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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023502
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ベッドパッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20220201BHJP
   A47G 9/02 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
A47C27/00 Z
A47G9/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126486
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】501052476
【氏名又は名称】株式会社ライフジャパン
(71)【出願人】
【識別番号】390000262
【氏名又は名称】田村駒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】増本 龍男
(72)【発明者】
【氏名】山本 一正
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AB08
3B102BA00
(57)【要約】
【課題】ベッドパッド本体に対して着脱可能な防水シートが、使用時に捲れにくく、また、皺が寄ることを防止又は抑制することができるベッドパッドを提供することである。
【解決手段】ベッド又はマットレス1に取り付けて使用されるベッドパッド2であって、ベッドパッド本体3と、ベッドパッド本体3の全長よりも短い防水シート4を有し、防水シート4の、ベッドパッド本体3に対する相対移動を阻止する滑り止め部材23a、23bを有し、滑り止め部材23a、23bは、防水シート4における、ベッドパッド本体3の長手方向と一致する方向の端部である頭部側端辺部21aと脚部側端辺部21bの少なくとも一方に設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド又はマットレスに取り付けて使用されるベッドパッドであって、
ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッド本体と、
前記ベッドパッド本体の全長よりも短い防水シートを有し、
前記防水シートは、前記ベッドパッド本体に対して着脱が可能であり、
前記防水シートの、前記ベッドパッド本体に対する相対移動を阻止する移動阻止手段を有し、
前記防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の少なくとも一方の端部に、前記移動阻止手段が設けられていることを特徴とするベッドパッド。
【請求項2】
前記移動阻止手段が、前記防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の両側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベッドパッド。
【請求項3】
前記移動阻止手段は、滑り止め機能を有する部材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベッドパッド。
【請求項4】
前記ベッドパッド本体に対して、前記防水シートを、ベッドパッド本体の長手方向の複数の位置で着脱可能に固定する固定手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベッドパッド。
【請求項5】
前記移動阻止手段は、柔軟に変形可能な係合片と、当該係合片と係合する受け部を有し、
前記係合片が、防水シートに設けられており、
前記受け部が、ベッドパッド本体の裏面に設けられており、
前記ベッドパッド本体における受け部近傍の部位に、表裏を貫通する孔又はスリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベッドパッド。
【請求項6】
ベッド又はマットレスに取り付けて使用されるベッドパッドであって、
ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッド本体と、
前記ベッドパッド本体の全長よりも短い防水シートを有し、
前記防水シートは、前記ベッドパッド本体に対して着脱が可能であり、
前記防水シートの、前記ベッドパッド本体に対する相対移動を阻止する移動阻止手段を有し、
前記移動阻止手段は、柔軟に変形可能な係合片と、当該係合片と係合する受け部と、滑り止め機能を有する滑り止め部材を有し、
前記防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の少なくとも一方の端部に、少なくとも前記係合片と滑り止め部材のいずれかが設けられており、
前記受け部が、ベッドパッド本体の裏面に設けられており、
前記ベッドパッド本体における受け部近傍の部位に、表裏を貫通する孔又はスリットが設けられていることを特徴とするベッドパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッドに関するものであり、特に防水機能を有するベッドパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、ベッド又はマットレスは、ベッドパッドを取り付けて使用される。すなわち、ベッド又はマットレスにベッドパッドを取り付けていれば、ベッド又はマットレスが汚れることがなく、仮にベッドパッドが汚れた際には、ベッドパットだけを洗浄すれば済む。
【0003】
ベッドパッドは、タオル地やパイル地等の肌触りの良好な生地で構成されているのが好ましいが、ベッドパッドがタオル地やパイル地で構成されていると、使用者が失禁した際には、尿がベッドパットからベッド又はマットレスまで浸透してしまうため、ベッドパッドのみならず、ベッド又はマットレスまで洗浄する必要がある。
【0004】
そこで、ベッドパッドに防水機能を持たせることが考えられる。ベッドパッドに防水機能を持たせると、尿がベッド又はマットレスまで浸透しないため、ベッドパッドのみを取り替え、ベッド又はマットレスは引き続き使用することができる。
【0005】
ところで、ベッドパッドに防水機能を持たせるためには、ベッドパッドを積層構造とし、下面側又は内部に防水シートを配置し、使用者に触れる上面側にタオル地やパイル地等の肌触りの良好な素材を配置することが考えられる。このようにベッドパッドを構成すると、良好な肌触りと、防水機能を兼ね備えることができる。このようなベッドパッドが、特許文献1及び特許文献2に開示されている。しかし、このようなベッドパッドでは、使用者が失禁した場合に、ベッドパッドそのものを交換する必要があり、複数のベッドパッドをスペアとして常備しておく必要がある。
【0006】
特許文献3には、ベッドパッドの開示はないが、マットレスの一部を防水シートで覆う構成が開示されている。すなわち、特許文献3を参考にして、タオル地やパイル地等の肌触りの良好なベッドパッド本体に対して、防水シートを着脱可能に取り付けることが考えられる。
防水シートは、ベッドパッドの全長に渡って設ける必要はなく、使用者が失禁した際に、ベッド又はマットレス等が濡れないようにすることができればよい。具体的には、肌触りの良くない防水シートは、使用者の腰部を載置する辺りに配置されていればよく、使用者の頭部を載置する部位に配置する必要はない。特許文献3には、マットレスよりも短い防水シートを、マットレスに対して着脱可能に取り付けることができる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3226087号公報
【特許文献2】特開2000-217670号公報
【特許文献3】特開2017-140098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献3に開示されているような従来の構成では、防水シートは、マットレスの長手方向の両側(使用者の頭部配置側と脚部配置側)の部位は固定されておらず、マットレスの短手方向の両側で固定されている。これは、仮に長手方向の両側の部位を固定すると、当該部位が盛り上がって、横臥した使用者の体に当たり、使用者が違和感、又は不快感を覚えてしまうのを避けるためであると考えられる。
【0009】
しかし、マットレス使用者は、就寝時、全く動かないわけではなく、通常は度々体位を変更するものである。そのため、使用者の体位変更に伴って防水シートに力が掛かり、防水シートは捲れたり、皺が寄り易い。その結果、使用者は捲れたり皺ができた防水シートの上で横臥することになり、不快感を覚えてしまうことになる。
【0010】
そこで本発明は、着脱可能な防水シートを有するベッドパッドであって、防水シートが捲れにくいベッドパッドを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ベッド又はマットレスに取り付けて使用されるベッドパッドであって、ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッド本体と、前記ベッドパッド本体の全長よりも短い防水シートを有し、前記防水シートは、前記ベッドパッド本体に対して着脱が可能であり、前記防水シートの、前記ベッドパッド本体に対する相対移動を阻止する移動阻止手段を有し、前記防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の少なくとも一方の端部に、前記移動阻止手段が設けられていることを特徴とするベッドパッドである。
【0012】
請求項1に記載の発明では、ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッド本体と、ベッドパッド本体の全長よりも短い防水シートを有し、防水シートは、ベッドパッド本体に対して着脱が可能であるので、ベッドパッド本体に対して防水シートを着脱して交換することができる。すなわち、防水シートが汚れた際には、防水シートのみを取り替え、ベッドパッド本体は引き続き使用することができる。
防水シートの、ベッドパッド本体に対する相対移動を阻止する移動阻止手段を有し、防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の少なくとも一方の端部に、移動阻止手段が設けられているので、防水シートにおける移動阻止手段が設けられた部位が捲れたり、皺が寄る事態が生じることを防止又は抑制することができる。そのため、使用者は、捲れや皺による不快感を覚えることがなく、快適に横臥することができる。
ここで、「ベッドパッド本体の全長」とは、ベッド又はマットレスに取り付けたベッドパッド上に横臥した使用者の頭部を載置する側の端部から、脚部を載置する側の端部に至る全体の長さを意味しており、実質的に、ベッドパッドを取り付けるベッド又はマットレスの長手方向の長さである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記移動阻止手段が、前記防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の両側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベッドパッドである。
【0014】
請求項2に記載の発明では、移動阻止手段が、防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の両側の端部に設けられているので、防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向のいずれ側の端部も捲れたり皺が寄ることを防止又は抑制することができる。そのため、使用者は、快適に横臥することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記移動阻止手段は、滑り止め機能を有する部材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベッドパッドである。
【0016】
請求項3に記載の発明では、移動阻止手段は、滑り止め機能を有する部材で構成されているので、防水シートがベッドパッド本体に対して滑りにくい。また、防水シートにおけるベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の端部をベッドパッド本体に固定する必要がなく、ベッドパッド本体に対する防水シートの設置が容易である。
使用者が横臥すると、防水シート上に使用者の体が載るため、防水シートはベッドパッドに押し付けられ、防水シートとベッドパッド本体の間に作用する摩擦力が増大し、防水シートがベッドパッドに対して位置ずれしにくい。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記ベッドパッド本体に対して、前記防水シートを、ベッドパッド本体の長手方向の複数の位置で着脱可能に固定する固定手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベッドパッドである。
【0018】
請求項4に記載の発明では、ベッドパッド本体に対して、防水シートを、ベッドパッド本体の長手方向の複数の位置で着脱可能に固定する固定手段を有するので、ベッドパッド本体上における防水シートの位置が確実に固定される。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記移動阻止手段は、柔軟に変形可能な係合片と、当該係合片と係合する受け部を有し、前記係合片が、防水シートに設けられており、前記受け部が、ベッドパッド本体の裏面に設けられており、前記ベッドパッド本体における受け部近傍の部位に、表裏を貫通する孔又はスリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベッドパッドである。
【0020】
請求項5に記載の発明では、移動阻止手段は、柔軟に変形可能な係合片と、当該係合片と係合する受け部を有し、係合片が、防水シートに設けられており、受け部が、ベッドパッド本体の裏面に設けられており、ベッドパッド本体における受け部近傍の部位に、表裏を貫通する孔又はスリットが設けられているので、係合片がベッドパッド本体の孔又はスリットに挿通されて、受け部に係合することができる。
受け部は、ベッドパッド本体の裏面に設けられているため、横臥した使用者の体に触れることがない。そのため、使用者は違和感を覚えることがなく、快適に横臥することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、ベッド又はマットレスに取り付けて使用されるベッドパッドであって、ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッド本体と、前記ベッドパッド本体の全長よりも短い防水シートを有し、前記防水シートは、前記ベッドパッド本体に対して着脱が可能であり、前記防水シートの、前記ベッドパッド本体に対する相対移動を阻止する移動阻止手段を有し、前記移動阻止手段は、柔軟に変形可能な係合片と、当該係合片と係合する受け部と、滑り止め機能を有する滑り止め部材を有し、前記防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の少なくとも一方の端部に、少なくとも前記係合片と滑り止め部材のいずれかが設けられており、前記受け部が、ベッドパッド本体の裏面に設けられており、前記ベッドパッド本体における受け部近傍の部位に、表裏を貫通する孔又はスリットが設けられていることを特徴とするベッドパッドである。
【0022】
請求項6に記載の発明では、ベッド又はマットレスに取り付けられるベッドパッド本体と、ベッドパッド本体の全長よりも短い防水シートを有し、防水シートは、ベッドパッド本体に対して着脱が可能であるので、ベッドパッド本体に対して防水シートを着脱して交換することができる。すなわち、防水シートが汚れた際には、防水シートのみを取り替え、ベッドパッド本体は引き続き使用することができる。
防水シートの、ベッドパッド本体に対する相対移動を阻止する移動阻止手段を有するので、防水シートにおける移動阻止手段が設けられた部位が捲れたり、皺が寄る事態が生じることを防止又は抑制することができる。そのため、使用者は、捲れや皺による不快感を覚えることがなく、快適に横臥することができる。
移動阻止手段は、柔軟に変形可能な係合片と、当該係合片と係合する受け部と、滑り止め機能を有する滑り止め部材を有し、防水シートにおける、ベッドパッド本体の長手方向と一致する方向の少なくとも一方の端部に、少なくとも係合片と滑り止め部材のいずれかが設けられており、受け部が、ベッドパッド本体の裏面に設けられており、ベッドパッド本体における受け部近傍の部位に、表裏を貫通する孔又はスリットが設けられているので、柔軟な係合部が変形してベッドパッド本体の孔又はスリットに挿通し、さらに受け部と係合することができる。これにより、ベッドパッド本体に対して防水シートが固定される。すなわち、使用者が体位を変更することによって、防水シートに負荷が掛かっても、防水シートが捲れたり、皺が寄ることが防止又は抑制される。
また、受け部が、ベッドパッドの裏面に設けられているため、横臥した使用者の体に受け部が触れることがない。そのため、使用者は違和感を覚えることがなく、快適に横臥することができる。
さらに、滑り止め部材が設けられた部位では、ベッドパッド本体に対して防水シートが滑ることが防止又は抑制される。よって、防水シートが捲れたり、皺が寄ることが防止又は抑制される。
【発明の効果】
【0023】
本発明のベッドパッドによると、ベッドパッド本体に対して着脱可能な防水シートが、使用時に捲れにくく、また、皺が寄ることを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は、本発明の実施形態に係るベッドパッドを取り付けた状態のマットレスの斜視図であり、(b)は、(a)において、防水シートの取り付け位置を変更した状態のマットレスの斜視図である。
図2】マットレスからベッドパッドを外し、さらにベッドパッドを分解した状態を示す斜視図である。
図3図2のマットレスと分解したベッドパッドを、下方側から視た斜視図である。
図4】(a)は、ベッドパッド本体に防水シートが取り付けられる直前の状態を示す部分拡大断面図であり、(b)は、(a)において、ベッドパッド本体に防水シートが取り付けられた状態を示す部分拡大断面図である。
図5】(a)は、図1(a)のベッドパッドを裏面側から視た斜視図であり、(b)は、(a)の状態から、ベッドパッド本体に対する防水シートの取り付け位置を変更した状態を示すベッドパッドの裏面側から視た斜視図である。
図6】マットレス、及び、別の実施形態に係るベッドパッドを、下方側から見た分解斜視図である。
図7】マットレス、及び、さらに別の実施形態に係るベッドパッドを、下方側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら説明する。
各図において、説明の都合上、実際の大きさよりも誇張して描写している部位もある。
図1(a)に示すように、本実施形態に係るベッドパッド2は、マットレス1に取り付けて使用される。図1(a)、図1(b)に示すように、ベッドパッド2は、シート状のベッドパッド本体3と防水シート4を有する。
【0026】
ベッドパッド本体3は、タオル地やパイル地等の肌触りのよい生地で構成されている。ベッドパッド本体3及び防水シート4は、実際には薄く柔軟な生地又は素材で形成されているが、各図では、描写の簡略化や、理解の容易化を図るために、若干厚みのある平板のように描写している。
【0027】
ベッドパッド本体3は、長辺部7a、7bと、短辺部8a、8bを有する長方形形状を呈している。また、ベッドパッド本体3は、マットレス1と同等の面積を有し、マットレス1の上面1a(図2)の全領域を覆うことができる。ベッドパッド本体3の短辺部8a側は、使用者(マットレス1に横臥する者)の頭部を載置する頭部載置側端辺部を構成している。また、短辺部8b側は、使用者の脚部を載置する脚部載置側端辺部を構成している。
【0028】
ベッドパッド本体3の下面側の四隅には、マットレス装着部材6a~6dが設けられている。マットレス装着部材6a~6dは、帯状のゴム材(伸縮する素材)で構成されており、両端がそれぞれ隣接する二つの辺部(例えば、長辺部7aと短辺部8b)に斜めに掛け渡すように固定されている。
【0029】
図1(a)に示すように、マットレス1の四隅の角部分にマットレス装着部材6a~6dを係合させることにより、ベッドパッド本体3(ベッドパッド2)をマットレス1に取り付けることができる。すなわち、ベッドパッド本体3(ベッドパッド2)は、マットレス装着部材6a~6dを有することにより、マットレス1に対して容易に着脱することができる。
【0030】
図2に示すように、ベッドパッド本体3の上面3a側における、長辺部7aの近傍であって、長辺部7aの中央よりも短辺部8a側に偏った位置に、スナップボタンのメス部9aが設けられている。また、メス部9aよりも短辺部8b側に所定の間隔(例えば、5~20cm程度)を置いて同様のスナップボタンのメス部9bが設けられている。
【0031】
さらに、長辺部7aの近傍であって、長辺部7aの中央よりも短辺部8b側に偏った位置には、スナップボタンのメス部10a、10bが設けられている。すなわち、本実施形態では、四つのメス部9a、9b、10a、10bが、長辺部7aに沿って設けられている。また、メス部9aとメス部10aの間隔は、メス部9bとメス部10bの間隔と同じである。
【0032】
一方、長辺部7aの反対側の長辺部7bにも、同様のスナップボタンのメス部11a、11b、12a、12bが設けられている。短辺部8aからメス部11a、11b、12a、12bまでの距離は、それぞれ短辺部8aからメス部9a、9b、10a、10bまでの距離と同じである。また、メス部11aとメス部12aの間隔は、メス部11bとメス部12bの間隔と同じである。
【0033】
図3に示す符号9a、9b、10a、10b、11a、11b、12a、12bは、それぞれ当該符号のメス部の下面側の部位を示している。
【0034】
図2図3に示すように、ベッドパッド本体3の短手方向(短辺部8a、8bがのびる方向)の中央の領域に、短辺部8a側から順にスリット14a、14b、15a、15bが設けられている。すなわち、スリット14a、14b、15a、15bは、ベッドパッド本体3における短辺部8a、8bの中心を通る仮想線上に一列に並ぶように設けられている。
【0035】
短辺部8aから各スリット14a、14b、15a、15bまでの距離は、それぞれ短辺部8aからメス部9a、9b、10a、10bまでの距離と同等である。各スリット14a、14b、15a、15bは、ベッドパッド本体3の表裏を貫通している。
【0036】
さらに、ベッドパッド本体3の下面3bには、図3に示すように、受け部材19a、19b、20a、20b(受け部)が設けられている。受け部材19a、19b、20a、20bは、中心部分が生地に縫い付けられて固定されるボタン(例えば、四つ孔ボタン、二つ孔ボタン等)のような部材で構成することができる。
【0037】
すなわち、受け部材19aは、図4(a)に示すように、小径の接続部13aと、大径の張出部13bを有する。接続部13aに後述の係合片24(係合環24a(図3))が係合すると、係合片24は、不用意に受け部材19aから外れることはない。受け部材19bと係合片24の係合や、受け部材20a、20bと係合片25の係合も同様である。
【0038】
図3に示すように、受け部材19a、19b(受け部)は、スリット14a、14bの近傍の部位であって、スリット14a、14bよりも短辺部8a側の位置に設けられている。また、受け部材20a、20b(受け部)は、スリット15a、15bの近傍の部位であって、スリット15a、15bよりも短辺部8b側の位置に設けられている。
【0039】
さらに、短辺部8a(縁部分)には、枕拘束ひも16a、16bが設けられている。枕拘束ひも16a、16bには、枕5が締結される。すなわち、枕5には、枕拘束ひも16a、16bが締結される締結部5a、5bが設けられている。
【0040】
次に、ベッドパッド2の防水シート4について説明する。
図2に示すように、防水シート4は、ベッドパッド本体3と共に、ベッドパッド2を構成するものである。
【0041】
防水シート4は、ビニール等の防水機能を有する柔軟な素材で構成されている。また、防水シート4は、頭部側端辺部21a、脚部側端辺部21b、幅方向端辺部22a、22bを有する四角形形状のシートである。
【0042】
頭部側端辺部21aと脚部側端辺部21bの長さは、ベッドパッド本体3の短辺部8a、8bと同等の長さであるが、幅方向端辺部22a、22bの長さは、ベッドパッド本体3の長辺部7a、7b長さよりも短い。すなわち、防水シート4の全長は、ベッドパッド本体3の全長よりも短い。また、防水シート4の面積は、ベッドパッド本体3の面積よりも小さい。換言すると、防水シート4は、ベッドパッド本体3の一部の領域のみを覆うことができる。
【0043】
図3に示すように、防水シート4における頭部側端辺部21a付近の下面には、滑り止め機能を有する滑り止め部材23a(移動阻止手段)が設けられている。同様に、防水シート4における脚部側端辺部21b付近の下面には、滑り止め部材23b(移動阻止手段)が設けられている。すなわち、滑り止め部材23a、23bは、ベッドパッド本体3の長手方向と一致する方向の防水シート4の両側の端部に設けられている。滑り止め部材23a、23bは、帯状であって、摩擦係数が大きい部材である。滑り止め部材23a、23bは、例えば表面に網目状の突起または突条を有するなど、接した相手方との間に生じる摩擦力(滑り止め機能)を増大させる周知の部材である。
【0044】
すなわち、防水シート4をベッドパッド本体3に取り付けた際、防水シート4における、マットレス1及びベッドパッド本体3の長手方向の両側の部位(頭部側端辺部21a、脚部側端辺部21b)がベッドパッド本体3に密着する。
【0045】
また、防水シート4の下面の四隅の位置には、図2に示すように、スナップボタンのオス部17a、17b、18a、18b(固定手段)が設けられている。
【0046】
オス部17a、17bの間隔は、ベッドパッド本体3側のメス部9a、10aの間隔、及びメス部9b、10bの間隔と一致している。同様に、オス部18a、18bの間隔は、ベッドパッド本体3側のメス部11a、12aの間隔、及びメス部11b、12bの間隔と一致している。
【0047】
さらに、オス部17a、18aの間隔は、ベッドパッド本体3側のメス部9a、11a、及びメス部9b、11bの間隔と一致している。同様に、オス部17b、18bの間隔は、ベッドパッド本体3側のメス部10a、12a、及びメス部10b、12bの間隔と一致している。
【0048】
また、防水シート4の下面における頭部側端辺部21aには、係合片24が設けられている。係合片24は、紐状の部材の両端が頭部側端辺部21aに取り付けられたものであり、係合片24が環状に取り巻いて係合環24aを構成している。
【0049】
同様に、防水シート4の下面における脚部側端辺部21bには、係合片25が設けられている。係合片25は、紐状の部材の両端が脚部側端辺部21bに取り付けられたものであり、係合片25が環状に取り巻いて係合環25aを構成している。
【0050】
次に、ベッドパッド2の使用方法について説明する。
ベッドパッド2は、ベッドパッド本体3のマットレス装着部材6a~6d(図3)を、マットレス1の四隅に係合させて、図1に示すようにマットレス1に取り付けられる。
【0051】
図2図3に示すベッドパッド本体3のメス部9a、10a、11a、12aに、防水シート4のオス部17a、17b、18a、18bを係合させる。すなわち、スナップボタン(固定手段)を締結する。そして、図5(a)に示すように、防水シート4の係合片24、25を、それぞれベッドパッド本体3のスリット14a、15aに挿通させ、さらに係合片24、25の係合環24a、25aを、それぞれ受け部材19a、20aに係合させる。
【0052】
具体的には、図4(a)に示す防水シート4の柔軟に変形可能な係合片24が、スリット14aを挿通し、図4(b)に示すように、係合片24(係合環24a(図5(a)))が、ベッドパッド本体3の下面3b側の受け部材19a(受け部)の接続部13a(くびれた部位)に係合する。
【0053】
本実施形態においては、受け部材19a、20a(受け部)と係合片24、25が係合することによって、ベッドパッド本体3に対する防水シート4における頭部側端辺部21aと脚部側端辺部21bの相対移動が抑制又は阻止されている。
【0054】
受け部材19a、20aは、ベッドパッド本体3の下面側に設けられているため、使用者がマットレス1上に横臥した際に、受け部材19a、20aが直に使用者に接触することがない。すなわち、受け部材19a、20aの突出が、ベッドパッド本体3の生地の厚みによって吸収されるため、使用者は、受け部材19a、20aの突出が気にならず、快適にマットレス1上で横臥することができる。また、係合片24、25は、柔軟に変形可能な素材で形成されているので、使用者と接触しても、使用者は違和感を覚えることがない。
【0055】
さらに、このとき、防水シート4の滑り止め部材23a、23bが、ベッドパッド本体3の上面3aに密着する。図4(b)では、係合片24が受け部材19aに係合し、さらに滑り止め部材23aがベッドパッド本体3の上面に密着している状態を示している。
【0056】
すなわち、滑り止め部材23a、23bが、ベッドパッド本体3に密着しており、防水シート4の頭部側端辺部21a及び脚部側端辺部21bと、ベッドパッド本体3の上面3aとの間に大きな摩擦力が生じ、ベッドパッド本体3に対する防水シート4の摺動する動作(位置ずれ)が制限されている。すなわち、防水シート4における頭部側端辺部21aと脚部側端辺部21b(ベッドパッド本体3の長手方向と一致する方向の端部)が、捲れたり、皺が寄ることを抑制又は防止することができる。
【0057】
ベッドパッド本体3側のメス部9a、10a、11a、12aに、防水シート4側のオス部17a、17b、18a、18bを結合させることにより、図1(a)、図5(a)に示すように、防水シート4は、短辺部8a側の位置に取り付けられている。
【0058】
ここで、ベッドパッド本体3側のメス部9b、10b、11b、12bに、防水シート4側のオス部17a、17b、18a、18bを結合させることもできる。このようにすると、防水シート4は、図1(b)、図5(b)に示すように、ベッドパッド本体3に対して短辺部8b側に位置をずらして取り付けることができる。
【0059】
逆に、図2に示すスナップボタンのメス部9b、10b、11b、12bをなくし、ベッドパッド本体3に対する防水シート4の固定位置を一つにしてもよい。この場合には、対応する受け部材19b、スリット14b、受け部材20b、スリット15bも省略することができる。
【0060】
すなわち、ベッドパッド本体3に対する防水シート4の取り付け位置は、変更可能である。本実施形態では、ベッドパッド本体3に対する防水シート4の取り付け位置は、図1(a)及び図5(a)と、図1(b)及び図5(b)に示す二つのみであるが、スナップボタンの取り付け位置をさらに増やし、ベッドパッド本体3の長手方向におけるさらに別の位置に防水シート4を取り付けるようにすることもできる。具体的には、ベッドパッド本体3の長手方向の三箇所以上の複数の位置で防水シート4を固定することも可能である。そのため、身長が相違する使用者に対応して、防水シート4の取り付け位置を適宜設定することができる。
【0061】
また、ベッドパッド本体3と防水シート4の固定手段として、スナップボタン(メス部9a、10a、11a、12aとオス部17a、17b、18a、18b等)を例示したが、代わりに面ファスナーを使用することもできる。すなわち、固定手段として面ファスナーを採用することもできる。両者を固定する固定手段として面ファスナーを採用すると、ベッドパッド本体3に対する防水シート4の取り付け位置は、ベッドパッド本体3の長手方向の任意の位置とすることができる。このように、防水シート4は、ベッドパッド本体3に対して、確実に固定することができる。
【0062】
また、本実施形態では、受け部材19a、20aと係合片24、25による係合機構と、滑り止め部材23a、23bによる滑り止め機構の二種類の移動阻止手段(防水シート4の頭部側端辺部21a及び/又は脚部側端辺部21bが、ベッドパッド本体3の上面3aに密着して、両者の相対移動を抑制する手段)を併用する場合について説明した。
【0063】
ここで、移動阻止手段は、防水シート4の頭部側端辺部21a側(受け部材19aと係合片24、滑り止め部材23a)と脚部側端辺部21b側(受け部材19aと係合片24、滑り止め部材23b)のいずれか一方のみに設けてもよい。また、設ける移動阻止手段は、受け部材19a、20aと係合片24、25による係合機構のみとしたり、滑り止め部材23a、23bの滑り止め機構のみとすることもできる。
【0064】
具体的には、図6に示すように、移動阻止手段は、頭部側端辺部21a付近に、滑り止め部材23aを設けるだけにしてもよい。すなわち、防水シート4上に使用者が横臥すると、防水シート4がベッドパッド本体3に押し付けられ、防水シート4とベッドパッド本体3の間に作用する摩擦力が増大し、防水シート4がベッドパッド本体3に対して位置ずれしにくい。また、移動阻止手段を滑り止め部材23aのみで構成すると、ベッドパッド本体3に対する防水シート4の設置が簡便になる。
【0065】
ベッドパッド2では、防水シート4は、ベッドパッド本体3と同程度の幅を有しているが、防水シート4の幅(頭部側端辺部21a、脚部側端辺部21bの長さ)を、ベッドパッド本体3の幅(短辺部8a、8bの長さ)よりも大きくしてもよい。すなわち、防水シート4の幅方向の両端部分が、マットレス1の短手方向の両側から垂れ下がるようにしても差し支えない。
【0066】
設ける移動阻止手段を、滑り止め機構のみとする場合の変形例について、図7を参照しながらさらに説明する。
図7に示す防水シート4は、下面に滑り止め部材26(移動阻止手段)を備えている。滑り止め部材26は、防水シート4の頭部側端辺部21aの近傍から、脚部側端辺部21bの近傍に至るまで、防水シート4の下面の略全面の領域に渡って拡がっている。滑り止め部材26も、滑り止め部材23aと同様の素材で形成されている。滑り止め部材26は、滑り止め部材23aとは面積(大きさ)のみが相違している。
【0067】
従来は、使用者の違和感を払拭することができなかったため、防水シート4の頭部側端辺部21a及び/又は脚部側端辺部21bをベッドパッド本体3に相対移動を抑制するように構成することができなかった。しかし、本発明によると、これが可能であり、そのため、使用者が姿勢変更(寝返り)等しても、防水シート4が捲れたり、皺が寄ることを抑制又は防止することができる。その結果、使用者は、快適にマットレス1に横臥することができる。また、必要に応じて、防水シート4をスペアと交換することもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 マットレス
2 ベッドパッド
3 ベッドパッド本体
4 防水シート
9a、10a、11a、12a 一組のスナップボタンのメス部(固定手段)
9b、10b、11b、12b 別の一組のスナップボタンのメス部(固定手段)
14a、14b、15a、15b スリット
17a、17b、18a、18b スナップボタンのオス部(固定手段)
23a、23b、26 滑り止め部材(移動阻止手段;滑り止め機能を有する部材)
24、25 柔軟に変形可能な係合片
19a、19b、20a、20b 受け部材(受け部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7