(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023926
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】有機電子素子及びその電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20220201BHJP
C07D 307/91 20060101ALI20220201BHJP
C07D 333/76 20060101ALI20220201BHJP
C07D 209/88 20060101ALI20220201BHJP
C07D 403/12 20060101ALI20220201BHJP
C07D 405/12 20060101ALI20220201BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20220201BHJP
C07D 409/12 20060101ALI20220201BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20220201BHJP
C07D 241/42 20060101ALI20220201BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20220201BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
H05B33/22 D
C07D307/91
C07D333/76
C07D209/88
C07D403/12
C07D405/12
C07D409/14
C07D409/12
C07D495/04 105
C07D241/42
H05B33/14 A
H01L29/28 100A
H01L29/28 250H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175663
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2020541860の分割
【原出願日】2019-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0013219
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515127979
【氏名又は名称】ドク サン ネオルクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヒョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ホ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ミ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キョン ジェ テック
(72)【発明者】
【氏名】パク ムー ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー スン ヒ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】素子の発光効率、安定性及び寿命を向上させることができる新規化合物を用いた有機電子素子、及びその電子装置を提供する。
【解決手段】正極;負極;及び前記正極と負極との間に形成された有機物層を含む有機電子素子であって、
前記有機物層は発光層を含み、正極と発光層との間に形成される正孔輸送層、そして発光層と正孔輸送層との間に形成される発光補助層又は電子阻止層(EBL)を含み、前記発光補助層又は電子阻止層が、式(30)で示される化合物を含有する有機電子素子。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極;負極;及び前記正極と負極との間に形成された有機物層を含む有機電子素子であって、
前記有機物層は発光層を含み、正極と発光層との間に形成される正孔輸送層、そして発光層と正孔輸送層との間に形成される発光補助層又は電子阻止層(EBL)を含み、前記発光補助層又は電子阻止層が、下記式(30)で示される化合物を含有することを特徴とする有機電子素子:
【化1】
[式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24及びR
25は、互いに独立して、水素;重水素;ハロゲン;C
6~C
30のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
3~C
30の脂肪族環とC
6~C
30の芳香族環との縮合環基;C
1~C
30のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;及びC
6~C
30のアリールオキシ基;からなる群から選ばれ、又は複数のR
20同士、複数のR
22同士、複数のR
23同士、複数のR
24同士、複数のR
25同士は、互いに結合して、芳香族及びヘテロ芳香環を形成していてもよく、
vは、0~3のいずれか一つの整数であり、
u、w,x及びyは、それぞれ独立して、0~4のいずれか一つの整数であり、
Zは0~5のいずれか一つの整数であり、
L
20及びL
21は、それぞれ独立して、単結合;C
6~C
30のアリーレン基;C
3~C
30のヘテロアリーレン基;であり、
Ar
20は、C
6~C
30のアリール基;又はC
3~C
30のヘテロアリーレン基;であり、
X
20は、O、S、NR’又はCR’R’’{ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、C
1~C
30のアルキル基;C
6~C
30のアリール基;又はO、N、S、Si、Pの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
3~C
30のヘテロ環基;であり、これらは、互いに結合して、スピロ化合物を形成していてもよい}である。]
【請求項2】
前記式(30)で示された化合物が、下記式(31)~(33)のいずれか一つで示されることを特徴とする請求項1に記載の有機電子素子:
【化2】
(式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、L
20、L
21、Ar
20及びX
20、u、v、w、x、y及びzは、請求項1に記載の定義と同義である。)
【請求項3】
前記式(30)で示された化合物が、下記式(34)~(37)のいずれか一つで示されることを特徴とする請求項1に記載の有機電子素子:
【化3】
(式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、L
20、L
21、Ar
20及びX
20、u、v、w、x、y及びzは、請求項1に記載の定義と同義である。)
【請求項4】
前記式(30)で示された化合物が、下記式(38)で示されることを特徴とする請求項1に記載の有機電子素子:
【化4】
(式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、L
20、L
21、Ar
20及びX
20、u、v、w、x、y及びzは、請求項1に記載の定義と同義である。)
【請求項5】
前記式(30)で示された化合物が、下記式(39)又は(40)で示されることを特徴とする請求項1に記載の有機電子素子:
【化5】
(式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、L
20、L
21、Ar
20及びX
20、u、v、w、x、y及びzは、請求項1に記載の定義と同義である。)
【請求項6】
前記式(30)で示された化合物が、下記化合物のいずれか一つで示される請求項1に記載の有機電子素子:
【化6】
【請求項7】
前記式(30)で示された化合物が、緑色発光補助層物質として用いられることを特徴とする請求項1に記載の有機電子素子。
【請求項8】
前記式(39)又は(40)で示された化合物が、緑色発光補助層物質として用いられることを特徴とする請求項5に記載の有機電子素子。
【請求項9】
請求項1に記載の有機電子素子を含むディスプレイ装置;及び
前記ディスプレイ装置を駆動する制御部;
を含む電子装置。
【請求項10】
前記有機電子素子が、有機電子発光素子、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスター、及び単色又は白色照明素子の少なくとも一つであることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子素子用化合物、それを用いた有機電子素子及びその電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機電子素子は、通常、正極と負極及びこの間に有機物層を含む構造を有する。ここで、有機物層は、有機電子素子の効率と安定性を高めるために、それぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層などからなる。
【0003】
有機電子素子において、有機物層として用いられる材料は、機能によって発光材料と電荷輸送材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分類され得る。
【0004】
また、前記発光材料は、分子量に応じて高分子型と低分子型に分類され、発光機序により電子の一重項励起状態から由来する蛍光材料と電子の三重項励起状態から由来するリン光材料に分類され得る。また、発光材料は、発光色により青色、緑色、赤色発光材料とより良い天然色を実現するために必要な黄色及び橙色発光材料に区分され得る。
【0005】
一方、発光材料として、一つの物質のみを使用する場合、分子間相互作用によって最大発光波長が長波長に移動し、色純度が落ちるか、発光減殺効果により、素子の効率が低下される問題が発生するので、色純度の増加とエネルギー移動を通した発光効率を向上させるために、発光材料としてホスト/ドーパント系を用いることができる。その原理は、発光層を形成するホストよりエネルギー帯域間隙が小さいドーパントを発光層に少量混合すれば、発光層より発生した励起子が、ドーパントに輸送され、効率の高い光を出すことである。このとき、ホストの波長がドーパントの波長帯に移動するので、利用するドーパントの種類によって所望の波長の光を得ることができる。
【0006】
現在の携帯用ディスプレイ市場は、大面積ディスプレイへとその大きさが増加している傾向にあり、これにより、従来の携帯用ディスプレイで求められていた消費電力よりもっと大きな消費電力が要求されている。したがって、バッテリという制限的な電力供給源を有している携帯用ディスプレイの立場では、消費電力が非常に重要な要素となっており、効率と寿命問題もまた、必ず解決しなければならない状況である。
【0007】
効率と寿命、駆動電圧などは、相互関連があり、効率が増加すれば相対的に駆動電圧が低くなり、駆動電圧が低くなると、駆動時に生じるジュール熱による有機物質の結晶化が少なくなり、結果的に寿命が延びる傾向を示す。しかし、前記有機物層を単純に改善するとしても、効率を最大化させることはできない。なぜならば、各有機物層間のエネルギー準位及びT1値、物質の固有特性(移動度、界面特性など)等が最適な組み合わせを達成したときに、長い寿命と高い効率を同時に達成することができるからである。従って、高い熱的安定性を有し、発光層内で効率的に電荷均衡を成り立つことができる発光材料の開発が必要な実状である。
【0008】
即ち、有機電子素子が有する優れた特徴を十分に発揮するためには、素子内有機物層を構成する物質、例えば、正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質、発光補助層物質などが安定、且つ効率的な材料によって裏付けられることが先行しなければならないが、まだ、安定、且つ効率的な有機電子素子用有機物層材料の開発が十分に進んでいない状態である。従って、新しい材料の開発が必要とされており、特に発光層のホスト物質に対する開発が切実に求められている。
【0009】
反面、ヘテロ原子を含んでいる環化合物の場合、物質構造による特性の差が非常に大きく、OLED材料として多様な層に適用されている。特に、環の個数及び縮合位置、ヘテロ原子の種類と配列によってバンドギャップ(HOMO、LUMO)、電気的特性、化学的特性、物性などが異なるという特徴を有しているので、これを用いた多様なOLEDL層に適用開発が進められてきた。また、近頃、環化合物のヘテロ原子の種類及び個数、位置に対するOLED材料の開発が盛んに行われている。
【0010】
先行文献として特許文献1を参考にした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許 US 8334058 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、環化合物の特性を利用して、素子の駆動電圧を維持するか、小幅低くしながら、発光効率改善及び長寿命の効果を最大化させることができる化合物、それを用いた有機電子素子及びその電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、下記式(1)及び(18)で示される化合物及びそれを含む有機電子素子、その電子装置を提供する:
【化1】
【発明の効果】
【0014】
本発明による化合物を用いることによって、素子の高い発光効率、低い駆動電圧、高耐熱性を達成することができ、素子の色純度及び寿命を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る有機電子発光素子の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を参照して詳細に説明する。本発明の説明において、関連した公知構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を曇らせることがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0017】
また、本発明の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を用いることができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、他の構成要素に直接的に連結されるか、または接続されてもよいが、構成要素間にまた他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解されるべきであろう。
【0018】
本明細書及び添付された特許請求の範囲で使用されたように、特段に言及しない限り、下記用語の意味は下記の通りである。
【0019】
本明細書で使用された用語「ハロ」または「ハロゲン」は、特段の説明がない限り、フッ素(F)、臭素(Br)、塩素(Cl)またはヨード(I)である。
【0020】
本発明で使用された用語「アルキル」または「アルキル基」は、特段の説明がない限り、1~60の炭素数の単結合を有し、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルキル(脂環族)基、アルキル-置換されたシクロアルキル基、シクロアルキル-置換されたアルキル基をはじめとする飽和脂肪族官能基のラジカルを意味する。
【0021】
本発明で使用された用語「ハロアルキル基」または「ハロゲンアルキル基」は、特段の説明がない限り、ハロゲンで置換されたアルキル基を意味する。
【0022】
本発明で使用された用語「ヘテロアルキル基」は、アルキル基を構成する炭素原子中の一つ以上がヘテロ原子に代替されたものを意味する。
【0023】
本発明で使用された用語「アルケニル基」、「アルケニル基」または「アルキニル基」は、特段の説明がない限り、それぞれ2~60の炭素数の二重結合または三重結合を有し、直鎖状または分岐状鎖基を含み、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明で使用された用語「シクロアルキル」は、特段の説明がない限り、3~60の炭素数を有する環を形成するアルキルを意味し、これに制限されるものではない。
【0025】
本発明で使用された用語「アルコキシル基」,「アルコキシ基」または「アルキルオキシ基」は、酸素ラジカルが付着されたアルキル基を意味し、特段の説明がない限り、1~60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0026】
本発明で使用された用語「アルケンオキシル基」、「アルケンオキシ基」、「アルケニルオキシル基」、または「アルケニルオキシ基」は、酸素ラジカルが付着されたアルケニル基を意味し、特段の説明がない限り、2~60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0027】
本発明で使用された用語「アリールオキシル基」または「アリールオキシ基」は、酸素ラジカルが付着されたアリール基を意味し、特段の説明がない限り、6~60の炭素数を有し、これに制限されるものではない。
【0028】
本発明で使用された用語「アリール基」及び「アリーレン基」は、特段の説明がない限り、それぞれ6~60の炭素数を有し、これに対し制限されるのではない。本発明において、アリール基またはアリーレン基は、単環または多環の芳香族を意味し、隣接する置換基が結合または反応に参加して形成された芳香環を含む。例えば、アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、フルオレン基、スピロフルオレン基であってもよい。
【0029】
接頭語「アリール」または「アール」は、アリール基で置換されたラジカルを意味する。例えば、アリールアルキル基は、アリール基で置換されたアルキル基であり、アリールアルケニル基は、アリール基で置換されたアルケニル基であり、アリール基で置換されたラジカルは、本明細書で説明した炭素数を有する。
【0030】
また、接頭語が連続して命名される場合、前に記載された順に置換基が羅列されることを意味する。例えば、アリールアルコキシ基の場合、アリール基で置換されたアルコキシ基を意味し、アルコキシルカルボニル基の場合、アルコキシル基で置換されたカルボニル基を意味して、また、アリールカルボニルアルケニル基の場合、アリールカルボニル基で置換されたアルケニル基を意味し、ここで、アリールカルボニル基はアリール基で置換されたカルボニル基である。
【0031】
本明細書で使用された用語「ヘテロアルキル」は、特段の説明がない限り、一つ以上のヘテロ原子を含むアルキルを意味する。本発明で使用された用語「ヘテロアリール基」または「ヘテロアリーレン基」は、特段の説明がない限り、それぞれ一つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60のアリール基またはアリーレン基を意味し、これに制限されるものではなく、単環及び多環のうち少なくとも一つを含み、隣接する官能基が結合して形成されていてもよい。
【0032】
本発明で使用された用語「ヘテロ環基」は、特段の説明がない限り、一つ以上のヘテロ原子を含み、2~60の炭素数を有し、単環及び多環のうち少なくとも一つを含んで、ヘテロ脂肪族環及びヘテロ芳香環を含む。隣接する官能基が結合して形成されていてもよい。
【0033】
本明細書で使用された用語「ヘテロ原子」は、特段の説明がない限り、N、O、S、PまたはSiを示す。
【0034】
また、「ヘテロ環基」は環を、形成する炭素の代わりにSO
2を含む環も含んでいてもよい。例えば、「ヘテロ環基」は、下記化合物を含む。
【化2】
【0035】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「脂肪族」は、炭素数1~60の脂肪族炭化水素を意味し、「脂肪族環」は、炭素数3~60の脂肪族炭化水素環を意味する。
【0036】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「環」は、炭素数3~60の脂肪族環または炭素数6~60の芳香族環または炭素数2~60のヘテロ環またはこれらの組み合わせからなる融合環を意味し、飽和または不飽和環を含む。
【0037】
前述したヘテロ化合物以外のその他のヘテロ化合物またはヘテロラジカルは、一つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、これに制限されるものではない。
【0038】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「カルボニル」は、-COR’で示されるものであり、ここで、R’は、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0039】
特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「エーテル」は、-R-O-R’で示されるものであり、ここで、RまたはR’は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0040】
また、特段の説明がない限り、本発明で使用された用語「置換または非置換された」における「置換」は、重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-C20のアルキル基、C1-C20のアルコキシル基、C1-C20のアルキルアミン基、C1-C20のアルキルチオフェン基、C6-C20のアリールチオフェン基、C2-C20のアルケニル基、C2-C20のアルキニル基、C3-C20のシクロアルキル基、C6-C20のアリール基、重水素で置換されたC6-C20のアリール基、C8~C20のアリールアルケニル基、シラン基、ホウ素基、ゲルマニウム基及びC2-C20のヘテロ環基からなる群から選ばれる1個以上の置換基で置換されるものを意味し、これら置換基に制限されるものではない。
【0041】
また、特段の説明がない限り、本発明で使用される式は、下記式の指数の定義による置換基の定義と同様に適用される。
【化3】
(式中、aが0の整数である場合、置換基R
1は存在しなく、aが1の整数である場合、1つの置換基R
1は、ベンゼン環を形成する炭素のうちの何れか1つの炭素に結合し、aが2又は3の整数である場合、それぞれ下記のように結合し、このとき、R
1は互いに同一又は異なってもよく、aが4~6の整数である場合、これと類似する方式でベンゼン環の炭素に結合し、一方、ベンゼン環を形成する炭素に結合されている水素の表示は省略する。)
【化4】
【0042】
以下、本発明の一側面に係る化合物及びこれを含む有機電子素子について説明する。
【0043】
本発明は、下記式(1)で示される化合物を提供する:
【化5】
[式中、1)Ar
1、Ar
2及びAr
3は、互いに独立して、C
6~C
60のアリール基であり、
2)l+eは0~4の整数、d+mは0~4の整数、a及びbは0~3の整数、nは1~3の整数、cは0~4の整数であり、
3)R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、互いに独立して、水素;重水素;ハロゲン;C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;C
1~C
50のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;C
6~C
30のアリールオキシ基;及び-L’-N(R
a)(R
b){ここで、L’は、単結合;C
6~C
60のアリーレン基;フルオレニレン基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、R
a及びR
bは、互いに独立して、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれる};からなる群から選ばれ、又は複数のR
1同士、複数のR
2同士、複数のR
3同士、複数のR
4同士、複数のR
5同士は、互いに結合して、芳香族及びヘテロ芳香環を形成していてもよく、
前記アリール基、フルオレニル基、アリーレン基、ヘテロ環基、フルオレニレン基、縮合環基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基はそれぞれ重水素;ハロゲン;シラン基;シロキサン基;ホウ素基;ゲルマニウム基;シアノ基;ニトロ基;C
1-C
20のアルキルチオ基;C
1-C
20のアルコキシル基;C
1-C
20のアルキル基;C
2-C
20のアルケニル基;C
2-C
20のアルキニル基;C
6-C
20のアリール基;重水素で置換されたC
6-C
20のアリール基;フルオレニル基;C
2-C
20のヘテロ環基;C
3-C
20のシクロアルキル基;C
7-C
20のアリールアルキル基及びC
8-C
20のアリールアルケニル基;からなる群から選ばれた一つ以上の置換基でさらに置換されていてもよくて、また、これらの置換基は、互いに結合して、環を形成していてもよく、ここで、「環」は、C
3-C
60の脂肪族環又はC
6-C
60の芳香族環又はC
2-C
60のヘテロ環又はこれらの組み合わせからなる縮合環を意味し、飽和又は不飽和環を含む。]
【0044】
具体的に、本発明は、前記式(1)で示された化合物が、下記式(2)~(7)のいずれか一つで示される化合物を含む:
【化6】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、l、m、n、a、b、c、d、e、n、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、前記記載の定義と同義である。)
【0045】
好ましくは、前記式(1)のAr1、Ar3及びR3の少なくとも一つが、C6~C24のアリール基である化合物を含み、より好ましくは、前記式(1)のAr1又はAr3が、C6~C24のアリール基である化合物を含む。
【0046】
また、本発明は、前記式(1)のR3が、C6~C24のアリール基である化合物を提供する。
【0047】
さらに、本発明は、前記式(1)は、下記式(8)~(10)のいずれか一つで示される化合物を含む:
【化7】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、l、m、n、a,b、c、d、e、n、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5は、前記記載の定義と同義である。)
【0048】
また、本発明は、前記式(1)で示される化合物が、下記式(11)で示される化合物を含む:
【化8】
(式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、l、m、n、a、b、c、d、e、n、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5は、前記記載の定義と同義である。)
【0049】
具体的に、本発明において、前記式(1)で示される化合物は、下記の化合物P-1~P-160を含む:
【化9】
【0050】
別の側面において、本発明は、第1電極;第2電極;及び前記第1電極と前記第2電極と間に形成され、前記式(1)で示される化合物を含む有機物層;が含まれた有機電子素子を提供する。
【0051】
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送補助層、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一つの層を含み、前記正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、発光層、電子輸送補助層、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一つの層は、前記式(1)の化合物の1種単独又は2種以上を含む。好ましくは、前記化合物は、前記発光層に含まれる。
【0052】
より具体的に、前記発光層に、下記式(12)で示される化合物をさらに含む有機電子素子を提供する:
【化10】
[式中、1)Z
1~Z
16は、それぞれ独立して、CR又はN(ここで、Rは、水素、C
6~C
60のアリール基;O、N、S、Si、Pの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
3~C
60のヘテロ環基;C
1~C
50のアルキル基;C
6~C
60のアリールアミン基;フルオレン基;からなる群から選ばれ、隣接する基と結合して環を形成していてもよい)であり、
2)L
2は、単結合;C
6~C
60のアリーレン基;C
3~C
60のヘテロアリーレン基;及び2価の脂肪族炭化水素基;からなる群から選ばれる基であり、
3)Wは、NAr
5、O、S又はCR’R’’(ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、C
1~C
50のアルキル基;C
6~C
60のアリール基;又はO、N、S、Si、Pの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
3~C
60のヘテロ環基であり、これらは、互いに結合して、スピロ化合物を形成していてもよい)であり、
4)Ar
4及びAr
5は、それぞれ独立して、C
6~C
60のアリール基;O、N、S、Si、Pの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
3~C
60のヘテロ環基;C
1~C
50のアルキル基;C
6~C
60のアリールアミン基;フルオレン基;からなる群から選ばれる。]
【0053】
前記式(12)は、下記式(13)~(16)のいずれか一つで示される化合物を含む:
【化11】
(式中、Ar
4、Ar
5,Z
1~Z
16、L2、R’、R’’は、前記記載の定義と同義である。)
【0054】
好ましくは、前記式(12)のAr4及びAr5が、全てC6~C30のアリール基で示される化合物を含むものである。
【0055】
また、前記式(12)で示された化合物が、下記式(17)で示される化合物を含む:
【化12】
[式中、Ar
4、Ar
5、Z
1~Z
16、L
2は、前記記載の定義と同義であり、
1)L
1は、単結合;C
6~C
60のアリーレン基;C
3~C
60のヘテロアリーレン基;及び2価の脂肪族炭化水素基;からなる群から選ばれ、
2)Yは、O、S又はNAr
5であり、
3)R
a及びR
bは、互いに独立して、水素;重水素;ハロゲン;C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;C
1~C
50のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;C
6~C
30のアリールオキシ基;及び-L’-N(R
a)(R
b){ここで、L’は、単結合;C
6~C
60のアリーレン基;フルオレニレン基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、R
a及びR
bは、互いに独立して、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、又は複数のR
1同士、複数のR
2同士、複数のR
3同士、複数のR
4同士、複数のR
5同士は、互いに結合して、芳香族及びヘテロ芳香環を形成していてもよい};からなる群から選ばれ、又は複数のR
a同士、複数のR
b同士が互いに結合して、芳香族及びヘテロ芳香環を形成していてもよく、
4)yは、0~3の整数であり、zは0~4の整数である。]
【0056】
具体的に、本発明において、前記式(12)で示された化合物は、下記の4-1~4-52を含む:
【化13】
【0057】
別の例において、本発明は、正極;負極;及び前記正極と負極と間に形成された有機物層;を含む有機電子素子であって、前記有機物層は発光層を含み、正極と発光層と間に形成される正孔輸送層;発光層と正孔輸送層と間に形成される発光補助層;を含み、前記正孔輸送層又は発光補助層は、下記式(18)で示される化合物を含有し、前記発光層は、下記式(1)で示された化合物を含有することを特徴とする有機電子素子を提供する:
【化14】
[式(1)及び式(18)中、 1)Ar
1、Ar
2、Ar
3、l、m、n、a、b、c、d、e、n、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、請求項1に記載の定義と同義であり、 2)Ar
4及びAr
5は、お互い独立して、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;C
1~C
50のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;C
6~C
30のアリールオキシ基;及び-L’-N(R
a)(R
b){ここで、L’は、単結合;C
6~C
60のアリーレン基;フルオレニレン基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、R
a及びR
bは、互いに独立して、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、又はAr
4とAr
5が、互いに結合して、環を形成していてもよい};からなる群から選ばれ、 3)Ar
6は、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれるか、又は下記式(1-a)、(1-b)、(1-c)の少なくとも一つであり、
【化15】
4)Ar
9~Ar
11は、互いに独立して、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;C
1~C
50のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;C
6~C
30のアリールオキシ基;及び-L’-N(R
a)(R
b);からなる群から選ばれ、 5)h、i及びgは、0~4の整数であり;jは、0~3の整数であり;R
6~R
9は、同じであるか又は異なり、互いに独立して、水素;重水素;ハロゲン;C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;C
1~C
50のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;C
6~C
30のアリールオキシ基;及び-L’-N(R
a)(R
b);からなる群から選ばれ、 又は、R
6~R
9は、g、h、i、jが2以上のとき、それぞれ複数として、互いに同じであるか又は異なり、互いに結合して、環を形成し、 6)L
6は、単結合;C
6~C
60のアリーレン基;フルオレニレン基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環の縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、 7)L
5は、C
6~C
60のアリーレン基;フルオレニレン基;C
3~C
60の脂肪族環とC
6~C
60の芳香族環との縮合環基;及びO、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれる。]
【0058】
また、本発明は、前記発光層に前記式(12)で示される化合物を少なくとも一つをさらに含む有機電子素子を提供する。
【0059】
さらに、本発明は、前記正孔輸送層が下記式(19)又は(20)で示される化合物を含み、発光補助層は、下記式(21)又は(22)で示される化合物を含む有機電子素子を提供する:
【化16】
[式中、1)Ar
6’は、C
6~C
60のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
60のヘテロ環基;からなる群から選ばれ、2)Ar
4、Ar
5、Ar
9~Ar
11、h、i、g、L
5、L
6、R
6~R
9は、前記記載の定義と同義である。]
【0060】
具体的に、本発明において、前記式(18)で示された化合物は、下記化合物13-1~13-79及び2-1~2-76で示される化合物を含む。
【化17】
【0061】
さらに別の例において、本発明は、正極;負極;及び前記正極と負極と間に形成された有機物層;を含む有機電子素子であって、前記有機物層は発光層を含み、正極と発光層と間に形成される正孔輸送層、そして正極と正孔輸送層間に形成される発光補助層又は電子阻止層(EBL)を含み、前記発光補助層又は電子阻止層は、下記式(30)で示される化合物を含有する有機電子素子を提供する:
【化18】
[式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24及びR
25は、互いに独立して、水素;重水素;ハロゲン;C
6~C
30のアリール基;フルオレニル基;O、N、S、Si及びPの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
3~C
30の脂肪族環とC
6~C
30の芳香族環との縮合環基;C
1~C
30のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
30のアルコキシル基;及びC
6~C
30のアリールオキシ基;からなる群から選ばれ、又は複数のR
20同士、複数のR
22同士、複数のR
23同士、複数のR
24同士、複数のR
25同士は、互いに結合して、芳香族及びヘテロ芳香環を形成していてもよく、
vは、0~3のいずれか一つの整数であり、
u、w,x及びyは、それぞれ独立して、0~4のいずれか一つの整数であり、
Zは0~5のいずれか一つの整数であり、
L
20及びL
21は、それぞれ独立して、単結合;C
6~C
30のアリーレン基;C
3~C
30のヘテロアリーレン基;であり、
Ar
20は、C
6~C
30のアリール基;又はC
3~C
30のヘテロアリーレン基;であり、
X
20は、O、S、NR’又はCR’R’’{ここで、R’及びR’’は、それぞれ独立して、C
1~C
30のアルキル基;C
6~C
30のアリール基;又はO、N、S、Si、Pの少なくとも一つのヘテロ原子を含むC
3~C
30のヘテロ環基;であり、これらは、互いに結合して、スピロ化合物を形成していてもよい}である。]
【0062】
本発明において、前記式(30)で示された化合物は、下記式(31)~(38)のいずれか一つで示されることを特徴とする有機電子素子:
【化19】
(式中、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、L
20、L
21、Ar
20及びX
20、u、v、w、x、y及びzは、前記記載の定義と同義である。)
【0063】
本発明において、前記式(30)で示された化合物は、下記化合物を含む:
【化20】
【0064】
図1に示されるように、本発明に係る有機電子素子100は、基板110上に形成された第1電極120、第2電極180及び第1電極120と第2電極180と間に、式(1)で示される化合物を含む有機物層を備える。このとき、第1電極120は、アノード(正極)であり、第2電極180はカソード(負極)であってもよく、インバーター状の場合には、第1電極がカソードであり、第2電極がアノードであってもよい。
【0065】
有機物層は、第1電極120上に、順に正孔注入層130、正孔輸送層140、発光層150、発光補助層151、電子輸送層160及び電子注入層170を含む。このとき、発光層150を除いた残りの層が形成されていなくてもよい。正孔阻止層、電子阻止層、発光補助層151、電子輸送補助層、バッファ層141等を更に含んでもよく、電子輸送層160等が正孔阻止層の役割を果たしてもよい。
【0066】
また、未図示したが、本発明に係る有機電子素子は、第1電極と第2電極の少なくとも一面中、前記有機物層と反対される一面に形成された保護層をさらに含むことができる。
【0067】
一方、同じコアであっても、どの位置にどの置換基を結合させるかによって、バンドギャップ、電気的特性、界面性質などが変わるので、コアの選択及びこれに結合されたサブ(sub)-置換体の組み合わせも非常に重要であり、特に、各有機物層間のエネルギーlevel及びT1値、物質の固有特性(mobility、界面特性など)等が最適な組み合わせを成したとき、長い寿命と高い効率を同時に達成することができる。
【0068】
本発明の一実施例に係る有機電子発光素子は、PVD(physical vapor deposition)法を利用して製造することができる。例えば、基板上に金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着して正極を形成し、その上に、正孔注入層130、正孔輸送層140、発光層150、電子輸送層160及び電子注入層170を含む有機物層を形成した後、その上に負極として用いられる物質を蒸着させることによって、製造することができる。また、正孔輸送層140と発光層150と間に発光補助層151を、発光層150と電子輸送層160と間に電子輸送補助層をさらに形成することができる。
【0069】
さらに別の具体的な例として、本発明は、前記有機物層において、前記発光層がリン光発光層である有機電子素子を提供する。
【0070】
また、本発明は、前記有機物層の発光層において、前記式(1)及び(18)で示される化合物が1:9~9:1のいずれか一つの割合で混合され発光層に含まれる有機電子素子を提供する。そこで、前記式(12)で示される化合物もさらに混合されて発光層に含まれる有機電子素子を提供する。
【0071】
本発明は、前記有機電子素子において、前記第1電極の一側面中、前記有機物層と反対の一側または前記第2電極の一側面中、前記有機物層と反対の一側のうち、少なくとも一つに形成される光効率改善層をさらに含む有機電子素子を提供する。
【0072】
さらに別の例において、本発明は前記式(30)で示された化合物が、発光補助層又は電子阻止層に使用され、好ましくは、緑色発光補助層に含まれる有機電子素子を提供する。より具体的には、前記式(39)又は式(40)で示された化合物が緑色発光補助層に含まれる有機電子素子を提供する。
【0073】
また、本発明において、前記有機物層は、スピンコーティング工程、ノズルプリンティング工程、インクジェットプリンティング工程、スロットコーティング工程、ディップコーティング工程及びロール・ツー・ロール工程のいずれか一つによって形成され、本発明による有機物層は、多様な方法で形成され得るので、その形成方法によって本発明の権利範囲が制限されるものではない。
【0074】
本発明の一実施例による有機電子素子は、用いられる材料により前面発光型、背面発光型又は両面発光型であってもよい。
【0075】
WOLED(White Organic Light Emitting Device)は、高解像度実現が容易で、工程性に優れた一方、従来のLCDのカラーフィルター技術を利用して製造することができる利点がある。主に、バックライト装置で使用される白色有機発光素子に対する多様な構造が提案されて特許化されている。代表的に、R(赤)、G(緑)、B(青)発光部を相互平面的に並列配置(side-by-side)方式、R、G、B発光層が上下に積層される積層(stacking)方式があり、青色(B)有機発光層による電界発光とこれらから光を利用して無機蛍光体のフォトルミネッセンス(photo-luminescence)を利用する色変換物質(color conversion material;CCM)方式などがあるが、本発明は、このようなWOLEDにも適用され得る。
【0076】
また、本発明は、前記した有機電子素子を含むディスプレイ装置;及び前記ディスプレイ装置を駆動する制御部;を含む電子装置を提供する。
【0077】
さらに別の側面において、前記有機電子素子は、有機電子発光素子、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスター、及び単色または白色照明用素子のうちの少なくとも一つであることを特徴とする電子装置を本発明で提供する。このとき、電子装置は、現在または将来の有無線通信端末機であってもよく、携帯電話などの移動通信端末機、PDA、電子辞典、PMP、リモコン、ナビゲーション、ゲーム機、各種TV、各種コンピュータなど全ての電子装置を含む。
【0078】
以下で、本発明の前記式(1)で示される化合物の合成例及び本発明の有機電子素子の製造例について、実施例を参照して具体的に説明するが、本発明の下記実施例で限定されるものではない。
【0079】
[合成例1]
本発明による式(1)で示される化合物(final product1)は、下記の反応スキーム1のように、CoreとSubが反応して製造されてもよいが、これに限定されない。
<反応スキーム1>
【化21】
【0080】
Coreの合成例
反応スキーム1のCoreは、下記反応スキーム2の反応経路によって合成されてもよいが、これに限定されない。
<反応スキーム2>
【化22】
【0081】
Inter-1の合成
丸底フラスコに、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(50g、410.1mmol)、フェニルボロン酸(83.2g、451.1mmol)、Pd(PPh3)4(14.2g、12.3mmol)、K2CO3(170g、1.2mol)、THF(1.3L)、水(700mL)を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すれば、CH2Cl2と水で抽出した後、有機層をMgSO4で乾燥し、濃縮した後、生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、Inter1を55g(収率:60%)得た。
【0082】
Coreの合成
丸底フラスコに、Inter-1(10g、47mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン-3-イルボロン酸(12g、51.9mmol)、Pd(PPh3)4(1.6g、1.4mmol)、K2CO3(20g、141mmol)、THF(160mL)、水(80mL)を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すれば、CH2Cl2と水で抽出した後、有機層をMgSO4で乾燥し、濃縮した後、生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、Core1を5.7g(収率:53%)を得た。
【0083】
Coreの例は以下の通りであるが、これらに限定されない。また、下記表1にCoreに属する一部化合物のFD-MS(電界脱離質量分析法)値を示す。
【化23】
【0084】
【0085】
Subの例
【0086】
Subの例は、以下の通りであるが、これらに限定されない。また、下記表2にSubに属する一部化合物のFD-MS値を示す。
【化24】
【0087】
【0088】
Productの合成例
P-41の合成例
【化25】
丸底フラスコに、Core2(5g、14mmol)、Sub1(4.6g、15.2mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.5g、0.4mmol)、K
2CO
3(5.7g、41.3mmol)、THF、水を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すれば、CH
2Cl
2と水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、P-41を4.6g(収率:57%)得た。
【0089】
P-91の合成例
【化26】
丸底フラスコに、Core1(5g、14mmol)、Sub9(5.8g、15.4mmol)、Pd(PPh3)4(0.5g、0.4mmol)、K2CO3(5.8g、41.9mmol)、THF、水を添加して90℃で撹拌した。反応が完了すればCH2Cl2と水で抽出した後有機層をMgSO4で乾燥して濃縮した後生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶してP-91を4.7g(収率:51%)得た。
【0090】
P-106の合成例
【化27】
丸底フラスコに、Core1(5g、14mmol)、Sub16(5.8g、15.4mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.5g、0.4mmol)、K
2CO
3(5.8g、41.9mmol)、THF、水を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すれば、CH
2Cl
2と水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、P-106を5.8g(収率:63%)得た。
【0091】
P-146の合成例
【化28】
丸底フラスコに、Core11(5g、14mmol)、Sub2(5.8g、15.4mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.5g、0.4mmol)、K
2CO
3(5.8g、41.9mmol)、THF、水を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すれば、CH
2Cl
2と水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶して、P-146を4.7g(収率:51%)得た。
【0092】
P-4の合成例
【化29】
丸底フラスコに、Core1(5g、14mmol)、Sub6(5.9g、15.4mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.5g、0.4mmol)、K
2CO
3(5.8g、41.9mmol)、THF、水を添加し、90℃で撹拌した。反応が完了すれば、CH
2Cl
2と水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された化合物をシリカゲルカラム及び再結晶してP-4を6.1g(収率:66%)得た。
【0093】
下記表3にProductに属する一部化合物のFD-MS値を示す。
【表3】
【0094】
[合成例2]
本発明による式(12)で示される化合物(final products2)は、下記反応スキーム4のように、Sub3-1とSub3-2とが反応して製造されていてもよいが、これに限定されない。
<反応スキーム4>
【化30】
【0095】
4-1の合成例
【化31】
3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(6.4g、20mmol)をTHFに溶解させた後に、(9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸(8.8g、20mmol)、Pd(PPh
3)
4(0.03当量)、K
2CO
3(3当量)、水を添加した後、撹拌還流させた。反応が完了すれば、エーテルと水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された有機物をシリカゲルカラム及び再結晶して、生成物を9.2g(収率:72%)得た。
【0096】
4-21の合成例
【化32】
10-ブロモ-7-(ピリジン-2-イル)-7H-ベンゾ[c]カルバゾール(7.5g、20mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン-2-イルボロン酸(4.2g、20mmol)を、前記4-1合成方法と同様にして、生成物を6.5g(収率:71%)得た。
【0097】
4-25の合成例
【化33】
9-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3-ブロモ-9H-カルバゾール(8.0g、20mmol)、(9-(ナフタレン-2-イル)-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸(6.7g、20mmol)を、前記4-1合成方法と同様にして、生成物を9.2g(収率:75%)得た。
【0098】
4-31の合成例
【化34】
3’-ブロモ-9-フェニル-9H-2,9’-ビカルバゾール(9.7g、20mmol)、(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ボロン酸(5.7g、20mmol)を前記4-1合成方法と同様にして、生成物を9.5g(収率:73%)得た。
【0099】
4-32の合成例
【化35】
3-ブロモ-9-(ジベンゾ[b,d]フラン-2-イル)-9H-カルバゾール(8.2g、20mmol)、(12-([1,1’:4’,1’’-テルフェニル]-4-イル)-12H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-a]カルバゾール-3-イル)ボロン酸(10.9g、20mmol)を、前記4-1合成方法と同様にして、生成物を11.5g(収率:69%)得た。
【0100】
4-34の合成例
【化36】
4-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(6.4g、20mmol)、(4-(ジベンゾ[b,d]チオフェン-3-イル)フェニル)ボロン酸(6.1g、20mmol)を、前記4-1合成方法と同様にして、生成物を6.7g(収率:67%)得た。
【0101】
4-35の合成例
【化37】
3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(6.4g、20mmol)、9(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-イル)ボロン酸(4.8g、20mmol)を、前記4-1合成方法と同様にして、生成物を6.1g(収率:70%)得た。
【0102】
【0103】
[合成例3]
本発明による式(18)で示される化合物(final products)は、下記のように反応して製造されるが、これに限定されない。
【0104】
13-17の合成例
【化38】
9-(4’-ブロモ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9H-カルバゾール(9.6g、24mmol)をトルエンに溶解させた後に、ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)アミン(6.4g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.05当量)、PPh
3(0.1当量)、NaOt-Bu(3当量)をそれぞれ添加した後、100℃で24時間撹拌還流した。反応が終了すれば、エーテルと水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された有機物をシリカゲルカラム及び再結晶して、最終化合物12.9g(収率:84%)を得た。
【0105】
13-32の合成例
【化39】
3-(4-ブロモフェニル)-9-フェニル-9H-カルバゾール(9.6g、24mmol)をトルエンに溶解させた後、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(7.2g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.05当量)、PPh
3(0.1当量)、NaOt-Bu(3当量)をそれぞれ添加した後、100℃で24時間撹拌還流した。反応が終了すれば、エーテルと水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された有機物をシリカゲルカラム及び再結晶して、最終化合物13.8g(収率:85%)を得た。
【0106】
2-34の合成例
【化40】
丸底フラスコに、Sub4(19)(9.5g、20mmol)、Sub5(4)(4.7g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、100℃で反応を進めた。反応が完了すれば、CH
2Cl
2と水で抽出した後、有機層をMgSO
4で乾燥し、濃縮した後、生成された有機物をシリカゲルカラム及び再結晶して、2-34を9.8g(収率:78%)得た。
【0107】
2-58合成例
【化41】
丸底フラスコに、Sub4(35)(8.4g、20mmol)、Sub5(7)(5.7g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、前記2-34合成方法と同様にして、2-58を10.4g(収率:83%)得た。
【0108】
2-59合成例
【化42】
丸底フラスコに、Sub4(32)(12.9g、20mmol)、Sub5(11)(7.9g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、前記2-34合成方法と同様にして、2-59を5.2g(収率:79%)得た。
【0109】
2-69合成例
【化43】
丸底フラスコにN-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(7.2g、20mmol)、4-(2-ブロモフェニル)-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン(9.5g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、前記2-34合成方法と同様にして、2-69を12.2g得た(収率:81%)。
【0110】
2-71合成例
【化44】
丸底フラスコに、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾ[b,d]フラン-1-アミン(7.5g、20mmol)、N-(3-ブロモフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾ[b,d]フラン-1-アミン(10.6g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、前記2-34合成方法と同様にして、2-71を12.9g得た(収率:78%)。
【0111】
[合成例4]
本発明による式(30)で示される化合物(final product)は、下記反応スキーム5のように、Sub30とSub31が反応して製造されるが、これに限定されない。
<反応スキーム5>
【化45】
【0112】
Sub30の合成例
<反応スキーム6>
【化46】
【0113】
Sub30(81)の合成例
【化47】
丸底フラスコに、3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)アニリン(6.7g、20mmol)、2-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレンe(5.5g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、前記2-34合成方法と同様にして、Sub30(81)を8.83g(収率:84%)得た。
【0114】
Sub31の例
Sub31の例は、以下の通りであるが、これらに限定されない。
【化48】
【0115】
【0116】
2-72合成例
【化49】
丸底フラスコに、N-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)ジベンゾ[b,d]フラン-1-アミン(10.0g、20mmol)、2-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン(5.5g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後、前記2-34合成方法と同様にして、2-72を11.1g得た(収率:80%)。
【0117】
2-80合成例
【化50】
丸底フラスコに、Sub30(81)(10.3g、20mmol)、Sub31-4(4.66g、20mmol)、Pd
2(dba)
3(0.5g、0.6mmol)、P(t-Bu)
3(0.2g、2mmol)、t-BuONa(5.8g、60mmol)、トルエン(300mL)を添加した後。前記2-34合成方法と同様にして、2-81を10.3g得た(収率:76%)。
【0118】
【0119】
有機電子素子の製造評価
実験例1)グリーン有機発光素子の製作及び試験(host)
まず、ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、正孔注入層としてN1-(ナフタレン-2-イル)-N4,N4-ビス(4-(ナフタレン-2-イル(フェニル)アミノ)フェニル)-N1-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン(以下、‘2-TNATA’と略記する)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送化合物として4,4-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(以下、‘-NPD’と略記する)を60nm厚さで真空蒸着して正孔輸送層を形成した。その後、ホストとしては式(1)で示される前記発明化合物を用い、ドーパントとしてはIr(ppy)3[トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム]を95:5重量でドープすることによって、前記正孔輸送層上に30nm厚さの発光層を蒸着した。正孔素子層として、(1,1’-ビスフェニル)-4-オレート)ビス(2-メチル-8-キノリンオレート)アルミニウム(以下、‘BAlq’と略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq3’と略称する)を40nm厚さで成膜した。以降、電子注入層としてハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着し、負極で用いることで有機電界発光素子を製造した。
【0120】
このように製造された実施例及び比較例の有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加えて、フォトリサーチ社製のPR-650で電気発光(EL)特性を測定した。その測定の結果、5000cd/m2基準輝度でMcScience社の寿命測定装備でT95寿命を測定した。下記表は素子製作及び評価した結果を示す。
【0121】
[比較例1~4]
ホストとして、比較化合物A、比較化合物B、比較化合物C及び比較化合物Dを用いたこと以外は、前記実験例1と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【化51】
【0122】
【0123】
実験例2)グリーン有機発光素子の製作及び試験(mixed host)
ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、まず正孔注入層としてN1-(ナフタレン-2-イル)-N4,N4-ビス(4-(ナフタレン-2-イル(フェニル)アミノ)フェニル)-N1-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン(以下、‘2-TNATA’と略記する)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送化合物として4,4-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(以下、‘-NPD’と略記する)を60nm厚さで真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。その後、ホストとしては式(1)と(12)で示される前記発明化合物6:4で混合した混合物を用い、ドーパントとしてはIr(ppy)3[トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム]を95:5重量でドープすることによって、前記正孔輸送層上に30nm厚さの発光層を蒸着した。正孔素子層として(1,1’-ビスフェニル)-4-オレート)ビス(2-メチル-8-キノリンオレート)アルミニウム(以下、‘BAlq’と略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq3’と略称する)を40nm厚さで成膜した。以降、電子注入層としてハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着し、負極として用いることで有機電界発光素子を製造した。
【0124】
このように製造された実施例及び比較例有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR-650で電気発光(EL)特性を測定した。その測定結果、5000cd/m2基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備でT95寿命を測定した。下記表は素子製作及び評価した結果を示す。
【0125】
[比較例5~8、10~13]
ホストとして式(1)で示される発明化合物の代わりに、比較化合物A、比較化合物B、比較化合物C、及び比較化合物Dを用いたこと以外は、前記実施例2と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【0126】
[比較例9、14]
ホストとして式(12)で示される発明化合物の代わりに、比較化合物Eを用いたこと以外は、前記実験例2と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【化52】
【0127】
【0128】
実験例3)グリーン有機発光素子の製作及び試験(発光補助層+mixed host)
ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、まず、正孔注入層としてN1-(ナフタレン-2-イル)-N4,N4-ビス(4-(ナフタレン-2-イル(フェニル)アミノ)フェニル)-N1-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン(以下、‘2-TNATA’と略記する)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送化合物として4,4-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(以下、‘-NPD’と略記する)を60nm厚さで真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。その後、発光補助層材料として式(18)で示される前記発明化合物を20nmの厚さで真空蒸着し、発光補助層を形成した。発光補助層を形成した後、発光補助層上部に、ホストとしては式(1)と(12)で示される前記発明化合物6:4で混合した混合物を用い、ドーパントとしてはIr(ppy)3[トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム]を95:5重量でドープすることによって30nm厚さの発光層を蒸着した。正孔素子層として(1,1’-ビスフェニル)-4-オレート)ビス(2-メチル-8-キノリンオレート)アルミニウム(以下、‘BAlq’と略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq3’と略称する)を40nm厚さで成膜した。以降、電子注入層としてハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着し、負極として用いることで有機電界発光素子を製造した。
【0129】
このように製造された実施例及び比較例有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR-650で電気発光(EL)特性を測定した。その測定結果、5000cd/m2基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備でT95寿命を測定した。下記表は素子製作及び評価した結果を示す。
【0130】
[比較例15~29]
ホストとして式(1)で示される発明化合物の代わりに、比較化合物A~比較化合物Eをそれぞれ用いたこと以外は、は前記実験例3と同じ方法で有機電子発光素子を製作した。
【0131】
【0132】
実験例4)グリーン有機発光素子の製作及び試験(正孔輸送層+発光補助層+mixed host)
ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、正孔注入層としてN1-(ナフタレン-2-イル)-N4,N4-ビス(4-(ナフタレン-2-イル(フェニル)アミノ)フェニル)-N1-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン(以下、‘2-TNATA’と略記する)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送として式(18)示される前記発明化合物を60nm厚さで真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。さらに、発光補助層材料として式(18)で示される前記発明化合物を20nmの厚さで真空蒸着し、発光補助層を形成した。発光補助層を形成した後、発光補助層上部にホストとしては、式(1)と(12)で示される前記発明化合物6:4で混合した混合物を用い、ドーパントとしてはIr(ppy)3[トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム]を95:5重量でドープすることによって30nm厚さの発光層を蒸着した。正孔素子層として(1,1’-ビスフェニル)-4-オレート)ビス(2-メチル-8-キノリンオレート)アルミニウム(以下、‘BAlq’と略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq3’と略称する)を40nm厚さで成膜した。以降、電子注入層としてハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着し、負極として用いることで有機電界発光素子を製造した。
【0133】
このように製造された実施例及び比較例有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR-650で電気発光(EL)特性を測定した。その測定結果、5000cd/m2基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備でT95寿命を測定した。下記表は素子製作及び評価した結果を示す。
【0134】
【0135】
前記表7~表10の結果から分かるように、本発明の有機電子発光素子用材料をリン光ホストとして用いた有機電子発光素子は、高い発光効率、低い駆動電圧、そして寿命を顕著に改善させることができた。
【0136】
前記表7は、式(1)で示される発明化合物を単独ホストとして用いたとき、比較化合物と比較して優秀性を説明している。比較化合物Aと比較化合物Cの結果から4-ジベンゾフランよりは3-ジベンゾフランが置換されたときが駆動、効率及び寿命の全ての面で性能が向上されることを確認することができた。較化合物Aと比較化合物B、又は比較化合物Cと比較化合物Dの結果から、トリアジンにジベンゾチオフェン又はジベンゾフラン部分が1個置換された化合物よりは、2個置換されるほど性能が向上されることを確認することができた。従って、トリアジンに3-ジベンゾフランが置換され、他の片方に連結基が存在する4-ジベンゾチオフェンが必ず置換される発明化合物が、比較化合物A~比較化合物Dとは顕著に異なる向上された結果を示すことを最終的に確認できた。これは置換基の種類又は置換位置に応じて化合物のエネルギーレベル(HOMO、LUMO、T1等など)が顕著に変わり、このような化合物の物性の差が素子蒸着時、素子性能向上に主要因子(例えば、エネルギー収支のような)として作用し、このような相違な素子結果が導き出される可能性があることを示唆している。
【0137】
前記表8は、式(12)で示される化合物と式(1)の化合物を混合したとき、他の比較組み合わせより顕著に優れていることを説明している。この結果、やはり単一ホストの場合で説明した内容を裏付けており、単一ホストの場合よりは式(12)と組み合わせると、駆動と効率は約24%、寿命は約63%、さらに向上される可能性があることを確認した。2つホストをプレ混合して用いる場合、決められた割合で蒸着させるためには、経時率が非常に重要であり、本発明化合物は、他の材料に比べて経時率に優れている。特にAr1、Ar3、R3の少なくとも一つが、C6~C24のアリール基である化合物が経時試験では最も優れた結果を示した。
【0138】
前記表9は、発光層ホストとして式(1)と式(12)との混合化合物を用い、発光補助層に式(18)で示される化合物を用いた実施例であり、前記表8より効率は約60%、寿命は約20%向上された結果を示している。ここに正孔輸送層化合物も式(18)で示される化合物を用いたところ、前記表7の結果よりも駆動電圧、効率そして寿命の全ての面で小幅に向上された結果が導き出された。
【0139】
即ち、式(1)で示される本発明化合物は、単独ホストとして用いたときにも、既に知らされた類似物質と比較して、より向上された結果を示したが、式(12)で示される化合物と混合して用いるか、発光補助層又は正孔輸送層を式(18)で示される化合物を用いた時、顕著に優れた結果が導き出された。
【0140】
実験例5)ブルー有機発光素子の製作及び試験
ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、まず、正孔注入層としてN1-(ナフタレン-2-イル)-N4,N4-ビス(4-(ナフタレン-2-イル(フェニル)アミノ)フェニル)-N1-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン(以下、‘2-TNATA’と略記する)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送化合物として4,4-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(以下、‘-NPB’と略記する)を60nm厚さで真空蒸着し、正孔輸送層を形成した。その後、発光補助層材料として前記発明化合物を20nmの厚さで真空蒸着し、発光補助層を形成した。発光補助層を形成した後、発光補助層上部に、ホストとしては9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン、ドーパントとしては、BD-052X(出光興産社製)を96:4重量でドープすることによって前記発光補助層上に、30nm厚さの発光層を蒸着した。正孔素子層として(1,1’-ビスフェニル)-4-オレート)ビス(2-メチル-8-キノリンオレート)アルミニウム(以下、‘BAlq’と略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq3’と略称する)を40nm厚さで成膜した。以降、電子注入層としてハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着し、負極として用いることで有機電界発光素子を製造した。
【0141】
このように製造された実施例及び比較例有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR-650で電気発光(EL)特性を測定した。その測定結果、500cd/m2基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備でT95寿命を測定した。下記表は素子製作及び評価した結果を示す。
【0142】
[比較例35~比較例37]
発光補助層を用いず、正孔輸送層材料として比較化合物F、比較化合物G、発明化合物2-81を用いたこと以外は、前記比較実験例5と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【0143】
[比較例38]
発光補助層を用いないことを除いては、前記比較実験例5と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【0144】
[比較例39~比較例40]
発光補助層材料として比較化合物F又は比較化合物Gを用いたこと以外は、前記比較実験例5と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【化53】
【0145】
【0146】
実験例6)グリーン有機発光素子の製作及び試験
ガラス基板に形成されたITO層(正極)上に、まず、正孔注入層としてN1-(ナフタレン-2-イル)-N4,N4-ビス(4-(ナフタレン-2-イル(フェニル)アミノ)フェニル)-N1-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン(以下、‘2-TNATA’と略記する)膜を真空蒸着し、60nm厚さで形成した。次いで、この膜上に、正孔輸送化合物として4,4-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(以下、‘-NPD’と略記する)を60nm厚さで真空蒸着し、m正孔輸送層を形成した。その後、発光補助層材料として式(30)で示される前記発明化合物を20nmの厚さで真空蒸着し、発光補助層を形成した。発光補助層を形成した後、発光補助層上部に、ホストとしては4,4’-ジ(9H-カルバゾール-9-イル)-1,1’-ビフェニルを用い、ドーパントとしてはIr(ppy)3[トリス(2-フェニルピリジン)-イリジウム]を95:5重量でドープすることによって30nm厚さの発光層を蒸着した。正孔素子層として(1,1’-ビスフェニル)-4-オレート)ビス(2-メチル-8-キノリンオレート)アルミニウム(以下、‘BAlq’と略記する)を10nm厚さで真空蒸着し、電子輸送層としてトリス(8-キノリノール)アルミニウム(以下、‘Alq3’と略称する)を40nm厚さで成膜した。以降、電子注入層としてhハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nm厚さで蒸着し、次いで、Alを150nmの厚さで蒸着し、負極として用いることで有機電界発光素子を製造した。
【0147】
このように製造された実施例及び比較例有機電子発光素子に、順バイアス直流電圧を加え、フォトリサーチ社製のPR-650で電気発光(EL)特性を測定した。その測定結果、5000cd/m2基準輝度でMcScience社製の寿命測定装備dT95寿命を測定した。下記表は素子製作及び評価した結果を示す。
【0148】
[比較例41~比較例42]
発光補助層材料として比較化合物F又は比較化合物Gを用いたこと以外は、前記比較実験例5と同様の方法で有機電子発光素子を製作した。
【0149】
【0150】
前記表11~表12の結果から分かるように、本発明の有機電子発光素子用材料を発光補助層材料として用いて有機電子発光素子を製作した場合、発光補助層用材料として用いないか、比較化合物F又は比較化合物Gを使用用いた比較例よりも有機電子発光素子の駆動電圧を低くすることができるだけでなく、発光効率と寿命を顕著に改善させることができることが分かった。
【0151】
前記表11は、ブルー有機発光素子を製作した結果であり、本発明化合物を発光補助層として用いたとき、優れた結果が導き出されることを確認することができた。比較例39又は比較例40と実施例57~70の結果から、母核は似ていても一般アリール基が置換された比較化合物と違って、DBT、DBF、Cz、フルオレンのような特定置換基が置換された本発明化合物が顕著に優れていることを確認できた。これはDBT、DBF、Cz、フルオレンのような特定置換基が導入される場合、屈折率、Tg、及び化合物のエネルギーレベル(HOMO、LUMO、T1等など)などが顕著に変わり、このような物性の差が素子蒸着時、素子性能向上に主要因子(例えば、エネルギー収支のような)として作用し、このような相違案素子結果が導き出される可能性があることを示唆している。
【0152】
前記表12は、グリーン有機発光素子を製作した結果であり、本発明化合物を発光補助層として用いた時、比較化合物と比較して顕著に優れていることを確認することができた。これは、やはりDBT、DBF、Cz、フルオレンのような特定置換基の効果であるが、特徴的なのは、ブルー補助層よりもグリーン補助層の場合、優れた程度が顕著に向上されることを確認できた。さらに、ブルー補助層の場合には、DBT、DBFが置換された化合物が最も優れた特性を示したが、グリーン補助層の結果ではフルオレンが置換された化合物が最も優れた結果を示した。このような発光補助層化合物であっても発光層の色に応じて求めあれる特性が変わるので、当業者が全く類推できない結果が導き出される可能性があることを示唆している。
【0153】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したものに過ぎない。本発明に属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するためのものでなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されない。本発明の保護範囲は下記請求範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内に全ての技術は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0154】
100:有機電子素子
110:基板
120:第1電極(正極)
130:正孔注入層
140:正孔輸送層
141:バッファ層
150:発光層
151:発光補助層
160:電子輸送層
170:電子注入層
180:第2電極(負極)