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特開2022-23974バブル含有液製造装置およびバブル含有液製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022023974
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】バブル含有液製造装置およびバブル含有液製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 31/80 20220101AFI20220201BHJP
   B01F 33/00 20220101ALI20220201BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220201BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20220201BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220201BHJP
   B01F 25/50 20220101ALI20220201BHJP
   B01F 25/60 20220101ALI20220201BHJP
【FI】
B01F11/02
B01F13/00 Z
B01F3/04 A
B01F3/04 Z
B01F5/00 D
B01F5/06
B01F5/10
B01F5/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179906
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2017074075の分割
【原出願日】2016-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】504280724
【氏名又は名称】トスレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】中尾 順次
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粒径が微細で均一なバブルを高濃度に含有する超微細気泡含有液を効率よく製造するバブル含有液製造装置を提供する。
【解決手段】バブル含有液製造装置は、液中に第1のバブルを生成し、該第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給するバブル生成部と、前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給される前記第1のバブル含有液を通過させ、通過する前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部と、前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給される第2のバブル含有液を貯留する貯留部とを備え、前記バブル圧壊部は、バブル含有液が通過する通路と、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中に第1のバブルを生成し、該第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給するバブル生成部と、
前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給される前記第1のバブル含有液を通過させ、通過する前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部と、
前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給される第2のバブル含有液を貯留する貯留部とを備え、
前記バブル圧壊部は、バブル含有液が充満した状態で通過する円形の断面を有する通路と、前記通路の周囲を覆う外装体と、前記外装体の外側に取り付けられている複数の超音波振動子とを備え、
前記通路と前記外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填されており、
前記複数の超音波振動子は、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射し、
前記複数の超音波振動子は複数対の振動子対を形成し、
前記複数の振動子対は、対抗する方向から前記通路の中央に向けて超音波を照射することを特徴とする、バブル含有液製造装置。
【請求項2】
各超音波振動子は、発振周波数を調整可能とされている、請求項1に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項3】
各超音波振動子は、出力を調整可能とされている、請求項2に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項4】
前記通路は樹脂材料により形成され、
前記外装体は金属材料により形成されている、請求項3に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項5】
前記バブル圧壊部は、前記通路が水平方向となるように配置され、
前記伝搬液は、前記外装体の下側から導入され、かつ上側から導出され、定常的に導出入される、請求項1に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項6】
前記貯留部は、前記バブル生成部に接続され、
前記貯留部に貯留されたバブル含有液の底側の一部は外部に供給され、
前記貯留部に貯留されたバブル含有液の中央の一部は前記バブル生成部に供給される、請求項1~5のいずれか一項に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項7】
前記バブル生成部と前記バブル圧壊部と前記貯留部とから形成されるループが大気から遮断された密閉構造とされ、
前記貯留部は、内部の圧力を調整可能とされている、請求項6に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項8】
前記バブル生成部は交換可能にモジュール化されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項9】
液中に第1のバブルが含有した第1のバブル含有液を通過させ、通過する第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部を備え、
前記バブル圧壊部は、バブル含有液が充満した状態で通過する円形の断面を有する通路と、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備え、
前記通路と前記通路の周囲を覆う外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填されており、
前記複数の超音波振動子は、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射し、
前記複数の超音波振動子は複数対の振動子対を形成し、
前記複数の振動子対は、対抗する方向から前記通路の中央に向けて超音波を照射することを特徴とする、バブル含有液製造装置。
【請求項10】
バブル含有液を生成するバブル生成部と、前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給されるバブル含有液を通過させ、通過するバブル含有液に超音波を照射し、
バブル含有液のバブルを圧壊するバブル圧壊部と、前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給されるバブル含有液を貯留する貯留部とを備え、
前記バブル圧壊部は、バブル含有液が充満した状態で通過する円形の断面を有する通路と、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備え、
前記複数の超音波振動子は複数対の振動子対を形成し、
前記複数の振動子対は、対抗する方向から前記通路の中央に向けて超音波を照射することを特徴とし、
前記通路と前記通路の周囲を覆う外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填されており、
前記複数の超音波振動子は、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する、バブル含有液製造装置を用いたバブル含有液の製造方法であって、
前記バブル生成部が、液中に第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を生成すること、
前記バブル圧壊部が、前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブルを圧壊して第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を生成すること、
前記貯留部が、第2のバブル含有液を貯留することを含むバブル含有液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超微細気泡含有液を製造するバブル含有液製造装置およびバブル含有液製造方法に関し、詳細には、微細気泡を超音波により圧壊することで生成される超微細気泡を含有する超微細気泡含有液を製造するバブル含有液製造装置およびバブル含有液製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液中にマイクロオーダーの粒径を有する気泡(マイクロバブル)やナノオーダーの粒径を有する気泡(ナノバブル)を含有させたバブル含有液が注目されており、医療、農業、水産業、飲食、養殖等の各分野への応用が図られている。このような微細気泡の中には、ファインバブルとも称され、気泡が可視光を散乱することで、バブル含有液が白濁するという特徴を有するものもある。
【0003】
そのように可視光を散乱する気泡は数十ミクロンの粒径を有するが、粒径がさらに微細になり、200ナノメートル以下の気泡になると、気泡の粒径が可視光の波長よりも小さくなるため、バブル含有液が透明になるという特徴がある。このような200ナノメートル以下の粒径を有するバブルはウルトラファインバブルとも称される。このウルトラファインバブルは、液中に数ヶ月にわたり留まることや気泡が電荷を帯びることが知られている。
【0004】
これらのようなウルトラファインバブルを含有する超微細気泡含有液の製造手法の1つとして、微細気泡含有液に超音波を照射することにより、微細気泡を圧壊し、より微細な粒径の超微細気泡を生成する手法がある。例えば、特許文献1に記載されたナノバブル含有水の製造方法では、バブル発生部でマイクロバブル含有水が製造され、該マイクロバブル含有水が貯留部に一旦貯留され、所望の粒径のバブルのみを含有するマイクロバブル含有液が貯留部から取り出され、取り出されたマイクロバブル含有液に超音波を照射することでマイクロバブルを圧壊してナノバブルが生成され、これによりナノバブル含有液が製造される。
【0005】
ところで、超微細気泡含有液内では、通常、様々な粒径のバブルが混在してしまう。しかし、粒径が均一(ホモジニアス)でない場合は、各バブルにおいて保有電荷量やゼータ電位が異なり、バブル相互間に凝集作用が生じてしまうことが知られている。したがって、バブルを高濃度化させようとすると、粒径が均一でないバブル含有液では、バブルが凝集してしまうという問題があり、高濃度の超微細気泡を含有する含有液の製造は非常に困難であった。
【0006】
そのような高濃度の超微細気泡含有液を製造するべく、引用文献2に記載のナノバブル製造装置が開発されている。このナノバブル製造装置では、マイクロバブル含有液が液槽に供給され、供給されたバブル含有液に超音波が照射され、マイクロバブルを圧壊してナノバブルが生成されることによりナノバブル含有液が製造される。このナノバブル製造装置では、特に、液槽中においてナノバブルが下方へ集中する特徴を利用し、その途中に超音波圧壊場を形成することにより、粒径が均一な高濃度の超微細気泡含有液が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-200762号公報
【特許文献2】特開2015-186781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、引用文献1に記載のナノバブル含有水の製造方法は、通路内に設けた超音波発生部により、単に、マイクロバブルを超音波圧壊することで連続的にナノバブルを生成しようとするもので、粒径が均一なナノバブルを生成しようとするものではない。すなわち、特許文献1のナノバブル含有液の製造方法は、通路に流れるバブル含有液に対して一方向から超音波を照射するもので、超音波の集中する超音波圧壊場を形成しようとするものではなく、均一な粒径のバブルを生成できないという問題点があった。また、超音波を一方向から照射することにより一部のバブル含有液が滞留してバブル含有液の流れが阻害さてしまうことにより、微細気泡を含有するバブル含有液を効率よく供給することができないという問題点もあった。
【0009】
一方で、引用文献2に記載のナノバブル製造装置では、超音波圧壊場を形成することで均一な粒径の超微細気泡含有液を製造することはできるが、タンクの容量が増加すると超音波圧壊場を形成するために複数の超音波振動子の制御が困難になるという問題点があった。また、バブルの集中により高濃度のバブル含有液が製造されるため、必要数量のバブルがタンク内で生成されるまでに一定の時間を要し、所望の濃度のバブル含有液が供給されるまでに時間遅延が生じるという問題点もあった。
【0010】
本発明は、これらのような問題を解決し、粒径が微細で均一なバブルを高濃度に含有する超微細気泡含有液を効率よく製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るバブル含有液製造装置は、液中に第1のバブルを生成し、該第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給するバブル生成部と、前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給される前記第1のバブル含有液を通過させ、通過する前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部と、前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給される第2のバブル含有液を貯留する貯留部とを備える。前記バブル圧壊部は、バブル含有液が通過する通路と、前記通路の外側から径方向内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備える。
【0012】
このバブル含有液製造装置では、バブル生成部から供給された第1のバブル含有液がバブル圧壊部を通過する際に、超音波を照射されることにより、第1のバブルが圧壊されて、粒径がより微細な第2のバブルが生成される。このバブル圧壊部において、バブル含有液が流れる通路に対して、複数の超音波振動子から超音波が照射されるため、通路内に超音波の集中する超音波圧壊場が形成され、粒径が均一な超微細気泡が生成される。また、このとき、異なる方向から超音波が照射されるため、一方向から超音波が照射される場合に比較して、バブル含有液の滞留が抑止される。そして、超微細気泡を含有したバブル含有液が連続して貯留部に貯留され、超微細気泡のバブルが拡散により下方に集中して高濃度化する。
【0013】
(請求項1の効果)
したがって、バブル圧壊部において、超音波圧壊場がバブル含有液の通路内に形成され、均一な超微細気泡が生成され、超微細気泡が凝集等することなくバブル含有液が連続して貯留部に効率よく供給されるため、バブル含有液は貯留部において短時間で高濃度化される。
【0014】
すなわち、本発明によれば、バブル圧壊部と貯留部が分離されることにより、通路で超音波圧壊場による均一な微細気泡が生成され連続して貯留部に供給され、貯留部で超微細気泡が高濃度化される。特に、圧壊部は異なる方向から超音波を生成することにより、バブル含有液の流れを阻害せず粒径の均一な超微細気泡を貯留部に効率よく供給することができる。また、貯留部では効率よく連続して超微細気泡が供給されるため、バブル含有液を短時間で高濃度化することができる。
【0015】
また、前記複数の超音波振動子は少なくとも1つの振動子群を形成し、各振動子群の超音波振動子は前記通路の中央に向けて超音波を照射してもよい。そのようにすることにより、通路の中央に向けて超音波が照射されるため、超音波圧壊場を形成しながらもバブル含有液の流れを阻害することを確実に抑止できる。これにより、超微細気泡が、通路で滞留することがなく、効率よく供給される。
【0016】
また、前記複数の超音波振動子は、対抗する方向から前記複数の振動子対は前記通路の中央に向けて超音波を照射するようにしてもよい。そのようにすることで、通路の全域にわたって均等な圧壊場を形成し、粒径が均一なバブルを確実に生成できる。
【0017】
各超音波振動子は、発振周波数を調整可能とされていてもよい。そのようにすれば、所望バブル含有液を容易に生成することができる。すなわち、バブルの粒径や数量は超音波振動子の発振周波数に影響を受けるので、これを調整可能とすることにより、バブル生成の制御を容易にできる。超音波振動子は、バブル含有液の流れる通路に超音波を照射するため、タンクのような容量の大きいものに超音波を照射する場合に比較して、所望のバブルを含有するバブル含有液を容易に製造することができる。特に、通路を流れるバブル含有液の流量に応じて超音波振動子を調整することによる効果は大きい。
【0018】
各超音波振動子は、出力を調整可能とされていてもよい。出力を調整することにより、超音波圧壊場を均等に形成しつつ、かつ流れを最大限阻害しない出力でバブルを圧壊することができる。これにより、バブル含有液を安定的に製造することができる。
【0019】
前記圧壊部は、前記通路の周囲を覆う外装体を備え、前記通路と前記外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填され、前記超音波振動子は前記外装体の外側に取り付けられていてもよい。そのようにすれば、超音波振動子の取り付けが容易になるにもかかわらず、伝搬液が確実に超音波を通路に伝搬して、バブル含有液を安定的に製造することができる。
【0020】
前記通路は樹脂材料により形成され、前記外装体は金属材料により形成されている。そのようにすれば、通路内を流れるバブル含有液として、飲料などに利用することができるにもかかわらず、超音波振動子を外装体に容易に取り付けることができるため、バブル圧壊部の製造が容易になる。
【0021】
前記バブル圧壊部は、前記通路が水平方向となるように配置され、前記伝搬液は、前記外装体の下側から導入され、かつ上側から導出され、定常的に導出入されていてもよい。そのようにすれば、伝搬液の流路に空気が入り込むことがなく、伝搬液が確実に超音波を伝搬できることに加え、伝搬液は冷却水の効果を発揮して超音波圧壊による発熱を抑止し、熱によるバブル圧壊部の能力低下を防止できる。
【0022】
前記貯留部は、前記バブル生成部に接続され、前記貯留部に貯留されたバブル含有液の底側の一部は外部に供給され、前記貯留部に貯留されたバブル含有液の中央の一部は前記バブル生成部に供給されてもよい。そのようにすれば、粒径が比較的大きいバブルを含有するバブル含有液は、バブル生成部、バブル圧壊部、貯留部を循環することになり、効率よく粒径が均一で高濃度なバブル含有液が製造される。
【0023】
前記バブル生成部と前記バブル圧壊部と前記貯留部とから形成されるループが大気から遮断された密閉構造とされ、前記貯留部は内部の圧力を調整可能とされていてもよい。そのようにすれば、大気との気体接触のない完全密閉構造バブル発生システムが構築できるため、バブル化対象気体の種類および原液の種類に関係なく安全なバブル含有液製造装置となる。
【0024】
前記バブル生成部は交換可能にモジュール化されていてもよい。そのようにすれば、時間あたりに生成される第1のバブル含有液の量を調整することができるため、バブル圧壊部の超音波振動子の出力制御と相まって、所望のバブル含有液を容易に製造することができる。
【0025】
本発明に係る他のバブル含有液製造装置は、液中に第1のバブルが含有した第1のバブル含有液を通過させ、通過する第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部を備える。前記バブル圧壊部は、バブル含有液が通過する通路と、前記通路の外側から径方向内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備える。
【0026】
このバブル含有液製造装置では、第1のバブル含有液がバブル圧壊部を通過する際に、超音波を照射されることにより、第1のバブルが圧壊されて、粒径がより微細な第2のバブルが生成される。このバブル圧壊部において、バブル含有液が流れる通路に対して、複数の超音波振動子から超音波が照射されるため、通路内に超音波の集中する超音波圧壊場が形成され、粒径が均一な超微細気泡が生成される。このとき、異なる方向から超音波が照射されるため、一方向から超音波が照射される場合に比較して、バブル含有液の滞留が抑止される。
【0027】
したがって、バブル圧壊部では、超音波圧壊場がバブル含有液の通路に形成され、粒径の均一な超微細気泡が生成され、超微細気泡が凝集等することなく、バブル含有液が連続して供給される。すなわち、本発明によれば、バブル圧壊部は異なる方向から超音波を生成することにより、含有液の流れを阻害せず粒径の均一な微細気泡を効率よく供給することができる。
【0028】
本発明に係るバブル含有液製造方法は、バブル含有液を生成するバブル生成部と、前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給されるバブル含有液を通過させ、通過するバブル含有液に超音波を照射し、バブル含有液のバブルを圧壊するバブル圧壊部と、前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給されるバブル含有液を貯留する貯留部とを備えるバブル含有液製造装置を用いる。このバブル含有液製造方法は、前記バブル生成部が、液中に第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を生成すること、前記バブル圧壊部が、前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブルを圧壊して第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を生成すること、前記貯留部が、第2のバブル含有液を貯留することを含む。
【0029】
このバブル含有液製造方法では、バブル生成部から供給された第1のバブル含有液がバブル圧壊部を通過する際に、超音波を照射されることにより、第1のバブルが圧壊されて、より微細な第2のバブルが生成される。このバブル圧壊部において、バブル含有液が流れる通路に対して、複数の超音波振動子から超音波が照射されるため、通路内に超音波の集中する超音波圧壊場が形成され、均一な超微細気泡が生成される。このとき、異なる方向から超音波が照射されるため、一方向から超音波が照射される場合に比較して、バブル含有液の滞留が抑止される。そして、超微細気泡を含有したバブル含有液が貯留部に貯留され、下方に集中して高濃度化する。
【0030】
したがって、バブル圧壊部において、超音波圧壊場がバブル含有液の通路に形成され、粒径が均一な超微細気泡が生成され、超微細気泡は凝集等することなくバブル含有液が連続して貯留部に効率よく供給されるため、バブル含有液は貯留部において短時間で高濃度化される。
【0031】
すなわち、本発明に係るバブル含有液の製造方法によれば、圧壊と貯留が別々にされることにより、超音波圧壊場による均一な微細気泡が圧壊により生成され、超微細気泡が貯留により高濃度化される。特に、圧壊は異なる方向から超音波を生成することにより、含有液の流れを阻害せず均一な微細気泡を貯留部に効率よく供給することができる。また、貯留では効率よく連続して超微細気泡が供給されるため、バブル含有液は短時間で高濃度化される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、粒径が微細で均一なバブルを高濃度に含有する超微細気泡含有液を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明のバブル含有液製造装置の外観を示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置の機能ブロックを示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置のバブル生成器を示す図である。
図4図3に示すバブル生成器の発泡部を示す図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置のバブル圧壊部を示す図である。
図6図5に示すバブル圧壊部の側断面を示す図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置の貯留部を示す図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置を用いたバブル含有液製造方法のフローを示す図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係るバブル含有液製造装置の機能ブロックを示す図である。
図10】本発明の第3の実施の形態に係るバブル含有液製造装置の機能ブロックを示す図である。
図11】本発明のバブル含有液製造装置のバブル圧壊部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第1の実施の形態>
【0035】
本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置100について、図1図7を参照しつつ説明する。バブル含有液製造装置100は、液体中にバブルを含有するバブル含有液を製造する。液体は、飲料水、牛乳、果汁、酒等の飲料を含み、飲料の他にも純水、蒸留水、工業用水等も含む。また、バブル化対象気体は、オゾン、酸素、窒素、水素、二酸化炭素等の種々の気体を含む。すなわち、これら液体とバブル化対象気体とは、バブル含有液製造装置100の用途に応じて適宜選択される。本実施の形態において、バブル含有液製造装置100は、液体に純水を適応し、バブル化対象気体にオゾンを適応したオゾンバブル含有液を製造する。
【0036】
図1は、バブル含有液製造装置100の外観を示す。(A)はバブル含有液製造装置100の正面図を示し、(B)はバブル含有液製造装置100の側面図を示す。図1に示すように、バブル含有液製造装置100は、立方体の箱状に形成された筐体に後述する構成を備える。また、バブル含有液製造装置100は、操作パネル101を備え、当該操作パネル101を介してユーザがこのバブル含有液製造装置100を任意に操作できる。さらに、バブル含有液製造装置100は、車輪102が設けられており、移動可能とされている。
【0037】
本実施の形態において、バブル含有液製造装置100は、1つの筐体に各構成を納められており、筐体のまま他のシステムに取り込まれる。しかし、バブル含有液製造装置100は、各構成ごとに他のシステムに取り込まれ、システムの中でバブル含有液製造装置として機能するものであってもよい。例えば、飲料の製造システムの中にバブル含有液製造装置100の各構成が取り込まれ、飲料を製造する中で飲料がバブル含有液とされることで、飲料の殺菌が行われるような利用方法により、バブル含有液製造装置100がシステムの一部を構成してもよい。
【0038】
図2は、バブル含有液製造装置100の機能ブロック図の概略を示す。図2に示すように、本実施の形態に係るバブル含有液製造装置100は、主に、液中に第1のバブルを生成し、該第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給する第1のバブル生成部110と、バブル生成部110に接続され、バブル生成部110から供給される第1のバブル含有液を通過させ、通過する第1のバブル含有液に超音波を照射し、第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部120と、バブル圧壊部120に接続され、バブル圧壊部120から供給される第2のバブル含有液を貯留する貯留部130とを備える。バブル生成部110と、バブル圧壊部120と、貯留部130とは、相互に接続されており、バブル含有液を循環させる循環サイクル(ループ)を形成している。
【0039】
また、バブル含有液製造装置100は、上記の構成の他に、貯留部130に接続され、液体を導入する原液導入部140と、バブル生成部110に接続され、気体を導入する気体導入部150と、各部を接続する流路と、流路の各所に設けられたバルブと、バブル含有液製造装置100の一連の動作を制御する制御部160とを備える。
【0040】
さらに、バブル含有液製造装置100では、製造されたバブル含有液を装置の外部に取り出す取出部170と、不要となった液体を外部に排出する排出部180とが貯留部130に接続されており、また、気体導入部150、バブル圧壊部120、貯留部130に冷却水を供給する冷却部190が接続されている。
【0041】
制御部160は、制御パネルに電気的に接続されており、作業者により操作される。また、制御部160は、バブル含有液製造装置100内の各所に設けられた水域センサ、温度センサ等のセンサの検知情報等に基づいて、各所に設けられた各バルブ及びスイッチ等を制御する。
【0042】
原液導入部140は、本実施の形態において、液体の一例として純水をバブル含有液製造装置100に導入するためのものである。原液導入部140は、純水供給源(図示しない)にバルブを介して接続されている。原液導入部140から導入された液体は、液体を一度貯留部130に導入し、後述する再帰流路103を介してバブル生成部110の気液混合器111に供給される。しかし、原液導入部140は、バブル含有液製造装置100の製造するバブル含有液の種類により、純粋以外の飲料水、牛乳、果汁、酒等の飲料、または、飲料の他にも蒸留水、工業用水等の他の液体を導入してもよい。
【0043】
気体導入部150は、本実施の形態において、バブル化対象の気体の一例としてオゾンをバブル生成部110に導入するためのものである。気体導入部150は、従来よく知られるオゾンを供給するオゾン発生装置であり、圧力計、流量計、逆止弁を介してバブル化ガス供給源に接続されている。しかし、気体導入部150は、バブル含有液製造装置100の製造するバブル含有液の種類により、オゾン以外の酸素、窒素、水素、アンモニア、二酸化炭素等の他の気体を導入してもよい。気体導入部150は、例えば窒素をバブル化する場合にはオゾン発生装置に代えて、窒素を導入するために、窒素タンク131に接続されていてもよい。
【0044】
バブル生成部110は、液体および気体を混合させる気液混合器111と、気液混合器111により気体が混合された気泡含有液を供給され、第1のバブル含有液を生成するバブル生成器112と、気液混合器111から気泡含有液をバブル生成器112に供給するための気液ポンプ113とを備える。
【0045】
気液ポンプ113は、従来よく知られたエア駆動型容積式ポンプが適用されているが、マグネットポンプや軸流ポンプ等の非容積式ポンプが適用されてもよく、その他のポンプが適用されてもよい。
【0046】
気液混合器111は、気液ポンプ113の上流側に設けられており、後述する貯留部130の再帰導出口134に接続された液体取入口(図示しない)と、気体供給路に接続された気体取入口(図示しない)とを備える。気液混合器111は、再帰流路103を介して、原液導入部140から一旦貯留部130に供給された原液、または貯留部130に貯留されたバブル含有液を供給される。
【0047】
気液混合器111では、液体の流れに沿って気体が取り込まれるように、液体取入口に接続した液体流路(図示しない)と気体取入口に接続した気体流路(図示しない)が形成されており、気液ポンプ113の吸引力を利用して液体と同時に気体が吸引される。これにより、液体と気体とが円滑に気液ポンプ113に供給され、気液ポンプ113内で液体と気体とが混合し気泡含有液が生じる。このような気液混合器113によれば、多量の気体が導入され気液ポンプ113が空運転することや、気体がほとんど入らず気泡発生が定量化しないといった問題を生じることがない。この気泡混合液は、バブル生成器112に供給される。
【0048】
バブル発生器は、気液混合器111から供給される気泡含有液を螺旋状に旋回させて旋回流を形成する旋回部114と、旋回流を形成された気泡含有液の気泡を突起115aに衝突させて圧壊させる突起圧壊部115と、圧壊された気泡を含有するバブル含有液を一定時間滞留させる畜養部116と、一定時間滞留された後のバブル含有液を高濃度に発泡させる発泡部117とを備える。
【0049】
図3は、バブル生成器112を示し、(A)はバブル生成器112の斜視図を示し、(B)はバブル生成器112の側断面図を示す。バブル生成器112は、図3(A)に示すように、第1の円筒部112aと、第1の円筒部112aに接続され、第1の円筒部112aと同一方向に延び第1の円筒部112aより径の大きい第2の円筒部112bと、第2の円筒部112bに接続され、第2の円筒部112bと同一方向に延び、第2の円筒部112bより径の小さい第3の円筒部112cを備える。バブル生成器112は、第1~第3の円筒部112cにより、概略上下方向に延在し、第1の円筒部112aが下方に、第3の円筒部112cが上方に位置するように配置される。
【0050】
旋回部114は、図3(B)に示すように、第1の円筒部112a内に設けられており、円筒の内部に螺旋状に形成された旋回面114aを有する。旋回面114aは、第1の円筒部112aの周方向に回転し円柱の軸方向に進む旋回流れが得られるように螺旋状に円柱の軸方向に延びる。したがって、旋回部114は、気液混合器111から供給される気泡含有液を螺旋状に旋回させて旋回流を形成し、突起圧壊部115に気泡含有液を供給する。旋回部114は、気液ポンプ113の供給圧力を利用して旋回流を形成することにより流速を加速することができる。
【0051】
旋回部114は、少なくとも1.5回転以上の回転が得られる旋回面114aを有することが望ましい。しかし、旋回部114では旋回流の回転数を上げることにより、流速が増大するが、圧力損失も増大するため、気液ポンプ113の揚程能力と、必要とされるバブル濃度とから旋回面114aの最適回転数は決定される。
【0052】
突起圧壊部115は、第2の円筒部内に設けられており、円柱の筒状に形成され、円筒の内周面に軸方向に沿って多段の突起115aを備える。突起115aは、その先端がそれぞれ対向するように配置されている。これにより、突起圧壊部115は、円形の断面を備える流路を形成され、該円形の内側に向けて複数の突起115aが突出し、中心部分に突起115aが存在しない空洞空間を形成している。したがって、突起圧壊部115は、旋回部114の下流に設けられ、旋回部114を通過した気泡含有液を突起115aにより剪断圧壊する。これにより、気泡含有液の気泡は突起115aに当たって粉砕され、微細化されたバブルとなり、気泡含有液は、バブルが微細化し、バブル濃度を向上させられる。
【0053】
また突起115aは少なくとも6段以上の段数になっており、長手方向に36度以上の角度で交互に配置される。旋回部114材によって加速された気泡含有液はこの突起115aに当たりながら粉砕され気体がさらに微細化する。突起115aの数が増加すると圧損が増加するため、気液ポンプ113の揚程能力と、必要とされるバブル濃度とから突起115aの数は決定される。
【0054】
畜養部116は、第2の円筒部112b内に設けられており、第2の円筒部112b内の空間である。畜養部116は、突起圧壊部115を通過することにより気泡濃度の向上したバブル含有液を一定時間滞留させる。これにより、突起圧壊部115で剪断圧壊されて生成されたバブル内の保有電荷量、ゼータ電位を均一とすることができる。したがって、畜養部116では、バブル含有液のバブルの粒径を揃えることができる。また、畜養部116は、畜養加圧器(図示しない)に接続されており、畜養部116内を所定の圧力(0.8MPa~2.0MPa)に加圧することができる。これにより、余剰気体による加圧圧縮効果を活用して、畜養部116内の圧力を一定圧力に高めることで、バブル濃度を向上させる機能を有する。
【0055】
畜養部116の容積は、気液ポンプ113の種類と供給流量によりその最適値が決定される。通常は、供給流量の1/20~1/5の範囲が最適値となる。なお、畜養部116の供給流用がバブル生成部110の供給流量となり、その流量のバブル含有液が下流に設けられたバブル圧壊部120に供給される。
【0056】
発泡部117は、図3(B)および図4に示すように、第3の円筒部112c内に設けられ、概略、円柱状に形成されている。該円柱の下面には、円形の断面中央に設けられたスリット孔117aが設けられ、さらに、スリット孔117aに連続する円柱内の再加圧空間117bと、再加圧空間117bに連続し、テーパ円錐形状のテーパ空間117cとが形成されている。
【0057】
スリット孔117aは、畜養部116で一時的に滞留されたバブル含有液を流入される。再加圧空間117bは、スリット孔117aを通過したバブル含有液を内部で加圧するためにスリット孔117aの開口面積よりも小さい開口面積で液体を流出させる流出口117dと、この流出口117dの周囲並びにスリット板の裏面側に位置する衝突壁117eとを有している。再加圧空間117bでは、スリット孔117aを通過して流入したバブル含有液が、衝突壁に衝突しバブルが圧壊されながら、空間内に乱流を生じさせ、バブル含有液の一部が流出口からテーパ空間117cに流れ出る。これにより、再加圧空間117bでバブル含有液は再度加圧されることになる。
【0058】
テーパ空間117cは、流出口117dから例えば15度よりも小さい角度で円錐状に拡散するテーパ面117fを有している。これにより、スリット孔117aを通過した液体は加圧されながらテーパ面117fの傾斜方向に流れて減圧される。具体的に説明すると、再加圧空間117b内の圧力は3MPa前後となっているがテーパ空間117cでは1MPaまで減圧され、バブル含有液の濃度が向上する。
【0059】
バブル生成部110では、気液混合器111から供給された気泡含有液がバブル生成器112の旋回部114、突起圧壊部115、畜養部116、発泡部117を経ることで、気泡含有液の気泡から第1のバブルが生成される。これにより、バブル生成部110は、第1のバブルを含有する第1のバブル含有液をバブル圧壊部120に供給することができる。本実施の形態において、バブル生成部110は、第1のバブルとして、マイクロオーダーの均一な粒径を有するマイクロバブルを生成する(特開2015-186781号公報を参照)。
【0060】
本実施の形態に係るバブル含有液製造装置100のバブル生成部110は、旋回、圧壊、畜養、発泡(加圧減圧)の機能を有し、低揚程能力のポンプであるエア式ベローズポンプや同式ダイヤフラムポンプでも微細均一化高濃度マイクロバブルを生成することが可能となり、しかも、マグネットポンプや軸流ポンプでも更なる濃度向上が可能となる。このため、これらの機能により、気液ポンプ113の種類を選ばないバブル発生装置が可能となる。
【0061】
バブル生成部110は、バブル圧壊部120で圧壊される第1のバブルを生成できれば、他の構成であってもよい。例えば、従来よく知られる旋回流方式のバブル生成装置(特開2006-116365号公報を参照)、加圧剪断方式のバブル生成装置(特開2006-272232号公報を参照)等をバブル生成器112として利用することができる。しかし、均一な粒径を有するバブルをバブル圧壊部120に供給するためには、本実施の形態に係るバブル生成器112を用いることが望ましい。
【0062】
また、バブル生成部110のバブル生成器112は、旋回部114、突起圧壊部115、畜養部116および発泡部117がモジュール化されており、時間あたりに通過させる通過液量が異なるように複数のモジュールが準備されていてもよい。それら複数のモジュールから任意の一のモジュールを選択して取り付け得るように構成していてもよい。また、モジュールごとに交換可能とされていてもよい。
【0063】
図5は、バブル圧壊部120を示し、(A)はバブル圧壊部120の側面図を示し、(B)はバブル圧壊部120の正面図を示す。バブル圧壊部120は、バブル生成部110のバブル生成器112に接続され、バブル生成部110で製造された第1のバブル含有液を通過させる通路121と、通路121の周囲を覆う外装体122とを備え、通路121と外装体122とから中間空間123を有する二層構造とされている。バブル圧壊部120は、通路121が水平方向に延びるように配置されている。
【0064】
外装体122には、超音波振動子124が設けられており、各超音波振動子124は、通路121に向けて超音波を照射する。通路121と外装体122の間には伝搬液が充填され、超音波振動子124から照射された超音波は、伝搬液を介して通路121の内部に伝搬され、通路121の内側を流れる第1のバブル含有液を超音波圧壊する。
【0065】
通路121は、PVC(ポリ塩化ビニル)を材料としたパイプから形成されている。これにより、通路121は、円形の断面を有し同一径で円柱状に延び、均一な流路を形成している。通路121はバブル生成部110と貯留部130とに介在するように接続されており、バブル生成部110から供給された第1のバブル含有液は、通路121の内側に充満した状態で貯留部130まで流される。
【0066】
外装体122は、ステンレスを材料とし、正六角形の断面を有する六角柱状に延びる側周部材122aと、側周部材122aを延在方向の両側から挟む円板状の一対の平面部材122bとからなる。両平面部材122bは、中央に通路121をはめ込まれて、側周部材122aの六角形の中央に通路121が延びるように通路121を固定している。これにより、通路121の外側と外装体122の側周部材122aには中間空間123が形成され、通路121の外周と、六角形の側周部材122aの各面は、それぞれ同様の中間空間123を形成している。
【0067】
図6はバブル圧壊部120を図5の矢印a-a’で切断した側断面図を示す。図6に示すように、バブル圧壊部120は、通路121と外装体122から形成される中間空間123に超音波を伝搬可能な伝搬液を充填される。本実施の形態において、伝搬液として冷却部190から供給される冷却水が充填される。伝搬液は、通路121が水平方向に向く状態に配置されたバブル圧壊部120において、外装体122の平面部材122bの下側に設けられた伝搬液導入口122cから導入され、外装体122の平面部材122bの上側に設けられた伝搬液導出口122dから導出される。これにより、中間空間123では、伝搬液は、図面の左側から供給され、下側から上側に充填されていき、上側から排出される。したがって、伝搬液は、中間空間123内に空気を残さず充填される。
【0068】
外装体122に取り付けられた超音波振動子124から照射される超音波は、伝搬液を介して通路121に伝搬される。このとき、中間空間123に空気が残ると、伝搬液と空気の伝搬率が異なるため、超音波が均等に伝搬しない。したがって、中間空間123内に空気を残さないことにより、効率的かつ均一に超音波を通路121の内部に伝搬できる。
【0069】
伝搬液は、中間空間123を定常的に流されている。これにより、超音波圧壊によるバブル圧壊部120の熱を排出することができる。伝搬液は、通路121を流れるバブル含有液と同一方向に流されている。これにより、効率的に熱を排出することができる。また、伝搬液の流速を上げることにより、より熱の排出効率を高めることができる。伝搬液の流速は、例えば伝搬液をバブル圧壊部120に送るポンプを制御することで達成できる。外装体122は、熱センサ(図示しない)が設けられており、バブル圧壊部120の発熱状態を見ながら伝搬液の流速を制御することができる。
【0070】
本発明に係る実施の形態において、伝搬液は、定常的に流されているが、中間空間に一度充満させておいて伝搬液の供給を止め、バブル圧壊部120の温度が上昇したときだけ伝搬液を再度流すようにしてもよい。伝搬液は、超音波を伝搬するが、それでも伝搬による損失が生じるため、中間空間123は狭い方が望ましい。しかし、伝搬空間が狭すぎると冷却水(伝搬液)の量が減り、熱の排出効率が低下する。しかし、伝搬液を定常的に流すようにすることで、熱の排出効率が低下することを抑止し、中間空間123を狭くすることができ、バブル圧壊部120の設計自由度を高めることができる。
【0071】
再び図5を参照するに、外装体122は、六角柱の各面に超音波振動子124を取り付けられている。超音波振動子124は、通路121の延在方向に2段に分けて設けられており、バブル生成部110側を前段の超音波振動子群、貯留部130側を後段の超音波振動子群としている。各段の超音波振動子群は、通路121の中心軸から放射状に設けられた6つの超音波振動子124からなる。対向する2つの超音波振動子124が一対の発振子対となり、6つの超音波振動子124は3対の発振子対となっている。各超音波振動子は、周波数および出力を制御部160により調整可能とされている。本実施の形態において、12個の超音波振動子124は、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。
【0072】
各発振子対は、通路121の延在方向の同一の位置であって外装体122の六角柱の一対の対向する側面に設けられている。ここで、外装体122は、ステンレスを材料に形成されているため、超音波を反射する。したがって、側周部材122aの一の面に設けられた超音波振動子124から発振された超音波は、側周部材122aの対向する他の一の面で反射する。この反射した超音波は、他の一の面(その反射面)に設けられた超音波振動子124から照射された超音波と重ね合わされる。
【0073】
これら6つの超音波振動子124は、それぞれが、通路121の中央の一点に向けて超音波を照射している。したがって、各超音波振動子124は、それぞれ異なる位置から径方向の異なる方向に向けて、かつ通路の中心に向かうように径方向の内側に向けて超音波を照射する。これにより、通路121を流れるバブル含有液が超音波により流れを阻害されることが抑止される。特に各一対の発振子対は、対向する位置から対向する方向に向けて超音波を発振している。これにより、通路121の中央から超音波圧壊場が形成され、通路121を通過する第1のバブル含有液が圧壊されて、粒径の均一な第2のバブルが生成される。
【0074】
バブル圧壊部120では、複数の方向から超音波が照射され、超音波の集中する場所に超音波圧壊場が形成される。したがって、本実施の形態において、各超音波振動子群が、それぞれ、通路121内に超音波圧壊場を形成する。前段の超音波振動子群により形成された超音波圧壊場で第1のバブルの全てが圧壊されなかったとしても、後段の超音波振動子群により形成された超音波圧壊場が残りの第1のバブルを圧壊するため、本実施の形態に係るバブル圧壊部120では、確実に第1のバブルを圧壊し、均一な第2のバブルを生成できる。本実施の形態において、バブル圧壊部120は、第2のバブルとして、ナノオーダーの均一な粒径を有するナノバブルを生成する。
【0075】
本実施の形態において、各超音波振動子群に6つ、すなわち偶数の超音波振動子124がバブル圧壊部120の外装体122に設けられている。しかし、超音波振動子124は、奇数の超音波振動子124が設けられていてもよく、その場合は、複数対の発振子対と、1の超音波振動子124となる。
【0076】
図7は、貯留部130の外観図を示し、(A)は貯留部130の平面図を示し、(B)は貯留部130の正面図を示し、(C)は貯留部130の側面図を示し、(D)は貯留部130の底面図を示す。貯留部130は、図7に示すように、主に円柱状のタンク131からなり、原液導入部140に接続される原液導入口132と、バブル圧壊部120に接続されるバブル含有液導入口133と、再帰流路103に接続される再帰導出口134と、取出部170に接続されるバブル含有液導出口135と、排出部180に接続される排出口136とを備える。
【0077】
原液導入口132は、主に、円柱のパイプからなり、タンク131の上面からタンク131内の頂面まで延在し、原液導入部140から原液をタンク131の頂面位置に供給する。バブル含有液導入口133は、主に、円柱のパイプからなり、タンク131の上面からタンク131内の中段位置まで延在し、第2のバブル含有液をタンク131の中段位置に供給する。
【0078】
再帰導出口134は、主に、円柱のパイプからなり、タンク131の下面からタンク131内の下側1/4の位置付近まで延在し、タンク131の下側1/4の位置のバブル含有液を再帰流路103に導出し、バブル含有液を気液混合器111に再帰させる。バブル含有液導出口135は、主に、円柱のパイプからなり、タンク131の底面からタンク131内の下段まで延在し、バブル含有液をタンク131の底から取り出す。排出口136は、主に、円柱のパイプからなり、タンク131の底面からタンク131内の下段まで延在し、バブル含有液をタンク131の底から排出する。
【0079】
また、タンク131は、PVCを材料に形成され、完全密閉構造にされている。これにより、バブル圧壊部120の超音波圧壊時に発生する微量ガスは、貯留部130に流されてきても大気と接触することない。したがって、本実施の形態において、オゾンナノバブル含有液を生成する場合であっても、オゾンリークによる人体危険を防止することができる。また、タンク131が密閉構造とされているため、これにより、貯留部130内の圧力制御が可能となる。また、バブル含有液導出口135には、減圧バブル(図示しない)が設けられている。
【0080】
本実施の形態において、タンク131は、PVCを材料に形成されている。しかしタンク131は、PVDF等のフッ素系樹脂などの樹脂材料又は、石英を材料としてもよい。タンク131は、樹脂材料の場合には上部を樹脂溶接や接着などで完全密閉構造とされ、石英の場合には、PTFE、バイトン等のシール材を介して密閉構造とされる。
【0081】
貯留部130が密閉構造となることにより、オゾンナノバブル発生時にはオゾンリークによる人体危険を防止でき、水素ナノバブルでは、水素と酸素の接触による爆発危険を防止でき、さらに、バブルによる有機合成反応対応でも、気中ガス成分の混入がないため、安定した有機合成反応を得ることが可能となる。
【0082】
本実施の形態に係るバブル含有液製造装置100は、バブル圧壊部120と貯留部130が分離されている。これにより、貯留部130の容量に影響を受けずに、粒径の均一なバブル含有液を一定量連続して供給できる。また、バブル圧壊部120で超音波圧壊場により粒径が均一で超微細な第2のバブルが生成され、貯留部130において貯留されるので、貯留部130でバブルが凝集することも抑止される。すなわち、粒径が異なる超微細なバブルは、貯留することにより凝集してしまうため、従来の超音波圧壊により生成された超微細な粒径を有するバブルは、粒径が均一とならず、貯留することが困難であったが、本実施の形態によるバブル含有液製造装置100によれば、粒径の均一なバブルが生成され、凝集することなく貯留できる。
【0083】
タンク131に設けられた原液導入口132、バブル含有液導入口133、再帰導出口134、およいバブル含有液導出口135のタンク内の位置は、適宜変更できる。また、他の導入口、導出口をタンク131に設けてもよい。
【0084】
次に、バブル含有液製造装置100を用いたバブル含有液の製造方法について図8を参照して説明する。
【0085】
本発明に係るバブル含有液製造方法は、バブル含有液製造装置100に液体を供給すること(ステップ1)、バブル含有液製造装置100に気体を供給すること(ステップ2)、液体と気体とを混合して気泡含有液を生成すること(ステップ3)、気泡含有液から第1のバブル含有液を製造すること(ステップ4)、第1のバブル含有液に超音波を照射し、第1のバブルを圧壊して第2のバブルを生成すること(ステップ5)、第2のバブル含有液を貯留すること(ステップ6)、貯留されたバブル含有液をバブル生成部110に再帰させること(ステップ7)、貯留されたバブル含有液を外部に取り出すこと(ステップ8)を含む。
【0086】
ステップ1では、先ず、原液導入部140から液体を貯留部130に供給する。具体的には、原液導入部140に設けられたバルブを開状態として原液を貯留部130に供給する。このとき、貯留部130のタンク131に所定量の液体が満たされるまで継続して原液が供給される。次に、再帰流路103を介して気液混合器111に原液を供給する。具体的には、再帰流路103に設けられた再帰バルブを開状態として、気液ポンプ113の吸引により、タンク131内の下側1/4の位置まで貯まった原液が気液混合器111の液体取入口に導入される。
【0087】
ステップ2では、先ず、気体供給部から気体を気液混合器111に供給する。このステップは、先のステップ1に並行して行われる。具体的には、気体導入部150に設けられたバルブを開状態とし気体を気液混合器111に供給する。
【0088】
ステップ3では、先ず、気泡含有液が製造される。具体的には、気液ポンプ113を動作させ気液混合器111に原液と気体とを吸入させる。このとき、ステップ1により原液が気液混合器111に供給されており、これに並行してステップ2により気体が気液混合気に供給されており、気泡含有液が生成される。次に、製造された気泡含有液がバブル生成器112に供給される。具体的には気液ポンプ113が気泡混合液を吐出する。
【0089】
ステップ4では、先ず、気泡含有液から第1のバブル含有液が製造される。具体的には、気泡含有液が、旋回部114に導入され旋回流が形成され、突起圧壊部115で圧壊され、畜養部116で一時滞留され、発泡部117で減圧される。次に、発泡部117を通過したバブル含有液がバブル圧壊部120に供給される。具体的には、畜養部116は畜養加圧部により加圧されており、所定圧力で発泡部117を介してバブル圧壊部120にバブル含有液が供給される。
【0090】
ステップ5では、先ず、中間空間123に伝搬液が流される。具体的には、伝搬液は、中間空間に充満した状態で定常的に流される。伝搬液の供給は、バブル含有液の流れとは関係なく、行うことができる。すなわち、バブル含有液が通路121を通過する前でも、通過している途中でも、伝搬液を流したり、止めたりすることができる。
【0091】
次に、第1のバブル含有液が通路121を通過する。具体的には、第1のバブル含有液は、通路121を充満した状態で通過する。これと同時に、第1のバブル含有液に超音波が照射される。具体的には、通路121の内部に超音波が集中する超音波圧壊場が形成され、第1のバブルが圧壊されて第2のバブルが生成される。次に、通路121を通過したバブル含有液が貯留部130に供給される。
【0092】
ステップ6では、先ず、バブル含有液導入口133を介して貯留部130に第2のバブル含有液が導入される。バブル含有液導入口は、タンク131の中段位置まで伸びており、第2のバブル含有液は、タンク131の中段位置に導入される。導入されたバブル含有液は、既に貯留されている液体と混ざり合い、バブルが液内を拡散していく。
【0093】
バブルの拡散により、タンク131の底部には、ナノオーダーの粒径を有する、いわゆるナノバブルの存在が支配的なNB領域が形成され、その上側には、ナノバブルとマイクロバブルが混在するMN領域が形成され、さらにその上側にはマイクロバブルの存在が支配的なMB領域が形成される。各領域は、液体の貯留量によりタンク131内の位置が変動する。
【0094】
ステップ7では、先ず、貯留部に貯留されたバブル含有液を気液混合器111に再帰させる。具体的には、再帰流路に設けられたバルブが開状態とされ、気液ポンプ113の吸引により、貯留されたバブル含有液がバブル生成部110の液体取入口に導入される。再帰導出口134が、タンク131内の下側1/4の位置付近まで延在しているため、MN領域またはMB領域のバブル含有液が再帰される。
【0095】
ステップ8では、貯留部130に貯留されたバブル含有液を取り出す。具体的には、取出部180に設けられたバルブが開状態とされ、タンク131の底側のバブル含有液が外部に取り出される。タンク131の底部にはNB領域が形成されているため、NB領域のバブル含有液が取り出される。最後に、バブル含有液製造装置100は、排出口136からバブル含有液を排出して稼働を終了する。
【0096】
本実施の形態において、超音波圧壊部120の超音波振動子124は、それぞれ、常時一定の出力で稼働している例を示したが、例えば、貯留部に貯留されたバブル含有液のバブル濃度に応じて周波数および出力を調整するようにしてもよい。
【0097】
<第2の実施の形態>
【0098】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るバブル含有液製造装置200について、図9を参照して説明する。本実施の形態に係るバブル含有液製造装置200は、主に、2つのバブル圧壊部220を備えることを特徴とし、他の構成は、第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置100と同様である。したがって、以下の説明では、第2の実施の形態に係るバブル含有液製造装置200の特徴的部分にのみについて説明し、第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置100と同様の構成については説明を省略する。
【0099】
バブル含有液製造装置200は、2つのバブル圧壊部220を備える。バブル圧壊部220は、貯留部230およびバブル生成部210に対して並列に接続されている。2つのバブル圧壊部220は、それぞれ、第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置100のバブル圧壊部120と同等の能力を有する。
【0100】
したがって、バブル生成部210は、バブル生成部110に比較して、第1のバブル含有液を2倍の量供給可能とされており、2つのバブル圧壊部220に第1のバブル含有液を等分して供給する。これにより、バブル含有液製造装置200の2つのバブル圧壊部220は、2倍の量の第2のバブル含有液を貯留部230に供給する。
【0101】
このように、バブル圧壊部220を複数設けることにより、単位時間当たりのバブル含有液の製造量を増加させることができる。または、複数のバブル圧壊部220を設けることで、各バブル圧壊部220の通路を小さくすることができる。通路が小さいと超音波圧壊場を的確に形成することができ、粒径が均一な超微細気泡の含有液を効率よく製造することができる。
【0102】
本実施の形態において、2つのバブル圧壊部に対して1つのバブル生成部210を接続しているが、複数のバブル圧壊部220のそれぞれに対してバブル生成部を設け、各バブル生成部を1対1の関係でバブル圧壊部に接続してもよい。
【0103】
<第3の実施の形態>
【0104】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るバブル含有液製造装置300について、図10を参照して説明する。本実施の形態に係るバブル含有液製造装置300は、主に、貯留部を備えず、直接外部にバブル含有液を供給することを特徴とし、他の構成は、第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置100と同様である。したがって、以下の説明では、第3の実施の形態に係るバブル含有液製造装置300の特徴的部分についてのみ説明し、第1の実施の形態に係るバブル含有液製造装置100と同様の構成については説明を省略する。
【0105】
バブル含有液製造装置100は貯留部を備えず、バブル圧壊部320が直接取出部370に接続されている。また、原液導入部340がバブル生成部310の気液混合器311に直接接続されている。これにより、バブル含有液の循環サイクルを形成することなく、バブル生成部310で製造された第1のバブル含有液は、バブル圧壊部320で超音波圧壊され、第2のバブル含有液はバブル圧壊部320から直接外部に取り出される。
【0106】
<変形例>
【0107】
本発明のバブル圧壊部120の変形例について図11を参照して説明する。
【0108】
図11(A)は、バブル圧壊部120の第1の変形例を示す。第1の変形例に係るバブル圧壊部120Aでは、外装体122Aの側周部材が正八角形の柱状に形成され、各面に超音波振動子124が設けられてる(変形例1)。本変形例1において、8つの超音波振動子124は、軸方向の同じ位置(同一断面上)に設けられており1つの超音波振動子群を形成している。各超音波振動子124は同一出力、同一周波数で超音波を照射し、通路121の中央に超音波圧壊場が形成される。
【0109】
図11(B)は、バブル圧壊部120の第2の変形例を示す。第2の変形例に係るバブル圧壊部120Bでは、外装体122Bの側周部材が正三角形の柱状に形成され、各面に超音波振動子124が設けられてる(変形例2)。本変形例2において、3つの超音波振動子124は、軸方向の同じ位置(同一断面上)に設けられており1つの超音波振動子群を形成している。各超音波振動子124は同一出力、同一周波数で超音波を照射し、通路121の中央に超音波圧壊場が形成される。
【0110】
図11(C)は、バブル圧壊部120の第3の変形例を示す。第3の変形例に係るバブル圧壊部120Cでは、外装体122の側周部材が正六角形に形成され、六角形の6つの面の1つおきに超音波振動子124が設けられている(変形例3)。本変形例3において、3つの超音波振動子124は、軸方向の同じ位置(同一断面上)に設けられており1つの超音波振動子群を形成している。各超音波振動子124は同一出力、同一周波数で超音波を照射し、通路121の中央に超音波圧壊場が形成される。
【0111】
これらの変形例のように、バブル圧壊部120の外装体122は、正多角形であれば、通路121の中央に超音波圧壊場を形成することができる。超音波振動子124の数は、適宜選択できる。しかし、外装体は正多角形でなくてもよく、通路内に超音波圧壊場を形成できれば、超音波振動子は、他の配置であってもよい。
【0112】
以上、本発明の具体的な態様の例を、本発明の実施形態により説明したが、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、バブル含有液の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
100,200,300 バブル含有液製造装置
110,210,310 バブル生成部
120,220,320 バブル圧壊部
121 通路
122 外装体
124 超音波振動子
130,230 貯留部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中に第1のバブルを生成し、該第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給するバブル生成部と、
前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給される前記第1のバブル含有液を通過させ、通過する前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部と、
前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給される第2のバブル含有液を貯留する貯留部とを備え、
前記バブル圧壊部は、バブル含有液が充満した状態で通過する円形の断面を有する通路と、前記通路の周囲を覆う外装体と、前記外装体の外側に取り付けられている複数の超音波振動子とを備え、
前記通路と前記外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填されており、
前記複数の超音波振動子は、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射し、
前記複数の超音波振動子は複数対の振動子対を形成し、
前記複数の振動子対は、対抗する方向から前記通路の中央に向けて超音波を照射することを特徴とする、バブル含有液製造装置。
【請求項2】
各超音波振動子は、出力を調整可能とされている、請求項1に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項3】
前記バブル圧壊部は、前記通路が水平方向となるように配置され、
前記伝搬液は、前記外装体の下側から導入され、かつ上側から導出され、定常的に導出入される、請求項1に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項4】
前記貯留部は、前記バブル生成部に接続され、
前記貯留部に貯留されたバブル含有液の底側の一部は外部に供給され、
前記貯留部に貯留されたバブル含有液の中央の一部は前記バブル生成部に供給される、請求項1~3のいずれか一項に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項5】
前記バブル生成部と前記バブル圧壊部と前記貯留部とから形成されるループが大気から遮断された密閉構造とされ、
前記貯留部は、内部の圧力を調整可能とされている、請求項4に記載のバブル含有液製造装置。
【請求項6】
液中に第1のバブルが含有した第1のバブル含有液を通過させ、通過する第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部を備え、
前記バブル圧壊部は、バブル含有液が充満した状態で通過する円形の断面を有する通路と、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備え、
前記通路と前記通路の周囲を覆う外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填されており、
前記複数の超音波振動子は、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射し、
前記複数の超音波振動子は複数対の振動子対を形成し、
前記複数の振動子対は、対抗する方向から前記通路の中央に向けて超音波を照射することを特徴とする、バブル含有液製造装置。
【請求項7】
バブル含有液を生成するバブル生成部と、前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給されるバブル含有液を通過させ、通過するバブル含有液に超音波を照射し、
バブル含有液のバブルを圧壊するバブル圧壊部と、前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給されるバブル含有液を貯留する貯留部とを備え、
前記バブル圧壊部は、バブル含有液が充満した状態で通過する円形の断面を有する通路と、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備え、
前記複数の超音波振動子は複数対の振動子対を形成し、
前記複数の振動子対は、対抗する方向から前記通路の中央に向けて超音波を照射することを特徴とし
前記通路と前記通路の周囲を覆う外装体との間に超音波を伝搬可能な伝搬液が充填されており、
前記複数の超音波振動子は、前記通路の外側から内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する、バブル含有液製造装置を用いたバブル含有液の製造方法であって、
前記バブル生成部が、液中に第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を生成すること、
前記バブル圧壊部が、前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブルを圧壊して第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を生成すること、
前記貯留部が、第2のバブル含有液を貯留することを含むバブル含有液の製造方法。