22がない場合と比較して、合流筒部3の内部における噴射部5側の空間へ排気ガスの一部が流れやすくなっている。そのため、還元剤の滞留が抑制され、還元剤が排気ガス中に均一に拡散される。
【0041】
(6b)突出部21の内部には、通気口22における、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aの下流側の縁端部において、突出部21の内部側に向けて立設する内壁23が設けられている。このような構成によれば、内壁23によって、排気筒部2の内部を通る排気ガスが通気口22へ向かうように案内される。そのため、内壁23がない場合と比較して、通気口22を通る排気ガスの流量を増やすことができる。
【0042】
(6c)通気口22は、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aに交差する方向に延びる孔である。このような構成によれば、例えば、通気口22が、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aに延びる孔である場合と比較して、内壁23に排気ガスが当たりやすいため、通気口22を通る排気ガスの流量を増やすことができる。
【0043】
(6d)混合部材6は、噴射部5から噴射された還元剤が当たる壁部61を備える。このような構成によれば、還元剤が壁部61に当たることにより微細化され、排気ガス中に均一に拡散される。
【0044】
(6e)混合部材6は、壁部61よりも下流側において、上流側から下流側に向かう方向Cに沿って設けられた板状の衝突板部62を備える。そして、混合部材6は、合流筒部3の内部において、排気筒部2から合流筒部3へ流入する排気ガスが衝突板部62の板面62bに当たるように配置されている。
【0045】
このような構成によれば、衝突板部62の板面62bに当たった排気ガスが、板面62bの裏側へ向かうように回り込む流れが生じる。そのため、排気ガスと還元剤とが均一に混合される。
【0046】
[7.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0047】
(7a)通気口22及び内壁23の形成方法は、上記したものに限定されない。
例えば、
図4及び
図5に示すように、突出部21をくり抜いて通気口24が形成され、内壁25が、板部材を別途排気筒部2の内部に取り付けることにより形成されていてもよい。
また、上記実施形態では内壁23が方向Aに対して垂直に立設しているが、内壁23が立設する角度はこれに限定されない。例えば、内壁23が、先端が上流側となるように方向Aに対して傾斜するように立設していてもよい。
【0048】
また、
図6に示すように、内壁が形成されておらず、通気口26のみが形成されていてもよい。内壁が形成されていない場合においても、通気口22を通る排気ガスの流量を増やすことができるため、通気口26は、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aに交差する方向に延びる形状であることが好ましい。この場合には、排気筒部2の内部を流れる排気ガスが、通気口26における下流側の縁端部に当たって合流筒部3の内部における噴射部5側の空間へ流れる。
【0049】
通気口22の形状も、上記したものに限定されない。例えば、
図7に示すように、比較的小さな通気口27が、
図1における奥行き方向に2つ以上配置されていてもよい。また、通気口27が、円形状ではなく、多角形状であってもよい。
また例えば、
図8に示すように、排気筒部2の内部を排気ガスが流れる方向Aに延びるスリット状の通気口28が形成されていてもよい。スリット状の通気口28が延びる方向及び形状は
図8に示したものに限定されない。例えば、
図8に示すスリット状の通気口28における上流側の端部が多角形状に角張って形成されていてもよい。また、
図8に示すように細長いスリット状ではなく、幅広のスリット状であってもよい。
【0050】
(7b)混合部材6の構成は、上記したものに限定されない。例えば、
図9に示すように、混合部材7が、複数の羽根部71を有し、上流側から流入する排気ガスを旋回させるように案内するものであってもよい。
【0051】
また、混合部材6における壁部61の形状も、上記したものに限定されない。例えば、壁部61における主壁部61aは、円板状以外の形状、例えば多角形の板状であってもよい。また、壁部61は、全体として上流側に向けて凸となる器状ではなく下流側に向けて凸となる器状であってもよい。また、壁部61が外周壁部61bを有さなくてもよい。また、壁部61と衝突板部62とが接合されておらず、壁部61が別途合流筒部3の内部に固定されていてもよい。また、上記実施形態では、壁面61cが、上流側から下流側に向かう方向Cに垂直な面であるが、壁面61cが、方向Cに対して斜めに傾斜した面であってもよい。
【0052】
また、混合部材6における衝突板部62の形状も、上記したものに限定されない。例えば、上記実施形態では、衝突板部62が、下側に向けて凸となるように湾曲させた形状であるが、下側に向けて凸となるように角張って曲げられた形状であってもよい。また例えば、衝突板部62が湾曲しておらず、単なる平面板状であってもよい。いずれの形状においても、衝突板部62に孔62aが形成されていても形成されていなくてもよい。
【0053】
なお、上記実施形態における衝突板部62の半円筒状とは、中心軸を通過する平面により円筒状体を正確に半分に切った形状に限定されず、半分よりも大きく又は小さく切った形状であってもよい。例えば、衝突板部62は、断面形状が半円の円弧状である場合に限らず、半円よりも大きい円弧状であっても、半円よりも小さい円弧状であってもよい。
【0054】
(7c)上記実施形態では、排気筒部2、合流筒部3、及び触媒筒部4が、それぞれ別の管で形成されている。しかし、排気筒部2、合流筒部3、及び触媒筒部4が形成する流路は、各名称の部による区分と関係なく任意の位置で分割された複数の管によって形成されていてもよい。また、排気筒部2、合流筒部3、及び触媒筒部4が単一の管で形成されいてもよい。
【0055】
(7d)上記実施形態では、排気筒部2の下流側の端が混合部材6よりも上流側に位置しているが、排気筒部2が下流側に延長され、排気筒部2の下流側の端が混合部材6よりも下流側に位置していてもよい。
【0056】
(7e)上記実施形態では、排気筒部2における突出部21の開口が下向きとなるように突出部21の端が斜めに切断されているが、突出部21の端の形状はこれに限定されない。例えば、突出部21の開口が上向きとなるように突出部21の端が斜めに切断されていてもよく、排気筒部2の中心軸2aに対して垂直な平面で切断されていてもよい。
【0057】
(7f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…混合装置、2…排気筒部、3…合流筒部、5…噴射部、6,7…混合部材、21…突出部、22,24,26,27,28…通気口、23,25…内壁、31…排気流入部、31a…排気筒部との接続口、32…還元剤導入部、32a…噴射部との接続口、33…縮径部、34…下流側筒部、61…壁部、62…衝突板部。