(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023722
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】変換装置、蓄電モジュールおよび電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220201BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220201BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20220201BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/00 L
H02J7/00 S
H02J1/00 309R
H02J1/00 304H
H02J7/34 B
H02J7/10 H
H02J7/00 302C
H02J7/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126859
(22)【出願日】2020-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】514120531
【氏名又は名称】シオン電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】村野 實
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 真
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸伸
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165EA02
5G165EA06
5G165FA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503DA04
5G503FA17
5G503GB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蓄電池の間の電力移動を比較的小さな出力容量の電力変換装置によって実現する技術を提供する。
【解決手段】発配電システムにおいて、複数の蓄電池110、116の間で電力を移動するための変換装置120は、複数の蓄電池のうち一の蓄電池に接続される第1端子対124と、複数の蓄電池のうち他の蓄電池に接続される第2端子対126と、第3端子対128および第4端子対130を有し、第3端子対および第4端子対の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する絶縁型の変換回路122と、を有する。第1端子対と第3端子対とが並列接続され、第1端子対と第4端子対とが直列接続され、直列接続された第1端子対および第4端子対と第2端子対とが並列接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電池の間で電力を移動するための変換装置であって、
前記複数の蓄電池のうち一の蓄電池に接続される第1端子対と、
前記複数の蓄電池のうち他の蓄電池に接続される第2端子対と、
第3端子対および第4端子対を有し、前記第3端子対および前記第4端子対の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する絶縁型の変換回路と、を有し、
前記第1端子対と前記第3端子対とが並列接続され、
前記第1端子対と前記第4端子対とが直列接続され、
前記直列接続された前記第1端子対および前記第4端子対と前記第2端子対とが並列接続されている
変換装置。
【請求項2】
前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より低く(V1<V2)、前記第1端子対に接続された蓄電池から前記第2端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を正極、他端を負極とし、前記第3端子対を入力端子、前記第4端子対を出力端子として機能させる、第1の構成、
前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より高く(V1>V2)、前記第1端子対に接続された蓄電池から前記第2端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を負極、他端を正極とし、前記第3端子対を出力端子、前記第4端子対を入力端子として機能させる、第2の構成、
前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より高く(V1>V2)、前記第2端子対に接続された蓄電池から前記第1端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を負極、他端を正極とし、前記第3端子対を入力端子、前記第4端子対を出力端子として機能させる、第3の構成、または、
前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より低く(V1<V2)、前記第2端子対に接続された蓄電池から前記第1端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を正極、他端を負極とし、前記第3端子対を出力端子、前記第4端子対を入力端子として機能させる、第4の構成、
の何れかの構成を有する請求項1に記載の変換装置。
【請求項3】
前記第1端子対または前記第2端子対に前記蓄電池を接続した時に生じ得る突入電流を抑制する突入電流抑制手段をさらに有し、
前記突入電流抑制手段が、接続しようとする被接続端子対と接続しようとする接続蓄電池との間に配置されたスイッチ機構であり、前記変換回路において前記被接続端子対の端子間電圧を前記接続蓄電池の出力電圧に一致するよう制御した後、前記スイッチ機構をオン状態にする、第1の構成、
前記突入電流抑制手段が、前記接続蓄電池に流れる電流を計測する電流計と、前記電流計の計測値が漸増または漸減するよう前記変換回路をフィードバック制御するフィードバック回路と、を有する、第2の構成、または、
前記突入電流抑制手段が、前記変換装置同様の直流電力変換装置であり、前記直流電力変換装置と前記接続蓄電池との直列接続電圧が前記被接続端子対の端子間電圧と一致するよう前記直流電力変換装置を制御する、第3の構成、
の何れかの構成を有する請求項1または請求項2に記載の変換装置。
【請求項4】
前記第1端子対または前記第2端子対が、互いに並列接続される複数の蓄電池を接続するものである
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の変換装置。
【請求項5】
前記複数の蓄電池のそれぞれに対応して、前記複数の蓄電池の一つを追加した時に生じ得る突入電流を抑制する突入電流抑制手段をさらに有し、
前記突入電流抑制手段が、追加しようとする被接続端子対と追加しようとする接続蓄電池との間に配置されたスイッチ機構であり、前記変換回路において前記被接続端子対の端子間電圧を前記接続蓄電池の出力電圧に一致するよう制御した後、前記スイッチ機構をオン状態にする、第1の構成、または、
前記突入電流抑制手段が、前記変換装置同様の直流電力変換装置であり、前記直流電力変換装置と前記接続蓄電池との直列接続電圧が前記被接続端子対の端子間電圧と一致するよう前記直流電力変換装置を制御する、第2の構成、
の何れかの構成を有する請求項4に記載の変換装置。
【請求項6】
前記第1端子対または前記第2端子対から出力される電力量を計測する電力量計と、
前記電力量計の計測値が所定の値に達したときに出力される電力量がゼロになるよう前記変換回路を制御する制御装置と、をさらに有する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の変換装置。
【請求項7】
前記制御装置が、出力された電力量に応じた課金情報を出力する
請求項6に記載の変換装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の変換装置と、
前記第1端子対または前記第2端子対に接続された単一または複数の蓄電池と、を有する蓄電モジュール。
【請求項9】
直流電源からの直流電力を直流負荷に供給する直流配電装置と、
請求項8に記載の蓄電モジュールと、を有し、
余剰電力を前記蓄電モジュールに蓄電し、不足電力を前記蓄電モジュールから供給する電力供給システム。
【請求項10】
直流電源からの直流電力を直流負荷に供給する直流配電装置と、
前記直流配電装置からの直流電力を単一または複数の蓄電池に移動するための変換装置と、を有し、
前記変換装置が、
前記直流配電装置からの直流電力を受電する第1端子対と、
前記単一または複数の蓄電池に接続される第2端子対と、
第3端子対および第4端子対を有し、前記第3端子対および前記第4端子対の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する絶縁型の変換回路と、を有し、
前記第2端子対と前記第3端子対とが並列接続され、
前記第1端子対と前記第4端子対とが直列接続され、
前記直列接続された前記第1端子対および前記第4端子対と前記第2端子対とが並列接続されている
電力供給システム。
【請求項11】
商用交流電力を受電し、受電した交流電力を直流電力に変換する交流直流変換装置をさらに有し、
前記直流配電装置が、直流電源からの直流電力に加えて前記交流直流変換装置からの直流電力を配電する
請求項9または請求項10に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換装置、蓄電モジュールおよび電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1は、電気自動車が備える動力用蓄電池と据え置き型の蓄電池との間で電力が移動するのを防止し、電力の移動に伴う損失を抑制することが可能な充放電装置を得ることを目的とする、充放電装置および充放電システムに関する発明を開示する。当該発明では、宅内に設置された据え置き型蓄電池の充電動作および前記据え置き型蓄電池を放電させて負荷に電力を供給する動作を行う蓄電池用充放電器とともに充放電システムを構成し、電気自動車が備える動力用蓄電池の充電動作および前記動力用蓄電池を放電させて前記負荷に電力を供給する放電動作を行う充放電装置であって、前記据え置き型蓄電池と前記負荷との間に流れる電流の値を検出する電流検出部と、前記電流検出部が検出する電流の値に基づいて、前記動力用蓄電池の充電動作および前記動力用蓄電池の放電動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電流の値に基づいて、前記動力用蓄電池と前記据え置き型蓄電池との間で電力移動が発生するかを判定し、前記電力移動が発生する場合は前記充放電装置の動作を変更する、とされている。なお、前記制御部は、前記電力移動が発生し、かつ前記充放電装置が充電動作を実行中の場合は充電動作を停止させ、前記電力移動が発生し、かつ前記充放電装置が放電動作を実行中の場合は放電動作を停止させる、とされている。
【0003】
たとえば、特許文献2は、EVをはじめとする電動車両において、バッテリ劣化を抑制し、長期に渡って車両性能を維持し、バッテリ交換に伴うユーザのコスト負担を低減することを目的とする、バッテリ制御装置に関する発明を開示する。当該発明では、電動車両駆動用バッテリとして、大容量であり、通常のSOC使用域よりも狭い劣化小の領域で使用されるメインバッテリと、小容量であり、通常のSOC使用域の上限値と下限値の間の範囲で使用されるサブバッテリを具備し、メインバッテリのSOCが長寿命化の観点で好適値になる様に、メインバッテリとサブバッテリ間で適宜電力の移動を行い、その際、サブバッテリは定期交換を前提とし、サブバッテリのSOC設定値は、メインバッテリの寿命を優先した設定値とする、とされている。これによって、サブバッテリ搭載分だけ付帯コストは増大するが、メインバッテリの長寿命化により、システムトータルの生涯コストは安くなり、ユーザの負担が低減する、とされている。なお、メインバッテリとサブバッテリとの間で電力を移動させる電力移動手段を備えるとされており、前記電力移動手段として、DCDCコンバータが開示されている。
【0004】
たとえば、特許文献3は、ハイブリッド型車両の重量を小さくすることができるだけでなく、ハイブリッド型車両のコストを低くすることを目的とする、ハイブリッド型車両駆動制御装置、ハイブリッド型車両駆動装置の制御方法及びそのプログラムに関する発明を開示する。当該発明では、第1のバッテリと、第2のバッテリと、第1のバッテリの第1の電源電圧と第2のバッテリの第2の電源電圧との間で電圧を変換する電圧変換部材と、バッテリ環境を検出するバッテリ環境検出部と、前記第1、第2のバッテリのうちの所定のバッテリが所定のバッテリ環境下に置かれたときに、一方のバッテリから他方のバッテリに電力を移動させる電力移動処理手段91とを有する、とされている。この場合、第1、第2のバッテリのうちの所定のバッテリが所定のバッテリ環境下に置かれたときに、一方のバッテリから他方のバッテリに電力が移動させられるので、他方のバッテリにおいて十分な放電を行うことができる、とされている。なお、前記電圧変換部材として、DC/DCコンバータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6548854号公報
【特許文献2】特開2014-147197号公報
【特許文献3】特開2003-299210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3に開示の発明を用いれば、2以上の蓄電池(バッテリ)において、一の蓄電池から他の蓄電池に電力を移動することが可能である。ただし、電力を移動する際には、移動元の蓄電池または移動先の蓄電池の少なくとも一方の電圧または電流を制御する必要があり、当該制御が可能な電力変換装置、たとえばDC/DCコンバータが必要になる。
【0007】
しかし、上記の電力変換装置(DC/DCコンバータ)は、扱う電力量に応じた出力容量が必要であり、たとえば、1kWで電力を移動する場合には、1kWの出力容量を持つ電力変換装置が必要である。このような大電力容量に対応した電力変換装置は一般に高価であり、製品コストが高くなる問題がある。
【0008】
また、電力変換装置の性能によって、効率が制限されてしまうという問題がある。たとえば、最大効率95%の電力変換装置では、95%以上の効率で蓄電池の電力を移動することはできないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、蓄電池の間の電力移動を、比較的小さな出力容量の電力変換装置によって実現する技術を提供することにある。また、蓄電池の間の電力移動を、高効率化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、複数の蓄電池の間で電力を移動するための変換装置であって、前記複数の蓄電池のうち一の蓄電池に接続される第1端子対と、前記複数の蓄電池のうち他の蓄電池に接続される第2端子対と、第3端子対および第4端子対を有し、前記第3端子対および前記第4端子対の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する絶縁型の変換回路と、を有し、前記第1端子対と前記第3端子対とが並列接続され、前記第1端子対と前記第4端子対とが直列接続され、前記直列接続された前記第1端子対および前記第4端子対と前記第2端子対とが並列接続されている変換装置を開示する。
【0011】
前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より低く(V1<V2)、前記第1端子対に接続された蓄電池から前記第2端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を正極、他端を負極とし、前記第3端子対を入力端子、前記第4端子対を出力端子として機能させる、第1の構成、前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より高く(V1>V2)、前記第1端子対に接続された蓄電池から前記第2端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を負極、他端を正極とし、前記第3端子対を出力端子、前記第4端子対を入力端子として機能させる、第2の構成、前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より高く(V1>V2)、前記第2端子対に接続された蓄電池から前記第1端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を負極、他端を正極とし、前記第3端子対を入力端子、前記第4端子対を出力端子として機能させる、第3の構成、または、前記第1端子対の端子間電圧V1が前記第2端子対の端子間電圧V2より低く(V1<V2)、前記第2端子対に接続された蓄電池から前記第1端子対に接続された蓄電池に電力を移動しようとする場合、前記変換回路において、前記第1端子対の負極側に接続される前記第4端子対の一端を正極、他端を負極とし、前記第3端子対を出力端子、前記第4端子対を入力端子として機能させる、第4の構成、の何れかの構成を有することができる。
【0012】
前記第1端子対または前記第2端子対に前記蓄電池を接続した時に生じ得る突入電流を抑制する突入電流抑制手段をさらに有し、前記突入電流抑制手段が、接続しようとする被接続端子対と接続しようとする接続蓄電池との間に配置されたスイッチ機構であり、前記変換回路において前記被接続端子対の端子間電圧を前記接続蓄電池の出力電圧に一致するよう制御した後、前記スイッチ機構をオン状態にする、第1の構成、前記突入電流抑制手段が、前記接続蓄電池に流れる電流を計測する電流計と、前記電流計の計測値が漸増または漸減するよう前記変換回路をフィードバック制御するフィードバック回路と、を有する、第2の構成、または、前記突入電流抑制手段が、前記変換装置同様の直流電力変換装置であり、前記直流電力変換装置と前記接続蓄電池との直列接続電圧が前記被接続端子対の端子間電圧と一致するよう前記直流電力変換装置を制御する、第3の構成、の何れかの構成を有することができる。
【0013】
前記第1端子対または前記第2端子対が、互いに並列接続される複数の蓄電池を接続するものとすることができる。この場合、前記複数の蓄電池のそれぞれに対応して、前記複数の蓄電池の一つを追加した時に生じ得る突入電流を抑制する突入電流抑制手段をさらに有し、前記突入電流抑制手段が、追加しようとする被接続端子対と追加しようとする接続蓄電池との間に配置されたスイッチ機構であり、前記変換回路において前記被接続端子対の端子間電圧を前記接続蓄電池の出力電圧に一致するよう制御した後、前記スイッチ機構をオン状態にする、第1の構成、または、前記突入電流抑制手段が、前記変換装置同様の直流電力変換装置であり、前記直流電力変換装置と前記接続蓄電池との直列接続電圧が前記被接続端子対の端子間電圧と一致するよう前記直流電力変換装置を制御する、第2の構成、の何れかの構成を有することができる。
【0014】
前記第1端子対または前記第2端子対から出力される電力量を計測する電力量計と、前記電力量計の計測値が所定の値に達したときに出力される電力量がゼロになるよう前記変換回路を制御する制御装置と、をさらに有することができる。また、前記制御装置が、出力された電力量に応じた課金情報を出力することができる。課金情報は、単位電力量の単価を決めておき、出力された電力量に単価を乗算して計算してもよい。また、前記第1端子対または前記第2端子対から出力される電力量について、一定の時間毎に一定の電力量を移動させるように決めておき、移動させた時間から課金情報を計算してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、前記した変換装置と、前記第1端子対または前記第2端子対に接続された単一または複数の蓄電池と、を有する蓄電モジュールを提供する。
【0016】
本発明の第3の態様においては、直流電源からの直流電力を直流負荷に供給する直流配電装置と、前記した蓄電モジュールと、を有し、余剰電力を前記蓄電モジュールに蓄電し、不足電力を前記蓄電モジュールから供給する電力供給システムを提供する。なお、直流電源として、太陽電池等の直流発電装置を例示することができる。
【0017】
本発明の第4の態様においては、直流電源からの直流電力を直流負荷に供給する直流配電装置と、前記直流配電装置からの直流電力を単一または複数の蓄電池に移動するための変換装置と、を有し、前記変換装置が、前記直流配電装置からの直流電力を受電する第1端子対と、前記単一または複数の蓄電池に接続される第2端子対と、第3端子対および第4端子対を有し、前記第3端子対および前記第4端子対の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する絶縁型の変換回路と、を有し、前記第2端子対と前記第3端子対とが並列接続され、前記第1端子対と前記第4端子対とが直列接続され、前記直列接続された前記第1端子対および前記第4端子対と前記第2端子対とが並列接続されている電力供給システムを提供する。
【0018】
前記した電力供給システムにおいて、交流電力を受電し、受電した交流電力を直流電力に変換する交流直流変換装置をさらに有し、前記直流配電装置が、直流電源からの直流電力に加えて前記交流直流変換装置からの直流電力を配電してもよい。なお、受電する交流電力は、たとえば交流発電機によって発電された交流電力であってもよく、電力会社等によって配電される商用交流電力であってもよい。また、交流電力を受電し、受電した交流電力を直流電力に変換する交流直流変換装置は、複数であってもよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】発配電システム100の一例を示すブロック図である。
【
図2】変換装置120の詳細を示すブロック図である。
【
図7】蓄電モジュール150の詳細を示すブロック図である。
【
図8】変換装置120の第2端子対126に複数の蓄電池が並列接続される例を示すブロック図である。
【
図9】変換装置120の第2端子対126に複数の蓄電池が並列接続される例を示すブロック図である。
【
図10】変換装置120の変更例を示すブロック図である。
【
図11】発配電システム200の一例を示すブロック図である。
【
図12】変換装置220の詳細を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、発配電システム100の一例を示すブロック図である。発配電システム100は、電力供給システム102を有し、電力供給システム102は、直流電源104あるいは交流電力106から電力を受電し、直流負荷108に直流電力を配電する。また、電力供給システム102は、第2蓄電池110に直流電力を給電し、第2蓄電池110からの直流電力を受電する。直流電源として、たとえば太陽電池等の直流発電装置を挙げることができる。また、交流電力106として、たとえば電力会社等から受電する商用交流電力を挙げることができる。なお、交流電力106は、発配電システム100に必須の構成要件ではない。
【0023】
電力供給システム102は、直流配電装置112、交流直流変換装置114、第1蓄電池116および変換装置120を有する。交流直流変換装置114は、交流電力106からの電力を受電し、受電した交流電力を直流電力に変換する。第1蓄電池116は、余剰の直流電力が発生した場合にこれを蓄電し、不足が生じた場合には蓄電した直流電力を放電することで不足電力を補う。なお、交流電力106を受電しない場合、交流直流変換装置114は、必須の構成要件ではない。
【0024】
直流配電装置112は、直流電源104からの直流電力を直流負荷108に供給する。直流電源104が太陽電池である場合、直流配電装置112は、太陽電池からの出力電力を最大化する機能を有する。交流電力106を受電する場合、直流配電装置112は、直流電源104からの直流電力と交流直流変換装置114からの直流電力とを統合し、直流負荷108に供給する。さらに、直流配電装置112は、余剰電力を第1蓄電池116に給電し、不足電力を第1蓄電池116から受電して直流負荷108に供給する。
【0025】
図2は、変換装置120の詳細を示すブロック図である。変換装置120は、複数の蓄電池の間、本例においては、第1蓄電池116と第2蓄電池110との間で直流電力を移動するための電力変換装置である。変換装置120は、変換回路122、第1端子対124および第2端子対126を有する。第1端子対124は、第1蓄電池116に接続され、第2端子対126は、第2蓄電池110に接続されている。第1蓄電池116は、複数の蓄電池のうち一の蓄電池の例であり、第2蓄電池110は、複数の蓄電池のうち他の蓄電池の例である。
【0026】
変換回路122は、第3端子対128および第4端子対130を有し、第3端子対128および第4端子対130の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する。なお、第3端子対128と第4端子対130とは絶縁されている。また、第1端子対124と第3端子対128とは並列接続され、第1端子対124と第4端子対130とは直列接続され、直列接続された第1端子対124および第4端子対130と第2端子対126とは並列接続されている。
【0027】
図3は、変換回路122の一例を示す回路図である。変換回路122は、一般的な双方向絶縁型DCDCコンバータ回路であり、フライバックコンバータ回路とすることができる。Q1~Q8は電界効果トランジスタ(FET)であり、Q1~Q8の寄生ダイオードおよびゲート駆動回路は省略している。
【0028】
変換回路122は、Q1~Q8のON/OFF周期、ON/OFF時間比率、タイミングを制御することで、入力された電力に対し、昇圧、降圧、出力反転が可能である。また、変換回路122は、左右対称であることから、右側のブリッジ回路から電力を入力し、左側の回路から電力を取り出すことも、逆に、左側のブリッジ回路から電力を入力し、右側の回路から電力を取り出すことも可能である。出力電圧または出力電流をフィードバックに使うことにより、定電圧出力あるいは定電流出力とすることが可能である。同様に、入力電圧または入力電流をフィードバックに使うことで、入力電圧を定電圧に保つこと、または、入力電流を定電流に保つことも可能である。
【0029】
変換回路122は、たとえば、以下のように動作させることができる。
・Q1,Q2,Q3,Q4およびQ5,Q6,Q7,Q8をすべてOFFにすることで、右側と左側の回路は直流的にも交流的にも完全に切り離される。
・Q1,Q4をONにし、Q2,Q3をOFFにする動作と、Q2,Q3をONにし、Q1,Q4をOFFにする動作とを繰り返すことで、VT1に方形波を与え、トランスを経由してVT2に起電力を発生することができる。このとき、VT2の電圧の極性に合わせ、「+」で示している側が正の電圧になった時に、Q6,Q7をON、Q5,Q8をOFFにし、「+」で示している側が負の電圧になった時に、Q5,Q8をON、Q6,Q7をOFFにすることで、T1を+、T2を-の電圧とすることができる。ON/OFFを逆にすると、T1およびT2にあらわれる電圧の極性を逆にすることができる。
・本回路は左右対称であるので、Q1,Q2,Q3,Q4で行った操作をQ5,Q6,Q7,Q8で行い、Q5,Q6,Q7,Q8で行った操作をQ1,Q2,Q3,Q4で行うことで、逆方向(回路右側から左側へ)の電力移動が可能になる。
【0030】
変換回路122が、二つの端子対(第3端子対128、第4端子対130)の一方への入力を電圧制御または電流制御して他方に出力するものであり、第1端子対124、第2端子対126、第3端子対128、第4端子対130を上記のように接続することで、変換回路122を、第1端子対124または第2端子対126に接続される蓄電池の補助電源として機能させることが可能になる。つまり、第1端子対124に接続される第1蓄電池116の電圧と、第2端子対126に接続される第2蓄電池110の電圧が相違する場合であっても、両蓄電池の電圧差に相当する電圧を変換回路122によって補償し、両蓄電池を安全に接続することが可能になる。
【0031】
また、変換回路122の出力電圧または出力電流を制御し、変換回路122の何れの端子対を入力あるいは出力とするかを制御することで、両蓄電池間の充放電(充電方向)を制御することが可能になる。
【0032】
表1は、第1蓄電池116の電圧V1および第2蓄電池110の電圧V2の大小関係と電力移動方向(充電方向)が所与の場合に、第4端子対130(TP4)の各端子(T1、T2)の極性と、第3端子対128(TP3)および第4端子対130(TP4)を入力または出力の何れとして機能させるかを示した表である。
【表1】
【0033】
第1端子対124の端子間電圧V1が第2端子対126の端子間電圧V2より低く(V1<V2)、第1端子対124に接続された第1蓄電池116から第2端子対126に接続された第2蓄電池110に直流電力を移動(BAT1→BAT2)しようとする構成1の場合、変換回路122において、第1端子対124の負極側に接続される第4端子対130の一端(T1)を正極、他端(T2)を負極とし、第3端子対128を入力端子、第4端子対130を出力端子として機能させればよい。
【0034】
このように変換回路122を動作させることで、V1の足りない電圧を変換回路122によって補うことができる。すなわち、第1蓄電池116から第2蓄電池110に電力移動するに必要な電圧の不足分(第1蓄電池116における出力電圧の不足分)を変換回路122の出力電圧(第4端子対130(TP4)の電圧)によって補う、言わば、変換回路122による電圧アシストを行うことができる。
【0035】
第1端子対124の端子間電圧V1が第2端子対126の端子間電圧V2より高く(V1>V2)、第1端子対124に接続された第1蓄電池116から第2端子対126に接続された第2蓄電池110に直流電力を移動(BAT1→BAT2)しようとする構成2の場合、変換回路122において、第1端子対124の負極側に接続される第4端子対130の一端(T1)を負極、他端(T2)を正極とし、第3端子対128を出力端子、第4端子対130を入力端子として機能させればよい。
【0036】
このように変換回路122を動作させることで、V1の高すぎる電圧を変換回路122によって減少させ、同時に減少させた分の電力を戻す(減少させた分に相当する電力を移動させない)ことができる。これにより、第1蓄電池116から第2蓄電池110への電力移動を無駄なく行うことができる。
【0037】
第1端子対124の端子間電圧V1が第2端子対126の端子間電圧V2より高く(V1>V2)、第2端子対126に接続された第2蓄電池110から第1端子対124に接続された第1蓄電池116に直流電力を移動(BAT2→BAT1)しようとする構成3の場合、変換回路122において、第1端子対124の負極側に接続される第4端子対130の一端(T1)を負極、他端(T2)を正極とし、第3端子対128を入力端子、第4端子対130を出力端子として機能させればよい。
【0038】
このように変換回路122を動作させることで、V2の電圧に変換回路122の出力電圧を加えることができ、V2の足りない電圧を変換回路122によって補うことができる。なお、本構成3の場合、変換回路122の出力(第4端子対130(TP4)から出力される電力)が変換回路122の入力(第3端子対128(TP3)に入力される電力)の一部として使われるため、変換回路122の出力が開始されるまで、変換回路122の入力には第2蓄電池110からの電力が供給されないが、このような場合であっても、第1蓄電池116からの電力が変換回路122の入力に供給されるため、特に問題なく動作が開始される。変換回路122の動作後は、第2蓄電池110からの電力が変換回路122の入力(第3端子対128(TP3))供給され、第1蓄電池116への直流電力の移動が行われる。
【0039】
第1端子対124の端子間電圧V1が第2端子対126の端子間電圧V2より低く(V1<V2)、第2端子対126に接続された第2蓄電池110から第1端子対124に接続された第1蓄電池116に直流電力を移動(BAT2→BAT1)しようとする構成4の場合、変換回路122において、第1端子対124の負極側に接続される第4端子対130の一端(T1)を正極、他端(T2)を負極とし、第3端子対128を出力端子、第4端子対130を入力端子として機能させればよい。
【0040】
このように変換回路122を動作させることで、V2の高すぎる電圧を変換回路122によって減少させ、同時に、減少させた分の電力をあわせて第1蓄電池116に移動することができる。
【0041】
上記構成1~4の何れかの構成のように変換回路122を機能させることで、第1蓄電池116の電圧V1と第2蓄電池110の電圧V2に差があったとしても、当該電圧差(|V1-V2|)に適応して、第1蓄電池116から第2蓄電池110への電力移動(BAT1→BAT2)あるいは第2蓄電池110から第1蓄電池116への電力移動(BAT2→BAT1)を実現するよう変換装置120を制御できる。
【0042】
また、変換装置120を用いることで、第1蓄電池116から第2蓄電池110への電力移動(BAT1→BAT2)あるいは第2蓄電池110から第1蓄電池116への電力移動(BAT2→BAT1)の効率を高めることができる。
【0043】
たとえば構成1(V1<V2、BAT1→BAT2)の場合、T1は正極、T2は負極、第4端子対130は出力、第3端子対128は入力として機能する。第1蓄電池116から出力される全電力をP1、変換回路122の入力電力をP3、変換回路122の出力電力をP4、第2蓄電池110に供給される電力をP2とすると、
P2=P1-P3+P4 …(数1)
ここで、変換回路122の効率をXとすれば、P3×X=P4であり、Xを右辺に移項すれば、
P3=P4/X …(数2)
数2を数1に代入し、η=(1-X)/X、とすれば、
P2=P1-η×P4
P1=P2+η×P4 …(数3)
一方、第1蓄電池116から第2蓄電池110への電力移動(BAT1→BAT2)の効率Eは、E=P2/P1であるから、数3を代入して、
E=P2/(P2+η×P4) …(数4)
変換回路122の第4端子対130側に流れる電流をIとすると、P2=V2×I、P4=V4×I、V4=V2-V1、であるから、数4に代入すれば、
E=(V2×I)/(V2×I+η×(V2-V1)×I)
=1/(1+η×(1-V1/V2)) …(数5)
となる。
【0044】
具体的な数値として、たとえば、第1蓄電池116の電圧V1=300V、第2蓄電池110の電圧V2=310V、第2蓄電池110に流れる電流I=10A、変換回路122の効率X=0.95を仮定すれば、ηの定義および数5から
η=(1-0.95)/0.95=0.0526
E=1/(1+0.0526×(1-300/310))
≒0.9983
となり、損失は、1%以下になる。
図13に示す従来の接続方式の場合、第1蓄電池116と第2蓄電池110とを変換回路122を介して接続する。この場合、効率は変換回路122の効率である0.95となる。5%程度の損失が発生していた従来と比較すると、本実施の形態の変換装置120を用いることで、効率を大幅に改善できることが判る。なお、構成2~4においても同様の計算で、大幅に効率が改善されることが判る。また、数5より、第1蓄電池116の電圧V1と第2蓄電池110の電圧V2の電圧が近いほどEは1に近づく(効率が高くなる)ことがわかる。本手法は、電力を移動する元の蓄電池と移動先の蓄電池の電位差が小さく、それぞれの電圧が高い構成のときに特に効果を発揮することがわかる。
【0045】
また、必要とされる変換回路122の容量についても、本実施の形態の変換装置120によれば小さくできる。すなわち、上記仮定の数値において、変換回路122の出力電圧V4は、V4=V2-V1=10[V]であり、電流I=10[A]、なので、変換回路122の出力電力P4は、P4=V4×I=100[W]で済む。一方、従来の変換装置であれば、第2蓄電池110への入力電力P2=V2×I=3100[W]を変換する必要があるので、それに見合った耐圧の部品を使用する必要があり、製品コストが高くなる問題がある。これに対し、本実施の形態の変換装置120では変換回路122の容量を小さくでき、使用部品のコストも低く抑えることができるので、製品コストを下げることが可能になる。
【0046】
上記した通り、本実施の形態の変換装置120によれば、電圧の異なる二つの蓄電池(第1蓄電池116、第2蓄電池110)の間の電力移動を、極めて効率よく行うことができ、製品コストも低く抑えることができる。また、本実施の形態の電力供給システム102では、余剰電力を第1蓄電池116に充電し、不足電力を第1蓄電池116から補充できるうえ、第2蓄電池110を設置すれば、第1蓄電池116と第2蓄電池110との間で電力を移動し、第2蓄電池110を外部充電池として機能させることができる。
【0047】
上記した実施の形態では、変換装置120に既に第1蓄電池116および第2蓄電池110が接続されている場合の例を説明したが、変換装置120に新たに第1蓄電池116または第2蓄電池110を接続しようとする場合、接続しようとする蓄電池と端子対の間に電圧差があれば、接続の際に突入電流が発生し好ましくない。このような場合の対策として、変換装置120には、第1端子対124と第1蓄電池116との間、または、第2端子対126と第2蓄電池110との間に、突入電流を抑制する突入電流抑制手段を備えることができる。
【0048】
図4は、変換装置120の変更例である変換装置140を示すブロック図であり、上記した突入電流抑制手段としてスイッチを用いた場合の例を示す。
図4に示す変換装置140は、変換装置120の第2端子対126と第2蓄電池110との間にスイッチSW2を配置した例である。この場合、第2端子対126が「接続しようとする被接続端子対」であり、第2蓄電池110が「接続しようとする接続蓄電池」である。第2端子対126に第2蓄電池110を接続しようとする場合、変換回路122は、第2端子対126(被接続端子対)の端子間電圧を、第2蓄電池110(接続蓄電池)の出力電圧に一致するよう制御し、その後、スイッチ機構SW2をオン状態にする。スイッチSW2を備え、変換回路122を上記のように制御することで、突入電流を発生することなく、第2蓄電池110を安全に接続することができる。なお、第1端子対124に第1蓄電池116を接続しようとする場合も、同様に、第1端子対124と第1蓄電池116との間にスイッチを設けることができる。
【0049】
図5は、変換装置120の別の変更例である変換装置142を示すブロック図であり、上記した突入電流抑制手段としてフィードバック回路を用いた場合の例を示す。
図5に示す変換装置142は、接続蓄電池である第2蓄電池110に流れる電流を計測する電流計144aと、電流計144aの計測値が漸増または漸減するよう変換回路122をフィードバック制御するフィードバック回路144bと、を有する。フィードバック回路144bを構成することで、突入電流を発生することなく、第2蓄電池110を安全に接続することができる。なお、第1端子対124に第1蓄電池116を接続しようとする場合も、第1端子対124の側に同様なフィードバック回路を構成し、第1蓄電池116への突入電流を防止できる。
【0050】
図6は、変換装置120のさらに別の変更例である変換装置146を示すブロック図であり、上記した突入電流抑制手段として直流電力変換装置148を用いた場合の例を示す。
図6に示す直流電力変換装置148は、変換装置120と同様の直流電力を変換する装置であり、第2端子対126と第2蓄電池110との間に設けられる。また、直流電力変換装置148の変換回路122と接続蓄電池との直列接続電圧が被接続端子対の端子間電圧と一致するよう直流電力変換装置148を制御する。直流電力変換装置148の制御および動作は、変換装置120と同様である。直流電力変換装置148を備えることで、突入電流を発生することなく、第2蓄電池110を安全に接続することができる。なお、変換装置120における第1端子対124に第1蓄電池116を接続しようとする場合も、同様に、第1端子対124と第1蓄電池116との間に直流電力変換装置を設けることができる。
【0051】
なお、
図6に示す直流電力変換装置148および第2蓄電池110は、蓄電モジュール150として把握することも可能である。
図7は、蓄電モジュール150の詳細を示すブロック図である。蓄電モジュール150は、蓄電池152および変換回路154を有する。変換回路154は変換回路122と同様である。変換回路154の入力には蓄電池152からの電力が入力され、変換回路154の出力は蓄電池152と直列接続される。すなわち、蓄電モジュール150は、上記した変換装置120と、当該変換装置120の第1端子対124または第2端子対126に接続された単一または複数の蓄電池(第1蓄電池116または第2蓄電池110)と、を有するものと同等と言える。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1蓄電池116および第2蓄電池110がそれぞれ単一の場合を説明したが、第1蓄電池116および第2蓄電池110の一方または両方は複数であっても良い。つまり、第1端子対124または第2端子対126が、互いに並列接続される複数の蓄電池を接続するものであっても良い。なお、複数の蓄電池を互いに並列接続しようとする場合、両蓄電池間に電圧差があれば、接続の際に突入電流が発生し好ましくない。このような場合の対策として、当該複数の蓄電池のそれぞれに対応して、突入電流を抑制する突入電流抑制手段を備えることができる。
【0053】
図8は、第2端子対126に複数の蓄電池が並列接続される例を示すブロック図であり、上記した突入電流抑制手段としてスイッチを用いた場合の例を示す。追加しようとする被接続端子対(第2端子対126)と追加しようとする接続蓄電池(第2蓄電池110-2、第3蓄電池110-3、第n蓄電池110-n)との間にスイッチ機構(SW2、SW3、SWn)が配置されている。この場合、既に接続されている蓄電池の端子対(被接続端子対)の端子間電圧を、接続しようとする接続蓄電池の出力電圧に一致するよう変換回路122で制御し、その後、スイッチ機構(SW2、SW3、SWn)のうち、電圧の一致した蓄電池に接続されているスイッチ機構がオンされる。これにより並列接続による突入電流が防止できる。
【0054】
既に何れかのスイッチ機構が一つ以上ONになっており、さらに別の蓄電池を接続する場合は、既接続の接続蓄電池に蓄えられている電力の一部を第一蓄電池116に移動、または第一蓄電池116に蓄えられている電力の一部をすでに接続されている接続蓄電池に移動することで第2端子対126の電圧を調整することができ、接続しようとする蓄電池との電圧が一致したときに、接続したい蓄電池に接続されているスイッチ機構をONにすることができる。
【0055】
図9は、第2端子対126に複数の蓄電池が並列接続される例を示すブロック図であり、上記した突入電流抑制手段として直流電力変換装置を用いた場合の例を示す。互いに並列接続される複数の蓄電池(第2蓄電池110-2、第3蓄電池110-3、第n蓄電池110-n)ごとに、変換装置120と同様の直流電力変換装置160-2,160-3,160-nが配置されている。直流電力変換装置160-2,160-3,160-nは、接続しようとしている接続蓄電池からの電力を受け、当該接続蓄電池との直列接続電圧が、既に接続されている被接続端子対の端子間電圧と一致するよう制御される。これにより並列接続による突入電流が防止できる。なお、この例では、変換回路122を省略することができ、この場合、第1端子対124と第2端子対126とが直結されることになる。
【0056】
図8および
図9に示す突入電流抑制手段を備えることで、複数の蓄電池が並列接続され、並列接続された当該複数の蓄電池を第2端子対126に接続することができる。これにより第2端子対126に接続される蓄電池の容量を適宜増減することができる。なお、複数の並列接続された蓄電池は、第1端子対124に接続することも可能であり、この場合、第1端子対124に接続される複数の蓄電池ごとに、上記した突入電流抑制手段を設けることができる。
【0057】
(実施の形態3)
図10は、変換装置120の変更例を示すブロック図である。
図10に示す例では、既に説明した変換装置120の構成に加え、電力量計170および制御装置172を有する。電力量計170は、第2端子対126から出力される電力量を計測し、制御装置172は、電力量計170の計測値が所定の値に達したときに出力される電力量がゼロになるよう変換回路122を制御する。これにより、第2蓄電池110に供給される電力量を制御することができる。たとえば、発配電システム100で発電した直流電力を販売する場合、第2蓄電池110に販売電力を蓄電して、これを販売対象とすることができる。このような場合、制御装置172は、出力された電力量に応じた課金情報174を出力するものとしてもよい。なお、同様の構成は、第1端子対124の側に設けても良い。
【0058】
課金情報174は、単位電力量の単価を決めておき、電力量計170で得られた電力量に単価を乗算して計算してもよい。また、第1端子対124または第2端子対126から出力される電力量について、一定の時間毎に一定の電力量を移動させるように決めておき、移動させた時間から課金情報を計算してもよい。
【0059】
(実施の形態4)
実施の形態1では、電力供給システム102に第1蓄電池116を有する例を説明したが、本実施の形態では、電力供給システムに蓄電池を含まない例を説明する。
図11は、発配電システム200の一例を示すブロック図である。発配電システム200は、電力供給システム202を有し、電力供給システム202は、直流電源104あるいは交流電力106から電力を受電し、直流負荷108に直流電力を配電する。また、電力供給システム202は、第2蓄電池110に直流電力を給電し、第2蓄電池110からの直流電力を受電する。なお、交流電力106は、発配電システム200に必須の構成要件ではない。
【0060】
電力供給システム202は、直流配電装置112、交流直流変換装置114および変換装置220を有する。直流配電装置112および交流直流変換装置114は実施の形態1で説明したものと同様である。
【0061】
図12は、変換装置220の詳細を示すブロック図である。変換装置220は、直流配電装置112からの直流電力を単一または複数の蓄電池、本例においては第2蓄電池110に直流電力を移動するための電力変換装置である。変換装置220は、実施の形態1で説明したものと同様な変換回路122、第1端子対124および第2端子対126を有する。第1端子対124は、直流配電装置112に接続され、第2端子対126は、第2蓄電池110に接続されている。第2蓄電池110は、単一または複数の蓄電池の一例である。
【0062】
変換回路122は、実施の形態1と同様、第3端子対128および第4端子対130を有し、第3端子対128および第4端子対130の一方の端子対に入力された直流電力を他方の端子対に電圧または電流を制御して直流出力する。なお、本実施の形態における変換回路122の第3端子対128は、実施の形態1の場合とは異なり、第2端子対126と並列接続される。これにより、変換回路122入力は常に第2蓄電池110から電力を受けることができる。第1端子対124と第4端子対130とが直列接続され、直列接続された第1端子対124および第4端子対130と第2端子対126とが並列接続される点は、実施の形態1と同様である。
【0063】
変換装置220を上記した構成とすることで、蓄電池を有さない電力供給システム202であっても、外部蓄電池(第2蓄電池110)が接続されたときには変換回路122を正常に作動させることができる。電力供給システム202に蓄電池を含まないことで、電力供給システム202のコストを削減するとともに、必要に応じて外部蓄電池(第2蓄電池110)を設置し、余剰電力を外部蓄電池に移動し、不足電力を外部蓄電池から受電して補うことができる。また、実施の形態2の構成を備えることで外部蓄電池を増減し、実施の形態3の構成を備えることで、発電電力を販売することができる。
【0064】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0065】
たとえば、第2蓄電池110に例示される外部蓄電池は、車載用蓄電池とすることができ、外部蓄電池との電力移動は、売電のみならず買電の場合にも利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
100…発配電システム、102…電力供給システム、104…直流電源、106…交流電力、108…直流負荷、110…第2蓄電池、112…直流配電装置、114…交流直流変換装置、116…第1蓄電池、120…変換装置、122…変換回路、124…第1端子対、126…第2端子対、128…第3端子対、130…第4端子対、140…変換装置、SW2…スイッチ機構、142…変換装置、144a…電流計、144b…フィードバック回路、146…変換装置、148…直流電力変換装置、150…蓄電モジュール、152…蓄電池、154…変換回路、SW3,SWn…スイッチ機構、110-2…第2蓄電池、110-3…第3蓄電池、110-n…第n蓄電池、160-2,160-3,160-n…直流電力変換装置、170…電力量計、172…制御装置、174…課金情報、200…発配電システム、202…電力供給システム、220…変換装置。