(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023545
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】医療施設の外来アシスタントシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20220201BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126550
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】520277977
【氏名又は名称】布目 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】布目 勝也
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA02
(57)【要約】
【課題】医療施設または予約センターなどの労力的および金銭的負担を軽減することができ、高齢者にとっても利用しやすい医療施設の外来アシスタントシステムを提供する。
【解決手段】電話通話による診療予約の申し込みを受け付ける電話用フロントエンド部を有するCTIシステムと、通信端末にインストールされたアプリケーションによる診療予約を行うWeb予約システムと、少なくとも前記アプリケーションによる診療予約を行うクライアントの情報を、前記アプリケーションにより自己の診療予約のみを行う予約登録者と、前記アプリケーションにより自己および他人の診療予約を行うオペレータ登録者と、に分類して記憶する顧客管理サーバと、を有し、前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記顧客管理サーバが記憶する情報に含まれる前記オペレータ登録者の電話通話回線の一つに、接続する医療施設の外来アシスタントシステム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話通話による診療予約の申し込みを受け付ける電話用フロントエンド部を有するCTIシステムと、
通信端末にインストールされたアプリケーションによる診療予約を行うWeb予約システムと、
少なくとも前記アプリケーションによる診療予約を行うクライアントの情報を、前記アプリケーションにより自己の診療予約のみを行う予約登録者と、前記アプリケーションにより自己および他人の診療予約を行うオペレータ登録者と、に分類して記憶する顧客管理サーバと、を有し、
前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記顧客管理サーバが記憶する情報に含まれる前記オペレータ登録者の電話通話回線の一つに、接続する医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項2】
前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記オペレータ登録者のうち1の前記通信端末に対して接続し、
前記Web予約システムは、前記アプリケーションを介して前記オペレータ登録者のうち1の前記通信端末に対してデータ通信するデータ通信部を有するアプリケーションサーバを有し、
前記電話通話回線による通話と、前記データ通信部によるデータ通信とを、前記オペレータ登録者のうち1の前記通信端末に対して、同時に成立させる請求項1に記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項3】
前記Web予約システムは、前記アプリケーションを介して、チャット形式でクライアントとコミュニケーションするチャットボット部を有する請求項1または請求項2に記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項4】
前記Web予約システムは、予約完了後から予約時刻前において、前記アプリケーションを介して前記通信端末に対して通信し、前記チャットボット部を使ったチャット形式で、診療予約に関する事前情報の入力を支援する請求項3に記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項5】
前記顧客管理サーバは、前記Web予約システムによって予約可能な医療施設の予約状況に関する情報を記憶する予約状況記憶部を有する請求項1から請求項4までのいずれかに記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項6】
前記Web予約システムは、前記アプリケーションによる診療予約に関する予約情報を、該当する医療施設に設置されている施設側サーバに送信する施設側フロントエンド部を有する請求項1から請求項5までのいずれかに記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項7】
前記施設側フロントエンド部は、前記アプリケーションによる予約情報を、予約情報に係るクライアントが指定する薬局の薬局側サーバに送信する請求項6に記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項8】
前記顧客管理サーバは、前記オペレータ登録者による他人の診療予約の実績に関する情報である登録者スコア情報を記憶する登録者情報記憶部を有し、
前記登録者スコア情報には、前記オペレータ登録者が他人の診療予約をした医療施設からのフィードバック情報が含まれる請求項1から請求項7までのいずれかに記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項9】
前記Web予約システムは、前記アプリケーションを介して、予約時刻前後において、予約情報に係るクライアントの前記通信端末に対して通信し、予約情報に係るクライアントが予約した医療施設を訪れたことを認識し、該当する医療施設に設置されている施設側サーバに送信する請求項1から請求項8までのいずれかに記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項10】
前記Web予約システムは、前記通信端末に係るクライアントが、診療予約に関する事前情報を入力済みか否かを、前記施設側サーバに送信する請求項9に記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【請求項11】
前記Web予約システムにより診療予約可能な医療施設に設置されており、前記Web予約システムから前記アプリケーションによる予約情報を受信する施設側サーバを有し、
前記施設側サーバは、外来患者の本人確認証に備えられるICチップを読み取り可能な読み取り部を有し、
前記施設側サーバは、前記読み取り部から読み取った情報と、前記予約情報とを照合し、前記外来患者の予約の有無を判別する請求項1から請求項10までのいずれかに記載の医療施設の外来アシスタントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設の外来アシスタントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療施設の予約は、患者が病院や予約センターなどへ電話して行うことが一般的である。しかしながら、医療施設側が電話予約に対応するためには、その電話を受け取り予約リストに記入または入力するオペレータが必要となるため、医療施設の金銭的、労力的な負担が大きくなる問題がある。
【0003】
近年では、患者のスマートフォンなどの通信端末を用いて、インターネット経由で医療施設の予約ができるシステムが提案されており、インターネット経由の予約と電話予約を併用するシステムも提案されている(特許文献1等参照)。インターネット経由の予約であれば、電話対応のようなオペレータは不要になるか、少なくともオペレータの負担を軽減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インターネット経由の予約と、電話予約を併用する従来の予約システムでは、全体の予約件数における電話予約の割合が多く、医療施設または予約センターなどの負担を軽減することが難しいという課題がある。その一因として、医療施設の利用者は、高齢者の比率が高く、高齢者は、インターネット経由の予約より、電話予約を好む傾向があることが挙げられる。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、医療施設または予約センターなどの労力的および金銭的負担を軽減することができ、高齢者にとっても利用しやすい医療施設の外来アシスタントシステムを提供する。
【発明が解決しようとする手段】
【0007】
本発明に係る医療施設の外来アシスタントシステムは、
電話通話による診療予約の申し込みを受け付ける電話用フロントエンド部を有するCTIシステムと、
通信端末にインストールされたアプリケーションによる診療予約を行うWeb予約システムと、
少なくとも前記アプリケーションによる診療予約を行うクライアントの情報を、前記アプリケーションにより自己の診療予約のみを行う予約登録者と、前記アプリケーションにより自己および他人の診療予約を行うオペレータ登録者と、に分類して記憶する顧客管理サーバと、を有し、
前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記顧客管理サーバが記憶する情報に含まれる前記オペレータ登録者の電話通話回線の一つに、接続する。
【0008】
本発明に係る医療施設の外来アシスタントシステムは、アプリケーションを介したWeb予約を行うクライアントの一部を、他人の診療予約を行うことができるオペレータ登録者として認定し、顧客管理サーバへ記憶させておく。そして、電話通話による診療予約の申し込みがあった場合、CTIシステムがその電話通話回線を、オペレータ登録者の一人へ接続し、オペレータ登録者が、電話通話による申し込み者に代わってアプリケーションを介する入力を行い、電話通話による申し込み者の診療予約を行う。このような外来アシスタントシステムは、アプリケーションを介したWeb予約を行うクライアントの一部を、電話予約の受付をするオペレータとして有効活用することができるので、医療施設または予約センターなどの労力的および金銭的負担を軽減することができる。また、本発明に係る外来アシスタントシステムは、電話通話による診療予約の申し込みが可能であるため、高齢者にとっても利用しやすい。さらに、オペレータ登録者は、Web予約を行うクライアントでもあり、アプリケーションの入力に慣れているため、オペレータ登録者の育成・採用が容易であり、この点でも、システムを採用する労力的および金銭的負担が少ない。
【0009】
また、たとえば、前記CTIシステムは、前記電話用フロントエンド部への電話通話回線を、前記オペレータ登録者のうち1の前記通信端末に対して接続してもよく、
前記Web予約システムは、前記アプリケーションを介して前記オペレータ登録者のうち1の前記通信端末に対してデータ通信するデータ通信部を有するアプリケーションサーバを有してもよく、
前記電話通話回線による通話と、前記データ通信部によるデータ通信とを、前記オペレータ登録者のうち1の前記通信端末に対して、同時に成立させてもよい。
【0010】
このようなCTIシステムおよびWeb予約システムを有する外来アシスタントシステムでは、オペレータ登録者が、自分が日常的に使っているスマートフォンなどの通信端末のみで、他人の診療予約の代行業務を行うことができる。したがって、このような外来アシスタントシステムは、オペレータ登録者に追加の設備や機器などを提供する必要がなく、オペレータ登録者側にとっても業務の準備が簡便であるため、安価に多くのオペレータ登録者を確保できる。
【0011】
また、たとえば、前記Web予約システムは、前記アプリケーションを介して、チャット形式でクライアントとコミュニケーションするチャットボット部を有してもよい。
【0012】
このような外来アシスタントシステムでは、チャットボット部がチャット形式でクライアントとコミュニケーションするため、クライアントは、マニュアルなどを通読しなくても、容易に診療予約に関する入力を、アプリケーションを介して行うことができる。また、オペレータ登録者が他人の診療予約を代行入力する際、アプリケーションを介して表示されるダイアログボックスのテキストを読み上げるだけで、通話する相手から入力に必要な情報を聞き出せる。このため、このような外来アシスタントシステムでは、診療予約の入力ミスを抑制できるとともに、オペレータ登録者の育成も容易になる。
【0013】
また、たとえば、前記Web予約システムは、予約完了後から予約時刻前において、前記アプリケーションを介して前記通信端末に対して通信し、前記チャットボット部を使ったチャット形式で、診療予約に関する事前情報の入力を支援してもよい。
【0014】
このような、外来アシスタントシステムは、通院する前にアプリケーションを使って事前情報の入力を済ませることができるため、来院後における問診票の記入などを簡略化または省略でき、医療施設側の労力面および費用面だけでなく、待合スペースなどの設備面での負担も軽減できる。また、チャットボット部を使ったチャット形式で事前情報の入力を支援することにより、クライアントは、マニュアルなどを通読しなくても、医療施設側が必要とする事前情報の入力を、アプリケーションを介して容易に行うことができる。なお、診療予約に関する事前情報としては、来院理由、症状および既往症に関する情報、飲酒および喫煙などの生活習慣に関する情報、使用中の薬に関する情報などが挙げられるが、特に限定されない。
【0015】
また、たとえば、前前記顧客管理サーバは、前記Web予約システムによって予約可能な医療施設の予約状況に関する情報を記憶する予約状況記憶部を有してもよい。
【0016】
このような外来アシスタントシステムは、医療施設側との通信を行わなくても、クライアントに医療施設の予約状況を提示することができるため、アプリケーションの動作が円滑であり、重複予約や予約獲得の機会喪失などの問題を低減できる。
【0017】
また、たとえば、前記Web予約システムは、前記アプリケーションによる診療予約に関する予約情報を、該当する医療施設に設置されている施設側サーバに送信する施設側フロントエンド部を有してもよい。
【0018】
このような外来アシスタントシステムは、Web予約システムなどを介して更新された予約情報を、該当する医療施設に設置されている施設側サーバに、円滑に伝えることができる。
【0019】
また、たとえば、前記施設側フロントエンド部は、前記アプリケーションによる予約情報を、予約情報に係るクライアントが指定する薬局の薬局側サーバに送信してもよい。
【0020】
クライアントが通院後に、病院で出された処方箋を持ち込む可能性が高い薬局に対して、予約情報を伝えることにより、薬局側は、該当クライアントの処方履歴などを参照して、薬の在庫確認などを行うことができる。したがって、このような外来アシスタントシステムによれば、薬局における薬の過剰在庫や、在庫切れの問題を軽減できる。
【0021】
また、たとえば前記顧客管理サーバは、前記オペレータ登録者による他人の診療予約の実績に関する情報である登録者スコア情報を記憶する登録者情報記憶部を有してもよく、
前記登録者スコア情報には、前記オペレータ登録者が他人の診療予約をした医療施設からのフィードバック情報が含まれてもよい。
【0022】
顧客管理サーバが、登録者スコア情報を記憶する登録者情報記憶部を有することにより、オペレータ登録者の能力を、CTIシステムなどが判断できる。また、たとえば、CTIシステムが登録者スコア情報を用いて、電話通話回線を転送および接続するオペレータ登録者を選定することにより、電話通話による診療予約のサービスの質を、向上させることができる。
【0023】
また、たとえば、前記Web予約システムは、前記アプリケーションを介して、予約時刻前後において、予約情報に係るクライアントの前記通信端末に対して通信し、予約情報に係るクライアントが予約した医療施設を訪れたことを認識し、該当する医療施設に設置されている施設側サーバに送信してもよい。
【0024】
また、たとえば、前記Web予約システムは、前記通信端末に係るクライアントが、診療予約に関する事前情報を入力済みか否かを、前記施設側サーバに送信してもよい。
【0025】
このような施設側サーバを有する外来アシスタントシステムでは、たとえば医療施設が、施設側サーバを用いて、病院の受付業務の一部または全部を自動化することができる。
【0026】
また、たとえば、本発明に係る外来アシスタントシステムは、前記Web予約システムにより診療予約可能な医療施設に設置されており、前記Web予約システムから前記アプリケーションによる予約情報を受信する施設側サーバを有してもよく、
前記施設側サーバは、外来患者の本人確認証に備えられるICチップを読み取り可能な読み取り部を有してもよく、
前記施設側サーバは、前記読み取り部が読み取った情報と、前記予約情報とを照合し、前記外来患者の予約の有無を判別してもよい。
【0027】
このような外来アシスタントシステムでは、自身ではアプリケーションを操作せず、電話で診療予約を行った外来患者についても、来院時において、施設側サーバが、マイナンバーカード等の本人確認証から読み取った情報と、予約情報とを照合することにより、受付業務を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る医療施設の外来アシスタントシステムの概略構成を表す概念図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す医療施設の外来アシスタントシステムの診療予約に関する主要部分のハードウェア構成を表す概念図である。
【
図3】
図3は、クライアントの通信端末における表示部に表示される表示内容の第1の例を示す概念図である。
【
図4】
図4は、クライアントの通信端末における表示部に表示される表示内容の第2の例を示す概念図である。
【
図5】
図5は、クライアントの通信端末における表示部に表示される表示内容の第3の例を示す概念図である。
【
図6】
図6は、クライアントの通信端末における表示部に表示される表示内容の第4の例を示す概念図である。
【
図7】
図7は、クライアントの通信端末における表示部に表示される表示内容の第5の例を示す概念図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す医療施設の外来アシスタントシステムにおける登録者スコア情報を説明する概念図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す医療施設の外来アシスタントシステムによる医療施設の自動受付システムを説明する概念図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す医療施設の外来アシスタントシステムにおける薬局側サーバを説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る医療施設の外来アシスタントシステム10の概略構成を表す概念図である。
図1に示すように、外来アシスタントシステム10は、基幹システム20を有する。基幹システム20は、外来アシスタントシステム10の主要な演算処理、通信制御、データの記憶などを行う。基幹システム20は、公衆回線網92を介して電話91に接続可能である他、LAN、インターネット、WANなどを通じて、クライアントの通信端末60や、病院や薬局などに設置されるサーバ(施設側サーバ70など)と接続される。
【0030】
外来アシスタントシステム10の基幹システム20は、CTIシステム26、Web予約システム30、顧客管理サーバ50などを有する。基幹システム20に含まれる各部分は、1か所に集中して配置されており、LANなどを介して相互に通信可能であってもよく、また、各部分が分散して配置されており、インターネットやWANなどを介して相互に通信可能であってもよい。また、基幹システム20に含まれる顧客管理サーバ50や、CTIシステム26およびWeb予約システム30などに含まれるサーバ(アプリケーションサーバ32など)は、所定の物理サーバによって実現されるものであってもよく、クラウド・コンピューティングなどによる仮想サーバによって実現されるものであってもよい。
【0031】
図1に示すCTIシステム26は、電話用フロントエンド部27を有する。電話用フロントエンド部27は、電話通話による診療予約の申し込みを受け付ける。
図1に示すように、外来アシスタントシステム10において、電話通話によって診療予約を行う電話利用者93の電話回線は、公衆回線網92を通じてCTIシステム26の電話用フロントエンド部27に接続される。電話用フロントエンド部27に接続される電話回線は、IP電話回線であってもよく、アナログ電話回線であってもかまわない。
【0032】
図2は、
図1に示す医療施設の外来アシスタントシステム10の診療予約に関する主要部分のハードウェア構成を表す概念図である。
図2に示す電話用フロントエンド部27は、電話回線の接続を切り替える交換機22などを有する。電話用フロントエンド部27は、たとえば、IP-PBX(Internet Protocol Private Branch Exchange)やビジネスフォンなどで構成されるが、特に限定されない。
【0033】
図1に示すCTI(Computer Telephony Integration)システム26では、電話用フロントエンド部27への電話通話回線94の転送先を、顧客管理サーバ50のデータを参照して決定する。すなわち、CTIシステム26は、電話用フロントエンド部27への電話通話回線94(
図1において点線で示される)を、顧客管理サーバ50が記憶する情報に含まれるオペレータ登録者51aa、51abの電話回線の一つまたは複数に転送する指示を、電話用フロントエンド部27へ出す。すなわち、CTIシステム26は、電話通話回線94を転送・接続するオペレータ登録者51aおよびその通信端末60を決定し、電話用フロントエンド部27への電話通話回線94を、決定したオペレータ登録者51aの通信端末60に対して転送・接続する。なお、CTIシステム26は、電話通話回線94の転送先として、1つの通信端末を選定してもよく、複数の通信端末を選定してもよい。すなわち、CTIシステム26は、電話通話回線94を複数のオペレータ登録者51aa、51abの通信端末60の電話通話回線に転送して呼び出し、最も早く呼び出しに応答した通信端末60の電話通話回線に、電話通話回線94を接続することも可能である。
【0034】
図2に示すように、CTIシステム26は、電話用フロントエンド部27の他に、処理回路26aや通信部26b等を有する。なお、電話用フロントエンド部27は、
図1に示すようにCTIシステム26の中に含まれていてもよいが、CTIシステム26とは、分離して構成されていてもよい。なお、顧客管理サーバ50が記憶する情報およびオペレータ登録者51aa、51abについては、後ほど詳述する。
【0035】
図1に示すWeb予約システム30は、スマートフォンなどの通信端末60を使って診療予約をする利用者に対して、通信端末60にインストールされたアプリケーションによる診療予約を行う。通信端末60にインストールされており、診療予約において使用されるアプリケーションとしては、外来アシスタントシステム10を利用するために追加インストールされる専用アプリケーションであることが好ましいが、ウェブブラウザのような汎用的なアプリケーションであってもよい。
【0036】
図1に示すように、Web予約システム30は、アプリケーションサーバ32と、施設側フロントエンド部38とを有する。アプリケーションサーバ32は、電話用フロントエンド部27が電話通話による診療予約を受け付けるのに対して、主としてスマートフォンなどの通信端末60を使って診療予約をする利用者からの入力を受け付ける。また、アプリケーションサーバ32は、CTIシステム26を介して、電話用フロントエンド部27が接続した電話通話回線94に関する情報を受け取る機能も有する。
【0037】
図2に示すように、アプリケーションサーバ32は、データ通信部32bを有する。
図2に示すデータ通信部32bは、
図1に示すオペレータ登録者51aa、51abや予約登録者51bなど、通信端末60を使って診療予約をする利用者の通信端末60に対して、通信端末60にインストールされたアプリケーションを介してデータ通信する。データ通信部32bは、後述するチャットボット部36などとも連携しながら、診療予約をする利用者の通信端末60への入力をサポートし、入力情報を受け取る。
【0038】
また、
図2に示すアプリケーションサーバ32のデータ通信部32bは、顧客管理サーバ50に記憶される医療施設の予約情報などを読み出して、診療予約をする利用者の通信端末60へ送信することができる。また、データ通信部32bは、通信端末60によって入力された予約情報を、顧客管理サーバ50に通信することができる。
【0039】
なお、
図2に示すデータ通信部32bは、CTIシステム26が電話用フロントエンド部27への電話通話回線94をオペレータ登録者51aのうち1の通信端末60に対して接続したとき、同じオペレータ登録者51aの通信端末60に対して、アプリケーションを介してデータ通信する。すなわち、外来アシスタントシステム10の基幹システム20は、CTIシステム26を介する電話通話回線による通話と、アプリケーションサーバ32のデータ通信部32bによるデータ通信とを、オペレータ登録者51aのうち1の通信端末60に対して、同時に成立させる。
【0040】
このようにして、
図1および
図2に示す外来アシスタントシステム10は、オペレータ登録者51aが、電話利用者93である他人の診療予約を代行入力することを可能にする。なお、オペレータ登録者51aによる他人の診療予約の方法については、後ほど詳述する。その他、
図2に示すように、アプリケーションサーバ32は、チャットボット部36、処理回路32cおよび記憶回路32d等を有する。
【0041】
図1に示すチャットボット部36は、通信端末60にインストールされたアプリケーションを介して、チャット形式で診療予約を申し込むクライアントに対してコミュニケーションする。
図2では図示を省略しているが、チャットボット部36は、独自の処理回路、記憶回路および通信部を有する。
【0042】
チャットボット部36には、たとえば、人工知能(AI)などを活用した自動会話プログラムが実装されており、チャットボット部36は、通信端末60に対してテキスト等を双方向でやりとりする。この際、チャットボット部36は、アプリケーションサーバ32のデータ通信部32bを介して、クライアントの通信端末60と通信する。
【0043】
また、チャットボット部36は、
図1に示すように、施設側フロントエンド部38を介して、施設側サーバ70と通信することもできる。病院などの医療機関は、施設側サーバ70からチャットボット部36と通信し、チャットボット部36がクライアントの通信端末60とやりとりするテキストの内容等を、カスタマイズすることができる。
【0044】
また、
図1に示すWeb予約システム30は、予約完了後から予約時刻前において、アプリケーションを介して通信端末60に対して通信し、チャットボット部36を使ったチャット形式で、診療予約に関する事前情報の入力を支援することができる。病院などの医療機関は、施設側サーバ70からアプリケーションサーバ32のチャットボット部36に対して通信し、事前情報の入力の実施、不実施や、事前情報の入力内容などをカスタマイズすることができる。診療予約に関する事前情報としては、来院理由、症状および既往症に関する情報、飲酒および喫煙などの生活習慣に関する情報、使用中の薬に関する情報などが挙げられるが、特に限定されない。なお、チャット形式のコミュニケーションについては、通信端末60およびアプリケーションの説明と合わせて後述する。
【0045】
図1に示すWeb予約システム30は、通信端末60のアプリケーションを介して行われた診療予約に関する予約情報を、該当する医療施設に設置されている施設側サーバ70等に送信する施設側フロントエンド部38を有する。上述したように、クライアントのアプリケーションを介する診療予約は、主にWeb予約システム30におけるアプリケーションサーバ32で行われる。クライアントが行った診療予約の内容は、アプリケーションサーバ32から顧客管理サーバ50に送られ、顧客管理サーバ50に記憶される。施設側フロントエンド部38は、顧客管理サーバ50から予約情報を読み出し、または、アプリケーションサーバ32から直接予約情報を受け取り、施設側サーバ70等に送信する。
【0046】
なお、
図2では、施設側フロントエンド部38の図示を省略しているが、施設側フロントエンド部38は、処理回路、記憶回路および通信部等を有する。
【0047】
図1に示す顧客管理サーバ50は、外来アシスタントシステム10の顧客情報を管理する。顧客管理サーバ50が管理する情報には、診療予約を行うクライアントを特定するための情報(ID、氏名、電話番号、メールアドレス)や、クライアントがアプリケーションを介して行った診療予約に関する予約情報の他、アプリケーションを介して予約可能な医療機関の診療の予約状況(空き状況)などが含まれる。
【0048】
図2に示すように、顧客管理サーバ50はクライアント記憶部51、予約状況記憶部52、登録者情報記憶部53などの記憶部と、処理回路57や通信部58等を有する。
【0049】
クライアント記憶部51に記憶される情報には、外来アシスタントシステム10によって診療予約を行うクライアントの情報が含まれる。クライアント記憶部51は、電話による通話を介して診療予約をする電話利用者93(
図1参照)と、自己の通信端末60を用いてアプリケーションによる診療予約を行うクライアントとを、区別可能に分類して記憶する。
【0050】
さらに、顧客管理サーバ50のクライアント記憶部51は、
図1の左下側に示すようなアプリケーションによる診療予約を行うクライアントの情報を、アプリケーションにより自己の診療予約のみを行う予約登録者51bと、アプリケーションにより自己および他人の診療予約を行うオペレータ登録者51aa、51abとに判別可能に分類して記憶する。
【0051】
顧客管理サーバ50は、たとえば、アプリケーションをインストールしてユーザー登録などを済ませ、外来アシスタントシステム10により医療施設の予約が可能であるクライアントを、予約登録者51bとしてクライアント記憶部51に記憶させる。さらに、顧客管理サーバ50は、アプリケーションをインストールしてユーザー登録をしただけでなく、所定のオペレータ教育を履修するなど、外来アシスタントシステム10の管理機関などが認めたクライアントを、オペレータ登録者51aa、51abとして記憶する。
【0052】
図1に示す予約登録者51bは、通信端末60により自己の診療予約のみを行うのに対して、オペレータ登録者51aa、51abは、自己の診療予約のみではなく、他人の診療予約を、通信端末60にインストールしたアプリケーションを介して行うことができる。また、顧客管理サーバ50は、オペレータ登録者51aa、51abを、現在オペレータ業務を行える状態にあるオペレータ登録者51aaと、現在オペレータ業務を行えない状態にあるオペレータ登録者51abとを、リアルタイムで区別できるように分類して記憶しておくことが好ましい。
【0053】
これにより、CTIシステム26は、現在オペレータ業務を行える状態にあるオペレータ登録者51aaの電話通話回線を、電話用フロントエンド部27への電話通話回線94の転送先候補とすることができる。なお、
図7に示すように、オペレータ登録者51aa、51abは、通信端末60にインストールされたアプリケーションを介して、現在オペレータ業務を行える状態にあるか否かを、Web予約システム30に対して通信し、切り換えられることが好ましい。Web予約システム30が、オペレータ登録者51aaからの通信情報を顧客管理サーバ50に伝えることにより、顧客管理サーバ50は、オペレータ登録者51aa、51abが、オペレータ業務を行える状態であるか否かを、正しく把握することができる。また、このような外来アシスタントシステム10によれば、オペレータ登録者51aa、51abは、隙間時間などを利用してフレキシブルにオペレータ業務を行うことができる。したがって、外来アシスタントシステム10は、容易に電話応答のオペレータを確保するとともに、電話待ち時間を短縮して、電話利用者93の利便性を向上させることができる。
【0054】
オペレータ登録者51aa、51abがオペレータ業務において使用する電話通話回線の回線番号やIDは、
図2に示す顧客管理サーバ50のクライアント記憶部51に記憶される。オペレータ業務において使用する電話通話回線は、アナログ回線であってもよく、電話会社が提供するIP回線であってもよく、VoIP技術を用いた電話番号なしのIP回線であってもよく、特に限定されない。
【0055】
図2に示す顧客管理サーバ50の予約状況記憶部52は、外来アシスタントシステム10およびWeb予約システム30によって予約可能な医療施設の予約状況に関する情報を記憶する。予約状況記憶部52が記憶する予約状況に関する情報としては、診療可能な時間帯、診療科、各時間帯の診療の空き状況などが含まれる。
【0056】
予約状況記憶部52が記憶する予約状況に関する情報は、Web予約システム30を介してクライアントの通信端末60に伝えられ、また、Web予約システム30から顧客管理サーバ50に伝えられる予約情報により更新される。さらに、予約状況記憶部52が記憶する予約状況に関する情報は、
図1に示す施設側フロントエンド部38を介して施設側サーバ70に伝えられ、また、施設側サーバ70および施設側フロントエンド部38を介して顧客管理サーバ50に伝えられる情報により、内容が更新されてもよい。
【0057】
図2に示す顧客管理サーバ50の登録者情報記憶部53は、オペレータ登録者51aa、51ab(
図1参照)による他人の診療予約の実績に関する情報である登録者スコア情報53a(
図8参照)を記憶する。登録者スコア情報53aには、オペレータ登録者51aa、51abのオペレータ業務の良好さを示す指標や業務内容の他、オペレータ登録者51aa、51abが他人のために診療予約をした医療施設からのフィードバック情報53bが含まれてもよい。
【0058】
図1に示す通信端末60は、外来アシスタントシステム10を用いて診療予約をするクライアントが使用するデバイスであり、インターネット、WANおよびLAN等を介して基幹システム20のWeb予約システム30に対してデータ通信する。通信端末60としては、スマートフォン、携帯電話、タブレット、PCなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0059】
図2に示すように、通信端末60は、処理回路62、記憶回路64、通信部66および表示部68等を有する。通信端末60の通信部66は、Web予約システム30のデータ通信部32bと通信し、医療施設の診療予約を行う。また、オペレータ登録者51aの通信端末60の通信部66は、CTIシステム26を介して電話用フロントエンド部27から転送される電話通話回線94を接続可能である。このような通信部66を有するオペレータ登録者51aは、一台の通信端末60のみで、オペレータ業務を行うことができる。
【0060】
なお、
図2に示す図では、電話用フロントエンド部27から転送される電話通話回線を接続する端末が、Web予約システム30のデータ通信部32bを介して診療予約を行う通信端末60と同一である例を示しているが、外来アシスタントシステム10としてはこれに限定されない。すなわち、CTIシステム26および電話用フロントエンド部27から転送される電話通話回線を接続する端末は、アプリケーションサーバ32を介して診療予約を行う通信端末60とは別の端末(たとえば、固定電話、携帯電話、スマートフォンなど)であってもよい。
【0061】
通信端末60の表示部68は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。表示部68の表示内容は、通信端末60にインストールされたアプリケーションを介して制御される。
図2から
図7に示す表示部68は、タッチパネルであり、入力部を兼ねているが、通信端末60としてはこれに限定されず、通信端末60は、表示部68とは別途、入力部を有していてもよい。
【0062】
図2に示す処理回路26a、32c、57、62は、たとえばマイクロプロセッサ等によって構成され、サーバや端末の制御に必要な演算処理などを実施する。また、記憶回路32d、64および記憶部51、52、53としては、テータの記憶や書き換えなどが可能なフラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブなどが挙げられるが、特に限定されない。また、通信部26b、58、66およびデータ通信部32bは、たとえばモデム等を有する。
【0063】
以下、
図1~10を用いて、外来アシスタントシステム10の構成および機能をさらに具体的に説明するが、外来アシスタントシステム10は、これらの具体例のみには限定されない。
【0064】
まず、アプリケーションを介する診療予約について説明する。
図1に示す予約登録者51bおよびオペレータ登録者51aa、51abが、アプリケーションによる診療予約を行う場合、まず、自己のスマートフォンなどの通信端末60において、アプリケーションを起動する。
図3は、アプリケーションを起動した後、通信端末60における表示部68に表示される表示内容の第1の例を示している。
【0065】
図1および
図2の矢印Eで示すように、通信端末60は、アプリケーションサーバ32と通信することにより、外来アシスタントシステム10で予約可能な医療施設の所在地に関する情報を、Web予約システム30から受け取る。このとき、アプリケーションサーバ32は、医療施設の所在地に関する情報を、顧客管理サーバ50から受け取ることができる(矢印F)。これにより、
図3に示すように、通信端末60の表示部68に、予約可能な医療施設の位置情報が表示され、予約登録者51bおよびオペレータ登録者51aa、51abは、医療施設を選択することができる。
【0066】
図4は、アプリケーションを起動した後、通信端末60における表示部68に表示される表示内容の第2の例を示している。
図1および
図2に示すように、Web予約システム30のアプリケーションサーバ32は、チャットボット部36を用いて、通信端末60における表示部68に、ダイアログボックスやテキストを表示し、チャット形式でコミュニケーションを行うことができる。
図4に示すように、予約登録者51bおよびオペレータ登録者51aa、51abは、表示部68に表示されるテキストの内容に答える形で、診療予約を行うことができる。なお、
図4に示すように、Web予約システム30は、クライアントが予約した医療施設の情報を、病院リストなどとして、顧客管理サーバ50のクライアント記憶部51に記憶させることができる。Web予約システム30は、クライアントが診療する病院を探す際、病院リストに登録済みの病院を予約候補として表示することにより、クライアントによる予約入力を効率化することができる。
【0067】
図5は、アプリケーションを起動した後、通信端末60における表示部68に表示される表示内容の第3の例を示している。外来アシスタントシステム10で行う診療予約は、時間帯を指定して行う予約であってもよいが、申し込んだ順番に診療が受けられる順番待ち予約であってもよい。
図5には、アプリケーションを用いて順番待ち予約を行った場合に、表示部68に表示される表示内容を示している。
【0068】
図4および
図5に示すように、アプリケーションを用いて診療予約を行うと、予約情報はWeb予約システム30を介して顧客管理サーバ50に伝えられ(矢印F)、顧客管理サーバ50の予約状況記憶部52に記憶される。
【0069】
図6は、アプリケーションを起動した際、通信端末60における表示部68に表示される表示内容の第4の例を示している。
図1および
図2に示す外来アシスタントシステム10のWeb予約システム30は、予約完了後から予約時刻前において、アプリケーションを介して通信端末60に対して通信し、診療予約に関するクライアントの事前情報入力を、支援することができる。
図6には、アプリケーションを用いて事前情報の入力を行った場合に、表示部68に表示される表示内容の一部を示している。たとえば、Web予約システム30のアプリケーションサーバ32は、通信端末60における表示部68に、可能性のある症状を列挙して表示し、診療を予約したクライアントに、該当する症状を選択するように、併せてテキストを表示する。診療予約の場合と同様に、クライアントが、表示部68に表示される内容に答えることにより、アプリケーションサーバ32が、クライアントの事前情報の入力を支援することができる。Web予約システム30が取得した診療予約に関する事前情報は、顧客管理サーバ50に記憶される。
【0070】
また、
図1および
図2に示す外来アシスタントシステム10では、Web予約システム30が通信端末60と通信することにより、診療予約を行ったクライアントが、予約どおりに医療施設を訪れたことを認識してもよい。
図9は、外来アシスタントシステム10を用いた医療施設の自動受付システムを説明する概念図である。
図9に示すように、Web予約システム30のアプリケーションサーバ32は、アプリケーションを介して、予約時刻前後において予約情報に係るクライアントの通信端末60に対して通信し、予約情報に係るクライアントが、予約した医療施設を訪れたことを認識し(チェックイン)、該当する医療施設に設置されている施設側サーバ70に送信する。
【0071】
予約情報に係るクライアントが医療施設を訪れたことを、Web予約システム30が認識する具体的な方法としては、特に限定されないが、たとえば、
図5および
図6に示すように、アプリケーションサーバ32が、通信端末60の表示部68に「チェックイン」の入力ボタンを表示し、Web予約システム30が、クライアントによる入力を認識する方法が挙げられる。また、Web予約システム30は、通信端末60からWeb予約システム30に送信される所定の情報(たとえば、通信端末60の位置情報など)に基づき、クライアントが医療施設を訪れたことを認識してもよい。
【0072】
また、
図9に示すように、Web予約システム30は、医療施設を訪れたクライアントが、事前情報を入力済みか否かに関する情報を、施設側サーバ70に送信してもよい。
図1に示すように、Web予約システム30は、医療施設を訪れたクライアントの事前情報入力に関する情報を、顧客管理サーバ50から読み出し、施設側フロントエンド部38を介して、施設側サーバ70に送信する。
【0073】
このような外来アシスタントシステム10は、医療施設のチェックインや診療前の問診票の入力などを、自動化することができる。また、
図9に示すように、予約システムを使用せずに来院する患者については、施設側サーバ70の一部として機能する来院者用端末73を介してチェックインを入力してもらい、来院者用端末73の情報をWeb予約システム30に送信する。これにより、外来アシスタントシステム10は、外来受付業務の全体を、効果的に自動化することができる。たとえば、外来アシスタントシステム10は、その外来患者が利用すべき待合室の情報や、検温すべきかどうかの情報や、どの診療室にどのタイミングで入れば良いかなどの情報を、アプリケーションが動作する通信端末60や医療施設に備えられる表示装置などを介して、外来患者に伝えることができる。この場合、外来アシスタントシステム10には、該当する医療施設の待合室の数が予め入力されたうえで、各待合室の診察の進行状況が、施設側サーバ70を介して伝えられる。
【0074】
なお、
図9に示すWeb予約システム30の機能は、医療施設に設置された施設側サーバ70が、外来患者の本人確認を行うことにより、実施することも可能である。すなわち、外来アシスタントシステム10は、Web予約システム30により診療予約可能な医療施設に設置されており、Web予約システム30がアプリケーションによる予約情報を受信する施設側サーバ70を有し、施設側サーバ70は、外来患者の本人確認証に備えられるICチップを読み取り可能な読み取り部72を有していてもよい。
【0075】
この場合、施設側サーバ70は、読み取り部72から読み取った情報と、その情報に係るクライアントの予約情報とを照合し、外来患者の予約の有無を判別する。さらに、施設側サーバ70は、外来患者が外来アシスタントシステムのクライアントである場合は、そのクライアントの事前情報入力に関する情報を読み出し、当該クライアントが事前情報を入力済みか否かを判別する。このような施設側サーバ70を用いることでも、医療施設のチェックインや診療前の問診票の入力を自動化することができる。なお、外来患者の本人確認証としては、マイナンバーカードなどが挙げられる。
【0076】
施設側サーバ70の読み取り部72が、外来患者の本人確認証に備えられるICチップを読み取る方式は、医療施設に読み取り部72を設置する必要があるものの、後述する電話利用者93についても、通信端末60を用いて予約するクライアントと同様に、医療施設の受付を自動化することが可能であるというメリットを有する。また、このような外来アシスタントシステム10によれば、施設側サーバ70が、当該医療施設のレセプト用コンピュータと通信・連携することにより、医療施設の受付だけでなく、清算業務についても大幅な自動化が可能となる。たとえば、外来アシスタントシステム10は、アプリケーションサーバ32を介して、クライアントの通信端末60から医療施設の診療費の清算が可能であってもよい。
【0077】
次に、外来アシスタントシステム10による、電話通話による診療予約について説明する。
図1および
図2における点線矢印Aで示すように、電話通話による診療予約を行う電話利用者93の電話通話回線94は、電話用フロントエンド部27に接続する。この際、電話用フロントエンド部27は、電話通話をIP網に変換して、CTIシステム26内に伝える。
【0078】
CTIシステム26は、顧客管理サーバ50の情報を読み出し(矢印B)、現在オペレータ業務を行っているオペレータ登録者51aa、51abの電話回線の一つに、電話利用者93からの電話通話回線94を転送する。CTIシステム26は、電話用フロントエンド部27へ接続された電話利用者93の電話通話回線94を、所定のオペレータ登録者51aaの電話通話回線に接続する(点線矢印C)。これと同時に、CTIシステム26は、電話利用者93および接続先(オペレータ登録者51aa)の情報を、アプリケーションサーバ32に対して伝える(点線矢印D)。
【0079】
オペレータ登録者51aaは、電話利用者93と通話しながら、アプリケーションを介して通信端末60を動作させ、アプリケーションサーバ32とデータ通信する(矢印E)。
【0080】
オペレータ登録者51aaは、電話利用者93と通話しながら、アプリケーションを実行する通信端末60を操作し、他人である電話利用者93の診療予約を行う。オペレータ登録者51aaによる他人の診療予約の方法は、診療予約をする予約者が、電話利用者93である旨を設定してから行うことを除き、上述した自己の診療予約の方法と同じである。なお、電話利用者93が外来アシスタントシステム10のリピーターである(初回利用者でない)場合、予約者が電話利用者93である旨の設定は、アプリケーションサーバ32が、CTIシステム26からの情報を得て自動で行ってもよい。
【0081】
なお、オペレータ登録者51aaが電話利用者93の診療予約を行う際、オペレータ登録者51aaは、アプリケーションによる診療予約の入力のために必要な情報を、電話利用者93から電話通話を介して聞き出す必要がある。この際、オペレータ登録者51aaは、アプリケーションサーバ32のチャットボット部36によって通信端末60に表示されるテキストを音読し、電話利用者93に伝えるだけで、容易に入力のために必要な情報を聞き出すことができる。
【0082】
図7は、通信端末60における表示部68に表示される表示内容の第5の例を示している。
図7に示すように、オペレータ登録者51aa、51abは、アプリケーションを起動して表示部68に表示される「予約入力代行をする」ボタンを選択することにより、任意の時間にオペレータ業務を行うことができる。
図1および
図2に示すWeb予約システム30が、オペレータ登録者51aaからの通信情報を顧客管理サーバ50に伝えることにより、顧客管理サーバ50は、それぞれのオペレータ登録者51aa、51abが、オペレータ業務を行える状態であるか否かを、正しく把握することができる。
【0083】
図2に示す顧客管理サーバ50は、オペレータ登録者51aa、51abが代行入力した電話利用者93の予約情報を、予約状況記憶部52に記憶させる。また、顧客管理サーバ50は、オペレータ登録者51aa、51abによる他人の診療予約の実績を、登録者スコア情報53a(
図8参照)として管理し、登録者情報記憶部53に記憶させる。
【0084】
図8は、外来アシスタントシステム10における登録者スコア情報53aを説明する概念図である。
図8に示すように、オペレータ登録者51aa、51abが、電話利用者93a、93bの診療予約を入力した場合、顧客管理サーバ50は、電話利用者93a、93bが予約した医療施設である病院Aおよび病院Bなどの予約状況を更新し、予約状況記憶部52に記憶させる。さらに、顧客管理サーバ50は、電話利用者93a、93bの診療予約の内容と、その診療予約を入力したオペレータ登録者51aa、51abを対応させ、登録者スコア情報53aとして登録者情報記憶部53に記憶させる。
【0085】
図8に示すように、登録者情報記憶部53が記憶する登録者スコア情報53aには、オペレータ登録者51aa、51abのオペレータ業務の良好さを示す指標(
図9の「入力者スコア」参照)、業務内容、オペレータ登録者51aa、51abに支払われた料金(代行料)などが含まれる。また、登録者スコア情報53aには、医療施設である病院Aおよび病院Bから、Web予約システム30に送られたフィードバック情報53bが含まれていてもよい。フィードバック情報53bは、電話利用者93a、93bが予約に基づいて診療を受けた後、電話利用者93a、93bが利用した医療施設である病院Aおよび病院Bが作成および入力する。この場合、病院Aおよび病院Bからのフィードバック情報53bは、病院Aの施設側サーバ70aおよび病院Bの施設側サーバ70bから、Web予約システム30に送信される。
【0086】
以上のように、外来アシスタントシステム10は、アプリケーションを介したWeb予約を行うクライアントの一部を、電話予約の受付をするオペレータとして有効活用することができるので、医療施設または予約センターなどの労力的および金銭的負担を軽減することができる。また、外来アシスタントシステム10は、電話通話による診療予約の申し込みが可能であるため、高齢者にとっても利用しやすい。さらに、オペレータ登録者51aa、51abは、アプリケーションを介して自己の診療予約を行うクライアントでもあり、アプリケーションの入力に慣れているため、外来アシスタントシステム10は、オペレータ登録者の育成・採用が容易である。
【0087】
なお、
図1に示すように、外来アシスタントシステム10で入力された予約情報は、予約先である医療施設だけでなく、所定の薬局(C薬局)にも伝えられる。
図10は、外来アシスタントシステム10が、顧客管理サーバ50が有する予約状況に関する情報を、薬局に伝えるメリットを説明した図である。
図10では、Aクリニックの通院者と、B病院の通院者とが、C薬局に対して処方箋を持ち込み、薬を購入しているケースを想定している(
図10左側参照)。
【0088】
このようなケースでは、薬局Cは、通院者が薬を購入する時期を見込んで、薬の仕入れを行いたいが、通常であれば、薬が処方された期間などから、おおまかな予想ができるにすぎない。しかしながら、外来アシスタントシステム10では、施設側フロントエンド部38(
図1参照)が、C薬局に設置される薬局側サーバ76に、C薬局に処方箋を持ち込んだ実績のある通院者の予約情報を送信することができる。通院者は、診療において処方箋が処方された直後に、薬局を訪れる蓋然性が高いため、これにより、C薬局は、通院者が薬を購入する時期を、より正確に予想し、薬の在庫切れや過剰在庫を防ぐことができる。
【0089】
なお、外来アシスタントシステム10が予約情報を送る薬局としては、予約情報に係るクライアントによる購入実績のある薬局や、医療施設に隣接する薬局や、予約情報に係るクライアントが指定する薬局などが挙げられる。また、施設側サーバ70および薬局側サーバ76は、処理回路、記憶回路および通信部等を有する。
【0090】
以上、実施形態を示しつつ、外来アシスタントシステム10について説明してきたが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみには限定されず、様々な他の実施形態を含み得る。実施形態では、医療施設の外来アシスタントシステム10として本発明の技術を説明したが、本発明の技術は、医療施設とは異なる他の商業施設、公共施設などの外来アシスタントシステムとしても適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
10…外来アシスタントシステム
20…基幹システム
26…CTIシステム
27…電話用フロントエンド部
38…施設側フロントエンド部
30…Web予約システム
32…アプリケーションサーバ
32b…データ通信部
36…チャットボット部
50…顧客管理サーバ
51…クライアント記憶部
51a、51aa、51ab…オペレータ登録者
51b…予約登録者
52…予約状況記憶部
53…登録者情報記憶部
53a…登録者スコア情報
53b…フィードバック情報
60…通信端末
68…表示部
26b、58、66…通信部
26a、32c、57、62…処理回路
32d、64…記憶回路
70、70a、70b…施設側サーバ
72…読み取り部
73…来院者用端末
76…薬局側サーバ
91…電話
92…公衆回線網
93、93a、93b…電話利用者
94…電話通話回線