(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023630
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】捕獲罠装置
(51)【国際特許分類】
A01M 23/34 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A01M23/34
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126703
(22)【出願日】2020-07-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】520278686
【氏名又は名称】池山 清
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】池山 清
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA32
2B121EA26
2B121FA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が簡単で低コストでありながら無駄のないアームの迅速作動により捕獲率を大幅に向上させる捕獲罠装置を提供する。
【解決手段】捕獲罠装置1は、常に開いた状態に付勢されたく字状のアーム本体であり、少なくとも土中に埋設される基礎アーム12と、開く方向に作動する作動アーム14と、を含むアーム本体10と、踏抜装置50と協働して動物の仕掛け罠100を形成する捕獲ロープ20と、捕獲ロープの先端が仕掛け罠を形成する状態で作動アーム14を通係した捕獲ロープ20を基礎アーム12の任意の位置で固定する可動固定部30と、土中の基礎アーム12の先端側に取り付けられ作動アームの開作動時に付勢作動を支持する支持手段90と、を含む。作動アームの作動を迅速、確実に行い野生動物等の捕獲率を飛躍的に向上させ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な状態に形成されると共に、常に開いた状態に付勢された2個のアームを含むく字状のアーム本体であり、少なくとも土中に埋設される基礎アームと、開く方向に作動する作動アームと、を含むアーム本体と、
作動アームの先端側と基礎アームとに係合し一端側が動物の脚の踏抜きにより作動する踏抜装置と協働して動物の仕掛け罠を形成する捕獲ロープと、
捕獲ロープの先端が仕掛け罠を形成する状態で作動アームを通係した捕獲ロープを基礎アームの任意の位置で固定する可動固定部と、を有し、
土中の基礎アームの先端側に取り付けられ作動アームの開作動時に付勢作動を支持する支持手段と、を含むことを特徴とする捕獲罠装置。
【請求項2】
支持手段は、基礎アームの先端側に着脱可能に取り付けられ基礎アームの断面サイズより大きな部位を有する基台であることを特徴とする請求項1記載の捕獲罠装置。
【請求項3】
支持手段は基礎アームに対して着脱交換自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の捕獲罠装置。
【請求項4】
作動アームの先端側には捕獲ロープを円滑に通係させる転動ローラ機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の捕獲罠装置。
【請求項5】
アーム本体の2個のアームの一端側はそれぞれ1つのコイル状ばねに連結されて一体的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の捕獲罠装置。
【請求項6】
捕獲ロープの一端側は、弦巻ばねのコイル孔に接続した環状索条に連携されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の捕獲罠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物等の捕獲罠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イノシシ、サル、シカ等の野生動物による農作物被害が問題となっており、これによって地域の経済損失を生じさせ、さらには農家の営農意欲を奪って工作放棄地の発生の一因ともなっていた。野生動物被害を防止すべく、電気柵を含む柵、防護ネット、トウガラシ爆弾、音声防除機器設置、忌避剤噴霧及び警戒システム等設置等の手段が講じられている。これらはいずれもある程度の広さの区画スペースを保守するために設備、機器等が大掛かりにならざるを得ず、機器導入時の設置者側に大きなコスト負担を生じる。これに対して1匹(頭)をターゲットにした動物の捕獲用罠が従来から知られており、被害を生じさせる獣類の捕獲と共に捕獲後の肉が食材にもなる点から、根強い利用者の支持がある。
【0003】
動物の捕獲用罠について、従来、特許文献1に示すものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は開閉可能で常に開状態に付勢されたく字状のアーム本体と、アーム本体のそれぞれの先端部に取り付けた捕獲ロープと、捕獲ロープをその外周囲に巻廻した踏抜筒と、踏抜筒を収納する筒受けとを備えた踏抜き装置と、アーム本体を一定の範囲内に拘束する固定ロープと、で構成され、これによって罠に入った動物の脚部を確実に捕獲し、衝撃を吸収しようとするものである。
【0006】
この捕獲罠は構造も簡単で低コストの罠を構成可能であるが、弦巻ばねの両端の2個のアームを土中に埋設して罠を仕掛けて安全装置のフックを取り外した場合、土中でアームが暴れて踏抜き装置の捕獲ロープを効率よく絞る方向に力が働かない場合が多い上に、その力のロスのために捕獲ロープを絞り切って動物の脚を捕捉するまでの極めて短い時間中でも時間がかかり動物の捕獲率が低いという問題があった。
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、構造が簡単
で低コストでありながら無駄のないアームの迅速作動により捕獲率を大幅に向上させる
ことのできる捕獲罠装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、開閉可能な状態に形成されると共に、常に開いた状態に付勢された2個のアームを含むく字状のアーム本体10であり、少なくとも土中に埋設される基礎アーム12と、開く方向に作動する作動アーム14と、を含むアーム本体10と、作動アーム14の先端側と基礎アーム12とに係合し一端側が動物の脚の踏抜きにより作動する踏抜装置50と協働して動物の仕掛け罠100を形成する捕獲ロープ20と、捕獲ロープ20の先端が仕掛け罠100を形成する状態で作動アーム14を通係した捕獲ロープを基礎アーム12の任意の位置で固定する可動固定部30と、を有し、土中の基礎アーム12の先端側に取り付けられ作動アーム14の開作動時に付勢作動を支持する支持手段90と、を含む捕獲罠装置1から構成される。
【0009】
その際、支持手段90は、基礎アーム12の先端側に着脱可能に取り付けられ基礎アームの断面サイズより大きな部位を有する基台91であるとよい。
【0010】
また、支持手段90は基礎アーム12に対して着脱交換自在に取り付けられていてもよい。
【0011】
また、作動アーム14の先端側には捕獲ロープ20を円滑に通係させる転動ローラ機構36が設けられているとよい。
【0012】
さらに、アーム本体10の2個のアーム12,14の一端側はそれぞれ1つのコイル状ばね16に連結されて一体的に形成されているとよい。
【0013】
また、捕獲ロープ20の一端側は、弦巻ばね16のコイル孔16aに接続した環状索条60に連携されているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の捕獲罠装置によれば、構造が簡単で低コストでありながらイノシシ、サル、シカ等動物の捕獲率を大幅に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る捕獲罠装置の概略構成説明図である。
【
図2】
図1の装置の捕獲輪形成装置を説明する説明図である。
【
図3】
図1の装置の要部を示す要部拡大一部省略説明図である。
【
図4】
図1の装置の作動アームの作動態様を示す作用説明図である。
【
図5】
図1の装置の作動アームの作動完了状態を示す要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の捕獲罠装置の一実施形態について説明する。
【0017】
本発明の捕獲罠装置は種々の獣類動物の捕獲に用いられる罠手段であり、例えばイノシシ、サル、シカ等の農作物被害を与える野生動物等の捕獲に特に有効である。
図1ないし
図5は本発明の捕獲罠装置の一実施形態を示しており、
図1において、捕獲罠装置1は、アーム本体10と、捕獲ロープ20と、可動固定部30と、支持手段90と、を含む。
【0018】
アーム本体10は、少なくとも一端側が常時開く方向に付勢された付勢アーム機構からなり、罠のセット状態では踏抜装置と捕獲ロープの緊張や土中での土等との摩擦に遮られて付勢作動を阻止された状態を保持しつつ、開放作動時には作動制止のロックが解除されて付勢機構により瞬時に開放作動する。
【0019】
実施形態において、アーム本体10は、基礎アーム12と作動アーム14の2個のアームを有し、各アームの一端側が共通の弦巻ばね16に連結されている。基礎アーム12と作動アーム14は、一端側を弦巻ばね16の端部にそれぞれ一体連結され、それぞれのアームの他端側は自由端とされる。各アーム12,14は、弦巻ばね16により開閉移動するように設定されている。
【0020】
弦巻ばね16は、断面円形や長方形の金属、複合材料、プラスチック等からなる素線をコイル状に巻いたばね機構であり、本実施形態において、コイルの中心線まわりにねじりモーメントを受ける金属製のねじりコイルばねが用いられている。
【0021】
図1において、基礎アーム12は罠のセット時には土中に埋設され作動アーム14が作動する際に付勢力を支持する。基礎アーム12は、罠を仕掛ける際にアームの長手を地面に沿うようにして土中(地表から数センチメール~数十センチメートル程度)に埋設される。なお、
図1は捕獲罠装置の罠を仕掛けてまさに動物等の踏抜動作を待っている状態を示している。罠を仕掛けた状態は仕掛ける現地の場所にもよるが基礎アーム12と作動アーム14の基部側の角度とは平行ではなく例えば30度程度の角度でセットされる場合が通常である。この角度は現地の地勢状態により変動する。
図1は、作動前の各アームの状態の理解を容易にするために各アームを平行に表示しているが、実際に仕掛けた状態での角度変化は様々の態様があり得る。
【0022】
作動アームは、弦巻ばね16の他の端部に一端側を一体連結され、弦巻ばね16を中心に基礎アーム12に対して先端側が近接、離開自在に設けられ、かつ弦巻ばねにより弦巻ばねとの接合部分を中心に常時離開方向に付勢されている。
【0023】
捕獲ロープ20は、後述する踏抜装置50と協働して動物の仕掛け罠100を形成する直接の捕獲具であり、捕獲ロープ20は強度の点から数ミリメートル程度の直径のワイヤロープが好適であり、実施形態では4ミリメートル直径のワイヤロープが用いられている。捕獲ロープ20は、作動アーム14の先端側と基礎アーム12とに係合する。すなわち、捕獲ロープ20は、付近の構造物等に一端を固定し、その先端側を仕掛け罠100用の捕獲具として用いられる。実施形態において、例えば付近の立木21の幹に捕獲ロープの一端側を巻着け締結して固定して固定側21fとし、他端側を延設させて仕掛け罠100を構成している。
【0024】
図1、
図3において、固定側21fから延長した捕獲ロープ20は、その一部が基礎アーム12に係合し、さらにその延長部分が作動アーム14に係合しつつ先端部のループ部分で動物の脚等を捕獲する。
【0025】
捕獲ロープ20は可動固定部30において、基礎アーム12と係合する。可動固定部30は、捕獲ロープ20を基礎アーム12の任意の位置で固定する固定手段であり、可動固定部30は、基礎アーム21に貫通されてその長手方向に沿って移動自在であるとともに、捕獲ロープを挿通させる図示しない挿通孔を有する移動機体31と、捕獲ロープと基礎アームに対する移動機体31を所要の位置でロック固定する固定ビス・蝶ナット等からなる締結装置32と、を含む。なお、
図1中33は、ロープの中間接続部である。中間接続部33より固定端側21fの捕獲ロープは繊維ロープでもよい。可動固定部30は基礎アーム12と作動アーム14間の捕獲ロープの長さを任意に設定して踏抜装置50にセットしアーム本体10を閉縮維持した状態で制止位置と状態を調整させる。すなわち、可動固定部30自体が基礎アーム12に沿って移動可能であり基礎アーム12の長手方向任意の位置で適度の緊張状態で捕獲ロープ20を基礎アーム12に対して固定させる。
【0026】
捕獲ロープ20は立木への固定側21fから連続する索条体であるが固定側から基礎アーム12の任意の位置で係合し、さらにその延長端側が作動アーム14の自由端先端側に設置された係合部35において係合する。実施形態において、作動アーム14の先端部分には転動ローラ機構36が取り付けられている。転動ローラ機構36は、捕獲ロープ20を作動アーム14の先端部分での係合移動時に円滑にローラとの間で挟装させて捕獲ロープ20を通係させる通係手段であり、該転動ローラ機構36は作動アーム14の先端部分に固定された軸支部37と軸支部37の支軸に回動自在に取り付けられた案内溝39付きのローラ38と、を含む。そして、可動固定部30からさらに延長した捕獲ロープ20は作動アーム14の先端部分とローラ38の案内溝との間である案内溝に係合しつつ作動アーム14のさらに先端側に引き出される。なお、
図3中15は装置搬送時等に用いられる閉縮状態保持用の安全装置である。
【0027】
図2、3において、作動アーム14の先端部から延長する捕獲ロープ20は捕獲輪形成機構40に係合しつつロープの端部において仕掛け罠100のセット状態において動物の脚等の捕獲用リング100rを形成する。
【0028】
図2において、捕獲輪形成機構40は、機体に捕獲ロープの先端側を止めた状態でロープの他端側で輪を形成しその他端側を機体の他の部分に通係させて作動アームの先端部分側からさらに延長する捕獲ロープの先端側で捕獲輪を形成する手段である。実施形態において、捕獲輪形成機構40は、機体としてのコ字板状の金具41と、コ字板の隣接2側板に設けた通係孔42と、を備えている。そして、作動アーム14側から延長した捕獲ロープは金具41の通係孔42を通係し、さらに該ロープの先端は金具41の他部に設けた止め孔43を通して端部に加締め拡大部を形成して抜け止め連結している。捕獲ロープ20がワイヤロープの場合、金具41の通係孔42を挿通してロープが移動する際、金具とワイヤロープとの摩擦や当接角度等の具合によりある程度の抵抗をもって移動する。
【0029】
捕獲ロープ20の先端側は踏抜装置50と協働して動物の仕掛け罠100を形成する。踏抜装置50は、中空円筒形の受筒51と、受筒より小形の中空円筒体であって受筒51より高さが低く受筒51内に上下移動自在に設けられた踏抜筒52と、を含む。そして、受筒51の上端から少し高い高さで踏抜筒52を配置し、その状態で受筒51の上端から上方に突設した踏抜筒の円筒部分に捕獲輪形成機構40の捕獲輪を絞って係止させ、この状態で仕掛け罠100をセットする。
【0030】
本発明において、一つの特徴的なことは、土中の基礎アーム12の先端側に取り付けられた支持手段90を設けたことである。支持手段90は、作動アーム14の開作動時に付勢作動を支持する。支持手段90は、基礎アーム12の断面サイズより大きな部位を有する基台91であり、実施形態において、長矩形の軽金属箱体91aが基礎アーム12の先端に固定されている。軽金属箱体91aは、基礎アーム12の断面サイズより大きな高さと幅を側面に有する直方体形状の立体物であり、内部に適宜の金属部材等が収容されている。実施形態において、上下面を地面に平行となるように配置し、厚み側の側壁の略中央に基礎アーム12の先端が固着されている。これによって、土中で基礎アーム12が安定し、かつ、作動アームの作動付勢力を確実に支持するのでアームが暴れて動物を捕捉できなかったり、作動アームの作動を遅延させることがなく、踏抜き装置の捕獲ロープを効率よく絞る方向に力を働かせ得る。実施形態の例に限らず、支持手段90は、中実の金属製で円筒、円柱、その他任意の立体形状であるとよい。また、剛性の構造でなくとも、基礎アーム12の先端側に連結固定されて作動アームの付勢力を支持させ得るものであれば、柔軟性を有する不定形の埋設物であってもよい。さらに、図示しないが支持手段90は、基礎アーム12の先端部分に対して差し込み、螺合、挟み付けその他の方法により着脱交換自在に取り付けられると付勢力調整や装置全体の軽量化のための重量調整等を簡単に行えて好ましい。基台91が対向する2面を有する平板状台の場合、各面は地面に略平行な状態で基礎アーム12の先端に固定させることにより、作動アームの作動方向が地面に直交する方向に近くなるか、又は作動方向が安定するので好ましい。
【0031】
さらに、捕獲ロープ20の一端側は、弦巻ばねのコイル孔16aに接続した環状索条60に連携されている。実施形態において、環状索条60は、弦巻ばねのコイル孔16aを通してリング状に形成されており、この環状索条60のリングの内側を捕獲ロープ20が通係している。これによって、作動アーム14の作動により捕獲罠装置全体が大きく飛ばされるような力を受けても捕獲ロープ20の近傍に装置全体は留められて回収を確実に行える。
【0032】
次に、図を参照しつつ本発明の捕獲罠装置1の実施形態の作用について説明すると、
図1は捕獲罠装置1をセットした状態の説明図であり、野生動物による知覚を避けるためアーム本体はほとんど土中に埋設されるか、あるいは一部埋設で装置の露出部分に木切れや植物の葉Gや泥などを被せて装置全体は目に触れないように隠してセットされる。
【0033】
仕掛け罠100のセット状態では、受筒51から数センチメートル程度踏抜筒52の上端を突出させた状態でその突出部分において、捕獲輪形成機構40のコ字状金具41から引き出して形成した捕獲用ロープ20の捕獲用リング100rを周囲に掛け回し可動固定部30との間である程度のロープの緊張状態で保持させる。踏抜筒52は通常は受筒51内で落下して着底するが、捕獲用ロープ20が上端側に掛け回されている状態では該ロープの直径ぶんの突出部分のために落下が制止されている。なお、この際、爪楊枝のような小係止杆を用いて予め設けた通し溝等に差し入れて落下作動調整を行えるようにしてもよい。
【0034】
この状態で動物が踏抜装置50の踏抜筒52上を通過する際、踏抜筒52上に脚等が載り捕獲ロープ20の捕獲用リング100rと踏抜筒52とによる係止力を上回る荷重がかかると踏抜筒52は下方に落下し、このとき弦巻ばね16による開方向付勢力のため作動アーム14の先端側が基礎アーム12の先端側から離開方向に強い力で瞬間的に開作動する。すると、
図4に示すように動物の脚Lを周回させた状態の捕獲用リング100rが輪の径を急激に絞りながら脚を捕捉する。作動アーム14は最終的には、
図5に示すように弦巻ばね16部分を中心に開放し、この状態でロープの捕獲用リング100rを最小に絞り込み動物の脚を確実に捕捉する。
【0035】
動物の脚の荷重により踏抜筒52が落下し作動アーム14が作動する際、支持手段90の基台91は作動アーム14の開作動の反作用を確実に受け、作動アームの付勢力を支持する。支持手段としての基台91は、基礎アーム12の断面サイズより大きな部位を有するため、地中にあって作動アームからの反発力を確実に受け止め弦巻ばね16の大きなばね付勢作用を生起させて作動アームを作動させるため、踏抜装置の作動から作動アームの開作動時間が大幅に縮小され捕獲対象動物を確実に捕獲することが可能である。
【0036】
以上説明した捕獲罠装置は、構造が簡単で低コストでありながら無駄のないアームの迅速作動により野生動物等の捕獲率を飛躍的に向上させることができる。
【0037】
以上説明した本発明の捕獲罠装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において行った任意の改変も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の捕獲罠装置は、農作物被害の野生動物に限らず、生きた状態で捕獲可能であるから、動物の保護管理のための捕獲、その他任意の目的の動物の捕獲に用いて
利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 捕獲罠装置
10 アーム本体
12 基礎アーム
14 作動アーム
16 弦巻ばね
20 捕獲ロープ
30 可動固定部
36 転動ローラ機構
38 ローラ
40 捕獲輪形成機構
50 踏抜装置
52 踏抜筒
90 支持手段
91 基台
100 仕掛け罠
L 動物の脚