(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023479
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ペンスタンド兼用ペンケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A45C11/34 105
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126439
(22)【出願日】2020-07-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】392019879
【氏名又は名称】株式会社イケックス工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 幸平
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA17
3B045CE08
3B045DA42
3B045EA02
3B045EA03
3B045EA06
3B045FA01
3B045FC06
3B045FC08
3B045HB03
3B045JA04
3B045JB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単純な構造で迅速に開閉操作できるペンケースを提供する。
【解決手段】ペンケース10は、ペンケース本体11と、ペンケース本体に設けられ、外力を受けることで、長尺の板状に展開された第1状態と、板状の長手方向を周方向として巻き付けられた第2状態とを、相互に切替可能な変形部材と、を備える。ペンケース本体は、変形部材が第1状態のときに平板状に展開され、変形部材が前記第1状態のときに変形部材が外力を受けると変形部材が第2状態になって自動的に筒状に変形する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンケース本体と、
前記ペンケース本体に設けられ、外力を受けることで、長尺の板状に展開された第1状態と、板状の長手方向を周方向として円柱状に巻き付けられた第2状態とを、相互に切替可能な変形部材と、を備え、
前記ペンケース本体は、前記変形部材が前記第1状態のときに平板状に展開され、前記変形部材が前記第1状態のときに前記変形部材が外力を受けると前記変形部材が前記第2状態になって自動的に筒状に変形する、
ペンケース。
【請求項2】
前記ペンケース本体は、展開された状態で一方向に長い形状に形成されており、
前記変形部材は、前記ペンケース本体の短手方向の中心を通りかつ長手方向に沿った前記ペンケース本体の中心線と重なる位置に設けられている、
請求項1に記載のペンケース。
【請求項3】
前記ペンケース本体は、
前記変形部材の長手方向の端部と重なる位置に設けられた操作部を更に有し、
前記操作部は、前記ペンケース本体における前記操作部以外の部分と区別可能に構成されている、
請求項1又は2に記載のペンケース。
【請求項4】
前記ペンケース本体は、内面側に前記変形部材の長手方向に沿って設けられ、文房具を内部に収容可能な複数の収容部を更に有し、
前記操作部は、前記ペンケース本体の長手方向に関する前記収容部の外側に設けられている、
請求項3に記載のペンケース。
【請求項5】
前記ペンケース本体は、前記変形部材と重ならない領域であって前記変形部材の長手方向の辺部と重なる折り返し線を支点に前記ペンケース本体の外面側に折り返すことができる折り返し領域を更に有している、
請求項1から4のいずれか一項に記載のペンケース。
【請求項6】
前記各収容部は、前記ペンケース本体のうち前記折り返し領域とは異なる領域に設けられている、
請求項5に記載のペンケース。
【請求項7】
前記ペンケース本体の長手方向に関する各端部にあって前記ペンケース本体の短手方向の辺に沿って設けられ、折り曲げ可能な柔軟性を有しておりかつ前記ペンケース本体の剛性よりも高い剛性を有する補助部材を更に備えている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のペンケース。
【請求項8】
前記ペンケース本体の長手方向に関する各端部にあって前記ペンケース本体の短手方向の辺に沿って設けられ、折り曲げ可能な柔軟性を有しておりかつ前記ペンケース本体の剛性よりも高い剛性を有する補助部材を更に備え、
前記補助部材は、
前記折り返し線に跨って設けられた第1補助部材と、
前記折り返し線を跨がずに設けられた第2補助部材と、
前記折り返し線を跨がずかつ前記折り返し線に関して前記第2補助部材の反対側に設けられた第3補助部材と、を含んで構成されている、
請求項5又は6に記載のペンケース。
【請求項9】
前記第2補助部材と前記第3補助部材とは直線上に配置されている、
請求項8に記載のペンケース。
【請求項10】
前記第1補助部材と、前記第2補助部材及び前記第3補助部材とは、それぞれ重ねて配置されており、
前記第1補助部材は前記第2補助部材及び前記第3補助部材よりも前記ペンケース本体の内面側に設けられている、
請求項8又は9に記載のペンケース。
【請求項11】
前記第1補助部材は、前記各端部の全長に亘って設けられている、
請求項8から10のいずれか一項に記載のペンケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ペンケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に文房具を収納できる袋状に形成され、ファスナー等によって開閉するペンケースや、蓋部と容器本体とからなり、蓋部と容器本体とをマグネット部材等で開閉可能に係合するペンケース等が知られている。しかし、ファスナーやマグネット部材等によって開閉する場合、ファスナーやマグネット部材等の不具合で使用できなくなることがあった。
【0003】
そのため、ケース本体に収納される収納基布帯及び上下の縁取りテープを備え、上下の巻き取り機構によって縁取りテープを上下いっぺんに巻き取ることによって収納基布帯をケース本体に収納するペンケースが考案されている。巻き取り機構は、例えばカムと回転子とバネとの三層構造となっている。
【0004】
しかし、従来のファスナーやマグネットによって開閉するペンケースの場合も、巻き取り機構によって開閉するペンケースの場合も、ユーザは両手で操作しなければペンケースを迅速に開閉することができず、例えば急いでペンケースを片付けて持ち運びたい時などに不便である。また、巻き取り機構による場合、構造が複雑となり、製造コストがかさんだり、故障しやすくなったりする虞れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、単純な構造で迅速に開閉操作できるペンケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のペンケースは、ペンケース本体と、前記ペンケース本体に設けられ、外力を受けることで、長尺の板状に展開された第1状態と、板状の長手方向を周方向として巻き付けられた第2状態とを、相互に切替可能な変形部材と、を備える。前記ペンケース本体は、前記変形部材が前記第1状態のときに平板状に展開され、前記変形部材が前記第1状態のときに前記変形部材が外力を受けると前記変形部材が前記第2状態になって自動的に筒状に変形する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態によるペンケースの一例の外観を示す正面図
【
図2】一実施形態によるペンケースの一例の外観を示す背面図
【
図3】一実施形態によるペンケースの一例の外シートを取り外して内シートを外側から見た図
【
図4】一実施形態によるペンケースの一例の内シートを取り外して外シートを内側から見た図
【
図5】一実施形態によるペンケースの一例の使用状態を示す正面図(その1)
【
図6】一実施形態によるペンケースの一例の使用状態を示す正面図(その2)
【
図7】一実施形態によるペンケースの一例の使用状態を示す正面図(その3)
【
図8】一実施形態によるペンケースの変形部材の一例の状態変化を示す図(その1)
【
図9】一実施形態によるペンケースの変形部材の一例の状態変化を示す図(その2)
【
図10】一実施形態によるペンケースの変形部材の一例の状態変化を示す図(その3)
【
図11】一実施形態によるペンケースの一例の折り返し領域を折り返した状態を示す正面図
【
図12】一実施形態によるペンケースの一例の操作状態を示す正面図(その1)
【
図13】一実施形態によるペンケースの一例の操作状態を示す正面図(その2)
【
図14】一実施形態によるペンケースの一例の操作状態を示す正面図(その3)
【
図15】一実施形態によるペンケースの一例の折り返し領域を折り返した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態によるペンケースについて、図面を参照して説明する。
まず、
図1を参照して、ペンケース10の概略構成について説明する。
図1に示すように、ペンケース10は、矩形のペンケース本体11内に、複数の収容部12を有して構成されている。以下の説明では、ペンケース本体11の収容部12を有している側を、ペンケース10の内面側とし、収容部12とは反対側を、ペンケース10の外面側とする。また、
図1の紙面における上下方向を、ペンケース10の上下方向とし、
図1の紙面における左右方向を、ペンケース10の左右方向つまり幅方向とする。また、
図1の紙面を貫く方向つまり上下方向と左右方向とに垂直な方向を、ペンケース10の厚み方向とする。
【0010】
本実施形態の場合、ペンケース10に対する上下方向は、
図15に示すようにペンケース10を筒状に丸めて机等に立たせて置く場合のペンケース10の上下方向に一致する。また、ペンケース10は、
図1に示すように展開した状態において全体として
図1紙面の左右方向に長い長方形状に構成されている。そのため、以下の説明では、ペンケース10の上下方向を短手方向又は第1方向と称し、ペンケース10の左右方向を長手方向又は第2方向と称することがある。
【0011】
図1及び
図2に示すように、ペンケース10は、ペンケース本体11を主体として構成されている。ペンケース本体11は、柔軟性のあるシート状の部材で構成されている。ペンケース本体11を構成する部材としては、布材、繊維類を薄く加工したもの、織物に限らず、メリヤス生地やレース、フェルト、不織布、革も含む。繊維類は、天然繊維、再生繊維、合成繊維のいずれかを問わない。ペンケース本体11は、例えばナイロン等の化学繊維や、綿等の天然繊維、天然又は合成皮革等で構成することができる。この場合、ペンケース本体11は、内シート111及び外シート112の少なくとも2枚のシート状の部材を重ねて構成されている。内シート111は、ペンケース本体11の内面側を構成するシート状の部材である。外シート112は、ペンケース本体11の外面側を構成するシート状の部材である。
【0012】
図1、
図5~
図7に示すように、ペンケース本体11は、収容部12と、フラップ部13と、蓋部14と、規制部15と、を有する。収容部12は、ペンケース本体11の内シート111の表面の下端に設けられている。収容部12は、上方が開口したポケット状に形成され、例えばペン等の文房具40等を出し入れ可能に収納する。ペンケース本体11は、ペンケース本体11の幅方向に沿って設けられた複数この場合6つの収容部12を有している。なお、ペンケース10が収容する物は文房具に限らないが、以下では文房具40を収容した場合を例として説明する。
【0013】
本実施形態では、収容部12は、複数この場合5つの第1収容部121と、1つの第2収容部122と、を有する。第1収容部121は、上下方向に細長く形成され、各第1収容部121内部に一つ又は複数のペン等の長尺の文房具40を収容することができる。第1収容部121の上下方向の長さ寸法は、例えば文房具40の長さ方向の半分以上を内部に収容することができる寸法である。各第1収容部121の左右方向の長さ寸法は、同一でも良く、一部または全部が互いに異なっていても良く、例えば内部に一つ以上のペン等の棒状の文房具40を収容することができる寸法である。
【0014】
第2収容部122は、横長の矩形に形成され、ペンケース本体11の幅方向の一端に設けられている。この場合、第2収容部122の上下方向の長さ寸法は、第1収容部121の上下方向の長さ寸法よりも短く設定されている。また、第2収容部122の左右方向の長さ寸法は、第1収容部121の左右方向の長さ寸法よりも長く設定されている。そのため、第2収容部122は、例えば消しゴムやクリップ等の、小型の文房具40を収容した場合に取り出し易い構成となっている。また、第2収容部122には、
図5に示すように、ペン等の長尺の文房具40を複数同時に収容することもできる。
【0015】
フラップ部13は、矩形に形成され、
図5~
図7に示すように、ペンケース本体11の内シート111の表面の上端部から下方に垂れて設けられている。フラップ部13は、ペンケース本体11の上端部を基端に可動に構成されている。つまり、フラップ部13は、ペンケース本体11の上端を基端に上方に折り返すことができる。ユーザは、フラップ部13を操作することによって、フラップ部13を文房具40の奥側つまり文房具40とペンケース本体11との間に配置することもできるし、フラップ部13を文房具40の手前側つまり文房具40に関してペンケース本体11の反対側に配置することもできる。フラップ部13を文房具40の手前側に配置した場合、フラップ部13は、収容部12に収容された文房具40の上部を覆って文房具40が収容部12から脱落しないようにするカバーとしての機能を有する。
【0016】
蓋部14は、内シート111の表面において第2収容部122の上方に回動可能に設けられ、第2収容部122の上方の開口を開閉する。蓋部14は、例えば第2収容部122に収容された消しゴム等の小型の文房具40が、第2収容部122から脱落することを抑制する機能を有する。蓋部14の左右方向の長さ寸法は、第2収容部122の左右方向の長さ寸法よりも短く設定されているため、蓋部14は、第2収容部122の内部に入れ込んで使用することもできる。そのため、蓋部14は、第2収容部122に、第2収容部122の上下方向の長さ寸法よりも長尺の文房具40等を収容することを妨げない。収容部12、フラップ部13、蓋部14は、それぞれ柔軟性のあるシート状の部材で構成されている。収容部12、フラップ部13、蓋部14を構成する部材は、ペンケース本体11を構成する部材と同一でも良いし、別の部材でも良い。
【0017】
規制部15は、柔軟性のある帯状に形成され、内シート111の表面において第2収容部122と蓋部14との上方に設けられている。規制部15は、左右方向の両端をペンケース本体11に固定されている。規制部15の固定された左右の両端以外の部分、つまり左右方向に関する中央部分は、ペンケース本体11に固定されていない。そのため、例えば
図11に示すように、規制部15は、ペン等の文房具40のクリップ部分に挟まれることで、第2収容部122に収容された文房具40の動きを規制することができる。つまり、規制部15は、長尺の文房具40が第2収容部122から脱落することを抑制する機能を有する。また、規制部15には、第2収容部122に収容されていないクリップ等の文房具40を引っ掛けるなどして利用しても良い。
【0018】
ペンケース10は、
図1、
図2及び
図4に破線で示すように、細長い板状に形成された変形部材20を備える。この場合、変形部材20は、左右方向を長手方向とし、上下方向を短手方向とする。変形部材20は、弾性変形可能な部材で構成されている。本実施形態では、変形部材20は、例えばステンレス等の金属製の薄板で構成されている。別の実施形態では、変形部材20は、強度及び展性を有する合成樹脂等で構成されていても良い。この場合、変形部材20は、ペンケース本体11の内面側を構成するシート状の部材と、外面側を構成するシート状の部材との間に挟まれて設けられている。
【0019】
変形部材20の構成を、
図8~
図10を参照してペンケース10から取り外した状態で説明する。変形部材20は、
図8に示すように細長い板状に延びた状態つまり全体として板状に展開された第1状態と、
図10に示すように変形部材20の長手方向を周方向として巻き付けられた状態つまり円筒状に巻回された第2状態との、二つの状態を安定的に取ることができる。変形部材20は、いわば双安定性の構造を有する。変形部材20は、外力を加えることにより第1状態と第2状態とを相互に切替可能となっている。
図9は、変形部材20の第1状態から第2状態への変化の過程である中間状態を示す。この中間状態は物理的に不安定な状態であるため、変形部材20は、第1状態か第2状態化のいずれかの状態になろうとする。
【0020】
変形部材20は、
図8に示すように、第1状態において短手方向に関して湾曲している。この場合、
図8の紙面に対して手前側つまりペンケース10の内面側が凸面となる。つまり、変形部材20のペンケース10の内面側を第1面21とし、ペンケース10の外面側を第2面22とすると、第1状態において第1面21は凸面を形成し、第2面22は凹面を形成している。この湾曲により、変形部材20の第1状態が安定化されている。
【0021】
第1状態の変形部材20に対し、第1面21又は第2面22に垂直な方向の成分を有する外力を加えると、変形部材20は第2状態へと変化する。つまり、変形部材20の湾曲を小さくする方向に外力が働くと、第1状態の安定性が崩れ、変形部材20は長手方向を周方向として回転しつつ収縮し第2状態へと変化する。
【0022】
図10に示す第2状態において、変形部材20の第1面21及び第2面22は、短手方向に関して本質的に湾曲していない。第2状態において、変形部材20は径方向外側に広がる動きを阻害する反発力を有し、バネとして機能する。第2状態の変形部材20に、変形部材20の端部23を径方向外側に引っ張る十分な外力が加わると、バネの反発力に打ち克って変形部材20は再び第1状態に変化することができる。外力によって変形部材20が長手方向に一定の長さ以上延びた状態において、更に第1面側が凸となるように反らせるような外力が変形部材20に加わると、変形部材20の短手方向の湾曲が形成され、変形部材20は第1状態を取ることができる。
【0023】
図1、
図2等に示すように、ペンケース本体11は、保持部16と、操作部17と、を更に備える。保持部16は、ペンケース本体11の上下方向の中央部に、ペンケース本体11の左右方向の全幅に亘って横長の矩形に形成されている。保持部16は、変形部材20を保持する機能を有する。つまり、変形部材20は、ペンケース本体11の上下方向の中央部に保持されている。この場合、ペンケース本体11の中央部とは、ペンケース本体11の上下方向の長さ寸法の中心から当該長さ寸法の5%上下方向に移動した範囲を含む概念である。本実施形態では、ペンケース本体11の上下方向の中心位置と、変形部材20の上下方向の中心位置とは一致している。また、変形部材20は、ペンケース本体11の左右方向の全幅に亘って設けられている。この場合、全幅に亘っているとは、変形部材20の左右方向つまり長手方向の長さ寸法が、ペンケース本体11の左右方向の長さ寸法の90%以上であることを示す。
【0024】
図1、
図2に示すようにペンケース10が展開された状態つまり収容部12が外部に露出している状態である場合、保持部16に保持された変形部材20は、第1状態を取っている。この場合、保持部16は、外シート112の表面に帯状の部材を取り付け、帯状の部材と外シート112との間に変形部材20を保持する構成としても良い。保持部16と外シート112とは、縫い付けても良いし、接着剤等によって接着しても良い。別の実施形態では、保持部16は、内シート111と外シート112との一部を袋状に縫ったり接着剤等で接着したりすることにより内部に変形部材20を保持可能に形成されていてもよい。
【0025】
操作部17は、
図1に示すようにペンケース本体11の内面側つまり内シート111の表面において保持部16の左右方向の両端と重なる位置に設けられている。操作部17は、ペンケース本体11の厚み方向に関して変形部材20の端部23と少なくとも一部が重なる位置に配置されている。操作部17は、ペンケース本体11よりも厚みのあるシート状部材で構成されていても良い。また、操作部17は、ペンケース本体11よりも摩擦係数の大きいシート状部材で構成されていても良い。本実施形態では、操作部17は、保持部16の左右方向の両端にそれぞれ設けられているが、別の実施形態では、操作部17は一方の端部に設けられていても良い。
【0026】
ペンケース本体11は、
図1等に示すように、折り返し領域18を有する。折り返し領域18は、ペンケース本体11の上半部を形成する。折り返し領域18は、保持部16の上端部又はそれよりも上方を下端として、ペンケース本体11の上端部を上端とする。具体的には、折り返し領域18は、保持部16の上端部を下端として、ペンケース本体11の上端部を上端とする。つまり、フラップ部13は、折り返し領域18の上端に固定されている。第1収容部121、第2収容部122、蓋部14、規制部15、保持部16、操作部17は、ペンケース本体11の折り返し領域18以外の部分に位置している。
【0027】
折り返し領域18は、変形部材20の長手方向の辺部を支点すなわち折り返しの基端としてペンケース本体11の外面側に折り返すことができる。この場合、折り返し領域18は、変形部材20の上側の長手方向の辺部を支点にペンケース本体11の外面側に折り返すことができる。換言すると、折り返し領域18は、保持部16の上端付近つまり変形部材20の上端を折り返し線Lとして、ペンケース本体11の外面側に折り返すことができる。折り返し領域18を折り返した折り返し状態において、保持部16、収容部12及び操作部17は、ペンケース本体11の内面側に位置する。つまり、保持部16、各収容部12及び操作部17は、折り返し線Lよりも下方に位置している。折り返し状態において、収容部12に収容された長尺の文房具40は、
図11に示すように折り返し線Lから上部が突出していることがある。
【0028】
更に、ペンケース10は、
図3、4に示すように、複数の補助部材30を備える。複数の補助部材30は、例えば細長い矩形の薄板状に形成され、ペンケース本体11の長手方向に関する各端部に沿って設けられている。なお、補助部材30の形状は薄板状の限らず、別の実施形態では、補助部材30は、例えば円柱状や角柱状であっても良い。
【0029】
補助部材30は、ペンケース本体11の剛性よりも高い剛性を有する。そのため、補助部材30は、ペンケース10の両端部に剛性を付加し、ペンケース本体11の端が反り返ることを抑制する機能を有する。つまり、補助部材30は、ペンケース本体11の端部の形状を保つ機能を有する。
【0030】
また、補助部材30は、折り曲げ可能な柔軟性を有し、そのためユーザが折り返し領域18を折り返すことを妨げない。補助部材30は、例えばポリエチレンなどの剛性と外部からの力を受けて可逆的に折れ曲がる柔軟性とを兼ね備える合成樹脂で構成することができる。また、補助部材30の厚さは、ペンケース本体11の端が反り返ることを抑制しかつユーザが折り返し領域18を折り返すことを妨げない厚みに設定されている。この場合、補助部材30の厚さは、例えば0.05mm~0.4mmの範囲に設定することができる。本実施形態では、補助部材30の厚さは、0.02mmに設定されている。また、補助部材30の幅寸法つまりペンケース本体11の長手方向に関する長さ寸法は、例えば5mm~1.5mmの範囲に設定することができる。本実施形態では、補助部材30の幅寸法は8mmに設定されている。
【0031】
補助部材30は、それぞれ複数個が重なって設けられていても良い。本実施形態では、補助部材30は、それぞれ二重に重なっている。そして、ペンケース10は、補助部材30として、第1補助部材31と、第1補助部材31よりもペンケース本体11の外面側に設けられている第2補助部材32及び第3補助部材33とを備える。
【0032】
第1補助部材31は、折り返し線Lを跨いで設けられている。第1補助部材31は、ペンケース本体11の短手方向つまりこの場合上下方向の全長に亘って設けられている。この場合、上下方向の全長に亘るとは、上下方向の長さ寸法の90%以上であることを意味する。
【0033】
第2補助部材32及び第3補助部材33は、いずれも第1補助部材31よりも長さ寸法が短く、いずれも折り返し線Lを跨がずに設けられている。第2補助部材32と第3補助部材33とは、互いに折り返し線Lの反対側に位置し、ペンケース本体11短手方向つまり上下方向に並んでいる。すなわち第2補助部材32と第3補助部材33とは、折り返し線Lを挟んで一直線状に並んで設けられている。第2補助部材32は、ペンケース本体11の折り返し領域18と重なる位置に設けられている。第3補助部材33は、ペンケース本体11の折り返し領域18以外の部分と重なる位置に設けられている。換言すれば、第2補助部材32は折り返し線Lより上側に設けられている。また、第3補助部材33は折り返し線Lより下側に設けられている。
【0034】
第2補助部材32と第3補助部材33との上下方向の長さ寸法の和は、概ね第1補助部材31の上下方向の長さ寸法に一致する。第2補助部材32は、折り返し領域18の上下方向の長さ寸法の全長に亘って設けられている。第3補助部材33は、ペンケース本体11の折り返し領域18以外の部分の上下方向の長さ寸法の全長に亘って設けられている。この場合、全長に亘っているとは、それぞれ、折り返し領域18の上下方向の長さ寸法又はペンケース本体11の折り返し領域18以外の部分の上下方向の長さ寸法の90%以上であることを意味する。
【0035】
ペンケース本体11の外面側に設けられている第2補助部材32と第3補助部材33との間には隙間Sが形成されている。当該隙間Sは、第2補助部材32と第3補助部材33とが不連続つまり別体に形成されていればごくわずかでもよく、例えば第2補助部材32と第3補助部材33とが接していても良い。第2補助部材32と第3補助部材33との隙間Sは、例えば0.1mm~10mmに設定することができる。例えば、本実施形態において隙間Sは1mmに設定されている。
【0036】
図3、
図4に示すように、補助部材30は、ペンケース本体11の内シート111と外シート112との間に挟まれて設けられている。具体的には、第1補助部材31は、内シート111に取り付けられている。また、第2補助部材32と第3補助部材33とは、外シート112に取り付けられている。本実施形態では、補助部材30は、ペンケース本体11に直接縫い付けられている。他の実施形態では、補助部材30は、ペンケース本体11に例えば接着剤等によって取り付けられていても良い。
【0037】
なお、補助部材30は、第1補助部材31、第2補助部材32、及び第3補助部材33を一体に構成しても良い。すなわち、補助部材30は、例えば隙間S以外の部分を第1補助部材31と第2補助部材32又は第3補助部材33とを合わせた厚みとし、隙間S部分を第1補助部材31のみの厚みとして構成することもできる。
【0038】
続いて、ペンケース10の開閉機構について
図12~
図14も参照しながら説明する。
図12に示すようにペンケース10が展開された状態にある場合つまり変形部材20が第1状態にある場合、ユーザは、操作部17を第1面21に垂直な方向に押すことができる。この場合、垂直な方向に押すとは、ユーザが加える外力が垂直な方向成分を含むことを意味する。操作部17を通して変形部材20の端部23に外力が加わると、変形部材20は、第2状態に変化する。その際、ペンケース10は、
図13に中間状態を示すように、ペンケース本体11の内面側つまり収容部12が配置された側を内側に巻き込んで変形する。
【0039】
変形部材20が第2状態になると、
図14に示すように、ペンケース本体11は上下方向を軸方向とした筒状となる。そして、収容部12を含むペンケース本体11の内面側は、内側に巻き込まれて外側に露出しない。この筒状の状態を、ペンケース10が閉じた状態と称する。ペンケース10が閉じた状態にある場合、変形部材20のバネの反発力により、一定以上の外力がない状態では、ペンケース10は開かずに閉じた状態に保持される。また、その場合、収容部12の内部の文房具40は変形部材20のバネの反発力によって保持される。
【0040】
ペンケース10が閉じた状態にある場合、ユーザは、操作部17またはその付近に、変形部材20のバネの反発力に打ち克つだけの外力を径方向外側方向に加えることで、再びペンケース10が展開された状態に変化させることができる。その際、ユーザは、ペンケース本体11が左右方向に一定の長さ以上に延びた状態つまり変形部材20が長手方向に一定の長さ以上に延びた状態において、例えば左右の操作部17を両手で持ってペンケース本体11の内面側が凸となるようにペンケース本体11を反らせても良い。そうすることで、ユーザは、変形部材20を第1状態に安定化させペンケース10が展開された状態つまりペンケース10が開いた状態を安定的に維持することができる。
【0041】
ユーザは、
図11に示す折り返し状態においても操作部17を操作することができる。折り返し状態において操作部17に変形部材20の第1面21に垂直な方向に外力が加えられると、ペンケース10は、
図15に示すように、折り返し領域18が折り返されたまま、筒状に変形する。この場合、収容部12に収容された長尺の文房具40は、折り返し線Lつまり筒状の上端から突出していることがある。
図15に示す折り返し状態の筒状の半径は、
図14に示す折り返し領域18を折り返していない場合の閉じた状態よりも、折り返し領域18の厚み分だけ大きくなる。また、
図15に示す折り返し状態の筒状の上下方向の長さ寸法は、
図14に示す折り返し領域18を折り返していない場合の閉じた状態よりも、折り返し領域18の上下方向の長さ寸法だけ小さくなる。そのため、ペンケース10は、折り返し状態で閉じた場合、鉛直方向に立てた場合にも自立しやすくなり、ペンスタンドとして利用することができる。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、ペンケース10は、ペンケース本体11と、変形部材20と、を備える。変形部材20は、ペンケース本体11に設けられており、外力を受けることで、長尺の板状に展開された第1状態と、板状の長手方向を周方向として円柱状に巻き付けられた第2状態とを、相互に切替可能に構成されている。ペンケース本体11は、変形部材20が第1状態のときに平板状に展開される。また、ペンケース本体11は、変形部材20が第1状態のときに変形部材20が外力を受けると変形部材20が第2状態になって、自動的に筒状に変形する。
【0043】
これによれば、ペンケース本体11が平板状に展開されたつまりペンケース10が展開された状態において、ユーザは、変形部材20を押すという単純な一つの動作でペンケース10を閉じた状態にすることができる。すなわち、これによれば、ユーザは、簡単な操作でペンケース10を筒状に畳んで丸めることができる。また、ペンケース10はカムや回転子などを必要とせず、単純な構造である。そのため、単純な構造で迅速に開閉操作できるペンケースを提供することができる。
【0044】
また、ペンケース本体11は、展開された状態で一方向に長い形状に形成されている。変形部材20は、ペンケース本体11の短手方向の中心を通りかつ長手方向に沿ったペンケース本体11の中心線と重なる位置に設けられている。
【0045】
これによれば、ペンケース10は、上下にそれぞれ巻取のための部材を設けなくても、ペンケース本体11の短手方向の中心に変形部材20を設けることで、自動で筒状に変形可能である。したがって、簡単な構成で、自動で巻き取られ筒状態となるペンケース10を提供することができる。
【0046】
また、ペンケース本体11は、変形部材20の長手方向の端部23と重なる位置に設けられた操作部17を備える。操作部17は、ペンケース本体11における操作部17以外の部分と区別可能に構成されている。
【0047】
これによれば、操作部17は、変形部材20の端部23と重なる位置つまりペンケース本体11の左右方向の端部に位置するため、ユーザにとってアクセスしやすく操作性が向上する。また、ペンケース10が閉じる過程において手指が挟まれたり巻き込まれたりする可能性が少ない。更にまた、操作部17は、ペンケース本体11の操作部17以外の部分と区別可能に構成されているため、ユーザにとって一層視認性がよく、操作性が向上する。
【0048】
更にまた、ペンケース本体11は、内面側に変形部材20の長手方向に沿って設けられ、文房具40を内部に収容可能な複数の収容部12を備える。操作部17は、ペンケース本体11の長手方向に関する収容部12の外側に設けられている。
【0049】
これによれば、収容部12は、変形部材20の長手方向つまりペンケース本体11が平板状から筒状となる場合の回転方向に沿って複数設けられている。すなわち、収容部12に収容された長尺の文房具40の長手方向は、変形部材20の短手方向つまり回転の軸方向と平行な方向に指向することになる。そのため、ペンケース10を閉じて筒状にする際や、筒状から平板状にする際に、収容部12に収容した文房具40同士は引っ掛かりにくくなり、スムーズな開閉操作が行える。また、操作部17は、収容部12よりも外側に設けられているため、ユーザにとってアクセスしやすく操作性が向上するとともに、ユーザが収容部12に文房具40を収容する際に、誤って操作部17を押してしまうことがない。また、仮に収容部12と操作部17とが重なっている場合、操作部17と重なる収容部12に文房具40が収容されていると、ユーザは操作部17を操作し辛くなる。それに対し本実施形態では、収容部12と操作部17とは重なっていないため、収容部12に収容された文房具40によってユーザの操作が阻害されにくい。
【0050】
更に、ペンケース本体11は、変形部材20と重ならない領域であって変形部材20の長手方向の辺部と重なる折り返し線Lを支点にペンケース本体11の外面側に折り返すことができる折り返し領域18を更に有している。
【0051】
これによれば、ペンケース本体11は一部を外面側に折り返すことができるためコンパクトになり、机の上に広げて使用する際に省スペースとなる。また、折り返し領域18を外面側に折り返す際の支点となる折り返し線Lは、変形部材20の長手方向の辺部に一致する。そのため、ユーザは、折り返し線Lを視覚的に認識しやすい。更にまた、ペンケース本体11と変形部材20とは、別の部材からなるため、折り返し線Lを体感的にも認識しやすい。すなわち、変形部材20は、シート状部材からなるペンケース本体11よりも硬質であるため、ユーザにとって、折り返し線Lは手応えとしても認識しやすい。
【0052】
更にまた、折り返し領域18は変形部材20と重ならない領域であるため、折り返し領域18を折り返した状態において、変形部材20は折り返し領域18よりもペンケース本体11の内面側すなわち
図11における紙面手前側に位置する。つまり、折り返し領域18を折り返さない状態と折り返し領域18を折り返した状態とで、変形部材20の第1面21が対向する向きは同一である。そのため、折り返し領域18を折り返さない状態と折り返し領域18を折り返した状態とで、変形部材20の第2状態の回転方向は変わらない。すなわち、折り返し状態においても、変形部材20は、ペンケース10がペンケース本体11の内面側つまり収容部12の設けられた側を内側にして筒状となるように、第2状態となる。そのため、
図15に示すように折り返し状態でペンケース10を閉じて筒状にすれば、ペンケース10が鉛直方向に自立してペンスタンドとしても利用できるため、更に省スペースとなる。
【0053】
仮に、収容部12が折り返し領域18に設けられている場合、折り返し状態では収容部12の上下方向が反転するため、収容部12の開口が下方に位置することとなる。そのため、特に閉じた状態でペンスタンドとして使用する場合に文房具40が収容部12から脱落しやすくなる。
【0054】
これに対し、各収容部12は、ペンケース本体11のうち折り返し領域18とは異なる領域に設けられている。これによれば、折り返し状態においても収容部12はペンケース10の内面側に位置する。そのため、折り返し状態であってペンケース本体11が展開された状態つまり平板状の状態においては、収容部12全て内面側にあるためユーザの一覧性と使用性がよくなる。更に、各収容部12は、折り返し領域18を折り返した状態においてもその上下方向が反転しないため、収容部12の開口は上方に位置し、ペンケース本体11を閉じた状態でペンスタンドとして使用した場合にも文房具40が脱落し難くなる。
【0055】
ここで、ペンケース本体11は、柔軟性のあるシート状の部材によって構成されているため、左右方向の端部が反り返ってしまったり折れ曲がってしまったりする可能性がある。そして、ペンケース本体11の左右方向の端部が反り返ったり折れ曲がったりすると、その反り返ったり折れ曲がったりしたペンケース本体11の端部によって変形部材20の変形が阻害される。その結果、ペンケース本体11は、例えば
図12に示す平板状に展開された状態から
図14に示す筒状に巻回された状態に切り替わり難くなる。
【0056】
これに対し、ペンケース10は、補助部材30を更に備える。補助部材30は、ペンケース本体11の長手方向に関する各端部にあってペンケース本体11の短手方向の辺に沿って設けられている。また、補助部材30は、折り曲げ可能な柔軟性を有しておりかつペンケース本体11の剛性よりも高い剛性を有している。
【0057】
これによれば、折れ曲がりやすいペンケース本体11の左右の各端部に補助部材30が設けられることで、ペンケース本体11に剛性が付加される。そのため、ペンケース本体11の左右の各端部が折れ曲がったり反り返ったりしてしまうことを抑制することができる。更に、補助部材30は、折り曲げ可能な柔軟性を有するため、ユーザがペンケース本体11の折り返し領域18を折り返す際にも妨げになりにくい。
【0058】
また、補助部材30は、ペンケース本体11の長手方向に関する各端部にあってペンケース本体11の短手方向の辺に沿って設けられている。補助部材30は、折り曲げ可能な柔軟性を有しておりかつペンケース本体11よりも高い剛性を有している。補助部材30は、第1補助部材31と、第2補助部材32と第3補助部材33と、を含んで構成されている。第1補助部材31は、折り返し線Lに跨って設けられている。第2補助部材32と第33とは、いずれも折り返し線Lに跨らずに設けられている。第3補助部材33は、折り返し線Lに関して第2補助部材32の反対側に設けられている。
【0059】
これによれば、補助部材30のうち一部つまり第1補助部材31は折り返し線Lに跨って設けられているため、折り返し領域18を折り返さずに使用する際に、折り返し線Lで折れ曲がってしまうことを抑制することができる。一方、補助部材30のうち一部つまり第2補助部材32と第3補助部材33とは折り返し線Lを跨がずに設けられているため、ユーザが折り返し領域18を折り返す際に更に抵抗となりにくい。なお、補助部材30は薄板状に形成されているため、ペンケース10の外観に影響を及ぼしにくく、ユーザが折り返し領域18を折り返す際に抵抗となりにくい。
【0060】
更に、第2補助部材32と第3補助部材33とは、一直線上に配置されている。つまり、第2補助部材32と第3補助部材33とは、折り返し線Lを挟んでペンケース本体11の短手方向この場合上下方向に一直線上に配置されている。
【0061】
これによれば、第2補助部材32と第3補助部材33とが一直線上ではなくばらばらに配置されている場合と比較して、ペンケース本体11の補助部材30の配置部分と重なる部分を直線状に限定することができる。そのため、ペンケース10の外観に与える影響を更に抑制することができる。
【0062】
更に、第1補助部材31と、第2補助部材32及び第3補助部材33とは、それぞれ重ねて配置されている。第1補助部材31は、第2補助部材32及び第3補助部材33よりもペンケース本体11の内面側に設けられている。つまり、第1補助部材31は、内シート111側に設けられており、第2補助部材32と第3補助部材33とは外シート112側に設けられている。
【0063】
これによれば、補助部材30は二重に設けられているため、同一部材を重ねずに使用する場合に比較して、より曲がり剛性を付加することができ、ペンケース本体11の左右の両端部が折れ曲がったり反り返ったりしてしまうことを一層抑制することができる。また、折り返し領域18を折り返す際に、ペンケース本体11の内面側よりも外面側の方が曲率半径が小さくなる。そのため、ペンケース本体11の内面側よりも外面側の方が折り返し線Lの部位に大きな曲げ応力が発生する。本実施形態では、折り返し線Lに跨って設けられている第1補助部材31をペンケース本体11の内面側に設け、ペンケース本体11の外面側に設けられた第2補助部材32と第3補助部材33とはいずれも折り返し線Lに跨っていない。そのため、より一層ユーザが折り返し領域18を折り返す際に妨げとなりにくい。
【0064】
更に、第1補助部材31は、ペンケース本体11の長手方向この場合左右方向の各端部の全長に亘って設けられている。これによれば、ペンケース本体11の左右方向の各端部において上端から下端までが第1補助部材31によりまっすぐに伸長され、反り返ることが抑制される。
【0065】
上記の実施形態では、ペンケース本体11は、長手方向を左右方向とする長方形に形成されているが、左右方向の長さ寸法と上下方向との長さ寸法とが概ね等しい正方形に形成されていても良い。また、ペンケース本体11は、長手方向を上下方向とする長方形に形成されていても良い。つまり、ペンケース本体11の長手方向と、変形部材20の長手方向とが必ずしも一致していなくともよい。その場合であっても、上述の効果が奏される。
【0066】
更に、上記の実施形態では、ペンケース本体11に1つの変形部材20が設けられているが、変形部材20の個数は2つ以上でも構わない。その場合、変形部材20が第2状態になるときに発生するバネの力が1つの場合よりも強くなる。そのため、ペンケース本体11のサイズが大きい場合や、ペンケース本体11に収容する文房具40が太かったり重かったりする場合であっても、ペンケース本体11はスムーズに筒状に変形することができ、筒状に変形した後は、文房具40を確実に保持することができる。
【0067】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10…ペンケース、11…ペンケース本体、12…収容部、13…フラップ部、14…蓋部、15…規制部、16…保持部、17…操作部、18…折り返し領域、20…変形部材、21…第1面、22…第2面、23…端部、30…補助部材、31…第1補助部材、32…第2補助部材、33…第3補助部材、40…文房具
【手続補正書】
【提出日】2021-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンケース本体と、
前記ペンケース本体に設けられ、外力を受けることで、長尺の板状に展開された第1状態と、板状の長手方向を周方向として円柱状に巻き付けられた第2状態とを、相互に切替可能な変形部材と、を備え、
前記ペンケース本体は、前記変形部材と重ならない領域であって前記変形部材の長手方向の辺部と重なる折り返し線を支点に前記ペンケース本体の外面側に折り返すことができる折り返し領域を有しており、
前記ペンケース本体は、前記変形部材が前記第1状態のときに平板状に展開され、前記変形部材が前記第1状態のときに前記変形部材が外力を受けると前記変形部材が前記第2状態になって自動的に筒状に変形し、
前記ペンケース本体は、内部に文房具を保持したまま、前記折り返し領域を折り返した状態で前記第1状態から前記第2状態へと、又は前記第2状態から前記第1状態へと変化可能である、
ペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項2】
前記ペンケース本体は、展開された状態で一方向に長い形状に形成されており、
前記変形部材は、前記ペンケース本体の短手方向の中心を通りかつ長手方向に沿った前記ペンケース本体の中心線と重なる位置に設けられている、
請求項1に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項3】
前記ペンケース本体は、
前記変形部材の長手方向の端部と重なる位置に設けられた操作部を更に有し、
前記操作部は、前記ペンケース本体における前記操作部以外の部分と区別可能に構成されている、
請求項1又は2に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項4】
前記ペンケース本体は、内面側に前記変形部材の長手方向に沿って設けられ、文房具を内部に収容可能な複数の収容部を更に有し、
前記操作部は、前記ペンケース本体の長手方向に関する前記収容部の外側に設けられている、
請求項3に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項5】
前記各収容部は、前記ペンケース本体のうち前記折り返し領域とは異なる領域に設けられている、
請求項4に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項6】
前記ペンケース本体の長手方向に関する各端部にあって前記ペンケース本体の短手方向の辺に沿って設けられ、折り曲げ可能な柔軟性を有しておりかつ前記ペンケース本体の剛性よりも高い剛性を有する補助部材を更に備えている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項7】
前記ペンケース本体の長手方向に関する各端部にあって前記ペンケース本体の短手方向の辺に沿って設けられ、折り曲げ可能な柔軟性を有しておりかつ前記ペンケース本体の剛性よりも高い剛性を有する補助部材を更に備え、
前記補助部材は、
前記折り返し線に跨って設けられた第1補助部材と、
前記折り返し線を跨がずに設けられた第2補助部材と、
前記折り返し線を跨がずかつ前記折り返し線に関して前記第2補助部材の反対側に設けられた第3補助部材と、を含んで構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項8】
前記第2補助部材と前記第3補助部材とは直線上に配置されている、
請求項7に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項9】
前記第1補助部材と、前記第2補助部材及び前記第3補助部材とは、それぞれ重ねて配置されており、
前記第1補助部材は前記第2補助部材及び前記第3補助部材よりも前記ペンケース本体の内面側に設けられている、
請求項7又は8に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【請求項10】
前記第1補助部材は、前記各端部の全長に亘って設けられている、
請求項8又は9に記載のペンスタンド兼用ペンケース。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
実施形態のペンスタンド兼用ペンケースは、ペンケース本体と、前記ペンケース本体に設けられ、外力を受けることで、長尺の板状に展開された第1状態と、板状の長手方向を周方向として巻き付けられた第2状態とを、相互に切替可能な変形部材と、を備える。前記ペンケース本体は、前記変形部材と重ならない領域であって前記変形部材の長手方向の辺部と重なる折り返し線を支点に前記ペンケース本体の外面側に折り返すことができる折り返し領域を有している。前記ペンケース本体は、前記変形部材が前記第1状態のときに平板状に展開され、前記変形部材が前記第1状態のときに前記変形部材が外力を受けると前記変形部材が前記第2状態になって自動的に筒状に変形する。前記ペンケース本体は、内部に文房具を保持したまま、前記折り返し領域を折り返した状態で前記第1状態から前記第2状態へと、又は前記第2状態から前記第1状態へと変化可能である。