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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023796
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】表面の処理の方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 7/00 20060101AFI20220201BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20220201BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20220201BHJP
【FI】
B08B7/00
B23K26/00 G
B23K26/352
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021110496
(22)【出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】20183973.5
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521292928
【氏名又は名称】エヴァルト デルケン アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ラベ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン レンズマン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-イェルク ミナス
(72)【発明者】
【氏名】オラフ シュルツ-ガウス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ クルゼ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の異なる表面処理を好ましく簡単かつ柔軟に実施することができる大量生産バルク材料、特に小さい部品の表面処理の簡単かつ再生可能な方法を提供する。
【解決手段】複数の物体の表面の集合的処理の方法であって、前記表面の前記処理は,レーザ放射線を用いた照射によって実施される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体の表面の集合的処理の方法であって、
前記表面の前記処理は,レーザ放射線を用いた照射によって実施される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物体は、バルクで存在し、特に、多層バルクの形態で存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体は、バルク材料、特に、大量生産バルク材料の形態で存在することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物体は、木材、プラスチック、セラミック、金属、及びその混合物から選択される材料を含む又はそれで構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記物体は、小さい部品、特に、スクリュー、ナット、ボルト、及びリベット、型打ち部品、特に、型打ち曲げ部品、鋳造部品、及びプレス部品から選択されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
個々の前記物体の互いに対する位置が、洗浄中に変更され、及び/又は
前記物体は、洗浄中に混合される、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記物体の前記位置は、連続的及び/又は恒久的に変更され、及び/又は
前記物体は、連続的及び/又は恒久的に混合される、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
洗浄が、連続的又は非連続的に実施され、特に、バッチモードで実施されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザ放射線を用いた前記照射は、少なくとも区域毎に実施され、好ましくは区域毎に実施されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザ放射線を用いた前記照射は、連続的又は非連続的に、好ましくは非連続的に実施されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
1つのレーザ又はいくつかのレーザ及び/又は1つのレーザヘッド又はいくつかのレーザヘッドが、レーザ放射線を用いた前記照射に使用されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記レーザ及び/又はレーザヘッドは、装置内で1又は2以上の平面、特に互いに平行な平面に配置され、特に、該レーザ及び/又はレーザヘッドは、個々の該平面に互いに平行に及び/又はオフセットされて特に交互配置されて配置され、及び/又は
レーザ放射線を用いた前記物体の前記照射は、平行な又は異なる角度からの前記複数のレーザ及び/又は複数のレーザヘッドを用いて実施される、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)第1の方法段階(a)では、複数の物体が、混合デバイスの中に導入され、
(b)前記第1の方法段階に続く第2の方法段階では、前記複数の物体は、混合されてレーザ放射線を用いて照射される、
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、処理雰囲気内で実施され、及び/又は
前記方法、特に前記レーザ処理は、センサによってモニタかつ制御され、及び/又は
前記方法が、表面処理のための更に別の方法、特に、プラズマ照射又はドライアイス照射と組み合わされる、
ことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
複数の物体(3)を受け入れて混合するための混合デバイス(2)を含む、複数の物体の表面の集合的洗浄のための装置(1)であって、
レーザ放射線を用いた前記複数の物体(3)の照射のための少なくとも1つのレーザデバイス(5)を含む、
ことを特徴とする装置(1)。
【請求項16】
前記混合デバイス(2)は、スクリュー、特にコンベヤスクリュー、キャタピラーベルト、トラフ付きベルト、旋回ドラム、又は回転ドラムから選択されることを特徴とする請求項15に記載の装置(1)。
【請求項17】
装置が、レーザ放射線(5)を用いた照射のための1又は2以上のデバイス、特にレーザを含み、特に、レーザ放射線を用いた照射のための個々のデバイスが、1又は2以上のレーザヘッドを含むことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の装置(1)。
【請求項18】
レーザ放射線(5)を用いた照射のための前記デバイス、特にレーザ、及び/又は前記複数のレーザヘッドは、装置(1)内の1又は2以上の平面、特に互いに平行な平面に配置され、特に、レーザ放射線(5)を用いた照射のための該デバイス、特にレーザ、及び/又は該複数のレーザヘッドは、互いに平行な又はオフセットされた個々の平面に配置されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
複数の物体を被覆する方法であって、
まず、前記複数の物体の表面が、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法を用いて、特に、請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の装置内で集合的に洗浄され、その後に、該複数の洗浄された物体が被覆される、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記物体は、装飾的及び/又は機能的コーティングを用いて被覆されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を処理する技術分野、特に、表面特性を修正する又は表面を洗浄する技術分野に関する。
【0002】
特に、本発明は、複数の物体の表面の集合的処理の方法に関する。
【0003】
更に、本発明は、複数の物体の表面の集合的処理のための装置に関連する。
【0004】
最後に、本発明は、複数の物体を被覆する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
表面へのコーティングの良好かつ十分な付着を可能にするために、表面が良好な付着特性を含むこと、及び付着が、例えば密閉区域内に又は更に広い区域にわたって汚染物質を付着することによって劣化しないことが必要である。
【0006】
これに加えて、特に産業的な被覆処理に関して、単一の物体及び多数の物体の両方の均一コーティングが可能であるように、被覆される表面がどの場所でも同等かつ実質的に均一な特性を含むことが必須である。これは、防食コーティング、特に亜鉛フレークコーティング、又は電着亜鉛又は亜鉛合金コーティング、又は装飾コーティングのような機能的コーティングの場合に特に有益である。全ての場合に、適正な機能、特に防食特性、又は同じく望ましい高品質で視覚的かつ触覚的な印象を保証するために、均一かつ明確なコーティング厚みによる被覆物体の表面へのコーティングの十分かつ一貫した付着が必要である。
【0007】
被覆される物体に対して同じ表面特性を常に得るために、特に産業処理では、物体は、実際の被覆処理の前に物理的又は化学的手段で洗浄されるか又は前処理される。金属物体の場合に、湿式化学洗浄と物理的、特に機械的洗浄との組合せが一般的に使用される。湿式化学洗浄は、特に、熱アルカリ脱脂、又は溶剤槽に浸漬することによる酸洗い又は脱脂である。機械的洗浄は、ステンレス鋼球又はセラミック又は無機物質の粒子のいずれかを洗浄される表面の上に高速で発射することによるブラスト処理によって又はアブレーションによって通常は行われる。これに加えて、金属性の表面は、付着促進剤としてリン酸塩処理層を取得するために、かつその後に付加されるコーティングの金属面への付着を更に強化をするために、多くの場合に追加的にリン酸で処理される。更に、満足できる表面特性を達成するために、オキシシランのような変換コーティングも表面に付加される。
【0008】
洗浄又は前処理は、均一コーティングに適する再生可能な、表面特性を取得するために、不要な付着物、特に錆、腐食生成物、グリース、又は他の製造残留物を金属性物体又は金属含有物体又は層又は一般的に被覆される物体の表面から除去し、かつ必要に応じて同じくそれらを粗面化する。
【0009】
より大きい個別の構成要素に対して、前処理は、レーザ照射によって実施することもできる。しかし、この種のレーザ洗浄は、塗装及び結合のための大型自動車構成要素、例えば、電気自動車のバッテリクーラーのターゲットを絞った調製において、又はタイヤ内部のターゲットを絞った洗浄において、溶接継ぎ目領域のスケール残留物の除去のような特定の構成要素のスポット洗浄に対してのみ一般的に使用される。しかし、各場合に、レーザは、明確な表面区域の正確な輪郭を用いたターゲットを絞った処理に対して使用される。
【0010】
個々の部品のターゲットを絞った又は正確な洗浄及びコーティングが経済的に実施不能である又は非実際的である、いわゆる大量生産又は大量バルク材料と呼ばれるより小さい部品は、上述の湿式化学方法を使用して又はブラスト処理を用いて洗浄又は前処理される。しかし、この目的に対して、適切な材料、すなわち、ブラスト剤又は化学物質は利用可能に保たなければならないと考えられ、これが取得及び保管のコストを引き起こすだけでなく、使用済み洗浄剤は廃棄するか又は多大の費用をかけて再度清浄化しなければならない。
【0011】
これに加えて、健康に有害である可燃性又は腐食性化学物質の使用は、環境保護及び労働安全の理由で好ましくなく、かつ最小にしなければならない。
【0012】
通常は、特に大量生産バルク材料の処理に関して、一方で特に高温アルカリ処理又は溶剤の使用によって部品を湿式化学的に洗浄及び脱脂し、他方でブラスト処理を用いて付着性汚染物質、特に錆又はスケールのような腐食生成物を除去することが必要である。
【0013】
前処理又は洗浄段階の両方の組合せだけが、多くの場合に、大量生産バルク材料の均一かつ一貫した表面特性を保証し、かつ産業規模での一貫した均一コーティングを提供することができる。
【0014】
しかし、金属大量生産バルク材料の例に関して上述した問題は、バルク材料の表面処理に一般的に当て嵌まる。個々の物体の個々の処理は、コスト及び時間の理由から可能ではなく、表面の集合的な処理に関して、洗浄に対してか又は同じく例えば粗面化又は焼入れによる表面特性の変更に対してかに関わらず、化学的又は物理的表面処理剤は、通常は大過剰に使用しなければならず、これは、その後に多大の費用で回収されるか又は高コストで廃棄されなければならない。
【0015】
その結果、従来技術は、ターゲット方式で大量生産バルク材料、特に小さい部品の表面が容易に処理され、かつ表面特性が調節されることを可能にする簡単で再生可能な方法を依然として欠いている。特に、大量生産バルク材料の表面特性を具体的に変更すること、例えば、表面を具体的に焼入れ又は粗面化すること、又は均一方法で様々な表面処理を実施することを可能にする満足な方法は存在しない。
【0016】
特に、従来技術は、大量生産バルク材料、特に小さい部品の表面が、産業規模でのその後のコーティングが可能であるようにかつ可能な場合に洗浄の単一方法段階で洗浄かつ前処理されることを可能にする方法を欠いている。
【0017】
同様に、有害物質の使用及び消耗品の無駄な使用を伴わない大量生産バルク材料、特に小さい部品を洗浄又は前処理する方法を今日まで欠いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
すなわち、本発明の1つの目的は、従来技術で言及した大量生産バルク材料、特に小さい部品の表面処理の方法の欠点を回避する又は少なくとも軽減することである。
【0019】
本発明の目的は、更に、複数の異なる表面処理を好ましく簡単かつ柔軟にそれを用いて実施することができる大量生産バルク材料、特に小さい部品の表面処理の簡単かつ再生可能な方法を提供することである。
【0020】
特に、従来技術に言及した公知の洗浄処理の欠点を回避する又は少なくとも軽減することが本発明の目的である。
【0021】
特に、本発明の目的は、単一方法段階で被覆可能な表面を取得することを可能にする大量生産バルク材料の洗浄又は前処理の簡単かつ再現可能な方法を提供することである。
【0022】
本発明の更に別の目的は、有害物質の使用又は使用済み洗浄剤の高コストの処分を必要としない方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の主題は、請求項1に記載の複数の物体の表面の集合的処理の方法であり、更に、本発明のこの態様の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0024】
本発明の第2の態様による本発明の更に別の主題は、請求項15に記載の装置であり、更に、本発明のこの態様の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0025】
最後に、本発明の第3の態様による本発明の主題は、請求項19に記載の複数の物体を被覆する方法であり、更に、本発明のこの態様の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0026】
不要な繰返しを避ける目的で本発明の一態様だけに関連して以下に列挙する特別な特徴、特性、実施形態、及び利点などは、勿論、明白に言及する必要なしに本発明の他の態様に関しても相応に適用されることは言うまでもない。
【0027】
更に、以下に言及する全ての値又はパラメータなどは、標準化された又は明示的に説明された決定方法によって又はこの分野の当業者に公知の決定方法によって原則的に決定又は測定することができることが適用される。
【0028】
更に、全ての重量又は量関連の百分率は、合計が100%をもたらすように当業者によって選択されることは言うまでもない。
【0029】
この規定が為されたところで、本発明を以下でより詳細に説明する。
【0030】
すなわち、本発明の第1の態様による本発明の主題は、表面の処理がレーザ放射線を用いた照射によって行われる複数の物体の表面の集合的処理の方法である。
【0031】
すなわち、本出願人が意外にも見出したように、大量生産バルク材料に対するレーザ照射は、大量生産バルク材料の殆どあらゆる表面処理を実施することを可能にする。特に、大量生産バルク材料、特に小さい部品の表面を集合的に、すなわち、カオス過程で洗浄することが可能である。表面処理中にバルク材料の位置を変えることにより、望ましい表面特性が常時達成される程度まで全ての表面が統計的に照射されることを達成することができる。
【0032】
特に、本発明による方法は、金属、プラスチック、木材、セラミックなどのような殆どあらゆる材料で作られた表面の処理又は前処理を可能にする。レーザエネルギ及び波長の適切な選択により、表面からの不純物、特に無機及び有機残留物の除去、表面の選択的粗面化、又は同じく表面の焼入れのような様々な表面処理を実施することができる。本発明の範囲内で、様々な表面処理を並行して、すなわち、同時に又は1つの装置内の直接連続で実施することができることは特に有利である。
【0033】
特に、異なるレーザを同時に又は順番にそのいずれかで使用することにより、異なる表面処理段階を同時に又は1つの方法で少なくとも実施することができる。例えば、CO2レーザは、表面から有機汚染物質を除去するのに特に良好に使用することができ、一方でファイバーレーザは、無機汚染物質を除去する又は例えばターゲット方式で表面を粗面化するのに使用することができる。
【0034】
本発明による方法は、すなわち、一般的に、大量生産バルク材料、特に小さい部品の均一に処理された又は均一に修正された表面を達成する方法である。
【0035】
好ましくは、特に大量生産バルク材料の形態の小さい部品は、小さい部品又は大量生産バルク材料を集合的に、すなわち、個別ではなく、むしろバルク的にレーザ放射線を用いて処理することにより、容易かつ廉価に処理、特に前処理及び洗浄することができる。そのようなレーザ洗浄処理は、今日までのところ個々の部品又は個別の部品でのみ実施されており、バルク材料のようなカオス系では実施されていない。
【0036】
好ましくは、本発明の文脈では、表面の処理は、表面を洗浄する及び/又は修正することから選択されるとも規定される。表面の修正は、特に粗度の調節、特に平滑化又は粗面化、丸み付け、バリの除去又は焼入れである。この文脈では、表面の修正は、好ましくは、表面特性の変化を意味すると理解される。
【0037】
本発明による処理が粗度を調節するための表面処理として実施される場合に、本発明の文脈では、<50μm、好ましくは<20μmのDIN 4287に準拠したRa-値が使用されると通常は規定される。同様に、本発明の文脈では、1から50μm、好ましくは1から20μmの範囲のRa-値がDIN 4287に準拠して使用されると規定することができる。
【0038】
以下では、本発明の多くの態様及び利点は、金属又は金属含有バルク材料の前処理又は洗浄、及びその後のコーティングに基づいて例示的に解説されるが、それらは、他の表面処理にも相応に適用され、その理由は、これらが各場合に適応した僅かに異なる処理パラメータを用いた処理と同様に実施することができるからである。特に、金属又は金属含有バルク材料、及び木材で作られたバルク材料は、非常に類似した処理パラメータで処理することができる。
【0039】
本発明による処理は、例えば、腐食残留物を除去するために特に高温アルカリ脱脂とその後のブラスト処理の形態での金属性物体又は金属含有物体からのバルク材料の通常行われる2段の前処理又は洗浄を1段の処理、すなわち、レーザ放射線を使用する照射によって置換すること、又はこれらの処理段階の範囲を制限することを可能にする。
【0040】
本発明による処理は、特に、廃棄される又は多大な費用で洗浄されなければならない有機溶剤又は酸/アルカリのような有害物質を使用する必要がなく、これに加えて、ステンレス製ビーズ又はセラミック又は鉱物顆粒のような消耗品を必要としないという事実によって特徴付けられる。これに加えて、水性洗浄剤又は固形物質(研磨剤)は、構成要素の中に又は孔隙及びブローホールの中に入り込む可能性があり、そこからそれらはその後に再び除去することが困難である。
【0041】
本発明による処理の特別な特徴は、更に、レーザ洗浄が通常はブラストシステムでのバルク材料の処理よりも時間を掛ける必要がなく、すなわち、脱脂を行うための処理継続時間をこの場合に完全に節約することができるので、処理継続時間を有意に短縮することができるという事実に見ることができる。
【0042】
本発明による処理は、湿式化学前処理及び機械的前処理の両方に優る明確な利点を有し、例えば、有害物質を扱う必要がなく、同じく複雑な廃水処理を必要としない。これに加えて、ブラスト処理媒体及びブラスト処理ダスト残留物の廃棄のためのコストが排除される。
【0043】
本発明による方法は、すなわち、大量生産バルク材料を処理する通常の特に2段の前処理又は洗浄方法よりも有意により経済的かつ資源節約的であり、すなわち、より持続可能である。
【0044】
本発明の文脈では、集合的処理又は表面処理は、処理される部品又は物体が個々に前処理又は洗浄されず、むしろ一緒にかつ互いに空間的に分離されずに、むしろ特に同じく緩いバルクで前処理又は洗浄されることを特に意味する。表面処理は、すなわち、好ましくはカオス条件の下で行われる。
【0045】
大量生産バルク材料をレーザ放射線で処理する、特に、洗浄することにより、ブラスト処理媒体の使用と同等の結果を達成することができ、ブラスト処理と比較して、処理される部品の先行する脱脂を多くの場合に完全に省くことができることは驚くべきことである。意外にも、レーザ放射線のフォーカスの外側でも部品が洗浄されることが見いだされた。レーザの低面積電力にも関わらず、部品がレーザ放射線のフォーカスの外側でも洗浄されると考えられること、及び従って従来技術の通常の前処理及び洗浄処理と同じ要件を満足する被覆可能な表面を取得することが可能であると考えられことは予想可能ではなかった。
【0046】
本発明の好ましい実施形態により、物体は、バルクで、特に緩いバルクで、好ましくは多層バルクの形態で存在すると規定される。そのようなバルク、特に緩い又は同じく多層のバルクが混合された時に、個々の部品の統計的に全ての表面が均一な表面特性を保証して例えば十分に付着する機能的なコーティングを可能にするのに十分な程度まで処理されることを予想外に保証することができる。レーザ放射線の波長及びエネルギ、並びに処理時間は、いずれの場合も処理される材料と洗浄、粗面化などのような表面処理のタイプとに適応させなければならない。表面処理に関して、一般的に、全ての物体が少なくとも一時的にレーザ放射線のフォーカスにある必要はなく、むしろ、隣接する区域も明らかに十分な程度まで照射される。
【0047】
本発明の好ましい実施形態により、物体は、バルク材料、特に、大量生産バルク材料の形態にあると規定される。
【0048】
本発明の範囲内で、物体の特にバルク材料の好ましくは小さい部品の材料は、通常は殆どあらゆる材料から選択することができる。しかし、典型的には、物体は、木材、プラスチック、セラミック、金属、及びその混合物から選択された材料を含む又はそれで構成される。好ましくは、物体は、木材、プラスチック、セラミック、又は金属、及びその混合物から選択された材料を含む。最も好ましくは、物体は、金属性物体又は金属含有物体である。
【0049】
ここで、金属性物体又は金属含有物体の材料に関する限り、これは、様々な金属から選択することができる。しかし、通常は、金属性物体又は金属含有物体の材料は、アルミニウム含有、銅含有、及び鉄含有材料、並びにその混合物及び合金、特に、鉄合金及びアルミニウム合金、好ましくは鋼又は合金鋼から選択されると規定される。アルミニウム及びアルミニウム合金、及び特に合金鋼は、通常は、脱脂及びその後の機械的ブラスト処理を用いた更に別の被覆処理に対して調製される。銅又はその合金のような他の金属材料も、レーザ放射線を用いて大量生産バルク材料として表面処理することができる。
【0050】
非金属物体は、一般的に、同等の方法でレーザ放射線を用いて大量生産バルク材料として表面処理することができる。レーザの波長及びレーザ電力だけは、使用される材料及び実施される処理によって選択されなければならない。
【0051】
本発明の文脈では、物体は、小さい部品、特に、スクリュー、ナット、ボルト、及びリベット、型打ち部品、特に、型打ち曲げ部品、鋳造部品、及びプレス部品から選択されると規定することができる。物体は、単に通常は小さい部品の経済性及び管理容易性の理由で集合的に前処理又は洗浄及び被覆され、すなわち、各個々の部品が別々に処理されない特に大量生産バルク材料である。産業生産のための小さい部品に加えて、キーホルダ、蓋など、又は装飾物品のような小さくて有用な物体のようなあらゆる他の小さい部品も本発明による方法を使用して処理することができる。
【0052】
特に良好な結果は、本発明の文脈では、互いに対する個々の物体の位置が処理中に変更される時に得られる。特に、それは、処理中に物体が混合される時に十分に実証されている。物体を完全に混合することにより、レーザ放射線又はレーザビームが個々の部品の他の又は変化する表面、又は表面の他の場所又は変化する場所に常に衝突することが達成される。
【0053】
物体を混合又は循環させることにより、物体の常に異なる又は変化する表面がレーザの有効範囲に入ることが特に保証される。この文脈では、特に、物体、特に金属含有又は金属性物体の表面の処理、特に洗浄が、実際のレーザフォーカスの範囲外でも起こるようにみえる。
【0054】
物体の位置が連続的及び/又は恒久的に変更される場合に、この文脈では特に良好な結果が得られる。同様に、物体は、連続的及び/又は恒久的に混合されると規定することができる。
【0055】
混合物は、好ましくは、レーザ放射線を用いた照射中に連続的に混合することもでき、すなわち、洗浄される部品の表面の新たな表面又は部品は、レーザ放射線に絶えず露出することができる。
【0056】
通常は、本発明の文脈では、物体は、混合デバイスを用いて混合される。混合デバイスがスクリュー、特にコンベヤスクリュー、キャタピラーベルト、トラフ付きベルト、旋回ドラム、又は回転ドラムから選択される場合に特に良好な結果が得られる。すなわち、ブラスト処理プラントでのような同じデバイスを使用することができる。
【0057】
これに加えて、処理、特に前処理又は洗浄は、連続的又は非連続的に、特にバッチモードで実施されることが可能である。連続方法は、例えば、スクリュー又はキャタピラーベルトを用いて作動し、一方で不連続方法、すなわち、特にバッチ方法は、トラフ付きベルト、旋回ドラム、又は回転ドラムを用いて作動する。
【0058】
一般的に、本発明の文脈では、洗浄中に汚染物質、特に付着物は、物体の表面、特に金属性物体又は金属含有物体の表面から除去されることが想定される。
【0059】
通常は、汚染物質は、無機付着物、好ましくは腐食生成物、特にスケール及び錆、有機付着物、特にオイル及びグリース、又はその混合物で構成される。付着物又は汚染物質は、特に、焼入れ塩のスケール又は残留物のような製造残留物、又は同じく腐食防止目的で付加されるグリース及びオイルである。
【0060】
本発明による方法が前処理又は洗浄の方法として実施される場合に、物体、特に金属性物体又は金属含有物体の表面は、均一かつ安定した付着コーティングが保証されるように少なくとも技術的に洗浄される。本発明による前処理又は洗浄で得られる表面は、特に、その後のコーティングのための自動車製造業者の一般技術仕様を満足する。
【0061】
本発明の文脈では、レーザ放射線を用いた照射が少なくとも区域毎に、好ましくは区域毎に実施される時に特に良好な結果が得られる。本発明の文脈では、物体の全ての表面をレーザで常に完全に照射することは通常は必要ない。むしろ、バルク材料の表面上の区域又は経路がレーザ放射線を用いて洗浄されれば十分である。十分な混合を用いて、全ての表面は短時間に洗浄される。
【0062】
本発明のより好ましい実施形態により、本発明による方法は、(a)第1の方法段階(a)で複数の物体が混合デバイスの中に導入され、かつ(b)第1の方法段階(a)に続く第2の方法段階(b)で複数の物体が混合されてレーザ放射線で照射されるように実施される。
【0063】
この好ましいかつ特別な実施形態に関して、一般方法の文脈で上述した全ての特徴、特殊性、利点が相応に適用される。
【0064】
本発明の文脈では、複数は、部品の数量nが≧10、好ましくは≧100、好ましくは≧500、好ましくは≧1,000、より好ましくは≧10,000であることを意味する。
【0065】
部品の正確な数は、使用される装置の可能性及び寸法に常に依存する。
【0066】
更に、本発明の範囲内で、レーザ放射線を用いた照射は、連続、又は非連続、又はパルスであり、好ましくはパルスであると規定することができる。この文脈では、レーザ放射線を用いた連続照射は、連続レーザ(cwレーザ、連続波レーザ)の使用を意味する。レーザ放射線を用いた不連続照射は、特に、レーザ放射線又はレーザパルスを高周波数で放射するパルスレーザ(PRRパルス又は反復速度とも呼ばれる)の使用として理解されるものとする。
【0067】
通常は、本発明の文脈では、1又は2以上のレーザがレーザ放射線を用いた照射に使用されることが想定される。更に、各レーザは、1又は2以上のレーザヘッド又は作動ヘッドを含むことが可能である。本発明の範囲内で、従って、1つのレーザ又はいくつかのレーザ及び/又は1つのレーザヘッド又はいくつかのレーザヘッドがレーザ放射線を用いた照射に使用されることを想定することができる。好ましくは、本発明の範囲内で、いくつかのレーザ又はレーザヘッドが物体を処理するのに使用される。このようにして、処理結果を改善することができ、又は効率又はスループットを増大することができる。
【0068】
同様に、レーザ及び/又はレーザヘッドは、装置内の1又は2以上の特に互いに平行な平面に配置されると規定することができる。更に、レーザ及び/又はレーザヘッドは、互いに平行及び/又は互いにオフセットされた特に交互配置の個々の平面に配置することができる。連続及び不連続レーザビームシステムの両方をここで使用することができる。
【0069】
更に、本発明による方法の範囲内で複数のレーザ及び/又は複数のレーザヘッドによるレーザ放射線を用いた物体への照射が平行に又は異なる角度から行われること、すなわち、レーザ又はレーザヘッドからの放射線が平行に又は異なる角度から物体上に作用することも等しく可能である。
【0070】
更に、ファイバーレーザ、Nd-YAGレーザ、ダイオードレーザ、CO2レーザなどのような異なる波長を有するレーザも使用することができる。取り分け、これは、用途スペクト、特に洗浄スペクトルの拡張をもたらす。
【0071】
ここで、本発明によって使用されるレーザ放射線が存在する波長範囲に関して、これは、広範囲にわたって変化する可能性がある。しかし、通常は、本発明によって使用されるレーザ放射線は、100から15,000nm、特に300から12,000nm、好ましくは400から12,000nmの範囲の波長を有する。各場合に使用される波長範囲は、処理される材料に依存する。
【0072】
例えば、ファイバーレーザ、ネオジム-YAGレーザ、並びにダイオードレーザの使用は、無機汚染物質を除去するのに特に適するのに対して、CO2レーザは、好ましくは有機残留物を除去するのに使用することができる。更に、異なるタイプのレーザを使用することにより、単一表面処理方法だけでなく、洗浄及び表面粗度のターゲットを絞った調節などのようないくつかの段階を同時に又は1つの処理で直接に連続して実施することも可能である。
【0073】
しかし、UKPレーザのような他のレーザタイプ又は他の波長を有するレーザも、材料及び材料特性に応じて非常に良好な結果を達成することができる。
【0074】
上述のように、1つのレーザ又は複数のレーザ及び/又は複数のレーザヘッドが本発明の文脈で使用されることが可能である。複数のレーザ及び/又は複数のレーザヘッドを使用することにより、異なる波長を有する複数のレーザを使用することによって本方法の継続時間を短縮し、又は複数の表面処理段階を1つの方法で実施することが可能である。
【0075】
本発明の文脈では、表面処理、特にレーザ処理のサイトで形成された粒子が特に吸引によって気相から除去されることを等しく規定することができる。気相からの粒子の除去は、レーザ処理のサイトで直接か、又は一般的に本発明によって使用される装置内で行うことができる。
【0076】
更に、本発明による方法が処理雰囲気、特に不活性ガス雰囲気、好ましくはアルゴン又は窒素雰囲気内で実施されることが等しく可能である。同様に、パージがレーザ処理の場所で処理ガス及び/又は圧縮空気を使用して直接的又は間接的に行われることが可能である。
【0077】
更に、本発明による方法、特にレーザ処理は、センサにより、例えば、光学システムにより又は好ましくは音響システムによってモニタ及び制御されると本発明の文脈で通常は規定することができる。
【0078】
本発明のより好ましい実施形態により、本発明による方法は、表面処理、特にプラズマ照射又はドライアイス照射の更に別の方法と組み合わされると規定される。
【0079】
本発明による方法が表面処理の更に別の方法と組み合わされる場合に、本発明による方法、並びに更に別の表面処理方法は、並行して、すなわち、同時に、又は順番に、すなわち、互いに交互に実施することができる。本発明の好ましい実施形態により、本発明による方法及び更に別の表面処理方法が順番に実施されること、すなわち、最初に本発明による方法が実施され、次にプラズマ処理又はドライアイス照射のような更に別の表面処理が実施され、次に本発明による方法が再度実施されることが規定される。この手順は、望ましい表面特性が達成されるまでいくつかのサイクルで実施することができる。
【0080】
本発明の文脈では、レーザ電力は、100から100,000W、特に100から10,000W、好ましくは200から5,000Wの範囲であると通常は規定される。本発明の文脈では、表面の十分な前処理又は洗浄は、たとえ小さい部品の表面がレーザ放射線の直接のフォーカスにないとしても、多くの場合に低レーザエネルギを用いて短時間で達成することができることが示されている。しかし、より高いレーザ電力を使用してもスループットを増大することができる。
【0081】
特に良好な結果は、本発明の文脈では、レーザ放射線が0.2から25mm、特に0.5から20mm、好ましくは1.0から10mmのフォーカス範囲を含む場合に得られる。そのような大きいフォーカスを有するレーザ放射線は、上述の低エネルギが印加された時でさえも非常に良好な洗浄結果を達成することができる。25mmよりも大きい更により大きいフォーカス範囲又は0.01mmから0.2mmのより小さいフォーカス範囲を有するレーザも、一部の用途に対して使用することができる。
【0082】
上述のように、レーザ放射線は、好ましくは、表面の一部分のみが一度に照射されるように使用される。特に良好な結果は、この文脈では、レーザ放射線が、0から50,000mm/s、特に2,000から10,000mm/s、好ましくは2,500から5,000mm/sの速度で物体の上を通過する時に得られる。典型的には、レーザ放射線は、物体の上を移動するが、処理は、拡張された移動しないビームを使用しても実施することができる。
【0083】
更に、様々な走査戦略、特に、レーザを単に2点間で移動するような1次元(1D)走査方法又は一掃又はジグザグのような2次元(2D)走査方法を本発明の範囲内で使用することができる。
【0084】
これに加えて、様々なビーム送出システム及びビーム偏向システム、特にファイバー又はガラス光学機器又はミラー光学機器のような透過及び反射光学機器を使用することができる。光学機器は、ビーム直径、レイリー長さ、走査速度のような対応する処理変数に影響を与える可能性がある。
【0085】
特に良好な結果は、本発明の文脈では、レーザ放射線がパルスレーザを用いて発生される場合に得られる。
【0086】
この文脈では、それは、パルスレーザが、3から400ns、特に30から300ns、好ましくは50から240nsの範囲のパルス持続時間を含む場合に十分に実証されている。
【0087】
同様に、特に良好な結果は、パルスレーザが2から50,000kHzの範囲のパルス反復速度を含む場合に得られる。MHz範囲の遥かに高い周波数であるが同じく連続波であるものを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】旋回ドラムを用いてバッチモードで本発明による方法を実施するための装置を示す図である。
図2】トラフ付きベルトを用いてバッチモードで本発明による方法を実施するための装置を示す図である。
図3】連続作動で本発明による方法を実施するための装置を示す図である。
図4】未処理状態でのスクリューヘッドの電子顕微鏡写真を示す図である。
図5図4による画像から得られた未処理表面の解析データを示す図である。
図6】熱アルカリ脱脂及びその後の照射による従来の前処理後のスクリューヘッドの顕微鏡画像を示す図である。
図7図6に対応する元素分析を示す図である。
図8】本発明による方法によって洗浄されたスクリューヘッドの顕微鏡画像を示す図である。
図9】本発明によって処理されたスクリューヘッドの表面の図8に関連付けられた元素分析を示す図である。
図10】従来的に処理されたスクリューに対するDIN EN ISO 10683に準じた塗膜密着性試験の結果を示す図である。
図11】本発明によって処理されたスクリューに対するDIN EN ISO 10683に準じた塗膜密着性試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
本発明の第2の態様による本発明の更に別の主題は、複数の物体を受け入れて混合するための混合デバイスを含む複数の物体の表面の集合的前処理又は洗浄のための装置であり、装置は、レーザ放射線を用いて複数の物体の照射を行う少なくとも1つのデバイス、特に少なくとも1つのレーザを含む。
【0090】
本発明による装置は、例えば、大量生産バルク材料の処理のためのブラスト処理又は洗浄システムに大部分対応する装置とすることができるが、ブラスト処理剤又は洗浄剤の貯蔵、導通、排出のために役立つ装置部品は省略され、代わりにレーザ放射線を用いた照射のためのデバイス、特にレーザが装置の中に一体化される。特に、レーザ放射線を用いて照射するためのデバイスは、レーザ放射線を発生し、必要に応じて偏向させる手段を含む。好ましくは、レーザ放射線を用いて照射するためのデバイスはレーザである。好ましくは、本発明による装置は、大量生産バルク材料の複数の異なるレーザベースの表面処理を柔軟に実施することができる完全に新しいタイプの装置である。
【0091】
本発明の範囲内で、混合デバイスは、スクリュー、特にコンベヤスクリュー、キャタピラーベルト、トラフ付きベルト、旋回ドラム、又は回転ドラムから選択されることが通常は規定される。
【0092】
更に、装置は、レーザ放射線を用いて照射するための1又は2以上のデバイス、特にレーザを含むと本発明の文脈では規定することができる。同様に、レーザ放射線を用いて照射するための個々のデバイスは、1又は2以上のレーザヘッドを含むと規定することができる。従って、本発明の文脈では、装置は、レーザ放射線を用いて照射するための1又は2以上のデバイス、特にレーザ及び/又は1又は2以上のレーザヘッドを含むと規定することができる。装置が、レーザ放射線を用いて照射するためのいくつかのデバイス、特にレーザ及び/又はいくつかのレーザヘッドを含む場合に、本発明の文脈では特に良好な結果が得られる。
【0093】
更に、本発明の範囲内で、レーザ放射線を用いて照射するためのデバイス、特にレーザ及び/又は複数のレーザヘッドが、1又は2以上の特に互いに平行な装置内の平面に配置されると規定することができる。この文脈では、レーザ放射線を用いて照射するためのデバイス、特にレーザ及び/又は複数のレーザヘッドは、互いに平行又は互いにオフセットされた個々の平面内に配置することができる。
【0094】
更に、レーザデバイス及び/又はレーザヘッドは、複数の物体が平行又は異なる角度から照射することができるように装置内に配置することができる。
【0095】
更に、本発明の範囲内で、レーザ放射線を用いて照射するためのデバイス、特にレーザ及び/又は複数のレーザヘッドは、異なる波長を放射すると規定することができる。
【0096】
更に、本発明の文脈では、装置は、気相からガス及び/又は粒子を除去するための少なくとも1つのデバイスを含むと規定することができる。特に、装置は、好ましくは吸引ユニットを含む。
【0097】
同様に、装置は、特別な処理雰囲気、特に不活性ガス雰囲気、例えば、アルゴン及び/又は窒素雰囲気を発生するための少なくとも1つのデバイスを含み、及び/又は装置は、処理ガス及び/又は圧縮空気を用いてガス空間、特にレーザ処理のサイトをパージするための少なくとも1つのデバイスを含むと規定することができる。
【0098】
一般的に、本発明の文脈では、デバイスは、実施される処理をモニタ及び制御するためのセンサ及び制御ユニットを含むと規定される。特に、光センサと音響センサの両方を使用することができる。
【0099】
更に、本発明の範囲内で、装置は、更に別の表面処理工程を実施するためのデバイスを含むと規定することができる。特に、更に別の表面処理工程を実施するためのデバイスは、プラズマを用いて照射するためのデバイス、及び/又はドライアイスを用いて照射するためのデバイスとすることができる。好ましくは、装置は、本発明による方法及び更に別の表面処理方法を並行して又は順番に特に交互に実施することができるように制御することができる。
【0100】
レーザデバイスがパルスレーザである場合に、本発明の文脈では特に良好な結果が得られる。
【0101】
本発明の範囲内で、装置は、複数の金属性物体又は金属含有物体又は一般物体の連続的又は非連続的な表面処理又は前処理又は洗浄に対して構成されると規定することができる。
【0102】
この関連で、連続した前処理又は洗浄は、特にスクリューコンベヤ及びキャタピラーベルトの使用によって達成することができ、一方で不連続な前処理では、そのような洗浄は、通常は、例えば、トラフ付きベルト、回転ドラム、及び旋回ドラムの使用により、バッチモードで達成される。
【0103】
本発明のこの態様に関する更に別の詳細については、本発明の装置に関して相応に適用される本発明による方法に関する以上の説明を参照することができる。
【0104】
ここでも、本発明の第3の態様による本発明の更に別の主題は、複数の物体を被覆する方法であり、最初に複数の物体の表面が上述のように又は上述の装置において集合的に洗浄され、その後に複数の物体が被覆される。
【0105】
本発明のこの態様により、表面処理方法は、洗浄方法として実施される。
【0106】
本発明により、物体が装飾的及び/又は機能的コーティングで被覆されることを更に想定することができる。
【0107】
本発明のこの態様により、物体が金属性物体又は金属含有物体である場合がより好ましい。
【0108】
付加されるコーティングが防食コーティングの形態の機能性コーティングである場合に、特に良好な結果が得られる。好ましくは、亜鉛含有防食コーティングは、本発明の文脈では適用される。この文脈では、それは、亜鉛含有防食コーティングが、亜鉛又は亜鉛合金、特に亜鉛-マグネシウム合金、亜鉛-アルミニウム合金、亜鉛-マグネシウム-アルミニウム合金、又は亜鉛-ニッケル合金を含む場合に十分に実証されている。
【0109】
好ましくは、亜鉛含有防食コーティングは、亜鉛フレークコーティング又は電気メッキ亜鉛コーティングである。
【0110】
本発明のこの態様の更に別の詳細については、本発明による方法に関して同様に適用される本発明の更に別の態様に関する以上の説明を参照されたい。
【0111】
本発明の主題を図の表現及び作動実施例を参照して非限定方式で以下に解説する。
【0112】
図1は、洗浄処理の形態にある例の目的で本発明による方法を実施するための本発明による装置1を示している。装置1は、図に示すように旋回ドラムとして設計された混合デバイス2を含む。従って、図1に示す本発明による装置の実施形態は、バッチモードで本発明による方法を実施するのに適している。
【0113】
本方法を実施するために、混合デバイス2は、複数の金属物体3、特に小さい部品で充填され、物体3は、好ましくは混合デバイス2内に緩いバルクで、より好ましくはいくつかの層に配置される。明確にするために、多数の物体3の表現は省略されている。
【0114】
前処理又は洗浄処理中に物体3の完全な混合を達成するために、旋回ドラムの形態での混合デバイス2は、旋回軸の周りを移動方向4に旋回する。それにより、物体3の一定混合を達成する。金属性物体3の前処理又は洗浄のために、レーザ放射線6が、レーザ放射線5を使用して照射するためのデバイスを用いて発生され、これは、少なくとも特定の区域、特に長さL1にわたって物体3のバルクの上を案内される。物体3を混合することにより、特に混合デバイス2を旋回することにより、物体3の全ての表面にレーザ放射線6が到達することができることが達成される。驚くべきことに、全ての物体3を常に正確にレーザ放射線3のフォーカスに位置付ける必要があるわけではなく、むしろ、隣接する区域も洗浄されることが見出されている。
【0115】
装置1は、混合デバイス2のより広い区域をレーザ放射線6によって同時に網羅することができるように、いくつかのレーザ5を任意的に含むことができる。レーザ放射線5で照射するためのデバイスは、好ましくは、600から5000Wの範囲内の電力を有するパルスレーザである。レーザ放射線のフォーカスは、変えることができる。パルス反復持続時間は、例えば、5から50KHzである。
【0116】
本発明による装置は、物体3を装置1の中に給送するためのかつそれらを装置内で更に搬送するための搬送デバイスのような他のデバイスを更に含む場合がある。好ましくは、本発明による装置1は、大量生産バルク材料のブラスト洗浄に使用されるデバイスであり、混合デバイス2でのブラスト処理媒体の搬送並びに分配に関連するデバイスのみが、レーザデバイス5によって置換される。
【0117】
図2は、本発明による方法を非連続的に実施するための特に本発明による方法をバッチモードで実施するための本発明による装置の更に別の実施形態を示している。混合デバイス2は、ベルト8が様々なローラー7の上を案内されてそれらによって駆動されるトラフ付きベルトの形態に設計される。ベルトは、複数の金属性物体3が位置付けられる一点でのトラフを含む。図1の文脈で上述したように、装置1は、金属部品3の表面をレーザ放射線6で照射するレーザデバイス5を更に含む。
【0118】
図3は、本発明による方法を実施するための本発明による装置1を示している。装置1は、方向4に回転可能である回転ドラムの形態でここに示す混合デバイス2を含む。本発明による方法を実施するために、金属性物体3は、ベルト8を通して緩いバルクで方向4に回転する混合デバイス2に給送され、混合デバイス2によって更に搬送される。金属性物体3が混合デバイス2を通って案内されている間に、部品は、レーザ放射線5を用いた照射のためのいくつかのデバイス、特にレーザからのレーザ放射線6で照射され、各レーザデバイス5は、混合デバイス2内のある一定の長さL2のみを照射する。
【0119】
本発明による方法は、ブラスト処理媒体を用いた大量生産バルク材料の前処理又は洗浄に使用される装置1上で実施することができ、ブラスト処理媒体の供給、ブラスト処理媒体を用いたバルク材料の処理、及び使用済みブラスト処理媒体の排出を行うデバイスのみが、装置1内のレーザ放射線5で照射するための1又は2以上のデバイスによって置換されることになる。
【0120】
実施例
本発明による方法を明らかにするために、バルク材料を搬送して循環させることができ、そして回転ドラムを含む装置は、パルスファイバーレーザを備えている。750Wの平均電力を有するパルスファイバーレーザは、ドラム内の約10cmの距離に置かれる。レーザは、長さ約20cmの区域を走査しながら洗浄することができるように調節される。レーザスポットは、変えることができる。パルス持続時間は、150nsである。ドラムは、20kgのねじで充填され、移動及び従って均一洗浄を可能にするために回転が始まる。並行して、レーザは、上述のパラメータを用いて作動される。非常に良好な前処理又は洗浄結果は、本方法を15分間にわたって実行することによって達成することができる。洗浄された表面は、EDXを使用して分析される。
【0121】
図4及び図5は、スケール処理及びオイル処理された条件でのねじのヘッドのEDX分析を示している。
【0122】
図6及び図7は、従来処理後、すなわち、熱アルカリ脱脂及びブラスト処理後のねじのヘッドのEDX分析を示している。オイル及びスケール処理されたねじと比較して、表面上のアルカリ金属、硫黄、及び炭素の量が有意に低減されたことを見ることができる。同じく、表面の顕微鏡画像は、付着物のない遥かにより緻密な画像を示している。
【0123】
図8及び9は、本発明による前処理又は洗浄後のねじのヘッドのEDX分析の方法を示している。ここでも、未処理のねじと比較して、アルカリ金属及び炭素の付着が有意に低減されたことを見ることができる。同様に、表面上の酸素含有化合物の付着も有意に低減されている。
【0124】
すなわち、熱脱脂及びブラスト処理の工程と類似の表面プロファイルが本発明による洗浄のための前処理の工程で生成されることを見ることができる。
【0125】
塗膜密着性試験は、DIN EN ISO 10683に従って実施される。この目的に対して、洗浄されたスクリューは、亜鉛フレークコーティングを用いて被覆され、次に、密着性試験は、粘着テープを使用してDIN EN ISO 10683に従って実施される。図10及び図11は、互いに対するそれぞれの結果を示している。図10は、最初に熱アルカリで脱脂され、次に照射されたねじに対する密着性試験を示している。図11は、先行するレーザ洗浄の後の対応するテープ破断を示している。
【0126】
両方の場合でコーティングの剥離は同等であること、すなわち、同等の付着がスクリュー上で達成されることを見ることができる。
【0127】
これは、本発明による方法で洗浄されたスクリューがDIN EN ISO 9227による塩水噴霧試験で1,000時間を超える良好な防食値を達成することを同じく示す補足の塩水噴霧試験にも示されている。本発明による方法は、すなわち、従来技術での通常の方法よりも大量生産バルク材料の前処理又は洗浄の有意に簡素化されたより経済的かつより持続可能な方法を提供する。特に、脱脂及びその後の照射で構成される2段処理を省くことができる。
【0128】
参照符号
1 装置
2 混合デバイス
3 金属性又は金属含有物体
4 回転の方向
5 レーザ放射線を用いた照射のためのデバイス
6 レーザ放射線
7 ローラー
8 ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】