(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023521
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】ガラス物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 29/02 20060101AFI20220201BHJP
C03B 11/00 20060101ALI20220201BHJP
C03B 32/02 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
C03B29/02
C03B11/00 J
C03B32/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126516
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】広橋 研一
(72)【発明者】
【氏名】寺西 妥夫
(72)【発明者】
【氏名】木下 稔
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕次
(72)【発明者】
【氏名】大石 幸博
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015DA01
4G015DA05
4G015EA02
(57)【要約】
【課題】プレス成形体の平滑化工程後の外観不良の発生を抑えることのできるガラス物品の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス物品の製造方法は、ガラスをプレス成形して得られたプレス成形体12の外面を、火炎噴射口FAを有するバーナー13を用いて加熱することで平滑化する平滑化工程を備える。ガラス物品の製造方法は、平滑化工程の完了後、火炎噴射口FAから噴射する火炎をプレス成形体12に到達させない火炎不到達工程を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスをプレス成形して得られたプレス成形体の外面を、火炎噴射口を有するバーナーを用いて加熱することで平滑化する平滑化工程を備えるガラス物品の製造方法であって、
前記平滑化工程の完了後、前記火炎噴射口から噴射する火炎を前記プレス成形体に到達させない火炎不到達工程を備える、ガラス物品の製造方法。
【請求項2】
前記火炎不到達工程が、気体噴射口から前記火炎噴射口と前記プレス成形体との間の火炎に向けて気体を噴射する気体噴射工程である、請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項3】
前記気体噴射口は、カーテン状に気体を噴射する、請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項4】
前記気体噴射口は、前記プレス成形体よりも前記火炎噴射口に近い位置に前記気体を噴射する、請求項2又は請求項3に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項5】
前記火炎不到達工程が、前記火炎噴射口と前記プレス成形体との間に遮断部材を挿入する遮断部材挿入工程である、請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項6】
前記プレス成形体の形状は、底部と前記底部に設けられる周壁部とを備える容器形状であり、前記平滑化工程では、前記バーナーを用いて前記周壁部の外周面を加熱する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
【請求項7】
前記平滑化工程の後に前記プレス成形体を焼成して結晶化させる結晶化工程を備える、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のガラス物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、ガラスをプレス成形して得られたプレス成形体の外面を加熱することで平滑化する平滑化工程を備えるガラス物品の製造方法が知られている。このような平滑化工程において、プレス成形体の外面の加熱には、バーナーが好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなプレス成形体の外面を加熱する平滑化工程により、外面がマット調のプレス成形体が得られる場合があった。このようなマット調の外面を有するガラス物品は、外観不良と判定されるため、ガラス物品の歩留まりを低下させる一因となっていた。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、平滑化工程後のプレス成形体における外観不良の発生を抑えることのできるガラス物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するガラス物品の製造方法は、ガラスをプレス成形して得られたプレス成形体の外面を、火炎噴射口を有するバーナーを用いて加熱することで平滑化する平滑化工程を備えるガラス物品の製造方法であって、前記平滑化工程の完了後、前記火炎噴射口から噴射する火炎を前記プレス成形体に到達させない火炎不到達工程を備える。
【0007】
プレス成形体の外面の平滑化工程の完了時にバーナーの燃料供給を停止しても、火炎噴射口に残存した燃料による火炎が直ちに消火せずに、不安定な状態の火炎になった後に消火する場合がある。本発明は、平滑化工程を完了した後に、完全に消火する前の不安定な状態の火炎がプレス成形体の外面に接触することにより、プレス成形体の外面がマット調になることを突き止め、なされたものである。上記方法では、平滑化工程の完了後、火炎噴射口から噴射する火炎をプレス成形体に到達させない火炎不到達工程を備えているため、バーナーの燃料供給停止後に生じる不安定な状態の火炎がプレス成形体に接触することによる外観不良を抑えることができる。
【0008】
上記ガラス物品の製造方法において、前記火炎不到達工程が、気体噴射口から前記火炎噴射口と前記プレス成形体との間の火炎に向けて気体を噴射する気体噴射工程であることが好ましい。この方法によれば、バーナーの燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体との接触を、気体噴射口からの気体の噴射によって容易に回避させることができる。
【0009】
上記ガラス物品の製造方法において、前記気体噴射口は、カーテン状に気体を噴射することが好ましい。この方法によれば、火炎噴射口とプレス成形体との間の火炎に対して気体をカーテン状に噴射することで、バーナーの燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体との接触をより広範囲で抑えることができる。
【0010】
上記ガラス物品の製造方法において、前記気体噴射口は、前記プレス成形体よりも前記火炎噴射口に近い位置に前記気体を噴射することが好ましい。この方法によれば、気体噴射口から噴射される気体によりプレス成形体が急激に冷却されることにより、プレス成形体が破損することを抑えることができる。
【0011】
上記ガラス物品の製造方法において、前記火炎不到達工程が、前記火炎噴射口と前記プレス成形体との間に遮断部材を挿入する遮断部材挿入工程であることが好ましい。この方法によれば、バーナーの燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体との接触を遮断部材によって容易に回避させることができる。前記遮断部材は、二つの主面を有する板状体であり、少なくとも1つの前記主面が火炎の噴射方向に対し略垂直になるように、前記火炎噴射口と前記プレス成形体との間に遮断部材を挿入することがより好ましい。
【0012】
上記ガラス物品の製造方法において、前記プレス成形体の形状は、底部と前記底部に設けられる周壁部とを備える容器形状であり、前記平滑化工程では、前記バーナーを用いて前記周壁部の外周面を加熱することが好ましい。このように、例えば、容器形状のガラス物品の外観不良の発生を抑えることができる。
【0013】
上記ガラス物品の製造方法において、前記平滑化工程の後に前記プレス成形体を焼成して結晶化させる結晶化工程を備えることが好ましい。この方法によれば、結晶化ガラスからなるガラス物品の外観不良の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、平滑化工程後のプレス成形体における外観不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態におけるガラス物品を示す斜視図である。
【
図2】ガラス物品の製造方法を説明する模式平面図である。
【
図3】ガラス物品の製造方法を説明する模式正面図である。
【
図4】ガラス物品の製造方法を説明する模式平面図である。
【
図5】ガラス物品の製造方法を説明する模式正面図である。
【
図6】ガラス物品の製造方法の変更例を説明する模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、ガラス物品の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0017】
図1に示すように、ガラス物品11の一例は、耐熱ガラスから形成される鍋であり、底部11aと、底部11aに設けられる周壁部11bとを備えた容器形状を有している。周壁部11bは、上端から外方に突出するフランジ部を有している。フランジ部の一部は、例えば、鍋の取っ手として構成することができる。
【0018】
耐熱ガラスとしては、30~750℃における平均線熱膨張係数が-10~+30×10-7/℃程度の低膨張性の結晶化ガラス(例えば、日本電気硝子株式会社製、商品名:ネオセラムN-0)が用いられている。耐熱ガラスの組成は、質量%で、SiO2:55~75%、Al2O3:20.5~27%、Li2O:2%以上、TiO2:1.5~3%、TiO2+ZrO2:3.8~5%、SnO2:0.1~0.5%を含むことが好ましい。
【0019】
図2~
図5に示すように、ガラス物品11の製造方法は、ガラスをプレス成形して得られたプレス成形体12の外面を、加熱することで平滑化する平滑化工程を備えている。プレス成形体12は、図示を省略したプレス用金型を用いて、結晶性ガラスからなるガラスゴブをプレス成形するプレス成形工程により得ることができる。プレス成形体12は、ガラス物品11と同様に底部12a及び周壁部12bを備える容器形状を有している。容器形状のプレス成形体12の内面は、プレス成形体12をプレス用金型から取り出す前に、図示を省略したバーナーを用いて加熱することで平滑化することが好ましい。
【0020】
図2及び
図3に示すように、ガラス物品11の製造方法における平滑化工程は、プレス成形体12の外面を、火炎噴射口FAを有するバーナー13を用いて加熱することで平滑化する平滑化工程を備えている。本実施形態の平滑化工程は、プレス成形体12の周壁部12bの外周面を平滑化する工程であり、バーナー13を用いてプレス成形体12の周壁部12bの外周面を加熱することで軟化させる。これにより、プレス成形体12の周壁部12bの外周面は、平滑性を有する火造り面となる。
【0021】
平滑化工程では、プレス成形体12の周壁部12bを全周にわたって平滑化することが好ましい。例えば、プレス成形体12と、プレス成形体12の周壁部12bの外方に配置されたバーナー13の火炎噴射口FAとを相対移動させることで、プレス成形体12の周壁部12bを全周にわたって平滑化することができる。本実施形態では、プレス成形体12の底部12aを回転台14上に固定するとともに、プレス成形体12から所定の距離となるように火炎噴射口FAを配置している。すなわち、回転台14を用いてプレス成形体12を回転させることで、プレス成形体12の周壁部12bの全周にわたって火炎FBを噴射している。
【0022】
バーナー13は、一例として、プレス成形体12の周壁部12bを主に加熱する第1バーナー13aと、プレス成形体12の周壁部12bの上端部分を主に加熱する第2バーナー13bとを備えている。第1バーナー13aの火炎噴射口FAは、第2バーナー13bの火炎噴射口FAよりも下側に配置される。第1バーナー13aの火炎噴射口FAは、上下方向に沿って配列された複数の火炎噴射口FAから構成されている。第2バーナー13bの火炎噴射口FAは、水平方向に沿って配列された複数の火炎噴射口FAから構成されている。
【0023】
ガラス物品11の製造方法における平滑化工程は、例えば、プレス成形体12を1回転以上の所定の回数で回転させた後に、完了する。
ここで、平滑化工程の完了後にバーナー13の燃料供給を停止しても、火炎噴射口FAから噴射している火炎FBが直ちに消火せずに、不安定な状態の火炎FBになった後に消火する場合がある。このように平滑化工程の完了後に、完全に消火する前の不安定な状態の火炎FBがプレス成形体12の外面に接触すると、プレス成形体12の外面がマット調になり易い。
【0024】
図4及び
図5に示すように、本実施形態のガラス物品11の製造方法では、平滑化工程完了後に、気体噴射口GAからバーナー13の火炎噴射口FAとプレス成形体12との間の火炎FBに気体GBを噴射する気体噴射工程を備えている。すなわち、平滑化工程完了後に、火炎噴射口FAから噴射する火炎FBをプレス成形体12の外面から強制的に離間させる(火炎FBがプレス成形体12に到達しない)。このようにガラス物品11の製造方法では、平滑化工程の完了後、すなわちバーナー13の燃料供給停止後、火炎噴射口FAから噴射する火炎をプレス成形体12に到達させない火炎不到達工程を備えている。本実施形態では、バーナー13の火炎噴射口FAとプレス成形体12との間の火炎FBに気体GBを噴射することで、火炎FBをプレス成形体12に向かう方向とは異なる方向に曲げることができる。この火炎不到達工程により、バーナー13の燃料供給停止後に生じる不安定な火炎が、プレス成形体12に到達せず接触することがないため、プレス成形体12の外面がマット状になることなく、外観不良を抑制することができる。
【0025】
気体噴射口GAは、気体噴射装置15の一部であり、気体噴射装置15は、気体噴射口GAを有するノズルと、図示を省略した気体供給部と、気体供給部と気体噴射口GAとを接続する配管を備えている。気体噴射口GAを有するノズルは、耐熱性の観点から金属製であることが好ましい。気体噴射装置15の気体噴射口GAから噴射する気体GBとしては、例えば、空気、二酸化炭素、窒素等が挙げられる。
【0026】
本実施形態の気体噴射口GAは、プレス成形体12よりも火炎噴射口FAに近い位置に気体GBを噴射する。また、気体噴射口GAは、バーナー13の火炎噴射口FAから噴射される火炎FBの側方から火炎FBが噴射される方向と交差する方向に気体GBを噴射するように配置されている。気体噴射口GAは、火炎噴射口FAから火炎FBが噴射される方向と直交するように気体GBを噴射するように配置されることがより好ましい。
【0027】
また、本実施形態の気体噴射口GAは、カーテン状に気体GBを噴射する。例えば、複数の気体噴射口GAを、列をなすように配置することで、カーテン状に気体GBを噴射させることができる。本実施形態の気体噴射装置15は、プレス成形体12の周壁部12bの高さ方向に沿って配列される複数の気体噴射口GAを有している。
【0028】
ガラス物品11の製造方法における平滑化工程及び火炎不到達工程が完了した後、プレス成形体12を焼成することにより、結晶性ガラスを結晶化させる結晶化工程が行われる。これにより、結晶化ガラスからなるガラス物品11を得ることができる。
【0029】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ガラス物品11の製造方法では、平滑化工程の完了後、火炎噴射口FAから噴射する火炎をプレス成形体12に到達させない火炎不到達工程を備えている。この方法によれば、バーナー13の燃料供給停止後に生じる不安定な状態の火炎がプレス成形体12に接触することによる外観不良を抑えることができる。すなわち、平滑化工程後のプレス成形体12における外観不良の発生を抑えることができる。これにより、ガラス物品11の歩留まりを向上することが可能となる。
【0030】
(2)本実施形態のガラス物品11の製造方法では、火炎不到達工程が、気体噴射口GAからバーナー13の火炎噴射口FAとプレス成形体12との間の火炎FBに向けて気体GBを噴射する気体噴射工程である。この場合、バーナー13の燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体12との接触を、気体噴射口GAからの気体GBの噴射によって容易に回避させることができる。
【0031】
(3)気体噴射口GAは、火炎噴射口FAとプレス成形体12との間の火炎FBに対して気体GBをカーテン状に噴射することで、バーナー13の燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体12との接触をより広範囲で抑えることができる。従って、比較的広範囲に火炎FBを噴射するバーナー13を用いる場合であっても、平滑化工程後のプレス成形体12における外観不良の発生を好適に抑えることができる。
【0032】
(4)ガラス物品11の製造方法において、気体噴射口GAは、プレス成形体12よりも火炎噴射口FAに近い位置に気体GBを噴射している。この場合、気体噴射口GAから噴射される気体GBによりプレス成形体12が急激に冷却されることを抑えることができる。従って、上述した平滑化工程の完了後に、プレス成形体12の急冷を要因とした破損を抑えることができる。
【0033】
(5)プレス成形体12の形状は、底部12aと底部12aに設けられる周壁部12bとを有する容器形状であり、平滑化工程では、バーナー13を用いてプレス成形体12の周壁部12bの外周面を加熱している。このように、例えば、容器形状のガラス物品11の外観不良の発生を抑えることができる。
【0034】
(6)プレス成形体12の外面がマット調になると、そのプレス成形体12を焼成して結晶化させる結晶化工程により得られるガラス物品11についても外観不良になるおそれがある。このような結晶化工程により得られるガラス物品11について、上記平滑化工程後の火炎不到達工程を行ったプレス成形体12を用いることで、外観不良の発生を抑えることができる。
【0035】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
・ガラス物品11の製造方法において、気体噴射口GAは、プレス成形体12よりも火炎噴射口FAに近い位置に気体GBを噴射するが、火炎噴射口FA及びプレス成形体12のいずれに対しても距離が同じとなる位置や、火炎噴射口FAよりもプレス成形体12に近い位置に気体GBを噴射してもよい。
【0037】
・
図6に示すように、気体噴射装置15の気体噴射口GAをバーナー13の火炎噴射口FAから噴射される火炎FBの下方から気体GBを噴射するように配置してもよい。また、図示を省略するが、気体噴射装置15の気体噴射口GAをバーナー13の火炎噴射口FAから噴射される火炎FBの上方から気体GBを噴射するように配置してもよい。
【0038】
・ガラス物品11の製造方法において、気体噴射口GAは、カーテン状に気体GBを噴射するものに限定されず、他の形状に気体を噴射するものであってもよい。
・平滑化工程の完了後、火炎噴射口FAから噴射する火炎をプレス成形体12に到達させない火炎不到達工程としては、上記実施形態のような気体噴射工程以外に、例えば、火炎噴射口FAとプレス成形体12との間に遮断部材を挿入する遮蔽部材挿入工程であってもよい。この工程であっても、バーナー13の燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体12との接触を遮断部材によって容易に回避させることができる。遮断部材の材料としては、例えば、金属、セラミックス等が挙げられる。但し、例えば、平滑化工程を行うプレス成形体12の周囲のスペースを確保するという観点から、上記実施形態のような気体噴射工程であることが好ましい。
【0039】
・平滑化工程の完了後、火炎噴射口FAから噴射する火炎をプレス成形体12に到達させない火炎不到達工程は、バーナー13の火炎噴射口FAの向きを変更する火炎方向変更工程であってもよい。この工程では、バーナー13の火炎噴射口FAの向きをプレス成形体12に火炎を到達させない向きに変更し、バーナー13の燃料供給を停止する。この方法であっても、バーナー13の燃料供給停止後に生じる不安定な火炎と、プレス成形体12との接触を回避させることができる。但し、例えば、プレス成形体12と、バーナー13の火炎噴射口FAとの相対位置の設定の煩雑化を回避するという観点から、火炎不到達工程としては、上記実施形態のような気体噴射工程であることが好ましい。
【0040】
・上記平滑化工程では、プレス成形体12を回転させているが、プレス成形体12を回転させずに、バーナー13を回転させてもよい。また、プレス成形体12の周壁部12bを取り囲むようにバーナー13を配置することで、プレス成形体12及びバーナー13を回転させずに平滑化工程を行うこともできる。
【0041】
・平滑化工程で用いるバーナー13の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。また、プレス成形体12に対するバーナー13の火炎噴射口FAの位置についても、プレス成形体12の外面のうち、平滑化が必要な部分に向けて火炎FBが噴射されるように配置すればよい。例えば、平滑化工程は、プレス成形体12の底部12aの外面を平滑化する工程であってもよい。
【0042】
・ガラス物品11を構成するガラスとしては、結晶化ガラスに限定されず、例えばホウケイ酸ガラス等であってもよい。なお、結晶化ガラス以外のガラスを用いる場合、プレス成形体12を結晶化する結晶化工程は省略される。
【0043】
・上記ガラス物品11の底部11aや周壁部11bの形状は、適宜変更することができる。容器形状を有するガラス物品11は、蓋を備えていてもよい。また、容器形状を有するガラス物品11は、鍋以外の調理器具、食器、食料品用収容容器、食料品用途以外の用途に用いるものであってもよい。
【0044】
・ガラス物品11の形状は、容器形状に限定されない。すなわち、ガラス物品11の製造方法は、容器形状以外の形状のプレス成形体における平滑化工程に適用することもできる。
【符号の説明】
【0045】
11…ガラス物品
12…プレス成形体
12a…底部
12b…周壁部
13…バーナー
FA…火炎噴射口
FB…火炎
GA…気体噴射口
GB…気体