(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023802
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】複数個の通信インターフェイスの共存が改良された、ヘッドウェアラブル聴覚機器
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
H04R25/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112765
(22)【出願日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】PA 2020 70500
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セーレン クヴィスト
(72)【発明者】
【氏名】ソルバドゥア オリ ボドヴァーソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線周波数(RF)ワイヤレスデータ通信インターフェイスに関する様々な干渉問題を解決したヘッドウェアラブル聴覚機器を提供する。
【解決手段】RIE聴覚機器100は、可撓性コネクタアセンブリ200を介して互いに機械的に及び電気的に接続している、第1の筐体部分102及び第2の筐体部分300を備える。第2の筐体部分は、物理的特性を測定してセンサデータを生成するセンサを備えている。第1の筐体部分102は、無線周波数データ通信インターフェイスを備える。無線周波数データ通信インターフェイスは、ワイヤレス通信チャネルを経由して、それぞれ送信タイムスロット及び受信タイムスロットにおいてデータパケットを送信及び受信するように構成されており、送信タイムスロット中にセンサデータを送信する。センサデータの送信タイムスロットと、受信タイムスロットとは、時間的に非重複である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドウェアラブル聴覚機器であって、
ユーザの耳にまたは耳の後ろに設置されるために構成されており、かつ、ワイヤレス通信チャネルを経由して、それぞれ送信タイムスロットおよび受信タイムスロットにおいてデータパケットを送信および受信するように構成されている無線周波数データ通信インターフェイスを備えている、第1の筐体部分と、
前記第1の筐体部分を、第2の筐体部分と電気的におよび機械的に相互接続するように構成されているコネクタアセンブリと、
前記ユーザの外耳道内に設置されるために構成されており、かつ、前記ヘッドウェアラブル聴覚機器の動作に関連付けられた物理的特性を測定し、前記測定された物理的特性を表すセンサデータを生成する、ように構成されているセンサを備えている、前記第2の筐体部分と、
前記第1の筐体部分と前記第2の筐体部分との間に前記コネクタアセンブリを経由して延在しており、かつ、プロセッサによって定義された送信タイムスロット中にセンサデータを送信するための、ワイヤードデータ通信リンクと、
を備え、
前記センサデータの前記送信タイムスロットと、前記ワイヤレスデータ通信チャネルの少なくとも前記受信タイムスロットと、が時間的に非重複である、ヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項2】
前記ワイヤード通信リンク上の前記センサデータの前記送信タイムスロットと、前記ワイヤレスデータ通信チャネルの前記送信タイムスロットと、が非重複である、請求項1に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項3】
前記第1の筐体部分の前記プロセッサが、前記第2の筐体部分内の前記ワイヤードデータ通信リンクに結合されたデータインターフェイスをポーリングすることにより、前記センサデータパケットを送信するための前記タイムスロットを定義するように構成されている、請求項1または2に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項4】
前記第2の筐体部分が、それぞれの物理的特性を測定するように構成されている1つ以上の付加的なセンサを備えており、前記1つ以上の付加的なセンサが、それぞれのデータインターフェイスを介して、または、共有されたデータインターフェイスを経由して、前記ワイヤードデータ通信リンクに接続されている、請求項1~3のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項5】
前記第2の筐体部分がさらに、
前記コネクタアセンブリの少なくとも2つの導電性ワイヤまたはトレースを経由して供給されたオーディオ駆動信号に従って音を発出するように構成されているレシーバまたはミニチュアラウドスピーカ
を備えている、請求項1~4のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項6】
前記無線周波数データ通信インターフェイスが、Bluetooth(登録商標)またはBluetoothLE準拠のインターフェイスを備えている、請求項1~5のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項7】
前記無線周波数データ通信インターフェイスの通信プロトコルが、前記受信タイムスロットおよび前記送信タイムスロットを定義する、複数の連続した接続イベントを含んでいる、請求項6に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項8】
前記第1の筐体部分が、前記連続した接続イベント中にはポータブル型の外部通信デバイスに物理的に接続されており、介在するアイドル期間中には接続解除されている、請求項7に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項9】
前記ワイヤードデータ通信リンクが、I2C、SPI、1-Wire(登録商標)などといった産業規格に準拠している、請求項1~8のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項10】
前記第2の筐体部分が、
少なくとも、前記ミニチュアラウドスピーカ、前記センサ、および、前記ワイヤードデータ通信リンクに結合された第1のデータ通信インターフェイス、を収容している剛性かつ中空のシェルと、
前記剛性かつ中空のシェルに取り外し可能に結合されており、かつ、前記ユーザの外耳道内に設置されるために形状およびサイズが決定されている、圧縮可能かつ弾性の耳栓またはきのこ状構造と、
を備えている、請求項1~9のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項11】
前記無線周波数データ通信インターフェイスが、前記コネクタアセンブリの、少なくとも1つの導電性ワイヤまたはトレースを備えている、例えば、前記ワイヤードデータ通信リンクの導電性ワイヤを含んでいる、RFアンテナを備えている、請求項1~10のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項12】
前記無線周波数データ通信インターフェイスが、前記第1の筐体部分の内部に配置されており、かつ、例えば、前記プロセッサを支持している電子機器キャリア基板の、1つ以上のコイル状トレースを備えている、RFアンテナを備えている、請求項1~9のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項13】
前記第2の筐体部分内に配置されている前記1つまたは複数のセンサが、
前記ユーザの外耳道音圧をピックアップするように、または、前記ユーザの耳において外部環境からの音圧をピックアップするように、配置されているマイクロフォンと、
耳内温度と、
前記第2の筐体部分の空間配向と、
前記ユーザの脳波(EEG)信号と、
のうちの少なくとも1つを備えている、請求項1~12のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項14】
前記第2の筐体部分が、センサデータを一時的に格納するための、揮発性または不揮発性のメモリ回路を備えている、請求項1~13のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項15】
前記コネクタアセンブリが、可撓性キャリア基板または可撓性外側コーティングを備えており、好ましくは、前記第1の筐体部分のワイヤードデータ通信インターフェイスを前記第2の筐体部分のワイヤードデータ通信インターフェイスと相互接続している複数の導電性ワイヤまたはトレースを備えている、請求項1~14のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
【請求項16】
ヘッドウェアラブル聴覚機器の、相互接続された第1の筐体部分と第2の筐体部分との間におけるワイヤード通信インターフェイスを経由する、データ送信タイムスロットを制御する方法であって、
a)前記第1の筐体部分の無線周波数データ通信インターフェイスのデータパケットの受信タイムスロットを、そのプロセッサにより判定することと、
b)前記第2の筐体部分の少なくとも1つのセンサにより、前記機器の前記動作に関連付けられた物理的特性を測定することと、
c)前記測定された物理的特性を表すセンサデータを生成することと、
d)前記第1の筐体部分と前記第2の筐体部分との間のコネクタアセンブリを経由して延在しているワイヤードデータ通信リンクを経由して、前記プロセッサによって定義されたデータ送信タイムスロットにおいて、前記センサデータを前記第1の筐体部分に送信することと、
e)前記ワイヤード通信リンクの前記送信タイムスロットを、前記無線周波数データ通信インターフェイスの前記受信タイムスロットと重複しないように制御することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様において、第1の筐体部分と、第2の筐体部分と、ワイヤレス通信チャネルを経由して、それぞれ送信タイムスロットおよび受信タイムスロットにおいてデータパケットを送信および受信するように構成されている無線周波数データ通信インターフェイスと、を備えているヘッドウェアラブル聴覚機器に関する。ヘッドウェアラブル聴覚機器は、第1の筐体部分を、第2の筐体部分と電気的におよび機械的に相互接続するように構成されているコネクタアセンブリを備えている。第2の筐体部分は、物理的特性を測定し、測定された物理的特性を表すセンサデータを生成する、ように構成されているセンサを備えている。ヘッドウェアラブル聴覚機器はさらに、第1の筐体部分と第2の筐体部分との間にコネクタアセンブリを経由して延在しており、かつ、送信タイムスロット中にセンサデータを送信するための、ワイヤードデータ通信リンクを備えている。センサデータの前記送信タイムスロットと、ワイヤレス通信チャネルの少なくとも前記受信タイムスロットと、は時間的に非重複である。
【背景技術】
【0002】
補聴器、ヘッドセット、アクティブノイズ抑制器といったヘッドウェアラブル聴覚機器は、当該技術分野において知られており、典型的には、音声信号および音楽信号といった到来音を受信するための1つ以上のマイクロフォンを含むマイクロフォン配置を備えている。到来音は、この機器の処理回路において増幅および/または処理される1つまたは複数のマイクロフォン電気信号へと変換され得る。ヘッドウェアラブル聴覚機器は、付加的に、処理された出力信号、例えば、難聴補償出力信号を、ミニチュアスピーカ、レシーバ、または可能性としては電極アレイといった出力トランスデューサを介して、ユーザの外耳道に伝える出力増幅器を備え得る。ヘッドウェアラブル聴覚機器は、典型的には、音、音楽、音声のような様々なタイプの有用なデジタル信号を、スマートフォン、タブレットデバイス、TVセットなどといった外部デバイスと通信またはストリーミングするための無線周波数(RF)ワイヤレスデータ通信インターフェイスを備えている。無線周波数(RF)ワイヤレスデータ通信インターフェイスは、2.4GHzの周波数帯域においてBluetooth(登録商標)準拠で動作していることがあり得、それにより、このヘッドウェアラブル聴覚機器が、簡単に入手可能な多数のタイプの外部デバイスにワイヤレスに接続することを可能にし得る。
【0003】
当該技術分野において、特定のタイプのヘッドウェアラブル聴覚機器は、補聴器のためのBTEモジュールまたはBTEセクションとしばしば表記される第1の筐体部分がユーザの耳にまたは耳の後ろに設置されるために構成されている、いわゆる耳内レシーバ(Receiver-in-Ear:RIE)機器として知られている。RIEモジュールとしばしば表される第2の筐体部分は、少なくとも部分的にユーザの外耳道内に設置されるために構成され(例えば、形状およびサイズが決定され)ている。このタイプのヘッドウェアラブル聴覚機器のBTEモジュールおよびRIEモジュールは、しばしば、好適な、また、可能性としては取り外し可能な、可撓性コネクタ配置を介して機械的におよび電気的に相互接続されている。上述の無線周波数ワイヤレスデータ通信インターフェイスは、典型的には完全に、または、少なくとも部分的に、BTEモジュールの内部に配置されている。
【0004】
RIEモジュールは、外耳道音圧、耳内温度、EEG信号、またはRIEモジュールの空間配向といった、聴覚機器の動作に関連付けられたそれぞれの物理的特性を測定するように構成されている1つまたはいくつかのセンサを備え得る。センサ信号は、デジタルデータとして、RIEモジュールの好適なワイヤードデータ通信インターフェイスまたはリンクにより、コネクタアセンブリを経由して、BTEモジュールのプロセッサ、例えば、マイクロプロセッサまたはDSPに送信され得る。
【0005】
その数が一層増大しているこのようなセンサをRIEモジュール内において統合したいという一般的な要望がある一方で、これらのセンサの各々は、半導体製作およびMEMS技術の継続的な進歩に伴って一層高度化される傾向にもある。これらの状況により、ヘッドウェアラブル聴覚機器の動作に関連付けられたパラメータであって、よって、例えば、オーディオロジストによる機器の性能評価にとって、または、一般的には機器に対するユーザの経験および満足にとって、潜在的な関連性のある、その数が一層増大しているパラメータ、のモニタリングの実施が実現可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、RIEモジュール内においてこれらのセンサがその数を一層増大させ一層高度化されることにより、RIEモジュールのデータ通信インターフェイス上におけるデータレートまたは周波数の一層の増大を招き、可能性としては、経時的に、これらのデータの、データ通信インターフェイスを介したBTEモジュールへの一層連続的なストリーミングを招く。データ通信インターフェイス上におけるデータレートの一層の増大は、残念ながら、ワイヤードデータ通信インターフェイスにより誘発され、かつ、例えば、コネクタアセンブリのワイヤリングから発出される、EMIノイズのレベルおよび帯域幅の一層の上昇および増大を招く。EMIノイズのレベルおよび帯域幅の、この一層の上昇および増大により、無線周波数(RF)ワイヤレスデータ通信インターフェイスに関する様々な干渉問題が生じ、それによってヘッドウェアラブル聴覚機器におけるワイヤレスデータ受信が中断され得るか、またはワイヤレスレンジが縮小し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、例えば、BTEモジュールのプロセッサを構成または適合することによって、RIEモジュールのワイヤード通信インターフェイスがアクティブであるタイムスロットと、ワイヤレスデータ通信インターフェイスがアクティブであるタイムスロットと、の間の重複を防止することにより、本発明によって対処および解決される。
【0008】
この発明の第1の態様は、ヘッドウェアラブル聴覚機器に関し、このヘッドウェアラブル聴覚機器は、
ユーザの耳にまたは耳の後ろに設置されるために構成されており、かつ、ワイヤレス通信チャネルを経由して、それぞれ送信タイムスロットおよび受信タイムスロットにおいてデータパケットを送信および受信するように構成されている無線周波数データ通信インターフェイスを備えている、第1の筐体部分と、
第1の筐体部分を、第2の筐体部分と電気的におよび機械的に相互接続するように構成されているコネクタアセンブリと、
を備えている。第2の筐体部分は、ユーザの外耳道内に設置されるために構成されており、かつ、ヘッドウェアラブル聴覚機器の動作に関連付けられた物理的特性を測定し、測定された物理的特性を表すセンサデータを生成する、ように構成されているセンサを備えている。ヘッドウェアラブル聴覚機器はさらに、第1の筐体部分と第2の筐体部分との間にコネクタアセンブリを経由して延在しており、かつ、プロセッサ、例えば、第1の筐体部分内に配置されているプロセッサ、によって定義された送信タイムスロット中にセンサデータを送信するための、ワイヤードデータ通信リンクを備えている。センサデータの前記送信タイムスロットと、ワイヤレス通信チャネルの少なくとも前記受信タイムスロットと、は時間的に非重複である。
【0009】
本発明は、既存のRIE聴覚機器に関する、上で論じた問題を、ワイヤレス通信チャネルのデータパケットの受信と、センサデータ、例えば、センサデータパケットまたはセンサデータメッセージ、の送信と、について非重複タイムスロットを利用することにより、対処および解決する。
【0010】
或る特定の実施形態において、ワイヤード通信リンク上のセンサデータまたはセンサメッセージの送信タイムスロットと、ワイヤレス通信チャネルの前記送信タイムスロットと、は時間的に非重複である。当業者ならば認識するであろうこととして、添付の図面を参照して以下にさらに詳しく論じるように、ヘッドウェアラブル聴覚機器における受信タイムスロットは、典型的な無線トランシーバ回路が相対的に高いノイズ感度を有するが故に、ノイズおよび干渉に最も影響を受ける。
【0011】
ヘッドウェアラブル聴覚機器の第1の筐体部分は、ソフトウェアプログラマブルなマイクロプロセッサといったプロセッサ、および/または、例えば、ハードワイヤードデジタル信号プロセッサ(DSP)を備えた専用のデジタル計算ハードウェアを備え得る。代替例において、プロセッサは、ソフトウェアプログラマブルなDSPか、または、専用のデジタル計算ハードウェアとソフトウェアプログラマブルなDSPとの組み合わせ、を備え得る。ソフトウェアプログラマブルなマイクロプロセッサまたはDSPは、実行可能なプログラム命令のセットを各々が備えている、好適な、プログラムルーチンか、プログラムサブルーチンか、または、プログラム実行スレッドにより、本明細書に記載されたタスクのうちのいずれかを実施するように構成され得る。実行可能なプログラム命令のセットは、BTEモジュールの第1の筐体部分の不揮発性メモリデバイス内に格納され得る。マイクロプロセッサおよび/または専用のデジタルハードウェアは、ASIC上で統合され得るか、または、FPGAデバイス上に実装され得る。
【0012】
プロセッサは、好ましくは、ワイヤードデータ通信リンクに結合された第2の筐体部分内のデータインターフェイスをポーリングすることにより、センサデータメッセージまたはパケットを送信するためのタイムスロットを定義するように構成されている。プロセッサは、ワイヤレス通信チャネルの送信タイムスロットおよび受信タイムスロットについて、その通信プロトコル、例えば、BluetoothLE、の知識、および/または、現在の接続パラメータの知識、によって認識していることがあり得る。この方式で、プロセッサは、添付の図面を参照して以下にさらに詳しく論じるように、適切な時刻においてワイヤードデータ通信リンクのデータインターフェイスをポーリングして、ワイヤレス通信チャネルの既知の送信タイムスロットおよび受信タイムスロットとの非重複を保証する、ように構成されることが可能である。
【0013】
第2の筐体部分は、
少なくとも、ミニチュアラウドスピーカ、センサ、および、ワイヤードデータ通信リンクに結合された第1のデータ通信インターフェイス、を収容している剛性かつ中空のシェルと、
剛性かつ中空のシェルに取り外し可能に結合されており、かつ、ユーザの外耳道内に設置されるために形状およびサイズが決定されている、圧縮可能かつ弾性の耳栓またはきのこ状構造と、
を備え得る。他の実施形態において、剛性かつ中空のシェルは、ユーザの外耳道の幾何学的形状に合わせてカスタマイズされており、ユーザの外耳道のインプレッション採取または3Dスキャンにより、例えば、様々な積層造形技法を使用して、製作されていることがあり得る。
【0014】
第2の筐体部分は、それぞれの物理的特性または変数を測定するように構成されている1つ以上の付加的なセンサを備え得る。前記1つ以上の付加的なセンサは、例えば、それぞれのデータインターフェイスを介して、または、共有されたデータインターフェイスを経由して、ワイヤードデータ通信リンクに接続され得る。第2の筐体部分内に配置されている1つまたは複数のセンサは、
ユーザの外耳道音圧をピックアップするように、または、ユーザの耳において外部環境からの音圧をピックアップするように、配置されているマイクロフォンと、
耳内温度と、
例えば、MEMSジャイロセンサを使用した、第2の筐体部分の空間配向と、
例えば、ユーザ外耳道と接触する好適な電極を介した、ユーザの脳波(EEG)信号と、
のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0015】
ユーザの外耳道音圧は、プロセッサにより実行される、様々なアクティブオクルージョン抑制アルゴリズムまたはアクティブオクルージョン抑制機能に役立ち得、一方、ユーザの耳における外部環境からの音圧のピックアップは、ヘッドウェアラブル聴覚機器の、異なる所在における複数個のマイクロフォンを使用するビーム形成アルゴリズムによって使用され得る。第1の筐体部分は、例えば、別のマイクロフォンを備え得る。
【0016】
第2の筐体部分は、好ましくは、コネクタアセンブリの少なくとも2つの導電性ワイヤまたはトレースを経由して供給されたオーディオ駆動信号に従って音を発出するように構成されているレシーバまたはミニチュアラウドスピーカを備えている。
【0017】
無線周波数データ通信インターフェイスは、BluetoothもしくはBluetoothLE準拠のインターフェイスか、または、例えば、2.4GHzのレンジで動作している、規格化された他のワイヤレス通信インターフェイス、を備え得る。無線周波数データ通信インターフェイスの通信プロトコルは、BluetoothLE実装について添付の図面を参照して以下にさらに詳しく論じるように、受信タイムスロットおよび送信タイムスロットを定義する、複数の連続した接続イベントを含み得る。無線周波数データ通信インターフェイスは、例えば、2.4GHzの帯域で動作するために構成されており、かつ、コネクタアセンブリの、少なくとも1つの導電性ワイヤまたはトレースを備えている、例えば、ワイヤードデータ通信リンクの導電性ワイヤを含んでいる、RFアンテナを備え得る。代替的に、RFアンテナは、第1の筐体部分の内部に配置され得、例えば、第1の筐体部分のプロセッサおよび/または他の電子構成部材を支持している電子機器キャリア基板、例えば、多層プリント回路基板の、1つ以上のコイル状トレースを備え得る。
【0018】
第1の筐体部分は、添付の図面を参照して以下にさらに詳しく論じるように、前記連続した接続イベント中にはスマートフォンまたはタブレットなどといったポータブル型または非ポータブル型の外部通信デバイスに物理的に接続され得、介在するアイドル期間中には接続解除され得る。
【0019】
無線周波数データ通信インターフェイスの他の実施形態は、近距離磁気誘導(Near Field Magnetic Induction:NFMI)に基づき得、一段と低いMHz周波数帯域またはレンジで-例えば、1MHzから30MHzの間の搬送周波数を使用して、より好ましくは、10.66MHzか、13.56MHzか、または22.66MHzなどの搬送周波数を使用して-動作し得る。NFMI通信システムは、典型的には2m未満の短レンジを有しており、本無線周波数データ通信インターフェイスのこれらの実施形態は、両耳用補聴器システムの左耳補聴器および右耳補聴器といった、一対のヘッドウェアラブル聴覚機器間の両耳間通信に、特に良く適する。ヘッドウェアラブル聴覚機器のNFMIアンテナは、第1の筐体部分内に配置された多層プリント回路基板(PCB)内に埋設され得る。NFMIアンテナは、コイル、好ましくは、磁心を有したコイル、を備え得る。
【0020】
ワイヤードデータ通信リンクは、独自のものであり得るか、または、I2C、SPI、1-Wire(登録商標)などといった産業規格に準拠し得る。ワイヤードデータ通信リンクは、第1の筐体部分のイベントと第2の筐体部分のイベントとを同期させるのに役立ち得るクロック信号を含み得る。
【0021】
第2の筐体部分は、センサからのセンサデータまたは複数個のセンサからのセンサデータの複数個のセットが読み出されて第2の筐体部分のデータインターフェイス回路を経由して第1の筐体部分に送信される前に、これらを一時的に格納するための、揮発性または不揮発性のメモリ回路を備え得る。
【0022】
コネクタアセンブリは、可撓性の部分またはセクションを備え得、可撓性キャリア基板および/または可撓性外側コーティングを備え得る。コネクタアセンブリは、添付の図面を参照して以下にさらに詳しく論じるように、好ましくは、第1の筐体部分のワイヤードデータ通信インターフェイスを第2の筐体部分のワイヤードデータ通信インターフェイスと相互接続している複数の導電性ワイヤまたはトレースを備えている。
【0023】
コネクタアセンブリの導電性ワイヤまたはトレースの実際の数は、第2の筐体部分の特質、例えば、そこに配置されている、トランスデューサ、例えば、レシーバと、マイクロフォンなどのセンサと、の数、に依存して変動し得る。サイズおよびコストといった実用上の理由から、コネクタワイヤの数は、典型的には、10未満であり、例えば、2から8の間の数のコネクタワイヤである。コネクタワイヤの数を最小化するために様々な設計努力が行われてよく、例えば、1つの特定のコネクタワイヤの複数個の機能性の実装が行われてよい。
【0024】
コネクタアセンブリは、プラグおよびソケットのような一対のコネクタ要素を介して取り外し可能な方式で、第1の筐体部分または第2の筐体部分に結合され得る。添付の図面を参照して以下にさらに詳しく論じるように、第1のコネクタ要素は、複数の電気端子を有しているプラグを備え得、第2のコネクタ要素は、嵌合ソケットを備え得、または、その逆の場合もあり得る。
【0025】
この発明の第2の態様は、ヘッドウェアラブル聴覚機器の、相互接続された第1の筐体部分と第2の筐体部分との間におけるワイヤード通信インターフェイスを経由して、データ送信タイムスロットを制御する方法に関し、前記方法は、
a)第1の筐体部分の無線周波数データ通信インターフェイスのデータパケットの受信タイムスロットを、そのプロセッサにより判定することと、
b)第2の筐体部分の少なくとも1つのセンサにより、機器の動作に関連付けられた物理的特性を測定することと、
c)測定された物理的特性を表すセンサデータを生成することと、
d)第1の筐体部分と第2の筐体部分との間のコネクタアセンブリを経由して延在しているワイヤードデータ通信リンクを経由して、プロセッサによって定義されたデータ送信タイムスロットにおいて、センサデータを第1の筐体部分に送信することと、
e)ワイヤード通信リンクのデータ送信タイムスロットを、無線周波数データ通信インターフェイスの前記受信タイムスロットと重複しないように制御することと、
を含む。
【0026】
この発明の実施形態について、添付の図面に関連付けて、以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】様々な実施形態による、例示的な耳内レシーバ(RIE)聴覚機器の模式的図面である。
【
図2】耳内レシーバ(RIE)聴覚機器の、耳内筐体部分および可撓性コネクタアセンブリを示す図である。
【
図3】耳内レシーバ(RIE)聴覚機器の様々な部品の簡略ブロック図と、外部モバイル端末のブロック図と、を示す図である。
【
図4】ワイヤレス通信チャネルを通じたデータ交換と、耳内レシーバ(RIE)聴覚機器のプロセッサにより実行されるRIEモジュール検出サブルーチン間のワイヤードデータリンクを通じたデータ交換と、についてのタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下のセクションは、耳内レシーバ(RIE)タイプのヘッドウェアラブル聴覚機器の様々な例示的実施形態を開示し、これらは、添付の図面を参照して説明される。当業者ならば理解するであろうこととして、添付の図面は、明瞭にするために模式的であってかつ簡略化されており、したがって、この発明の理解に不可欠な詳細を単に示しているに過ぎず、一方、他の詳細は省略されている。同様の参照番号は、全体にわたって同様の要素または構成部材を指す。したがって、同様の要素または構成部材は、各図に関して必ずしも詳しく説明される訳ではない。当業者ならばさらに認識するであろうこととして、或る特定のアクションおよび/またはステップが、特定の発生順序で説明または描写され得るが、当業者は、シーケンスに関するこのような特定性が、実際には必要とされないことを理解するであろう。
【0029】
図1は、本発明の様々な実施形態による、例示的な耳内レシーバ(RIE)タイプのヘッドウェアラブル聴覚機器の模式的図面を示す。RIE聴覚機器100は、可撓性コネクタアセンブリ200を介して互いに機械的におよび電気的に接続されている、第1の筐体部分102および第2の筐体部分300を備えている。可撓性コネクタアセンブリ200は、例えば、可撓性キャリア基板および/または弾性もしくは可塑性のチューブ202もしくはコーティングを備え得、付加的に、第1の筐体部分102のワイヤードデータ通信インターフェイスを、第2の筐体部分300の対応するワイヤードデータ通信インターフェイスと相互接続している、複数の導電性ワイヤまたはトレースを含み得る。弾性または可塑性のチューブ202またはコーティングは、好ましくは、複数のコネクタワイヤまたはトレースを取り囲み、保護している。
【0030】
当業者ならば認識するであろうこととして、第1の筐体部分102またはBTEモジュール102は、典型的には、ユーザの、聴覚に障害のある左耳もしくは右耳に、または、当該左耳もしくは当該右耳の後ろに-例えば、BTEモジュール102が少なくとも部分的に隠れ得るユーザの耳介の後部の後ろに-設置されるために形状およびサイズが決定されている。第2の筐体部分300またはRIEモジュール300は、典型的には、ユーザの外耳道の内部に少なくとも部分的に設置されるために、形状およびサイズが決定されており、または、構成されている。RIEモジュール300は、ユーザの外耳道にフィットする幾何学的形状の外側表面を有している、カスタマイズされた、剛性かつ中空のシェル(図示せず)を備え得る。カスタマイズされたシェル(図示せず)は、ユーザの外耳道のインプレッション採取または3Dスキャンから、例えば、様々な積層造形技法を使用して、製作されていることがあり得る。カスタマイズされたシェル(図示せず)は、さらに詳しく以下に論じるように、一対のコネクタワイヤを経由してオーディオ駆動信号を受信するための、少なくともミニチュアラウドスピーカ(図示せず)を収容し得る。ミニチュアラウドスピーカ(図示せず)は、カスタマイズされたシェル(図示せず)内に封入され得、当該シェルは、音圧漏れを減衰させ、かつ、粉塵、湿気、光、および機械的衝撃といった、外部環境の潜在的に有害な力および汚染物質から、ミニチュアラウドスピーカを保護する、ように働き得る。
【0031】
RIEモジュール300の代替的な実施形態は、カスタマイズされたシェルを有していないが、ユーザの外耳道内に留まるために形状およびサイズが決定されている圧縮可能な栓またはきのこ状構造302により取り囲まれた、剛性かつ中空の規格化された筐体304を利用している。圧縮可能な栓302は、弾性物質、例えば、シリコーンを含み得、好ましくは、ミニチュアラウドスピーカにより生成された音信号または出力音圧を、ユーザの鼓膜に向けて送信または伝達する、音チャネルまたはポート306を備えている。圧縮可能な栓302は、RIE聴覚機器100の使用中に、ユーザの外耳道内において快適に位置決めおよび保持されるように構成されている。圧縮可能な栓302は、交換可能であり得、好適な損耗特性を有している様々なタイプの弾性化合物または発泡化合物を含み得る。当業者ならば認識するであろうこととして、圧縮可能な栓302は、異なる補聴器ユーザの異なる外耳道サイズにフィットするように、多数のサイズで製作され得る。RIEモジュール300は、付加的に、物理的特性、例えば、ヘッドウェアラブル聴覚機器の動作に関連付けられた特性、を測定し、測定された物理的特性を表すセンサデータを生成する、ように構成されている少なくとも1つのセンサ310(ここでは図示していないが、
図2を参照)を備えている。
【0032】
以前に論じた可撓性コネクタアセンブリ200の近位端213は、RIEモジュール300の剛性の筐体構造304と、剛性の筐体構造304内に保持された電気回路に接続されている複数の電気コネクタワイヤまたはトレースと、において固定される態様で、終端を成し得る。
図2に例示されるように、RIE聴覚機器100の或る特定の実施形態において、プラグ218は、可撓性コネクタアセンブリ200の遠位端に配置されている、4つか、6つか、または10よりも多くの端子といった、複数の電気端子またはパッド215a~215hを備えている。電気端子またはパッド215a~215hの各々は、第1の/BTE筐体部分102の後表面に配置されている、対応するコネクタ要素またはコネクタソケット(不可視)の、対応する電気端子(図示せず)に、取り外し可能な方式で嵌合し得る。
【0033】
コネクタアセンブリ200は、典型的には、複数の導電性ワイヤまたはトレース208a~208h(
図3に図示)-さらに詳しく以下に論じるように、BTE筐体部分102およびRIE筐体部分304の様々な電気回路構成部材を相互接続するように構成されている、例えば、8つといった2から10の間の数の個々の電気ワイヤ-を備えている。
【0034】
BTE筐体部分102は、第1の筐体部分102の様々な電子回路体を収容している、中空であって相対的に剛性の筐体構造103を備え得る。この剛性の筐体構造103は、好適な弾性化合物の射出成形により製作され得る。剛性の筐体構造103は、第1の筐体部分102の構成部材および電子回路を、粉塵、湿気、光、および機械的衝撃といった、外部環境の潜在的に有害な力および汚染物質から保護するように働く。第1の筐体部分102は、空気亜鉛バッテリセルといった使い捨てバッテリを保持するためのバッテリチャンバ105を備え得る。RIE聴覚機器100の他の実施形態は、再充電可能な、1つまたは複数のバッテリセルを備え得る。第1の筐体部分102は、音響音信号を、それぞれのオーディオ音信号に変換するための前方マイクロフォン(図示せず)および/または後方マイクロフォン(図示せず)と、オーディオ音信号を、それぞれのデジタルオーディオ信号に変換するための、1つまたはいくつかのA/Dコンバータ(図示せず)と、を備え得る。第1の筐体部分102は、マイクロフォンにより供給されたデジタルオーディオ信号に基づいて難聴補償音信号を生成するように構成されている、ソフトウェアプログラマブルなマイクロプロセッサまたはDSP111といった、プロセッサ111を備え得る。ソフトウェアプログラマブルなマイクロプロセッサまたはDSP111は、付加的に、RIE聴覚機器100の様々な制御およびI/Oデータ送信タスクを処理するように構成され得る。ソフトウェアプログラマブルなマイクロプロセッサまたはDSP111は、付加的に、ソフトウェアプログラマブルなマイクロプロセッサまたはDSP111上で実行される難聴補償アルゴリズムにより計算された、難聴補償出力信号またはオーディオ駆動信号を生成するように構成され得る。オーディオ駆動信号は、上で論じた複数のコネクタワイヤのうちの専用の一対のコネクタワイヤを経由して、第2の筐体部分300内に封入されているレシーバまたはミニチュアラウドスピーカに送信され得る。第1の筐体部分102は、音量設定およびプリセットプログラム選択などといったユーザ自身の好みに従って、ユーザがRIE聴覚機器100の様々な機能および設定を制御することを可能にする、ユーザ作動可能なボタンまたはスイッチ108といった様々なユーザインターフェイス機構を備え得る。第1の筐体部分102はさらに、ワイヤレストランシーバ116およびワイヤレスインターフェイス114に結合されたRFアンテナ104を備える無線周波数データ通信インターフェイスを備える。当業者ならば理解するであろうこととして、ワイヤレストランシーバ116およびワイヤレスインターフェイス114は、別個の回路ブロックであり得、または、共通の半導体基板またはダイ上のプロセッサ111と統合され得る。無線周波数データ通信インターフェイスは、
図3および
図4を参照して以下にさらに詳しく論じるように、ワイヤレス通信チャネル400を経由して、それぞれ送信タイムスロットおよび受信タイムスロットにおいてデータパケットを送信および受信するように構成されている。
【0035】
RFアンテナ104は、第1の筐体部分102の内部に配置されており、例えば、プロセッサ111を支持している電子機器キャリア基板(図示せず)の、1つ以上のコイル状トレースを備えている。代替的な実施形態において、RFアンテナ104は、コネクタアセンブリ200の、少なくとも1つの導電性ワイヤまたはトレース208a~208h(
図3)を備えており、例えば、ワイヤードデータ通信リンクの導電性ワイヤを含んでいる。
【0036】
図3は、耳内レシーバ(RIE)聴覚機器100の様々な部品の簡略ブロック図と、双方向性または単方向性のワイヤレス通信チャネル400を介してRIE聴覚機器100にワイヤレスに接続されている外部端末500のブロック図と、を示す。外部端末は、スマートフォンのような、バッテリ電源式のポータブル型もしくはモバイル型のデバイスを含み得、または代替的に、TVストリーマなどのような、商用電源式の据え置き型のデバイスを含み得る。
図3は、上で論じた例示的なRIE聴覚機器100の、簡略電気ブロック図も示す。RIEモジュール300の、例示された実施形態は、以前に論じたミニチュアラウドスピーカまたはレシーバ308に加え、ユーザの外耳道音圧p_earをピックアップするように配置されているマイクロフォン310を備えている。RIEモジュール300の他の実施形態において、マイクロフォンは、ユーザの耳において外部環境からの音圧をピックアップするように配置され得、即ち、マイクロフォンの音入口は、反対方向に配向され得る。当業者ならば認識するであろうこととして、RIEモジュール300の他の実施形態は、付加的なセンサまたは代替的なタイプのセンサ、例えば、
耳内温度測定デバイスと、
第2の筐体部分300の空間配向と、
例えば、ユーザの外耳道壁に接触する好適な電極を介した、ユーザの脳波(EEG)信号と、
のうちの少なくとも1つを備え得る。
【0037】
RIEモジュール300およびBTE筐体部分102は、取り外し可能な方式で、以前に論じた、嵌合する対のコネクタ端子P1-P8と、それらに関連付けられたコネクタワイヤと、を介して機械的におよび電気的に相互接続されている。ミニチュアラウドスピーカ308(
図3を参照)は、コネクタ端子215a、215bと、それらに関連付けられたコネクタワイヤと、を経由して、Hブリッジ出力ドライバ(図示せず)により送出された、以前に論じたオーディオ駆動信号の相補的位相に接続されている。HブリッジD級出力ドライバ(図示せず)は、第1の筐体部分102のDSPまたはマイクロプロセッサ111と共に、共通の半導体基板またはダイ上に統合され得る。RIEモジュール300のマイクロフォン310は、第1の筐体部分102の適切な電子回路、例えば、安定化DC電圧源、に接続されている可撓性コネクタアセンブリ200の1以上のワイヤ208a~208hにより通電され得る。マイクロフォン310の出力信号は、好ましくは、マイクロフォン出力信号を適切なフォーマット、例えば、16kHzにおいて16ビットで、デジタル化するためにA/Dコンバータを備えている、データインターフェイス回路307に電気的に接続されている。データインターフェイス回路307は、未処理のデジタルマイクロフォン信号を適切なデータフォーマットに変換するように構成されており、この変換の後に、当該信号は、BTE筐体部分102の内部に配置されている(例えば、模式的に示されたようにマイクロプロセッサ111上に統合されている)対応するまたは互換性のあるデータインターフェイス107に、可撓性コネクタアセンブリ200を経由して延在しているワイヤードデータ通信リンク312を通じ、1つまたはいくつかのワイヤを使用して、センサデータメッセージとして送信される。データインターフェイス回路307、107およびワイヤードデータ通信リンク312は、独自のプロトコルにより、または、I
2C、SPI、1-Wireなどのような、規格化されたデータ通信プロトコルにより、データを送信/受信するように構成され得る。1-Wireデータインターフェイスを経由して送信されたデータは、例えば、マンチェスタ符号化され得る。
【0038】
RIEモジュール300の或る特定の実施形態は、例えば、EEPROM、EPROM、またはフラッシュメモリ、を備えた不揮発性メモリ回路を備え得る。不揮発性メモリ回路は、1つまたは複数のセンサ、例えば、マイクロフォン310、および/または、RIEモジュール300の他の構成部材、に関連付けられた様々なタイプの較正データもしくはパラメータ、および/または、IDデータを格納する。
【0039】
ワイヤレス通信チャネル400は、BTE筐体部分102/聴覚機器100と、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、TVセット、警報システムなどといった様々なタイプのポータブル型または非ポータブル型の外部デバイス500と、の間で様々なタイプのデータを通信するために活用され得る。これらのデータは、外部デバイス500からヘッドウェアラブル聴覚機器100への音楽または音声といったオーディオデータのストリーミングを含み得る。
【0040】
図4は、ワイヤレス通信チャネル400を通じたデータ交換と、RIEモジュール300とBTE筐体部分102との間に可撓性コネクタアセンブリ200を経由して延在しているワイヤードデータ通信リンク312を通じたデータ交換と、についての例示的なタイミング
図600を示す。ワイヤレス通信チャネル400およびデータインターフェイス回路307、107は、本実施形態において、Bluetooth準拠またはBluetoothLE準拠であるが、当業者ならば理解するであろうこととして、典型的には、聴覚機器のバッテリのバッテリ電力およびエネルギ貯蔵量が限られていることに鑑みて、低電力である通信規格に対する好みにより、他のタイプの、独自のワイヤレスインターフェイスまたは規格化されたワイヤレスインターフェイスが利用されてよい。
【0041】
BluetoothLE準拠ワイヤレス通信チャネル400およびインターフェイスのプロトコルは、BTE筐体部分102が電磁エアインターフェイスを介して外部デバイス500に物理的に接続されている、複数の連続した、いわゆる接続イベントCi1、Ci2、Ci3などを含んでいる。接続イベントCi1、Ci2、Ci3などは、外部デバイス500およびBTE筐体部分102が接続解除されている、介在するアイドル期間Uc1、Uc2などにより分離されている。接続イベントは、約15msといった、2msから25msの間のいずれかの時間だけ、時間的に分離され得、各接続イベントは、約565μsといった10μsから1000μsの間のいずれかの時間だけ、持続し得る。BTE筐体部分102内のRFトランシーバ/インターフェイス114、116は、アイドル期間Uc1、Uc2などの間、節電のために電源が切断され得る。
【0042】
無線周波数データ通信インターフェイスおよびワイヤレス通信チャネル400の本実施形態において、接続イベントCi1、Ci2、Ci3の各々は、ワイヤレスに送信されるデータパケットまたはメッセージP1~P5の、それぞれの受信タイムスロットおよび送信タイムスロットとして使用され、それにより、データパケットP1およびP2が第1の接続イベントCi1内で送信され、データパケットP3、P4、およびP5が、それに続く接続イベントCi2内で送信される等であるようにする。第1のデータパケットP1は、例えば、外部デバイス500により聴覚機器100に送信され得、聴覚機器100において、第1のデータパケットP1は、RFアンテナ104および無線トランシーバ/インターフェイス回路114、116を介して受信されて、復号化/解凍および格納のためにプロセッサ111に伝達される。聴覚機器100は、外部デバイス500への第2のデータパケットP2の送信により、第1のデータパケットP1の受信に応答する。
【0043】
それ故に、聴覚機器100の見地から、第1のデータパケットP1の開始および終了は、受信タイムスロットを定義し、一方、第2のデータパケットP2の開始および終了は、送信タイムスロットを定義する。第2のデータパケットP2は、例えば、第1のデータパケットP1が安全に受信されたことを外部デバイス500に通知する確認応答ビットまたはインジケータを含み得る。データパケットP1およびデータパケットP2~P5は、BluetoothLEであり得る当該の通信プロトコルに従ってフォーマット化される。したがって、データパケットP1~P5の各々は、それぞれ、様々なタイプの制御情報およびオーディオデータを保持しているヘッダセクションとペイロードセクションとを含み得る。それ故に、本実施形態において、接続イベントCi1、Ci2、Ci3の各々は、ワイヤレス通信チャネル400の送信タイムスロットおよび受信タイムスロットの両方を含んでいる。
【0044】
第1のアイドル期間Uc1中に、ワイヤレス通信チャネル400は、例えば、ワイヤレストランシーバの電源が切断または遮断されているために、不通であるかまたは動作不能であり、一方、センサ1およびセンサ2からのそれぞれのセンサデータパケットまたはメッセージは、RIEモジュール300のデータインターフェイス回路307により、ワイヤードデータ通信リンク312を通じて、それぞれの送信タイムスロット中に連続して送信される。これらの送信タイムスロットは、BTE筐体部分102のプロセッサ111によって定義されている。次の接続イベントCi2において、データパケットP3、P4、およびP5は、ワイヤレス通信チャネル400のそれぞれの送信タイムスロットおよび受信タイムスロット中に交換される等である。第2のアイドル期間Uc2中において、ワイヤレス通信チャネル400は再び不通であるかまたは動作不能であり、一方、それぞれの新たなまたは更新されたセンサデータパケットまたはメッセージは、RIEモジュール300のデータインターフェイス回路307により、センサ1およびセンサ2からワイヤードデータ通信リンク312を通じて、それぞれの送信タイムスロット中に送信される。
【0045】
当業者ならば認識するであろうこととして、プロセッサ111は、ワイヤレス通信チャネル400の送信タイムスロットおよび受信タイムスロットの両方が、ワイヤードデータ通信リンク312上のセンサデータパケットの送信タイムスロットと非重複であるように、データ通信を制御する。好ましくは、ここでもまた聴覚機器100から見て、ワイヤレス通信チャネル400の少なくとも受信タイムスロットと、ワイヤードデータ通信リンク312の送信タイムスロットと、は時間的に重複しないが、その理由は、無線トランシーバ/インターフェイス回路114、116が、ワイヤレスチャネル400の受信データパケットを破損し得る、相対的に高いノイズ感度を有するためである。単に、ワイヤレス通信チャネル400が不通であるかまたは動作不能であるときにワイヤードデータ通信リンク312上でセンサデータパケットまたはメッセージを送信することにより、最小の信号干渉またはノイズが保証され、この特徴により、ワイヤレスデータパケットの破損が防止され、および/または、ワイヤレス通信チャネル400上における、より高いデータレートが可能になる。
【0046】
したがって、当業者ならば認識するであろうこととして、本発明の他の実施形態は、無線トランシーバ/インターフェイス回路114、116におけるノイズが与える損傷が少なく、従って、例えば、データパケットP2の送信がセンサ1のセンサデータメッセージと重複し得ることを理由に、ワイヤレス通信チャネル400とワイヤードデータ通信リンク312との間で重複する送信タイムスロットを利用し得る。
【0047】
プロセッサ111は、好ましくは、ワイヤードデータ通信リンク312を経由してデータインターフェイス回路307をポーリングすることにより、ワイヤレス通信チャネル400の送信タイムスロットおよび受信タイムスロットが、ワイヤードデータ通信リンク312上のセンサデータパケットまたはメッセージの送信タイムスロットと非重複であることを保証する。プロセッサ111は、ワイヤレス通信チャネル400の送信タイムスロットおよび受信タイムスロットについて、そのプロトコル、例えば、BluetoothLE、の知識、および/または、現在の接続パラメータの知識、によって認識している。このことは、プロセッサ111がワイヤレス通信チャネル400のマスタデバイスとして、および、スレーブデバイスとして、構成されているときの両方について当てはまる。
【0048】
したがって、プロセッサ111は、既知の時刻において、データインターフェイス回路307の好適なレジスタに特定のコマンドを書き込み得、それにより、データインターフェイス回路307がそれに応えてセンサデータメッセージを送信するようにする。プロセッサ111は、代替的に、単に汎用入出力ポート(general purpose input-output port:GPIO)を使用して、データインターフェイス回路307のピンを、可撓性コネクタアセンブリ200の導電性ワイヤまたはトレースを経由して論理ローから論理ハイに、またはその逆に、スイッチングすることにより、このピンをアサートし得る。データインターフェイス回路307のピンの状態スイッチングにより、データインターフェイス回路307に1つまたは複数のセンサデータメッセージを送信させ得る。
【0049】
以下の項目は、本出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
ヘッドウェアラブル聴覚機器であって、
ユーザの耳にまたは耳の後ろに設置されるために構成されており、かつ、ワイヤレス通信チャネルを経由して、それぞれ送信タイムスロットおよび受信タイムスロットにおいてデータパケットを送信および受信するように構成されている無線周波数データ通信インターフェイスを備えている、第1の筐体部分と、
前記第1の筐体部分を、第2の筐体部分と電気的におよび機械的に相互接続するように構成されているコネクタアセンブリと、
前記ユーザの外耳道内に設置されるために構成されており、かつ、前記ヘッドウェアラブル聴覚機器の動作に関連付けられた物理的特性を測定し、前記測定された物理的特性を表すセンサデータを生成する、ように構成されているセンサを備えている、前記第2の筐体部分と、
前記第1の筐体部分と前記第2の筐体部分との間に前記コネクタアセンブリを経由して延在しており、かつ、プロセッサによって定義された送信タイムスロット中にセンサデータを送信するための、ワイヤードデータ通信リンクと、
を備え、
前記センサデータの前記送信タイムスロットと、前記ワイヤレスデータ通信チャネルの少なくとも前記受信タイムスロットと、が時間的に非重複である、ヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目2]
前記ワイヤード通信リンク上の前記センサデータの前記送信タイムスロットと、前記ワイヤレスデータ通信チャネルの前記送信タイムスロットと、が非重複である、項目1に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目3]
前記第1の筐体部分の前記プロセッサが、前記第2の筐体部分内の前記ワイヤードデータ通信リンクに結合されたデータインターフェイスをポーリングすることにより、前記センサデータパケットを送信するための前記タイムスロットを定義するように構成されている、項目1または2に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目4]
前記第2の筐体部分が、それぞれの物理的特性を測定するように構成されている1つ以上の付加的なセンサを備えており、前記1つ以上の付加的なセンサが、それぞれのデータインターフェイスを介して、または、共有されたデータインターフェイスを経由して、前記ワイヤードデータ通信リンクに接続されている、項目1~3のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目5]
前記第2の筐体部分がさらに、
前記コネクタアセンブリの少なくとも2つの導電性ワイヤまたはトレースを経由して供給されたオーディオ駆動信号に従って音を発出するように構成されているレシーバまたはミニチュアラウドスピーカ
を備えている、項目1~4のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目6]
前記無線周波数データ通信インターフェイスが、Bluetooth(登録商標)またはBluetoothLE準拠のインターフェイスを備えている、項目1~5のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目7]
前記無線周波数データ通信インターフェイスの通信プロトコルが、前記受信タイムスロットおよび前記送信タイムスロットを定義する、複数の連続した接続イベントを含んでいる、項目6に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目8]
前記第1の筐体部分が、前記連続した接続イベント中にはポータブル型外部通信デバイスに物理的に接続されており、介在するアイドル期間中には接続解除されている、項目7に記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目9]
前記ワイヤードデータ通信リンクが、I2C、SPI、1-Wire(登録商標)などといった産業規格に準拠している、項目1~8のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目10]
前記第2の筐体部分が、
少なくとも、前記ミニチュアラウドスピーカ、前記センサ、および、前記ワイヤードデータ通信リンクに結合された第1のデータ通信インターフェイス、を収容している剛性かつ中空のシェルと、
前記剛性かつ中空のシェルに取り外し可能に結合されており、かつ、前記ユーザの外耳道内に設置されるために形状およびサイズが決定されている、圧縮可能かつ弾性の耳栓またはきのこ状構造と、
を備えている、項目1~9のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目11]
前記無線周波数データ通信インターフェイスが、前記コネクタアセンブリの、少なくとも1つの導電性ワイヤまたはトレースを備えている、例えば、前記ワイヤードデータ通信リンクの導電性ワイヤを含んでいる、RFアンテナを備えている、項目1~10のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目12]
前記無線周波数データ通信インターフェイスが、前記第1の筐体部分の内部に配置されており、かつ、例えば、前記プロセッサを支持している電子機器キャリア基板の、1つ以上のコイル状トレースを備えている、RFアンテナを備えている、項目1~9のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目13]
前記第2の筐体部分内に配置されている前記1つまたは複数のセンサが、
前記ユーザの外耳道音圧をピックアップするように、または、前記ユーザの耳における外部環境から音圧をピックアップするように、配置されているマイクロフォンと、
耳内温度と、
前記第2の筐体部分の空間配向と、
前記ユーザの脳波(EEG)信号と、
のうちの少なくとも1つを備えている、項目1~12のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目14]
前記第2の筐体部分が、センサデータを一時的に格納するための、揮発性または不揮発性のメモリ回路を備えている、項目1~13のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目15]
前記コネクタアセンブリが、可撓性キャリア基板または可撓性外側コーティングを備えており、好ましくは、前記第1の筐体部分のワイヤードデータ通信インターフェイスを前記第2の筐体部分のワイヤードデータ通信インターフェイスと相互接続している複数の導電性ワイヤまたはトレースを備えている、項目1~14のいずれかに記載のヘッドウェアラブル聴覚機器。
[項目16]
ヘッドウェアラブル聴覚機器の、相互接続された第1の筐体部分と第2の筐体部分との間におけるワイヤード通信インターフェイスを経由して、データ送信タイムスロットを制御する方法であって、
a)前記第1の筐体部分の無線周波数データ通信インターフェイスのデータパケットの受信タイムスロットを、そのプロセッサにより判定することと、
b)前記第2の筐体部分の少なくとも1つのセンサにより、前記機器の前記動作に関連付けられた物理的特性を測定することと、
c)前記測定された物理的特性を表すセンサデータを生成することと、
d)前記第1の筐体部分と前記第2の筐体部分との間のコネクタアセンブリを経由して延在しているワイヤードデータ通信リンクを経由して、前記プロセッサによって定義されたデータ送信タイムスロットにおいて、前記センサデータを前記第1の筐体部分に送信することと、
e)前記ワイヤード通信リンクの前記送信タイムスロットを、前記無線周波数データ通信インターフェイスの前記受信タイムスロットと重複しないように制御することと、
を含む、方法。
【外国語明細書】