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特開2022-23812外科的ステープル留め中の縫合不全の検出のためのシステムおよび方法
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  • 特開-外科的ステープル留め中の縫合不全の検出のためのシステムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023812
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】外科的ステープル留め中の縫合不全の検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A61B17/115
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119357
(22)【出願日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】63/056,765
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/355,250
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー イー. ストラスナー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC33
(57)【要約】
【課題】外科的ステープル留め中の縫合不全の検出のためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】組織をステープル留めするための外科的ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法は、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して、ステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、組織をクランプする、第1の位置まで、前進させることであって、クランプされた組織は、縫合を含む、前進させることと、第1の時点で、アンビルアセンブリを用いて、組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、測定された第1の力が閾値より大きいかどうかを判定することと、第1の力が閾値よりも大きいという判定に応答して、第2の時点で、組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することなどを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法であって、
アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して、前記ステープルカートリッジと前記アンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、前進させることであって、前記クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させることと、
第1の時点で、前記アンビルアセンブリを用いて、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
前記測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、
前記第1の力が前記所定の閾値よりも大きいという前記判定に応答して、第2の時点で、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第2の組織圧縮力を測定することと、
前記測定された第2の組織圧縮力が前記測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、前記縫合が不全となったかどうかを判定することと、
前記判定された縫合不全に基づいて、前記アンビルアセンブリの前記前進を停止することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記第1の組織圧縮力および前記第2の組織圧縮力は、ひずみゲージによって測定される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記縫合が不全となったかどうかを判定することは、前記クランプされた組織に経時的に加えられた力の曲線の形状にさらに基づく、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記第2の組織圧縮力が前記第1の組織圧縮力よりも小さいときに、ステープルの発射を防止することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記判定されている縫合不全に応答して警告を表示することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記表示された警告は、手術部位を検査するため、または前記組織のクランプを解除するための警告のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
縫合不全が判定されたときに、音声警告を生成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記所定の閾値は、所定の組織圧縮許容範囲よりも大きい、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記第1の組織圧縮力と前記第2の組織圧縮力との間の組織クランプ力の減少を判定することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
第1の時点で、前記アンビルアセンブリを用いて、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の前記第1の組織圧縮力を測定することは、前記アンビルアセンブリが前記ステープルカートリッジの所定の距離範囲内にないときに、前記第1の組織圧縮力を測定することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
外科用ステープル留め器具であって、
アンビルヘッドおよび前記アンビルヘッドから近位に延在するアンビルセンターロッドを含むアンビルアセンブリと、
複数のステープルを含む環状ステープルカートリッジを含むリロードアセンブリと、
プロセッサと、
メモリであって、その上に記憶された命令であって、前記プロセッサによって実行されると、前記外科用ステープル留め器具に、
前記アンビルアセンブリを前記ステープルカートリッジに対して、前記ステープルカートリッジと前記アンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで前進させることであって、前記クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させること、
第1の時点で、前記アンビルアセンブリを用いて、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第1の組織圧縮力を測定すること、
前記測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定すること、
前記第1の力が前記所定の閾値よりも大きいという前記判定に応答して、第2の時点で、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第2の組織圧縮力を測定すること、
前記測定された第2の組織圧縮力が前記測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、前記縫合が不全となったかどうかを判定すること、および
前記判定された縫合不全に基づいて、前記アンビルアセンブリを前記前進させることを停止すること、を行わせる、命令を含む、メモリと、を備える、外科用ステープル留め器具。
【請求項12】
前記第1の組織圧縮力および前記第2の組織圧縮力は、ひずみゲージによって測定される、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項13】
前記縫合が不全となったかどうかを判定することは、前記クランプされた組織に経時的に加えられた力の曲線の形状にさらに基づく、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項14】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記測定された第2の組織圧縮力が前記第1の組織圧縮力よりも小さいときに、前記外科用ステープル留め器具にステープルの発射をさらに防止させる、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項15】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記縫合不全が判定されることに応答して、前記外科用ステープル留め器具に警告をさらに引き起こす、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項16】
前記表示された警告は、手術部位を検査するため、または前記組織のクランプを解除するための警告のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項17】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、縫合不全が判定されたときに、前記外科用ステープル留め器具に音声警告をさらに生成させる、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項18】
前記所定の閾値は、所定の組織圧縮許容範囲よりも大きい、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項19】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記外科用ステープル留め器具に、前記第1の組織圧縮力と前記第2の組織圧縮力との間の組織クランプ力の減少をさらに判定させる、請求項11に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項20】
命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、外科用ステープル留め器具を制御するための方法を実施させ、前記方法は、
前記ステープルカートリッジと前記アンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、ステープルカートリッジに対して、アンビルアセンブリを前進させることであって、し、前記クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させることと、
第1の時点で、前記アンビルアセンブリを用いて、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
前記測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、
前記第1の力が前記所定の閾値よりも大きいという前記判定に応答して、第2の時点で、前記組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第2の組織圧縮力を測定することと、
前記測定された第2の組織圧縮力が前記測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、前記縫合が不全となったかどうかを判定することと、
前記判定された縫合不全に基づいて、前記アンビルアセンブリの前記前進を停止することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月27日に出願された米国仮特許出願第63/056,765号の利益および優先権を主張し、その内容全体が、参照により、本明細書によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、電動外科用ステープル留め器具、より具体的には、縫合不全を検出することに基づいて外科用ステープル留め器具を制御するための方法に関し、かつ方法を実施するための外科用ステープル留め器具に関する。
【背景技術】
【0003】
吻合は、別々の中空臓器部分を外科的に接合することである。典型的に、吻合処置は、臓器の罹患または欠陥のある部分が除去され、臓器の残りの端部部分が外科用ステープル留め器具を介して接合される手術に続く。所望の吻合処置に応じて、残りの端部部分は、例えば、円形または側部から側部への臓器再建法によって接合され得る。
【0004】
円形吻合処置では、臓器の残りの端部部分が、残りの端部部分を介してステープルの円形アレイを駆動し、同時に臓器内の管状通路を解放するように駆動されたステープルの円形アレイの任意の組織内部をくり抜く外科用ステープル留め器具によって接合される。処置中、吻合の完全性を高め、漏出を防止するのを助けるために、巾着縫合糸を外科用ステープル留め器具の片側または両側の周りに結ぶことができる。場合によっては、外科医の技術または組織の特性のいずれかにより、外科用ステープル留め器具による組織のクランプ中に巾着縫合糸が不全である可能性がある。巾着縫合が不全であると、組織ドーナツ全体がデバイスに捕捉されずに漏出し得るか、または不完全なドーナツが形成され得る。
【0005】
組織のクランプ中に巾着縫合がいつ不全であるかを判定することができるステープル留め器具に対する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、組織をステープル留めするための外科的ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法は、ステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、ステープルカートリッジに対して、アンビルアセンブリを前進させることであって、クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させることと、第1の時点で、アンビルアセンブリを用いて、組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、第1の力が閾値よりも大きいという判定に応答して、第2の時点で組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することと、測定された第2の組織圧縮力が測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、縫合が不全となったかどうかを判定することと、判定された縫合不全に基づいて、アンビルアセンブリの前進を停止することと、を含む。
【0007】
一態様では、第1の組織圧縮力および第2の組織圧縮力は、ひずみゲージによって測定され得る。
【0008】
別の態様では、縫合が不全となったかどうかを判定することは、クランプされた組織に経時的に加えられた力の曲線の形状にさらに基づき得る。
【0009】
さらに別の態様では、方法は、第2の組織圧縮力が第1の組織圧縮力よりも小さいときにステープルの発射を防止することをさらに含み得る。
【0010】
一態様では、方法は、判定されている縫合不全に応答して警告を表示することをさらに含み得る。
【0011】
別の態様では、表示された警告は、手術部位を検査するため、または組織のクランプを解除するための警告のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0012】
さらに別の態様では、方法は、縫合不全が判定されたときに音声警告を生成することをさらに含み得る。
【0013】
なおさらに別の態様では、所定の閾値は、所定の組織圧縮許容範囲よりも大きくてもよい。
【0014】
なおさらに別の態様では、方法は、第1の組織圧縮力と第2の組織圧縮力との間の組織クランプ力の減少を判定することをさらに含み得る。
【0015】
なおさらに別の態様では、第1の時点でアンビルアセンブリを用いて組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することは、アンビルアセンブリがステープルカートリッジの所定の距離範囲内にないときに、第1の組織圧縮力を測定することを含み得る。
【0016】
本開示によれば、外科用ステープル留め器具は、アンビルヘッドおよびアンビルヘッドから近位に延在するアンビルセンターロッドを含むアンビルアセンブリと、複数のステープルを含む環状ステープルカートリッジを含むリロードアセンブリと、プロセッサと、メモリと、を含む。メモリは、その上に記憶された命令であって、プロセッサによって実行されると、外科用ステープル留め器具に、ステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、ステープルカートリッジに対して、アンビルアセンブリを前進させることであって、クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させることと、第1の時点で、アンビルアセンブリを用いて、組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、第1の力が閾値よりも大きいという判定に応答して、第2の時点で、組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することと、測定された第2の組織圧縮力が測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、縫合が不全となったかどうかを判定することと、判定された縫合不全に基づいて、アンビルアセンブリの前進を停止することと、を行わせる、命令を含む。
【0017】
一態様では、第1の組織圧縮力および第2の組織圧縮力は、ひずみゲージによって測定され得る。
【0018】
別の態様では、縫合が不全となったかどうかを判定することは、クランプされた組織に経時的に加えられた力の曲線の形状にさらに基づき得る。
【0019】
さらに別の態様では、命令は、プロセッサによって実行されると、測定された第2の組織圧縮力が第1の組織圧縮力よりも小さいときに、外科用ステープル留め器具にステープルの発射をさらに防止させ得る。
【0020】
なおさらに別の態様では、命令は、プロセッサによって実行されると、判定されている縫合不全に応答して、外科用ステープル留め器具に警告をさらに引き起こし得る。
【0021】
なおさらに別の態様では、表示された警告は、手術部位を検査するため、または組織のクランプを解除するための警告の少なくとも1つを含み得る。
【0022】
なおさらに別の態様では、命令は、プロセッサによって実行されると、縫合不全が判定されたときに、外科用ステープル留め器具に音声警告を生成させ得る。
【0023】
なおさらに別の態様では、所定の閾値は、所定の組織圧縮許容範囲よりも大きくてもよい。
【0024】
別の態様では、命令は、プロセッサによって実行されると、外科用ステープル留め器具に、第1の組織圧縮力と第2の組織圧縮力との間の組織クランプ力の減少をさらに判定させ得る。
【0025】
本開示によれば、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、外科用ステープル留め器具を制御するための方法であって、ステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、ステープルカートリッジに対して、アンビルアセンブリを前進させることであって、クランプされた組織は、内部を通る縫合糸を含む、前進させることと、第1の時点で、アンビルアセンブリを用いて、組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、第1の力が所定の閾値よりも大きいという判定に応答して、第2の時点で、組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することと、測定された第2の組織圧縮力が測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、縫合が不全となったかどうかを判定することと、判定された縫合不全に基づいて、アンビルアセンブリの前進を停止することと、を含む、方法を実施させる命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法であって、
アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して、上記ステープルカートリッジと上記アンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、前進させることであって、上記クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させることと、
第1の時点で、上記アンビルアセンブリを用いて、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
上記測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、
上記第1の力が上記所定の閾値よりも大きいという上記判定に応答して、第2の時点で、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第2の組織圧縮力を測定することと、
上記測定された第2の組織圧縮力が上記測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、上記縫合が不全となったかどうかを判定することと、
上記判定された縫合不全に基づいて、上記アンビルアセンブリの上記前進を停止することと、を含む、コンピュータ実装方法。
(項目2)
上記第1の組織圧縮力および上記第2の組織圧縮力は、ひずみゲージによって測定される、上記項目に記載のコンピュータ実装方法。
(項目3)
上記縫合が不全となったかどうかを判定することは、上記クランプされた組織に経時的に加えられた力の曲線の形状にさらに基づく、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目4)
上記第2の組織圧縮力が上記第1の組織圧縮力よりも小さいときに、ステープルの発射を防止することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目5)
上記判定されている縫合不全に応答して警告を表示することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目6)
上記表示された警告は、手術部位を検査するため、または上記組織のクランプを解除するための警告のうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目7)
縫合不全が判定されたときに、音声警告を生成することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目8)
上記所定の閾値は、所定の組織圧縮許容範囲よりも大きい、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目9)
上記第1の組織圧縮力と上記第2の組織圧縮力との間の組織クランプ力の減少を判定することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目10)
第1の時点で、上記アンビルアセンブリを用いて、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の上記第1の組織圧縮力を測定することは、上記アンビルアセンブリが上記ステープルカートリッジの所定の距離範囲内にないときに、上記第1の組織圧縮力を測定することを含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目11)
外科用ステープル留め器具であって、
アンビルヘッドおよび上記アンビルヘッドから近位に延在するアンビルセンターロッドを含むアンビルアセンブリと、
複数のステープルを含む環状ステープルカートリッジを含むリロードアセンブリと、
プロセッサと、
メモリであって、その上に記憶された命令であって、上記プロセッサによって実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、
上記アンビルアセンブリを上記ステープルカートリッジに対して、上記ステープルカートリッジと上記アンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで前進させることであって、上記クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させること、
第1の時点で、上記アンビルアセンブリを用いて、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第1の組織圧縮力を測定すること、
上記測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定すること、
上記第1の力が上記所定の閾値よりも大きいという上記判定に応答して、第2の時点で、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第2の組織圧縮力を測定すること、
上記測定された第2の組織圧縮力が上記測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、上記縫合が不全となったかどうかを判定すること、および
上記判定された縫合不全に基づいて、上記アンビルアセンブリを上記前進させることを停止すること、を行わせる、命令を含む、メモリと、を備える、外科用ステープル留め器具。
(項目12)
上記第1の組織圧縮力および上記第2の組織圧縮力は、ひずみゲージによって測定される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目13)
上記縫合が不全となったかどうかを判定することは、上記クランプされた組織に経時的に加えられた力の曲線の形状にさらに基づく、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目14)
上記命令は、上記プロセッサによって実行されると、上記測定された第2の組織圧縮力が上記第1の組織圧縮力よりも小さいときに、上記外科用ステープル留め器具にステープルの発射をさらに防止させる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目15)
上記命令は、上記プロセッサによって実行されると、上記縫合不全が判定されることに応答して、上記外科用ステープル留め器具に警告をさらに引き起こす、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目16)
上記表示された警告は、手術部位を検査するため、または上記組織のクランプを解除するための警告のうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目17)
上記命令は、上記プロセッサによって実行されると、縫合不全が判定されたときに、上記外科用ステープル留め器具に音声警告をさらに生成させる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目18)
上記所定の閾値は、所定の組織圧縮許容範囲よりも大きい、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目19)
上記命令は、上記プロセッサによって実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、上記第1の組織圧縮力と上記第2の組織圧縮力との間の組織クランプ力の減少をさらに判定させる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目20)
命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体であって、上記命令は、プロセッサによって実行されると、上記プロセッサに、外科用ステープル留め器具を制御するための方法を実施させ、上記方法は、
上記ステープルカートリッジと上記アンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、それらの間に組織をクランプする、第1の位置まで、ステープルカートリッジに対して、アンビルアセンブリを前進させることであって、し、上記クランプされた組織は、内部を通る縫合を含む、前進させることと、
第1の時点で、上記アンビルアセンブリを用いて、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
上記測定された第1の力が所定の閾値より大きいかどうかを判定することと、
上記第1の力が上記所定の閾値よりも大きいという上記判定に応答して、第2の時点で、上記組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第2の組織圧縮力を測定することと、
上記測定された第2の組織圧縮力が上記測定された第1の組織圧縮力よりも小さい所定量であることに基づいて、上記縫合が不全となったかどうかを判定することと、
上記判定された縫合不全に基づいて、上記アンビルアセンブリの上記前進を停止することと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
(摘要)
組織をステープル留めするための外科的ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法は、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して、ステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の組織ギャップを画定し、組織をクランプする、第1の位置まで、前進させることであって、クランプされた組織は、縫合を含む、前進させることと、第1の時点で、アンビルアセンブリを用いて、組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、測定された第1の力が閾値より大きいかどうかを判定することと、第1の力が閾値よりも大きいという判定に応答して、第2の時点で、組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することと、測定された第2の力が測定された第1の力よりも小さい量であることに基づいて、縫合が不全であるかどうかを判定することと、判定された縫合不全に基づいて、アンビルアセンブリの前進を停止することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ある力までクランプし、かつステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するためのシステムおよび方法が、図面を参照して本明細書に開示される。
【0027】
図1】本開示による、外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図2A】開位置およびクランプ位置にある、図1の外科用ステープル留め器具を示す図である。
図2B】開位置およびクランプ位置にある、図1の外科用ステープル留め器具を示す図である。
図3A】本開示によって提供され、図1の外科用システムとともに使用するように構成された、コントローラのブロック図である。
図3B】本開示による、図1の外科用システムのハンドルアセンブリ、アダプタアセンブリ、およびリロードアセンブリのブロック図である。
図4】本開示による、ステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するための方法のフローチャートである。
図5】本開示による、組織のクランプ中のひずみゲージプロファイルを示すグラフである。
図6図1の外科用システムで使用するために構成され、本開示に従って提供される巾着縫合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、開示された外科用デバイスについて、図面を参照して詳細に説明し、図面では、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。しかしながら、本開示の態様は、本開示の単なる例示に過ぎず、様々な形態で具現化され得ることを理解されたい。周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示を曖昧にすることを避けるために、詳細には記載されない。ゆえに、本明細書で開示される特定の構造的および機能的な詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、かつ本開示を実質的に任意の適切な詳細構造に様々に用いることを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。加えて、前方、後方、上方、下方、上部、底部、遠位、近位、および同様の用語などの方向を示す用語は、説明の理解を助けるために使用され、本開示を限定することを意図しない。
【0029】
本開示は、漏出を防止し得るステープル形成と十分に閉じられていないステープル形成とを区別することに部分的に基づいて組織のステープル留めを制御する外科用ステープル留め器具を対象とする。
【0030】
図1は、概して外科用ステープル留め器具10として示される外科用ステープル留め器具を示す。外科用ステープル留め器具10は、円形ステープル留め器具であり、ハンドルアセンブリ20、ハンドルアセンブリ20から遠位に延在するアダプタアセンブリ100、アダプタアセンブリ100の遠位部分上で支持されているリロードアセンブリ16、アダプタアセンブリ100に動作可能に結合されているアンビルアセンブリ50、およびハンドルアセンブリ20内に支持されたコントローラ300(図3A)を含む。リロードアセンブリ16は、複数のステープル(図示せず)を含む環状ステープルカートリッジ48を支持する。アンビルアセンブリ50は、ステープル形成面29を含むアンビルヘッド28を含む(図2A)。
【0031】
ハンドルアセンブリ20は、電動アセンブリとして示され、固定グリップ22と、リロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48からのステープル(図示せず)の発射を制御するための作動ボタン24と、開位置とクランプ位置との間のリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48に向かう、およびステープルカートリッジ48から離れるアンビルアセンブリ50の軸方向変位を制御するための接近ボタン26a、26bと、を含む。例示的な電動ハンドルアセンブリの構造および機能の詳細な説明については、米国特許出願公開第2020/0015820号および同第2019/0343517号を参照することができる。本開示は電動アセンブリを示しているが、本開示の利点は、以下で詳細に説明するように、ロボット的に作動する外科用器具および/または手動で動作するステープラ(例えば、手動での接近が実施されているときに、許容可能なクランプ力に到達したことの表示を提供する力センサを含む)に適用可能であると想定されている。
【0032】
図2Aおよび図2Bは、開位置およびクランプ位置にある外科用ステープル留め器具10を示している。開位置(図2A)では、アンビルアセンブリ50は、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28のステープル形成面29とリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48との間の組織の配置を容易にするために、リロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48から離間されている。クランプ位置では、アンビルアセンブリ50は、ステープルカートリッジ48と並置された整列に移動し、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28のステープル形成面29とリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48との間の組織ギャップ「G」を画定する。手動および電動の両方の現在のステープル留め器具では、ステープル留め器具は、組織ギャップ「G」が所定の範囲内にない限り、ステープル留め器具の発射を防止するためのロックアウトを含む。この所定の範囲は、形成されるステープルのサイズに部分的に基づいて判定され、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28が、ステープルを適切に形成するためにステープルカートリッジ48に十分に近接していることを保証する。所定の組織ギャップ範囲は、ギャップG最大に許容可能な最大値および許容可能な最小組織ギャップG最小によって画定される。
【0033】
ハンドルアセンブリ20は、コントローラ300(図3A)と通信し、かつアンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間に組織がクランプされたことに起因する外科用ステープル留め器具10のモータ(図示せず)への負荷を判定するように構成されているひずみゲージ360(図3A)などの電気アセンブリを含み得る。この判定は、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間にクランプされている組織への圧縮力を判定するために使用することができる。
【0034】
図1を引き続き参照すると、アダプタアセンブリ100は、ハンドルアセンブリ20に取り外し可能に結合されているインターフェース部分232と、インターフェース部分232から遠位に延在する管状シャフト234と、アダプタアセンブリ100内で移動可能に支持されているドライブカップリングアセンブリ(図示せず)と、アンビルアセンブリ50のアンビルシャフト52に結合されている駆動シャフト(図示せず)と、を含む。ドライブカップリングアセンブリ(図示せず)は、ハンドルアセンブリ20と係合して、それによって駆動され、ドライブシャフトの軸方向変位を制御して、アンビルアセンブリ50をステープルカートリッジ48に対して開位置とクランプ位置との間で移動させる。
【0035】
リロードアセンブリ16は、アダプタアセンブリ100の遠位部分上で支持され、ステープルカートリッジ48を支持するシェルハウジング46を含む。本開示の態様では、ステープルカートリッジ48は、ステープル受容ポケット48aの環状列を画定する(図1)。本開示のいくつかの態様では、リロードアセンブリ16は、アダプタアセンブリ100の遠位部分に解放可能に結合されて、各使用後の環状ステープルカートリッジ48の交換を容易にする。
【0036】
ステープルカートリッジ48のステープル受容ポケット48aの各々は、ハンドルアセンブリ20の作動ボタン24の作動を介してステープルカートリッジ48から発射することができるステープル(図示せず)を支持する。リロードアセンブリ16のシェルハウジング46は、環状空洞60を画定する。環状空洞60は、ステープルカートリッジ48に対して移動可能であるステープルプッシャー(図示せず)および環状ナイフ(図示せず)を支持して、ステープルカートリッジ48からステープルを排出し、ステープルカートリッジ48によって画定された環内に位置決めされた組織を切り裂くか、または切断する。ステープル(図示せず)がステープルカートリッジ48から発射されると、ステープルは、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28のステープル形成面29のステープル形成ポケット内に駆動され、その中で形成される。
【0037】
図3Aは、本開示による、コンピュータ可読ストレージ媒体またはメモリ330に接続されているプロセッサ320を含むコントローラ300を示している。コンピュータ可読ストレージ媒体またはメモリ330は、揮発性タイプのメモリ、例えば、RAM、または不揮発性タイプのメモリ、例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体などであってもよい。本開示の様々な態様において、プロセッサ320は、限定しないが、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、ASIC、グラフィックス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または中央処理ユニット(CPU)などの別のタイプのプロセッサであってもよい。本開示の特定の態様では、プロセッサとは対照的に、メミスターとして、化学的に、または他の推論計算として実装される重みを有する、ネットワーク推論もまたシステム内で達成され得る。
【0038】
本開示の態様では、メモリ330は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、磁気ディスクメモリ、固体メモリ、光学的ディスクメモリ、および/または別のタイプのメモリであり得る。本開示のいくつかの態様では、メモリ330は、コントローラ300とは別個とすることができ、回路基板の通信バスを通して、かつ/またはシリアルATAケーブルもしくは他のタイプのケーブルのなどの通信ケーブルを通して、プロセッサ320と通信することができる。メモリ330は、コントローラ300を動作させるためにプロセッサ320によって実行可能である、コンピュータ可読命令を含む。本開示の他の態様では、コントローラ300は、他のコンピュータまたはサーバと通信するためのネットワークインターフェース340を含み得る。データを記憶するために、ストレージデバイス310が使用され得る。
【0039】
本開示の態様では、ひずみゲージ360はプロセッサに結合され、開示された方法は、コントローラ300上で、または例えば、モバイルデバイス、IoTデバイス、もしくはサーバシステム上を含む、ユーザデバイス上で実行される。
【0040】
図3Bを参照して、ハンドルアセンブリ20、アダプタアセンブリ200、およびリロードアセンブリ16の概略図が示されている。簡潔にするために、モータ152、154、156のうちの1つのみ、すなわちモータ152が示される。モータ152は、バッテリ144に結合される。いくつかの態様では、モータ152は、AC/DC変圧器などの、電気エネルギーをモータ152に提供するように構成された任意の好適な電源に結合され得る。
【0041】
バッテリ144およびモータ152は、バッテリ144からモータ152への電気エネルギーの流れを含むモータ152の動作を制御するモータコントローラ143を有するモータコントローラ回路基板142aに結合される。メインコントローラ回路基板142b(図1)は、ハンドルアセンブリ20を制御するメインコントローラ300を含む。モータコントローラ143は、モータ152およびバッテリ144の動作状態を測定するように構成された複数のセンサ408a、408b、…408nを含む。センサ408a~408nは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ、遠隔測定センサ、光学センサ、およびそれらの組み合わせを含み得る。センサ408a~408nは、バッテリ144によって供給される電気エネルギーの電圧、電流、および他の電気的特性を測定し得る。センサ408a~408nはまた、モータ152の角速度(例えば、回転速度)を、毎分回転数(RPM)、トルク、温度、電流引き込み、および他の動作特性として測定し得る。角速度は、モータ152、またはそれに結合され、かつモータ152によって回転可能な駆動シャフト106、108、110(図2A)の回転を測定することによって判定され得る。様々な軸方向に移動可能な駆動シャフトの位置は、シャフト内またはシャフトの近傍に配設された様々な線形センサを使用することによって判定され得る、またはRPM測定から推定され得る。いくつかの態様では、トルクは、一定のRPMにおいてモータ152の安定化電流引き込みに基づいて計算され得る。さらなる態様では、モータコントローラ143および/またはメインコントローラ300は、時間を測定し、積分および/または微分を含む時間の関数として上記の値を処理して、例えば、測定値の変化率を判定することができる。メインコントローラ300はまた、モータ152、154、および156の回転をカウントすることによって、円形アダプタアセンブリ200および/またはリロードアセンブリ16の様々な構成要素の移動距離を判定するように構成される。
【0042】
モータコントローラ143は、モータコントローラ143とインターフェースするための複数の入力および出力を含むメインコントローラ300に結合される。特に、メインコントローラ300は、モータ152およびバッテリ144の動作状態に関してモータコントローラ143から測定されたセンサ信号を受信し、次いで、制御信号をモータコントローラ143に出力して、以下でより詳細に論じられるセンサの読み取り値および特定のアルゴリズム命令に基づいて、モータ152の動作を制御する。メインコントローラ300はまた、ユーザインターフェース(例えば、メインコントローラ300に結合されたスイッチ、ボタン、タッチスクリーンなど)からの複数のユーザ入力を受け入れるように構成される。
【0043】
メインコントローラ300はまた、有線または無線接続を使用して円形アダプタアセンブリ200のひずみゲージ360に結合され、かつハンドルアセンブリ20の動作中に使用されるひずみゲージ360からひずみ測定値を受信するように構成される。
【0044】
リロードアセンブリ16は、ストレージデバイス405(例えば、チップ464c)を含む。アダプタアセンブリ200はまた、ストレージデバイス407を含む。ストレージデバイス405および407は、それぞれリロードアセンブリ16および円形アダプタアセンブリ200に関係する任意のデータを記憶するように構成される不揮発性記憶媒体(例えば、EEPROM)を含み、関係する任意のデータは、使用カウント、識別情報、モデル番号、シリアル番号、ステープルサイズ、ストローク長、最大作動力、最小作動力、工場較正データなどを含むが、これらに限定されない。態様において、データは、暗号化され得、適切なキーを有するデバイス(例えば、メインコントローラ300)によってのみ解読可能である。データはまた、円形アダプタアセンブリ200および/またはリロードアセンブリ16を認証するためにメインコントローラ300によって使用され得る。ストレージデバイス405および407は、読み取り専用モードまたは読み取り/書き込みモードで構成することができ、これにより、メインコントローラ300が、ストレージデバイス405および407にデータを読み取りならびに書き込みすることが可能になる。
【0045】
外科用ステープル留め器具10が外科的処置を実施するために使用されるときに、外科用ステープル留め器具10は、ステープルカートリッジ48とアンビルアセンブリ50との間に組織を位置決めするように操作される。外科用器具が組織を治療するために組織に対して適切に位置決めされると、ハンドルアセンブリ20が作動して、アンビルアセンブリ50をクランプ位置に向かってG最小位置に移動させる。
【0046】
図4は、外科用ステープル留め器具を制御し、組織のクランプ中に縫合不全を検出するためのフローコンピュータ実装方法400の流れ図を示している。処置中、巾着縫合糸600(図6)は、吻合の完全性を高め、漏出を防止するのを助けるために、外科用ステープル留め器具を覆う組織の片側または両側の周りに結ばれ得る。第1のクランプ段階の間、アンビルアセンブリ50(図1)は、ステープルカートリッジ48に対して、開位置から、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間に画定された組織ギャップが適切なステープル形成を容易にするための所定の許容可能なギャップ範囲内にあるクランプ位置に移動する。より具体的には、第1のクランプ段階において、アンビルアセンブリ50は、G最大の組織ギャップを画定するために、リロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48に対して接近する(ステップ402)。本開示の態様では、G最大は、約0.037インチ~約0.024インチであってもよい。しかしながら、G最大の値は、ステープルカートリッジ48内のステープルのサイズに応じて変化し得る。クランプされた組織は、縫合を含む。
【0047】
アンビルアセンブリ50が、G最大の組織ギャップに到達するまで、ステープルカートリッジ48に対して移動すると、ステープルカートリッジ48とアンビルアセンブリ50との間にクランプされた組織に対する組織圧縮力が第1の時点で測定される(ステップ404)。上記のように、アンビルアセンブリ50とシェルアセンブリのステープルカートリッジ48との間にクランプされた組織のクランプ力は、コントローラ300と通信するひずみゲージ360を使用して測定することができる。代替的に、任意の他の力またはひずみ測定デバイスを使用して、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間にクランプされた組織のクランプ力を測定し得る。例えば、駆動シャフト106(図2A)を駆動するハンドルアセンブリ20内のモータ154の電流引き込みは、クランプ力の測定に使用することができる。組織に対する圧縮力が所定の閾値よりも大きい場合(ステップ406)、外科用ステープル留め器具10は、ステープルカートリッジ48に対してアンビルアセンブリ50を前進させ続ける。所定の閾値は、圧縮されている組織のタイプおよび厚さに基づいて変化し得、器具10またはユーザによって自動的に設定され得る。
【0048】
ステープルカートリッジ48とアンビルアセンブリ50との間にクランプされた組織に対する組織圧縮の力が、第2の時点で測定される(ステップ408)。第2の時点での圧縮力が第1の時点での圧縮力よりも小さい場合、コントローラは、巾着縫合が不全であると判断する(ステップ410)。巾着縫合不全は、例えば、縫合の破裂、縫合材料の不全、および/または組織から剥離した縫合の非限定的なリストを含み得る。第2の時点での圧縮力は、第1の時点での圧縮力から急激に減少する可能性があり(例えば、図5の曲線502を参照)、これは巾着縫合不全を示している。
【0049】
図5は、組織のクランプ中のひずみゲージプロファイルを示すグラフである。例えば、これらの力は、アンビルアセンブリ50がステープルカートリッジ48から約1.500インチ~約0.460インチであるときに見られ得る。曲線502は、クランプ中に巾着縫合が不全であることによって見られる力のために閉塞力制限エラーを引き起こしたクランプされた組織を表す。他のすべての曲線504は、問題なく、正常なクランプされた組織を示している。これらの曲線は、結腸直腸空間における5つの異なる処置タイプを表す。
【0050】
様々な態様において、圧縮力は、例えば曲線として、経時的に監視することができる。様々な態様において、コントローラ300は、変化率、形状などを含む曲線の形状を分析し、曲線を記憶された曲線のデータベースと比較し、測定された曲線と記憶された曲線の特性間の差に基づいて縫合不全を判定することができる。様々な態様において、コントローラは、アンビルアセンブリ50がステープルカートリッジ48の第1の所定の範囲内にあり、ステープルカートリッジ48に対して第2の所定の範囲所定の範囲内にないときに測定される測定された圧縮力値を使用することができる。例えば、第1の所定の範囲は、アンビルアセンブリ50がステープルカートリッジ48から約1.500インチ~約0.9インチであるときに、例えば、組織圧縮力が通常、組織が圧縮されていないことを示す閾値を下回る距離の範囲であり得、第2の所定の範囲は、アンビルアセンブリ50がステープルカートリッジ48から約0.7インチ~約0.45インチであるときに、例えば、組織圧縮力が通常、組織が圧縮されていることを示す閾値を超える距離の範囲であり得る。
【0051】
縫合が不全であるとコントローラが判定した場合、外科用ステープル留め器具10は、発射モードに入らない。そのため、外科用ステープル留め器具10は、発射モードに入るのを防止され、コントローラ#は、外科医が外科用ステープル留め器具10を組織上に再位置決めし、縫合を交換することができるように、圧縮力が高すぎることを外科医に警告し、組織のクランプを停止するために、例えば、外科用ステープル留め器具のハンドルアセンブリ上のディスプレイ146(図1)に警告を提供し得る。いくつかの態様において、警告は、外科医に手術部位を検査するように警告し得る。様々な態様において、外科用ステープル留め器具10は、ビープ音、トーン、または発話フレーズなどの可聴警告を生成し得る。例えば、発話フレーズは、不全である縫合のために手術部位を検査するように外科医に警告し得る。
【0052】
本開示は、電動外科用ステープル留め器具を対象とするが、本開示の原理は、手動によるステープル留め器具に適用可能であると想定される。例えば、ステープル留め器具が所定の許容可能な組織ギャップ範囲を通って移動すると、ステープル留め器具のアンビルアセンブリとステープルカートリッジとの間にクランプされた組織に対するクランプ力を測定することができる。このようなデバイスでは、ライトなどのインジケータを器具に提供することができる。組織のクランプ力が、所定の許容可能なギャップ範囲内で器具を用いて所定の許容可能な圧縮範囲に入るときに、インジケータを作動させて、器具は発射する準備ができていることを外科医に通知することができる。
【0053】
本開示の態様は、円形ステープル留め器具に関連付けられて図示されているが、線形ステープル留めデバイス、血管シーリングデバイス、および組織部分を一緒に接合するための他のデバイスを含む他のタイプのステープル留め器具に等しく適用可能であることが想定される。
【0054】
当業者は、方法500の1つ以上の動作が、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序で実施され、繰り返され、かつ/または省略され得ることを認識するであろう。様々な態様において、図示される方法500は、コントローラ300(図3A)において、リモートデバイスにおいて、または別のサーバもしくはシステムにおいて動作させることができる。他の変形例も、本開示の範囲内にあると想到される。方法500の動作は、コントローラ、例えば、外科用ステープル留め器具10(図3A)のコントローラ300(図3A)に関して記載されるが、図示される動作も同様に、他のシステムおよびその構成要素に適用可能であることが理解されるであろう。
【0055】
当業者であれば、本明細書において具体的に説明され、添付の図面に図示される器具および方法が非限定的であることを理解するであろう。本開示の範囲を逸脱することなく、本要素および特徴を、別の要素および特徴と組み合わせ得ることが想定される。同様に、当業者であれば、本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6