(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023677
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】回路基板、保護カバーおよび回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220201BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
H01L23/12 Z
H05K1/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126786
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100163876
【弁理士】
【氏名又は名称】上藤 哲嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100187045
【弁理士】
【氏名又は名称】梅澤 奈菜
(72)【発明者】
【氏名】深江 友則
(72)【発明者】
【氏名】倉光 康太
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338BB02
5E338BB12
5E338EE21
5E338EE31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ベアチップを搭載した回路基板をケースに固定する際で生じる撓みを回避できる保護カバーおよび回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ベアチップが搭載されている回路基板11には、ベアチップの搭載されている搭載面の外縁及び中央部に複数の貫通孔23-1~23-9が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のベアチップが搭載されている回路基板(11)であって、
前記回路基板は、板状の絶縁体であり、
前記複数のベアチップの搭載されている導体の配線が施された搭載面の外縁及び中央部に貫通孔(23)が設けられており、
前記貫通孔を介してシールドケースに固定されることを特徴とする、
回路基板。
【請求項2】
前記回路基板の、一辺と薄さのアスペクト比は25以上であり、
前記複数のベアチップは、一辺が3mm以上のフィルタを含むことを特徴とする請求項1の回路基板。
【請求項3】
ネジで固定された回路基板を取り出すための取り出し部(35)が設けられ、
前記取り出し部は、外縁に設けられている切り欠き(32)と、
長手方向の両端部に設けられたスペーサ(34)と、を備え、
前記スペーサにより、前記回路基板の搭載面から保護カバーの裏面までの距離が前記ネジの長さよりも短くなり、ネジの入らない構造となることを特徴とする保護カバー。
【請求項4】
回路基板(11)を位置出し板(12)にネジ(25)で固定し、
前記回路基板上に回路部品(26)を搭載し、
前記回路部品の搭載された前記回路基板を、前記ネジを取り出すための取り出し部(35)が予め設けられている保護カバー(13)で覆い、
前記保護カバーに予め設けられている前記取り出し部から、前記回路基板に固定されている前記ネジを取り外し、
前記保護カバー及び前記位置出し板を前記回路基板から取り外す、
回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記取り出し部は、前記保護カバーの外縁に設けられている切り欠きを含む、
請求項4に記載の回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記ネジは、前記回路基板の搭載面から前記保護カバーの裏面までの距離よりも長い、
請求項4又は5に記載の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5G(第5世代移動通信システム)などによる次世代通信規格の要求によりミリ波回路への需要が高まるとともに、コストを抑えるためにChip on Board(COB)の利用が広がりつつある。COBは回路基板上にベアチップ(Bare Chip)を搭載する技術である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
回路基板上に搭載する回路部品の点数や種類は多く、一枚の回路基板に搭載するにはレイアウト上の制約により、回路基板が大きくならざるを得ない。また、ミリ波帯の伝送特性を維持するために、回路基板は一定の薄さが必要となる。つまり、回路基板の長手方向の長さと基板の薄さのアスペクト比が大きくなるため、回路基板をケースに固定する際に回路基板が撓む問題があった。
【0004】
また、ベアチップは回路部品を搭載完了後に絶縁樹脂やシールドケースを取り付けると保護されるが、回路部品の搭載過程ではベアチップが露出した状態となってしまう。ベアチップの搭載過程ではヒータで回路基板を加熱したり、搭載機に回路基板を設置するための位置出し板が必要となる。そして、その位置出し板への回路基板の固定の為に搭載面からネジの付け外しを行わなければならない。問題は、このネジ着脱時に搭載面にネジを落として破壊してしまうリスクがあることである。ベアチップの故障検知と修理は困難であり、この破壊リスクを回避する方法が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ベアチップを搭載した回路基板をケースに固定する際で生じる撓みを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の回路基板は、
複数のベアチップが搭載されている回路基板であって、
前記回路基板は、板状の絶縁体であり、
前記複数のベアチップの搭載されている導体の配線が施された搭載面の外縁及び中央部に貫通孔が設けられており、前記貫通孔を介してシールドケースに固定されることを特徴とする。
【0008】
本開示の回路基板は、
回路基板の、一辺と薄さのアスペクト比は25以上であり、複数のベアチップは、一辺が3mm以上のフィルタを含むことを特徴とする。
【0009】
本開示の保護カバーは、
ネジで固定された回路基板を取り出すための取り出し部が設けられ、
前記取り出し部は、外縁に設けられている切り欠きと、
長手方向の両端部に設けられたスペーサと、を備え、
前記スペーサにより、前記回路基板の搭載面から前記保護カバーの裏面までの距離が前記ネジの長さよりも短くなり、ネジの入らない構造となることを特徴とする。
【0010】
本開示の回路基板の製造方法は、
回路基板を位置出し板にネジで固定し、
前記回路基板上に回路部品及び配線を搭載し、
回路部品及び配線の搭載された前記回路基板を、前記ネジを取り出すための取り出し部が予め設けられている保護カバーで覆い、
前記保護カバーに予め設けられている前記取り出し部から、前記回路基板に固定されているネジを取り外し、
前記保護カバー及び前記位置出し板を前記回路基板から取り外す。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、本開示は、ベアチップを搭載した回路基板をケースに固定する際で生じる撓みを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本開示に係る回路基板の製造方法の一例を示す。
【
図4】回路基板及び位置出し板の構造の一例を示す。
【
図5】回路基板を位置出し板に固定する工程の一例を示す。
【
図6】回路基板上に回路部品を搭載する工程の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
図1に、本開示の回路基板の一例を示す。本開示の回路基板11は、板状の絶縁体に導体の配線が施されたものであり、プリント基板を含む。回路基板11の搭載面11Aには、複数のベアチップが搭載される。ベアチップは、集積回路、半導体デバイス、抵抗、コンデンサなどの回路部品26及び配線を含む。回路基板11には、回路基板11の4隅を固定する貫通孔23-1、23-3、23-4、23-6に加えて、中央部に貫通孔23-8が設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、回路基板11の搭載面11Aの貫通孔23-1、23-3、23-4、23-6で囲まれる領域内の任意の位置に、回路部品26及び配線を搭載可能である。回路基板11の長手方向の一辺W
11は100mm以上であり、回路基板11の厚さは4mm以下である。回路基板の一辺W
11と基板の薄さのアスペクト比は25以上である。
【0015】
図2に、本開示で用いる治具の一例を示す。本開示は、搭載過程でネジが落下してベアチップを破壊することを防ぐため、治具として保護カバー13を用いる。保護カバー13は、つまみネジ33で位置出し板12に固定される。そして、保護カバー13に開けた取り出し部35-1~35-9から位置出し板12と回路基板11を固定するネジ25-1~25-9の着脱を行う。
【0016】
本開示に係る方法を用いることで、回路基板11に1辺が3mm以上のベアチップを搭載する場合であっても破壊リスクの回避が可能になる。例えば、フィルタとして使用する一辺16mmの薄膜基板の搭載が可能となる。回路基板11の搭載面には、これらのベアチップや薄膜基板が複数点搭載されている。
【0017】
ネジ25-1~25-9による固定は、回路基板11の搭載面の全体に対して行われる。例えば、4本のネジ25-1,25-3,25-4,25-6が回路基板11の四隅を固定する。2本のネジ25-2,25-5が回路基板11の長手方向の端部でありかつ短手方向の中心を固定する。また、1本のネジ25-8が基板11の中央を固定する。
【0018】
本開示では、実施形態の一例として、9本のネジ25-1~25-9を取り出すために、保護カバー13に9つの取り出し部35-1~35-9が設けられている場合を示す。以下の実施形態では、9本のネジ25-1~25-9を区別しない場合はネジ25と表記し、9つの取り出し部35-1~35-9を区別しない場合は取り出し部35と表記する。以下の貫通孔及びネジ穴等においても同様である。
【0019】
図3に、本開示に係る回路基板の製造方法の一例を示す。本開示に係る回路基板の製造方法は、以下の工程S101~S105を備える。
工程S101:回路基板11を位置出し板12にネジ25で固定する(
図4及び
図5)。
工程S102:回路基板11上に回路部品26及び配線を搭載する(
図6)。
工程S103:回路基板11上に保護カバー13を取り付ける(
図2)。
工程S104:ネジ25を取り外す(
図7)。
工程S105:保護カバー13を取り外す(
図8及び
図9)。
本開示は、回路基板11上への回路部品26の搭載が完了した後に、工程S103~S106を実行する。以下、詳細に説明する。
【0020】
(工程S101)
図4に示すように、回路基板11には、ピンホール22が設けられ、位置出し板12にはガイドピン21が設けられている。本工程では、ピンホール22にガイドピン21を係合させ、位置出し板12上に回路基板11を重ね合わせる。これにより、位置出し板12上での回路基板11の位置が定められる。
【0021】
回路基板11及び位置出し板12は平坦である。回路基板11には貫通孔23-1~23-9が設けられ、位置出し板12にはネジ25と係合するネジ穴24-1~24-9が設けられている。本工程では、ネジ穴24-1~24-9にネジ25を係合させる。これにより、
図5に示すように、回路基板11がネジ25で位置出し板12に固定される。回路基板11の4隅を固定する貫通孔23-1、23-3、23-4、23-6に加えて、中央部に貫通孔23-8を設けることで、回路基板11のアスペクト比が増加した場合でもシールドケースに固定する際の回路基板11の撓みを防止することができる。さらに、回路基板11の大きさが増加した場合は、回路基板11の全体に貫通孔を分布させてもよい。
【0022】
回路基板11に設けられている貫通孔は、ネジ25を通すためのものに限定されない。例えば、回路基板11には、ガイドピン21以外のピンホールやスルーホールが設けられていてもよい。
【0023】
(工程S102)
本工程では、
図5に示す回路基板11上に、集積回路、半導体デバイス、抵抗、コンデンサなどの回路部品26及び配線を搭載する。本実施形態では、
図6に示すように、回路基板11のすべての領域に回路部品26及び配線を搭載可能である。特に、ネジ25の近くであっても回路部品26及び配線を搭載可能である。配線は、プリント配線のほか、ワイヤーボンディングによる配線も可能である。
【0024】
(工程S103)
図2に示すように、位置出し板12の長手方向の両端部にはネジ穴31が設けられ、保護カバー13の長手方向の両端部には切り欠き32が設けられている。本工程では、位置出し板12に保護カバー13を重ね、つまみネジ33をネジ穴31に係合させる。
【0025】
保護カバー13が回路部品26に接触しないよう、保護カバー13の長手方向の両端部にはスペーサ34が設けられている。また保護カバー13は、保護カバー13と回路基板11の間にネジ25が入らない構造である。例えば、回路基板11の搭載面から保護カバー13の裏面までの距離は、ネジ25の長さL25よりも短い2mmである。また取り出し部35の内径は、ネジ25のヘッド径φ25Hと略同じである。このため、本開示は、ネジ25によるベアチップの破壊リスクを回避することができる。
【0026】
(工程S104)
図7に示すように、保護カバー13には、ネジ25を取り出すための取り出し部35が設けられている。貫通孔35は、保護カバー13の外縁に設けられた切り欠きであってもよい。本工程では、取り出し部35を用いてすべてのネジ25を取り出す。
【0027】
(工程S105)
図8に示すように、つまみネジ33を外し、保護カバー13を取り外す。これにより、
図9に示すように、回路基板11を取り外すことができる。
【0028】
以上、接続可能したように、本開示は、保護カバー13に開けた取り出し部35から位置出し板12と回路基板11を固定するネジ25の着脱を行うことができる。保護カバー13は、保護カバー13と回路基板11の間にネジ25が入らない構造である。このため、本開示は、この保護カバー13によりベアチップ搭載過程でのネジ25による破壊リスクを回避し、製品品質と歩留りを改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本開示は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
11:回路基板
11A:搭載面
12:位置出し板
13:保護カバー
21:ガイドピン
22:ピンホール
23:貫通孔
24:ネジ穴
25:ネジ
26:回路部品
31:ネジ穴
32:切り欠き
33:つまみネジ
34:スペーサ
35:取り出し部